発光装置
【課題】発光ダイオードのサイズが小さい場合や発光ダイオードの接続個数が多い場合にも製造が容易になり製造コストが抑えられる発光装置を提供する。
【解決手段】この発光装置では、第1の電極1にアノードが接続され、第2の電極2にカソードが接続された発光ダイオード5,7と、第1の電極1にカソードが接続され、第2の電極2にアノードが接続された発光ダイオード3,4,6とが混在して配置され、交流電源10によって第1の電極1と第2の電極2との間に交流電圧を印加して複数の発光ダイオード3〜7を駆動する。第1,第2の電極1,2間に接続する複数の発光ダイオード3〜7を極性を揃えて配列する必要がないので、製造時に複数の発光ダイオードの極性(向き)を揃える工程が不要となり製造工程を簡略化できる。
【解決手段】この発光装置では、第1の電極1にアノードが接続され、第2の電極2にカソードが接続された発光ダイオード5,7と、第1の電極1にカソードが接続され、第2の電極2にアノードが接続された発光ダイオード3,4,6とが混在して配置され、交流電源10によって第1の電極1と第2の電極2との間に交流電圧を印加して複数の発光ダイオード3〜7を駆動する。第1,第2の電極1,2間に接続する複数の発光ダイオード3〜7を極性を揃えて配列する必要がないので、製造時に複数の発光ダイオードの極性(向き)を揃える工程が不要となり製造工程を簡略化できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、製造コストを抑制可能な発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の発光ダイオードを極性を揃えて並列に接続して直流で駆動する発光装置がある(特許文献1(特開2007−134430号公報)参照)。この発光装置の回路を簡略化したものを図11に示す。図11に示す発光装置では、複数の発光ダイオード101を極性を揃えて並列に接続して直流で駆動している。
【0003】
しかし、上記従来の発光装置では、複数の発光ダイオード101の極性を揃えて並列接続する必要があるので、特に、発光ダイオードのサイズが小さい場合や発光ダイオードの接続個数が多い場合に製造コストが高くなり、製造自体が困難になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−134430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、この発明の課題は、製造が容易になり製造コストが抑えられる複数の発光ダイオードを備える発光装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、この発明の発光装置は、
第1の電極と、
第2の電極と、
上記第1の電極と第2の電極との間で並列接続された複数の発光ダイオードで構成される並列構成単位を少なくとも1個有すると共に上記第1の電極と第2の電極との間に接続された発光ダイオード回路とを備え、
上記並列構成単位を構成する上記複数の発光ダイオードは、
上記第1の電極を上記第2の電極よりも高電位としたときに順方向配置となるように配置された第1の発光ダイオードと、
上記第2の電極を上記第1の電極よりも高電位としたときに順方向配置となるように配置された第2の発光ダイオードとからなり、
上記並列構成単位では、上記第1の発光ダイオードと上記第2の発光ダイオードとが混在して配置され、
交流電源によって上記第1の電極と第2の電極との間に交流電圧を印加して上記複数の発光ダイオードが駆動され、
上記複数の発光ダイオードの最大寸法が100μm以下であることを特徴としている。
【0007】
この発明の発光装置によれば、上記第1,第2の電極間に接続する複数の発光ダイオードの極性を揃えて配列する必要がないので、製造時に複数の発光ダイオードの極性(向き)を揃える工程が不要となり工程を簡略化できる。また、発光ダイオードの極性(向き)を識別するために、発光ダイオードにマークを設ける必要がなく、極性識別のために発光ダイオードを特別な形状にする必要がなくなる。よって、発光ダイオードの製造工程を簡略化でき、製造コストも抑えることができる。なお、発光ダイオードのサイズが小さな場合や発光ダイオードの個数が多い場合、極性を揃えて発光ダイオードを配列するものに比べて、上記製造工程を格段に簡略化できる。
【0008】
また、一実施形態の発光装置では、
上記発光ダイオード回路は、
上記並列構成単位が複数個直列に接続されてなる。
【0009】
この実施形態の発光装置によれば、上記第1の電極と第2の電極との間に接続する発光ダイオードの極性(向き)を揃える工程が不要となり工程を簡略化できる。また、上記発光ダイオードの極性(向き)を識別するために、発光ダイオードにマークを設ける必要がなく、極性識別のために発光ダイオードを特別な形状にする必要もなくなる。よって、この実施形態の発光装置によれば、発光ダイオードの製造工程を簡略化でき、製造コストも抑えることができる。特に、発光ダイオードの最大寸法が、100μm以下の小さなサイズの場合には、微細サイズの部品となり極性(向き)を揃える作業が難しくなるので、極性を揃えて発光ダイオードを配列する場合に比べて製造工程を格段に簡略化できる。
【0010】
さらに、この実施形態では、上記並列構成単位が複数個直列に接続されているので、或る1つの並列構成単位の1つの発光ダイオードのショート不良によって上記或る1つの並列構成単位の発光ダイオードが唯1つとして発光しなくなった場合でも、他の並列構成単位の発光ダイオードは発光し続けることができる。それゆえ、この実施形態の発光装置は、高歩留りであり、信頼性も高くすることが可能となる。また、この実施形態の発光装置によれば、面状の発光領域が容易に得られる。
【0011】
また、一実施形態の発光装置では、
上記発光ダイオード回路は、上記並列構成単位を1個有し、
上記第1の発光ダイオードは、
上記第1の電極にアノードが接続されていると共に上記第2の電極にカソードが接続され、
上記第2の発光ダイオードは、
上記第1の電極にカソードが接続されていると共に上記第2の電極にアノードが接続されている。
【0012】
この実施形態の発光装置によれば、上記第1,第2の電極間に接続する複数の発光ダイオードの極性を揃えて配列する必要がないので、製造時に複数の発光ダイオードの極性(向き)を揃える工程が不要となり工程を簡略化できる。また、発光ダイオードの極性(向き)を識別するために、発光ダイオードにマークを設ける必要がなく、極性識別のために発光ダイオードを特別な形状にする必要がなくなる。よって、発光ダイオードの製造工程を簡略化でき、製造コストも抑えることができる。なお、発光ダイオードのサイズが小さな場合や発光ダイオードの個数が多い場合、極性を揃えて発光ダイオードを配列するものに比べて、上記製造工程を格段に簡略化できる。
【0013】
また、一実施形態の発光装置では、
上記複数の並列構成単位の各並列構成単位は、互いに、等しい個数の発光ダイオードで構成されている。
【0014】
この実施形態の発光装置によれば、各発光ダイオードを流れる電流量を等しくすることができるから、各発光ダイオードに均等に電流を流して、全体として効率よく発光させ、信頼性を高くすることが可能となる。
【0015】
また、一実施形態の発光装置では、
上記並列構成単位がm個(mは2以上の自然数)の発光ダイオードにより構成され、
上記並列構成単位がn個(nは2以上の自然数)直列に接続されて上記発光ダイオード回路が構築されており、
上記mと上記nは、1−(1−(1/2)m−1)n≦0.05なる関係を満たす。
【0016】
この実施形態の発光装置によれば、上記発光ダイオード回路全体としての不良率を5%以下にすることができる。
【0017】
これについて以下に説明する。まず、1つの並列構成単位を構成するm個の発光ダイオードが全て同じ向きとなる確率は、(1/2)m−1である。これは、2項分布の性質と、発光ダイオードが全て同じ向きとなる場合が2通り(全て一方向の場合および全て他方向の場合)あることから導かれる。これより、1つの並列構成単位が上記不良を起こさない確率は、1−(1/2)m−1である。この並列構成単位がn個直列に接続されるとき、発光ダイオード回路全体として上記不良を起こさない確率は(1−(1/2)m−1)nであるから、発光ダイオード回路全体としての不良率Pは、P=1−(1−(1/2)m−1)nで表される。よって、上記mと上記nが、1−(1−(1/2)m−1)n≦0.05なる関係を満たすことで、上記発光ダイオード回路全体としての不良率を5%以下にすることができる。
【0018】
また、一実施形態の発光装置では、上記複数の発光ダイオードの個数は、100個以上かつ1億個以下である。
【0019】
この実施形態によれば、上記発光ダイオードの個数が100個以上であるので、交流駆動で起こる点滅によるちらつきを抑制できる。
【0020】
すなわち、上記複数の発光ダイオードの向きはランダムであり、各発光ダイオードについて、一方の向きと他方の向きとがそれぞれ2分の1の確率で発生するから、p=0.5の二項分布を考える。ここで、n個の発光ダイオードがあって、或る向きの発光ダイオードをX個(一度に発光するダイオードの個数)とする。すると、二項分布の性質から、Xの期待値E(X)は、E(X)=npであり、分散V(X)=np(1−p)となる。そして、Xがその期待値であるE(X)=np からどれだけずれるかの目安は分散の平方根{V(X)}1/2 であり、正規分布の場合は標準偏差と呼ばれる。この目安(分散の平方根)が期待値の10%となる場合、次式(1)が成立する。
{np(1−p)}1/2 =0.1np … (1)
【0021】
この式(1)に、p=0.5を代入して、nを解くと、n=100となる。これは、明るさのばらつきが期待値の10%となる条件を解くと、発光ダイオードの個数が100個であることを示している。
【0022】
なお、上記発光ダイオードの個数の上限値(1億個)は現在の実質的な製造限界である。
【0023】
また、一実施形態の発光装置では、上記交流電源の交流周波数は、60Hz以上かつ1MHz以下である。
【0024】
この実施形態によれば、上記交流電源の交流周波数を60Hz以上としたことで、交流駆動で起こる発光ダイオードの点滅によるちらつきを抑制できる。また、上記交流電源の交流周波数を1MHz以下にしたので、高周波による配線内での損失を抑制できる。交流電源の交流周波数が1MHzを超えると高周波による配線内での損失が無視できなくなる。
【0025】
また、一実施形態の発光装置では、上記交流電源から受ける交流は、矩形波である。
【0026】
この実施形態によれば、矩形波の交流で発光ダイオードを駆動するので、発光ダイオードを最も効率よく発光させることができる。例えば、正弦波の交流で発光ダイオードを駆動する場合、正弦波の立ち上がりと立下りの勾配があるので、平均発光強度が弱くなる。
【0027】
また、一実施形態の発光装置では、1つの基板上に上記第1の電極と第2の電極が形成されている。
【0028】
この実施形態によれば、1つの基板上に第1,第2の電極および複数の発光ダイオードを実装できる。
【0029】
また、一実施形態の発光装置では、上記第1の電極と第2の電極は、上記基板表面に沿って延在していると共に互いに対向しており、
上記第1の電極は、上記第2の電極に向かって突出していると共に上記延在方向に沿って並ぶように形成された複数の突出部を有し、
上記第2の電極は、上記第1の電極に向かって突出していると共に上記延在方向に沿って並ぶように形成された複数の突出部を有し、
上記第1の電極の突出部と上記第2の電極の突出部とが対向しており、
上記第1の発光ダイオードは、
上記第1の電極の突出部にアノードが接続されていると共に上記第2の電極の突出部にカソードが接続され、
上記第2の発光ダイオードは、
上記第1の電極の突出部にカソードが接続されていると共に上記第2の電極の突出部にアノードが接続されている。
【0030】
この実施形態によれば、基板上で上記第1,第2の電極が延在している方向に沿って形成された第1,第2の電極の突出部間に第1,第2の発光ダイオードが接続されているので、上記電極の延在方向に沿って上記突出部間の間隔で複数の発光ダイオードを配置することができる。つまり、上記基板上に形成した第1,第2の電極およびその突出部によって、上記複数の発光ダイオードの配置を設定できる。
【0031】
また、一実施形態の発光装置では、最大寸法が100μm以下である。
【0032】
この実施形態によれば、上記発光ダイオードの最大寸法が100μm以下である。このような微細サイズの物体(発光ダイオード)を向きも考慮して配置するには、微細サイズの物体を予め向きを揃えて準備しておくことが必要になる。もしくは、微細なサイズの物体を掴んでから向きを揃える作業が必要になる。よって、この実施形態のように、発光ダイオードの最大寸法が100μm以下の微細な場合は、発光ダイオードの向きがランダムでよい本発明に好適となる。また、発光ダイオードのサイズが小さいので、熱が発光領域に篭らず、熱による出力低下や寿命低下を防ぐことができる。
【0033】
また、一実施形態の発光装置では、上記発光ダイオードは、棒状である。
【0034】
この実施形態によれば、発光ダイオードが棒状であるので、配置方向を制御し易い。
【0035】
また、一実施形態の発光装置では、
上記第1,第2の電極に上記発光ダイオードを構成する半導体層が直接接続されている。
【0036】
この実施形態によれば、上記発光ダイオードを一方向に揃えるための方向性を識別するための構造(例えば片方が長いリード線等)が存在しないので、上記発光ダイオードの製造工程が簡略化される。
【0037】
また、一実施形態の発光装置では、
上記発光ダイオードは、
第1導電型のコア部と、
上記第1導電型のコア部の外周面を被覆する第2導電型のシェル部とを有し、
上記第1導電型のコア部の外周面の一部が上記第2導電型のシェル部から露出している。
【0038】
この実施形態によれば、上記第1導電型のコア部と第2導電型のシェル部との接合面をコア部の外周面に沿って形成でき、発光面の増大を図れる。また、上記コア部の外周面の一部が第2導電型のシェル部から露出しているので、上記コア部の外周面の一部への電極の接続が容易になる。
【0039】
また、一実施形態の発光装置では、
上記発光ダイオードのコア部は円柱状であり、
上記発光ダイオードのシェル部は上記円柱状のコア部の外周面を被覆し、
上記円柱状のコア部の外周面の一部が上記シェル部から露出しており、
上記円柱状のコア部と上記シェル部との接合面は上記コア部の周りに同心円状に形成されている。
【0040】
この実施形態によれば、上記第1導電型の円柱状のコア部と第2導電型のシェル部との接合面をコア部の外周面に沿って円筒状に形成でき、発光面の増大を図れる。また、上記コア部の外周面の一部が第2導電型のシェル部から露出しているので、上記コア部の外周面の一部への電極の接続が容易になる。
【0041】
また、一実施形態の発光装置の製造方法では、
第1の電極と第2の電極を有する基板を用意する工程と、
上記基板に最大寸法が100μm以下の複数の発光ダイオードを含んだ溶液を塗布する工程と、
上記第1の電極と第2の電極に電圧を印加して上記発光ダイオードを上記第1,第2の電極によって規定される位置に配列させる工程とを備える。
【0042】
この実施形態の製造方法によれば、いわゆる誘電泳動を用いて、上記第1,第2の電極によって規定される位置に微細な発光ダイオードを配置できる。この製造方法では、発光ダイオードの向きを一方に決めることが困難なので、発光ダイオードの向き(極性)が混在している本発明の発光装置を製造するのに好適である。
【0043】
また、一実施形態のディスプレイ用バックライトは、上記発光装置を有するので、製造が容易であり製造コストが抑えられる。
【0044】
また、一実施形態の照明装置は、上記発光装置を有するので、製造が容易であり製造コストが抑えられる。
【0045】
また、一実施形態のLEDディスプレイは、上記発光装置を有するので、製造が容易であり製造コストが抑えられる。
【発明の効果】
【0046】
この発明の発光装置によれば、並列に接続する複数の発光ダイオードの極性を揃えて配列する必要がないので、製造時に複数の発光ダイオードの極性(向き)を揃える工程が不要となり工程を簡略化できる。また、発光ダイオードの極性(向き)を識別するために、発光ダイオードにマークを設ける必要がなく、発光ダイオードを特別な形状にする必要がなくなる。よって、発光ダイオードの製造工程を簡略化でき、製造コストも抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】この発明の発光装置の第1実施形態の電気回路構成を模式的に示す図である。
【図2】上記実施形態を駆動する交流電源の交流波形の一例を示す波形図である。
【図3】この発明の発光装置の第2実施形態の電気回路構成を示す回路図である。
【図4】上記実施形態の変形例を示す回路図である。
【図5】上記実施形態のもう1つの変形例を示す回路図である。
【図6】上記実施形態の各並列構成単位において発光ダイオードを並列に接続する個数mと上記並列構成単位を直列に接続する個数nに対する不良率Pを示す図である。
【図7】この発明の発光装置の第3実施形態を示す模式的な平面図である。
【図8A】上記実施形態の発光ダイオードの構成の一例を示す斜視図である。
【図8B】上記発光ダイオードの端面図である。
【図9A】棒状構造の発光ダイオードの製造方法の工程図である。
【図9B】図9Aに続く棒状構造発光素子の製造方法の工程図である。
【図9C】図9Bに続く棒状構造発光素子の製造方法の工程図である。
