説明

発光装置

【課題】複数の発光素子から生じた光を1つの発光素子から取り出すことができる発光装置を提供する。
【解決手段】基体と、前記基体又は該基体に固定された保持部材上に設けられた端面発光型素子と、前記端面発光型素子の光出射端面内を起点とし該光出射端面に略垂直な軸と交わるように、前記基体上に設けられた発光ダイオード素子と、を備え、前記端面発光型素子が前記発光ダイオード素子の下方に設けられた発光装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の発光素子を備えた発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、赤色、緑色、青色の三つの発光素子を内蔵し、該三つの発光素子の少なくとも赤色の発光素子を半導体レーザ素子とする発明が提案された(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−64163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の発明では、複数の発光素子から生じた光が、その複数の発光素子からそれぞれ取り出されるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、複数の発光素子から生じた光を1つの発光素子から取り出すことができる発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、上記課題は、次の手段により解決される。
【0007】
本発明は、基体と、前記基体又は該基体に固定された保持部材上に設けられた端面発光型素子と、前記端面発光型素子の光出射端面内を起点とし該光出射端面に略垂直な軸と交わるように、前記基体上に設けられた発光ダイオード素子と、を備え、前記端面発光型素子が前記発光ダイオード素子の下方に設けられた、ことを特徴とする発光装置である。
【0008】
また、本発明は、前記端面発光型素子の発光波長は、前記発光ダイオード素子の発光ピーク波長より長い、ことを特徴とする上記の発光装置である。
【0009】
また、本発明は、前記発光ダイオード素子は、基板と、素子構造を構成する半導体層と、を備え、該発光ダイオード素子の上面、前記基板における前記半導体層側の面、前記基板内部のいずれかに、光学構造を備える、ことを特徴とする上記の発光装置である。
【0010】
また、本発明は、前記端面発光型素子を複数備えた、ことを特徴とする上記の発光装置である。
【0011】
また、本発明は、前記複数の端面発光型発光素子は、発光波長が略同一であって、各端面発光型素子の光出射端面内を起点とし該光出射端面に略垂直な軸が、前記発光ダイオード素子の中心軸に対して、斜めに且つ略回転対称となるように配置される、ことを特徴とする上記の発光装置である。
【0012】
また、本発明は、前記発光ダイオード素子と前記端面発光型素子との間に、前記端面発光型素子の光を透過しその他の光を反射する波長選択性材が設けられる、ことを特徴とする上記の発光装置である。
【0013】
また、本発明は、前記発光ダイオード素子の側面における少なくとも一部領域に、絶縁性光反射材が設けられる、ことを特徴とする上記の発光装置である。
【0014】
また、本発明は、前記発光ダイオード素子の上面には、該上面の周縁に沿って遮光部材が設けられる、ことを特徴とする上記の発光装置である。
【0015】
また、本発明は、前記発光ダイオード素子の上面には、該発光ダイオード素子の光により励起される蛍光体を含む波長変換部材が設けられる、ことを特徴とする上記の発光装置である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、複数の発光素子から生じた光を1つの発光素子から取り出すことができる発光装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係る発光装置の概略概念図である。
【図2】光学構造の一例を説明する図である。
【図3】本発明の実施形態に係る発光装置に遮光部材を設けた様子を示す図である。
【図4】複数の端面発光型素子の配置例を示す図である。
【図5】本発明の実施例1に係る発光装置の組立方法1を示す図である。
【図6】本発明の実施例1に係る発光装置の組立方法2を示す図である。
