説明

発光印刷物

【課題】本発明は、励起光を照射している間に視認される発光画像と、励起光の照射終了後に視認される発光画像が全く異なる画像に変化する発光印刷物に関する。
【解決手段】本発明は、基材上の少なくとも一部に印刷画像を備える発光印刷物において、印刷画像は、背景要素を複数配置して成る一定の面積率で形成された背景要素群と、背景要素と重複しない位置に、情報要素を複数配置して成る情報要素群とを有し、背景要素群は、第一の要素を複数配置して成る第一の印刷要素群と、第二の要素を複数配置して成る第二の印刷要素群に区分けされ、励起光の照射中は、印刷画像が視認され、励起光の照射終了から第一の時間においては、第一の印刷要素群のみ視認されることを特徴とする発光印刷物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偽造防止効果を必要とする銀行券、パスポート、有価証券、身分証明書、カード、通行券等のセキュリティ印刷物の分野において用いられる発光材料を用いた偽造防止技術であって、励起光の照射中に観察できる画像と、励起光の照射後に観察できる画像とが、全く相関のない異なる画像に変化する発光印刷物に関わるものである。
【背景技術】
【0002】
近年のスキャナ、プリンタ、カラーコピー機等のデジタル機器の進展により、貴重印刷物の精巧な複製物を容易に作製することが可能となっている。このような複製や偽造を防止する偽造防止技術の一つとして、蛍光材料や燐光材料、蓄光材料等がインキ中に含まれた特殊な発光インキを利用した発光画像を形成する技術がある。
【0003】
発光画像を形成する技術は、紫外線を照射した場合に一部の画像が可視発光する、いわゆる紫外線励起可視発光材料を用いたものが一般的である。この技術は、ブラックライトを用いて印刷物を照らし、印刷画像の特定部分が発光することを目視して真偽判別の基準とするものであり、一般的なプリンタ、カラーコピー機等のデジタル機器を用いた簡易的な偽造では発光を再現できないことから、偽造防止印刷の分野において偽造防止技術の一つとして従来から広く用いられている。
【0004】
また、これらの発光画像を形成する技術の中には、蓄光材料を含んだ蓄光インキを利用した技術がある。蓄光インキは、蛍光材料を含んだ蛍光インキと同様に励起光を照射した場合に特定の色で発光するが、蛍光インキとは異なり励起光の照射を止めたのちもしばらくの間は発光が持続する、いわゆる残光を有するという特徴がある。単一波長の励起光を照射できる安価なブラックライトがあればこの効果は容易に目視することが可能なことに加え、蓄光材料を用いなければこの効果を生じさせることは不可能であることから、真偽判別性と偽造防止効果に優れる。このような蓄光材料の特徴を活かした、ユニークな効果を有する発光画像を形成したいくつかの偽造防止技術が存在する。
【0005】
例えば、特許文献1において、残光がほとんどない蛍光体と、残光が長い時間残る蓄光体を混合したインク材によってインク層を形成した印刷物の記載がある。この印刷物において、蛍光体と蓄光体の発光色が異なる場合、発光画像は励起光照射時には蛍光体と蓄光体の発光色を加えた混合色で発光し、励起光照射後数秒は蓄光体の発光色のみに変化する。よって、この技術によって形成された印刷物は、発光色が励起光照射中と照射後で変化する特徴を有し、高いセキュリティ性を有している。
【0006】
また、本出願人は先に、発光強度が飽和状態に達するまでの時間と発光色が異なる複数の発光材料を混合して単一のインキとすることで、励起光照射開始からの経過時間に応じてインキの発光色が変化する印刷物を提案している(例えば、特許文献2参照)。この技術も特許文献1同様に蓄光材料独特の効果を利用したものであって、一般的な蛍光インキを用いて形成する単純な発光画像では、発光色が変化するという特徴を再現することは困難であることから、高いセキュリティ性を備えていると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−67043号公報
【特許文献2】特開2007−277281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2の技術を特徴づけているのは、インキのユニークな発光特性であり、逆に印刷画像を形成するにあたって、画像の構成に特別な工夫はない。それぞれの発光画像は網点の有り無しによって形成される単純な2値画像か、あるいは網点面積率や網点の粗密を変化させて構成した階調画像を形成しているだけである。すなわち、印刷画像中のある領域に励起光を照射した場合に出現する発光画像は、発光インキによってユニークな色彩変化を生じるものの、一つの画像から異なる画像へと画像自体が変化するような画像のチェンジ効果はないという問題があった。
【0009】
