説明

発光基板及びそれを用いた表示装置

【課題】 電子放出素子を用いた表示装置において、フェースプレートとリアプレート間に大電流が流れ、電子放出素子が破壊されることを防止するとともに、高精細、高輝度な画像を表示しえる表示装置を提供する。
【解決方法】 基板上に行列状に位置する複数の発光部材と、複数の発光部材間に位置し、発光部材よりも基板面から突出する隔壁と、発光部材を覆い、互いに間隙をおいて行列状に位置する複数の導体と、複数の導体を電気的に接続する抵抗体とを有する発光基板を有し、該抵抗体は、隔壁上に位置し、行方向に延びる行ストライプ部を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィールドエミッションディスプレイ(FED)などの電子線を利用した平面型の画像表示装置において、電子線照射によって発光して画像を表示する発光スクリーン構造と、該発光スクリーン構造を用いた画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子放出素子の利用形態としては、画像表示装置が挙げられる。例えば、電子放出素子を多数形成した電子源基板と、電子放出素子から放出された電子を加速するメタルバック及び蛍光体を具備した対向基板とを対向させ、内部を真空に排気した表示パネルが知られている。平面型の電子線表示パネルは、現在広く用いられている陰極線管(CRT)表示装置に比べ、軽量化、大画面化を図ることができ、好ましい。また、液晶を利用した平面型表示パネルやプラズマ・ディスプレイ、エレクトロルミネッセント・ディスプレイ等の他の平面型表示パネルに比べて、より高輝度、高品質な画像を提供することができる。
【0003】
このように、冷陰極電子放出素子から放出された電子を加速するために、対向電極と電子放出素子との間に電圧を印加するタイプの表示装置では、発光輝度を最大限得るために高電圧を印加するのが好ましい。また電子放出素子の種類によって、放出される電子線は対向電極に到達するまでに発散するので、高解像度のディスプレーを実現しようとすると、電子源基板と対向基板との基板間距離が短いのが好ましい。
【0004】
しかしながら、基板間距離が短くなると必然的に該基板間の空間が高電界となるため、不慮の放電により電子放出素子が破壊される現象が、まれに発生する場合がある。またこの場合、蛍光体の一部に集中して電流が流れるため、表示画面の一部が光る現象などが生じる。
【0005】
このような問題の解決のためには不慮の放電の頻度を減らすか、放電破壊を生じにくくする必要がある。
【0006】
特許文献1、2には,放電破壊を生じにくくする表示装置として、メタルバックを2次元状に分割するとともに、これらを短冊状または格子状の抵抗体によって接続し、万が一の放電時の放電電流を抑制することが開示されている。
【特許文献1】特開2006−120622号公報(対応欧州特許公開公報:EP 1638129A)
【特許文献2】特開2006−173094号公報(対応米国特許公開公報:US 2006/0103294)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1および特許文献2に記載されている画像表示装置はいずれも、輝度の向上及び表示画像の高精細化、高画質化の点において、更なる改善が望まれていた。
【0008】
本発明は、万が一の放電時の放電電流を抑制し、更に高精細、高コントラストな画像を提供しえる発光基板、さらにはそれを用いたハイスペックな画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決しえる本発明の発光基板は、
基板と、
前記基板上に行列状に位置する複数の発光部材と、
前記複数の発光部材間に位置し、該発光部材よりも前記基板面から突出する隔壁と
各々が少なくとも一つの前記発光部材を覆い、互いに間隙をおいて行列状に位置する複数の導体と、
前記複数の導体を電気的に接続する抵抗体とを有する発光基板であって、
