説明

発光装置、照明装置、基板、基板の作製方法

【課題】有機EL素子からの光の取り出し効率が高く、軽量であり、信頼性の高い基板を提供する。
【解決手段】樹脂層の内部に保護層を有し、光入射面に凹凸構造を有し、該凹凸構造を取り囲み、保護層が露出している開口部が設けられた基板を提供する。また、光入射面に凹凸構造を備える樹脂層を、保護層上に有し、保護層と対向基板とがシール材で貼り合わされた内部に、発光素子を有し、保護層及び樹脂層は、可視光に対する透光性を有し、発光素子が、樹脂層上に設けられた透光性を有する第1の電極と、第1の電極上に設けられた発光性の有機化合物を含む層と、発光性の有機化合物を含む層上に設けられた第2の電極と、を有する発光装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
有機エレクトロルミネッセンス(EL:Electro Luminescence)現象を利用した発光素子(以下、有機EL素子とも記す)を備えた発光装置に関する。また、該発光装置に用いる基板に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL素子の研究開発が盛んに行われている。有機EL素子の基本的な構成は、一対の電極間に発光性の有機化合物を含む層(以下、発光層とも記す)を挟んだものである。この素子に電圧を印加することにより、発光性の有機化合物からの発光を得ることができる。
【0003】
有機EL素子は膜状に形成することが可能であるため、大面積化が容易で、照明等に応用できる面光源としての利用価値も高い。
【0004】
有機EL素子は、大気より屈折率が高い領域で発光するため、光を大気中に取り出すときに素子内、又は素子と大気との境界面で全反射が生じる条件があり、素子の光取り出し効率は100%より小さいという問題がある。一般的には、素子の光取り出し効率は、20〜30%程度と言われている。
【0005】
特許文献1には、透明電極と透明基板との間に、発光層から放出された光を屈折させるためのレンズが埋設された光取り出し層を配置したELデバイスの構成が開示されている。このような構成とすることで、透明電極と透明基板との界面における全反射による光取り出し効率の低下を抑制することができる。
【0006】
また、非特許文献1には、プラスチック基板上に有機EL素子を設けた発光装置が開示されている。基板にプラスチックを用いると、ガラスなどを用いた場合と比較して、発光装置を軽量化することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−147203号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Gi Heon Kimら、「THIN FILM PASSIVATION FOR LONGEVITY OF ORGANIC LIGHT−EMITTING DEVICES AND ORGANIC」、IDW’03、2003年、p.387−390
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
有機EL素子は、侵入する不純物により信頼性が損なわれてしまう(例えば、発光効率の低下など)という課題がある。
【0010】
水分又は不純物が、有機EL素子の外部から有機EL素子に含まれる有機化合物や金属材料に侵入することで、有機EL素子の寿命は大幅に低下する場合がある。有機EL素子に用いる有機化合物、金属材料が水分や不純物と反応し、劣化してしまうためである。
【0011】
非特許文献1で用いられているようなプラスチック基板は、水分や不純物を通しやすい。したがって、プラスチック基板を用いた側からの外界の水分や酸素、不純物等の侵入が、有機EL素子や発光装置の寿命に悪影響を及ぼすことがある。
【0012】
そこで、本発明の一態様は、有機EL素子からの光の取り出し効率が高く、軽量であり、信頼性の高い基板を提供することを目的の一とする。また、該基板の作製方法を提供することを目的の一とする。
【0013】
また、有機EL素子からの光の取り出し効率が高く、軽量であり、信頼性の高い発光装置、又は照明装置を提供することを目的の一とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本発明の一態様では、樹脂と、バリア性が高い材料とを組み合わせた基板を発光装置に用いる。
【0015】
具体的には、本発明の一態様は、光入射面に凹凸構造を備える樹脂層を、保護層上に有し、保護層と対向基板とがシール材で貼り合わされた内部に、発光素子を有し、保護層及び樹脂層は、可視光に対する透光性(以下、単に透光性と記す)を有し、発光素子が、樹脂層上に設けられた透光性を有する第1の電極と、第1の電極上に設けられた発光性の有機化合物を含む層(発光層とも記す)と、発光性の有機化合物を含む層上に設けられた第2の電極と、を有する発光装置である。
【0016】
本発明の一態様では、基板(樹脂層及び保護層を含む)に樹脂材料を用いるため、同じ大きさ、厚さの基板にガラスのみを用いる場合に比べて、発光装置を軽量化することができる。また、本発明の一態様は、可撓性を有する発光装置を得ることができる。
【0017】
また、本発明の一態様では、有機EL素子(第1の電極)と樹脂層との間に凹凸構造を有する。このような構成とすることで、第1の電極と樹脂層との界面における全反射による光取り出し効率の低下を抑制することができる。
【0018】
また、本発明の一態様では、保護層を有するため、水分又は不純物等が、発光装置の外部から発光素子に含まれる有機化合物や金属材料に侵入することを防ぐことができる。さらに、本発明の一態様の発光装置は、保護層と対向基板とシール材により発光素子を密閉していることから、発光装置の光射出面だけでなく、側面においても、水分又は不純物等が発光素子に含まれる有機化合物や金属材料に侵入することを防ぐことができる。したがって、信頼性の高い発光装置を得ることができる。
【0019】
なお、本明細書中において、ある層における光入射面又は光射出面とは、本発明の一態様の発光装置が備える発光素子が発する光の入射面又は射出面を指す。
【0020】
本発明の別の態様は、第1の樹脂層と、第1の樹脂層上に設けられた保護層と、保護層上に設けられた第2の樹脂層と、保護層と対向基板とがシール材で貼り合わされた内部に、発光素子と、を有し、第1の樹脂層、保護層、及び第2の樹脂層は、透光性を有し、第1の樹脂層は、光射出面に、第1の凹凸構造を有し、第2の樹脂層は、光入射面に、第2の凹凸構造を有し、発光素子が、第2の樹脂層上に設けられた透光性を有する第1の電極と、第1の電極上に設けられた発光性の有機化合物を含む層と、発光性の有機化合物を含む層上に設けられた第2の電極と、を有する発光装置である。
【0021】
本発明の一態様では、基板に樹脂材料を用いるため、ガラス基板を用いる場合に比べて、発光装置を軽量化することができる。
【0022】
また、本発明の一態様では、有機EL素子(第1の電極)と第2の樹脂層との間に凹凸構造を有する。さらに、本発明の一態様では、第1の樹脂層と大気との界面に凹凸構造を有する。このような構成とすることで、第1の電極と第2の樹脂層との界面、及び第1の樹脂層と大気との界面における全反射による光取り出し効率の低下を抑制することができる。
【0023】
また、本発明の一態様では、保護層を有するため、水分又は不純物等が、発光装置の外部から発光素子に含まれる有機化合物や金属材料に侵入することを防ぐことができる。さらに、本発明の一態様の発光装置は、保護層と対向基板とシール材により発光素子を密閉していることから、発光装置の光射出面だけでなく、側面においても、水分又は不純物等が発光素子に含まれる有機化合物や金属材料に侵入することを防ぐことができる。したがって、信頼性の高い発光装置を得ることができる。
【0024】
上記発光装置に用いる有機EL素子において、第1の電極が凹凸を有すると、第1の電極上に形成される発光層等においてリーク電流が生じる恐れがある。したがって、本発明の一態様の発光装置は、樹脂層(又は第2の樹脂層)上に平坦化層を設け、該平坦化層上に発光素子を設ける。平坦化層の屈折率は1.6以上とする。好ましくは、有機EL素子が有するEL層(少なくとも発光層を含む)の屈折率以上である。このような構成とすることで、樹脂層(又は第2の樹脂層)が備える凹凸構造に因る第1の電極上の凹凸形成を抑制することができ、発光層等におけるリーク電流の発生も防ぐことができる。
【0025】
また、有機EL素子と平坦化層は屈折率の差が小さいため、全反射が生じにくい。そして、樹脂層(第2の樹脂層)と平坦化層との界面に凹凸構造を有するため、樹脂層(第2の樹脂層)と平坦化層は屈折率に差があっても、界面における全反射による光取り出し効率の低下を抑制することができる。
【0026】
上記に挙げた、樹脂と、バリア性が高い材料とを組み合わせた基板(樹脂層と保護層を備えた基板)を適用した発光装置の一態様では、樹脂層に用いる樹脂と保護層に用いる材料(例えば、ガラス)の密着性が低い場合が考えられる。
【0027】
したがって、本発明の一態様は、樹脂層の内部に保護層を有し、光入射面に凹凸構造を有し、該凹凸構造を取り囲み、保護層が露出している開口部が設けられた基板である。
【0028】
また、本発明の一態様は、樹脂層の内部に保護層を有し、光射出面に第1の凹凸構造を有し、光入射面に第2の凹凸構造を有し、該第2の凹凸構造を取り囲み、保護層が露出している開口部が設けられた基板である。
【0029】
上記構成では、保護層が樹脂層で覆われるため、保護層と樹脂層が剥離しにくくなる。また、基板の機械的強度を高めることができる。
【0030】
また、本発明の一態様は、上記基板と、有機EL素子とを有する発光装置であって、保護層と対向基板とがシール材で貼り合わされた内部に、発光素子を有し、発光素子が、樹脂層上に設けられた透光性を有する第1の電極と、第1の電極上に設けられた発光性の有機化合物を含む層と、発光性の有機化合物を含む層上に設けられた第2の電極と、を有する発光装置である。
【0031】
本発明の一態様では、樹脂層の内部に保護層を有するため、水分又は不純物等が、発光装置の外部から発光素子に含まれる有機化合物や金属材料に侵入することを防ぐことができる。さらに、凹凸構造を取り囲み、保護層が露出している開口部が設けられている。該開口部において、保護層と対向基板とがシール材により貼り合わされることで、発光装置の光射出面だけでなく、側面においても、水分又は不純物等が発光素子に含まれる有機化合物や金属材料に侵入することを抑制することができる。
【0032】
また、開口部以外は、保護層を樹脂層が覆っているため、保護層と樹脂層の密着性は高く、保護層に用いる材料との密着性が低い樹脂を適用することも可能となる。また、以下に示す本発明の一態様の基板の作製方法を適用することで、保護層と樹脂層の密着性が高い基板を簡便に作製できる。また、接着剤等を適宜用いても良い。
【0033】
上記発光装置において、第2の凹凸構造上に平坦化層を設け、該平坦化層上に発光素子を設けることが好ましい。平坦化層の屈折率は1.6以上とする。好ましくは、有機EL素子が有するEL層の屈折率以上である。このような構成とすることで、第2の凹凸構造に因る第1の電極上の凹凸形成を抑制することができ、発光層等におけるリーク電流の発生も防ぐことができる。
【0034】
