発光装置
【課題】赤色発光蛍光体を用いることによる発光効率の低下を抑制し、高い演色性を維持しつつ発光効率の向上を実現することができる発光装置を提供する。
【解決手段】本発明の発光装置は、発光素子として青色発光タイプのLEDチップ2を有する。このLEDチップ2は、波長490〜510nmと530〜580nmにそれぞれ発光ピークを有する蛍光体(緑色蛍光体)と、610〜660nmに発光ピークを有する蛍光体(赤色蛍光体)の計2種類の蛍光体を、透明樹脂に混合・分散させた蛍光体含有樹脂層9により覆われている。そして、蛍光体の発光スペクトルにおける各波長のピーク強度は、波長490〜510nmのピーク強度をA、波長530〜580nmのピーク強度をB、波長610〜660nmのピーク強度をCとするとき、B/Aが0.8〜1.2であり、かつC/Aが0.5〜1.2であることが望ましい。
【解決手段】本発明の発光装置は、発光素子として青色発光タイプのLEDチップ2を有する。このLEDチップ2は、波長490〜510nmと530〜580nmにそれぞれ発光ピークを有する蛍光体(緑色蛍光体)と、610〜660nmに発光ピークを有する蛍光体(赤色蛍光体)の計2種類の蛍光体を、透明樹脂に混合・分散させた蛍光体含有樹脂層9により覆われている。そして、蛍光体の発光スペクトルにおける各波長のピーク強度は、波長490〜510nmのピーク強度をA、波長530〜580nmのピーク強度をB、波長610〜660nmのピーク強度をCとするとき、B/Aが0.8〜1.2であり、かつC/Aが0.5〜1.2であることが望ましい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオードランプなどの発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を用いたLEDランプは、液晶ディスプレイ、携帯電話、情報端末などのバックライト、屋内外広告など、多方面への展開が飛躍的に進んでいる。さらに、LEDランプは、長寿命で信頼性が高く、また低消費電力、耐衝撃性、高純度表示色、軽薄短小化の実現などの特徴を有することから、産業用途のみならず一般照明用途への適用も試みられている。このようなLEDランプを種々の用途に適用する場合、白色発光を得ることが重要となる。
【0003】
LEDランプで白色発光を実現する代表的な方式としては、(1)青、緑および赤の各色に発光する3つのLEDチップを使用する方式、(2)青色発光のLEDチップと黄色ないし橙色発光の蛍光体とを組合せる方式、(3)紫外線発光のLEDチップと青色、緑色および赤色発光の三色混合蛍光体とを組合せる方式、の3つが挙げられる。これらのうち、一般的には(2)の方式が広く実用化されている。
【0004】
そして、上記した(2)の方式を適用したLEDランプの構造としては、LEDチップを装備したカップ型のフレーム内に蛍光体を混合した透明樹脂を流し込み、これを固化させて蛍光体を含有する樹脂層を形成した構造が一般的である(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
近年、このようなLEDランプにおいて、演色性と呼ばれる色の見え方が重視されている。演色性は、自然光に近い照明を基準光にして光源による色の見え方を評価したものであり、JISに定められている試験色を、試料光源と基準光でそれぞれ照明したときの色ずれの大きさを数値化したものが演色評価数である。基準光で見たときを100とし、色ずれが大きくなるにしたがって数値が小さくなる。
【0006】
演色評価数には、平均演色評価数Raと特殊演色評価数Riがあり、平均演色評価数Raは、試験No.1〜8の演色評価数値の平均値として表される。これらの演色評価数は、その照明の基準光との色ずれの方向が好ましい方向にあるかどうかに関係なく数値化されているので、演色評価数が低くても好ましい色に見える場合がある。
【0007】
現在主流となっている白色LEDは、青色発光のLEDチップと黄色ないし橙色発光の蛍光体とを組合せる方式であり、この方式のLEDでは、赤み成分が不足しているため演色性が十分ではなかった。そのため、黄色ないし橙色発光の蛍光体に加えて、窒化物系や硫化物系などの赤色発光の蛍光体を配合することにより、演色性を向上させることが行われている。
【0008】
しかしながら、赤色蛍光体の添加により特殊演色評価数R9の値が増大し、それにしたがって平均演色評価数Raが増大するが、光源色が赤みを帯びるため、必ずしも色の見え方が好ましいわけではなかった。
【0009】
また、赤色蛍光体が窒化物系などの場合には、LEDチップからの波長460nmの青色発光だけでなく、黄色系蛍光体から発光される緑色光から黄色光間の光をも吸収して励起に使用するため、赤色発光の蛍光体を使用すると、LEDランプの発光効率が大幅に下がるという問題があった。
【特許文献1】特開2001−148516公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、赤色発光の蛍光体を用いることによる発光効率の低下をできるだけ抑制し、高い演色性を維持しつつ発光効率を向上させることが可能な発光装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1記載の発光装置は、青色光を放射する発光素子と;前記発光素子から放射された青色光により励起されて、波長490〜510nmと530〜580nmおよび610〜660nmにそれぞれピークを有する光を発光する蛍光体を含有する蛍光体層と;を具備することを特徴としている。
【0012】
請求項2記載の発光装置は、請求項1記載の発光装置において、前記蛍光体の発光スペクトルにおける波長490〜510nmの発光ピークの発光強度をA、波長530〜580nmの発光ピークの発光強度をB、波長610〜660nmの発光ピークの発光強度をCとするとき、BとAの比(B/A)が0.8〜1.2であり、かつCとAの比(C/A)が0.5〜1.2であることを特徴としている。
【0013】
請求項3記載の発光装置は、請求項1または2記載の発光装置において、前記蛍光体が、波長490〜510nmと波長530〜580nmにそれぞれ発光ピークを有する第1の蛍光体と、波長610〜660nmに発光ピークを有する第2の蛍光体をそれぞれ含有することを特徴としている。
【0014】
請求項4記載の発光装置は、請求項3記載の発光装置において、前記蛍光体が、波長530〜580nmに発光のピークを有する第3の蛍光体をさらに含有することを特徴としている。
【0015】
請求項5記載の発光装置は、青色光を放射する青色発光素子と;前記青色発光素子から放射された青色光により励起されて、波長490〜510nmと530〜580nmおよび610〜660nmにそれぞれ発光ピークを有するとともに、前記青色光との混色により、波長470〜490nmに発光強度の谷部を有し、かつ前記青色光の発光ピークの発光強度に対する前記谷部の発光強度の割合が0.7〜0.9である可視光を発する蛍光体を含有する蛍光体層と;を具備することを特徴としている。
【0016】
請求項6記載の発光装置は、請求項5記載の発光装置において、前記蛍光体の発光スペクトルにおける波長490〜510nmの発光ピークの発光強度をA、波長530〜580nmの発光ピークの発光強度をB、波長610〜660nmの発光ピークの発光強度をCとするとき、BとAの比(B/A)が0.8〜1.2であり、かつCとAの比(C/A)が0.5〜1.2であることを特徴としている。
【0017】
請求項7記載の発光装置は、請求項5または6記載の発光装置において、前記蛍光体が、波長490〜510nmと波長530〜580nmにそれぞれ発光ピークを有する第1の蛍光体と、波長610〜660nmに発光ピークを有する第2の蛍光体をそれぞれ含有することを特徴としている。
【0018】
請求項8記載の発光装置は、請求項7記載の発光装置において、前記蛍光体が、波長530〜580nmに発光のピークを有する第3の蛍光体をさらに含有することを特徴としている。
【0019】
請求項9記載の発光装置は、請求項7または8記載の発光装置において、前記蛍光体の波長490〜510nmの発光ピークの半値幅は125〜145nmであり、波長530〜580nmの発光ピークの半値幅は90〜110nmであり、波長610〜660nmの発光ピークの半値幅は80〜100nmであることを特徴としている。
【0020】
上記した請求項1ないし請求項9記載の発明において、用語の定義および技術的意味は、特に指定しない限り以下の通りである。
【0021】
青色光を放射する発光素子は、主波長が420〜480nm(例えば460nm)の青色光を放射し、放射した青色光により蛍光体を励起して可視光を発光させるものである。本発明で用いられる青色光を放射する発光素子としては、例えば、青色発光タイプのLEDチップなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0022】
蛍光体は、このような発光素子から放射された青色光により励起されて可視光を発光し、この可視光と発光素子から放射される青色光との混色によって、発光装置として所望の発光色を得るものである。
【0023】
本発明において蛍光体としては、波長490〜510nmの範囲と波長530〜580nmの範囲にそれぞれ発光強度のピーク(以下、発光ピークと示す。)を有する第1の蛍光体と、波長610〜660nmの範囲に発光ピークを有する第2の蛍光体との計2種類の蛍光体を混合して使用することができる。また、波長490〜510nmと波長530〜580nmにそれぞれ発光ピークを有する第1の蛍光体と、波長610〜660nmに発光ピークを有する第2の蛍光体とともに、波長530〜580nmに発光ピークを有する第3の蛍光体を含有させることができる。さらに、各波長範囲にそれぞれ1つの発光ピークを有する3種類の蛍光体を混合して使用してもよい。すなわち、主波長(ピーク波長)が490〜510nmの第1の蛍光体と、主波長が530〜580nmの第2の蛍光体、および主波長が610〜660nmの第3の蛍光体を混合した蛍光体を使用することができる。これら2種類または3種類の蛍光体の配合割合は、発光装置からの発光の平均演色評価数Raが高く、かつ高い発光効率が得られるように調整される。