前記抵抗体は、行方向に延びる行ストライプ部を有し、該行ストライプ部は、前記隔壁の上に位置していることを特徴とする。
【0010】
また本発明の画像表示装置は、
複数の電子放出素子と、該電子放出素子に電圧を印加する配線とを備えた電子源基板と、該電子放出素子から放出された電子の照射によって発光する発光部材を備えた発光基板とを有し、該発光基板が、
基板と、
前記基板上に行列状に位置する複数の発光部材と、
前記複数の発光部材間に位置し、該発光部材よりも前記基板面から突出する隔壁と
各々が少なくとも一つの前記発光部材を覆い、互いに間隙をおいて行列状に位置する複数の導体と、
前記複数の導体を電気的に接続する抵抗体とを有する発光基板であって、
前記抵抗体は、行方向に延びる行ストライプ部を有し、該行ストライプ部は、前記隔壁の上に位置していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明においては、万一の放電の際にも抵抗体が放電電流の上昇を抑制するため、放電による破壊を防止しえるとともに、抵抗体が発光部材が発する光を遮ることがないため、輝度の向上が図れる。また、隔壁(リブ)上がアノード電圧に規定されるで、カソードとアノードとの距離が見かけ上低減でき、結果、電子ビームの拡がりを抑制し、表示画像の高精細化が図れる。隔壁上面がアノード電圧に規定されることは、電子ビームの拡がりを抑制する一方で、アノードとカソードとの間の電界強度が増し、放電を誘発する可能性が高まる。しかし、発光基板(フェースプレート)上でカソードに最も近接する隔壁上面の電位規定部材は、抵抗体であるため、それ自体が放電電流上昇の抑制機能を有するので、放電による破壊を抑制しえる。また更には、隔壁によってハレーションが抑制されるので、高コントラストで高画質な表示画像が提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0013】
本発明の発光基板は、電子線表示装置用フェースプレートに適用でき、例としてFEDに適用できる。FEDでは電子ビーム径が絞りやすく、ハレーションを抑制することによって色再現性が格段に向上する。また、FEDではアノードとカソードとの間が高電界になるため、耐放電能力が求められる。よって、FED用フェースプレートは、本発明の発光基板が適用される好ましい形態である。
【0014】
本発明の実施の形態について、FEDの中でも特に表面伝導型電子放出素子を用いた画像表示装置(以下SED)を例に挙げ、図を用いて具体的に説明する。
【0015】
図1(a)はフェースプレート内面図、図1(b)は図1(a)のA−A‘断面図を示す。1はフェースプレートであり、以下に構成を述べる。
【0016】
2は基板で、特に、真空維持や強度の点でガラス基板が好ましい。3〜5はフェースプレートでは公知の、それぞれ黒色部材、電子の照射を受けて発光する発光部材である蛍光体、導体から成るメタルバックである。黒色部材3は開口を開け、格子状に形成されている。前記開口には蛍光体4が形成され、行列状に基板上に位置している。図2は、格子状の黒色部材に、蛍光体を行列状に配置したパターンを示す。メタルバック5は、万が一の放電時に放電電流を抑制するために、サブピクセル(たとえばRGBのR)毎に分割され、互いに間隙を空けて行列状に配列さている。
【0017】
また、図1において、前記黒色部材のうち、Y(列)方向に延びる辺の上であって、隣接する発光部材間に、基板面から突出する隔壁(以下リブと称する)6が設けられている。このリブは、ハレーション抑制機能を有し、その高さは画素サイズやアノード電圧などによって、適宜選択される。前記リブ6の上にはアノード電位供給用の抵抗体7がY(列)方向にストライプ状に延びている。さらに抵抗体7と各分割されたメタルバック5を電気的に接続するためのメタルバック給電用部材8が,抵抗体7からリブ6の側面を経てメタルバック5に接続されている。
【0018】