【図9D】図9Cに続く棒状構造発光素子の製造方法の工程図である。
【図9E】図9Dに続く棒状構造発光素子の製造方法の工程図である。
【図10】この発明の第5実施形態としてのLEDディスプレイの1画素の回路を示す図である。
【図11】従来の発光装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0049】
(第1の実施の形態)
図1に、この発明の発光装置の第1実施形態の電気回路構成を模式的に示す。この第1実施形態の発光装置は、第1の電極1および第2の電極2と、上記第1の電極1と第2の電極2との間に並列に接続された5個の発光ダイオード3〜7を備える。上記発光ダイオード3,4,6は、第2の発光ダイオードであり、第1の電極1にカソードが接続されていると共に上記第2の電極2にアノードが接続されている。一方、上記発光ダイオード5,7は、第1の発光ダイオードであり、上記第1の電極1にアノードが接続されていると共に第2の電極2にカソードが接続されている。上記第1の電極1と第2の電極2には交流電源10が接続され、この交流電源10は、上記第1の電極1と第2の電極2に交流電圧を印加する。この実施形態では、上記交流電源10による交流電圧の周波数を60Hzとした。図1に示すように、上記5個の発光ダイオード3〜7は、第1の電極1にカソードが接続されている発光ダイオード3,4,6と第2の電極2にカソードが接続されている発光ダイオード5,7とが上記第1の電極1と第2の電極2との間で混在して配置されている。本実施形態では、5つの発光ダイオード3〜7のうち3つが一方向に接続(第1の電極1にカソードが接続)され、残りの2つが他方向に接続(第2の電極2にカソードが接続)されている。しかしながら、この一方向に接続された発光ダイオードの個数と他方向に接続された発光ダイオードの個数との割合はこれに限るものではなく、他の割合であってもよい。すなわち、一方向に接続される発光ダイオードと他方向に接続される発光ダイオードの数は、同数程度でなくてもよいし、その割合が一定でなくてもよい。このことは、本発明の発光装置の製造時に、発光ダイオードの向きを制御する必要がなく、ランダムに配列しても良いことを示している。なお、一方向に接続される発光ダイオードと他方向に接続される発光ダイオードの数の比が著しく大きくなった場合には、発光のちらつきの原因となることがあるが、これを抑制するための方法は後述する。
【0050】
この実施形態の発光装置によれば、上記第1の電極1と第2の電極2との間に並列に接続する5個の発光ダイオード3〜7の極性を揃えて配列する必要がないので、製造時に5個の発光ダイオード3〜7の極性(向き)を揃える工程が不要となり工程を簡略化できる。また、上記発光ダイオード3〜7の極性(向き)を識別するために、発光ダイオード3〜7にマークを設ける必要がなく、極性識別のために発光ダイオード3〜7を特別な形状にする必要もなくなる。
【0051】
よって、この実施形態の発光装置によれば、発光ダイオード3〜7の製造工程を簡略化でき、製造コストも抑えることができる。特に、発光ダイオード3〜7の最大寸法が、100μm以下の小さなサイズの場合には、微細サイズの部品となり極性(向き)を揃える作業が難しくなるので、極性を揃えて発光ダイオードを配列する場合に比べて製造工程を格段に簡略化できる。
【0052】
尚、上記実施形態では、第1の電極1と第2の電極2との間に接続する発光ダイオードの個数を5個としたが5個未満または6個以上としてもよい。例えば、第1の電極1と第2の電極2との間に接続する発光ダイオードの個数を100個以上とすることによって、交流駆動で起こる点滅によるちらつきを抑制でき、明るさのばらつきを期待値の10%以下に抑制可能となる。これについて以下に説明する。
【0053】
すなわち、上記複数の発光ダイオードの向きはランダムであり、各発光ダイオードについて、一方の向きと他方の向きとがそれぞれ2分の1の確率で発生するから、p=0.5の二項分布を考える。ここで、n個の発光ダイオードがあって、或る向きの発光ダイオードをX個(一度に発光するダイオードの個数)とする。すると、二項分布の性質から、Xの期待値E(X)は、E(X)=npであり、分散V(X)=np(1−p)となる。そして、Xがその期待値であるE(X)=np からどれだけずれるかの目安は分散の平方根{V(X)}1/2 であり、正規分布の場合は標準偏差と呼ばれる。この目安(分散の平方根)が期待値の10%となる場合、次式(1)が成立する。
{np(1−p)}1/2 =0.1np … (1)
【0054】
この式(1)に、p=0.5を代入して、nを解くと、n=100となる。これは、明るさのばらつきが期待値の10%となる条件を解くと、発光ダイオードの個数が100個であることを示している。
【0055】
なお、現在の実質的な製造限界から第1の電極1と第2の電極2との間に接続できる発光ダイオードの個数の上限値は約1億個である。このように、第1の電極1と第2の電極2との間に接続する発光ダイオードの個数が多い場合、極性を揃えて発光ダイオードを配列するものに比べて、製造工程を格段に簡略化できる。
【0056】
また、上記実施形態では、上記交流電源10による交流電圧の周波数を60Hzとしたが、上記交流電圧の周波数は60Hz未満でもよい。もっとも、上記交流電圧の周波数を60Hz以上にすることによって、交流駆動で起こる発光ダイオードの点滅によるちらつきを抑制できる。一方、上記交流電圧の周波数を1MHz以下にすることによって、高周波による配線内での損失を抑制できる。交流電源の交流周波数が1MHzを超えると高周波による配線内での損失が無視できなくなる。また、上記交流電圧の波形は、正弦波、三角波、矩形波、あるいはその他の周期的に変化する交流波形でもよいが、矩形波とすることが望ましい。一例として、図2に示すような矩形波の交流で発光ダイオードを駆動することにより、発光ダイオードを最も効率よく発光させることができる。これに対して、正弦波の交流で発光ダイオードを駆動する場合、正弦波の立ち上がりと立下りの勾配があるので、平均発光強度が弱くなる。
【0057】
また、図1では、上記第1の電極1と第2の電極2との間に接続された発光ダイオード3〜7は交流電源10に直接接続されているが、発光ダイオード3〜7と交流電源10との間に他の素子または回路が存在していても良い。例えば、発光ダイオード3〜7に交流電圧が印加される限りにおいて、発光ダイオード3〜7と交流電源10との間に、抵抗、コンデンサ、ダイオード、トランジスタ、その他の素子、またはこれらを組み合わせた回路があってもよい。また、発光ダイオード3〜7に交流電圧が印加される限りにおいて、発光ダイオード3〜7と並列に、抵抗、コンデンサ、ダイオード、トランジスタ、その他の素子、またはこれらを組み合わせた回路があってもよい。
【0058】
また、この実施形態では、図1に示すように、発光ダイオード3、4、6が一方向(カソードが第1の電極1)に接続され、発光ダイオード5、7が他方向(カソードが第2の電極2)に接続されている。よって、上記一方向に接続された発光ダイオード3、4、6からみれば、上記他方向に接続された発光ダイオード5、7は保護ダイオードの役割をしている。すなわち、上記一方向に接続された発光ダイオード3、4、6に、サージ等により大きな逆方向電圧が印加された場合でも、上記他方向に接続された発光ダイオード5、7に直ちに順方向電流が流れ、図示しない電源10中の抵抗または発光ダイオードと電源10との間に設けられた抵抗により電圧降下が起こり、上記一方向に接続された発光ダイオード3、4、6に大きな逆方向電圧が印加されるのを防ぐことができる。同様に、上記他方向に接続された発光ダイオード5、7からみれば、上記一方向に接続された発光ダイオード3、4、6は保護ダイオードの役割をしている。すなわち、発光ダイオード3〜7は発光ダイオードとしての機能のみならず、保護ダイオードとしての機能を発揮することとなる。これにより、少ない部品で高い信頼性の発光装置を得ることができる。
【0059】
(第2の実施の形態)
次に、図3を参照して、この発明の発光装置の第2実施形態を説明する。図3は、この第2実施形態の電気回路構成を模式的に示す回路図である。
【0060】
図3に、この発明の発光装置の第2実施形態の電気回路構成を模式的に示す。この第2実施形態の発光装置は、第1の電極201および第2の電極202と、上記第1の電極201と第2の電極202との間に直並列に接続された24個の発光ダイオード311〜316,321〜326,331〜336,341〜346からなる発光ダイオード回路203を備える。
【0061】
6個の発光ダイオード311〜316は並列に接続されており、並列構成単位401をなしている。同様に、6個の発光ダイオード321〜326、6個の発光ダイオード331〜336および6個の発光ダイオード341〜346も、それぞれ並列構成単位402,403,404をなしている。これら4個の並列構成単位401〜404が直列に接続されて発光ダイオード回路203をなし、その両端が第1の電極201および第2の電極202に接続されている。
【0062】
各並列構成単位401〜404では、互いに逆向きである2つの向きで接続された発光ダイオードが混在している。
【0063】
具体的には、発光ダイオード311〜316が構成する並列構成単位401では、第2の発光ダイオードとしての発光ダイオード311,313,315,316のカソードが第1の電極201に直接接続され、発光ダイオード311,313,315,316のアノードが他の並列構成単位402〜404を介して第2の電極202に接続される。また、第1の発光ダイオードとしての発光ダイオード312,314のアノードが第1の電極201に直接接続され、発光ダイオード312,314のカソードが他の並列構成単位402〜404を介して第2の電極202に接続されている。また、発光ダイオード321〜326が構成する並列構成単位402では、第2の発光ダイオードとしての発光ダイオード321,324,325のカソードが他の並列構成単位401を介して第1の電極201に接続され、発光ダイオード321,324,325のアノードが他の並列構成単位403,404を介して第2の電極202に接続される。また、並列構成単位402の第1の発光ダイオードとしての発光ダイオード322,323,326のアノードが他の並列構成単位401を介して第1の電極201に接続され、発光ダイオード322,323,326のカソードが他の並列構成単位403,404を介して第2の電極202に接続されている。
【0064】
すなわち、上記並列構成単位401では、第2の発光ダイオードとしての発光ダイオード311,313,315,316が第2の電極202から第1の電極201に向かって順方向であり、第1の発光ダイオードとしての発光ダイオード312,314が第1の電極201から第2の電極202に向かって順方向である。また、上記並列構成単位402では、第2の発光ダイオードとしての発光ダイオード321,324,325が第2の電極202から第1の電極201に向かって順方向であり、第1の発光ダイオードとしての発光ダイオード322,323,326が第1の電極201から第2の電極202に向かって順方向である。
【0065】
また、上記並列構成単位403では、第2の発光ダイオードとしての発光ダイオード333,335,336が第2の電極202から第1の電極201に向かって順方向であり、第1の発光ダイオードとしての発光ダイオード331,332,334が第1の電極201から第2の電極202に向かって順方向である。また、上記並列構成単位404では、第2の発光ダイオードとしての発光ダイオード341,343,345,346が第2の電極202から第1の電極201に向かって順方向であり、第1の発光ダイオードとしての発光ダイオード342,344が第1の電極201から第2の電極202に向かって順方向である。
【0066】
上記第1の電極201と第2の電極202には交流電源210が接続され、この交流電源210は、上記第1の電極201と第2の電極202に交流電圧を印加する。この実施形態では、上記交流電源210による交流電圧の周波数を60Hzとした。
【0067】
上述のように、各並列構成単位401〜404を構成する発光ダイオードは、互いに逆向きである2つの向きで接続された発光ダイオードが混在している。図3に示すように、上記2つの向きのうちの一方向に接続された発光ダイオードの数と、他方向に接続された発光ダイオードの数は並列構成単位毎に異なっていても良い。このことは、本発明の発光装置の製造時に、発光ダイオードの向きを制御する必要がなく、ランダムに配列しても良いことを示している。
【0068】
また、図3では、上記第1の電極201と第2の電極202との間に直列に接続された並列構成単位401〜404は交流電源210に直接接続されているが、直列に接続された並列構成単位と交流電源210との間に他の素子または回路が存在していても良い。例えば、直列に接続された並列構成単位401〜404に交流電圧が印加される限りにおいて、上記直列に接続された並列構成単位401〜404と交流電源210との間に、抵抗、コンデンサ、ダイオード、トランジスタ、その他の素子、またはこれらを組み合わせた回路があってもよい。また、直列に接続された並列構成単位401〜404に交流電圧が印加される限りにおいて、上記直列に接続された並列構成単位401〜404と並列に、抵抗、コンデンサ、ダイオード、トランジスタ、その他の素子、またはこれらを組み合わせた回路があってもよい。また、各並列構成単位401〜404に交流電圧が印加される限りにおいて、各並列構成単位401〜404間に、抵抗、コンデンサ、ダイオード、トランジスタ、その他の素子、またはこれらを組み合わせた回路があってもよい。例えば、図4に示す一例では、並列構成単位402と並列構成単位403との間に電流調整用の抵抗R1が接続されている。更には、上記並列構成単位401〜404を構成する各発光ダイオードに交流電圧が印加される限りにおいて、上記並列構成単位401〜404内に、抵抗、コンデンサ、ダイオード、トランジスタ、その他の素子、またはこれらを組み合わせた回路があってもよい。例えば、図5に示す一例では、並列構成単位402,並列構成単位403を構成する各発光ダイオード321〜326,331〜336と直列にそれぞれ電流調整用の抵抗R2が設けられている。
【0069】
この実施形態の発光装置によれば、上記第1の電極201と第2の電極202との間に接続する発光ダイオードの極性(向き)を揃える工程が不要となり工程を簡略化できる。また、上記発光ダイオードの極性(向き)を識別するために、発光ダイオードにマークを設ける必要がなく、極性識別のために発光ダイオードを特別な形状にする必要もなくなる。
【0070】
よって、この実施形態の発光装置によれば、発光ダイオードの製造工程を簡略化でき、製造コストも抑えることができる。特に、発光ダイオードの最大寸法が、100μm以下の小さなサイズの場合には、微細サイズの部品となり極性(向き)を揃える作業が難しくなるので、極性を揃えて発光ダイオードを配列する場合に比べて製造工程を格段に簡略化できる。
【0071】
この実施形態では、図3に示すように、各並列構成単位401〜404内で、一方向に接続された発光ダイオードと、他方向に接続された発光ダイオードとが混在している。この点で、1つの並列構成単位401,402,403,404を構成する複数の発光ダイオードは、前述の第1実施形態の発光ダイオード3〜7(図1参照)と同様である。よって、この第2実施形態は、前述の第1実施形態の発光ダイオード3〜7を、多段にしたものといえる。
【0072】
したがって、前述の第1実施形態で説明した、一方向に接続された発光ダイオードからみれば、他方向に接続された発光ダイオードは保護ダイオードの役割をしており、他方向に接続された発光ダイオードからみれば、一方向に接続された発光ダイオードは保護ダイオードの役割をしているという特徴は、この第2実施形態でも成立する。それゆえ、この第2実施形態でも、各発光ダイオードは発光ダイオードとしての機能のみならず、保護ダイオードとしての機能を発揮することとなる。これにより、少ない部品で高い信頼性の発光装置を得ることができる。
【0073】
更には、この第2実施形態の発光装置は、前述の第1実施形態の発光装置に比べて、ショート不良に対して強いという利点を有している。例えば、前述の第1実施形態の発光ダイオード3〜7(図1を参照)のいずれか1つでもショート不良を起こせば、発光ダイオードは唯1つとして発光しなくなる。一方、この第2実施形態では、例えば、図3の発光ダイオード311がショート不良を起こすと、並列構成単位401の発光ダイオード311〜316が発光しなくなるものの、他の並列構成単位402〜404の発光ダイオードは発光し続けることができる。それゆえ、この第2実施形態の発光装置は、高歩留りであり、信頼性も高くすることが可能となる。
【0074】
尚、上記第2実施形態では、各並列構成単位401〜404を構成する発光ダイオードの数は全て同じ(6個)であるが、この限りではない。すなわち、各並列構成単位を構成する発光ダイオードの個数は6個以下でも6個以上でもよく例えば100個以上でもよい。また、各並列構成単位を構成する発光ダイオードの数を、並列構成単位毎に変えてもよい。例えば、並列構成単位401を6個の発光ダイオードで構成し、並列構成単位402を5個の発光ダイオードで構成し、並列構成単位403および404を7個の発光ダイオードで構成することもできる。しかしながら、図3に示すように、各並列構成単位401〜404を構成する発光ダイオードの個数がそれぞれ等しいことが好ましい。なぜならば、各並列構成単位401〜404は直列に接続されているため、各並列構成単位401〜404を流れる総電流量は各並列構成単位で等しく、よって各並列構成単位401〜404を構成する発光ダイオードの数を等しくすることにより、各発光ダイオードを流れる電流量を等しくすることができるからである。これにより、各発光ダイオードに均等に電流を流して、全体として効率よく発光させ、信頼性を高くすることが可能となる。