【0024】
前記2種類または3種類の蛍光体を混合した蛍光体(蛍光体混合物)において、発光スペクトルにおける波長490〜510nmの範囲の発光ピークの強度(発光強度)をA、波長530〜580nmの範囲の発光ピークの強度をB、波長610〜660nmの範囲の発光ピークの強度をCとするとき、BとAの比(B/A)が0.8〜1.2であり、かつCとAの比(C/A)が0.5〜1.2であることが好ましい。
【0025】
本発明の蛍光体において、波長490〜510nmの発光ピークは125〜145nmの半値幅を有し、波長530〜580nmの発光ピークは90〜110nmの半値幅を有することが好ましい。同様に、波長610〜660nmの発光ピークは80〜100nmの半値幅を有することが好ましい。なお、蛍光体の発光ピークにおける半値幅は、発光ピークの強度の1/2の強度におけるスペクトルの広がり幅(波長)をいう。
【0026】
また本発明では、前記した2種類または3種類の蛍光体を使用することで、青色発光素子から放射された青色光との混色により、波長470〜490nmに発光強度の谷部を有し、この谷部の発光強度(Dとする。)の青色光の発光ピークの強度(Eとする。)に対する割合(D/E)が0.7〜0.9になるような光が発せられるように構成することができる。
【0027】
蛍光体を含む蛍光体層は、前記2種類または3種類の蛍光体を、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂のような透明樹脂に加えて混合・分散させた層として形成される。発光素子の外側を覆うように形成することができるが、発光素子を直接覆うようにして透明樹脂層を形成し、その上に前記した2種類または3種類の蛍光体を含む層を設けることも可能である。
【発明の効果】
【0028】
請求項1および3記載の発光装置によれば、蛍光体からの発光スペクトルが、波長530〜580nmの範囲の発光ピークと波長610〜660nmの範囲の発光ピークとともに、波長490〜510nmの範囲にも発光ピークを有しているので、高演色性の発光を得ることができる。また、主波長が610〜660nmの赤色蛍光体の配合量を低減しても高い演色性を得ることができ、かつ赤色蛍光体の減量により発光効率の向上を達成することができる。
【0029】
請求項2記載の発光装置によれば、蛍光体の発光スペクトルにおける各波長範囲の発光ピークの強度を調整することにより、演色性の向上を実現しながら、赤色蛍光体の配合によるデメリットである発光効率の低下をできるだけ抑制することができ、高演色性と高い発光効率を得ることができる。
【0030】
請求項4記載の発光装置によれば、演色性が高く発光効率がより高い発光を得ることができる。
【0031】
請求項5記載の発光装置によれば、青色発光素子から放射された青色光と、この青色光により励起されて蛍光体から発せられた可視光との混色により発せられる光が、波長470〜490nmの範囲に発光強度の谷部を有し、この谷部における発光強度(D)の前記青色光の発光ピークの発光強度(E)に対する割合が0.7〜0.9となるスペクトルを有しているので、平均演色評価数Raの低下を抑制しつつエネルギー効率の向上を図り、高演色性で発光効率の高い発光を得ることができる。すなわち、前記割合が0.7未満になると、平均演色評価数Raが低下しはじめ、割合が0.9を超える場合においては、波長470〜490nmの光は視感度が低いため、この波長域の発光強度が高くても視覚的効果が小さいので、エネルギー効率が低下して発光効率を高めることができない。
【0032】
請求項6ないし8記載の発光装置によれば、さらに平均演色評価数Raを向上させるとともに、エネルギー効率の向上を図り、発光効率を高めることができる。
【0033】
請求項9記載の発光装置によれば、高い発光効率を維持しつつ高い演色性を実現することができる。
【0034】
したがって、本発明によれば、従来に比べて発光効率を向上させつつ、平均演色評価数Raを向上させることが可能な発光装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の発光装置をLEDランプに適用した実施形態の構成を示す断面図、図2は、図1に示すLEDランプの複数個を、例えば一平面上に3行3列のマトリックス状に配置したLEDモジュールの一例を示す平面図、図3は、図2のA−A´線断面図である。
【0036】
図1に示すLEDランプ1は、発光素子として、青色発光タイプのLEDチップ2を有している。このLEDチップ2は、回路パターン3を有する基板4上に搭載されている。基板4としては、放熱性と剛性を有するアルミニウム(Al)やニッケル(Ni)、ガラスエポキシ樹脂などから成る平板が用いられ、この基板4上に電気絶縁層5を介して陰極側と陽極側の回路パターン3がそれぞれ形成されている。回路パターン3は、CuとNiの合金やAuなどから構成されている。
【0037】
そして、LEDチップ2の底面電極が一方の電極側の回路パターン3の上に配置されて電気的に接続され、上面電極が他方の電極側の回路パターン3に、金線のようなボンディングワイヤ6を介して電気的に接続されている。LEDチップ2の電極接続構造としては、フリップチップ接続構造を適用することもできる。これらの電極接続構造によれば、LEDチップ2の前面への光取出し効率が向上する。
【0038】
基板4上には、凹部7を有する樹脂製などのフレーム8が設けられている。凹部7を有するフレーム8は、例えばPBT(ポリブチレンテレフタレート)、PPA(ポリフタルアミド)、PC(ポリカーボネート)などの合成樹脂から構成され、凹部7内にLEDチップ2が配置され、収容されている。そして、LEDチップ2が収容された凹部7内には、波長490〜510nmの範囲と波長530〜580nmの範囲にそれぞれ発光ピークを有する第1の蛍光体(緑色蛍光体)と、波長610〜660nmの範囲に発光ピークを有する第2の蛍光体(赤色蛍光体)との計2種類の蛍光体を、透明樹脂に混合し分散させた蛍光体含有樹脂が塗布・充填されており、LEDチップ2はこのような蛍光体含有樹脂層9により覆われている。透明樹脂としては、例えばシリコーン樹脂やエポキシ樹脂などが用いられる。
【0039】
蛍光体として、前記した第1の蛍光体である緑色蛍光体と第2の蛍光体である赤色蛍光体とともに、波長530〜580nmの範囲に発光ピークを有する黄色蛍光体(第3の蛍光体)を使用し、これら計3種類の蛍光体を混合して使用することもできる。
【0040】
緑色蛍光体は、例えばRE3(Al,Ga)5O12:Ce蛍光体(REは、Y、GdおよびLaから選ばれる少なくとも1種を示す。)などのYAG蛍光体、AE2SiO4:Eu蛍光体(AEは、Sr、Ba、Caなどのアルカリ土類元素を示す。)やCa3Sc2Si3O12:Ce蛍光体などのケイ酸塩蛍光体、サイアロン系蛍光体(例えば、CaxSiyAlzON:Eu2+)、およびCa3Sc2O4:Ce蛍光体などの中から選択される。
【0041】
赤色蛍光体としては、La2O2S:Eu蛍光体のような酸硫化物蛍光体、窒化物系蛍光体(例えば、AE2Si5N8:Eu2+やCaAlSiN3:Eu2+)などが用いられるが、特に限定されるものではない。
【0042】
黄色蛍光体は、例えばRE3(Al,Ga)5O12:Ce蛍光体(REは、Y、GdおよびLaから選ばれる少なくとも1種を示す。)などのYAG蛍光体、(Tb,Al)5O12:Ce蛍光体などのTAG蛍光体、サイアロン系蛍光体(例えば、CaxSiyAlzON:Eu2+)、AE2SiO4:Eu蛍光体(AEは、Sr、Ba、Caなどのアルカリ土類元素を示す。)やSr3SiO5:Eu2+蛍光体などのケイ酸塩蛍光体などの中から選択される。
【0043】
そして、これら2種類または3種類の蛍光体から成る蛍光体の混合物は、以下に示す発光スペクトルを有している。すなわち、発光スペクトルの波長490〜510nmの範囲における発光ピークの強度をA、波長530〜580nmの範囲における発光ピークの強度をB、波長610〜660nmの範囲における発光ピークの強度をCとするとき、BとAの比(B/A)が0.8〜1.2であり、かつCとAの比(C/A)が0.5〜1.2となっている
【0044】
BとAの比(B/A)が1.2を超えるか、あるいはCとAの比(C/A)が1.2を超えると、平均演色評価数Raが向上し高演色性は得られるが、発光効率が低くなり好ましくない。反対に、BとAの比(B/A)が0.8未満であるか、あるいはCとAの比(C/A)が0.5未満である場合には、発光の色温度の調整に対応しにくい。
【0045】
また、これら蛍光体の発光ピークの好ましい半値幅は、波長490〜510nmの発光ピークについては125〜145nm、波長530〜580nmの発光ピークについては90〜110nm、波長610〜660nmの発光ピークについては80〜100nmとすることが好ましい。半値幅が前記範囲を外れるブロードな発光ピーク、あるいはシャープすぎる発光ピークを有する蛍光体を使用した場合には、効率が高くかつ高演色性の発光を得ることが難しい。すなわち、いずれの波長範囲の発光ピークにおいても、半値幅が下限値未満のシャープすぎる発光ピークの場合には、平均演色評価数Raが低くなりすぎる。また、波長530〜580nmの発光ピークにおいて、半値幅が110nmを超えるブロードな発光ピークとした場合には、発光効率が低くなり好ましくない。波長490〜510nmの発光ピークおよび波長610〜660nmの発光ピークにおいて、半値幅が上限値を超えるブロードな発光ピークの場合には、これらの発光は視感度が比較的低いので発光効率の低下はそれほど大きくはないが、演色性向上の効果が十分に上がらない。
【0046】
実施形態のLEDランプ1では、印加された電気エネルギーがLEDチップ2で主波長が420〜480nm(例えば460nm)の青色光に変換されて放射され、放射された青色光は、蛍光体含有樹脂層9中に含有された緑色蛍光体と赤色蛍光体の計2種類、あるいは緑色蛍光体と黄色蛍光体と赤色蛍光体の計3種類からなる蛍光体で、より長波長の光に変換される。そして、LEDチップ2から放射される青色光とこれらの蛍光体の発光色とに基づく色である白色光がLEDランプ1から放出される。
【0047】