なお、リブ6は、パターン印刷を積層することによって、または厚膜をブラストすることによって、またはスリットコートによってなど、既知の加工法によって形成することができる。なかでも生産性、精度や大画面対応の点からブラスト加工が好ましい。
【0019】
また、抵抗体7はパターン印刷やディスペンサなど、既知の加工法によって形成することができる。なかでも精度や生産性の点からパターン印刷が好ましい。
【0020】
さらにメタルバック5やメタルバック給電用部材8は既知の成膜方法において、マスキングするか、エッチングによってパターン化することが可能である。中でも、マスク蒸着することが簡容である。
【0021】
リブ6は、図3に示すように格子状にすると、二次元方向においてハレーションを抑制でき、より好ましい。
【0022】
また、図4に示すように、複数のメタルバックをメタルバック給電用部材8で接続し、互いに接続されたメタルバックごとに1本の抵抗体7が接続するように、抵抗体7を隔壁複数本ごとに形成してもよい(図4では隔壁3本毎に1本形成している。尚、以下においてこの構成を、間引きと言う場合がある)。尚、放電時には隣接抵抗体間には電位差が生じるため、格子形状のリブ上で二次的な沿面放電が発生する可能性がある。上記のように抵抗体を間引くことによって、隣り合う抵抗体同士の距離を延長させ電界強度を弱めることができ、二次的な沿面放電を抑制することができる。よって、アノード電圧や画素サイズによっては、耐放電性能を所望に保つ有効な手段となる。
【0023】
さらに、図5に示すように、抵抗体7はメタルバック給電用部材8で互いに接続された隣り合うメタルバックの中間部分に位置するのが好ましい。このようにすると、互いに接続されずに互いに隣り合うメタルバック間にリブが一つ配置されるようになる(図5中の6a)。よって、互いに接続されずに隣り合うメタルバック間の沿面距離を長くできる。さらに、互いに接続されずに隣り合うメタルバックの端同士が直接見えないことによって、互いに接続されずに隣り合うメタルバック間の二次放電を防ぐことができる。
【0024】
また、隣り合う抵抗体間の電界強度を弱めるほかの方法として、図6に示す形態もある。図6のように、抵抗体をY方向のストライプ部(列方向に延びる列ストライプ部)とX方向のストライプ部(行方向に延びる行ストライプ部)とからなる格子形状とすることが有効である。これは前述の図5とは異なり、アノードとカソードとの間での放電発生時において、放電が発したメタルバックの電位が低下する際、そのメタルバックの電位降下を和らげることを目的とする。つまり、図5の構成が、隣接メタルバック間での絶縁を確保するのに対し、図6の構成では、電位差を緩和する。図6においてはメタルバックと電子放出素子との間での放電発生時には、隣接するメタルバック間で微弱な電流を流し、結果隣接メタルバック間の電位差をある程度小さく抑え、結果2次放電による短絡を防止する。また,図7に示すように、前記間引き(図5)と、前記格子形状の抵抗体(図6)とを組み合わせることによって、より信頼性の高い耐放電性能を実現することが可能となる。
【0025】
なお、抵抗体7は、電流容量を越えた場合に、溶融して短絡し、低抵抗化するような厚膜抵抗部材からなることが好ましい。たとえば,抵抗体の膜厚むらなどが存在すると、万一の放電時に、部分的に抵抗体の電流容量を越えてしまう場合がある。このような場合、ヒューズのように電気的に開放されてしまうと、メタルバックに給電できないという不具合が生じる。よって、電流容量をこえた場合には、短絡される材料のほうが好ましい。
【0026】