また、特許文献1及び特許文献2に記載の技術の特殊な発光色の変化は蛍光材料や蓄光材料等の発光材料の発光特性に依存する。現在、雑貨屋やインターネットを介することで特殊印刷に関わらない一般人であっても各種の蛍光材料や蓄光材料等の発光材料を入手することは容易であり、発光体に関する知識を有していれば真性品と同様に色が変化する効果を模倣することは可能である。よって、この技術を用いて偽造防止効果を高く保つためには、市販されている材料を流用しても容易に真似ができないような発光材料が不可欠となる。以上のことから、この技術において高い偽造防止効果を保持するためには、入手難易度の高い発光材料が必須となる。
【0010】
本発明は、前述した課題の解決を目的とするものであり、特別な発光インキと網点の集合によって形成した複雑な画素及び/又は画線構成によって画像を形成した発光印刷物であって、印刷画像に励起光を照射している間に観察者に視認される発光画像と、励起光の照射終了後、観察者に視認される発光画像とが全く相関のない異なる画像に変化する特徴を有する、真偽判別と偽造防止効果に優れた発光印刷物に関わる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、基材上の少なくとも一部に印刷画像を備える発光印刷物において、前記印刷画像は、背景要素を複数配置して成る一定の面積率で形成された背景要素群と、前記背景要素と重複しない位置に、前記情報要素を複数配置して成る情報要素群とを有し、前記背景要素群は、第一の要素を複数配置して成る第一の印刷要素群と、第二の要素を複数配置して成る第二の印刷要素群に区分けされ、前記第一の要素と前記第二の要素は、同一の形状であって、前記第二の印刷要素群及び前記情報要素群は、第一のインキで形成されて成り、前記第一の印刷要素群は、第二のインキで形成されて成り、前記第一のインキと前記第二のインキは、励起光の波長が同一、かつ、前記励起光による発光色は同一の色彩として視認され、前記第一のインキは、前記励起光の照射終了後に残光が視認不可能であって、前記第二のインキは、前記励起光の照射終了後に残光が視認可能であり、前記励起光の照射中は、前記印刷画像が視認され、前記励起光の照射終了から第一の時間が経過する間、前記第一の印刷要素群のみ視認されることを特徴とする発光印刷物である。
【0012】
本発明は、第二のインキが、励起光の照射中における発光色と、残光の発光色が異なる色相であることを特徴とする発光印刷物である。
【0013】
本発明は、第一の時間が、5ms以上30s以下であることを特徴とする発光印刷物である。
【0014】
本発明は、背景要素が、画線又は画素であることを特徴とする発光印刷物である。
【0015】
本発明は、情報要素が、画線又は画素であることを特徴とする発光印刷物である。
【0016】
本発明は、第一のインキと第二のインキが、透明インキ又は基材と同色のインキ、淡色のインキであることを特徴とする発光印刷物である。
【0017】
本発明は、第一のインキ及び/又は第二のインキが、赤外吸収顔料、光輝性材料、フォトクロミック顔料、サーモクロミック材料を少なくとも一つを含むことを特徴とする発光印刷物である。
【発明の効果】
【0018】
本発明の発光印刷物においては、印刷領域に励起光を照射している間に観察者に視認される発光画像と、励起光の照射を止めた後に観察者に視認される発光画像とが全く相関のない異なる画像に変化するため、優れた画像のチェンジ効果を有する。
【0019】
本発明の発光印刷物は、発光材料としては、一般に市販されているような、発光特性の異なる二つのペアインキを用いれば作製することができる。ただし、複雑な画素及び/又は画線構成を用いなければ本発明の画像のチェンジ効果を発現させることは不可能である。よって、本発明における偽造防止効果は、特殊な発光材料ではなく、その複雑な画素及び/又は画線構成によって生じさしめている。以上のことから、この技術において高い偽造防止効果を保持するためには、入手難易度の高い発光材料は必須ではない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の発光印刷物(1)を示す平面図。
【図2】印刷画像(3)を形成する背景要素群(4)と情報要素群(5)を示す平面図。
【図3】背景要素群(4)を形成する背景要素(6)と、情報要素群(5)を形成する情報要素(7)の位置関係を示す平面図。
【図4】背景要素群(4)を構成する第一の印刷要素群(8)と、第二の印刷要素群(9)を示す平面図。
【図5】第一のインキで形成される第二の印刷要素群(9)と情報要素群と、第二のインキで形成される第一の印刷要素群(8)を示す平面図。
【図6】第一のインキと第二のインキの励起光照射中の発光スペクトルと、紫外線照射終了後の発光スペクトルを示す図。
【図7】本発明の発光印刷物(1)の紫外線照射時と、紫外線照射終了後の観察図。
