説明

発光装置

【課題】発光素子が有する性質により、環境温度が変化したり、経時変化が生じたりすると、輝度にバラツキが生じてしまう。上記の実情を鑑み、本発明は、環境温度の変化と経時変化に起因した、発光素子の電流値の変動による影響を抑制する表示装置の提供を課題とする。
【解決手段】本発明は、定電流駆動するモニター素子を設け、モニター素子に印加される電圧を検出し、その電圧を発光素子に印加する。つまり、モニター素子は低電流駆動をさせ、そのモニター素子に印加される電圧を発光素子に印加し、発光素子は定電流駆動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッシブマトリクス表示装置に関する。特に、画素部に有機エレクトロルミネ
ッセンス素子を初めとする発光素子を用いたパッシブマトリクス表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画素を発光ダイオード(LED)などの発光素子で形成した、いわゆる自発光型
の表示装置が注目を浴びている。このような自発光型の表示装置に用いられる発光素子と
しては、有機発光ダイオード(OLED(Organic Light Emitting Diode)、有機EL素子
、エレクトロルミネッセンス(Electro Luminescence:EL)素子などとも言う)が注目
を集めており、有機ELディスプレイなどに用いられるようになってきている。
【0003】
OLEDなどの発光素子は自発光型であるため、液晶ディスプレイに比べて画素の視認
性が高く、バックライトが不要で応答速度が速い等の利点がある。また発光素子の輝度は
、そこを流れる電流値によって制御される。
【0004】
このような自発光型の発光素子を用いた表示装置では、その駆動方式として単純マトリ
ックス(パッシブ)方式とアクティブマトリックス方式とが知られている。アクティブマ
トリクス方式は各画素に数個のスイッチング用の薄膜トランジスタ(TFTともいう)を
有する制御回路を備え、各画素の制御回路により各画素の発光非発光を制御する。一方、
単純マトリクス方式の表示装置は複数個のカラム信号線と、複数個のロウ信号線とが互い
に交差する形で配置され、その交差部において有機EL素子が挟まれている。よって、選
択されたロウ信号線と、出力を行っているカラム信号線とに挟まれた領域に電位差が生じ
、電流が流れると有機EL素子(画素という)が発光する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発光素子は、周囲の温度(以下環境温度と表記)により、その抵抗値(内部抵抗値) が
変化する性質を有する。具体的には、室温を通常の温度としたとき、温度が通常よりも高
くなると抵抗値が低下し、温度が通常よりも低くなると抵抗値が上昇する。そのため、定
電圧駆動では、温度が高くなると電流値が増加して所望の輝度よりも高い輝度となり、温
度が低くなると電流値が低下して所望の輝度よりも低い輝度となる。また、発光素子は、
経時的にその電流値が減少する性質を有する。
【0006】
上述したような発光素子が有する性質により、環境温度が変化したり、経時変化が生じた
りすると、輝度にバラツキが生じてしまう。上記の実情を鑑み、本発明は、環境温度の変
化と経時変化に起因した、発光素子の電流値の変動による影響を抑制する定電圧駆動の表
示装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の構成は、カラム信号線と、ロウ信号線と、有機化合物を含む層が前記カラム信号
線及び前記ロウ信号線により挟まれた領域に形成される発光素子と、第1電極と第2電極
により挟まれた領域に形成されるモニター素子と、電流源と、アンプと、を備え、
前記モニター素子の第1電極と前記電流源が接続され、
前記モニター素子の第1電極と前記アンプの入力端子が接続され、
前記アンプの出力が前記カラム信号線に入力される表示装置である。
【0008】
また、他の構成は、カラム信号線と、ロウ信号線と、有機化合物を含む層が前記カラム信
号線及び前記ロウ信号線により挟まれた領域に形成される発光素子と、第1電極と第2電
極により挟まれた領域に形成される複数のモニター素子と、電流源と、アンプと、を備え

前記複数のモニター素子のそれぞれの第1電極と前記電流源が接続され、
前記複数のモニター素子のそれぞれの第1電極と前記アンプの入力端子が接続され、
前記アンプの出力が前記カラム信号線に入力される表示装置である。
【0009】
また、他の構成は、カラム信号線と、ロウ信号線と、有機化合物を含む層が前記カラム信
号線及び前記ロウ信号線により挟まれた領域に形成される発光素子と、第1電極と前記ロ
ウ信号線により挟まれた領域に形成されるモニター素子と、電流源と、アンプと、を備え

前記モニター素子の第1電極と前記電流源が接続され、
前記モニター素子の第1電極と前記アンプの入力端子が接続され、
前記アンプの出力が前記カラム信号線に入力される表示装置である。
【0010】
また、他の構成は、カラム信号線と、ロウ信号線と、有機化合物を含む層が前記カラム信
号線及び前記ロウ信号線により挟まれた領域に形成される発光素子と、第1電極と前記ロ
ウ信号線により挟まれた領域に形成される複数のモニター素子と、電流源と、アンプと、
を備え、
前記複数のモニター素子のそれぞれの第1電極と前記電流源が接続され、
前記複数のモニター素子のそれぞれの第1電極と前記アンプの入力端子が接続され、
前記アンプの出力が前記カラム信号線に入力される表示装置である。
【0011】
また、他の構成は、カラム信号線と、ロウ信号線と、カラム信号線とロウ信号線に挟まれ
た発光素子と、モニター素子と、モニター素子に定電流を供給する電流源と、を備え、
モニター素子は電流源からの定電流により駆動され、
モニター素子両極間に印加される電圧を検出し、発光素子に入力する表示装置である。
【0012】
また、他の構成は、カラム信号線と、ロウ信号線と、カラム信号線とロウ信号線に挟まれ
た発光素子と、モニター素子と、モニター素子に定電流を供給する電流源と、を備え、
モニター素子は電流源からの定電流により駆動され、
カラム信号線の電位は、モニター素子の陽極側の電位を検出し、設定される表示装置であ
る。
【0013】
また、他の構成は、カラム信号線と、ロウ信号線と、カラム信号線とロウ信号線に挟まれ
た発光素子と、モニター素子と、モニター素子に定電流を供給する電流源と、アンプとを
備え、
モニター素子は電流源からの定電流により駆動され、
アンプによりモニター素子の陽極側の電位が検出され、検出された電位がカラム信号線に
設定される表示装置である。
【0014】
また、他の構成はカラム信号線と、ロウ信号線と、カラム信号線とロウ信号線に挟まれた
発光素子と、モニター素子と、モニター素子に定電流を供給する電流源と、モニター素子
の両極間の電圧を保持する容量素子と、容量素子と電流源との接続をオンオフする第1の
スイッチと、電流源とモニター素子の接続をオンオフする第2のスイッチと、アンプとを
備え、
モニター素子は電流源からの定電流により駆動され、
アンプによりモニター素子の陽極側の電位が検出され、検出された電位がカラム信号線に
設定されることを特徴とする表示装置である。
【0015】
また、他の構成は、上記構成において、モニター素子は発光素子と同一基板上に形成され
ている表示装置である。
【0016】
上記構成の表示装置を表示部に有することを特徴とする電子機器である。
【0017】
また、本発明はカラム信号線と、ロウ信号線と、カラム信号線とロウ信号線に挟まれた発
光素子と、モニター素子と、を備える表示装置を用いて、
モニター素子を定電流により駆動し、
モニター素子両極間に印加される電圧を検出し、
検出した電圧を発光素子に設定する表示装置の駆動方法である。
【0018】
また、他の構成はカラム信号線と、ロウ信号線と、カラム信号線とロウ信号線に挟まれた
発光素子と、モニター素子と、モニター素子に定電流を供給する電流源と、を備える表示
装置を用いて、
モニター素子を電流源からの定電流により駆動し、
モニター素子の陽極側の電位を検出し、
検出した電位を発光素子に設定する表示装置の駆動方法である。
【0019】
また、他の構成はカラム信号線と、ロウ信号線と、カラム信号線とロウ信号線に挟まれた
発光素子と、モニター素子と、モニター素子に定電流を供給する電流源と、アンプとを備
える表示装置を用いて、
モニター素子を電流源からの定電流により駆動し、
アンプによりモニター素子の陽極側の電位を検出し、検出した電位をカラム信号線に設定
する表示装置の駆動方法である。
【0020】
また、他の構成はカラム信号線と、ロウ信号線と、カラム信号線とロウ信号線に挟まれた
発光素子と、モニター素子と、モニター素子に定電流を供給する電流源と、モニター素子
の両極間の電圧を保持する容量素子と、容量素子と電流源との接続をオンオフする第1の
スイッチと、電流源とモニター素子の接続をオンオフする第2のスイッチと、アンプとを
備える表示装置を用いて、
第1のスイッチ及び第2のスイッチがオンしているときには、モニター素子は電流源から
の定電流により駆動し、
アンプによりモニター素子の陽極側の電位を検出し、検出した電位をカラム信号線に設定
し、
第1のスイッチ及び第2のスイッチがオフすると、オフした瞬間のモニター素子の陽極側
の電位を容量素子が保持し、
容量素子が保持した電位を、アンプにより検出し、検出した電位をカラム信号線に設定す
る表示装置の駆動方法である。
【0021】
また、上記構成において、モニター素子に電流を流す期間は、表示装置が表示を行ってい
る期間の30%の期間である表示装置の駆動方法である。
【0022】
また、上記構成において、モニター素子に電流を流す期間は、g(Qp)/g(Qm)=ex
p[(k・t)β](g(Qp)は発光素子の総電荷量Qpをパラメータとする単調減少関
数、g(Qm)はモニター素子の総電荷量Qmをパラメータとする単調減少関数、kは速度
定数、βは初期劣化を表すパラメータ)を満たすように設定される表示装置の駆動方法で
ある。
【0023】
また、上記構成において、第1のスイッチ及び第2のスイッチは極性の異なるトランジス
タで形成されている表示装置の駆動方法である。
【0024】
また、上記構成において、第1のスイッチ及び第2のスイッチは同じ極性のトランジスタ
で形成されている表示装置の駆動方法である。
【0025】
また、他の構成は、カラム信号線と、ロウ信号線と、有機化合物を含む層が前記カラム信
号線及び前記ロウ信号線により挟まれた領域に形成される発光素子と、第1電極と第2電
極により挟まれた領域に形成されるモニター素子と、第1の電流源と、第2の電流源と、
アンプと、を備え、
プリチャージ期間には、前記第1の電流源から前記モニター素子に電流を供給し、
前記アンプの入力端子には、前記モニター素子の第1の電極の電位が入力され、
前記アンプの出力端子から、前記モニター素子の第1の電極の電位と概略等しい電位を前
記カラム信号線に出力し、
発光期間には、前記第2の電流源から前記モニター素子に電流を供給して発光素子を発光
させる表示装置の駆動方法である。
【0026】
また、他の構成は、カラム信号線と、ロウ信号線と、有機化合物を含む層が前記カラム信
号線及び前記ロウ信号線により挟まれた領域に形成される発光素子と、第1電極と第2電
極により挟まれた領域に形成されるモニター素子と、電流源と、アンプと、を備え、
プリチャージ期間には、前記電流源から前記モニター素子に電流を供給し、
前記アンプの入力端子には、前記モニター素子の第1の電極の電位が入力され、
前記アンプの出力端子から、前記モニター素子の第1の電極の電位と概略等しい電位を前
記カラム信号線に出力し、
発光期間には、前記電流源から前記モニター素子に電流を供給して発光素子を発光させる
表示装置の駆動方法である。
【発明の効果】
【0027】
環境温度の変化と経時変化に起因した、発光素子の電流値の変動による輝度のバラツキを
抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の表示装置の模式図。
