説明

発光表示装置および発光表示装置における表示制御方法

【課題】 飾りパターン表示領域に表示されるデータ情報と飾りパターンの表示割合によって飾りパターンの表示を適切に制御するようにする。
【解決手段】 発光表示ユニット12は、データ情報の表示領域とその周囲に設定された飾りパターン表示領域とに区分され、前記飾りパターン表示領域はデータ情報の表示領域と共通に使用され、制御手段14(CPU)は、データ情報と飾りパターンのデータを前記VRAM15に展開する際に、データ情報の一部が飾りパターン表示領域に表示される場合、該データ情報の一部をVRAM15に展開するとともに、前記飾りパターン表示領域に表示されるデータタ情報の一部に隣接する飾りパターン表示領域の発光素子に対して、飾りパターンのデータをVRAM15に展開しないように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マトリクス状に配列された複数の発光素子からなる発光表示ユニットに文字などのデータ情報を表示し、その周囲に飾りパターンを表示する発光表示装置に関し、特に、飾りパターンの表示領域をデータ情報の表示領域として共通に使用する発光表示装置において、データ情報と飾りパターンの表示が重なる場合に、データ情報の表示が目立つように飾りパターンの表示を制御するようにした発光表示装置およびその表示制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、LEDなどの発光素子を用いた表示装置が種々の電子装置に用いられている。また、このような発光素子をマトリクス状に配列した表示部に文字、絵文字、図形などのデータ情報を表示する発光表示装置も用いられている。このようなマトリックスタイプの表示装置は、例えば、発光表示装置を周囲から観察し易い場所に設置し、駐車場の空きの有無や、商店などが営業中であることを表示したり、あるいは、遊戯設備の表示装置としても使用されている。
【0003】
このようなマトリックスタイプの発光表示装置においては、発光表示装置が設置されていること、あるいは、発光表示装置に表示したデータ情報が注目を引くように、表示したデータ情報の周囲に飾りパターンを表示する構成にする場合も多い。飾りパターンは、例えば、表示したデータ情報の周囲の1〜数ラインの発光素子をデータ情報の表示色と異なる色で表示し、あるいは、表示箇所を順次シフトしたり、点滅表示したりする制御を行い、観察者の注意を引くようにしている。
【0004】
例えば、下記の特許文献1(特開平11−316569号公報)には、データ情報と飾りパターンを表示するようにしたマトリックスタイプの発光表示ユニットを備えた発光表示装置が開示されている。
【0005】
図9は、上記特許文献1に開示された発光表示装置における発光表示ユニットの構成を示す図である。発光表示ユニット1は、複数のLED素子2をマトリックス状に配列したものであり、周囲の1〜数ラインの発光素子を飾りパターンを表示する飾りパターン表示領域3とし、この飾りパターン表示領域3に囲まれた表示領域を、データ情報を表示するデータ情報表示領域4としたものである。この図の場合、データ情報表示領域4はテキスト表示のための4つの文字表示領域から構成されている。
【0006】
上記特許文献1に開示された発光表示装置は、構成が簡素で、メッセージとともにメッセージとは非同期で飾りパターンを表示するようにしたものである。すなわち、この発光表示装置は、マトリックス状に配列した複数のLED発光素子からなるLED表示部と、DMA転送回路、RAM、VRAM、LED駆動回路と、を備え、DMA転送回路がRAMからVRAMに複数のLEDのオン・オフを表すメッセージデータおよび飾りパターンデータを転送し、LED駆動回路がVRAMに転送されたメッセージデータおよび飾りパターンデータを各々対応する表示条件で、それぞれのデータに対応する複数のLEDを駆動するように構成し、LED表示部にメッセージとともにメッセージとは非同期で飾りパターンを表示するように構成されている。
【0007】
ところで、図9に示すようなマトリックスタイプの発光表示ユニットを用い、データ情報と飾りパターンを表示する発光表示装置において、テキストなどのデータ情報をできるだけ大きく表示して表示内容を目立たせたいというユーザの要求がある。このような要求を満たすためには、発光表示ユニットのドット数すなわち、発光素子数を増やせばよいが、発光素子数を増やすと、発光表示装置が大型になり、コストが増大することになり好ましくない。
【0008】
