発光装置及び発光装置を備える電子機器
【課題】低消費電力であり、かつ装置の状態を正しく表示可能な発光装置を提供する。
【解決手段】本発明の一態様としての発光装置は、第1の発光素子(LED220)と、所定の波長の光を選択的に反射する選択反射状態を保持可能なコレステリック液晶素子210と、前記第1の発光素子(LED220)が発光状態のときに、前記コレステリック液晶素子210を選択反射状態に保持するよう制御可能に構成された制御部130と、を備える。
【解決手段】本発明の一態様としての発光装置は、第1の発光素子(LED220)と、所定の波長の光を選択的に反射する選択反射状態を保持可能なコレステリック液晶素子210と、前記第1の発光素子(LED220)が発光状態のときに、前記コレステリック液晶素子210を選択反射状態に保持するよう制御可能に構成された制御部130と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は発光装置に関し、特に、コレステリック液晶素子を利用した発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、電子ペーパーと呼ばれる紙に近い表示特性を有する表示装置の実用化が進められている。電子ペーパーの特徴のひとつは、反射光を利用して表示する反射型表示装置である点である。このような反射型表示装置は、バックライトを有する透過型液晶表示装置や、ELディスプレイなどの自発光型表示装置に比べ、外光を拡散的に反射する紙に近い表示方式を採用するため、読みやすく目にやさしい表示を低消費電力で行うことができる。電子ペーパーの代表的なものとしては電気泳動方式の表示装置があり、高コントラストな表示が可能である。
【0003】
電子ペーパーのもうひとつの特徴は、表示を書き換えるとき以外はシステムを待機状態にしても表示が保持される記憶性表示体を備える点であり、これにより低消費電力を実現可能である。しかし、この記憶性表示体は表示を書き換えるとき以外には表示状態が変化しないので、ユーザーは、装置の電源が入っているのか、操作を受け付けるのかという動作状態が分からないという課題がある。そこで、電子ペーパーでは記憶性表示体に加え、電子ペーパーの動作状態を示すインジケーターを設けることが多い。インジケーターとしては、一般的に知られるLEDを用いる例や、特開2004−240533号公報(特許文献1)に開示されているコレステリック液晶を用いる例がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−240533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、電子ペーパーは上記のとおり記憶性表示体であり表示を書き換えない待機状態では電力を消費しないため、低消費電力を実現することができる。しかし、電子ペーパーにおけるインジケーターとしてLEDを用いた場合、消費電力の小さな電子ペーパーにおいては無視できない電力がLEDで消費されていた。
【0006】
また、電子ペーパーにおけるインジケーターとしてコレステリック液晶を用いた場合、電子ペーパーへの電力供給が突然途絶えた場合などでもコレステリック液晶の表示状態がそのまま保持されてしまう。したがって、電子ペーパーの電源投入の状態を正しく示すことができなかった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の一態様の発光装置では、第1の発光素子と、所定の波長の光を選択的に反射する選択反射状態を保持可能なコレステリック液晶素子と、前記第1の発光素子が発光状態のときに、前記コレステリック液晶素子を選択反射状態に保持するよう制御可能に構成された制御部と、を備える。
【0008】
かかる構成の発光装置によれば、例えばLEDなどの第1の発光素子に加えてコレステリック液晶素子を用いているため、第1の発光素子のみを用いる場合と比較して、同じ光量を得るために必要な第1の発光素子の光量を減少させることができる。これによって、第1の発光素子のみを用いた場合よりも消費電力を低減させることができる。
【0009】
また、前記制御部は、前記第1の発光素子が点滅状態のときに、前記コレステリック液晶素子を選択反射状態に保持するよう制御可能に構成されてもよい。
【0010】
かかる構成によれば、第1の発光素子を点灯させ続けなくても一定の光量を得ることができ、消費電力を低減しつつ、発光装置の状態を適切に表示することが可能となる。また、発光装置への電力の供給が突然停止した場合に発光装置の表示状態が変化するため、ユーザーが発光装置の状態が変化したことを認識可能にすることができる。
【0011】
また、前記制御部は、前記第1の発光素子が消灯状態になる前に、前記コレステリック液晶素子を光透過状態にするよう制御可能に構成されてもよい。
【0012】
かかる構成によれば、発光装置が消灯状態のときには発光も光の反射もない黒色表示にすることができ、発光装置の状態を認識しやすくすることができる。
【0013】
また、前記第1の発光素子とは異なる波長の光を発光可能に構成された第2の発光素子をさらに備えてもよい。
【0014】
かかる構成によれば、消費電力を低減させながら2色表示をすることができる。
【0015】
また、本発明は上記いずれかの発光装置と記憶性を有する表示装置とを備える電子機器をも含む。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】電子ペーパーの外観を示す図。
【図2】電子ペーパーの構成例を示すブロック図。
【図3】実施形態1に係るインジケーターの構成例を示す図。
【図4】プレーナー配向時のコレステリック液晶素子を示す図。
【図5】フォーカルコニック配向時のコレステリック液晶素子を示す図。
【図6】コレステリック液晶素子に印加する電圧を示す図。
【図7】駆動電圧発生手段の具体的な構成例を示す図。
【図8】LEDのみをインジケーターとして用いた場合の動作例を示す図。
【図9】コレステリック液晶素子のみをインジケーターとして用いた場合の動作例を示す図。
【図10】実施形態1に係るインジケーターの第1の動作例を示す図。
【図11】実施形態1に係るインジケーターの第2の動作例を示す図。
【図12】実施形態2に係るインジケーターの構成例を示す図。
【図13】実施形態2に係るインジケーターの動作例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係る実施形態について、以下の構成に従って、図面を参照しながら具体的に説明する。ただし、以下で説明する実施形態はあくまで本発明の一例に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。なお、各図面において、同一の部品には同一の符号を付しており、その説明を省略する場合がある。