【図2】カラム信号線駆動回路及び補償回路を説明する図
【図3】カラム信号線駆動回路及び補償回路を説明する図
【図4】カラム信号線駆動回路及び補償回路を説明する図
【図5】カラム信号線駆動回路及び補償回路を説明する図
【図6】本発明に適用可能なスイッチの構成を説明する図。
【図7】カラム信号線駆動回路及び補償回路を説明する図
【図8】カラム信号線駆動回路及び補償回路を説明する図
【図9】カラム信号線駆動回路及び補償回路を説明する図
【図10】EL素子の電圧・電流特性の温度依存性を説明する図。
【図11】EL素子の経時劣化を説明する電圧・電流特性の図。
【図12】発光素子とモニター素子のデューティー比による経時劣化を説明する電圧・電流特性の図。
【図13】3ビットの時間階調のタイミングチャート。
【図14】モニター素子を複数配置した構成の表示装置を説明する図。
【図15】RGB毎にモニター素子を複数配置した構成の表示装置を説明する図。
【図16】初期特性、1000hr保存後、1000hr駆動後のI−V特性。
【図17】初期状態、1000hr保存後、1000hr駆動後のnとSの変化を説明する図。
【図18】本発明の表示装置を具備する電子機器を示す図。
【図19】モニター素子を複数配置した構成の表示装置を説明する図。
【図20】モニター素子を複数配置した構成の表示装置を説明する図。
【図21】表示パネルの上面構造および断面構造を示す図。
【図22】表示パネルの斜視図。
【図23】発光モジュールの外観を示す上面図。
【図24】発光モジュールの上面図。
【図25】発光モジュールの断面図。
【図26】光の射出方向を説明する図。
【図27】表示パネルの断面構造の他の一例を示す図。
【図28】カラム信号線駆動回路を説明する図。
【図29】カラム信号線駆動回路の動作を説明する図。
【図30】カラム信号線駆動回路を説明する図。
【図31】カラム信号線駆動回路の動作を説明する図。
【図32】カラム信号線駆動回路の接続を説明する図。
【図33】カラム信号線駆動回路の接続を説明する図。
【図34】カラム信号線駆動回路を説明する図。
【図35】カラム信号線駆動回路を説明する図。
【図36】カラム信号線駆動回路の接続を説明する図。
【図37】カラム信号線駆動回路の接続を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの
異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することな
くその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って
、本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0030】
本発明による温度及び劣化補償の基本原理を図1を用いて説明する。図1は温度及び劣化
を補償する回路を有する表示装置の模式図を示したものである。
【0031】
本発明の表示装置は、カラム信号線駆動回路101、ロウ信号線駆動回路102、画素部
103、アンプ104、定電流源105、モニター素子107を備える。画素部103は
複数の発光素子108から構成される。なお、モニター素子107は発光素子108と同
一の電圧電流特性を持つ発光素子で形成する。例えばEL素子で発光素子を形成する場合
には、モニター素子107のEL素子と発光素子108のEL素子は同じEL材料を用い
て、同じ条件で作製するようにする。また、同一基板上に一体形成するのが望ましい。そ
して、本発明の表示装置は温度及び劣化補償機能(以下、単に補償機能というときは温度
及び劣化補償機能をいう)を有する。
【0032】
定電流源105はモニター素子107に定電流を供給する。つまり、モニター素子107
は定電流駆動させる。よってモニター素子107の電流値は常に一定である。この状態で
環境温度が変化すると、モニター素子107自体の抵抗値が変化する。モニター素子10
7の抵抗値が変化すると、当該モニター素子107の電流値は一定であることから、モニ
ター素子107の両電極間の電位差が変化する。この温度変化によるモニター素子107
の電位差を検出することで環境温度の変化を検出する。より詳しくは、モニター素子10
7の一定の電位に保たれている側の電極の電位、つまり図1では陰極の電位は変わらない
ので、電流源105に接続されている側の電位、つまり図1では陽極106側の電位の変
化を検出する。
【0033】
ここで、モニター素子107の電圧・電流特性の温度依存性を図10を用いて説明する。
室温、低温、高温でのモニター素子107の電圧・電流特性をそれぞれ線1001、10
02、1003に示す。定電流源105からモニター素子107へ流れる電流値がI0
あるとき、室温ではモニター素子にはV0の電圧がかかっていることになる。そして、低
温時ではV1の電圧となり、高温時ではV2の電圧となる。つまり、電流値I0の電流が室
温のモニター素子に流れると電圧降下はV0となり、低温のモニター素子では電圧降下は
1となり、高温のモニター素子では電圧降下はV2となる。
【0034】
このようなモニター素子107の電圧の変化を含む情報は、アンプ104に供給され、陽
極106の電位に基づき当該アンプ104で発光素子108に供給する電位を設定する。
つまり図10のように環境温度が低温となった場合には発光素子108にV1の電圧がか
かるように電位を設定し、高温となった場合には発光素子108にV2の電圧がかかるよ
うに電位を設定する。そうすると、温度変化に合わせて、発光素子108に入力する電源
電位を補正することができる。つまり、温度変化に起因した電流値の変動を抑制すること
ができる。
【0035】
また、図11はモニター素子107の経時劣化を説明する電圧・電流特性の図である。モ
ニター素子107の初期特性を線1101、劣化後の特性を1102で表している。なお
、初期特性と劣化後の特性は同じ温度条件で測定したものとする。初期特性の状態でモニ
ター素子107に電流I0が流れるとモニター素子107にかかる電圧はV3、劣化後のモ
ニター素子107にかかる電圧はV4となる。よって、このV4の電圧を、同様に劣化した
発光素子108に印加するようにすれば、見かけ上の発光素子108の劣化を低減するこ
とができる。このように、モニター素子107も発光素子108とともに劣化する場合に
は、発光素子108の劣化に対しても補償することができる。
【0036】
このようにモニター素子107の陽極106の電位の変化に合わせて発光素子108の陽
極に同電位を設定するアンプ104には、オペアンプを用いたボルテージフォロワ回路を
適用することができる。ボルテージフォロワ回路の非反転入力端子は高入力インピーダン
スで、出力端子は低出力インピーダンスであるため、入力端子と出力端子を同電位とし、
定電流源105の電流がボルテージフォロワ回路に流れ込むことなく出力端子からは電流
を供給することができるからである。よって、このような機能を有する回路であればボル
テージフォロワ回路に限られないことはいうまでもない。
【0037】
このように、発光素子108の陽極の電位が設定され、カラム信号線S1〜Snに出力さ
れる。そして選択されているロウ信号線V1〜Vm(図1ではGNDに接続されているロ
ウ信号線をいう)と各カラム信号線S1〜Snとが交差する領域の画素に、バイアスが印
加され、電流が流れると発光素子108が発光する。なお、選択されていないロウ信号線
とは、VDDの電位の端子に接続され発光素子108に電流が流れない(又は発光しない
)ようになっていることをいう。
【0038】
ここで、発光素子の階調表示の方式について説明する。図13は時間階調方式の3ビット
の階調を得る例のタイミングチャートを示している。1フレーム期間を垂直方向の画素数
で割った期間がほぼ1水平ライン期間となる。3ビットすなわち8階調で表示を行う場合
には、図13に示すように、階調に比例してカラム信号線S1〜Snへ電位を出力する期
間を設定すればよい。
【0039】
なお、アクティブマトリクス方式ではほとんど1フレーム期間中、各画素の発光素子を点
灯させることができるが、上述したようにパッシブマトリクス方式の時間階調の線順次駆
動法においては1フレーム期間中、各画素の発光素子が点灯する期間は1水平ライン期間
以上に設定することができないため、各画素の輝度を瞬間的に大きくする必要がある。例
えば、画素数が同じアクティブマトリクス方式において、各画素が必要な輝度に垂直方向
の画素数を乗算した値がパッジブマトリクス方式の各画素の瞬間的に必要な輝度となる。
このように、瞬間的に大きな輝度得るためには電力消費も増大してしまうことになる。ま
た、各画素の輝度を高くするため瞬間的に大電流が流れると、発光素子の劣化もより進行
してしまうことになる。
【0040】
よって、パッシブマトリクス方式において定電流駆動を採用すると、電流源に飽和領域で
動作するトランジスタを用いた場合には、ソース側の電位を非常に高く設定する必要があ
る。というのも、上述したように、発光素子を瞬間的に高輝度にする必要があり、大電流
を要する上、電流源として用いるトランジスタを飽和領域で動作させるため、発光素子に
必要な印加電圧以上の電位を設定する必要があるからである。また、瞬間的に高輝度にす
るために大電流を流すことから、発光素子の劣化の進行も早いので、その劣化によって発
光素子に同じ電流を流すためにはより印加電圧を要することとなる。そのため、あらかじ
め電流源として用いるトランジスタのソース側の電位をより高く設定しておかなければな
らない。
【0041】
しかし、本発明により、発光素子の陽極側の電位を決定すれば、定電流駆動のようにあら
かじめ高い電位を設定することなく定輝度駆動することができる。
なお、図1ではモニター素子107がひとつの場合について示してあるが、複数個のモニ
ター素子を並列に接続してもよい。例えば、X個のモニター素子を並列に接続するのであ
れば定電流源105の電流値をX倍にするとよい。
【0042】
(実施の形態1)
本実施の形態では本発明の表示装置の具体的な構成について説明する。
【0043】
まず、本発明の表示装置に適用可能なカラム信号線駆動回路について説明する。図2に示
すカラム信号線駆動回路は、温度及び劣化補償回路(以下単に補償回路という。)によっ
て設定された電位のカラム信号線S1〜Snへの出力期間を制御して時間階調表示を行う
ことができる。
【0044】
まず、定電流源201はモニター素子202に定電流を供給する。つまりモニター素子2
02は定電流駆動を行う。そして、モニター素子の陽極203側の電位をアンプ204に
より検出し、カラム信号線へ出力する。なお、本実施の形態ではアンプとしてボルテージ
フォロワ回路を用いているが同様の機能を有する回路であればこれに限られないことはい
うまでもない。
【0045】
また、パルス出力回路205からパルスが出力され、そのパルスにしたがって第1のラッ
チ回路206に順々にビデオ信号(DATA)が入力される。そして第1のラッチ回路で
保持されたデータはラッチパルス(SLAT)の信号のタイミングにより第2のラッチ回
路207に入力される。そして、第2のラッチ回路207に保持されたデータがスイッチ
208a1〜208anのオンの期間を制御し、カラム信号線S1〜Snへ出力する、つ
まり発光素子へ電位を供給する期間を設定する。こうして時間階調表示を行うことができ
る。
【0046】
なお、実際には例えば3ビットの階調を行う場合には第1のラッチ回路206及び第2の
ラッチ回路207は各カラム信号線に対して3つのラッチ回路を有し、各カラム信号線毎
に3ビットのデータを保持するようにする。そして第2のラッチ回路から出力された3ビ
ットのデータを8階調で階調を行う場合のパルス幅に変換し、そのパルス幅の期間スイッ
チ208a1〜208anをオンさせるようにする。こうして8階調の表示を行うことが
できる。
【0047】
次に、図2のカラム信号線駆動回路を表示装置に適用した一例を図14に示す。図14の
