説明

発光装置

【課題】LEDチップから放射される光の一部を受光する受光部を有する光検出部を実装基板に一体に設けた構成を採用しながらも、構造の簡略化を図れ、且つ、LEDチップから光検出部への伝熱を抑制することが可能な発光装置を提供する。
【解決手段】LEDチップ1と、当該LEDチップ1を収納する収納凹所2bが一表面に形成されLEDチップ1が実装されるとともにLEDチップ1から放射された光の一部を受光する受光部4aを有する光検出部4が形成された実装基板2と、実装基板2の上記一表面側に設けられLEDチップ1から放射された光の配光を制御するレンズ部(LEDチップ1から放射された光の一部を受光部4aへ導く導光部)3とを備える。実装基板2は、SOI基板10の上記一表面側のシリコン層10cに光検出部4が形成され、収納凹所2bが、SOI基板10の上記他表面側のシリコン層10aに達する深さで形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDチップ(発光ダイオードチップ)を用いた発光装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、図4に示すように、LEDチップ1と、LEDチップ1を収納するパッケージAとを備え、LEDチップ1から放射される光の一部を受光する受光部4aを有するフォトダイオードからなる光検出部4がパッケージAに一体に設けられた発光装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上述のパッケージAは、LEDチップ1を収納する収納凹所2b’が一表面に形成されLEDチップ1が実装される実装基板2’と、実装基板2’の上記一表面側で収納凹所2b’を閉塞する形で配設された透光性部材8とで構成され、光検出部4が実装基板2’における収納凹所2b’の周部から内方へ突出する突出部2c’に形成されており、収納凹所2b内がLEDチップ1を封止した透光性封止材(例えば、シリコーン樹脂など)からなる封止部9により充実されている。
【0004】
ここにおいて、実装基板2’は、シリコン基板20aを用いて形成されLEDチップ1が実装されるベース基板20と、シリコン基板40aを用いて形成され光取出窓41が形成されるとともに光検出部4が形成された光検出部形成基板40と、シリコン基板30aを用いて形成されてなり光取出窓41に連通する開口窓31が形成されベース基板20と光検出部形成基板40との間に介在する配光用基板30とで構成されており、光検出部4は、配光用基板30に形成された貫通孔配線34およびベース基板20に形成された貫通孔配線24を介して外部接続用電極27c,27dと電気的に接続されている。なお、LEDチップ1は、ベース基板20に形成された図示しない貫通孔配線を介して図示しない外部接続用電極と電気的に接続されている。
【0005】
上述の図4に示した構成の発光装置では、実装基板2’においてLEDチップ1を収納する収納凹所2b’の周部から内方へ突出する突出部2c’に、LEDチップ1から放射される光を検出する光検出部4が形成されているので、実装基板2’の上記一表面側において収納凹所2b’の周囲に光検出部4を配置するためのスペースを別途に確保する必要がなく、光検出部4を実装基板2’に設けながらも平面サイズの小型化が可能になるという利点がある。なお、図4に示した構成の発光装置では、光検出部形成基板40の基礎となるシリコン基板40aの導電形がn形であり、光検出部4においてLEDチップ1からの光を受光する受光部4aがp形領域により構成されている。
【0006】
しかして、例えば、LEDチップ1として赤色LEDチップを採用した発光装置と、LEDチップ1として緑色LEDチップを採用した発光装置と、LEDチップ1として青色LEDチップを採用した発光装置とを同一の回路基板上に近接して配置して、当該回路基板に各発光装置のLEDチップ1を駆動する駆動回路部と、各光検出部4の出力がそれぞれの目標値に保たれるように駆動回路部から各発光色のLEDチップ1に流れる電流をフィードバック制御する制御回路部などを設けておくことにより、各光検出部4それぞれの出力に基づいて各発光色のLEDチップ1の光出力を各別に制御することができ、各発光色ごとのLEDチップ1の光出力の経時変化の違いなどによらず混色光(ここでは、白色光)の光色や色温度の精度を向上することができる。要するに、所望の混色光を安定して得ることができる。なお、上記特許文献1には、図4に示した構成の発光装置において、透光性部材8に、LEDチップ1から放射される光(例えば、青色光)によって励起されてLEDチップよりも長波長の光(例えば、黄色光)を放射する蛍光体を含有させておくことにより、LEDチップ1からの光と蛍光体からの光との混色光(例えば、白色光)を得ることができることも記載されている。
