発泡ロール及びその製造方法、プロセスカートリッジ、並びに、画像形成装置
【課題】発泡体の歪み及び位置ずれを防止できる発泡ロールを提供すること。
【解決手段】複数のセル3を有する円柱状の発泡体2と、発泡体2の軸方向において発泡体2を貫通する中空部に発泡体2の一端から他端にわたって挿入され、発泡体2と接触する導電性の芯体1と、を備え、芯体1が中空部に挿入される前の発泡体2の中空部側表面において、発泡体2の軸方向の全長に対して発泡体2の端部からの距離が5%以内である領域では、中空部側表面に位置するセル3の平均径Dと芯体1の表面粗さRaとの比D/Raが100以上400以下であることを特徴とする発泡ロール。
【解決手段】複数のセル3を有する円柱状の発泡体2と、発泡体2の軸方向において発泡体2を貫通する中空部に発泡体2の一端から他端にわたって挿入され、発泡体2と接触する導電性の芯体1と、を備え、芯体1が中空部に挿入される前の発泡体2の中空部側表面において、発泡体2の軸方向の全長に対して発泡体2の端部からの距離が5%以内である領域では、中空部側表面に位置するセル3の平均径Dと芯体1の表面粗さRaとの比D/Raが100以上400以下であることを特徴とする発泡ロール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡ロール及びその製造方法、プロセスカートリッジ、並びに、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を利用した画像形成装置では、像担持体である光導電性感光体上に一様な電荷を形成し、画像信号を変調したレーザー光等により静電潜像を形成した後、帯電したトナーで上記静電潜像を現像して可視化したトナー像とする。そして、このトナー像を、中間転写体を介して或いは直接記録媒体に静電的に転写することにより、所望の転写画像を得ることができる。
【0003】
このような画像形成装置の一例としては、像担持体に形成したトナー像を中間転写体に一次転写し、さらに中間転写体上のトナー像を記録紙に二次転写するバイアスロール方式を採用した画像形成装置が知られている。この画像形成装置では、導電性または半導電性の転写ロールを用いて中間転写体に記録紙を押圧し、電界を印加してトナー像を記録紙へ静電的に転写する。
【0004】
転写ロールとしては、一般的に円柱状の金属製の芯体(シャフト)と、この芯体の周囲に同心円状に形成された発泡体(発泡層)とを備える導電性又は半導電性の発泡ロールが挙げられる(例えば、特許文献1又は2参照)。
【特許文献1】特開平6−249234号公報
【特許文献2】特開2003−247533号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、発泡体の歪み及び位置ずれを防止できる発泡ロール、発泡ロールの製造方法、発泡ロールを備えるプロセスカートリッジ、及び発泡ロールを備える画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、複数のセルを有する円柱状の発泡体と、発泡体の軸方向において発泡体を貫通する中空部に発泡体の一端から他端にわたって挿入され、発泡体と接触する導電性の芯体と、を備え、芯体が中空部に挿入される前の発泡体の中空部側表面において、発泡体の軸方向の全長に対して発泡体の端部からの距離が5%以内である領域では、中空部側表面に位置するセルの平均径Dと芯体の表面粗さRa(算術平均粗さ)との比D/Raが100以上400以下であることを特徴とする発泡ロールにある。
【0007】
請求項2に記載の発明は、芯体の表面粗さRaが0.5以上2.5以下であることを特徴とする、請求項1に記載の発泡ロールにある。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発泡ロールを転写ロールとして備えることを特徴とする画像形成装置用のプロセスカートリッジにある。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1または2に記載の発泡ロールを転写ロールとして備えることを特徴とする画像形成装置にある。
【0010】
請求項5に記載の発明は、転写ベルト又は被転写媒体の少なくともいずれかを介して転写ロールに当接する対向ロール、を備え、対向ロールが当接された転写ロールの表面の転写ロールの軸側への食い込み量が0.6mm以上1mm以下であることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置にある。
【0011】
請求項6に記載の発明は、転写ロールが二次転写ロールであることを特徴とする請求項4または5に記載の画像形成装置にある。
【0012】
請求項7に記載の発明は、複数のセルを有する円柱状の発泡体の軸方向において発泡体を貫通する中空部に、導電性の芯体を発泡体の一端から他端にわたって圧入し、芯体を発泡体に接触させる工程を備え、芯体が中空部に圧入される前の発泡体の中空部側表面において、発泡体の軸方向の全長に対して発泡体の端部からの距離が5%以内である領域では、中空部側表面に位置するセルの平均径Dと芯体の表面粗さRaとの比D/Raを100以上400以下とすることを特徴とする発泡ロールの製造方法にある。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明は、本構成を有していない場合と比較して、発泡体の歪み及び位置ずれを防止できるという効果を有する。
【0014】
請求項2に記載の発明は、発泡体の歪み及び位置ずれを防止できるという請求項1に記載の発明による効果を有効に実現できるものである。
【0015】
請求項3に記載の発明は、発泡体の歪み及び位置ずれを防止できるという請求項1または2に記載の発明による効果に加えて、本構成を有していない場合と比較して転写画像の画質不良を防止できるという効果を有する。
【0016】
請求項4に記載の発明は、発泡体の歪み及び位置ずれを防止できるという請求項1または2に記載の発明による効果に加えて、本構成を有していない場合と比較して転写画像の画質不良を防止できるという効果を有する。
【0017】
請求項5に記載の発明は、発泡体の歪み及び位置ずれを防止できるという請求項1または2に記載の発明による効果を有するのみならず、転写画像の画質不良を防止できるという請求項4に記載の発明による効果を有効に実現できるものである。
【0018】
請求項6に記載の発明は、発泡体の歪み及び位置ずれを防止できるという請求項1または2に記載の発明による効果を有するのみならず、転写画像の画質不良を防止できるという請求項4又は5に記載の発明による効果を有効に実現できると共に、本構成を有していない場合と比較して被転写媒体の転写ロールへの巻き付きを防止できるという効果を有する。
【0019】
請求項7に記載の発明は、上記本発明の発泡ロールを製造するための製造方法を提供するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0021】
(発泡ロール)
図1(a)、図1(b)は、本発明の発泡ロールの好適な一実施形態を示す模式断面図である。図2(a)は、図1(b)に示す発泡ロール10をX−X線に沿って切断した断面の模式図である。図1(b)、図2(a)に示す発泡ロール10は、内部に複数のセル(泡)3が形成された円柱状の発泡体2と、導電性の芯体1とを有している。芯体1は、発泡体2の軸方向において発泡体2を貫通する円柱状の中空部に発泡体2の一端から他端にわたって挿入されている。また、芯体1と発泡体2とは、それらの間に接着剤層等を介することなく、直に接触している。
【0022】
芯体1が発泡体2の中空部に挿入される前の発泡体2の中空部側表面において、発泡体の軸方向の全長Lに対して発泡体2の端部からの距離が5%以内(0.05×L以内)である端部領域aでは、中空部側表面に位置するセル3の平均径Dと芯体1の表面粗さRaとの比D/Raが100以上400以下であり、好ましくは150以上350以下である。これにより、発泡体2の歪み及び位置ずれを防止することができると共に、芯体1と発泡体2との間に接着剤層を介在させることなく、両者を互いに固定することができる。
【0023】
比D/Raが100より小さい場合、発泡体2の中空部側表面(内周面)と芯体1との接触面積が大きくなるため、発泡体2の中空部に芯体1を挿入する際に発泡体2の中空部側表面と芯体1との摩擦力が大きくなり、発泡体2に歪みが発生し易く、例えば、発泡ロール10の軸方向に垂直な断面の真円度が変化する傾向がある。芯金の挿入によって生じた歪みが発泡体2に残った状態で発泡ロール10を使用すると、使用中に歪みが開放されて発泡体2が変形し易くなる。一方、比D/Raが400より大きい場合、発泡体2と芯体1との密着性が低下するため、発泡ロール10の使用中に発泡体2が所望の位置から芯体1の軸方向へずれ易くなる。
【0024】
なお、芯体1が発泡体2の中空部に挿入される前の端部領域aにおけるセル3の平均径Dは、例えば、発泡体2をその軸方向に沿って切断した断面を、写真撮影部分を備える光学顕微鏡で観察することにより測定できる。なお、平均径Dの測定倍率は、例えば、接眼10倍×対物20倍とし、測定環境は、22℃55%RHとすればよい。また、測定では、切断した発泡体2の端部領域aにおいて中空部に最も近い部分に位置するセル3の断面をランダムに例えば複数観察し、個々のセル3の断面の最大内径を測定し、その平均値をセル3の平均径Dとすればよい。このような平均径Dの測定に実際に用いる顕微鏡像を図2(b)に示す。図2(b)は、芯体1が中空部に挿入される前の発泡体2の端部領域aを発泡体2の軸方向に対して垂直に切断して得た断面の顕微鏡像Ybであり、顕微鏡像Ybは、図2(a)に示す発泡ロール10の断面における中空部側領域Yaに対応する。
【0025】
芯体1の表面粗さRaは、公知の表面粗さ計を用いて測定すればよい。
【0026】
芯体1の表面粗さRaは0.5μm以上2.5μm以下であることが好ましく、0.8μm以上2.0μm以下であることがより好ましい。表面粗さRaが0.5μmより小さい場合、発泡体2の中空部側表面(内周面)と芯体1との接触面積がより大きくなるため、発泡体2の中空部に芯体1を挿入する際に発泡体2の中空部側表面と芯体1との摩擦力がより大きくなり、発泡体2に歪みがより発生し易くなる。また、表面粗さRaが2.5μmより大きくなると、発泡体2と芯体1との密着性がより低下するため、発泡ロール10の使用中に発泡体2が所望の位置から芯体1の軸方向へよりずれ易くなる。
【0027】
発泡体2内に形成された複数のセル3の大きさは、D/Raが100以上400以下であれば特に限定されないが、発泡体2内に形成された複数のセル3のうち、発泡体の外表面側(外周面側)に位置するセル3の径は、芯体1側(中空部側)に位置するセルの径より大きいことが好ましい。すなわち、セル3の位置が発泡体2外表面側に近いほど、セル3の径が大きくなることが好ましい。発泡体2の外表面側に位置するセルの径が大きい発泡ロール10を画像形成装置に装備させた場合、トナー像を記録媒体に転写する機能と、トナーを掻き取り、逆バイアスの印加によって中間転写体に転移させるためのクリーニングの機能との両機能を発泡ロール10に付与することができる。ただし、径の大き過ぎるセル3が発泡体2全体に存在すると、芯体1と発泡体2との密着性が低下する傾向がある。なお、図1(a)に示すように、発泡体2内に形成された複数のセル3の大きさが均一であってもよい。
【0028】
発泡体2の中空部の内径は、芯体1の外径に比べて5%から15%程度小さいことが好ましく、10%程度小さいことがより好ましい。これにより、発泡体2の歪み及び位置ずれを防止し易くなる。
【0029】
以下、本実施形態の発泡ロールを構成する各要素について説明する。
【0030】
芯体1(シャフト)は、発泡ロール10の電極及び支持部材として機能する円柱状の部材であり、例えば、アルミニウム、鉄、銅合金、ステンレス鋼等の金属又は合金、これらの金属をクロム、ニッケル等で鍍金処理を施したもの、又は導電性の樹脂などの導電性の材質で構成される。なお、芯体1の外径は、5mm以上20mm以下であることが好ましい。
【0031】
発泡体2は、例えば、ゴム材等を発泡させた発泡材で構成される。ゴム材等を発泡させることによって、発泡体2の硬度が低くなる。また、ゴム材に後述する導電剤及び発泡剤を添加して、半導電性の発泡体2を形成することにより、発泡体2の電気抵抗の環境依存性を小さくすることができる。
【0032】
発泡体2を構成するゴム材としては、例えば、エピクロルヒドリンゴム、ポリウレタンゴム、ニトリルゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシドゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、スチレン−ブタジエンゴム(SB)、塩素化ポリイソプレン、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム、水素化ポリブタジエン、ブチルゴム、シリコーンゴム等、又はこれらの2種以上をブレンドしてなる材料が挙げられる。これらの中でも、ウレタンゴム、ニトリルゴム、エピクロルヒドリン(ECO)ゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)が好ましい。特に、エピクロルヒドリンを主成分とする合成ゴムは、ゴム自体がある程度の通電性(イオン導電性)を有しているため、発泡ロールに添加される導電剤の添加量が少量で済み、さらに各種ロール毎に要求される電気抵抗(抵抗値)を比較的容易に調整することができることから好ましい。
【0033】
発泡体2中には、必要に応じて、電子伝導性導電剤、イオン伝導性導電剤、又は導電性ポリマーを含有、分散させてもよい。また、これらを2種以上組み合わせて発泡体2中に含有、分散してもよい。これにより、発泡体2の抵抗を調整でき、安定した所望の電気抵抗値を得ることができる。
【0034】
電子伝導性導電剤としては、カーボンブラック、グラファイト、アルミニウム、ニッケル、銅合金などの金属または合金、酸化錫、酸化亜鉛、チタン酸カリム、酸化錫−酸化インジウムまたは酸化錫−酸化アンチモン複合酸化物などの金属酸化物などが挙げられる。
【0035】
イオン伝導性導電剤としては、スルホン酸塩やアンモニア塩など、また、カチオン系、アニオン系、ノニオン系などの各種の界面活性剤が挙げられる。
【0036】
導電性ポリマーとしては、例えば、カルボキシル基に4級アンモニウム塩基を結合する(メタ)アクリレートとの各種(例えばスチレン)共重合体、4級アンモニウム塩基と結合するマレイミドとメタアクリレートとの共重合体等の4級アンモニウム塩基を結合するポリマー、ポリスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸のアルカリ金属塩を結合するポリマー、分子鎖中に少なくともアルキルオキシドの親水性ユニットを結合するポリマー、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール系ポリアミド共重合体、ポリエチレンオキシド−エピクロルヒドリン共重合体、ポリエーテルアミドイミド、ポリエーテルを主セグメントとするブロック型のポリマー、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリフェニレンビニレンが挙げられる。これらの導電性ポリマーは、脱ドープ状態、またはドープ状態で用いることができる。
【0037】
発泡体2中の導電剤の含有量は、特に制限はないが、ゴム材100質量部に対して、好ましくは5〜50質量部、より好ましくは10〜30質量部とする。導電剤の含有量が5質量部未満である場合、発泡体2の所望の電気抵抗を安定して得ることができない傾向がある。導電剤の含有量が50質量部を超える場合、発泡体2の所望の電気抵抗、ロール硬度を安定して得ることができない傾向がある。発泡体2を構成するゴム材中に導電剤を分散させる方法としては、加圧ニーダー、バンバリーミキサー、2本ロール、3本ロール等の方法を適用できる。
【0038】
なお、発泡体2には、ゴム材や導電剤の他に、加硫に必要となる発泡剤や、難燃剤、劣化防止剤、整泡剤、各種充填剤等を添加してもよい。発泡剤としては、例えば、ベンゼンスルホニルヒドラジド、アゾジカルボンアミド、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミンやこれらの混合物等が用いられる。難燃剤としては、例えば、トリスクロロエチルホスフェート、トリスクロロプロピルホスフェート等のリン酸エステル系化合物等を用いることができる。劣化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤等の酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤等の紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系等の光安定剤などを用いることができる。整泡剤としては、ジメチルシリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル等のシリコーン系界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤などが用いられる。
【0039】
発泡体2の体積抵抗率は、通常、1×1014Ω・cm以下であることが好ましく、1×104〜1×1012Ω・cmであることがより好ましい。
【0040】
発泡体2の厚み(発泡体2の中空部側表面と外周面との間の幅)は、1mm以上20mm以下であることが好ましく、2mm以上10mm以下であることがより好ましい。発泡体2の厚みが1mm未満である場合、ニップ部におけるニップ圧での変形が少なくなり、安定したニップを形成できない傾向がある。発泡体2の厚みが20mmを超える場合、発泡ロール10の外径が40mmより大きくなるために、発泡ロール10を装備する画像形成装置のサイズが大きくなり、画像形成装置のコストが増加する傾向がある。
【0041】
発泡ロール10は、発泡体2の表面にコート層(表面層)を更に有していてもよい。
【0042】
コート層を構成する材料としては、特に制限されないが、ブリードやブルームを防止する観点から、高分子材料を用いることが好ましい。コート層を構成する高分子材料としては、例えば、ポリアミド、ポリウレタン、ポリフッ化ビニリデン、4フッ化エチレン共重合体、ポリエステル、ポリイミド、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体、メラミン樹脂、フッ素ゴム、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、セルロース、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体等を挙げることができる。これらの高分子材料は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0043】
(発泡ロールの製造方法)
次に、本実施形態の発泡ロール10の製造方法について説明する。本実施形態の発泡ロール10の製造方法は、上述の発泡体2を貫通する中空部に、芯体1を発泡体2の一端から他端にわたって圧入し、芯体1を発泡体2に接触させる工程を備える。また、芯体1が発泡体2の中空部に圧入される前の発泡体2の中空部側表面において、発泡体2の端部領域aでは、中空部側表面に位置するセル3の平均径Dと芯体1の表面粗さRaとの比D/Raを100以上400以下とする。すなわち、発泡体2の端部領域aの中空部側表面に位置するセル3の平均径Dと芯体1の表面粗さRaとの比D/Raを100以上400以下とした後に、発泡体2を貫通する中空部に、芯体1を発泡体2の一端から他端にわたって圧入することによって、発泡ロール10が完成する。
【0044】
従来の発泡ロールの製造方法においては、発泡体の中空部に芯体を圧入する際に、発泡体と芯体との間に作用する摩擦力によって発泡体に歪みが生じ、例えば、発泡ロール断面の真円度が変わる傾向があった。発泡体の中空部に芯体を圧入した後も発泡体の歪みが残存すると、発泡ロールの使用中に、発泡ロールに作用する荷重によって発泡体の歪みが開放され、ロールが変形する恐れがあった。
【0045】
一方、本実施形態の発泡ロールの製造方法においては、発泡体2の端部領域aと接触する芯体1表面を粗く加工し、且つ発泡体2の端部領域aの中空部側表面に位置するセル3の平均径Dを調整して、比D/Raを100以上400以下とすることによって、芯体1を発泡体2の中空部に圧入する際の摩擦力を低減し、発泡体2に歪みが残存することを防止できる。
【0046】
発泡体2は、上述したゴム材料、導電剤及び発泡剤等を含む混合物を、押出し機等を用いてチューブ状に押出し成形することで作製することができる。なお、芯体1が中空部に圧入される前の発泡体2における端部領域aの中空部側表面に位置するセル3の平均径Dは、発泡体2を形成するためのゴム材及び発泡剤等の種類、及び発泡剤の添加量等によって所望の値に調整することができる。
【0047】
芯体1の表面粗さRaは、例えば、必要に応じて研磨等の処理を施した金属ロール(芯体1の材料)に対して、ショットブラスト、サンドブラスト、液体ブラスト等のブラスト処理等を更に施すことにより、容易かつ確実に実現することができる。
