説明

発光装置

【課題】発光ダイオードの熱を効率よく簡単な構造で分散させる発光装置を提供する。
【解決手段】実施の形態の発光装置は、基板と、基板上に第1の直線上に配置される複数の第1の発光ユニットと、基板上に第1の直線と離間し第1の直線に平行な第2の直線上に配置され、第1の発光ユニットと異なる発光色を有する複数の第2の発光ユニットと、基板上に第1および第2の直線と離間し第1および第2の直線に平行な第3の直線上に配置され、第1および第2の発光ユニットと異なる発光色を有する複数の第3の発光ユニットとを備える。そして、同一の発光色の発光ユニット間の距離が、異なる発光色の発光ユニット間の最小距離よりも大きい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、発光ダイオード(LED)を用いた様々な発光装置が考案されている。このような発光装置の中には、発光ダイオードを用いた複数の発光色の発光ユニットを組み合わせて、白色光や昼光色等の所望の発光色を実現する発光装置がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−331839号公報
【特許文献2】特許4287651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発光ダイオードは、発光とともに発熱する。発熱により発光ダイオードの温度が上昇すると温度消光により発光色が変化したり発光ダイオードの劣化が生じたり等の問題が生ずる。このため、発光ダイオードの熱を効率よく簡単な構造で分散させる発光装置が望まれる。
【0005】
本発明は、上記事情を考慮してなされたものであり、その目的とするところは、発光ダイオードの熱を効率よく簡単な構造で分散させる発光装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施の形態の発光装置は、基板と、基板上に第1の直線上に配置される複数の第1の発光ユニットと、基板上に第1の直線と離間し第1の直線に平行な第2の直線上に配置され、第1の発光ユニットと異なる発光色を有する複数の第2の発光ユニットと、基板上に第1および第2の直線と離間し第1および第2の直線に平行な第3の直線上に配置され、第1および第2の発光ユニットと異なる発光色を有する複数の第3の発光ユニットとを備え、同一の発光色の発光ユニット間の距離が、異なる発光色の発光ユニット間の最小距離よりも大きい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第1の実施の形態の発光装置の概略上面図である。
【図2】第1の実施の形態の発光装置の概略断面図である。
【図3】第1の実施の形態の発光装置の発光ユニットの拡大断面図である。
【図4】第1の実施の形態の発光装置の制御機構を示す概略上面図である。
【図5】第1の実施の形態の発光装置の作用を説明する図である。
【図6】第2の実施の形態の発光装置の概略上面図である。
【図7】第3の実施の形態の発光装置の概略上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を用いて実施の形態を説明する。なお、図面中、同一または類似の箇所には、同一または類似の符号を付している。
【0009】
なお、本明細書中、「近紫外光」とは、波長250nm〜410nmの光を意味するものとする。また、「青色光」とは、波長410nm〜500nmの光を意味するものとする。また、「緑色光」とは、波長500nm〜580nmの光を意味するものとする。また、「赤色光」とは、波長595nm〜700nmの光を意味するものとする。
【0010】
そして、「赤色蛍光体」とは、波長250nm乃至500nmの光、すなわち、近紫外光もしくは青色光で励起した際、励起光よりも長波長であり、橙色から赤色にわたる領域の発光、すなわち波長595nm〜700nmの間に主発光ピークを有する発光を示す蛍光体を意味する。
【0011】
また、本明細書中、「緑色蛍光体」とは、波長250nm乃至500nmの光、すなわち、近紫外光もしくは青色光で励起した際、励起光よりも長波長であり、青緑色から黄緑色にわたる領域の発光、すなわち波長490nm〜580nmの間に主発光ピークを有する発光を示す蛍光体を意味する。
【0012】
(第1の実施の形態)