【0007】
また、従来から、図5に示すように、半導体レーザチップからなる発光素子101と、当該発光素子101を収納する収納凹所2b”が一表面に形成され発光素子101が実装されるとともに発光素子101から放射された光を検出するフォトダイオードからなる光検出部4が形成された実装基板2”とを備えた発光装置が提案されている(特許文献2参照)。ここにおいて、図5に示した構成の発光装置では、実装基板2”が1枚のn形シリコン基板200を用いて形成され、収納凹所2b”が異方性エッチングにより形成されており、当該収納凹所2b”は、内底面から離れるにつれて開口面積が徐々に大きくなっている。
【0008】
また、図5に示した構成の発光装置は、光検出部4におけるp形領域からなる受光部4aが収納凹所2b”の内側面に沿って形成されている。また、図5に示した構成の発光装置は、n形シリコン基板200の一表面と収納凹所2b”の内底面および内側面とに跨って絶縁膜23が形成されており、絶縁膜23において受光部4aに対応する部位上に、発光素子101からの光の一部を反射し一部を透過する所定膜厚(例えば、100nm〜400nm)のAu膜からなる金属膜190”が形成されている。なお、図5中の一点鎖線は発光素子101から放射された光の光路を示しており、破線は金属膜19”を透過して光検出部4の受光部4aに吸収される光の光路を示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−294834号公報
【特許文献2】特開平7−297480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、図4に示した構成の発光装置では、実装基板2’を3枚のシリコン基板20a,30a,40aを用いて形成する必要があり、構造が複雑になってしまうとともにコストが高くなってしまう。
【0011】
また、図5に示した構成の発光装置は、実装基板2”が1枚のn形シリコン基板200を用いて形成されており、発光素子101で発生した熱がn形シリコン基板200へ伝熱され、光検出部4にも伝熱されるので、光検出部4の温度が上昇し、光検出部4の検出精度が低下してしまう。また、図5に示した構成の発光装置では、金属膜19”が発光素子101からの光の一部を透過させる必要があるので、金属膜19”の材料の選択肢が少なくなってしまうとともに発光効率が低下してしまう。
【0012】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、LEDチップから放射される光の一部を受光する受光部を有する光検出部を実装基板に一体に設けた構成を採用しながらも、構造の簡略化を図れ、且つ、LEDチップから光検出部への伝熱を抑制することが可能な発光装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1の発明は、LEDチップと、当該LEDチップを収納する収納凹所が一表面に形成されLEDチップが実装されるとともにLEDチップから放射された光の一部を受光する受光部を有する光検出部が形成された実装基板と、実装基板の前記一表面側に設けられLEDチップから放射された光の一部を受光部へ導く導光部とを備え、実装基板は、厚み方向の中間に絶縁層を有する1枚のSOI基板を用いて形成されるとともに、SOI基板の一表面側のシリコン層に光検出部が形成され、収納凹所が、少なくとも絶縁層に達する深さで形成されてなることを特徴とする。
【0014】
この発明によれば、LEDチップを収納する収納凹所が一表面に形成されLEDチップが実装されるとともにLEDチップから放射された光を受光する受光部を有する光検出部が形成された実装基板と、実装基板の前記一表面側に設けられLEDチップから放射された光の一部を受光部へ導く導光部とを備えているので、LEDチップから放射された光の一部を光検出部の受光部で受光することができ、また、実装基板が厚み方向の中間に絶縁層を有する1枚のSOI基板を用いて形成されるとともに、当該SOI基板の一表面側のシリコン層に光検出部が形成され、収納凹所が、少なくとも絶縁層に達する深さで形成されているので、LEDチップから放射される光の一部を受光する受光部を有する光検出部を実装基板に一体に設けた構成を採用しながらも、構造の簡略化を図れ、且つ、LEDチップから光検出部への伝熱をSOI基板の絶縁層により阻止して抑制することが可能となる。