【0048】
(画像形成装置)
次に、本発明の転写ロールを搭載した画像形成装置について説明する。
【0049】
本発明の画像形成装置は、被帯電体である電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電させるための帯電手段と、帯電した上記電子写真感光体に静電潜像を形成するための露光手段と、上記静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成するための現像手段と、上記トナー像を上記電子写真感光体から被転写体に転写するための転写ロールとして、上記本実施形態の発泡ロール10を有する転写手段と、を備えることを特徴とするものである。
【0050】
まず、本発明の画像形成装置に用いられる電子写真感光体について説明する。図3〜7は、それぞれ電子写真感光体の好適な一例を示す模式断面図であり、電子写真感光体を基体及び感光層の積層方向に対して垂直な平面で切断したものである。図3〜7に示した電子写真感光体はいずれも機能分離型感光体であり、各感光体が備える感光層36には、電荷発生材料を含有する電荷発生層31と電荷輸送材料を含有する電荷輸送層32とが別個に設けられている。一方、図7に示した電子写真感光体は単層型感光体であり、電荷発生材料及び電荷輸送材料の双方を含有する単層型感光層38が設けられている。
【0051】
より詳しくは、図3に示した電子写真感光体100においては、導電性基体33上に電荷発生層31及び電荷輸送層32がこの順で積層されてなる感光層36が形成されている。図4に示した電子写真感光体110においては、導電性基体33上に下引層34と、電荷発生層31及び電荷輸送層32がこの順で積層されてなる感光層36とが順次形成されている。図5に示した電子写真感光体120においては、導電性基体33上に下引層34と、電荷発生層31及び電荷輸送層32がこの順で積層されてなる感光層36と、保護層35とが順次形成されている。図6に示した電子写真感光体130においては、導電性基体33上に下引層34と、中間層7と、電荷発生層31及び電荷輸送層32がこの順で積層されてなる感光層36と、保護層35とが順次形成されている。図7に示した電子写真感光体140においては、導電性基体33上に単層型感光層38が形成されている。以下、電子写真感光体を構成する各層について、主に図6に示した電子写真感光体130に基づいて説明する。
【0052】
導電性基体33は特に限定されるものはなく、例えば、アルミニウム、銅、鉄、亜鉛、ニッケル等の金属製ドラム;ポリマー製シート、紙、プラスチック、又はガラス上に、アルミニウム、銅、金、銀、白金、パラジウム、チタン、ニッケル−クロム、ステンレス鋼、銅−インジウム等の金属を蒸着することによって導電処理したドラム状、シート状又はプレート状の基体;ポリマー製シート、紙、プラスチック又はガラス上に、酸化インジウム、酸化錫などの導電性金属化合物を蒸着するか、又は金属箔をラミネートすることによって導電処理したドラム状、シート状又はプレート状の基体;カーボンブラック、酸化インジウム、酸化錫−酸化アンチモン粉、金属粉、沃化銅等をバインダー樹脂に分散し、ポリマー製シート、紙、プラスチック、又はガラス上に塗布することによって導電処理したドラム状、シート状、プレート状の基体などが挙げられる。
【0053】
ここで、金属製ドラムを導電性基体33として用いる場合、その外周面(感光層36が形成される側の面)は素管のままであってもよいが、予め鏡面切削、エッチング、陽極酸化、粗切削、センタレス研削、サンドブラスト、ウエットホーニング、着色処理などの処理を行うことが好ましい。感光層36が形成される側の面を表面処理により粗面化することで、レーザービームのような可干渉光源を用いた場合に発生しうる感光体内での干渉光による木目状の濃度斑を防止することができる。
【0054】
下引層34は、感光層36の帯電時において、導電性基体33から感光層36への電荷の注入を阻止する機能を有する。また、この下引層34は、感光層36を導電性支持体層3に対して一体的に接着保持せしめる接着層としても機能する。更に、この下引層34は、導電性基体33の光反射を防止する機能を有する。
【0055】
下引層34に用いられる材料としては、ジルコニウムキレート化合物、ジルコニウムアルコキシド化合物、ジルコニウムカップリング剤等の有機ジルコニウム化合物;チタンキレート化合物、チタンアルコキシド化合物、チタネートカップリング剤等の有機チタン化合物;アルミニウムキレート化合物、アルミニウムカップリング剤などの有機アルミニウム化合物;アンチモンアルコキシド化合物;ゲルマニウムアルコキシド化合物;インジウムアルコキシド化合物、インジウムキレート化合物等の有機インジウム化合物;マンガンアルコキシド化合物、マンガンキレート化合物等の有機マンガン化合物;スズアルコキシド化合物、スズキレート化合物等の有機スズ化合物;アルミニウムシリコンアルコキシド化合物;アルミニウムチタンアルコキシド化合物;アルミニウムジルコニウムアルコキシド化合物、などの有機金属化合物が挙げられる。これらの中でも、有機ジルコニウム化合物、有機チタン化合物、有機アルミニウム化合物は、残留電位が低く良好な電子写真特性を示すため、好ましく使用される。
【0056】
また、下引層34には、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス−2−メトキシエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−2−アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプロプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、β−3,4−エポキシシクロヘキシルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤を含有させて使用することができる。さらに、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレノキシド、エチルセルロース、メチルセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、ポリアミド、ポリイミド、カゼイン、ゼラチン、ポリエチレン、ポリエステル、フェノール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エポキシ樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジン、ポリウレタン、ポリグルタミン酸、ポリアクリル酸等の公知の結着樹脂を用いることもできる。これらの混合割合は、必要に応じて適宜設定することができる。
【0057】
下引層34中には、金属酸化物微粒子を添加することができる。金属酸化物微粒子としては、所望の電子写真感光体特性が得られるものであれば、公知の金属酸化物より任意に選択できるが、酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛から選ばれる1種以上の金属酸化物の微粒子が好ましく用いられる。また、これらの金属酸化物微粒子は、少なくとも1種以上のカップリング剤で被覆されていることがより好ましく、カップリング剤としてはシランカップリング剤が好ましい。
【0058】
また、下引層34中には、電子輸送性顔料を混合/分散して使用することもできる。電子輸送性顔料としては、ペリレン顔料、ビスベンズイミダゾールペリレン顔料、多環キノン顔料、インジゴ顔料、キナクリドン顔料等の有機顔料、また、シアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、ハロゲン原子等の電子吸引性の置換基を有するビスアゾ顔料やフタロシアニン顔料等の有機顔料、酸化亜鉛、酸化チタン等の無機顔料が挙げられる。これらの顔料の中ではペリレン顔料、ビスベンズイミダゾールペリレン顔料と多環キノン顔料、酸化亜鉛、酸化チタンが、電子移動性が高いので好ましく使用される。また、これらの顔料の表面は、分散性、電荷輸送性を制御する目的で上記カップリング剤や、バインダーなどで表面処理しても良い。電子輸送性顔料は多すぎると下引層34の強度が低下し、塗膜欠陥を生じるため、下引層34全量を基準として95質量%以下、好ましくは90質量%以下で使用される。
【0059】
下引層34は、アクセプター性化合物を付与した金属酸化物微粒子を含有させて形成することもできる。アクセプター性化合物としては所望の特性が得られるものならばいかなるものでも使用可能であるが、特にキノン基を有する化合物が好ましく用いられる。更に、アントラキノン構造を有するアクセプター性化合物がより好ましく用いられる。アントラキノン構造を有するアクセプター性化合物としては、アントラキノンのほか、ヒドロキシアントラキノン系化合物、アミノアントラキノン系化合物、アミノヒドロキシアントラキノン系化合物などが挙げられ、いずれも好ましく用いることができる。より具体的には、アントラキノン、アリザリン、キニザリン、アントラルフィン、プルプリンなどが特に好ましく用いられる。
【0060】
これらのアクセプター性化合物の付与量は所望の特性が得られる範囲であれば任意に設定できるが、好ましくは金属酸化物100質量部に対して0.01〜20質量部、より好ましくは0.05〜10質量部付与される。付与量が0.01質量部未満では下引層34内の電荷蓄積改善に寄与するだけの十分なアクセプター性を付与できないため、繰り返し使用時に残留電位の上昇など維持性の悪化を招きやすい傾向がある。また、20質量部を超えると金属酸化物同士の凝集を引き起こしやすく、下引層34の形成時に下引層34内で金属酸化物が良好な導電路を形成することが困難となり、繰り返し使用時に残留電位の上昇など維持性の悪化を招きやすくなるだけでなく、黒点などの画質欠陥も引き起こしやすくなる傾向がある。
【0061】
金属酸化物微粒子へのアクセプター性化合物の付与方法としては、金属酸化物微粒子をせん断力の大きなミキサ等で攪拌しながら、有機溶媒に溶解させたアクセプター化合物を滴下、乾燥空気や窒素ガスとともに噴霧させることによって金属酸化物微粒子へアクセプター化合物を均一に付与する方法が挙げられる。アクセプター化合物を添加あるいは噴霧する際には溶剤の沸点以下の温度で行われることが好ましく、溶剤の沸点以上の温度で噴霧すると、均一に攪拌される前に溶剤が蒸発し、アクセプター化合物が局部的にかたまってしまい均一な処理ができにくい欠点があるため好ましくない。添加あるいは噴霧した後、さらに溶剤の沸点温度以上で乾燥を行うことができる。また、金属酸化物微粒子を溶剤中で攪拌、超音波、サンドミルやアトライター、ボールミルなどを用いて分散し、アクセプター化合物の有機溶剤溶液を添加し、還流あるいは有機溶剤の沸点以下で攪拌あるいは分散したのち、溶剤除去することで均一に付与される。また、溶剤除去方法はろ過あるいは蒸留、加熱乾燥により留去される。
【0062】
アクセプター化合物を付与される金属酸化物微粒子としては、1×102〜1×1011Ω・cm程度の粉体抵抗(体積抵抗率)を有するものが好ましい。これにより、下引層34はリーク耐性獲得のために適切な抵抗を得ることが可能となる。
【0063】
下引層34は、上述の下引層34を構成する各成分を有機溶媒に混合/分散させて得られる下引層形成用塗布液を導電性基体33上に塗布し、乾燥により溶剤を除去することにより形成される。
【0064】
下引層形成用塗布液を調製する際の混合/分散方法は、ボールミル、ロールミル、サンドミル、アトライター、超音波等を用いる常法が適用される。混合/分散は有機溶剤中で行われるが、有機溶剤としては、有機金属化合物や樹脂を溶解し、また、電子輸送性顔料を混合/分散したときにゲル化や凝集を起こさないものであれば如何なるものでも使用できる。具体的には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤を単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
【0065】
下引層形成用塗布液の塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。このように塗布したものを乾燥させて下引層34を得るが、通常、乾燥は溶剤を蒸発させ、製膜可能な温度で行われる。特に、酸性溶液処理、ベーマイト処理を行った導電性基体33は、導電性基体33の欠陥隠蔽力が不十分となりやすいため、下引層34を形成することが好ましい。
【0066】
このようにして形成される下引層34の厚さは、金属酸化物微粒子を含有しない場合は、0.1〜10μmであることが好ましく、0.5〜5.0μmであることがより好ましい。また、金属酸化物微粒子を含有する場合は、15μm以上であることが好ましく、15〜50μmであることがより好ましい。下引層34の厚さが上記条件を満たすことにより、電子写真感光体における局所的な絶縁破壊(感光体リーク)をより確実に防止することができる。また、長期連続使用においても、安定した特性を得ることができる。
【0067】
中間層37は、電気特性向上、画質向上、画質維持性向上、感光層接着性向上などのために、下引層34と感光層36との間に設けられる層である。
【0068】
中間層37に用いられる材料としては、上記下引層34に用いられる材料と同様に、ジルコニウムキレート化合物、ジルコニウムアルコキシド化合物、ジルコニウムカップリング剤等の有機ジルコニウム化合物;チタンキレート化合物、チタンアルコキシド化合物、チタネートカップリング剤等の有機チタン化合物;アルミニウムキレート化合物、アルミニウムカップリング剤などの有機アルミニウム化合物;アンチモンアルコキシド化合物;ゲルマニウムアルコキシド化合物;インジウムアルコキシド化合物、インジウムキレート化合物等の有機インジウム化合物;マンガンアルコキシド化合物、マンガンキレート化合物等の有機マンガン化合物;スズアルコキシド化合物、スズキレート化合物等の有機スズ化合物;アルミニウムシリコンアルコキシド化合物;アルミニウムチタンアルコキシド化合物;アルミニウムジルコニウムアルコキシド化合物、などの有機金属化合物が挙げられる。これらの中でも、有機ジルコニウム化合物、有機チタン化合物、有機アルミニウム化合物は、残留電位が低く良好な電子写真特性を示すため、好ましく使用される。
【0069】
また、中間層37には、上記下引層34と同様に、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス−2−メトキシエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−2−アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプロプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、β−3,4−エポキシシクロヘキシルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤を含有させて使用することができる。さらに、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレノキシド、エチルセルロース、メチルセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、ポリアミド、ポリイミド、カゼイン、ゼラチン、ポリエチレン、ポリエステル、フェノール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エポキシ樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジン、ポリウレタン、ポリグルタミン酸、ポリアクリル酸等の公知の結着樹脂を用いることもできる。これらの混合割合は、必要に応じて適宜設定することができる。
【0070】
また、中間層37中には、上記下引層34と同様に、電子輸送性顔料を混合/分散して使用することもできる。電子輸送性顔料としては、ペリレン顔料、ビスベンズイミダゾールペリレン顔料、多環キノン顔料、インジゴ顔料、キナクリドン顔料等の有機顔料、また、シアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、ハロゲン原子等の電子吸引性の置換基を有するビスアゾ顔料やフタロシアニン顔料等の有機顔料、酸化亜鉛、酸化チタン等の無機顔料が挙げられる。これらの顔料の中ではペリレン顔料、ビスベンズイミダゾールペリレン顔料と多環キノン顔料、酸化亜鉛、酸化チタンが、電子移動性が高いので好ましく使用される。また、これらの顔料の表面は、分散性、電荷輸送性を制御する目的で上記カップリング剤や、バインダーなどで表面処理しても良い。電子輸送性顔料は多すぎると中間層37の強度が低下し、塗膜欠陥を生じるため、中間層37全量を基準として95質量%以下、好ましくは90質量%以下で使用される。
【0071】
中間層37は、上記下引層34と同様に、上述の中間層37を構成する各成分を有機溶媒に混合/分散させて得られる中間層形成用塗布液を下引層34上に塗布し、乾燥により溶剤を除去することにより形成される。
【0072】
中間層形成用塗布液を調製する際の混合/分散方法は、ボールミル、ロールミル、サンドミル、アトライター、超音波等を用いる常法が適用される。混合/分散は有機溶剤中で行われるが、有機溶剤としては、有機金属化合物や樹脂を溶解し、また、電子輸送性顔料を混合/分散したときにゲル化や凝集を起こさないものであれば如何なるものでも使用できる。具体的には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤を単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
【0073】
中間層形成用塗布液の塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。このように塗布したものを乾燥させて中間層37を得るが、通常、乾燥は溶剤を蒸発させ、製膜可能な温度で行われる。
【0074】
このようにして形成される中間層37の厚さは、0.1〜10μmであることが好ましく、0.5〜5.0μmであることがより好ましい。中間層37の厚さが上記条件を満たすことにより、電子写真感光体を長期連続使用した場合においても、安定した特性を得ることができる。
【0075】
電荷発生層31は、電荷発生材料を真空蒸着により形成するか、又は、電荷発生材料を有機溶剤及び結着樹脂とともに分散し塗布することにより形成される。
【0076】
分散塗布により電荷発生層31を形成する場合、電荷発生材料を有機溶剤、結着樹脂、及び、添加剤等とともに分散して電荷発生層形成用塗布液を調製し、得られた塗布液を中間層37上に塗布し乾燥することにより形成することができる。
【0077】
電荷発生材料としては、公知の電荷発生物質を特に制限なく使用することができる。赤外光用の電荷発生材料としては、フタロシアニン顔料、スクアリリウム、ビスアゾ、トリスアゾ、ペリレン、ジチオケトピロロピロール等が用いられ、可視光用の電荷発生材料としては、縮合多環顔料、ビスアゾ、ペリレン、トリゴナルセレン、色素増感した酸化亜鉛微粒子等が用いられる。これらの中でも特に優れた性能が得られ、好ましく使用される電荷発生材料は、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料である。これらの電荷発生材料を用いることにより、特に高感度で、繰り返し安定性の優れる電子写真感光体を得ることができる。また、フタロシアニン系顔料やアゾ系顔料は一般に数種の結晶型を有しており、目的にあった電子写真特性が得られる結晶型であるならば、これらのいずれの結晶型でも用いることができる。特に好ましく用いられる電荷発生材料としては、クロロガリウムフタロシアニン、ジクロロススフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、無金属フタロシアニン、オキシチタニルフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン等が挙げられる。
【0078】
電荷発生層31は、特にヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を含有することが、均一帯電性を得る観点から好ましい。ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料は所望の特性を得られるものであればいかなるものでも使用できるが、特にCuKα特性X線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角度(2θ±0.2°)の7.5°及び28.3°に回折ピークを有するものが好ましく用いられる。
【0079】
電荷発生層31に用いられる結着樹脂としては、広範な絶縁性樹脂から選択することができる。好ましい結着樹脂としては、ポリビニルアセタール樹脂、ポリアリレート樹脂(ビスフェノールAとフタル酸の重縮合体等)、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等の絶縁性樹脂や、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン、ポリシラン等の有機光導電性ポリマーが挙げられる。これらの中でも、ポリビニルアセタール樹脂及び塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体が好ましく用いられる。これらの結着樹脂は1種を単独であるいは2種以上を混合して用いることができる。
