説明

発光表示装置

【課題】表示内容を構成する遮光された頂面9及び透光性の側面10を有する透光性材料製の凸状表示部4が、打ち抜き孔8を有する遮光性基板5に、打ち抜き孔8から頂面9を前面側に突出させて取り付けられた表示プレート6と、光源からの光を前面から放出する光散乱板2とを備えており、表示プレート6が、光散乱板2の前面に後面を向けて取り付けられた発光表示装置について、光散乱板2から凸状表示部4へ導入される光量を増大させ、輝度の高い光源を用意することなく明るい表示を可能とし、発光表示装置のコストを低減できるようにする。
【解決手段】少なくとも表示プレート6の凸状表示部4の底面11と、光散乱板2との間に、屈折率が空気より凸状表示部4及び光散乱板2に近い透光性の密着性材料3が、少なくとも表示プレート6に対して剥離可能に挟み込まれて両者に対して密着された発光表示装置とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面側に突出し、頂面が遮光された凸状表示部の側面を光らせることで、光に縁取られた遮光部によって表示を行う発光表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光に縁取られた遮光部によって表示を行う発光表示装置としては、特許文献1に示されるような発光式ナンバープレートが知られている。特許文献1の発光式ナンバープレートは、表示する文字を構成する遮光された頂面及び透光性の側面を有する透光性材料製の凸状表示部(肉文字)を、打ち抜き孔(文字孔)を有する遮光性基板(文字基板)に、頂面を打ち抜き孔から前面側に突出させて取り付けた表示プレート(ナンバープレート)を備えている。この表示プレートは、内部に照明灯を有するケースの開口部に、凸状表示部の頂面側を外側にして取り付けられて発光式ナンバープレートを構成している。このように構成されている特許文献1の発光式ナンバープレートは、凸状表示部の底面から入射した照明灯の光を凸状表示部の側面から出光させることで、遮光された凸状表示部の頂面を光で縁取って文字を認識できるようにするものとなっている。
【0003】
一方、特許文献2に示されるように、発光式ナンバープレートにおける表示プレートへの光の供給を、LED等の光源から導光板を介して行うことも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−159010号公報
【特許文献2】特開2005−145200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示される発光式ナンバープレートのように、凸状表示部の底面へ直接光源の光を当てる方式の発光表示装置では、凸状表示部毎の明るさにムラを生じやすい問題がある。
【0006】
一方、光源と表示プレートの間に光を散乱させる光散乱板を介在させたり、特許文献2に示されるような導光板を介在させることで、凸状表示部毎の明るさのムラを軽減することができる。
【0007】
しかしながら、光散乱板や導光板等の光透過性プレートを介在させた場合、光透過性プレート前面及び凸状表示部底面と、両者間に挟まれた空気層との間の各界面での反射により、光源の光を直接凸状表示部の底面に照射した場合に比して凸状表示部に導入される光量が減ってしまう。このため、明るい表示を維持するためにはより輝度の高い光源を用意することが必要になって、コストが嵩みやすい問題がある。
【0008】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたもので、光源と表示プレートとの間に、光源からの光を前面から放出する光透過性プレートが介在した発光性表示装置について、光透過性プレートから凸状表示部へ導入される光量を増大させ、輝度の高い光源を用意することなく明るい表示を可能とし、発光表示装置のコストを低減できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記目的を達成するために、表示内容を構成する遮光された頂面及び透光性の側面を有する透光性材料製の凸状表示部が、打ち抜き孔を有する遮光性基板に、前記打ち抜き孔から前記頂面を前面側に突出させて取り付けられた表示プレートと、光源からの光を前面から放出する光透過性プレートとを備えており、前記表示プレートが、前記光透過性プレートの前面に後面を向けて取り付けられた発光表示装置において、
少なくとも表示プレートの前記凸状表示部の底面と、前記光透過性プレートとの間に、屈折率が空気より前記凸状表示部及び前記光透過性プレートに近い透光性の密着性材料が、少なくとも表示プレートに対して剥離可能に挟み込まれて両者に対して密着されていることを特徴とする発光表示装置を提供するものである。
【0010】