【0015】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記収納凹所の深さ寸法が、前記SOI基板の前記一表面側の前記シリコン層と前記絶縁層との合計寸法よりも大きく設定されてなることを特徴とする。
【0016】
この発明によれば、前記LEDチップで発生した熱を実装基板の他表面側へ効率良く放熱させることが可能となる。
【0017】
請求項3の発明は、請求項1の発明において、前記収納凹所の深さ寸法が、前記SOI基板の前記一表面側の前記シリコン層の厚さ寸法と同じに設定されてなることを特徴とする。
【0018】
この発明によれば、製造時において前記収納凹所を形成する際に、前記SOI基板の前記絶縁層をエッチングストッパ層として利用することができるので、前記収納凹所の深さ寸法の精度を向上できる。
【0019】
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3の発明において、前記光検出部において前記LEDチップからの光を受光する前記受光部は、前記SOI基板の前記一表面側における前記収納凹所の周部で前記SOI基板の前記一表面に沿って形成されてなることを特徴とする。
【0020】
この発明によれば、前記受光部を前記実装基板における前記収納凹所の内側面に沿って形成する場合に比べて、前記受光部を容易に形成することができる。
【0021】
請求項5の発明は、請求項4の発明において、前記収納凹所は、内底面から離れるにつれて徐々に開口面積が大きくなっており、前記実装基板は、前記SOI基板の前記一表面側および前記収納凹所の内側面側に、前記LEDチップから放射された光を反射する反射膜が前記受光部を避けて形成されてなることを特徴とする。
【0022】
この発明によれば、前記実装基板は、前記SOI基板の前記一表面側および前記収納凹所の内側面側に、前記LEDチップから放射された光を反射する反射膜が前記受光部を避けて形成されているので、反射膜の材料選択の自由度が高く、前記実装基板での吸収損失を低減でき、発光効率の向上を図れる。
【0023】
請求項6の発明は、請求項1ないし請求項5の発明において、前記導光部が、前記LEDチップから放射された光の配光を制御するレンズ部であって、前記LEDチップから放射される光によって励起されて前記LEDチップよりも長波長の光を放射する蛍光体を含有した透光性材料により形成され、前記実装基板の前記一表面側においてレンズ部と前記光検出部との間に、透光性および断熱性を有し蛍光体から前記受光部への伝熱を阻止する透光性断熱部が設けられてなることを特徴とする。
【0024】
この発明によれば、蛍光体でのストークスシフトによるエネルギ損失に起因した熱が前記受光部へ伝熱されるのを透光性断熱部により阻止することができるから、前記LEDチップから放射される光と蛍光体から放射される光との混色光を得ることができるようにしながらも、蛍光体から前記受光部への伝熱を抑制することができる。
【発明の効果】
【0025】
請求項1の発明では、LEDチップから放射される光の一部を検出する光検出部を実装基板に一体に設けた構成を採用しながらも、構造の簡略化を図れ、且つ、LEDチップから光検出部への伝熱を抑制することが可能となるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】実施形態1の発光装置を示し、(a)は概略断面図、(b)は要部概略平面図である。
【図2】実施形態2の発光装置を示し、(a)は概略断面図、(b)は要部概略平面図である。
【図3】実施形態3の発光装置を示し、(a)は概略断面図、(b)は要部概略平面図である。
【図4】従来例を示す概略断面図である。
【図5】他の従来例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(実施形態1)
本実施形態の発光装置は、図1に示すように、LEDチップ1と、当該LEDチップ1を収納する収納凹所2bが一表面に形成されLEDチップ1が実装されるとともにLEDチップ1から放射された光の一部を受光する受光部4aを有する光検出部4が形成された実装基板2と、実装基板2の上記一表面側に設けられLEDチップ1から放射された光の配光を制御するレンズ部3とを備えている。
