説明

発光装置

【課題】効果的に共通電極の電圧降下を防ぐことのできる発光装置を提供する。
【解決手段】基板10と、基板10上に設けられる複数の画素2と、から構成され、
画素2が、第一副画素2aと、第二副画素2bと、からなり、第一副画素2a及び第二副画素2bが、下部電極(11a,11b)と、第一有機化合物層(13a,13b)と、中間電極層14と、第二有機化合物層15と、上部電極(16a,16b)と、をこの順に含み、第一副画素2aに含まれる中間電極層14が、第一副画素2aに含まれる下部電極11a又は上部電極16aに接続される配線と電気接続されていることを特徴とする、発光装置1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一対の電極と、この一対の電極間に挟持される有機化合物層とからなる有機EL素子を複数有する有機EL表示装置において、近年、有機EL素子に相当する積層体が複数積層されている有機EL表示装置が報告されている。ここで有機EL素子に相当する積層体を複数積層すると、有機EL表示装置を構成する画素(又は副画素)の開口率が向上すると共に、同一の画素(又は副画素)から複数の発光色を取り出すことが可能となる。
【0003】
有機EL素子に相当する積層体を複数積層している有機EL表示装置の具体例として、特許文献1にて開示されている有機EL表示装置がある。この有機EL表示装置は、下記(i)及び(ii)に示される2種類の副画素を有する画素が複数基板上に並列されている。
(i)第一副画素(下部電極/R(Red)有機化合物層/中間電極層/B(Blue)有機化合物層/上部電極)
(ii)第二副画素(下部電極/G(Green)有機化合物層/中間電極層/B(Blue)有機化合物層/上部電極)
【0004】
ところで特許文献1に開示されている発光装置は、中間電極層が透明導電膜であって、各副画素において共通する電極になっている。また特許文献1において、中間電極層では駆動電圧の降下を防ぐために、透明導電膜とは別の低抵抗配線が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−174639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方で、有機EL素子に相当する積層体が複数積層されている有機EL表示装置において、配線の役割を果たす層が増えることはコストアップにつながるため、なるべく配線の役割を果たす層の数を増やさないようにして電圧降下を防ぐ方法が求められる。
【0007】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、効果的に共通電極の電圧降下を防ぐことのできる発光装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の発光装置は、基板と、
該基板上に設けられる複数の画素と、から構成され、
該画素が、第一副画素と、第二副画素と、からなり、
該第一副画素及び該第二副画素が、下部電極と、第一有機化合物層と、中間電極層と、第二有機化合物層と、上部電極と、をこの順に含み、
該第一副画素に含まれる中間電極層が、該第一副画素に含まれる下部電極又は上部電極に接続される配線と電気接続されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、従来の発光装置に比べて少ない層構成で電圧降下を防ぎ、良好な表示特性を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の発光装置における第一の実施形態を示す概略図であり、(a)は当該第一の実施形態の平面概略図であり、(b)及び(c)は当該第一の実施形態の断面概略図である。
【図2】図1の発光装置の作製プロセスを示す図である。
【図3】図1の発光装置の等価回路を示す回路図である。
【図4】本発明の発光装置における第二の実施形態を示す概略図であり、(a)は当該第二の実施形態の平面概略図であり、(b)及び(c)は当該第二の実施形態の断面概略図である。
【図5】図4の発光装置の作製プロセスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の発光装置は、基板と、該基板上に設けられる複数の画素と、から構成される。ここで画素は、第一副画素と、第二副画素と、からなる部材である。また画素に含まれる第一副画素及び第二副画素は、下部電極と、第一有機化合物層と、中間電極層と、第二有機化合物層と、上部電極と、をこの順に含んでいる。