【0075】
ところで、この第2実施形態を実施するにあたり、第1の電極201と第2の電極202との間に接続する発光ダイオードの極性(向き)を揃える工程を省略する。このため、発光ダイオードの向きが偶然に決定される場合においては、1つの並列構成単位401〜404を構成する発光ダイオードが(偶然)全て同じ向きになってしまう不良が発生する。この状態で、第1,第2の電極201,202に交流を印加した場合、この不良の並列構成単位は半周期で全く電流を通さないため、この半周期で全ての発光ダイオードが消灯してしまう。ここでは、各並列構成単位は全て同じm個の発光ダイオードからなり、この並列構成単位がn個直列に接続されている場合の不良発生率を考察する。
【0076】
先ず、1つの並列構成単位を構成するm個の発光ダイオードが全て同じ向き(極性)となる確率は、(1/2)m−1である。これは、2項分布の性質と、発光ダイオードが全て同じ向きとなる場合が2通り(全て一方向の場合および全て他方向の場合)あることから導かれる。これより、1つの並列構成単位が上記不良を起こさない確率は、1−(1/2)m−1である。この並列構成単位がn個直列に接続されるとき、発光ダイオード回路全体として上記不良を起こさない確率は(1−(1/2)m−1)nであるから、発光ダイオード回路全体としての不良率Pは、P=1−(1−(1/2)m−1)nで表される。
【0077】
図6に示す表は、各並列構成単位において発光ダイオードを並列に接続する個数mと上記並列構成単位を直列に接続する個数nに対する不良率Pが記されている。この表から、例えば、上記並列接続個数m=9の場合は、上記直列接続個数nが2以下で不良率が1%以下となり、nが13以下で不良率が5%以下となることが判る。量産の観点からは、Pが0.05(5%)以下、すなわち、1−(1−(1/2)m−1)n≦0.05なる関係を満たすこと(図6の表において太線L1よりも右側の領域)が好ましく、Pが0.01以下(1%)以下であること(図6の表において太線L2よりも右側の領域)が更に好ましい。
【0078】
なお、現在の実質的な製造限界から第1の電極201と第2の電極202との間に接続できる発光ダイオードの個数の上限値は約1億個である。このように、第1の電極201と第2の電極202との間に接続する発光ダイオードの個数が多い場合、極性を揃えて発光ダイオードを配列するものに比べて、製造工程を格段に簡略化できる。
【0079】
また、上記実施形態では、上記交流電源210による交流電圧の周波数を60Hzとしたが、上記交流電圧の周波数は60Hz未満でもよい。もっとも、上記交流電圧の周波数を60Hz以上にすることによって、交流駆動で起こる発光ダイオードの点滅によるちらつきを抑制できる。一方、上記交流電圧の周波数を1MHz以下にすることによって、高周波による配線内での損失を抑制できる。交流電源の交流周波数が1MHzを超えると高周波による配線内での損失が無視できなくなる。また、上記交流電圧の波形は、正弦波、三角波、矩形波、あるいはその他の周期的に変化する交流波形でもよいが、矩形波とすることが望ましい。一例として、図2に示すような矩形波の交流で発光ダイオードを駆動することにより、発光ダイオードを最も効率よく発光させることができる。これに対して、正弦波の交流で発光ダイオードを駆動する場合、正弦波の立ち上がりと立下りの勾配があるので、平均発光強度が弱くなる。
【0080】
(第3の実施の形態)
次に、図7を参照して、この発明の発光装置の第3実施形態を説明する。図7は、この第3実施形態を示す模式的な平面図である。
【0081】
この第3実施形態の発光装置は、基板21と、基板21上に形成された第1の電極22と、基板21上に形成された第2の電極23と、4個の発光ダイオード24,25,26,27を備える。この第1の電極22と第2の電極23は、上記基板21の表面21Aに沿って互いに略平行に延在していて互いに対向している。上記第1の電極22は、この第1の電極22が延在している方向に沿って或る間隔を隔てて並んでいると共に第2の電極23に向かって突き出した4つの突出部22A,22B,22C,22Dを有する。また、上記第2の電極23は、この第2の電極23が延在している方向に沿って或る間隔を隔てて並んでいると共に第1の電極22に向かって突き出した4つの突出部23A,23B,23C,23Dを有する。上記第1の電極22の4つの突出部22A,22B,22C,22Dは、それぞれ、上記第2の電極23の4つの突出部23A,23B,23C,23Dに対向している。
【0082】
図7に示す一例では、第1の発光ダイオードとしての上記発光ダイオード24,26は、アノードAが第1の電極22の突出部22A,22Cに接続され、カソードKが第2の電極23の突出部23A,23Cに接続されている。また、第2の発光ダイオードとしての上記発光ダイオード25,27は、カソードKが第1の電極22の突出部22B,22Dに接続され、アノードAが第2の電極23の突出部23B,23Dに接続されている。この実施形態では、一例として、上記発光ダイオード24〜27を棒状とし、長さLを10μmとした。
【0083】
また、上記第1の電極22と第2の電極23には、交流電源28が接続される。この実施形態では、交流電源28の交流周波数を60Hzとした。図7に示すように、上記4個の発光ダイオード24〜27は、第1の電極22にアノードAが接続されている発光ダイオード24,26と第2の電極23にアノードAが接続されている発光ダイオード25,27とが上記第1の電極22と第2の電極23との間で混在して配置されている。なお、図7に示す一例では、第1の電極22にアノードAが接続されている発光ダイオード24,26と第2の電極23にアノードAが接続されている発光ダイオード25,27とを交互に配列したが、発光ダイオード26と27とが入れ替わってもよい。すなわち、第1の電極22の突出部22AにアノードAが接続された発光ダイオード24と突出部22DにアノードAが接続された発光ダイオード26との間に、カソードKが第1の電極22の突出部22Bに接続された発光ダイオード25とカソードKが第1の電極22の突出部22Cに接続された発光ダイオード27を配列してもよい。また、一方向に接続(第1の電極22にカソードが接続)された発光ダイオードの数と、他方向に接続(第2の電極23にカソードが接続)された発光ダイオードの数の割合はこれに限るものではなく、他の割合であってもよい。すなわち、一方向に接続される発光ダイオードと他方向に接続される発光ダイオードの数は、同数でなくてもよいし、その割合が一定でなくてもよい。このことは、本発明の発光装置の製造時に、発光ダイオードの向きを制御する必要がなく、ランダムに配列しても良いことを示している。なお、一方向に接続される発光ダイオードと他方向に接続される発光ダイオードの数の比が著しく大きくなった場合には、発光のちらつきの原因となることがあるが、これを抑制するための方法は後述する。
【0084】
この実施形態の発光装置によれば、上記第1の電極22と第2の電極23との間に並列に接続する4個の発光ダイオード24〜27を極性を揃えて配列する必要がないので、製造時に4個の発光ダイオード24〜27の極性(向き)を揃える工程が不要となり工程を簡略化できる。また、上記発光ダイオード24〜27の極性(向き)を識別するために、発光ダイオード24〜27にマークを設ける必要がなく、極性識別のために発光ダイオード24〜27を特別な形状にする必要もなくなる。したがって、この実施形態の発光装置によれば、発光ダイオード24〜27の製造工程を簡略化でき、製造コストも抑えることができる。特に、この実施形態のように、発光ダイオード24〜27の最大寸法が、10μmで100μm以下の小さなサイズの場合には、微細サイズの部品となって極性を揃える作業が難しくなるので、極性を揃えて発光ダイオードを配列する場合に比べて製造工程を格段に簡略化できる。なお、上記発光ダイオード24〜27の最大寸法が、10μm未満でもよく、10μmを超えてもよい。
【0085】
また、この実施形態によれば、基板21上に第1,第2の電極22,23および4個の発光ダイオード24〜27を実装でき、基板21上で上記第1,第2の電極22,23が延在している方向に沿って或る間隔で配置された第1,第2の電極22,23の突出部22A〜22D,23A〜23D間に発光ダイオード24〜27が接続されているので、上記電極22,23の延在方向に沿って上記4個の発光ダイオード24〜27を一列に配列できる。つまり、上記基板21上に形成した第1,第2の電極22,23およびその突出部22A〜22D,23A〜23Dによって、上記4個の発光ダイオードの配置を設定できる。また、この実施形態では、発光ダイオード24〜27が棒状であるので、第1の電極22の各突出部22A〜22Dと第2の電極23の各突出部23A〜23Dとの間で各突出部の突出の方向へ配置方向を制御し易くなる。
【0086】
尚、上記実施形態では、第1の電極22と第2の電極23との間に接続する発光ダイオードの個数を4個としたが4個未満または5個以上としてもよい。例えば、第1の電極22と第2の電極23との間に接続する発光ダイオードの個数を100個以上とすることによって、交流駆動で起こる点滅によるちらつきを抑制でき、明るさのばらつきを期待値の10%以下に抑制可能となる。これについて以下に説明する。
【0087】
すなわち、上記複数の発光ダイオードの向きはランダムであり、各発光ダイオードについて、一方の向きと他方の向きとがそれぞれ2分の1の確率で発生するから、p=0.5の二項分布を考える。ここで、n個の発光ダイオードがあって、或る向きの発光ダイオードをX個(一度に発光するダイオードの個数)とする。すると、二項分布の性質から、Xの期待値E(X)は、E(X)=npであり、分散V(X)=np(1−p)となる。そして、Xがその期待値であるE(X)=np からどれだけずれるかの目安は分散の平方根{V(X)}1/2 であり、正規分布の場合は標準偏差と呼ばれる。この目安(分散の平方根)が期待値の10%となる場合、次式(1)が成立する。
{np(1−p)}1/2 =0.1np … (1)
【0088】
この式(1)に、p=0.5を代入して、nを解くと、n=100となる。これは、明るさのばらつきが期待値の10%となる条件を解くと、発光ダイオードの個数が100個であることを示している。
【0089】
なお、現在の実質的な製造限界から第1の電極22と第2の電極23との間に接続できる発光ダイオードの個数の上限値は約1億個である。このように、第1の電極22と第2の電極23との間に接続する発光ダイオードの個数が多い場合、極性を揃えて発光ダイオードを配列するものに比べて、製造工程を格段に簡略化できる。また、上記実施形態では、上記交流電源28による交流電圧の周波数を60Hzとしたが、上記交流電圧の周波数は60Hz未満でもよい。もっとも、上記交流電圧の周波数を60Hz以上にすることによって、交流駆動で起こる発光ダイオードの点滅によるちらつきを抑制できる。一方、上記交流電圧の周波数を1MHz以下にすることによって、高周波による配線内での損失を抑制できる。また、上記交流電圧の波形は、正弦波、三角波、矩形波、あるいはその他の波形でもよいが、矩形波とすることが望ましい。一例として、図2に示すような矩形波の交流で発光ダイオードを駆動することにより、発光ダイオードを最も効率よく発光させることができる。また、上記各発光ダイオード24〜27を構成する半導体層であるP型半導体層とN型半導体層を第1の電極22,23の各突出部22A〜22D,23A〜23Dに直接に接続することが好ましい。これにより、各発光ダイオード24〜27を電極22,23に極性を揃えて接続するためのリード線等が無い構造となり、各発光ダイオードの極性を揃える必要のない本実施形態には好適である。
【0090】
例えば、図8Aに示すように、上記各発光ダイオード24〜27を、N型の半導体で作製された円柱状のコア部31と、この円柱状のコア部31の外周面32を被覆するP型の半導体で作製された円筒状のシェル部33とで構成してもよい。なお、図8Bは、円柱状のコア部31の端面31D側から軸方向に見た様子を示す端面図である。上記円柱状のコア部31の外周面32の一部32Aが上記シェル部33から露出している。また、上記円柱状のコア部31と上記シェル部33との接合面35は上記円柱状のコア部31の周りに同心円状に形成されている。上記シェル部33から露出したコア部31の一部31AがカソードKをなし、上記シェル部33の端部33AがアノードAをなす。そして、上記カソードK,アノードAは、第1,第2の電極22,23の突出部22A〜22D,突出部23A〜23Dのうちのいずれかに直接接続される。図8に示す構成の発光ダイオードは、上記N型の円柱状のコア部31とP型のシェル部33との接合面35をコア部31の外周面32に沿って円筒状に形成でき、発光面の増大を図れる。また、上記コア部31の外周面32の一部32AがP型のシェル部33から露出しているので、上記コア部31の外周面32の一部32Aへの電極22,23の接続が容易になる。
【0091】
なお、コア部31の一端31Bの端面31Cは上記シェル部33の端部33Aから露出していてもよいが、上記シェル部33の端部33Aがコア部31の一端31Bの端面31Cを被覆する構成とすることで、シェル部33の端部33Aを第1,第2の電極22,23の突出部により接続し易くなる。また、上記シェル部33を形成する半導体をN型とし、上記コア部31を形成する半導体をP型としてもよい。また、図8に示す構成では、コア部31を円柱状としシェル部33を円筒状としたが、多角柱状のコア部と多角筒状のシェル部としてもよい。例えば、六角柱状のコア部と六角筒状のシェル部としてもよく、四角柱状のコア部と四角筒状のシェル部としてもよく、三角柱状のコア部と三角筒状のシェル部としてもよい。また、楕円柱状のコア部と楕円筒状のシェル部としてもよい。
【0092】
(第4の実施の形態)
次に、この発明の第4実施形態として、発光装置の製造方法を説明する。この第4実施形態では、図7を参照して前述の第3実施形態で説明されたような発光装置を製造する方法を説明する。
【0093】
この第4実施形態では、まず、表面21Aに第1の電極22と第2の電極23が形成された基板21を用意する。この基板21は絶縁基板とし、第1,第2の電極22,23は金属電極とする。一例として、印刷技術を利用して絶縁基板21の表面21Aに所望の電極形状の金属電極22,23を形成することができる。また、絶縁基板21の表面21Aに金属膜及び感光体膜を一様に積層し、この感光体膜を所望の電極パターンに露光・現像し、パターニングされた感光体膜をマスクとして金属膜をエッチングして第1の電極22と第2の電極23を形成することができる。
【0094】
なお、上記金属電極22,23を作製する金属の材料としては、金、銀、銅、鉄、タングステン、タングステンナイトライド、アルミニウム、タンタルやそれらの合金などを用いることができる。また、絶縁基板21はガラス、セラミック、アルミナ、樹脂のような絶縁体、またはシリコンのような半導体表面にシリコン酸化膜を形成し、表面が絶縁性を有するような基板である。ガラス基板を用いる場合は、表面にシリコン酸化膜、シリコン窒化膜のような下地絶縁膜を形成するのが望ましい。
【0095】
また、上記第1の電極22の突出部22Aと第2の電極23の突出部23Aとの間の距離は、発光ダイオード24〜27の長さよりもやや短いことが好ましい。一例として、上記距離は、発光ダイオード24〜27の長さが10μmである場合は、6〜9μmとすることが望ましい。すなわち、上記距離は、発光ダイオード24〜27の長さの60〜90%程度、より好ましくは上記長さの80〜90%とすることが望ましい。上記第1の電極22の突出部22B,22C,22Dと上記第2の電極23の突出部23B,23C,23Dとの間の距離についても、上記突出部22Aと突出部23Aとの間の距離と同様である。
【0096】
次に、上記絶縁基板21上に発光ダイオード24〜27を配列する手順を説明する。まず、上記絶縁基板21上に発光ダイオード24〜27を含んだ溶液としてのイソプロピルアルコール(IPA)を薄く塗布する。なお、上記溶液としては、IPAのほかに、エチレングリコール、プロピレングリコール、メタノール、エタノール、アセトン、またはそれらの混合物でもよく、他の有機物からなる液体、水などを用いることができる。ただし、液体を通じて金属電極22,23間に大きな電流が流れてしまうと、金属電極22,23間に所望の電圧差を印加できなくなってしまう。そのような場合には、金属電極22,23を覆うように、絶縁基板21表面全体に、10nm〜30nm程度の絶縁膜をコーティングすればよい。
【0097】
上記発光ダイオード24〜27を含むIPAを塗布する厚さは、次に発光ダイオード24〜27を配列する工程で、発光ダイオード24〜27が配列できるよう、液体中で発光ダイオード24〜27が移動できる厚さである。したがって、発光ダイオード24〜27の太さ以上であり、例えば、数μm〜数mmである。塗布する厚さは薄すぎると、発光ダイオード24〜27が移動し難くなり、厚すぎると、液体を乾燥する時間が長くなる。好ましくは、100μm〜500μmである。また、IPAの量に対して、発光ダイオードの個数は、 1×104個/cm3 〜 1×107個/cm3 が好ましい。