【0028】
上述の実装基板2は、厚み方向の中間に絶縁層10bを有する1枚のSOI基板10を用いて形成されている。ここにおいて、SOI基板10は、一表面側(図1(a)の上面側)のシリコン層10cと他表面側(図1(a)の下面側)のシリコン層10aとの間にシリコン酸化膜からなる絶縁層10bが介在しており、上記一表面側のシリコン層10cの表面が(100)面となっている。なお、SOI基板10の上記一表面側のシリコン層10cは導電形がn形となっている。
【0029】
また、実装基板2は、SOI基板10の上記一表面側のシリコン層10cに光検出部4が形成され、収納凹所2bが、SOI基板10の上記他表面側のシリコン層10aに達する深さで形成されている。要するに、本実施形態の発光装置では、収納凹所2bの深さ寸法が、SOI基板10の上記一表面側のシリコン層10cと絶縁層10bとの合計寸法よりも大きく設定されている。
【0030】
ここにおいて、実装基板2は、上記一表面側に、LEDチップ1の両電極(図示せず)それぞれと電気的に接続される2つの導体パターン15a,15bが形成されるとともに、光検出部4に電気的に接続された2つの導体パターン15c,15dが形成されており、各導体パターン15a,15b,15c,15dとSOI基板10の他表面側(図1(a)における下面側)に形成された4つの外部接続用電極17a,17b,17c,17dとがそれぞれ貫通孔配線14を介して電気的に接続されている。ただし、LEDチップ1の両電極それぞれと電気的に接続される2つの導体パターン15a,15bは、後述の絶縁膜13のうち収納凹所2bの内底面に形成された部位の上に形成されている。
【0031】
本実施形態におけるLEDチップ1は、結晶成長用基板として導電性基板を用い厚み方向の両面に電極が形成され、可視光(例えば、赤色光、緑色光、青色光など)を放射するLEDチップである。そこで、実装基板2は、LEDチップ1が電気的に接続される2つの導体パターン15a,15bのうちの一方の導体パターン15aを、LEDチップ1がダイボンディングされる矩形状のダイパッド部15aaと、ダイパッド部15aaに連続一体に形成され貫通孔配線14との接続部位となる引き出し配線部15abとで構成してある。要するに、LEDチップ1は、上記一方の導体パターン15aのダイパッド部15aaにダイボンディングされており、ダイパッド部15aa側の電極がダイパッド部15aaに接合されて電気的に接続され、ダイパッド部15aa側とは反対側の電極がボンディングワイヤW1を介して他方の導体パターン15bと電気的に接続されている。
【0032】
また、実装基板2は、SOI基板10の上記他表面側に、SOI基板10よりも熱伝導率の高い金属材料からなる矩形状の放熱用パッド部18が形成されており、ダイパッド部15aaと放熱用パッド部18とがSOI基板10よりも熱伝導率の高い金属材料(例えば、Cuなど)からなる複数(本実施形態では、9つ)の円柱状のサーマルビア16を介して熱的に結合されており、LEDチップ1で発生した熱が各サーマルビア16および放熱用パッド部18を介して放熱されるようになっている。
【0033】
ところで、実装基板2は、SOI基板10に、上述の4つの貫通孔配線14それぞれが内側に形成される4つの貫通孔12aと、上述の9つのサーマルビア16それぞれが内側に形成される9つの貫通孔12bとが厚み方向に貫設され、SOI基板10の上記一表面とSOI基板10における収納凹所2bの内底面および内側面とSOI基板10の上記他表面と各貫通孔12a,12bの内面とに跨って熱酸化膜(シリコン酸化膜)からなる上述の絶縁膜13が形成されており、各導体パターン15a,15b,15c,15d、各外部接続用電極17a,17b,17c,17d、放熱用パッド部18、各貫通孔配線14および各サーマルビア16がSOI基板10と電気的に絶縁されている。
【0034】
ここにおいて、各導体パターン15a,15b,15c,15d、各外部接続用電極17a,17b,17c,17d、放熱用パッド部18は、絶縁膜13上に形成されたTi膜と当該Ti膜上に形成されたAu膜との積層膜により構成されており、SOI基板10の上記一表面側の各導体パターン15a,15b,15c,15dが同時に形成され、SOI基板10の上記他表面側の各外部接続用電極17a,17b,17c,17d、放熱用パッド部18が同時に形成してある。なお、本実施形態では、絶縁膜13上のTi膜の膜厚を15〜50nm、Ti膜上のAu膜の膜厚を500nmに設定してあるが、これらの数値は一例であって特に限定するものではない。また、各Au膜の材料は、純金に限らず不純物を添加したものでもよい。また、各Au膜と絶縁膜13との間に密着性改善用の密着層としてTi膜を介在させてあるが、密着層の材料はTiに限らず、例えば、Cr、Nb、Zr、TiN、TaNなどでもよい。また、貫通孔配線14およびサーマルビア16の材料としては、Cuを採用しているが、Cuに限らず、例えば、Niなどを採用してもよい。