【図8】本発明における発光印刷物(1−1)を示す平面図。
【図9】印刷画像(3−1)を形成する背景要素群(4−1)と情報要素群(5−1)を示す平面図。
【図10】背景要素群(4−1)を形成する背景要素(6−1)と、情報要素群(5−1)を形成する情報要素(7−1)の位置関係を示す平面図。
【図11】背景要素群(4−1)を構成する第一の印刷要素群(8−1)と、第二の印刷要素群(9−1)示す平面図。
【図12】第一のインキで形成される第二の印刷要素群(9−1)と情報要素群と、第二のインキで形成される第一の印刷要素群(8−1)を示す平面図。
【図13】本発明の発光印刷物(1−1)の紫外線照射時と、紫外線照射後の観察図。
【図14】本発明における発光印刷物(1−2)を示す平面図。
【図15】印刷画像(3−2)を形成する背景要素群(4−2)と情報要素群(5−2)を示す平面図。
【図16】背景要素群(4−2)を形成する背景要素(6−2)と、情報要素群(5−2)の位置関係を示す平面図。
【図17】背景要素群(4−2)を構成する第一の印刷要素群(8−2)と、第二の印刷要素群(9−2)示す平面図。
【図18】第一のインキで形成される第二の印刷要素群(9−2)と情報要素群と、第二のインキで形成される第一の印刷要素群(8−2)を示す平面図。
【図19】本発明の発光印刷物(1−2)の紫外線照射時と、紫外線照射終後の観察図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。しかしながら、本発明は、以下に述べる実施するための形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲記載における技術的思想の範囲内であれば、その他のいろいろな実施の形態が含まれる。
【0022】
図1(a)に、本発明における発光印刷物(1)を示す。発光印刷物(1)は、基材(2)の上に、印刷画像(3)が形成されており、印刷画像(3)は、図1(b)に示す背景要素群(4)と図1(c)に示す情報要素群(5)から構成されている。なお、図面上では、印刷画像(3)の中に背景要素群(4)とは異なる面積率で形成されて成る「印刷局」の文字を階調差によって認識できるが、紫外線を照射していない場合は、実際に印刷画像(3)の「印刷局」を認識できない。
【0023】
図2は、印刷画像(3)を形成する背景要素群(4)と情報要素群(5)を示す。図2(a)に示す背景要素群(4)は、拡大図に示すように、一定の形状の背景要素(6)を規則的に複数配置することで形成されて成る。図2(b)に示す情報要素群(5)は、拡大図に示すように、一定の形状の情報要素(7)を規則的に複数配置することで、漢字の「印刷局」の文字を形成している。
【0024】
図3は、背景要素群(4)を形成する背景要素(6)と、情報要素群(5)を形成する情報要素(7)の位置関係を示すものである。図3に示すように、背景要素(6)と重複しない位置に情報要素(7)を規則的に複数配置し漢字の「印刷局」の文字を印刷画像(3)中に形成して成る。すなわち、印刷画像(3)は、背景要素(6)を複数配置して成る背景要素群(4)が作り出しているフラットな階調の中に、背景要素(6)とは重ならない位置に情報要素(7)を規則的に複数配置して情報要素群(5)を形成することで、背景要素群(4)とは異なる階調の「印刷局」の文字を観察者に視認させる構成となっている。
【0025】
本発明における背景要素(6)と情報要素(7)は、画素又は画線によって形成される。ここで言う「画素」とは、印刷画像(3)を形成する最小単位である網点を複数集合させて形成した一塊の画像要素であって、形状に関しては円でも多角形でも星型等でも良く、その他特殊な文字や記号等も含まれる。また、「画線」とは、網点を一定方向に隙間無く連続して配置して構成した画像要素であって、点線や破線の分断線、直線、曲線及び波線のことであり、如何なる画線形状で構成しても本発明の技術思想に含まれる。
【0026】
本発明において、背景要素群(4)を形成する背景要素(6)は、画素及び/又は画線から成る。一方の情報要素群(5)は、画素や画線である情報要素(7)が複数配置されて成っても良いし逆に情報要素(7)である画素や画線を形作らず、網点の有無によって形成される文字や記号等の二値画像で成っても良いし、網点の大小や粗密によって形成される写真等の階調画像で成っても良い(実施例2において後記する)。情報要素群(5)の形成において重要なのは、背景要素(6)と重なり合わない位置に形成することであり、それを満たす限り、複数の情報要素(7)で情報要素群(5)を構成しても良く、二値画像や階調画像をそのまま情報要素群(5)としても何ら問題ない。重なり合わない位置に形成する意味は、印刷画像(3)中に背景要素群(4)とは面積率の異なる領域を形成することによって、階調差を作り出し、観察者に有意情報を視認させることである。