【0098】
上記発光ダイオード24〜27を含むIPAを絶縁基板21に塗布するために、発光ダイオード24〜27を配列させる金属電極22,23の外周囲に枠(図示せず)を形成し、その枠内に上記発光ダイオード24〜27を含むIPAを所望の厚さになるよう充填するとよい。しかし、上記発光ダイオード24〜27を含むIPAが粘性を有する場合は、枠を必要とせずに、所望の厚さに塗布することが可能である。上記IPAやエチレングリコール、プロピレングリコール、メタノール、エタノール、アセトン、またはそれらの混合物、或いは、他の有機物からなる液体、または水などの液体は、上記発光ダイオード24〜27の配列工程のためには粘性が低いほど望ましく、また加熱により蒸発しやすい方が望ましい。
【0099】
次に、金属電極22、23間に電位差を与える。この電位差は、例えば、0.5Vもしくは1Vの電位差とする。なお、この金属電極22と23の電位差は、0.1〜10Vを印加することができるが、0.1V以下では発光ダイオード24〜27の配列姿勢が乱れ始め、10V以上では金属電極間の絶縁が問題になり始める。したがって、上記電位差は0.5V〜5Vが好ましく、さらには、0.5V程度とするのが好ましい。金属電極22に電位VLを与え、金属電極23に上記電位VLよりも高い電位VH(VL<VH)を与えると、金属電極22には負電荷が誘起され、金属電極23には正電荷が誘起される。この金属電極22,23に上記発光ダイオード24〜27が接近すると、発光ダイオード24〜27のうち金属電極22に近い側に正電荷が誘起され、金属電極23に近い側に負電荷が誘起される。上記発光ダイオード24〜27に電荷が誘起されるのは静電誘導による。よって、上記発光ダイオード24〜27は、金属電極22、23間に生じる電気力線に沿った姿勢になると共に、各発光ダイオード24〜27に誘起された電荷がほぼ等しいので、電荷による反発力により、ほぼ等間隔に一定方向に規則正しく配列する。このとき、金属電極22、23の表面に絶縁膜がコーティングされており、かつ、金属電極22、23間に与える電位差が一定(DC)であると、金属電極22、23上にコーディングされた絶縁膜表面に、金属電極22、23の電位と反対極性のイオンが誘起されて溶液中の電界が非常に弱くなってしまう。そのような場合は、金属電極22,23間に交流電圧を印加することが好ましい。これにより、金属電極22、23の電位と反対極性のイオンが誘起されるのを防ぎ、発光ダイオード24を正常に配列することができる。なお、金属電極22,23間に印加する交流電圧の周波数は、10Hz〜1MHzとするのが好ましいが、交流電圧の周波数が10Hz未満のときは、発光ダイオード24が激しく振動し、配列が乱される可能性がある。一方、金属電極22,23間に印加する交流電圧の周波数が1MHzを超える場合は、発光ダイオード24〜27が金属電極22,23に吸着される力が弱くなり、外部の擾乱により配列が乱されることがある。このため、発光ダイオード24〜27の配列の安定のためには、上記交流電圧の周波数を50Hz〜1kHzとすることがより好ましい。さらに、上記交流電圧の波形は、正弦波に限らず、矩形波、三角波、ノコギリ波など、周期的に変動するものであればよい。なお、上記交流電圧の振幅は一例として0.5V程度とすることが好ましい。
【0100】
このように、本実施形態では、金属電極22,23間に発生した外部電場により、各発光ダイオード24〜27に電荷を発生させ、電荷の引力により金属電極22,23に発光ダイオード24〜27を吸着させるので、発光ダイオード24〜27の大きさは、液体中で移動可能な大きさであることが必要である。したがって、各発光ダイオード24〜27の大きさ(最大寸法)の許容値は、液体の塗布量(塗布厚さ)により変化する。上記液体の塗布量が少ない場合は、各発光ダイオード24〜27の大きさ(最大寸法)はナノスケールでなければならないが、液体の塗布量が多い場合は、各発光ダイオード24〜27の大きさがミクロンオーダーであってもかまわない。
【0101】
上記発光ダイオード24〜27が配列を始めてしばらくすると、図7に模式的に示すように、電極22の突出部22A〜22Dと電極23の突出部23A〜23Dとの間に発光ダイオード24〜27が配列する。各発光ダイオード24〜27は、金属電極22,23が延在している方向とは垂直な姿勢に整列して上記延在の方向にほぼ等間隔で配列する。突出部22A〜22Dと突出部23A〜23Dとの間に電界が集中すると共に発光ダイオード24〜27に誘起された電荷により発光ダイオード24〜27間に反発力が働いて、発光ダイオード24〜27がほぼ等間隔に並ぶ。
【0102】
なお、図7に仮想線で示すように、上記溶液に含まれるが上記発光ダイオード24〜27以外の発光ダイオードZが、電極22や電極23に吸着する場合もある。この場合には、上記電極22,23間に交流電圧を印加しつつ、上記電極22,23の周囲にIPA等の溶液を流すことによって、上記電極22や電極23に吸着した発光ダイオードZを除去できる。これにより、歩留まりの向上を図れる。
【0103】
こうして、金属電極22,23の突出部22A〜22Dと突出部23A〜23Dとの間に、発光ダイオード24〜27を配列させた後、基板21を加熱または一定時間放置することにより、上記溶液の液体を蒸発させて乾燥させ、発光ダイオード24〜27を金属電極22と23との間の電気力線に沿って、等間隔に配列させて固着させる。
【0104】
以上のように、本実施形態の発光装置の製造方法によれば、発光ダイオード24〜27を、金属電極22,23の突出部22A〜22Dと突出部23A〜23Dとの間に制御性良く高精度に配列させることが可能となる。また、本実施形態の方法では、各発光ダイオード24〜27の向き(極性)を一方に決めることが困難で、各発光ダイオード24〜27の向きが図7に示されている状態になるとも限らないが、上述の如く、上記実施形態の発光装置では、図7の配列状態に限られるものではなく、各発光ダイオード24〜27の向きがランダムで混在していてもよい。よって、本実施形態の製造方法は、発光ダイオードの向き(極性)が混在している本発明の上記実施形態のような発光装置を製造するのに好適である。また、本実施形態の製造方法では、一例として4個の発光ダイオードを配列する場合を説明したが、本発明の発光装置の製造方法は、多数の微細な発光ダイオードを一度に電極間に配列,接続可能になるので、発光ダイオードのサイズが小さく(一例として100μm以下)であり、第1の電極22と第2の電極23との間に接続する発光ダイオードの個数が多数個(例えば100個以上)である場合に特に有利である。
【0105】
尚、上記実施形態では、第1の電極22と第2の電極23が、突出部22A〜22Dと突出部23A〜23Dを有している場合を説明したが、第1,第2の電極が上述のような突出部を有していない電極である場合にも、本実施形態を適用できる。この場合、第1の電極と第2の電極との間の寸法を配置する発光ダイオードの長さよりもやや短く設定する。
【0106】
また、この実施形態の発光装置の製造方法では、前述の第2実施形態の発光装置の複数の並列構成単位を有する発光ダイオード回路203を作製する場合にも適用できる。この場合、上記第1,第2の電極22,23を各並列構成単位401〜404の両端に配置し、上述と同様に絶縁基板21に発光ダイオード311〜316,321〜326,331〜336,341〜346を含む液体を塗布して第1,第2の電極22,23間に電圧を印加して上記第1,第2の電極間に上記発光ダイオードを配列させて固着させる。その後、上記第1,第2の電極22,23とは別の配線、例えば上部配線等により各並列構成単位401〜404を直列に接続する。
【0107】
次に、図9A〜図9Eを参照して、前述の第3実施形態で説明した様な棒状構造の発光ダイオードの製造方法の一例を説明する。まず、図9Aに示すように、n型GaNからなる基板71上に、成長穴72aを有するマスク72を形成する。次に、図9Bに示すように、半導体コア形成工程において、マスク72の成長穴72aにより露出した基板71上に、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition:有機金属気相成長)装置を用いて、n型GaNを結晶成長させて棒状の半導体コア73を形成する。ここで、n型GaNは、六方晶系の結晶成長となり、基板71表面に対して垂直方向をc軸方向にして成長させることにより、六角柱形状の半導体コアが得られる。
【0108】
次に、図9Cに示すように、半導体層形成工程において、棒状の半導体コア73を覆うように基板71全面にp型GaNからなる半導体層74を形成する。次に、図9Dに示すように、露出工程において、リフトオフにより半導体コア73を覆う半導体層74aの部分を除く領域とマスク72を除去して、棒状の半導体コア73の基板71側に基板側の外周面を露出させて露出部分73aを形成する。この状態で、上記半導体コア73の基板71と反対の側の端面は、半導体層74aにより覆われている。この実施形態の露出工程では、リフトオフを用いたがエッチングにより半導体コアの一部を露出させてもよい。
【0109】
次に、切り離し工程において、超音波(例えば数10KHz)を用いて基板71を基板平面に沿って振動させることにより、基板71上に立設する半導体コア73の基板71側に近い根元を折り曲げるように、半導体層74aに覆われた半導体コア73に対して応力が働いて、図9Eに示すように、半導体層74aに覆われた半導体コア73が基板71から切り離される。こうして、基板71から切り離なされた微細な棒状構造発光素子70を製造することができる。この棒状構造の発光ダイオードの製造方法では、棒状構造発光素子70の直径を1μm、長さを10μmとしている。
【0110】
上記発光ダイオードの製造方法では、基板71と半導体コア73と半導体層74aに、GaNを母材とする半導体を用いたが、GaAs,AlGaAs,GaAsP,InGaN,AlGaN,GaP,ZnSe,AlGaInPなどを母材とする半導体を用いてもよい。また、基板と半導体コアをn型とし、半導体層をp型としたが、導電型が逆の棒状構造発光ダイオードとしてもよい。また、断面が六角柱の半導体コアを有する棒状構造発光ダイオードの製造方法について説明したが、これに限らず、断面が円形または楕円の棒状であってもよいし、断面が三角形などの他の多角形状の棒状の半導体コアを有する棒状構造発光ダイオードも上述と同様の製造方法で作製できる。また、上記発光ダイオードの製造方法では、棒状構造発光ダイオードの直径を1μmとし長さを10μmのマイクロオーダーサイズとしたが、直径または長さのうちの少なくとも直径が1μm未満のナノオーダーサイズの素子としてよい。上記棒状構造発光ダイオードの半導体コアの直径は500nm以上かつ100μm以下が好ましく、数10nm〜数100nmの棒状構造発光ダイオードに比べて半導体コアの直径のばらつきを抑えることができ、発光面積すなわち発光特性のばらつきを低減でき、歩留まりを向上できる。
【0111】
また、上記発光ダイオードの製造方法では、MOCVD装置を用いて半導体コア73を結晶成長させたが、MBE(分子線エピタキシャル)装置などの他の結晶成長装置を用いて半導体コアを形成してもよい。また、成長穴を有するマスクを用いて半導体コアを基板上に結晶成長させたが、基板上に金属種を配置して、金属種から半導体コアを結晶成長させてもよい。また、上記発光ダイオードの製造方法では、半導体層74aに覆われた半導体コア73を、超音波を用いて基板71から切り離したが、これに限らず、切断工具を用いて半導体コアを基板から機械的に切り離してもよい。この場合、簡単な方法で基板上に設けられた微細な複数の棒状構造発光素子を短時間で切り離すことができる。
【0112】
また、上記発光ダイオードの製造方法で製造された棒状構造の発光ダイオードは、前述の第3実施形態おける発光ダイオードだけでなく前述の第1,第2実施形態における発光ダイオードとして用いてもよい。
【0113】
(第5の実施の形態)
次に、図10に、本発明の第5実施形態としてのLEDディスプレイの1画素の回路を示す。この第5実施形態は、前述の第1,第2,第3実施形態で説明した発光装置もしくは前述の第4実施形態の製造方法で製造した発光装置のうちの1つを備え、図10に示すように、上記発光装置が有する複数の発光ダイオードのうちの1つを、1画素の画素LED51として備える。なお、上記画素LED51は、この画素LED51とは逆極性の画素LED52でもよい。
【0114】
この第5実施形態のLEDディスプレイは、アクティブマトリックスアドレス方式であり、選択電圧パルスが行アドレス線X1に供給され、データ信号が列アドレス線Y1に送られる。上記選択電圧パルスがトランジスタT1のゲートに入力されて、トランジスタT1がオンすると、上記データ信号は、トランジスタT1のソースからドレインに伝達され、データ信号はキャパシタCに電圧として記憶される。トランジスタT2は画素LED51の駆動用であり、画素LED51は上記トランジスタT2を経て交流電源Vsに接続されている。よって、トランジスタT1からのデータ信号でトランジスタT2がオンすることにより、画素LED51は、上記交流電源Vsによって交流電圧で駆動される。
【0115】
この実施形態のLEDディスプレイは、図10に示す1画素がマトリックス状に配列されている。このマトリックス状に配列された各画素の画素LED51もしくは画素LED52とトランジスタT1,T2が基板上に形成されている。この基板上において、各画素の画素LED51または52は、前述の第4実施形態で説明した製造方法でもって第1の電極と第2の電極との間に配列でき、上記複数の画素LED51,52がランダムに配列された発光装置として製造できる。したがって、本実施形態のLEDディスプレイを容易に製造できて製造コストを抑えることができる。
【0116】
なお、ディスプレイ用バックライトや照明装置に用いる発光装置を、上述の第1,第2,第3実施形態で説明した発光装置や前述の第4実施形態の製造方法で製造した発光装置とすることによって、製造を容易にでき製造コストを抑えることができる。また、上記各実施形態で説明した各発光ダイオードを作製する半導体としては、例えば、GaN、GaAs、GaP、AlGaAs、GaAsP、InGaN、AlGaN、ZnSe、AlGaInP等の半導体を採用できる。また、上記各発光ダイオードを量子井戸構造を有するものとして発光効率を向上させてもよい。
【符号の説明】
【0117】
1、22、201 第1の電極
2、23、202 第2の電極
3〜7、24〜27、311〜316、321〜326、331〜336、341〜346 発光ダイオード
10、210 交流電源
21 基板
21A 表面
22A〜22D、23A〜23D 突出部
A アノード
K カソード
31 コア部
31B 一端
31C 端面
32 外周面
32A 一部
33 シェル部
33A 端部
35 接合面
203 発光ダイオード回路
401〜404 並列構成単位
【技術分野】
【0001】
この発明は、製造コストを抑制可能な発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の発光ダイオードを極性を揃えて並列に接続して直流で駆動する発光装置がある(特許文献1(特開2007−134430号公報)参照)。この発光装置の回路を簡略化したものを図11に示す。図11に示す発光装置では、複数の発光ダイオード101を極性を揃えて並列に接続して直流で駆動している。
【0003】
しかし、上記従来の発光装置では、複数の発光ダイオード101の極性を揃えて並列接続する必要があるので、特に、発光ダイオードのサイズが小さい場合や発光ダイオードの接続個数が多い場合に製造コストが高くなり、製造自体が困難になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−134430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、この発明の課題は、製造が容易になり製造コストが抑えられる複数の発光ダイオードを備える発光装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、この発明の発光装置は、
第1の電極と、
第2の電極と、
上記第1の電極と第2の電極との間で並列接続された複数の発光ダイオードで構成される並列構成単位を少なくとも1個有すると共に上記第1の電極と第2の電極との間に接続された発光ダイオード回路とを備え、
上記並列構成単位を構成する上記複数の発光ダイオードは、
上記第1の電極を上記第2の電極よりも高電位としたときに順方向配置となるように配置された第1の発光ダイオードと、
上記第2の電極を上記第1の電極よりも高電位としたときに順方向配置となるように配置された第2の発光ダイオードとからなり、
上記並列構成単位では、上記第1の発光ダイオードと上記第2の発光ダイオードとが混在して配置され、
交流電源によって上記第1の電極と第2の電極との間に交流電圧を印加して上記複数の発光ダイオードが駆動され、
上記複数の発光ダイオードの最大寸法が100μm以下であることを特徴としている。
【0007】
この発明の発光装置によれば、上記第1,第2の電極間に接続する複数の発光ダイオードの極性を揃えて配列する必要がないので、製造時に複数の発光ダイオードの極性(向き)を揃える工程が不要となり工程を簡略化できる。また、発光ダイオードの極性(向き)を識別するために、発光ダイオードにマークを設ける必要がなく、極性識別のために発光ダイオードを特別な形状にする必要がなくなる。よって、発光ダイオードの製造工程を簡略化でき、製造コストも抑えることができる。なお、発光ダイオードのサイズが小さな場合や発光ダイオードの個数が多い場合、極性を揃えて発光ダイオードを配列するものに比べて、上記製造工程を格段に簡略化できる。
