説明

発光装置、及びその駆動方法

【課題】一部の発光素子の断線(絶縁性の不具合)により発光装置全体が消灯することがなく、さらに一つの定電流電源で明るさにムラを生じることなく、全面を駆動できる発光装置を提供することを課題の一とする。また、明るさを調節できる上記発光装置を提供することを課題の一とする。また、発光素子の使用にともなう経時変化が明るさのムラとして現れにくい発光装置を提供することを課題の一とする。
【解決手段】上記目的を達成するために、発光制御手段が制御する定電流電源に複数の発光パネルを接続した発光装置を用い、それぞれの発光パネルを独立して、逐次駆動すればよい。また、発光装置に設けた複数の発光パネルを万遍なく使用し、積算使用時間に差を生じないようにすればよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電流制御型の発光素子を複数備える発光装置、及びその駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エレクトロルミネッセンス(Electroluminescence)を利用した発光素子の研究開発が盛んに行われている。これらの発光素子は一対の電極間に発光性の物質を含む層を挟んだ構成を有し、その一対の電極間に電圧を印加することにより、発光性の物質から発光が得られる。
【0003】
このような自発光型の発光素子は様々な特徴を備える。例えば、薄型軽量に作製できること、入力信号に対し応答速度が非常に速いことも大きな特徴であり、利点である。
【0004】
エレクトロルミネセンス材料は蒸着法や塗布法などの製法により厚さ1μm以下の膜状に形成することができ、大きな面積を有する面状の発光を容易に得ることができる。例えば、大面積化しても輝度を均一に保つことができる、エレクトロルミネッセンスを用いた照明装置が開示されている(例えば、特許文献1)。このことは、白熱電球やLEDに代表される点光源、あるいは蛍光灯に代表される線光源では得難い特色である。
【0005】
また、白熱電球や蛍光灯よりも発光効率が高いという試算から、次世代の照明器具としてエレクトロルミネセンス(EL)材料を用いた照明装置が注目されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−332773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、第1の電極と第2の電極の間に発光性の有機化合物を含む層を有する発光素子に流れる電流は、第1の電極と第2の電極間に印加する電圧の微小な変化に対し、極めて敏感に変化する特性を有する。具体的には、電圧の変化のおよそ6乗もの変化が電流に現れる場合がある。このような特性から、僅かな駆動電圧の変動が発光素子に過電流を流し、当該発光素子を破壊してしまうという問題がある。
【0008】
また、一定の駆動電圧を印加する場合であっても、当該発光素子の作製において生じる電圧―電流特性のバラツキに由来して、過電流が当該発光素子に流れ、発光素子自身を破壊してしまう場合がある。
【0009】
一方で当該発光素子の発光輝度は、概略電流に比例して増加する特性を有する。従って、当該発光素子は定電圧電源を用いて駆動する方法よりも、定電流電源を用いて駆動する方法が好適である。
【0010】
また、発光装置を照明として用いる場合、使用環境、または用途に応じて明るさを変えられる機能、所謂調光機能を備えた照明装置が望まれる。
【0011】
また、本明細書では一つの発光素子、または複数の発光素子を直列に接続した構成を一つの発光パネルと呼び、定電流電源に接続された一つの発光パネルの明るさは該定電流電源の出力する電流を制御して調整できる。しかし、発光パネルのように直列接続のみからなる構成では、一部の発光素子が断線すると(絶縁性の不具合を起こすと)発光装置全体が消灯してしまうという問題がある。また、直列に接続する発光素子の数を増やすと駆動電圧が高まるため、耐圧特性に優れた部品を用いる必要が生じ、安価な部品の利用が困難になるという問題もある。
【0012】
一方、一つの定電流電源に複数の発光パネルを並列に接続した発光装置の全体の明るさは該定電流電源が出力する電流を制御して調整できる。また、一部の発光素子が断線して(絶縁性の不具合を起こしても)も発光装置全体が消灯することはない。しかし、このような構成においては、それぞれの発光パネルに流れる電流を等しくできないため、電流が流れやすい発光パネルはより明るく発光し、電流が流れにくい発光パネルはより暗く発光し、複数の発光パネルが異なる明るさで発光してしまうという問題がある。
【0013】
また、発光素子は使用に伴い発光効率が低下し、積算使用時間が長い発光素子ほど発光が暗くなる。従って、発光装置に設けた複数の発光素子が偏って使用された結果、その積算使用時間に大きな差が生じると、当該複数の発光素子のそれぞれを定電流駆動しても一様な発光を得ることが困難になるという問題がある。
【0014】
本発明は、このような技術的背景のもとでなされたものである。本発明の一実施形態の発光装置においては、一部の発光素子の断線(絶縁性の不具合)により発光装置全体が消灯することがなく、さらに一つの定電流電源で明るさにムラを生じることなく、全面を駆動できる発光装置を提供することができる。
【0015】
また、本発明の一実施形態において、発光装置の明るさを調節することができる。
【0016】
また、本発明の一実施形態において、発光素子の使用にともなう経時変化が明るさのムラとして現れにくい。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の一態様において、発光制御手段が制御する定電流電源に複数の発光パネルを接続した発光装置を用い、それぞれの発光パネルを独立して、逐次駆動すればよい。
【0018】
また、発光装置に設けた複数の発光パネルを万遍なく使用し、積算使用時間に差を生じないようにすればよい。
【0019】
すなわち本発明の一態様は、複数の発光パネルと、発光パネルのそれぞれに電力を供給する定電流電源と、発光パネルの明るさを設定する輝度制御手段と、発光パネルを同じ頻度で点滅するように、輝度制御手段の信号に基づいて、定電流電源の出力が逐次配電する発光制御手段を有する。さらに、発光パネルが第1の電極と、第2の電極の間に発光性の有機化合物を含む層を有する発光素子を備える発光装置である。
【0020】
上記の発光装置は、独立した発光パネルを複数用いるため、一部の発光パネルの断線(絶縁性の不具合)により発光装置全体が消灯する不具合を防止できる。また、輝度制御手段と発光制御手段を用いて定電流電源が発光パネルに出力する電流を制御して、明るさを調整できる。また、第1の電極と第2の電極の間に発光性の有機化合物を含む層を備える発光素子を有する複数の発光パネルに逐次配電して駆動するため、面状に均一な発光が得られる。
【0021】
また、本発明の一態様は、発光制御手段が定電流電源の出力電流を制御する上記発光装置である。
【0022】
上記の発光装置は、第1の電極と第2の電極の間に発光性の有機化合物を含む層を備えた、電流制御型の発光素子を有する発光パネルを用いるため、該発光パネルの明るさを電流により制御できる。また、複数の発光パネルは定電流電源により同じ明るさで発光する。
【0023】
また、本発明の一態様は、発光制御手段が定電流電源の出力する電流のパルス幅を制御する上記発光装置である。
【0024】
上記の発光装置は、第1の電極と第2の電極の間に発光性の有機化合物を含む層を備えた、入力信号に高速に応答する発光素子を有する発光パネルを用いるため、該発光パネルの明るさはパルス状の電流のパルス幅により制御できる。
【0025】
また、本発明の一態様は、定電流電源が、前記発光制御手段が出力する制御信号に従って、100Hz以上500kHz以下の頻度で、それぞれの前記発光パネルに定電流を供給する上記発光装置である。
【0026】
上記の発光装置は、複数の発光パネルを充分短い期間で逐次切り替えて点灯するため、人の目には連続する点灯と認識される。
【0027】
また、独立した発光パネルをそれぞれおよそ同じ頻度で使用するため、発光パネルの積算使用時間に顕著な差が生じない。その結果、使用に伴う発光パネルの特性の変化がほぼ同等となり、発光装置の発光ムラを低減できる。
【0028】
また、本発明の一態様は、複数の発光パネルと、発光パネルのそれぞれに電力を供給する定電流電源と、発光パネルの明るさを設定する輝度制御手段と、発光パネルを同じ頻度で点滅するように、輝度制御手段の信号に基づいて、定電流電源の出力が逐次配電する発光制御手段を有する。さらに、発光パネルが第1の電極と、第2の電極の間に電荷発生層を介して有機化合物を含む複数の発光ユニットを有する発光素子を備える発光装置である。
【0029】
第1の電極と、第2の電極の間に電荷発生層を介して有機化合物を含む複数の発光ユニットを有する発光素子は、電流密度を低く保ったまま、高輝度領域での発光が可能であり、長寿命な発光素子であることから、信頼性の高い発光装置を提供できる。
【0030】
また、本発明の一態様は、第1の電極と、第2の電極の間に発光性の有機化合物を含む層を有する発光素子を設けたn個(nは2以上10000以下の自然数)の発光パネルと、各発光パネルの第1の電極と電気的に接続するn個の第1の端子と、各発光パネルの第2の電極と電気的に接続するn個の第2の端子を備える発光モジュールをm個(mは2以上10以下の自然数)用いる。次いで、いずれか一つの発光モジュールに設けた発光パネルのいずれか一つの第2の端子と、他のいずれか一つの発光モジュールに設けた発光パネルのいずれか一つの第1の端子を接続して、m個の発光パネルを直列に接続したn個の発光体を形成する。次いで、n個の前記発光体の前記第1の電極と接続する端子を定電流電源の一方の電極と接続し、n個の前記発光体の前記第2の電極と接続する端子を前記定電流電源の他方の電極と接続し、前記n個の発光体に輝度制御手段の信号に基づいて発光制御手段が制御する前記定電流電源から配電して前記n個の発光体を同じ頻度で点滅する発光装置の駆動方法である。
【0031】
上記発光モジュールの接続方法を適用することで、輝度制御手段、発光制御手段、並びに定電流電源を増設することなく、発光装置の発光面積を増やすことができ、便宜である。
【0032】
このようにして、全体としての明るさは平滑化されたまま、長寿命化を図ることができる。
【0033】
なお、本明細書において、EL層とは発光素子の一対の電極間に設けられた層を示すものとする。従って、電極間に挟まれた発光物質である有機化合物を含む発光層はEL層の一態様である。
【0034】
また、本明細書において、物質Aを他の物質Bからなるマトリクス中に分散する場合、マトリクスを構成する物質Bをホスト材料と呼び、マトリクス中に分散される物質Aをゲスト材料と呼ぶものとする。なお、物質A並びに物質Bは、それぞれ単一の物質であっても良いし、2種類以上の物質の混合物であっても良いものとする。
【発明の効果】
【0035】