また、有機EL素子と平坦化層は屈折率の差が小さいため、全反射が生じにくい。そして、樹脂層と平坦化層との界面に凹凸構造を有するため、樹脂層と平坦化層は屈折率に差があっても、界面における全反射による光取り出し効率の低下を抑制することができる。
【0035】
また、本発明の一態様は、第1の金型上に、第1の樹脂層、保護層、及び第2の樹脂層をこの順で形成し、第2の樹脂層上に、第2の金型を配置し、第1の金型及び第2の金型で、第1の樹脂層、保護層、及び第2の樹脂層を挟持しながら、熱及び圧力を加える、上記基板の作製方法である。
【0036】
また、本発明の一態様は、第1の金型上に、第1の樹脂層、保護層、及び第2の樹脂層をこの順で形成し、第2の樹脂層上に、第2の金型を配置し、第1の金型及び第2の金型で、第1の樹脂層、保護層、及び第2の樹脂層を挟持しながら、熱及び圧力を加えることで、内部に保護層を有し、光入射面に凹凸構造を有する成形物を作製し、成形物にレーザ光を照射することで、光入射面に、凹凸構造を取り囲み、保護層が露出している開口部を形成する基板の作製方法である。
【0037】
また、本発明の一態様は、第1の金型上に、第1の樹脂層、保護層、及び第2の樹脂層をこの順で形成し、第2の樹脂層上に、第2の金型を配置し、第1の金型及び第2の金型で、第1の樹脂層、保護層、及び第2の樹脂層を挟持しながら、熱及び圧力を加えることで、内部に保護層を有し、光射出面に第1の凹凸構造を有し、光入射面に第2の凹凸構造を有する成形物を作製し、成形物にレーザ光を照射することで、光入射面に、第2の凹凸構造を取り囲み、保護層が露出している開口部を形成する基板の作製方法である。
【0038】
また、上記基板の作製方法において、第1の弾性材上に、第1の金型を配置した後、第1の金型上に、第1の樹脂層を形成することが好ましい。また、上記基板の作製方法において、第2の樹脂層上に第2の金型を配置し、該第2の金型上に第2の弾性材を配置することが好ましい。弾性材を用いることで、後に圧力を加えた際に、加圧面内で、加わる圧力にムラが生じることを抑制することができる。
【0039】
本発明の一態様において、保護層が、25μm以上100μm以下の厚さのガラスであることが好ましい。保護層として薄いガラスを用いることで、水分又は不純物等が発光装置の外部から発光素子に含まれる有機化合物や金属材料に侵入することを抑制することができ、軽量な発光装置を得ることができる。特に、25μm以上75μm以下とすることで、軽量で、曲げや折れに強い発光装置を実現することができる。
【0040】
上記に挙げた本発明の一態様の発光装置は、照明装置の発光部に適用することができる。
【発明の効果】
【0041】
本発明の一態様では、有機EL素子からの光の取り出し効率が高く、軽量であり、信頼性の高い基板を提供することができる。また、該基板の作製方法を提供することができる。
【0042】
また、有機EL素子からの光の取り出し効率が高く、軽量であり、信頼性の高い発光装置、又は照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の一態様の基板及び発光装置を示す図。
【図2】本発明の一態様の基板の作製方法を示す図。
【図3】本発明の一態様の基板の作製方法を示す図。
【図4】本発明の一態様の基板の作製方法を示す図。
【図5】本発明の一態様の基板の作製方法を示す図。
【図6】本発明の一態様の基板の作製方法を示す図。
【図7】本発明の一態様の基板及び発光装置を示す図。
【図8】本発明の一態様に適用することができるEL層を示す図。
【図9】本発明の一態様の発光装置を示す図。
【図10】本発明の一態様の照明装置を示す図。
【図11】本発明の一態様の発光装置を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0044】
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
【0045】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の基板及び発光装置について図1及び図7を用いて説明する。なお、本実施の形態で示す発光装置は、ボトムエミッション(下面射出)構造である。
【0046】
<構成例1>
図1(A)は、本発明の一態様の発光装置に用いることができる基板の平面図であり、図1(B)は、図1(A)のA−A’間の断面図である。また、図1(C)は、図1(A)に示す基板10を用いた本発明の一態様の発光装置の断面図である。
【0047】
図1(A)(B)に示すように、基板10は、保護層101上に、凹凸構造102を備える樹脂層100を有する。
【0048】
基板10は、樹脂材料を用いるため、ガラス基板を用いる場合に比べて、発光装置を軽量化することができる。
【0049】
図1(C)に、基板10を用いた発光装置を示す。保護層101と封止基板109は、シール材113によって貼り合わされており、その内部において、樹脂層100上に有機EL素子120を有する。また、該内部には、空間115が存在する。
【0050】
図1(C)に示す発光装置は、有機EL素子と樹脂層との間に凹凸構造を有する。このような構成とすることで、有機EL素子と樹脂層との界面における全反射による光取り出し効率の低下を抑制することができる。
【0051】
また、図1(C)に示す発光装置は、保護層を有するため、水分又は不純物等が、発光装置の外部から有機EL素子に含まれる有機化合物や金属材料に侵入することを防ぐことができる。さらに、保護層と封止基板とシール材により発光素子を密閉していることから、発光装置の光射出面だけでなく、側面においても、水分又は不純物等が有機EL素子に含まれる有機化合物や金属材料に侵入することを防ぐことができる。
【0052】
以上のことから、本発明の一態様である図1(C)に示す発光装置は、光の取り出し効率が高く、軽量であり、信頼性が高い。
【0053】
<構成例2>
図1(D)は、本発明の別の態様の発光装置の断面図である。
【0054】
図1(D)に示す発光装置は、一対の樹脂層(第1の樹脂層100a及び第2の樹脂層100b)の間に保護層101を有する。第1の樹脂層100aは、第1の凹凸構造102aを備え、第2の樹脂層100bは、第2の凹凸構造102bを備える。
【0055】
構成例1と同様に、保護層101と封止基板109は、シール材113によって貼り合わされており、その内部において、第2の樹脂層100b上に有機EL素子120を有する。また、該内部には、空間115が存在する。
【0056】
図1(D)に示す発光装置は、有機EL素子と第2の樹脂層との間に凹凸構造を有する。さらに、第1の樹脂層と大気との界面に凹凸構造を有する。このような構成とすることで、有機EL素子と第2の樹脂層との界面、及び第1の樹脂層と大気との界面における全反射による光取り出し効率の低下を抑制することができる。
【0057】
その他の構成は、構成例1と同様の構成を適用することができる。
【0058】
<構成例3>
図7(A)は、本発明の別の態様の発光装置に用いることができる基板の平面図であり、図7(B)は、図7(A)のB−B’間の断面図である。また、図7(C)は、図7(A)に示す基板20を用いた本発明の一態様の発光装置の断面図である。
【0059】
図7(A)(B)に示すように、基板20は、樹脂層100a、bの内部に、保護層101を有する。樹脂層100bは凹凸構造102を備える。樹脂層100a、bには、凹凸構造102を取り囲み、保護層101が露出している開口部が設けられている。
【0060】
基板20は、樹脂材料を用いるため、ガラス基板を用いる場合に比べて、発光装置を軽量化することができる。
【0061】
保護層101は、樹脂層100a、bで覆われているため、保護層101と樹脂層100a、bが剥離しにくくなる。また、基板20の機械的強度を高めることができる。
【0062】
図7(C)に、基板20を用いた発光装置を示す。保護層101と封止基板109は、シール材113によって貼り合わされており、その内部において、樹脂層100b上に有機EL素子120を有する。また、該内部には、空間115が存在する。
【0063】
図7(C)に示す発光装置は、有機EL素子と樹脂層との間に凹凸構造を有する。このような構成とすることで、有機EL素子と樹脂層との界面における全反射による光取り出し効率の低下を抑制することができる。
【0064】
また、図7(C)に示す発光装置は、保護層を有するため、水分又は不純物等が、発光装置の外部から有機EL素子に含まれる有機化合物や金属材料に侵入することを防ぐことができる。
【0065】
さらに、樹脂層には、凹凸構造を取り囲み、保護層が露出している開口部が設けられている。該開口部において、保護層と対向基板とがシール材により貼り合わされることで、発光装置の光射出面だけでなく、側面においても、水分又は不純物等が有機EL素子に含まれる有機化合物や金属材料に侵入することを抑制することができる。
【0066】
また、開口部以外は、保護層を樹脂層が覆っているため、保護層と樹脂層の密着性は高く、保護層に用いる材料との密着性が低い樹脂を適用することも可能となる。
【0067】
<構成例4>
図7(D)は、本発明の別の態様の発光装置の断面図である。図7(D)に示す発光装置は、基板30を備える。
【0068】
図7(D)に示す発光装置は、樹脂層100a、bの内部に、保護層101を有する。樹脂層100aは、光射出面に第1の凹凸構造102aを備え、樹脂層100bは、光入射面に第2の凹凸構造102bを備える。樹脂層100a、bには、第2の凹凸構造102bを取り囲み、保護層101が露出している開口部が設けられている。
【0069】
保護層101と封止基板109は、シール材113によって貼り合わされており、その内部において、樹脂層100b上に平坦化層111を有し、平坦化層111上に有機EL素子(可視光に対する透光性を有する第1の電極103、EL層105、及び第2の電極107)を有する。また、有機EL素子が封止膜119に覆われている。また、該内部には、空間115が存在する。
【0070】
発光装置に用いる有機EL素子において、第1の電極が凹凸を有すると、第1の電極上に形成されるEL層等においてリーク電流が生じる恐れがある。本発明の一態様では、図7(D)に示す発光装置のように、凹凸構造と有機EL素子との間に、平坦化層を有することが好ましい。このような構成とすることで、樹脂層が備える凹凸構造に因る第1の電極上の凹凸形成を抑制することができ、EL層等におけるリーク電流の発生も防ぐことができる。さらに、平坦化層の屈折率は、1.6以上、好ましくはEL層の屈折率以上とする。このような構成とすることで、平坦化層と第1の電極の界面において全反射が生じにくく、光取り出し効率の低下を抑制することができる。
【0071】
図7(D)に示す発光装置は、平坦化層111と第2の樹脂層100bとの間に凹凸構造を有する。さらに、第1の樹脂層100aと大気との界面に凹凸構造を有する。このような構成とすることで、平坦化層111と第2の樹脂層100bとの界面、及び第1の樹脂層100aと大気との界面における全反射による光取り出し効率の低下を抑制することができる。
【0072】
また、有機EL素子を覆う封止膜を設けることで、水分又は不純物等が有機EL素子の外部から有機EL素子に含まれる有機化合物や金属材料に侵入することをさらに抑制することができる。よって、封止膜を設けることが好ましい。
【0073】
その他の構成は、構成例3と同様の構成を適用することができる。
【0074】
以下にそれぞれの層に用いることができる材料の一例を記す。