【0008】
また、一実施形態の発光装置では、
上記発光ダイオード回路は、
上記並列構成単位が複数個直列に接続されてなる。
【0009】
この実施形態の発光装置によれば、上記第1の電極と第2の電極との間に接続する発光ダイオードの極性(向き)を揃える工程が不要となり工程を簡略化できる。また、上記発光ダイオードの極性(向き)を識別するために、発光ダイオードにマークを設ける必要がなく、極性識別のために発光ダイオードを特別な形状にする必要もなくなる。よって、この実施形態の発光装置によれば、発光ダイオードの製造工程を簡略化でき、製造コストも抑えることができる。特に、発光ダイオードの最大寸法が、100μm以下の小さなサイズの場合には、微細サイズの部品となり極性(向き)を揃える作業が難しくなるので、極性を揃えて発光ダイオードを配列する場合に比べて製造工程を格段に簡略化できる。
【0010】
さらに、この実施形態では、上記並列構成単位が複数個直列に接続されているので、或る1つの並列構成単位の1つの発光ダイオードのショート不良によって上記或る1つの並列構成単位の発光ダイオードが唯1つとして発光しなくなった場合でも、他の並列構成単位の発光ダイオードは発光し続けることができる。それゆえ、この実施形態の発光装置は、高歩留りであり、信頼性も高くすることが可能となる。また、この実施形態の発光装置によれば、面状の発光領域が容易に得られる。
【0011】
また、一実施形態の発光装置では、
上記発光ダイオード回路は、上記並列構成単位を1個有し、
上記第1の発光ダイオードは、
上記第1の電極にアノードが接続されていると共に上記第2の電極にカソードが接続され、
上記第2の発光ダイオードは、
上記第1の電極にカソードが接続されていると共に上記第2の電極にアノードが接続されている。
【0012】
この実施形態の発光装置によれば、上記第1,第2の電極間に接続する複数の発光ダイオードの極性を揃えて配列する必要がないので、製造時に複数の発光ダイオードの極性(向き)を揃える工程が不要となり工程を簡略化できる。また、発光ダイオードの極性(向き)を識別するために、発光ダイオードにマークを設ける必要がなく、極性識別のために発光ダイオードを特別な形状にする必要がなくなる。よって、発光ダイオードの製造工程を簡略化でき、製造コストも抑えることができる。なお、発光ダイオードのサイズが小さな場合や発光ダイオードの個数が多い場合、極性を揃えて発光ダイオードを配列するものに比べて、上記製造工程を格段に簡略化できる。
【0013】
また、一実施形態の発光装置では、
上記複数の並列構成単位の各並列構成単位は、互いに、等しい個数の発光ダイオードで構成されている。
【0014】
この実施形態の発光装置によれば、各発光ダイオードを流れる電流量を等しくすることができるから、各発光ダイオードに均等に電流を流して、全体として効率よく発光させ、信頼性を高くすることが可能となる。
【0015】
また、一実施形態の発光装置では、
上記並列構成単位がm個(mは2以上の自然数)の発光ダイオードにより構成され、
上記並列構成単位がn個(nは2以上の自然数)直列に接続されて上記発光ダイオード回路が構築されており、
上記mと上記nは、1−(1−(1/2)m−1)n≦0.05なる関係を満たす。
【0016】
この実施形態の発光装置によれば、上記発光ダイオード回路全体としての不良率を5%以下にすることができる。
【0017】
これについて以下に説明する。まず、1つの並列構成単位を構成するm個の発光ダイオードが全て同じ向きとなる確率は、(1/2)m−1である。これは、2項分布の性質と、発光ダイオードが全て同じ向きとなる場合が2通り(全て一方向の場合および全て他方向の場合)あることから導かれる。これより、1つの並列構成単位が上記不良を起こさない確率は、1−(1/2)m−1である。この並列構成単位がn個直列に接続されるとき、発光ダイオード回路全体として上記不良を起こさない確率は(1−(1/2)m−1)nであるから、発光ダイオード回路全体としての不良率Pは、P=1−(1−(1/2)m−1)nで表される。よって、上記mと上記nが、1−(1−(1/2)m−1)n≦0.05なる関係を満たすことで、上記発光ダイオード回路全体としての不良率を5%以下にすることができる。
【0018】
また、一実施形態の発光装置では、上記複数の発光ダイオードの個数は、100個以上かつ1億個以下である。
【0019】
この実施形態によれば、上記発光ダイオードの個数が100個以上であるので、交流駆動で起こる点滅によるちらつきを抑制できる。
【0020】
すなわち、上記複数の発光ダイオードの向きはランダムであり、各発光ダイオードについて、一方の向きと他方の向きとがそれぞれ2分の1の確率で発生するから、p=0.5の二項分布を考える。ここで、n個の発光ダイオードがあって、或る向きの発光ダイオードをX個(一度に発光するダイオードの個数)とする。すると、二項分布の性質から、Xの期待値E(X)は、E(X)=npであり、分散V(X)=np(1−p)となる。そして、Xがその期待値であるE(X)=np からどれだけずれるかの目安は分散の平方根{V(X)}1/2 であり、正規分布の場合は標準偏差と呼ばれる。この目安(分散の平方根)が期待値の10%となる場合、次式(1)が成立する。
{np(1−p)}1/2 =0.1np … (1)
【0021】
この式(1)に、p=0.5を代入して、nを解くと、n=100となる。これは、明るさのばらつきが期待値の10%となる条件を解くと、発光ダイオードの個数が100個であることを示している。
【0022】
なお、上記発光ダイオードの個数の上限値(1億個)は現在の実質的な製造限界である。
【0023】
また、一実施形態の発光装置では、上記交流電源の交流周波数は、60Hz以上かつ1MHz以下である。
【0024】
この実施形態によれば、上記交流電源の交流周波数を60Hz以上としたことで、交流駆動で起こる発光ダイオードの点滅によるちらつきを抑制できる。また、上記交流電源の交流周波数を1MHz以下にしたので、高周波による配線内での損失を抑制できる。交流電源の交流周波数が1MHzを超えると高周波による配線内での損失が無視できなくなる。
【0025】
また、一実施形態の発光装置では、上記交流電源から受ける交流は、矩形波である。
【0026】
この実施形態によれば、矩形波の交流で発光ダイオードを駆動するので、発光ダイオードを最も効率よく発光させることができる。例えば、正弦波の交流で発光ダイオードを駆動する場合、正弦波の立ち上がりと立下りの勾配があるので、平均発光強度が弱くなる。
【0027】
また、一実施形態の発光装置では、1つの基板上に上記第1の電極と第2の電極が形成されている。
【0028】
この実施形態によれば、1つの基板上に第1,第2の電極および複数の発光ダイオードを実装できる。
【0029】
また、一実施形態の発光装置では、上記第1の電極と第2の電極は、上記基板表面に沿って延在していると共に互いに対向しており、
上記第1の電極は、上記第2の電極に向かって突出していると共に上記延在方向に沿って並ぶように形成された複数の突出部を有し、
上記第2の電極は、上記第1の電極に向かって突出していると共に上記延在方向に沿って並ぶように形成された複数の突出部を有し、
上記第1の電極の突出部と上記第2の電極の突出部とが対向しており、
上記第1の発光ダイオードは、
上記第1の電極の突出部にアノードが接続されていると共に上記第2の電極の突出部にカソードが接続され、
上記第2の発光ダイオードは、
上記第1の電極の突出部にカソードが接続されていると共に上記第2の電極の突出部にアノードが接続されている。
【0030】
この実施形態によれば、基板上で上記第1,第2の電極が延在している方向に沿って形成された第1,第2の電極の突出部間に第1,第2の発光ダイオードが接続されているので、上記電極の延在方向に沿って上記突出部間の間隔で複数の発光ダイオードを配置することができる。つまり、上記基板上に形成した第1,第2の電極およびその突出部によって、上記複数の発光ダイオードの配置を設定できる。
【0031】
また、一実施形態の発光装置では、最大寸法が100μm以下である。
【0032】
この実施形態によれば、上記発光ダイオードの最大寸法が100μm以下である。このような微細サイズの物体(発光ダイオード)を向きも考慮して配置するには、微細サイズの物体を予め向きを揃えて準備しておくことが必要になる。もしくは、微細なサイズの物体を掴んでから向きを揃える作業が必要になる。よって、この実施形態のように、発光ダイオードの最大寸法が100μm以下の微細な場合は、発光ダイオードの向きがランダムでよい本発明に好適となる。また、発光ダイオードのサイズが小さいので、熱が発光領域に篭らず、熱による出力低下や寿命低下を防ぐことができる。
【0033】
また、一実施形態の発光装置では、上記発光ダイオードは、棒状である。
【0034】
この実施形態によれば、発光ダイオードが棒状であるので、配置方向を制御し易い。
【0035】
また、一実施形態の発光装置では、
上記第1,第2の電極に上記発光ダイオードを構成する半導体層が直接接続されている。
【0036】
この実施形態によれば、上記発光ダイオードを一方向に揃えるための方向性を識別するための構造(例えば片方が長いリード線等)が存在しないので、上記発光ダイオードの製造工程が簡略化される。
【0037】
また、一実施形態の発光装置では、
上記発光ダイオードは、
第1導電型のコア部と、
上記第1導電型のコア部の外周面を被覆する第2導電型のシェル部とを有し、
上記第1導電型のコア部の外周面の一部が上記第2導電型のシェル部から露出している。
【0038】
この実施形態によれば、上記第1導電型のコア部と第2導電型のシェル部との接合面をコア部の外周面に沿って形成でき、発光面の増大を図れる。また、上記コア部の外周面の一部が第2導電型のシェル部から露出しているので、上記コア部の外周面の一部への電極の接続が容易になる。
【0039】
また、一実施形態の発光装置では、
上記発光ダイオードのコア部は円柱状であり、
上記発光ダイオードのシェル部は上記円柱状のコア部の外周面を被覆し、
上記円柱状のコア部の外周面の一部が上記シェル部から露出しており、
上記円柱状のコア部と上記シェル部との接合面は上記コア部の周りに同心円状に形成されている。
【0040】
この実施形態によれば、上記第1導電型の円柱状のコア部と第2導電型のシェル部との接合面をコア部の外周面に沿って円筒状に形成でき、発光面の増大を図れる。また、上記コア部の外周面の一部が第2導電型のシェル部から露出しているので、上記コア部の外周面の一部への電極の接続が容易になる。
【0041】
また、一実施形態の発光装置の製造方法では、
第1の電極と第2の電極を有する基板を用意する工程と、
上記基板に最大寸法が100μm以下の複数の発光ダイオードを含んだ溶液を塗布する工程と、
上記第1の電極と第2の電極に電圧を印加して上記発光ダイオードを上記第1,第2の電極によって規定される位置に配列させる工程とを備える。
【0042】
この実施形態の製造方法によれば、いわゆる誘電泳動を用いて、上記第1,第2の電極によって規定される位置に微細な発光ダイオードを配置できる。この製造方法では、発光ダイオードの向きを一方に決めることが困難なので、発光ダイオードの向き(極性)が混在している本発明の発光装置を製造するのに好適である。
【0043】
また、一実施形態のディスプレイ用バックライトは、上記発光装置を有するので、製造が容易であり製造コストが抑えられる。
【0044】
また、一実施形態の照明装置は、上記発光装置を有するので、製造が容易であり製造コストが抑えられる。
【0045】
また、一実施形態のLEDディスプレイは、上記発光装置を有するので、製造が容易であり製造コストが抑えられる。
【発明の効果】
【0046】
この発明の発光装置によれば、並列に接続する複数の発光ダイオードの極性を揃えて配列する必要がないので、製造時に複数の発光ダイオードの極性(向き)を揃える工程が不要となり工程を簡略化できる。また、発光ダイオードの極性(向き)を識別するために、発光ダイオードにマークを設ける必要がなく、発光ダイオードを特別な形状にする必要がなくなる。よって、発光ダイオードの製造工程を簡略化でき、製造コストも抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】この発明の発光装置の第1実施形態の電気回路構成を模式的に示す図である。
【図2】上記実施形態を駆動する交流電源の交流波形の一例を示す波形図である。
【図3】この発明の発光装置の第2実施形態の電気回路構成を示す回路図である。
【図4】上記実施形態の変形例を示す回路図である。
【図5】上記実施形態のもう1つの変形例を示す回路図である。
【図6】上記実施形態の各並列構成単位において発光ダイオードを並列に接続する個数mと上記並列構成単位を直列に接続する個数nに対する不良率Pを示す図である。
【図7】この発明の発光装置の第3実施形態を示す模式的な平面図である。
【図8A】上記実施形態の発光ダイオードの構成の一例を示す斜視図である。
【図8B】上記発光ダイオードの端面図である。
【図9A】棒状構造の発光ダイオードの製造方法の工程図である。
【図9B】図9Aに続く棒状構造発光素子の製造方法の工程図である。
【図9C】図9Bに続く棒状構造発光素子の製造方法の工程図である。
【図9D】図9Cに続く棒状構造発光素子の製造方法の工程図である。
【図9E】図9Dに続く棒状構造発光素子の製造方法の工程図である。
【図10】この発明の第5実施形態としてのLEDディスプレイの1画素の回路を示す図である。
【図11】従来の発光装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0049】
(第1の実施の形態)
図1に、この発明の発光装置の第1実施形態の電気回路構成を模式的に示す。この第1実施形態の発光装置は、第1の電極1および第2の電極2と、上記第1の電極1と第2の電極2との間に並列に接続された5個の発光ダイオード3〜7を備える。上記発光ダイオード3,4,6は、第2の発光ダイオードであり、第1の電極1にカソードが接続されていると共に上記第2の電極2にアノードが接続されている。一方、上記発光ダイオード5,7は、第1の発光ダイオードであり、上記第1の電極1にアノードが接続されていると共に第2の電極2にカソードが接続されている。上記第1の電極1と第2の電極2には交流電源10が接続され、この交流電源10は、上記第1の電極1と第2の電極2に交流電圧を印加する。この実施形態では、上記交流電源10による交流電圧の周波数を60Hzとした。図1に示すように、上記5個の発光ダイオード3〜7は、第1の電極1にカソードが接続されている発光ダイオード3,4,6と第2の電極2にカソードが接続されている発光ダイオード5,7とが上記第1の電極1と第2の電極2との間で混在して配置されている。本実施形態では、5つの発光ダイオード3〜7のうち3つが一方向に接続(第1の電極1にカソードが接続)され、残りの2つが他方向に接続(第2の電極2にカソードが接続)されている。しかしながら、この一方向に接続された発光ダイオードの個数と他方向に接続された発光ダイオードの個数との割合はこれに限るものではなく、他の割合であってもよい。すなわち、一方向に接続される発光ダイオードと他方向に接続される発光ダイオードの数は、同数程度でなくてもよいし、その割合が一定でなくてもよい。このことは、本発明の発光装置の製造時に、発光ダイオードの向きを制御する必要がなく、ランダムに配列しても良いことを示している。なお、一方向に接続される発光ダイオードと他方向に接続される発光ダイオードの数の比が著しく大きくなった場合には、発光のちらつきの原因となることがあるが、これを抑制するための方法は後述する。
【0050】
この実施形態の発光装置によれば、上記第1の電極1と第2の電極2との間に並列に接続する5個の発光ダイオード3〜7の極性を揃えて配列する必要がないので、製造時に5個の発光ダイオード3〜7の極性(向き)を揃える工程が不要となり工程を簡略化できる。また、上記発光ダイオード3〜7の極性(向き)を識別するために、発光ダイオード3〜7にマークを設ける必要がなく、極性識別のために発光ダイオード3〜7を特別な形状にする必要もなくなる。
【0051】
よって、この実施形態の発光装置によれば、発光ダイオード3〜7の製造工程を簡略化でき、製造コストも抑えることができる。特に、発光ダイオード3〜7の最大寸法が、100μm以下の小さなサイズの場合には、微細サイズの部品となり極性(向き)を揃える作業が難しくなるので、極性を揃えて発光ダイオードを配列する場合に比べて製造工程を格段に簡略化できる。
【0052】
尚、上記実施形態では、第1の電極1と第2の電極2との間に接続する発光ダイオードの個数を5個としたが5個未満または6個以上としてもよい。例えば、第1の電極1と第2の電極2との間に接続する発光ダイオードの個数を100個以上とすることによって、交流駆動で起こる点滅によるちらつきを抑制でき、明るさのばらつきを期待値の10%以下に抑制可能となる。これについて以下に説明する。
【0053】