1.実施形態1
(1)電子ペーパーの構成例
(2)インジケーターの構成例
(3)動作例1
(4)動作例2
2.実施形態2
(1)インジケーターの構成例
(2)動作例
3.本発明の特徴
【0018】
<1.実施形態1>
本発明の実施形態1における発光装置としてのインジケーター、及び発光装置を備える電子ペーパーの構成及び動作について、図面を参照しながら説明する。
【0019】
<(1)電子ペーパーの構成例>
図1は、本発明の一実施形態における電子ペーパーの外観を示す図である。図2は、本発明の一実施形態における電子ペーパーの構成を示すブロック図である。
【0020】
図1に示すように、本実施形態1の電子ペーパー100は、外観において、記憶性表示体110及びインジケーター200を含んで構成される。記憶性表示体110は、例えば電気泳動方式の表示体などにより構成される。インジケーター200については後述するが、LEDなどの発光素子、及びコレステリック液晶素子によって構成される。
【0021】
図2に示すように、本実施形態1の電子ペーパー100は、機能ブロックとして、記憶性表示体110、駆動電圧発生手段120、システム制御手段130、及びインジケーター200を含んで構成される。インジケーター200は、コレステリック液晶素子(ChLCD)210及びLED220を含んで構成される。
【0022】
駆動電圧発生手段120は、記憶性表示体110、コレステリック液晶素子210、及びLED220を駆動するための電圧を発生し、各部に供給可能に構成される。
【0023】
システム制御手段130は、例えばCPUなどであって、記憶性表示体110、コレステリック液晶素子210及びLED220に所望の電圧を印加するよう駆動電圧発生手段120を制御可能に構成される。
【0024】
インジケーター200のコレステリック液晶素子210は、駆動電圧発生手段120から印加された駆動電圧により配向状態を変化可能に構成される。コレステリック液晶素子210は、この配向状態の変化により特性が変化するが、具体的な特性については後述する。
【0025】
インジケーター200のLED220は、駆動電圧発生手段120から印加された駆動電圧によって駆動され、所定の波長を有する光を発生可能に構成される。
【0026】
<(2)インジケーターの構成例>
図3は、コレステリック液晶素子210及びLED220を含むインジケーター200の構成の一例を示す図である。図3に示すように、コレステリック液晶素子210は、コレステリック液晶層211、上部電極212、下部電極213、封止材214、及びガラス板215を含んで構成される。
【0027】
コレステリック液晶素子210は、中心部にコレステリック液晶層211を備え、コレステリック液晶層211の上部及び下部にそれぞれ上部電極212及び下部電極213を備える。また、コレステリック液晶層211、上部電極212、及び下部電極213を上下から挟み込むように光透過性を有するガラス板215が設けられている。さらに、コレステリック液晶層211のガラス板215により挟み込まれていない周辺部は、封止材214によって囲まれている。コレステリック液晶素子210の上部電極212及び下部電極213は駆動電圧発生手段120から電圧を印加され、コレステリック液晶層211はこの電圧によって配向状態を変化可能に構成される。コレステリック液晶層211の配向状態の詳細については後述するが、コレステリック液晶層211は透過状態と選択反射状態とを有する。選択反射状態のコレステリック液晶層211は、所定の波長を有する入射光230を反射可能に構成されている。なお、ここでは便宜上、「上」及び「下」としてそれぞれの構成の位置関係を説明しているが、図3に示すような位置関係を有するものであればよい。
【0028】
LED220は、駆動電圧発生手段120から印加された電圧によって所定の波長の光231を発生可能に構成される。
【0029】
ここで、コレステリック液晶素子210の配向状態について具体的に説明する。図4は、プレーナー配向時のコレステリック液晶素子、図5は、フォーカルコニック配向時のコレステリック液晶素子を示す図である。
【0030】
コレステリック液晶素子210の上部電極212及び下部電極213の間に所定の電圧を印加すると、コレステリック液晶層211は図4に示すようなプレーナー配向状態となる。プレーナー配向状態となったコレステリック液晶層211は、図4にも示すように、所定の波長の光を反射可能である。プレーナー配向状態となったコレステリック液晶層211は、上記の所定の波長以外の波長を有する光については反射せずに透過する。
【0031】
コレステリック液晶素子210の上部電極212及び下部電極213の間に、上記とは別の所定の電圧を印加すると、コレステリック液晶層211は図5に示すようなフォーカルコニック配向状態となる。フォーカルコニック配向状態となったコレステリック液晶層211は、図5に示すようにほぼすべての入射光230を透過する。
【0032】
図6(A)及び(B)は、コレステリック液晶素子210の配向状態を変化させる際に上部電極212と下部電極213との電極間の印加電圧の一例を示す図である。図6(A)は、コレステリック液晶素子210をフォーカルコニック配向状態にするとき、図6(B)は、コレステリック液晶素子210をプレーナー配向状態にするときの印加電圧を示す。図6(A)及び(B)から分かるように、コレステリック液晶素子210をフォーカルコニック配向状態にするときには、電極間に電圧VFを印加し、プレーナー配向状態にするときには、電極間に電圧VFより高い電圧VPを印加する。このように、コレステリック液晶素子210の上部電極212及び下部電極213の電極間に印加する電圧を変化させることで、コレステリック液晶素子210に含まれるコレステリック液晶層211の配向状態を変化させることができる。
【0033】
図7は、コレステリック液晶素子210の上部電極212及び下部電極213に電圧を印加する駆動電圧発生手段120の構成の一例を示す図である。図7に示すように、駆動電圧発生手段120は、電圧発生手段121、上部電極駆動電圧発生部122、及び下部電極駆動電圧発生部123を含んで構成される。
【0034】
電圧発生手段121は、所定の電圧を発生可能に構成される。この電圧発生手段121は、電子ペーパーに供給される電源電圧供給部であってもよいし、電源電圧供給部から供給される電圧を昇圧または降圧した電圧を供給可能な昇圧回路または降圧回路などであってもよい。