【0027】
また、背景要素群(4)を形成する背景要素(6)と、情報要素群(5)を形成する情報要素(7)の組み合わせについては、画素及び/又は画線のすべての組み合わせにおいて本発明の発光印刷物が作製可能である。なお、本発明を実施するための形態においては、背景要素群(4)を形成している要素(6)及び情報要素群(5)を形成している要素(7)が円形の画素の場合で説明する。
【0028】
また、本実施の形態においては、背景要素群(4)が一定の大きさの画素からなる複数の背景要素(6)から形成され、情報要素群(5)が背景要素群(4)を形成している要素(6)と略同一の大きさの画素から成る複数の情報要素(7)から形成される場合で説明するが、この形態に限定される必要はなく、本発明は、フラットな階調を有する背景要素群(4)に対して階調差を生じるように、情報要素群(5)によって面積率を異ならせる形態であれば良い。
【0029】
背景要素(6)と、情報要素(7)は、重複しないように形成する必要がある。これは、背景要素(6)と、情報要素(7)を重複して形成すると、重複した部分の発光は第一のインキと第二のインキの合成発光色となり、周囲と比較すると強くなってしまうためで、発光にムラのある不明瞭な発光画像となるためである。なお、第一のインキと第二のインキの詳細な説明については、後述する。
【0030】
図4に、背景要素群(4)を構成している二つの要素を示す。図4(b)は、第一の印刷要素群(8)を示し、図4(c)は、第二の印刷要素群(9)示す。なお、図面上では、第一の印刷要素群(8)の「NPB」を認識できるが、紫外線の照射前や紫外線照射中には第一の印刷要素群(8)の「NPB」の文字を認識できない。図4(b)に示す第一の印刷要素群(8)は、一定の形状である第一の要素(10)を規則的に複数配してアルファベットの「NPB」の文字を構成している。また、図4(c)に示す第二の印刷要素群(9)は、第一の要素(10)と同じ面積率の第二の要素(11)を規則的に複数配して構成され、背景要素群(4)の中から第一の印刷要素群(8)の「NPB」の文字を抜いた構成となっている。
【0031】
よって、背景要素(6)とは、第一の要素(10)及び第二の要素(11)のいずれかであり、背景要素群(4)とは、第一の印刷要素群と第二の印刷要素群が合成して構成されている。以上のように、第一の印刷要素群(8)と第二の印刷要素群(9)は、ペア画像となっており、第一の印刷要素群(8)が構成する文字や記号等の有意味画像は、対と成る第二の印刷要素群(9)によってカムフラージュされ、一定の階調を有する背景要素群(4)の中に隠される構成となっている。
【0032】
また、第一の印刷要素群(8)が、第二の印刷要素群(9)によってカムフラージュされ、一定の階調を有する背景要素群(4)の中に隠される効果を得るためには、第一の要素(10)と第二の要素(11)は、同じ面積率である必要があり、かつルーペ等で拡大表示された場合でも第一要素(10)と第二の要素(11)の区別がつかないことが望ましいため、第一の要素(10)と第二の要素(11)は同じ形状であることが最も望ましい。
【0033】
図5(a)は本発明において第一のインキで形成される第二の印刷要素群と情報要素群を示し、(b)は本発明において第二のインキで形成される第一の印刷要素群を示す。図5(a)は、第一のインキで形成する画像であり、情報要素群(6)と第二の印刷要素群(9)が組み合わさった構成となっている。図5(b)は、第二のインキで形成する画像であり、第一の印刷要素群(8)のみで構成されている。以上のように、第一のインキで形成された第二の印刷要素群(8)と第二のインキで形成された第一の印刷要素群(9)が組み合わさって背景要素群(4)を形成し、背景要素群(4)に第一のインキで形成された情報要素群(5)が加わることによって、本発明における発光印刷物に形成されて成る印刷画像(3)が構成されている。
【0034】
次に、本発明で用いる第一のインキと第二のインキについて説明する。図6(a)は、第一のインキと第二のインキの励起光照射中の発光スペクトルを示し、図6(b)は、第一のインキと第二のインキの励起光照射後の発光スペクトルを示す。第一のインキと第二のインキは、同じ波長の光によって励起される。また、励起光を照射している最中の第一のインキと第二のインキは、同じ色彩として視認され、励起光照射を終了して第一の時間が経過する間には第二のインキの残光による発光のみが視認でき、第一のインキの発光は視認できないことを特徴とする。
【0035】
第一のインキと第二のインキに用いるペアインキに必要とされる、具体的な光学特性の例を説明する。基材上(2)に第一のインキで形成した印刷サンプルと、第二のインキで形成した印刷サンプルの励起光照射中の発光スペクトルを図6(a)のグラフに示し、励起光照射終了後の発光スペクトルを図6(b)に示す。発光スペクトルを測定するためのサンプルは、基材(2)として一般的な白色の上質紙を使用し、第一のインキ及び第二のインキを100%でベタ印刷したものとする。また、発光スペクトルの測定には、分光蛍光光度計F−4500(日立ハイテクノロジーズ(株)製)を使用した。