すなわち、上記複数の発光ダイオードの向きはランダムであり、各発光ダイオードについて、一方の向きと他方の向きとがそれぞれ2分の1の確率で発生するから、p=0.5の二項分布を考える。ここで、n個の発光ダイオードがあって、或る向きの発光ダイオードをX個(一度に発光するダイオードの個数)とする。すると、二項分布の性質から、Xの期待値E(X)は、E(X)=npであり、分散V(X)=np(1−p)となる。そして、Xがその期待値であるE(X)=np からどれだけずれるかの目安は分散の平方根{V(X)}1/2 であり、正規分布の場合は標準偏差と呼ばれる。この目安(分散の平方根)が期待値の10%となる場合、次式(1)が成立する。
{np(1−p)}1/2 =0.1np … (1)
【0054】
この式(1)に、p=0.5を代入して、nを解くと、n=100となる。これは、明るさのばらつきが期待値の10%となる条件を解くと、発光ダイオードの個数が100個であることを示している。
【0055】
なお、現在の実質的な製造限界から第1の電極1と第2の電極2との間に接続できる発光ダイオードの個数の上限値は約1億個である。このように、第1の電極1と第2の電極2との間に接続する発光ダイオードの個数が多い場合、極性を揃えて発光ダイオードを配列するものに比べて、製造工程を格段に簡略化できる。
【0056】
また、上記実施形態では、上記交流電源10による交流電圧の周波数を60Hzとしたが、上記交流電圧の周波数は60Hz未満でもよい。もっとも、上記交流電圧の周波数を60Hz以上にすることによって、交流駆動で起こる発光ダイオードの点滅によるちらつきを抑制できる。一方、上記交流電圧の周波数を1MHz以下にすることによって、高周波による配線内での損失を抑制できる。交流電源の交流周波数が1MHzを超えると高周波による配線内での損失が無視できなくなる。また、上記交流電圧の波形は、正弦波、三角波、矩形波、あるいはその他の周期的に変化する交流波形でもよいが、矩形波とすることが望ましい。一例として、図2に示すような矩形波の交流で発光ダイオードを駆動することにより、発光ダイオードを最も効率よく発光させることができる。これに対して、正弦波の交流で発光ダイオードを駆動する場合、正弦波の立ち上がりと立下りの勾配があるので、平均発光強度が弱くなる。
【0057】
また、図1では、上記第1の電極1と第2の電極2との間に接続された発光ダイオード3〜7は交流電源10に直接接続されているが、発光ダイオード3〜7と交流電源10との間に他の素子または回路が存在していても良い。例えば、発光ダイオード3〜7に交流電圧が印加される限りにおいて、発光ダイオード3〜7と交流電源10との間に、抵抗、コンデンサ、ダイオード、トランジスタ、その他の素子、またはこれらを組み合わせた回路があってもよい。また、発光ダイオード3〜7に交流電圧が印加される限りにおいて、発光ダイオード3〜7と並列に、抵抗、コンデンサ、ダイオード、トランジスタ、その他の素子、またはこれらを組み合わせた回路があってもよい。
【0058】
また、この実施形態では、図1に示すように、発光ダイオード3、4、6が一方向(カソードが第1の電極1)に接続され、発光ダイオード5、7が他方向(カソードが第2の電極2)に接続されている。よって、上記一方向に接続された発光ダイオード3、4、6からみれば、上記他方向に接続された発光ダイオード5、7は保護ダイオードの役割をしている。すなわち、上記一方向に接続された発光ダイオード3、4、6に、サージ等により大きな逆方向電圧が印加された場合でも、上記他方向に接続された発光ダイオード5、7に直ちに順方向電流が流れ、図示しない電源10中の抵抗または発光ダイオードと電源10との間に設けられた抵抗により電圧降下が起こり、上記一方向に接続された発光ダイオード3、4、6に大きな逆方向電圧が印加されるのを防ぐことができる。同様に、上記他方向に接続された発光ダイオード5、7からみれば、上記一方向に接続された発光ダイオード3、4、6は保護ダイオードの役割をしている。すなわち、発光ダイオード3〜7は発光ダイオードとしての機能のみならず、保護ダイオードとしての機能を発揮することとなる。これにより、少ない部品で高い信頼性の発光装置を得ることができる。
【0059】
(第2の実施の形態)
次に、図3を参照して、この発明の発光装置の第2実施形態を説明する。図3は、この第2実施形態の電気回路構成を模式的に示す回路図である。
【0060】
図3に、この発明の発光装置の第2実施形態の電気回路構成を模式的に示す。この第2実施形態の発光装置は、第1の電極201および第2の電極202と、上記第1の電極201と第2の電極202との間に直並列に接続された24個の発光ダイオード311〜316,321〜326,331〜336,341〜346からなる発光ダイオード回路203を備える。
【0061】
6個の発光ダイオード311〜316は並列に接続されており、並列構成単位401をなしている。同様に、6個の発光ダイオード321〜326、6個の発光ダイオード331〜336および6個の発光ダイオード341〜346も、それぞれ並列構成単位402,403,404をなしている。これら4個の並列構成単位401〜404が直列に接続されて発光ダイオード回路203をなし、その両端が第1の電極201および第2の電極202に接続されている。
【0062】
各並列構成単位401〜404では、互いに逆向きである2つの向きで接続された発光ダイオードが混在している。
【0063】
具体的には、発光ダイオード311〜316が構成する並列構成単位401では、第2の発光ダイオードとしての発光ダイオード311,313,315,316のカソードが第1の電極201に直接接続され、発光ダイオード311,313,315,316のアノードが他の並列構成単位402〜404を介して第2の電極202に接続される。また、第1の発光ダイオードとしての発光ダイオード312,314のアノードが第1の電極201に直接接続され、発光ダイオード312,314のカソードが他の並列構成単位402〜404を介して第2の電極202に接続されている。また、発光ダイオード321〜326が構成する並列構成単位402では、第2の発光ダイオードとしての発光ダイオード321,324,325のカソードが他の並列構成単位401を介して第1の電極201に接続され、発光ダイオード321,324,325のアノードが他の並列構成単位403,404を介して第2の電極202に接続される。また、並列構成単位402の第1の発光ダイオードとしての発光ダイオード322,323,326のアノードが他の並列構成単位401を介して第1の電極201に接続され、発光ダイオード322,323,326のカソードが他の並列構成単位403,404を介して第2の電極202に接続されている。
【0064】
すなわち、上記並列構成単位401では、第2の発光ダイオードとしての発光ダイオード311,313,315,316が第2の電極202から第1の電極201に向かって順方向であり、第1の発光ダイオードとしての発光ダイオード312,314が第1の電極201から第2の電極202に向かって順方向である。また、上記並列構成単位402では、第2の発光ダイオードとしての発光ダイオード321,324,325が第2の電極202から第1の電極201に向かって順方向であり、第1の発光ダイオードとしての発光ダイオード322,323,326が第1の電極201から第2の電極202に向かって順方向である。
【0065】
また、上記並列構成単位403では、第2の発光ダイオードとしての発光ダイオード333,335,336が第2の電極202から第1の電極201に向かって順方向であり、第1の発光ダイオードとしての発光ダイオード331,332,334が第1の電極201から第2の電極202に向かって順方向である。また、上記並列構成単位404では、第2の発光ダイオードとしての発光ダイオード341,343,345,346が第2の電極202から第1の電極201に向かって順方向であり、第1の発光ダイオードとしての発光ダイオード342,344が第1の電極201から第2の電極202に向かって順方向である。
【0066】
上記第1の電極201と第2の電極202には交流電源210が接続され、この交流電源210は、上記第1の電極201と第2の電極202に交流電圧を印加する。この実施形態では、上記交流電源210による交流電圧の周波数を60Hzとした。
【0067】
上述のように、各並列構成単位401〜404を構成する発光ダイオードは、互いに逆向きである2つの向きで接続された発光ダイオードが混在している。図3に示すように、上記2つの向きのうちの一方向に接続された発光ダイオードの数と、他方向に接続された発光ダイオードの数は並列構成単位毎に異なっていても良い。このことは、本発明の発光装置の製造時に、発光ダイオードの向きを制御する必要がなく、ランダムに配列しても良いことを示している。
【0068】
また、図3では、上記第1の電極201と第2の電極202との間に直列に接続された並列構成単位401〜404は交流電源210に直接接続されているが、直列に接続された並列構成単位と交流電源210との間に他の素子または回路が存在していても良い。例えば、直列に接続された並列構成単位401〜404に交流電圧が印加される限りにおいて、上記直列に接続された並列構成単位401〜404と交流電源210との間に、抵抗、コンデンサ、ダイオード、トランジスタ、その他の素子、またはこれらを組み合わせた回路があってもよい。また、直列に接続された並列構成単位401〜404に交流電圧が印加される限りにおいて、上記直列に接続された並列構成単位401〜404と並列に、抵抗、コンデンサ、ダイオード、トランジスタ、その他の素子、またはこれらを組み合わせた回路があってもよい。また、各並列構成単位401〜404に交流電圧が印加される限りにおいて、各並列構成単位401〜404間に、抵抗、コンデンサ、ダイオード、トランジスタ、その他の素子、またはこれらを組み合わせた回路があってもよい。例えば、図4に示す一例では、並列構成単位402と並列構成単位403との間に電流調整用の抵抗R1が接続されている。更には、上記並列構成単位401〜404を構成する各発光ダイオードに交流電圧が印加される限りにおいて、上記並列構成単位401〜404内に、抵抗、コンデンサ、ダイオード、トランジスタ、その他の素子、またはこれらを組み合わせた回路があってもよい。例えば、図5に示す一例では、並列構成単位402,並列構成単位403を構成する各発光ダイオード321〜326,331〜336と直列にそれぞれ電流調整用の抵抗R2が設けられている。
【0069】
この実施形態の発光装置によれば、上記第1の電極201と第2の電極202との間に接続する発光ダイオードの極性(向き)を揃える工程が不要となり工程を簡略化できる。また、上記発光ダイオードの極性(向き)を識別するために、発光ダイオードにマークを設ける必要がなく、極性識別のために発光ダイオードを特別な形状にする必要もなくなる。
【0070】
よって、この実施形態の発光装置によれば、発光ダイオードの製造工程を簡略化でき、製造コストも抑えることができる。特に、発光ダイオードの最大寸法が、100μm以下の小さなサイズの場合には、微細サイズの部品となり極性(向き)を揃える作業が難しくなるので、極性を揃えて発光ダイオードを配列する場合に比べて製造工程を格段に簡略化できる。
【0071】
この実施形態では、図3に示すように、各並列構成単位401〜404内で、一方向に接続された発光ダイオードと、他方向に接続された発光ダイオードとが混在している。この点で、1つの並列構成単位401,402,403,404を構成する複数の発光ダイオードは、前述の第1実施形態の発光ダイオード3〜7(図1参照)と同様である。よって、この第2実施形態は、前述の第1実施形態の発光ダイオード3〜7を、多段にしたものといえる。
【0072】
したがって、前述の第1実施形態で説明した、一方向に接続された発光ダイオードからみれば、他方向に接続された発光ダイオードは保護ダイオードの役割をしており、他方向に接続された発光ダイオードからみれば、一方向に接続された発光ダイオードは保護ダイオードの役割をしているという特徴は、この第2実施形態でも成立する。それゆえ、この第2実施形態でも、各発光ダイオードは発光ダイオードとしての機能のみならず、保護ダイオードとしての機能を発揮することとなる。これにより、少ない部品で高い信頼性の発光装置を得ることができる。
【0073】
更には、この第2実施形態の発光装置は、前述の第1実施形態の発光装置に比べて、ショート不良に対して強いという利点を有している。例えば、前述の第1実施形態の発光ダイオード3〜7(図1を参照)のいずれか1つでもショート不良を起こせば、発光ダイオードは唯1つとして発光しなくなる。一方、この第2実施形態では、例えば、図3の発光ダイオード311がショート不良を起こすと、並列構成単位401の発光ダイオード311〜316が発光しなくなるものの、他の並列構成単位402〜404の発光ダイオードは発光し続けることができる。それゆえ、この第2実施形態の発光装置は、高歩留りであり、信頼性も高くすることが可能となる。
【0074】
尚、上記第2実施形態では、各並列構成単位401〜404を構成する発光ダイオードの数は全て同じ(6個)であるが、この限りではない。すなわち、各並列構成単位を構成する発光ダイオードの個数は6個以下でも6個以上でもよく例えば100個以上でもよい。また、各並列構成単位を構成する発光ダイオードの数を、並列構成単位毎に変えてもよい。例えば、並列構成単位401を6個の発光ダイオードで構成し、並列構成単位402を5個の発光ダイオードで構成し、並列構成単位403および404を7個の発光ダイオードで構成することもできる。しかしながら、図3に示すように、各並列構成単位401〜404を構成する発光ダイオードの個数がそれぞれ等しいことが好ましい。なぜならば、各並列構成単位401〜404は直列に接続されているため、各並列構成単位401〜404を流れる総電流量は各並列構成単位で等しく、よって各並列構成単位401〜404を構成する発光ダイオードの数を等しくすることにより、各発光ダイオードを流れる電流量を等しくすることができるからである。これにより、各発光ダイオードに均等に電流を流して、全体として効率よく発光させ、信頼性を高くすることが可能となる。
【0075】
ところで、この第2実施形態を実施するにあたり、第1の電極201と第2の電極202との間に接続する発光ダイオードの極性(向き)を揃える工程を省略する。このため、発光ダイオードの向きが偶然に決定される場合においては、1つの並列構成単位401〜404を構成する発光ダイオードが(偶然)全て同じ向きになってしまう不良が発生する。この状態で、第1,第2の電極201,202に交流を印加した場合、この不良の並列構成単位は半周期で全く電流を通さないため、この半周期で全ての発光ダイオードが消灯してしまう。ここでは、各並列構成単位は全て同じm個の発光ダイオードからなり、この並列構成単位がn個直列に接続されている場合の不良発生率を考察する。
【0076】
先ず、1つの並列構成単位を構成するm個の発光ダイオードが全て同じ向き(極性)となる確率は、(1/2)m−1である。これは、2項分布の性質と、発光ダイオードが全て同じ向きとなる場合が2通り(全て一方向の場合および全て他方向の場合)あることから導かれる。これより、1つの並列構成単位が上記不良を起こさない確率は、1−(1/2)m−1である。この並列構成単位がn個直列に接続されるとき、発光ダイオード回路全体として上記不良を起こさない確率は(1−(1/2)m−1)nであるから、発光ダイオード回路全体としての不良率Pは、P=1−(1−(1/2)m−1)nで表される。
【0077】
図6に示す表は、各並列構成単位において発光ダイオードを並列に接続する個数mと上記並列構成単位を直列に接続する個数nに対する不良率Pが記されている。この表から、例えば、上記並列接続個数m=9の場合は、上記直列接続個数nが2以下で不良率が1%以下となり、nが13以下で不良率が5%以下となることが判る。量産の観点からは、Pが0.05(5%)以下、すなわち、1−(1−(1/2)m−1)n≦0.05なる関係を満たすこと(図6の表において太線L1よりも右側の領域)が好ましく、Pが0.01以下(1%)以下であること(図6の表において太線L2よりも右側の領域)が更に好ましい。
【0078】
なお、現在の実質的な製造限界から第1の電極201と第2の電極202との間に接続できる発光ダイオードの個数の上限値は約1億個である。このように、第1の電極201と第2の電極202との間に接続する発光ダイオードの個数が多い場合、極性を揃えて発光ダイオードを配列するものに比べて、製造工程を格段に簡略化できる。
【0079】
また、上記実施形態では、上記交流電源210による交流電圧の周波数を60Hzとしたが、上記交流電圧の周波数は60Hz未満でもよい。もっとも、上記交流電圧の周波数を60Hz以上にすることによって、交流駆動で起こる発光ダイオードの点滅によるちらつきを抑制できる。一方、上記交流電圧の周波数を1MHz以下にすることによって、高周波による配線内での損失を抑制できる。交流電源の交流周波数が1MHzを超えると高周波による配線内での損失が無視できなくなる。また、上記交流電圧の波形は、正弦波、三角波、矩形波、あるいはその他の周期的に変化する交流波形でもよいが、矩形波とすることが望ましい。一例として、図2に示すような矩形波の交流で発光ダイオードを駆動することにより、発光ダイオードを最も効率よく発光させることができる。これに対して、正弦波の交流で発光ダイオードを駆動する場合、正弦波の立ち上がりと立下りの勾配があるので、平均発光強度が弱くなる。
【0080】
(第3の実施の形態)
次に、図7を参照して、この発明の発光装置の第3実施形態を説明する。図7は、この第3実施形態を示す模式的な平面図である。
【0081】
