説明

発光素子駆動装置

【課題】音声連動型イルミネーションにおいて、マイコンなどによる演算処理を伴う制御方法では音声とイルミネーション変化との間に遅延が発生し、連動感が得られない。
【解決手段】音声信号から周波数/音圧情報を得る為の低域/高域フィルタ/低域/高域振幅検出回路と、前記低域/高域振幅回路の出力を切替える切替回路と、前記切替えスイッチを制御するための固定周期の矩形波信号を出力する発信器と、前記スイッチ後の信号の放電時間を決定する放電回路と、前記出力信号を発光素子の制御信号に変換する駆動回路と、前記制御信号をイルミネーションに変換する発光素子を備えることにより、マイコン処理を削減し音とイルミネーション変化との間の遅延を短縮することを特徴とする。また、低域が支配的な音楽においては低域情報の検出比を多く、高域が支配的な音楽では高域情報の検出比を多くすることで曲全体のメロディー感を検出することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は音声と発光素子(例えばバックライト、LED等)を伴う装置において、音声成分の検出および発光素子の制御に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年カーテレビ分野において、車の前席に限らず車の後席などにも薄型のディスプレイ装置(LCD)が取り付けられるようになってきている。その用途として、単に映像/音楽を楽しむだけでなく、その位置関係から、天井に設けることで照明として兼用することが多くなってきている。さらに、その車体空間の中においてより快適さを増すためのムード照明のような効果、あるいは遊び感覚を増すための音楽とイルミネーションが連動するディスコ的効果が求められてきている。
【0003】
一般に音声とイルミネーションを連動させる取り組みはカーエレクトロニクス分野だけでなく、さまざまな分野で使われている。
【0004】
例えば、特許文献1ではシャワー装置として風呂場の空間での楽しさを表す効果として音声連動のイルミネーション効果を提案している。連動感を出す為の手段として、音楽信号のゼロクロスをゼロボルトスイッチで検出し、そのゼロクロス数をカウンタで係数しその係数結果に応じてマイコンにより発光素子の光量(明るさ)を制御している。
【0005】
また、特許文献2は、より音声と発光素子との連動感を出すために音声信号を低域/高域フィルタおよび振幅レベル検出回路を、マイコンにより解析/演算する。その結果、音圧を発光素子の光量(明るさ)、周波数を発光色(例えば赤が高域、青が低域を意味する)に変換することにより、より音楽との連動感を与えることを提案している。
【特許文献1】特開平3−41918号公報
【特許文献2】特開2001−326085号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし従来のマイコンなどによる演算処理を伴う制御方法では、音声情報を視覚効果としてユーザに示す際に、マイコンで音声情報に基づいてイルミネーションの動作を算出するため、音声とイルミネーション変化との間に遅延が発生する。その結果、音声とイルミネーション変化に時間的なずれが生じるため、連動感が得られない場合が発生する。
【0007】
そこで本発明は、音楽等の音と発光素子の連動感をより向上させるため、音声とイルミネーション変化の時間的なずれが少ない発光素子駆動装置の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために本発明の発光素子駆動装置は、バックライトなどの発光素子を制御する手段として、低域フィルタ/高域フィルタおよび振幅検出回路を通った信号を切替える回路を設け、その切替え制御として固定の周波数の矩形波を用いることで発光素子を直接制御することにより、マイコン等による演算処理時間を短縮することができ、音楽とイルミネーションの変化との遅延が解消され、より連動感のあるイルミネーション効果を実現することを特徴とするものである。また、低域と高域の音声情報の検出比率を変えることで曲全体の連動感を検出することができ、より連動感のある音声連動型イルミネーション効果を実現することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
以上のように本発明によれば、音声信号から低域/高域の音声情報をイルミネーションに変換する方式において、低域/高域の音声情報をある固定の周期のタイミングパルスにより切替え、直接発光素子を制御することにより、マイコンによる演算処理時間の削減ができ、より音楽に連動したイルミネーション効果を得ることができる。
【0010】
