説明

発光装置および表示装置

【課題】 装置内に熱が滞留することなく、効率よく放熱することができる発光装置、および、この発光装置を備える表示装置を提供する。
【解決手段】 バックライトユニット1は、平板状の底部131を有するフレーム部材13と、底部131に配置される複数のプリント基板12と、各プリント基板12上に整列配置される複数のLEDチップ111aと、各LEDチップ111aを囲むように各プリント基板12上に設けられる複数の反射部材113とを含む。そして、複数のプリント基板12は、第1方向Xに第1間隔Iをあけ、かつ、第1方向Xと直交する第2方向Xに第2間隔Iをあけてフレーム部材13の底部131に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示パネルの背面に光を照射するバックライトユニットに設けられる発光装置、この発光装置を備える表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示パネルは、2枚の透明基板の間に液晶が封入され、電圧が印加されることにより液晶分子の向きが変えられ光透過率を変化させることで予め定められた映像等が光学的に表示される。この表示パネルには、液晶自体が発光体ではないので、たとえば透過型の表示パネルの背面側に冷陰極管(CCFL)、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)などを光源とした光を照射するバックライトユニットが備えられる。
【0003】
バックライトユニットには、冷陰極管やLED等の光源を底面に並べて光を出す直下型と、冷陰極管やLED等の光源を導光板と呼ばれる透明な板のエッジ部に配して、導光板エッジから光を通して背面に設けられたドット印刷やパターン形状によって前面に光を出すエッジライト型とがある。
【0004】
LEDは、低消費電力、長寿命、水銀を使わないことによる環境負荷低減などの優れた特性を有するが、価格的に高価であることと、青色発光LEDが発明されるまでは白色発光LEDがなかったことと、さらに、強い指向性を有していることから、バックライトユニットの光源としての利用が遅れていた。しかしながら近年、照明用途での高演色高輝度白色LEDが急速に普及しており、それに伴ってLEDが安価になってきているので、バックライトユニットの光源としては、冷陰極管からLEDへの移行が進んでいる。
【0005】
LEDは強い指向性を有するので、表示パネルの表面の輝度がその面方向において均一となるように光を照射するという観点では、直下型よりもエッジライト型が有効である。しかしながら、エッジライト型のバックライトユニットは、導光板のエッジ部に集中して光源が配置されることにより光源によって生じた熱が集中するという問題とともに、表示パネルのベゼル部が大きくなるという問題が生じる。さらに、エッジライト型のバックライトユニットは、表示画像の高品質化および省電力化が可能な制御方法として注目されている部分的な調光制御(ローカルディミング)についても制約が大きく、表示画像の高品質化および省電力化が達成可能な小分割領域の制御ができないという問題がある。
【0006】
そこで、部分的な調光制御に有利な直下型のバックライトユニットにおいて、強い指向性を有するLEDを光源として用いた場合であっても、輝度が均一となるように、光を表示パネルに照射することが可能な方法の検討が進められている。
【0007】
たとえば、特許文献1には、表示パネルを複数の矩形領域に分割し、分割した複数の矩形領域毎に調光制御が可能となるように、各矩形領域に対応する複数の光源ユニットが連結されたバックライトユニットが開示されている。この特許文献1に開示されるバックライトユニットにおいて、各光源ユニットは、表示パネルの矩形領域に対応した大きさに形成される矩形状枠体と、矩形状枠体の底部の中央に発光面を上向きにして配置される発光素子と、発光素子の直上に配置され、頂点を下向きとする逆円錐形状に形成される導光反射体とを含んで構成される。
【0008】
特許文献1に開示される技術では、発光素子から出射された強い指向性を有する光を、導光反射体によって、発光素子の光軸と交差する方向に拡散させ、面方向において光量が均一化された光を表示パネルに照射することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2010−238420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1に開示される技術では、複数の光源ユニットは、それぞれ矩形状枠体によって仕切られているので、発光素子が発光することにより発生する熱が各矩形状枠体内で滞留しやすくなってしまう。このように、熱が滞留すると、発光素子に電力を供給するための回路における出力効率が低下するおそれがあるとともに、発光素子の寿命が短くなるおそれがある。
【0011】
したがって本発明の目的は、表示パネルを備える表示装置のバックライトユニットに用いられる発光装置において、装置内に熱が滞留することなく、効率よく放熱することができる発光装置、および、この発光装置を備える表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、枠部と、枠部に囲まれる矩形板状の底部とからなる筐体と、
第1方向に第1間隔をあけ、かつ、第1方向と直交する第2方向に第2間隔をあけて前記底部に配置される矩形板状の複数の基板と、
前記各基板上に第2方向に等間隔で複数配置される、光を出射する発光素子と、
前記各基板上に配置される複数の発光素子のそれぞれを囲むように前記各基板上に設けられ、前記各基板の第1方向両側部に対して延出し、外周形状が多角形状の複数の反射部材と、を含むことを特徴とする発光装置である。
【0013】
また本発明の発光装置において、前記各基板の、第2間隔をあけて互いに対向する各端部の端面は、基板の第1方向一側部から他側部に向かうにつれて、互いに離間するように形成されることを特徴とする。
【0014】
また本発明の発光装置において、前記各基板の、第2間隔をあけて互いに対向する各端部の端面は、互いに近接する方向に凸状に湾曲して形成されることを特徴とする。
【0015】
また本発明の発光装置において、前記各基板の第2方向一端部には、各基板上に配置される各発光素子に駆動信号を入力するための駆動信号入力部が設けられていることを特徴とする。
【0016】
また本発明の発光装置において、第2方向に第2間隔をあけて離間して対を成す前記基板の少なくとも一部の基板は、互いに対向する各端部が、前記底部の第2方向中央部の両側に位置するように配置されていることを特徴とする。
【0017】