【0080】
電荷発生層31は、電荷発生材料の真空蒸着、あるいは電荷発生材料及び結着樹脂を含む電荷発生層形成用塗布液の塗布により形成される。電荷発生層形成用塗布液において、電荷発生材料と結着樹脂との配合比(質量比)は、10:1〜1:10の範囲が好ましく、8:2〜3:7の範囲がより好ましい。塗布液を調整するための溶媒としては公知の有機溶剤、例えばアルコール系、芳香族系、ハロゲン化炭化水素系、ケトン系、ケトンアルコール系、エーテル系、エステル系等から任意に選択することができる。溶媒としてより具体的には、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤を用いることができる。これらの溶剤は単独であるいは2種以上混合して用いることができる。2種以上混合する際、使用される溶剤としては、混合溶剤として結着樹脂を溶かす事ができる溶剤であれば、いかなるものでも使用することが可能である。
【0081】
電荷発生物質及び結着樹脂を溶媒に分散させる方法としては、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、コロイドミル、ペイントシェーカー等の方法を用いることができる。
【0082】
さらに、電荷発生層31を形成する際に用いる塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。
【0083】
このようにして形成される電荷発生層31の厚さは、良好な電気特性と画質を与えるために、0.05〜5.0μmであることが好ましく、0.1〜1.0μmであることがより好ましい。電荷発生層31の厚さが0.05μm未満であると、感度が不十分となる傾向がある。一方、電荷発生層31の厚さが5.0μmを超えると、帯電性の不良などの弊害を生じさせやすくなる傾向がある。
【0084】
また、電荷発生層31に用いられる電荷発生材料には、電気特性の安定性向上、画質欠陥防止などのために表面処理を施すことができる。表面処理剤としてはカップリング剤、有機ジルコニウム化合物、有機チタン化合物、有機アルミニウム化合物などを用いることができるが、これらに限定されるものではない。
【0085】
表面処理に用いるカップリング剤の例としては、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルメトキシシラン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤が挙げられる。特に好ましく用いられるシランカップリング剤としては、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシシラン)、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤が挙げられる。
【0086】
また、有機ジルコニウム化合物としては、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセト酢酸エチル、ジルコニウムトリエタノールアミン、アセチルアセトネートジルコニウムブトキシド、アセト酢酸エチルジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムオキサレート、ジルコニウムラクテート、ジルコニウムホスホネート、オクタン酸ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム、ラウリン酸ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニウム、イソステアリン酸ジルコニウム、メタクリレートジルコニウムブトキシド、ステアレートジルコニウムブトキシド、イソステアレートジルコニウムブトキシド等が挙げられる。
【0087】
また、有機チタン化合物としては、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンアセチルアセトネート、ポリチタンアセチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンラクテートエチルエステル、チタントリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレート等が挙げられる。
【0088】
また、有機アルミニウム化合物としては、アルミニウムイソプロピレート、モノブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムブチレート、ジエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)等が挙げられる。
【0089】
電荷輸送層32は、例えば電荷輸送材料及び結着樹脂を含んで構成される。電荷輸送層32に含有される電荷輸送材料としては、公知のものならいかなるものでも使用可能であり、例えば、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール誘導体、1,3,5−トリフェニル−ピラゾリン、1−[ピリジル−(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノスチリル)ピラゾリン等のピラゾリン誘導体、トリフェニルアミン、トリ(P−メチル)フェニルアミン、N,N’−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン、ジベンジルアニリン、9,9−ジメチル−N,N’−ジ(p−トリル)フルオレノン−2−アミン等の芳香族第3級アミノ化合物、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジアミン等の芳香族第3級ジアミノ化合物、3−(4’ジメチルアミノフェニル)−5,6−ジ−(4’−メトキシフェニル)−1,2,4−トリアジン等の1,2,4−トリアジン誘導体、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン、4−ジフェニルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン、[p−(ジエチルアミノ)フェニル](1−ナフチル)フェニルヒドラゾン等のヒドラゾン誘導体、2−フェニル−4−スチリル−キナゾリン等のキナゾリン誘導体、6−ヒドロキシ−2,3−ジ(p−メトキシフェニル)−ベンゾフラン等のベンゾフラン誘導体、p−(2,2−ジフェニルビニル)−N,N’−ジフェニルアニリン等のα−スチルベン誘導体、エナミン誘導体、N−エチルカルバゾール等のカルバゾール誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体等の正孔輸送物質、クロラニル、ブロモアニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールや2,5−ビス(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)1,3,4オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物、3,3’,5,5’テトラ−t−ブチルジフェノキノン等のジフェノキノン化合物等の電子輸送物質、あるいは以上に示した化合物からなる基を主鎖又は側鎖に有する重合体等が挙げられる。これらの電荷輸送材料は、1種を単独で又は2種以上を組み合せて使用できる。
【0090】
電荷輸送層32に用いられる結着樹脂としては、公知のものであればいかなるものでも使用することができるが、電気絶縁性のフィルムを形成可能な樹脂が好ましい。結着樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂や、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシラン、特開平8−176293号公報や特開平8−208820号公報に示されているポリエステル系高分子電荷輸送材等高分子電荷輸送材を用いることもできる。これらの中でも、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂は、電荷輸送材料との相溶性、溶剤への溶解性、強度の点で優れるため、好ましく用いられる。これらの結着樹脂は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。また、結着樹脂と電荷輸送材料との配合比(質量比)はいずれの場合も任意に設定することができるが、電気特性低下、膜強度低下に注意しなくてはならない。
【0091】
また、高分子電荷輸送材を単独で用いることもできる。高分子電荷輸送材としては、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシラン等の電荷輸送性を有する公知のものを用いることができる。特に、特開平8−176293号公報や特開平8−208820号公報に示されているポリエステル系高分子電荷輸送材は、高い電荷輸送性を有しており、とくに好ましいものである。高分子電荷輸送材はそれだけでも電荷輸送層として使用可能であるが、上記結着樹脂と混合して成膜してもよい。
【0092】
電荷輸送層32は、電荷輸送物質及び結着樹脂、並びにその他の材料を適当な溶媒に溶解させた電荷輸送層形成用塗布液を電荷輸送層31上に塗布し、乾燥することによって形成することができる。電荷輸送層形成用塗布液に用いる溶剤としては、例えば、トルエン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、n−ブタノール等の脂肪族アルコール系溶剤、アセトン、シクロヘキサノン、2−ブタノン等のケトン系溶剤、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテル等の環状或いは直鎖状エーテル系溶剤、或いはこれらの混合溶剤等を用いることができる。
【0093】
電荷輸送層形成用塗布液を電荷発生層31上に塗布する際の塗布方法としては、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、スプレー塗布法、ロールコータ塗布法、ワイヤーバーコーティング法、グラビアコータ塗布法、ビードコーティング法、カーテンコーティング法、ブレードコーティング法、エアーナイフコーティング法等を用いることができる。
【0094】
電荷輸送層32の厚さは、5〜50μmであることが好ましく、10〜40μmであることがより好ましい。
【0095】
電子写真感光体においては、画像形成装置中で発生するオゾンや酸化性ガス、あるいは光や熱による電子写真感光体の劣化を防止する目的で、感光層3中に酸化防止剤や光安定剤などの添加剤を添加することができる。
【0096】
酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノン及びそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機燐化合物等が挙げられる。
【0097】
酸化防止剤の具体的な化合物例として、フェノール系酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、スチレン化フェノール、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−t−ブチル−6−(3’−t−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、4,4’−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−t−ブチル−フェノール)、4,4’−チオ−ビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシ−フェニル)プロピオネート]−メタン、3,9−ビス[2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等が挙げられる。
【0098】
ヒンダードアミン系化合物としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、8−ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,3,8−トリアザスピロ[4,5]ウンデカン−2,4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイミル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,3,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物等が挙げられる。
【0099】
有機イオウ系酸化防止剤としては、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリル−チオプロピオネート)、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオネート、2−メルカプトベンズイミダゾール等が挙げられる。
【0100】
有機燐系酸化防止剤としては、トリスノニルフェニルフォスフィート、トリフェニルフォスフィート、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−フォスフィート等が挙げられる。
【0101】
有機硫黄系および有機燐系酸化防止剤は2次酸化防止剤と言われ、フェノール系あるいはアミン系などの1次酸化防止剤と併用することにより相乗効果を得ることができる。
【0102】
光安定剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ジチオカルバメート系、テトラメチルピペリジン系などの誘導体が挙げられる。
【0103】
ベンゾフェノン系光安定剤としては、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2,2’−ジ−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等が挙げられる。ベンゾトリアゾール系光安定剤として2−(2’−ヒドロキシ−5’メチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(3’’,4’’,5’’,6’’−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル]−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−t−ブチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−アミルフェニル)−ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
【0104】
その他の化合物として、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、ニッケルジブチル−ジチオカルバメート等を用いてもよい。
【0105】
また、感度の向上、残留電位の低減、繰り返し使用時の疲労低減等を目的として、少なくとも1種の電子受容性物質を含有せしめることができる。
【0106】
電子受容性物質としては、例えば、無水琥珀酸、無水マレイン酸、ジブロム無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラブロム無水フタル酸、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、クロラニル、ジニトロアントラキノン、トリニトロフルオレノン、ピクリン酸、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、フタル酸等が挙げられる。これらのうち、フルオレノン系、キノン系や、Cl、CN、NO2等の電子吸引性置換基を有するベンゼン誘導体が特に好ましい。
【0107】
また、特に図3及び4に示すように電荷輸送層32が最表面層である場合、電荷輸送層32には、摩耗を低減する目的で、固形潤滑剤や金属酸化物を分散させることが好ましい。固形潤滑剤としては、フッ素含有樹脂粒子(四フッ化エチレン、三フッ化塩化エチレン、四フッ化エチレン六フッ化プロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、二フッ化二塩化エチレンおよびそれらの共重合等)、ケイ素含有樹脂粒子等を挙げることができる。また、金属酸化物としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化スズ等を挙げることができる。固形潤滑剤を分散すると、電荷輸送層表面の摩擦係数が減少するため、摩耗を抑制することができる。また、金属酸化物を分散すると、電荷輸送層32の機械的硬度が上昇するため、摩耗を抑制することができる。また、フッ素含有樹脂粒子は難分散粒子のためフッ素含有高分子系分散助剤を用いると分散性が向上される。上記固形潤滑剤や金属酸化物を分散させる方法としては、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、コロイドミル、ペイントシェーカー、ホモジナイザー、高圧処理式ホモジナイザー等の方法を用いることができる。この分散の際、分散粒子を1.0μm以下、好ましくは0.5μm以下にすることが有効である。
【0108】
また、電荷輸送層32には、塗膜の平滑性向上のためのレベリング剤としてシリコーンオイルを微量添加することもできる。
【0109】
保護層35は、帯電時の電荷輸送層32の化学的変化を防止したり、感光層36の機械的強度を向上させ、表面層の磨耗、傷などへの耐性をさらに改善する為に用いられる。
【0110】
保護層35の形態としては、硬化性樹脂や電荷輸送性化合物を含む樹脂硬化膜、導電性材料を適当な結着樹脂中に含有させて形成された膜等があるが、電荷輸送性化合物を含有するものが好ましく用いられる。硬化性樹脂としては公知の樹脂であれば特に制限なく使用できるが、特に強度、電気特性及び画質維持性などの観点から、架橋構造を有するものが好ましく、例えばフェノール樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シロキサン系樹脂等が挙げられる。
【0111】
保護層35に用いられる電荷輸送性化合物としては、反応性官能基を有するものであって、使用する硬化性樹脂と相溶するものが好ましく、更に、使用する硬化性樹脂と化学結合を形成するものがより好ましい。反応性官能基を有する電荷輸送化合物としては、下記一般式(I)で表される化合物が好ましい。
【0112】
F[−D−Si(R1)(3−a)Qa]b (I)
[式(I)中、Fは正孔輸送能を有する化合物から誘導される有機基を示し、Dは可とう性を有する2価の基を示し、R1は水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基又は置換若しくは未置換のアリール基を示し、Qは加水分解性基を示し、aは1〜3の整数を示し、bは1〜4の整数を示す。]
【0113】
上記一般式(I)中、Fは、光電特性、具体的には特に光キャリア輸送特性を有するユニットであり、従来、電荷輸送物質として知られている構造をそのまま用いることができる。具体的には、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物等の正孔輸送性を有する化合物骨格、およびキノン系化合物、フルオレノン化合物、キサントン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノビニル系化合物、エチレン系化合物等の電子輸送性を有する化合物骨格を用いることができる。
【0114】
上記一般式(I)中、−Si(R1)(3−a)Qaは、加水分解性基を有する置換ケイ素基であるが、この置換ケイ素は、Si基により互いに架橋反応を起こして、3次元的なSi−O−Si結合を形成する。即ち、この置換ケイ素基は、保護層35中にいわゆる無機ガラス質ネットワークを形成する役割を担う。
【0115】
上記一般式(I)中、Dは可とう性を有する2価の基を示すが、具体的には、光電特性を付与するためのF部位と、3次元的な無機ガラス質ネットワークに直接結合で結びつく置換ケイ素基とを結びつける働きを担い、かつ、堅さの反面もろさも有する無機ガラス質ネットワークに適度な可とう性を付与し、膜としての強靱さを向上させるという働きを担う有機基を表す。Dとして具体的には、−CnH2n−、−CnH(2n−2)−、−CnH(2n−4)−で表わされる2価の炭化水素基(ここで、nは1〜15の整数を表す)、−COO−、−S−、−O−、−CH2−C6H4−、−N=CH−、−(C6H4)−(C6H4)−、及び、これらを任意に組み合わせた特性基、更にはこれらの特性基の構造原子を他の置換基と置換したもの等が挙げられる。