【0035】
また、実装基板2は、上述の光検出部4としてフォトダイオードが形成されている。ここにおいて、光検出部4は、SOI基板10の上記一表面側のシリコン層10cに、上記フォトダイオードのp形領域からなる受光部4aが形成されており、上述の2つの導体パターン15c,15dのうちの一方の導体パターン15cが、当該受光部4aに電気的に接続され、他方の導体パターン15dが、上記フォトダイオードのn形領域4bを構成するシリコン層10cに電気的に接続されている。なお、各導体パターン15c,15dは、絶縁膜13に形成したコンタクトホール13c,13dを通して光検出部4と電気的に接続されている。
【0036】
また、光検出部4においてLEDチップ1からの光を受光する受光部4aは、SOI基板10の上記一表面側における収納凹所2bの周部でSOI基板10の上記一表面に沿って形成されている。しかして、本実施形態の発光装置では、図5に示した構成のように受光部4aを実装基板2”における収納凹所2b”の内側面に沿って形成する場合に比べて、受光部4aを容易に形成することができる。なお、受光部4aの平面視形状は、収納凹所2bを全周に亘って囲む枠状(ここでは、矩形枠状)の形状としてある。
【0037】
また、実装基板2の収納凹所2bは、エッチング速度の結晶方位依存性を利用した湿式の異方性エッチングにより形成されており、内底面から離れるにつれて徐々に開口面積が大きくなっている。ここにおいて、実装基板2は、SOI基板10の上記一表面側および収納凹所2bの内側面側に、LEDチップ1から放射された光を反射する反射膜19が受光部4aを避けて形成されている。ここにおいて、反射膜19の材料としては、LEDチップ1から放射される光に対する反射率の高い材料(例えば、Al、Agなど)を適宜選択すればよい。しかして、本実施形態の発光装置では、実装基板2は、SOI基板10の上記一表面側および収納凹所2bの内側面側に、LEDチップ1から放射された光を反射する反射膜19が受光部4aを避けて形成されているので、反射膜19の材料選択の自由度が高く、実装基板2での吸収損失を低減でき、発光効率の向上を図れる。
【0038】
レンズ部3は、透光性材料(例えば、シリコーン樹脂など)により形成され実装基板2の上記一表面側においてLEDチップ1および当該LEDチップ1に接続されたボンディングワイヤW1を封止した半球状のレンズ状封止部により構成されている。ここにおいて、レンズ部3の透光性材料は、シリコーン樹脂に限らず、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ガラスなどを採用してもよい。また、レンズ部3の形状は半球状に限らず、例えば、半楕円球状の形状でもよい。なお、本実施形態では、実装基板2とレンズ部3とでパッケージを構成している。
【0039】
本実施形態の発光装置の製造にあたっては、上述のSOI基板10として実装基板2を多数形成可能なSOIウェハを用い、実装基板2にLEDチップ1を実装してからレンズ部3を形成し、その後、ダイシング工程により実装基板2のサイズに分割するようにしている。
【0040】
以上説明した本実施形態の発光装置は、LEDチップ1を収納する収納凹所2bが上記一表面に形成されLEDチップ1が実装されるとともにLEDチップ1から放射された光の一部を受光する受光部4aを有する光検出部4が形成された実装基板2と、実装基板2の上記一表面側に設けられLEDチップ1から放射された光の配光を制御するレンズ部3とを備えているので、LEDチップ1から放射されレンズ部3と空気との界面で反射された光の一部を光検出部4で受光することができ、また、実装基板2が厚み方向の中間に絶縁層10bを有する1枚のSOI基板10を用いて形成されるとともに、当該SOI基板10の上記一表面側のシリコン層10cに光検出部4が形成され、収納凹所2bの深さ寸法が、SOI基板10の上記一表面側のシリコン層10cと絶縁層10bとの合計寸法よりも大きく設定されているので、LEDチップ1から放射される光の一部を受光する受光部4aを有する光検出部4を実装基板2に一体に設けた構成を採用しながらも、構造の簡略化を図れ、且つ、LEDチップ1から光検出部4への伝熱をSOI基板10の絶縁層10bにより阻止して抑制することが可能となる。