本実施の形態の発光装置は、基板と、基板上に第1の直線上に配置される複数の第1の発光ユニットと、基板上に第1の直線と離間し第1の直線に平行な第2の直線上に配置され、第1の発光ユニットと異なる発光色を有する複数の第2の発光ユニットと、基板上に第1および第2の直線と離間し第1および第2の直線に平行な第3の直線上に配置され、第1および第2の発光ユニットと異なる発光色を有する複数の第3の発光ユニットとを備える。そして、同一の発光色の発光ユニット間の距離が、異なる発光色の発光ユニット間の最小距離よりも大きい。
【0013】
本実施の形態の発光装置においては、上記構成を備えることにより、同一の発光色の発光ユニットの配置が分散され、発光ユニットを構成する発光ダイオード(LED)から発せられる熱も分散されるため熱の分布の偏りが小さくなる。したがって、発光色の変動や発光ダイオードの劣化を抑制することが可能となる。また、同一の発光色の発光ユニットを直線的に配置することにより、構造が簡易となる。したがって、設計も製造も容易となり、製造コストの低減を図ることが可能となる。
【0014】
図1は、本実施の形態の発光装置の概略上面図である。図1(a)、図1(b)はそれぞれ異なる観点から発光ユニットの配置を説明する図となっている。
【0015】
図1に示すように、発光装置100では、例えば、プリント基板である基板10上に複数の第1の発光ユニット12、複数の第2の発光ユニット14、複数の第3の発光ユニット16が配置されている。
【0016】
第1ないし第3の発光ユニット12、14、16は、それぞれ異なる発光色を発する。例えば、第1の発光ユニット12は赤色光、第2の発光ユニットは緑色光、第3の発光ユニットは青色光を発する発光ユニットである。いいかえれば、第1の発光ユニット12の発光色は赤色、第2の発光ユニットの発光色は緑色、第3の発光ユニットの発光色は青色である。
【0017】
また、本実施の形態においては、図1(b)に示すように、第1、第2および第3の発光ユニット12、14、16が正六角形を基本とする繰り替えしパターンで基板10上に配置される。そして、第1の発光ユニット12が正六角形の中心にあたる位置に配置され、第2の発光ユニット14および第3の発光ユニット16が正六角形の6つの頂点にあたる位置に交互に配置される。
【0018】
そして、図1(a)に示すように、第1の発光ユニット12は、第1の直線L上にのるように、直線状に配置される。また、第2の発光ユニット14は、第1の直線Lと離間し第1の直線Lに平行な第2の直線L上にのるように、直線状に配置される。さらに第3の発光ユニット16は、第1および第2の直線L、Lと離間し第1および第2の直線L、Lに平行な第3の直線L上にのるように、直線状に配置される。
【0019】
なお、本明細書中、「直線にのる」、あるいは、「直線状に配置する」と記述する場合の「直線」とは、例えば、製造上の誤差等により完全な直線からずれる場合の多少のズレは許容する概念とする。
【0020】
さらに、同一の発光色の発光ユニット間の距離が、異なる発光色の発光ユニット間の最小距離よりも大きくなるよう配置される。例えば、図1(b)に示すように着目する第1の発光ユニット12と隣接する第1の発光ユニット12の間の距離(図中d)は、着目する第1の発光ユニット12と、隣接する異なる発光色の発光ユニットである第2の発光ユニット14、または、第3の発光ユニット16間の最小距離(図中d)よりも大きくなっている。
【0021】
また、図1(b)に示すように、基板10上の最外周に配置される第1、第2および第3の発光ユニット12、14、16においては、異なる発光色の発光ユニットが隣接して配置される。すなわち、図1(b)中、ハッチングが施される最外周の発光ユニットでは、隣接する発光ユニットが異なる発光色を発するよう配置されている。
【0022】
なお、本明細書中、最外周に配置される発光ユニットとは、以下のように定める。まず、配置されるすべての発光ユニットを含む最小の外接円を描く。この外接円に接する発光ユニットを1個選択し、この発光ユニットに隣接する発光ユニットのうち、最も外接円に近い発光ユニットを選択する。次に、選択された発光ユニットに隣接する発光ユニットのうち、最も外接円に近い発光ユニットを選択する。この作業を順次、最初の発光ユニットに戻るまで続けた結果、選択される複数の発光ユニットを最外周に配置される発光ユニットとする。
【0023】
図2は、本実施の形態の発光装置の概略断面図である。図1(a)のAA断面を示している。
【0024】
基板10上に、第1、第2および第3の発光ユニット12、14、16が配置される。それぞれの発光ユニットには、光源となる発光ダイオード(LED)20が備えられている。LED20は、例えば、青色光を発する、発光層をGaInNとするAlGaInN系の青色LEDである。
【0025】