【図7】本発明の実施例2に係る発光装置を示す図である。
【図8】本発明の実施例3に係る発光装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、添付した図面を参照しつつ、本発明を実施するための形態について説明する。なお、説明の対象でない部材については、図示を適宜省略することがある。
【0019】
図1は、本発明の実施形態に係る発光装置の概略概念図であり、(a)は平面図であり、(b)は断面図(発光装置を図1(a)中の破線で切断した場合の断面)である。
【0020】
図1に示すように、本発明の実施形態に係る発光装置は、基体11と、基体11上に設けられた発光ダイオード素子12と、端面発光型素子13と、を備えている。発光ダイオード素子12は、端面発光型素子13の光出射端面に略垂直な軸と交わるように設けられる。この軸は、端面発光型素子13の光出射端面内、より好ましくは、端面発光型素子13の光出射端面内の発光領域(端面発光型素子13の光導波路の端面に相当する領域)内を起点とする。なお、以降、この軸を、端面発光型素子13の光軸とも記す。
【0021】
本発明の実施形態に係る発光装置では、発光ダイオード素子12の下方に端面発光型素子13が設けられ、端面発光型素子13の光が、発光ダイオード素子12の下面に入射し発光ダイオード素子12から取り出される。
【0022】
したがって、本発明の実施形態に係る発光装置によれば、複数の発光素子(発光ダイオード素子12と端面発光型素子13)から生じた光を1つの発光素子(発光ダイオード素子12)から取り出すことができる。このため、複数の発光素子から生じた光を1つの発光素子に相当する微小領域から取り出すことができる。
【0023】
複数の発光素子から生じた光を複数の発光素子からそれぞれ取り出す形態の場合、光学系(レンズ)を通すと色むらが生じてしまい、照明装置や液晶バックライトなどのシステムの光学性能を低下させる原因となる。しかしながら、本発明の実施形態に係る発光装置によれば、このような色むらを効果的に抑制することが可能となる。また、略同色発光の発光素子を複数用いる形態の場合、輝度むらを効果的に抑制することもできる。
【0024】
なお、本発明の実施形態に係る発光装置では、発光ダイオード素子12の上面を発光ダイオード素子12及び端面発光型素子13の光を取り出す主光取出し面とする。このようにすれば、複数の発光素子の光を発光ダイオード素子12全体から取り出す場合よりも、光が取り出される領域をより限定することができる。
【0025】
以下、詳細に説明する。
【0026】
[基体]
基体11としては、例えば、配線が設けられた実装用基板を用いることができる。また、キャビティが形成され、リードフレームと、これを一体的に保持する成形体と、を備えるパッケージでもよい。基体11上には、発光ダイオード素子12が設けられる。なお、発光ダイオード素子12は、基体11の上面に載置することにより基体11上に直接的に設けることもできるし、基体11の上面に載置されたサブマウントなどに載置することにより基体11上に間接的に設けることもできる。
【0027】
図1に示すように、基体11は、貫通孔を有する基体であり、端面発光型素子13の光は、基体11の貫通孔を通って発光ダイオード素子12の下面に入射する。この場合、基体11としては、セラミック材、金属材、または樹脂材を用いることができる。なお、貫通孔の内壁には、光反射材を形成することができる。このようにすれば、端面発光型素子13の光を、基体11の吸収による光損失を抑え、発光ダイオード素子12の下面に効率良く入射させることができる。
【0028】
基体11としては、サファイア基板やガラス基板などの透光性基板を用いることもできる。この場合は、端面発光型素子13の光が基体11を透過して発光ダイオード素子12の下面に入射する。基体11として透光性基板を用いる場合は、基体11に設ける配線として、ITOなどの透光性導電材料を用いることが好ましい。
【0029】
なお、本発明の実施形態に係る発光装置は、端面発光型素子13を保持する保持部材(図1においては図示せず)を備えていることが好ましい。このような保持部材は、基体11の一部位として設けることもできるが、基体11とは別個の部材として設けることもできる。すなわち、端面発光型素子13は、基体11、又は該基体11に固定された保持部材上に設けられる。保持部材を基体11とは別個の部材として設ければ、発光ダイオード素子12に対する端面発光型素子13の位置や向きを容易に調整できるようになる。なお、端面発光型素子13は、上述の発光ダイオード素子12と同様に、基体11又は保持部材に、直接的又は間接的に設けることができる。