この第3実施形態の発光装置は、基板21と、基板21上に形成された第1の電極22と、基板21上に形成された第2の電極23と、4個の発光ダイオード24,25,26,27を備える。この第1の電極22と第2の電極23は、上記基板21の表面21Aに沿って互いに略平行に延在していて互いに対向している。上記第1の電極22は、この第1の電極22が延在している方向に沿って或る間隔を隔てて並んでいると共に第2の電極23に向かって突き出した4つの突出部22A,22B,22C,22Dを有する。また、上記第2の電極23は、この第2の電極23が延在している方向に沿って或る間隔を隔てて並んでいると共に第1の電極22に向かって突き出した4つの突出部23A,23B,23C,23Dを有する。上記第1の電極22の4つの突出部22A,22B,22C,22Dは、それぞれ、上記第2の電極23の4つの突出部23A,23B,23C,23Dに対向している。
【0082】
図7に示す一例では、第1の発光ダイオードとしての上記発光ダイオード24,26は、アノードAが第1の電極22の突出部22A,22Cに接続され、カソードKが第2の電極23の突出部23A,23Cに接続されている。また、第2の発光ダイオードとしての上記発光ダイオード25,27は、カソードKが第1の電極22の突出部22B,22Dに接続され、アノードAが第2の電極23の突出部23B,23Dに接続されている。この実施形態では、一例として、上記発光ダイオード24〜27を棒状とし、長さLを10μmとした。
【0083】
また、上記第1の電極22と第2の電極23には、交流電源28が接続される。この実施形態では、交流電源28の交流周波数を60Hzとした。図7に示すように、上記4個の発光ダイオード24〜27は、第1の電極22にアノードAが接続されている発光ダイオード24,26と第2の電極23にアノードAが接続されている発光ダイオード25,27とが上記第1の電極22と第2の電極23との間で混在して配置されている。なお、図7に示す一例では、第1の電極22にアノードAが接続されている発光ダイオード24,26と第2の電極23にアノードAが接続されている発光ダイオード25,27とを交互に配列したが、発光ダイオード26と27とが入れ替わってもよい。すなわち、第1の電極22の突出部22AにアノードAが接続された発光ダイオード24と突出部22DにアノードAが接続された発光ダイオード26との間に、カソードKが第1の電極22の突出部22Bに接続された発光ダイオード25とカソードKが第1の電極22の突出部22Cに接続された発光ダイオード27を配列してもよい。また、一方向に接続(第1の電極22にカソードが接続)された発光ダイオードの数と、他方向に接続(第2の電極23にカソードが接続)された発光ダイオードの数の割合はこれに限るものではなく、他の割合であってもよい。すなわち、一方向に接続される発光ダイオードと他方向に接続される発光ダイオードの数は、同数でなくてもよいし、その割合が一定でなくてもよい。このことは、本発明の発光装置の製造時に、発光ダイオードの向きを制御する必要がなく、ランダムに配列しても良いことを示している。なお、一方向に接続される発光ダイオードと他方向に接続される発光ダイオードの数の比が著しく大きくなった場合には、発光のちらつきの原因となることがあるが、これを抑制するための方法は後述する。
【0084】
この実施形態の発光装置によれば、上記第1の電極22と第2の電極23との間に並列に接続する4個の発光ダイオード24〜27を極性を揃えて配列する必要がないので、製造時に4個の発光ダイオード24〜27の極性(向き)を揃える工程が不要となり工程を簡略化できる。また、上記発光ダイオード24〜27の極性(向き)を識別するために、発光ダイオード24〜27にマークを設ける必要がなく、極性識別のために発光ダイオード24〜27を特別な形状にする必要もなくなる。したがって、この実施形態の発光装置によれば、発光ダイオード24〜27の製造工程を簡略化でき、製造コストも抑えることができる。特に、この実施形態のように、発光ダイオード24〜27の最大寸法が、10μmで100μm以下の小さなサイズの場合には、微細サイズの部品となって極性を揃える作業が難しくなるので、極性を揃えて発光ダイオードを配列する場合に比べて製造工程を格段に簡略化できる。なお、上記発光ダイオード24〜27の最大寸法が、10μm未満でもよく、10μmを超えてもよい。
【0085】
また、この実施形態によれば、基板21上に第1,第2の電極22,23および4個の発光ダイオード24〜27を実装でき、基板21上で上記第1,第2の電極22,23が延在している方向に沿って或る間隔で配置された第1,第2の電極22,23の突出部22A〜22D,23A〜23D間に発光ダイオード24〜27が接続されているので、上記電極22,23の延在方向に沿って上記4個の発光ダイオード24〜27を一列に配列できる。つまり、上記基板21上に形成した第1,第2の電極22,23およびその突出部22A〜22D,23A〜23Dによって、上記4個の発光ダイオードの配置を設定できる。また、この実施形態では、発光ダイオード24〜27が棒状であるので、第1の電極22の各突出部22A〜22Dと第2の電極23の各突出部23A〜23Dとの間で各突出部の突出の方向へ配置方向を制御し易くなる。
【0086】
尚、上記実施形態では、第1の電極22と第2の電極23との間に接続する発光ダイオードの個数を4個としたが4個未満または5個以上としてもよい。例えば、第1の電極22と第2の電極23との間に接続する発光ダイオードの個数を100個以上とすることによって、交流駆動で起こる点滅によるちらつきを抑制でき、明るさのばらつきを期待値の10%以下に抑制可能となる。これについて以下に説明する。
【0087】
すなわち、上記複数の発光ダイオードの向きはランダムであり、各発光ダイオードについて、一方の向きと他方の向きとがそれぞれ2分の1の確率で発生するから、p=0.5の二項分布を考える。ここで、n個の発光ダイオードがあって、或る向きの発光ダイオードをX個(一度に発光するダイオードの個数)とする。すると、二項分布の性質から、Xの期待値E(X)は、E(X)=npであり、分散V(X)=np(1−p)となる。そして、Xがその期待値であるE(X)=np からどれだけずれるかの目安は分散の平方根{V(X)}1/2 であり、正規分布の場合は標準偏差と呼ばれる。この目安(分散の平方根)が期待値の10%となる場合、次式(1)が成立する。
{np(1−p)}1/2 =0.1np … (1)
【0088】
この式(1)に、p=0.5を代入して、nを解くと、n=100となる。これは、明るさのばらつきが期待値の10%となる条件を解くと、発光ダイオードの個数が100個であることを示している。
【0089】
なお、現在の実質的な製造限界から第1の電極22と第2の電極23との間に接続できる発光ダイオードの個数の上限値は約1億個である。このように、第1の電極22と第2の電極23との間に接続する発光ダイオードの個数が多い場合、極性を揃えて発光ダイオードを配列するものに比べて、製造工程を格段に簡略化できる。また、上記実施形態では、上記交流電源28による交流電圧の周波数を60Hzとしたが、上記交流電圧の周波数は60Hz未満でもよい。もっとも、上記交流電圧の周波数を60Hz以上にすることによって、交流駆動で起こる発光ダイオードの点滅によるちらつきを抑制できる。一方、上記交流電圧の周波数を1MHz以下にすることによって、高周波による配線内での損失を抑制できる。また、上記交流電圧の波形は、正弦波、三角波、矩形波、あるいはその他の波形でもよいが、矩形波とすることが望ましい。一例として、図2に示すような矩形波の交流で発光ダイオードを駆動することにより、発光ダイオードを最も効率よく発光させることができる。また、上記各発光ダイオード24〜27を構成する半導体層であるP型半導体層とN型半導体層を第1の電極22,23の各突出部22A〜22D,23A〜23Dに直接に接続することが好ましい。これにより、各発光ダイオード24〜27を電極22,23に極性を揃えて接続するためのリード線等が無い構造となり、各発光ダイオードの極性を揃える必要のない本実施形態には好適である。
【0090】
例えば、図8Aに示すように、上記各発光ダイオード24〜27を、N型の半導体で作製された円柱状のコア部31と、この円柱状のコア部31の外周面32を被覆するP型の半導体で作製された円筒状のシェル部33とで構成してもよい。なお、図8Bは、円柱状のコア部31の端面31D側から軸方向に見た様子を示す端面図である。上記円柱状のコア部31の外周面32の一部32Aが上記シェル部33から露出している。また、上記円柱状のコア部31と上記シェル部33との接合面35は上記円柱状のコア部31の周りに同心円状に形成されている。上記シェル部33から露出したコア部31の一部31AがカソードKをなし、上記シェル部33の端部33AがアノードAをなす。そして、上記カソードK,アノードAは、第1,第2の電極22,23の突出部22A〜22D,突出部23A〜23Dのうちのいずれかに直接接続される。図8に示す構成の発光ダイオードは、上記N型の円柱状のコア部31とP型のシェル部33との接合面35をコア部31の外周面32に沿って円筒状に形成でき、発光面の増大を図れる。また、上記コア部31の外周面32の一部32AがP型のシェル部33から露出しているので、上記コア部31の外周面32の一部32Aへの電極22,23の接続が容易になる。
【0091】
なお、コア部31の一端31Bの端面31Cは上記シェル部33の端部33Aから露出していてもよいが、上記シェル部33の端部33Aがコア部31の一端31Bの端面31Cを被覆する構成とすることで、シェル部33の端部33Aを第1,第2の電極22,23の突出部により接続し易くなる。また、上記シェル部33を形成する半導体をN型とし、上記コア部31を形成する半導体をP型としてもよい。また、図8に示す構成では、コア部31を円柱状としシェル部33を円筒状としたが、多角柱状のコア部と多角筒状のシェル部としてもよい。例えば、六角柱状のコア部と六角筒状のシェル部としてもよく、四角柱状のコア部と四角筒状のシェル部としてもよく、三角柱状のコア部と三角筒状のシェル部としてもよい。また、楕円柱状のコア部と楕円筒状のシェル部としてもよい。
【0092】
(第4の実施の形態)
次に、この発明の第4実施形態として、発光装置の製造方法を説明する。この第4実施形態では、図7を参照して前述の第3実施形態で説明されたような発光装置を製造する方法を説明する。
【0093】
この第4実施形態では、まず、表面21Aに第1の電極22と第2の電極23が形成された基板21を用意する。この基板21は絶縁基板とし、第1,第2の電極22,23は金属電極とする。一例として、印刷技術を利用して絶縁基板21の表面21Aに所望の電極形状の金属電極22,23を形成することができる。また、絶縁基板21の表面21Aに金属膜及び感光体膜を一様に積層し、この感光体膜を所望の電極パターンに露光・現像し、パターニングされた感光体膜をマスクとして金属膜をエッチングして第1の電極22と第2の電極23を形成することができる。
【0094】
なお、上記金属電極22,23を作製する金属の材料としては、金、銀、銅、鉄、タングステン、タングステンナイトライド、アルミニウム、タンタルやそれらの合金などを用いることができる。また、絶縁基板21はガラス、セラミック、アルミナ、樹脂のような絶縁体、またはシリコンのような半導体表面にシリコン酸化膜を形成し、表面が絶縁性を有するような基板である。ガラス基板を用いる場合は、表面にシリコン酸化膜、シリコン窒化膜のような下地絶縁膜を形成するのが望ましい。
【0095】
また、上記第1の電極22の突出部22Aと第2の電極23の突出部23Aとの間の距離は、発光ダイオード24〜27の長さよりもやや短いことが好ましい。一例として、上記距離は、発光ダイオード24〜27の長さが10μmである場合は、6〜9μmとすることが望ましい。すなわち、上記距離は、発光ダイオード24〜27の長さの60〜90%程度、より好ましくは上記長さの80〜90%とすることが望ましい。上記第1の電極22の突出部22B,22C,22Dと上記第2の電極23の突出部23B,23C,23Dとの間の距離についても、上記突出部22Aと突出部23Aとの間の距離と同様である。
【0096】
次に、上記絶縁基板21上に発光ダイオード24〜27を配列する手順を説明する。まず、上記絶縁基板21上に発光ダイオード24〜27を含んだ溶液としてのイソプロピルアルコール(IPA)を薄く塗布する。なお、上記溶液としては、IPAのほかに、エチレングリコール、プロピレングリコール、メタノール、エタノール、アセトン、またはそれらの混合物でもよく、他の有機物からなる液体、水などを用いることができる。ただし、液体を通じて金属電極22,23間に大きな電流が流れてしまうと、金属電極22,23間に所望の電圧差を印加できなくなってしまう。そのような場合には、金属電極22,23を覆うように、絶縁基板21表面全体に、10nm〜30nm程度の絶縁膜をコーティングすればよい。
【0097】
上記発光ダイオード24〜27を含むIPAを塗布する厚さは、次に発光ダイオード24〜27を配列する工程で、発光ダイオード24〜27が配列できるよう、液体中で発光ダイオード24〜27が移動できる厚さである。したがって、発光ダイオード24〜27の太さ以上であり、例えば、数μm〜数mmである。塗布する厚さは薄すぎると、発光ダイオード24〜27が移動し難くなり、厚すぎると、液体を乾燥する時間が長くなる。好ましくは、100μm〜500μmである。また、IPAの量に対して、発光ダイオードの個数は、 1×104個/cm3 〜 1×107個/cm3 が好ましい。
【0098】
上記発光ダイオード24〜27を含むIPAを絶縁基板21に塗布するために、発光ダイオード24〜27を配列させる金属電極22,23の外周囲に枠(図示せず)を形成し、その枠内に上記発光ダイオード24〜27を含むIPAを所望の厚さになるよう充填するとよい。しかし、上記発光ダイオード24〜27を含むIPAが粘性を有する場合は、枠を必要とせずに、所望の厚さに塗布することが可能である。上記IPAやエチレングリコール、プロピレングリコール、メタノール、エタノール、アセトン、またはそれらの混合物、或いは、他の有機物からなる液体、または水などの液体は、上記発光ダイオード24〜27の配列工程のためには粘性が低いほど望ましく、また加熱により蒸発しやすい方が望ましい。
【0099】
次に、金属電極22、23間に電位差を与える。この電位差は、例えば、0.5Vもしくは1Vの電位差とする。なお、この金属電極22と23の電位差は、0.1〜10Vを印加することができるが、0.1V以下では発光ダイオード24〜27の配列姿勢が乱れ始め、10V以上では金属電極間の絶縁が問題になり始める。したがって、上記電位差は0.5V〜5Vが好ましく、さらには、0.5V程度とするのが好ましい。金属電極22に電位VLを与え、金属電極23に上記電位VLよりも高い電位VH(VL<VH)を与えると、金属電極22には負電荷が誘起され、金属電極23には正電荷が誘起される。この金属電極22,23に上記発光ダイオード24〜27が接近すると、発光ダイオード24〜27のうち金属電極22に近い側に正電荷が誘起され、金属電極23に近い側に負電荷が誘起される。上記発光ダイオード24〜27に電荷が誘起されるのは静電誘導による。よって、上記発光ダイオード24〜27は、金属電極22、23間に生じる電気力線に沿った姿勢になると共に、各発光ダイオード24〜27に誘起された電荷がほぼ等しいので、電荷による反発力により、ほぼ等間隔に一定方向に規則正しく配列する。このとき、金属電極22、23の表面に絶縁膜がコーティングされており、かつ、金属電極22、23間に与える電位差が一定(DC)であると、金属電極22、23上にコーディングされた絶縁膜表面に、金属電極22、23の電位と反対極性のイオンが誘起されて溶液中の電界が非常に弱くなってしまう。そのような場合は、金属電極22,23間に交流電圧を印加することが好ましい。これにより、金属電極22、23の電位と反対極性のイオンが誘起されるのを防ぎ、発光ダイオード24を正常に配列することができる。なお、金属電極22,23間に印加する交流電圧の周波数は、10Hz〜1MHzとするのが好ましいが、交流電圧の周波数が10Hz未満のときは、発光ダイオード24が激しく振動し、配列が乱される可能性がある。一方、金属電極22,23間に印加する交流電圧の周波数が1MHzを超える場合は、発光ダイオード24〜27が金属電極22,23に吸着される力が弱くなり、外部の擾乱により配列が乱されることがある。このため、発光ダイオード24〜27の配列の安定のためには、上記交流電圧の周波数を50Hz〜1kHzとすることがより好ましい。さらに、上記交流電圧の波形は、正弦波に限らず、矩形波、三角波、ノコギリ波など、周期的に変動するものであればよい。なお、上記交流電圧の振幅は一例として0.5V程度とすることが好ましい。
【0100】
このように、本実施形態では、金属電極22,23間に発生した外部電場により、各発光ダイオード24〜27に電荷を発生させ、電荷の引力により金属電極22,23に発光ダイオード24〜27を吸着させるので、発光ダイオード24〜27の大きさは、液体中で移動可能な大きさであることが必要である。したがって、各発光ダイオード24〜27の大きさ(最大寸法)の許容値は、液体の塗布量(塗布厚さ)により変化する。上記液体の塗布量が少ない場合は、各発光ダイオード24〜27の大きさ(最大寸法)はナノスケールでなければならないが、液体の塗布量が多い場合は、各発光ダイオード24〜27の大きさがミクロンオーダーであってもかまわない。
【0101】