また本発明の発光装置において、前記各基板の第2間隔をあけて互いに対向する各端部に最も近い位置に配置される各発光素子を囲む各反射部材は、互いに対向する各辺部が各基板から離間して隆起し、互いに連なるように形成されることを特徴とする。
【0018】
また本発明は、表示パネルと、
前記表示パネルの背面に光を照射する前記発光装置とを備えることを特徴とする表示装置である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、発光装置は、筐体の底部に配置される矩形板状の複数の基板と、各基板上に整列配置される複数の発光素子と、各発光素子を囲むように各基板上に設けられる複数の反射部材とを含む。複数の基板は、第1方向に第1間隔をあけ、かつ、第1方向と直交する第2方向に第2間隔をあけて筐体の底部に配置されている。各発光素子は、各基板の第2方向に等間隔で、各基板上に配置される。各反射部材は、各基板の第1方向両側部に対して延出し、外周形状が多角形状である。
【0020】
発光素子が光を出射することで発生した熱は、各基板の第1方向両側部から延出した反射部材と、筐体の底部との間に存在する空気などの、発光素子の周辺に存在する空気を温める。
【0021】
本発明の発光装置では、筐体の底部と反射部材との間に介在する各基板が、第1方向に第1間隔をあけ、かつ、第1方向と直交する第2方向に第2間隔をあけて筐体の底部に配置されているので、筐体の底部と反射部材との間に存在する温められた空気は、第1方向に第1間隔をあけて離間する各基板の互いに対向する各側部の間に形成される空間(以下、「第1放熱空間」という)、および、第2方向に第2間隔をあけて離間する各基板の互いに対向する各端部の間に形成される空間(以下、「第2放熱空間」という)を、滞留することなく流れる。そのため、発光装置内に熱が滞留することなく、効率よく放熱することができる。
【0022】
また本発明によれば、各基板の第2間隔をあけて互いに対向する各端部の端面は、基板の第1方向一側部から他側部に向かうにつれて、互いに離間するように形成される。第1方向が鉛直方向に平行で、基板の第1方向一側部が鉛直方向上方側となるように、発光装置を配置して用いた場合、第2放熱空間を流れる気流は、基板の第1方向他側部側から一側部側に、空間幅が広い側から狭い側に流れるので、流速が速くなる。これによって、発光装置内に熱が滞留することをより効果的に抑制することができ、効率よく放熱することができる。
【0023】
また本発明によれば、各基板の第2間隔をあけて互いに対向する各端部の端面は、互いに近接する方向に凸状に湾曲して形成される。これによって、第2放熱空間を流れる気流が、乱流となるのを抑制することができるので、発光装置内に熱が滞留することをより効果的に抑制することができ、効率よく放熱することができる。
【0024】
また本発明によれば、各基板の第2方向一端部、具体的には、第2方向に第2間隔をあけて離間する各基板の、第2間隔をあけて互いに対向する各端部とは反対側の端部には、各基板上に配置される各発光素子に駆動信号を入力するための駆動信号入力部が設けられている。これによって、装置内の熱を放熱するための第2放熱空間に駆動信号入力部が設けられることがないので、第2放熱空間における気流の流れをスムーズにすることができる。
【0025】
また本発明によれば、第2方向に第2間隔をあけて離間して対を成す基板の少なくとも一部の基板は、互いに対向する各端部が、筐体の底部の第2方向中央部の両側に位置するように、底部に配置されている。このように構成された発光装置では、第2放熱空間が、筐体の底部の第2方向中央部に形成されることになるので、筐体の底部と反射部材との間に存在する温められた空気は、筐体の底部の第2方向中央部を流れ、これによって発光装置内の熱を放熱することができる。たとえば、一般家庭用のテレビジョン受像機などの表示装置に備えられるバックライトユニットとしての発光装置では、表示パネルに対応した形状、大きさに設定されている筐体の底部の中央部に対応する領域の発光強度が大きくされている。このような場合には、筐体の底部の中央部に熱が滞留しやすくなるが、筐体の底部の第2方向中央部に対応する領域に第2放熱空間を形成することによって、効率よく放熱することができる。
【0026】
また本発明によれば、各基板の第2間隔をあけて互いに対向する各端部に最も近い位置に配置される各発光素子を囲む各反射部材は、互いに対向する各辺部が各基板から離間して隆起し、互いに連なるように形成される。このように構成された発光装置では、第2方向に第2間隔をあけて離間する各基板の互いに対向する各端部の近傍に、各基板から離間して隆起した反射部材の隆起部分が位置することになる。これによって、反射部材の各基板から離間した隆起部分により形成される空間も、第2放熱空間に含まれることになる。したがって、第2放熱空間における気流の流れをスムーズにすることができるので、発光装置内に熱が滞留することをより効果的に抑制することができ、効率よく放熱することができる。
【0027】
また本発明によれば、表示装置は、装置内に熱が滞留することなく効率よく放熱することができる、本発明に係る発光装置を含んで構成されるので、高画質画像を長期間にわたって表示パネルに表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施の一形態に係る液晶表示装置100の構成を示す分解斜視図である。
【図2】図1における切断面線A−Aで切断したときの液晶表示装置100の断面を模式的に示す図である。
【図3】基台111とLEDチップ111aとを示す図である。
【図4】プリント基板12に実装されたLEDチップ111aおよび基台111を示す図である。
【図5】基台111に支持されたLEDチップ111aとレンズ112との位置関係を示す図である。
【図6】LEDチップ111aから出射された光の光路を説明するための図である。
【図7】発光部11が備える反射部材113の構成を示す図である。
【図8】LEDチップ111aから発生した熱が放熱される様子を説明するための図である。
【図9】第2方向Xに第2間隔Iをあけて離間する各プリント基板12の互いに対向する各端部近傍の構成を拡大して示す斜視図である。
【図10】第2方向Xに第2間隔Iをあけて離間する各プリント基板12の互いに対向する各端部の端面の形状を示す図である。
【図11】第2方向Xに第2間隔Iをあけて離間する各プリント基板12の互いに対向する各端部の端面の形状を示す図である。
【図12】バックライトユニット60における、第2方向Xに第2間隔Iをあけて離間する各プリント基板12の互いに対向する各端部近傍の構成を拡大して示す分解斜視図である。