【0035】
上部電極駆動電圧発生部122及び下部電極駆動電圧発生部123は、システム制御手段130から供給される制御信号に基づいて、それぞれ上部電極212及び下部電極213に電圧を供給可能に構成される。例えば、システム制御手段130が、コレステリック液晶素子210の配向状態をフォーカルコニック配向状態にするよう指示した場合、上部電極駆動電圧発生部122は電位VAを上部電極212に印加し、下部電極駆動電圧発生部123は電位VBを下部電極213に印加する。電位VAと電位VBとの電位差の絶対値(|VA−VB|)は、コレステリック液晶素子210をフォーカルコニック配向状態にするための電圧VFになっている。同様に、コレステリック液晶素子210の配向状態をプレーナー配向状態にするときは、上記電位差の絶対値(|VA−VB|)が電圧VPになるよう、システム制御手段130が上部電極駆動電圧発生部122及び下部電極駆動電圧発生部123に指示する。
【0036】
<(3)動作例1>
次に、本実施形態1のインジケーターの動作例について説明する。ここでは、まず従来のインジケーターの動作の概要を説明し、その後本実施形態1のインジケーターの動作について説明する。
【0037】
図8は、従来のLEDのみを備えるインジケーターの動作を示す図である。図8の時間T12に示されるように、表示装置がパワーオン状態のとき、インジケーターのLEDは点滅状態となる。一方で表示装置がパワーオフ状態のとき、図8の時間T11及びT13で示されるように、インジケーターのLEDは消灯状態となる。したがって、ユーザーは表示装置の状態を一目で認識できる。しかし、記憶性表示体の消費電力に対してLEDの消費電力は比較的大きく、LEDをインジケーターとして用いた表示装置の消費電力が大きくなってしまう。
【0038】
図9は、従来のコレステリック液晶素子のみを備えるインジケーターの動作を示す図である。図9の時間T22に示されるように、表示装置がパワーオン状態のとき、インジケーターのコレステリック液晶素子は選択反射状態とされ、入射光のうちの所定の波長を有する光を反射するため、ユーザーは例えばインジケーターが赤色に表示されていると認識する。一方、表示装置がパワーオフ状態のとき、図9の時間T21及びT23で示されるように、インジケーターのコレステリック液晶素子は透過状態となり、ユーザーはインジケーターが消灯されている、または黒色表示であると認識する。しかし、パワーオン状態においいてコレステリック液晶素子が選択反射状態から透過状態に変化されることなく表示装置に供給される電力が停止したような場合、コレステリック液晶素子は選択反射状態を保持する。したがって、コレステリック液晶素子は引き続き、例えば赤色の表示状態となるため、ユーザーは表示装置がパワーオン状態であると誤認するおそれがある。
【0039】
図10は、本実施形態1にかかる、LEDとコレステリック液晶素子とを備えるインジケーターの動作の第1の例を示す図である。図10の時間T32に示されるように、表示装置がパワーオン状態のとき、インジケーターのコレステリック液晶素子は選択反射状態とされ、LEDは点滅状態とされる。なお、本実施形態1ではコレステリック液晶素子は赤色の入射光を選択的に反射し、LEDは赤色に点滅する。これにより、インジケーターから出射される光量は、図10に示すように、LEDが点灯している時間はLEDの光量とコレステリック液晶素子の光量とを合わせた光量となり、LEDが消灯している時間はコレステリック液晶素子の光量のみとなる。
【0040】
一方で、表示装置がパワーオフ状態のとき、図10の時間T31及びT33に示されるように、インジケーターのコレステリック液晶素子は透過状態とされ、LEDは消灯状態とされる。これにより、インジケーターから出射される光量はほぼなくなる。
【0041】
上記のような構成と機能を有するインジケーターによれば、LEDを点灯させ続けないので、LEDを点灯させ続ける場合と比較して、消費電力を低減させることができる。また、仮にパワーオン状態においてコレステリック液晶素子が透過状態に変化されることなく表示装置に供給される電力が停止したような場合はLEDが消灯状態となるため、インジケーターはコレステリック液晶素子の光量のみによる表示状態となる。すなわち、図10における時間T32におけるインジケーターの表示状態と異なるため、ユーザーは表示装置がパワーオン状態ではないことを認識可能となる。
【0042】
また、以下の実施形態においても同様であるが、表示装置がパワーオフ状態となりLED220が消灯状態となる前にコレステリック液晶素子210を光透過状態するので、インジケーターが消灯状態のときは発光も光の反射もない黒色表示にすることができる。これにより、インジケーターを含む表示装置の状態を認識しやすくすることができる。
【0043】
<(4)動作例2>
図11は、本実施形態1にかかる、LEDとコレステリック液晶素子とを備えるインジケーターの動作の第2の例を示す図である。この例では、表示装置は通信機能を有しており、インジケーターは表示装置が受信状態であるか送信状態であるかという2種類の状態を区別して表示可能に動作する。なお、以下の例ではコレステリック液晶素子は選択反射状態において緑色の波長の光を反射可能に構成され、LEDは赤色の光を発生可能に構成される。
【0044】
図11の時間T42及びT44に示されるように、表示装置が受信状態のとき、インジケーターのコレステリック液晶素子は選択反射状態とされ、LEDは消灯状態とされる。これによって、インジケーターの表示は、コレステリック液晶素子により反射された緑色による表示状態となる。
【0045】
次に、図11の時間T43に示されるように、表示装置時が送信状態のとき、インジケーターのコレステリック液晶素子は選択反射状態とされ、LEDは点灯状態とされる。これによって、インジケーターの表示は、コレステリック液晶素子により反射された緑色と、LEDにより発生された赤色とが合成された、橙色による表示状態となる。
【0046】
また、図11の時間T41及びT45に示されるように、表示装置が非通信状態のとき、インジケーターのコレステリック液晶素子は透過状態とされ、LEDは消灯状態とされる。これによって、インジケーターは光を発せず、黒色による表示状態となる。
【0047】
以上のように、コレステリック液晶素子が選択反射状態のときに選択的に反射する光の波長と、LEDから発生される光の波長とを異なる波長にすることで、低消費電力であって、かつ複数色による表示が可能なインジケーターを提供することができる。
【0048】
<2.実施形態2>