上記発光ダイオード24〜27が配列を始めてしばらくすると、図7に模式的に示すように、電極22の突出部22A〜22Dと電極23の突出部23A〜23Dとの間に発光ダイオード24〜27が配列する。各発光ダイオード24〜27は、金属電極22,23が延在している方向とは垂直な姿勢に整列して上記延在の方向にほぼ等間隔で配列する。突出部22A〜22Dと突出部23A〜23Dとの間に電界が集中すると共に発光ダイオード24〜27に誘起された電荷により発光ダイオード24〜27間に反発力が働いて、発光ダイオード24〜27がほぼ等間隔に並ぶ。
【0102】
なお、図7に仮想線で示すように、上記溶液に含まれるが上記発光ダイオード24〜27以外の発光ダイオードZが、電極22や電極23に吸着する場合もある。この場合には、上記電極22,23間に交流電圧を印加しつつ、上記電極22,23の周囲にIPA等の溶液を流すことによって、上記電極22や電極23に吸着した発光ダイオードZを除去できる。これにより、歩留まりの向上を図れる。
【0103】
こうして、金属電極22,23の突出部22A〜22Dと突出部23A〜23Dとの間に、発光ダイオード24〜27を配列させた後、基板21を加熱または一定時間放置することにより、上記溶液の液体を蒸発させて乾燥させ、発光ダイオード24〜27を金属電極22と23との間の電気力線に沿って、等間隔に配列させて固着させる。
【0104】
以上のように、本実施形態の発光装置の製造方法によれば、発光ダイオード24〜27を、金属電極22,23の突出部22A〜22Dと突出部23A〜23Dとの間に制御性良く高精度に配列させることが可能となる。また、本実施形態の方法では、各発光ダイオード24〜27の向き(極性)を一方に決めることが困難で、各発光ダイオード24〜27の向きが図7に示されている状態になるとも限らないが、上述の如く、上記実施形態の発光装置では、図7の配列状態に限られるものではなく、各発光ダイオード24〜27の向きがランダムで混在していてもよい。よって、本実施形態の製造方法は、発光ダイオードの向き(極性)が混在している本発明の上記実施形態のような発光装置を製造するのに好適である。また、本実施形態の製造方法では、一例として4個の発光ダイオードを配列する場合を説明したが、本発明の発光装置の製造方法は、多数の微細な発光ダイオードを一度に電極間に配列,接続可能になるので、発光ダイオードのサイズが小さく(一例として100μm以下)であり、第1の電極22と第2の電極23との間に接続する発光ダイオードの個数が多数個(例えば100個以上)である場合に特に有利である。
【0105】
尚、上記実施形態では、第1の電極22と第2の電極23が、突出部22A〜22Dと突出部23A〜23Dを有している場合を説明したが、第1,第2の電極が上述のような突出部を有していない電極である場合にも、本実施形態を適用できる。この場合、第1の電極と第2の電極との間の寸法を配置する発光ダイオードの長さよりもやや短く設定する。
【0106】
また、この実施形態の発光装置の製造方法では、前述の第2実施形態の発光装置の複数の並列構成単位を有する発光ダイオード回路203を作製する場合にも適用できる。この場合、上記第1,第2の電極22,23を各並列構成単位401〜404の両端に配置し、上述と同様に絶縁基板21に発光ダイオード311〜316,321〜326,331〜336,341〜346を含む液体を塗布して第1,第2の電極22,23間に電圧を印加して上記第1,第2の電極間に上記発光ダイオードを配列させて固着させる。その後、上記第1,第2の電極22,23とは別の配線、例えば上部配線等により各並列構成単位401〜404を直列に接続する。
【0107】
次に、図9A〜図9Eを参照して、前述の第3実施形態で説明した様な棒状構造の発光ダイオードの製造方法の一例を説明する。まず、図9Aに示すように、n型GaNからなる基板71上に、成長穴72aを有するマスク72を形成する。次に、図9Bに示すように、半導体コア形成工程において、マスク72の成長穴72aにより露出した基板71上に、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition:有機金属気相成長)装置を用いて、n型GaNを結晶成長させて棒状の半導体コア73を形成する。ここで、n型GaNは、六方晶系の結晶成長となり、基板71表面に対して垂直方向をc軸方向にして成長させることにより、六角柱形状の半導体コアが得られる。
【0108】
次に、図9Cに示すように、半導体層形成工程において、棒状の半導体コア73を覆うように基板71全面にp型GaNからなる半導体層74を形成する。次に、図9Dに示すように、露出工程において、リフトオフにより半導体コア73を覆う半導体層74aの部分を除く領域とマスク72を除去して、棒状の半導体コア73の基板71側に基板側の外周面を露出させて露出部分73aを形成する。この状態で、上記半導体コア73の基板71と反対の側の端面は、半導体層74aにより覆われている。この実施形態の露出工程では、リフトオフを用いたがエッチングにより半導体コアの一部を露出させてもよい。
【0109】
次に、切り離し工程において、超音波(例えば数10KHz)を用いて基板71を基板平面に沿って振動させることにより、基板71上に立設する半導体コア73の基板71側に近い根元を折り曲げるように、半導体層74aに覆われた半導体コア73に対して応力が働いて、図9Eに示すように、半導体層74aに覆われた半導体コア73が基板71から切り離される。こうして、基板71から切り離なされた微細な棒状構造発光素子70を製造することができる。この棒状構造の発光ダイオードの製造方法では、棒状構造発光素子70の直径を1μm、長さを10μmとしている。
【0110】
上記発光ダイオードの製造方法では、基板71と半導体コア73と半導体層74aに、GaNを母材とする半導体を用いたが、GaAs,AlGaAs,GaAsP,InGaN,AlGaN,GaP,ZnSe,AlGaInPなどを母材とする半導体を用いてもよい。また、基板と半導体コアをn型とし、半導体層をp型としたが、導電型が逆の棒状構造発光ダイオードとしてもよい。また、断面が六角柱の半導体コアを有する棒状構造発光ダイオードの製造方法について説明したが、これに限らず、断面が円形または楕円の棒状であってもよいし、断面が三角形などの他の多角形状の棒状の半導体コアを有する棒状構造発光ダイオードも上述と同様の製造方法で作製できる。また、上記発光ダイオードの製造方法では、棒状構造発光ダイオードの直径を1μmとし長さを10μmのマイクロオーダーサイズとしたが、直径または長さのうちの少なくとも直径が1μm未満のナノオーダーサイズの素子としてよい。上記棒状構造発光ダイオードの半導体コアの直径は500nm以上かつ100μm以下が好ましく、数10nm〜数100nmの棒状構造発光ダイオードに比べて半導体コアの直径のばらつきを抑えることができ、発光面積すなわち発光特性のばらつきを低減でき、歩留まりを向上できる。
【0111】
また、上記発光ダイオードの製造方法では、MOCVD装置を用いて半導体コア73を結晶成長させたが、MBE(分子線エピタキシャル)装置などの他の結晶成長装置を用いて半導体コアを形成してもよい。また、成長穴を有するマスクを用いて半導体コアを基板上に結晶成長させたが、基板上に金属種を配置して、金属種から半導体コアを結晶成長させてもよい。また、上記発光ダイオードの製造方法では、半導体層74aに覆われた半導体コア73を、超音波を用いて基板71から切り離したが、これに限らず、切断工具を用いて半導体コアを基板から機械的に切り離してもよい。この場合、簡単な方法で基板上に設けられた微細な複数の棒状構造発光素子を短時間で切り離すことができる。
【0112】
また、上記発光ダイオードの製造方法で製造された棒状構造の発光ダイオードは、前述の第3実施形態おける発光ダイオードだけでなく前述の第1,第2実施形態における発光ダイオードとして用いてもよい。
【0113】
(第5の実施の形態)
次に、図10に、本発明の第5実施形態としてのLEDディスプレイの1画素の回路を示す。この第5実施形態は、前述の第1,第2,第3実施形態で説明した発光装置もしくは前述の第4実施形態の製造方法で製造した発光装置のうちの1つを備え、図10に示すように、上記発光装置が有する複数の発光ダイオードのうちの1つを、1画素の画素LED51として備える。なお、上記画素LED51は、この画素LED51とは逆極性の画素LED52でもよい。
【0114】
この第5実施形態のLEDディスプレイは、アクティブマトリックスアドレス方式であり、選択電圧パルスが行アドレス線X1に供給され、データ信号が列アドレス線Y1に送られる。上記選択電圧パルスがトランジスタT1のゲートに入力されて、トランジスタT1がオンすると、上記データ信号は、トランジスタT1のソースからドレインに伝達され、データ信号はキャパシタCに電圧として記憶される。トランジスタT2は画素LED51の駆動用であり、画素LED51は上記トランジスタT2を経て交流電源Vsに接続されている。よって、トランジスタT1からのデータ信号でトランジスタT2がオンすることにより、画素LED51は、上記交流電源Vsによって交流電圧で駆動される。
【0115】
この実施形態のLEDディスプレイは、図10に示す1画素がマトリックス状に配列されている。このマトリックス状に配列された各画素の画素LED51もしくは画素LED52とトランジスタT1,T2が基板上に形成されている。この基板上において、各画素の画素LED51または52は、前述の第4実施形態で説明した製造方法でもって第1の電極と第2の電極との間に配列でき、上記複数の画素LED51,52がランダムに配列された発光装置として製造できる。したがって、本実施形態のLEDディスプレイを容易に製造できて製造コストを抑えることができる。
【0116】
なお、ディスプレイ用バックライトや照明装置に用いる発光装置を、上述の第1,第2,第3実施形態で説明した発光装置や前述の第4実施形態の製造方法で製造した発光装置とすることによって、製造を容易にでき製造コストを抑えることができる。また、上記各実施形態で説明した各発光ダイオードを作製する半導体としては、例えば、GaN、GaAs、GaP、AlGaAs、GaAsP、InGaN、AlGaN、ZnSe、AlGaInP等の半導体を採用できる。また、上記各発光ダイオードを量子井戸構造を有するものとして発光効率を向上させてもよい。
【符号の説明】
【0117】
1、22、201 第1の電極
2、23、202 第2の電極
3〜7、24〜27、311〜316、321〜326、331〜336、341〜346 発光ダイオード
10、210 交流電源
21 基板
21A 表面
22A〜22D、23A〜23D 突出部
A アノード
K カソード
31 コア部
31B 一端
31C 端面
32 外周面
32A 一部
33 シェル部
33A 端部
35 接合面
203 発光ダイオード回路
401〜404 並列構成単位
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電極と、
第2の電極と、
上記第1の電極と第2の電極との間で並列接続された複数の発光ダイオードで構成される並列構成単位を少なくとも1個有すると共に上記第1の電極と第2の電極との間に接続された発光ダイオード回路と
を備え、
上記並列構成単位を構成する上記複数の発光ダイオードは、
上記第1の電極を上記第2の電極よりも高電位としたときに順方向配置となるように配置された第1の発光ダイオードと、
上記第2の電極を上記第1の電極よりも高電位としたときに順方向配置となるように配置された第2の発光ダイオードと
からなり、
上記並列構成単位では、
上記第1の発光ダイオードと上記第2の発光ダイオードとが混在して配置され、
交流電源によって上記第1の電極と第2の電極との間に交流電圧を印加して上記複数の発光ダイオードが駆動され、
上記複数の発光ダイオードの最大寸法が100μm以下であることを特徴とする発光装置。
【請求項2】
請求項1に記載の発光装置において、
上記発光ダイオードは基板上に実装されたものであることを特徴とする発光装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の発光装置において、
上記並列構成単位を構成する上記第1の発光ダイオードの数と上記第2の発光ダイオードの数とが互いに異なることを特徴とする発光装置。
【請求項4】
第1の電極と、
第2の電極と、
上記第1の電極と第2の電極との間で並列接続された複数の発光ダイオードで構成される並列構成単位を少なくとも1個有すると共に上記第1の電極と第2の電極との間に接続された発光ダイオード回路と
を備え、
上記並列構成単位を構成する上記複数の発光ダイオードは、
上記第1の電極を上記第2の電極よりも高電位としたときに順方向配置となるように配置された第1の発光ダイオードと、
上記第2の電極を上記第1の電極よりも高電位としたときに順方向配置となるように配置された第2の発光ダイオードと
からなり、
上記並列構成単位では、
上記第1の発光ダイオードと上記第2の発光ダイオードとが混在して配置され、
交流電源によって上記第1の電極と第2の電極との間に交流電圧を印加して上記複数の発光ダイオードが駆動され、
上記発光ダイオード回路は、
上記並列構成単位が複数個直列に接続されてなることを特徴とする発光装置。
【請求項5】
請求項4に記載の発光装置において、
上記並列構成単位がm個(mは2以上の自然数)の発光ダイオードにより構成され、
上記並列構成単位がn個(nは2以上の自然数)直列に接続されて上記発光ダイオード回路が構築されており、
上記mと上記nは、1−(1−(1/2)m−1)n≦0.05なる関係を満たすことを特徴とする発光装置。
【請求項1】
第1の電極と、
第2の電極と、
上記第1の電極と第2の電極との間で並列接続された複数の発光ダイオードで構成される並列構成単位を少なくとも1個有すると共に上記第1の電極と第2の電極との間に接続された発光ダイオード回路と
を備え、
上記並列構成単位を構成する上記複数の発光ダイオードは、
上記第1の電極を上記第2の電極よりも高電位としたときに順方向配置となるように配置された第1の発光ダイオードと、
上記第2の電極を上記第1の電極よりも高電位としたときに順方向配置となるように配置された第2の発光ダイオードと
からなり、
上記並列構成単位では、
上記第1の発光ダイオードと上記第2の発光ダイオードとが混在して配置され、
交流電源によって上記第1の電極と第2の電極との間に交流電圧を印加して上記複数の発光ダイオードが駆動され、
上記複数の発光ダイオードの最大寸法が100μm以下であることを特徴とする発光装置。
【請求項2】
請求項1に記載の発光装置において、
上記発光ダイオードは基板上に実装されたものであることを特徴とする発光装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の発光装置において、
上記並列構成単位を構成する上記第1の発光ダイオードの数と上記第2の発光ダイオードの数とが互いに異なることを特徴とする発光装置。
【請求項4】
第1の電極と、
第2の電極と、
上記第1の電極と第2の電極との間で並列接続された複数の発光ダイオードで構成される並列構成単位を少なくとも1個有すると共に上記第1の電極と第2の電極との間に接続された発光ダイオード回路と
を備え、
上記並列構成単位を構成する上記複数の発光ダイオードは、
上記第1の電極を上記第2の電極よりも高電位としたときに順方向配置となるように配置された第1の発光ダイオードと、
上記第2の電極を上記第1の電極よりも高電位としたときに順方向配置となるように配置された第2の発光ダイオードと
からなり、
上記並列構成単位では、
上記第1の発光ダイオードと上記第2の発光ダイオードとが混在して配置され、
交流電源によって上記第1の電極と第2の電極との間に交流電圧を印加して上記複数の発光ダイオードが駆動され、
上記発光ダイオード回路は、
上記並列構成単位が複数個直列に接続されてなることを特徴とする発光装置。
【請求項5】
請求項4に記載の発光装置において、
上記並列構成単位がm個(mは2以上の自然数)の発光ダイオードにより構成され、
上記並列構成単位がn個(nは2以上の自然数)直列に接続されて上記発光ダイオード回路が構築されており、
上記mと上記nは、1−(1−(1/2)m−1)n≦0.05なる関係を満たすことを特徴とする発光装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図9E】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図9E】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−89885(P2012−89885A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−11251(P2012−11251)
【出願日】平成24年1月23日(2012.1.23)
【分割の表示】特願2010−157974(P2010−157974)の分割
【原出願日】平成22年7月12日(2010.7.12)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年1月23日(2012.1.23)
【分割の表示】特願2010−157974(P2010−157974)の分割
【原出願日】平成22年7月12日(2010.7.12)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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