【0116】
上記一般式(I)中、bは2以上であることが好ましい。bが2以上であると、上記一般式(I)で表される光機能性有機ケイ素化合物中にSi原子を2つ以上含むことになり、無機ガラス質ネットワークを形成し易くなり、機械的強度が向上する。
【0117】
また、上記一般式(I)で表わされる化合物における上記Fは、下記一般式(II)で表される基であることが好ましい。下記一般式(II)で表わされる基は、正孔輸送能を有する基であり、これを保護層35に含有させることは、特に保護層35における光電特性と機械特性を向上の観点から好ましい。
【0118】
【化1】
[式(II)中、Ar1、Ar2、Ar3及びAr4はそれぞれ独立に置換又は未置換のアリール基を示し、Ar5は置換若しくは未置換のアリール基又はアリーレン基を示し、且つAr1〜Ar5のうち1〜4個は、上記一般式(I)で表わされる化合物における−D−Si(R1)(3−a)Qaで示される部位と結合するための結合手を有し、kは0又は1を示す。]
【0119】
なお、上記一般式(II)におけるAr5の具体的構造としては、kが0の時は上記Ar1〜Ar4の具体的構造として例示したアリール基が挙げられ、kが1の時はかかるアリール基から所定の水素原子を除いたアリーレン基が挙げられる。
【0120】
上記一般式(I)で表される電荷輸送性化合物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0121】
また、保護層35には、上記一般式(I)で表される電荷輸送性化合物とともに、硬化膜の機械的強度を更に向上させる目的で、下記一般式(III)で表されるような2つ以上のケイ素原子を有する化合物を用いることも好ましい。
【0122】
B(−Si(R40)(3−a)Qa)d (III)
[式(III)中、Bは2価以上の有機基を示し、R40は水素原子、アルキル基又は置換若しくは未置換のアリール基を示し、Qは加水分解性基を示し、aは1〜3の整数を示し、dは2以上の整数を示す。]
【0123】
上記一般式(III)で表わされる化合物は、−Si(R40)(3−a)Qaで表される加水分解性基を有する置換ケイ素基を有している化合物である。この上記一般式(III)で表わされる化合物は、上記一般式(I)で表される化合物との反応又は上記一般式(III)で表わされる化合物同士の反応により、Si−O−Si結合を形成して3次元的な架橋硬化膜を与える。上記一般式(III)で表わされる化合物と上記一般式(I)で表わされる化合物を併用すると、硬化膜の架橋構造が3次元的になりやすく、また、硬化膜に適度な可とう性が付与されるため、より強い機械強度が得られる。
【0124】
また、上記一般式(I)で表される化合物と共に、更に架橋反応可能な他の化合物を併用してもよい。このような化合物として、各種シランカップリング剤、および市販のシリコーン系ハードコート剤等を用いることができる。
【0125】
シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
【0126】
市販のハードコート剤としては、KP−85、CR−39、X−12−2208、X−40−9740、X−41−1007、KNS−5300、X−40−2239(以上、信越シリコーン社製)、および、AY42−440、AY42−441、AY49−208(以上、東レダウコーニング社製)、などが挙げられる。
【0127】
また、保護層35には、表面潤滑性を付与する目的でフッ素原子含有化合物を添加できる。表面潤滑性を向上させることによりクリーニング部材との摩擦係数が低下し、耐摩耗性を向上させることができる。また、電子写真感光体表面に対する放電生成物、現像剤および紙粉などの付着を防止する効果も有し、電子写真感光体の寿命向上に役立つ。
【0128】
フッ素含有化合物は、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素原子含有ポリマーをそのまま添加するか、あるいはそれらポリマーの微粒子を添加することができる。また、保護層35が上記一般式(I)で表される化合物により形成される硬化膜の場合、フッ素含有化合物としては、アルコキシシランと反応できるものを添加し、架橋膜の一部として構成するのが望ましい。そのようなフッ素原子含有化合物の具体例としては、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、3−(ヘプタフルオロイソプロポキシ)プロピルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロアルキルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルトリエトキシシラン、などが挙げられる。
【0129】
上記フッ素含有化合物の含有量は、保護層35全量を基準として20質量%以下とすることが好ましい。含有量が20質量%を越えると、架橋硬化膜の成膜性に問題が生じる場合がある。
【0130】
保護層35は十分な耐酸化性を有しているが、さらに強い耐酸化性を付与する目的で、酸化防止剤を添加してもよい。酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系あるいはヒンダードアミン系が望ましく、有機イオウ系酸化防止剤、フォスファイト系酸化防止剤、ジチオカルバミン酸塩系酸化防止剤、チオウレア系酸化防止剤、ベンズイミダゾール系酸化防止剤等の公知の酸化防止剤を用いてもよい。酸化防止剤の添加量としては、保護層35全量を基準として15質量%以下が好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。
【0131】
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナマイド、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−o−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,5−ジ−t−アミルヒドロキノン、2−t−ブチル−6−(3−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)等が挙げられる。
【0132】
また、保護層35には公知の塗膜形成に用いられるその他の添加剤を添加することも可能であり、レベリング剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、界面活性剤、等公知のものを用いることができる。
【0133】
保護層35は、上述した各種材料及び各種添加剤を含有する保護層形成用塗布液を感光層36上に塗布し、加熱処理することで形成することができる。これにより、上記一般式(I)で表される化合物等が3次元的に架橋硬化反応を起こし、強固な硬化膜が形成される。加熱処理の温度は、下層である感光層36に影響しなければ特に制限はないが、好ましくは室温〜200℃、より好ましくは100〜160℃である。
【0134】
保護層35の形成において、架橋硬化反応は、無触媒で行なってもよく、適切な触媒を用いてもよい。触媒としては、塩酸、硫酸、燐酸、蟻酸、酢酸、トリフルオロ酢酸等の酸触媒、アンモニア、トリエチルアミン等の塩基、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジオクトエート、オクエ酸第一スズ等の有機スズ化合物、テトラ−n−ブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート等の有機チタン化合物、有機カルボン酸の鉄塩、マンガン塩、コバルト塩、亜鉛塩、ジルコニウム塩、アルミニウムキレート化合物等が挙げられる。
【0135】
保護層形成用塗布液には、塗布を容易にするために、必要に応じて溶剤を添加することができる。溶剤として具体的には、水、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、ジメチルエーテル、ジブチルエーテル等の通常の有機溶剤が挙げられる。これらは、1種を単独で、又は2種以上混合して用いることができる。
【0136】
保護層35の形成において、保護層形成用塗布液の塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。
【0137】
こうして形成される保護層35の厚さは、0.5〜20μmであることが好ましく、2〜10μmであることがより好ましい。
【0138】
また、図7に示したように、感光層が単層型感光層38である場合、単層型感光層38は、電荷発生材料、電荷輸送材料及び結着樹脂を含有して形成される。電荷発生材料としては機能分離型感光層における電荷発生層31に使用されるものと同様のものを、電荷輸送材料としては機能分離型感光層における電荷輸送層32に使用されるものと同様のものを、結着樹脂としては機能分離型感光層における電荷発生層31及び電荷輸送層32に用いられる結着樹脂と同様のものを用いることができる。また、塗布に用いる溶剤や塗布方法は、上記各層と同様のものを用いることができる。単層型感光層38の厚さは、5〜50μm程度が好ましく、10〜40μmとすることがさらに好ましい。
【0139】
次に、本発明の画像形成装置を図面に基づき説明する。図8は、本発明の画像形成装置の好適な一実施形態の基本構成を概略的に示す断面図である。図8に示す画像形成装置200は、先に説明した電子写真感光体207と、電子写真感光体207を帯電させる帯電装置208と、帯電装置208に接続された電源209と、帯電装置208(帯電ロール)により帯電される電子写真感光体207を露光して静電潜像を形成する露光装置210と、露光装置210により形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像装置211と、現像装置211(現像ロール)により形成されたトナー像を被転写媒体(画像出力媒体)500に転写する転写装置212(転写ロール)と、クリーニング装置213と、除電器214と、定着装置215と、を備える。なお、この場合には、除電器214が設けられていないものもある。
【0140】
次に、画像形成装置200における基本的な作像動作について説明する。まず、電子写真感光体207(感光体ドラム)の表面を、感光体ドラムに接触し、かつ所定の電圧を電源209から給電されている帯電装置208によって一様に高電位に帯電させる。感光体ドラムを帯電させた直後、感光体ドラムの表面に画像光(露光装置210から照射される光)が照射されると、照射された部分は電位が低下する。画像光は画像の黒/白に応じた光量の分布であるため、画像光の照射によって感光体ドラムの表面に記録画像に対応する電位分布、すなわち静電潜像が形成される。そして、静電潜像が形成された部分が、現像装置211との接触部分を通過すると、その電位の高低に応じてトナーが付着し、静電潜像を可視像化したトナー像が形成される。
【0141】
感光体ドラム表面においてトナー像が形成された部分に、所定のタイミングでレジストローラにより被転写媒体500が搬送され、トナー像に重なる。このトナー像が、転写装置212によって被転写媒体500に転写された後、被転写媒体500は、感光体ドラムから分離される。分離された被転写媒体500は搬送経路を通って搬送され、定着ユニットによって、熱加圧定着されたあと、機外へ排出される。また、転写終了後、感光体ドラムの表面は、クリーニング装置213によりクリーニング処理され、除電器214によって除電された後に、次回の作像処理に移行する。
【0142】
転写装置212(転写ロール)としては、上述した本実施形態の発泡ロール10が用いられる。かかる転写ロールでは、発泡体2の歪みが残存しておらず、転写ロールの使用中に、転写ロールに作用する荷重によって発泡体2の歪みが開放されることがなく、転写ロールが変形することを防止できる。また、かかる転写ロールでは、芯体1と発泡体2との位置ずれが防止される。このように、発泡ロール10を転写ロールとして用いた場合、発泡体2の歪み及び位置ずれが防止されるため、転写ロールの電気特性及び形状精度が安定に維持される。その結果、本実施形態の画像形成装置200では、発泡ロール10を転写ロールとして備えない従来の画像形成装置に比べて、感光体ドラムから被転写媒体500へ転写される転写画像(トナー像)の画質不良(例えば、画像ずれや濃度ムラ)を防止できる。
【0143】
画像形成装置200では、被転写媒体500を介して、電子写真感光体207(対向ロール)が転写ロール(発泡ロール10)に当接しているが、電子写真感光体207が当接された転写ロールの表面の転写ロールの軸側への食い込み量は、0.6mm以上1mm以下であることが好ましい。これにより、転写画像(トナー像)の画質不良をより確実に防止できる。
【0144】
ここで、帯電装置208は、電子写感光体207を接触方式により帯電させるものであり、例えば、導電性又は半導電性のロール、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等の帯電部材を用いた接触型帯電器が用いられる。なお、帯電装置208としては非接触方式のものを用いてもよく、例えば、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器などを用いてもよい。これらの中でも、帯電補償能力に優れる点で接触型帯電器が好ましい。帯電装置208は、電子写真感光体207に対し、通常、直流電流を印加するが、交流電流をさらに重畳させて印加してもよい。また、帯電装置208として、上述した本実施形態の発泡ロール10を用いることもできる。
【0145】
露光装置210としては、電子写真感光体表面に、半導体レーザー、LED(light emitting diode)、液晶シャッター等の光源を所望の像様に露光できる光学系装置等を用いることができる。
【0146】
現像装置211としては、一成分系、二成分系などの正規又は反転現像剤を用いた従来公知の現像装置を用いることができる。
【0147】
現像装置211に使用されるトナーは、例えば結着樹脂と着色剤とを含んで構成される。結着樹脂としては、スチレン類、モノオレフィン類、ビニルエステル類、α−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類、ビニルエーテル類、ビニルケトン類等の単独重合体および共重合体を例示することができ、特に代表的な結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。さらに、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジン、パラフィンワックス等も挙げられる。
【0148】
着色剤としては、マグネタイト、フェライト等の磁性粉、カーボンブラック、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等が代表的なものとして挙げられる。
【0149】
トナーには、帯電制御剤、離型剤、他の無機微粒子等の公知の添加剤を内添加処理や外添加処理してもよい。
【0150】
離型剤としては低分子ポリエチレン、低分子ポリプロピレン、フィッシャートロプシュワックス、モンタンワックス、カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等を代表的なものとして挙げられる。
【0151】
帯電制御剤としては、公知のものを使用することができるが、アゾ系金属錯化合物、サリチル酸の金属錯化合物、極性基を含有するレジンタイプ等の帯電制御剤を用いることができる。
【0152】
他の無機微粒子としては、粉体流動性、帯電制御等の目的で、平均1次粒径が40nm以下の小径無機微粒子を用い、更に必要に応じて、付着力低減の為、それより大径の無機あるいは有機微粒子を併用してもよい。これらの他の無機微粒子は公知のものを使用できる。
【0153】
また、小径無機微粒子については、表面処理を施すことにより分散性が高くなり、粉体流動性を上げる効果が大きくなるため有効である。
【0154】
本発明で用いられるトナーの製造方法としては、高い形状制御性を得られることから、乳化重合凝集法や溶解懸濁法等などの重合法が好ましく用いられる。また上記方法で得られたトナーをコアにして、さらに凝集粒子を付着、加熱融合してコアシェル構造をもたせる製造方法を行ってもよい。外添剤を添加する場合、トナー及び外添剤をヘンシェルミキサーあるいはVブレンダー等で混合することによって製造することができる。また、トナーを湿式にて製造する場合は、湿式にて外添することも可能である。
【0155】
クリーニング装置213は、転写工程後の電子写真感光体の表面に付着する残存トナーを除去するためのもので、これにより清浄面化された電子写真感光体は上記の画像形成プロセスに繰り返し供される。クリーニング装置としては、クリーニングブレードの他、ブラシクリーニング、ロールクリーニング等を用いることができるが、これらの中でもクリーニングブレードを用いることが好ましい。また、クリーニングブレードの材質としてはウレタンゴム、ネオプレンゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。
【0156】
また、本発明の画像形成装置は、図8に示したように、イレース光照射装置214をさらに備えていてもよい。これにより、電子写真感光体が繰り返し使用される場合に、電子写真感光体の残留電位が次のサイクルに持ち込まれる現象が防止されるので、画像品質をより高めることができる。
【0157】
図9は本発明の画像形成装置の他の好適な一実施形態の基本構成を概略的に示す断面図である。図9に示した画像形成装置210は、電子写真感光体207に形成されたトナー像を、1次転写部材212aに転写した後、1次転写部材212aと2次転写部材212bとの間に供給される被転写媒体(画像出力媒体)500に転写する中間転写方式の転写装置を備えるもので、かかる転写の際には1次転写部材212aから電子写真感光体に向けて所定の電流密度の電流が供給可能となっている。1次転写部材212aはドラム形状であってもベルト形状であってもよい。なお、図9中には示していないが、画像形成装置210は、図8に示した画像形成装置200と同様に除電器を更に備えていてもよい。また、画像形成装置210の他の構成は画像形成装置200の構成と同様である。
【0158】
かかる画像形成装置210においては、電子写真感光体207に形成されたトナー像が1次転写部材212aに転写される際に、1次転写部材212aから電子写真感光体207に向けて所定の電流密度の電流を供給することで、被転写媒体500の種類・材質等による転写電流の変動を抑制することができるため、電子写真感光体207に流入する電荷量を精度よく制御することができるようになる。その結果、高画質化及び環境に対する負荷の低減を一層高水準で達成することが可能となる。
【0159】
また、画像形成装置210においては、2次転写部材212b(二次転写ロール)として上述した本実施形態の発泡ロール10が用いられる。発泡ロール10を二次転写ロールとして用いた場合、発泡体2の歪み及び位置ずれが防止されるため、二次転写ロールの電気特性及び形状精度が安定に維持される。その結果、画像形成装置210では、発泡ロール10を二次転写ロールとして備えない従来の画像形成装置に比べて、転写画像(トナー像)の画質不良(例えば、画像ずれや濃度ムラ)を防止できる。
【0160】
画像形成装置210では、被転写媒体500を介して、1次転写部材212a(対向ロール)が二次転写ロール(発泡ロール10)に当接しているが、1次転写部材212aが当接された二次転写ロールの表面の転写ロールの軸側への食い込み量は、0.6mm以上1mm以下であることが好ましい。これにより、転写画像(トナー像)の画質不良をより確実に防止できる。
【0161】
図10は本発明の画像形成装置の他の好適な一実施形態の基本構成を概略的に示す断面図である。図10に示す画像形成装置220は中間転写方式の画像形成装置であり、ハウジング400内において4つの電子写真感光体401a〜401d(例えば、電子写真感光体401aがイエロー、電子写真感光体401bがマゼンタ、電子写真感光体401cがシアン、電子写真感光体401dがブラックの色からなる画像をそれぞれ形成可能である)が中間転写ベルト409に沿って相互に並列に配置されている。ここで、画像形成装置220に搭載されている電子写真感光体401a〜401dは、それぞれ先に説明した電子写真感光体である。
【0162】
電子写真感光体401a〜401dのそれぞれは所定の方向(紙面上は反時計回り)に回転可能であり、その回転方向に沿って帯電ロール402a〜402d、現像装置404a〜404d、一次転写ロール410a〜410d、クリーニングブレード415a〜415dが配置されている。現像装置404a〜404dのそれぞれにはトナーカートリッジ405a〜405dに収容されたブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの4色のトナーが供給可能である。これらのトナーは平均形状係数が100〜140という条件を満たすものである。また、一次転写ロール410a〜410dはそれぞれ中間転写ベルト409を介して電子写真感光体401a〜401dに当接している。なお、画像形成装置220に搭載されている帯電ロール402a〜402d又は一次転写ロール410a〜410dとして、上述した本実施形態の発泡ロール10を用いることができる。