次に、本発明の実施形態2における発光装置としてのインジケーターの構成及び動作について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施形態2の発光装置も、実施形態1の記載の電子ペーパーに応用可能である。
【0049】
<(1)インジケーターの構成例>
図12は、本実施形態2におけるインジケーターの構成例を示す図である。本実施形態2と実施形態1とを比較すると、本実施形態2のインジケーターは、図12に示すように、複数のLEDを含む点で異なっており、その他の点では同様の構成と機能を備える。
【0050】
LED220は、第1LED221及び第2LED222を備える構成となっており、これらのLEDは互いに異なる色で発光可能に構成される。第1LED221と第2LED222とは、それぞれ独立して電圧を印加可能に構成されている。また、以下の説明においては第1LED221は緑色、第2LED222は赤色に発光可能であるものとする。
【0051】
<(2)動作例>
次に、本実施形態2のインジケーターの動作例について説明する。なお、本実施形態2の表示装置はスタンバイ状態とアクティブ状態とを有しており、これらの状態を識別可能にするためにインジケーターが設けられている。
【0052】
図13は、本実施形態2にかかる、LEDとコレステリック液晶素子とを備えるインジケーターの動作例を示す図である。
【0053】
図13の時間T52に示されるように、表示装置がスタンバイ状態のとき、インジケーターのコレステリック液晶素子は緑色の光を反射可能な選択反射状態とされ、緑色の第1LEDは点滅状態、赤色の第2LEDは消灯状態とされる。これにより、インジケーターの表示色は、図13に示されるように、緑色の点滅状態となる。
【0054】
次に、図13の時間T53に示されるように、表示装置がアクティブ状態のとき、インジケーターのコレステリック液晶素子は緑色の光を反射可能な選択反射状態とされ、緑色の第1LEDは消灯状態、赤色の第2LEDは点滅状態とされる。ここで、コレステリック液晶素子は緑色の光を反射するので、インジケーターは、赤色の第2LEDが点灯しているときは緑色と赤色とが合成された橙色の表示となり、赤色の第2LEDが消灯しているときは緑色の表示となる。
【0055】
次に、図13の時間T51及びT54に示されるように、表示装置がオフ状態のとき、インジケーターのコレステリック液晶素子は透過状態とされ、緑色の第1LED及び赤色の第2LEDは消灯状態とされる。これにより、インジケーターは光を発せず、黒色による表示状態となる。
【0056】
このように、互いに異なる色で発光可能な複数のLEDを備えることで、消費電力を低減させながら複数色表示させることが可能となる。さらに、例えば、ユーザーが表示装置の動作モードを視認でき、かつ表示装置が動作していることを直感的に認識することができる。
【0057】
なお、コレステリック液晶素子が反射する光の波長をLEDが発生する光の波長と異なる波長とすれば、さらに多数の色による表示が可能となる。また、LEDが発生する光及びコレステリック液晶素子が反射する光は、それぞれ任意の波長(色)を選択可能である。
【0058】
<3.本発明の特徴と適用可能性>
本発明の具体的な構成としては、上記実施形態で説明したようなものがあるが、これらは以下のような特徴を備えるものである。
【0059】
すなわち、いずれの実施形態にかかる発光装置としてのインジケーターも、コレステリック液晶素子210及び発光素子としてのLED220を備えるので、発光素子のみを用いてインジケーターを構成する場合と比較して、同じ光量を得るために必要な発光素子の光量を減少させることができる。これによって、発光素子のみを用いた場合よりも消費電力を低減させることができる。
【0060】
また、本発明の発光装置としてのインジケーターは、図1に示したような電子ペーパーに加え、記憶性を有する表示装置を備える電子機器に広く適用可能である。
【0061】
なお、コレステリック液晶素子210が備えるガラス板215は必ずしもガラスである必要があるわけではなく、十分な光透過性を有する他の材料により構成されてもよい。
【0062】
また、LEDによって発生される光、及びコレステリック液晶素子によって反射される光の波長はそれぞれ任意に選択可能であり、上記実施形態に記載の例に限るものではない。
【0063】
また、上記実施形態では発光素子としてLEDを用いる例を説明しているが、例えば有機ELを用いるなど、他の自発光素子に置き換えることも可能である。
【0064】
また、上記実施形態では記憶性反射型表示装置の一例として電気泳動表示装置を挙げているが、これに限る趣旨ではなく、例えばエレクトロクロミックを用いた表示装置に置き換えることなども可能である。
【符号の説明】
【0065】
100……電子ペーパー、110……記憶性表示体、120……駆動電圧発生手段、121……電圧発生手段、122……上部電極駆動電圧発生部、123……下部電極駆動電圧発生部、130……システム制御手段、200……インジケーター、210……コレステリック液晶素子、211……コレステリック液晶層、212……上部電極、213……下部電極、214……封止材、215……ガラス板、220……LED、230……入射光、231……LEDからの発光
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は発光装置に関し、特に、コレステリック液晶素子を利用した発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、電子ペーパーと呼ばれる紙に近い表示特性を有する表示装置の実用化が進められている。電子ペーパーの特徴のひとつは、反射光を利用して表示する反射型表示装置である点である。このような反射型表示装置は、バックライトを有する透過型液晶表示装置や、ELディスプレイなどの自発光型表示装置に比べ、外光を拡散的に反射する紙に近い表示方式を採用するため、読みやすく目にやさしい表示を低消費電力で行うことができる。電子ペーパーの代表的なものとしては電気泳動方式の表示装置があり、高コントラストな表示が可能である。
【0003】