そして、実施形態のLEDランプ1においては、従来のLEDランプ1の発光スペクトルには存在しなかった、主波長が490〜510nmの発光が加えられているので、十分に高い平均演色評価数Raの値を確保することができるうえに、好ましい演色性を有している。また、所望の色温度を得るために必要な主波長が610〜660nmの蛍光体(赤色蛍光体)の配合割合を、従来に比べて低減することができるので、発光効率を向上させることができる。すなわち、赤色蛍光体の配合割合を低減することにより、十分に高い演色性を維持しながら、赤色蛍光体の配合によるデメリットである発光効率の低下を抑制することができ、高演色性と高い発光効率を同時に実現することができる。
【0048】
また、青色発光素子から放射された青色光と、蛍光体からの発光との混色により発せられる光が、波長470〜490nmの範囲に発光強度の谷部を有しており、かつこの谷部における発光強度(D)が波長490〜510nmの範囲の発光ピークの発光強度(A)に対して、0.7〜0.95の割合となるようなスペクトルを有している。このように、視感度が低い波長範囲(470〜490nm)に発光強度の谷部が形成され、より視感度が高い波長範囲(例えば490〜510nm)への光変換がなされた発光スペクトルを有しているので、発光効率が向上している。なお、青色光の発光ピークの発光強度(E)に対する発光谷部の発光強度(D)の割合(D/E)が0.7未満では、平均演色評価数Raの大幅な低下が生じるため好ましくない。そして、谷部の波長範囲(470〜490nm)の光は視感度が低く、発光強度が高くても視覚的効果が小さいので、D/Eが0.9を超えた場合には発光効率の向上が得られず、エネルギー効率の点で好ましくない。
【0049】
なお、上記実施形態では、LEDランプ1をマトリックス状に複数個配置したLEDジュール21について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば複数個のLEDランプ1を1列状に配置して形成してもよく、さらにLEDランプ1は単数でもよい。
【0050】
図4および図5は、本発明の第2の実施形態に係わるLEDパッケージを形成する発光装置を示している。図4は、この発光装置の平面図であり、図5は、図4に示す発光装置をF−F線に沿って切断した縦断面図である。なお、図4および図5おいて、第1の実施形態に関する図面と同様の構成要素については同じ参照数字を用いて、その説明を簡略化または省略する。
【0051】
図4および図5に示す発光装置(LEDランプ)1は、パッケージ基板例えば装置基板4と、反射層31と、回路パターン3と、複数好ましくは多数の半導体発光素子(例えば青色LEDチップ)2と、接着層32と、リフレクタ34と、蛍光体含有樹脂層9と、光拡散部材33とを備えて形成されている。蛍光体含有樹脂層9は封止部材としても機能する。
【0052】
装置基板4は、金属または絶縁材、例えば合成樹脂製の平板からなり、発光装置1に必要とされる発光面積を得るために、所定形状例えば長方形状をなしている。装置基板4を合成樹脂製とする場合、例えば、ガラス粉末入りのエポキシ樹脂等で形成することができる。装置基板4を金属製とする場合は、この装置基板4の裏面からの放熱性が向上し、装置基板4の各部温度を均一にすることができ、同じ波長域の光を発する半導体発光素子2の発光色のばらつきを抑制することができる。なお、このような作用効果を奏する金属材料としては、10W/m・K以上の熱伝導性に優れた材料、具体的にはアルミニウムまたはその合金を例示することができる。
【0053】
反射層31は、所定数の半導体発光素子2を配設し得る大きさであって、例えば、装置基板4の表面全体に被着されている。反射層31は、400〜740nmの波長領域で85%以上の反射率を有する白色の絶縁材料により構成することができる。このような白色絶縁材料としては、接着シートからなるプリプレグ(pre-preg)を使用することができる。このようなプリプレグは、例えば、酸化アルミニウム等の白色粉末が混入された熱硬化性樹脂をシート基材に含浸させて形成することができる。反射層31はそれ自体の接着性により、装置基板4の表面となる一面に接着される。
【0054】
回路パターン3は、各半導体発光素子2への通電要素として、反射層31の装置基板4が接着された面とは反対側の面に接着されている。この回路パターン3は、例えば各半導体発光素子2を直列に接続するために、装置基板4および反射層31の長手方向に所定間隔ごとに点在して2列に形成されている。一方の回路パターン3の列の一端側に位置する端側回路パターン3aには、給電パターン部3cが一体に連続して形成され、同様に他方の回路パターン3の列の一端側に位置する端側回路パターン3aには、給電パターン部3dが一体に連続して形成されている。
【0055】
給電パターン部3c,3dは反射層31の長手方向一端部に並べて設けられ、互いに離間して反射層31により絶縁されている。これらの給電パターン部3c,3dのそれぞれに、電源に至る図示しない電線が個別に半田付け等で接続されるようになっている。
【0056】
回路パターン3は以下に説明する手順で形成される。まず、未硬化の前記熱硬化性樹脂が含浸されたプリプレグからなる反射層31を装置基板4上に貼付けた後、反射層31上にこれと同じ大きさの銅箔を貼付ける。次に、こうして得た積層体を加熱するとともに加圧して、熱硬化性樹脂を硬化させることによって、装置基板4と銅箔を反射層31に圧着し接着を完了させる。次いで、銅箔上にレジスト層を設けて、銅箔をエッチング処理した後に、残ったレジスト層を除去することによって、回路パターン3を形成する。銅箔からなる回路パターン3の厚みは例えば35μmである。
【0057】
図5に示すように、半導体発光素子2は、例えば窒化物半導体を用いてなるダブルワイヤー型のLEDチップからなり、透光性を有する素子基板2b一面に半導体発光層2aを積層して形成されている。素子基板2bは、例えばサファイア基板で作られている。この素子基板2bの厚みは、回路パターン3より厚く、例えば90μmとする。
【0058】
半導体発光層2aは、素子基板2bの主面上に、バッファ層、n型半導体層、発光層、p型クラッド層、p型半導体層を順次積層して形成されている。発光層は、バリア層とウェル層を交互に積層した量子井戸構造をなしている。n型半導体層にはn側電極が設けられ、p型半導体層上にはp側電極が設けられている。この半導体発光層2aは、反射膜を有しておらず、厚み方向の双方に光を放射できる。
【0059】
各半導体発光素子2は、装置基板4の長手方向に隣接した回路パターン3間にそれぞれ配置され、白色の反射層31の同一面上に接着層32により接着されている。具体的には、半導体発光層2aが積層された素子基板2bの一面と平行な他面が、接着層32により反射層31に接着されている。この接着により、回路パターン3および半導体発光素子2は反射層31の同一面上で直線状に並べられるので、この並び方向に位置した半導体発光素子2の側面と回路パターン3とは、近接して対向するように設けられている。
【0060】
接着層32の厚みは、例えば5μm以下とすることができる。接着層32には、例えば5μm以下の厚みで光透過率が70%以上の透光性を有した接着剤、例えばシリコーン樹脂系の接着剤を好適に使用できる。
【0061】
図4および図5に示すように、各半導体発光素子2の電極と半導体発光素子2の両側に近接配置された回路パターン3とは、ボンディングワイヤ6で接続されている。さらに、前記2列の回路パターン3列の他端側に位置された端側回路パターン3b同士も、ボンディングワイヤ6で接続されている。したがって、この実施形態の場合、各半導体発光素子2は直列に接続されている。
【0062】
以上の装置基板4、反射層31、回路パターン3、各半導体発光素子2、接着層32、およびボンディングワイヤ6により、発光装置1の面発光源が形成されている。
【0063】
リフレクタ34は、一個一個または数個の半導体発光素子2ごとに個別に設けられるものではなく、反射層31上の全ての半導体発光素子2を包囲する単一のものであり、例えば長方形の枠で形成されており、半導体発光素子2は前記枠で形成された凹部7内に配置されている。リフレクタ34は反射層31に接着止めされていて、その内部に複数の半導体発光素子2および回路パターン3が収められているとともに、前記一対の給電パターン部3c、3dはリフレクタ34の外部に位置されている。
【0064】
リフレクタ34は、例えば合成樹脂で成形することができ、その内周面は反射面となっている。リフレクタ34の反射面は、AlやNi等の反射率の高い金属材料を蒸着またはメッキして形成することができる他、可視光の反射率の高い白色塗料を塗布して形成することができる。あるいは、リフレクタ34の成形材料中に白色粉末を混入して、リフレクタ34自体を可視光の反射率が高い白色にすることもできる。前記白色粉末としては、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、硫酸バリウム等の白色フイラーを用いることができる。なお、リフレクタ34の反射面は、発光装置1の照射方向に次第に開くように形成することが望ましい。
【0065】
蛍光体含有樹脂層9は、前記第1の実施形態と同様に、2種類あるいは3種類の蛍光体を混合した液状の熱硬化性樹脂をディスペンサ等の注入装置を用いて、反射層31表面および一直線上に配列された各半導体発光素子2およびボンディングワイヤ6等を満遍なく埋めるようにして充填し、加熱により熱硬化性樹脂を硬化させることにより形成されている。
【0066】
反射層31表面とボンディングワイヤ6との間に流れ込んだ液状の透明樹脂は、毛細管現象等により各半導体発光素子2およびボンディングワイヤ6に行きわたり、その膜厚等がほぼ均一になっており、蛍光体も透明樹脂にほぼ均一に分散している。
【0067】
このように構成される第2の実施形態においても、十分に高い平均演色評価数Raの値を確保することができるうえに、好ましい演色性を有している。また、エネルギー効率の向上を図ることができ、高い発光効率を得ることができる。
【実施例】
【0068】
次に、本発明の実施例およびその評価結果について記載する。
【0069】
実施例1,2、比較例