また、上記タイミングパルスのDUTYを変えることにより、例えば低域が支配的な音楽においては低域音声情報をより多く検出し発光素子制御信号に変換することにより、曲全体のメロディー感が得ることができ、音楽のジャンルに応じてより音楽に連動したイルミネーション効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(実施の形態1)
図1は本発明の発光素子駆動装置の構成図の一例である。
【0012】
図1において、1はイルミネーションを連動させる音声信号が入力される音声信号入力部、2は音声信号の低域情報(低域音声信号)を抜き取る低域フィルタ、3は音声信号の高域情報(高域音声信号)を抜き取る高域フィルタ、4は音声の低域の音圧(振幅)を検出する低域振幅検出回路、5は音声の高域の音圧(振幅)を検出する高域振幅検出回路、6は発信器7から出力され、音声の低域/高域情報を切替える制御信号である固定周期のタイミングパルス、7は低域/高域の音声情報を前記タイミングパルスS1にて切替える切替回路、8は前記タイミングパルスS1を出力する発信器、9は発光素子を駆動する駆動回路、10は前記駆動回路8から出力される発光素子制御信号、11は前記発光素子制御信号S6をイルミネーションに変換する発光素子、12はダイオード、13は抵抗、14はコンデンサであり、切替回路6からの出力信号レベルの立下り時間を抵抗11とコンデンサ12にて調整する放電回路を構成している。
【0013】
イルミネーションに連動させる音声信号が音声信号入力部1はそれぞれ低域フィルタ2、高域フィルタ3に入力される。低域フィルタ2では音声信号の低域成分のみが通過する。ここで低域成分とは、例えば、数十Hz〜300Hzである。一方、高域フィルタ3では音声信号の高域成分のみが通過する。ここで高域成分とは、例えば、1kHz〜5kHzzである。低域振幅検出回路4は、低域フィルタ2を通過した低域成分の音声信号を音圧情報に変換し、低域振幅信号S2として切替回路6へと出力する。また、振幅検出回路5は、高域フィルタ3を通過した高域成分の音声信号を音圧情報に変換し、高域振幅信号S3として切替回路6へと出力する。
【0014】
切替回路6は、低域振幅信号S2または高域振幅信号S3のいずれかを選択し、出力する。低域振幅信号S2または高域振幅信号S3の選択の切替えタイミングは発信器7からある固定の周波数(数Hz〜数十Hz)の矩形波信号であるタイミングパルスS1により制御される。タイミングパルスS1がHIGHのときは切替回路6が低域振幅信号S2が入力される(a)側、タイミングパルスS1がLOWのときは切替回路6が高域振幅信号S3が入力される(b)側に選択するように切替回路6が構成されている。切替回路6にて選択された信号は切替振幅信号S4として、次段の放電回路(ダイオード10、抵抗11及びコンデンサ12)に入力される。
放電回路に入力された切替振幅信号S4は抵抗11(十数kΩ〜数百kΩ)、コンデンサ12(数百μF)によって決められた時定数にて立下り波形が緩やかに形成される。これにより、低域振幅信号S2と高域振幅信号S3に大きな差異があっても、切替え時には緩やかな変化に変換される。その出力信号は、放電振幅信号S5として駆動回路8へDC成分として供給される。駆動回路8では入力された放電振幅信号S5に基づき、発光素子9を制御する発光素子制御信号S6を出力する。例えば液晶モニタの場合、駆動回路8はインバータ回路、発光素子9はバックライトに相当し、駆動回路8ではDC成分はPWM波形に変換され発光素子制御信号S6としてバックライトの調光をおこなう。
【0015】
かかる構成によると、マイコン等によって音楽情報を検出/演算処理を行うことなく、音声信号入力手段1に入力された音声信号からの情報により直接的に発光素子9を制御することができ、音声信号と発光素子9の変化の時間的遅延が短縮でき、音声とイルミネーション変化に時間的なずれが生じず、より連動間のあるイルミネーション効果を得ることができる。
【0016】
(実施の形態2)
図2は本発明の発光素子駆動装置の構成図の一例である。図3、図4は切替回路6において低域/高域情報を切替えるタイミングの概要を示した図である。図5は低域を多く含む音声信号においてタイミングパルスがDUTY50%のときのタイミングチャートである。図6は、低域を多く含む音声信号においてタイミングパルスがDUTY90%のときのタイミングチャートである。図7は、低域/高域を均一に含む音声信号においてタイミングパルスがDUTY50%のときのタイミングチャートである。
【0017】