【0163】
ハウジング400内の所定の位置にはレーザー光源(露光装置)403が配置されており、レーザー光源403から出射されたレーザー光を帯電後の電子写真感光体401a〜401dの表面に照射することが可能となっている。これにより、電子写真感光体401a〜401dの回転工程において帯電、露光、現像、1次転写、クリーニングの各工程が順次行われ、各色のトナー像が中間転写ベルト409上に重ねて転写される。
【0164】
中間転写ベルト409は駆動ロール406、バックアップロール408及びテンションロール407により所定の張力をもって支持されており、これらのロールの回転によりたわみを生じることなく回転可能となっている。また、二次転写ロール413は、中間転写ベルト409及び被転写媒体500を介してバックアップロール408と当接するように配置されている。バックアップロール408と二次転写ロール413との間を通った中間転写ベルト409は、例えば駆動ロール406の近傍に配置されたクリーニングブレード416により清浄面化された後、次の画像形成プロセスに繰り返し供される。
【0165】
また、ハウジング400内の所定の位置にはトレイ(被転写媒体トレイ)411が設けられており、トレイ411内の紙などの被転写媒体500が移送ロール412により中間転写ベルト409と二次転写ロール413との間、さらには相互に当接する2個の定着ロール414の間に順次移送された後、ハウジング400の外部に排紙される。
【0166】
かかる画像形成装置220においては、二次転写ロール413として上述した本実施形態の発泡ロール10が用いられる。かかる二次転写ロール413では、発泡体2の歪みが残存しておらず、二次転写ロール413の使用中に、二次転写ロール413に作用する荷重によって発泡体2の歪みが開放されることがなく、二次転写ロール413の変形(例えば、真円度の変化又はたわみ)を防止できる。また、二次転写ロール413では、芯体1と発泡体2との位置ずれが防止されている。このように、二次転写ロール413では、発泡体2の歪み及び位置ずれが防止されるため、二次転写ロール413の電気特性及び形状精度が安定に維持される。その結果、本実施形態の画像形成装置200では、発泡ロール10を二次転写ロール413として備えない従来の画像形成装置に比べて、転写画像(トナー像)の画質不良を防止できる。具体的には、発泡体2の位置ずれを防止することによって、画像ずれが防止でき、二次転写ロール413のたわみを防止することによって、転写画像の濃度ムラを防止できる。
【0167】
画像形成装置220では、図10、図11に示すように、中間転写ベルト409及び被転写媒体500を介して、バックアップロール408(対向ロール)が二次転写ロール413(発泡ロール10)に当接している。バックアップロール408が当接された二次転写ロール413表面の転写ロールの軸側への食い込み量は、0.6mm以上1mm以下であることが好ましい。これにより、転写画像の画質不良をより確実に防止できると共に、被転写媒体500の二次転写ロール413への巻き付きを防止できる。
【0168】
なお、バックアップロール408が当接された二次転写ロール413の表面の転写ロールの軸側への食い込み量とは、図11に示すように、二次転写ロール413の軸側へ食い込んだ二次転写ロール413の表面と二次転写ロール413の軸との最短距離rと、二次転写ロール413の軸方向に垂直な断面の直径Rとの差(R−r)を意味する。
【0169】
二次転写ロール413表面の転写ロールの軸側への食込み量を0.6mm以上とすることによって、多重転写における濃度ムラを効果的に防止できると共に、被転写媒体500の二次転写ロール413への巻き付きを防止できる。また、食込み量を1mm以下とすることによって、二次転写ロール413(発泡ロール10)の芯体1と発泡体2との間に接着剤を介在させることが不要となる。すなわち、食込み量を上記の好適範囲内とすることによって、多重転写性と被転写媒体500の巻き付きの防止とを両立できる。なお、食い込み量を0.6mm以上1mm以下とする場合は、例えば、φ12の芯体1を用い、発泡体2の厚さを3mmとして、二次転写ロール413の外径をφ18とすればよい。これにより、二次転写ロール413の径が小さくなるため、被転写媒体500の剛性の影響によって、被転写媒体500の二次転写ロール413への巻き付きが効果的に防止される。また、このように発泡ロール10の径が小さい場合、被転写媒体や二次転写ベルト等とのニップを安定して形成できる。
【0170】
なお、食込み量が0.6mm未満である場合、多重転写における濃度ムラが発生し易くなることが問題となる。一方、食込みが1mmより大きい場合、長期間プリントを行うことによって芯体1と発泡体2との間にズレが生じ易くなる。これは、画像形成装置220に通常存在する程度のアライメントズレに起因する力が発泡体2の軸方向に作用して、軸方向において装置に固定されている芯体1に対して発泡体2が相対的に移動するためと考えられる。
【0171】
従来、二次転写を行う画像形成装置は、多色重ねトナー像の転写性を得るために、加圧しながら転写電界を作用させることが可能な二次転写ロールと、中間転写体ベルトの内側で二次転写ロールに対向したバックアップロールとを備える。また、カラーレジストレーションの観点から、バックアップロールとしては、二次転写ロールよりも変形しにくい薄肉のソリッドゴム製ロールや金属製ロールが用いられる。ここで、二次転写ロールのシャフト(芯体)の半径が二次転写ロールのゴム肉厚(発泡体の厚さ)以下であると、二次転写ロールへの被転写媒体の巻き付が発生したり、二次転写ロールがたわんで二次転写ロール中央部のニップが弱くなり、転写画像の濃度ムラが発生したりする傾向がある。
【0172】
また二次転写ロールでは、多色重ねトナー像の転写性を得るために、中間転写ベルト及び被転写媒体を二次転写ロールによって加圧する必要がある。そのため、二次転写ロールのシャフト径(芯体断面の直径)は一定以上の大きさ(例えばφ12以上)であることが好ましい。しかし、シャフト径の大きい二次転写ロールを用いた場合、シャフト径を二次転写ロールのゴム肉厚(発泡体の厚さ)以下にしようとすると、二次転写ロール全体の径は必然的に大きくなる(例えばφ24以上)。このように、二次転写ロール全体の径が大きい場合、二次転写ロールへの被転写媒体の巻き付きが発生し易くなる。一方、二次転写ロール全体の径を小さくして(例えばφ21以下)、被転写媒体の巻き付きを防止するためには、二次転写ロールのシャフト径を小さくする必要がある(例えばφ10.5以下)。しかし、シャフト径を小さくと、二次転写ロールがたわみ易くなり、ロール中央部において転写不良が発生し易くなる。
【0173】
なお、上述の説明においては中間転写体として中間転写ベルト409を使用する場合について説明したが、中間転写体は、上記中間転写ベルト409のようにベルト状であってもよく、又は、ドラム状であってもよい。ベルト状とする場合の中間転写体の基材として用いる樹脂材料としては、従来公知の樹脂を用いることができるが、カラーレジストレーションの観点から高ヤング率な基材を用いることが一般的である。かかる樹脂材料としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリアルキレンテレフタレート(PAT)、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)/PC、ETFE/PAT、PC/PATのブレンド材料、ポリエステル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミド等の樹脂材料及びこれらを主原料としてなる樹脂材料が挙げられる。さらに、樹脂材料と弾性材料をブレンドして用いることができる。
【0174】
弾性材料としては、ポリウレタン、塩素化ポリイソプレン、NBR、クロロピレンゴム、EPDM、水素添加ポリブタジエン、ブチルゴム、シリコーンゴム等を1種類、又は2種類以上をブレンドしてなる材料を用いることができる。これらの基材に用いる樹脂材料及び弾性材料に、必要に応じて、電子伝導性を付与する導電剤やイオン伝導性を有する導電剤を1種類又は2種類以上を組み合わせて添加する。この中でも、機械強度に優れる点で、導電剤を分散させたポリイミド樹脂を用いることが好ましい。上記の導電剤としては、カーボンブラック、金属酸化物、ポリアニリン等の導電性ポリマーを用いることができる。
【0175】
中間転写体として中間転写ベルト409のようなベルトの形状の構成を採用する場合、一般にベルトの厚さは50〜500μmが好ましく、60〜150μmがより好ましいが、材料の硬度に応じて適宜選択することができる。
【0176】
例えば、導電剤を分散させたポリイミド樹脂からなるベルトは、特開昭63−311263号公報に記載されているように、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸の溶液中に導電剤として5〜20質量%のカーボンブラックを分散させ、分散液を金属ドラム上に流延して乾燥した後、ドラムから剥離したフィルムを高温下に延伸してポリイミドフィルムを形成し、さらに適当な大きさに切り出してエンドレスベルトとすることにより製造することができる。
【0177】
上記フィルム成形は、一般には、導電剤を分散したポリアミド酸溶液の成膜用原液を円筒金型に注入して、例えば、100〜200℃に加熱しつつ500〜2000rpmの回転数で円筒金型を回転させながら、遠心成形法によりフィルム状に成膜し、次いで、得られたフィルムを半硬化した状態で脱型して鉄芯に被せ、300℃以上の高温でポリイミド化反応(ポリアミド酸の閉環反応)を進行させて本硬化させることにより行うことができる。また、成膜原液を金属シート上に均一な厚みに流延して、上記と同様に100〜200℃に加熱して溶媒の大半を除去し、その後300℃以上の高温に段階的に昇温してポリイミドフィルムを形成する方法もある。また、中間転写体は表面層を有していても良い。
【0178】
また、中間転写体としてドラム形状を有する構成を採用する場合、基材としては、アルミニウム、ステンレス鋼(SUS)、銅等で形成された円筒状基材を用いることが好ましい。この円筒状基材上に、必要に応じて弾性層を被覆し、該弾性層上に表面層を形成することができる。
【0179】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、上述した本実施形態の発泡ロール10は、画像形成装置用のプロセスカートリッジが備える転写ロールまたは帯電ロールとしても用いることができる。この場合においても、発泡体2の歪み及び位置ずれ、及び転写画像の画質不良を防止することができる。
【実施例】
【0180】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0181】
(実施例1)
<発泡体の作製>
エチレンオキサイド基を有し、高いイオン伝導性を具備するエピクロルヒドリンゴム(ECO:エピクロマーCG−102、ダイソ−社製)70質量部と、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR:ニポールDN−219、日本ゼオン社製)30質量部とを混合した。この混合物に対して、発泡加硫剤として、硫黄(200メッシュ、鶴見化学工業社製)1質量部と、加硫促進剤(ノクセラ−M、大内新興化学工業社製)1.5質量部と、を混合し、更に発泡剤としてベンゼンスルホニルヒドラジド6質量部を添加したしたものを、オープンロールで混練した。
【0182】
混練により得た混合物を、直径が4.5mmであるSUS製のロール軸上に押出成型し、180℃で30分間プレス加硫発泡することによって、複数のセルを有し、5mm厚の円筒状の導電性発泡体(図1(a)に示す発泡体2)を得た。
【0183】
次に、発泡体をその軸方向に沿って切断した断面を、写真撮影部分(富士フィルム社製、商品名:Fujix DIGITAL CAMERA HC-300i)を備える光学顕微鏡(Nikon社製、商品名:MEASURING MICROSCOPE MM60)で観察した。光学顕微鏡の倍率は、接眼10倍×対物20倍とし、測定環境は、22℃55%RHとした。また、測定では、発泡体の軸方向の全長に対して発泡体の端部からの距離5%以内である端部領域の中空部側表面に位置するセルの断面をランダムに30個観察し、個々のセルの断面の最大内径を測定した。その平均値(セルの平均径D)は、280μmであった。
【0184】
<芯体の作製>
6.0mmφ、長さ240mmであり、表面粗さRaが0.3μmであるSUM材の両端10mmから20mmの部分(発泡体の端部領域と接触する部分)を、表面粗さRaが1.25μmとなるようにサンドブラスト処理を施し、芯体(図1(a)に示す芯体1)を得た。
【0185】
<発泡ロールの作製>
発泡体の端部領域の中空部側表面に位置するセルの平均径Dと、芯体の表面粗さRaとの比D/Raを280/1.25=224とした状態で、発泡体の中空部に、芯体を発泡体の一端から他端にわたって圧入した。次に、発泡体を芯金の端部から10mmの位置で切断した後、発泡体の表面をさらに研磨して、外径が10mmである発砲ロール(図1(a)に示す発泡ロール10)を得た。なお、得られた発砲ロールのロール抵抗値は1×107.7Ωcm、ロール硬度はアスカーC硬度で35°であった。
【0186】
(実施例2〜8、比較例1〜4)
発泡体の端部領域の中空部側表面に位置するセルの平均径D、芯体の表面粗さRa、及び比D/Raを表1に示す値としたこと以外は実施例1と同様にして、実施例2〜8、比較例1〜4の各発泡ロールをそれぞれ作製した。
【0187】
<歪み量の測定>
実施例1〜8、比較例1〜4において、中空部に芯体を圧入した状態(発泡ロールの状態)での発泡体の軸方向の長さ(圧入時時長さ)と、中空部から芯体を脱離させた後の発砲体の軸方向の長さ(脱離時長さ)とを測定した。さらに、圧入時時長さと脱離時長さとの差の絶対値(歪み量)を算出した。結果を表1に示す。なお、歪み量が大きいほど、芯体の圧入による発泡体の歪みが大きいことを意味する。
【0188】
<転写画像の画質の評価>
図10に示す構造を有する画像形成装置(商品名:1320cカラーレーザープリンタ、Dell製)の一次転写ローラ410a〜410dとして、実施例1の各発泡ロールを用いて印刷を行い、得られた印刷画像の画質を評価した。また実施例2〜8、比較例1〜4の各発泡ロールを用いて、実施例1の場合と同様に画質の評価を行った。結果を表1に示す。
【0189】
なお、画質の評価に先立って、発泡ロールを温度22℃、湿度55%RHの環境下に24時間放置した。また、プロセス速度は150mm/sとし、転写電流は10μAとした。また、一次転写ローラを搬送ベルト(中間転写ベルト)を介して電子写真感光体に押し当てる荷重を150g、300g、500gとした場合について、それぞれ画質の評価を行った。また、表1では、画質不良(濃度ムラ及び/又は色ズレ)が起きるまでの印刷枚数が3×105枚以上であった場合、画質を「◎」と評価し、2×105以上3×105枚未満であった場合、「○」と評価し、1×105以上2×105枚未満であった場合、「△」と評価し、5×104以上1×105枚未満であった場合、「×」と評価し、5×104未満であった場合、「××」と評価した。また、表1において、「摩擦大」とは、発泡体と芯体との間の摩擦力が大きく、発泡体に歪みが生じたことに起因して画質不良が発生したことを意味し、「保持力小」とは、発泡体と芯体との間の摩擦力が小さく、発泡体の位置ずれが生じたことに起因して画質不良が発生したことを意味する。
【0190】
【表1】
【0191】
(実施例9〜14、比較例5〜10)
芯体の外径をφ12mmとし、発泡体の厚さを3mmとしたこと以外は実施例1と同様にして、実施例9〜14、比較例5〜10の各発泡ロールを作製した。
【0192】
また、図10に示す構造を有する画像形成装置(商品名:Docu Print C2250カラーレーザープリンタ、Fuji Xerox社製)の二次転写ローラ413として、実施例9〜14、比較例5〜10の各発泡ロールを用いて10万枚の印刷を行った。また、実施例9〜14、比較例5〜10では、バックアップロール408が当接された二次転写ローラ413表面の二次転写ローラ413の軸側への食い込み量(R−r)を表2に示す値として印刷を行った(図11参照)。また、画像形成装置が備える中間転写体ベルト409としては、0.08mm厚のPI(ポリイミド)材からなる中間転写体ベルトを用いた。また、中間転写体ベルトにCB(カーボンブラック)等の抵抗調整剤を含有させることにより、中間転写体ベルトの抵抗値を1×107〜1×1013Ωcmに制御した。
【0193】
実施例9〜14、比較例5〜10の各発泡ロールを用いた印刷では、印刷中における発泡体の位置ずれ(ゴムズレ)の発生の有無、及び紙(被転写媒体)におけるしわ(紙しわ)の発生の有無を評価した。結果を表2に示す。なお、表2では、ゴムズレが無かった場合、ゴムズレを「○」と評価し、ゴムズレが発生した場合、ゴムズレを「×」と評価した。また、紙しわが無かった場合、紙しわを「○」と評価し、紙しわが軽微であった場合、紙しわを「△」と評価し、紙しわが顕著であった場合、紙しわを「×」と評価した。
【0194】
【表2】
【0195】
(実施例15)
実施例15では、実施例12と同様の発泡ロールを二次転写ロールとして用いて、実施例12と同様の条件下で印刷を行い、2次転写後の紙(被転写媒体)の走行方向(剥離角度差)と樹枝状の画像欠陥及び飛散による画像欠陥の発生との関係を評価した。結果を表3に示す。なお、樹枝状の画像欠陥とは、画像からトナーが枝状に伸びる画像欠陥を意味し、飛散による画像欠陥とは、画像の周りにトナーが飛び散る画像欠陥を意味する。また、剥離角度とは、二次転写ロールの軸の中心とバックアップロールの軸の中心を結ぶ直線と、被転写媒体が中間転写ベルトから剥離する時の方向の延長線とがなす角度であり、剥離角度差とは、二次転写ロールの転写電圧を0Vとした場合の剥離角度と、二次転写ロールの転写電圧を0V以外の値とした場合の剥離角度との差を意味する。
【0196】
また、実施例15の印刷では、トナー像の紙への転写時において、バップアップロールにトナー極性とは逆の負の電圧を印加した。また、印刷中、二次転写ロールはアースさせた。又、印刷は、湿度15%、温度10℃の低温低湿環境下で行った。剥離角度差は、レーザー変位計を用いて紙の先端位置を測定することにより求めた。
【0197】
また、表3において、樹枝状の画像欠陥の発生が無い場合、樹枝状の画像欠陥を「G−0」と評価し、樹枝状の画像欠陥が軽微な場合、樹枝状の画像欠陥を「G−1」と評価し、樹枝状の画像欠陥が顕著な場合、樹枝状の画像欠陥を「G−2」と評価した。また、飛散による画像欠陥が無い場合、飛散による画像欠陥を「G−0」と評価し、飛散による画像欠陥が軽微な場合、飛散による画像欠陥を「G−1」と評価し、飛散による画像欠陥が顕著な場合、飛散による画像欠陥を「G−2」と評価した。
【0198】
【表3】
【0199】
印刷の結果、紙に両面プリントした場合に最も顕著に樹枝状の画像欠陥と飛散による画像欠陥が発生した。
【0200】
また、被転写媒体の走行方向が、負極性にバイアスされたバックアップロール寄り(表3において剥離角度差が負である方向)である場合、飛散による画像欠陥が発生した。一方、被転写媒体の走行方向が、バックアップロールに比べて相対的に正極性にバイアスされた二次転写ロール寄り(表3において剥離角度差が正である方向)である場合には、樹枝状の画像欠陥が発生した。
【0201】
また剥離角度差が−10°未満又は+10°を超える場合、樹枝状の画像欠陥又は飛散による画像欠陥が発生し易いことが確認された。また、用紙走行方向が、転写電圧を0Vとした場合の位置から離れるにしたがって、樹枝状の画像欠陥又は飛散による画像欠陥の発生が顕著となること確認された。
【0202】
実施例15で確認された上記現象は、転写電圧が0Vである場合(樹枝状の画像欠陥又は飛散による画像欠陥が発生し難い場合)は、紙に電気的吸着力が生じないこと、また転写電圧が0Vではない場合(樹枝状の画像欠陥又は飛散による画像欠陥が発生し易い場合)は、紙の帯電極性及び帯電量によって、紙に生じる電気的吸着力の向き、大きさが変化すること、に起因して起こる現象であると推測される。
【図面の簡単な説明】
【0203】
【図1】図1(a)及び図1(b)は、それぞれ本発明の発泡ロールの好適な一実施形態を示す模式断面図である。
【図2】図2(a)は、図1(b)に示す発泡ロールの軸方向に垂直な断面の模式図であり、図2(b)は、芯体が中空部に挿入される前の発泡体の端部領域を発泡体の軸方向に対して垂直に切断して得た断面の顕微鏡像である。
【図3】本発明の画像形成装置に用いられる電子写真感光体の一例を示す模式断面図である。
【図4】本発明の画像形成装置に用いられる電子写真感光体の他の一例を示す模式断面図である。
【図5】本発明の画像形成装置に用いられる電子写真感光体の他の一例を示す模式断面図である。
【図6】本発明の画像形成装置に用いられる電子写真感光体の他の一例を示す模式断面図である。
【図7】本発明の画像形成装置に用いられる電子写真感光体の他の一例を示す模式断面図である。
【図8】本発明の画像形成装置の好適な一実施形態の基本構成を概略的に示す断面図である。
