説明

発光用途のための電荷輸送材料

式T−LG−T(式中、Tは、式−Ar1−An−Ar2を有する電荷輸送部分であり、LGは結合基である)を有する電荷輸送化合物を提供する。この化合物中、Anは、二価のアントラセン部分であり;Ar1は、単結合、またはナフチル、ビナフチル、ナフチルフェニレン、ナフチルビフェニレン、もしくはナフチルビナフチレンであってよい芳香族基であり;Ar2は、ナフチル、ビナフチル、ナフチルフェニレン、ナフチルビフェニレン、またはナフチルビナフチレンであってよい芳香族基であり;LGはビフェニレン、ビナフチレン、または式I
【化1】


であってよい。
式I中、Q1およびQ2は、同種または異種であり、かつアルキルおよびアリールであってよく、またはQ1およびQ2をともに合わせたものがアルキレンとなることができ;およびAr3およびAr4は、同種または異種であり、かつフェニレンまたはナフチレンであってよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願データ
本出願は、米国特許法第119(e)条に基づき2007年6月1日に出願された米国仮特許出願第60/941,392号明細書の優先権を主張し、この文献全体が参照として本明細書に援用される。
【0002】
本開示は、一般に、発光用途における発光材料のホストとして使用可能な材料に関する。本開示はさらに、そのようなホスト材料を含む少なくとも1つの活性層を有する電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
OLEDディスプレイを構成する有機発光ダイオード(「OLED」)などの有機光活性電子デバイス中では、OLEDディスプレイ中の2つの電気接触層の間に有機活性層が挟まれている。OLED中で、電気接触層に電圧を印加すると、有機光活性層は、光透過性電気接触層を透過する光を発する。
【0004】
発光ダイオード中の活性成分として有機エレクトロルミネッセンス化合物が使用されることが知られている。単純な有機分子、共役ポリマー、および有機金属錯体が使用されている。
【0005】
光活性材料を使用するデバイスは、多くの場合、光活性(たとえば、発光)層と接触層(正孔注入接触層)との間に配置される1つ以上の電荷輸送層を含む。1つのデバイスは2つ以上の接触層を含むことができる。光活性層と正孔注入接触層との間に正孔輸送層を配置することができる。正孔注入接触層はアノードと呼ばれる場合もある。光活性層と電子注入接触層との間には電子輸送層を配置することができる。電子注入接触層はカソードと呼ばれる場合もある。電荷輸送材料は、光活性材料と組み合わせてホストとして使用することもできる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電子デバイス中に使用するための電荷輸送材料が引き続き必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
式T−LG−T(式中、Tは、式−Ar1−An−Ar2を有する電荷輸送部分であり、LGは結合基である)を有する化合物であって、
式中:
Anは、二価のアントラセン部分であり;
Ar1は、単結合、またはナフチル、ビナフチル、ナフチルフェニレン、ナフチルビフェニレン、およびナフチルビナフチレンからなる群から選択される芳香族基であり;
Ar2は、ナフチル、ビナフチル、ナフチルフェニレン、ナフチルビフェニレン、およびナフチルビナフチレンからなる群から選択される芳香族基であり;
LGは、ビフェニレン、ビナフチレン、および式I
【0008】
【化1】