また、基板10の下部には、発光ダイオード20から発せられる熱を発光装置100外に逃がすための、放熱板22が設けられている。放熱板22は、例えば、アルミニウム等の熱伝導率の高い金属で形成される。
【0026】
さらに、第1、第2および第3の発光ユニット12、14、16の上部には、各発光ユニットから発せられる異なる色の光を混ぜるとともに、拡散させる拡散板24が設けられている。本実施の形態では、赤色光、緑色光、青色光が混ざることにより白色光が発光装置100から照射されることになる。
【0027】
図3は、本実施の形態の発光装置の発光ユニットの拡大断面図である。図3(a)は、赤色光を発する発光ユニットである。図3(b)は、緑色光を発する発光ユニットである。図3(c)は、青色光を発する発光ユニットである。
【0028】
図3(a)に示すように、赤色光を発光する発光ユニットは、基板10上に設けられるLED20と、このLED20を被覆する、赤色蛍光体32と透明基材28の混合層を備える。赤色蛍光体としては、例えば、(Sr,Ba)Si:Euを用いる。また、透明基材28としては、例えば、シリコーン樹脂を用いることが可能である。この発光ユニットでは、LED20から発せられる青色光を励起光として、赤色蛍光体32が赤色光を発する。
【0029】
図3(b)に示すように、緑色光を発光する発光ユニットは、基板10上に設けられるLED20と、このLED20を被覆する、緑色蛍光体34と透明基材28の混合層を備える。緑色蛍光体としては、例えば、(Sr,Ba)Si:Euを用いる。また、透明基材28としては、例えば、シリコーン樹脂を用いることが可能である。この発光ユニットでは、LED20から発せられる青色光を励起光として、緑色蛍光体34が緑色光を発する。
【0030】
図3(c)に示すように、青色光を発光する発光ユニットは、基板10上に設けられるLED20と、このLED20を被覆する、透明基材28を備える。透明基材28としては、例えば、シリコーン樹脂を用いることが可能である。この発光ユニットでは、LED20から発せられる青色光を、透明基材28を通して発する。
【0031】
図4は、本実施の形態の発光装置の制御機構を示す概略上面図である。第1の発光ユニット12は、第1の配線42で直線状に接続される。複数の第1の配線42は電気的に束ねられ、第1の発光強度制御部52に接続される。したがって、複数の第1の発光ユニット12は、すべて、第1の発光強度制御部52に電気的に接続される。第1の発光強度制御部52は、例えば、可変抵抗器とその制御装置で構成され、第1の発光ユニット12の発光強度を他色の発光ユニットと独立に制御する。
【0032】
また、第2の発光ユニット14は、第2の配線44で直線状に接続される。複数の第2の配線44は電気的に束ねられ、第2の発光強度制御部54に接続される。したがって、複数の第2の発光ユニット14は、すべて、第2の発光強度制御部54に電気的に接続される。第2の発光強度制御部54は、例えば、可変抵抗器とその制御装置で構成され、第2の発光ユニット14の発光強度を他色の発光ユニットと独立に制御する。
【0033】
さらに、第3の発光ユニット16は、第3の配線46で直線状に接続される。複数の第3の配線46は電気的に束ねられ、第3の発光強度制御部56に接続される。したがって、複数の第3の発光ユニット16は、すべて、第3の発光強度制御部56に電気的に接続される。第3の発光強度制御部56は、例えば、可変抵抗器とその制御装置で構成され、第3の発光ユニット16の発光強度を他色の発光ユニットと独立に制御する。
【0034】
第1の配線42、第2の配線44および第3の配線46は、導電性材料で形成される。導電性材料としては、例えば、金や銅を用いることが可能である。
【0035】
本実施の形態の発光装置100によれば、同一の発光色の発光ユニット間の距離が、異なる発光色の発光ユニット間の最小距離よりも大きくなるよう配置される。このように、発熱量がほぼ等しくなる同色の発光ユニットの配置間隔を広げ、最近接の発光ユニットを他色の発光ユニットとすることで熱が分散され、発光装置内の熱分布の偏りを抑制した発光装置が実現される。したがって、熱分布が偏ることによる発光色の変動やLEDの劣化、発光分布の偏り等を抑制することが可能となる。
【0036】
また、発光ユニットを規則的に配置することによって、発光装置内の熱分布の偏りや発光の偏りが抑制した発光装置が実現される。
【0037】
さらに、同一の発光色の発光ユニットを直線的に配置することにより、構造が簡易となる。例えば、図4に示すように、同一の発光色の発光ユニットを直線的な配線で接続することが可能となり、配線形成が容易となる。したがって、設計も製造も容易となり、製造コストの低減を図ることが可能となる。