【0030】
[発光ダイオード素子]
(発光ダイオード素子の一例)
発光ダイオード素子12としては、例えば、基板と、素子構造を構成する半導体層と、を備えたものを用いることができる。このほか、成長用基板が剥離された素子構造を構成する半導体層を発光ダイオード素子12として用いることもできる。
【0031】
<基板>
基板としては、透光性基板を用いることが好ましい。また、基板の厚みは、例えば、50μm〜200μmとする。なお、透光性基板は、半導体層を成長させるために用いる成長用基板であってもよいし、半導体層に貼り付けられた基板であってもよい。半導体層に基板を貼り付ける場合は、例えば、リフトオフなどにより半導体層から成長用基板を剥離する。その後、透光性の接着剤を介して、又は熱圧着や表面活性化接合などで直接的に、半導体層に基板を貼り付ければ、光を効率良く取り出しやすい。成長用基板は、例えば、サファイア基板やGaN基板などを用いることができる。半導体層に貼り付けられる基板は、これらに加え、ガラス基板などを用いることができ、蛍光体を含有するものでもよい。
【0032】
<半導体層>
半導体層としては、例えば、窒化物半導体層を用いることができる。窒化物半導体層の厚みは、例えば、3μm〜10μmとする。窒化物半導体は、その組成により、バンドギャップエネルギーを紫外域〜可視・赤外域に相当する範囲で変えることができる。特に、窒化物半導体は、紫外光や青色光など短波長の光を効率良く出射可能な半導体層を構成することができる。このような短波長の光を効率良く出射可能な窒化物半導体層は、緑・赤色光など、それより長波長の光を吸収しにくい。このため、発光ダイオード素子12の半導体層に窒化物半導体層を用いることで、端面発光型素子13の光の吸収による損失を抑えやすく、端面発光型素子13の光を効率良く取り出しやすくすることができる。
【0033】
(発光ダイオード素子の実装)
発光ダイオード素子12は、例えば、正電極と負電極とを同一面側に設け、金バンプなどを用いて基体11にフリップチップ実装することができる。このようにすれば、発光ダイオード素子12の上面側の電極やワイヤが不要となるため、発光ダイオード素子12及び端面発光型素子13の光利用効率を向上させることができる。
【0034】
発光ダイオード素子12の電極としては、例えば、ITOなどの透光性導電材料を用いることができる。このようにすれば、端面発光型素子13の光が発光ダイオード素子12の電極を透過して上面に向かいやすくなるため、端面発光型素子13の光利用効率を向上させることができる。
【0035】
なお、発光ダイオード素子12が基板と半導体層を備える場合は、例えば、正電極と負電極とを同一面側に設けたり、正電極と負電極とを反対の面に各々設けたりし、半導体層が上面側となるように実装することもできる。なお、上面側の電極は、ワイヤにより基体11の配線やリードフレームに接続される。この場合、発光ダイオード素子12の固定材は、透光性部材を用いることが好ましい。さらに、その固定材に、絶縁性光散乱材を配合することで、光散乱効果を持たせてもよい。また、発光ダイオード素子12が下面側に電極を備える場合には、固定材に透光性導電材料を配合させることで、基体11の配線やリードフレームに電気的に接続できる。
【0036】
(光学構造)
<発光ダイオード素子の上面>
発光ダイオード素子12の上面には光学構造を形成することができる。このようにすれば、発光ダイオード素子12及び端面発光型素子13の光が発光ダイオード素子12の上面で進行方向を変え、発光ダイオード素子12の上面から取り出されやすくなると共に、発光ダイオード素子12の上面における光強度の均一性を向上させることができる。
【0037】
基板と半導体層を備えた発光ダイオード素子12を用いて、基板を上面側とする場合は、基板をエッチングやレーザ加工、ブラスト加工で直接加工する方法や、透光性部材を基板に印刷成形する方法などにより、上記の光学構造を形成することができる。
【0038】