【0012】
本発明において、第一副画素に含まれる中間電極層は、第一副画素に含まれる下部電極又は上部電極に接続される配線と電気接続されている。この配線は、好ましくは、下部電極又は前記上部電極と同一の導電層にあり、かつ他の電極とは絶縁されている。つまり、当該配線が下部電極と同一の導電層にある場合は、当該配線は上部電極とは絶縁される一方で、当該配線が上部電極と同一の導電層にある場合は、当該配線は下部電極とは絶縁される。この配線は、より好ましくは、上部電極と同一の導電層にあり、かつ下部電極とは絶縁される。
【0013】
また本発明の発光装置は、上部電極又は下部電極から光が取り出されるため、中間層電極は、好ましくは、透明導電性材料からなる。一方、製造プロセスの簡便化の観点から、中間電極層は各画素に共通した電極であることが好ましい。
【0014】
本発明の構成は、好ましくは、有機EL発光装置で適用することができるがこれに限定されない。例えば、無機EL発光装置等でも適用することができる。
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明の発光装置の実施形態について説明する。ただし、後述する実施形態はあくまでも本発明の一つの実施形態であって、本発明はこれらに限定されるものではない。また以下の説明において、特に図示又は記載されない部分に関しては、当該技術分野の周知技術又は公知技術を適用することができる。
【実施例1】
【0016】
図1は、本発明の発光装置における第一の実施形態を示す概略図であり、(a)は当該第一の実施形態の平面概略図であり、(b)及び(c)は当該第一の実施形態の断面概略図である。図1(a)に示される発光装置1は、大まかには、断面構造が図1(b)で示される表示部と、断面構造が図1(c)で示される配線接続部とからなる。尚、図1(b)の断面構造は、図1(a)のAA’間の断面構造であり、図1(c)の断面構造は、図1(a)のBB’間の断面構造である。
【0017】
図1(b)に示されるように、発光装置1には、基板10上に、第一副画素2aと、第二副画素2bとからなる画素2を有している。尚、実際の発光装置には、図1で示される画素2が基板10上にマトリックス状に配列されている。
【0018】
図1の発光装置1において、第一副画素2aは、基本的には、基板10上に設けられる積層体、即ち、下部電極11a、第一有機化合物層13a、中間電極層14、第二有機化合物層15及び上部電極16aがこの順で積層されている積層体からなる部材である。一方、第二副画素2bは、基本的には、基板10上に設けられる積層体、即ち、下部電極11b、第一有機化合物層13b、中間電極層14、第二有機化合物層15及び上部電極16bがこの順で積層されている積層体からなる部材である。
【0019】
各有機化合物層(13a,13b,15)は、いずれかがR(Red)有機化合物層、G(Green)有機化合物層又はB(Blue)有機化合物層である。具体例として、第一副画素2aに含まれる第一有機化合物層13aをG有機化合物層とし、第二副画素2bに含まれる第一有機化合物層13bをB有機化合物層とし、第二有機化合物層16をR有機化合物層とする態様がある。ただし本発明においてその組み合わせは特に限定されるものではない。
【0020】
本実施形態において、表示部に設けられる上部電極16aと、配線接続部に設けられる上部電極16aとは、同一の工程により形成された同一の層(同一の導電層)である。このため上部電極16aは、第一副画素の構成部材である電極層の一つとして機能すると共に、中間電極層15と電気接続する配線、即ち、補助配線として機能する。同様に、表示部に設けられる上部電極16bと、配線接続部に設けられる上部電極16bとは、同一の工程により形成された同一の層(同一の導電層)である。このため上部電極16bは、第二副画素の構成部材である電極層の一つとして機能すると共に、基板10上に設けられる下部電極でもある制御電極11cと電気接続する配線として機能する。以上のように、副画素(第一副画素2a)に含まれる電極層(上部電極16a)と配線部材とを、同一の工程により形成された同一の層(同一の導電層)とすることにより、配線部材に相当する電極層を改めて設ける必要がない。
【0021】
本実施形態において、中間電極層14は、上部電極16aと電気接続されているが、下部電極11aとは電気接続されていない。これにより、中間電極層14と上部電極16aとの間で電気的短絡が生じるので、第一副画素2aの構成部材である第二有機化合物層14に含まれる発光層は発光しない。このため第一副画素2aにおいては、第一有機化合物層13aに含まれる発光層からの発光のみを取り出すことができる。
