説明

発声改良剤および発声改良方法

【課題】本発明は、発声に当たって、無理なく高音域あるいは低音域を出すことができ、声帯を痛めないようなものを提供することを課題とする。
【解決手段】コエンザイムQ10が発声改良に有効であることを見出し、本発明を完成した。具体的には、コエンザイムQ10あるいはコエンザイムQ10とビタミンEとを主成分とする剤を経口投与することにより、声が良く出るようになり、長時間歌えるようになり、また高音域や低音域が延びるという効果も奏する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
声楽家、アナウンサー、俳優、政治家など声を酷使する人に用いて、発声を改良する剤あるいは発声改良方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カラオケが大繁盛で大きな産業となっているが、声を酷使すると声帯を痛め、進行するとガンを発症することにもなりかねない。
【0003】
従来、声に有効であるとしてマグネシウムが用いられてきた。リンゴ酸の助けをかりてマグネシウムが声帯細胞に吸収され、声帯が柔軟になり声帯の反響作用を高め、声にハリ・伸びをもたらし、様々な音域の声で声帯に負担をかけることなく楽に歌えるとされてきた。
【0004】
しかしながら、その実際の効果は疑問視されており、特に声を命とする声楽家や政治家あるいは俳優、タレント等は、更に発声に有効なものの開発を切望しているところである。
【0005】
【特許文献1】特開2005−35918号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、発声に当たって、無理なく高音域あるいは低音域を出すことができ、声帯を痛めないような組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、前記課題を解決すべく鋭意努力した結果、コエンザイムQ10が発声改良に有効であることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、
(1) コエンザイムQ10を主成分とする発声改良剤、
(2) コエンザイムQ10及びビタミンEを主成分とする発声改良剤、
(3) コエンザイムQ10を経口投与することを特徴とする発声改良方法、
(4) コエンザイムQ10及びビタミンEを主成分とする製剤を経口投与することを特徴とする発声改良方法
に関する。
【0009】
コエンザイムQ10は、一般的に魚類、肉類や海草に含まれていることが知られているが、微生物の醗酵技術により作られたり、あるいは植物成分をベースにして部分合成するものがある。コエンザイムQ10は、融点の低い親油性固体であり、経口投与における吸収性が低い。
【0010】
コエンザイムQ10は、一般名ユビデカレノン(分子式 C5990)であり、下記のような構造式を有している。
【化1】

【0011】
コエンザイムQ10は、抗酸化作用とエネルギー産生作用を有し、人体のあらゆる細胞内に存在して重要な役割を果たしている。特にエネルギー産生作用は、ミトコンドリアにおいて水素から酸素に電子を伝達しエネルギーを産生する機構の中で発揮されている。
【0012】
コエンザイムQ10は、体内で生産されており、一部は食品から摂取しているが、加齢、ストレス、疾病により減少する。コエンザイムQ10の不足は、エネルギー産生の低下をもたらし、筋肉の収縮はもとより、生体の生命活動全体を低下させる。
【0013】
コエンザイムQ10の摂取は、エネルギー産生を高め、生体に活力を与える。心臓ではエネルギーを大量に消費するので、コエンザイムQ10は心不全の医薬品として用いられている。
【0014】
コエンザイムQ10は、疲労の回復を早める、冷えやむくみを解消し、若肌を保つ、ダイエット効果がある、老化防止に役立つ等の各種の効果がある。
【0015】
また、動悸・息切れの軽減、動脈硬化の予防、生活習慣病の予防、免疫力の強化、歯肉炎・歯周病の炎症や不快感の改善等健康効果も報告されている。
【0016】
コエンザイムQ10の筋肉に対する作用は、心臓のみならず、全ての筋肉で発揮される。喉の筋肉でこの作用が発揮されると、気道が広がり、いびきを静め、睡眠時無呼吸症候群の症状を緩解することが最近分かった。本出願人の関連会社である株式会社 薬研が出願した「いびき防止剤」(特開2005−35918号公報(特許文献1))は、コエンザイムQ10とビタミンEと乳化剤化合物を含む混合物からなっており、いびき防止に顕著な効果を奏することを立証している。
【0017】
しかしながら、本発明のような発声に有効であるとの知見は得られていなかった。すなわち、本発明はコエンザイムQ10の新規な用途を発見し、顕著な効果を奏することを確認したことを特徴とするものである。
【0018】
本発声改良剤の服用方法は、発声前3時間以内に、成人1人当たり、1カプセル(330mg)又は2カプセルを温湯とともに服用することが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明の発声改良剤を服用することにより、声が良く出るようになり、長時間歌えるようになる。あるいは、高音域や低音域が延びるという効果も奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明を具体的に説明するために、以下に実施例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【実施例1】
【0021】
表1に示された成分からなるカプセル剤を製造した。
製剤方法は、コエンザイムQ10とビタミンEとグリセリン脂肪酸エステル他の成分を60℃程度に加温して混合することにより、製造することができる。これをソフトカプセルあるいはハードカプセルに充填する。
【0022】
【表1】

【0023】
表1に記載した成分を有するカプセル剤を、1日2カプセル、表2のようないずれも高度な音楽歴を有する11人に試用してもらい、その感想を聴取した。
【0024】
【表2】

【0025】
表2の結果をみると、高年齢になると効果発現までの日数が5日〜7日と長くかかるが、若い人では1日で効果が出てくる人もおり、いずれも「声が良く出るようになり、長時間歌えるようになった。」あるいは、「高音域が延びた。」等の感想が多く見られた。
【0026】
作用メカニズムは声帯を動かしている筋肉にエネルギーを与え、声帯を変化させて音の高低を調節し易くすることにある。
【0027】
コエンザイムQ10のみでも効果は認められるが、これにビタミンEを併用することで、その効果は顕著になると言える。コエンザイムQ10とビタミンEとの配合割合については、コエンザイムQ10 100重量部に対してビタミンEは10〜5000重量部が好ましい。特に好ましいのは、コエンザイムQ10 100重量部に対してビタミンEは50〜1000重量部である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コエンザイムQ10を主成分とする発声改良剤。
【請求項2】
コエンザイムQ10及びビタミンEを主成分とする発声改良剤。
【請求項3】
コエンザイムQ10を経口投与することを特徴とする発声改良法。
【請求項4】
コエンザイムQ10及びビタミンEを主成分とする製剤を経口投与することを特徴とする発声改良法。

【公開番号】特開2007−204436(P2007−204436A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−25924(P2006−25924)
【出願日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【出願人】(505253499)バイオ薬品株式会社 (2)
【Fターム(参考)】