また、基板と半導体層を備えた発光ダイオード素子12を用いて、半導体層を上面側とする場合は、発光ダイオード素子12の半導体層や電極をエッチング等で直接加工する方法や、透光性部材を半導体層や電極に印刷成形する方法などにより、上記の光学構造を形成することができる。
【0039】
(発光ダイオード素子の基板における半導体層側の面>
発光ダイオード素子12が基板と半導体層を備える場合は、発光ダイオード素子12の基板における半導体層側の面に光学構造を形成することができる。このようにすれば、発光ダイオード素子12及び端面発光型素子13の光が基板の半導体層側の面で進行方向を変え、発光ダイオード素子12の上面から取り出されやすくなると共に、発光ダイオード素子12の上面における光強度の均一性を向上させることができる。
【0040】
<発光ダイオード素子の基板内部>
発光ダイオード素子12が基板と半導体層を備える場合は、発光ダイオード素子12の基板内部に光学構造を形成することができる。このようにすれば、基板内部で光が進行方向を変え、発光ダイオード素子12の上面から取り出されやすくなると共に、発光ダイオード素子12の上面における光強度の均一性を向上させることができる。この場合の光学構造は、フェムト秒レーザなどを用いて形成することができる。
【0041】
<光学構造の一例>
図2は、光学構造の一例を説明する図である。光学構造としては、例えば、凸及び/又は凹を好ましく用いることができる。凸や凹は、規則的に形成することができるほか、不規則に形成することもできる。規則的に形成される凸や凹としては、例えば、図2(a)に示すレンズや図2(b)に示すプリズムなどの単一の凸や凹から構成されるもののほか、回折格子など、複数の凸や凹がパターンを以て構成されるものを一例として挙げることができる。この複数の凸や凹は各々、上記レンズやプリズムであってもよいし、図2(c)に示す断面視台形状の多面体(側面は傾斜又は湾曲していることが好ましい)のようなものでもよい。また、不規則に形成される凸や凹としては、例えば、粗面化処理された面上の凹凸(図2(d))などを一例として挙げることができる。
【0042】
[端面発光型素子]
(端面発光型素子と指向性)
端面発光型素子13は、指向性のある光を端面から出射する発光素子であり、素子構造を構成する半導体層内に、光出射端面に略垂直な方向に延伸する光導波路を有する。具体的な端面発光型素子13としては、例えば、半導体レーザ素子やスーパールミネッセンス・ダイオードなどの発光素子を用いることができる。これらを用いれば、端面発光型素子13の光を発光ダイオード素子12の下面に効率良く入射させることが可能となる。
【0043】
(端面発光型素子から出射する光の波長)
端面発光型素子13の発光波長は、発光ダイオード素子12の発光ピーク波長より長い、ことが好ましい。発光ダイオード素子は、通常、発光ピーク波長より短波長域において、光を極端に吸収しやすくなる。したがって、このようにすれば、端面発光型素子13の光が発光ダイオード素子12に吸収されにくいため、端面発光型素子13の光を発光ダイオード素子12から取り出しやすくなり、端面発光型素子13の光利用効率が向上する。
【0044】
[発光ダイオード素子と端面発光型素子との間]
(光学部品)
発光ダイオード素子12と端面発光型素子13との間には、光学部品を設けることができる。このようにすれば、端面発光型素子13から出射された光の向きを調整できるため、端面発光型素子13の光利用効率を向上させることができる。光学部品としては、例えば、集光レンズ、フレイアレイレンズ、ロッドレンズなどを用いることができる。
【0045】
(波長選択性材)
発光ダイオード素子12と端面発光型素子13との間には、端面発光型素子13の光を透過しその他の光を反射する波長選択性材(例えば誘電体多層膜)を設けることができる。このようにすれば、端面発光型素子13の光が波長選択性材を透過して発光ダイオード素子12の上面から取り出されやすくなり、発光ダイオード素子12の光などが波長選択性材で反射して発光ダイオード素子12の上面から取り出されやすくなるため、発光ダイオード素子12及び端面発光型素子13の光利用効率を向上させることができる。
【0046】
なお、波長選択性材は、例えば、発光ダイオード素子12と端面発光型素子13との間に光学部品を設ける場合には、この光学部品に設けることができる。また、基体11として透光性基板を用いる場合には、透光性基板の上面及び/又は下面に設けることができる。