【図9】本発明の画像形成装置の他の好適な一実施形態の基本構成を概略的に示す断面図である。
【図10】本発明の画像形成装置の他の好適な一実施形態の基本構成を概略的に示す断面図である。
【図11】図10に示すバックアップロール、二次転写ロール、中間転写ベルト、及び被転写媒体の位置関係を示す要部拡大図である。
【符号の説明】
【0204】
1・・・芯体、2・・・発泡体、3・・・セル、31・・・電荷発生層、32・・・電荷輸送層、33・・・導電性基体、34・・・下引層、35・・・保護層、36・・・感光層、37・・・中間層、38・・・単層型感光層、100、110、120、130、140v電子写真感光体、200、210、220・・・画像形成装置、207・・・電子写真感光体、208・・・帯電装置、209・・・電源、210・・・露光装置、211・・・現像装置、212・・・転写装置、213・・・クリーニング装置、214・・・除電器、215・・・定着装置、400・・・ハウジング、401a〜401d・・・電子写真感光体、402a〜402d・・・帯電ロール、403・・・レーザー光源(露光装置)、404a〜404d・・・現像装置、405a〜405d・・・トナーカートリッジ、406・・・駆動ロール、407・・・テンションロール、408・・・バックアップロール、409・・・中間転写ベルト、410a〜410d・・・一次転写ロール、411・・・トレイ(被転写体トレイ)、412・・・移送ロール、413・・・二次転写ロール、414・・・定着ロール、415a〜415d・・・クリーニングブレード、416・・・クリーニングブレード、500・・・被転写媒体。
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡ロール及びその製造方法、プロセスカートリッジ、並びに、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を利用した画像形成装置では、像担持体である光導電性感光体上に一様な電荷を形成し、画像信号を変調したレーザー光等により静電潜像を形成した後、帯電したトナーで上記静電潜像を現像して可視化したトナー像とする。そして、このトナー像を、中間転写体を介して或いは直接記録媒体に静電的に転写することにより、所望の転写画像を得ることができる。
【0003】
このような画像形成装置の一例としては、像担持体に形成したトナー像を中間転写体に一次転写し、さらに中間転写体上のトナー像を記録紙に二次転写するバイアスロール方式を採用した画像形成装置が知られている。この画像形成装置では、導電性または半導電性の転写ロールを用いて中間転写体に記録紙を押圧し、電界を印加してトナー像を記録紙へ静電的に転写する。
【0004】
転写ロールとしては、一般的に円柱状の金属製の芯体(シャフト)と、この芯体の周囲に同心円状に形成された発泡体(発泡層)とを備える導電性又は半導電性の発泡ロールが挙げられる(例えば、特許文献1又は2参照)。
【特許文献1】特開平6−249234号公報
【特許文献2】特開2003−247533号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、発泡体の歪み及び位置ずれを防止できる発泡ロール、発泡ロールの製造方法、発泡ロールを備えるプロセスカートリッジ、及び発泡ロールを備える画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、複数のセルを有する円柱状の発泡体と、発泡体の軸方向において発泡体を貫通する中空部に発泡体の一端から他端にわたって挿入され、発泡体と接触する導電性の芯体と、を備え、芯体が中空部に挿入される前の発泡体の中空部側表面において、発泡体の軸方向の全長に対して発泡体の端部からの距離が5%以内である領域では、中空部側表面に位置するセルの平均径Dと芯体の表面粗さRa(算術平均粗さ)との比D/Raが100以上400以下であることを特徴とする発泡ロールにある。
【0007】
請求項2に記載の発明は、芯体の表面粗さRaが0.5以上2.5以下であることを特徴とする、請求項1に記載の発泡ロールにある。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発泡ロールを転写ロールとして備えることを特徴とする画像形成装置用のプロセスカートリッジにある。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1または2に記載の発泡ロールを転写ロールとして備えることを特徴とする画像形成装置にある。
【0010】
請求項5に記載の発明は、転写ベルト又は被転写媒体の少なくともいずれかを介して転写ロールに当接する対向ロール、を備え、対向ロールが当接された転写ロールの表面の転写ロールの軸側への食い込み量が0.6mm以上1mm以下であることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置にある。
【0011】
請求項6に記載の発明は、転写ロールが二次転写ロールであることを特徴とする請求項4または5に記載の画像形成装置にある。
【0012】
請求項7に記載の発明は、複数のセルを有する円柱状の発泡体の軸方向において発泡体を貫通する中空部に、導電性の芯体を発泡体の一端から他端にわたって圧入し、芯体を発泡体に接触させる工程を備え、芯体が中空部に圧入される前の発泡体の中空部側表面において、発泡体の軸方向の全長に対して発泡体の端部からの距離が5%以内である領域では、中空部側表面に位置するセルの平均径Dと芯体の表面粗さRaとの比D/Raを100以上400以下とすることを特徴とする発泡ロールの製造方法にある。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明は、本構成を有していない場合と比較して、発泡体の歪み及び位置ずれを防止できるという効果を有する。
【0014】
請求項2に記載の発明は、発泡体の歪み及び位置ずれを防止できるという請求項1に記載の発明による効果を有効に実現できるものである。
【0015】
請求項3に記載の発明は、発泡体の歪み及び位置ずれを防止できるという請求項1または2に記載の発明による効果に加えて、本構成を有していない場合と比較して転写画像の画質不良を防止できるという効果を有する。
【0016】
請求項4に記載の発明は、発泡体の歪み及び位置ずれを防止できるという請求項1または2に記載の発明による効果に加えて、本構成を有していない場合と比較して転写画像の画質不良を防止できるという効果を有する。
【0017】
請求項5に記載の発明は、発泡体の歪み及び位置ずれを防止できるという請求項1または2に記載の発明による効果を有するのみならず、転写画像の画質不良を防止できるという請求項4に記載の発明による効果を有効に実現できるものである。
【0018】
請求項6に記載の発明は、発泡体の歪み及び位置ずれを防止できるという請求項1または2に記載の発明による効果を有するのみならず、転写画像の画質不良を防止できるという請求項4又は5に記載の発明による効果を有効に実現できると共に、本構成を有していない場合と比較して被転写媒体の転写ロールへの巻き付きを防止できるという効果を有する。
【0019】
請求項7に記載の発明は、上記本発明の発泡ロールを製造するための製造方法を提供するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0021】
(発泡ロール)
図1(a)、図1(b)は、本発明の発泡ロールの好適な一実施形態を示す模式断面図である。図2(a)は、図1(b)に示す発泡ロール10をX−X線に沿って切断した断面の模式図である。図1(b)、図2(a)に示す発泡ロール10は、内部に複数のセル(泡)3が形成された円柱状の発泡体2と、導電性の芯体1とを有している。芯体1は、発泡体2の軸方向において発泡体2を貫通する円柱状の中空部に発泡体2の一端から他端にわたって挿入されている。また、芯体1と発泡体2とは、それらの間に接着剤層等を介することなく、直に接触している。
【0022】
芯体1が発泡体2の中空部に挿入される前の発泡体2の中空部側表面において、発泡体の軸方向の全長Lに対して発泡体2の端部からの距離が5%以内(0.05×L以内)である端部領域aでは、中空部側表面に位置するセル3の平均径Dと芯体1の表面粗さRaとの比D/Raが100以上400以下であり、好ましくは150以上350以下である。これにより、発泡体2の歪み及び位置ずれを防止することができると共に、芯体1と発泡体2との間に接着剤層を介在させることなく、両者を互いに固定することができる。
【0023】
比D/Raが100より小さい場合、発泡体2の中空部側表面(内周面)と芯体1との接触面積が大きくなるため、発泡体2の中空部に芯体1を挿入する際に発泡体2の中空部側表面と芯体1との摩擦力が大きくなり、発泡体2に歪みが発生し易く、例えば、発泡ロール10の軸方向に垂直な断面の真円度が変化する傾向がある。芯金の挿入によって生じた歪みが発泡体2に残った状態で発泡ロール10を使用すると、使用中に歪みが開放されて発泡体2が変形し易くなる。一方、比D/Raが400より大きい場合、発泡体2と芯体1との密着性が低下するため、発泡ロール10の使用中に発泡体2が所望の位置から芯体1の軸方向へずれ易くなる。
【0024】
なお、芯体1が発泡体2の中空部に挿入される前の端部領域aにおけるセル3の平均径Dは、例えば、発泡体2をその軸方向に沿って切断した断面を、写真撮影部分を備える光学顕微鏡で観察することにより測定できる。なお、平均径Dの測定倍率は、例えば、接眼10倍×対物20倍とし、測定環境は、22℃55%RHとすればよい。また、測定では、切断した発泡体2の端部領域aにおいて中空部に最も近い部分に位置するセル3の断面をランダムに例えば複数観察し、個々のセル3の断面の最大内径を測定し、その平均値をセル3の平均径Dとすればよい。このような平均径Dの測定に実際に用いる顕微鏡像を図2(b)に示す。図2(b)は、芯体1が中空部に挿入される前の発泡体2の端部領域aを発泡体2の軸方向に対して垂直に切断して得た断面の顕微鏡像Ybであり、顕微鏡像Ybは、図2(a)に示す発泡ロール10の断面における中空部側領域Yaに対応する。
【0025】
芯体1の表面粗さRaは、公知の表面粗さ計を用いて測定すればよい。
【0026】
芯体1の表面粗さRaは0.5μm以上2.5μm以下であることが好ましく、0.8μm以上2.0μm以下であることがより好ましい。表面粗さRaが0.5μmより小さい場合、発泡体2の中空部側表面(内周面)と芯体1との接触面積がより大きくなるため、発泡体2の中空部に芯体1を挿入する際に発泡体2の中空部側表面と芯体1との摩擦力がより大きくなり、発泡体2に歪みがより発生し易くなる。また、表面粗さRaが2.5μmより大きくなると、発泡体2と芯体1との密着性がより低下するため、発泡ロール10の使用中に発泡体2が所望の位置から芯体1の軸方向へよりずれ易くなる。
【0027】
発泡体2内に形成された複数のセル3の大きさは、D/Raが100以上400以下であれば特に限定されないが、発泡体2内に形成された複数のセル3のうち、発泡体の外表面側(外周面側)に位置するセル3の径は、芯体1側(中空部側)に位置するセルの径より大きいことが好ましい。すなわち、セル3の位置が発泡体2外表面側に近いほど、セル3の径が大きくなることが好ましい。発泡体2の外表面側に位置するセルの径が大きい発泡ロール10を画像形成装置に装備させた場合、トナー像を記録媒体に転写する機能と、トナーを掻き取り、逆バイアスの印加によって中間転写体に転移させるためのクリーニングの機能との両機能を発泡ロール10に付与することができる。ただし、径の大き過ぎるセル3が発泡体2全体に存在すると、芯体1と発泡体2との密着性が低下する傾向がある。なお、図1(a)に示すように、発泡体2内に形成された複数のセル3の大きさが均一であってもよい。
【0028】
発泡体2の中空部の内径は、芯体1の外径に比べて5%から15%程度小さいことが好ましく、10%程度小さいことがより好ましい。これにより、発泡体2の歪み及び位置ずれを防止し易くなる。
【0029】
以下、本実施形態の発泡ロールを構成する各要素について説明する。
【0030】
芯体1(シャフト)は、発泡ロール10の電極及び支持部材として機能する円柱状の部材であり、例えば、アルミニウム、鉄、銅合金、ステンレス鋼等の金属又は合金、これらの金属をクロム、ニッケル等で鍍金処理を施したもの、又は導電性の樹脂などの導電性の材質で構成される。なお、芯体1の外径は、5mm以上20mm以下であることが好ましい。
【0031】
発泡体2は、例えば、ゴム材等を発泡させた発泡材で構成される。ゴム材等を発泡させることによって、発泡体2の硬度が低くなる。また、ゴム材に後述する導電剤及び発泡剤を添加して、半導電性の発泡体2を形成することにより、発泡体2の電気抵抗の環境依存性を小さくすることができる。
【0032】
発泡体2を構成するゴム材としては、例えば、エピクロルヒドリンゴム、ポリウレタンゴム、ニトリルゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシドゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、スチレン−ブタジエンゴム(SB)、塩素化ポリイソプレン、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム、水素化ポリブタジエン、ブチルゴム、シリコーンゴム等、又はこれらの2種以上をブレンドしてなる材料が挙げられる。これらの中でも、ウレタンゴム、ニトリルゴム、エピクロルヒドリン(ECO)ゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)が好ましい。特に、エピクロルヒドリンを主成分とする合成ゴムは、ゴム自体がある程度の通電性(イオン導電性)を有しているため、発泡ロールに添加される導電剤の添加量が少量で済み、さらに各種ロール毎に要求される電気抵抗(抵抗値)を比較的容易に調整することができることから好ましい。
【0033】
発泡体2中には、必要に応じて、電子伝導性導電剤、イオン伝導性導電剤、又は導電性ポリマーを含有、分散させてもよい。また、これらを2種以上組み合わせて発泡体2中に含有、分散してもよい。これにより、発泡体2の抵抗を調整でき、安定した所望の電気抵抗値を得ることができる。
【0034】
電子伝導性導電剤としては、カーボンブラック、グラファイト、アルミニウム、ニッケル、銅合金などの金属または合金、酸化錫、酸化亜鉛、チタン酸カリム、酸化錫−酸化インジウムまたは酸化錫−酸化アンチモン複合酸化物などの金属酸化物などが挙げられる。
【0035】
イオン伝導性導電剤としては、スルホン酸塩やアンモニア塩など、また、カチオン系、アニオン系、ノニオン系などの各種の界面活性剤が挙げられる。
【0036】
導電性ポリマーとしては、例えば、カルボキシル基に4級アンモニウム塩基を結合する(メタ)アクリレートとの各種(例えばスチレン)共重合体、4級アンモニウム塩基と結合するマレイミドとメタアクリレートとの共重合体等の4級アンモニウム塩基を結合するポリマー、ポリスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸のアルカリ金属塩を結合するポリマー、分子鎖中に少なくともアルキルオキシドの親水性ユニットを結合するポリマー、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール系ポリアミド共重合体、ポリエチレンオキシド−エピクロルヒドリン共重合体、ポリエーテルアミドイミド、ポリエーテルを主セグメントとするブロック型のポリマー、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリフェニレンビニレンが挙げられる。これらの導電性ポリマーは、脱ドープ状態、またはドープ状態で用いることができる。
【0037】
発泡体2中の導電剤の含有量は、特に制限はないが、ゴム材100質量部に対して、好ましくは5〜50質量部、より好ましくは10〜30質量部とする。導電剤の含有量が5質量部未満である場合、発泡体2の所望の電気抵抗を安定して得ることができない傾向がある。導電剤の含有量が50質量部を超える場合、発泡体2の所望の電気抵抗、ロール硬度を安定して得ることができない傾向がある。発泡体2を構成するゴム材中に導電剤を分散させる方法としては、加圧ニーダー、バンバリーミキサー、2本ロール、3本ロール等の方法を適用できる。
【0038】
なお、発泡体2には、ゴム材や導電剤の他に、加硫に必要となる発泡剤や、難燃剤、劣化防止剤、整泡剤、各種充填剤等を添加してもよい。発泡剤としては、例えば、ベンゼンスルホニルヒドラジド、アゾジカルボンアミド、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミンやこれらの混合物等が用いられる。難燃剤としては、例えば、トリスクロロエチルホスフェート、トリスクロロプロピルホスフェート等のリン酸エステル系化合物等を用いることができる。劣化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤等の酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤等の紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系等の光安定剤などを用いることができる。整泡剤としては、ジメチルシリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル等のシリコーン系界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤などが用いられる。
【0039】
発泡体2の体積抵抗率は、通常、1×1014Ω・cm以下であることが好ましく、1×104〜1×1012Ω・cmであることがより好ましい。
【0040】
発泡体2の厚み(発泡体2の中空部側表面と外周面との間の幅)は、1mm以上20mm以下であることが好ましく、2mm以上10mm以下であることがより好ましい。発泡体2の厚みが1mm未満である場合、ニップ部におけるニップ圧での変形が少なくなり、安定したニップを形成できない傾向がある。発泡体2の厚みが20mmを超える場合、発泡ロール10の外径が40mmより大きくなるために、発泡ロール10を装備する画像形成装置のサイズが大きくなり、画像形成装置のコストが増加する傾向がある。
【0041】
発泡ロール10は、発泡体2の表面にコート層(表面層)を更に有していてもよい。
【0042】
コート層を構成する材料としては、特に制限されないが、ブリードやブルームを防止する観点から、高分子材料を用いることが好ましい。コート層を構成する高分子材料としては、例えば、ポリアミド、ポリウレタン、ポリフッ化ビニリデン、4フッ化エチレン共重合体、ポリエステル、ポリイミド、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体、メラミン樹脂、フッ素ゴム、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、セルロース、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体等を挙げることができる。これらの高分子材料は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0043】
(発泡ロールの製造方法)
次に、本実施形態の発泡ロール10の製造方法について説明する。本実施形態の発泡ロール10の製造方法は、上述の発泡体2を貫通する中空部に、芯体1を発泡体2の一端から他端にわたって圧入し、芯体1を発泡体2に接触させる工程を備える。また、芯体1が発泡体2の中空部に圧入される前の発泡体2の中空部側表面において、発泡体2の端部領域aでは、中空部側表面に位置するセル3の平均径Dと芯体1の表面粗さRaとの比D/Raを100以上400以下とする。すなわち、発泡体2の端部領域aの中空部側表面に位置するセル3の平均径Dと芯体1の表面粗さRaとの比D/Raを100以上400以下とした後に、発泡体2を貫通する中空部に、芯体1を発泡体2の一端から他端にわたって圧入することによって、発泡ロール10が完成する。
【0044】
従来の発泡ロールの製造方法においては、発泡体の中空部に芯体を圧入する際に、発泡体と芯体との間に作用する摩擦力によって発泡体に歪みが生じ、例えば、発泡ロール断面の真円度が変わる傾向があった。発泡体の中空部に芯体を圧入した後も発泡体の歪みが残存すると、発泡ロールの使用中に、発泡ロールに作用する荷重によって発泡体の歪みが開放され、ロールが変形する恐れがあった。
【0045】
一方、本実施形態の発泡ロールの製造方法においては、発泡体2の端部領域aと接触する芯体1表面を粗く加工し、且つ発泡体2の端部領域aの中空部側表面に位置するセル3の平均径Dを調整して、比D/Raを100以上400以下とすることによって、芯体1を発泡体2の中空部に圧入する際の摩擦力を低減し、発泡体2に歪みが残存することを防止できる。
【0046】
発泡体2は、上述したゴム材料、導電剤及び発泡剤等を含む混合物を、押出し機等を用いてチューブ状に押出し成形することで作製することができる。なお、芯体1が中空部に圧入される前の発泡体2における端部領域aの中空部側表面に位置するセル3の平均径Dは、発泡体2を形成するためのゴム材及び発泡剤等の種類、及び発泡剤の添加量等によって所望の値に調整することができる。