本発明の一態様によれば、一部の発光素子の断線(絶縁性の不具合)により照明全体が消灯することがなく、一つの定電流電源で駆動と調光が可能な発光装置を提供できる。また、複数の発光素子の一部が偏って使用されることなく調光が可能な発光装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】実施の形態に係わる発光装置の構成を説明する図。
【図2】実施の形態に係わる発光装置の駆動方法を説明するタイミングチャート。
【図3】実施の形態に係わる発光装置の構成を説明する図。
【図4】実施の形態に係わる発光装置の駆動方法を説明するタイミングチャート。
【図5】実施の形態に係わる発光装置の構成を説明する図。
【図6】実施の形態に係わる発光素子の構成を説明する図。
【図7】実施の形態に係わる発光素子の構成を説明する図。
【図8】実施の形態に係わる発光装置の構成を説明する図。
【図9】実施の形態に係わる発光装置の構成を説明する図。
【図10】実施の形態に係わる発光装置の構成を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0037】
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
【0038】
(実施の形態1)
本実施の形態では、発光制御手段が制御する定電流電源に複数の発光パネルを接続した発光装置について図1、及び図2を用いて説明する。
【0039】
本実施の形態で例示する発光装置100の構成を図1に示す。発光装置100は、発光モジュール130、定電流電源120、発光制御手段110、及び輝度制御手段115を備える。輝度制御手段115は発光制御手段110と接続し、明るさを調整するための設定信号116を出力する。発光制御手段110は定電流電源120と接続し、制御信号117を出力する。定電流電源120は発光モジュール130と接続し、定電流126を供給する。
【0040】
発光モジュール130は、n個の発光パネル150(1)〜150(n)と、端子部131、及び端子部132を備えている。なお、nは2以上10000以下の整数であり、好ましくは4以上、100以下である。nを2以上とすることで一つの発光パネルに生じる不具合で発光モジュール全体が消灯する不具合を防止でき、さらに4以上だと、発光モジュール全体が消灯する確率が極めて低くなる上、不具合が生じた発光パネルが目立たないため好ましい。また、nが10000以下とすることで、入力される電流に発光素子が充分な速さで応答できるようになり、発光素子を定常的に点灯する場合と同じ程度に明るく点灯できる。さらに、100以下とすることで発光パネルと端子を接続する配線の面積を小さく、また発光パネルの面積を大きくできるため好ましい。本実施の形態で例示する発光モジュール130は同一の発光色を呈する発光パネル150(1)〜150(n)を備えるが、異なる発光色を呈するものを設けてもよい。
【0041】
また、発光モジュール130に入力する駆動電圧のピークは2.5V以上300V以下であり、好ましくは3.5V以上30V以下が好ましい。発光モジュール130の駆動電圧を2.5V以上とすることでモジュール内部に昇圧回路を設ける必要がなくなり、発光モジュールを安価に提供することができ、3.5V以上とすることで、青色光を含む発光が可能となる。また、発光モジュール130の駆動電圧を300V以下とすることで、消費電力が低減でき、発光モジュールに接続する回路に耐圧特性の高い部品を使用する必要がない上に、発光装置を安価に提供することができる。さらに、30V以下とすることで、汎用部品を用いることができるため便宜である。
【0042】
発光パネル150(1)〜150(n)は、面状に発光する発光素子をそれぞれ一つ以上備える。面状に発光する発光素子を発光パネルに用いることで、明るさが均一な発光装置を提供できる。面状に発光する発光素子としては、第1の電極と、第2の電極の間に発光性の有機化合物を含む層を有する発光素子が好適である。
【0043】
なお本実施の形態で例示する発光パネル150(1)〜150(n)は、それぞれ同一の発光素子を一つずつ備える構成とするが、異なる発光素子を備える構成としても、複数の素子を直列に接続して備える構成としてもよい。また、例えば異なる発光色の発光素子を混在して設けてもよい。異なる発光色の発光素子を組み合わせることで、発光装置の演色性を高めることができる。
【0044】
端子部131、及び端子部132はそれぞれ一以上の端子を備え、発光パネル150(1)〜150(n)はそれぞれ独立して接続され、第2の電極は端子部132に設けられた端子に接続される。
【0045】
本実施の形態で例示する発光モジュール130は、端子部131にn個の独立した端子を備え、端子部132に一つの端子を有する。また、発光パネル150(1)〜150(n)は、それぞれ独立した第1の電極と、共通した第2の電極を有する。そして、端子部131が備えるn個の端子はそれぞれ独立した第一の電極と接続し、端子部132が備える一つの端子は共通した第2の電極と接続する。
【0046】
定電流電源120は、発光制御手段110からの制御信号117に応じて定電流126を出力する。なお、定電流電源120に発光パネル150(1)〜150(n)のいずれか一つが負荷として接続されるが、定電流電源120はその負荷の大きさに依らず同じ電流を出力する。なお、定電流電源は電源とトランジスタのみを用いた定電流回路で構成してもよい。
【0047】
なお、定電流電源120は保護回路を備え、発光装置を流れる最大電流が制限された構成とすることが好ましい。発光モジュールの故障による過電流が、発光装置を破壊してしまう不具合を防止できる。
【0048】
発光制御手段110は、輝度制御手段115が出力する明るさを調整するための設定信号116に応じた制御信号117を定電流電源120に出力する。また、発光制御手段110はそれぞれの発光パネルの使用頻度が同程度になるように、n個の発光パネルの中から一つを逐次選択する。なお、発光制御手段110は内部にクロック信号CKを出力する回路を備える。
【0049】
なお、輝度制御手段115は使用者が直接操作するものであっても良いし、明るさを検知するフォトセンサーや、タイマー等の外部装置であってもよい。
【0050】
次に、発光制御手段110が発光装置の明るさを調整する方法について説明する。駆動方法の一例を図2のタイミングチャートを用いて示す。図2に示すCKはクロック信号であり、発光パネル150(1)〜150(n)に定電流126を定電流電源120から通電するタイミングをそれぞれ示す。
【0051】
<第1のステップ>
明るさを調整するための設定信号116が、輝度制御手段115から発光制御手段110に入力された後、発光制御手段110は、定電流電源120に発光パネル150(1)を選択する制御信号117を出力する。また、定電流電源120は制御信号117を介して設定信号116に応じた大きさの定電流126の出力に備える。次いで、定電流電源120は、時間1500から時間1501の間、発光パネル150(1)に定電流126を供給する。
【0052】
なお、発光モジュール130の明るさを増して点灯する場合は、定電流電源120は大きな電流を流せばよく、明るさを抑えて点灯する場合は小さな電流を流せばよく、発光モジュールに流れる電流と明るさはおよそ比例する。
【0053】
定電流電源120が出力する電流の大きさを変える方法としては、既知の方法を用いればよく、例えば、コンパレータに明るさを調整するための設定信号116を入力する構成として、定電流電源120の出力を調整してもよい。
【0054】
なお、クロック信号CKは発光装置への電源の投入と共にあらかじめ出力していても良いし、設定信号116の出力と共に出力を開始するようにしてもよい。
【0055】
<第2のステップ>
次いで発光制御手段110は、定電流電源120に発光パネル150(2)を選択する制御信号117を出力する。定電流電源120は、時間1501から定電流126を発光パネル150(2)に供給する。このようにして発光制御手段110は、クロック信号CKに同期してn個の発光パネル150(1)〜150(n)に定電流電源120から逐次、定電流126を供給する。
【0056】
なお、定電流電源120は制御信号117に従って同一の発光パネルが100Hz以上500kHz以下の頻度で発光するように、発光パネルを切り替える。例えば100Hzの頻度でn個の発光パネルを備えた発光モジュール130を発光させる場合、各発光パネルの発光時間は(10/n)ミリ秒となるように発光パネルを切り替える。また、本実施の形態においては、発光パネルをクロック信号CKの周期で切り替える。
【0057】
100Hz以上、好ましくは120Hz以上の頻度でそれぞれの発光パネルを点灯すると、発光装置のチラツキを防止できる。また、500kHz以下の頻度とすることで、電波障害(EMI:Electromagnetic Interference)等を防ぐことが比較的容易になる。なお、本実施の形態においては、発光制御手段110が出力する制御信号117に応じて、定電流電源120はn個の発光パネルにそれぞれ同じ期間、定電流126を供給する。
【0058】
また、定電流電源120は制御信号117に従って、常に1つの発光パネルのみに定電流126を供給する。従って、発光モジュール130に設けた複数の発光パネルの電流の流れ易さにバラツキ等があっても、それぞれの発光パネルに同じ電流が流れる。
【0059】
なお、発光パネルを構成する、第1の電極と、第2の電極の間に発光性の有機化合物を含む層を備える発光素子は、同じ大きさの電流を流すと同じ明るさで発光する。従って、本実施の形態で例示する方法により発光装置100の複数の発光パネルをほぼ同じ明るさで発光させることができる。
【0060】
<第3のステップ>
次に明るさを変更する場合について説明する。時間1510において、輝度制御手段115からの明るさを調整するための設定信号116の値が変更されると、発光制御手段110は設定信号116に応じた制御信号117を定電流電源120に出力する。定電流電源120は制御信号117に応じて出力する電流の大きさを変化する。その結果、時間1511から発光パネルに流す電流の大きさが変化し、発光装置の明るさを変えることができる。
【0061】
上記の発光装置は、独立した発光パネルを複数用いるため、一部の発光パネルの断線(絶縁性の不具合)により発光装置全体が消灯する不具合を防止できる。また、輝度制御手段と発光制御手段を用いて定電流電源が発光パネルに出力する電流を制御して明るさを調整できる。
【0062】
上記の発光装置は、第1の電極と第2の電極の間に発光性の有機化合物を含む層を備えた、電流制御型の発光素子を有する発光パネルを用いるため、該発光パネルの明るさを電流により制御できる。また、複数の発光パネルは定電流電源により同じ明るさで発光する。
【0063】
上記の発光装置は、複数の発光パネルを充分短い期間で逐次切り替えて点灯するため、人の目には連続する点灯と認識される。
【0064】
また、独立した発光パネルをそれぞれおよそ同じ頻度で使用するため、発光パネルの積算使用時間に顕著な差が生じない。その結果、使用に伴う発光パネルの特性の変化がほぼ同等となり、発光装置の発光ムラを低減できる。