波長500nmと波長550nmにそれぞれ発光ピークを有する緑色蛍光体(YAG蛍光体)と、波長650nmに発光ピークを有する赤色蛍光体とを、それぞれシリコーン樹脂中に表1に示す配合比(シリコーン樹脂に対する配合割合;重量%)で混合し、分散させた。実施例2では、主波長が650nmの赤色蛍光体の配合比を、実施例1に比べて減少させた。また、比較例においては、波長540nmに発光ピークを有する黄色蛍光体(YAG蛍光体)を使用し、この蛍光体と主波長が650nmの赤色蛍光体とを、表1に示す配合比でシリコーン樹脂中に混合して、分散させた。
【0070】
次に、こうして得られた蛍光体含有シリコーン樹脂を、開口径3mmの凹部8内に充填した後、シリコーン樹脂を硬化させて蛍光体含有樹脂層9を形成し、図1に示す構成を有するLEDランプ1を作製した。なお、蛍光体含有樹脂層9の光路長は0.45mmとした。光路長は、LEDチップの上面より光取り出し側の蛍光体含有樹脂層の厚さをいう
【0071】
こうして実施例1,2および比較例で得られたLEDランプを発光させ、発光の色温度と平均演色評価数Raおよび発光効率をそれぞれ測定した。これらの測定結果を表1に示す。なお、発光効率は、比較例のLEDランプの発光効率100%としたときの相対値である。
【0072】
また、これらのLEDランプの発光スペクトルを分光光度計(大塚電子製の瞬間分光度計MCPD−7000)を用いて測定した。そして、波長500nmの発光ピークの強度A、波長550nmの発光ピークの強度B、波長650nmの発光ピークの強度Cをそれぞれ測定し、BとAの比(B/A)およびCとAの比(C/A)をそれぞれ求めた。これらの結果を表1に示す。さらに、実施例2および比較例で得られたLEDランプの発光スペクトルを、図6に示す。
【0073】
【表1】
【0074】
表1から明らかなように、実施例1および実施例2で得られたLEDランプは、波長550nmの発光ピークと波長650nmの発光ピークとともに、波長500nm付近にも発光ピークを有する蛍光体を含有しているので、高演色性の発光が得られ、平均演色評価数Raを向上させることができる。
【0075】
特に、実施例2で得られたLEDランプは、図6の発光スペクトルからわかるように、視感度の低い波長470〜490nmの範囲(480nm)に発光強度の谷部を有し、この谷部(波長480nm)における発光強度(D)の青色光の発光ピーク(波長460nm)の発光強度(E)に対する割合が、0.85となっている。そして、実施例2のLEDランプは、実施例1および比較例のLEDランプと同様の色温度を有するにも関わらず、平均演色評価数Raが92と、比較例のLEDランプより高い演色性を有する。また、発光効率が実施例1のものよりも30%向上しており、極めて高い発光効率を有している。それに対して、比較例のLEDランプの発光スペクトルは、波長470〜490nmの範囲(480nm)に発光強度の谷部を有しておらず、平均演色評価数Raと発光効率がともに実施例2より低くなっている。
【0076】
実施例3〜12
実施例3〜6においては、波長500nmと波長550nmにそれぞれ発光ピークを有する緑色蛍光体(YAG蛍光体)と波長650nmに発光ピークを有する赤色蛍光体との2種類の蛍光体を使用した。また、実施例7〜12においては、前記緑色蛍光体(YAG蛍光体)および赤色蛍光体に、波長565nmに発光ピークを有する黄色蛍光体(YAG蛍光体)を加え、計3種類の蛍光体を使用した。そして、これらの蛍光体をそれぞれシリコーン樹脂中に、表2に示す配合比(シリコーン樹脂に対する配合割合;重量%)で混合し、分散させた。
【0077】
次に、こうして得られた蛍光体含有シリコーン樹脂を、実施例1,2と同様に、開口径3mmの凹部8内に充填した後、シリコーン樹脂を硬化させて蛍光体含有樹脂層9を形成し、図1に示す構成を有するLEDランプ1を作製した。なお、実施例3〜12においては、実施例1,2に比べて樹脂に対する蛍光体の配合比を小さくしたので、同程度の色を実現するために、蛍光体含有樹脂層9の光路長を0.9mmと長くした。発光色および発光強度を同等にするには、光路長と蛍光体の配合比との積を等しくする必要がある。
【0078】
こうして実施例3〜12で得られたLEDランプを発光させ、発光の色温度と平均演色評価数Raおよび発光効率をそれぞれ測定した。これらの測定結果を表2に示す。なお、発光効率は、実施例7のLEDランプの発光効率100%としたときの相対値である。
【0079】
また、発光スペクトルを分光光度計(大塚電子製の瞬間分光度計MCPD−7000)を用いて測定した。これらのスペクトルのうち、実施例4で得られたLEDランプの発光スペクトルを図7に、実施例6で得られたLEDランプの発光スペクトルを図8に、実施例8で得られたLEDランプの発光スペクトルを図9に、実施例9で得られたLEDランプの発光スペクトルを図10に、実施例11で得られたLEDランプの発光スペクトルを図11に、実施例12で得られたLEDランプの発光スペクトルを図12にそれぞれ示す。
【0080】
さらに、これらのLEDランプの発光スペクトルから、波長470〜490nmの範囲(例えば480nm)の谷部の発光強度(D)の波長460nmの発光強度(E)に対する割合(谷部強度比D/E)を求めた。これらの結果も表2に示す。
【0081】
【表2】
【0082】
表2の測定結果、ならびに図7〜12の発光スペクトルから、以下のことがわかる。すなわち、実施例3〜12で得られたLEDランプは、波長550nm付近と波長650nm付近にそれぞれ発光ピークを有するとともに、波長500nm付近にも発光ピークを有しており、平均演色評価数Raが高く、かつ十分に高い発光効率を有している。
【0083】
また、実施例4,6,8.9,11,12および実施例2で得られたLEDランプの発光スペクトルからわかるように、谷部強度比(D/E)が0.7〜0.9の場合に、特に色温度3000〜4000Kにおいて、平均演色評価数Raが90以上と高く、LEDランプとして好適である。また、緑色蛍光体と赤色蛍光体の2種類の蛍光体を使用した実施例3〜6のLEDランプでは、発光効率はそれほど高いものではないが、平均演色評価数Raが90〜95と極めて高い演色性を有する発光が得られる。これに対して、緑色蛍光体と赤色蛍光体および黄色蛍光体の計3種類の蛍光体を使用した実施例7〜12のLEDランプでは、平均演色評価数Raは80程度であっても、極めて高い発光効率を有する発光が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の発光装置をLEDランプに適用した第1の実施形態の構成を示す断面図である。
【図2】図1に示すLEDランプを複数配置したLEDモジュールの一例を示す平面図である。
【図3】図2のA―A´線断面図である。
【図4】本発明の発光装置の第2の実施形態に係わる発光装置の平面図である。
【図5】図4のF−F線断面図である。
【図6】本発明の実施例2および比較例で得られたLEDランプの発光スペクトルを示すグラフである。
【図7】本発明の実施例4で得られたLEDランプの発光スペクトルを示すグラフである。
【図8】本発明の実施例6で得られたLEDランプの発光スペクトルを示すグラフである。
【図9】本発明の実施例8で得られたLEDランプの発光スペクトルを示すグラフである。
【図10】本発明の実施例9で得られたLEDランプの発光スペクトルを示すグラフである。
【図11】本発明の実施例11で得られたLEDランプの発光スペクトルを示すグラフである。
【図12】本発明の実施例12で得られたLEDランプの発光スペクトルを示すグラフである。
【符号の説明】
【0085】
1…LEDランプ、2…LEDチップ、3…回路パターン、4…基板、6…ボンディングワイヤ、7…凹部、8…フレーム、9…蛍光体含有樹脂層。
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオードランプなどの発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を用いたLEDランプは、液晶ディスプレイ、携帯電話、情報端末などのバックライト、屋内外広告など、多方面への展開が飛躍的に進んでいる。さらに、LEDランプは、長寿命で信頼性が高く、また低消費電力、耐衝撃性、高純度表示色、軽薄短小化の実現などの特徴を有することから、産業用途のみならず一般照明用途への適用も試みられている。このようなLEDランプを種々の用途に適用する場合、白色発光を得ることが重要となる。
【0003】
LEDランプで白色発光を実現する代表的な方式としては、(1)青、緑および赤の各色に発光する3つのLEDチップを使用する方式、(2)青色発光のLEDチップと黄色ないし橙色発光の蛍光体とを組合せる方式、(3)紫外線発光のLEDチップと青色、緑色および赤色発光の三色混合蛍光体とを組合せる方式、の3つが挙げられる。これらのうち、一般的には(2)の方式が広く実用化されている。
【0004】
そして、上記した(2)の方式を適用したLEDランプの構造としては、LEDチップを装備したカップ型のフレーム内に蛍光体を混合した透明樹脂を流し込み、これを固化させて蛍光体を含有する樹脂層を形成した構造が一般的である(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
近年、このようなLEDランプにおいて、演色性と呼ばれる色の見え方が重視されている。演色性は、自然光に近い照明を基準光にして光源による色の見え方を評価したものであり、JISに定められている試験色を、試料光源と基準光でそれぞれ照明したときの色ずれの大きさを数値化したものが演色評価数である。基準光で見たときを100とし、色ずれが大きくなるにしたがって数値が小さくなる。
【0006】
演色評価数には、平均演色評価数Raと特殊演色評価数Riがあり、平均演色評価数Raは、試験No.1〜8の演色評価数値の平均値として表される。これらの演色評価数は、その照明の基準光との色ずれの方向が好ましい方向にあるかどうかに関係なく数値化されているので、演色評価数が低くても好ましい色に見える場合がある。
【0007】