【0075】
≪基板10、20、30≫
基板は、可視光に対する透光性(以下、単に透光性と記す)が高いことが好ましい。具体的には、可視光の透過率が85%以上であると、高い光取り出し効率を実現できるため好ましい。
【0076】
[樹脂層100、100a、100b]
基板を形成する樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、ポリアクリルニトリル樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル(ポリメチルメタクリレート)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリエーテルスルフォン(PES)樹脂、ポリアミド樹脂、環状オレフィン系樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、又はポリ塩化ビニル樹脂などを用いることができる。また、これらを2以上組み合わせたものを用いても良い。アクリル樹脂は、可視光の透過率が高いため、好適に用いることができる。また、環状オレフィン系樹脂、及びシクロオレフィン樹脂は、可視光の透過率が高く耐熱性が優れているため、好適に用いることができる。
【0077】
[保護層101]
保護層101としては、25μm以上100μm以下の厚さのガラスを好適に用いることができる。特に、ガラスの膜厚を25μm以上75μm以下とすることで、軽量で、曲げや折れに強い基板を実現することができる。また、水分や不純物に対するバリア性が高いフィルムを用いても良い。
【0078】
保護層と樹脂層は、接着剤等を用いて貼り合わせることができる。また、本発明の一態様の作製方法を適用することで、構成例3及び構成例4のように、樹脂層の内部に保護層を備える本発明の一態様の基板を簡便に作製することができる。実施の形態2で具体的に説明する。
【0079】
[凹凸構造102、102a、102b]
〜材料・作製方法〜
半球レンズ、マイクロレンズアレイ、凹凸の構造が施されたフィルム、光拡散フィルム等を、接着剤等を用いて樹脂層や保護層に接着することで凹凸構造を形成することができる。凹凸構造は、少なくとも発光領域と重なる領域に設けられていることが好ましい。
【0080】
また、樹脂層に直接凹凸構造を形成しても良い。樹脂層に直接凹凸構造を形成する方法としては、例えば、エッチング法、砥粒加工法(サンドブラスト法)、マイクロブラスト加工法、液滴吐出法や、印刷法(スクリーン印刷やオフセット印刷などパターンが形成される方法)、スピンコート法などの塗布法、ディッピング法、ディスペンサ法、ナノインプリント法等を適宜用いることができる。
【0081】
〜凹凸の形状〜
凹凸の形状について、規則性の有無は問わない。凹凸の形状に周期性があると、凹凸の大きさによっては、凹凸が回折格子のような働きをすることで、干渉効果が強くなり、特定の波長の光が大気に取り出されやすくなることがある。したがって、凹凸の形状は周期性をもたないことが好ましい(図11(A)の凹凸構造102c、d参照)。
【0082】
凹凸の底面形状は、特に限定されず、例えば、三角形、四角形等の多角形や、円形等とすることができる。凹凸の底面形状が規則性を有する場合は、隣り合う部分において隙間が生じないように設けられていることが好ましい。例えば、好ましい底面形状として、正六角形が挙げられる。
【0083】
凹凸の形状は、特に限定されず、例えば、半球状や、円錐、角錐(三角錐、四角錐等)、傘状などの頂点を有する形状とすることができる。
【0084】
凹凸が規則性を有する場合、一つの凹凸の周期の長さ(ピッチ)は、基板と発光素子とを組み合わせた際に、光取り出し効率を高められる長さとすれば良い。
【0085】
樹脂層と大気の間に設ける凹凸構造は、0.5mm以上10cm以下のピッチが好ましい。また、1mm以上10mm以下がより好ましく、5mm以上10mm以下がさらに好ましい。容易に作製ができ、光取り出し効率が高いためである。また、凹凸のPV(Peak to Valley)値が、ピッチの半分程度であると、光の取り出し効率を高くすることができるため好ましい。本明細書において、PV値とは、凹凸の谷底から頂点までの高さを指す。
【0086】
有機EL素子と樹脂層の間に設ける凹凸構造は、1μm以上100μm以下のピッチが好ましい。3μm以上100μm以下が特に好ましい。凹凸構造が小さすぎると、光が反射、屈折の法則に従わないため、本発明の一態様の特徴とする効果が損なわれる。また、PV値が0.1μm以上100μm以下であると好ましい。
【0087】
また、樹脂層と大気の間に設ける凹凸構造の好ましい例を、図11(B)(C)に示す。図11(B)(C)には、発光装置の平面図とC−C’間(又はD−D’間)の断面図を示す。図11(B)(C)において、樹脂層と大気の間に設ける凹凸構造102e、fは、凹凸の形状が半球状である。また、有機EL素子の発光領域130の幅が該半球状の凸部の幅より小さく、かつ該半球状の凹凸と重なるように有機EL素子が設けられている。図11(B)は、凹凸構造102eの底面形状が円形の場合の発光装置の一例である。図11(C)は、凹凸構造102fの底面形状が正六角形の場合の発光装置の一例である。隣接する有機EL素子同士は、隔壁131によって分離されている。
【0088】
また、凹凸が規則性をもたない場合、樹脂層と大気の間に設ける凹凸構造は、算術平均粗さ(Ra)が、50μm以上2cm以下であると好ましい。また、有機EL素子と樹脂層の間に設ける凹凸構造は、Raが、30nm以上35μm以下であると好ましい。
【0089】
≪有機EL素子120≫
[第1の電極103、第2の電極107]
本実施の形態の発光装置は、ボトムエミッション構造である。したがって、第1の電極103は、透光性を有する。第2の電極107は、光を取り出す側と反対側に設けられ、反射性を有する。
【0090】
透光性を有する材料としては、酸化インジウム、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物、酸化亜鉛、ガリウムを添加した酸化亜鉛、グラフェンなどを用いることができる。
【0091】
また、金、白金、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、パラジウム、又はチタン等の金属材料を用いることができる。または、それら金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)等を用いてもよい。なお、金属材料(又はその窒化物)を用いる場合、透光性を有する程度に薄くすればよい。
【0092】
反射性を有する材料としては、アルミニウム、金、白金、銀、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、又はパラジウム等の金属材料を用いることができる。そのほか、アルミニウムとチタンの合金、アルミニウムとニッケルの合金、アルミニウムとネオジムの合金などのアルミニウムを含む合金(アルミニウム合金)や銀と銅の合金などの銀を含む合金を用いることもできる。銀と銅の合金は、耐熱性が高いため好ましい。さらに、アルミニウム合金膜に接する金属膜、又は金属酸化物膜を積層することでアルミニウム合金膜の酸化を抑制することができる。該金属膜、金属酸化物膜の材料としては、チタン、酸化チタンなどが挙げられる。
【0093】
[EL層105]
EL層105は、少なくとも発光性の有機化合物を含む層(発光層)を有する。EL層105の具体的な構成例は、実施の形態3で詳説する。
【0094】
≪封止基板109≫
封止基板109としては、ガラス基板や石英基板、金属基板、プラスチック基板を用いることができる。プラスチックを用いることで発光装置の軽量化を実現することができるため、好ましい。プラスチックとしては、例えば、FRP(Fiberglass−Reinforced Plastics)、PVF(ポリビニルフロライド)、ポリエステル又はアクリル等を用いることができる。金属としては、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル等の金属、または、アルミニウム合金若しくはステンレスなどの金属の合金などを好ましく用いることができる。熱伝導率の高い金属を用いることで、放熱性の高い発光装置を得ることができる。
【0095】
≪平坦化層111≫
平坦化層111の材料としては、高屈折率の液体や樹脂等が挙げられる。平坦化層111の屈折率は、1.6以上であることが好ましい。平坦化層111は透光性を有する。高屈折率の樹脂としては、例えば、臭素が含まれる樹脂、硫黄が含まれる樹脂などが挙げられ、例えば、含硫黄ポリイミド樹脂、エピスルフィド樹脂、チオウレタン樹脂、又は臭素化芳香族樹脂などを用いることができる。また、PET(ポリエチレンテレフタラート)、TAC(トリアセチルセルロース)なども用いることができる。高屈折率の液体としては、硫黄及びヨウ化メチレンを含む接触液(屈折液)などを用いることができる。成膜方法としては、材料にあった種々の方法を適用すれば良い。例えば、前述の樹脂を、スピンコート法を用いて成膜し、熱または光によって硬化させることで形成することができる。接着強度や加工のしやすさなどを考慮し適宜選択することができる。
【0096】
≪シール材113≫
シール材113としては、公知の材料を用いることができる。例えば、熱硬化型の材料、紫外線硬化型の材料を用いても良い。これらの材料はできるだけ水分や酸素を透過しない材料であることが望ましい。
【0097】
また、乾燥剤を含むシール材を用いることもできる。2種類のシール材を用い、外側(大気側)に乾燥剤を含まないシール材を用い、内側(発光素子側)に、乾燥剤を含むシール材を用いて2重に封止を行うと、水分や酸素を透過しにくい構成とすることができるため、好ましい。
【0098】
≪空間115≫
空間115には、充填材として不活性気体(窒素、アルゴンなど)が充填された構成や、粘性の低い材料が充填された構成を適用することができる。また、空間115内には、乾燥剤を入れても良い。例えば、アルカリ土類金属の酸化物(酸化カルシウムや酸化バリウム等)のように、化学吸着によって水分を吸収する物質を用いることができる。その他の乾燥剤として、ゼオライトやシリカゲル等のように、物理吸着によって水分を吸着する物質を用いてもよい。
【0099】
≪封止膜119≫
封止膜119はバリア性が高く、水分や不純物が入りにくい膜であれば良く、材料としては、例えば、窒化ケイ素、酸化ケイ素、アルミナ等を用いることができる。
【0100】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0101】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様の基板を作製する方法について、図2乃至図6を用いて説明する。本実施の形態では、実施の形態1で示した構成例4(図7(D))に用いた基板30を作製する例を示す。
【0102】
本実施の形態では、一対のステージ(図2(A)に示す下側ステージ201a及び上側ステージ201b)を備えた熱プレス機を用いる。基板を形成するために用いる樹脂は、該一対のステージ上で、金型を介して加熱される。また、一対のステージは、少なくとも一方が上下に可動であるため、一対のステージの間隔を調整することで、該樹脂は加圧される。また、微細な凹凸構造を備えた基板を作製する場合は、ゴミ等の影響で正確なパターンが形成されないことを防ぐために、減圧下で作製を行っても良い。