電子ペーパーのもうひとつの特徴は、表示を書き換えるとき以外はシステムを待機状態にしても表示が保持される記憶性表示体を備える点であり、これにより低消費電力を実現可能である。しかし、この記憶性表示体は表示を書き換えるとき以外には表示状態が変化しないので、ユーザーは、装置の電源が入っているのか、操作を受け付けるのかという動作状態が分からないという課題がある。そこで、電子ペーパーでは記憶性表示体に加え、電子ペーパーの動作状態を示すインジケーターを設けることが多い。インジケーターとしては、一般的に知られるLEDを用いる例や、特開2004−240533号公報(特許文献1)に開示されているコレステリック液晶を用いる例がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−240533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、電子ペーパーは上記のとおり記憶性表示体であり表示を書き換えない待機状態では電力を消費しないため、低消費電力を実現することができる。しかし、電子ペーパーにおけるインジケーターとしてLEDを用いた場合、消費電力の小さな電子ペーパーにおいては無視できない電力がLEDで消費されていた。
【0006】
また、電子ペーパーにおけるインジケーターとしてコレステリック液晶を用いた場合、電子ペーパーへの電力供給が突然途絶えた場合などでもコレステリック液晶の表示状態がそのまま保持されてしまう。したがって、電子ペーパーの電源投入の状態を正しく示すことができなかった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の一態様の発光装置では、第1の発光素子と、所定の波長の光を選択的に反射する選択反射状態を保持可能なコレステリック液晶素子と、前記第1の発光素子が発光状態のときに、前記コレステリック液晶素子を選択反射状態に保持するよう制御可能に構成された制御部と、を備える。
【0008】
かかる構成の発光装置によれば、例えばLEDなどの第1の発光素子に加えてコレステリック液晶素子を用いているため、第1の発光素子のみを用いる場合と比較して、同じ光量を得るために必要な第1の発光素子の光量を減少させることができる。これによって、第1の発光素子のみを用いた場合よりも消費電力を低減させることができる。
【0009】
また、前記制御部は、前記第1の発光素子が点滅状態のときに、前記コレステリック液晶素子を選択反射状態に保持するよう制御可能に構成されてもよい。
【0010】
かかる構成によれば、第1の発光素子を点灯させ続けなくても一定の光量を得ることができ、消費電力を低減しつつ、発光装置の状態を適切に表示することが可能となる。また、発光装置への電力の供給が突然停止した場合に発光装置の表示状態が変化するため、ユーザーが発光装置の状態が変化したことを認識可能にすることができる。
【0011】
また、前記制御部は、前記第1の発光素子が消灯状態になる前に、前記コレステリック液晶素子を光透過状態にするよう制御可能に構成されてもよい。
【0012】
かかる構成によれば、発光装置が消灯状態のときには発光も光の反射もない黒色表示にすることができ、発光装置の状態を認識しやすくすることができる。
【0013】
また、前記第1の発光素子とは異なる波長の光を発光可能に構成された第2の発光素子をさらに備えてもよい。
【0014】
かかる構成によれば、消費電力を低減させながら2色表示をすることができる。
【0015】
また、本発明は上記いずれかの発光装置と記憶性を有する表示装置とを備える電子機器をも含む。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】電子ペーパーの外観を示す図。
【図2】電子ペーパーの構成例を示すブロック図。
【図3】実施形態1に係るインジケーターの構成例を示す図。
【図4】プレーナー配向時のコレステリック液晶素子を示す図。
【図5】フォーカルコニック配向時のコレステリック液晶素子を示す図。
【図6】コレステリック液晶素子に印加する電圧を示す図。
【図7】駆動電圧発生手段の具体的な構成例を示す図。
【図8】LEDのみをインジケーターとして用いた場合の動作例を示す図。
【図9】コレステリック液晶素子のみをインジケーターとして用いた場合の動作例を示す図。
【図10】実施形態1に係るインジケーターの第1の動作例を示す図。
【図11】実施形態1に係るインジケーターの第2の動作例を示す図。
【図12】実施形態2に係るインジケーターの構成例を示す図。
【図13】実施形態2に係るインジケーターの動作例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係る実施形態について、以下の構成に従って、図面を参照しながら具体的に説明する。ただし、以下で説明する実施形態はあくまで本発明の一例に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。なお、各図面において、同一の部品には同一の符号を付しており、その説明を省略する場合がある。
1.実施形態1
(1)電子ペーパーの構成例
(2)インジケーターの構成例
(3)動作例1
(4)動作例2
2.実施形態2
(1)インジケーターの構成例
(2)動作例
3.本発明の特徴
【0018】
<1.実施形態1>
本発明の実施形態1における発光装置としてのインジケーター、及び発光装置を備える電子ペーパーの構成及び動作について、図面を参照しながら説明する。
【0019】
<(1)電子ペーパーの構成例>
図1は、本発明の一実施形態における電子ペーパーの外観を示す図である。図2は、本発明の一実施形態における電子ペーパーの構成を示すブロック図である。
【0020】
図1に示すように、本実施形態1の電子ペーパー100は、外観において、記憶性表示体110及びインジケーター200を含んで構成される。記憶性表示体110は、例えば電気泳動方式の表示体などにより構成される。インジケーター200については後述するが、LEDなどの発光素子、及びコレステリック液晶素子によって構成される。
【0021】
図2に示すように、本実施形態1の電子ペーパー100は、機能ブロックとして、記憶性表示体110、駆動電圧発生手段120、システム制御手段130、及びインジケーター200を含んで構成される。インジケーター200は、コレステリック液晶素子(ChLCD)210及びLED220を含んで構成される。
【0022】
駆動電圧発生手段120は、記憶性表示体110、コレステリック液晶素子210、及びLED220を駆動するための電圧を発生し、各部に供給可能に構成される。
【0023】
システム制御手段130は、例えばCPUなどであって、記憶性表示体110、コレステリック液晶素子210及びLED220に所望の電圧を印加するよう駆動電圧発生手段120を制御可能に構成される。
【0024】
インジケーター200のコレステリック液晶素子210は、駆動電圧発生手段120から印加された駆動電圧により配向状態を変化可能に構成される。コレステリック液晶素子210は、この配向状態の変化により特性が変化するが、具体的な特性については後述する。