図8は上記説明したフェースプレートを用いたSEDの基本構成を示す図である。図8において、10はガラス基板、11は走査配線、12は信号配線で13は表面伝導型電子放出素子(以下SCE)であり、これらがリアプレート(電子源基板)9を形成する。走査配線11はN本、信号配線12はM本、そしてSCE13はN×M個形成されている。N及びMは正の整数であり、目的とする表示画素数に応じて適宜設定される。例えばFHD(フルハイビジョン)であれば、N=1080本、M=1920×3=5760本である。また、図8において14は外枠であり、フェースプレート1およびリアプレート9とで真空容器15を形成している。真空容器15に不図示の電源や駆動回路等を加えて画像表示装置(=SED)を成す。簡単に説明すると、メタルバック5は真空容器15のHv端子とメタルバック給電用部材8と抵抗体7を介して電気的に接続され、高圧電源より1kV〜15kV程度の高圧が印加される。走査配線11および信号配線12は、真空容器15の端子Dyn(nは1〜N)およびDxm(mは1〜M)と電気的に接続され、駆動回路より、それぞれ走査信号、画像信号が与えられる。SCE13は信号に応じた電子を放出し、該電子はメタルバック電位に引き寄せられ、メタルバックを突き抜け、蛍光体を発光せしめる。上記、高圧や信号によって輝度を調整することが可能である。本発明の発光基板を用いた表示装置においては、メタルバックを行列状に分割したことで放電の規模を小さく抑えることが出来る。また発光部材間に基板面から突出する隔壁を有し、この隔壁上にアノード電圧が印加された抵抗体7を有するので、カソードとアノードとの距離が見かけ上低減でき、結果、電子ビームの拡がりを抑制する。隔壁上面がアノード電圧に規定されることは、電子ビームの拡がりを抑制する一方で、アノードとカソードとの間の電界強度が増し、放電を誘発する可能性が高まる。しかし、発光基板(フェースプレート)上でカソードに近接する構造である隔壁の上面に抵抗体が設けられているので、それ自体が放電電流上昇の抑制機能を有するので、放電による破壊を抑制しえる。また、メタルバックへの給電のための抵抗体が、発光部材(蛍光体)の下に位置しない(重ならない)ので、発光部材が発する光を遮ることがなく、輝度向上が図れる。また、電子の一部はフェースプレート上で拡散反射し、さらにその一部が再度蛍光体を発光せしめる、いわゆるハレーションを引き起こす。しかし、上記説明した本発明の発光基板を用いれば、隔壁が拡散反射電子をトラップするのでハレーションを抑制でき、さらには耐放電機能の優れた画像表示装置を提供することとが可能となる。
【0027】
また、画像表示装置のサイズが大きくなった場合には、図9に示すようにの耐大気圧支持用スペーサをパネル内に配置しても良い。その場合、スペーサの帯電防止のため、スペーサは微量の電流を流す高抵抗部材であることが望ましい。さらに、前記発光体基板の前記リブ上の前記抵抗体とスペーサとを直接接続または導電体を介して電気的に接続させることによって、スペーサを好ましい電位に規定することが可能となる。
【実施例】
【0028】
(実施例1)
本実施例は、図1に示される発光体基板の例である。図1(a)は内面図、図1(b)は断面図を示す。
【0029】
本実施例の発光体基板は以下のように作製した。
【0030】
洗浄したガラス基板の表面に、黒色ペースト(ノリタケ製:NP−7803D)を用いて発光領域のうち所望の領域のみ開口している格子形状をスクリーン印刷し、120℃で乾燥後、550℃で焼成して厚さ5μmの黒色部材3を形成した。開口部のピッチはリアプレート上の素子ピッチと同じくY方向450μm、X方向150μmとし、開口のサイズはY方向220μm、X方向90μmとした。
【0031】
次に最終的にリブ構造の主構造体となる酸化ビスマス系の絶縁ペースト(ノリタケ製NP7753)を、焼成後の膜厚が200μmになるようにスリットコーターにて塗布し、120℃で10分乾燥させた。
【0032】
これに積層するように、酸化ルテニウムの配合された高抵抗ペーストを、焼成後の膜厚が10μmになるようにスクリーン印刷法にて形成し、120℃で10分乾燥させた。本実施例では高抵抗層を画像領域全面に印刷したが、全面ではなく、後述するサンドブラスト後の最終形態として残る部分のみの形状をパターン印刷する手法を用いても構わない。尚、この高抵抗層に用いた材料をテストパターンに塗布して抵抗値を測定したところ、体積抵抗率が10の−1乗Ω・m程度であった。
【0033】