【0103】
<基板の作製方法1>
まず、下側ステージ201a上に、第1の金型203aを配置する(図2(A))。第1の金型203aには、第1の凹凸構造102aの反転パターンが形成されている。
【0104】
なお、後の加圧工程において、面内における圧力のバラツキが生じることを抑制するために、公知の弾性材(クッション材)を下側ステージ201aと第1の金型203aとの間に配置しても良い。
【0105】
次に、第1の金型203a上に、第1の樹脂層205aを形成する(図2(B))。第1の樹脂層205aの形成方法は、特に限られない。例えば、樹脂ペレットを加熱及び加圧する、樹脂シートを用いる、又はリキッド状の樹脂を塗布することで形成することができる。
【0106】
続いて、第1の樹脂層205a上に、保護層101を形成する(図2(C))。保護層101として、本実施の形態では25μm以上100μm以下の厚さのガラス層を用いる。
【0107】
その後、保護層101上に、第2の樹脂層205bを形成する(図3(A))。第2の樹脂層205bには、第1の樹脂層205aと同様の方法、材料にて形成できる。
【0108】
さらに、第2の樹脂層205b上に、第2の金型203bを配置する(図3(B))。第2の金型203bには、第2の凹凸構造102bの反転パターンが形成されている。
【0109】
なお、後の加圧工程において、面内における圧力のバラツキが生じることを抑制するために、公知の弾性材を上側ステージ201bと第2の金型203bとの間に配置しても良い。
【0110】
次に、下側ステージ201a及び上側ステージ201bの少なくとも一方を動かすことで、上側ステージ201bと第2の金型203bとを接触させる(図3(C))。
【0111】
ここで、必要があれば、第1の樹脂層205a及び第2の樹脂層205bの脱水ベークを行っても良い。樹脂ペレット等を用いる場合は、事前に樹脂層内部の水分を除去することで、作製する基板にひび等が生じることを抑制することができる。
【0112】
脱水ベークの温度や時間は、用いる樹脂によって適宜選択すれば良い。例えば、アクリル樹脂を用いる場合は、180℃で15分程度加熱を行うことが好ましい。
【0113】
そして、加熱及び加圧することで、成型を行う(図4(A))。なお、本実施の形態のように、保護層101としてガラス層を用いる場合は、加わる圧力によってガラスが割れないよう、適宜調整する。本実施の形態では、温度を180℃とし、3.64MPaの圧力を10分間加えた。
【0114】
成型が完了すると、図4(B)に示す基板31を得ることができる。この基板31に部分的にレーザ光を照射することによって、第2の凹凸構造102bを取り囲む開口部を形成する(図4(C))。
【0115】
レーザとしては、例えば、紫外線レーザを用いることができる。保護層にガラスを用いる場合、紫外線レーザを用いると、ガラスはレーザ光の影響を受けないため、レーザ光によって樹脂のみを選択的に除去することができる。照射面におけるレーザビームのエネルギー密度は一様であることが好ましい。これにより開口部の幅を正確に制御できる。また、ピコ秒レーザや、フェムト秒レーザを用いても良い。パルス幅の短いレーザを用いることで、熱伝導を抑えることができるため、開口部が微細なパターンであっても、正確に形成することができる。
【0116】
以上によって、基板30を作製することができる。
【0117】
先に説明した作製方法では、第2の凹凸構造102bを取り囲む開口部をレーザ光の照射によって設けた。開口部を設ける手段として、レーザ光の照射を行うことは簡便である。しかし、開口の深さが深い場合は、長時間のレーザ光の照射が必要になることがある。
【0118】
次に説明する作製方法では、第2の金型として、第2の凹凸構造102bを取り囲む開口部を形成するためのパターンが設けられた金型を用いる。該金型を用いることで、基板の作製時間を短縮することができる。
【0119】
<基板の作製方法2>
まず、基板の作製方法1と同様に、下側ステージ201a上に、第1の金型203aを配置し、第1の金型203a上に、第1の樹脂層205aを形成し、第1の樹脂層205a上に、保護層101を形成し、保護層101上に、第2の樹脂層205bを形成する。
【0120】
次に、第2の樹脂層205b上に、第2の金型203cを配置する(図5(A))。第2の金型203cには、第2の凹凸構造102bの反転パターンが形成されている。さらに、第2の凹凸構造102bを取り囲む開口部を形成するためのパターンも形成されている。
【0121】
そして、下側ステージ201a及び上側ステージ201bの少なくとも一方を動かすことで、上側ステージ201bと第2の金型203cとを接触させる(図5(B))。
【0122】
最後に、加熱及び加圧することで、成型を行う(図5(C))。
【0123】
以上によって、図6(A)に示す基板30を作製することができる。
【0124】
なお、図6(B)の点線部に示すように、上記の作製方法だけでは、開口が完全に設けられず、保護層101が露呈しない場合がある。そのときは、先に説明したレーザ光の照射を行い不要な樹脂を除去することで、図6(A)に示す基板30を得ることができる。
【0125】
その後の工程では、基板30上に、有機EL素子や封止膜を形成する。そして、シール材で、基板30と封止基板とを貼り合わせることで、本発明の一態様の基板30を用いた発光装置(図7(D))を作製することができる。
【0126】
本実施の形態の作製方法を用いることで、本発明の一態様の基板を簡便に作製することができる。また、保護層と樹脂層の密着性が高い基板を作製することができる。
【0127】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0128】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光装置に適用することができるEL層の構成例について、図8を用いて説明する。
【0129】
図8(A)に示すEL層105は、第1の電極103側から、正孔注入層701、正孔輸送層702、発光層703、電子輸送層704、及び電子注入層705の順で積層されている。
【0130】
正孔注入層701は、正孔注入性の高い物質を含む層である。正孔注入性の高い物質としては、例えば、モリブデン酸化物、チタン酸化物、バナジウム酸化物、レニウム酸化物、ルテニウム酸化物、クロム酸化物、ジルコニウム酸化物、ハフニウム酸化物、タンタル酸化物、銀酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物等の金属酸化物を用いることができる。また、フタロシアニン(略称:HPc)、銅(II)フタロシアニン(略称:CuPc)等のフタロシアニン系の化合物を用いることができる。
【0131】
また、低分子の有機化合物である4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)、4,4’−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、4,4’−ビス(N−{4−[N’−(3−メチルフェニル)−N’−フェニルアミノ]フェニル}−N−フェニルアミノ)ビフェニル(略称:DNTPD)、1,3,5−トリス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ベンゼン(略称:DPA3B)、3−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA1)、3,6−ビス[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA2)、3−[N−(1−ナフチル)−N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)アミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCN1)等の芳香族アミン化合物等を用いることができる。
【0132】
さらに、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)を用いることもできる。例えば、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK)、ポリ(4−ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)、ポリ[N−(4−{N’−[4−(4−ジフェニルアミノ)フェニル]フェニル−N’−フェニルアミノ}フェニル)メタクリルアミド](略称:PTPDMA)、ポリ[N,N’−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン](略称:Poly−TPD)などの高分子化合物が挙げられる。また、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)、ポリアニリン/ポリ(スチレンスルホン酸)(PAni/PSS)等の酸を添加した高分子化合物を用いることができる。
【0133】
特に、正孔注入層701として、正孔輸送性の高い有機化合物にアクセプター性物質を含有させた複合材料を用いることが好ましい。正孔輸送性の高い物質にアクセプター性物質を含有させた複合材料を用いることにより、第1の電極103からの正孔注入性を良好にし、発光素子の駆動電圧を低減することができる。これらの複合材料は、正孔輸送性の高い物質とアクセプター物質とを共蒸着することにより形成することができる。該複合材料を用いて正孔注入層701を形成することにより、第1の電極103からEL層105への正孔注入が容易となる。
【0134】
複合材料に用いる有機化合物としては、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、芳香族炭化水素、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)など、種々の化合物を用いることができる。なお、複合材料に用いる有機化合物としては、正孔輸送性の高い有機化合物であることが好ましい。具体的には、10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質であることが好ましい。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。以下では、複合材料に用いることのできる有機化合物を具体的に列挙する。
【0135】
複合材料に用いることのできる有機化合物としては、例えば、TDATA、MTDATA、DPAB、DNTPD、DPA3B、PCzPCA1、PCzPCA2、PCzPCN1、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB又はα−NPD)、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(略称:TPD)、4−フェニル−4’−(9−フェニルフルオレン−9−イル)トリフェニルアミン(略称:BPAFLP)等の芳香族アミン化合物や、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、1,3,5−トリス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]ベンゼン(略称:TCPB)、9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CzPA)、9−フェニル−3−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:PCzPA)、1,4−ビス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]−2,3,5,6−テトラフェニルベンゼン等のカルバゾール誘導体を用いることができる。