【0065】
このようにして、全体としての明るさは平滑化されたまま、長寿命化を図ることができる。
【0066】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0067】
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1とは異なる方法で明るさを制御する発光装置の一態様について図3、及び図4を用いて説明する。具体的には、定電流電源が供給する電流のパルス幅を変えて明るさを制御する発光装置について説明する。
【0068】
本実施の形態で例示する発光装置200の構成を図3に示す。発光装置200は、発光モジュール230、定電流電源220、発光制御手段210、及び輝度制御手段215を備える。輝度制御手段215は発光制御手段210と接続し、明るさを調整するための設定信号216を出力する。発光制御手段210は定電流電源220と接続し、制御信号217を出力する。定電流電源220は発光モジュール230と接続し、パルス状の定電流226を供給する。
【0069】
発光モジュール230は、n個の発光パネル250(1)〜250(n)と、端子部231、及び端子部232を備えている。なお、nは2以上10000以下の整数であり、好ましくは4以上、100以下である。本実施の形態で例示する発光モジュール230は同一の発光色を呈する発光パネル250(1)〜250(n)を備えるが、異なる発光色を呈するものを設けてもよい。
【0070】
発光パネル250(1)〜250(n)は、面状に発光する発光素子をそれぞれ一つ以上備える。面状に発光する発光素子を発光パネルに用いることで、明るさが均一な発光装置を提供できる。面状に発光する発光素子としては、第1の電極と、第2の電極の間に発光性の有機化合物を含む層を有する発光素子が好適である。
【0071】
なお本実施の形態で例示する発光パネル250(1)〜250(n)は、それぞれ同一の発光素子を一つずつ備える構成とするが、異なる発光素子を備える構成としても、複数の素子を直列に接続して備える構成としてもよい。また、例えば異なる発光色の発光素子を混在して設けてもよい。異なる発光色の発光素子を組み合わせることで、発光装置の演色性を高めることができる。
【0072】
端子部231、及び端子部232はそれぞれ一以上の端子を備え、発光パネル250(1)〜250(n)はそれぞれ独立して該端子に接続される。
【0073】
本実施の形態で例示する発光モジュール230は、端子部231にn個の独立した端子を備え、端子部232にn個の独立した端子を別に備える。また、発光パネル250(1)〜250(n)は、それぞれ独立した第1の電極と、それぞれ独立した第2の電極を有する。そして、端子部231が備えるn個の端子はそれぞれ独立した第一の電極と接続し、端子部232が備えるn個の端子はそれぞれ独立した第2の電極と接続する。
【0074】
定電流電源220は、発光制御手段210からの制御信号217に応じてパルス状の定電流226を出力する。なお、定電流電源220に発光パネル250(1)〜250(n)のいずれか一つが負荷として接続されるが、定電流電源220はその負荷の大きさに依らず同じパルス状の電流を出力する。
【0075】
なお、定電流電源220は保護回路を備え、発光装置を流れる最大電流が制限された構成とすることが好ましい。発光モジュールの故障による過電流が、発光装置を破壊してしまう不具合を防止できる。
【0076】
発光制御手段210は、輝度制御手段215が出力する明るさを調整するための設定信号216に応じた制御信号217を定電流電源220に出力する。また、発光制御手段210はそれぞれの発光パネルの使用頻度が同程度になるように、n個の発光パネルの中から一つを逐次選択する。なお、発光制御手段210は内部にクロック信号CKを出力する回路と、カウンタ回路を備える。発光制御手段210は、クロック信号を数えるカウンタ回路からの信号を元に制御信号217を出力する。定電流電源220は制御信号217に従って定電流226のパルス幅を変調する。また、定電流電源220は制御信号217に従ってパルス状の定電流226を発光パネル250(1)〜250(n)のいずれか一つに出力する。
【0077】
なお、輝度制御手段215は使用者が直接操作するものであっても良いし、明るさを検知するフォトセンサーや、タイマー等の外部装置であってもよい。
【0078】
次に、発光制御手段210が発光装置の明るさを調整する方法について説明する。駆動方法の一例を図4のタイミングチャートを用いて示す。図4に示すCKはクロック信号である。また、定電流電源から発光パネル250(1)〜250(n)に出力するパルス状の定電流のタイミングとパルスの幅をそれぞれ示す。
【0079】
<第1のステップ>
明るさを調整するための設定信号216が、輝度制御手段215から発光制御手段210に入力された後、発光制御手段210は、定電流電源220に発光パネル250(1)を選択する制御信号217を出力する。また、定電流電源220は制御信号217を介して設定信号216に応じたパルス幅を有するパルス状の定電流226の出力に備える。次いで、定電流電源220は、時間2500から発光パネル250(1)にパルス状の定電流226を供給する。
【0080】
なお、発光モジュール230の明るさを増して点灯する場合は、定電流電源220は長いパルス状の定電流を流せばよく、明るさを抑えて点灯する場合は短いパルス状の定電流を流せばよい。
【0081】
定電流電源220が出力するパルス状の定電流のパルス幅を変える方法としては、既知の方法を用いればよく、例えばクロック信号CKとパルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)回路を用いて制御すればよい。なお、クロック信号CKは発光装置200への電源の投入と共にあらかじめ出力していても良いし、設定信号216の出力と共に出力を開始するようにしてもよい。
【0082】
<第2のステップ>
次いで発光制御手段210は、定電流電源220に発光パネル250(2)を選択する制御信号217を出力する。定電流電源220は、時間2501からパルス状の定電流226を発光パネル250(2)に供給する。このようにして発光制御手段210は、クロック信号CKに同期してn個の発光パネル250(1)〜250(n)に定電流電源220から逐次、パルス状の定電流226を供給する。なお、時間2500と時間2501の間にクロック信号CKは複数入る。
【0083】
このようにして発光制御手段210は、クロック信号CKに同期する制御信号217を出力し、定電流電源220は制御信号217に応じてn個の発光パネル250(1)〜250(n)に逐次パルス状の定電流226を供給する。
【0084】
なお、同一の発光パネルが100Hz以上500kHz以下の頻度で発光するように、発光パネルを切り替える。例えば100Hzの頻度でn個の発光パネルを備えた発光モジュール230を発光させる場合、各発光パネルの発光時間は(10/n)ミリ秒となるように発光パネルを切り替える。また、本実施の形態においては、発光パネルをクロック信号CKの周期で切り替える。
【0085】
100Hz以上、好ましくは120Hz以上の頻度でそれぞれの発光パネルを点灯すると、発光装置のチラツキを防止できる。また、500kHz以下の頻度とすることで、電波障害(EMI:Electromagnetic Interference)等の障害を防止できる。なお、本実施の形態においては、発光制御手段210が出力する制御信号217に応じて、定電流電源220は、n個の発光パネルにそれぞれパルス状の定電流226を供給する。
【0086】
また、定電流電源220は制御信号217に従って、常に1つの発光パネルのみにパルス状の定電流226を供給する。従って、発光モジュール230に設けた複数の発光パネルの電流の流れ易さにバラツキ等があっても、それぞれの発光パネルに同じ電流が流れる。
【0087】
なお、発光パネルを構成する、第1の電極と、第2の電極の間に発光性の有機化合物を含む層を備える発光素子は、同じパルス幅をもった同じ大きさのパルス状の定電流を流すと同じ明るさで発光する。従って、本実施の形態で例示する方法により発光装置200の複数の発光パネルをほぼ同じ明るさで発光させることができる。
【0088】
<第3のステップ>
次に明るさを変更する場合について説明する。時間2510において、輝度制御手段215を用いて明るさを調整するための設定信号216の値が変更されると、発光制御手段210は制御信号217を介して、定電流電源220が出力するパルス状の定電流のパルス幅を、設定信号216に応じたパルス幅に変更する。その結果、時間2511から発光パネルに流れるパルス状の定電流のパルス幅が変更され、発光装置の明るさを変えることができる。なお、発光モジュール230を明るく点灯する場合は、パルス状の定電流のパルス幅を長く変更すればよく、暗く点灯する場合はパルス状の定電流のパルス幅を短く変更すればよい。
【0089】
上記の発光装置は、独立した発光パネルを複数用いるため、一部の発光パネルの断線(絶縁性の不具合)により発光装置全体が消灯する不具合を防止できる。また、輝度制御手段と発光制御手段を用いて定電流電源が発光パネルに出力する電流のパルス幅を制御して明るさを調整できる。
【0090】
上記の発光装置は、第1の電極と第2の電極の間に発光性の有機化合物を含む層を備えた、電流制御型の発光素子を有する発光パネルを用いるため、該発光パネルの明るさを電流により制御できる。また、複数の発光パネルは定電流電源により同じ明るさで発光する。
【0091】
上記の発光装置は、複数の発光パネルを充分短い期間で逐次切り替えて点灯するため、人の目には連続する点灯と認識される。
【0092】
また、独立した発光パネルをそれぞれおよそ同じ頻度で使用するため、発光パネルの積算使用時間に顕著な差が生じない。その結果、使用に伴う発光パネルの特性の変化がほぼ同等となり、発光装置の発光ムラを低減できる。
【0093】
このようにして、全体としての明るさは平滑化されたまま、長寿命化を図ることができる。
【0094】
なお、本実施の形態では、パルス状の定電流のパルス幅のみを用いて発光装置の明るさを調整する場合についてのみ説明したが、パルス幅を変えずにデューティー比を変えて明るさを調整してもよく、パルス状の定電流の電流値も可変としてもよい。例えば、実施の形態1で説明した定電流電源の電流制御と、本実施の形態で説明したパルス幅の制御を組み合わせて用いても良い。例えば、部屋の明るさを抑え、落ち着いた雰囲気としたい場合は、定電流電源の出力を抑えた上で、さらにパルス幅を調整して調光を行い、部屋の明るさを高める場合は、定電流電源の出力を高めた上で、さらにパルス幅を調整して調光を行うこともできる。このように、組み合わせることで、調光可能な範囲を飛躍的に広げることができる。
【0095】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0096】
