説明

発射ハンドル

【課題】発光手段を備える発射ハンドルにおいて、発光による電飾効果を高めること。
【解決手段】発射ハンドル1は、リング10を透光性として、リング10の内側に発光ダイオード43を配した構成を採用しているので、遊技者によって回動操作されるリング10を発光させることができる。リング10には遊技者の指が掛けられるが指に隠れない部分も多いから、充分な電飾効果が得られる。また、発光ダイオード43が実装された第2基板42がリング10の内側に配されているので、発射ハンドル1の内部空間を有効に利用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機等の弾球遊技機の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機等の弾球遊技機では、発射装置にて遊技球を発射して遊技盤の遊技領域に打ち出し、その遊技球の遊技領域における挙動によって遊技が行われる。
発射装置による発射力の強弱は遊技者によって操作されるのが普通であり、そのための発射ハンドルが弾球遊技機に備わっている。
【0003】
特開2006−26444号公報(特許文献1)には、その発射ハンドルを電飾としても活用しようとする技術が提案されている。
【特許文献1】特開2006−26444号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の発射ハンドルは、遊技者の掌が押し当てられるキャップを半透明な合成樹脂製として、そのキャップ内に配した発光ダイオードの光でキャップを光らせる構成になっている。つまり、キャップが発光するものの、使用時にはキャップの大部分が遊技者の手に隠れてしまうので、電飾効果は低かった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発射ハンドルは、
発射装置を操作するために遊技者によって回動操作されるリングを備えて弾球遊技機に装着される発射ハンドルにおいて、
前記リングを透光性として、該リングの内側に発光ダイオードを配した構成を採用しているので、遊技者によって回動操作されるリングを発光させることができる。リングには遊技者の指が掛けられるが指に隠れない部分も多いから、充分な電飾効果が得られる。
【0006】
請求項2記載の発射ハンドルは、請求項1記載の発射ハンドルにおいて、前記発光ダイオードが実装された基板が、前記発光ダイオードが実装されている面を弾球遊技機の本体に向ける姿勢で、前記リングの内側に配されている構成を採用している。
【0007】
発光ダイオードが実装された基板がリングの内側に配されているので、発射ハンドルの内部空間を有効に利用できる。また、基板は、発光ダイオードが実装されている面を弾球遊技機の本体に向ける姿勢で配されているので、発光ダイオードからの光がリングの内側に照射されることになる。リングの内側に照射された光は、リングを透過してリングの外面から放射されるので、リングのほぼ全面を光らせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
次に、本発明の実施例等により発明の実施の形態を説明する。なお、本発明は下記の実施例等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲でさまざまに実施できることは言うまでもない。
[実施例]
図1に示すように、本実施例の発射ハンドル1は、基筒2、回動部3、キャップ4の3部分に大別できる。
【0009】
合成樹脂(例えばABS)の成形品である基筒2は、直管状の基部5と膨らみ形状のリング隣接部6とを連接した構造である。基部5のリング隣接部6とは反対側の端は開口しており、基部5の内部には軸受7が設けられている。リング隣接部6には、その外面に開口し内部に突出したビス通筒部8が立設されている。また、リング隣接部6にはストップスイッチ9が取り付けられている。
【0010】
回動部3は透光性の合成樹脂(例えばポリカーボネート)の成形品である。
回動部3にはリング10が備わっている。リング10の外周部には波状に凹凸した指掛け11が設けられている。リング10の内周部12は円筒状で、その内側は空洞になっている。
【0011】
また回動部3には、軸部13が備わっている。軸部13の外周部14は円筒状で、軸受7に摺動回転可能に挿通されている。円筒状の外周部14の内側には、補強部材を兼ねた一対のビス受15が設けられている。これらビス受15間は空洞であり、軸部13の内部には貫通孔16が形成されている。
【0012】