【0136】
また、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、2−tert−ブチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン、9,10−ビス(3,5−ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、2−tert−ブチル−9,10−ビス(4−フェニルフェニル)アントラセン(略称:t−BuDBA)、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)、2−tert−ブチルアントラセン(略称:t−BuAnth)、9,10−ビス(4−メチル−1−ナフチル)アントラセン(略称:DMNA)、9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]−2−tert−ブチルアントラセン、9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]アントラセン、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン等の芳香族炭化水素化合物を用いることができる。
【0137】
さらに、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン、9,9’−ビアントリル、10,10’−ジフェニル−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス(2−フェニルフェニル)−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス[(2,3,4,5,6−ペンタフェニル)フェニル]−9,9’−ビアントリル、アントラセン、テトラセン、ルブレン、ペリレン、2,5,8,11−テトラ(tert−ブチル)ペリレン、ペンタセン、コロネン、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル(略称:DPVBi)、9,10−ビス[4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル]アントラセン(略称:DPVPA)等の芳香族炭化水素化合物を用いることができる。
【0138】
また、電子受容体としては、7,7,8,8−テトラシアノ−2,3,5,6−テトラフルオロキノジメタン(略称:F−TCNQ)、クロラニル等の有機化合物や、遷移金属酸化物を挙げることができる。また、元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を挙げることができる。具体的には、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウムは電子受容性が高いため好ましい。中でも特に、酸化モリブデンは大気中でも安定であり、吸湿性が低く、扱いやすいため好ましい。
【0139】
なお、上述したPVK、PVTPA、PTPDMA、Poly−TPD等の高分子化合物と、上述した電子受容体を用いて複合材料を形成し、正孔注入層701に用いてもよい。
【0140】
正孔輸送層702は、正孔輸送性の高い物質を含む層である。正孔輸送性の高い物質としては、例えば、NPB、TPD、BPAFLP、4,4’−ビス[N−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DFLDPBi)、4,4’−ビス[N−(スピロ−9,9’−ビフルオレン−2−イル)−N―フェニルアミノ]ビフェニル(略称:BSPB)等の芳香族アミン化合物を用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質である。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。なお、正孔輸送性の高い物質を含む層は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
【0141】
また、正孔輸送層702には、CBP、CzPA、PCzPAのようなカルバゾール誘導体や、t−BuDNA、DNA、DPAnthのようなアントラセン誘導体を用いても良い。
【0142】
また、正孔輸送層702には、PVK、PVTPA、PTPDMA、Poly−TPDなどの高分子化合物を用いることもできる。
【0143】
発光層703は、蛍光を発光する蛍光性化合物や燐光を発光する燐光性化合物を用いることができる。
【0144】
発光層703に用いることができる蛍光性化合物としては、例えば、青色系の発光材料として、N,N’−ビス[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N,N’−ジフェニルスチルベン−4,4’−ジアミン(略称:YGA2S)、4−(9H−カルバゾール−9−イル)−4’−(10−フェニル−9−アントリル)トリフェニルアミン(略称:YGAPA)、4−(10−フェニル−9−アントリル)−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBAPA)などが挙げられる。また、緑色系の発光材料として、N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCAPA)、N−[9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)−2−アントリル]−N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCABPhA)、N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(略称:2DPAPA)、N−[9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)−2−アントリル]−N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(略称:2DPABPhA)、N−[9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)]−N−[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N−フェニルアントラセン−2−アミン(略称:2YGABPhA)、N,N,9−トリフェニルアントラセン−9−アミン(略称:DPhAPhA)などが挙げられる。また、黄色系の発光材料として、ルブレン、5,12−ビス(1,1’−ビフェニル−4−イル)−6,11−ジフェニルテトラセン(略称:BPT)などが挙げられる。また、赤色系の発光材料として、N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)テトラセン−5,11−ジアミン(略称:p−mPhTD)、7,14−ジフェニル−N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)アセナフト[1,2−a]フルオランテン−3,10−ジアミン(略称:p−mPhAFD)などが挙げられる。
【0145】
また、発光層703に用いることができる燐光性化合物としては、例えば、青色系の発光材料として、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)テトラキス(1−ピラゾリル)ボラート(略称:FIr6)、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)ピコリナート(略称:FIrpic)、ビス{2−[3’,5’−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ピリジナト−N,C2’}イリジウム(III)ピコリナート(略称:Ir(CFppy)(pic))、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:FIr(acac))などが挙げられる。また、緑色系の発光材料として、トリス(2−フェニルピリジナト−N,C2’)イリジウム(III)(略称:Ir(ppy))、ビス(2−フェニルピリジナト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(ppy)(acac))、ビス(1,2−ジフェニル−1H−ベンゾイミダゾラト)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(pbi)(acac))、ビス(ベンゾ[h]キノリナト)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(bzq)(acac))、トリス(ベンゾ[h]キノリナト)イリジウム(III)(略称:Ir(bzq))などが挙げられる。また、黄色系の発光材料として、ビス(2,4−ジフェニル−1,3−オキサゾラト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(dpo)(acac))、ビス[2−(4’−パーフルオロフェニルフェニル)ピリジナト]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(p−PF−ph)(acac))、ビス(2−フェニルベンゾチアゾラト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(bt)(acac))、(アセチルアセトナト)ビス[2,3−ビス(4−フルオロフェニル)−5−メチルピラジナト]イリジウム(III)(略称:Ir(Fdppr−Me)(acac))、(アセチルアセトナト)ビス{2−(4−メトキシフェニル)−3,5−ジメチルピラジナト}イリジウム(III)(略称:Ir(dmmoppr)(acac))などが挙げられる。また、橙色系の発光材料として、トリス(2−フェニルキノリナト−N,C2’)イリジウム(III)(略称:Ir(pq))、ビス(2−フェニルキノリナト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(pq)(acac))、(アセチルアセトナト)ビス(3,5−ジメチル−2−フェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(mppr−Me)(acac))、(アセチルアセトナト)ビス(5−イソプロピル−3−メチル−2−フェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(mppr−iPr)(acac))などが挙げられる。