【0047】
芯体1の表面粗さRaは、例えば、必要に応じて研磨等の処理を施した金属ロール(芯体1の材料)に対して、ショットブラスト、サンドブラスト、液体ブラスト等のブラスト処理等を更に施すことにより、容易かつ確実に実現することができる。
【0048】
(画像形成装置)
次に、本発明の転写ロールを搭載した画像形成装置について説明する。
【0049】
本発明の画像形成装置は、被帯電体である電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電させるための帯電手段と、帯電した上記電子写真感光体に静電潜像を形成するための露光手段と、上記静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成するための現像手段と、上記トナー像を上記電子写真感光体から被転写体に転写するための転写ロールとして、上記本実施形態の発泡ロール10を有する転写手段と、を備えることを特徴とするものである。
【0050】
まず、本発明の画像形成装置に用いられる電子写真感光体について説明する。図3〜7は、それぞれ電子写真感光体の好適な一例を示す模式断面図であり、電子写真感光体を基体及び感光層の積層方向に対して垂直な平面で切断したものである。図3〜7に示した電子写真感光体はいずれも機能分離型感光体であり、各感光体が備える感光層36には、電荷発生材料を含有する電荷発生層31と電荷輸送材料を含有する電荷輸送層32とが別個に設けられている。一方、図7に示した電子写真感光体は単層型感光体であり、電荷発生材料及び電荷輸送材料の双方を含有する単層型感光層38が設けられている。
【0051】
より詳しくは、図3に示した電子写真感光体100においては、導電性基体33上に電荷発生層31及び電荷輸送層32がこの順で積層されてなる感光層36が形成されている。図4に示した電子写真感光体110においては、導電性基体33上に下引層34と、電荷発生層31及び電荷輸送層32がこの順で積層されてなる感光層36とが順次形成されている。図5に示した電子写真感光体120においては、導電性基体33上に下引層34と、電荷発生層31及び電荷輸送層32がこの順で積層されてなる感光層36と、保護層35とが順次形成されている。図6に示した電子写真感光体130においては、導電性基体33上に下引層34と、中間層7と、電荷発生層31及び電荷輸送層32がこの順で積層されてなる感光層36と、保護層35とが順次形成されている。図7に示した電子写真感光体140においては、導電性基体33上に単層型感光層38が形成されている。以下、電子写真感光体を構成する各層について、主に図6に示した電子写真感光体130に基づいて説明する。
【0052】
導電性基体33は特に限定されるものはなく、例えば、アルミニウム、銅、鉄、亜鉛、ニッケル等の金属製ドラム;ポリマー製シート、紙、プラスチック、又はガラス上に、アルミニウム、銅、金、銀、白金、パラジウム、チタン、ニッケル−クロム、ステンレス鋼、銅−インジウム等の金属を蒸着することによって導電処理したドラム状、シート状又はプレート状の基体;ポリマー製シート、紙、プラスチック又はガラス上に、酸化インジウム、酸化錫などの導電性金属化合物を蒸着するか、又は金属箔をラミネートすることによって導電処理したドラム状、シート状又はプレート状の基体;カーボンブラック、酸化インジウム、酸化錫−酸化アンチモン粉、金属粉、沃化銅等をバインダー樹脂に分散し、ポリマー製シート、紙、プラスチック、又はガラス上に塗布することによって導電処理したドラム状、シート状、プレート状の基体などが挙げられる。
【0053】
ここで、金属製ドラムを導電性基体33として用いる場合、その外周面(感光層36が形成される側の面)は素管のままであってもよいが、予め鏡面切削、エッチング、陽極酸化、粗切削、センタレス研削、サンドブラスト、ウエットホーニング、着色処理などの処理を行うことが好ましい。感光層36が形成される側の面を表面処理により粗面化することで、レーザービームのような可干渉光源を用いた場合に発生しうる感光体内での干渉光による木目状の濃度斑を防止することができる。
【0054】
下引層34は、感光層36の帯電時において、導電性基体33から感光層36への電荷の注入を阻止する機能を有する。また、この下引層34は、感光層36を導電性支持体層3に対して一体的に接着保持せしめる接着層としても機能する。更に、この下引層34は、導電性基体33の光反射を防止する機能を有する。
【0055】
下引層34に用いられる材料としては、ジルコニウムキレート化合物、ジルコニウムアルコキシド化合物、ジルコニウムカップリング剤等の有機ジルコニウム化合物;チタンキレート化合物、チタンアルコキシド化合物、チタネートカップリング剤等の有機チタン化合物;アルミニウムキレート化合物、アルミニウムカップリング剤などの有機アルミニウム化合物;アンチモンアルコキシド化合物;ゲルマニウムアルコキシド化合物;インジウムアルコキシド化合物、インジウムキレート化合物等の有機インジウム化合物;マンガンアルコキシド化合物、マンガンキレート化合物等の有機マンガン化合物;スズアルコキシド化合物、スズキレート化合物等の有機スズ化合物;アルミニウムシリコンアルコキシド化合物;アルミニウムチタンアルコキシド化合物;アルミニウムジルコニウムアルコキシド化合物、などの有機金属化合物が挙げられる。これらの中でも、有機ジルコニウム化合物、有機チタン化合物、有機アルミニウム化合物は、残留電位が低く良好な電子写真特性を示すため、好ましく使用される。
【0056】
また、下引層34には、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス−2−メトキシエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−2−アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプロプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、β−3,4−エポキシシクロヘキシルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤を含有させて使用することができる。さらに、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレノキシド、エチルセルロース、メチルセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、ポリアミド、ポリイミド、カゼイン、ゼラチン、ポリエチレン、ポリエステル、フェノール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エポキシ樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジン、ポリウレタン、ポリグルタミン酸、ポリアクリル酸等の公知の結着樹脂を用いることもできる。これらの混合割合は、必要に応じて適宜設定することができる。
【0057】
下引層34中には、金属酸化物微粒子を添加することができる。金属酸化物微粒子としては、所望の電子写真感光体特性が得られるものであれば、公知の金属酸化物より任意に選択できるが、酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛から選ばれる1種以上の金属酸化物の微粒子が好ましく用いられる。また、これらの金属酸化物微粒子は、少なくとも1種以上のカップリング剤で被覆されていることがより好ましく、カップリング剤としてはシランカップリング剤が好ましい。
【0058】
また、下引層34中には、電子輸送性顔料を混合/分散して使用することもできる。電子輸送性顔料としては、ペリレン顔料、ビスベンズイミダゾールペリレン顔料、多環キノン顔料、インジゴ顔料、キナクリドン顔料等の有機顔料、また、シアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、ハロゲン原子等の電子吸引性の置換基を有するビスアゾ顔料やフタロシアニン顔料等の有機顔料、酸化亜鉛、酸化チタン等の無機顔料が挙げられる。これらの顔料の中ではペリレン顔料、ビスベンズイミダゾールペリレン顔料と多環キノン顔料、酸化亜鉛、酸化チタンが、電子移動性が高いので好ましく使用される。また、これらの顔料の表面は、分散性、電荷輸送性を制御する目的で上記カップリング剤や、バインダーなどで表面処理しても良い。電子輸送性顔料は多すぎると下引層34の強度が低下し、塗膜欠陥を生じるため、下引層34全量を基準として95質量%以下、好ましくは90質量%以下で使用される。
【0059】
下引層34は、アクセプター性化合物を付与した金属酸化物微粒子を含有させて形成することもできる。アクセプター性化合物としては所望の特性が得られるものならばいかなるものでも使用可能であるが、特にキノン基を有する化合物が好ましく用いられる。更に、アントラキノン構造を有するアクセプター性化合物がより好ましく用いられる。アントラキノン構造を有するアクセプター性化合物としては、アントラキノンのほか、ヒドロキシアントラキノン系化合物、アミノアントラキノン系化合物、アミノヒドロキシアントラキノン系化合物などが挙げられ、いずれも好ましく用いることができる。より具体的には、アントラキノン、アリザリン、キニザリン、アントラルフィン、プルプリンなどが特に好ましく用いられる。
【0060】
これらのアクセプター性化合物の付与量は所望の特性が得られる範囲であれば任意に設定できるが、好ましくは金属酸化物100質量部に対して0.01〜20質量部、より好ましくは0.05〜10質量部付与される。付与量が0.01質量部未満では下引層34内の電荷蓄積改善に寄与するだけの十分なアクセプター性を付与できないため、繰り返し使用時に残留電位の上昇など維持性の悪化を招きやすい傾向がある。また、20質量部を超えると金属酸化物同士の凝集を引き起こしやすく、下引層34の形成時に下引層34内で金属酸化物が良好な導電路を形成することが困難となり、繰り返し使用時に残留電位の上昇など維持性の悪化を招きやすくなるだけでなく、黒点などの画質欠陥も引き起こしやすくなる傾向がある。
【0061】
金属酸化物微粒子へのアクセプター性化合物の付与方法としては、金属酸化物微粒子をせん断力の大きなミキサ等で攪拌しながら、有機溶媒に溶解させたアクセプター化合物を滴下、乾燥空気や窒素ガスとともに噴霧させることによって金属酸化物微粒子へアクセプター化合物を均一に付与する方法が挙げられる。アクセプター化合物を添加あるいは噴霧する際には溶剤の沸点以下の温度で行われることが好ましく、溶剤の沸点以上の温度で噴霧すると、均一に攪拌される前に溶剤が蒸発し、アクセプター化合物が局部的にかたまってしまい均一な処理ができにくい欠点があるため好ましくない。添加あるいは噴霧した後、さらに溶剤の沸点温度以上で乾燥を行うことができる。また、金属酸化物微粒子を溶剤中で攪拌、超音波、サンドミルやアトライター、ボールミルなどを用いて分散し、アクセプター化合物の有機溶剤溶液を添加し、還流あるいは有機溶剤の沸点以下で攪拌あるいは分散したのち、溶剤除去することで均一に付与される。また、溶剤除去方法はろ過あるいは蒸留、加熱乾燥により留去される。
【0062】
アクセプター化合物を付与される金属酸化物微粒子としては、1×102〜1×1011Ω・cm程度の粉体抵抗(体積抵抗率)を有するものが好ましい。これにより、下引層34はリーク耐性獲得のために適切な抵抗を得ることが可能となる。
【0063】
下引層34は、上述の下引層34を構成する各成分を有機溶媒に混合/分散させて得られる下引層形成用塗布液を導電性基体33上に塗布し、乾燥により溶剤を除去することにより形成される。
【0064】
下引層形成用塗布液を調製する際の混合/分散方法は、ボールミル、ロールミル、サンドミル、アトライター、超音波等を用いる常法が適用される。混合/分散は有機溶剤中で行われるが、有機溶剤としては、有機金属化合物や樹脂を溶解し、また、電子輸送性顔料を混合/分散したときにゲル化や凝集を起こさないものであれば如何なるものでも使用できる。具体的には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤を単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
【0065】
下引層形成用塗布液の塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。このように塗布したものを乾燥させて下引層34を得るが、通常、乾燥は溶剤を蒸発させ、製膜可能な温度で行われる。特に、酸性溶液処理、ベーマイト処理を行った導電性基体33は、導電性基体33の欠陥隠蔽力が不十分となりやすいため、下引層34を形成することが好ましい。
【0066】
このようにして形成される下引層34の厚さは、金属酸化物微粒子を含有しない場合は、0.1〜10μmであることが好ましく、0.5〜5.0μmであることがより好ましい。また、金属酸化物微粒子を含有する場合は、15μm以上であることが好ましく、15〜50μmであることがより好ましい。下引層34の厚さが上記条件を満たすことにより、電子写真感光体における局所的な絶縁破壊(感光体リーク)をより確実に防止することができる。また、長期連続使用においても、安定した特性を得ることができる。
【0067】
中間層37は、電気特性向上、画質向上、画質維持性向上、感光層接着性向上などのために、下引層34と感光層36との間に設けられる層である。
【0068】
中間層37に用いられる材料としては、上記下引層34に用いられる材料と同様に、ジルコニウムキレート化合物、ジルコニウムアルコキシド化合物、ジルコニウムカップリング剤等の有機ジルコニウム化合物;チタンキレート化合物、チタンアルコキシド化合物、チタネートカップリング剤等の有機チタン化合物;アルミニウムキレート化合物、アルミニウムカップリング剤などの有機アルミニウム化合物;アンチモンアルコキシド化合物;ゲルマニウムアルコキシド化合物;インジウムアルコキシド化合物、インジウムキレート化合物等の有機インジウム化合物;マンガンアルコキシド化合物、マンガンキレート化合物等の有機マンガン化合物;スズアルコキシド化合物、スズキレート化合物等の有機スズ化合物;アルミニウムシリコンアルコキシド化合物;アルミニウムチタンアルコキシド化合物;アルミニウムジルコニウムアルコキシド化合物、などの有機金属化合物が挙げられる。これらの中でも、有機ジルコニウム化合物、有機チタン化合物、有機アルミニウム化合物は、残留電位が低く良好な電子写真特性を示すため、好ましく使用される。
【0069】
また、中間層37には、上記下引層34と同様に、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス−2−メトキシエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−2−アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプロプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、β−3,4−エポキシシクロヘキシルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤を含有させて使用することができる。さらに、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレノキシド、エチルセルロース、メチルセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、ポリアミド、ポリイミド、カゼイン、ゼラチン、ポリエチレン、ポリエステル、フェノール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エポキシ樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジン、ポリウレタン、ポリグルタミン酸、ポリアクリル酸等の公知の結着樹脂を用いることもできる。これらの混合割合は、必要に応じて適宜設定することができる。
【0070】
また、中間層37中には、上記下引層34と同様に、電子輸送性顔料を混合/分散して使用することもできる。電子輸送性顔料としては、ペリレン顔料、ビスベンズイミダゾールペリレン顔料、多環キノン顔料、インジゴ顔料、キナクリドン顔料等の有機顔料、また、シアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、ハロゲン原子等の電子吸引性の置換基を有するビスアゾ顔料やフタロシアニン顔料等の有機顔料、酸化亜鉛、酸化チタン等の無機顔料が挙げられる。これらの顔料の中ではペリレン顔料、ビスベンズイミダゾールペリレン顔料と多環キノン顔料、酸化亜鉛、酸化チタンが、電子移動性が高いので好ましく使用される。また、これらの顔料の表面は、分散性、電荷輸送性を制御する目的で上記カップリング剤や、バインダーなどで表面処理しても良い。電子輸送性顔料は多すぎると中間層37の強度が低下し、塗膜欠陥を生じるため、中間層37全量を基準として95質量%以下、好ましくは90質量%以下で使用される。
【0071】
中間層37は、上記下引層34と同様に、上述の中間層37を構成する各成分を有機溶媒に混合/分散させて得られる中間層形成用塗布液を下引層34上に塗布し、乾燥により溶剤を除去することにより形成される。
【0072】
中間層形成用塗布液を調製する際の混合/分散方法は、ボールミル、ロールミル、サンドミル、アトライター、超音波等を用いる常法が適用される。混合/分散は有機溶剤中で行われるが、有機溶剤としては、有機金属化合物や樹脂を溶解し、また、電子輸送性顔料を混合/分散したときにゲル化や凝集を起こさないものであれば如何なるものでも使用できる。具体的には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤を単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
【0073】
中間層形成用塗布液の塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。このように塗布したものを乾燥させて中間層37を得るが、通常、乾燥は溶剤を蒸発させ、製膜可能な温度で行われる。
【0074】
このようにして形成される中間層37の厚さは、0.1〜10μmであることが好ましく、0.5〜5.0μmであることがより好ましい。中間層37の厚さが上記条件を満たすことにより、電子写真感光体を長期連続使用した場合においても、安定した特性を得ることができる。
【0075】
電荷発生層31は、電荷発生材料を真空蒸着により形成するか、又は、電荷発生材料を有機溶剤及び結着樹脂とともに分散し塗布することにより形成される。
【0076】
分散塗布により電荷発生層31を形成する場合、電荷発生材料を有機溶剤、結着樹脂、及び、添加剤等とともに分散して電荷発生層形成用塗布液を調製し、得られた塗布液を中間層37上に塗布し乾燥することにより形成することができる。
【0077】
電荷発生材料としては、公知の電荷発生物質を特に制限なく使用することができる。赤外光用の電荷発生材料としては、フタロシアニン顔料、スクアリリウム、ビスアゾ、トリスアゾ、ペリレン、ジチオケトピロロピロール等が用いられ、可視光用の電荷発生材料としては、縮合多環顔料、ビスアゾ、ペリレン、トリゴナルセレン、色素増感した酸化亜鉛微粒子等が用いられる。これらの中でも特に優れた性能が得られ、好ましく使用される電荷発生材料は、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料である。これらの電荷発生材料を用いることにより、特に高感度で、繰り返し安定性の優れる電子写真感光体を得ることができる。また、フタロシアニン系顔料やアゾ系顔料は一般に数種の結晶型を有しており、目的にあった電子写真特性が得られる結晶型であるならば、これらのいずれの結晶型でも用いることができる。特に好ましく用いられる電荷発生材料としては、クロロガリウムフタロシアニン、ジクロロススフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、無金属フタロシアニン、オキシチタニルフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン等が挙げられる。
【0078】
電荷発生層31は、特にヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を含有することが、均一帯電性を得る観点から好ましい。ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料は所望の特性を得られるものであればいかなるものでも使用できるが、特にCuKα特性X線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角度(2θ±0.2°)の7.5°及び28.3°に回折ピークを有するものが好ましく用いられる。
【0079】