上記のような発光表示装置においてはデータ情報を表示するデータ情報表示領域の周囲に1〜数ラインの飾りパターンを表示する飾りパターン表示領域が設けられている。そこで、飾りパターン表示領域をデータ情報の表示領域として共通に使用し、表示するデータ情報によっては、その表示の一部を飾りパターン表示領域の発光素子を用いて表示するように制御してデータ情報の表示を大きくすることによって、上記のようなユーザ要求を満たす構成とすることができる。
【特許文献1】特開平11−316569号公報(図1、図3、図9、段落[0023]、[0024])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、飾りパターン表示領域をデータ情報の表示領域として共通に使用すると、飾りパターン表示領域にデータ情報の一部が表示された場合に、飾りパターン表示とデータ情報の表示との境界が不鮮明になる。上記特許文献1に開示された発光表示装置においては、飾りパターン表示をデータ情報表示領域中に表示する際に、飾りパターン表示を優先表示することが開示されているが(特許文献1、図9参照)、このような表示制御を行うと飾りパターン表示と重なった部分のデータ情報の表示が欠落してしまうので好ましくない。
【0010】
そして、飾りパターン表示領域をデータ情報の表示領域として共通に使用した場合、飾りパターン表示領域に表示されるデータ情報の量、すなわち、飾りパターン表示領域を構成する発光素数(ドット数)に占めるデータ情報の表示ドット数の割合が多くなると、飾りパターンの表示ドット数が少なくなり、部分的に数ドットの発光素子が点灯されるとユーザに発光素子の故障と間違われる可能性が生じるという問題点が生じる。
【0011】
本願の発明者は上記の問題点を解消すべく種々検討を重ねた結果、飾りパターンの表示領域をデータ情報の表示領域と共通に使用し、飾りパターン表示領域にデータ情報の一部が表示される場合には、飾りパターン表示領域に表示されるデータ情報のドット数の割合が大きい場合には飾りパターンを表示する発光素子(ドット)を消灯するように制御すれば、前述の問題点を解消し得ることに着想して本発明を完成するに至ったものである。
【0012】
すなわち、本発明は上記の問題点を解消することを課題とし、マトリクス状に配列された複数の発光素子からなる発光表示ユニットに文字などのデータ情報を表示し、その周囲に飾りパターンを表示する発光表示装置であって、飾りパターンの表示領域をデータ情報の表示領域と共通に使用する発光表示装置において、飾りパターン表示領域に表示されるデータ情報と飾りパターンの表示割合によって飾りパターンの表示を適切に制御するようにした発光表示装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかる発明は、
マトリクス状に配列された複数の発光素子からなり、前記複数の発光素子のオン・オフによって画像情報を表示する発光表示ユニットと、前記発光表示ユニットに表示する画像データを展開するVRAMと、前記VRAMにデータを展開するための制御手段とを備えた発光表示装置において、
前記発光表示ユニットは、データ情報の表示領域とその周囲に設定された飾りパターン表示領域とに区分され、前記飾りパターン表示領域はデータ情報の表示領域と共通に使用され、
前記制御手段は、データ情報と飾りパターンのデータを前記VRAMに展開する際に、データ情報の一部が飾りパターン表示領域に表示される場合、当該データ情報の一部をVRAMに展開するとともに、飾りパターン表示領域に表示されるデータ情報の割合が飾りパターン表示領域全体に対して所定割合以上である場合には、飾りパターン表示領域に表示される飾りパターンのデータを前記VRAMに展開しないように制御することを特徴とする。
【0014】
また、本願の請求項2にかかる発明は、請求項1にかかる発明において、前記所定の割合は飾りパターン表示領域全体の50%であることを特徴とする。
【0015】
本願の請求項3にかかる発明は、
マトリクス状に配列された複数の発光素子からなり、前記複数の発光素子のオン・オフによって画像情報を表示する発光表示ユニットと、前記発光表示ユニットに表示する画像データを展開するVRAMと、前記VRAMにデータを展開するための制御手段とを備えた発光表示装置における表示制御方法において、
前記発光表示ユニットは、データ情報の表示領域とその周囲に設定された飾りパターン表示領域とに区分され、前記飾りパターン表示領域はデータ情報の表示領域と共通に使用され、