【0009】
(式中、
Q1およびQ2は、同種または異種であり、かつアルキルおよびアリールからなる群から選択され、またはQ1およびQ2をともに合わせたものがアルキレンとなり、
Ar3およびAr4は、同種または異種であり、かつフェニレンおよびナフチレンからなる群から選択される)
からなる群から選択される、化合物を提供する。
【0010】
上記化合物を含む少なくとも1つの層を含む電子デバイスも提供する。
【0011】
以上の概要および以下の詳細な説明は、単に例示的および説明的なものであり、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明を限定するものではない。
【0012】
本明細書において提示される概念の理解をすすめるために、添付の図面において実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】有機電子デバイスの一例の図である。
【0014】
当業者であれば理解しているように、図面中の物体は、平易かつ明快にするために示されており、必ずしも縮尺通りに描かれているわけではない。たとえば、実施形態を理解しやすいようにするために、図面中の一部の物体の寸法が他の物体よりも誇張されている場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0015】
多数の態様および実施形態が本明細書において記載されるが、これらは単に例示的で非限定的なものである。本明細書を読めば、当業者には、本発明の範囲から逸脱しない他の態様および実施形態が可能であることが理解されよう。
【0016】
任意の1つ以上の実施形態の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲から明らかとなるであろう。この詳細な説明では、最初に、用語の定義および説明を扱い、続いて、電荷輸送材料、電子デバイス、そして最後に実施例を扱う。
【0017】
1.用語の定義および説明
以下に説明する実施形態の詳細を扱う前に、一部の用語について定義または説明を行う。
【0018】
デバイス中の層に言及するために使用される場合、語句「隣接する」は、ある層が別の層のすぐ隣にあることを必ずしも意味するものではない。他方で、語句「隣接するR基」は、化学式中で互いに隣同士であるR基(すなわち、1つの結合によって連結した複数の原子上に存在する複数のR基)を意味するために使用される。
【0019】
用語「アルキル」は、1つの結合点を有する脂肪族炭化水素から誘導される基を意味することを意図しており、線状、分岐、または環状の基を含んでいる。この用語はヘテロアルキルを含むことを意図している。用語「アルキレン」は、脂肪族炭化水素から誘導され2つ以上の結合点を有する基を意味することを意図している。ある実施形態においては、アルキル基は1〜20個の炭素原子を有する。
【0020】
用語「アリール」は、1つの結合点を有する芳香族炭化水素から誘導される基を意味することを意図している。この用語はヘテロアリールを含むことを意図している。用語「アリーレン」は、2つの結合点を有する芳香族炭化水素から誘導される基を意味することを意図している。ある実施形態においては、アリール基は3〜60個の炭素原子を有する。
【0021】
用語「ビナフチル」は、単結合によって結合した2つのナフタレン単位を有する基を意味することを意図している。ある実施形態においては、ビナフチル基は、3位、4位、または5位で結合する1,1−ビナフチルであり;ある実施形態においては、1−ナフチル部分上の3位、4位、もしくは5位、または2−ナフチル部分上の4位もしくは5位で結合する1,2−ビナフチルであり;ある実施形態においては、4位または5位で結合する2,2−ビナフチルである。
【0022】
用語「青色」は、約400〜500nmの範囲内の波長で発光極大を有する放射線を意味する。
【0023】
層、材料、部材、または構造に関して言及される場合、用語「電荷輸送」は、そのような層、材料、部材、または構造が、比較的効率的かつ少ない電荷損失で、そのような層、材料、部材、または構造の厚さを通過するそのような電荷の移動を促進することを意味することを意図している。正孔輸送材料は正電荷を促進し;電子輸送材料は負電荷を促進する。発光材料も、ある程度の電荷輸送特性を有する場合があるが、用語「電荷輸送層、材料、部材、または構造」は、主要な機能が発光である層、材料、部材、または構造を含むことを意図していない。
【0024】
接頭語「フルオロ」は、化合物中の1つ以上の利用可能な水素がフッ素原子で置換されていることを示す。
【0025】
接頭語「ヘテロ」は、1つ以上の炭素原子が異なる原子で置換されていることを示している。ある実施形態においては、この異なる原子はN、O、またはSである。
【0026】
用語「層」は、用語「膜」と同義的に使用され、所望の領域を覆うコーティングを意味する。この用語は大きさによって限定されることはない。この領域は、デバイス全体の大きさであってもよいし、実際の視覚的表示などの特殊機能領域の小ささ、または1つのサブピクセルの小ささであってもよい。層および膜は、気相堆積、液相堆積(連続的技術および不連続な技術)、および熱転写などの従来のあらゆる堆積技術によって形成することができる。連続堆積技術としては、スピンコーティング、グラビアコーティング、カーテンコーティング、浸漬コーティング、スロットダイコーティング、スプレーコーティング、および連続ノズルコーティングが挙げられるが、これらに限定されるものではない。不連続堆積技術としては、インクジェット印刷、グラビア印刷、およびスクリーン印刷が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0027】
用語「有機電子デバイス」または場合により単に「電子デバイス」は、1つ以上の有機半導体層または有機半導体材料を含むデバイスを意味することを意図している。
【0028】
特に明記しない限り、すべての基は、置換されていてもよいし、非置換であってもよい。限定するものではないが、アルキルまたはアリールなどの場合により置換される基は、同種または異種であってよい1つ以上の置換基で置換されてよい。好適な置換基としては、アルキル、アリール、ニトロ、シアノ、−N(R7)(R8)、ハロ、ヒドロキシ、カルボキシ、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アルコキシカルボニル、パーフルオロアルキル、パーフルオロアルコキシ、アリールアルキル、チオアルコキシ、−S(O)2−N(R’)(R”)、−C(=O)−N(R’)(R”)、(R’)(R”)N−アルキル、(R’)(R”)N−アルコキシアルキル、(R’)(R”)N−アルキルアリールオキシアルキル、−S(O)s−アリール(式中、s=0〜2)、または−S(O)s−ヘテロアリール(式中、s=0〜2)が挙げられる。それぞれのR’およびR”は独立して、場合により置換されたアルキル基、シクロアルキル基、またはアリール基である。ある実施形態においては、R’およびR”をそれらが結合する窒素原子と合わせたものが環構造を形成することができる。
【0029】
用語「光活性」は、エレクトロルミネッセンスまたは感光性を示すあらゆる材料を意味することを意図している。
【0030】
本明細書において使用される場合、用語「含んでなる」、「含んでなること」、「含む」、「含むこと」、「有する」、「有すること」、またはそれらの他のあらゆる変形は、非排他的な包含を扱うことを意図している。たとえば、ある一連の要素を含むプロセス、方法、物品、または装置は、それらの要素にのみに必ずしも限定されるわけではなく、そのようなプロセス、方法、物品、または装置に関して明示されず固有のものでもない他の要素を含むことができる。さらに、反対の意味で明記されない限り、「または」は、包含的なまたは、を意味するのであって、排他的なまたは、を意味するのではない。たとえば、条件AまたはBが満たされるのは、Aが真であり(または存在し)Bが偽である(または存在しない)、Aが偽であり(または存在せず)Bが真である(または存在する)、ならびにAおよびBの両方が真である(または存在する)のいずれか1つによってである。
【0031】
また、本発明の要素および成分を説明するために「a」または「an」も使用されている。これは単に便宜的なものであり、本発明の一般的な意味を提供するために行われている。この記述は、1つまたは少なくとも1つを含むものと読むべきであり、明らかに他の意味となる場合を除けば、単数形は複数形も含んでいる。
【0032】
元素周期表中の縦列に対応する族の番号は、CRC Handbook of Chemistry and Physics,81st Edition(2000−2001)に見ることができる「New Notation」の規則を使用している。
【0033】
特に定義しない限り、本明細書において使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されている意味と同じ意味を有する。本明細書に記載されているものと類似または同等の方法および材料を使用して、本発明の実施形態の実施または試験を行うことができるが、好適な方法および材料について以下に説明する。特定の文節を示さない限り、本明細書において言及されるあらゆる刊行物、特許出願、特許、およびその他の参考文献は、それらの記載内容全体が参照として援用される。矛盾が生じる場合には、定義を含めて本明細書に従うものとする。さらに、材料、方法、および実施例は、単に説明的なものであって、限定を意図したものではない。
【0034】
本明細書に記載されていない程度の、具体的な材料、処理行為、および回路に関する多くの詳細は従来通りであり、それらについては、有機発光ダイオードディスプレイ、光検出器、光電池、および半導体要素の技術分野の教科書およびその他の情報源中に見ることができる。
【0035】
2.電荷輸送材料
本明細書に記載される新規化合物は、光活性材料ホスト材料として特に有用である。これらの化合物は式T−LG−Tを有し、式中、Tは電荷輸送部分であり、LGは結合基である。
【0036】
上記の電荷輸送部分は式−Ar1−An−Ar2
(式中:
Anは、二価のアントラセン部分であり;
Ar1は、単結合、またはナフチル、ビナフチル、ナフチルフェニレン、ナフチルビフェニレン、およびナフチルビナフチレンからなる群から選択される芳香族基であり;
Ar2は、ナフチル、ビナフチル、ナフチルフェニレン、ナフチルビフェニレン、およびナフチルビナフチレンからなる群から選択される芳香族基である)
を有する。
【0037】
ある実施形態においては、Anは、9位および10位で結合したアントラセンである。ある実施形態においては、アントラセン部分は少なくとも1つの置換基を有する。ある実施形態においては、この置換基は、C1〜12アルキルおよびC1〜12アルコキシからなる群から選択される。ある実施形態においては、アントラセンは2位および6位で置換されている。
【0038】
ある実施形態においては、電荷輸送部分Tは以下の基A〜Gから選択される。
基A:
【0039】
【化2】