【0022】
一方、本実施形態において、中間電極層14は、各副画素(2a、2b)に共通して形成されるため、上部電極16aから印加される電流が第二副画素2bを構成する中間電極層14まで流れる。このため第二副画素2bにおいて、下部電極11bから印加される電流と中間電極層14から印加される電流とにより、第一有機化合物層13bに含まれる発光層が発光する。また第二副画素2bにおいて、中間電極層14から印加される電流と上部電極16bから印加される電流とにより、第二有機化合物層15に含まれる発光層が発光する。
【0023】
以下、図面を参照しながら、本実施形態の発光装置の作製方法について説明する。図2は、図1の発光装置の作製プロセスを示す図である。
【0024】
まず図2(a)に示されるように、基板10上に下部電極11a及び11b、並びに制御電極11cを所定の位置に形成する。尚、下部電極11a及び11b、並びに制御電極11cが予め形成されている基板10を用意してもよい。
【0025】
一方、図示はしていないが、基板10内に、ゲート電極、ソース・ドレインメタル層、Poly−Siを含むTFT回路や、当該TFT回路と制御電極11cとを電気接続する手段(コンタクトホール等)を設けてもよい。尚、TFT回路を基板10内に設ける場合は、短絡防止用の絶縁層、及びTFT回路を設けることで生じた凹凸を平坦にする平坦化層を別途設ける必要がある。
【0026】
次に、図2(b)に示されるように、素子分離膜12を形成する。この素子分離膜12は、公知の方法により、所望の形状にパターン形成される。
【0027】
次に、図2(c)に示されるように、下部電極11a上に第一有機化合物層13aを、下部電極11b及び制御電極11c上に第一有機化合物層13bをそれぞれ形成する。ここで各副画素にそれぞれ形成される第一有機化合物層(13a、13b)は、それぞれ発光層を有する一層又は複数の層からなる積層体である。形成される第一有機化合物層(13a、13b)の具体例を以下に示す。ただしこれらはあくまでも具体例であり、本発明はこれらに限定されるものではない。
(1)(陽極/)発光層(/陰極)
(2)(陽極/)正孔注入層/発光層(/陰極)
(3)(陽極/)正孔輸送層/発光層/電子輸送層(/陰極)
(4)(陽極/)正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層(/陰極)
(5)(陽極/)正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層(/陰極)
【0028】
尚、発光層は、例えば、電荷注入又は電荷輸送の機能(正孔注入、正孔輸送、電子注入、電子輸送)を併せ持つ複合機能層であってもよい。
【0029】
第一有機化合物層(13a、13b)の構成材料として、有機発光材料、正孔注入材料、電子注入材料、正孔輸送材料又は電子輸送材料が挙げられる。ここで電荷注入・輸送材料(正孔輸送材料、電子輸送材料、正孔注入材料、電子注入材料)に有機発光材料をドーピングすると、発光色の選択の幅を広げることができる。また第一有機化合物層(13a、13b)にそれぞれ含まれる発光層は、発光効率の観点からアモルファス膜であることが好ましい。
【0030】
有機発光材料は、各有機化合物層の発光色に応じて適宜選択することができる。例えば、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、ポリアリーレン、芳香族縮合多環化合物、芳香族複素環化合物、芳香族複素縮合環化合物、金属錯体化合物等及びこれらの単独オリゴ体あるいは複合オリゴ体を使用することができる。ただし本発明はこれらに限定されるものではない。
【0031】
正孔注入・輸送層の構成材料として、フタロシアニン化合物、トリアリールアミン化合物、導電性高分子、ペリレン系化合物、Eu錯体等が使用することができる。ただし本発明はこれらに限定されるものではない。
【0032】
電子注入・輸送層の構成材料として、アルミイオンに8−ヒドロキシキノリンの3量体が配位したAlq3、アゾメチン亜鉛錯体、ジスチリルビフェニル誘導体系等を使用することができる。
【0033】
第一有機化合物層(13a、13b)の膜厚は、好ましくは、0.05μm〜0.3μmであり、より好ましくは、0.05μm〜0.15μmである。
【0034】
第一有機化合物層(13a、13b)は、公知の方法により形成することができる。
【0035】
次に、図2(d)に示されるように、第一有機化合物層(13a、13b)を覆うように中間電極層14を形成する。