前記制御手段は、データ情報と飾りパターンのデータを前記VRAMに展開する際に、データ情報の一部が飾りパターン表示領域に表示される場合、当該データ情報の一部をVRAMに展開するとともに、飾りパターン表示領域に表示されるデータ情報の割合が飾りパターン表示領域全体に対して所定割合以上である場合には、飾りパターン表示領域に表示される飾りパターンのデータを前記VRAMに展開しないように制御するステップを含むことを特徴とする。
【0016】
また、本願の請求項4にかかる発明は、請求項3にかかる発明において、前記所定の割合は飾りパターン表示領域全体の50%であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1、請求項2にかかる発明においては、制御手段は、データ情報と飾りパターンのデータを前記VRAMに展開する際に、データ情報の一部が飾りパターン表示領域に表示される場合、当該データ情報の一部をVRAMに展開するとともに、飾りパターン表示領域に表示されるデータ情報の割合が飾りパターン表示領域全体に対して所定割合以上、例えば、50%以上である場合には、飾りパターン表示領域に表示される飾りパターンのデータを前記VRAMに展開しないように制御する。
【0018】
従って、飾りパターン表示領域に表示される飾りパターンのドット数が少ない場合には飾りパターンを表示するドットが消灯されるので発光素子の誤動作と誤認されることがなくなる。
【0019】
請求項3、請求項4にかかる発明においては、制御手段は、データ情報と飾りパターンのデータを前記VRAMに展開する際に、データ情報の一部が飾りパターン表示領域に表示される場合、当該データ情報の一部をVRAMに展開するとともに、飾りパターン表示領域に表示されるデータ情報の割合が飾りパターン表示領域全体に対して所定割合以上、例えば、50%以上である場合には、飾りパターン表示領域に表示される飾りパターンのデータを前記VRAMに展開しないように制御するステップを含む。
【0020】
従って、飾りパターン表示領域に表示される飾りパターンのドット数が少ない場合には飾りパターンを表示するドットが消灯されるので発光素子の誤動作と誤認されることがなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の実施例にかかる発光表示装置の構成を示すブロック図である。図2は、図1の発光表示装置における発光表示ユニットの構成を示す図である。図3は、VRAMに表示すべきデータを展開する制御方法を示す模式図であり、図3(a)はデータ情報をVRAMに展開する様子を仮想的に示す模式図、図3(b)は飾りパターンのデータをVRAMに展開する様子を仮想的に示す模式図である。
【0022】
図4は、表示データの展開の様子を説明するための模式図であり、図4(a)は飾りパターン表示領域にデータ情報を展開する前の状態を示す模式図、図4(b)は飾りパターン表示領域にデータ情報を優先して展開した状態を示す模式図、図4(c)は飾りパターン表示領域の発光素子の点灯、消灯を決定する際の各ドット制御の進み方を示す模式図である。図5は、図4の表示制御を行う手順を示すフローチャートである。
【0023】
図6は、表示データの展開の様子を説明するための模式図であり、図6(a)は飾りパターン表示領域121にデータ情報を展開する前の状態を示す模式図、図6(b)は、飾りパターン表示領域121に表示されるデータ情報のドット数が所定割合以上の場合、飾りパターンを表示する発光素子を消灯した状態を示す模式図、図6(c)は飾りパターン表示領域121にデータ情報が表示されないドットが連続して一定数以下である場合に当該連続するドットを消灯した状態を示す図である。
【0024】
図7は、図6(b)の表示制御を行う手順を示すフローチャートであり、図8は、図6(c)の表示制御を行う手順を示すフローチャートである。
【実施例】
【0025】
本発明の実施例にかかる発光表示装置10は、図1に示すように発光表示ユニット12、CPU14、表示コントローラ16、ROM11、RAM13、VRAM15を備えて構成されている。発光表示ユニット12は図2に示すようにLEDなどの発光素子120をマトリックス状に配列して構成され、テキストや絵文字などのデータ情報を表示するデータ情報表示領域122とその周辺に飾りパターンを表示する飾りパターン表示領域121が設けられている。この発光表示ユニット12は、例えば、縦12ドット、横48ドットの発光素子で構成され、データ情報は全角1文字を12×12ドットの発光素子で表示するように構成されている。従って、データ情報は全角4文字を表示することができる。
