説明

発毛促進剤及びその製造方法

【課題】
頭部の毛髪の薄くなったところや禿げたところに、再び黒い毛髪が生えるよう発毛を促すことができる発毛促進剤及びその製造方法を提供する。
【解決手段】
発毛促進剤は、コノテガシワ、トウガラシ、センブリ及びアロエの成分を含むアルコール抽出液を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は発毛促進剤及びその製造方法に関する。更に詳しくは、例えば、頭部の毛髪の薄くなったところや禿げたところに、再び黒い毛髪が生えるよう発毛を促すことができるものに関する。
【背景技術】
【0002】
近年では年齢や性別に限らず、若い人や女性でも抜け毛や禿等、毛髪に関する悩みを持つ人が多い。そのため従来から種々の発毛促進剤なるものが開発され提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開昭57−171908号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来からある発毛促進剤は、毛髪を抜けにくくして抜け毛の減少を図るものが大半であり、再び黒い毛髪を生やすといった発毛自体を促すものではなかった。
【0004】
そこで本発明者は、頭部の毛髪の薄くなったところや禿げたところでも、再び黒い毛髪が生えるよう発毛を促すことができる発毛促進剤ができないものか研究を重ねた。そして、種々の試験を実施し、ある種の植物の抽出物(成分)を含んだアルコール抽出液を頭皮にかけ続けることにより、疎らではあるが再び黒い毛髪が生えるようになることを知見した。
本発明は当該知見に基づき完成されたものである。
【0005】
本発明の目的は、例えば、毛髪の薄くなったところや禿げたところに、再び黒い毛髪が生えるよう発毛を促すことができる発毛促進剤及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明が講じた手段は次のとおりである。
第1の発明にあっては、
コノテガシワ、トウガラシ、センブリ及びアロエの成分を含むアルコール抽出液を有することを特徴とする、
発毛促進剤である。
【0007】
第2の発明にあっては、
コノテガシワ、トウガラシ、センブリ及びアロエをアルコール液に所要期間漬け込んで、これらの成分を上記アルコール液に抽出する工程を含むことを特徴とする、
発毛促進剤の製造方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る発毛促進剤によれば、頭部の毛髪の薄くなったところや禿げたところでも、かけ続けることにより再び黒い毛髪が生えるよう発毛を促すことができる、または促すことが期待できる。
【0009】
更に、発毛促進剤は、アルコール液にコノテガシワ、トウガラシ、アロエ及びセンブリを所要期間漬け込んで、これらの成分を上記アルコール液に抽出するといった簡単な方法で製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明ではアルコール液として、エチルアルコールを主成分とする工業用アルコールや飲料用アルコールが好適に使用できる。アルコール液の度数は、特に限定するものではないが、度数が高くなると皮膚に悪影響を及ぼす可能性が高くなるので、50度以下に設定したものが望ましい。
【0011】
本発明に係る発毛促進剤は、アルコール抽出液単独でつくることもできるし、それ以外に増量剤を加えてつくることもできる。
【0012】
本発明に係る発毛促進剤は、コノテガシワ、トウガラシ、センブリ及びアロエの成分を含むが、それ以外の成分を含むこともある。
【0013】
コノテガシワには、ツエン、ツヨン、フェンコン、ピネン、カリオフィレン、フラボノイド類(アロマデンドリン、クェルセチン、ミリセチン、ヒノキフラボン、アメントフラボン等)、タンニン、樹脂、ビタミンC等が含まれていることが知られている。センブリには、セコイリドイ配糖体、スウェルチアマリン、アマロスエリン、チオピクロサイド糖の苦味配糖体が含まれていることが知られている。アロエには、人体内では作ることのできない必須アミノ酸(アルギニン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、ロシン、メチオニン、フェニルアラニン、トレオニン、トリプトファン)、アミノ酸、アントロン配糖体、アントラキシン等が含まれている。
本発明に係る発毛促進剤が発毛を促すメカニズムは明らかではないが、これらの成分が抽出され単独でまたは複合して発毛促進になんらかの影響・効果を促しているものと考えられる。
【0014】
コノテガシワ、トウガラシ、センブリやアロエは、粉の状態でアルコール液に漬け込むこともできるし、原形の状態で漬け込んでも良い。
【実施例】
【0015】
常温のエタノール1000ml(アルコール度数43度)に、乾燥させたコノテガシワ125g、乾燥させた粉状のトウガラシ5.0g、乾燥させた粉状のアロエ160g及び乾燥させたセンブリ5.0gを漬け込み、冷暗所にて約二週間放置して当該材料に含まれる成分をエタノールに抽出した。漬け込んだ材料は、濾紙で濾過し、残ったアルコール抽出液を目的とする発毛促進剤とした。
【0016】
(試験例)
上記の手順で製造した発毛促進剤を使用し、次のような発毛試験を行った。
発毛促進剤を朝、昼、夜の一日に三回、頭皮に擦り込むように付け、その後頭皮をよくマッサージするようにして使用してもらった。そして、経過を10日ごとに観察し、60日間続けてもらった。
被験者は、年齢も性別もばらばらの男女計5人である。
【0017】
[試験例1 38歳、男性]
試験前の状態:家系的にも禿げで自分も抜け毛が多く頭頂部のあたりが薄い。
試験開始から10日目 目視 変化なし
長さ 変化なし