【0036】
中間電極層14の構成材料は、光透過性が高い電極材料が望ましい。例えば、Ag合金、Al、ITO、IZO、ZnO等が挙げられる。ただし、中間電極層15がAg合金、Al等の金属材料からなる場合は、中間電極層14において光を透過できるように層の膜厚を制御する必要がある。
【0037】
中間電極層14は、スパッタ法、レーザーアブレーション等による転写法等の公知の方法を用いて成膜することができる。ここで中間電極層14は、画素毎に個別に制御することが必要な制御電極ではなく、全画素に共通する共通電極であっても構わない。ただし、後の工程で制御電極11cと上部電極16bとを電気接続するコンタクトホール(17b)を形成する際に、当該コンタクトホールの形成領域に中間電極層14が配置されないようにするために所定のパターニングを行う。ここでパターニングの方法として、例えば、メタルマスクを用いたマスク蒸着法によってAg等の電極材料を成膜する方法が挙げられる。
【0038】
次に、図2(e)に示されるように、中間電極層14、並びに中間電極層14で覆われていない第一有機化合物層(13a、13b)を覆うように第二有機化合物層15を形成する。
【0039】
第二有機化合物層15の層構成は、基本的には、第一有機化合物層(13a、13b)と同様である。また第二有機化合物層15を形成する際に、形成する層の順番は、中間電極層15の性質に応じて適宜設定することができる。具体的には、中間電極層14が陽極の場合は、正孔注入層又は正孔輸送層を先に形成する一方で、中間電極層14が陰極の場合は、電子注入層又は電子輸送層を先に形成する。
【0040】
次に、図2(f)に示されるように、二種類のコンタクトホール、即ち、制御電極用コンタクトホール17a、共通電極用コンタクトホール17bをそれぞれ形成する。ここで制御電極用コンタクトホール17aは、上部電極16bと、制御電極11c及びこの制御電極11cに電気接続されているTFT回路とを電気接続するために、第一有機化合物層13bと第二有機化合物層15とを部分的に除去して設けられる。一方、共通電極用コンタクトホール17bは、上部電極16aと、共通電極である中間電極層14とを電気接続するために、高抵抗層である第二有機化合物層15を部分的に除去して設けられる。これら二種類のコンタクトホールの形成方法としては、レーザー照射による加工(除去加工)が好ましい。例えば、YAGレーザー(SHG、THGを含む)、エキシマレーザー等一般に薄膜加工に使用するものを用いることができる。また具体的な加工方法としては、これらのレーザー光を数μmに絞って走査したり、面状光源にしてコンタクトホール部分を透過するマスクを介したりして、基板上に所定のパターンで照射する方法がある。
【0041】
上記二種類のコンタクトホール(17a,17b)の径の大きさは、好ましくは、2μm〜15μmである。
【0042】
次に、図2(g)に示されるように、上部電極(16a、16b)となる電極薄膜16を形成する。図2(g)に示されるように、上部電極(16a、16b)となる電極薄膜16を形成することにより、表示部に含まれる部分と配線接続部に含まれる部分を同一の導電層として形成することができる。上部電極(16a、16b)の構成材料は、発光層からの発光の取り出し形式(トップエミッション型、ボトムエミッション型)に応じて適宜選択することができる。例えば、Ag合金、Al、ITO、IZO、ZnO等が挙げられる。
【0043】
次に、図2(h)に示されるように、上部電極(16a、16b)となる電極薄膜16を加工して上部電極(16a、16b)をそれぞれ形成する。電極薄膜16の加工方法としては、例えば、レーザーアブレーション等によるパターニングが挙げられる。また別法として、メタルマスクを用いたマスクスパッタ法、マスク蒸着法等も使用することができる。
【0044】
尚、上部電極(16a、16b)を形成した後、大気中の水分や酸素から発光装置を保護するため保護層を形成するのが望ましい。
【0045】
図3は、図1の発光装置の等価回路を示す回路図である。第一副画素2aにおいて、コンタクトホール17aは、中間電極層14と上部電極16aとを電気接続するために利用される。このコンタクトホール17aを設けることにより、上部電極16aは、中間電極層14の補助配線として機能する。一方第二副画素2bにおいて、下部電極12b及び上部電極16bは陽極として機能し、中間電極層14は陰極として機能する。また第二副画素2bにおいて、制御電極用コンタクトホール17bは、第三有機化合物層13(R有機化合物層)に含まれる発光層(R発光層)の発光を制御するために利用される。具体的には、コンタクトホール17aは、R発光層の発光を制御する制御電極11cと、上部電極16bとを電気接続するために利用される。