軸部13のリング10側の端部にはスポーク板17が連接されている。スポーク板17は、またリング10の内周部12とも連接されている。つまり、軸部13とリング10とがスポーク板17を介して一連になっており、軸部13を回転軸としてリング10を回すことができる。
【0013】
なお、スポーク板17にはビス通筒部8を通すための円弧状の穴18が設けられているので、およそ180度の範囲ではリング10を回してもスポーク板17とビス通筒部8とが接触しない。つまり、リング10の(回動部3の)回転範囲は、スポーク板17の円弧状の穴18とビス通筒部8とによって規定される。
【0014】
軸部13のスポーク板17に隣接した端部にはねじれコイルバネ19が装着されている。ねじれコイルバネ19の一端はスポーク板17に連結され、他端はリング隣接部6に連結されている。そして、ねじれコイルバネ19は、回動部3を図1(b)における反時計回り方向に付勢している。
【0015】
このため、回動部3の回転位置は、これを回動する外力が及ぼされていないときには、ねじれコイルバネ19の付勢力によって、上述のように規定される回転範囲の上記反時計回り方向の限度(以下、「原点」ともいう)にされる。
【0016】
従って、回動部3は、原点と上述のように規定される回転範囲の上記時計回り方向の限度(以下、「回転限度」ともいう)との間で時計回り、反時計回りに回動可能である。
軸部13の他方の端部にはハンドル側ギヤ20が取り付けられている。ハンドル側ギヤ20は合成樹脂の成形品で、略円筒状である。
【0017】
ハンドル側ギヤ20の内部にはビス止板21と補強板22とが設けられている。ハンドル側ギヤ20は、このビス止板21を貫通してビス受15に螺合したビス(図示せず)によって軸部13に連結されている。また、図示するようにビス受15と補強板22とが一連状になり、ハンドル側ギヤ20の内孔23と軸部13の貫通孔16とが連通する。
【0018】
ハンドル側ギヤ20の軸部13から離れた側の端部外周には、複数のギヤ歯24が設けられている。なお、ギヤ歯24が設けられているのは、ハンドル側ギヤ20の外周のおよそ半周にわたる範囲である。
【0019】
このハンドル側ギヤ20(ギヤ歯24)は、基部5の端部に切欠き状に設けられたギヤ用開放部25から外部に臨んでいる。そして、ギヤ歯24はギヤ用開放部25に入り込んでいるボリューム側ギヤ27と歯合する。このハンドル側ギヤ20とボリューム側ギヤ27との歯合は、回動部3が原点〜回転限度の範囲にある限りは維持される。
【0020】
ボリューム側ギヤ27は、図示しない弾球遊技機の本体部に取り付けられるボリュームユニット28の一部である。ボリューム側ギヤ27はボリューム29の軸29aに取り付けられている。ボリューム29は軸29aの回転量に応じて抵抗値が変化する周知の可変抵抗である。
【0021】
リング10を回すと軸部13と共にハンドル側ギヤ20が回り、それに応じてボリューム側ギヤ27が回るので、リング10を回すことでボリューム29の抵抗値が変化する。この変化が例えば電圧の変化として現れる回路を用いれば、リング10の回動量を電気信号に変換できる。
【0022】
キャップ4はリング10を挟んで基筒2とは反対側に位置する。
キャップ4の頂部は、不透明な合成樹脂(例えばABS)の成形品である第1殻体31にて構成され、台部は透光性の合成樹脂(例えばポリカーボネート)の成形品である第2殻体32にて構成されている。
【0023】
第1殻体31の内部にはボス33が立設されているものの、それ以外は空洞で、第1基板34を収容している。第1基板34にはチップタイプの発光ダイオード(LED)35が実装され、第1基板34はLED35が実装されている面を第2殻体32に向ける姿勢で配されている。
【0024】
第2殻体32の第1殻体31側の端部には仕切板36が設けられており、この端部は仕切板36によって閉鎖されている。第1基板34は、仕切板36に立設されたボスにビス止めされて、仕切板36すなわち第2殻体32に取り付けられている。
【0025】
第2殻体32の内側には、円錐台の側面を凹曲面にした形状のリフレクタ37が配されている。リフレクタ37の裾縁部38は、第2殻体32の仕切板36とは反対側の端部において、第2殻体32の外側に突出している。リフレクタ37は表面にクロムメッキされており、裾縁部38はタッチセンサの検出接点として機能する。
【0026】
LED35を点灯すると、その光はリフレクタ37の側面で反射されて第2殻体32に入射し、第2殻体32の外面から放射される。すなわち、LED35から放射された光がリフレクタ37によって効率よく第2殻体32に入射し、これを発光させる。
【0027】