次にラミネータ装置を使用してドライフィルムレジスト(DFR)を貼付する。更に露光用クロムマスクを所定の位置に位置合わせしてDFRをパターン露光する。位置あわせは画像形成領域の外部に設けた不図示のアライメント用マークを使用して行う。露光するパターンは黒色部材3の開口の長辺と平行(Y方向に延びる)に、黒色部材3に重なるように幅50μm(従って開口部幅100μm)のストライプ状とした。更にDFRの現像液、リンスのシャワー処理、および乾燥を施し、所望の位置に開口を有するサンドブラスト用のマスクを形成した。これにSUS粒を砥粒としたサンドブラスト法により、DFRの開口に合わせて不必要な高抵抗ペーストおよび絶縁体ペーストを除去した。その後、DFRを剥離液シャワーにて剥離し、洗浄を行い、530℃で焼成し、Y方向(列方向)に延びるストライプ状の絶縁リブ6および抵抗体7を形成した。
【0034】
次にCRTの分野で用いられているP22蛍光体を分散したペーストを用い、ストライプ形状の開口を持つリブ構造に合わせてスクリーン印刷法により蛍光体を発光領域に落し込み印刷した。本実施例ではカラーディスプレイとなるようにRGB3色の蛍光体をストライプ状に塗り分けた。各蛍光体の膜厚は15μmとした。3色の蛍光体を印刷後120℃で乾燥した。乾燥は各色毎でも3色一括でも構わない。更に,後に結着材として作用する珪酸アルカリ、いわゆる水ガラスを含む水溶液をスプレイ塗布する。
【0035】
次にアクリルエマルジョンをスプレーコート法にて塗布、乾燥し、蛍光体粉体の隙間をアクリル樹脂で埋め、その上にメタルバック5となるアルミニウム膜を蒸着した。この際、各発光領域に対応した部分のみに開口部をもつメタルマスクを使用し、発光領域のみにメタルバック5を形成した。アルミニウムの膜厚は100nmとした。この後、450℃で加熱することにより前記樹脂を分解除去させた。
【0036】
最後に、開口にあわせて、かつY方向に分断されるように、X方向にストライプを有するメタルマスクを使用し、アルミニウム膜を一方向から斜め蒸着することにより、メタルバック給電用部材8を形成した。なお、メタルバック給電用部材8はアルミニウムに限らず、チタン、クロムなどでも良い。
【0037】
なお発光基板1にはスルーホールを通して発光体基板1を貫通している高電圧導入端子が設けられ、高電圧導入端子は抵抗体7との画像形成領域の端部で接続されている(不図示)。
【0038】
上記作製した発光体基板1を用いてSEDを作製し、抵抗体7を介しメタルバック5に8kVの電圧を印加し、画像を表示した。得られた表示画像は、高精細かつ高輝度であるとともに、ハレーションによる混色が少ない良好なものであった。
【0039】
また、特定の電子放出素子に過剰な電圧を印加して、素子破壊を発生させ、該電子放出素子と発光体基板1との間の放電を誘発しても、放電電流は十分制限されているので、故意に破壊した電子放出素子以外の周辺電子放出素子は異常を来たすことは無かった。
【0040】
(実施例2)
本実施例は、図3に示される発光体基板の例である。図3(a)は内面図、図3(b)は図3(a)のB−B’断面図を示す。
【0041】
本実施例が実施例1と異なるのは、リブ6をX方向にも延伸する格子状としたことである。X方向に延伸するリブ幅も50μmとし、黒色部材3に重なるように形成した。また抵抗体7は、酸化ルテニウムの配合された高抵抗ペーストをスクリーン印刷することで、Y方向(列方向)に延びるストライプ状に形成した。
【0042】
上記発光体基板1を用いてSEDを作製し、抵抗体7を介してメタルバック5に8kVの電圧を印加し、画像を表示した。得られた表示画像は、高精細かつ高輝度であるとともに、ハレーションによる混色が少ない良好なものであった。さらに、Y方向のハレーションも抑制できたため、実施例1に比べて、X方向のラインをボケなく明瞭に表示することができた。
【0043】
また、特定の電子放出素子に過剰な電圧を印加して、素子破壊を発生させ、該電子放出素子と発光基板1との間で放電を誘発しても、放電電流は十分制限されているので、故意に破壊した電子放出素子以外の周辺電子放出素子は異常を来たすことは無かった。
