説明

発光モジュールおよび照明器具

【課題】小形化できることが期待できる発光モジュールを提供する。
【解決手段】半導体発光素子19を備える。半導体発光素子19を点灯させる点灯回路部品24を有する点灯回路を備える。一面12aに半導体発光素子19が実装され、少なくとも他面12bに点灯回路部品24が実装されて点灯回路が設けられ、半導体発光素子19および点灯回路部品24のうち発熱量が他の部品より大きい発熱部品31の近傍にスルーホール32が設けられた基板12を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体発光素子を用いた発光モジュール、およびこの発光モジュールを用いた照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光源として半導体発光素子を用いた照明器具では、発光モジュール基板の一面に複数の半導体発光素子を実装した発光モジュールと、点灯回路モジュール基板の一面に点灯回路部品を実装した点灯回路モジュールとを分けて設け、これら基板をリード線で接続するようにしたものがある。このように基板を分けることにより、点灯回路部品のうちの発熱量が他の部品より大きい発熱部品が発生する熱が半導体発光素子に伝わりにくくして半導体発光素子の劣化を低減したり、あるいは半導体発光素子が発生する熱が点灯回路部品の余り発熱しない部品に伝わりにくくしてその部品の劣化を低減するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−19336号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、基板を分けることにより、構成が複雑になり、大形になる問題がある。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、小形化できることが期待できる発光モジュール、およびこの発光モジュールを用いた照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の発光モジュールは、半導体発光素子を備える。半導体発光素子を点灯させる点灯回路部品を有する点灯回路を備える。一面に半導体発光素子が実装され、少なくとも他面に点灯回路部品が実装されて点灯回路が設けられ、半導体発光素子および点灯回路部品のうち発熱量が他の部品より大きい発熱部品の近傍にスルーホールが設けられた基板を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の発光モジュールによれば、基板に実装される発熱部品の近傍にスルーホールを設けたので、発熱部品が発生する熱を発熱部品が実装されている基板の面から反対側の面に熱伝導して発熱部品の温度上昇を低減できるとともに、発熱部品が発生する熱が発熱部品の近傍に位置する他の部品に伝わりにくくでき、これにより、1枚の基板に対して部品の高密度実装が可能となり、小形化できることが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施形態の発光モジュールを示し、図4のA−A断面図である。
【図2】同上発光モジュールの図4のB−B断面図である。
【図3】同上発光モジュールの図4のC−C断面図である。
【図4】同上発光モジュールの一部を省略した正面図である。
【図5】同上発光モジュールの一部を省略した背面図である。
【図6】同上発光モジュールを用いた照明器具の一部を省略した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態を、図1ないし図6を参照して説明する。
【0010】
図1ないし図5において、11は発光モジュールで、この発光モジュール11は、例えばアルミニウムなどの金属材料によって細長い長方形板状に形成された基板12を備えている。この基板12の表面全体を覆って絶縁層13が形成され、基板12の一面12aおよび他面12bには絶縁層13上に例えば銅などの導電層14によって配線パターン15,16がそれぞれ形成されている。
【0011】
基板12の一面12aの配線パターン15上には、基板12の長手方向に沿って所定のピッチで複数の半導体発光素子19が実装されている。半導体発光素子19は、例えば、LED素子やEL素子などであり、LED素子の場合には、LEDチップが搭載された接続端子付きのSMD(Surface Mount Device)パッケージが用いられている。このSMDパッケージは、パッケージ内に例えば青色光を発するLEDチップが配置され、このLEDチップをLEDチップからの青色光の一部により励起されて黄色光を放射する黄色の蛍光体が混入された例えばシリコーン樹脂などの蛍光体層で覆われている。したがって、蛍光体層の表面が発光面となり、この発光面から白色系の光が放射される。SMDパッケージの側面には、LEDチップに接続されている一対の端子が設けられている。
【0012】