【0038】
また、基板10上の最外周に配置される第1、第2および第3の発光ユニット12、14、16においては、異なる発光色の発光ユニットが隣接して配置される。このため、各色の配光分布が偏ることが抑制される。
【0039】
また、第1ないし第3の発光強度制御部52、54、56を用いて、独立に各色の発光強度を制御することができる。したがって、発光装置が発する光の調色が自在に可能になる。
【0040】
図5は、本実施の形態の発光装置の作用を説明する図である。例えば、図5(a)に示すように、実施の形態とは異なり、最外周で、同一の発光色の発光ユニットが隣接して配置される発光装置900を考える。この発光装置900を、図5(b)に示すように、例えば、部屋90の照明装置として取り付ける。よって、均一な色味の照明が実現される。
【0041】
この時、部屋90の床92は、赤色光、緑色光、青色光が混合し、白色光で照明される。もっとも、例えば、発光装置900の最外周に、赤色光を発する第1の発光ユニット12が隣接して配置される側に対峙する壁面94は、赤色が強い光で照明されることになる。また、発光装置900の最外周に、青色光を発する第3の発光ユニット16が隣接して配置される側に対峙する壁面96は、青色が強い光で照明されることになる。
【0042】
このように、発光装置900では、各色の配光分布が偏ってしまい、発光装置900に対する位置によって照明光の色味が変わってしまうという問題が生ずる。
【0043】
これに対し、本実施の形態では、基板10上に配置される第1、第2および第3の発光ユニット12、14、16の最外周部では、異なる発光色の発光ユニットが隣接して配置されため、各色の配光分布が偏ることが抑制される。
【0044】
(第2の実施の形態)
本実施の形態の発光装置は、第1、第2および第3の発光ユニットが正方形を基本とする繰り替えしパターンで基板上に配置される。そして、第1の発光ユニットが正方形の中心にあたる位置に配置され、第2および第3の発光ユニットが、正方形の隣接する頂点にあたる位置に2個ずつ配置される。上記構成以外の点については、基本的に第1の実施の形態と同様である。したがって、以下、第1の実施の形態と重複する内容については一部記述を省略する。
【0045】
図6は、本実施の形態の発光装置の概略上面図である。図6(a)、図6(b)はそれぞれ異なる観点から発光ユニットの配置を説明する図となっている。
【0046】
図6に示すように、発光装置200では、例えば、プリント基板である基板10上に複数の第1の発光ユニット12、複数の第2の発光ユニット14、複数の第3の発光ユニット16が配置されている。
【0047】
第1ないし第3の発光ユニット12、14、16は、それぞれ異なる発光色を発する。例えば、第1の発光ユニット12は赤色光、第2の発光ユニットは緑色光、第3の発光ユニットは青色光を発する発光ユニットである。いいかえれば、第1の発光ユニット12の発光色は赤色、第2の発光ユニットの発光色は緑色、第3の発光ユニットの発光色は青色である。
【0048】
また、本実施の形態の発光装置200においては、図6(b)に示すように、第1、第2および第3の発光ユニット12、14、16が正方形を基本とする繰り替えしパターンで基板10上に配置される。そして、第1の発光ユニット12が正方形の中心にあたる位置に配置され、第2および第3の発光ユニット14、16が、正方形の隣接する頂点にあたる位置に2個ずつ配置される。
【0049】
そして、図6(a)に示すように、第1の発光ユニット12は、第1の直線L上にのるように、直線状に配置される。また、第2の発光ユニット14は、第1の直線Lと離間し第1の直線Lに平行な第2の直線L上にのるように、直線状に配置される。さらに第3の発光ユニット16は、第1および第2の直線L、Lと離間し第1および第2の直線L、Lに平行な第3の直線L上にのるように、直線状に配置される。
【0050】
さらに、同一の発光色の発光ユニット間の距離が、異なる発光色の発光ユニット間の最小距離よりも大きくなるよう配置される。例えば、図6(b)に示すように着目する第1の発光ユニット12と隣接する第1の発光ユニット12の間の距離(図中d)は、着目する第1の発光ユニット12と、隣接する異なる発光色の発光ユニットである第2の発光ユニット14、または、第3の発光ユニット16間の最小距離(図中d)よりも大きくなっている。
【0051】
また、図6(b)に示すように、基板10上の最外周に配置される第1、第2および第3の発光ユニット12、14、16において、異なる発光色の発光ユニットが隣接して配置される。すなわち、図6(b)中、ハッチングが施される最外周の発光ユニットでは、隣接する発光ユニットが異なる発光色を発するよう配置されている。