【図13】バックライトユニット60における、第2方向Xに第2間隔Iをあけて離間する各プリント基板12の互いに対向する各端部近傍の構成を拡大して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、本発明の実施の一形態に係る液晶表示装置100の構成を示す分解斜視図である。図2は、図1における切断面線A−Aで切断したときの液晶表示装置100の断面を模式的に示す図である。
【0030】
本発明の表示装置である液晶表示装置100は、テレビジョン受像機またはパーソナルコンピュータなどにおいて、画像情報を出力することによって画像を表示画面に表示する装置である。表示画面は、液晶素子を有する透過型の表示パネルである液晶パネル2によって形成され、液晶パネル2は、矩形平板状に形成される。液晶パネル2において、厚み方向の2つの面を、前面21および背面22とする。液晶表示装置100は画像を、前面21から背面22に向かう方向に見て視認可能に表示する。
【0031】
液晶表示装置100は、液晶パネル2と、複数の発光部11を含む、本発明に係る発光装置であるバックライトユニット1とを備える。
【0032】
液晶パネル2は、バックライトユニット1が備える、枠部と枠部に囲まれる底部131とからなる筐体であるフレーム部材13の底部131の底面131aと平行に、側壁部132により支持される。液晶パネル2は、2枚の基板を含み、厚み方向から見て長方形の板状に形成される。液晶パネル2は、TFT(Thin Film Transistor)等のスイッチング素子を含み、2枚の基板の隙間には液晶が注入されている。
【0033】
液晶パネル2は、背面22側に配置されるバックライトユニット1からの光がバックライトとして照射されることによって、表示機能を発揮する。前記2枚の基板には、液晶パネル2における画素の駆動制御用のドライバー(ソースドライバ)、種々の素子および配線が設けられている。
【0034】
また、液晶表示装置100において、液晶パネル2とバックライトユニット1との間には、拡散板3が、液晶パネル2に平行に配置される。この拡散板3が、被照射体となる。なお、液晶パネル2と拡散板3との間に、プリズムシート(図示せず)を配置してもよい。
【0035】
拡散板3は、バックライトユニット1から照射される光を、面方向に拡散することによって、輝度が局所的に偏ることを防止する。プリズムシートは、拡散板3を介して背面22側から到達した光の進行の向きを、前面21側に向ける。拡散板3では、輝度が面方向に偏ることを防ぐために、光の進行方向は、ベクトル成分として、面方向の成分を多く含む。これに対しプリズムシートは、面方向のベクトル成分を多く含む光の進行方向を、厚み方向の成分を多く含む光の進行方向に変換する。具体的には、プリズムシートは、レンズまたはプリズム状に形成される部分が面方向に多数並んで形成され、これによって、厚み方向に進行する光の拡散度を小さくする。したがって、液晶表示装置100による表示において、輝度を上昇させることができる。
【0036】
バックライトユニット1は、液晶パネル2に背面22側から光を照射する直下型のバックライト装置である。バックライトユニット1は、拡散板3を介して液晶パネル2に光を照射する複数の発光部11と、複数のプリント基板12と、フレーム部材13とを含む。
【0037】
フレーム部材13は、バックライトユニット1の基本構造体であり、液晶パネル2と予め定められた間隔をあけて対向する矩形平板状の底部131と、底部131に連なり底部131から立ち上がる側壁部132とからなる。底部131は、厚み方向から見て長方形に形成され、その大きさは液晶パネル2よりも少し大き目である。側壁部132は、底部131のうち短辺を成す2つの端部と、長辺を成す2つの端部とから液晶パネル2の前面21側に立ち上がって形成される。これによって、平板状の側壁部132が底部131の周囲に4つ、形成される。
【0038】
プリント基板12は、フレーム部材13の底部131に固定される。プリント基板12は、たとえば、導電層が両面に形成されたガラスエポキシからなる基板である。本実施形態では、各プリント基板12は、長方形板状に形成され、その長辺(長手方向)が底部131の長辺方向と平行で、短辺(幅方向)が底部131の短辺方向と平行になるように、底部131に整列配置されている。
【0039】
複数のプリント基板12の底部131に対する配置状態の詳細については後述するが、複数のプリント基板12は、第1方向Xに第1間隔Iをあけ、かつ、第1方向Xと直交する第2方向Xに第2間隔Iをあけて、フレーム部材13の底部131に配置される。本実施形態では、前記第1方向Xは、フレーム部材13の底部131の短辺方向と平行で、前記第2方向Xは、底部131の長辺方向と平行である。各プリント基板12上には、複数の発光部11が、第2方向Xに平行な方向に等間隔で設けられている。
【0040】
複数の発光部11は、拡散板3を介して液晶パネル2に光を照射するものである。本実施形態では、複数の発光部11を1つの群として、拡散板3を介して液晶パネル2の背面22の全体にわたって対向するように、複数の発光部11が設けられたプリント基板12を複数並列に配列することで、発光部11がマトリクス状に設けられる。各発光部11は、被照射体である拡散板3側から平面視したとき、すなわち、フレーム部材13の底部131に垂直な方向から見て正方形に形成され、拡散板3の液晶パネル2側の面における輝度が5000cd/mとなるように規定され、一辺の長さは、たとえば55mmである。
【0041】
複数の発光部11は、それぞれ、発光素子である発光ダイオード(LED)チップ111aと、LEDチップ111aを支持する基台111と、光学部材であるレンズ112と、反射部材113とを含む。
【0042】
図3は、基台111とLEDチップ111aとを示す図である。図3(a)は平面図であり、図3(b)は正面図であり、図3(c)は底面図である。
【0043】
基台111は、LEDチップ111aを支持するための部材であり、樹脂からなる。この基台111は、LEDチップ111aを支持する支持面が正方形に形成され、正方形の一辺の長さL1は、たとえば3mmである。また、基台111の高さは、たとえば1mmである。
【0044】
図3に示すように、基台111は、セラミックスからなる基台本体111gと、基台本体111gに設けられる2つの電極111cとを含んでおり、LEDチップ111aは、基台111の支持面となる基台本体111gの上面中央部に、接着部材111fで固定されている。2つの電極111cは、互いに離間しており、それぞれ、基台本体111gの上面、側面、および底面にわたって設けられる。LEDチップ111aの図示しない2つの端子と、2つの電極111cとは、2つのボンディングワイヤ111dによってそれぞれ接続されている。そして、LEDチップ111aおよびボンディングワイヤ111dは、シリコン樹脂などの透明樹脂111eによって封止されている。