【0025】
インジケーター200のLED220は、駆動電圧発生手段120から印加された駆動電圧によって駆動され、所定の波長を有する光を発生可能に構成される。
【0026】
<(2)インジケーターの構成例>
図3は、コレステリック液晶素子210及びLED220を含むインジケーター200の構成の一例を示す図である。図3に示すように、コレステリック液晶素子210は、コレステリック液晶層211、上部電極212、下部電極213、封止材214、及びガラス板215を含んで構成される。
【0027】
コレステリック液晶素子210は、中心部にコレステリック液晶層211を備え、コレステリック液晶層211の上部及び下部にそれぞれ上部電極212及び下部電極213を備える。また、コレステリック液晶層211、上部電極212、及び下部電極213を上下から挟み込むように光透過性を有するガラス板215が設けられている。さらに、コレステリック液晶層211のガラス板215により挟み込まれていない周辺部は、封止材214によって囲まれている。コレステリック液晶素子210の上部電極212及び下部電極213は駆動電圧発生手段120から電圧を印加され、コレステリック液晶層211はこの電圧によって配向状態を変化可能に構成される。コレステリック液晶層211の配向状態の詳細については後述するが、コレステリック液晶層211は透過状態と選択反射状態とを有する。選択反射状態のコレステリック液晶層211は、所定の波長を有する入射光230を反射可能に構成されている。なお、ここでは便宜上、「上」及び「下」としてそれぞれの構成の位置関係を説明しているが、図3に示すような位置関係を有するものであればよい。
【0028】
LED220は、駆動電圧発生手段120から印加された電圧によって所定の波長の光231を発生可能に構成される。
【0029】
ここで、コレステリック液晶素子210の配向状態について具体的に説明する。図4は、プレーナー配向時のコレステリック液晶素子、図5は、フォーカルコニック配向時のコレステリック液晶素子を示す図である。
【0030】
コレステリック液晶素子210の上部電極212及び下部電極213の間に所定の電圧を印加すると、コレステリック液晶層211は図4に示すようなプレーナー配向状態となる。プレーナー配向状態となったコレステリック液晶層211は、図4にも示すように、所定の波長の光を反射可能である。プレーナー配向状態となったコレステリック液晶層211は、上記の所定の波長以外の波長を有する光については反射せずに透過する。
【0031】
コレステリック液晶素子210の上部電極212及び下部電極213の間に、上記とは別の所定の電圧を印加すると、コレステリック液晶層211は図5に示すようなフォーカルコニック配向状態となる。フォーカルコニック配向状態となったコレステリック液晶層211は、図5に示すようにほぼすべての入射光230を透過する。
【0032】
図6(A)及び(B)は、コレステリック液晶素子210の配向状態を変化させる際に上部電極212と下部電極213との電極間の印加電圧の一例を示す図である。図6(A)は、コレステリック液晶素子210をフォーカルコニック配向状態にするとき、図6(B)は、コレステリック液晶素子210をプレーナー配向状態にするときの印加電圧を示す。図6(A)及び(B)から分かるように、コレステリック液晶素子210をフォーカルコニック配向状態にするときには、電極間に電圧VFを印加し、プレーナー配向状態にするときには、電極間に電圧VFより高い電圧VPを印加する。このように、コレステリック液晶素子210の上部電極212及び下部電極213の電極間に印加する電圧を変化させることで、コレステリック液晶素子210に含まれるコレステリック液晶層211の配向状態を変化させることができる。
【0033】
図7は、コレステリック液晶素子210の上部電極212及び下部電極213に電圧を印加する駆動電圧発生手段120の構成の一例を示す図である。図7に示すように、駆動電圧発生手段120は、電圧発生手段121、上部電極駆動電圧発生部122、及び下部電極駆動電圧発生部123を含んで構成される。
【0034】
電圧発生手段121は、所定の電圧を発生可能に構成される。この電圧発生手段121は、電子ペーパーに供給される電源電圧供給部であってもよいし、電源電圧供給部から供給される電圧を昇圧または降圧した電圧を供給可能な昇圧回路または降圧回路などであってもよい。
【0035】
上部電極駆動電圧発生部122及び下部電極駆動電圧発生部123は、システム制御手段130から供給される制御信号に基づいて、それぞれ上部電極212及び下部電極213に電圧を供給可能に構成される。例えば、システム制御手段130が、コレステリック液晶素子210の配向状態をフォーカルコニック配向状態にするよう指示した場合、上部電極駆動電圧発生部122は電位VAを上部電極212に印加し、下部電極駆動電圧発生部123は電位VBを下部電極213に印加する。電位VAと電位VBとの電位差の絶対値(|VA−VB|)は、コレステリック液晶素子210をフォーカルコニック配向状態にするための電圧VFになっている。同様に、コレステリック液晶素子210の配向状態をプレーナー配向状態にするときは、上記電位差の絶対値(|VA−VB|)が電圧VPになるよう、システム制御手段130が上部電極駆動電圧発生部122及び下部電極駆動電圧発生部123に指示する。
【0036】
<(3)動作例1>
次に、本実施形態1のインジケーターの動作例について説明する。ここでは、まず従来のインジケーターの動作の概要を説明し、その後本実施形態1のインジケーターの動作について説明する。
【0037】
図8は、従来のLEDのみを備えるインジケーターの動作を示す図である。図8の時間T12に示されるように、表示装置がパワーオン状態のとき、インジケーターのLEDは点滅状態となる。一方で表示装置がパワーオフ状態のとき、図8の時間T11及びT13で示されるように、インジケーターのLEDは消灯状態となる。したがって、ユーザーは表示装置の状態を一目で認識できる。しかし、記憶性表示体の消費電力に対してLEDの消費電力は比較的大きく、LEDをインジケーターとして用いた表示装置の消費電力が大きくなってしまう。
【0038】