構成はロウ信号線の数と同数のモニター素子1407a1〜1407amを並列に配置し
た構成となっている。表示装置はロウ信号線駆動回路1402、カラム信号線駆動回路1
401、画素部1403を有する。カラム信号線駆動回路1401はパルス出力回路14
08、第1のラッチ回路1409、第2のラッチ回路1410、スイッチ1411を有す
る。本構成では、第1のラッチ回路1409に入力を行っている時に第2のラッチ回路1
410では出力を行うことができる。そして、ロウ信号線駆動回路1402から信号が出
力され、ロウ信号線V1〜Vmから一つのロウ信号線を選択する。そして、選択されたロ
ウ信号線とカラム信号線に設定された電位との電位差がロウ信号線とカラム信号線に挟ま
れた発光素子1412に印加される。そして、電流が流れると発光素子1412が点灯す
る。このとき、カラム信号線に設定される電位の大きさは各カラム信号線で同じように設
定されるが、電位が供給される期間が異なる。こうして時間階調表示を行うことができる

【0048】
本発明は、電流源1405から、並列接続したモニター素子1407a1〜1407am
に定電流を流す。つまり定電流駆動を行う。そして、これらのモニター素子1407a1
〜1407amの陽極1406の電位を検出し、ボルテージフォロワ回路1404により
カラム信号線に供給する電位を設定する。こうして、温度及び劣化補償の機能を備えた表
示装置を提供することができる。
【0049】
このように温度及び劣化補償の機能を備え、定輝度駆動させる駆動方法のことをコンスタ
ントブライトネスともいう。
【0050】
なお、モニター素子の数は適宜選択することができる。もちろん、一個でも構わないし、
図14のように複数配置しても構わない。モニター素子を一つだけ用いるときには定電流
源1405に流す電流値は各画素の発光素子に流したい電流値を設定すればよいため消費
電力の低減を図ることができる。
【0051】
また、図14の構成に限られず、モニター素子をカラム信号線駆動回路側に配置しても構
わないし、画素部を挟んでロウ信号線駆動回路とは反対側に配置しても構わないし、画素
部を挟んでカラム信号線とは反対側に配置しても構わない。温度補償の機能を効果的に発
揮するため適宜モニター素子の配置を選択することができる。
【0052】
また、モニター素子と発光素子は同一基板上に同一の材料で同時に形成することが好まし
い。そうすることで、モニター素子と発光素子の電流電圧特性のばらつきを低減すること
ができるからである。
【0053】
なお、図14の構成のように各カラム信号線に設定する電位が共通とする場合には、単色
の表示装置や、白色発光が得られる発光素子とカラーフィルターとを組み合わせることに
よりフルカラー表示可能な表示装置に適用するとよい。
【0054】
また、RGBの画素毎に電源線の電位を設定することもできる。その一例を図9に示す。
図2と共通のところは共通の符号を用いている。
【0055】
ここで、R(赤)の発光をする画素に接続されているカラム信号線はカラム信号線Sr1
〜Srnで示している。G(緑)の発光をする画素に接続されているカラム信号線はカラ
ム信号線Sg1〜Sgnで示している。B(青)の発光をする画素に接続されているカラ
ム信号線はカラム信号線Sb1〜Sbnで示している。
【0056】
図9のカラム信号線の動作について簡単に説明する。パルス出力回路905からパルスが
出力され、そのパルスにしたがって第1のラッチ回路906に順々にビデオ信号(DAT
A)が入力される。そして第1のラッチ回路906で保持されたデータはラッチパルス(
SLAT)の信号のタイミングにより第2のラッチ回路907に入力される。そして、第
2のラッチ回路907に保持されたデータがスイッチ908r1〜908rn、908g
1〜908gn、908b1〜908bnのオンの期間を制御し、カラム信号線Sr1〜
Srn、カラム信号線Sg1〜Sgn、カラム信号線Sb1〜Sbnへ出力する、つまり
発光素子へ電位を供給する期間を設定する。こうして時間階調表示を行うことができる。
【0057】
ここで、電流源901rはモニター素子902rに電流を供給し、ボルテージフォロワ回
路904rがモニター素子902rの陽極903rの電位を検出し、この電位をカラム信
号線Sr1〜Srnに設定する。電流源901gがモニター素子902gに電流を供給し
、ボルテージフォロワ回路904gがモニター素子902gの陽極903gの電位を検出
し、この電位を信号線Sg1〜Sgnに設定する。電流源901bはモニター素子902
bに電流を供給し、ボルテージフォロワ回路904bがモニター素子902bの陽極90
3bの電位を検出し、この電位を信号線Sb1〜Sbnに設定する。こうして、RGB毎
に電位を設定することができるため、例えば、RGB毎のEL材料によって温度特性や劣
化特性が異なるときに、所望の電位を発光素子に設定することができる。つまりRGB毎
にカラム信号線の電位を設定し、補正することができる。
【0058】
(実施の形態2)
本実施の形態では劣化補償の精度をさらに高めた構成について説明する。
【0059】
表示装置を長期間使用し続けると、モニター素子と発光素子には劣化の進行に差が生じて
くる。この差は使用期間が長ければ長いほど大きくなり、劣化補償の機能が低下すること
になる。
【0060】
ここで、劣化に差が生じた場合について図12を用いて説明する。図1におけるモニター
素子107及び発光素子108の電圧・電流特性の初期特性を線1201、表示装置をあ
る期間使用したときのモニター素子107の劣化後の特性を線1202、発光素子108
の劣化後の特性を線1203で表している。このようにモニター素子107の劣化と発光
素子108の劣化の進行には差が生じる。なぜならば、表示装置が表示を行っている時に
は常にモニター素子107には電流が流れ続けている。ところが画素のそれぞれの発光素
子108は発光している期間と非発光期間が存在するためモニター素子107と発光素子
108の経時劣化には誤差が生じてくる。つまり、モニター素子の劣化に比べ、発光素子
の劣化の進行は遅れることになる。
【0061】
ここで、モニター素子107と発光素子108の初期特性において、モニター素子107
と発光素子108に電流値I0の電流が流れるとき、初期特性ではモニター素子にはV5
電圧がかかることになる。そして、発光素子108の劣化後ではV6、モニター素子10
7の劣化後ではV7の電圧がかかることになる。逆に言えば劣化後の発光素子108に電
流値I0を流すためにはV6の電圧を印加する必要があり、劣化後のモニター素子107に
電流値I0を流すためにはV7の電圧を印加する必要がある。
【0062】
この状態でモニター素子107の陽極106の電位V7を検出し、アンプ104によって
発光素子108にこの電位V7が設定されると、発光素子に電流値I0を流すために必要な
電圧V6以上の電圧が印加されることになり消費電力が大きくなってしまう。また、画素
の各々の発光素子は劣化の進行が異なるため、必要以上の電圧が加わると焼きつきが目立
つようになる。
【0063】
そこで、本実施の形態では、各々の発光素子の劣化とモニター素子の劣化の進行をより近
いものにして、劣化補償の精度を向上させるものである。
【0064】
そのため、本実施の形態では、表示装置の各画素の発光素子の発光期間の平均した期間を
モニター素子に流す電流の期間に設定する。好ましくは、表示装置が表示を行っている期
間の10%から70%の期間をモニター素子に電流が流れるようにする。
【0065】
ここで、表示装置において各画素の発光素子の発光期間と非発光期間の比の平均値は実質
的に3:7の比である。よって、より好ましくは表示装置が表示を行っている期間のうち
30%の期間をモニター素子に電流を流すようにする。
【0066】
モニター素子の発光期間を設定することができる補償回路の構成を図3に示す。図2と共
通のところは共通の符号を用いている。図2の構成と違うところは容量素子301と第1
のスイッチ302と第2のスイッチ303を有するところである。
【0067】
モニター素子202に定電流を流すときには第1のスイッチ302及び第2のスイッチ3
03をオンにする。するとモニター素子202に電流が流れ、モニター素子202の陽極
203側の電位が容量素子301に蓄積されるとともに、ボルテージフォロア回路204
の非反転入力端子にこの電位が入力され、出力端子に同電位が出力される。こうして、環
境温度の変化により電圧・電流特性の変化した発光素子に所望の電位を設定することがで
きる。
【0068】
そして、モニター素子202を非発光とするときには、第1のスイッチ302及び第2の
スイッチ303をオフにし、モニター素子202の陽極203側の電位を容量素子301
に保持させる。このとき第2のスイッチ303は第1のスイッチ302と同時にオフさせ
るか、少なくとも先にオフさせる。第1のスイッチ302第2のスイッチ303より先に
オフしてしまうと、モニター素子202の陽極側の電位を蓄積していた容量の電位が変動
してしまうからである。
【0069】
こうして非発光期間においても、第2のスイッチ303をオフにした瞬間のモニター素子
202の陽極203側の電位が、ボルテージフォロワ回路204の非反転入力端子に入力
される。そしてボルテージフォロワ回路204の出力端子には同電位が出力され、第2の
スイッチ303をオフにした瞬間のモニター素子202に流れていた電流を発光素子に流
すことができる。
【0070】
この構成においてはモニター素子に電流を流している期間に温度補償機能を果たすことが
できるので、劣化補償と温度補償の両方を実現することができる。本実施の形態において
は、特に劣化補償の機能が優れている。
【0071】
ここで、上述したように表示装置の時間階調表示において、1フレーム期間あたりの各画
素の発光と非発光の比の平均値は実質的に3:7の比となる。よって、表示装置の表示を
行っている間中、電流を流し続けるモニター素子に流れる電流量と、各発光素子に流れる
電流量の平均の比は10:3になることが分かる。よって、モニター素子に電流を流す期
間を1フレーム期間あたり30%に設定することでモニター素子と、画素の発光素子の劣
化の進行を近づけることができる。つまり劣化補償の精度を向上させることができる。
【0072】
また、上記構成においてRGB毎に劣化補償のモニター素子を設け、さらなる精度の向上
した劣化補償及び温度補償機能を実現することができる。RGB毎にELの劣化進行や寿
命が異なる場合や、RGB毎にEL素子の温度依存性I-V特性が異なる場合に、それぞれ
のRGB毎の発光素子に対応したモニター素子を設けて温度補償及び劣化補償を行うとよ
い。さらにRGBのそれぞれの発光素子の発光期間と非発光期間の比の平均値(デューテ
ィー比)に合わせてそれぞれのRGB毎のモニター素子の発光期間を設定することでさら
なる劣化補償の精度が向上する。つまり、モニター素子の劣化進行と各発光素子の劣化の
進行の平均値が概ね等しくなるので、より劣化補償の制度が高くなる。さらに、モニター
素子も同色のEL材料を用いることができるので発光素子温度補償の精度も向上させるこ
とができる。
【0073】
(実施の形態3)
本実施の形態では温度補償の精度を維持しつつ、劣化補償の精度を高めた構成について図
4を用いて説明する。
【0074】
表示装置は電流源201、モニター素子401a及びモニター素子401b、ボルテージ
フォロワ回路204、スイッチ402a及びスイッチ402bを有する。
【0075】
本構成の補償回路の動作について簡単に説明する。スイッチ402a又は402bが交互
にオンするようにする。すると、必ずモニター素子401a又はモニター素子401bに
電流が流れる。そして、これらのモニター素子のどちらかの陽極(陽極403a又は40
3b)の電位をボルテージフォロワ回路204で検出し、その電位をカラム信号線S1〜
Snに設定することができる。また、スイッチ402a及び402bがオンする期間を同
じに設定すれば、モニター素子401a及び401bの経時劣化を遅らせることができる

【0076】