【0045】
図4は、プリント基板12に実装されたLEDチップ111aおよび基台111を示す図である。LEDチップ111aは、基台111を介してプリント基板12に実装され、プリント基板12から離れる方向に光を出射する。LEDチップ111aは、発光部11を拡散板3側から平面視したとき、すなわち、フレーム部材13の底部131に垂直な方向から見たときに、基台111の中央部に位置する。複数の発光部11において、それぞれのLEDチップ111aによる光の出射の制御は、互いに独立して制御可能である。これによって、バックライトユニット1は、部分的な調光制御(ローカルディミング)が可能である。
【0046】
プリント基板12にLEDチップ111aおよび基台111を実装するときには、まず、プリント基板12が備える導電層パターンの2つの接続端子部121の上に、それぞれ、半田を付け、その半田に、基台本体111gの底面に設けられる2つの電極111cがそれぞれ合致するように、たとえば図示しない自動機によって、プリント基板12に、基台111および基台111に固定されているLEDチップ111aを載置する。基台111および基台111に固定されているLEDチップ111aを載置したプリント基板12は、赤外線を照射するリフロー槽に送られ、半田は約260℃に熱せられ、基台111とプリント基板12とが半田付けされる。
【0047】
複数の発光部11にそれぞれ備えられるLEDチップ111aは、発光部11を拡散板3側から平面視したとき、すなわち、フレーム部材13の底部131に垂直な方向から見たときに、マトリクス状に整列配置され、隣接するLEDチップ111a間の距離は、行方向および列方向ともに同じである。
【0048】
図5は、基台111に支持されたLEDチップ111aとレンズ112との位置関係を示す図である。
【0049】
レンズ112は、LEDチップ111aを支持する基台111を覆うように、LEDチップ111aに、インサート成形により、当接して設けられ、LEDチップ111aから出射した光を複数の方向に反射または屈折させる。すなわち、レンズ112は、光を拡散させる。レンズ112は、透明なレンズであり、たとえばシリコン樹脂やアクリル樹脂などからなる。
【0050】
レンズ112は、拡散板3を介して液晶パネル2に対向する面である上面112aが中央部に凹みを有して湾曲し、側面112bがLEDチップ111aの光軸Sと平行な略円柱状に形成され、光軸Sに直交する断面における直径L2がたとえば10mmであり、基台111に対して外方に延出し、かつ、基台111の側面(基台111の支持面に対して直交する4つの面)の少なくとも一部を覆うように設けられている。すなわち、レンズ112は、LEDチップ111aの光軸Sに直交する方向に関して基台111よりも大きい(レンズ112の直径L2は、基台111の支持面の一辺の長さL1よりも大きい)。このように、レンズ112が基台111に対して外方に延出して設けられることによって、LEDチップ111aから出射した光をレンズ112により広範囲に拡散させることができる。
【0051】
また、レンズ112の高さH1は、たとえば4.5mmであり、直径L2よりも小さい。換言すれば、レンズ112は、LEDチップ111aの光軸Sに直交する方向の長さ(直径L2)が、高さH1よりも大きい。このレンズ112に入射した光は、レンズ112の内部において光軸Sに交差する方向に拡散される。
【0052】
上記のように、直径L2を高さH1よりも大きく設定するのは、バックライトユニット1の薄型化と液晶パネル2への光の均一照射のためである。バックライトユニット1を薄型化するためには、レンズ112の高さH1を小さく、すなわち、レンズ112を極力薄くする必要がある。しかしながら、レンズ112を薄くすると、液晶パネル2の背面22に照度むらが発生し易くなり、その結果、液晶パネル2の前面21に輝度むらが発生し易くなる。特に、隣接するLED111aの間の距離が長い場合、液晶パネル2の背面22において隣接するLEDチップ111aの間の領域は、LEDチップ111aから遠く離れており、照射光量が少なくなるので、その領域とLEDチップ111aに近接する領域との間で、照度むら(輝度むら)が生じ易くなる。
【0053】
LEDチップ111aから照射された光を、レンズ112を介して、LEDチップ111aから遠く離れた領域に照射させるには、レンズ112の直径L2をある程度大きくする必要があり、本実施形態では、レンズ112の直径L2を、高さH1よりも大きくすることで、バックライトユニット1の薄型化と液晶パネル2への光の均一照射とを可能にしている。
【0054】
なお、仮に、レンズ112の高さH1よりも、レンズ112の直径L2を小さくした場合、薄型化および均一照射が困難となるばかりでなく、レンズ112とLEDチップ111aとを一体的に成形するインサート成形において、バランスが悪くなり易いという課題が生じる。また、LEDチップ111aおよび基台111bと、インサート成形されたレンズ112とからなる一体成形物をプリント基板12に半田付けする際に、バランスを崩し易く、組立上にも課題が生じる。
【0055】
レンズ112の上面112aは、中央部分1121と、第1湾曲部分1122と、第2湾曲部分1123とを含んで構成される。レンズ112において、中央部に凹みを有して湾曲した上面112aは、到達した光を全反射させて側面112bから出射させる第1領域と、到達した光を外方に屈折させて出射する第2領域とを有する。第1領域は第1湾曲部分1122に形成され、第2領域は第2湾曲部分1123に形成される。
【0056】
中央部分1121は、拡散板3を介して液晶パネル2に対向する上面112aの中央部に形成され、中央部分1121の中心(すなわち、レンズ112の光軸)は、LEDチップ111aの光軸S上に位置する。中央部分1121は、LEDチップ111aの発光面に平行な円形状に形成され、その直径L3は、たとえば1mmである。
【0057】
なお、本発明の他の実施形態としては、中央部分1121の形状を、上記円形状の代わりに、上記円形状を仮想的な底面とし、この底面からLEDチップ111aに向かって突出する円錐の側面形状にしてもよい。
【0058】
中央部分1121は、被照射体である拡散板3において、中央部分1121に対向する領域に光を照射するために形成されている。ただし、中央部分1121はLEDチップ111aに対向する部分であるので、LEDチップ111aから出射される光の大半が中央部分1121に到達し、その大半の光がそのまま透過した場合、中央部分1121に対向する領域の照度が際立って大きくなる。そこで、中央部分1121の形状を、上記円錐の側面形状とすることが好ましい。上記円錐の側面形状とした場合、大半の光が中央部分1121で反射され、中央部分1121を透過する光は少なくなるので、中央部分1121に対向する領域の照度を抑えることができる。