【0052】
本実施の形態の発光装置200においても、第1の実施の形態と同様の理由により、第1の実施の形態と同様の効果が得られる。
【0053】
(第3の実施の形態)
本実施の形態の発光装置は、第1、第2および第3の発光ユニットが正六角形を基本とする繰り替えしパターンで基板上に配置される。そして、第1の発光ユニットが正六角形の中心にあたる位置に配置され、第2の発光ユニットおよび第3の発光ユニットが正六角形の5つの頂点にあたる位置に交互に配置される。上記構成以外の点については、基本的に第1の実施の形態と同様である。したがって、以下、第1の実施の形態と重複する内容については一部記述を省略する。
【0054】
図7は、本実施の形態の発光装置の概略上面図である。図7(a)、図7(b)はそれぞれ異なる観点から発光ユニットの配置を説明する図となっている。
【0055】
図7に示すように、発光装置300では、例えば、プリント基板である基板10上に複数の第1の発光ユニット12、複数の第2の発光ユニット14、複数の第3の発光ユニット16が配置されている。
【0056】
第1ないし第3の発光ユニット12、14、16は、それぞれ異なる発光色を発する。例えば、第1の発光ユニット12は赤色光、第2の発光ユニットは緑色光、第3の発光ユニットは青色光を発する発光ユニットである。いいかえれば、第1の発光ユニット12の発光色は赤色、第2の発光ユニットの発光色は緑色、第3の発光ユニットの発光色は青色である。
【0057】
また、本実施の形態の発光装置700においては、図7(b)に示すように、第1、第2および第3の発光ユニット12、14、16が正六角形を基本とする繰り替えしパターンで基板10上に配置される。そして、第1の発光ユニット12が正六角形の中心にあたる位置に配置され、第2の発光ユニット14および第3の発光ユニット16が正六角形の5つの頂点にあたる位置に交互に配置される。
【0058】
そして、図7(a)に示すように、第1の発光ユニット12は、第1の直線L上にのるように、直線状に配置される。また、第2の発光ユニット14は、第1の直線Lと離間し第1の直線Lに平行な第2の直線L上にのるように、直線状に配置される。さらに第3の発光ユニット16は、第1および第2の直線L、Lと離間し第1および第2の直線L、Lに平行な第3の直線L上にのるように、直線状に配置される。
【0059】
さらに、同一の発光色の発光ユニット間の距離が、異なる発光色の発光ユニット間の最小距離よりも大きくなるよう配置される。例えば、図7(b)に示すように着目する第1の発光ユニット12と隣接する第1の発光ユニット12の間の距離(図中d)は、着目する第1の発光ユニット12と、隣接する異なる発光色の発光ユニットである第2の発光ユニット14、または、第3の発光ユニット16間の最小距離(図中d)よりも大きくなっている。
【0060】
また、図7(b)に示すように、基板10上の最外周に配置される第1、第2および第3の発光ユニット12、14、16において、異なる発光色の発光ユニットが隣接して配置される。すなわち、図7(b)中、ハッチングが施される最外周の発光ユニットでは、隣接する発光ユニットが異なる発光色を発するよう配置されている。
【0061】
本実施の形態の発光装置300においても、第1の実施の形態と同様の理由により、第1の実施の形態と同様の効果が得られる。
【0062】
さらに、発光ユニットが配置されない正六角形の頂点にあたる位置を、例えば、プリント基板を筐体や放熱板に固定するネジ穴を設ける領域に利用することができる。したがって、さらに発光装置の設計の自由度が向上する。
【0063】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。上記、実施の形態はあくまで、例として挙げられているだけであり、本発明を限定するものではない。また、各実施の形態の構成要素を適宜組み合わせてもかまわない。
【0064】
実施の形態においては、第1の発光ユニット12、第2の発光ユニット14、第3の発光ユニット16が、それぞれ赤色光、緑色光、青色光を発する発光ユニットである場合を例に説明したが、各発光ユニットの発光色は互いに入れ替えても構わない。すなわち、例えば、第1の発光ユニット12、第2の発光ユニット14、第3の発光ユニット16が、それぞれ赤色光、青色光、緑色光を発する発光ユニットとしても良いし、例えば、それぞれ、緑色光、赤色光、青色光を発する発光ユニットとしても良いし、例えば、それぞれ、緑色光、青色光、赤色光を発する発光ユニットとしても良いし、例えば、それぞれ、青色光、赤色光、緑色光を発する発光ユニットとしても良いし、例えば、それぞれ、青色光、緑色光、赤色光を発する発光ユニットとしても良い。