本実施の形態においては、図2に示すように、実施の形態1から発信器7がマイコン21に置き換わっている。また、リモコン22を備えており、ユーザはリモコン22を通じてマイコン21に任意のDUTY比を入力することができ、前記タイミングパルスS1のDUTY比を可変することができる。また、リモコン22を用いて、ユーザは連動させる音声信号が低域を多く含むのかあるいは高域を多く含むのか判断しマイコン16に入力することができる。
【0018】
また、図3は、前記切替回路6を切替えるタイミングパルスS1のDUTY比を表した図で、主に低域を多く含む音楽における音声とのイルミネーションの連動感を高めるタイミングパルスS1を示している。図4は、前記切替回路6を切替えるタイミングパルスS1のDUTY比を表した図で、主に高域を多く含む音楽のイルミネーションの連動感を高めるタイミングパルスS1を示している。
【0019】
音楽には曲全体のメロディーとして低域を多く含む音楽(例えばベース、ドラムなどが支配的なハードロックなど)や高域を多く含む音楽(例えば管楽器が支配的なクラッシックなど)、さらに低域/高域とを均一に含む音楽などがある。
【0020】
音声信号入力部1に入力される音楽が低域を多く含む音楽である場合は、図3に示すように切替回路6を切替えるタイミングパルスS1を低域の検出割合を多くしたタイミングパルスS1にする。これにより、低域を多く含む音楽においては低域に対応したイルミネーション変化することができ、より音楽と連動感のあるイルミネーション効果を得ることができる。
【0021】
音声信号入力部1に入力される音楽がクラシックなど高域を多く含む音楽である場合は、図4に示すように切替回路6を切替えるタイミングパルスS1を高域の検出割合を多くしたタイミングパルスS1にする。これにより、高域を多く含む音楽においては高域に対応したイルミネーション変化することができ、より音楽に連動したイルミネーション効果が得られる。
【0022】
本実施の形態における発光素子駆動装置の具体的な動作について、低域を多く含む音楽である場合を例に図5、図6で説明する。図5はタイミングパルスS1がDUTY50%の場合のタイミングチャートを示したものである。図5において、19は音声信号が低域フィルタ2を通過し振幅検出回路4を通った後の低域振幅信号、20は高域フィルタ3を通過し振幅検出回路5を通った後の高域振幅信号である。21は低域振幅信号S2と高域振幅信号S3が切替回路7によって切替えられたあとの切替振幅信号であり、低域を多く含む音楽の音圧/周波数情報である。22は切替振幅信号が放電回路(ダイオード13、抵抗14、コンデンサ15)を通過した後の放電振幅信号、23はマイコンから出力される切替回路6を切替えるタイミングパルスS1であり、この場合DUTY50%である。
【0023】
図5に記載の放電振幅信号S5からわかるように、放電回路によって、低域/高域の切替えによる急激な変化が緩和され、イルミネーション変化としてのチラツキ感が低減できる。
【0024】
図6はタイミングパルスS1がDUTY90%の時のタイミングチャートを示したものである。切替回路6はタイミングパルスS1としてDUTY(90%)にて切替えられる。図6からも明らかなように、放電振幅信号S5は低域振幅信号19とほぼ同様の波形で再現できていることがわかる。また、高域を多く含む場合、タイミングパルス6のDUTYが例えば10%にすれば同様に高域振幅信号S3を再現することができる。
【0025】
一方、図7は低域/高域が均一に存在する音声信号においてタイミングパルス6のDUTY50%のタイミングチャートを示したものである。切替振幅信号S4は低域振幅信号27と高域振幅信号28タイミングパルスS1(DUTY比が50%)によって切替えられたあとの信号である。放電振幅信号S5を見ると、低域および高域の情報ともに検出できていることがわかる。これにより、低域だけあるいは高域だけを検出した場合と比較して、曲全体のリズム感が検出でき、連動感のあるイルミネーション動作を得ることができる。
【0026】
かかる構成によると、音声信号と発光素子9の変化の時間的遅延が短縮でき、音声とイルミネーション変化に時間的なずれが生じず、且つ、入力される音声信号の周波数特性に応じたイルミネーション効果を得ることができ、より連動間のあるイルミネーション効果を得ることができる。
【0027】