現在主流となっている白色LEDは、青色発光のLEDチップと黄色ないし橙色発光の蛍光体とを組合せる方式であり、この方式のLEDでは、赤み成分が不足しているため演色性が十分ではなかった。そのため、黄色ないし橙色発光の蛍光体に加えて、窒化物系や硫化物系などの赤色発光の蛍光体を配合することにより、演色性を向上させることが行われている。
【0008】
しかしながら、赤色蛍光体の添加により特殊演色評価数R9の値が増大し、それにしたがって平均演色評価数Raが増大するが、光源色が赤みを帯びるため、必ずしも色の見え方が好ましいわけではなかった。
【0009】
また、赤色蛍光体が窒化物系などの場合には、LEDチップからの波長460nmの青色発光だけでなく、黄色系蛍光体から発光される緑色光から黄色光間の光をも吸収して励起に使用するため、赤色発光の蛍光体を使用すると、LEDランプの発光効率が大幅に下がるという問題があった。
【特許文献1】特開2001−148516公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、赤色発光の蛍光体を用いることによる発光効率の低下をできるだけ抑制し、高い演色性を維持しつつ発光効率を向上させることが可能な発光装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1記載の発光装置は、青色光を放射する発光素子と;前記発光素子から放射された青色光により励起されて、波長490〜510nmと530〜580nmおよび610〜660nmにそれぞれピークを有する光を発光する蛍光体を含有する蛍光体層と;を具備することを特徴としている。
【0012】
請求項2記載の発光装置は、請求項1記載の発光装置において、前記蛍光体の発光スペクトルにおける波長490〜510nmの発光ピークの発光強度をA、波長530〜580nmの発光ピークの発光強度をB、波長610〜660nmの発光ピークの発光強度をCとするとき、BとAの比(B/A)が0.8〜1.2であり、かつCとAの比(C/A)が0.5〜1.2であることを特徴としている。
【0013】
請求項3記載の発光装置は、請求項1または2記載の発光装置において、前記蛍光体が、波長490〜510nmと波長530〜580nmにそれぞれ発光ピークを有する第1の蛍光体と、波長610〜660nmに発光ピークを有する第2の蛍光体をそれぞれ含有することを特徴としている。
【0014】
請求項4記載の発光装置は、請求項3記載の発光装置において、前記蛍光体が、波長530〜580nmに発光のピークを有する第3の蛍光体をさらに含有することを特徴としている。
【0015】
請求項5記載の発光装置は、青色光を放射する青色発光素子と;前記青色発光素子から放射された青色光により励起されて、波長490〜510nmと530〜580nmおよび610〜660nmにそれぞれ発光ピークを有するとともに、前記青色光との混色により、波長470〜490nmに発光強度の谷部を有し、かつ前記青色光の発光ピークの発光強度に対する前記谷部の発光強度の割合が0.7〜0.9である可視光を発する蛍光体を含有する蛍光体層と;を具備することを特徴としている。
【0016】
請求項6記載の発光装置は、請求項5記載の発光装置において、前記蛍光体の発光スペクトルにおける波長490〜510nmの発光ピークの発光強度をA、波長530〜580nmの発光ピークの発光強度をB、波長610〜660nmの発光ピークの発光強度をCとするとき、BとAの比(B/A)が0.8〜1.2であり、かつCとAの比(C/A)が0.5〜1.2であることを特徴としている。
【0017】
請求項7記載の発光装置は、請求項5または6記載の発光装置において、前記蛍光体が、波長490〜510nmと波長530〜580nmにそれぞれ発光ピークを有する第1の蛍光体と、波長610〜660nmに発光ピークを有する第2の蛍光体をそれぞれ含有することを特徴としている。
【0018】
請求項8記載の発光装置は、請求項7記載の発光装置において、前記蛍光体が、波長530〜580nmに発光のピークを有する第3の蛍光体をさらに含有することを特徴としている。
【0019】
請求項9記載の発光装置は、請求項7または8記載の発光装置において、前記蛍光体の波長490〜510nmの発光ピークの半値幅は125〜145nmであり、波長530〜580nmの発光ピークの半値幅は90〜110nmであり、波長610〜660nmの発光ピークの半値幅は80〜100nmであることを特徴としている。
【0020】
上記した請求項1ないし請求項9記載の発明において、用語の定義および技術的意味は、特に指定しない限り以下の通りである。
【0021】
青色光を放射する発光素子は、主波長が420〜480nm(例えば460nm)の青色光を放射し、放射した青色光により蛍光体を励起して可視光を発光させるものである。本発明で用いられる青色光を放射する発光素子としては、例えば、青色発光タイプのLEDチップなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0022】
蛍光体は、このような発光素子から放射された青色光により励起されて可視光を発光し、この可視光と発光素子から放射される青色光との混色によって、発光装置として所望の発光色を得るものである。
【0023】
本発明において蛍光体としては、波長490〜510nmの範囲と波長530〜580nmの範囲にそれぞれ発光強度のピーク(以下、発光ピークと示す。)を有する第1の蛍光体と、波長610〜660nmの範囲に発光ピークを有する第2の蛍光体との計2種類の蛍光体を混合して使用することができる。また、波長490〜510nmと波長530〜580nmにそれぞれ発光ピークを有する第1の蛍光体と、波長610〜660nmに発光ピークを有する第2の蛍光体とともに、波長530〜580nmに発光ピークを有する第3の蛍光体を含有させることができる。さらに、各波長範囲にそれぞれ1つの発光ピークを有する3種類の蛍光体を混合して使用してもよい。すなわち、主波長(ピーク波長)が490〜510nmの第1の蛍光体と、主波長が530〜580nmの第2の蛍光体、および主波長が610〜660nmの第3の蛍光体を混合した蛍光体を使用することができる。これら2種類または3種類の蛍光体の配合割合は、発光装置からの発光の平均演色評価数Raが高く、かつ高い発光効率が得られるように調整される。
【0024】
前記2種類または3種類の蛍光体を混合した蛍光体(蛍光体混合物)において、発光スペクトルにおける波長490〜510nmの範囲の発光ピークの強度(発光強度)をA、波長530〜580nmの範囲の発光ピークの強度をB、波長610〜660nmの範囲の発光ピークの強度をCとするとき、BとAの比(B/A)が0.8〜1.2であり、かつCとAの比(C/A)が0.5〜1.2であることが好ましい。
【0025】
本発明の蛍光体において、波長490〜510nmの発光ピークは125〜145nmの半値幅を有し、波長530〜580nmの発光ピークは90〜110nmの半値幅を有することが好ましい。同様に、波長610〜660nmの発光ピークは80〜100nmの半値幅を有することが好ましい。なお、蛍光体の発光ピークにおける半値幅は、発光ピークの強度の1/2の強度におけるスペクトルの広がり幅(波長)をいう。
【0026】
また本発明では、前記した2種類または3種類の蛍光体を使用することで、青色発光素子から放射された青色光との混色により、波長470〜490nmに発光強度の谷部を有し、この谷部の発光強度(Dとする。)の青色光の発光ピークの強度(Eとする。)に対する割合(D/E)が0.7〜0.9になるような光が発せられるように構成することができる。
【0027】
蛍光体を含む蛍光体層は、前記2種類または3種類の蛍光体を、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂のような透明樹脂に加えて混合・分散させた層として形成される。発光素子の外側を覆うように形成することができるが、発光素子を直接覆うようにして透明樹脂層を形成し、その上に前記した2種類または3種類の蛍光体を含む層を設けることも可能である。
【発明の効果】
【0028】
請求項1および3記載の発光装置によれば、蛍光体からの発光スペクトルが、波長530〜580nmの範囲の発光ピークと波長610〜660nmの範囲の発光ピークとともに、波長490〜510nmの範囲にも発光ピークを有しているので、高演色性の発光を得ることができる。また、主波長が610〜660nmの赤色蛍光体の配合量を低減しても高い演色性を得ることができ、かつ赤色蛍光体の減量により発光効率の向上を達成することができる。
【0029】
請求項2記載の発光装置によれば、蛍光体の発光スペクトルにおける各波長範囲の発光ピークの強度を調整することにより、演色性の向上を実現しながら、赤色蛍光体の配合によるデメリットである発光効率の低下をできるだけ抑制することができ、高演色性と高い発光効率を得ることができる。
【0030】
請求項4記載の発光装置によれば、演色性が高く発光効率がより高い発光を得ることができる。
【0031】
請求項5記載の発光装置によれば、青色発光素子から放射された青色光と、この青色光により励起されて蛍光体から発せられた可視光との混色により発せられる光が、波長470〜490nmの範囲に発光強度の谷部を有し、この谷部における発光強度(D)の前記青色光の発光ピークの発光強度(E)に対する割合が0.7〜0.9となるスペクトルを有しているので、平均演色評価数Raの低下を抑制しつつエネルギー効率の向上を図り、高演色性で発光効率の高い発光を得ることができる。すなわち、前記割合が0.7未満になると、平均演色評価数Raが低下しはじめ、割合が0.9を超える場合においては、波長470〜490nmの光は視感度が低いため、この波長域の発光強度が高くても視覚的効果が小さいので、エネルギー効率が低下して発光効率を高めることができない。
【0032】
請求項6ないし8記載の発光装置によれば、さらに平均演色評価数Raを向上させるとともに、エネルギー効率の向上を図り、発光効率を高めることができる。
【0033】
請求項9記載の発光装置によれば、高い発光効率を維持しつつ高い演色性を実現することができる。
【0034】