【0065】
実施の形態において、発光素子(励起素子)となるLED20として、発光層をGaInNとするAlGaInN系の青色LEDを例に説明した。しかし、青色LEDに限らず、近紫外光を発するLEDを適用することも可能である。
【0066】
また、発光層(活性層)として、III−V族化合物半導体である窒化アルミニウムガリウムインジウム(AlGaInN)、あるいはII−VI族化合物半導体である酸化マグネシウム亜鉛(MgZnO)等を用いたLEDを用いることが出来る。例えば、発光層として用いるIII−V族化合物半導体は、Al、Ga、及びInからなる群から選ばれた少なくとも1種を含む窒化物半導体である。この窒化物半導体は、具体的には、AlGaIn(1−x−y)N(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦(x+y)≦1)と表わされるものである。このような窒化物半導体には、AlN、GaN、及びInNの2元系、AlGa(1−x)N(0<x<1)、AlIn(1−x)N(0<x<1)、及びGaIn(1−y)N(0<y<1)の3元系、更にすべてを含む4元系のいずれもが含まれる。Al、Ga、及びInの組成x、y、(1−x−y)に基づいて、紫外から青までの範囲の発光ピーク波長が決定される。また、III族元素の一部をホウ素(B)、タリウム(Tl)等に置換することができる。更に、V族元素のNの一部をリン(P)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)等に置換することができる。
【0067】
同様に、発光層として用いるII−VI族化合物半導体は、Mg及びZnの少なくとも1種を含む酸化物半導体することができる。具体的には、MgZn(1−z)O(0≦z≦1)と表されるものがあり、Mg及びZnの組成z、(1−z)に基いて、紫外領域の発光ピーク波長が決定される。
【0068】
また、透明基材28としては、シリコーン樹脂を例に説明したが、励起光の透過性が高く、かつ耐熱性の高い任意の材料を用いることができる。そのような材料として、例えば、シリコーン樹脂の他に、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂等が使用可能である。特に、入手し易く、取り扱いやすく、しかも安価であることから、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂が好適に使用される。また、樹脂以外でも、ガラス、焼結体等を用いることもできる。
【0069】
また、例えば、緑色蛍光体にかえて黄色蛍光体をもちいてもかまわない。また、赤色蛍光や緑色蛍光体に、赤色または緑色以外の色を発する黄色蛍光体を加えて使用しもかまわない。
【0070】
また、蛍光体としては、紫外から青色までの波長領域の光を吸収して可視光を放射する材料で形成されるものが用いられる。例えば、珪酸塩系蛍光体材料、アルミン酸塩蛍光体材料、窒化物および酸窒化物系蛍光体材料、硫化物系蛍光体材料、酸硫化物系蛍光体材料、YAG系蛍光体材料、硼酸塩系蛍光体材料、燐酸塩硼酸塩系蛍光体材料、燐酸塩系蛍光体、及びハロリン酸塩系蛍光体材料等の蛍光体材料を使用することができる。各蛍光体材料の組成を下記に示す。
【0071】
(1)珪酸塩系蛍光体材料:(Sr(1−x−y−z)BaCaEuSi(2+2w)(0≦x<1、0≦y<1、0.05≦z≦0.2、0.90≦w≦1.10)
上記式により表される珪酸塩系蛍光体材料の中では、x=0.19、y=0、z=0.05、w=1.0の組成が望ましい。なお、結晶構造を安定化したり、発光強度を高めるたりするために、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、及びカルシウム(Ca)の一部をMg及びZnの少なくともいずれか一方に置き換えてもよい。他の組成比の珪酸塩系蛍光体材料としては、MSiO、MSiO、MSiO、MSiO、MSiO及びMSi(MはSr、Ba、Ca、Mg、Be、Zn、及びYからなる群から選択される少なくとも1つの元素)が使用可能である。なお、発光色を制御するために、Siの一部をゲルマニウム(Ge)に置き換えてもよい(例えば、(Sr(1−x−y−z)BaCaEu(Si2(1−u))Ge)O)。また、Ti、Pb、Mn、As、Al、Pr、Tb、及びCeからなる群からなる群から選択される少なくとも1つの元素を賦活剤として含有してもよい。