【0026】
この発光表示ユニット12において、データ情報表示領域122はデータ情報の表示のみに使用される非共用部であり、飾りパターン表示領域121はデータ情報の表示と飾りパターンの表示に共用される共用部である。飾りパターン表示領域121は例えばデータ情報表示領域122の周辺の各1ライン分の発光素子が用いられる。
【0027】
この発光表示装置10において、CPU14は発光表示装置10全体の制御を行うものである。ROM11は各種のプログラムおよび各種のデータを記憶するものであり例えばフォントデータなどが記憶されている。RAM13には図示しないパーソナルコンピュータなどの装置から受信するデータ情報や飾りパターンのデータをCPU14の制御により記憶する。RAM13に書き込まれたデータ情報(表示データ)や飾りパターンのデータはCPU14の制御により図示しないDMA転送回路を用いてVRAM15に転送され、展開される。VRAM15は図2に示す発光表示ユニット12の各発光素子120に対応した構成を持ち、各発光素子毎にドット単位で表示すべきデータが展開される。
【0028】
表示コントローラ16はVRAM15に展開されたデータ情報や飾りパターンのデータを発光表示ユニット12に表示するため、各々の発光素子120の点灯、消灯を制御する。また、ROM11には、データ情報を表示するためのデータ表示用プログラム、表示時間、表示周期等の表示条件を含む飾りパターン表示用プログラム等の各種のプログラム、および複数の種類の飾りパターンデータ等の各種のデータが予め記憶されている。データ表示用プログラムと飾りパターン表示用プログラムは、飾りパターン表示領域121にデータ情報の一部が表示される場合に後述する表示制御を行うように構成されている。
【0029】
次に、飾りパターンの表示領域121をデータ情報の表示領域122と共通に使用する場合におけるVRAM15への表示データの展開方法について説明する。図3は、VRAM15に表示すべきデータを展開する制御方法を示す模式図であり、図3(a)はデータ情報をVRAM15に展開する様子を仮想的に示す模式図、図3(b)は飾りパターンのデータをVRAM15に展開する様子を仮想的に示す模式図である。
【0030】
図3(a)に示すように、データ情報である「営業中」のテキストが表示される場合、飾りパターン表示領域121がデータ情報の表示のために共用され、データ情報の一部、が参照符号41で示すように飾りパターン表示領域121に展開される。一方飾りパターンのデータは図3(b)に示すように飾りパターン表示領域121に展開され、実際のVRAM15には、図3(a)のデータ情報と図3(b)の飾りパターンのデータが重ね合わされて展開される。ただし、飾りパターン表示領域121においてデータ情報と飾りパターンのデータが重なる部分(参照符号41)は、データ情報を優先して展開する。
【0031】
このようにデータ情報と飾りパターンのデータをVRAM15に展開すると、飾りパターン表示領域121においてデータ情報が展開される部分(図3(a)参照符号41)と隣接する発光素子、例えば、図3(a)の参照符号42で示す素子にも飾りパターンのデータを展開すると、データ情報と飾りパターンの表示の境界が明瞭でなくなる。
【0032】
これを回避するため、図4に示すように、VRAM15に表示データを展開する際に、飾りパターン表示領域121にデータ情報の一部が展開される場合、当該一部のデータ情報に隣接する飾りパターン表示領域121の発光素子を消灯するようにデータ展開する。このようにすれば、飾りパターン表示領域121のデータ情報に隣接した発光素子が消灯されるため、データ情報と飾りパターンのデータとが明瞭に区別できるようになる。
【0033】
図4はこの様子を説明するための模式図であり、図4(a)は飾りパターン表示領域121にデータ情報を展開する前の状態を示す模式図、図4(b)は飾りパターン表示領域121にデータ情報を重ね合わせ、データ情報を優先して展開した状態を示す模式図、図4(c)は飾りパターン表示領域121の発光素子の点灯、消灯を決定する際の各ドット制御の進み方を示す模式図である。すなわち、図4(b)に示すように飾りパターン表示領域121にデータ情報の一部41が展開される場合、隣接する発光素子42を消灯状態とするように飾りパターンのデータを展開する。
【0034】