【0044】
(実施例3)
本実施例は、図4に示される発光体基板の例である。図4(a)は内面図、図4(b)は図4(a)のC−C‘断面図を示す。
【0045】
本実施例が実施例2と異なるのは、蛍光体RGBで1ピクセルとし、抵抗体7を1ピクセル当り1本配置したことと、1ピクセル内のメタルバック5は、リブ6をまたいでメタルバック給電用部材8で接続していることである。また、抵抗体7の材料としては、インジウム錫酸化物微粒子を分散させた高抵抗ペーストを用いた。これを、スクリーン印刷法にてY方向(列方向)に延びるストライプ状にパターン化して、抵抗体7を形成した。メタルバック供給用部材8は、アルミニウム膜を、相対する二方向から、一方向ずつ順に斜め蒸着することにより形成した。このとき、抵抗体7の配置されたリブ6の片方の側面にはアルミニウム膜が形成されないように、ひさしとなるY方向ストライプを加えたマスクを使用した。
【0046】
上記発光基板1を用いてSEDを作製し、抵抗体7を介してメタルバック5に8kVの電圧を印加し、画像を表示した。得られた表示画像は、高精細かつ高輝度であるとともに、ハレーションによる混色が少ない良好なものであった。さらに、Y方向のハレーションも抑制できたため、実施例1に比べて、X方向のラインをボケなく明瞭に表示することができた。
【0047】
また、メタルバック5の電圧を10kVに上げて、特定の電子放出素子に過剰な電圧を印加して、素子破壊を発生させ、該電子放出素子と発光基板1との間で放電を誘発しても、リブ上での二次的な放電は見られなかった。また、放電電流も十分制限され、故意に破壊した電子放出素子以外の周辺電子放出素子は異常を来たすことは無かった。
【0048】
(実施例4)
本実施例は、図5に示される発光基板の例である。図5(a)は内面図、図5(b)は図5(a)のD−D’断面図を示す。
【0049】
本実施例が実施例3と異なるのは、抵抗体7を、メタルバック給電用部材8で互いに接続された隣り合うメタルバックの中間に位置するリブ上に形成したことである。
【0050】
上記発光基板1を用いてSEDを作製し、抵抗体7を介してメタルバック5に8kVの電圧を印加し、画像を表示した。得られた表示画像は、高精細かつ高輝度であるとともに、ハレーションによる混色が少ない良好なものであった。さらに、Y方向のハレーションも抑制できたため、実施例1に比べて、X方向のラインをボケなく明瞭に表示することができた。
【0051】
また、メタルバック5の電圧を12kVに上げて、特定の電子放出素子に過剰な電圧を印加して、素子破壊を発生させ、該電子放出素子と発光基板1との間で放電を誘発しても、リブ上での二次的な放電は見られなかった。また、放電電流も十分制限され、故意に破壊した電子放出素子以外の周辺電子放出素子は異常を来たすことは無かった。これは、1つの抵抗体に接続するメタルバックを、抵抗体のX方向の両側に配置させたことで、X方向での耐圧が向上したためである。これによって、図中の6aに示すように、電気的に分離されたメタルバック間に位置する隔壁6aの両側面には、メタルバック給電用部材8が存在しない。よって電気的に分離された(互いに接続しない)隣り合うメタルバック間の沿面距離を増加させることが出来、結果X方向の耐圧が向上する。
【0052】
(実施例5)
本実施例は、図6に示される発光基板の例である。図6(a)は内面図、図6(b)は図6(a)のE−E‘断面図を示す。
【0053】
本実施例が実施例2と異なるのは、X方向(行方向)リブの上面にも抵抗体7を形成したことである。つまり、X方向(行方向)ストライプ部をさらに有する、格子状の抵抗体7を用いたことである。
【0054】
上記発光基板1を用いてSEDを作製し、抵抗体7を介してメタルバック5に8kVの電圧を印加し、画像を表示した。得られた表示画像は、高精細かつ高輝度であるとともに、ハレーションによる混色が少ない良好なものであった。さらに、Y方向でのハレーションも抑制できたため、実施例1に比べて、X方向のラインをボケなく明瞭に表示することができた。