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態1、及び実施の形態2に説明した発光装置に適用できる発光モジュールの接続方法の一態様について図5を用いて説明する。
【0097】
具体的には、実施の形態2で説明した発光モジュール230と同じ構成を有する発光モジュール330、と発光モジュール430を互いに接続し、それぞれに設けた発光パネルを直列に接続して新たな発光パネル(発光体)を形成して使用する発光モジュールの接続方法について説明する。
【0098】
本実施の形態で例示する発光装置300の構成を図5に示す。発光装置300は、発光モジュール330、発光モジュール430、定電流電源320、発光制御手段310、及び輝度制御手段315を備える。輝度制御手段315は発光制御手段310と接続し、明るさを調整するための設定信号316を出力する。発光制御手段310は定電流電源320と接続し、制御信号317を出力する。発光モジュール330、及び発光モジュール430は互いに接続され、定電流電源320から定電流326が供給される。
【0099】
発光モジュール330、及び発光モジュール430は発光モジュール230と同じ構成を有する。具体的には、発光モジュール330はn個の発光パネル350(1)〜350(n)と、端子部331、及び端子部332を備え、発光モジュール430はn個の発光パネル450(1)〜450(n)と、端子部431、及び端子部432を備えている。なお、nは2以上10000以下の整数であり、好ましくは4以上、100以下である。本実施の形態で例示する発光モジュール330、及び発光モジュール430は同一の発光色を呈する発光パネル350(1)〜350(n)、及び発光パネル450(1)〜450(n)を備えるが、異なる発光色を呈するものを組み合わせて設けてもよい。
【0100】
発光パネル350(1)〜350(n)、及び発光パネル450(1)〜450(n)は、面状に発光する発光素子をそれぞれ一つ以上備える。面状に発光する発光素子を発光パネルに用いることで、明るさが均一な発光装置を提供できる。面状に発光する発光素子としては、第1の電極と、第2の電極の間に発光性の有機化合物を含む層を有する発光素子が好適である。
【0101】
なお本実施の形態で例示する発光パネル350(1)〜350(n)、及び発光パネル450(1)〜450(n)は、それぞれ同一の発光素子を一つずつ備える構成とするが、異なる発光素子を備える構成としても、複数の素子を直列に接続して備える構成としてもよい。また、例えば異なる発光色の発光素子を混在して設けてもよい。異なる発光色の発光素子を組み合わせることで、発光装置の演色性を高めることができる。
【0102】
端子部331、及び端子部332はそれぞれ一以上の端子を備え、発光パネル350(1)〜350(n)はそれぞれ独立して該端子に接続される。
【0103】
本実施の形態で例示する発光モジュール330は、端子部331にn個の独立した端子を備え、端子部332にn個の独立した端子を別に備える。また、発光パネル350(1)〜350(n)は、それぞれ独立した第1の電極と、それぞれ独立した第2の電極を有する。そして、端子部331が備えるn個の端子はそれぞれ独立した第一の電極と接続し、端子部332が備えるn個の端子はそれぞれ独立した第2の電極と接続する。
【0104】
端子部431、及び端子部432はそれぞれ一以上の端子を備え、発光パネル450(1)〜450(n)はそれぞれ独立して該端子に接続される。
【0105】
本実施の形態で例示する発光モジュール430は、端子部431にn個の独立した端子を備え、端子部432にn個の独立した端子を別に備える。また、発光パネル450(1)〜450(n)は、それぞれ独立した第1の電極と、それぞれ独立した第2の電極を有する。そして、端子部431が備えるn個の端子はそれぞれ独立した第一の電極と接続し、端子部432が備えるn個の端子はそれぞれ独立した第2の電極と接続する。
【0106】
本実施の形態において、発光モジュール330に設けた発光パネルのいずれか一つと、発光モジュール430に設けた発光パネルのいずれか一つは、端子部332に設けたいずれか一つの端子と、端子部431に設けたいずれか一つの端子を介して互いに接続される。具体的には、発光モジュール330に設けた発光パネル350(n)と発光モジュール430に設けた発光パネル450(n)は端子部332に設けた端子と端子部431に設けた端子を介して直列に接続される。
【0107】
本実施の形態によれば、二つの発光モジュールの独立した発光パネルを直列に接続して発光パネルの大きさを実質的に大きくできる。なお、本実施の形態では二つの発光モジュールを接続したが、接続する発光モジュールは二つに限定されるものではなく、定電流電源320の容量および、各構成の耐圧を適宜選択することにより、二つ以上の発光モジュールを接続することができる。接続する発光モジュールの数を増やすことで、発光パネルの大きさを実質的に大きくすることができる。例えば、二つ以上十個以下の発光モジュールを接続することができる。十一個以上の発光パネルを接続すると、駆動電圧が高まるため、耐圧特性に優れた部品を用いる必要が生じる。
【0108】
上記発光モジュールの接続方法を適用することで、輝度制御手段315、発光制御手段310、並びに定電流電源320を増設することなく、発光装置の発光面積を増やすことができ、便宜である。
【0109】
このようにして、全体としての明るさは平滑化されたまま、長寿命化を図ることができる。
【0110】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0111】
(実施の形態4)
本実施の形態では、第1の電極と、第2の電極の間に発光性の有機化合物を含む層を備える発光素子の一態様について、図6を用いて以下に説明する。
【0112】
本実施の形態の発光素子は、一対の電極間に複数の層を有する。当該複数の層は、電極から離れた所に発光領域が形成されるように、つまり電極から離れた部位でのキャリアの再結合が行われるように、キャリア注入性の高い物質やキャリア輸送性の高い物質からなる層を組み合わせて積層されたものである。
【0113】
本実施の形態において、図6で表される発光素子は、第1の電極601と、第2の電極603と、第1の電極601と第2の電極603との間に設けられた有機化合物を含む層602とから構成されている。なお、本形態では第1の電極601は陽極として機能し、第2の電極603は陰極と機能するものとして、以下を説明する。つまり、第1の電極601の方が第2の電極603よりも電位が高くなるように、第1の電極601と第2の電極603に電圧を印加したときに、発光が得られるものとして、以下に説明をする。
【0114】
基板600は発光素子の支持体として用いられる。基板600としては、例えばガラス、またはプラスチックなどを用いることができる。なお、発光素子の作製工程において、発光素子に対して支持体として機能するものであれば、これら以外のものでもよい。
【0115】
第1の電極601としては、仕事関数の大きい(具体的には4.0eV以上であることが好ましい)金属、合金、導電性化合物、およびこれらの混合物などを用いることが好ましい。具体的には、例えば、酸化インジウム−酸化スズ(ITO:Indium Tin Oxide)、珪素若しくは酸化珪素を含有した酸化インジウム−酸化スズ、酸化インジウム−酸化亜鉛(IZO:Indium Zinc Oxide)、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム(IWZO)等が挙げられる。これらの導電性金属酸化物膜は、通常スパッタにより成膜されるが、ゾル−ゲル法などを応用して作製しても構わない。例えば、酸化インジウム−酸化亜鉛(IZO)は、酸化インジウムに対し1〜20wt%の酸化亜鉛を加えたターゲットを用いてスパッタリング法により形成することができる。また、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム(IWZO)は、酸化インジウムに対し酸化タングステンを0.5〜5wt%、酸化亜鉛を0.1〜1wt%含有したターゲットを用いてスパッタリング法により形成することができる。この他、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、または金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)等が挙げられる。
【0116】
また、第1の電極601と接する層として、後述する複合材料を含む層を用いた場合には、第1の電極601として、仕事関数の大小に関わらず、様々な金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを用いることができる。複合材料としては、例えば、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、アルミニウムを含む合金(AlSi等)等を用いることができる。また、仕事関数の小さい材料である、元素周期表の第1族または第2族に属する元素、すなわちリチウム(Li)やセシウム(Cs)等のアルカリ金属、およびマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)等のアルカリ土類金属、およびこれらを含む合金(MgAg、AlLi)、ユーロピウム(Eu)、イッテルビウム(Yb)等の希土類金属およびこれらを含む合金等を用いることもできる。アルカリ金属、アルカリ土類金属、これらを含む合金の膜は、真空蒸着法を用いて形成することができる。また、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含む合金はスパッタリング法により形成することも可能である。また、銀ペーストなどをインクジェット法などにより成膜することも可能である。
【0117】
有機化合物を含む層602は、層の積層構造については特に限定されず、電子輸送性の高い物質または正孔輸送性の高い物質、電子注入性の高い物質、正孔注入性の高い物質、バイポーラ性の物質(電子及び正孔の輸送性の高い物質)等から成る層と、本実施の形態で示す発光層とを適宜組み合わせて構成すればよい。例えば、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層等を適宜組み合わせて構成することができる。本実施の形態では、有機化合物を含む層602は、第1の電極601の上に順に積層した正孔注入層611、正孔輸送層612、発光層613、電子輸送層614を有する構成について説明する。各層を構成する材料について以下に具体的に示す。
【0118】