また、常にどちらかのモニター素子に電流を流し、そのモニター素子の陽極の電位を検出
し、発光素子の陽極の電位を設定しているため、温度補償も常に行うことができる。
【0077】
このように動作させることができるスイッチの一例を図5に示す。スイッチ501が図4
におけるスイッチ402a及び402bの機能を果たす。スイッチ501の端子aは電流
源201に接続され、端子bはモニター素子401aの陽極403aに、端子cはモニタ
ー素子401bの陽極403bに接続されている。モニター素子401aに電流源201
からの電流を流すときにはスイッチ501の端子aと端子bが導通状態になり、モニター
素子401bに電流を流すときには端子aと端子cが導通状態になる。
【0078】
スイッチ501の具体的構成の例を図6に示す。スイッチ501はアナログスイッチ60
1及び602並びにインバータ603を有する。制御信号がアナログスイッチ601及び
アナログスイッチ602の制御入力端子に入力され、アナログスイッチ601又はアナロ
グスイッチ602のいずれかがオンする。こうして、モニター素子401a又はモニター
素子401bのいずれに電流を流すかを選択することができる。
【0079】
また、スイッチ402a及びスイッチ402bの機能を図7に示すようにトランジスタを
用いて実現することができる。Pチャネル型のスイッチング用トランジスタ701とNチ
ャネル型のスイッチング用トランジスタ702を用いる。スイッチング用トランジスタ7
01のソース端子と、スイッチング用トランジスタ702のドレイン端子とが電流源20
1に接続され、スイッチング用トランジスタ701のドレイン端子がモニター素子401
aの陽極403aと、スイッチング用トランジスタ702のソース端子がモニター素子4
01bの陽極403bと接続されている。これらのトランジスタのゲート端子に制御信号
が入力される。するとスイッチング用トランジスタ701及び702は極性が異なること
からどちらかがオンする。こうしてモニター素子401a又は401bを選択することが
できる。もちろん、この構成を図14で示した表示装置のように複数のモニター素子を配
置した構成にすることもできる。
【0080】
なお、図8に示すように同じ極性のトランジスタを用いても同様の機能を果たすことがで
きる。一方のスイッチング用トランジスタ801の制御入力端子には制御信号をそのまま
入力し、他方のスイッチング用トランジスタ802には制御信号をインバータ803を介
して入力する。すると制御信号が反転してスイッチング用トランジスタ802に入力され
るため、どちらかのスイッチング用トランジスタをオンにすることができる。なお、図8
においてはNチャネル型のトランジスタ801及び802を用いて説明したが、もちろん
Pチャネル型のトランジスタのみを用いても同様の機能を果たすことができる。この構成
はもちろん図14のようにロウ信号線の行数分だけスイッチング用トランジスタ801及
び802を一組づつ配置してもよい。
【0081】
なお、選択するモニター素子は二つに限られず複数を並列に配置して劣化進行をさらに遅
くすることができる。したがって三つのモニター素子を並列に配置し、電流を流すモニタ
ー素子を順々に選択することにより、発光素子とモニター素子の劣化の進行を近づけるこ
ともできる。適宜モニター素子の数を配置し、切り替えることでモニター素子の劣化と発
光素子の劣化の進行を近づけることができる。
【0082】
また、図19の構成のように、モニター素子1901a1〜1901amの陰極がロウ信
号線V1〜Vmに接続されている構成とすると、ロウ信号線に接続されているモニター素
子毎にモニター素子が切り替わる。つまり、選択されているロウ信号線(カラム信号線か
らの信号電位により、発光素子に電流が流れるように電位差が生じるための電位が設定さ
れているロウ信号線)に接続されているモニター素子だけに電流が流れるため、発光素子
とモニター素子とのデューティー比を近づけることができる。また、複数のモニター素子
を配置すればモニター素子毎の特性のばらつきを平均化することができる。一例として、
各ロウ信号線V1〜Vmにモニター素子を3個づつ並列に接続した構成を図20に示す。
図20の構成ではロウ信号線V1〜Vmにモニター素子2001a1〜2001am、2
001b1〜2001bm、2001c1〜2001cmの陰極がそれぞれ接続されてい
る。よって、発光素子とモニター素子のデューティー比を近づけることができると共に、
並列に接続された3個によってモニター素子の特性が平均化される。なお、並列に接続す
ることができるモニター素子の数は3個に限られず適宜配置することができる。
【0083】
また、図9で説明したようにRGBの画素毎に電位を設定する構成を図19の構成に適用
することもできる。そのような構成を図15に示す。図15の構成はRGB毎に電位を設
定するため、Rの発光素子と同様の材料で形成されたモニター素子群1507r、Gの発
光素子と同様の材料で形成されたモニター素子群1507g、Bの発光素子と同様の材料
で形成されたモニター素子群1507bとを有する。なお、各モニター素子群にはロウ信
号線の数と同数のモニター素子を有している。表示装置はロウ信号線駆動回路1502、
カラム信号線駆動回路1501、画素部1503を有する。カラム信号線駆動回路150
1はパルス出力回路1508、第1のラッチ回路1509、第2のラッチ回路1510、
スイッチ1511を有する。また、画素部1503はRの発光素子1512r、Gの発光
素子1512g、Bの発光素子1512bを有する。本構成では、第1のラッチ回路15
09に入力を行っている時に第2のラッチ回路1510では出力を行うことができる。そ
して、ロウ信号線駆動回路1502から信号が出力され、ロウ信号線V1〜Vmから一つ
のロウ信号線を選択する。そして、選択されたロウ信号線とカラム信号線に設定された電
位との電位差がロウ信号線とカラム信号線に挟まれた発光素子に印加される。そして、電
流が流れると発光素子が点灯する。このとき、カラム信号線に設定される電位の大きさを
RGB毎に異なるようにすることができる。なお、RGB毎の各カラム信号線の電位は同
じように設定されるが、電位が供給される期間が異なる。こうして時間階調表示を行うこ
とができる。
【0084】
本発明は、電流源1505rから、並列接続したモニター素子を複数有するモニター素子
群1507rに定電流を流し、電流源1505gから、並列接続したモニター素子を複数
有するモニター素子群1507gに定電流を流し、電流源1505bから、並列接続した
モニター素子を複数有するモニター素子群1507bに定電流を流す。つまり定電流駆動
を行う。ただし、モニター素子が接続されたロウ信号線が選択されているとき(ロウ信号
線に、カラム信号線からの信号電位により、発光素子に電流が流れるように電位差が生じ
るための電位が設定されているとき)にしかモニター素子には電流が流れないため、各モ
ニター素子群1507r、モニター素子群1507g、モニター素子群1507bの中の
一個づつのモニター素子にしか電流は流れない。つまり、電流源1505r、1505g
、1505bはそれぞれモニター素子一つを定電流駆動するための電流値を設定すればよ
い。そして、ボルテージフォロワ回路1504rにより、モニター素子群1507rの陽
極1506rの電位を検出し、カラム信号線Sr1〜Srnに供給する電位を設定し、ボ
ルテージフォロワ回路1504gにより、モニター素子群1507gの陽極1506gの
電位を検出し、カラム信号線Sg1〜Sgnに供給する電位を設定し、ボルテージフォロ
ワ回路1504bにより、モニター素子群1507bの陽極1506bの電位を検出し、
カラム信号線Sb1〜Sbnに供給する電位を設定する。したがって、ロウ信号線が切り
替わる毎にモニター素子も切り替えることができるため、各モニター素子のデューティー
比を発光素子のデューティー比に近づけることができるとともに、RGBの発光素子毎に
電位を設定することができるため、RGB毎の素子特性を考慮して、発光素子に電位をせ
っていすることができる。よって、温度及び劣化補償の機能を備えた表示装置を提供する
ことができる。
【0085】
(実施の形態4)
本実施の形態では、モニター素子と画素内の発光素子のデューティー比に伴う経時劣化の
誤差を修正するための方法について説明する。
【0086】
有機薄膜に流れる電流はトラップ電荷制限電流(Trap Charge Limite
d Current;TCLC)と呼ばれ、以下の式(1)で表される。
J=S・Vn・・・(1)
(J:電流密度、V:電圧、S:EL素子の材料や構造で決まる数値、n:2以上の数値

そして、式(1)を変形すると式(2)のようになる。
logJ=n・logV+logS・・・(2)
【0087】
式(2)は傾きnの直線で示すことができ、また、logSが小さいほどその直線は高電圧側
にシフトする。ここで、ある素子構造のEL素子において初期のI−V特性(図16では
初期特性と示す)、1000hr室温で保存した後のI−V特性(図16では1000h
r保存後と示す)、室温で1000hr・初期輝度1000cd/m2で定電流駆動した
後(輝度は30%低下後)のI−V特性(図16では1000hr駆動後と示す)を図1
6に示す。図16からも分かるように1000hr駆動後だけでなく、駆動せずに100
0hr保存後のI−V特性も初期特性から高電圧側にシフトしていることが分かる。
【0088】
次に、EL素子の初期状態、室温で1000hr保存した後の状態、室温で1000hr
・初期輝度1000cd/m2で定電流駆動した後(輝度は約30%低下後)の状態のn
とSの値の変化を図17に示す。nは線401で示しており、Sは線402で示している
。図17から分かるように、nは1000hr電流を流さずに保存するだけでも減少して
おり、しかもその減少率は、1000hr電流を流して駆動した場合とほとんど変わらな
い。すなわち、nは電流を流す流さないにかかわらず、ほぼ時間経過のみで減少していく
パラメータである。つまり、下記の式(3)で表すことができる。
n=f(t)・・・(3)
【0089】
一方、Sは1000hr保存するだけではほとんど変化せず、電流を流すことで初めて減
少するパラメータである。時間に依らず、電流を流すことに依存するということは、流れ
た総電荷量Q(すなわち電流×時間=[C])の関数であることいえる。すなわち、下記
の式(4)で表すことができる。
S=g(Q)・・・(4)
【0090】
なお、Sは電流を流すことによって減少していくことから、g(Q)は単調減少の関数である
。また、式(1)、(3)、(4)より、モニター素子のI−V特性及び画素のI−V特
性は以下の式(5)、(6)ように表すことができる。
0=g(Qm)・Vf(t)・・・(5)
p=g(Qp)・Vf(t)・・・(6)
【0091】
0はモニター素子の電流密度(=一定)、Jpは画素の電流密度、Qmはモニター素子に
流れた総電荷量、Qpは画素に流れた総電荷量、Vは電圧、tは時間を表す。そして、式
(5)、(6)から、画素に流れる電流密度Jpは以下の式(7)で表すことができる。
p=J0・g(Qp)/g(Qm)・・・・(7)
【0092】
g(Q)は単調減少の関数なので、デューティー比が異なり、画素よりもモニター素子に
より多くの電荷を加えると、常にJpはJ0よりも大きくなる。この式(7)は本発明の補
償機能による画素の電流密度Jpの上昇率を表したものである。つまり、このJpをある式
にしたがって増加していけば理想的な定輝度駆動を行うことができるといえる。
【0093】
まず、画素の輝度をL、電流効率をηとすると、式(8)のように表すことができる。
L=η・Jp・・・(8)
【0094】
また、初期輝度をL0、初期の電流密度をJ0とすると、電流効率ηは式(9)で表すこと
ができる。
η=L0/J0・exp[−(k・t)β]・・・(9)
という劣化曲線となる(kは速度定数、βは初期劣化を表すパラメータをいう。ここで速
度とは、発光種が経時的に発光種ではなくなる速度をいい、速度定数が大きいほど早く劣