半導体発光素子19は配線パターン15の隣り合うパターン部15aに跨って配置され、半導体発光素子19の一対の各端子が各パターン部15aにはんだ付け接続されている。これにより、基板12の長手方向に沿って複数の半導体発光素子19が直列に接続されている。
【0013】
各半導体発光素子19の近傍には、各半導体発光素子19をノイズやサージなどから保護するための面実装部品であるコンデンサ20が、各半導体発光素子19と同様に、配線パターン15の隣り合うパターン部15aに跨って配置されているとともに、コンデンサ20が有する一対の各端子が各パターン部15aにはんだ付け接続されている。
【0014】
また、基板12の他面12bの配線パターン16上には、半導体発光素子19を点灯させる点灯回路23を構成する複数の点灯回路部品24が実装されている。これら点灯回路部品24には、トランスや、抵抗およびコンデンサなどのチップ部品など、全て面実装部品が用いられている。点灯回路部品24には、基板12の一面12aに実装されたコンデンサ20も含まれている。
【0015】
基板12の他面12bの中央には、外部から商用交流電源を点灯回路23に入力するための面実装部品であるコネクタ25が実装され、配線パターン16にはんだ付け接続されている。
【0016】
また、基板12の両端部において、一面12aの配線パターン15の両端部に位置するパターン部15aと他面12bの配線パターン16とを接続し、点灯回路23から各半導体発光素子19に直流電力を供給する電力供給用のスルーホール28が形成されている。この電力供給用のスルーホール28は、基板12の一面12aと他面12bとに貫通し、内周面には絶縁層13が形成されているとともに、この絶縁層13上に一面12aの配線パターン15と他面12bの配線パターン16とを電気的に接続する導電層14が形成されている。
【0017】
また、基板12に実装される部品の中で、発熱量の大きい発熱部品31として、半導体発光素子19や点灯回路部品24のトランスなどがある。
【0018】
基板12の一面12aにおいて、発熱部品31である各半導体発光素子19の近傍には、余り発熱しない部品として各コンデンサ20がそれぞれ実装されている。そして、各半導体発光素子19の近傍であって、各半導体発光素子19と各コンデンサ20との間に、放熱用のスルーホール32がそれぞれ形成されている。これら放熱用のスルーホール32の位置は、各半導体発光素子19と各コンデンサ20との間において各半導体発光素子19に近い位置であり、配線パターン15の各パターン部15aの位置に形成されている。放熱用のスルーホール32は、基板12の一面12aと他面12bとに貫通し、内周面には絶縁層13が形成されているとともに、この絶縁層13上に一面12aの配線パターン15と連続して導電層14が形成されているが、この導電層14は他面12bの点灯回路23の配線パターン16には電気的に接続されていない。
【0019】
放熱用のスルーホール32が形成される半導体発光素子19の近傍とは、半導体発光素子19の近くに他の部品が存在する場合に、その他の部品よりも半導体発光素子19に近い位置であればよい。
【0020】
なお、基板12の一端側においては電力供給用のスルーホール28と放熱用のスルーホール32とが兼用され、基板12の他端側においては電力供給用のスルーホール28と放熱用のスルーホール32とがそれぞれ個別に形成されている。
【0021】
また、図6には、発光モジュール11を用いた照明器具41を示す。この照明器具41は、一面を開口した細長い箱形のケースである器具本体42、およびこの器具本体42の開口を覆う透光性カバー43を有し、器具本体42内に発光モジュール11が収納されている。そして、発光モジュール11の半導体発光素子19の点灯により、半導体発光素子19から放出される光が透光性カバー43を透過して外部へ照射される。この照明器具41は、天井や壁面などの設置面に直接取り付けてもよいし、天井や壁面などに設置する設置部材によって取り付けてもよい。
【0022】
次に、発光モジュール11の動作を説明する。
【0023】
発光モジュール11のコネクタ25に、電源線の先端に取り付けられているコネクタを接続し、電源線から発光モジュール11の点灯回路23に商用交流電源を供給可能とする。
【0024】
電源線から発光モジュール11の点灯回路23に商用交流電源を供給すると、点灯回路23で半導体発光素子19を点灯させるための直流電力に変換し、この直流電力を、基板12の両端部において、電力供給用のスルーホール28の導電層14を通じて基板12の他面12bの配線パターン16から一面12aの配線パターン15の両端部に供給する。
【0025】
配線パターン15の両端部間には全ての半導体発光素子19が直列に接続されているため、各半導体発光素子19に直流電力が供給され、各半導体発光素子19が点灯する。
【0026】
また、点灯時には、半導体発光素子19および点灯回路部品24が発熱する。これらが発生する熱は、主に、配線パターン15から基板12に熱伝導され、この基板12から照明器具41の器具本体42や空気中に放熱される。
【0027】