正孔注入層611は、正孔注入性の高い物質を含む層である。モリブデン酸化物やバナジウム酸化物、ルテニウム酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物等を用いることができる。この他、フタロシアニン(略称:HPc)や銅フタロシアニン(略称:CuPc)等のフタロシアニン系の化合物、4,4’−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、N,N’−ビス[4−[ビス(3−メチルフェニル)アミノ]フェニル]−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(略称:DNTPD)等の芳香族アミン化合物、或いはポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)等の高分子等によっても正孔注入層611を形成することができる。さらに、トリス(p−エナミン置換−アミノフェニル)アミン化合物、2,7−ジアミノ−9−フルオレニリデン化合物、トリ(p−N−エナミン置換−アミノフェニル)ベンゼン化合物、アリール基が少なくとも1つ置換したエテニル基が一つ又は2つ置換したピレン化合物、N,N’−ジ(ビフェニル−4−イル)−N,N’−ジフェニルビフェニル−4,4’−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラ(ビフェニル−4−イル)ビフェニル−4,4’−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラ(ビフェニル−4−イル)−3,3’−ジエチルビフェニル−4,4’−ジアミン、2,2’−(メチレンジ−4,1−フェニレン)ビス[4,5−ビス(4−メトキシフェニル)−2H−1,2,3−トリアゾール]、2,2’−(ビフェニル−4,4’−ジイル)ビス(4,5−ジフェニル−2H−1,2,3−トリアゾール)、2,2’−(3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイル)ビス(4,5−ジフェニル−2H−1,2,3−トリアゾール)、ビス[4−(4,5−ジフェニル−2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル](メチル)アミン等を用いて正孔注入層611を形成することができる。
【0119】
また、正孔注入層611として、正孔輸送性の高い物質にアクセプター性物質を含有させた複合材料を用いることができる。なお、正孔輸送性の高い物質にアクセプター性物質を含有させたものを用いることにより、仕事関数に依らず電極を形成する材料を選ぶことができる。つまり、第1の電極601として仕事関数の大きい材料だけでなく、仕事関数の小さい材料を用いることができる。アクセプター性物質としては、7,7,8,8−テトラシアノ−2,3,5,6−テトラフルオロキノジメタン(略称:F−TCNQ)、クロラニル等を挙げることができる。また、遷移金属酸化物を挙げることができる。また元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を挙げることができる。具体的には、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウムは電子受容性が高いため好ましい。中でも特に、酸化モリブデンは大気中でも安定であり、吸湿性が低く、扱いやすいため好ましい。
【0120】
複合材料に用いる正孔輸送性の高い物質としては、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、芳香族炭化水素、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)など、種々の化合物を用いることができる。なお、複合材料に用いる正孔輸送性の高い物質としては、10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質であることが好ましい。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。以下では、複合材料に用いることのできる有機化合物を具体的に列挙する。
【0121】
例えば、複合材料に用いることのできる芳香族アミン化合物としては、N,N’−ビス(4−メチルフェニル)(p−トリル)−N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン(略称:DTDPPA)、4,4’−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、N,N’−ビス[4−[ビス(3−メチルフェニル)アミノ]フェニル]−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(略称:DNTPD)、1,3,5−トリス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ベンゼン(略称:DPA3B)等を挙げることができる。
【0122】
複合材料に用いることのできるカルバゾール誘導体としては、具体的には、3−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA1)、3,6−ビス[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA2)、3−[N−(1−ナフチル)−N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)アミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCN1)等を挙げることができる。
【0123】
また、複合材料に用いることのできるカルバゾール誘導体としては、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、1,3,5−トリス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]ベンゼン(略称:TCPB)、9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CzPA)、1,4−ビス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]−2,3,5,6−テトラフェニルベンゼン等を用いることができる。
【0124】
また、複合材料に用いることのできる芳香族炭化水素としては、例えば、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、2−tert−ブチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン、9,10−ビス(3,5−ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、2−tert−ブチル−9,10−ビス(4−フェニルフェニル)アントラセン(略称:t−BuDBA)、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)、2−tert−ブチルアントラセン(略称:t−BuAnth)、9,10−ビス(4−メチル−1−ナフチル)アントラセン(略称:DMNA)、9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]−2−tert−ブチルアントラセン、9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]アントラセン、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン、9,9’−ビアントリル、10,10’−ジフェニル−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス(2−フェニルフェニル)−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス[(2,3,4,5,6−ペンタフェニル)フェニル]−9,9’−ビアントリル、アントラセン、テトラセン、ルブレン、ペリレン、2,5,8,11−テトラ(tert−ブチル)ペリレン等が挙げられる。また、この他、ペンタセン、コロネン等も用いることができる。このように、1×10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有し、炭素数14乃至42である芳香族炭化水素を用いることがより好ましい。
【0125】
なお、複合材料に用いることのできる芳香族炭化水素は、ビニル骨格を有していてもよい。ビニル基を有している芳香族炭化水素としては、例えば、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル(略称:DPVBi)、9,10−ビス[4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル]アントラセン(略称:DPVPA)等が挙げられる。
【0126】
また、正孔注入層611としては、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)を用いることができる。例えば、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK)、ポリ(4−ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)、ポリ[N−(4−{N’−[4−(4−ジフェニルアミノ)フェニル]フェニル−N’−フェニルアミノ}フェニル)メタクリルアミド](略称:PTPDMA)、ポリ[N,N’−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン](略称:Poly−TPD)などの高分子化合物が挙げられる。また、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)、ポリアニリン/ポリ(スチレンスルホン酸)(PAni/PSS)等の酸を添加した高分子化合物を用いることができる。
【0127】
また、上述したPVK、PVTPA、PTPDMA、Poly−TPD等の高分子化合物と、上述したアクセプター性物質を用いて複合材料を形成し、正孔注入層611として用いてもよい。
【0128】
正孔輸送層612は、正孔輸送性の高い物質を含む層である。正孔輸送性の高い物質としては、例えば、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)やN,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(略称:TPD)、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)、4,4’−ビス[N−(スピロ−9,9’−ビフルオレン−2−イル)−N―フェニルアミノ]ビフェニル(略称:BSPB)などの芳香族アミン化合物等を用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質である。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。なお、正孔輸送性の高い物質を含む層は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