【0036】
これ以後、説明を明瞭にするために「基材(2)上に第一のインキで形成された印刷サンプル」は、「第一のサンプル」と記載し、また「基材(2)上に第二のインキで形成された印刷サンプル」は、「第二のサンプル」と記載する。
【0037】
図6(a)は、励起光照射中の第一のサンプルの発光スペクトル(12)と、励起光照射中の第二のサンプルの発光スペクトル(13)を示す。図6(a)のグラフから、第一のサンプルと第二のサンプルの発光スペクトルは、ほぼ一致しており、等しい色彩として観察されることがわかる。図6(b)には、励起光照射終了後の第二のサンプルの発光スペクトル(14)を示す。なお、第一のサンプルは励起光照射終了後に発光していないため、発光スペクトルがグラフ中に存在しない。このグラフから、励起光照射終了後に第一のサンプルは発光していないが、第二のサンプルは発光していることがわかる。
【0038】
以上の結果から、第一のインキで基材(2)の上に形成された画像と、第二のインキで基材(2)の上に形成された画像は、その面積率が等しければ、励起光照射中には等色に観察されるが、励起光照射後、第一の時間経過する間には、第二のインキで形成された画像のみが視認されることがわかる。
【0039】
以上の結果を踏まえて、本発明の発光印刷物(1)の効果について説明する。図7(a)は、本発明における発光印刷物に対し励起光を照射している最中に、観察者に視認される画像を示す。図7(b)は、本発明における発光印刷物に対し励起光を照射した後に視認される画像を示す。図7(a)に示すように、本発明の発光印刷物(1)を励起光照射中に観察した場合には、第一のインキで形成された第二の印刷要素群(9)と、第二のインキで形成された第一の印刷要素群(8)は、それぞれを構成している第一の要素(10)及び第二の要素(11)の形状が同じであることから、等色に視認され、第一の印刷要素群(8)が示す「NPB」の文字は、第二の印刷要素群によって完全にカムフラージュされる。観察者には、第一の印刷要素群(8)及び第二の印刷要素群(9)が組み合わさって形成したフラットな階調を有した背景要素群(4)の中に、面積率の違いによって形成された「印刷局」の文字から成る情報要素群(5)が、背景要素群(4)より強い発光で観察される。よって、図7(a)に示す印刷画像(3)が強く発光して視認される。
【0040】
また、図7(b)に示すように、本発明の発光印刷物(1)に励起光を照射するのを止め、第一の時間の経過する間に観察した場合、第一のインキで形成された第二の印刷要素群(9)及び情報要素群(5)は発光せず、第二のインキで形成された第一の印刷要素群(8)のみが発光することから、観察者には、「NPB」の文字から成る第一の印刷要素群(8)のみが、発光して視認される。
【0041】
以上のように、本発明の発光印刷物(1)に励起光を照射している最中は、印刷画像(3)が観察され、励起光照射終了から第一の時間が経過する間には、第一の印刷要素群(8)が視認される。このように、励起光照射中と励起光照射後には、全く相関のない異なる画像が視認されるため、真偽判別性に優れる。
【0042】
本発明を実施するための形態では、基材(2)として肌色の上質紙を用いたが、基材の色は、肌色に限定されるわけではなく、白色の基材であっても、その他の色の基材を用いても良い。また、上質紙に限らずコート紙やプラスティック等であっても何ら問題ない。
【0043】
また、第一のインキと第二のインキは、透明であっても、着色されていても良い。透明である場合は、励起光を照射した場合にのみ印刷画像(3)が現れるが、着色されている場合は励起光を照射しなくても印刷画像(3)が視認されている状態となる。ただし、着色する場合には、黄色や黄緑色等の淡い色に留めることが望ましい。黒色や褐色等の濃い色で着色されている場合には、励起光照射終了後、第一の時間経過する間に出現する第一の印刷要素群(8)の背景に、着色されている情報要素(5)と第二の印刷要素群(9)が重なり合って視認され、場合によっては、チェンジ効果が不明瞭に感じるためである。また、濃い色で着色した場合には、インキの発光色を吸収して発光輝度自体も低下してしまう懸念があることから、着色する場合には淡い色に留めることが望ましい。
【0044】