したがって、本発明によれば、従来に比べて発光効率を向上させつつ、平均演色評価数Raを向上させることが可能な発光装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の発光装置をLEDランプに適用した実施形態の構成を示す断面図、図2は、図1に示すLEDランプの複数個を、例えば一平面上に3行3列のマトリックス状に配置したLEDモジュールの一例を示す平面図、図3は、図2のA−A´線断面図である。
【0036】
図1に示すLEDランプ1は、発光素子として、青色発光タイプのLEDチップ2を有している。このLEDチップ2は、回路パターン3を有する基板4上に搭載されている。基板4としては、放熱性と剛性を有するアルミニウム(Al)やニッケル(Ni)、ガラスエポキシ樹脂などから成る平板が用いられ、この基板4上に電気絶縁層5を介して陰極側と陽極側の回路パターン3がそれぞれ形成されている。回路パターン3は、CuとNiの合金やAuなどから構成されている。
【0037】
そして、LEDチップ2の底面電極が一方の電極側の回路パターン3の上に配置されて電気的に接続され、上面電極が他方の電極側の回路パターン3に、金線のようなボンディングワイヤ6を介して電気的に接続されている。LEDチップ2の電極接続構造としては、フリップチップ接続構造を適用することもできる。これらの電極接続構造によれば、LEDチップ2の前面への光取出し効率が向上する。
【0038】
基板4上には、凹部7を有する樹脂製などのフレーム8が設けられている。凹部7を有するフレーム8は、例えばPBT(ポリブチレンテレフタレート)、PPA(ポリフタルアミド)、PC(ポリカーボネート)などの合成樹脂から構成され、凹部7内にLEDチップ2が配置され、収容されている。そして、LEDチップ2が収容された凹部7内には、波長490〜510nmの範囲と波長530〜580nmの範囲にそれぞれ発光ピークを有する第1の蛍光体(緑色蛍光体)と、波長610〜660nmの範囲に発光ピークを有する第2の蛍光体(赤色蛍光体)との計2種類の蛍光体を、透明樹脂に混合し分散させた蛍光体含有樹脂が塗布・充填されており、LEDチップ2はこのような蛍光体含有樹脂層9により覆われている。透明樹脂としては、例えばシリコーン樹脂やエポキシ樹脂などが用いられる。
【0039】
蛍光体として、前記した第1の蛍光体である緑色蛍光体と第2の蛍光体である赤色蛍光体とともに、波長530〜580nmの範囲に発光ピークを有する黄色蛍光体(第3の蛍光体)を使用し、これら計3種類の蛍光体を混合して使用することもできる。
【0040】
緑色蛍光体は、例えばRE3(Al,Ga)5O12:Ce蛍光体(REは、Y、GdおよびLaから選ばれる少なくとも1種を示す。)などのYAG蛍光体、AE2SiO4:Eu蛍光体(AEは、Sr、Ba、Caなどのアルカリ土類元素を示す。)やCa3Sc2Si3O12:Ce蛍光体などのケイ酸塩蛍光体、サイアロン系蛍光体(例えば、CaxSiyAlzON:Eu2+)、およびCa3Sc2O4:Ce蛍光体などの中から選択される。
【0041】
赤色蛍光体としては、La2O2S:Eu蛍光体のような酸硫化物蛍光体、窒化物系蛍光体(例えば、AE2Si5N8:Eu2+やCaAlSiN3:Eu2+)などが用いられるが、特に限定されるものではない。
【0042】
黄色蛍光体は、例えばRE3(Al,Ga)5O12:Ce蛍光体(REは、Y、GdおよびLaから選ばれる少なくとも1種を示す。)などのYAG蛍光体、(Tb,Al)5O12:Ce蛍光体などのTAG蛍光体、サイアロン系蛍光体(例えば、CaxSiyAlzON:Eu2+)、AE2SiO4:Eu蛍光体(AEは、Sr、Ba、Caなどのアルカリ土類元素を示す。)やSr3SiO5:Eu2+蛍光体などのケイ酸塩蛍光体などの中から選択される。
【0043】
そして、これら2種類または3種類の蛍光体から成る蛍光体の混合物は、以下に示す発光スペクトルを有している。すなわち、発光スペクトルの波長490〜510nmの範囲における発光ピークの強度をA、波長530〜580nmの範囲における発光ピークの強度をB、波長610〜660nmの範囲における発光ピークの強度をCとするとき、BとAの比(B/A)が0.8〜1.2であり、かつCとAの比(C/A)が0.5〜1.2となっている
【0044】
BとAの比(B/A)が1.2を超えるか、あるいはCとAの比(C/A)が1.2を超えると、平均演色評価数Raが向上し高演色性は得られるが、発光効率が低くなり好ましくない。反対に、BとAの比(B/A)が0.8未満であるか、あるいはCとAの比(C/A)が0.5未満である場合には、発光の色温度の調整に対応しにくい。
【0045】
また、これら蛍光体の発光ピークの好ましい半値幅は、波長490〜510nmの発光ピークについては125〜145nm、波長530〜580nmの発光ピークについては90〜110nm、波長610〜660nmの発光ピークについては80〜100nmとすることが好ましい。半値幅が前記範囲を外れるブロードな発光ピーク、あるいはシャープすぎる発光ピークを有する蛍光体を使用した場合には、効率が高くかつ高演色性の発光を得ることが難しい。すなわち、いずれの波長範囲の発光ピークにおいても、半値幅が下限値未満のシャープすぎる発光ピークの場合には、平均演色評価数Raが低くなりすぎる。また、波長530〜580nmの発光ピークにおいて、半値幅が110nmを超えるブロードな発光ピークとした場合には、発光効率が低くなり好ましくない。波長490〜510nmの発光ピークおよび波長610〜660nmの発光ピークにおいて、半値幅が上限値を超えるブロードな発光ピークの場合には、これらの発光は視感度が比較的低いので発光効率の低下はそれほど大きくはないが、演色性向上の効果が十分に上がらない。
【0046】
実施形態のLEDランプ1では、印加された電気エネルギーがLEDチップ2で主波長が420〜480nm(例えば460nm)の青色光に変換されて放射され、放射された青色光は、蛍光体含有樹脂層9中に含有された緑色蛍光体と赤色蛍光体の計2種類、あるいは緑色蛍光体と黄色蛍光体と赤色蛍光体の計3種類からなる蛍光体で、より長波長の光に変換される。そして、LEDチップ2から放射される青色光とこれらの蛍光体の発光色とに基づく色である白色光がLEDランプ1から放出される。
【0047】
そして、実施形態のLEDランプ1においては、従来のLEDランプ1の発光スペクトルには存在しなかった、主波長が490〜510nmの発光が加えられているので、十分に高い平均演色評価数Raの値を確保することができるうえに、好ましい演色性を有している。また、所望の色温度を得るために必要な主波長が610〜660nmの蛍光体(赤色蛍光体)の配合割合を、従来に比べて低減することができるので、発光効率を向上させることができる。すなわち、赤色蛍光体の配合割合を低減することにより、十分に高い演色性を維持しながら、赤色蛍光体の配合によるデメリットである発光効率の低下を抑制することができ、高演色性と高い発光効率を同時に実現することができる。
【0048】
また、青色発光素子から放射された青色光と、蛍光体からの発光との混色により発せられる光が、波長470〜490nmの範囲に発光強度の谷部を有しており、かつこの谷部における発光強度(D)が波長490〜510nmの範囲の発光ピークの発光強度(A)に対して、0.7〜0.95の割合となるようなスペクトルを有している。このように、視感度が低い波長範囲(470〜490nm)に発光強度の谷部が形成され、より視感度が高い波長範囲(例えば490〜510nm)への光変換がなされた発光スペクトルを有しているので、発光効率が向上している。なお、青色光の発光ピークの発光強度(E)に対する発光谷部の発光強度(D)の割合(D/E)が0.7未満では、平均演色評価数Raの大幅な低下が生じるため好ましくない。そして、谷部の波長範囲(470〜490nm)の光は視感度が低く、発光強度が高くても視覚的効果が小さいので、D/Eが0.9を超えた場合には発光効率の向上が得られず、エネルギー効率の点で好ましくない。
【0049】
なお、上記実施形態では、LEDランプ1をマトリックス状に複数個配置したLEDジュール21について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば複数個のLEDランプ1を1列状に配置して形成してもよく、さらにLEDランプ1は単数でもよい。
【0050】
図4および図5は、本発明の第2の実施形態に係わるLEDパッケージを形成する発光装置を示している。図4は、この発光装置の平面図であり、図5は、図4に示す発光装置をF−F線に沿って切断した縦断面図である。なお、図4および図5おいて、第1の実施形態に関する図面と同様の構成要素については同じ参照数字を用いて、その説明を簡略化または省略する。
【0051】
図4および図5に示す発光装置(LEDランプ)1は、パッケージ基板例えば装置基板4と、反射層31と、回路パターン3と、複数好ましくは多数の半導体発光素子(例えば青色LEDチップ)2と、接着層32と、リフレクタ34と、蛍光体含有樹脂層9と、光拡散部材33とを備えて形成されている。蛍光体含有樹脂層9は封止部材としても機能する。
【0052】
装置基板4は、金属または絶縁材、例えば合成樹脂製の平板からなり、発光装置1に必要とされる発光面積を得るために、所定形状例えば長方形状をなしている。装置基板4を合成樹脂製とする場合、例えば、ガラス粉末入りのエポキシ樹脂等で形成することができる。装置基板4を金属製とする場合は、この装置基板4の裏面からの放熱性が向上し、装置基板4の各部温度を均一にすることができ、同じ波長域の光を発する半導体発光素子2の発光色のばらつきを抑制することができる。なお、このような作用効果を奏する金属材料としては、10W/m・K以上の熱伝導性に優れた材料、具体的にはアルミニウムまたはその合金を例示することができる。
【0053】
反射層31は、所定数の半導体発光素子2を配設し得る大きさであって、例えば、装置基板4の表面全体に被着されている。反射層31は、400〜740nmの波長領域で85%以上の反射率を有する白色の絶縁材料により構成することができる。このような白色絶縁材料としては、接着シートからなるプリプレグ(pre-preg)を使用することができる。このようなプリプレグは、例えば、酸化アルミニウム等の白色粉末が混入された熱硬化性樹脂をシート基材に含浸させて形成することができる。反射層31はそれ自体の接着性により、装置基板4の表面となる一面に接着される。