【0059】
第1湾曲部分1122は、中央部分1121の外周縁端部に連なり、外方に向かうにつれてLEDチップ111aの光軸S方向の一方(液晶パネル2に向かう方向)に延び、光軸S方向の一方に凸となるように湾曲した環状の曲面である。この曲面の形状は、LEDチップ111aから出射された光が全反射するように設計される。
【0060】
より詳細には、LEDチップ111aから出射された光のうち、第1湾曲部分1122に到達した光は、第1湾曲部分1122で全反射した後、レンズ112の側面112bを透過し、反射部材113へ向かう。反射部材113に到達した光は、反射部材113で拡散され、被照射体である拡散板3において、LEDチップ111aに対向していない領域に照射される。これにより、LEDチップ111aに対向していない領域への照射光量を増加させることができる。
【0061】
第1湾曲部分1122は、LEDチップ111aから出射された光を全反射するために、LEDチップ111aから出射された光の入射角度が、臨界角φ以上となるように形成される。たとえば、レンズ112の材質をアクリル樹脂とするとき、アクリル樹脂の屈折率は「1.49」であり、空気の屈折率は「1」であるので、sinφ=1/1.49となる。この式から、臨界角φは42.1°となり、第1湾曲部分1122は、入射角度が42.1°以上となる形状に形成される。
【0062】
第2湾曲部分1123は、第1湾曲部分1122の外周縁端部に連なり、外方に向かうにつれてLEDチップ111aの光軸S方向の他方に延び、光軸S方向の一方に凸となるように湾曲した環状の曲面である。
【0063】
LEDチップ111aから出射された光のうち、第2湾曲部分1123に到達した光は、第2湾曲部分1123を透過するときに、屈折して、拡散板3および反射部材113に向かう。反射部材113に到達した光は、拡散して拡散板3に向かう。このように第2湾曲部分1123により拡散板3へ向かう光は、拡散板3において、中央部分1121および第1湾曲部分1122により光が照射される領域とは異なる領域に主に照射され、これによって光量の補完が行われる。なお、第2湾曲部分1123は、光を透過する必要があるので、LEDチップ111aから出射された光を全反射しないように、入射角度が42.1°未満となる形状に形成される。
【0064】
このように、レンズ112は、中央部分1121の外周縁端部に、LEDチップ111aから出射された光をレンズ112の側面112bへ向けて全反射させる第1湾曲部分1122が形成され、その第1湾曲部分1122の外周縁端部に、LEDチップ111aから出射された光を屈折させる第2湾曲部分1123が形成されている。
【0065】
LEDチップ111aは一般的に指向性が強く、光軸S付近の光量が極めて大きく、光軸Sに対する光の出射角度が大きくなればなるほど光量が小さくなる。したがって、LEDチップ111aの光軸S(すなわち、レンズ112の光軸)から比較的遠い領域への照射光量を大きくするためには、光軸Sに対する出射角度が大きな光を、この領域へ向けるのではなく、出射角度が小さな光を、この領域へ向ける必要がある。
【0066】
本実施形態では、上記のように、光軸Sが通る中央部分1121の周囲に、上記領域へ向けて光を全反射させる第1湾曲部分1122が隣接して形成されるので、この領域への照射光量を大きくすることができる。
【0067】
これに対して、仮に、中央部分1121の周囲に、第2湾曲部分1123を隣接させて形成し、その第2湾曲部分1123の周囲に、第1湾曲部分1122を隣接して形成した場合、第1湾曲部分1122へ向かう光の光軸Sに対する出射角度が大きくなり、その結果、第1湾曲部分1122で全反射されて上記領域に照射される光の量は少なくなってしまう。この結果、拡散板3における輝度は不均一になる。
【0068】
図6は、LEDチップ111aから出射された光の光路を説明するための図である。LEDチップ111aから出射した光は、レンズ112に入射し、このレンズ112で拡散される。具体的には、レンズ112に入射した光のうち、拡散板3を介して液晶パネル2に対向する上面112aにおいて中央部分1121に到達した光は、液晶パネル2に向けて矢符A1方向に出射され、第1湾曲部分1122に到達した光は、全反射して側面112bから矢符A2方向に出射され、第2湾曲部分1123に到達した光は、外方(LEDチップ111aから遠ざかる方向)に屈折して液晶パネル2に向けて矢符A3方向に出射される。
【0069】
また、本実施形態では、LEDチップ111aとレンズ112とは、互いの光軸が一致する、すなわち、レンズ112の中心(すなわち、レンズ112の光軸)がLEDチップ111aの光軸S上に位置し、レンズ112がLEDチップ111aに当接するように、予め高精度に位置合わせされて形成されている。
【0070】
LEDチップ111aとレンズ112とを、予め位置合わせして形成する方法としては、インサート成形、所定の形状に成形されたレンズ112に基台111に支持されたLEDチップ111aを嵌合させる方法などを挙げることができる。本実施形態では、LEDチップ111aとレンズ112とは、インサート成形により、予め位置合わせされて形成されている。
【0071】
インサート成形する際には、大きく分けて、上面金型と下面金型とを使用する。上面金型と下面金型とを合わせた際に形成される空間に、LEDチップ111aを保持した状態で、レンズ112の原料となる樹脂を樹脂流入口から注入することにより成形する。なお、上面金型と下面金型とを合わせた際に形成される空間に、基台111に支持されたLEDチップ111aを保持した状態で、レンズ112の原料となる樹脂を樹脂注入口から注入することにより成形するようにしてもよい。
【0072】
このように、LEDチップ111aとレンズ112とをインサート成形により形成することによって、レンズ112がLEDチップ111aに当接するように、高精度に位置合わせすることができる。
【0073】
これによって、バックライトユニット1は、LEDチップ111aからレンズ112を介して出射した光を、LEDチップ111aに当接したレンズ112により、精度よく反射および屈折させることができるので、拡散板3からプリント基板12までの距離H3が小さい薄型化された液晶表示装置100においても、輝度がその面方向において均一となるように、光を拡散板3を介して液晶パネル2に照射することができる。
【0074】
図7は、発光部11が備える反射部材113の構成を示す図である。図7は、第2方向Xに第2間隔Iをあけて離間する各プリント基板12の互いに対向する各端部近傍を拡大して示す。
【0075】