しかして、本実施形態の発光装置では、光検出部4の検出精度を向上させることが可能となる。なお、本実施形態では、レンズ部3が、実装基板2の上記一表面側に設けられLEDチップ1から放射された光の一部を受光部4aへ導く導光部を構成している。ここで、当該導光部は、LEDチップ1から放射された光の一部を受光部4aへ導くことができればよく、必ずしもレンズ部3のようなレンズ形状に形成する必要はない。
【0041】
また、本実施形態の発光装置では、収納凹所2bの深さ寸法が、SOI基板10の上記一表面側のシリコン層10cと絶縁層10bとの合計寸法よりも大きく設定されているので、LEDチップ1で発生した熱を実装基板2の他表面側へ効率良く放熱させることが可能となる。
【0042】
また、本実施形態の発光装置は、実装基板2に光検出部4が設けられているので、例えば、LEDチップ1として赤色LEDチップを採用した発光装置と、LEDチップ1として緑色LEDチップを採用した発光装置と、LEDチップ1として青色LEDチップを採用した発光装置とを同一の配線基板(回路基板)上に近接して配置して、当該配線基板に各発光装置のLEDチップ1を駆動する駆動回路部と、各光検出部4の出力がそれぞれの目標値に保たれるように駆動回路部から各発光色のLEDチップ1に流れる電流をフィードバック制御する制御回路部などを設けておくことにより、各光検出部4それぞれの出力に基づいて各発光色のLEDチップ1の光出力を各別に制御することができ、各発光色ごとのLEDチップ1の光出力の経時変化の違いなどによらず混色光(ここでは、白色光)の光色や色温度の精度を向上することができる。要するに、所望の混色光を安定して得ることができる。
【0043】
(実施形態2)
本実施形態の発光装置の基本構成は実施形態1と略同じであって、図2に示すように、実装基板2における収納凹所2bの深さ寸法が、SOI基板10の上記一表面側のシリコン層10cの厚さ寸法と同じに設定されている点が相違する。ここにおいて、SOI基板10の各シリコン層10a,10cの厚さは、LEDチップ1の厚みなどに基づいて規定する収納凹所2bの所望の深さ寸法に応じて適宜設定すればよい。なお、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0044】
しかして、本実施形態の発光装置によれば、製造時において収納凹所2bを形成する際に、SOI基板10の絶縁層10bをエッチングストッパ層として利用することができるので、収納凹所2bの深さ寸法の精度を向上できる。
【0045】
(実施形態3)
図3に示す本実施形態の発光装置の基本構成は実施形態1と略同じであって、レンズ部3が、LEDチップ1から放射される光によって励起されてLEDチップ1よりも長波長の光を放射する蛍光体(図示せず)を含有した透光性材料(例えば、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ガラス、有機成分と無機成分とがnmレベルもしくは分子レベルで混合、結合した有機・無機ハイブリッド材料など)により形成されており、実装基板2の上記一表面側においてレンズ部3と光検出部4との間に、透光性および断熱性を有し蛍光体から受光部4aへの伝熱を阻止する透光性断熱部5が設けられている点が相違する。なお、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0046】
本実施形態の発光装置において、例えば、LEDチップ1として青色の光を放射するLEDチップを用い、上述の蛍光体として、LEDチップ1から放射された青色の光によって励起されてブロードな黄色系の光を放射する粒子状の黄色蛍光体を採用すれば、LEDチップ1から放射された青色の光と黄色蛍光体から放射された光とがレンズ部3から出射されることとなり、白色光を得ることができる。なお、レンズ部3の透光性材料としてガラスを採用すれば、シリコーン樹脂などの有機材料を採用している場合に比べて、レンズ部3の熱伝導性が向上するので、蛍光体の温度上昇を抑制できて蛍光体の温度消光による量子効率の低下を抑制することができ、しかも、水蒸気やNOなど対するガスバリア性や耐透湿性が向上するとともに、蛍光体の吸湿劣化を抑制でき、信頼性および耐久性が向上する。また、レンズ部3の材料として用いる透光性材料に混合する蛍光体も黄色蛍光体に限らず、例えば、赤色蛍光体と緑色蛍光体とを混合しても白色光を得ることができ、赤色蛍光体と緑色蛍光体とを用いれば演色性を高めることができる。