【0129】
また、正孔輸送層612として、PVK、PVTPA、PTPDMA、Poly−TPDなどの高分子化合物を用いることもできる。さらに、トリス(p−エナミン置換−アミノフェニル)アミン化合物、2,7−ジアミノ−9−フルオレニリデン化合物、トリ(p−N−エナミン置換−アミノフェニル)ベンゼン化合物、アリール基が少なくとも1つ置換したエテニル基が一つ又は2つ置換したピレン化合物、N,N’−ジ(ビフェニル−4−イル)−N,N’−ジフェニルビフェニル−4,4’−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラ(ビフェニル−4−イル)ビフェニル−4,4’−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラ(ビフェニル−4−イル)−3,3’−ジエチルビフェニル−4,4’−ジアミン、2,2’−(メチレンジ−4,1−フェニレン)ビス[4,5−ビス(4−メトキシフェニル)−2H−1,2,3−トリアゾール]、2,2’−(ビフェニル−4,4’−ジイル)ビス(4,5−ジフェニル−2H−1,2,3−トリアゾール)、2,2’−(3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイル)ビス(4,5−ジフェニル−2H−1,2,3−トリアゾール)、ビス[4−(4,5−ジフェニル−2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル](メチル)アミン等も正孔輸送層612に用いることができる。
【0130】
発光層613は、発光性の高い物質を含む層である。発光層613は、発光性の高い物質のみを含む構成であっても、発光性の高い物質を他の物質に分散して含む構成としてもよい。
【0131】
発光層613が発光性の高い物質のみを含む場合は、例えばアントラセン誘導体の他、発光性の高い上述の正孔輸送性の高い物質、または、発光性の高い後述する電子輸送性の高い物質を用いることができる。
【0132】
また、他の物質に分散して発光層613に用いる発光性の高い物質としては、種々の材料を用いることができる。具体的には、N,N’−ジフェニルキナクリドン(略称:DPQd)、クマリン6、クマリン545T、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン(略称:DCM1)、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(ジュロリジン−4−イル−ビニル)−4H−ピラン(略称:DCM2)、N,N’−ジメチルキナクリドン(略称:DMQd)、{2−(1,1−ジメチルエチル)−6−[2−(2,3,6,7−テトラヒドロ−1,1,7,7−テトラメチル−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン−4−イリデン}プロパンジニトリル(略称:DCJTB)、5,12−ジフェニルテトラセン(略称:DPT)、N,9−ジフェニル−N−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:PCAPA)、N,N’’−(2−tert−ブチルアントラセン−9,10−ジイルジ−4,1−フェニレン)ビス[N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン]略称:DPABPA)、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(9−フェニルカルバゾール−3−イル)スチルベン−4,4’−ジアミン(略称:PCA2S)、2,5,8,11−テトラ(tert−ブチル)ペリレン(略称:TBP)、ペリレン、ルブレン、1,3,6,8−テトラフェニルピレン、ビス[3−(1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)フルオレン−2−オラト]亜鉛(II)、ビス[3−(1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)フルオレン−2−オラト]ベリリウム(II)、ビス[2−(1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)ジベンゾ[b、d]フラン−3−オラト](フェノラト)アルミニウム(III)、ビス[2−(ベンゾオキサゾール−2−イル)−7,8−メチレンジオキシジベンゾ[b、d]フラン−3−オラト](2−ナフトラト)アルミニウム(III)などの蛍光を発光する蛍光発光性物質を用いることができる。また、テルフェニルにアリール基が6個以上置換した化合物を用いることができる。さらに、(アセチルアセトナト)ビス[2,3−ビス(4−フルオロフェニル)キノキサリナト]イリジウム(III)(略称:Ir(Fdpq)(acac))、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−ポルフィリン白金(II)(略称:PtOEP)、などの燐光を発光する燐光発光性物質を用いることができる。
【0133】
また、発光性の高い物質を分散して発光層613に用いる物質としては、種々の材料を用いることができる。例えば、上述した正孔輸送性の高い物質や後述する電子輸送性の高い物質の他、4,4’−ビス(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)や、2,2’,2”−(1,3,5−ベンゼントリイル)トリス[1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール](略称:TPBI)、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、9−[4−(N−カルバゾリル)]フェニル−10−フェニルアントラセン(略称:CzPA)などが挙げられる。
【0134】
また、発光性の高い物質を分散して発光層613に用いる物質として高分子材料を用いることができる。例えば、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK)やポリ(4−ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)、ポリ[N−(4−{N’−[4−(4−ジフェニルアミノ)フェニル]フェニル−N’−フェニルアミノ}フェニル)メタクリルアミド](略称:PTPDMA)、ポリ[N,N’−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン](略称:Poly−TPD)などや、ポリ[(9,9−ジヘキシルフルオレン−2,7−ジイル)−co−(ピリジン−3,5−ジイル)](略称:PF−Py)、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−co−(2,2’−ビピリジン−6,6’−ジイル)](略称:PF−BPy)等を用いることができる。その他、テルフェニルにアリール基が6個以上置換した化合物、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)−1,1’−ビナフチル、4,4’−ビス[2,2−ビス(4−メチルフェニル)ビニル]−1,1’−ビナフチル、4,4’−ビス[2,2−ビス(4−メトキシフェニル)ビニル]−1,1’−ビナフチル、4,4’−ビス(2−メチル−2−フェニルビニル)−1,1’−ビナフチル、4,4’−ジスチリル−1,1’−ビナフチル、4,4’−ビス[2−(2−ナフチル)−2−フェニルビニル]−1,1’−ビナフチル、4,4’−ビス[2−(1−ナフチル)−2−フェニルビニル]−1,1’−ビナフチル、4,4’−ビス[2−(ビフェニル−4−イル)−2−フェニルビニル]−1,1’−ビナフチル、ビス[3−(1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)フルオレン−2−オラト]亜鉛(II)、ビス[3−(1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)フルオレン−2−オラト]ベリリウム(II)、ビス[2−(1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)ジベンゾ[b、d]フラン−3−オラト](フェノラト)アルミニウム(III)、ビス[2−(ベンゾオキサゾール−2−イル)−7,8−メチレンジオキシジベンゾ[b、d]フラン−3−オラト](2−ナフトラト)アルミニウム(III)などを用いることができる。
【0135】
電子輸送層614は、電子輸送性の高い物質を含む層である。例えば、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(略称:BAlq)など、キノリン骨格またはベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等を用いることができる。また、この他ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンズオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX))、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ))などのオキサゾール系、チアゾール系配位子を有する金属錯体なども用いることができる。さらに、金属錯体以外にも、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)や、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)、ビス[3−(1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)フルオレン−2−オラト]亜鉛(II)、ビス[3−(1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)フルオレン−2−オラト]ベリリウム(II)、ビス[2−(1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)ジベンゾ[b、d]フラン−3−オラト](フェノラト)アルミニウム(III)、ビス[2−(ベンゾオキサゾール−2−イル)−7,8−メチレンジオキシジベンゾ[b、d]フラン−3−オラト](2−ナフトラト)アルミニウム(III)なども用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の電子移動度を有する物質である。なお、正孔よりも電子の輸送性の高い物質であれば、上記以外の物質を電子輸送層として用いても構わない。また、電子輸送層は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