【0040】
基B:
【0041】
【化3】

【0042】
基C:
【0043】
【化4】

【0044】
基D:
【0045】
【化5】

【0046】
基E:
【0047】
【化6】

【0048】
基F:
【0049】
【化7】

【0050】
基G:
【0051】
【化8】

【0052】
上記基中、LGに結合可能な箇所が−−−−−*で示されている。上記基も置換されていてよい。
【0053】
LGは結合基であり、ビフェニレン、ビナフチレン、および式I
【0054】
【化9】

【0055】
(式中
Q1およびQ2は、同種または異種であり、かつアルキルおよびアリールからなる群から選択されるか、またはQ1およびQ2をともに合わせたものがアルキレンとなり、
Ar3およびAr4は、同種または異種であり、かつフェニレンおよびナプチレン(napthylene)からなる群から選択される)
からなる群から選択される。
【0056】
ある実施形態においては、LGは式II:
【0057】
【化10】

【0058】
を有する。
ある実施形態においては、Q1およびQ2は独立して、メチル、トリフルオロメチル、およびフェニルからなる群から選択される。ある実施形態においては、Q1=Q2である。
【0059】
ある実施形態においては、Q1およびQ2を合わせたものが、シクロへキシレンおよび3,4−ヘキシレンからなる群から選択されるアルキレン基を形成する。
【0060】
ある実施形態においては、LGは1,4−フェニレンである。
【0061】
ある実施形態においては、LGはビナフチレン基である。ある実施形態においては、4,4’−(1,1’−ビナフチレン)である。ある実施形態においては、このビナプチレン(binapthylene)基は、C1〜12アルキルおよびC1〜12アルコキシからなる群から選択される少なくとも1つの置換基を有する。
【0062】
ある実施形態においては、LGは式III:
【0063】
【化11】

【0064】
(式中、R1およびR2は、同種または異種であり、C1〜12アルキル基である)
を有する。ある実施形態においては、R1およびR2はC6〜10基である。
【0065】
ある実施形態においては、本発明の新規電荷輸送化合物は以下の化合物H1からH5である。
化合物H1:
【0066】
【化12】