【0047】
上述の透光性断熱部5は、平面視形状が受光部4aの平面視形状に沿った矩形枠状であり、断面形状が半円状に形成されているが、透光性断熱部5の形状は特に限定するものではない。ここにおいて、透光性断熱部5の材料は、レンズ部3の材料と絶縁膜13の材料とに応じて、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂などから適宜選択して採用すればよい。
【0048】
しかして、本実施形態の発光装置によれば、蛍光体でのストークスシフトによるエネルギ損失に起因した熱が光検出部4の受光部4aへ伝熱されるのを透光性断熱部5により阻止することができるから、LEDチップ1から放射される光と蛍光体から放射される光との混色光を得ることができるようにしながらも、蛍光体から受光部4aへの伝熱を抑制することができ、光検出部4の検出精度の向上を図れる。
【0049】
なお、本実施形態のレンズ部3および透光性断熱部5を実施形態2の発光装置に適用してもよい。要するに、実装基板2の収納凹所2bは、少なくともSOI基板10の絶縁層10bに達する深さで形成されていればよい。
【符号の説明】
【0050】
1 LEDチップ
2 実装基板
2b 収納凹所
3 レンズ部(導光部)
4 光検出部
4a 受光部
10 SOI基板
10a シリコン層
10b 絶縁層
10c シリコン層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
LEDチップと、当該LEDチップを収納する収納凹所が一表面に形成されLEDチップが実装されるとともにLEDチップから放射された光の一部を受光する受光部を有する光検出部が形成された実装基板と、実装基板の前記一表面側に設けられLEDチップから放射された光の一部を受光部へ導く導光部とを備え、実装基板は、厚み方向の中間に絶縁層を有する1枚のSOI基板を用いて形成されるとともに、SOI基板の一表面側のシリコン層に光検出部が形成され、収納凹所が、少なくとも絶縁層に達する深さで形成されてなることを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記収納凹所の深さ寸法が、前記SOI基板の前記一表面側の前記シリコン層と前記絶縁層との合計寸法よりも大きく設定されてなることを特徴とする請求項1記載の発光装置。
【請求項3】
前記収納凹所の深さ寸法が、前記SOI基板の前記一表面側の前記シリコン層の厚さ寸法と同じに設定されてなることを特徴とする請求項1記載の発光装置。
【請求項4】
前記光検出部において前記LEDチップからの光を受光する前記受光部は、前記SOI基板の前記一表面側における前記収納凹所の周部で前記SOI基板の前記一表面に沿って形成されてなることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項5】
前記収納凹所は、内底面から離れるにつれて徐々に開口面積が大きくなっており、前記実装基板は、前記SOI基板の前記一表面側および前記収納凹所の内側面側に、前記LEDチップから放射された光を反射する反射膜が前記受光部を避けて形成されてなることを特徴とする請求項4記載の発光装置。
【請求項6】
前記導光部が、前記LEDチップから放射された光の配光を制御するレンズ部であって、前記LEDチップから放射される光によって励起されて前記LEDチップよりも長波長の光を放射する蛍光体を含有した透光性材料により形成され、前記実装基板の前記一表面側においてレンズ部と前記光検出部との間に、透光性および断熱性を有し蛍光体から前記受光部への伝熱を阻止する透光性断熱部が設けられてなることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の発光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−278315(P2010−278315A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−130779(P2009−130779)
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】