【0136】
また、電子輸送層614として、高分子化合物を用いることができる。例えば、ポリ[(9,9−ジヘキシルフルオレン−2,7−ジイル)−co−(ピリジン−3,5−ジイル)](略称:PF−Py)、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−co−(2,2’−ビピリジン−6,6’−ジイル)](略称:PF−BPy)などを用いることができる。
【0137】
また、電子輸送層614と第2の電極603との間に電子注入層を設けてもよい。電子注入層としては、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF)等のようなアルカリ金属化合物、又はアルカリ土類金属化合物を用いることができる。さらに、電子輸送性を有する物質とアルカリ金属又はアルカリ土類金属が組み合わされた層も使用できる。例えばAlqからなる層中にマグネシウム(Mg)を含有させたものを用いることができる。なお、電子注入層として、電子輸送性を有する物質とアルカリ金属又はアルカリ土類金属を組み合わせた層を用いることは、第2の電極603からの電子注入が効率良く起こるためより好ましい。
【0138】
第2の電極603を形成する物質としては、仕事関数の小さい(具体的には3.8eV以下であることが好ましい)金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを用いることが好ましい。このような陰極材料の具体例としては、元素周期表の第1族または第2族に属する元素、すなわちリチウム(Li)やセシウム(Cs)等のアルカリ金属、およびマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)等のアルカリ土類金属、およびこれらを含む合金(MgAg、AlLi)、ユ−ロピウム(Eu)、イッテルビウム(Yb)等の希土類金属およびこれらを含む合金等が挙げられる。アルカリ金属、アルカリ土類金属、これらを含む合金の膜は、真空蒸着法を用いて形成することができる。また、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含む合金はスパッタリング法により形成することも可能である。また、銀ペーストなどをインクジェット法などにより成膜することも可能である。
【0139】
また、第2の電極603と電子輸送層614との間に、電子注入層を設けることにより、仕事関数の大小に関わらず、Al、Ag、ITO、珪素若しくは酸化珪素を含有した酸化インジウム−酸化スズ等様々な導電性材料を第2の電極603として用いることができる。これら導電性材料は、スパッタリング法やインクジェット法、スピンコート法等を用いて成膜することが可能である。
【0140】
以上のような構成を有する本実施の形態で示した発光素子は、第1の電極601と第2の電極603との間に電圧を加えることにより電流が流れる。そして、発光性の高い物質を含む層である発光層613において正孔と電子とが再結合し、発光するものである。つまり発光層613に発光領域が形成されるような構成となっている。
【0141】
発光は、第1の電極601または第2の電極603のいずれか一方または両方を通って外部に取り出される。従って、第1の電極601または第2の電極603のいずれか一方または両方は、透光性を有する電極である。第1の電極601のみが透光性を有する電極である場合、光は第1の電極601を通って基板600側から取り出される。また、第2の電極603のみが透光性を有する電極である場合、光は第2の電極603を通って基板600と逆側から取り出される。第1の電極601および第2の電極603がいずれも透光性を有する電極である場合、光は第1の電極601および第2の電極603を通って、基板600側および基板600側と逆側の両方から取り出される。
【0142】
図6では、陽極として機能する第1の電極601を基板600側に設けた構成について示したが、陰極として機能する第2の電極603を基板600側に設けてもよい。なお、この場合には、第2の電極603と接続するTFTは、nチャネル型TFTであることが好ましい。
【0143】
また、有機化合物を含む層602の形成方法としては、乾式法、湿式法を問わず、種々の方法を用いることができる。また各電極または各層ごとに異なる成膜方法を用いて形成しても構わない。乾式法としては、真空蒸着法、スパッタリング法などが挙げられる。また、湿式法としては、インクジェット法またはスピンコート法などが挙げられる。
【0144】
電極についても、ゾル−ゲル法を用いて湿式法で形成しても良いし、金属材料のペーストを用いて湿式法で形成してもよい。また、スパッタリング法や真空蒸着法などの乾式法を用いて形成しても良い。
【0145】
以下、具体的な発光素子の形成方法を示す。本発明の一態様の発光素子を表示装置に適用し、発光層を塗り分ける場合には、発光層は湿式法により形成することが好ましい。発光層をインクジェット法などの湿式法を用いて形成することにより、大型基板であっても発光層の塗り分けが容易となり、生産性が向上する。
【0146】
例えば、本実施の形態で示した構成において、第1の電極601を乾式法であるスパッタリング法、正孔注入層611を湿式法であるインクジェット法やスピンコート法、正孔輸送層612を乾式法である真空蒸着法、発光層613を湿式法であるインクジェット法、電子輸送層614を乾式法である共蒸着法、第2の電極603を湿式法であるインクジェット法やスピンコート法を用いて形成してもよい。また、第1の電極601を湿式法であるインクジェット法、正孔注入層611を乾式法である真空蒸着法、正孔輸送層612を湿式法であるインクジェット法やスピンコート法、発光層613を湿式法であるインクジェット法、電子輸送層614を湿式法であるインクジェット法やスピンコート法、第2の電極603を湿式法であるインクジェット法やスピンコート法を用いて形成してもよい。なお、上記の方法に限らず、湿式法と乾式法を適宜組み合わせればよい。
【0147】
また、例えば、第1の電極601を乾式法であるスパッタリング法、正孔注入層611および正孔輸送層612を湿式法であるインクジェット法やスピンコート法、発光層613を湿式法であるインクジェット法、電子輸送層614を乾式法である真空蒸着法、第2の電極603を乾式法である真空蒸着法で形成することができる。つまり、第1の電極601が所望の形状で形成されている基板上に、正孔注入層611から発光層613までを湿式法で形成し、電子輸送層614から第2の電極603までを乾式法で形成することができる。この方法では、正孔注入層611から発光層613までを大気圧で形成することができ、発光層613の塗り分けも容易である。また、電子輸送層614から第2の電極603までは、真空一貫で形成することができる。よって、工程を簡略化し、生産性を向上させることができる。
【0148】
また、湿式法により成膜する場合、正孔注入性の高い物質、正孔輸送性の高い物質、発光性の高い物質、乃至電子輸送性の高い物質が溶媒に溶解した溶液状の組成物を用いる事ができる。この場合、上述の物質及び溶媒からなる溶液状の組成物を被形成領域に付着させた後、加熱処理などにより溶媒を除去して上述の物質を固化させることにより薄膜として形成する。
【0149】
以上のような構成を有する本実施の形態の発光素子は、第1の電極601と第2の電極603との間に生じた電位差により電流が流れ、発光性の高い物質を含む層である発光層613において正孔と電子とが再結合し、発光するものである。つまり発光層613に発光領域が形成されるような構成となっている。
【0150】
なお第1の電極601と第2の電極603との間に設けられる層の構成は、上記のものには限定されない。発光領域と金属とが近接することによって生じる消光を防ぐように、第1の電極601および第2の電極603から離れた部位に正孔と電子とが再結合する発光領域を設けた構成であれば、上記以外のものでもよい。
【0151】
例えば、正孔輸送層を設けず、アクセプターを含有する正孔注入層と発光層からの電子の注入を抑制する電子注入抑制層を設けた構成を用いても良い。この際、電子注入抑制層を構成する材料は、発光層を構成する材料及びアクセプターの電子親和力より小さい材料を用いることが好ましい。また、逆に電子輸送層を設けず、ドナーを含有する電子注入層と発光層からの正孔の注入を抑制する正孔注入抑制層を設けた構成を用いても良い。この際、正孔注入抑制層を構成する材料は、発光層を構成する材料及びドナーのイオン化ポテンシャルより大きい材料を用いることが好ましい。
【0152】
また、本実施の形態に示す発光素子の構成としては、上述した正孔注入層611と正孔輸送層612とがそれぞれ2層以上交互に積層された構造としても良い。また、陰極となる電極を酸化物透明導電膜と金属電極との間に酸化を防ぐ第2の金属電極を挟んでなる3層構造としてもよい。
【0153】
本実施の形態で例示した第1の電極と、第2の電極の間に発光性の有機化合物を含む層を備える発光素子を、実施の形態1乃至実施の形態3記載の発光モジュールに搭載することにより、一部の発光素子の断線(絶縁性の不具合)により照明全体が消灯することがなく、一つの定電流電源で駆動と調光が可能な発光装置を提供できる。また、複数の発光素子の一部が偏って使用されることなく調光が可能な発光装置を提供できる。
【0154】
また、薄型軽量で、応答速度が非常に速く、大きな面積を有し、輝度を均一に保つことができる発光装置を提供できる。
【0155】
このようにして、全体としての明るさは平滑化されたまま、長寿命化を図ることができる。
【0156】
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることが可能である。
【0157】
(実施の形態5)
本実施の形態は、上記実施の形態に係る発光性の有機化合物を含む層(以下発光ユニットという)を複数積層して備える構成の発光素子(以下、積層型素子という)の態様について、図7を参照して説明する。この発光素子は、第1の電極と第2の電極との間に、複数の発光ユニットを有する発光素子である。発光ユニットとしては、実施の形態4で示した有機化合物を含む層602と同様な構成を用いることができる。つまり、実施の形態4で示した発光素子は、1つの発光ユニットを有する発光素子であり、本実施の形態では、複数の発光ユニットを有する発光素子について説明する。
【0158】
図7において、第1の電極501と第2の電極502との間には、第1の発光ユニット511と第2の発光ユニット512が積層されている。第1の電極501と第2の電極502は実施の形態4と同様なものを適用することができる。また、第1の発光ユニット511と第2の発光ユニット512は同じ構成であっても異なる構成であってもよく、その構成は実施の形態4に記載の有機化合物を含む層と同様なものを適用することができる。
【0159】