【0055】
また、メタルバック5の電圧を10kVに上げて、特定の電子放出素子に過剰な電圧を印加して、素子破壊を発生させ、該電子放出素子と発光基板1との間で放電を誘発しても、リブ上での二次的な放電は見られなかった。また、放電電流も十分制限され、故意に破壊した電子放出素子以外の周辺電子放出素子は異常を来たすことは無かった。これは、前述のとおり、メタルバックと電子放出素子との間での放電発生時に、隣り合うメタルバック間で微弱な電流を流し、結果隣り合うメタルバック間の電位差を低く抑え、2次放電による短絡を防止したことによるものである。
【0056】
(実施例6)
本実施例は、図7に示される発光基板の例である。図7(a)は内面図、図7(b)は図7(a)のF−F’断面図を示す。
【0057】
本実施例が実施例4と異なるのは、X方向リブの上面にも抵抗体7を形成したことである。つまり、X方向(行方向)ストライプ部をさらに有する、格子状の抵抗体7を用いたことである。
【0058】
上記発光基板1を用いてSEDを作製し、抵抗体7を介してメタルバック5に8kVの電圧を印加し、画像を表示した。得られた表示画像は、高精細かつ高輝度であるとともに、ハレーションによる混色が少ない良好なものであった。さらに、Y方向でのハレーションも抑制できたため、実施例1に比べて、X方向のラインをボケなく明瞭に表示することができた。
【0059】
また、メタルバック5の電圧を14kVに上げて、特定の電子放出素子に過剰な電圧を印加して、素子破壊を発生させ、該電子放出素子と発光基板1との間の放電を誘発しても、リブ上での二次的な放電は見られなかった。また、放電電流も十分制限され、故意に破壊した電子放出素子以外の周辺電子放出素子は異常を来たすことは無かった。
【0060】
(実施例7)
本実施例は,図9に示される耐大気圧支持用のスペーサを用いた画像表示装置に適している発光基板の例であり、図10に図示する。図10は本実施例の発光基板の内面図を示す。
【0061】
本実施例が実施例6と異なるのは、X方向(行方向)リブの上面に設けた抵抗体7の行方向ストライプ部をはしご状形状にしたことである。
【0062】
上記発光基板1を用い、スペーサ16がはしご状の行方向ストライプ部に当接するようにSEDを作製した。実施例6のように抵抗体7の行方向ストライプ部が1本のライン状である場合よりも、本実施例のようなはしご状の構造の方が、スペーサ16のY方向(列方向)の位置ずれに対して寛容である。
【0063】
このようにして作製した画像表示装置に、抵抗体7を介しメタルバック5に8kVの電圧を印加し、画像を表示したところ、ハレーションによる混色が少ない良好な画像を表示することができた。さらに、Y方向(列方向)でのハレーションも抑制できたため、実施例1に比べて、X方向(行方向)のラインをボケなく明瞭に表示することができた。
【0064】
また、メタルバック5の電圧を12kVに上げて、特定の電子放出素子に過剰な電圧を印加して素子破壊を発生させ、該電子放出素子と発光基板1との間での放電を誘発しても、リブ上での二次的な放電は見られなかった。また、放電電流も十分制限され、故意に破壊した電子放出素子以外の周辺電子放出素子は異常を来たすことは無かった。
【0065】
(実施例8)
本実施例は、図9に示される耐大気圧支持用のスペーサを用いた画像表示装置に適している発光基板の例であり、図11に図示する。図11は本実施例の発光基板の内面図を示す。
【0066】
本実施例が実施例7と異なるのは、X方向リブの上面に設けた抵抗体7の行方向ストライプ部の形状を蛇行したライン形状(ZigZag line)にしたことである。
【0067】
上記発光基板1を用い、スペーサ16が蛇行したライン状の行方向ストライプ部に当接するようにSEDを作製した。実施例6のように抵抗体7の行方向ストライプ部が1本のライン状である場合よりも、本実施例のように蛇行したライン状の構造の方が、スペーサ16のY方向の位置ずれに対して寛容である。