反射部材113は、LEDチップ111aが支持された基台111の周囲に設けられ、レンズ112から出射された光を、拡散板3を介して液晶パネル2へ向けて反射する。反射部材113は、拡散板3側から平面視したとき、すなわち、LEDチップ111aの光軸S方向に平面視したときの外周形状が多角形状、たとえば正方形状である。この反射部材113は、各プリント基板12の第1方向Xに平行な幅方向両側部から外方に延出している。
【0076】
また、反射部材113は、LEDチップ111aの光軸S方向に平面視したときに、外周形状の各辺部が、隣接する反射部材113同士で連なる。これによって、隣接する発光部11において、LEDチップ111a間の距離が同じになるので、拡散板3の液晶パネル2側の面における輝度均一性をより向上することができる。
【0077】
反射部材113は、中心に開口部113aが設けられた、平板状、具体的には、1辺の長さが38.8mmの正方形平板状の基部1131と、基部1131を取り囲む外周縁部であり、LEDチップ111aから遠ざかるにつれてプリント基板12から遠ざかるように傾斜する傾斜面を有する傾斜部1132とを有する。基部1131と傾斜部1132とによって構成される反射部材113は、LEDチップ111aを中心とした逆ドーム状に設けられる。
【0078】
本実施形態では、反射部材113は、LEDチップ111aの光軸S方向に平面視したときの外周形状が正方形状であり、その正方形状の対角線について線対称に構成される。また、正方形状の中心点について90°回転対称に構成される。
【0079】
基部1131は、LEDチップ111aの光軸S方向に平面視したときの正方形状の各辺が、マトリクス状に、すなわち整列配置される複数のLEDチップ111aの行方向または列方向と平行になるように形成される。また、基部1131は、プリント基板12に沿って形成され、光軸S方向に平面視したときに、中央部に円形状の開口部113aが設けられる。この円形状の開口部113aの直径は、レンズ112の直径L2よりも少し小さく設定されており、この開口部113aにレンズ112が挿通される。基部1131は、各プリント基板12の第1方向Xに平行な幅方向両側部から外方に延出している。
【0080】
傾斜部1132は、基部1131の外周形状の各辺部に連なり、外方(LEDチップ111aから遠ざかる方向)になるにつれてプリント基板12から離反するように傾斜して延びる傾斜面を有する。傾斜部1132の傾斜面とプリント基板12との間の傾斜角度θ1は、たとえば80°である。また、光軸S方向における傾斜部1132の高さH2は、たとえば4mmである。
【0081】
また、本実施形態では、反射部材113のプリント基板12に対する遠端部、すなわち、傾斜部1132の光軸S方向における拡散板3側の先端部と、拡散板3との間には、隙間Gが形成されている。発光部11では、面方向にLEDチップ111aから遠ざかるにつれて、光量が低下する傾向にある。前記隙間Gが形成されていることによって、隣接する発光部11同士において、互いに照射される光の一部が前記隙間Gから入り込み、光量の低下を補うことができる。したがって、面方向における光量の均一性をより向上することができる。
【0082】
基部1131および傾斜部1132は、高輝性PET(Polyethylene Terephthalate)、アルミニウムなどからなる。高輝性PETとは、蛍光剤を含有した発泡性PETであり、たとえば、東レ株式会社製のE60V(商品名)などを挙げることができる。基部1131の厚みは、たとえば0.1〜0.5mmである。
【0083】
基部1131および傾斜部1132を含む反射部材113は、その全反射率が、LEDチップ111aから出射される可視光に対して、たとえば、80%〜100%であり、本実施形態では、97%である。全反射率は、JIS−K−7375に準拠して測定することができる。
【0084】
上記のように構成され、複数の発光部11にそれぞれ備えられる反射部材113は、互いに一体的に成形されるのが好ましい。複数の反射部材113を一体成形する方法としては、反射部材113が高輝性PETにより構成されている場合には押出成形加工、真空成形加工を挙げることができ、反射部材113がアルミニウムにより構成されている場合にはプレス加工を挙げることができる。
【0085】
たとえば、高輝性PETからなる複数の反射部材113を、真空成形加工により一体成形する場合には、以下のようにして成形する。
【0086】
まず、高輝性PETにより作製されたシートを加熱軟化させた後、予め真空吸引のための小穴(真空穴)を多数あけた型の上部に固定する。次に、型またはシートを移動させ、シートと型の間を空気が漏れないように密閉した後、真空穴を通して内部の空気を急速に排除する。シートは内部が減圧となるため大気圧により型面上に押付けられ、型の形状を忠実に再現する。このようにして成形されたものを冷却後に型から取出し、一体成形された反射部材113を製造することができる。このような加工方法で反射部材113を一体成形することによって、基部1131および傾斜部1132の厚みが同じであり、その厚みの均一性に優れた反射部材113を製造することができる。
【0087】
複数の発光部11にそれぞれ備えられる反射部材113を一体成形することによって、複数の発光部11のプリント基板12に対する配置位置の精度を向上することができるとともに、バックライトユニット1の組立作業時に、反射部材113を取り付ける作業数を低減することができるので、組立作業の効率を向上することができる。
【0088】
以上のように構成されるバックライトユニット1を備える液晶表示装置100における、LEDチップ111aから出射した光の光路について図6を用いて説明する。
【0089】
バックライトユニット1において、LEDチップ111aから出射し、レンズ112に入射した光のうち、拡散板3を介して液晶パネル2に対向する上面112aにおいて中央部分1121に到達した光は、液晶パネル2に向けて矢符A1方向に出射され、第1湾曲部分1122に到達した光は、反射して側面112bから矢符A2方向に出射され、第2湾曲部分1123に到達した光は、外方に屈折して液晶パネル2に向けて矢符A3方向に出射される。
【0090】
そして、レンズ112から出射した光のうち、側面112bから出射した光(出射方向が光軸Sに交差する方向である光)は、反射部材113の傾斜部1132に入射する。この反射部材113の傾斜部1132は、外方(LEDチップ111aから遠ざかる方向)になるにつれてプリント基板12から離反して延びるので、傾斜部1132に入射した光を、プリント基板12に平行な液晶パネル2側に反射させることができ、面方向において傾斜部1132に対応した領域の光量を増加させることができる。