化することになる。)。よって式(8)、(9)より式(10)が得られる。
L=Jp・L0/J0・exp[−(k・t)β]・・・(10)
【0095】
ここで、輝度を一定にするためには、L=L0(=一定)とならなければならないため、
式(10)にL=L0を代入することにより式(11)が得られる。
p=J0・exp[(k・t)β]・・・(11)
【0096】
つまり、Jpを式(11)にしたがって上昇させていくことにより定輝度駆動に近づくと
考えられる。そして、式(7)、(11)から式(12)が得られる。
g(Qp)/g(Qm)=exp[(k・t)β]・・・(12)
【0097】
また、「g(Qp)/g(Qm)」がexp[(k・t)β]に近づくようにQpとQmを選択
することにより定輝度駆動に近づくと考えられる。よって、式(12)を満たすように発
光素子とモニター素子のデューティー比を設定することで、より劣化補償の精度を高める
ことができる。
【0098】
(実施の形態5)
また、本実施の形態では、実施の形態1乃至3で示した表示装置を用いて、表示をしてい
ない期間に画素内の発光素子の経時劣化補正を行う方法について説明する。
【0099】
発光素子の経時変化の進行の度合いは、初期に大きく、時間と共に段々少なくなって い
く。従って、発光素子を用いた表示装置では、発光素子の輝度調整前(例えば出荷前)に
、全ての発光素子の初期の経時変化を生じさせてしまう初期エージング処理を行うとよい
。このような初期エージング処理を行って、発光素子の初期の急減な経時変化を予め生じ
させておけば、その後、経時変化が急激に進行することはないため、経時変化を起因とし
た焼き付きなどの現象を軽減することができる。
【0100】
なお、初期エージング処理は、発光素子をある期間だけ点灯させることで行うが、好まし
くは、通常の使用時よりも高い電圧をかけるとよい。そうすれば、初期の経時変化が短時
間で生じることになる。
【0101】
また、本発明の表示装置を充電式の蓄電器を用いて動作させる場合には、表示装置の使用
状態ではない充電中に、全ての画素を点灯又は点滅させる処理、標準画像(例えば待ち受
け画像など)の明暗を反転させた画像を表示する処理、ビデオ信号をサンプリングするこ
とにより、点灯頻度の低い画素を検出して、当該画素を点灯又は点滅さ せる処理などを
行うとよい。上記のように、使用状態ではないときに、焼き付きの低 減を目的として行
う上記の処理は、フラッシュアウト処理とよぶ。このフラッシュアウト処理を行えば、当
該処理後に、焼き付きを低減することができる。焼き付きが生じたとしても、その焼き付
いた画像の一番明るい箇所と、一番暗い箇所との差を5階調以下、さらに好ましくは1階
調に設定することができる。また、焼き付きを軽減するためには、上記の処理以外に、な
るべく画像を長期間固定化しないようにする処理を行うとよい。
【0102】
(実施の形態6)
本実施の形態では、電流源からモニター素子に電流を供給し、モニター素子に発生する電
圧を用いてカラム信号線のプリチャージを行う電流駆動のパッシブマトリクス表示装置に
ついて説明する。
【0103】
まず、発光時間の長さで階調を表現する場合のパッシブマトリクス表示装置に適用可能な
カラム信号線駆動回路の模式図を図28に示す。つまり、各カラム信号線へ流す電流値は
等しく、その電流の供給の時間を制御して階調を表現する。なお、本実施の形態において
示すカラム信号線駆動回路は、図1に示す表示装置に適用可能であり、画素部103やロ
ウ信号線駆動回路102の動作については実施の形態1を参照されたい。
【0104】
パルス出力回路2801、第1のラッチ回路2802、第2のラッチ回路2803、パル
ス幅制御回路2804、電流源回路2805、切り替え回路2806及びプリチャージ回
路2807を有する。
【0105】
プリチャージ回路2807には、電流源2808と、電流供給用スイッチ2811と、モ
ニター素子2809と、アンプ2810とを有している。そして、電流源2808は電流
供給用スイッチ2811を介してモニター素子2809の陽極と接続されている。
【0106】
また、切り替え回路2806は、電流源回路2805の各段の電流源2812と各列のカ
ラム信号線との導通又は非導通を切り替える発光用スイッチ2814を有している。また
、切り替え回路2806は、発光用スイッチ2814がオンしている列のカラム信号線に
プリチャージを行うため、アンプ2810の出力端子とカラム信号線とを導通又は非導通
に切り替えるプリチャージ用スイッチ2813を有している。
【0107】
パルス出力回路2801にはクロック信号(CLK)やスタートパルス信号(SP)など
が入力されている。そして、これらの信号のタイミングに従って、パルス出力回路280
1からサンプリングパルスが出力される。
【0108】
パルス出力回路2801から出力されたサンプリングパルスは第1のラッチ回路2802
に入力される。また、第1のラッチ回路2802にはビデオ信号(DATA)が入力され
ている。そして、サンプリングパルスの入力されるタイミングに従ってビデオ信号は第1
のラッチ回路2802の各段に保持される。
【0109】
そして、第2のラッチ回路2803にラッチパルス(SLAT)が入力されると、第1の
ラッチ回路2802の各段に保持されたビデオ信号(DATA)は一斉に第2のラッチ回
路2803に転送される。
【0110】
そして、第2のラッチ回路2803に保持された信号は、パルス幅制御回路2804によ
ってそれぞれのパルス幅のパルスへ変換される。そして、このパルス幅制御回路2804
から出力されるパルスのパルス幅に従って、切り替え回路2806の各段の発光用スイッ
チ2814のオンする期間が設定される。そして、発光用スイッチ2814がオンしてい
る段の電流源回路2805の各電流源2812から、カラム信号線S1〜Snのそれぞれ
を介して選択されているロウ信号線へ電流が流れる。
【0111】
なお、各行のロウ信号線を順次選択するとき、ロウ信号線を選択する都度、その直前若し
くは同時に電流供給用スイッチ2811とプリチャージ用スイッチ2813をオンにする
。すると、電流源2808からモニター素子2809へ電流が供給される。そして、モニ
ター素子2809の両電極間に電圧が発生する。このときのモニター素子2809の陽極
の電位はアンプ2810の入力端子に入力される。そして、アンプ2810は出力端子か
ら入力端子と概略等しい電位を出力する。この出力は、発光用スイッチ2814がオンし
ている段のスイッチ2813を介してカラム信号線に入力される。このとき電流は図29
(A)のように流れる。なお、実際には電流源2812からも電流は流れるが、アンプ2
810の出力インピーダンスが低いため、電流源2812から流れる電流は小さい。
【0112】
その後、電流供給用スイッチ2811とプリチャージ用スイッチ2813は直ぐにオフに
する。なお、上述したように、アンプ2810は出力インピーダンスが低いので、素早く
カラム信号線の電位をモニター素子2809の陽極の電位にすることができる。つまり、
モニター素子2809は画素の発光素子と同じ材料で形成しているため、カラム信号線に
は、電流源2808の電流を発光素子に流すために必要な電位がカラム信号線にすでに入
力されている。よって、電流源2808と電流源2812の電流値を等しくしておけば、
発光用スイッチ2814がオンしている段のカラム信号線と選択されているロウ信号線で
構成される発光素子を素早く発光させることができる。このとき電流は図29(B)のよ
うに流れる。
【0113】
つまり、図32(A)に示すように、プリチャージ期間には、電流源2808とモニター
素子2809とが導通し、アンプ2810は、入力端子がモニター素子2809の陽極と
導通し、出力端子が発光素子3201の陽極と導通している。そして、電流源2812と
発光素子3201の陽極とは非導通となるようにする。また、図32(B)に示すように
、発光期間には、電流源2808とモニター素子2809の陽極とは非導通とし、電流源
2812と発光素子3201の陽極とを導通にする。そして、アンプ2810の出力端子
が発光素子3201の陽極と非導通になるようにする。このように接続すればよく、図2
8のような構成に限られない。
【0114】
また、発光用スイッチ2814がオフすると、その列の画素の発光素子が直ぐに非発光と
なるように電位を入力するとよい。つまり、図34に示すように、発光用スイッチ281
4がオフするとオンするスイッチ3401を介してカラム信号線と配線3402とが接続
されている構成にする。なお、配線3402の電位は選択されている画素の発光素子がオ
フする電位にしておく。
【0115】
このような構成の場合、プリチャージ期間には、図36(A)に示すように、電流源28
08とモニター素子2809の陽極とが導通し、アンプ2810は、入力端子がモニター
素子2809の陽極と導通し、出力端子が発光素子3201の陽極と導通している。そし
て、電流源2812と発光素子3201の陽極とは非導通となるようにしてもよいし、導
通しててもよい。また、配線3402は発光素子3201の陽極(カラム信号線)とは非
導通にしておく。
【0116】
また、発光期間には、図36(B)に示すように、電流源2808とモニター素子280
9の陽極とは非導通とし、電流源2812と発光素子3201の陽極とを導通にする。そ
して、アンプ2810の出力端子が発光素子3201の陽極と非導通になるようにする。
また、配線3402は発光素子3201の陽極(カラム信号線)とは非導通にしておく。
【0117】
そして、その列の画素の発光期間が終了したら、図36(C)に示すように、電流源28
12と発光素子3201の陽極とを非導通にするとともに、発光素子3201の陽極を配
線3402と接続する。
【0118】
よって、このように接続すればよく、図34のような構成に限られない。
【0119】
次に、発光強度の違いで階調を表現する場合のパッシブマトリクス表示装置のカラム信号
線駆動回路の模式図を図30に示す。
【0120】
パルス出力回路3001、第1のラッチ回路3002、第2のラッチ回路3003及び電
源回路3004を有する。なお、電源回路3004は、電流源3005とモニター素子3
006とアンプ3007と第1のプリチャージ用スイッチ3008と第2のプリチャージ
用スイッチ3009と発光用スイッチ3010とを有する。
【0121】
パルス出力回路3001にはクロック信号(CLK)やスタートパルス信号(SP)など
が入力されている。そしてパルス出力回路3001からサンプリングパルスが出力される

【0122】
パルス出力回路3001から出力されたサンプリングパルスは第1のラッチ回路3002
に入力される。また、第1のラッチ回路3002にはビデオ信号(DATA)が入力され
ている。そして、サンプリングパルスの入力されるタイミングに従ってビデオ信号は第1
のラッチ回路3002の各段に保持される。
【0123】
そして、第2のラッチ回路3003にラッチパルス(SLAT)が入力されると、第1の
ラッチ回路3002の各段に保持されたビデオ信号は一斉に第2のラッチ回路3003に
転送される。
【0124】
そして、第2のラッチ回路3003に転送されたビデオ信号が、電源回路3004の有す
る電流源3005の電流値を決める。
【0125】
プリチャージ期間においては、第1のプリチャージ用スイッチ3008と第2のプリチャ
ージ用スイッチ3009をオン、発光用スイッチ3010をオフにする。すると、図31
(A)に示すように電流源3005からモニター素子3006へ電流が流れる。そして、
モニター素子3006の両電極間には電圧が発生する。このときアンプ3007にはモニ
ター素子3006の陽極の電位が入力される。そして、アンプ3007の出力からは、入
力と概略等しい電位が出力される。よって、カラム信号線には、電流源3005から供給
される電流を、カラム信号線を介して発光素子に流すために必要な電位が充電される。し
たがって、図31(B)のように第1のプリチャージ用スイッチ3008と第2のプリチ