色 変化なし
試験開始から20日目 目視 ふけ、抜け毛が少なくなった。
長さ 変化なし
色 変化なし
試験開始から30日目 目視 細かった毛髪が少し太くなってきた。
長さ 変化なし
色 黒くなってきた。
試験開始から40日目 目視 頭頂部あたりが増えてきた。
長さ 2〜3mm
色 黒くなってきた。
試験開始から50日目 目視 頭頂部あたり気にならなくなる。
長さ 2〜3mm
色 黒くなってきた。
試験開始から60日目 目視 毛髪自体、元気になる。
長さ 2〜3mm
色 黒くなってきた
感想:ふけ、抜け毛が多かったが使用し始めて止まった。
効果の有無:効果有り。
【0018】
[試験例2 65歳、男性]
試験前の状態:50歳を過ぎたところで頭頂部が薄くなり、60歳を過ぎて中央が禿げた。
試験開始から10日目 目視 変化なし
長さ 変化なし
色 変化なし
試験開始から20日目 目視 ふけ、抜け毛が少なくなった。
長さ 変化なし
色 変化なし
試験開始から30日目 目視 僅かに産毛が生えてきた。つるつるががさがさに感じ る。
長さ 変化なし
色 変化なし
試験開始から40日目 目視 産毛が生えてきた。
長さ 1〜2mm
色 白っぽい。
試験開始から50日目 目視 白い産毛の中に黒い毛が混じるようになった。
長さ 2〜3mm
色 白っぽい中に僅かに黒がある。
試験開始から60日目 目視 白い産毛の中に黒い毛が混じるようになった。
長さ 2〜3mm
色 白っぽい中に僅かに黒がある。
感想:ふけが多かったが使用し始めて止まった。頭皮の表面がつるつるからがさがさに変わった。
効果の有無:効果有り。
【0019】
[試験例3 57歳、女性]
試験前の状態:全体的に毛髪はあるが、最近、後頭部の方が薄くなり気になりだした。
試験開始から10日目 目視 変化なし
長さ 変化なし
色 変化なし
試験開始から20日目 目視 枝毛や切れ毛が少なくなった。
長さ 変化なし
色 変化なし
試験開始から30日目 目視 色艶がでてきた。
長さ 変化なし
色 黒くなってきた。
試験開始から40日目 目視 後頭部のほうが目立たなくなった。
長さ 変化なし
色 黒くなってきた。
試験開始から50日目 目視 ボリュームが出てきた。
長さ 変化なし
色 黒くなってきた。
試験開始から60日目 目視 ボリュームが出てきた。
長さ 変化なし
色 黒くなってきた。
感想:全体的にボリューム感が出てきて、後頭部の方が気にならなくなった。
効果の有無:効果有り。
【0020】
[試験例4 68歳、男性]
試験前の状態:35年ほど前から前頭部から後頭部にかけて全く毛髪がない状態。
試験開始から10日目 目視 変化なし
長さ 変化なし
色 変化なし
試験開始から20日目 目視 頭皮が柔らかくなってきた感じがする。
長さ 変化なし
色 変化なし
試験開始から30日目 目視 頭皮が柔らかくなってきた感じがする。
長さ 変化なし
色 変化なし
試験開始から40日目 目視 少し産毛が生えた。
長さ 変化なし
色 白っぽい。
試験開始から50日目 目視 産毛が生えた。
長さ 1mm程度。
色 白っぽい。
試験開始から60日目 目視 全体的に産毛が生えた。
長さ 1〜2mm程度。
色 茶色っぽい感じ。
感想:全く禿げていた状態から、全体的に産毛が生えた状態になった。
効果の有無:効果有り。
【0021】
[試験例5 52歳、男性]
試験前の状態:30年ほど前から前頭部から頭頂部にかけて毛髪がない状態。
試験開始から10日目 目視 変化なし
長さ 変化なし
色 変化なし
試験開始から20日目 目視 ふけ、抜け毛が少なくなってきた。
長さ 変化なし
色 変化なし
試験開始から30日目 目視 少し産毛が生えてきた。
長さ 1mm程度。
色 白っぽい。
試験開始から40日目 目視 産毛が生えてきた。
長さ 3mm程度。
色 白っぽい。
試験開始から50日目 目視 産毛のなかに黒いものが混ざるようになった。
長さ 2〜3mm程度。
色 白っぽいなかにやや黒がある。
試験開始から60日目 目視 産毛のなかに黒いものが混ざる。
長さ 2〜3mm程度。
色 白っぽいなかにやや黒がある。
感想:ふけが多かったのが、つけだして止まった。
効果の有無:効果有り。
【0022】
[考察]
いずれの被験者の場合も20日目あたりから毛髪にボリュームが出てきたり、産毛が生えてきたりといった変化を体感している。実施例で示す発毛促進剤の使用でどのように発毛が促進されたかといったメカニズムは明らかではないが、発毛促進剤の効果ははっきりとみられ、更にこの発毛促進剤には、ふけや抜け毛の防止効果もあることが分かった。
【0023】
本明細書で使用している用語と表現は、あくまでも説明上のものであって、なんら限定的なものではなく、本明細書に記述された特徴およびその一部と等価の用語や表現を除外する意図はない。また、本発明の技術思想の範囲内で、種々の変形態様が可能であるということは言うまでもない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コノテガシワ、トウガラシ、センブリ及びアロエの成分を含むアルコール抽出液を有することを特徴とする、
発毛促進剤。
【請求項2】
コノテガシワ、トウガラシ、センブリ及びアロエをアルコール液に所要期間漬け込んで、これらの成分を上記アルコール液に抽出する工程を含むことを特徴とする、
発毛促進剤の製造方法。

【公開番号】特開2006−45069(P2006−45069A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−224381(P2004−224381)
【出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【出願人】(504292370)有限会社リンドウ (1)
【Fターム(参考)】