上記本発明に係る発光表示装置は、前記密着性材料がゲルであること、
前記密着性材料がゲルで、弾性材料で構成された枠材の内側に充填されていること、
発光式ンバープレート、発光式表札又は発光式看板を構成していること、
前記光源がLED素子で、該LED素子からの光を前面から放出する導光板を備え、しかも発光式ナンバープレートを構成しており、前記導光板が、ナンバープレートの用途表示と車両番号とを構成する各文字の間に対応する位置に、前記各文字間を仕切る直線状の貫通溝を有し、しかも前記LED素子が、前記貫通溝で区切られた前記導光板の領域毎に対応して一又は複数設けられている一方、前記光透過性プレートが、前記導光板の前面と前記表示パネルとの間に設けられていること
をその好ましい態様として含むものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の発光表示装置においては、光透過性プレートと凸状表示部の底面との間に透光性の密着性材料が挟み込まれて両者に密着されているため、光透過性プレートと凸状表示部の底面との間から空気層を排除することができる。また、密着性材料は、屈折率が空気より凸状表示部及び光透過性プレートに近いことから、光透過性プレートから凸状表示部に至るまでの界面での反射が軽減され、凸状表示部に導入される光量の減少を抑えることができる。このため、光透過性プレートによる凸状表示部毎の明るさの均一化を図りつつ、明るい表示を維持することができ、均一な明るさの表示を、輝度の高い光源を用いることによるコストアップを抑えつつ実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る発光表示装置を発光式ナンバープレートとした場合の一例を示す平面図である。
【図2】図1に示されるA−A断面における中間部を省略した拡大分解図である。
【図3】表示プレートの凸状表示部付近の拡大断面図である。
【図4】図1及び図2に示される発光表示装置の表示プレート及び光透過性プレートを外した状態の平面図である。
【図5】1及び図2に示される発光表示装置の表示プレートを外した状態の平面図である。
【図6】密着性材料を凸状表示部と光透過性プレートとの間に介在させる場合の他の例を示す断面図である。
【図7】本発明に係る発光表示装置を表札とした場合の一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に基づいて本発明を説明する。なお、以下に参照する各図面において、同じ符号は同様の構成要素を示す。
【0014】
本発明に係る発光表示装置を発光式ナンバープレートとした場合の一例を図1〜図5で説明する。
【0015】
本例に係る発光表示装置は、図1及び図2に示されるように、ケース1と、光散乱板2と、透光性の密着性材料3と、凸状表示部4及び遮光性基板5を有する表示プレート6と、縁材7とを備えている。
【0016】
まず、表示プレート6について説明すると、表示プレート6を構成する遮光性基板5は、例えば金属等の遮光性材料で構成されたもので、図2及び図3に示されるように、凸状表示部4を取り付けるための打ち抜き孔8が形成されたものとなっている。遮光性基板5は、本例のような光式ナンバープレートとする場合、通常金属で構成されるが、後述する発光式表札や発光式看板とする場合、着色合成樹脂や木材で構成することもできる。
【0017】
凸状表示部4は、例えばポリカーボネイト、ポリエステル等の合成樹脂や硝子等の透光性材料で構成されている。凸状表示部4を構成する透光性材料としては、着色透明材料を用いることもできるが、明るい表示を行いやすくするためには透明材料であることが好ましい。
【0018】
凸状表示部4は、遮光された頂面9と、頂面に続く透光性の側面10とを有し、頂面9を打ち抜き孔8から前面(外面)側に突出させて、遮光性基板5に取り付けられている。凸状表示部4の頂面9の遮光は、例えば遮光性の塗料を付設することで行うことができる。また、本例における凸状表示部4の遮光性基板5への取り付けは、凸状表示部4の底面11側の周囲を打ち抜き孔8より外方へ張り出した張出部12としておき、この張出部12を遮光性基板5に接着することで行われている。
【0019】
凸状表示部4の遮光された頂面9は、表示内容を構成するもので、本例における凸状表示部4の頂面は、図1に示されるように、ナンバープレートに表記される文字を構成している。具体的には、上段の「富士山」との地名表示、それに続く「480」との分類番号、下段左端の「あ」との平仮名による用途表示、それに続く「48−48」との車両番号を構成している。本発明に係る発光表示装置による表示内容としては、文字の他、記号、図形、模様であっても良い。どのような表示内容とするかは、発光表示装置の用途に応じて選択すれば足りる。
【0020】