【0047】
[見切り]
(発光ダイオード素子の側面における絶縁性光反射材)
発光ダイオード素子12の側面における少なくとも一部領域には、絶縁性光反射材を設けることができる。特に、発光ダイオード素子12のすべての側面に絶縁性光反射材を設けることが好ましい。
【0048】
このようにすれば、絶縁性光反射材を見切りとして、発光ダイオード素子12の上面を発光領域として明確に特定することができる。また、発光ダイオード素子12に入射した端面発光型素子13の光が絶縁性光反射材で反射して発光ダイオード素子12の上面から取り出されやすくなるため、端面発光型素子13の光利用効率を向上させることができる。さらに、絶縁性光反射材で反射した光が散乱されるため、発光ダイオード素子12の上面における光強度の均一性を向上させることができる。
【0049】
絶縁性光反射材は、透光性部材に配合して接着したり電気泳動電着したりすることにより、発光ダイオード素子12の側面における少なくとも一部領域に固着させる。
【0050】
(遮光部材)
図3は、本発明の実施形態に係る発光装置に遮光部材を設けた様子を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は断面図(発光装置を図3(a)中の破線で切断した場合の断面)である。
【0051】
図3に示すように、発光ダイオード素子12の上面には、該上面の周縁に沿って遮光部材14を設けることもできる。このようにすれば、遮光部材14を見切りとして、発光ダイオード素子12の上面を発光領域として明確に特定することができる。なお、遮光部材14は、銀やアルミニウム等を枠状にスパッタしたり、絶縁性光反射材から成る枠状の部材を実装したり、することなどにより設けることができる。また、遮光部材14は、発光ダイオード素子12の側面に絶縁性光反射材を含む透光性部材を塗布する際、発光ダイオード素子12の上面にその絶縁性光反射材を含む透光性部材が流れてくることを抑制することもできる。
【0052】
[蛍光体を含む波長変換部材]
発光ダイオード素子12の上面には、蛍光体を含む波長変換部材を設けることができる。このようにすれば、発光ダイオード素子12や端面発光型素子13の光を波長変換することができるため、多波長化が容易になる。
【0053】
蛍光体は、例えば、透光性部材を用いた接着や電気泳動電着などにより、発光ダイオード素子12の上面に固着させる。蛍光体は、発光ダイオード素子12の光により励起されるものであればよい。
【0054】
また、発光波長が青である1つの発光ダイオード素子12と、発光波長が赤である1つの端面発光型素子13と、発光波長が黄である蛍光体と、を設ければ、発光ダイオード素子12と蛍光体から得られる白色光に赤味を追加できるようになり、演色性のより高い発光が可能となる。
【0055】
[複数の端面発光型素子の配置例]
図4は、複数の端面発光型素子の配置例を示す図である。本発明の実施形態においては、複数の端面発光型素子を用いることもできる。この場合、複数の端面発光型素子13は、垂直入射配置、すなわち、すべての端面発光型素子13の光軸が発光ダイオード素子12の中心軸と略平行になるように配置することができるほか、図4に示すように、斜め入射配置、すなわち、各端面発光型素子13の光軸が発光ダイオード素子12の中心軸に対して斜めになるように、好ましくは該中心軸と交差するように配置することができる。
【0056】
複数の端面発光型素子13を上記した斜め入射配置で配置する場合は、各端面発光型素子13を、それらの光軸が発光ダイオード素子12の中心軸に対して、略回転対称つまり基体11上面視において等配配置(例えば、2つの端面発光型素子13を配置する場合は180°間隔で配置し、3つの端面発光型素子13を配置する場合は120°間隔で配置)となるように配置することが好ましい。このようにすれば、発光ダイオード素子12から取り出される端面発光型素子13の光の配光の偏りを低減することができる。このとき、特に、複数の端面発光型素子13を、それらの光軸が発光ダイオード素子12内で交差するように、配置することが好ましい。また、端面発光型素子13は、その光軸が発光ダイオード素子12の中心軸に対して0°より大きく45°より小さくなるように傾斜させて配置することで、発光ダイオード素子12に光を効率良く入射でき、好ましい。