以上のように構成された発光表示装置10の表示制御手順について説明する。図5は、図4の表示制御を行う手順を示すフローチャートである。CPU14によりRAM13に記憶した飾りパターンとデータ情報のVRAM15への表示データの展開が開始されると、CPU14は、ステップS10の処理において飾りパターンのデータがあるかを判定する。飾りパターンのデータがなければ、ステップS19の処理に進みデータ情報の全体をVRAM15に展開してVRAM15の更新処理を終了する。
【0035】
ステップS10の処理において飾りパターンのデータがあるとステップS11の処理に進み、飾りパターンのデータを作成する。次いで、ステップS12の処理においてデータ情報のうち、データ情報表示領域122(非共用部分)に表示すべきデータをVRAM15に展開し、ステップS13の処理において変数iをセットしてステップS14の処理に進む。変数iは飾りパターン表示領域121の全ドット(発光素子)数(サイズ:size)であり、初期値は図4(c)の矢印の任意のスタート位置として設定すればよい。例えば、左最上部のドットを1として初期値を設定する。
【0036】
次いで、ステップS14の処理において飾りパターン表示領域121のドットiにデータ情報の表示データがあるかを判定する。データ情報があれば、ステップS17の処理に進みデータ情報のドットiをVRAM15のドットiに展開(コピー)する。飾りパターン表示領域121のドットiにデータ情報の表示データがない場合は、ステップS15の処理において飾りパターン表示領域121のドットiの両隣にデータ情報の表示データがあるかを判定する。飾りパターン表示領域121のドットiの両隣にデータ情報の表示データがない場合は、ステップS17の処理に進みデータ情報のドットiをVRAM15のドットiに展開(コピー)する。
【0037】
ステップS15の処理において飾りパターン表示領域121のドットiの両隣にデータ情報の表示データがない場合は、ステップS16の処理において、飾りパターンのデータのドットiをVRAM15のドットiに展開する。そしてステップS18の処理において変数iをプラス「1」し、ステップし20の処理において飾りパターン表示領域121の全ドット数に達しているかを判定し、全ドット数(size)に達していなければステップS14の処理に戻り、次のドットについて同様の処理を行い飾りパターン表示領域121の全ドットについて上記の処理を繰り返す。
【0038】
すなわち、ステップS14〜ステップS20の処理においては、ドットiにデータ情報の表示データがなく、かつ、その両隣のドットにデータ情報の表示データがない場合にのみ飾りパターンのデータをVRAM15のドットiに展開する処理をおこなうため、ドットiにデータ情報の表示データがある場合、ドットiに隣接するドットには飾りパターンのデータが展開されず、当該隣接ドットは消灯状態にされる。
【0039】
ところで、上記のように飾りパターン表示領域にデータ情報の一部を優先して表示する表示制御を行った場合、飾りパターン表示領域121に表示されるデータ情報のドット数が多くなると、飾りパターンが表示されるドット数が少なくなり、部分的に数ドットの発光素子が点灯されるとユーザに発光素子の故障と間違われる可能性が生じる。
【0040】
これを防止するためは、第1には、飾りパターン表示領域121に表示されるデータ情報のドット数の飾りパターン表示領域121全体のドット数に占める割合によって飾りパターンを表示するかしないかを決定し、飾りパターン表示領域121に表示されるデータ情報のドット数の割合が大きい場合には飾りパターンを表示する発光素子(ドット)を消灯し、飾りパターン表示領域121をデータ情報の表示だけにすればよい。図6は、この様子を説明するための模式的図であり、図6(a)は、飾りパターン表示領域121にデータ情報を展開する前の状態を示す模式図、図6(b)は、飾りパターン表示領域121に表示されるデータ情報のドット数が所定割合以上の場合、飾りパターンを表示する発光素子を消灯した状態を示す模式図である。
【0041】
このように表示すると、飾りパターン表示領域121に表示される飾りパターンのドット数が少ない場合には飾りパターンを表示するドットが消灯されるので発光素子の誤動作と誤認されることがなくなる。
【0042】
あるいは、第2には、飾りパターン表示領域121にデータ情報が表示されないドットが連続して一定数以下、例えば、飾りパターン表示領域121全体のドット数の1/4以下である場合には、当該連続するドットを消灯し、飾りパターンを表示しないように制御すればよい。図6(c)は飾りパターン表示領域121にデータ情報が表示されないドットが連続して一定数以下である場合に当該連続するドットを消灯した状態を示す図である。