ャージ用スイッチ3009とをオフにし、発光用スイッチ3010をオンにする。すると
、カラム信号線を介して電流源3005から電流を素早く発光素子へ流すことができる。
【0126】
つまり、電流源3005から供給される電流値が小さいと、電流源3005からカラム信
号線に形成される配線交差容量などの負荷容量への充電には時間がかかってしまう。する
と、ビデオ信号に応じた十分な輝度を得ることができなくなってしまう。しかし、本構成
のように、プリチャージ期間においてアンプ3007から出力される電流によってカラム
信号線へ電荷の充電を行うため、素早くカラム信号線の負荷容量へ充電を行うことが可能
となる。よって、素早く所望の輝度の発光を得ることができる。
【0127】
また、発光用スイッチ3010がオフすると、その列の画素の発光素子が直ぐに非発光と
なるように電位を入力するとよい。つまり、図35に示すように、発光用スイッチ301
0がオフするとオンするスイッチ3501を介してカラム信号線と配線3502とが接続
されている構成にする。なお、配線3502の電位は選択されている画素の発光素子がオ
フする電位にしておく。
【0128】
このような構成の場合、プリチャージ期間には、図37(A)に示すように、電流源30
05とモニター素子3006とが導通し、アンプ3007は、入力端子がモニター素子3
006の陽極と導通し、出力端子が発光素子3301の陽極と導通している。そして、電
流源3005と発光素子3301を非導通となるようにする。また、配線3502は発光
素子3301の陽極(カラム信号線)とは非導通にしておく。
【0129】
また、発光期間には、図37(B)に示すように、電流源3005とモニター素子300
6の陽極とは非導通とし、電流源3005と発光素子3301の陽極とを導通にする。そ
して、アンプ3007の出力端子が発光素子3301の陽極と非導通になるようにする。
また、配線3502は発光素子3301の陽極(カラム信号線)とは非導通にしておく。
【0130】
そして、その列の画素の発光期間が終了したら、図37(C)に示すように、電流源30
05と発光素子3301の陽極とを非導通にするとともに、発光素子3301の陽極を配
線3502と接続する。
【0131】
よって、このように接続すればよく、図35のような構成に限られない。
【0132】
(実施の形態7)
本実施の形態では、本発明に適用することができるパッシブ型の表示パネルの構成につい
て説明する。
【0133】
図21(A)は、封止前における画素部の上面図を示す図であり、図21(A)中の鎖
線A−A’で切断した断面図が図21(B)であり、鎖線B−B’で切断した断面図が図
21(C)である。
【0134】
第1の基板2110上には、ストライプ状に複数の第1の電極2113が等間隔で配置
されている。また、第1の電極2113上には、各画素に対応する開口部を有する隔壁2
114が設けられ、開口部を有する隔壁2114は遮光性を有する材料(黒色顔料やカー
ボンブラックを分散させてなる感光性または非感光性の有機材料(ポリイミド、アクリル
、ポリアミド、ポリイミドアミド、レジストまたはベンゾシクロブテン)、またはSOG
膜(例えば、アルキル基を含むSiOx膜))で構成されている。例えば、開口部を有す
る隔壁2114として、富士フィルムオーリン社製COLOR MOSAIC CK(商
品名)のような材料を用いる。開口部を有する隔壁2114はブラックマトリクス(BM
)として機能させている。なお、各画素に対応する開口部が発光領域2121となる。こ
のとき、モニター素子も一体形成する。すると、素子特性のバラツキが低減することがで
きるため補償機能の精度が向上する。
【0135】
開口部を有する隔壁2114上に、第1の電極2113と交差する互いに平行な複数の逆
テーパ状の隔壁2122が設けられる。逆テーパ状の隔壁2122はフォトリソグラフィ
法に従い、未露光部分がパターンとしてポジ型感光性樹脂を用い、パターンの下部がより
多くエッチングされるように露光量または現像時間を調節することによって形成する。こ
の逆テーパ状の隔壁2122も上述した遮光性を有する材料で形成し、さらにコントラス
トの向上を図ってもよい。また、このとき、モニター素子上にも隔壁2122の材料で覆
うことでモニター素子からの光を遮断させることができる。
【0136】
また、平行な複数の逆テーパ状の隔壁2122を形成した直後における斜視図を図22
に示す。なお、図21と同一の部分には同一の符号を用いている。
【0137】
逆テーパ状の隔壁2122の高さは、有機化合物を含む膜及び導電膜の膜厚より大きく
設定する。図22に示す構成を有する第1の基板に対して有機化合物を含む膜と、導電膜
とを積層形成すると、図21に示すように電気的に独立した複数の領域に分離され、有機
化合物を含む層2115R、2115G、2115Bと、第2の電極2116とが形成さ
れる。第2の電極2116は、第1の電極2113と交差する方向に伸長する互いに平行
なストライプ状の電極である。なお、逆テーパ状の隔壁2122上にも有機化合物を含む
膜及び導電膜が形成されるが、有機化合物を含む層2115R、2115G、2115B
及び第2の電極2116とは分断されている。
【0138】
ここでは、有機化合物を含む層2115R、2115G、2115Bを選択的に形成し
、3種類(R、G、B)の発光が得られるフルカラー表示可能な発光装置を形成する例を
示している。有機化合物を含む層2115R、2115G、2115Bはそれぞれ互いに
平行なストライプパターンで形成されている。このような構成のときには、図15を用い
て説明したようにRGB毎にカラム信号線の電位を設定することができる構成の表示装置
とするとよい。
【0139】
また、全面に有機化合物を含む層を形成し、単色の発光素子を設けてもよく、モノクロ
表示可能な発光装置、或いはエリアカラー表示可能な発光装置としてもよい。また、白色
発光が得られる発光装置として、カラーフィルタと組み合わせることによってフルカラー
表示可能な発光装置としてもよく、本発明においては隔壁2114がブラックマトリクス
として機能するため、着色層のみからなるカラーフィルタを用いればよい。このような場
合には最良の形態や実施の形態1〜5で示したカラム信号線に共通の電位の電位を設定す
る構成の表示装置を適用することが可能である。
【0140】
また、発光素子の封止は、シール材を用いて第2の基板を貼り合わせることによって行
う。必要があれば、第2の電極2116を覆う保護膜を形成してもよい。なお、第2の基
板としては、水分に対するバリア性の高い基板が好ましい。また、必要であれば、シール
材で囲まれた領域に乾燥剤を配置してもよい。
【0141】
また、第1の電極2113を光反射性を有する導電材料とし、第2の電極2116を透
光性を有する導電材料とした場合には、発光素子からの発光を第2の基板を通過させて取
り出すトップエミッション型の発光装置とすることができる。第1の電極2113として
、炭素及びニッケルを含むアルミニウム合金(Al(C+Ni))膜を単層、或いは透明
導電膜との積層の下層に用いると、通電、或いは熱処理後もITOやITSOとのコンタ
クト抵抗値に大きな変動がない材料であるため好ましい。また、この場合にはモニター素
子上にも隔壁2122の材料で覆うことでモニター素子からの光を遮断させることができ

【0142】
また、第1の電極2113を透光性を有する導電材料とし、第2の電極2116を光反射
性を有する導電材料とした場合には、発光素子からの発光を第1の基板2110を通過さ
せて取り出すボトムエミッション型の発光装置とすることができる。この場合には、あら
かじめモニター素子の下部に遮光性の膜を形成するとよい。
【0143】
また、第1の電極2113および第2の電極2116をともに透光性を有する導電材料と
した場合には、発光素子からの発光を第2の基板を通過させることと、発光素子からの発
光を第1の基板を通過させることを両方行うことが可能な発光装置とすることができる。
この場合には、モニター素子上にも隔壁2122の材料で覆い、またモニター素子の下部
にも遮光性の膜をあらかじめ形成しておくことでモニター素子からの光を遮断させること
ができる
【0144】
また、封止を行った後、FPCなどを実装した発光モジュールの上面図を図23に示す

【0145】
なお、本明細書中における発光装置とは、画像表示デバイス、発光デバイス、もしくは光
源(照明装置含む)を指す。また、発光装置にコネクター、例えばFPC(Flexible printe
d circuit)もしくはTAB(Tape Automated Bonding)テープもしくはTCP(Tape Carrier
Package)が取り付けられたモジュール、TABテープやTCPの先にプリント配線板が設けら
れたモジュール、または発光素子にCOG(Chip On Glass)方式によりIC(集積回路)が直
接実装されたモジュールも全て発光装置に含むものとする。
【0146】
第1の基板2301と第2の基板2310とが対向するようにシール材2311で貼り付
けられている。シール材2311としては光硬化樹脂を用いれば良く、脱ガスが少なく、
吸湿性の低い材料が好ましい。また、シール材2311は基板間隔を一定に保つため、フ
ィラー(棒状またはファイバー状のスペーサ)や球状のスペーサを添加したものであって
も良い。なお、第2の基板2310としては第1の基板2301と熱膨張係数が同一の材
料が好ましく、ガラス(石英ガラスを含む)もしくはプラスチックを用いることができる

【0147】
図23に示すように画像表示を構成する画素部は、ロウ信号線群とカラム信号線群が互い
に直交するように交差している。
【0148】
図21における第1の電極2113が図23のカラム信号線2302に相当し、第2の
電極2116がロウ信号線2303に相当し、逆テーパ状の隔壁2122が隔壁2304
に相当する。カラム信号線2302とロウ信号線2303の間には有機化合物を含む層が
挟まれており、2305で示される交差部が画素1つ分となる。
【0149】
なお、ロウ信号線2303は配線端で接続配線2308と電気的に接続され、接続配線
2308が入力端子2307を介してFPC2309bに接続される。また、カラム信号
線は入力端子2306を介してFPC2309aに接続される。
【0150】
また、必要であれば、出射面に偏光板、又は円偏光板(楕円偏光板を含む)、位相差板
(λ/4板、λ/2板)、カラーフィルタなどの光学フィルムを適宜設けてもよい。また
、偏光板又は円偏光板に反射防止膜を設けてもよい。例えば、表面の凹凸により反射光を
拡散し、映り込みを低減できるアンチグレア処理を施すことができる。また偏光板、又は
円偏光板に加熱処理を施すアンチリフレクション処理を施してもよい。その後さらに、外
部衝撃から保護するためハードコート処理を施すとよい。ただし、偏光板、又は円偏光板
を用いると、偏光板、又は円偏光板により光の取り出し効率が低下してしまう。また、偏
光板、又は円偏光板自体のコストが高く、且つ、劣化しやすい。
【0151】
本発明は、発光素子が設けられている基板側の画素間にブラックマトリクス(BM)とな
る黒色の隔壁(バンク、または障壁とも呼ばれる)を設け、発光素子からの迷光を吸収、
または遮蔽することによって表示のコントラストを向上させることができる。
【0152】
さらに、ICチップを実装する発光モジュールの作製例について図24及び図25を用い
て説明する。
【0153】
まず、第1の基板2401上に、下層は反射性を有する金属膜、上層は透明な酸化物導
電膜とした積層構造を有するカラム信号線(陽極)2402を形成する。同時に接続配線
2408、2409a、2409b、および入力端子も形成する。このときモニター素子
群2415も同時に形成する。
【0154】
次いで、各画素に対応する開口部を有する隔壁を設ける。開口部を有する隔壁は富士フ
ィルムオーリン社製COLOR MOSAIC CK(商品名)を用いる。次いで、開口
部を有する隔壁上に、カラム信号線2402と交差する互いに平行な複数の逆テーパ状の
隔壁2404を設ける。