【0068】
このようにして作製した画像表示装置に、抵抗体7を介しメタルバック5に8kVの電圧を印加し、画像を表示したところ、ハレーションによる混色が少ない良好な画像を表示することができた。さらに、Y方向でのハレーションも抑制できたため、実施例1に比べて、X方向のラインをボケなく明瞭に表示することができた。
【0069】
また、メタルバック5の電圧を12kVに上げて、特定の電子放出素子に過剰な電圧を印加して素子破壊を発生させ、該電子放出素子と発光基板1との間の放電を誘発しても、リブ上での二次的な放電は見られなかった。また、放電電流も十分制限され、故意に破壊した電子放出素子以外の周辺電子放出素子は異常を来たすことは無かった。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の第一の発光体基板の内面図および断面図
【図2】蛍光体の塗りわけパターンを示す図
【図3】本発明の第二の発光体基板の内面図および断面図
【図4】本発明の第三の発光体基板の内面図および断面図
【図5】本発明の第四の発光体基板の内面図および断面図
【図6】本発明の第五の発光体基板の内面図および断面図
【図7】本発明の第六の発光体基板の内面図および断面図
【図8】本発明の発光体基板を用いた画像表示装置の切り欠き斜視図
【図9】本発明の発光基板と、更にスペーサ構造を有する画像表示装置の切り欠き斜視図
【図10】本発明の第七の発光体基板の内面図
【図11】本発明の第八の発光体基板の内面図
【符号の説明】
【0071】
1 フェースプレート(発光体基板)
2 基板
3 黒色部材
4 蛍光体
5 メタルバック
6 リブ
7 抵抗体
8 メタルバック給電用導体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に行列状に位置する複数の発光部材と、
前記複数の発光部材間に位置し、該発光部材よりも前記基板面から突出する隔壁と
各々が少なくとも一つの前記発光部材を覆い、互いに間隙をおいて行列状に位置する複数の導体と、
前記複数の導体を電気的に接続する抵抗体とを有する発光基板であって、
前記抵抗体は、列方向に延びる列ストライプ部を有し、該列ストライプ部は、前記隔壁の上に位置していることを特徴とする発光基板。
【請求項2】
前記隔壁が、格子形状であることを特徴とする請求項1に記載の発光基板。
【請求項3】
前記抵抗体が、行方向に延びる行ストライプ部を更に有する格子形状であることを特徴とする請求項2に記載の発光基板。
【請求項4】
前記抵抗体は、溶融することで低抵抗化する厚膜抵抗部材からなることを特徴とする請求項1に記載の発光基板。
【請求項5】
前記抵抗体の行方向に延びるストライプ部は、はしご形状であることを特徴とする請求項3に記載の発光基板。
【請求項6】
前記抵抗体の行方向に延びるストライプ部は、蛇行したライン形状であることを特徴とする請求項3に記載の発光基板。
【請求項7】
複数の電子放出素子と、該電子放出素子に電圧を印加する配線とを備えた電子源基板と、該電子放出素子から放出された電子の照射によって発光する発光部材を備えた発光基板とを有する画像表示装置であって、該発光基板が請求項1〜6のいずれかに記載の発光基板であることを特徴とする画像表示装置。
【請求項8】
前記電子源基板と前記発光基板との間にスペーサを有し、該スペーサが、前記抵抗体と電気的に接続していることを特徴とする請求項7に記載の画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−170411(P2009−170411A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−311233(P2008−311233)
【出願日】平成20年12月5日(2008.12.5)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】