【0067】
化合物H2:
【0068】
【化13】

【0069】
化合物H3:
【0070】
【化14】

【0071】
H3(a)、R=H
H3(b)、R=F
化合物H4:
【0072】
【化15】

【0073】
H4(a)、R=H
H4(b)、R=F
化合物H5:
【0074】
【化16】

【0075】
本発明の新規電荷輸送化合物は、周知のカップリング反応および置換反応によって調製することができる。代表的な調製の1つを実施例で示している。
【0076】
本明細書に記載の新規化合物は、液相堆積技術を使用して膜に成形することができる。
【0077】
3.電子デバイス
本発明は、2つの電気接触層の間に挟まれた少なくとも1つの光活性層を含む電子デバイスであって、デバイスの少なくとも1つの層が本明細書に記載される新規電荷輸送化合物を含む電子デバイスにも関する。
【0078】
本明細書に記載の新規電荷輸送材料を含む1つ以上の層を有することが有益となりうる有機電子デバイスとしては、(1)電気エネルギーを放射線に変換するデバイス(たとえば、発光ダイオード、発光ダイオードディスプレイ、またはダイオードレーザー)、(2)電子的過程を介して信号を検出するデバイス(たとえば、光検出器、光導電セル、フォトレジスタ、光スイッチ、光トランジスタ、光電管、IR検出器)、(3)放射線を電気エネルギーに変換するデバイス(たとえば、光起電力デバイスまたは太陽電池)、ならびに(4)1つ以上の有機半導体層を含む1つ以上の電子部品(たとえば、トランジスタまたはダイオード)を含むデバイスが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0079】
有機電子デバイス構造の一例を図1に示す。デバイス100は、第1の電気接触層のアノード層110、および第2の電気接触層のカソード層160、並びにそれらの間の光活性層140を有する。アノードに隣接して緩衝層120が存在する。緩衝層に隣接して、正孔輸送材料を含む正孔輸送層130が存在する。カソードに隣接して、電子輸送材料を含む電子輸送層150が存在することができる。選択肢の1つとして、デバイスは、アノード110の隣に1つ以上の追加の正孔注入層または正孔輸送層(図示せず)、および/またはカソード160の隣に1つ以上の追加の電子注入層または電子輸送層(図示せず)を使用することができる。
【0080】
層120から150は、個別および集合的に活性層と呼ばれる。
【0081】
一実施形態においては、種々の層は以下の範囲の厚さを有する:アノード110、500〜5000Å、一実施形態においては1000〜2000Å;緩衝層120、50〜2000Å、一実施形態においては200〜1000Å;正孔輸送層130、50〜2000Å、一実施形態においては200〜1000Å;光活性層140、10〜2000Å、一実施形態においては100〜1000Å;層150、50〜2000Å、一実施形態においては100〜1000Å;カソード160、200〜10000Å、一実施形態においては300〜5000Å。デバイス中の電子−正孔再結合領域の位置、したがってデバイスの発光スペクトルは、各層の相対厚さによって影響されうる。層の厚さの望ましい比は、使用される材料の厳密な性質に依存する。
【0082】
デバイス100の用途に依存するが、光活性層140は、印加電圧によって励起する発光層(発光ダイオード中または発光電気化学セル中など)、放射エネルギーに応答し、バイアス電圧の印加を使用してまたは使用せずに信号を発生する材料層(光検出器中など)であってよい。光検出器の例としては、光導電セル、フォトレジスタ、光スイッチ、光トランジスタ、および光電管、ならびに光起電力セルが挙げられ、これらの用語は、Markus、John、Electronics and Nucleonics Dictionary、470および476(McGraw−Hill, Inc.1966)に記載されている。
【0083】
本明細書に記載される電荷輸送化合物は光活性層中または電荷輸送層中に存在することができる。
【0084】
a.光活性層
本明細書に記載される電荷輸送化合物は、層140中の光活性材料のホストとして有用である。
【0085】
光活性材料は、所望の色を有するあらゆるエレクトロルミネッセンス(「EL」)材料であってよい。エレクトロルミネッセンス材料としては、小分子有機蛍光化合物、蛍光性およびリン光性の金属錯体、共役ポリマー、およびそれらの混合物が挙げられる。蛍光化合物の例としては、ピレン、ペリレン、ルブレン、クマリン、それらの誘導体、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。金属錯体の例としては、トリス(8−ヒドロキシキノラト)アルミニウム(Alq3)などの金属キレート化オキシノイド化合物;Petrovらの米国特許第6,670,645号明細書ならびに国際公開第03/063555号パンフレットおよび国際公開第2004/016710号パンフレットに記載されるような、フェニルピリジン、フェニルキノリン、またはフェニルピリミジンの配位子を有するイリジウム錯体などの、シクロメタレート化されたイリジウムおよび白金のエレクトロルミネッセンス化合物、ならびに、たとえば、国際公開第03/008424号パンフレット、国際公開第03/091688号パンフレット、および国際公開第03/040257号パンフレットに記載される有機金属錯体、ならびにそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。電荷キャリアホスト材料と金属錯体とを含むエレクトロルミネッセンス発光層が、Thompsonらによって米国特許第6,303,238号明細書に、BurrowsおよびThompsonによって国際公開第00/70655号パンフレットおよび国際公開第01/41512号パンフレットに記載されている。共役ポリマーの例としては、ポリ(フェニレンビニレン)類、ポリフルオレン類、ポリ(スピロビフルオレン)類、ポリチオフェン類、ポリ(p−フェニレン)類、それらのコポリマー、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0086】
ある実施形態においては、EL材料はイリジウムのシクロメタレート化錯体である。ある実施形態においては、この錯体は、フェニルピリジン類、フェニルキノリン類、およびフェニルイソキノリン類から選択される2つの配位子と、β−ジエノレートである第3の配位子とを有する。これらの配位子は、非置換であってもよいし、F、D、アルキル基、CN基、またはアリール基で置換されていてもよい。
【0087】
ある実施形態においては、EL材料は、非ポリマーのスピロビフルオレン化合物およびフルオランテン化合物からなる群から選択される。
【0088】
ある実施形態においては、EL材料は、アリールアミン基を有する化合物である。一実施形態においては、EL材料は以下の式:
【0089】
【化17】