【0155】
以上に示す工程を終えた段階での上面図を図24(A)に示す。
【0156】
次いで、有機化合物を含む膜と、透明導電膜とを積層形成すると、図24(B)に示す
ように電気的に独立した複数の領域に分離され、有機化合物を含む層と、透明導電膜から
なるロウ信号線2403とが形成される。透明導電膜からなるロウ信号線2403は、カ
ラム信号線2402と交差する方向に伸長する互いに平行なストライプ状の電極である。
【0157】
次いで、シール材2413で透光性を有する第2の基板2414を貼り付ける。
【0158】
次いで、画素部の周辺(外側)の領域に、画素部へ各信号を伝送する駆動回路が形成さ
れたカラム信号線側IC2406、ロウ信号線側IC2407をCOG方式によりそれぞ
れ実装する。COG方式以外の実装技術としてTCPやワイヤボンディング方式を用いて
実装してもよい。TCPはTABテープにICを実装したものであり、TABテープを素
子形成基板上の配線に接続してICを実装する。カラム信号線側IC2406、およびロ
ウ信号線側IC2407は、シリコン基板を用いたものであってもよいし、ガラス基板、
石英基板もしくはプラスチック基板上にTFTで駆動回路を形成したものであってもよい
。また、片側に一つのICを設けた例を示しているが、片側に複数個に分割して設けても
構わない。
【0159】
なお、ロウ信号線2403は配線端で接続配線2408と電気的に接続され、接続配線
2408がロウ信号線側IC2407と接続される。これはロウ信号線側IC2407を
逆テーパ状の隔壁2404上に設けることが困難だからである。
【0160】
以上のような構成で設けられたカラム信号線側IC2406は接続配線2409aおよ
び入力端子2410を介してFPC2411に接続される。また、ロウ信号線側IC24
07は接続配線2409bおよび入力端子を介してFPCに接続される。
【0161】
さらに、ICチップ2412(メモリチップ、CPUチップ、電源回路チップなど)を
実装して集積化を図っている。
【0162】
なお、図24及び図25で説明した発光モジュールは図19で説明した表示装置の構成に
適用することができる。つまりロウ信号線側IC2407は図19のロウ信号線駆動回路
1402に対応し、カラム信号線IC2406は図19のカラム信号線駆動回路に対応す
る。また、モニター素子群2415は図19のモニター素子1901a〜1901mに対
応する。また、ICチップ2412は電流源1405及びアンプ1404を含んでいる。
【0163】
また、図24(B)中、鎖線C−Dで切断した断面構造の一例を図25に示す。
【0164】
第1の基板10上には下地絶縁膜11が設けられ、その上には積層からなるカラム信号線
が形成されている。下層12は反射性を有する金属膜であり、上層13は透明な酸化物導
電膜である。上層13は仕事関数の高い導電膜を用いることが好ましく、インジウム錫酸
化物(ITO)の他、例えば、Si元素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)や酸化イ
ンジウムに2〜20%の酸化亜鉛(ZnO)を混合したIZO(Indium Zinc
Oxide)などの透明導電材料、もしくはこれらを組み合わせた化合物を含む膜を用
いることができる。中でもITSOは、ベークを行ってもITOのように結晶化せず、ア
モルファス状態のままである。従って、ITSOは、ITOよりも平坦性が高く、有機化
合物を含む層が薄くとも陰極とのショートが生じにくく、発光素子の陽極として適してい
る。
【0165】
また、下層12は、Ag、Al、またはAl(C+Ni)合金膜を用いる。中でもAl
(C+Ni)膜(炭素及びニッケル(1〜20wt%)を含むアルミニウム合金膜)は、
通電、或いは熱処理後もITOやITSOとのコンタクト抵抗値に大きな変動がない材料
であり、好ましい。
【0166】
隣り合うカラム信号線同士を絶縁化するための隔壁14は黒色樹脂であり、異なる着色
層(封止基板側に設けられる)との境界、或いは隙間と重なるブラックマトリクス(BM
)の役目を果たしている。黒い隔壁で囲まれた領域が発光領域と対応して同一面積になっ
ている。
【0167】
有機化合物を含む層15はカラム信号線(陽極)側から順に、HIL(ホール注入層)
、HTL(ホール輸送層)、EML(発光層)、ETL(電子輸送層)、EIL(電子注
入層)の順に積層されている。なお、有機化合物を含む層は、積層構造以外に単層構造、
又は混合構造をとることができる。
【0168】
ロウ信号線16(陰極)は、カラム信号線(陽極)と交差するように形成されている。ロ
ウ信号線16(陰極)は、ITOや、Si元素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)や
、酸化インジウムに2〜20%の酸化亜鉛(ZnO)を混合したIZOなどの透明導電膜
を用いる。本発明では、発光が封止基板20を通過する上方出射型の発光装置の例である
のでロウ信号線16は透明であることが重要である。
【0169】
また、有機化合物を含む層15において生じた光の全てが透明導電膜からなるロウ信号線
16から第2の基板20を通過して取り出されるわけではなく、例えば、横方向(基板面
と平行な方向)にも発光されるが、結果的にこの横方向に発光する光は取り出されないた
め、ロスになっていた。本発明は、発光素子からの迷光を黒色樹脂からなる隔壁14で吸
収、または遮蔽する構成としている。
【0170】
また、水分や脱ガスによるダメージから発光素子を保護するため、ロウ信号線16を覆
う透明な保護膜を設けてもよい。透明な保護膜としては、PCVD法による緻密な無機絶
縁膜(SiN、SiNO膜など)、スパッタ法による緻密な無機絶縁膜(SiN、SiN
O膜など)、炭素を主成分とする薄膜(DLC膜、CN膜、アモルファスカーボン膜)、
金属酸化物膜(WO2、CaF2、Al23など)などを用いることが好ましい。透明とは
、可視光の透過率が80〜100%であることを指す。
【0171】
また、発光素子を含む画素部及びモニター素子部は、シール材19及び第2の基板20で
封止され、囲まれた空間を密閉なものとしている。また、モニター素子部には外部へ光が
射出しないように遮光膜を設けるとよい。
【0172】
シール材19としては、紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、
アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、PVC(ポリビニルクロライド)、P
VB(ポリビニルブチラル)またはEVA(エチレンビニルアセテート)を用いることが
可能である。また、シール材はフィラー(棒状またはファイバー状のスペーサ)や球状の
スペーサを添加したものであっても良い。
【0173】
また、第2の基板20としてガラス基板またはプラスチック基板を用いる。プラスチック
基板としては、ポリイミド、ポリアミド、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、PES(ポリエ
ーテルスルフォン)、PC(ポリカーボネート)、PET(ポリエチレンテレフタレート
)もしくはPEN(ポリエチレンナフタレート)を板状もしくはフィルム状にして用いる
ことができる。
【0174】
なお、密閉空間18には乾燥した不活性ガスが充填されている。シール材19で囲まれ
た内側の密閉空間18は乾燥剤17によって微量な水分が除去され、十分乾燥されている
。また、乾燥剤17としては、酸化カルシウムや酸化バリウムなどのようなアルカリ土類
金属の酸化物のような化学吸着によって水分を吸収する物質を用いることが可能である。
なお、他の乾燥剤として、ゼオライトやシリカゲル等の物理吸着によって水分を吸着する
物質を用いてもよい。
【0175】
一方、基板10の端部には端子電極が形成され、この部分で外部回路と接続するFPC
(フレキシブルプリント配線板)32を貼り合わせる。端子電極は、反射性を有する金属
膜30と、透明な酸化物導電膜29と、第2の電極から延在した酸化導電膜との積層で構
成しているが、特に限定されない。
【0176】
FPC32を実装する方法は異方導電性材料もしくはメタルバンプを用いた接続方法また
はワイヤボンディング方式を採用することができる。図25では異方性導電接着材31を
用いて接続を行っている。
【0177】
また、画素部の周辺には、画素部へ各信号を伝送する駆動回路が形成されたICチップ
23を異方導電性材料24、25により電気的に接続している。また、カラー表示に対応
した画素部を形成するためには、XGAクラスでカラム信号線の本数が3072本であり
ロウ信号線側が768本必要となる。このような数で形成されたカラム信号線及びロウ信
号線は画素部の端部で数ブロック毎に区分して引出線を形成し、ICの出力端子のピッチ
に合わせて集める。なお、33は遮光性の膜、26は透明な酸化物導電膜、27は反射性
を有する金属膜である。
【0178】
以上に示す発光装置は、図25中の矢印に示す発光を用いて表示を行うトップエミッシ
ョン型の発光装置であり、黒い隔壁14によってコントラストが向上されている。
【0179】
また、表示パネルに光学フィルムを設けた例を図26(A)を用いて説明する。
【0180】
第1の基板26110に対向して設けられた第2の基板26120に光学フィルム26
121を設けている。本実施の形態では、図26(A)中に矢印で示した方向に発光する
例、即ち発光素子からの発光が第2の基板26120を通過してから光学フィルム261
21を通過する例を示しているが、特に限定されず、光学フィルムを第1の基板側に設け
て、発光素子からの発光が光学フィルム26121を通過してから第2の基板26120
を通過する構成としてもよい。
【0181】
光学フィルム26121は、偏光板、又は円偏光板(楕円偏光板を含む)、位相差板(
λ/4板、λ/2板)、カラーフィルタなどの光学フィルムを指している。
【0182】
パッシブマトリクス型発光装置の画素における発光素子は、下層26112は反射性を
有する金属膜、上層26113は透明な酸化物導電膜とした積層構造を有するカラム信号
線(陽極)と、有機化合物を含む層26115と、透明導電膜からなるロウ信号線261
16とで構成している。また、隔壁26114は遮光性を有する材料で構成されている。
【0183】
光学フィルム26121として円偏光板を用いれば、下層26112に外光が反射して
画像の視認性が低下することを防ぐことができる。なお、円偏光板とは、具体的にはλ/
4、λ/4+λ/2の位相差特性を有する位相差板、位相差フィルム、或いは偏光板、偏
光フィルム、或いは直線偏光膜との組み合わせからなる円偏光板(楕円偏光板を含む)を
指している。ここでいう広帯域λ/4板は、可視光の範囲で一定の位相差(90度)を与え
るものである。具体的には、偏光板の透過軸と、位相差フィルムの遅相軸とのなす角が4
5°になるように設置したものを円偏光板と呼んでいる。なお、本明細書において、円偏
光板とは、円偏光フィルムをも含むものとする。
【0184】
また、発光素子を白色発光素子とし、光学フィルム26121としてカラーフィルタを
用いれば、フルカラー表示を可能とすることもできる。
【0185】
また、複数種類の光学フィルムを適宜、組み合わせてもよい。
【0186】
また、ボトムエミッション型発光装置とする例を図26(B)を用いて説明する。
【0187】
本実施の形態における発光素子は、透明な酸化物導電膜からなるカラム信号線(陽極)
26213と、有機化合物を含む層26215と、反射性を有する導電膜からなるロウ信
号線26216とで構成している。また、隔壁26214は遮光性を有する材料で構成さ
れている。
【0188】
発光素子からの発光は図26(B)中の矢印に示す方向、即ち、第1の基板26210
を通過する方向に取り出される。従って、第2の基板26221は特に光透過性を有する
必要はなく、金属板でもよい。また、発光素子の信頼性を向上させるために膜厚の厚い保