また、赤色系の発光材料として、ビス[2−(2’−ベンゾ[4,5−α]チエニル)ピリジナト−N,C3’]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(btp)(acac))、ビス(1−フェニルイソキノリナト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(piq)(acac))、(アセチルアセトナト)ビス[2,3−ビス(4−フルオロフェニル)キノキサリナト]イリジウム(III)(略称:Ir(Fdpq)(acac))、(アセチルアセトナト)ビス(2,3,5−トリフェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(tppr)(acac))、(ジピバロイルメタナト)ビス(2,3,5−トリフェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(tppr)(dpm))、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−ポルフィリン白金(II)(略称:PtOEP)等の有機金属錯体が挙げられる。また、トリス(アセチルアセトナト)(モノフェナントロリン)テルビウム(III)(略称:Tb(acac)(Phen))、トリス(1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオナト)(モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:Eu(DBM)(Phen))、トリス[1−(2−テノイル)−3,3,3−トリフルオロアセトナト](モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:Eu(TTA)(Phen))等の希土類金属錯体は、希土類金属イオンからの発光(異なる多重度間の電子遷移)であるため、燐光性化合物として用いることができる。
【0146】
なお、発光層703としては、上述した発光性の有機化合物(ゲスト材料)を他の物質(ホスト材料)に分散させた構成としてもよい。ホスト材料としては、各種のものを用いることができ、発光性の物質よりも最低空軌道準位(LUMO準位)が高く、最高被占有軌道準位(HOMO準位)が低い物質を用いることが好ましい。
【0147】
ホスト材料としては、具体的には、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Alq)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Almq)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(II)(略称:BeBq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(III)(略称:BAlq)、ビス(8−キノリノラト)亜鉛(II)(略称:Znq)、ビス[2−(2−ベンゾオキサゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnPBO)、ビス[2−(2−ベンゾチアゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnBTZ)などの金属錯体、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、2,2’,2’’−(1,3,5−ベンゼントリイル)トリス(1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール)(略称:TPBI)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)などの複素環化合物や、9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CzPA)、3,6−ジフェニル−9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:DPCzPA)、9,10−ビス(3,5−ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、9,9’−ビアントリル(略称:BANT)、9,9’−(スチルベン−3,3’−ジイル)ジフェナントレン(略称:DPNS)、9,9’−(スチルベン−4,4’−ジイル)ジフェナントレン(略称:DPNS2)、3,3’,3’’−(ベンゼン−1,3,5−トリイル)トリピレン(略称:TPB3)、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)、6,12−ジメトキシ−5,11−ジフェニルクリセンなどの縮合芳香族化合物、N,N−ジフェニル−9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:CzA1PA)、4−(10−フェニル−9−アントリル)トリフェニルアミン(略称:DPhPA)、N,9−ジフェニル−N−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:PCAPA)、N,9−ジフェニル−N−{4−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]フェニル}−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:PCAPBA)、N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCAPA)、NPB(またはα−NPD)、TPD、DFLDPBi、BSPBなどの芳香族アミン化合物などを用いることができる。
【0148】
また、ホスト材料は複数種用いることができる。例えば、結晶化を抑制するためにルブレン等の結晶化を抑制する物質をさらに添加してもよい。また、ゲスト材料へのエネルギー移動をより効率良く行うためにNPB、あるいはAlq等をさらに添加してもよい。
【0149】
ゲスト材料をホスト材料に分散させた構成とすることにより、発光層703の結晶化を抑制することができる。また、ゲスト材料の濃度が高いことによる濃度消光を抑制することができる。
【0150】
また、発光層703として高分子化合物を用いることができる。具体的には、青色系の発光材料として、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)(略称:PFO)、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−co−(2,5−ジメトキシベンゼン−1,4−ジイル)](略称:PF−DMOP)、ポリ{(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−co−[N,N’−ジ−(p−ブチルフェニル)−1,4−ジアミノベンゼン]}(略称:TAB−PFH)などが挙げられる。また、緑色系の発光材料として、ポリ(p−フェニレンビニレン)(略称:PPV)、ポリ[(9,9−ジヘキシルフルオレン−2,7−ジイル)−alt−co−(ベンゾ[2,1,3]チアジアゾール−4,7−ジイル)](略称:PFBT)、ポリ[(9,9−ジオクチル−2,7−ジビニレンフルオレニレン)−alt−co−(2−メトキシ−5−(2−エチルヘキシロキシ)−1,4−フェニレン)]などが挙げられる。また、橙色〜赤色系の発光材料として、ポリ[2−メトキシ−5−(2’−エチルヘキソキシ)−1,4−フェニレンビニレン](略称:MEH−PPV)、ポリ(3−ブチルチオフェン−2,5−ジイル)(略称:R4−PAT)、ポリ{[9,9−ジヘキシル−2,7−ビス(1−シアノビニレン)フルオレニレン]−alt−co−[2,5−ビス(N,N’−ジフェニルアミノ)−1,4−フェニレン]}、ポリ{[2−メトキシ−5−(2−エチルヘキシロキシ)−1,4−ビス(1−シアノビニレンフェニレン)]−alt−co−[2,5−ビス(N,N’−ジフェニルアミノ)−1,4−フェニレン]}(略称:CN−PPV−DPD)などが挙げられる。
【0151】
また、発光層を複数設け、それぞれの層の発光色を異なるものにすることで、発光素子全体として、所望の色の発光を得ることができる。例えば、発光層を2つ有する発光素子において、第1の発光層の発光色と第2の発光層の発光色を補色の関係になるようにすることで、発光素子全体として白色発光する発光素子を得ることも可能である。なお、補色とは、混合すると無彩色になる色同士の関係をいう。つまり、補色の関係にある色を発光する物質から得られた光を混合すると、白色発光を得ることができる。また、発光層を3つ以上有する発光素子の場合でも同様である。
【0152】
電子輸送層704は、電子輸送性の高い物質を含む層である。電子輸送性の高い物質としては、例えば、Alq、Almq、BeBq、BAlqなど、キノリン骨格又はベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等が挙げられる。また、この他ZnPBO、ZnBTZなどのオキサゾール系、チアゾール系配位子を有する金属錯体なども用いることができる。さらに、金属錯体以外にも、PBD、OXD−7、TAZ、BPhen、BCPなども用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の電子移動度を有する物質である。また、電子輸送層は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
【0153】
電子注入層705は、電子注入性の高い物質を含む層である。電子注入層705には、リチウム、セシウム、カルシウム、フッ化リチウム、フッ化セシウム、フッ化カルシウム、リチウム酸化物等のようなアルカリ金属、アルカリ土類金属、又はそれらの化合物を用いることができる。また、フッ化エルビウムのような希土類金属化合物を用いることができる。また、上述した電子輸送層704を構成する物質を用いることもできる。
【0154】
なお、上述した正孔注入層701、正孔輸送層702、発光層703、電子輸送層704、電子注入層705は、それぞれ、蒸着法(真空蒸着法を含む)、インクジェット法、塗布法等の方法で形成することができる。
【0155】
EL層は、図8(B)に示すように、第1の電極103と第2の電極107との間に複数積層されていても良い。この場合、積層された第1のEL層800と第2のEL層801との間には、電荷発生層803を設けることが好ましい。電荷発生層803は上述の複合材料で形成することができる。また、電荷発生層803は複合材料からなる層と他の材料からなる層との積層構造でもよい。この場合、他の材料からなる層としては、電子供与性物質と電子輸送性の高い物質とを含む層や、透明導電膜からなる層などを用いることができる。このような構成を有する発光素子は、エネルギーの移動や消光などの問題が起こり難く、材料の選択の幅が広がることで高い発光効率と長い寿命とを併せ持つ発光素子とすることが容易である。また、一方のEL層で燐光発光、他方で蛍光発光を得ることも容易である。この構造は上述のEL層の構造と組み合わせて用いることができる。
【0156】