第一のインキと第二のインキは、同じ波長の光で励起される必要があり、かつ、励起光照射中の発光スペクトルは、略同一であって、等色と観察者が視認できる発光特性を有する必要がある。また、第二のインキは励起光照射終了後、第一の時間が経過する間、目視可能な程度に残光を有している必要がある。このようなペアインキを選択する例としては、同じ色の蛍光インキと蓄光インキをペアで用いることが最も容易である。また、単独の発光顔料を用いてインキを作製する必要はなく、複数の発光顔料を一つのインキ中に混ぜて発光色を調整しても何ら問題ない。また、実施例2で記載する第二のインキのように、励起光照射中の発光色は第一の色であって、残光発光色は、第一の色と異なる第二の色に変化する特殊なインキを用いた場合には、優れた画像のチェンジ効果により色彩豊かな表現を加えることができるだけでなく、このような特殊な発光色の変化を模倣することはより困難であることから、偽造抵抗力の向上にも繋がる。
【0045】
第一の時間は、偽造防止性を考慮した秘匿性、案内標識等の目印を考慮した意匠性など、印刷物の使用目的により異なるが、本発明の目的である印刷物の真偽判別を行うことを意図する場合、望ましい時間は5ms以上30s下である。5msより短い時間の場合は、観察者がその発光画像の変化を捉えられない場合があり、30s以上の場合は、真偽判別に時間を要するため好ましくないからである。なお、5ms以上30s以下というのは真偽判別を意図した第一の時間についての範囲であり、本発明の発光印刷物の効果自体は、用いる蓄光材料の性能によって1000min以上継続することもある。
【0046】
第一のインキ及び第二のインキの励起光は、紫外線、可視光、赤外光のいずれの波長であっても問題ない。また、発光波長も紫外線、可視光、赤外光のいずれの波長領域であっても問題ない。発光波長が、紫外線、赤外線等の人間に不可視な波長の光であっても、それぞれの波長の光を受光できる素子を備えたカメラを用いて画像処理を行うことで発光波長を可視波長に変換することは容易であるから、発光波長が不可視の波長であっても、機械的な処理を前提にして、観察者が本発明の画像のチェンジ効果を目視することができる。ただし、真偽判別を容易にするという面から考えると、発光波長は、観察者が画像変化を直接目視できる可視光であることが望ましい。
【0047】
第一のインキ及び/又は第二のインキに、発光材料以外の機能性材料を混合して特殊な認証機能を付与しても良い。例えば、いずれかのインキに赤外吸収顔料を混合して、反射光下でも赤外線認証機能を加えることは可能であり、その他にも、光輝性材料、フォトクロミック顔料、サーモクロミック材料等をインキ中に混合することで、より意匠性や機能性の高い印刷物が形成できる。
【0048】
本発明における発光印刷物の印刷方式は、オフセット印刷、フレキソ印刷、凸版印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、凹版印刷、IJP等のあらゆる印刷方式で形成することが可能である。なお、IJPにより形成する場合は、一枚ごとに出力物の情報を変える、いわゆる可変印刷を実施することができる。
【0049】
また、本発明の発光印刷物(1)を形成するための要素の構成については、実施の形態に記載の構成に制限されるものではない。要素の構成としては、第一の印刷要素群(8)及び第二の印刷要素群(9)とが組み合わさって一定の背景要素群(4)を構成し、且つ、背景要素群(4)と重ならない位置に情報要素群(5)が形成されることで、印刷画像が構成されていれば良い。
【0050】
以下、前述の発明を実施するための最良の形態にしたがって、具体的に作製した発光印刷物の実施例について詳細に説明するが、本発明は、この実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0051】
本発明の実施例1について、図8から図13を用いて説明をする。実施例1では、基材(2−1)として白色の上質紙(日本製紙株式会社製)を用いた。
【0052】
図8(a)に、本発明における発光印刷物(1−1)を示す。発光印刷物(1−1)は、基材(2−1)の上に印刷画像(3−1)が形成されており、印刷画像(3−1)は、図8(b)に示す背景要素群(4−1)と図8(c)に示す情報要素群(5−1)から構成されて成る。図9(a)に示す背景要素群(4−1)は、画線幅0.25mmの画線である背景要素(6−1)を、0.5mmピッチで規則的に複数配置することで形成した。図9(c)に示す情報要素群(5−1)は、背景要素(6−1)と同じ画線幅0.25mmの画線である情報要素(7−1)を、背景要素群(4−1)と重複しないように0.5mmピッチで規則的に配置することで、漢字の「印刷局」の文字を形成した。図10は、背景要素群(4−1)を形成する背景要素(6−1)と、情報要素群(5−1)を形成する情報要素(7)の位置関係を示すものである。印刷画像(3−1)は、背景要素(6−1)を複数配置して成る背景要素群(4−1)が作り出しているフラットな階調の中に、背景要素(6−1)とは重ならない位置に情報要素(7−1)を規則的に複数配置して情報要素群(5−1)を形成することで、背景要素群(4−1)とは異なる階調の「印刷局」の文字を観察者に視認させる構成となっている。