【0054】
回路パターン3は、各半導体発光素子2への通電要素として、反射層31の装置基板4が接着された面とは反対側の面に接着されている。この回路パターン3は、例えば各半導体発光素子2を直列に接続するために、装置基板4および反射層31の長手方向に所定間隔ごとに点在して2列に形成されている。一方の回路パターン3の列の一端側に位置する端側回路パターン3aには、給電パターン部3cが一体に連続して形成され、同様に他方の回路パターン3の列の一端側に位置する端側回路パターン3aには、給電パターン部3dが一体に連続して形成されている。
【0055】
給電パターン部3c,3dは反射層31の長手方向一端部に並べて設けられ、互いに離間して反射層31により絶縁されている。これらの給電パターン部3c,3dのそれぞれに、電源に至る図示しない電線が個別に半田付け等で接続されるようになっている。
【0056】
回路パターン3は以下に説明する手順で形成される。まず、未硬化の前記熱硬化性樹脂が含浸されたプリプレグからなる反射層31を装置基板4上に貼付けた後、反射層31上にこれと同じ大きさの銅箔を貼付ける。次に、こうして得た積層体を加熱するとともに加圧して、熱硬化性樹脂を硬化させることによって、装置基板4と銅箔を反射層31に圧着し接着を完了させる。次いで、銅箔上にレジスト層を設けて、銅箔をエッチング処理した後に、残ったレジスト層を除去することによって、回路パターン3を形成する。銅箔からなる回路パターン3の厚みは例えば35μmである。
【0057】
図5に示すように、半導体発光素子2は、例えば窒化物半導体を用いてなるダブルワイヤー型のLEDチップからなり、透光性を有する素子基板2b一面に半導体発光層2aを積層して形成されている。素子基板2bは、例えばサファイア基板で作られている。この素子基板2bの厚みは、回路パターン3より厚く、例えば90μmとする。
【0058】
半導体発光層2aは、素子基板2bの主面上に、バッファ層、n型半導体層、発光層、p型クラッド層、p型半導体層を順次積層して形成されている。発光層は、バリア層とウェル層を交互に積層した量子井戸構造をなしている。n型半導体層にはn側電極が設けられ、p型半導体層上にはp側電極が設けられている。この半導体発光層2aは、反射膜を有しておらず、厚み方向の双方に光を放射できる。
【0059】
各半導体発光素子2は、装置基板4の長手方向に隣接した回路パターン3間にそれぞれ配置され、白色の反射層31の同一面上に接着層32により接着されている。具体的には、半導体発光層2aが積層された素子基板2bの一面と平行な他面が、接着層32により反射層31に接着されている。この接着により、回路パターン3および半導体発光素子2は反射層31の同一面上で直線状に並べられるので、この並び方向に位置した半導体発光素子2の側面と回路パターン3とは、近接して対向するように設けられている。
【0060】
接着層32の厚みは、例えば5μm以下とすることができる。接着層32には、例えば5μm以下の厚みで光透過率が70%以上の透光性を有した接着剤、例えばシリコーン樹脂系の接着剤を好適に使用できる。
【0061】
図4および図5に示すように、各半導体発光素子2の電極と半導体発光素子2の両側に近接配置された回路パターン3とは、ボンディングワイヤ6で接続されている。さらに、前記2列の回路パターン3列の他端側に位置された端側回路パターン3b同士も、ボンディングワイヤ6で接続されている。したがって、この実施形態の場合、各半導体発光素子2は直列に接続されている。
【0062】
以上の装置基板4、反射層31、回路パターン3、各半導体発光素子2、接着層32、およびボンディングワイヤ6により、発光装置1の面発光源が形成されている。
【0063】
リフレクタ34は、一個一個または数個の半導体発光素子2ごとに個別に設けられるものではなく、反射層31上の全ての半導体発光素子2を包囲する単一のものであり、例えば長方形の枠で形成されており、半導体発光素子2は前記枠で形成された凹部7内に配置されている。リフレクタ34は反射層31に接着止めされていて、その内部に複数の半導体発光素子2および回路パターン3が収められているとともに、前記一対の給電パターン部3c、3dはリフレクタ34の外部に位置されている。
【0064】
リフレクタ34は、例えば合成樹脂で成形することができ、その内周面は反射面となっている。リフレクタ34の反射面は、AlやNi等の反射率の高い金属材料を蒸着またはメッキして形成することができる他、可視光の反射率の高い白色塗料を塗布して形成することができる。あるいは、リフレクタ34の成形材料中に白色粉末を混入して、リフレクタ34自体を可視光の反射率が高い白色にすることもできる。前記白色粉末としては、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、硫酸バリウム等の白色フイラーを用いることができる。なお、リフレクタ34の反射面は、発光装置1の照射方向に次第に開くように形成することが望ましい。
【0065】
蛍光体含有樹脂層9は、前記第1の実施形態と同様に、2種類あるいは3種類の蛍光体を混合した液状の熱硬化性樹脂をディスペンサ等の注入装置を用いて、反射層31表面および一直線上に配列された各半導体発光素子2およびボンディングワイヤ6等を満遍なく埋めるようにして充填し、加熱により熱硬化性樹脂を硬化させることにより形成されている。
【0066】
反射層31表面とボンディングワイヤ6との間に流れ込んだ液状の透明樹脂は、毛細管現象等により各半導体発光素子2およびボンディングワイヤ6に行きわたり、その膜厚等がほぼ均一になっており、蛍光体も透明樹脂にほぼ均一に分散している。
【0067】
このように構成される第2の実施形態においても、十分に高い平均演色評価数Raの値を確保することができるうえに、好ましい演色性を有している。また、エネルギー効率の向上を図ることができ、高い発光効率を得ることができる。
【実施例】
【0068】
次に、本発明の実施例およびその評価結果について記載する。
【0069】
実施例1,2、比較例
波長500nmと波長550nmにそれぞれ発光ピークを有する緑色蛍光体(YAG蛍光体)と、波長650nmに発光ピークを有する赤色蛍光体とを、それぞれシリコーン樹脂中に表1に示す配合比(シリコーン樹脂に対する配合割合;重量%)で混合し、分散させた。実施例2では、主波長が650nmの赤色蛍光体の配合比を、実施例1に比べて減少させた。また、比較例においては、波長540nmに発光ピークを有する黄色蛍光体(YAG蛍光体)を使用し、この蛍光体と主波長が650nmの赤色蛍光体とを、表1に示す配合比でシリコーン樹脂中に混合して、分散させた。
【0070】
次に、こうして得られた蛍光体含有シリコーン樹脂を、開口径3mmの凹部8内に充填した後、シリコーン樹脂を硬化させて蛍光体含有樹脂層9を形成し、図1に示す構成を有するLEDランプ1を作製した。なお、蛍光体含有樹脂層9の光路長は0.45mmとした。光路長は、LEDチップの上面より光取り出し側の蛍光体含有樹脂層の厚さをいう
【0071】
こうして実施例1,2および比較例で得られたLEDランプを発光させ、発光の色温度と平均演色評価数Raおよび発光効率をそれぞれ測定した。これらの測定結果を表1に示す。なお、発光効率は、比較例のLEDランプの発光効率100%としたときの相対値である。
【0072】
また、これらのLEDランプの発光スペクトルを分光光度計(大塚電子製の瞬間分光度計MCPD−7000)を用いて測定した。そして、波長500nmの発光ピークの強度A、波長550nmの発光ピークの強度B、波長650nmの発光ピークの強度Cをそれぞれ測定し、BとAの比(B/A)およびCとAの比(C/A)をそれぞれ求めた。これらの結果を表1に示す。さらに、実施例2および比較例で得られたLEDランプの発光スペクトルを、図6に示す。
【0073】
【表1】
【0074】
表1から明らかなように、実施例1および実施例2で得られたLEDランプは、波長550nmの発光ピークと波長650nmの発光ピークとともに、波長500nm付近にも発光ピークを有する蛍光体を含有しているので、高演色性の発光が得られ、平均演色評価数Raを向上させることができる。
【0075】
特に、実施例2で得られたLEDランプは、図6の発光スペクトルからわかるように、視感度の低い波長470〜490nmの範囲(480nm)に発光強度の谷部を有し、この谷部(波長480nm)における発光強度(D)の青色光の発光ピーク(波長460nm)の発光強度(E)に対する割合が、0.85となっている。そして、実施例2のLEDランプは、実施例1および比較例のLEDランプと同様の色温度を有するにも関わらず、平均演色評価数Raが92と、比較例のLEDランプより高い演色性を有する。また、発光効率が実施例1のものよりも30%向上しており、極めて高い発光効率を有している。それに対して、比較例のLEDランプの発光スペクトルは、波長470〜490nmの範囲(480nm)に発光強度の谷部を有しておらず、平均演色評価数Raと発光効率がともに実施例2より低くなっている。
【0076】
実施例3〜12
実施例3〜6においては、波長500nmと波長550nmにそれぞれ発光ピークを有する緑色蛍光体(YAG蛍光体)と波長650nmに発光ピークを有する赤色蛍光体との2種類の蛍光体を使用した。また、実施例7〜12においては、前記緑色蛍光体(YAG蛍光体)および赤色蛍光体に、波長565nmに発光ピークを有する黄色蛍光体(YAG蛍光体)を加え、計3種類の蛍光体を使用した。そして、これらの蛍光体をそれぞれシリコーン樹脂中に、表2に示す配合比(シリコーン樹脂に対する配合割合;重量%)で混合し、分散させた。
【0077】
次に、こうして得られた蛍光体含有シリコーン樹脂を、実施例1,2と同様に、開口径3mmの凹部8内に充填した後、シリコーン樹脂を硬化させて蛍光体含有樹脂層9を形成し、図1に示す構成を有するLEDランプ1を作製した。なお、実施例3〜12においては、実施例1,2に比べて樹脂に対する蛍光体の配合比を小さくしたので、同程度の色を実現するために、蛍光体含有樹脂層9の光路長を0.9mmと長くした。発光色および発光強度を同等にするには、光路長と蛍光体の配合比との積を等しくする必要がある。