また、それぞれのEL層の発光色を異なるものにすることで、発光素子全体として、所望の色の発光を得ることができる。例えば、2つのEL層を有する発光素子において、第1のEL層の発光色と第2のEL層の発光色を補色の関係になるようにすることで、発光素子全体として白色発光する発光素子を得ることも可能である。つまり、補色の関係にある色を発光する物質から得られた光を混合すると、白色発光を得ることができる。また、3つ以上のEL層を有する発光素子の場合でも同様である。
【0157】
EL層105は、図8(C)に示すように、第1の電極103と第2の電極107との間に、正孔注入層701、正孔輸送層702、発光層703、電子輸送層704、電子注入バッファー層706、電子リレー層707、及び第2の電極107と接する複合材料層708を有していても良い。
【0158】
第2の電極107と接する複合材料層708を設けることで、特にスパッタリング法を用いて第2の電極107を形成する際に、EL層105が受けるダメージを低減することができるため、好ましい。複合材料層708は、前述の、正孔輸送性の高い有機化合物にアクセプター性物質を含有させた複合材料を用いることができる。
【0159】
さらに、電子注入バッファー層706を設けることで、複合材料層708と電子輸送層704との間の注入障壁を緩和することができるため、複合材料層708で生じた電子を電子輸送層704に容易に注入することができる。
【0160】
電子注入バッファー層706には、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、およびこれらの化合物(アルカリ金属化合物(酸化リチウム等の酸化物、ハロゲン化物、炭酸リチウムや炭酸セシウム等の炭酸塩を含む)、アルカリ土類金属化合物(酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩を含む)、または希土類金属の化合物(酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩を含む))等の電子注入性の高い物質を用いることが可能である。
【0161】
また、電子注入バッファー層706が、電子輸送性の高い物質とドナー性物質を含んで形成される場合には、電子輸送性の高い物質に対して質量比で、0.001以上0.1以下の比率でドナー性物質を添加することが好ましい。なお、ドナー性物質としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、およびこれらの化合物(アルカリ金属化合物(酸化リチウム等の酸化物、ハロゲン化物、炭酸リチウムや炭酸セシウム等の炭酸塩を含む)、アルカリ土類金属化合物(酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩を含む)、または希土類金属の化合物(酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩を含む))の他、テトラチアナフタセン(略称:TTN)、ニッケロセン、デカメチルニッケロセン等の有機化合物を用いることもできる。なお、電子輸送性の高い物質としては、先に説明した電子輸送層704の材料と同様の材料を用いて形成することができる。
【0162】
さらに、電子注入バッファー層706と複合材料層708との間に、電子リレー層707を形成することが好ましい。電子リレー層707は、必ずしも設ける必要は無いが、電子輸送性の高い電子リレー層707を設けることで、電子注入バッファー層706へ電子を速やかに送ることが可能となる。
【0163】
複合材料層708と電子注入バッファー層706との間に電子リレー層707が挟まれた構造は、複合材料層708に含まれるアクセプター性物質と、電子注入バッファー層706に含まれるドナー性物質とが相互作用を受けにくく、互いの機能を阻害しにくい構造である。したがって、駆動電圧の上昇を防ぐことができる。
【0164】
電子リレー層707は、電子輸送性の高い物質を含み、該電子輸送性の高い物質のLUMO準位は、複合材料層708に含まれるアクセプター性物質のLUMO準位と、電子輸送層704に含まれる電子輸送性の高い物質のLUMO準位との間となるように形成する。また、電子リレー層707がドナー性物質を含む場合には、当該ドナー性物質のドナー準位も複合材料層708におけるアクセプター性物質のLUMO準位と、電子輸送層704に含まれる電子輸送性の高い物質のLUMO準位との間となるようにする。具体的なエネルギー準位の数値としては、電子リレー層707に含まれる電子輸送性の高い物質のLUMO準位は−5.0eV以上、好ましくは−5.0eV以上−3.0eV以下とするとよい。
【0165】
電子リレー層707に含まれる電子輸送性の高い物質としてはフタロシアニン系の材料又は金属−酸素結合と芳香族配位子を有する金属錯体を用いることが好ましい。
【0166】
電子リレー層707に含まれるフタロシアニン系材料としては、具体的にはCuPc、SnPc(Phthalocyanine tin(II) complex)、ZnPc(Phthalocyanine zinc complex)、CoPc(Cobalt(II)phthalocyanine, β−form)、FePc(Phthalocyanine Iron)及びPhO−VOPc(Vanadyl 2,9,16,23−tetraphenoxy−29H,31H−phthalocyanine)のいずれかを用いることが好ましい。
【0167】
電子リレー層707に含まれる金属−酸素結合と芳香族配位子を有する金属錯体としては、金属−酸素の二重結合を有する金属錯体を用いることが好ましい。金属−酸素の二重結合はアクセプター性(電子を受容しやすい性質)を有するため、電子の移動(授受)がより容易になる。また、金属−酸素の二重結合を有する金属錯体は安定であると考えられる。したがって、金属−酸素の二重結合を有する金属錯体を用いることにより発光素子を低電圧でより安定に駆動することが可能になる。
【0168】
金属−酸素結合と芳香族配位子を有する金属錯体としてはフタロシアニン系材料が好ましい。具体的には、VOPc(Vanadyl phthalocyanine)、SnOPc(Phthalocyanine tin(IV) oxide complex)及びTiOPc(Phthalocyanine titanium oxide complex)のいずれかは、分子構造的に金属−酸素の二重結合が他の分子に対して作用しやすく、アクセプター性が高いため好ましい。
【0169】
なお、上述したフタロシアニン系材料としては、フェノキシ基を有するものが好ましい。具体的にはPhO−VOPcのような、フェノキシ基を有するフタロシアニン誘導体が好ましい。フェノキシ基を有するフタロシアニン誘導体は、溶媒に可溶である。そのため、発光素子を形成する上で扱いやすいという利点を有する。また、溶媒に可溶であるため、成膜に用いる装置のメンテナンスが容易になるという利点を有する。
【0170】
電子リレー層707はさらにドナー性物質を含んでいても良い。ドナー性物質としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属及びこれらの化合物(アルカリ金属化合物(酸化リチウムなどの酸化物、ハロゲン化物、炭酸リチウムや炭酸セシウムなどの炭酸塩を含む)、アルカリ土類金属化合物(酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩を含む)、又は希土類金属の化合物(酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩を含む))の他、テトラチアナフタセン(略称:TTN)、ニッケロセン、デカメチルニッケロセンなどの有機化合物を用いることができる。電子リレー層707にこれらドナー性物質を含ませることによって、電子の移動が容易となり、発光素子をより低電圧で駆動することが可能になる。
【0171】
電子リレー層707にドナー性物質を含ませる場合、電子輸送性の高い物質としては上記した材料の他、複合材料層708に含まれるアクセプター性物質のアクセプター準位より高いLUMO準位を有する物質を用いることができる。具体的なエネルギー準位としては、−5.0eV以上、好ましくは−5.0eV以上−3.0eV以下の範囲にLUMO準位を有する物質を用いることが好ましい。このような物質としては例えば、ペリレン誘導体や、含窒素縮合芳香族化合物などが挙げられる。なお、含窒素縮合芳香族化合物は、安定であるため、電子リレー層707を形成する為に用いる材料として、好ましい材料である。
【0172】
ペリレン誘導体の具体例としては、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物(略称:PTCDA)、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボキシリックビスベンゾイミダゾール(略称:PTCBI)、N,N’−ジオクチル−3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸ジイミド(略称:PTCDI−C8H)、N,N’−ジヘキシル−3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸ジイミド(略称:Hex PTC)等が挙げられる。
【0173】
また、含窒素縮合芳香族化合物の具体例としては、ピラジノ[2,3−f][1,10]フェナントロリン−2,3−ジカルボニトリル(略称:PPDN)、2,3,6,7,10,11−ヘキサシアノ−1,4,5,8,9,12−ヘキサアザトリフェニレン(略称:HAT(CN))、2,3−ジフェニルピリド[2,3−b]ピラジン(略称:2PYPR)、2,3−ビス(4−フルオロフェニル)ピリド[2,3−b]ピラジン(略称:F2PYPR)等が挙げられる。
【0174】
その他にも、7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン(略称:TCNQ)、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物(略称:NTCDA)、パーフルオロペンタセン、銅ヘキサデカフルオロフタロシアニン(略称:F16CuPc)、N,N’−ビス(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ペンタデカフルオロオクチル)−1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド(略称:NTCDI−C8F)、3’,4’−ジブチル−5,5’’−ビス(ジシアノメチレン)−5,5’’−ジヒドロ−2,2’:5’,2’’−テルチオフェン(略称:DCMT)、メタノフラーレン(例えば、[6,6]−フェニルC61酪酸メチルエステル)等を用いることができる。
【0175】
なお、電子リレー層707にドナー性物質を含ませる場合、電子輸送性の高い物質とドナー性物質との共蒸着などの方法によって電子リレー層707を形成すれば良い。
【0176】
正孔注入層701、正孔輸送層702、発光層703、及び電子輸送層704は前述の材料を用いてそれぞれ形成すれば良い。
【0177】
以上により、本実施の形態のEL層105を作製することができる。
【0178】
本実施の形態は、他の実施の形態と自由に組み合わせることができる。