このように表示すると、飾りパターン表示領域121に表示する連続ドット数が小さい部分には飾りパターンが表示されず、発光素子の誤動作と誤認されることがなくなる。
【0043】
図7は、上記第1の表示制御を行う手順を示すフローチャートである。CPU14によりRAM13に記憶した飾りパターンとデータ情報のVRAM15への表示データの展開が開始されると、CPU14は、ステップS30の処理において飾りパターンのデータがあるかを判定する。飾りパターンのデータがなければ、ステップS41の処理に進みデータ情報の全体をVRAM15に展開してVRAM15の更新処理を終了する。
【0044】
ステップS30の処理において飾りパターンのデータがあるとステップS31の処理に進み、飾りパターンのデータを作成する。次いで、ステップS32の処理においてデータ情報のうち、データ情報表示領域122(非共用部分)に表示すべきデータをVRAM15に展開し、ステップS33の処理において変数i、sumをセットしてステップS34の処理に進む。変数iは飾りパターン表示領域121の全ドット(発光素子)数(サイズ:size)であり、例えば、左最上部のドットを「0」として初期値を設定する。変数sumは計算用合計値であり初期値は「0」である。
【0045】
次いで、ステップS34の処理において飾りパターン表示領域121のドットiにデータ情報の表示データがあるかを判定する。データ情報があれば、ステップS35の処理に進み、計算用合計値sumを+1し、ステップS36の処理において変数iを+1してステップS37の処理に進む。ステップS37の処理において、飾りパターン表示領域121の全ドット数に達しているかを判定し、全ドット数(size)に達していなければステップS34の処理に戻り、次のドットについて同様の処理を行い飾りパターン表示領域121の全ドットについて上記の処理を繰り返す。
【0046】
ステップS34の処理において、飾りパターン表示領域121の全ドット数に達していればステップS38の処理において計算用合計値sumが飾りパターン表示領域121の全ドット数の50%を超えているかを判定する。すなわち、飾りパターン表示領域121に表示されるデータ情報のドット数の割合が50%以上であるかを判定する。50%以上である場合いには、ステップS40の処理に進み、飾りパターン表示領域121に表示されるデータ情報をVRAM15に展開する。
【0047】
ステップS34の処理において、飾りパターン表示領域121に表示されるデータ情報のドット数の割合が50%に達していなければステップS39において飾りパターンのデータをVRAM15に展開して処理を終了する。このように制御することにより、飾りパターン表示領域121に表示されるデータ情報のドット数の割合が大きい場合には飾りパターンを表示する発光素子(ドット)を消灯し、飾りパターン表示領域121をデータ情報の表示だけにすることができる。従って飾りパターン表示領域121に表示される飾りパターンのドット数が少ない場合には飾りパターンを表示するドットが消灯されるので発光素子の誤動作と誤認されることがなくなる。
【0048】
図8は、上記第2の表示制御を行う手順を示すフローチャートである。CPU14によりRAM13に記憶した飾りパターンとデータ情報のVRAM15への表示データの展開が開始されると、CPU14は、ステップS50の処理において飾りパターンのデータがあるかを判定する。飾りパターンのデータがなければ、ステップS69の処理に進みデータ情報の全体をVRAM15に展開してVRAM15の更新処理を終了する。
【0049】
ステップS50の処理において飾りパターンのデータがあるとステップS51の処理に進み、飾りパターンのデータを作成する。次いで、ステップS52の処理においてデータ情報のうち、データ情報表示領域122(非共用部分)に表示すべきデータをVRAM15に展開し、ステップS53の処理において変数i、cnt、first cntをセットしてステップS34の処理に進む。変数iは飾りパターン表示領域121の全ドット(発光素子)数(サイズ:size)であり、例えば、左最上部のドットを「0」として初期値を設定する。変数cntおよびfirst cntは計算用変数でありcntの初期値は「0」、first cntの初期値は「−1」である。
【0050】
次いで、ステップS54の処理において飾りパターン表示領域121のドットiにデータ情報の表示データがあるかを判定する。ドットiにデータ情報がなければステップS68の処理において変数cntを+1してステップS61の処理に進む。