【0053】
図11に、背景要素群(4−1)を構成している二つの要素を示す。図11(b)に第一の印刷要素群(8−1)を示し、図11(c)に第二の印刷要素群(9−1)を示す。(b)に示す第一の印刷要素群(8−1)は、アルファベットの「NPB」の文字を示す構成である。図11(c)に示す第二の印刷要素群(9−1)は、背景要素群(4−1)の中から第一の印刷要素群(8−1)の「NPB」の文字を抜いた構成となっている。
【0054】
図12に、第一のインキと第二のインキで形成されて成る、それぞれの画像を示す。図12(a)は、第一のインキで形成する画像であり、情報要素群(5−1)と第二の印刷要素群(9−1)が組み合わさった構成となっている。図12(a)に示す画像は、表1に示す配合で作製した第一のインキを用いてスクリーン印刷で基材(2−1)上に印刷した。図12(b)は、第二のインキで形成する画像であり、第一の印刷要素群(8−1)のみで構成されている。図12(b)に示す画像は、表2に示す配合の第二のインキを用いて印刷で基材(2−1)上に印刷した。
【0055】
【表1】

【0056】
【表2】

【0057】
第一のインキと第二のインキは、基材に同じ面積率で印刷した場合に、365nmの励起光を照射すると目視上等しい520nm近傍に発光ピークを有する緑色に観察され、且つ、第二のインキは励起光照射後60分後でも目視可能な残光を有し、第一のインキは残光を有さない。第一のインキの発光も残光も520nm近傍に発光ピークを有する緑色の発光色である。第二のインキに混合した緑色蓄光顔料は長残光の蓄光材料のN夜光(根本特殊化学製)を使用した。
【0058】
本発明の実施例1における効果について、図13を用いて説明する。本発明の発光印刷物(1−1)に365nmの紫外線を照射した場合には、図13(a)に示すように、印刷画像(3−1)が、緑色の発光色で出現した。また、図13(b)に示すように、紫外線の照射を中止し、紫外線の照射を終了した1秒後に観察したところ、第一の印刷要素群(8−1)が同じく緑色の残光で出現していることが確認できた。このように、励起光照射中と励起光照射後の観察において、全く相関のない異なる画像が出現することを確認できた。
【実施例2】
【0059】
本発明の実施例2について、図14から図19を用いて説明をする。実施例2では、基材(2−2)として肌色の上質紙(日本製紙株式会社製)を用いた。
【0060】
図14(a)に、本発明における発光印刷物(1−2)を示す。図14(a)に示すように、発光印刷物(1−2)は、基材(2−2)の上に印刷画像(3−2)が形成されており、印刷画像(3−2)は、図14(b)に示す背景要素群(4−2)と図14(c)に示す情報要素群(5−2)から構成されて成る。図15(a)に示す背景要素群(4−2)は、直径0.25mmの画素である背景要素(6−2)を0.5mmピッチで規則的に複数配置することで形成した。図15(b)に示す情報要素群(5−2)は、複数の要素の集合体ではなく、単一の要素で形成した上で背景要素(6−2)と重なる領域だけを白抜きとすることによって、背景要素(6−2)と重複しないように「印刷局」の文字を形成した。本例において情報要素群(5−2)は、網点の有無によって直接二値画像を形成しているため、実施の形態や実施例1とは異なり、情報要素は存在しない。
【0061】
図16は、背景要素群(4−2)を形成する背景要素(6−2)と、情報要素群(5−2)すものである。図16に示す情報要素(5−2)は、背景要素(6−2)と重複しないように「印刷局」の文字を形成している。印刷画像(3−2)は、背景要素(6−2)を複数配置して成る背景要素群(4−2)が作り出しているフラットな階調の中に、背景要素(6−2)とは重ならない位置に情報要素群(5−2)を形成することで、背景要素群(4−2)とは異なる階調の「印刷局」の文字を観察者に視認させる構成となっている。
【0062】
図17に、背景要素群(4−2)を構成している二つの要素を示す。図17(b)に第一の印刷要素群(8−2)を示し、図17(c)に第二の印刷要素群(9−2)を示す。図17(b)に示す第一の印刷要素群(8−2)は、アルファベットの「NPB」の文字を示す構成であり、図17(c)に示す第二の印刷要素群(9−2)は、背景要素群(4−2)の中から第一の印刷要素群(8−2)の「NPB」の文字を抜いた構成となっている。
【0063】
図18に、第一のインキと第二のインキで形成されて成る、それぞれの画像を示す。図18(a)は、第一のインキで形成する画像であり、情報要素群(5−2)と第二の印刷要素群(9−2)が組み合わさった構成となっている。図18(a)に示す画像を表3に示す配合で作製した第一のインキを用いてスクリーン印刷で基材(2−2)上に印刷した。図18(b)は、第二のインキで形成する画像であり、第一の印刷要素群(8−2)のみで構成されている。図18(b)に示す画像を、表4に示す配合の第二のインキを用いて印刷で基材(2−2)上に印刷した。