【0057】
なお、斜め入射配置は、特に、発光波長が略同一の複数の端面発光型素子13を配置する場合に、その波長の光の配光を広げるうえで有効である。また、発光波長が略同一の複数の端面発光型素子13を1組として、発光波長が異なる複数組の端面発光型素子を用いる場合に適用してもよい(例えば、発光波長が赤である2つの端面発光型素子を基体上面視において180°間隔で配置し、その間に(例えば赤の端面発光型素子に対して90°間隔で)発光波長が緑である2つの端面発光型素子を同様に180°間隔で配置)。一方、垂直入射配置は、各端面発光型素子13の光軸を揃えるうえで好ましく、特に発光波長が異なる複数の端面発光型素子13を配置する場合に好適である。
【0058】
[各種部材]
以上本発明の実施形態に係る発光装置について説明したが、上記で説明した絶縁性光反射材、透光性部材、及び蛍光体としては、例えば、次のものを用いることができる。
【0059】
(絶縁性光反射材)
絶縁性光反射材としては、例えば、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウムの無機粉末、またはそれらの混合物を用いることができる。
【0060】
(光反射材)
光反射材としては、前述の絶縁性光反射材に加えて、例えば、アルミニウムや銀の金属系反射材を用いることできる。
【0061】
(透光性部材)
透光性部材としては、例えば、脂環式エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ガラス前駆体、またはそれらの混合物を用いることができる。
【0062】
(絶縁性光散乱材)
絶縁性光散乱材としては、例えば、シリコーンやアクリルの樹脂製微粒子、若しくは中空ガラスビーズ、若しくは二酸化ケイ素、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、炭酸鉛、硫酸バリウム、硫化亜鉛の無機粉末、またはそれらの混合物を用いることができる。
【0063】
(透光性導電材料)
透光性導電材料としては、例えば、ITO等を用いることができる。
【0064】
(蛍光体)
蛍光体としては、例えば、YAG、TAG、シリケート系の蛍光体を用いることができる。
【実施例1】
【0065】
(組立方法1)
図5は、本発明の実施例1に係る発光装置の組立方法1を示す図である。なお、一部の図については、平面図に加えて、断面図(発光装置を平面図中の破線で切断した場合の断面)も記載している。
【0066】
まず、図5(a)に示すように、貫通孔Aを有する実装用基板101を準備する。実装用基板101には、配線102が設けられている。
【0067】
次に、図5(b)に示すように、導電接着剤、半田ペースト、または超音波接合により、発光ダイオード素子103を実装用基板101にフリップチップ実装する。
【0068】
次に、図5(c)に示すように、絶縁性光反射材を含む樹脂104を発光ダイオード素子103の側面に塗布する。
【0069】
次に、図5(d)に示すように、保持部材105を準備し、準備した保持部材105にロッドレンズ等の光学部品106を固定する。光学部品106の出射面には、波長選択性材107が形成されている。保持部材105としては、例えば、セラミック材、金属材、樹脂材などを用いることができる。
【0070】
次に、図5(e)に示すように、発光ダイオード素子103が実装された実装用基板101を保持部材105の上面に固定し、半導体レーザ素子を収容するパッケージ108を保持部材105の下面に固定する。このとき、半導体レーザ素子を収容するパッケージ108を保持部材105に先に固定し、半導体レーザ素子を発光させながら、実装用基板101に対する保持部材105の固定位置を調整することが好ましい。なお、半導体レーザ素子を収容するパッケージ108には、キャンパッケージなどの気密封止パッケージや、キャンパッケージからキャップを除いた非気密封止パッケージを用いることができる。
【0071】
(組立方法2)
図6は、本発明の実施例1に係る発光装置の組立方法2を示す図である。なお、一部の図については、平面図に加えて、断面図(発光装置を平面図中の破線で切断した場合の断面)も記載している。
【0072】
まず、図6(a)に示すように、透光性を有する実装用基板101を準備する。実装用基板101には、配線102が設けられている。なお、配線102は、透光性導電材料から成っている。