発熱部品31である各半導体発光素子19は、他の部品に比べて発熱量が大きく、その熱が基板12の実装位置に熱伝導されるとともにその実装位置から周囲に熱伝導されていく。
【0028】
このとき、基板12には、各半導体発光素子19の実装位置の近傍に、放熱用のスルーホール32がそれぞれ形成されているため、これら放熱用のスルーホール32の導電層14により各半導体発光素子19から配線パターン15に熱伝導された熱を基板12の他面12b側に熱伝導し、基板12の他面12b側からの放熱を促進させることができる。さらに、放熱用のスルーホール32内の導電層14の表面や基板12の他面12b側に連続する導電層14の表面から空気中に放熱し、放熱性を向上させる。そのため、半導体発光素子19の発熱による温度上昇を抑制でき、短寿命となるなどの温度上昇による悪影響を低減できる。
【0029】
さらに、放熱用のスルーホール32は、半導体発光素子19の近傍であって、半導体発光素子19と、余り発熱しない部品であるコンデンサ20との間にそれぞれ形成されている。この放熱用のスルーホール32により、半導体発光素子19からコンデンサ20の方向へ基板12内を熱伝導される熱を遮断し、放熱用のスルーホール32内の導電層14を通じて基板12の他面12b側に熱伝導するため、半導体発光素子19からコンデンサ20へ熱が熱伝導されるのを抑制し、コンデンサ20の温度上昇を低減できる。
【0030】
また、放熱用のスルーホール32は、電力供給用のスルーホール28との兼用箇所を除いて、他面12bの点灯回路23の配線パターン16には電気的に接続されることはなく、点灯回路23には影響が出ない。
【0031】
このように、本実施形態の発光モジュール11によれば、基板12に実装される発熱部品31の近傍に放熱用のスルーホール32を設けたので、発熱部品31が発生する熱を発熱部品31が実装されている基板12の面から反対側の面に熱伝導して発熱部品31の温度上昇を低減できるとともに、発熱部品31が発生する熱が発熱部品31の近傍に位置する他の部品に伝わりにくくでき、これにより、1枚の基板12に対して部品の高密度実装が可能となり、小形化できる。
【0032】
また、基板12の両端部に電力供給用のスルーホール28を設けたので、これら電力供給用のスルーホール28を通じて、基板12の他面12bに設けられた点灯回路23から基板12の一面12aに実装されている半導体発光素子19に電力を供給することができ、配線などによる接続を不要にできる。
【0033】
電力供給用のスルーホール28と放熱用のスルーホール32と兼用することもできるので、構成を簡素化できる。
【0034】
また、基板12の他面12bの中央に、外部から電源を点灯回路23に入力するコネクタ25を配設しているため、基板12の両端部の電力供給用のスルーホール28を通じて電力供給する点灯回路23のレイアウトを簡単にでき、小形化に貢献できる。
【0035】
また、小形化できる発光モジュール11を用いる照明器具41も小形化できる。
【0036】
なお、基板12に実装される部品の中で、発熱量の大きい発熱部品31としては、半導体発光素子19に限らず、点灯回路部品24のトランスなどもあり、これら発熱部品31の近傍に放熱用のスルーホール32を設けることにより、同様の作用効果が得られる。
【符号の説明】
【0037】
11 発光モジュール
12 基板
12a 一面
12b 他面
19 半導体発光素子
23 点灯回路
24 点灯回路部品
25 コネクタ
28 電力供給用のスルーホール
31 発熱部品
32 スルーホール
41 照明器具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体発光素子と;
半導体発光素子を点灯させる点灯回路部品を有する点灯回路と;
一面に半導体発光素子が実装され、少なくとも他面に点灯回路部品が実装されて点灯回路が設けられ、半導体発光素子および点灯回路部品のうち発熱量が他の部品より大きい発熱部品の近傍にスルーホールが設けられた基板と;
を具備していることを特徴とする発光モジュール。
【請求項2】
基板の両端部に、基板の他面に設けられた点灯回路から基板の一面に実装されている半導体発光素子に電力を供給する電力供給用のスルーホールが設けられている
ことを特徴とする請求項1記載の発光モジュール。
【請求項3】
基板の他面中央に配設され、外部から電源を点灯回路に入力するコネクタを具備している
ことを特徴とする請求項1または2記載の発光モジュール。
【請求項4】
請求項1ないし3いずれか一記載の発光モジュールを具備している
ことを特徴とする照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−4217(P2012−4217A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−136113(P2010−136113)
【出願日】平成22年6月15日(2010.6.15)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】