【0064】
【表3】

【0065】
【表4】

【0066】
第一のインキと第二のインキは、基材に同じ面積率で印刷した場合に、365nmの励起光を照射すると目視上等しい色に観察され、且つ、第二のインキは、励起光照射後0.1秒後でも目視可能な残光を有し、第一のインキは残光を有さない。第一のインキと第二のインキの励起光照射時の発光は、やや緑がかった白色の発光色であり、第一のインキは残光有さず、第二のインキは赤色の残光を有する。
【0067】
本発明の実施例2における効果について、図19を用いて説明する。本発明の発光印刷物(1−2)に365nmの紫外線を照射した場合には、また、図19(b)に示すように、紫外線の照射を中止し、紫外線の照射を終了した0.1秒後には、第一の印刷要素群(8−2)が赤色の残光色で出現した。このように、励起光照射中と励起光照射後の観察において、全く相関のない異なる画像が出現することを確認できた。
【符号の説明】
【0068】
1、1−1、1−2 発光印刷物
2、2−1、2−2 基材
3、3−1、3−2 印刷画像
4、4−1、4−2 背景要素群
5、5−1、5−2 情報要素群
6、6−1、6−2 背景要素
7、7−1 情報要素
8、8−1、8−2 第一の印刷要素群
9、9−1、9−2 第二の印刷要素群
10、10−1、10−2 第一の要素
11、11−1、11−2 第二の要素
12 第一のインキの励起光照射中の発光スペクトル
13 第二のインキの励起光照射中の発光スペクトル
14 第二のインキの励起光照射後の発光スペクトル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上の少なくとも一部に印刷画像を備える発光印刷物において、
前記印刷画像は、背景要素を複数配置して成る一定の面積率で形成された背景要素群と、前記背景要素と重複しない位置に、情報要素群とを有し、前記背景要素群は、第一の要素を複数配置して成る第一の印刷要素群と、第二の要素を複数配置して成る第二の印刷要素群に区分けされ、
前記第一の要素と前記第二の要素は、同一の形状であって、
前記第二の印刷要素群及び前記情報要素群は、第一のインキで形成されて成り、
前記第一の印刷要素群は、第二のインキで形成されて成り、
前記第一のインキと前記第二のインキは、励起光の波長が同一、かつ、前記励起光による発光色は同一の色彩として視認され、
前記第一のインキは、前記励起光の照射終了後に残光が視認不可能であって、
前記第二のインキは、前記励起光の照射終了後に残光が視認可能であり、
前記励起光の照射中は、前記印刷画像が視認され、
前記励起光の照射終了から第一の時間が経過する間、前記第一の印刷要素群のみ視認されることを特徴とする発光印刷物。
【請求項2】
前記第二のインキは、前記励起光の照射中における前記発光色と、前記残光の発光色が異なる色相であることを特徴とする請求項1記載の発光印刷物。
【請求項3】
前記第一の時間は、5ms以上30s以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の発光印刷物。
【請求項4】
前記背景要素は、画線又は画素であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の発光印刷物。
【請求項5】
前記情報要素群は、画線又は画素である情報要素が複数配置されて形成されることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の発光印刷物。
【請求項6】
前記第一のインキと前記第二のインキが、透明インキ又は基材と同色のインキ、淡色のインキであることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の発光印刷物。
【請求項7】
前記第一のインキ及び/又は前記第二のインキは、赤外吸収顔料、光輝性材料、フォトクロミック顔料、サーモクロミック材料を少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1乃至6記載の発光印刷物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−218740(P2011−218740A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−92853(P2010−92853)
【出願日】平成22年4月14日(2010.4.14)
【出願人】(303017679)独立行政法人 国立印刷局 (471)
【Fターム(参考)】