【0073】
次に、図6(b)に示すように、導電接着剤(特に、ITO粒子を透光性樹脂に配合した透光性の導電接着材)、半田ペースト、または超音波接合により、発光ダイオード素子103を実装用基板101にフリップチップ実装する。
【0074】
次に、図6(c)に示すように、絶縁性光反射材を含む樹脂104を発光ダイオード素子103の側面に塗布する。絶縁性光反射材を含む樹脂104が発光ダイオード素子103の下面に回りこむ恐れのある場合は、発光ダイオード素子103の下面にアンダーフィル111として透光性樹脂を先に充填しておくこともできる。
【0075】
実装用基板101の下面には、波長選択性材107が設けられている。なお、波長選択性材107は、配線102と実施用基板101との間に設けて実装用基板101の上面に位置させることもできる。
【0076】
次に、図6(d)に示すように、集光レンズまたは光散乱部材などの光学部品109を保持部材105に固定する。
【0077】
次に、図6(e)に示すように、発光ダイオード素子103が実装された実装用基板101を保持部材105の上面に固定し、半導体レーザ素子を収容するパッケージ108を保持部材105の下面に固定する。このとき、半導体レーザ素子を収容するパッケージ108を保持部材105に先に固定し、半導体レーザ素子を発光させながら、実装用基板101に対する保持部材105の固定位置を調整することが好ましい。なお、半導体レーザ素子を収容するパッケージ108には、キャンパッケージなどの気密封止パッケージや、キャンパッケージからキャップを除いた非気密封止パッケージを用いることができる。
【0078】
上記した組立方法1及び組立方法2により組み立てた本発明の実施例1に係る発光装置は、たとえば、次表に示す1〜3のように構成することができる。なお、表1中、LDは半導体レーザ素子であり、LEDは発光ダイオード素子である。なお、LDとLEDは、同時に発光させることも、それぞれ独立して発光させることも可能である。また、表1中の構成(3)において、LDの発光波長は、青色域において、LEDの発光ピーク波長より長いことが好ましい。
【表1】

【実施例2】
【0079】
図7は、本発明の実施例2に係る発光装置を示す図である。
【0080】
本発明の実施例2に係る発光装置は、波長変換部材110が発光ダイオード素子103の上面に設けられたものである点で、本発明の実施例1に係る発光装置と相違する。波長変換部材110は、蛍光体を配合したシリコーン樹脂を印刷したものである。
【0081】
このようにして組み立てた本発明の実施例2に係る発光装置は、たとえば、次表に示す1、2のように駆動させることができる。なお、表2中、LDは半導体レーザ素子であり、LEDは発光ダイオード素子である。なお、表2中の構成(1)において、LDとLEDは、同時に発光させることも、それぞれ独立して発光させることも可能である。同時に発光させて、発光波長が赤のLDの光強度だけを変化させることで、演色性を変えることができる。また、表2中の構成(2)において、LDの発光波長は、青色域において、LEDの発光ピーク波長より長いことが好ましい。
【表2】

【0082】
なお、波長変換部材110としては、蛍光体を配合したシリコーン樹脂を印刷するほか、蛍光体を配合した固形体(シリコーン樹脂やガラス材料)などを実装することもできる。
【0083】
また、上記では、波長変換部材110の上面と側面が露出する形態について説明したが、波長変換部材110を発光ダイオード素子103上に載せた後、絶縁性光反射材を含む樹脂を塗布することにより、波長変換部材110の側面もその樹脂で覆われるようにしてもよい。このとき、波長変換部材110の上面はその樹脂から露出されている。
【実施例3】
【0084】
図8は、本発明の実施例3に係る発光装置を示す図である。
【0085】
本発明の実施例3に係る発光装置は、2つの半導体レーザ素子を備える点で、本発明の実施例1に係る発光装置と相違する。
【0086】
このようにして組み立てた本発明の実施例3に係る発光装置は、たとえば、次表に示す1のように駆動させることができる。なお、表3中、LDは半導体レーザ素子であり、LEDは発光ダイオード素子である。なお、各LDとLEDは、同時に発光させることも、それぞれ独立して発光させることも可能である。また、表3中の構成(2)において、各LDの発光波長は、青色域において、LEDの発光ピーク波長より長いことが好ましい。