電荷発生層513には、有機化合物と金属酸化物の複合材料が含まれている。この有機化合物と金属酸化物の複合材料は、実施の形態4で示した複合材料であり、有機化合物とバナジウム酸化物やモリブデン酸化物やタングステン酸化物等の金属酸化物を含む。有機化合物としては、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、芳香族炭化水素、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)など、種々の化合物を用いることができる。なお、有機化合物としては、正孔輸送性有機化合物として正孔移動度が10−6cm/Vs以上であるものを適用することが好ましい。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。有機化合物と金属酸化物の複合材料は、キャリア注入性、キャリア輸送性に優れているため、低電圧駆動、低電流駆動を実現することができる。
【0160】
なお、電荷発生層513は、有機化合物と金属酸化物の複合材料と他の材料とを組み合わせて形成してもよい。例えば、有機化合物と金属酸化物の複合材料を含む層と、電子供与性物質の中から選ばれた一の化合物と電子輸送性の高い化合物とを含む層とを組み合わせて形成してもよい。また、有機化合物と金属酸化物の複合材料を含む層と、透明導電膜とを組み合わせて形成してもよい。
【0161】
いずれにしても、第1の発光ユニット511と第2の発光ユニット512に挟まれる電荷発生層513は、第1の電極501と第2の電極502に電圧を印加したときに、一方の側の発光ユニットに電子を注入し、他方の側の発光ユニットに正孔を注入するものであれば良い。例えば、図7において、第1の電極501の電位の方が第2の電極502の電位よりも高くなるように電圧を印加した場合、電荷発生層513は、第1の発光ユニット511に電子を注入し、第2の発光ユニット512に正孔を注入するものであればよい。
【0162】
本実施の形態では、2つの発光ユニットを有する発光素子について説明したが、3つ以上の発光ユニットを積層した発光素子についても、同様に適用することが可能である。本実施の形態に係る発光素子のように、一対の電極間に複数の発光ユニットを電荷発生層で仕切って配置することで、電流密度を低く保ったまま、高輝度領域での発光が可能な長寿命素子を実現できる。
【0163】
また、それぞれの発光ユニットの発光色を異なるものにすることで、発光素子全体として、所望の色の発光を得ることができる。例えば、2つの発光ユニットを有する発光素子において、第1の発光ユニットの発光色と第2の発光ユニットの発光色を補色の関係になるようにすることで、発光素子全体として白色発光する発光素子を得ることも可能である。なお、補色とは、混合すると無彩色になる色同士の関係をいう。つまり、補色の関係にある色を発光する物質から得られた光を混合すると、白色発光を得ることができる。また、3つの発光ユニットを有する発光素子の場合でも同様であり、例えば、第1の発光ユニットの発光色が赤色であり、第2の発光ユニットの発光色が緑色であり、第3の発光ユニットの発光色が青色である場合、発光素子全体としては、白色発光を得ることができる。
【0164】
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることが可能である。
【0165】
(実施の形態6)
本発明の一態様の発光装置を照明装置として用いる一態様を、図8乃至図10を用いて説明する。
【0166】
図8は、本発明の一態様の発光装置をバックライトとして用いた液晶表示装置の一例である。図8に示した液晶表示装置は、筐体901、液晶層902、バックライト903、筐体904を有し、液晶層902は、ドライバIC905と接続されている。また、バックライト903は、本発明の一態様の発光装置が用いられており、端子906により、電流が供給されている。
【0167】
本発明の一態様の発光装置を液晶表示装置のバックライトとして用いることにより、発光効率が高く、消費電力の低減されたバックライトが得られる。また、本発明の一態様の発光装置は、面発光の照明装置であり大面積化も可能であるため、バックライトの大面積化が可能であり、液晶表示装置の大面積化も可能になる。さらに、本発明の一態様の発光装置は薄型で低消費電力であるため、表示装置の薄型化、低消費電力化も可能となる。また、本発明の一態様の発光装置は長寿命であるため、本発明の一態様の発光装置を用いた液晶表示装置も長寿命である。
【0168】
図9は、本発明の一態様を適用した発光装置を、照明装置である電気スタンドとして用いた例である。図9に示す電気スタンドは、筐体2001と、光源2002を有し、光源2002として、本発明の一態様の発光装置が用いられている。本発明の一態様の発光装置は、発光効率が高く、長寿命であるため、電気スタンドも発光効率が高く、長寿命である。
【0169】
図10は、本発明の一態様を適用した発光装置を、室内の照明装置3001として用いた例である。本発明の一態様の発光装置は大面積化も可能であるため、大面積の照明装置として用いることができる。また、本発明の一態様の発光装置は、薄型で低消費電力であるため、薄型化、低消費電力化の照明装置として用いることが可能となる。
【0170】
本実施の形態によれば、一部の発光素子の断線(絶縁性の不具合)により照明全体が消灯することがなく、一つの定電流電源で駆動と調光が可能な照明装置を提供できる。また、複数の発光素子の一部が偏って使用されることなく調光が可能な照明装置を提供できる。
【0171】
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0172】
100 発光装置
110 発光制御手段
115 輝度制御手段
116 設定信号
117 制御信号
120 定電流電源
126 定電流
130 発光モジュール
131 端子部
132 端子部
150 発光パネル
200 発光装置
210 発光制御手段
215 輝度制御手段
216 設定信号
217 制御信号
220 定電流電源
226 定電流
230 発光モジュール
231 端子部
232 端子部
250 発光パネル
300 発光装置
310 発光制御手段
315 輝度制御手段
316 設定信号
317 制御信号
320 定電流電源
326 定電流
330 発光モジュール
331 端子部
332 端子部
340 発光モジュール
350 発光パネル
430 発光モジュール
431 端子部
432 端子部
450 発光パネル
501 電極
502 電極
511 発光ユニット
512 発光ユニット
513 電荷発生層
600 基板
601 電極
602 層
603 電極
611 正孔注入層
612 正孔輸送層
613 発光層
614 電子輸送層
901 筐体
902 液晶層
903 バックライト
904 筐体
905 ドライバIC
906 端子
1500 時間
1501 時間
1510 時間
1511 時間
2001 筐体
2002 光源
2500 時間
2501 時間
2510 時間
2511 時間
3001 照明装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光パネルと、
前記発光パネルのそれぞれに電力を供給する定電流電源と、
前記発光パネルの明るさを設定する輝度制御手段と、
前記発光パネルを同じ頻度で点滅するように、前記輝度制御手段の信号に基づいて、前記定電流電源の出力が逐次配電する発光制御手段を有し、
前記発光パネルが第1の電極と、第2の電極の間に発光性の有機化合物を含む層を有する発光素子を備える発光装置。
【請求項2】
前記発光制御手段が前記定電流電源の出力電流を制御する請求項1記載の発光装置。
【請求項3】
前記発光制御手段が前記定電流電源の出力する電流のパルス幅を制御する請求項1記載の発光装置。
【請求項4】
前記定電流電源が、
前記発光制御手段が出力する制御信号に従って、
100Hz以上500kHz以下の頻度で、
それぞれの前記発光パネルに定電流を供給する請求項1乃至請求項3記載の発光装置。
【請求項5】
複数の発光パネルと、
前記発光パネルのそれぞれに電力を供給する定電流電源と、
前記発光パネルの明るさを設定する輝度制御手段と、
前記発光パネルを同じ頻度で点滅するように、前記輝度制御手段の信号に基づいて、前記定電流電源の出力が逐次配電する発光制御手段を有し、
前記発光パネルが第1の電極と、第2の電極の間に電荷発生層を介して有機化合物を含む複数の発光ユニットを有する発光素子を備える発光装置。
【請求項6】
前記発光制御手段が前記定電流電源の出力電流を制御する請求項5記載の発光装置。
【請求項7】
前記発光制御手段が前記定電流電源の出力する電流のパルス幅を制御する請求項5記載の発光装置。
【請求項8】
前記定電流電源が、
前記発光制御手段が出力する制御信号に従って、
100Hz以上500kHz以下の頻度で、
それぞれの前記発光パネルに定電流を供給する請求項5乃至請求項7のいずれか一に記載の発光装置。
【請求項9】
第1の電極と、第2の電極の間に発光性の有機化合物を含む層を有する発光素子を設けたn個(nは2以上10000以下)の発光パネルと、各発光パネルの前記第1の電極と電気的に接続するn個の第1の端子と、各発光パネルの前記第2の電極と電気的に接続するn個の第2の端子を備える発光モジュールをm個(mは2以上10以下)用い、
いずれか一つの前記発光モジュールに設けた発光パネルのいずれか一の第2の端子と、他のいずれか一つの前記発光モジュールに設けた発光パネルのいずれか一の第1の端子を逐次接続して、m個の発光パネルを直列に接続したn個の発光体を形成し、
n個の前記発光体の前記第1の電極と接続する端子を定電流電源の一方の電極と接続し、
n個の前記発光体の前記第2の電極と接続する端子を前記定電流電源の他方の電極と接続し、
前記n個の発光体に輝度制御手段の信号に基づいて発光制御手段が制御する前記定電流電源から配電して前記n個の発光体を同じ頻度で点滅する発光装置の駆動方法。
【請求項10】
パルス状の電流を供給することにより複数の発光パネルのそれぞれを逐次発光するステップを含み、前記複数の発光パネルのそれぞれは有機化合物を含む発光層を含む、複数の発光パネルを含む発光装置の駆動方法。
【請求項11】
前記発光装置の明るさを前記電流の電流値を変化させて調節するステップを更に含む、請求項10に記載した発光装置の駆動方法。
【請求項12】
前記発光装置の明るさを前記電流のパルス幅を変化させて調節するステップを更に含む、請求項10に記載した発光装置の駆動方法。
【請求項13】
前記発光装置の明るさを前記電流のデューティー比を変化させて調節するステップを更に含む、請求項10に記載した発光装置の駆動方法。
【請求項14】
前記電流は定電流である、請求項10に記載した発光装置の駆動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−228295(P2011−228295A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−77513(P2011−77513)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】