【0051】
ステッフS54の処理において、ドットiにデータ情報があれば、ステップS55の処理において、データ情報のドットiをVRAM15のドットiに展開(コピー)してステップS56の処理に進む。ステップS56の処理において変数first cntが「0」より小さいかを判定し、「0」より小さい場合はステップS70の処理において変数first cntを変数cntの値に置き換えてステップS60の処理に進む。
【0052】
ステップS56の処理において変数first cntが「0」より小さいかを判定し、「0」より小さくない場合は、ステップS57の処理において変数cntが飾りパターン表示領域121の全ドット数の1/4以上かを判定する。1/4以上でない場合、ステップS59の処理においてデータ情報のi−cntドット目からcnt分のデータをVRAM15に展開(コピー)する。
【0053】
ステップS57の処理において変数cntが飾りパターン表示領域121の全ドット数の1/4以上である場合は、ステップS58の処理において飾りパターンのi−cntドット目からcnt分のデータをVRAM15に展開(コピー)する。
【0054】
次に、ステップS60の処理において、変数cntを「0」にしてステップS61の処理において変数iを+1してステップS62の処理に進み、ステップS62の処理において、飾りパターン表示領域121の全ドット数に達しているかを判定し、全ドット数(size)に達していればステップS44の処理に戻り、次のドットについて同様の処理を行い飾りパターン表示領域121の全ドットについて上記の処理を繰り返す。
【0055】
ステップS62の処理において、飾りパターン表示領域121の全ドット数に達していなければ、ステップS63の処理において変数cntが飾りパターン表示領域121の全ドット数に達しているかを判定し、全ドット数(size)に達していればステップS65の処理において、飾りパターンのデータの「0」ドット目から全ドット数(size)分のデータをVRAM15に展開(コピー)して処理を終了する。
【0056】
ステップS63の処理において変数cntが飾りパターン表示領域121の全ドット数に達しているかを判定し、全ドット数(size)に達していなければステップS64の処理において、変数first cnt+変数cntの値が飾りパターン表示領域121の全ドット数の1/4以上であるかを判定する。変数first cnt+変数cntの値が飾りパターン表示領域121の全ドット数の1/4以上である場合には、ステップS66の処理において飾りパターンのデータの「0」ドット目からfirst cnt分と、飾りパターンのデータのi−cntドット目からcnt分のデータをVRAM15に展開(コピー)して処理を終了する。
【0057】
ステップS64の処理において、変数first cnt+変数cntの値が飾りパターン表示領域121の全ドット数の1/4以上でない場合は、ステップS67の処理においてデータ情報の「0」ドット目からfirst cnt分と、データ情報のi−cntドット目からcnt分のデータをVRAM15に展開(コピー)して処理を終了する。
【0058】
このように表示制御することにより、飾りパターン表示領域121にデータ情報が表示されないドットが連続して一定数以下、例えば、飾りパターン表示領域121全体のドット数の1/4以下である場合には、当該連続するドットを消灯することができる。従って、飾りパターン表示領域121に表示する連続ドット数が小さい部分には飾りパターンが表示されず、発光素子の誤動作と誤認されることがなくなる。
【0059】
なお、図7および図8の表示制御に図3〜図5で説明した表示制御手順を併用することもできる。
【0060】
以上詳細に説明したように、本発明にかかる発光表示装置によれば、飾りパターン表示領域121に表示される飾りパターンのドット数が少ない場合に飾りパターンを表示するドットが消灯されるので発光素子の誤動作と誤認されることがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の実施例にかかる発光表示装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1の発光表示装置における発光表示ユニットの構成を示す図である。
【図3】VRAMに表示すべきデータを展開する制御方法を示す模式図であり、図3(a)はデータ情報をVRAMに展開する様子を仮想的に示す模式図、図3(b)は飾りパターンのデータをVRAMに展開する様子を仮想的に示す模式図である。