【0090】
(式中:
Aは、出現ごとに同種または異種であり、3〜60個の炭素原子を有する芳香族基であり;
Qは、単結合、または3〜60個の炭素原子を有する芳香族基であり;
nおよびmは独立して1〜6の整数である)
から選択される。
【0091】
上式の一実施形態においては、各式中のAおよびQの少なくとも1つが少なくとも3つの縮合環を有する。一実施形態においては、mおよびnが1である。一実施形態においては、Qはスチリル基またはスチリルフェニル基である。
【0092】
ある実施形態においては、Qは、少なくとも2つの縮合環を有する芳香族基である。ある実施形態においては、Qは、ナフタレン、アントラセン、クリセン、ピレン、テトラセン、キサンテン、ペリレン、クマリン、ローダミン、キナクリドン、およびルブレンからなる群から選択される。
【0093】
ある実施形態においては、Aは、フェニル基、トリル基、ナフチル基、およびアントラセニル基からなる群から選択される。
【0094】
一実施形態においては、EL材料は以下の式:
【0095】
【化18】

【0096】
(式中:
Yは、出現ごとに同種または異種であり、3〜60個の炭素原子を有する芳香族基であり;
Q’は、芳香族基、二価のトリフェニルアミン残基、または単結合である)
を有する。
【0097】
ある実施形態においては、EL材料はアリールアセンである。ある実施形態においては、EL材料は非対称アリールアセンである。
【0098】
ある実施形態においては、EL材料はクリセン誘導体である。用語「クリセン」は1,2−ベンゾフェナントレンを意味することを意図している。ある実施形態においては、EL材料はアリール置換基を有するクリセンである。ある実施形態においては、EL材料はアリールアミノ置換基を有するクリセンである。ある実施形態においては、EL材料は2つの異なるアリールアミノ置換基を有するクリセンである。
【0099】
ある実施形態においては、EL材料は、青色発光または緑色発光する。
【0100】
ある実施形態においては、ホスト材料対EL材料の比は5:1〜20:1の範囲内であり、ある実施形態においては、10:1〜15:1の範囲内である。
【0101】
本明細書に記載される新規電荷輸送化合物は、芳香族およびアリールアミノ芳香族化合物などの蛍光性有機化合物のホストとして特に有用である。
【0102】
b.他のデバイス層
デバイス中の他の層は、そのような層中に有用であることが知られているあらゆる材料でできていてよい。
【0103】
アノード110は、正電荷キャリアの注入に特に有効な電極である。アノードは、たとえば金属、混合金属、合金、金属酸化物、または混合金属酸化物を含有する材料でできていいてもよいし、伝導性ポリマー、およびそれらの混合物であってもよい。好適な金属としては、11族金属、4〜6族の金属、および8〜10族の遷移金属が挙げられる。アノードが光透過性となるべき場合には、インジウムスズ酸化物などの12族、13族、および14族の金属の混合金属酸化物が一般に使用される。アノード110は、「Flexible light−emitting diodes made from soluble conducting polymer」、Nature 第357巻、pp 477−479(1992年6月11日)に記載されるようなポリアニリンなどの有機材料を含むこともできる。アノードおよびカソードの少なくとも1つは、発生した光を観察できるように、少なくとも部分的に透明であることが望ましい。
【0104】
緩衝層120は緩衝材料を含み、限定するものではないが、下にある層の平坦化、電荷輸送および/または電荷注入特性、酸素または金属イオンなどの不純物の捕捉、ならびに有機電子デバイスの性能を促進または改善する他の特徴などの、1つまたは複数の機能を有機電子デバイス中で有することができる。緩衝材料は、ポリマー、オリゴマー、または小分子であってよい。これらは、溶液、分散体、懸濁液、エマルジョン、コロイド混合物、またはその他の組成物の形態であってよい液体から気相堆積または堆積することができる。
【0105】
緩衝層は、プロトン酸がドープされることが多いポリアニリン(PANI)またはポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)などのポリマー材料で形成され得る。プロトン酸は、たとえば、ポリ(スチレンスルホン酸)、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸)などであってよい。
【0106】
緩衝層は、銅フタロシアニンやテトラチアフルバレン−テトラシアノキノジメタン系(TTF−TCNQ)などの電荷輸送化合物などを含むことができる。
【0107】
ある実施形態においては、緩衝層は、少なくとも1種類の導電性ポリマーおよび少なくとも1種類のフッ素化酸ポリマーを含む。このような材料は、たとえば、米国特許出願公開第2004−0102577号明細書、米国特許出願公開第2004−0127637号明細書、および米国特許出願公開第2005/205860号明細書に記載されている。
【0108】
層130の正孔輸送材料の例は、たとえば、Y.Wangにより,Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology、第4版、第18巻、p.837−860、1996にまとめられている。正孔輸送分子および正孔輸送ポリマーの両方を使用することができる。