【0046】
以上のように作製した発光装置は、R、G、Bの発光を単一の副画素から取り出すことができる。
【実施例2】
【0047】
次に、図面を参照しながら、本発明の発光装置における第二の実施形態について説明する。尚、以下の説明においては、上述した第一の実施形態との相違点を中心に説明する。図4は、本発明の発光装置における第二の実施形態を示す概略図であり、(a)は当該第二の実施形態の平面概略図であり、(b)及び(c)は当該第二の実施形態の断面概略図である。
【0048】
図4の発光装置3は、図1の発光装置1と比較すると、配線接続部において中間電極層14が、基板10上に設けられ下部電極でもある電極11dと電気接続されており、かつ上部電極16bとは電気接続されていない点が異なっている。ここで電極11dは、基板10内に設けられ制御電極11cに電気接続されるTFT回路とは別個のTFT回路(不図示)から送信される電気信号を中間電極層14へ送信する電極として機能する。
【0049】
また図4の発光装置3は、各副画素(2a、2b)に設けられる2つの有機化合物層に含まれる発光層をそれぞれ個別に発光させることができる。具体的には、第一副画素2aにおいては、中間電極層14と、下部電極12a又は上部電極16aとに電流を印加することにより、第一有機化合物層13a又は第二有機化合物層15に含まれている発光層を選択的に発光させることができる。一方、第二副画素2bにおいては、中間電極層14と、下部電極12b又は上部電極16bとに電流を印加することにより、第一有機化合物層13b又は第二有機化合物層15に含まれている発光層を選択的に発光させることができる。
【0050】
以下、図面を参照しながら、本実施形態の発光装置の作製方法について説明する。図5は、図4の発光装置の作製プロセスを示す図である。
【0051】
まず図5(a)に示されるように、基板10上に下部電極11a及び11b、並びに制御電極11c及び電極11dを所定の位置に形成する。尚、下部電極11a及び11b、並びに制御電極11c及び電極11dが予め形成されている基板10を用意してもよい。
【0052】
次に、図5(b)に示されるように、素子分離膜12を形成する。この素子分離膜12は、公知の方法により、所望の形状にパターン形成される。
【0053】
次に、図5(c)に示されるように、下部電極11a上に第一有機化合物層13aを、下部電極11b及び制御電極11c上に第一有機化合物層13bをそれぞれ形成する。第一有機化合物層(13a,13b)の層構成及び形成方法については、実施例1(第一の実施形態)で示される構成及び方法を採用してもよい。
【0054】
次に、図5(d)に示されるように、第一副画素2aの配線接続部に共通電極用コンタクトホール17cを形成する。共通電極用コンタクトホール17cの形成方法としては、レーザー照射による加工(高抵抗層である第一有機化合物層13aの一部除去加工)が好ましい。例えば、YAGレーザー(SHG、THGを含む)、エキシマレーザー等一般に薄膜加工に使用するものを用いることができる。また具体的な加工方法としては、これらのレーザー光を数μmに絞って走査したり、面状光源にしてコンタクトホール部分を透過するマスクを介したりして、基板上に所定のパターンで照射する方法がある。
【0055】
上記コンタクトホール17cの径の大きさは、好ましくは、2μm〜15μmである。
【0056】
次に、図5(e)に示されるように、第一有機化合物層(13a、13b)を覆うように中間電極層14を形成する。中間電極層14の構成材料及び形成方法は、実施例1(第一の実施形態)で示される材料及び方法を採用してもよい。尚、実施例1と同様に、後の工程で制御電極11cと上部電極16bとを電気接続するコンタクトホール(17b)を形成する際に、当該コンタクトホールの形成領域に中間電極層14が配置されないようにするために所定のパターニングを行う。この工程で、副画素(第一副画素2a)に含まれる電極層(中間電極層14)と配線部材とが同一の層(同一の導電層)で形成される。これにより、別工程で配線部材に相当する電極層を改めて設ける必要がない。
【0057】
次に、図5(f)に示されるように、中間電極層14、並びに中間電極層14で覆われていない第一有機化合物層(13a、13b)を覆うように第二有機化合物層15を形成する。第二有機化合物層15の層構成及び形成方法については、実施例1(第一の実施形態)で示される構成及び方法を採用してもよい。