尚、連動させる音楽が低域あるいは高域のどちらを多く含むかについては、その音楽のジャンルに応じてユーザがリモコン22によって切替え制御することができる。図8は、OSD(オン・スクリーン・ディスプレイ)とタイミングパルスS1の関係を表わしたものである。音楽が低域/高域が均一に構成されている際には、図8(a)の表示画面81aに表示されるOSD82aのようにOSDバーを中央にリモコンで調整することにより、タイミングパルスS1がDUTY50%の波形でマイコン21から出力される。図8(b)の表示画面81bに表示されるOSD82bのように低域側にOSDのバーを移動させれば、タイミングパルスS1も低域側が多く検出するようなDUTY比の波形に変化する。同様に、図8(c)の表示画面81cに表示されるOSD82cのように高域側にOSDのバーを移動させれば、タイミングパルスも高域側を多く検出するようなDUTY比の波形に変化する。すなわち、ユーザがイルミネーションと音楽との連動感を見ながら、より連動感が得られるDUTY比にOSDメニューを見ながら微調整できる。この際、マイコン21はリモコン22からの信号により、タイミングパルスS1のDUTY比を変え固定周波数の波形を出力するだけであり、音声信号からイルミネーション(バックライト)変化に対しての遅延要因にはならない。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明にかかる発光素子駆動装置は、音楽に連動したイルミネーション効果を得ることができるものであり、音声と発光素子(例えばバックライト、LED等)を伴う発光素子駆動装置おいて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態1における発光素子駆動装置の構成図
【図2】本発明の実施の形態2における発光素子駆動装置の構成図
【図3】本発明の発光素子駆動装置の低域を多く含む音楽を制御する為のタイミングパルスを示した図
【図4】本発明の発光素子駆動装置の高域を多く含む音楽を制御する為のタイミングパルスを示した図
【図5】本発明の発光素子駆動装置において低域を多く含む音楽でタイミングパルスDUTY50%におけるタイミングチャート
【図6】本発明の発光素子駆動装置において低域を多く含む音楽でタイミングパルスDUTY90%におけるタイミングチャート
【図7】本発明の発光素子駆動装置において低域/高域が均一な割合で混在する音楽でタイミングパルスDUTY50%におけるタイミングチャート
【図8】本発明の発光素子駆動装置において低域/高域の割合を示すOSDとタイミングパルスとの関係を示す図
【符号の説明】
【0030】
1 音声信号入力部
2 低域フィルタ
3 高域フィルタ
4 低域振幅検出回路
5 高域振幅検出回路
6 切替回路
7 発信器
8 駆動回路
9 発光素子
10 ダイオード
11 抵抗
12 コンデンサ
21 マイコン
22 リモコン
81a、81b、81c 表示画面
82a、82b、82c OSD

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声信号が入力され、前記音声信号の低域の振幅を示す低域振幅信号及び前記音声信号の高域の振幅を示す高域振幅信号を出力する低域/高域振幅信号作成手段と、
前記低域振幅信号、前記高域振幅信号及びタイミングパルスが入力され、前記タイミングパルスのhigh/low情報に基づき、前記低域振幅信号または前記高域振幅信号のいずれかを出力する切替手段と、
前記切替手段の出力に基づき、発光素子を駆動する駆動信号を出力する駆動信号作成手段と、
を備えた発光素子駆動装置。
【請求項2】
前記低域/高域振幅信号作成手段は、
入力された音声信号の低域情報を抜き取り出力する低域フィルタと、
前記低域フィルタの出力される低域音声信号から低域振幅信号を作成する低域振幅検出回路と、
入力された音声信号の高域情報を抜き取り出力する高域フィルタと、
前記高域フィルタの出力される高域音声信号から高域振幅信号を作成する高域振幅検出回路と、
で構成されることを特徴とする請求項1に記載の発光素子駆動装置。
【請求項3】
前記駆動信号作成手段は、
前記切替手段の出力を入力するダイオードと、
前記ダイオードに並列に接続され、他方が接地された抵抗と、
前記ダイオードに並列に接続され、他方が接地されたコンデンサと、
前記ダイオードに直列に接続された駆動回路と、
で構成されることを特徴とする請求項1に記載の発光素子駆動装置。
【請求項4】
ユーザの入力を受け付けるリモコンを備え、
前記リモコンが受け付けたユーザの入力に基づき前記タイミングパルスのDUTY比が変化することを特徴とする請求項1に記載の発光素子駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−226645(P2008−226645A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−63203(P2007−63203)
【出願日】平成19年3月13日(2007.3.13)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】