凸状表示部4は、表示単位(例えば一文字、一記号、図形や模様の一単位)毎に分割して形成することもできるが、例えば張出部12をつなげておくことで、複数の表示単位が連なった状態で形成することもできる。また、凸状表示部4において、例えば数字の8や4等のように、表示すべきラインで囲まれてしまう箇所を有する場合、図2及び図3に示すように、このような箇所に遮光性基板5と同じ材質で同じ色の埋込板13を取り付けておくと、表示が不鮮明になるのを防止できるので好ましい。
【0021】
図2及び図4に示されるように、ケース1は、浅い箱形をなしており、下辺側の側壁内面に沿って、光源としてLED素子14が内向きに一列に並べて設けられている。また、ケース1内には、LED素子14の光を導く、光透過性プレートである導光板15が収容されている。この導光板15は、一側面がLED素子14に近接して対向しており、この一側面から入射したLED素子14の光を、前面から放出するものとなっている。通常、導光板15は、透明な合成樹脂又は硝子の板で、光源と対向する側面及び光を放出する前面を除く各面に反射処理が施されたものとなっている。なお、16は導光板15の左右の収納位置を規定するためにケース1の底部から立ち上げられた支持壁である。
【0022】
特に図4に示されるように、導光板15には、用途表示と車両番号とを構成する各文字(平仮名、数字、ハイフン)の間に対応する位置に、各文字間を仕切る直線状の貫通溝7が形成されている。また、LED素子14は、貫通溝17で区切られた導光板15の領域毎に対応して一又は複数設けられている。このような構成を採用すると、貫通溝17で区切られた導光板15の各領域に、隣接した領域からの光が入りにくいので、いずれかのLED素子14が損傷して発光しなくなったときに、損傷したLED素子14に対応する領域の文字が暗くなり、LED素子14の損傷を発見しやすくなる。
【0023】
図2及び図5に示されるように、導光板15上には、光源であるLED素子14から導光板15を介して供給される光を前面側へ放出する、光透過性プレートである光散乱板2が重ねられている。また、光散乱板2の前面上には、透光性の密着性材料3が設けられている。表示プレート6は、光透過性プレートである光散乱板2の前面に後面を向けて取り付けられるもので、密着性材料3は、表示プレート6と光散乱板2の間に挟み込まれている。光散乱板2としては、光散乱性の板材の他、フィルムやシートを用いることができる。
【0024】
密着性材料3は、光透過性プレートである光散乱板2の前面と、表示プレート6の後面との間全体に挟み込ませても良いが、表示プレート6を構成する凸状表示部4の底面11の位置に対応して挟み込ませることで、密着性材料3の使用量を節約することが好ましい。密着性材料3は、光散乱板2の前面及び凸状表示部4の底面11に対して密着性の良好な材料で、例えばゲル、エラストマー、両者の積層体を用いることができる。しかし、光散乱板2の前面及び凸状表示部4の底面11に空気層を排除した状態で密着させやすいことから、ゲルが好ましい。密着性材料3としてゲルを用いる場合、挟み付けによるはみ出しを抑制するため、弾性材料で構成された枠材18で囲まれた内側に充填しておくことが好ましい。枠材18を構成する弾性材料としては、スポンジ状の合成樹脂発泡体を用いることができる。また、少なくとも表示プレート6は、密着性材料3に対して剥離可能となっている。表示プレート6が剥離可能であることにより、表示内容や表示形態の変更が可能となる。例えば発光式ナンバープレートの場合ナンバープレートの交換に対応可能となり、発光式表札の場合には字体や色の異なる表示プレート6への交換が可能となり、発光式看板の場合には広告内容の差し替えが可能となる。
【0025】
密着性材料3は、屈折率が、空気よりも、凸状表示部4及び密着性材料3が密着される光透過性プレート(本例では光散乱板2)に近い透光性材料で構成されている。このような材料で構成されていることにより、凸状表示部4及び密着性材料3が密着される光透過性プレートとの界面における反射を抑制でき、表示の輝度向上を図ることができる。また、密着性材料3を構成する材料としては、着色透明材料を用いることもできるが、明るい表示を行いやすくするためには透明材料であることが好ましい。
【0026】
本例における密着性材料3は、光散乱板2の前面に設けられているが、例えば導光板15自体に光の散乱機能を付与し、光散乱板2を省略して、導光板15の前面に設けることもできる。但し、導光板15に貫通溝17を設ける場合、光散乱板2を設けてその前面に設けるようにすると、貫通溝17による密着性材料3の付設位置の制約を受けないので好ましい。
【0027】