【表3】

【0087】
以上説明した本発明の実施例1〜実施例3に係る発光装置は、複数の素子から出射する光の波長を適宜選択することにより、様々な用途に用いることができる。例えば、複数の素子から赤、緑、青の光を出射させる場合は、照明装置、液晶のバックライト、携帯ストロボ、CIS式スキャナ、アミューズメント(パチンコ等の光装飾)、自発光ディスプレイ、投射型ディスプレイ(ピコプロジェクタ、プロジェクタ他)、網膜走査ディスプレイ等に用いることができる。
【0088】
以上、本発明の実施形態及び実施例について説明したが、これらの説明は、本発明の一例に関するものであり、本発明は、これらの説明によって何ら限定されるものではない。
【符号の説明】
【0089】
11 基体
12 発光ダイオード素子
13 端面発光型素子
14 遮光部材
101 実装用基板
102 配線
103 発光ダイオード素子
104 樹脂
105 保持部材
106 光学部品
107 波長選択性材
108 半導体レーザ素子を収容するパッケージ
109 光学部品
110 波長変換部材
111 アンダーフィル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体と、
前記基体又は該基体に固定された保持部材上に設けられた端面発光型素子と、
前記端面発光型素子の光出射端面内を起点とし該光出射端面に略垂直な軸と交わるように、前記基体上に設けられた発光ダイオード素子と、
を備え、
前記端面発光型素子が前記発光ダイオード素子の下方に設けられた、
ことを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記端面発光型素子の発光波長は、前記発光ダイオード素子の発光ピーク波長より長い、ことを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記発光ダイオード素子は、基板と、素子構造を構成する半導体層と、を備え、
該発光ダイオード素子の上面、前記基板における前記半導体層側の面、前記基板内部のいずれかに、光学構造を備える、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記端面発光型素子を複数備えた、ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項5】
前記複数の端面発光型発光素子は、発光波長が略同一であって、
各端面発光型素子の光出射端面内を起点とし該光出射端面に略垂直な軸が、前記発光ダイオード素子の中心軸に対して、斜めに且つ略回転対称となるように配置される、ことを特徴とする請求項4に記載の発光装置。
【請求項6】
前記発光ダイオード素子と前記端面発光型素子との間に、前記端面発光型素子の光を透過しその他の光を反射する波長選択性材が設けられる、ことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項7】
前記発光ダイオード素子の側面における少なくとも一部領域に、絶縁性光反射材が設けられる、ことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項8】
前記発光ダイオード素子の上面には、該上面の周縁に沿って遮光部材が設けられる、ことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項9】
前記発光ダイオード素子の上面には、該発光ダイオード素子の光により励起される蛍光体を含む波長変換部材が設けられる、ことを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の発光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−16565(P2013−16565A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−146906(P2011−146906)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000226057)日亜化学工業株式会社 (993)
【Fターム(参考)】