【図4】表示データの展開の様子を説明するための模式図であり、図4(a)は飾りパターン表示領域にデータ情報を展開する前の状態を示す模式図、図4(b)は飾りパターン表示領域にデータ情報を優先して展開した状態を示す模式図、図4(c)は飾りパターン表示領域の発光素子の点灯、消灯を決定する際の各ドット制御の進み方を示す模式図である。
【図5】図4の表示制御を行う手順を示すフローチャートである。
【図6】表示データの展開の様子を説明するための模式図であり、図6(a)は飾りパターン表示領域121にデータ情報を展開する前の状態を示す模式図、図6(b)は、飾りパターン表示領域121に表示されるデータ情報のドット数が所定割合以上の場合、飾りパターンを表示する発光素子を消灯した状態を示す模式図、図6(c)は飾りパターン表示領域121にデータ情報が表示されないドットが連続して一定数以下である場合に当該連続するドットを消灯した状態を示す図である。
【図7】図6(b)の表示制御を行う手順を示すフローチャートである。
【図8】図6(c)の表示制御を行う手順を示すフローチャートである。
【図9】複数の発光素子をマトリックス状に配列した一般的な発光表示ユニットの構成を示す図である。
【符号の説明】
【0062】
10 発光表示装置
11 ROM
12 発光表示ユニット
13 RAM
14 CPU
15 VRAM
16 表示コントローラ
120 発光素子
121 飾りパターン表示領域(共用部)
122 データ情報表示領域(非共用部)




【特許請求の範囲】
【請求項1】
マトリクス状に配列された複数の発光素子からなり、前記複数の発光素子のオン・オフによって画像情報を表示する発光表示ユニットと、前記発光表示ユニットに表示する画像データを展開するVRAMと、前記VRAMにデータを展開するための制御手段とを備えた発光表示装置において、
前記発光表示ユニットは、データ情報の表示領域とその周囲に設定された飾りパターン表示領域とに区分され、前記飾りパターン表示領域はデータ情報の表示領域と共通に使用され、
前記制御手段は、データ情報と飾りパターンのデータを前記VRAMに展開する際に、データ情報の一部が飾りパターン表示領域に表示される場合、当該データ情報の一部をVRAMに展開するとともに、飾りパターン表示領域に表示されるデータ情報の割合が飾りパターン表示領域全体に対して所定割合以上である場合には、飾りパターン表示領域に表示される飾りパターンのデータを前記VRAMに展開しないように制御することを特徴とする発光表示装置。
【請求項2】
前記所定の割合は飾りパターン表示領域全体の50%であることを特徴とする請求項1に記載の発光表示装置。
【請求項3】
マトリクス状に配列された複数の発光素子からなり、前記複数の発光素子のオン・オフによって画像情報を表示する発光表示ユニットと、前記発光表示ユニットに表示する画像データを展開するVRAMと、前記VRAMにデータを展開するための制御手段とを備えた発光表示装置における表示制御方法において、
前記発光表示ユニットは、データ情報の表示領域とその周囲に設定された飾りパターン表示領域とに区分され、前記飾りパターン表示領域はデータ情報の表示領域と共通に使用され、
前記制御手段は、データ情報と飾りパターンのデータを前記VRAMに展開する際に、データ情報の一部が飾りパターン表示領域に表示される場合、当該データ情報の一部をVRAMに展開するとともに、飾りパターン表示領域に表示されるデータ情報の割合が飾りパターン表示領域全体に対して所定割合以上である場合には、飾りパターン表示領域に表示される飾りパターンのデータを前記VRAMに展開しないように制御するステップを含むことを特徴とする発光表示装置における表示制御方法。
【請求項4】
前記所定の割合は飾りパターン表示領域全体の50%であることを特徴とする請求項3に記載の発光表示装置における表示制御方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−234901(P2006−234901A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−45551(P2005−45551)
【出願日】平成17年2月22日(2005.2.22)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)鳥取三洋電機株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】