護膜26217を形成しても光の取り出し効率が低下しないので好ましい。
【0189】
また、図26(B)の構成は、最良の形態、実施の形態1〜5と自由に組み合わせるこ
とができる。例えば、最良の形態、実施の形態1〜5と組み合わせ、光学フィルムを設け
る場合には、第1の基板26210に光学フィルムを設ければよい。
【0190】
また、図26(A)、26(B)とは異なる発光装置とする例を図26(C)を用いて
説明する。
【0191】
図26(C)における発光素子は、透明な酸化物導電膜からなるカラム信号線(陽極)
26313と、有機化合物を含む層26315と、透明な酸化物導電膜からなるロウ信号
線26316とで構成している。また、隔壁26314は遮光性を有する材料で構成され
ている。
【0192】
発光素子からの発光は図26(C)中の矢印に示す方向、即ち、第1の基板26310
を通過する方向と、第2の基板26320を通過する方向との両方で取り出される。従っ
て、第1の基板26310および第2の基板26320は、ともに光透過性を有する基板
を用いる。
【0193】
また、図26(C)の構成は、最良の形態、実施の形態1〜5と自由に組み合わせるこ
とができる。例えば、最良の形態、実施の形態1〜5と組み合わせ、光学フィルムを設け
る場合には、第1の基板26310および第2の基板26320の両方に光学フィルムを
設ければよい。
【0194】
また、隔壁が逆テーパ形状ではなく、順テーパ形状の例を図27を用いて説明する。な
お、図27は、隔壁の形状と発光素子(白色)が異なるだけで他の構造は図21とほぼ同
一である。
【0195】
図21と同様にして第1の基板2710上にストライプ状の第1の電極2713を形成
する。図27では、第1の電極2713上に開口部を有する隔壁2714が設けられ、そ
の上にスペーサ2721、及びスペーサ2721上の幅の大きいオーバーハング体272
2で構成される隔壁を形成する。
【0196】
スペーサ2721はポリイミドなどの有機樹脂膜を用い、オーバーハング体2722は
、レジストなどの感光性樹脂膜を用いる。ポリイミドなどの有機樹脂膜を成膜して、分離
したい電極の間にレジストなどの感光性樹脂膜のパターンを残す。そして、露出した有機
樹脂膜をエッチングする。このエッチングする際に感光性樹脂のパターンの下方にアンダ
ーカットを発生させるようにエッチング条件を調節する。これらの工程によりオーバーハ
ング構造を持つ素子分離体構造、即ち隔壁が形成できる。
【0197】
図27では、開口部を有する隔壁2714、スペーサ2721、またはオーバーハング
体2722を遮光性を有する材料で構成し、コントラストを向上させる。
【0198】
図27に示す隔壁を形成した後、有機化合物を含む層および透明導電膜を形成すれば、
分離された有機化合物を含む層2715および第2の電極2716を形成することができ
る。
【0199】
また、図27では、有機化合物を含む層2715は積層とし、Alq3にクマリン6を
ドープした緑色発光層と、TPDにルブレンをドープした黄色発光層とを積層したものを
用いて2層発光を用いた白色発光素子とする。本実施形態においては、発光色ごとに塗り
分ける工程を省略できるため、パッシブマトリクス型発光装置の作製時間を短縮すること
ができる。
【0200】
また、フルカラー表示とするため、白色発光素子の画素に対向する位置に着色層271
9R、2719G、2719Bのみからなるカラーフィルタを第2の基板2720に設け
ている。
【0201】
また、図27の構成は、最良の形態、実施の形態1〜5で説明した表示装置において、
各カラム信号線の電位を共通の電位とする場合に適用することができる。画素部の発光素
子は白色の発光素子のみであるため、モニター素子も同様の材料で形成することで、素子
特性をそろえることができるため補償機能の精度をより高めることができる。
【0202】
(実施の形態8)
発光素子を含む画素領域を備えた表示装置を用いた電子機器として、テレビジョン装置(
テレビ、テレビジョン受信機)、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、携帯電話装置
(携帯電話機)、PDA等の携帯情報端末、携帯型ゲーム機、モニター、コンピュータ、
カーオーディオ等の音響再生装置、家庭用ゲーム機等の記録媒体を備えた画像再生装置等
が挙げられる。これらの電子機器の表示部に本発明の表示装置を適用することができる。
その電子機器の具体例について、図18を参照して説明する。
【0203】
図18(A)に示す本発明の表示装置を用いた携帯情報端末は、本体9201、表示部9
202等を含み、本発明により消費電力を削減することができる。図18(B)に示す本発
明の表示装置を用いたデジタルビデオカメラは、表示部9701、9702等を含み、本
発明により消費電力を削減することができる。図18(C)に示す本発明の表示装置を用
いた携帯電話は、本体9101、表示部9102等を含み、本発明により消費電力を削減
することができる。図18(D)に示す本発明の表示装置を用いた携帯型のテレビジョン
装置は、本体9301、表示部9302等を含み、本発明により消費電力を削減すること
ができる。図18(E)に示す本発明の表示装置を用いた携帯型のコンピュータは、本体
9401、表示部9402等を含み、本発明により消費電力を削減することができる。図
18(F)に示す本発明の表示装置を用いたテレビジョン装置は、本体9501、表示部
9502等を含み、本発明により消費電力を削減することができる。上記に挙げた電子機
器において、バッテリーを用いているものは、消費電力を削減した分、電子機器の使用時
間を長持ちさせることができ、バッテリーを充電する手間を省くことができる。
【0204】
以上のように本発明の表示装置は様々な電子機器に適用することが可能である。。
【0205】
また、本発明の補償機能を有する表示装置は、一定の輝度を保つ ことができるため、定
輝度表示装置と呼ぶことができる。また、本発明のような補償機能を有する表示装置の駆
動方法は、定輝度駆動方法(コ ンスタントブライトネス法、コンスタントルミネッセン
ス法、ブライトネスコントロール法、コントロールブライトネス法、ブライトコントロー
ル法)と呼ぶことがで きる。この駆動方法は、上述の通り、補償機能による電流値の増
加分と、経時変化に よる電流値の減少分とを予め求めておき、それらが丁度キャンセル
されるような電圧 条件で発光素子を駆動する駆動方法である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の配線と、前記第1の配線と交差する第2の配線と、
第1の発光素子と、第2の発光素子と、
電流源と、
アンプと、
第1のスイッチと、第2のスイッチと、
容量素子と、を有し、
前記第1の発光素子は、前記第1の配線と前記第2の配線に挟まれた領域に第1の有機化合物を含む層を有し、
前記第2の発光素子は、第1の電極と第2の電極に挟まれた領域に第2の有機化合物を含む層を有し、
前記第2の発光素子の第1の電極は、前記第1のスイッチの第1の端子に電気的に接続され、
前記電流源は、前記第1のスイッチの第2の端子および前記第2のスイッチの第1の端子に電気的に接続され、
前記第2のスイッチの第2の端子は、前記アンプの第1の端子及び前記容量素子に電気的に接続され、
前記アンプの第2の端子は、前記第1の配線に電気的に接続されていることを特徴とする発光装置。
【請求項2】
第1の配線と、前記第1の配線と交差する第2の配線と、
第1の発光素子と、第2の発光素子と、第3の発光素子と、
電流源と、
アンプと、
第1のスイッチと、第2のスイッチと、を有し、
前記第1の発光素子は、前記第1の配線と前記第2の配線に挟まれた領域に第1の有機化合物を含む層を有し、
前記第2の発光素子は、第1の電極と第2の電極に挟まれた領域に第2の有機化合物を含む層を有し、
前記第3の発光素子は、第1の電極と第2の電極に挟まれた領域に第3の有機化合物を含む層を有し、
前記第2の発光素子の第1の電極は、前記第1のスイッチの第1の端子に電気的に接続され、
前記第3の発光素子の第1の電極は、前記第2のスイッチの第1の端子に電気的に接続され、
前記電流源は、前記第1のスイッチの第2の端子、前記第2のスイッチの第2の端子、及び前記アンプの第1の端子に電気的に接続され、
前記アンプの第2の端子は、前記第1の配線に電気的に接続されていることを特徴とする発光装置。
【請求項3】
第1の配線と、前記第1の配線と交差する第2の配線と、
第1の発光素子と、第2の発光素子と、第3の発光素子と、
電流源と、
アンプと、
スイッチ回路と、を有し、
前記第1の発光素子は、前記第1の配線と前記第2の配線に挟まれた領域に第1の有機化合物を含む層を有し、
前記第2の発光素子は、第1の電極と第2の電極に挟まれた領域に第2の有機化合物を含む層を有し、
前記第3の発光素子は、第1の電極と第2の電極に挟まれた領域に第3の有機化合物を含む層を有し、
前記第2の発光素子の第1の電極は、前記スイッチ回路の第1の端子に電気的に接続され、
前記第3の発光素子の第1の電極は、前記スイッチ回路の第2の端子に電気的に接続され、
前記電流源は、前記スイッチ回路の第3の端子及び前記アンプの第1の端子に電気的に接続され、
前記アンプの第2の端子は、前記第1の配線に電気的に接続されていることを特徴とする発光装置。
【請求項4】
第1の配線と、前記第1の配線と交差する第2の配線と、
第1の発光素子と、複数の第2の発光素子と、
電流源と、
アンプと、を有し、
前記第1の発光素子は、前記第1の配線と前記第2の配線に挟まれた領域に第1の有機化合物を含む層を有し、
前記複数の第2の発光素子の各々は、第1の電極と第2の電極に挟まれた領域に第2の有機化合物を含む層を有し、
前記複数の第2の発光素子の第1の電極は、前記アンプの第1の端子及び前記電流源に電気的に接続され、
前記アンプの第2の端子は、前記第1の配線に電気的に接続されていることを特徴とする発光装置。
【請求項5】
請求項2において、
前記第1のスイッチと第2のスイッチを交互にオンすることを特徴とする発光装置。
【請求項6】
請求項2または請求項3において、
前記第1の発光素子が設けられている画素部が表示を行っている期間の10%から70%の期間に前記第3の発光素子に電流が流れることを特徴とする発光装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一において、
前記第1の発光素子が設けられている画素部が表示を行っている期間の10%から70%の期間に前記第2の発光素子に電流が流れることを特徴とする発光装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか一において、
前記第2の発光素子の第2の電極は前記第2の配線の一部であることを特徴とする発光装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれか一において、
前記アンプはボルテージフォロワ回路であることを特徴とする発光装置。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれか一において、
前記アンプの第2の端子から前記アンプの第1の端子と概略等しい電位を前記第1の配線に出力することを特徴とする発光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【公開番号】特開2011−242795(P2011−242795A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−159987(P2011−159987)
【出願日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【分割の表示】特願2005−187703(P2005−187703)の分割
【原出願日】平成17年6月28日(2005.6.28)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】