【0179】
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の別の態様の発光装置を、図9を用いて説明する。
【0180】
本実施の形態では、実施の形態1に示した本発明の一態様の基板30を適用した発光装置について説明する。
【0181】
図9(A)にトップエミッション(上面射出)構造の発光装置の例を示す。
【0182】
図9(A)に示す発光装置は、支持基板110上に有機EL素子(支持基板110側から順に、第2の電極107、EL層105、及び第1の電極103)を備える。有機EL素子は透光性を有する封止膜119に覆われている。
【0183】
図9(A)に示す発光装置に用いる封止膜119の屈折率は、1.6以上、好ましくはEL層の屈折率以上とする。このような構成とすることで、封止膜と第1の電極の界面において全反射が生じにくく、光取り出し効率の低下を抑制することができる。
【0184】
保護層101と支持基板110は、シール材113によって貼り合わされており、その内部において、有機EL素子を有する。また、該内部は、充填材116で満たされている。充填材116の屈折率は、1.6以上、好ましくはEL層の屈折率以上とする。このような構成とすることで、充填材と封止膜の界面において全反射が生じにくく、光取り出し効率の低下を抑制することができる。
【0185】
図9(A)に示す発光装置は、充填材116と基板30との間に凹凸構造を有する。さらに、基板30と大気との界面に凹凸構造を有する。このような構成とすることで、充填材116と基板30との界面、及び基板30と大気との界面における全反射による光取り出し効率の低下を抑制することができる。
【0186】
基板30、有機EL素子、シール材113は、実施の形態1に示した材料で作製することができる。
【0187】
支持基板110には、前述の封止基板109と同様の材料を用いることができる。支持基板110に熱伝導性が高い金属基板を用いると、放熱性の高い発光装置を得ることができ、好ましい。また、支持基板110上に下地膜を設けてから、有機EL素子を形成しても良い。
【0188】
充填材116は、透光性を有し、屈折率が高い材料を用いる。例えば、実施の形態1で平坦化層111の材料として挙げた高屈折率の樹脂を用いることができる。
【0189】
図9(B)にデュアルエミッション(両面射出)構造の発光装置の例を示す。
【0190】
図9(B)に示す発光装置は、本発明の一態様の基板30上に有機EL素子(一対の透光性を有する電極間にEL層を有する)を備える。有機EL素子は透光性を有する封止膜に覆われている。
【0191】
以上のように、本発明の一態様には、トップエミッション構造及びデュアルエミッション構造の発光装置も含む。本発明の一態様を適用することで、軽量であり、光取り出し効率が高く、信頼性が高い発光装置を実現することができる。
【0192】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0193】
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光装置を用いて完成させた照明装置の一例について、図10を用いて説明する。
【0194】
本発明の一態様では、発光部が曲面を有する照明装置を実現することができる。
【0195】
また、本発明の一態様では、シースルーの発光部を有する照明装置を実現することができる。
【0196】
また、本発明の一態様は、自動車の照明にも適用することができ、例えば、ダッシュボードや、フロントガラス上、天井等に照明を設置することもできる。
【0197】
図10(A)では、本発明の一態様を適用した、室内の照明装置901及び卓上照明器具903を示す。発光装置は大面積化も可能であるため、大面積の照明装置として用いることができる。その他、ロール型の照明装置902として用いることもできる。
【0198】
図10(B)に別の照明装置の例を示す。図10(B)に示す卓上照明装置は、照明部9501、支柱9503、支持台9505等を含む。照明部9501は、本発明の一態様の発光装置を含む。このように、本発明の一態様では、曲面を有する照明装置、又はフレキシブルに曲がる照明部を有する照明装置を実現することができる。このように、フレキシブルな発光装置を照明装置として用いることで、照明装置のデザインの自由度が向上するのみでなく、例えば、自動車の天井、ダッシュボード等の曲面を有する場所にも照明装置を設置することが可能となる。
【0199】
本実施の形態は、他の実施の形態と自由に組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0200】
10 基板
20 基板
30 基板
31 基板
100 樹脂層
100a 樹脂層
100b 樹脂層
101 保護層
102 凹凸構造
102a 第1の凹凸構造
102b 第2の凹凸構造
102c 凹凸構造
102e 凹凸構造
102f 凹凸構造
103 第1の電極
105 EL層
107 第2の電極
109 封止基板
110 支持基板
111 平坦化層
113 シール材
115 空間
116 充填材
119 封止膜
120 有機EL素子
130 発光領域
131 隔壁
201a 下側ステージ
201b 上側ステージ
203a 第1の金型
203b 第2の金型
203c 第2の金型
205a 樹脂層
205b 樹脂層
701 正孔注入層
702 正孔輸送層
703 発光層
704 電子輸送層
705 電子注入層
706 電子注入バッファー層
707 電子リレー層
708 複合材料層
800 第1のEL層
801 第2のEL層
803 電荷発生層
901 照明装置
902 照明装置
903 卓上照明器具
9501 照明部
9503 支柱
9505 支持台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光入射面に凹凸構造を備える樹脂層を、保護層上に有し、
保護層と対向基板とがシール材で貼り合わされた内部に、発光素子を有し、
前記保護層及び前記樹脂層は、可視光に対する透光性を有し、
前記発光素子が、前記樹脂層上に設けられた可視光に対する透光性を有する第1の電極と、前記第1の電極上に設けられた発光性の有機化合物を含む層と、前記発光性の有機化合物を含む層上に設けられた第2の電極と、を有する発光装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記樹脂層上に、可視光に対する透光性を有する平坦化層を有し、
前記平坦化層上に、前記発光素子を有する発光装置。
【請求項3】
第1の樹脂層と、
前記第1の樹脂層上に設けられた保護層と、
前記保護層上に設けられた第2の樹脂層と、
前記保護層と対向基板とがシール材で貼り合わされた内部に、発光素子と、を有し、
前記第1の樹脂層、前記保護層、及び前記第2の樹脂層は、可視光に対する透光性を有し、
前記第1の樹脂層は、光射出面に、第1の凹凸構造を有し、
前記第2の樹脂層は、光入射面に、第2の凹凸構造を有し、
前記発光素子が、前記第2の樹脂層上に設けられた可視光に対する透光性を有する第1の電極と、前記第1の電極上に設けられた発光性の有機化合物を含む層と、前記発光性の有機化合物を含む層上に設けられた第2の電極と、を有する発光装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記第2の樹脂層上に、可視光に対する透光性を有し、屈折率が1.6以上である平坦化層を有し、
前記平坦化層上に、前記発光素子を有する発光装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項において、
前記保護層が、25μm以上100μm以下の厚さのガラスからなる発光装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の発光装置を発光部に備える照明装置。
【請求項7】
樹脂層の内部に保護層を有し、
光入射面に凹凸構造を有し、
前記凹凸構造を取り囲み、前記保護層が露出している開口部が設けられた基板。
【請求項8】
樹脂層の内部に保護層を有し、
光射出面に第1の凹凸構造を有し、
光入射面に第2の凹凸構造を有し、
前記第2の凹凸構造を取り囲み、前記保護層が露出している開口部が設けられた基板。
【請求項9】
請求項7又は請求項8において、
前記保護層が、25μm以上100μm以下の厚さのガラスである基板。
【請求項10】
請求項7乃至請求項9のいずれか一項に記載の基板と、有機エレクトロルミネッセンス現象を利用した発光素子とを有する発光装置であって、
前記保護層と対向基板とがシール材で貼り合わされた内部に、前記発光素子を有し、
前記発光素子が、前記第2の凹凸構造上に設けられた可視光に対する透光性を有する第1の電極と、前記第1の電極上に設けられた発光性の有機化合物を含む層と、前記発光性の有機化合物を含む層上に設けられた第2の電極と、を有する発光装置。
【請求項11】
請求項10において、
前記第2の凹凸構造上に、可視光に対する透光性を有し、屈折率が1.6以上である平坦化層を有し、
前記平坦化層上に、前記発光素子を有する発光装置。
【請求項12】
請求項10又は請求項11に記載の発光装置を発光部に備える照明装置。
【請求項13】
第1の金型上に、第1の樹脂層、保護層、及び第2の樹脂層をこの順で形成し、
前記第2の樹脂層上に、第2の金型を配置し、
前記第1の金型及び前記第2の金型で、前記第1の樹脂層、前記保護層、及び前記第2の樹脂層を挟持しながら、熱及び圧力を加えることで、内部に前記保護層を有し、光入射面に凹凸構造を有する成形物を作製し、
前記成形物にレーザ光を照射することで、前記光入射面に、前記凹凸構造を取り囲み、前記保護層が露出している開口部を形成する基板の作製方法。
【請求項14】
第1の金型上に、第1の樹脂層、保護層、及び第2の樹脂層をこの順で形成し、
前記第2の樹脂層上に、第2の金型を配置し、
前記第1の金型及び前記第2の金型で、前記第1の樹脂層、前記保護層、及び前記第2の樹脂層を挟持しながら、熱及び圧力を加えることで、内部に前記保護層を有し、光射出面に第1の凹凸構造を有し、光入射面に第2の凹凸構造を有する成形物を作製し、
前記成形物にレーザ光を照射することで、前記光入射面に、前記第2の凹凸構造を取り囲み、前記保護層が露出している開口部を形成する基板の作製方法。
【請求項15】
請求項13又は請求項14において、
第1の弾性材上に、前記第1の金型を配置した後、
前記第1の金型上に、前記第1の樹脂層を形成する基板の作製方法。
【請求項16】
請求項13乃至請求項15のいずれか一項において、
前記第2の樹脂層上に、第2の金型を配置し、
前記第2の金型上に、前記第2の弾性材を配置する基板の作製方法。
【請求項17】
請求項13乃至請求項16のいずれか一項において、
前記保護層が、25μm以上100μm以下の厚さのガラスである基板の作製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−199230(P2012−199230A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−42620(P2012−42620)
【出願日】平成24年2月29日(2012.2.29)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】