【0058】
次に、図5(g)に示されるように、制御電極用コンタクトホール17bを形成する。制御電極用コンタクトホール17bの形成方法については、実施例1(第一の実施形態)で示される構成及び方法を採用してもよい。
【0059】
次に、図5(h)に示されるように、上部電極16となる電極薄膜を形成する。上部電極16となる電極薄膜の構成材料は、実施例1(第一の実施形態)と同様の材料を使用することができる。
【0060】
次に、図5(i)に示されるように、上部電極16となる電極薄膜を加工して上部電極16a及び16bをそれぞれ形成する。当該電極薄膜の加工方法については、実施例1(第一の実施形態)で示される方法を採用してもよい。
【実施例3】
【0061】
上記の実施例1及び2において、画素に含まれる2種類の副画素(第一副画素、第二副画素)がそれぞれ3層の電極層及び2層の有機化合物層を有する発光装置について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、4層の電極層及び3層の有機化合物層を有する発光装置においても本発明を適用することができる。ここで4層の電極層及び3層の有機化合物層で構成される発光装置とは、具体的には、以下に示される構成の発光装置をいう。
下部電極/第一有機化合物層/第一中間電極層/第二有機化合物層/第二中間電極層/第三有機化合物層/上部電極
【0062】
本実施形態においては、例えば、第一副画素に含まれる所定の中間電極層のいずれかを他の電極層に接続される配線と電気接続させる。この電気接続により、第一副画素を構成する三種類の有機化合物層に含まれる発光層を選択的に発光させること、及び各電極層を有効活用することが可能になる。
【0063】
ここで所定の中間電極層と他の電極層との電気接続の態様を以下に示す。
【0064】
【表1】

【0065】
また第一副画素に限らず、第二副画素についても同様に所定の中間電極層を他の電極層と電気接続させてもよい。
【符号の説明】
【0066】
1(3):発光装置、2:画素、2a:第一副画素、2b:第二副画素、10:基板、11a(11b):下部電極、13a(13b):第一有機化合物層、14:中間電極、15:第二有機化合物層、16a(16b):上部電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
該基板上に設けられる複数の画素と、から構成され、
該画素が、第一副画素と、第二副画素と、からなり、
該第一副画素及び該第二副画素が、下部電極と、第一有機化合物層と、中間電極層と、第二有機化合物層と、上部電極と、をこの順に含み、
該第一副画素に含まれる中間電極層が、該第一副画素に含まれる下部電極又は上部電極に接続される配線と電気接続されていることを特徴とする、発光装置。
【請求項2】
前記配線が、前記下部電極又は前記上部電極と同一の導電層にあり、かつ他の電極とは絶縁されていることを特徴とする、請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記配線が、前記上部電極と同一の導電層にあり、かつ前記下部電極とは電気的に絶縁されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記中間電極層が透明導電性材料からなることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項5】
前記中間電極層が各画素に共通した電極であることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項6】
前記中間電極層と、前記下部電極又は前記上部電極との電気接続が、レーザー照射による高抵抗層の除去により行われることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項7】
有機EL発光装置であることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の発光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−34901(P2011−34901A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−182116(P2009−182116)
【出願日】平成21年8月5日(2009.8.5)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】