リフレクタ37は、頂面39を仕切板36に当接させて、また裾縁部38の片面を第2殻体32の仕切板36とは反対側の端面に接触させており、頂面39を貫通してボス33に螺合したビス(図示せず)によって第1殻体31に連結されている。併せて第2殻体32も第1殻体31に連結されている。
【0028】
リフレクタ37の開放端部41は円筒状で、裾縁部38より突出してリング10の内側に進入している。
この開放端部41の内側には第2基板42が配されている。第2基板42にはチップタイプの発光ダイオード(LED)43が実装され、第2基板42はLED43が実装されている面を基筒2に向ける姿勢とされて、図示しないビスによりリフレクタ37に取り付けられている。LED43を点灯すると、その光は直接に、又は軸部13やスポーク板17等に反射されてリング10に入射し、リング10の外面から放射される。
【0029】
上述のように第1殻体31〜第2基板42が相互に連結されてキャップ4としてユニット化されている。
そして、そのキャップ4は、ビス通筒部8に通したビス(図示しない)にてリング隣接部6すなわち基筒2と連結されている。しかし、キャップ4はリング10(回動部3)とは連結されていないので、回動部3を回動できる。
【0030】
なお、図示は省略するが発射ハンドル1にはストップスイッチ9、第1基板34、第2基板42、裾縁部38(タッチセンサ)のための配線が備わっている。軸部13の貫通孔16及びハンドル側ギヤ20の内孔23とが連通して形成される空洞部分は、これらの配線の通路として使用される。
【0031】
実施例の発射ハンドル1は、リング10を回動操作されると、その回転変位がリング10、軸部13、ハンドル側ギヤ20、ボリューム側ギヤ27の経路でボリューム29に伝えられる。発射ハンドル1が装着された弾球遊技機では、リング10を回動操作に伴うボリューム29の抵抗値の変化を電気信号として取り出して、発射装置の発射力の調節に使用する。すなわち、発射装置を操作するために遊技者によって回動操作されるリング10を備えて弾球遊技機に装着される発射ハンドル1である。
【0032】
実施例の発射ハンドル1は、リング10を透光性として、リング10の内側に発光ダイオード43を配した構成を採用しているので、遊技者によって回動操作されるリング10を発光させることができる。リング10には遊技者の指が掛けられるが指に隠れない部分も多いから、充分な電飾効果が得られる。
【0033】
また発射ハンドル1は、発光ダイオード43が実装された第2基板42がリング10の内側に配されているので、発射ハンドル1の内部空間を有効に利用できる。しかも、第2基板42は、発光ダイオード43が実装されている面を弾球遊技機の本体に向ける姿勢で配されているので、発光ダイオード43からの光がリング10の内側に照射されることになる。リング10の内側に照射された光は、リング10を透過してリング10の外面から放射されるので、リング10のほぼ全面を光らせることができる。
【0034】
さらに、LED35を点灯させると、LED35から放射された光がリフレクタ37によって効率よく第2殻体32に入射し、これを発光させる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】実施例の発射ハンドルの平面図(a)、正面図(b)、A−A断面図(c)及び斜視図(d)。
【符号の説明】
【0036】
1・・・発射ハンドル、
2・・・基筒、
3・・・回動部、
4・・・キャップ、
5・・・基部、
6・・・リング隣接部、
7・・・軸受、
10・・・リング、
12・・・内周部、
13・・・軸部、
16・・・貫通孔、
17・・・スポーク板、
19・・・コイルバネ、
20・・・ハンドル側ギヤ、
23・・・内孔、
27・・・ボリューム側ギヤ、
28・・・ボリュームユニット、
31・・・第1殻体、
32・・・第2殻体、
34・・・第1基板、
37・・・リフレクタ、
41・・・開放端部、
42・・・第2基板、
43・・・発光ダイオード。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発射装置を操作するために遊技者によって回動操作されるリングを備えて弾球遊技機に装着される発射ハンドルにおいて、
前記リングを透光性として、
該リングの内側に発光ダイオードを配した
ことを特徴とする発射ハンドル。
【請求項2】
前記発光ダイオードが実装された基板が、前記発光ダイオードが実装されている面を弾球遊技機の本体に向ける姿勢で、前記リングの内側に配されている
ことを特徴とする請求項1記載の発射ハンドル。

【図1】
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