図9は、従来のコレステリック液晶素子のみを備えるインジケーターの動作を示す図である。図9の時間T22に示されるように、表示装置がパワーオン状態のとき、インジケーターのコレステリック液晶素子は選択反射状態とされ、入射光のうちの所定の波長を有する光を反射するため、ユーザーは例えばインジケーターが赤色に表示されていると認識する。一方、表示装置がパワーオフ状態のとき、図9の時間T21及びT23で示されるように、インジケーターのコレステリック液晶素子は透過状態となり、ユーザーはインジケーターが消灯されている、または黒色表示であると認識する。しかし、パワーオン状態においいてコレステリック液晶素子が選択反射状態から透過状態に変化されることなく表示装置に供給される電力が停止したような場合、コレステリック液晶素子は選択反射状態を保持する。したがって、コレステリック液晶素子は引き続き、例えば赤色の表示状態となるため、ユーザーは表示装置がパワーオン状態であると誤認するおそれがある。
【0039】
図10は、本実施形態1にかかる、LEDとコレステリック液晶素子とを備えるインジケーターの動作の第1の例を示す図である。図10の時間T32に示されるように、表示装置がパワーオン状態のとき、インジケーターのコレステリック液晶素子は選択反射状態とされ、LEDは点滅状態とされる。なお、本実施形態1ではコレステリック液晶素子は赤色の入射光を選択的に反射し、LEDは赤色に点滅する。これにより、インジケーターから出射される光量は、図10に示すように、LEDが点灯している時間はLEDの光量とコレステリック液晶素子の光量とを合わせた光量となり、LEDが消灯している時間はコレステリック液晶素子の光量のみとなる。
【0040】
一方で、表示装置がパワーオフ状態のとき、図10の時間T31及びT33に示されるように、インジケーターのコレステリック液晶素子は透過状態とされ、LEDは消灯状態とされる。これにより、インジケーターから出射される光量はほぼなくなる。
【0041】
上記のような構成と機能を有するインジケーターによれば、LEDを点灯させ続けないので、LEDを点灯させ続ける場合と比較して、消費電力を低減させることができる。また、仮にパワーオン状態においてコレステリック液晶素子が透過状態に変化されることなく表示装置に供給される電力が停止したような場合はLEDが消灯状態となるため、インジケーターはコレステリック液晶素子の光量のみによる表示状態となる。すなわち、図10における時間T32におけるインジケーターの表示状態と異なるため、ユーザーは表示装置がパワーオン状態ではないことを認識可能となる。
【0042】
また、以下の実施形態においても同様であるが、表示装置がパワーオフ状態となりLED220が消灯状態となる前にコレステリック液晶素子210を光透過状態するので、インジケーターが消灯状態のときは発光も光の反射もない黒色表示にすることができる。これにより、インジケーターを含む表示装置の状態を認識しやすくすることができる。
【0043】
<(4)動作例2>
図11は、本実施形態1にかかる、LEDとコレステリック液晶素子とを備えるインジケーターの動作の第2の例を示す図である。この例では、表示装置は通信機能を有しており、インジケーターは表示装置が受信状態であるか送信状態であるかという2種類の状態を区別して表示可能に動作する。なお、以下の例ではコレステリック液晶素子は選択反射状態において緑色の波長の光を反射可能に構成され、LEDは赤色の光を発生可能に構成される。
【0044】
図11の時間T42及びT44に示されるように、表示装置が受信状態のとき、インジケーターのコレステリック液晶素子は選択反射状態とされ、LEDは消灯状態とされる。これによって、インジケーターの表示は、コレステリック液晶素子により反射された緑色による表示状態となる。
【0045】
次に、図11の時間T43に示されるように、表示装置時が送信状態のとき、インジケーターのコレステリック液晶素子は選択反射状態とされ、LEDは点灯状態とされる。これによって、インジケーターの表示は、コレステリック液晶素子により反射された緑色と、LEDにより発生された赤色とが合成された、橙色による表示状態となる。
【0046】
また、図11の時間T41及びT45に示されるように、表示装置が非通信状態のとき、インジケーターのコレステリック液晶素子は透過状態とされ、LEDは消灯状態とされる。これによって、インジケーターは光を発せず、黒色による表示状態となる。
【0047】
以上のように、コレステリック液晶素子が選択反射状態のときに選択的に反射する光の波長と、LEDから発生される光の波長とを異なる波長にすることで、低消費電力であって、かつ複数色による表示が可能なインジケーターを提供することができる。
【0048】
<2.実施形態2>
次に、本発明の実施形態2における発光装置としてのインジケーターの構成及び動作について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施形態2の発光装置も、実施形態1の記載の電子ペーパーに応用可能である。
【0049】
<(1)インジケーターの構成例>
図12は、本実施形態2におけるインジケーターの構成例を示す図である。本実施形態2と実施形態1とを比較すると、本実施形態2のインジケーターは、図12に示すように、複数のLEDを含む点で異なっており、その他の点では同様の構成と機能を備える。
【0050】
LED220は、第1LED221及び第2LED222を備える構成となっており、これらのLEDは互いに異なる色で発光可能に構成される。第1LED221と第2LED222とは、それぞれ独立して電圧を印加可能に構成されている。また、以下の説明においては第1LED221は緑色、第2LED222は赤色に発光可能であるものとする。
【0051】
<(2)動作例>
次に、本実施形態2のインジケーターの動作例について説明する。なお、本実施形態2の表示装置はスタンバイ状態とアクティブ状態とを有しており、これらの状態を識別可能にするためにインジケーターが設けられている。
【0052】
図13は、本実施形態2にかかる、LEDとコレステリック液晶素子とを備えるインジケーターの動作例を示す図である。
【0053】
図13の時間T52に示されるように、表示装置がスタンバイ状態のとき、インジケーターのコレステリック液晶素子は緑色の光を反射可能な選択反射状態とされ、緑色の第1LEDは点滅状態、赤色の第2LEDは消灯状態とされる。これにより、インジケーターの表示色は、図13に示されるように、緑色の点滅状態となる。
【0054】
次に、図13の時間T53に示されるように、表示装置がアクティブ状態のとき、インジケーターのコレステリック液晶素子は緑色の光を反射可能な選択反射状態とされ、緑色の第1LEDは消灯状態、赤色の第2LEDは点滅状態とされる。ここで、コレステリック液晶素子は緑色の光を反射するので、インジケーターは、赤色の第2LEDが点灯しているときは緑色と赤色とが合成された橙色の表示となり、赤色の第2LEDが消灯しているときは緑色の表示となる。