一般に使用される正孔輸送分子は:N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(TPD)、1,1−ビス[(ジ−4−トリルアミノ)フェニル]シクロヘキサン(TAPC)、N,N’−ビス(4−メチルフェニル)−N,N’−ビス(4−エチルフェニル)−[1,1’−(3,3’−ジメチル)ビフェニル]−4,4’−ジアミン(ETPD)、テトラキス(3−メチルフェニル)−N,N,N’,N’−2,5−フェニレンジアミン(PDA)、a−フェニル4−N,N−ジフェニルアミノスチレン(TPS)、p−(ジエチルアミノ)ベンズアルデヒドジフェニルヒドラゾン(DEH)、トリフェニルアミン(TPA)、ビス[4(N,N−ジエチルアミノ)−2−メチルフェニル](4−メチルフェニル)メタン(MPMP)、1−フェニル−3−[p−(ジエチルアミノ)スチリル]−5−[p−(ジエチルアミノ)フェニル]ピラゾリン(PPRまたはDEASP)、1,2−trans−ビス(9H−カルバゾール−9−イル)シクロブタン(DCZB)、N,N,N’,N’テトラキス(4−メチルフェニル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(TTB)、N,N’−ビス(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ビス−(フェニル)ベンジジン(α−NPB)、および銅フタロシアニンなどのポルフィリン系化合物である。一般に使用される正孔輸送ポリマーは、ポリビニルカルバゾール、(フェニルメチル)ポリシラン、およびポリアニリンである。ポリスチレンおよびポリカーボネートなどのポリマー中に、上述のものなどの正孔輸送分子をドープすることによって、正孔輸送ポリマーを得ることもできる。場合により、トリアリールアミンのポリマー、特にトリアリールアミンとフルオレンとのコポリマーが使用される。場合により、これらのポリマーまたはコポリマーは架橋性である。
【0109】
層150中に使用可能な他の電子輸送材料の例としては、トリス(8−ヒドロキシキノラト)アルミニウム(Alq3)などの金属キレート化オキシノイド化合物;ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(p−フェニル−フェノラト)アルミニウム(III)(BAlQ);ならびに2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(PBD)および3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(TAZ)、および1,3,5−トリ(フェニル−2−ベンズイミダゾール)ベンゼン(TPBI)などのアゾール化合物;2,3−ビス(4−フルオロフェニル)キノキサリンなどのキノキサリン誘導体;9,10−ジフェニルフェナントロリン(DPA)および2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(DDPA)などのフェナントロリン誘導体;ならびにそれらの混合物が挙げられる。層150は、電子輸送の促進と、層界面での励起子の消光を防止する緩衝層または閉じ込め層としての両方の機能を果たすことができる。好ましくは、この層は電子移動を促進し、励起子の消光を減少させる。
【0110】
カソード160は、電子または負電荷キャリアの注入に特に有効な電極である。カソードは、アノードよりも低い仕事関数を有するあらゆる金属または非金属であってよい。カソードの材料は、1族のアルカリ金属(たとえば、Li、Cs)、2族(アルカリ土類)金属、12族金属、たとえば希土類元素およびランタニド、ならびにアクチニドから選択することができる。アルミニウム、インジウム、カルシウム、バリウム、サマリウム、およびマグネシウム、ならびに組み合わせた材料を使用することができる。動作電圧を低下させるために、Li含有有機金属化合物、LiF、およびLi2Oを有機層とカソード層との間に堆積することもできる。
【0111】
有機電子デバイス中に別の層を有することが知られている。たとえば、注入されるで正電荷量を制御するため、および/または層のバンドギャップの整合性を促進するため、または保護層として機能させるために、アノード110と緩衝層120との間に層(図示せず)が存在してもよい。銅フタロシアニン、ケイ素酸窒化物、フルオロカーボン類、シラン類、またはPtなどの金属の超薄層などの、当技術分野において周知の層を使用することができる。あるいは、アノード層110、活性層120、130、140、および150、またはカソード層160の一部もしくはすべては、電荷キャリア輸送効率を増加させるために表面処理を行うことができる。各構成層の材料の選択は、好ましくは、高いエレクトロルミネッセンス効率を有するデバイスを得るために発光層中の正電荷および負電荷の釣り合いを取ることによって決定される。
【0112】
各機能層は2つ以上の層で構成されてよいことを理解されたい。
【0113】
本発明のデバイスは、好適な基体上に個別の層を順次気相堆積するなどの種々の技術によって作製することができる。ガラス、プラスチック、および金属などの基体を使用することができる。熱蒸着、化学蒸着などの従来の気相堆積技術を使用することができる。あるいは、有機層は、限定するものではないが、スピンコーティング、浸漬コーティング、ロール・トゥ・ロール技術、インクジェット印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷などの従来のコーティングまたは印刷技術を使用して、好適な溶媒中の溶液または分散体から適用することもできる。本明細書に記載される新規電荷輸送化合物は、膜を形成するための液相堆積プロセスに特に適している。
【0114】
多くの場合デバイスは追加の正孔輸送および電子輸送層を有する。
【0115】
本明細書に記載のクリセン化合物を使用して作製されたデバイスの効率は、デバイス中の別の層を最適化することによってさらに改善できることを理解されたい。たとえば、Ca、Ba、またはLiFなどのより効率的なカソードを使用することができる。動作電圧を下げ量子効率を増加させる成形基体および新規な正孔輸送材料も利用可能である。種々の層のエネルギー準位を調整しエレクトロルミネッセンスを促進するために追加層を加えることもできる。
【実施例】
【0116】
実施例1
この実施例では、化合物H5である10,10’−(6,6’−(4,4’−(パーフルオロプロパン−2,2−ジイル)ビス(4,1−フェニレン))ビス(ナフタレン−6,2−ジイル))ビス(9−(4−メチルナフタレン−1−イル)アントラセン)の調製を示す。
【0117】
【化19】