【0078】
こうして実施例3〜12で得られたLEDランプを発光させ、発光の色温度と平均演色評価数Raおよび発光効率をそれぞれ測定した。これらの測定結果を表2に示す。なお、発光効率は、実施例7のLEDランプの発光効率100%としたときの相対値である。
【0079】
また、発光スペクトルを分光光度計(大塚電子製の瞬間分光度計MCPD−7000)を用いて測定した。これらのスペクトルのうち、実施例4で得られたLEDランプの発光スペクトルを図7に、実施例6で得られたLEDランプの発光スペクトルを図8に、実施例8で得られたLEDランプの発光スペクトルを図9に、実施例9で得られたLEDランプの発光スペクトルを図10に、実施例11で得られたLEDランプの発光スペクトルを図11に、実施例12で得られたLEDランプの発光スペクトルを図12にそれぞれ示す。
【0080】
さらに、これらのLEDランプの発光スペクトルから、波長470〜490nmの範囲(例えば480nm)の谷部の発光強度(D)の波長460nmの発光強度(E)に対する割合(谷部強度比D/E)を求めた。これらの結果も表2に示す。
【0081】
【表2】
【0082】
表2の測定結果、ならびに図7〜12の発光スペクトルから、以下のことがわかる。すなわち、実施例3〜12で得られたLEDランプは、波長550nm付近と波長650nm付近にそれぞれ発光ピークを有するとともに、波長500nm付近にも発光ピークを有しており、平均演色評価数Raが高く、かつ十分に高い発光効率を有している。
【0083】
また、実施例4,6,8.9,11,12および実施例2で得られたLEDランプの発光スペクトルからわかるように、谷部強度比(D/E)が0.7〜0.9の場合に、特に色温度3000〜4000Kにおいて、平均演色評価数Raが90以上と高く、LEDランプとして好適である。また、緑色蛍光体と赤色蛍光体の2種類の蛍光体を使用した実施例3〜6のLEDランプでは、発光効率はそれほど高いものではないが、平均演色評価数Raが90〜95と極めて高い演色性を有する発光が得られる。これに対して、緑色蛍光体と赤色蛍光体および黄色蛍光体の計3種類の蛍光体を使用した実施例7〜12のLEDランプでは、平均演色評価数Raは80程度であっても、極めて高い発光効率を有する発光が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の発光装置をLEDランプに適用した第1の実施形態の構成を示す断面図である。
【図2】図1に示すLEDランプを複数配置したLEDモジュールの一例を示す平面図である。
【図3】図2のA―A´線断面図である。
【図4】本発明の発光装置の第2の実施形態に係わる発光装置の平面図である。
【図5】図4のF−F線断面図である。
【図6】本発明の実施例2および比較例で得られたLEDランプの発光スペクトルを示すグラフである。
【図7】本発明の実施例4で得られたLEDランプの発光スペクトルを示すグラフである。
【図8】本発明の実施例6で得られたLEDランプの発光スペクトルを示すグラフである。
【図9】本発明の実施例8で得られたLEDランプの発光スペクトルを示すグラフである。
【図10】本発明の実施例9で得られたLEDランプの発光スペクトルを示すグラフである。
【図11】本発明の実施例11で得られたLEDランプの発光スペクトルを示すグラフである。
【図12】本発明の実施例12で得られたLEDランプの発光スペクトルを示すグラフである。
【符号の説明】
【0085】
1…LEDランプ、2…LEDチップ、3…回路パターン、4…基板、6…ボンディングワイヤ、7…凹部、8…フレーム、9…蛍光体含有樹脂層。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
青色光を放射する発光素子と;
前記発光素子から放射された青色光により励起されて、波長490〜510nmと530〜580nmおよび610〜660nmにそれぞれピークを有する光を発光する蛍光体を含有する蛍光体層と;
を具備することを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記蛍光体の発光スペクトルにおける波長490〜510nmの発光ピークの発光強度をA、波長530〜580nmの発光ピークの発光強度をB、波長610〜660nmの発光ピークの発光強度をCとするとき、BとAの比(B/A)が0.8〜1.2であり、かつCとAの比(C/A)が0.5〜1.2であることを特徴とする請求項1記載の発光装置。
【請求項3】
前記蛍光体が、波長490〜510nmと波長530〜580nmにそれぞれ発光ピークを有する第1の蛍光体と、波長610〜660nmに発光ピークを有する第2の蛍光体をそれぞれ含有することを特徴とする請求項1または2記載の発光装置。
【請求項4】
前記蛍光体が、波長530〜580nmに発光のピークを有する第3の蛍光体をさらに含有することを特徴とする請求項3記載の発光装置。
【請求項5】
青色光を放射する青色発光素子と;
前記青色発光素子から放射された青色光により励起されて、波長490〜510nmと530〜580nmおよび610〜660nmにそれぞれ発光ピークを有するとともに、前記青色光との混色により、波長470〜490nmに発光強度の谷部を有し、かつ前記青色光の発光ピークの発光強度に対する前記谷部の発光強度の割合が0.7〜0.9である可視光を発する蛍光体を含有する蛍光体層と;
を具備することを特徴とする発光装置。
【請求項6】
前記蛍光体の発光スペクトルにおける波長490〜510nmの発光ピークの発光強度をA、波長530〜580nmの発光ピークの発光強度をB、波長610〜660nmの発光ピークの発光強度をCとするとき、BとAの比(B/A)が0.8〜1.2であり、かつCとAの比(C/A)が0.5〜1.2であることを特徴とする請求項5記載の発光装置。
【請求項7】
前記蛍光体が、波長490〜510nmと波長530〜580nmにそれぞれ発光ピークを有する第1の蛍光体と、波長610〜660nmに発光ピークを有する第2の蛍光体をそれぞれ含有することを特徴とする請求項5または6記載の発光装置。
【請求項8】
前記蛍光体が、波長530〜580nmに発光のピークを有する第3の蛍光体をさらに含有することを特徴とする請求項7記載の発光装置。
【請求項9】
前記蛍光体において、波長490〜510nmの発光ピークの半値幅は125〜145nmであり、波長530〜580nmの発光ピークの半値幅は90〜110nmであり、波長610〜660nmの発光ピークの半値幅は80〜100nmであることを特徴とする請求項7または8記載の発光装置。
【請求項1】
青色光を放射する発光素子と;
前記発光素子から放射された青色光により励起されて、波長490〜510nmと530〜580nmおよび610〜660nmにそれぞれピークを有する光を発光する蛍光体を含有する蛍光体層と;
を具備することを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記蛍光体の発光スペクトルにおける波長490〜510nmの発光ピークの発光強度をA、波長530〜580nmの発光ピークの発光強度をB、波長610〜660nmの発光ピークの発光強度をCとするとき、BとAの比(B/A)が0.8〜1.2であり、かつCとAの比(C/A)が0.5〜1.2であることを特徴とする請求項1記載の発光装置。
【請求項3】
前記蛍光体が、波長490〜510nmと波長530〜580nmにそれぞれ発光ピークを有する第1の蛍光体と、波長610〜660nmに発光ピークを有する第2の蛍光体をそれぞれ含有することを特徴とする請求項1または2記載の発光装置。
【請求項4】
前記蛍光体が、波長530〜580nmに発光のピークを有する第3の蛍光体をさらに含有することを特徴とする請求項3記載の発光装置。
【請求項5】
青色光を放射する青色発光素子と;
前記青色発光素子から放射された青色光により励起されて、波長490〜510nmと530〜580nmおよび610〜660nmにそれぞれ発光ピークを有するとともに、前記青色光との混色により、波長470〜490nmに発光強度の谷部を有し、かつ前記青色光の発光ピークの発光強度に対する前記谷部の発光強度の割合が0.7〜0.9である可視光を発する蛍光体を含有する蛍光体層と;
を具備することを特徴とする発光装置。
【請求項6】
前記蛍光体の発光スペクトルにおける波長490〜510nmの発光ピークの発光強度をA、波長530〜580nmの発光ピークの発光強度をB、波長610〜660nmの発光ピークの発光強度をCとするとき、BとAの比(B/A)が0.8〜1.2であり、かつCとAの比(C/A)が0.5〜1.2であることを特徴とする請求項5記載の発光装置。
【請求項7】
前記蛍光体が、波長490〜510nmと波長530〜580nmにそれぞれ発光ピークを有する第1の蛍光体と、波長610〜660nmに発光ピークを有する第2の蛍光体をそれぞれ含有することを特徴とする請求項5または6記載の発光装置。
【請求項8】
前記蛍光体が、波長530〜580nmに発光のピークを有する第3の蛍光体をさらに含有することを特徴とする請求項7記載の発光装置。
【請求項9】
前記蛍光体において、波長490〜510nmの発光ピークの半値幅は125〜145nmであり、波長530〜580nmの発光ピークの半値幅は90〜110nmであり、波長610〜660nmの発光ピークの半値幅は80〜100nmであることを特徴とする請求項7または8記載の発光装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−266579(P2007−266579A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−19580(P2007−19580)
【出願日】平成19年1月30日(2007.1.30)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月30日(2007.1.30)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】
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