本例においては、光源はとしてLED素子14を用いているが、光源としては、白熱電球、蛍光灯等を用いることもできる。光源として白熱電球や蛍光灯を用いる場合、ケース1内の適宜の位置にこれらの光源を一又は複数設置すると共に、導光板15を用いることなく、これらの光源と表示プレート6との間に光散乱板2を介在させる構成とすることができる。この場合も、密着性材料3は表示プレート6と光散乱板2の間に挟み込ませることになる。
【0028】
縁材7は、額縁状の部材で、ケース1の周縁部との間に表示プレート6の周縁部を挟んで保持するものとなっている。この縁材7は、爪部(図示されていない)をケース1に係合させることで取り付けることができるようになっている。また、本例の発光式ナンバープレートは、表示プレート6の遮光性基板5、光散乱板2、導光板15及びケースを貫通するネジ孔19を介して車輌に取り付けられるものとなっている。
【0029】
密着性材料3は、以上説明した例のように、表示プレート6とほぼ同じ大きさの光透過性プレートである光散乱板2と凸状表示部4の底面11の間に介在させても良い。しかし、図6に示されるように、凸状表示部4の底面11の大きさに合わせた大きさの小さな光散乱板2とし、この光散乱板2と凸状表示部4の底面11との間に、凸状表示部4の底面11の大きさに合わせた大きさで介在させることもできる。このようにすると、密着性材料3及び光散乱板2の面積を小さくすることができ、使用材料を節約することができる。
【0030】
本発明に係る発光表示装置は、上述のような発光式ナンバープレートの他に、図7に示されるように、氏又は氏名を表示する凸状表示部4とすることで、発光式表札として用いることができる。表札とする場合氏又は氏名と共に住所等を表示することもできる。なお、図7において、5は遮光性基板、6は表示プレート、7は縁材で、図示されていない内部構造は、既に説明した発光式ナンバープレートの例と同様とすることができる。
【0031】
更に本発明に係る発光式表示装置は、広告内容を表示する凸状表示部4とすることで、発光式看板として用いることもできる。この場合も内部構造は、既に説明した発光式ナンバープレートの例と同様とすることができる。
【符号の説明】
【0032】
1 ケース
2 光散乱板
3 密着性材料
4 凸状表示部
5 遮光性基板
6 表示パネル
7 縁材
8 打ち抜き孔
9 頂面
10 側面
11 底面
12張出部
13 埋込板
14 LED素子
15 導光板
16 支持壁
17 貫通溝
18 枠材
19 ネジ孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示内容を構成する遮光された頂面及び透光性の側面を有する透光性材料製の凸状表示部が、打ち抜き孔を有する遮光性基板に、前記打ち抜き孔から前記頂面を前面側に突出させて取り付けられた表示プレートと、光源からの光を前面から放出する光透過性プレートとを備えており、前記表示プレートが、前記光透過性プレートの前面に後面を向けて取り付けられた発光表示装置において、
少なくとも表示プレートの前記凸状表示部の底面と、前記光透過性プレートとの間に、屈折率が空気より前記凸状表示部及び前記光透過性プレートに近い透光性の密着性材料が、少なくとも表示プレートに対して剥離可能に挟み込まれて両者に対して密着されていることを特徴とする発光表示装置。
【請求項2】
前記密着性材料がゲルであることを特徴とする請求項1に記載の発光表示装置。
【請求項3】
前記密着性材料が、弾性材料で構成された枠材の内側に充填されていることを特徴とする請求項2に記載の発光表示装置。
【請求項4】
発光式ナンバープレート、発光式表札又は発光式看板を構成していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の発光表示装置。
【請求項5】
前記光源がLED素子で、該LED素子からの光を前面から放出する導光板を備え、しかも発光式ナンバープレートを構成しており、前記導光板が、ナンバープレートの用途表示と車両番号とを構成する各文字の間に対応する位置に、前記各文字間を仕切る直線状の貫通溝を有し、しかも前記LED素子が、前記貫通溝で区切られた前記導光板の領域毎に対応して一又は複数設けられている一方、前記光透過性プレートが、前記導光板の前面と前記表示パネルとの間に設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の発光表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−88644(P2013−88644A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−229608(P2011−229608)
【出願日】平成23年10月19日(2011.10.19)
【出願人】(591235522)旭化成テクノプラス株式会社 (5)
【Fターム(参考)】