【0118】
【表1】

【0119】
マグネチックスターラーと、窒素ラインに取り付けられた冷却器とを取り付けた250mLの二口丸底フラスコに、Pd触媒を除いたすべての試薬、および溶媒を加えた。撹拌しながら、系に20分間窒素をパージした(冷却器上部からN2を流し込み、溶液から気泡を発生させた)。Pd触媒を加え、系にさらに15分間パージした。窒素下で終夜、反応混合物を撹拌し還流させた。その時間の間、ある程度の固体が観察された。反応終了後、水(50mL)を加え、混合物を周囲温度で2時間撹拌した。粗生成物を濾過によって回収し、水で洗浄し、次にメタノール(400mL)で洗浄して、真空オーブン中で終夜乾燥させた。得られた固体材料のTLC分析では、すべての出発トリフレートが消費されたことが示され、生成物はUV光照射下で鮮やかな青色の主要スポットとして現れた。生成物のRf値は出発トリフレートの値と類似していたが、これは非蛍光性であると思われた。次に粗生成物を窒素下で穏やかに加熱しながらトルエン(150mL)中に溶解させ、活性炭(20g)を加えて周囲温度で2時間撹拌した。その後、得られた溶液をFlorosil*層で濾過し、溶媒を回転蒸発により除去した。生成物をDCM/ヘキサンから結晶化させることでさらに精製して、収量1.75g(75%)およびHPLC分析による純度>99.9%の白色粉末としての生成物を得た。NMRスペクトルは期待される構造と一致している。
【0120】
実施例2
この実施例では、化合物H2である10,10’−(4,4’−(2,2’−ジオクチル−1,1’−ビナフチル−4,4’−ジイル)ビス(4,1−フェニレン))ビス(9−(ナフタレン−2−イル)アントラセン)の調製を示す。
【0121】
【化20】

【0122】
【表2】

【0123】
マグネチックスターラーと、窒素ラインに取り付けられた冷却器とを取り付けた250mLの三口丸底フラスコに、Pd触媒を除いたすべての試薬、および溶媒を加えた。撹拌しながら、系に20分間窒素をパージした(冷却器上部からN2を流し込み、溶液から気泡を発生させた)。Pd触媒を加え、系にさらに15分間パージした。窒素下で終夜、反応混合物を撹拌し還流させた(80℃の油浴中)。HPLC分析では、27%の生成物しか形成されていないことが示された。さらにトリフレート(0.40g)およびPd触媒(82mg)を加え、反応をさらに2日間続けた。有機層のHPLC分析では、ほぼすべてのビナフチルジボレートが消費されたことが示され、生成物はUV光照射下で強い青色蛍光を有する主要スポットとして現れた。この有機層をトルエン(100mL)で希釈し、分離させた。その水層をトルエン(2×25mL)で抽出した。有機分画を1つにまとめ、希HCl(5%、1×60mL)水(2×60mL)、および飽和ブライン(60mL)で洗浄し、MgSO4を使用して乾燥させた。溶液の体積をrotavap上で約8mLまで減少させ、次に撹拌しながらメタノール(200mL)に滴下した。20分間撹拌した後、得られた沈殿物を濾過により回収し、室温で真空オーブン中で終夜乾燥させて、3.05gの淡褐色粉末を得た。この粗生成物を最小体積のトルエン(4〜5mL)中に溶解させ、メタノールから2回以上沈殿させると、生成物のHPLCによる純度が約90%まで改善された。粗生成物を次に、DCM/ヘキサン(1/5、1/4)で溶出させるFlorosil*カラム上のクロマトグラフィーによって精製した。生成物を含有する分画を1つにまとめ、溶媒を回転蒸発によって除去すると、95〜96%の純度の白色粉末が得られた。この生成物を、そのトルエン溶液をメタノールから2回およびエタノールから2回沈殿させることによってさらに清浄にして、HPLCによる純度が99.3%である1.1gの白色粉末を得た。NMRスペクトルは期待される構造と一致している。出発ビナフチルと生成物との両方は、HPLCプロフィールの二重ピーク、およびNMRスペクトル中、特に脂肪族領域における多重バンドによって示されるように、可能性のある2つの異性体のラセミ混合物である。
【0124】
本明細書の記載の概念は、以下の実施例においてさらに説明されるが、これらは特許請求の範囲に記載される本発明の範囲を限定するものではない。
【0125】
概要または実施例において前述したすべての行為が必要なわけではなく、特定の行為の一部は不要である場合があり、1つ以上のさらに別の行為が、前述の行為に加えて実施される場合があることに留意されたい。さらに、行為が列挙されている順序は、必ずしもそれらが実施される順序ではない。
【0126】
以上の明細書において、具体的な実施形態を参照しながら本発明の概念を説明してきた。しかし、当業者であれば、特許請求の範囲に記載される本発明の範囲から逸脱せずに種々の修正および変更を行えることが理解できよう。したがって、本明細書および図面は、限定的な意味ではなく説明的なものであると見なすべきであり、すべてのこのような修正は本発明の範囲内に含まれることを意図している。
【0127】
特定の実施形態に関して、利益、その他の利点、および問題に対する解決法を以上に記載してきた。しかし、これらの利益、利点、問題の解決法、ならびに、なんらかの利益、利点、または解決法を発生させたり、より顕著にしたりすることがある、あらゆる特徴が、特許請求の範囲のいずれかまたはすべての重要、必要、または本質的な特徴であるとして解釈すべきではない。
【0128】
本明細書において明記される種々の範囲内の数値が使用される場合、記載の範囲内の最小値および最大値の両方の前に単語「約」が付けられているかのように近似値として記載されている。この方法では、記載の範囲よりもわずかに上およびわずかに下のばらつきを使用して、その範囲内の値の場合と実質的に同じ結果を得ることができる。また、これらの範囲の開示は、ある値の一部の成分を異なる値の一部の成分と混合した場合に生じうる分数値を含めて、最小平均値と最大平均値との間のすべての値を含む連続した範囲であることを意図している。さらに、より広い範囲およびより狭い範囲が開示される場合、ある範囲の最小値を別の範囲の最大値と一致させること、およびその逆のことが本発明の意図の範囲内となる。
【0129】
別々の実施形態の状況において、明確にするために本明細書に記載されている特定の複数の特徴は、1つの実施形態の中で組み合わせても提供できることを理解されたい。逆に、簡潔にするため1つの実施形態の状況において説明した種々の特徴も、別々に提供したり、あらゆる副次的な組み合わせで提供したりすることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式T−LG−T(式中、Tは、式−Ar1−An−Ar2を有する電荷輸送部分であり、LGは結合基である)を有する化合物であって、
式中:
Anは、二価のアントラセン部分であり;
Ar1は、単結合、またはナフチル、ビナフチル、ナフチルフェニレン、ナフチルビフェニレン、およびナフチルビナフチレンからなる群から選択される芳香族基であり;
Ar2は、ナフチル、ビナフチル、ナフチルフェニレン、ナフチルビフェニレン、およびナフチルビナフチレンからなる群から選択される芳香族基であり;
LGは、ビフェニレン、ビナフチレン、および式I
【化1】