【0091】
次に、本実施形態のバックライトユニット1において特徴的な構成である、LEDチップ111aから発生した熱を放熱するための構成について説明する。
【0092】
図8は、LEDチップ111aから発生した熱が放熱される様子を説明するための図である。図9は、第2方向Xに第2間隔Iをあけて離間する各プリント基板12の、第2間隔Iをあけて互いに対向する各端部近傍の構成を拡大して示す斜視図である。
【0093】
本実施形態では、前述したように、各プリント基板12は、フレーム部材13の底部131と反射部材113との間において、その幅方向が第1方向Xと平行で、かつ長手方向が第2方向Xと平行になるように、フレーム部材13の底部131に整列配置されている。そして、複数のプリント基板12は、第1方向Xに第1間隔Iをあけ、かつ、第1方向Xと直交する第2方向Xに第2間隔Iをあけて、フレーム部材13の底部131に配置される。本実施形態では、複数のプリント基板12は、第2方向Xに2列で配置されている。
【0094】
また、バックライトユニット1は、プリント基板12の第1方向Xに平行な幅方向が鉛直方向に一致し、第2方向Xに平行な長手方向が水平方向に一致するように配置されている。
【0095】
LEDチップ111aが光を出射することで発生した熱は、反射部材113およびプリント基板12を伝導し、各プリント基板12の第1方向Xに平行な幅方向両側部から延出した反射部材113と、フレーム部材13の底部131との間に存在する空気などの、LEDチップ111aの周辺に存在する空気を温める。
【0096】
本実施形態のバックライトユニット1では、フレーム部材13の底部131と反射部材113との間に介在する各プリント基板12が、第1方向Xに第1間隔Iをあけ、かつ、第1方向Xと直交する第2方向Xに第2間隔Iをあけて底部131に配置されているので、フレーム部材13の底部131と反射部材113との間に存在する温められた空気は、底部131と反射部材113との間において、第1方向Xに第1間隔Iをあけて離間する各プリント基板12の、第1間隔Iをあけて互いに対向する各側部の間に形成される水平方向に延びる空間41(以下、「第1放熱空間41」という)、および、第2方向Xに第2間隔Iをあけて離間する各プリント基板12の、第2間隔Iをあけて互いに対向する各端部の間に形成される鉛直方向に延びる空間42(以下、「第2放熱空間42」という)を、滞留することなく流れる。
【0097】
具体的には、反射部材113およびプリント基板12を伝導した熱は、気流を形成して水平方向に延びる第1放熱空間41をプリント基板12の長手方向(第2方向Xに平行)に沿って流れる。そして、プリント基板12の長手方向に沿って流れる気流が、第2方向Xに第2間隔Iをあけて離間する各プリント基板12の、第2間隔Iをあけて互いに対向する各端部に到達すると、鉛直方向に延びる第2放熱空間42を上昇気流を形成して流れる。これによって、バックライトユニット1内に熱が滞留することなく、効率よく放熱することができる。
【0098】
また、第1放熱空間41および第2放熱空間42は、フレーム部材13の底部131と反射部材113との間に形成されているので、反射部材113の底部131と対向する側とは反対側の領域、すなわち、拡散板3の光照射面側の領域には、第1放熱空間41および第2放熱空間42を流れる気流が流れ込まない。そのため、気流にのって埃などの異物が、拡散板3の光照射面側の領域に流れ込むことを防止した上で、効率よく放熱することができる。
【0099】
また、本実施形態では、図8に示すように、第2方向Xに第2間隔Iをあけて離間する各プリント基板12の、第2間隔Iをあけて互いに対向する各端部とは反対側の端部には、各プリント基板12上に配置される各LEDチップ111aに駆動信号を入力するための駆動信号入力部である駆動信号入力コネクタ12aが設けられている。これによって、バックライトユニット1内の熱を放熱するための第1放熱空間41および第2放熱空間42に駆動信号入力コネクタ12aが設けられることがないので、第1放熱空間41および第2放熱空間42における気流の流れをスムーズにすることができる。
【0100】
また、本実施形態では、図8に示すように、複数のプリント基板12のうち、第2方向Xに第2間隔Iをあけて離間して対を成す少なくとも一部のプリント基板12は、互いに対向する各端部が、フレーム部材の底部131の第2方向Hに平行な長辺方向中央部の両側に位置するように、底部131に配置されている。このように構成されたバックライトユニット1では、第2放熱空間42が、フレーム部材13の底部131の長辺方向中央部に形成されることになるので、底部131と反射部材113との間に存在する温められた空気は、底部131の長辺方向中央部を流れ、これによってバックライトユニット1内の熱を放熱することができる。
【0101】
たとえば、液晶表示装置100を一般家庭用のテレビジョン受像機などの表示装置とし、バックライトユニット1をその表示装置に備えられるバックライト装置とした場合には、液晶パネル2に対応した形状、大きさに設定されているフレーム部材13の底部131の中央部に対応する領域の発光強度が大きくされる。このような場合には、フレーム部材13の底部131の中央部に熱が滞留しやすくなるが、底部131の第2方向Xに平行な長辺方向中央部に対応する領域に、第2放熱空間42を形成することによって、効率よく放熱することができる。
【0102】
また、フレーム部材13の底部131に整列配置される各プリント基板12の形状は、前述した長方形板状に限定されるものではない。図10および図11は、第2方向Xに第2間隔Iをあけて離間する各プリント基板12の互いに対向する各端部の端面の形状を示す図である。
【0103】
たとえば、図10に示すように、第2方向Xに第2間隔Iをあけて離間する各プリント基板12の、第2間隔Iをあけて互いに対向する各端部の端面は、互いに近接する方向に凸状に湾曲して形成されてもよい。この場合には、互いに対向する各端部間の最小距離を、第2間隔Iとする。これによって、第2放熱空間42を流れる気流が、乱流となるのを抑制することができるので、バックライトユニット1内に熱が滞留することをより効果的に抑制することができ、効率よく放熱することができる。
【0104】
また、図11に示すように、第2方向Xに第2間隔Iをあけて離間する各プリント基板12の、第2間隔Iをあけて互いに対向する各端部の端面は、プリント基板12の第1方向Xに平行な幅方向の一側部から他側部に向かうにつれて、互いに離間するように形成されてもよい。この場合には、互いに対向する各端部間の最小距離を、第2間隔Iとする。具体的には、互いに対向する各端部において、プリント基板12の第1方向Xに平行な幅方向の一側部間の距離が、第2間隔Iとなる。第1方向Xが鉛直方向に平行で、プリント基板12の幅方向一側部が鉛直方向上方側となるように、バックライトユニット1を配置して用いた場合、第2放熱空間42を流れる気流は、プリント基板12の幅方向他側部側から一側部側に、空間幅が広い側から狭い側に流れるので、流速が速くなる。これによって、バックライトユニット1内に熱が滞留することをより効果的に抑制することができ、効率よく放熱することができる。