【0055】
次に、図13の時間T51及びT54に示されるように、表示装置がオフ状態のとき、インジケーターのコレステリック液晶素子は透過状態とされ、緑色の第1LED及び赤色の第2LEDは消灯状態とされる。これにより、インジケーターは光を発せず、黒色による表示状態となる。
【0056】
このように、互いに異なる色で発光可能な複数のLEDを備えることで、消費電力を低減させながら複数色表示させることが可能となる。さらに、例えば、ユーザーが表示装置の動作モードを視認でき、かつ表示装置が動作していることを直感的に認識することができる。
【0057】
なお、コレステリック液晶素子が反射する光の波長をLEDが発生する光の波長と異なる波長とすれば、さらに多数の色による表示が可能となる。また、LEDが発生する光及びコレステリック液晶素子が反射する光は、それぞれ任意の波長(色)を選択可能である。
【0058】
<3.本発明の特徴と適用可能性>
本発明の具体的な構成としては、上記実施形態で説明したようなものがあるが、これらは以下のような特徴を備えるものである。
【0059】
すなわち、いずれの実施形態にかかる発光装置としてのインジケーターも、コレステリック液晶素子210及び発光素子としてのLED220を備えるので、発光素子のみを用いてインジケーターを構成する場合と比較して、同じ光量を得るために必要な発光素子の光量を減少させることができる。これによって、発光素子のみを用いた場合よりも消費電力を低減させることができる。
【0060】
また、本発明の発光装置としてのインジケーターは、図1に示したような電子ペーパーに加え、記憶性を有する表示装置を備える電子機器に広く適用可能である。
【0061】
なお、コレステリック液晶素子210が備えるガラス板215は必ずしもガラスである必要があるわけではなく、十分な光透過性を有する他の材料により構成されてもよい。
【0062】
また、LEDによって発生される光、及びコレステリック液晶素子によって反射される光の波長はそれぞれ任意に選択可能であり、上記実施形態に記載の例に限るものではない。
【0063】
また、上記実施形態では発光素子としてLEDを用いる例を説明しているが、例えば有機ELを用いるなど、他の自発光素子に置き換えることも可能である。
【0064】
また、上記実施形態では記憶性反射型表示装置の一例として電気泳動表示装置を挙げているが、これに限る趣旨ではなく、例えばエレクトロクロミックを用いた表示装置に置き換えることなども可能である。
【符号の説明】
【0065】
100……電子ペーパー、110……記憶性表示体、120……駆動電圧発生手段、121……電圧発生手段、122……上部電極駆動電圧発生部、123……下部電極駆動電圧発生部、130……システム制御手段、200……インジケーター、210……コレステリック液晶素子、211……コレステリック液晶層、212……上部電極、213……下部電極、214……封止材、215……ガラス板、220……LED、230……入射光、231……LEDからの発光
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の発光素子と、
所定の波長の光を選択的に反射する選択反射状態を保持可能なコレステリック液晶素子と、
前記第1の発光素子が発光状態のときに、前記コレステリック液晶素子を選択反射状態に保持するよう制御可能に構成された制御部と、を備える
発光装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1の発光素子が点滅状態のときに、前記コレステリック液晶素子を選択反射状態に保持するよう制御可能に構成された、
請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1の発光素子が消灯状態になる前に、前記コレステリック液晶素子を光透過状態にするよう制御可能に構成された、
請求項1または2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記第1の発光素子とは異なる波長の光を発光可能に構成された第2の発光素子をさらに備える、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の発光装置と、
記憶性を有する表示装置を備える、
電子機器。
【請求項1】
第1の発光素子と、
所定の波長の光を選択的に反射する選択反射状態を保持可能なコレステリック液晶素子と、
前記第1の発光素子が発光状態のときに、前記コレステリック液晶素子を選択反射状態に保持するよう制御可能に構成された制御部と、を備える
発光装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1の発光素子が点滅状態のときに、前記コレステリック液晶素子を選択反射状態に保持するよう制御可能に構成された、
請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1の発光素子が消灯状態になる前に、前記コレステリック液晶素子を光透過状態にするよう制御可能に構成された、
請求項1または2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記第1の発光素子とは異なる波長の光を発光可能に構成された第2の発光素子をさらに備える、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の発光装置と、
記憶性を有する表示装置を備える、
電子機器。
【図3】
【図12】
【図1】
【図2】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図13】
【図12】
【図1】
【図2】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図13】
【公開番号】特開2011−221155(P2011−221155A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−88324(P2010−88324)
【出願日】平成22年4月7日(2010.4.7)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月7日(2010.4.7)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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