(式中
Q1およびQ2は、同種または異種であり、かつアルキルおよびアリールからなる群から選択され、またはQ1およびQ2をともに合わせたものがアルキレンとなり、
Ar3およびAr4は、同種または異種であり、かつフェニレンおよびナフチレンからなる群から選択される)
からなる群から選択される、化合物。
【請求項2】
Q1およびQ2は独立して、メチル、トリフルオロメチル、およびフェニルからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Q1およびQ2をともに合わせたものが、1,1−シクロへキシレンおよび3,4−ヘキシレンからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
Tが
基A:
【化2】

基B:
【化3】

基C:
【化4】

基D:
【化5】

基E:
【化6】

基F:
【化7】

および基G:
【化8】

(式中
−−−−−*はLGに結合可能な箇所である)
からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
化合物H1:
【化9】

化合物H2:
【化10】

化合物H3:
【化11】

(式中、RはHまたはFである)、
化合物H4:
【化12】

(式中、RはHまたはFである)、
および化合物H5:
【化13】

からなる群から選択される電荷輸送化合物。
【請求項6】
第1の電気接触層、第2の電気接触層、およびそれらの間の第3の層を含む有機電子デバイスであって、前記第3の層が、式T−LG−T(式中、Tは式−Ar1−An−Ar2を有する電荷輸送部分であり、LGは結合基である)を有する化合物を含み、
式中:
Anは、二価のアントラセン部分であり;
Ar1は、単結合、またはナフチル、ビナフチル、ナフチルフェニレン、ナフチルビフェニレン、およびナフチルビナフチレンからなる群から選択される芳香族基であり;
Ar2は、ナフチル、ビナフチル、ナフチルフェニレン、ナフチルビフェニレン、およびナフチルビナフチレンからなる群から選択される芳香族基であり;
LGは、ビフェニレン、ビナフチレン、および式I
【化14】

(式中
Q1およびQ2は、同種または異種であり、かつアルキルおよびアリールからなる群から選択され、またはQ1およびQ2をともに合わせたものがアルキレンとなり、
Ar3およびAr4は、同種または異種であり、かつフェニレンおよびナフチレンからなる群から選択される)
からなる群から選択される、有機電子デバイス。
【請求項7】
前記第3の層がエレクトロルミネッセンス材料をさらに含む、請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
請求項1、2、3、または4のいずれか一項に記載の化合物を含むホスト材料。
【請求項9】
請求項5に記載の電荷輸送化合物を含むホスト材料。
【請求項10】
請求項1に記載の化合物を含むホスト材料を含む層。
【請求項11】
請求項2に記載の化合物を含むホスト材料を含む層。
【請求項12】
請求項3に記載の化合物を含むホスト材料を含む層。
【請求項13】
請求項4に記載の化合物を含むホスト材料を含む層。
【請求項14】
請求項5に記載の電荷輸送化合物を含むホスト材料を含む層。
【請求項15】
エレクトロルミネッセンス材料をさらに含む、請求項10に記載の層。
【請求項16】
エレクトロルミネッセンス材料をさらに含む、請求項11に記載の層。
【請求項17】
エレクトロルミネッセンス材料をさらに含む、請求項12に記載の層。
【請求項18】
エレクトロルミネッセンス材料をさらに含む、請求項13に記載の層。
【請求項19】
エレクトロルミネッセンス材料をさらに含む、請求項14に記載の層。

【図1】
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【公表番号】特表2010−529030(P2010−529030A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−510475(P2010−510475)
【出願日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際出願番号】PCT/US2008/065016
【国際公開番号】WO2008/150822
【国際公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】