【0072】
(2)アルミン酸塩系蛍光体材料:MAl1017(但し、Mは、Ba、Sr、Mg、Zn、及びCaからなる群からなる群から選択される少なくとも1つの元素) 賦活剤として、Eu及びMnの少なくとも1つを含む。他の組成比のアルミン酸塩系蛍光体材料としては、MAl、MAl17、MAl13、MAl1219、MAl1917、MAl1119、MAl12、MAl1627、及びMAl12(MはBa、Sr、Ca、Mg、Be及びZnからなる群からなる群から選択される少なくとも1つの元素)が使用可能である。また、Mn、Dy、Tb、Nd、及びCeからなる群からなる群から選択される少なくとも1つの元素を賦活剤として含有していてもよい。
【0073】
(3)窒化物系蛍光体材料(主にシリコンナイトライド系蛍光体材料)および酸窒化物系蛍光体材料:LSi(2x/3+4y/3):Eu、又はLSi(2x/3+4y/3−2z/3):Eu(LはSr、Ca、Sr及びCaからなる群からなる群から選択される少なくとも1つの元素)
上記組成において、x=2かつy=5、又はx=1かつy=7であることが望ましいが、x及びyは、任意の値とすることができる。上記式により表される窒化物系蛍光体材料として、Mnが賦活剤として添加された(SrCa(1−x)Si:Eu、SrSi:Eu、CaSi:Eu、SrCa(1−x)Si10:Eu、SrSi10:Eu、CaSi10:Eu等の蛍光体材料を使用することが望ましい。これらの蛍光体材料には、Mg、Sr、Ca、Ba、Zn、B、Al、Cu、Mn、Cr、及びNiからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素が含有されてもよい。また、Ce,Pr、Tb、Nd、及びLaからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素を、賦活剤として含有してもよい。またSiの一部をAlに置き換えたサイアロン系蛍光体:LSiAl(12-y)(16−z):Eu(LはSr、Ca、Sr及びCaからなる群からなる群から選択される少なくとも1つの元素)を用いても良い。
【0074】
(4)硫化物系蛍光体材料:(Zn(1−x)Cd)S:M(Mは、Cu、Cl、Ag、Al、Fe、Cu、Ni、及びZnからなる群から選択される少なくとも1つの元素、xは0≦x≦1を満足する数値) なお、Sを、Se及びTeの少なくともいずれかに置き換えてもよい。
【0075】
(5)酸硫化物蛍光体材料:(Ln(1−x)Eu)OS(LnはSc、Y、La、Gd、及びLuからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素、xは0≦x≦1を満足する数値) なお、Tb、Pr、Mg、Ti、Nb、Ta、Ga、Sm、及びTmからなる群から選ばれる少なくとも1種を、賦活剤として含有してもよい。
【0076】
(6)YAG系蛍光体材料:(Y(1−x−y−z)GdLaSm(Al(1−v)Ga12:Ce,Eu(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1.0≦v≦1) なお、CrおよびTbの少なくとも一種を、賦活剤として含有してもよい。
【0077】
(7)硼酸塩系蛍光体材料:MBO:Eu(MはY、La、Gd、Lu、及びInからなる群から選択される少なくとも1つの元素) なお、賦活剤として、Tbを含有してもよい。他の組成比の硼酸塩系蛍光体材料として、CdO5:Mn、(Ce,Gd,Tb)MgB10:Mn、GdMgB10:Ce,Tbなどが使用可能である。
【0078】
(8)燐酸塩硼酸塩系蛍光体材料:2(M(1−x)M’)O・aP・bB(MはMg、Ca、Sr、Ba、及びZnからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素、M’はEu、Mn、Sn、Fe、及びCrからなる群から選択される少なくとも1つの元素、x、a、bは0.001≦x≦0.5、0≦a≦2、0≦b≦3、0.3<(a+b)を満足する数値)
【0079】
(9)燐酸塩系蛍光体:(Sr(1−x)Ba(PO:Eu、又は(Sr(1−x)Ba:Eu、Sn なお、Ti及びCuのいずれか一方を、賦活剤として含有してもよい。
【0080】
(10)ハロリン酸塩系蛍光体材料:(M(1−x)Eu10(POCl、又は(M(1−x)Eu(POCl(MはBa、Sr、Ca、Mg、及びCdからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素、xは0≦x≦1を満足する数値) なお、Clの少なくとも一部を、フッ素(F)に置き換えてもよい。また、Sb及びMnの少なくとも1つを、賦活剤として含有してもよい。