【0105】
図12は、バックライトユニット60における、第2方向Xに第2間隔Iをあけて離間する各プリント基板12の互いに対向する各端部近傍の構成を拡大して示す分解斜視図である。図13は、バックライトユニット60における、第2方向Xに第2間隔Iをあけて離間する各プリント基板12の互いに対向する各端部近傍の構成を拡大して示す斜視図である。
【0106】
本実施形態のバックライトユニット60は、前述したバックライトユニット1に類似し、対応する部分については同一の参照符号を付して説明を省略する。バックライトユニット60は、発光部60aの構成が、前述した発光部11の構成と異なること以外は、バックライトユニット1と同様である。
【0107】
複数の発光部60aは、それぞれ、LEDチップ111aと、LEDチップ111aを支持する基台111と、レンズ112と、反射部材61とを含む。
【0108】
反射部材61は、LEDチップ111aが支持された基台111の周囲に設けられ、レンズ112から出射された光を、拡散板3を介して液晶パネル2へ向けて反射する。反射部材61は、拡散板3側から平面視したとき、すなわち、LEDチップ111aの光軸S方向に平面視したときの外周形状が多角形状、たとえば正方形状である。
【0109】
また、反射部材61は、LEDチップ111aの光軸S方向に平面視したときに、外周形状の各辺部が、隣接する反射部材61同士で連なっている。
【0110】
反射部材61は、中心に開口部61aが設けられた基部611と、基部611を取り囲む外周縁部であり、LEDチップ111aから遠ざかるにつれてプリント基板12から遠ざかるように傾斜して形成される平板状の傾斜部612とを有する。基部611と傾斜部612とによって構成される反射部材61は、LEDチップ111aを中心とした逆ドーム状に設けられる。
【0111】
反射部材61において特徴的な構成は、傾斜部612が平板状に形成されていることであり、傾斜部612の外周縁端部、すなわち、外周形状の各辺部が、隣接する反射部材61同士で連なっている。換言すると、第2方向Xに第2間隔Iをあけて離間する各プリント基板12上の、第2間隔Iをあけて互いに対向する各端部に最も近い位置に配置される各LEDチップ111aを囲む各反射部材61は、互いに対向する各辺部が各プリント基板12から離間して隆起し、互いに連なるように形成されている。
【0112】
このような反射部材61を備えるバックライトユニット60では、第2方向Xに第2間隔Iをあけて離間する各プリント基板12の互いに対向する各端部の近傍に、各プリント基板12から離間して隆起した反射部材61の隆起部分が位置することになる。これによって、反射部材61の各プリント基板12から離間した隆起部分により形成される空間、すなわち、互いに連なる傾斜部612間に形成される空間も、第2放熱空間42に含まれることになる。
【0113】
これによって、第2放熱空間42が大きくなるので、第2放熱空間42における気流の流れをスムーズにすることができる。そのため、バックライトユニット60内に熱が滞留することをより効果的に抑制することができ、効率よく放熱することができる。
【符号の説明】
【0114】
1,60 バックライトユニット
2 液晶パネル
3 拡散板
11,60a 発光部
12 プリント基板
13 フレーム部材
41 第1放熱空間
42 第2放熱空間
100 液晶表示装置
111 基台
111a LEDチップ
112 レンズ
61,113 反射部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠部と、枠部に囲まれる矩形板状の底部とからなる筐体と、
第1方向に第1間隔をあけ、かつ、第1方向と直交する第2方向に第2間隔をあけて前記底部に配置される矩形板状の複数の基板と、
前記各基板上に第2方向に等間隔で複数配置される、光を出射する発光素子と、
前記各基板上に配置される複数の発光素子のそれぞれを囲むように前記各基板上に設けられ、前記各基板の第1方向両側部に対して延出し、外周形状が多角形状の複数の反射部材と、を含むことを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記各基板の、第2間隔をあけて互いに対向する各端部の端面は、基板の第1方向一側部から他側部に向かうにつれて、互いに離間するように形成されることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記各基板の、第2間隔をあけて互いに対向する各端部の端面は、互いに近接する方向に凸状に湾曲して形成されることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項4】
前記各基板の第2方向一端部には、各基板上に配置される各発光素子に駆動信号を入力するための駆動信号入力部が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の発光装置。
【請求項5】
第2方向に第2間隔をあけて離間して対を成す前記基板の少なくとも一部の基板は、互いに対向する各端部が、前記底部の第2方向中央部の両側に位置するように配置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の発光装置。
【請求項6】
前記各基板の第2間隔をあけて互いに対向する各端部に最も近い位置に配置される各発光素子を囲む各反射部材は、互いに対向する各辺部が各基板から離間して隆起し、互いに連なるように形成されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の発光装置。
【請求項7】
表示パネルと、
前記表示パネルの背面に光を照射する発光装置とを備え、
前記発光装置は、請求項1〜6のいずれか1つに記載の発光装置であることを特徴とする表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−26528(P2013−26528A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−161395(P2011−161395)
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】