【0081】
また、白色光を形成する場合には、実施の形態のように、第1、第2および第3の発光ユニットの発光色の組み合わせが、光の三原色の赤色(R)、緑色(G)、青色(B)となるよう、それぞれに対応する色の蛍光体材料を組み合わせるか、もしくは青と黄色のような補色関係にある色の組み合わせを用いればよい。なお、調色できる範囲を最も広くする場合、青色、緑色、赤色の3色の組み合わせが望ましい。
【0082】
そして、実施の形態の説明においては、発光装置等で、本発明の説明に直接必要としない部分等については記載を省略したが、必要とされる発光装置に関わる要素を適宜選択して用いることができる。
【0083】
その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更しうる全ての発光装置は、本発明の範囲に包含される。本発明の範囲は、特許請求の範囲およびその均等物の範囲によって定義されるものである。
【符号の説明】
【0084】
10 基板
12 第1の発光ユニット
14 第2の発光ユニット
16 第3の発光ユニット
52 第1の発光強度制御部
54 第2の発光強度制御部
56 第3の発光強度制御部
L1 第1の直線
L2 第2の直線
L3 第3の直線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に第1の直線上に配置される複数の第1の発光ユニットと、
前記基板上に前記第1の直線と離間し前記第1の直線に平行な第2の直線上に配置され、前記第1の発光ユニットと異なる発光色を有する複数の第2の発光ユニットと、
前記基板上に前記第1および第2の直線と離間し前記第1および第2の直線に平行な第3の直線上に配置され、前記第1および第2の発光ユニットと異なる発光色を有する複数の第3の発光ユニットとを備え、
同一の発光色の発光ユニット間の距離が、異なる発光色の発光ユニット間の最小距離よりも大きいことを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記複数の第1の発光ユニットに接続される第1の発光強度制御部と、
前記複数の第2の発光ユニットに接続される第2の発光強度制御部と、
前記複数の第3の発光ユニットに接続される第3の発光強度制御部とをさらに備えることを特徴とする請求項1記載の発光装置。
【請求項3】
前記第1、第2および第3の発光ユニットが正六角形を基本とする繰り替えしパターンで前記基板上に配置され、
前記第1の発光ユニットが前記正六角形の中心にあたる位置に配置され、
前記第2の発光ユニットおよび前記第3の発光ユニットが前記正六角形の6つの頂点にあたる位置に交互に配置されることを特徴とする請求項1または請求項2記載の発光装置。
【請求項4】
前記第1、第2および第3の発光ユニットが正方形を基本とする繰り替えしパターンで前記基板上に配置され、
前記第1の発光ユニットが前記正方形の中心にあたる位置に配置され、
前記第2および第3の発光ユニットが、前記正方形の隣接する頂点にあたる位置に2個ずつ配置されることを特徴とする請求項1または請求項2記載の発光装置。
【請求項5】
前記第1、第2および第3の発光ユニットが正六角形を基本とする繰り替えしパターンで前記基板上に配置され、
前記第1の発光ユニットが前記正六角形の中心にあたる位置に配置され、
前記第2の発光ユニットおよび前記第3の発光ユニットが前記正六角形の5つの頂点にあたる位置に交互に配置されることを特徴とする請求項1または請求項2記載の発光装置。
【請求項6】
前記基板上の最外周に配置される前記第1、第2および第3の発光ユニットにおいて、異なる発光色の発光ユニットが隣接して配置されることを特徴とする請求項1ないし請求項5いずれか一項記載の発光装置。
【請求項7】
前記第1、第2および第3の発光ユニットの発光色の組み合わせが赤色、緑色、青色であることを特徴とする請求項1ないし請求項6いずれか一項記載の発光装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−42036(P2013−42036A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−178979(P2011−178979)
【出願日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】