電荷発生層31に用いられる結着樹脂としては、広範な絶縁性樹脂から選択することができる。好ましい結着樹脂としては、ポリビニルアセタール樹脂、ポリアリレート樹脂(ビスフェノールAとフタル酸の重縮合体等)、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等の絶縁性樹脂や、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン、ポリシラン等の有機光導電性ポリマーが挙げられる。これらの中でも、ポリビニルアセタール樹脂及び塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体が好ましく用いられる。これらの結着樹脂は1種を単独であるいは2種以上を混合して用いることができる。
【0080】
電荷発生層31は、電荷発生材料の真空蒸着、あるいは電荷発生材料及び結着樹脂を含む電荷発生層形成用塗布液の塗布により形成される。電荷発生層形成用塗布液において、電荷発生材料と結着樹脂との配合比(質量比)は、10:1〜1:10の範囲が好ましく、8:2〜3:7の範囲がより好ましい。塗布液を調整するための溶媒としては公知の有機溶剤、例えばアルコール系、芳香族系、ハロゲン化炭化水素系、ケトン系、ケトンアルコール系、エーテル系、エステル系等から任意に選択することができる。溶媒としてより具体的には、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤を用いることができる。これらの溶剤は単独であるいは2種以上混合して用いることができる。2種以上混合する際、使用される溶剤としては、混合溶剤として結着樹脂を溶かす事ができる溶剤であれば、いかなるものでも使用することが可能である。
【0081】
電荷発生物質及び結着樹脂を溶媒に分散させる方法としては、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、コロイドミル、ペイントシェーカー等の方法を用いることができる。
【0082】
さらに、電荷発生層31を形成する際に用いる塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。
【0083】
このようにして形成される電荷発生層31の厚さは、良好な電気特性と画質を与えるために、0.05〜5.0μmであることが好ましく、0.1〜1.0μmであることがより好ましい。電荷発生層31の厚さが0.05μm未満であると、感度が不十分となる傾向がある。一方、電荷発生層31の厚さが5.0μmを超えると、帯電性の不良などの弊害を生じさせやすくなる傾向がある。
【0084】
また、電荷発生層31に用いられる電荷発生材料には、電気特性の安定性向上、画質欠陥防止などのために表面処理を施すことができる。表面処理剤としてはカップリング剤、有機ジルコニウム化合物、有機チタン化合物、有機アルミニウム化合物などを用いることができるが、これらに限定されるものではない。
【0085】
表面処理に用いるカップリング剤の例としては、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルメトキシシラン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤が挙げられる。特に好ましく用いられるシランカップリング剤としては、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシシラン)、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤が挙げられる。
【0086】
また、有機ジルコニウム化合物としては、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセト酢酸エチル、ジルコニウムトリエタノールアミン、アセチルアセトネートジルコニウムブトキシド、アセト酢酸エチルジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムオキサレート、ジルコニウムラクテート、ジルコニウムホスホネート、オクタン酸ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム、ラウリン酸ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニウム、イソステアリン酸ジルコニウム、メタクリレートジルコニウムブトキシド、ステアレートジルコニウムブトキシド、イソステアレートジルコニウムブトキシド等が挙げられる。
【0087】
また、有機チタン化合物としては、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンアセチルアセトネート、ポリチタンアセチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンラクテートエチルエステル、チタントリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレート等が挙げられる。
【0088】
また、有機アルミニウム化合物としては、アルミニウムイソプロピレート、モノブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムブチレート、ジエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)等が挙げられる。
【0089】
電荷輸送層32は、例えば電荷輸送材料及び結着樹脂を含んで構成される。電荷輸送層32に含有される電荷輸送材料としては、公知のものならいかなるものでも使用可能であり、例えば、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール誘導体、1,3,5−トリフェニル−ピラゾリン、1−[ピリジル−(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノスチリル)ピラゾリン等のピラゾリン誘導体、トリフェニルアミン、トリ(P−メチル)フェニルアミン、N,N’−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン、ジベンジルアニリン、9,9−ジメチル−N,N’−ジ(p−トリル)フルオレノン−2−アミン等の芳香族第3級アミノ化合物、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジアミン等の芳香族第3級ジアミノ化合物、3−(4’ジメチルアミノフェニル)−5,6−ジ−(4’−メトキシフェニル)−1,2,4−トリアジン等の1,2,4−トリアジン誘導体、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン、4−ジフェニルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン、[p−(ジエチルアミノ)フェニル](1−ナフチル)フェニルヒドラゾン等のヒドラゾン誘導体、2−フェニル−4−スチリル−キナゾリン等のキナゾリン誘導体、6−ヒドロキシ−2,3−ジ(p−メトキシフェニル)−ベンゾフラン等のベンゾフラン誘導体、p−(2,2−ジフェニルビニル)−N,N’−ジフェニルアニリン等のα−スチルベン誘導体、エナミン誘導体、N−エチルカルバゾール等のカルバゾール誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体等の正孔輸送物質、クロラニル、ブロモアニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールや2,5−ビス(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)1,3,4オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物、3,3’,5,5’テトラ−t−ブチルジフェノキノン等のジフェノキノン化合物等の電子輸送物質、あるいは以上に示した化合物からなる基を主鎖又は側鎖に有する重合体等が挙げられる。これらの電荷輸送材料は、1種を単独で又は2種以上を組み合せて使用できる。
【0090】
電荷輸送層32に用いられる結着樹脂としては、公知のものであればいかなるものでも使用することができるが、電気絶縁性のフィルムを形成可能な樹脂が好ましい。結着樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂や、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシラン、特開平8−176293号公報や特開平8−208820号公報に示されているポリエステル系高分子電荷輸送材等高分子電荷輸送材を用いることもできる。これらの中でも、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂は、電荷輸送材料との相溶性、溶剤への溶解性、強度の点で優れるため、好ましく用いられる。これらの結着樹脂は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。また、結着樹脂と電荷輸送材料との配合比(質量比)はいずれの場合も任意に設定することができるが、電気特性低下、膜強度低下に注意しなくてはならない。
【0091】
また、高分子電荷輸送材を単独で用いることもできる。高分子電荷輸送材としては、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシラン等の電荷輸送性を有する公知のものを用いることができる。特に、特開平8−176293号公報や特開平8−208820号公報に示されているポリエステル系高分子電荷輸送材は、高い電荷輸送性を有しており、とくに好ましいものである。高分子電荷輸送材はそれだけでも電荷輸送層として使用可能であるが、上記結着樹脂と混合して成膜してもよい。
【0092】
電荷輸送層32は、電荷輸送物質及び結着樹脂、並びにその他の材料を適当な溶媒に溶解させた電荷輸送層形成用塗布液を電荷輸送層31上に塗布し、乾燥することによって形成することができる。電荷輸送層形成用塗布液に用いる溶剤としては、例えば、トルエン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、n−ブタノール等の脂肪族アルコール系溶剤、アセトン、シクロヘキサノン、2−ブタノン等のケトン系溶剤、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテル等の環状或いは直鎖状エーテル系溶剤、或いはこれらの混合溶剤等を用いることができる。
【0093】
電荷輸送層形成用塗布液を電荷発生層31上に塗布する際の塗布方法としては、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、スプレー塗布法、ロールコータ塗布法、ワイヤーバーコーティング法、グラビアコータ塗布法、ビードコーティング法、カーテンコーティング法、ブレードコーティング法、エアーナイフコーティング法等を用いることができる。
【0094】
電荷輸送層32の厚さは、5〜50μmであることが好ましく、10〜40μmであることがより好ましい。
【0095】
電子写真感光体においては、画像形成装置中で発生するオゾンや酸化性ガス、あるいは光や熱による電子写真感光体の劣化を防止する目的で、感光層3中に酸化防止剤や光安定剤などの添加剤を添加することができる。
【0096】
酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノン及びそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機燐化合物等が挙げられる。
【0097】
酸化防止剤の具体的な化合物例として、フェノール系酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、スチレン化フェノール、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−t−ブチル−6−(3’−t−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、4,4’−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−t−ブチル−フェノール)、4,4’−チオ−ビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシ−フェニル)プロピオネート]−メタン、3,9−ビス[2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等が挙げられる。
【0098】
ヒンダードアミン系化合物としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、8−ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,3,8−トリアザスピロ[4,5]ウンデカン−2,4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイミル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,3,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物等が挙げられる。
【0099】
有機イオウ系酸化防止剤としては、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリル−チオプロピオネート)、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオネート、2−メルカプトベンズイミダゾール等が挙げられる。
【0100】
有機燐系酸化防止剤としては、トリスノニルフェニルフォスフィート、トリフェニルフォスフィート、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−フォスフィート等が挙げられる。
【0101】
有機硫黄系および有機燐系酸化防止剤は2次酸化防止剤と言われ、フェノール系あるいはアミン系などの1次酸化防止剤と併用することにより相乗効果を得ることができる。
【0102】
光安定剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ジチオカルバメート系、テトラメチルピペリジン系などの誘導体が挙げられる。
【0103】
ベンゾフェノン系光安定剤としては、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2,2’−ジ−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等が挙げられる。ベンゾトリアゾール系光安定剤として2−(2’−ヒドロキシ−5’メチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(3’’,4’’,5’’,6’’−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル]−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−t−ブチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−アミルフェニル)−ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
【0104】
その他の化合物として、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、ニッケルジブチル−ジチオカルバメート等を用いてもよい。
【0105】
また、感度の向上、残留電位の低減、繰り返し使用時の疲労低減等を目的として、少なくとも1種の電子受容性物質を含有せしめることができる。
【0106】
電子受容性物質としては、例えば、無水琥珀酸、無水マレイン酸、ジブロム無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラブロム無水フタル酸、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、クロラニル、ジニトロアントラキノン、トリニトロフルオレノン、ピクリン酸、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、フタル酸等が挙げられる。これらのうち、フルオレノン系、キノン系や、Cl、CN、NO2等の電子吸引性置換基を有するベンゼン誘導体が特に好ましい。
【0107】
また、特に図3及び4に示すように電荷輸送層32が最表面層である場合、電荷輸送層32には、摩耗を低減する目的で、固形潤滑剤や金属酸化物を分散させることが好ましい。固形潤滑剤としては、フッ素含有樹脂粒子(四フッ化エチレン、三フッ化塩化エチレン、四フッ化エチレン六フッ化プロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、二フッ化二塩化エチレンおよびそれらの共重合等)、ケイ素含有樹脂粒子等を挙げることができる。また、金属酸化物としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化スズ等を挙げることができる。固形潤滑剤を分散すると、電荷輸送層表面の摩擦係数が減少するため、摩耗を抑制することができる。また、金属酸化物を分散すると、電荷輸送層32の機械的硬度が上昇するため、摩耗を抑制することができる。また、フッ素含有樹脂粒子は難分散粒子のためフッ素含有高分子系分散助剤を用いると分散性が向上される。上記固形潤滑剤や金属酸化物を分散させる方法としては、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、コロイドミル、ペイントシェーカー、ホモジナイザー、高圧処理式ホモジナイザー等の方法を用いることができる。この分散の際、分散粒子を1.0μm以下、好ましくは0.5μm以下にすることが有効である。
【0108】
また、電荷輸送層32には、塗膜の平滑性向上のためのレベリング剤としてシリコーンオイルを微量添加することもできる。
【0109】
保護層35は、帯電時の電荷輸送層32の化学的変化を防止したり、感光層36の機械的強度を向上させ、表面層の磨耗、傷などへの耐性をさらに改善する為に用いられる。
【0110】
保護層35の形態としては、硬化性樹脂や電荷輸送性化合物を含む樹脂硬化膜、導電性材料を適当な結着樹脂中に含有させて形成された膜等があるが、電荷輸送性化合物を含有するものが好ましく用いられる。硬化性樹脂としては公知の樹脂であれば特に制限なく使用できるが、特に強度、電気特性及び画質維持性などの観点から、架橋構造を有するものが好ましく、例えばフェノール樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シロキサン系樹脂等が挙げられる。
【0111】
保護層35に用いられる電荷輸送性化合物としては、反応性官能基を有するものであって、使用する硬化性樹脂と相溶するものが好ましく、更に、使用する硬化性樹脂と化学結合を形成するものがより好ましい。反応性官能基を有する電荷輸送化合物としては、下記一般式(I)で表される化合物が好ましい。
【0112】
F[−D−Si(R1)(3−a)Qa]b (I)
[式(I)中、Fは正孔輸送能を有する化合物から誘導される有機基を示し、Dは可とう性を有する2価の基を示し、R1は水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基又は置換若しくは未置換のアリール基を示し、Qは加水分解性基を示し、aは1〜3の整数を示し、bは1〜4の整数を示す。]
【0113】
上記一般式(I)中、Fは、光電特性、具体的には特に光キャリア輸送特性を有するユニットであり、従来、電荷輸送物質として知られている構造をそのまま用いることができる。具体的には、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物等の正孔輸送性を有する化合物骨格、およびキノン系化合物、フルオレノン化合物、キサントン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノビニル系化合物、エチレン系化合物等の電子輸送性を有する化合物骨格を用いることができる。
【0114】
上記一般式(I)中、−Si(R1)(3−a)Qaは、加水分解性基を有する置換ケイ素基であるが、この置換ケイ素は、Si基により互いに架橋反応を起こして、3次元的なSi−O−Si結合を形成する。即ち、この置換ケイ素基は、保護層35中にいわゆる無機ガラス質ネットワークを形成する役割を担う。
【0115】
上記一般式(I)中、Dは可とう性を有する2価の基を示すが、具体的には、光電特性を付与するためのF部位と、3次元的な無機ガラス質ネットワークに直接結合で結びつく置換ケイ素基とを結びつける働きを担い、かつ、堅さの反面もろさも有する無機ガラス質ネットワークに適度な可とう性を付与し、膜としての強靱さを向上させるという働きを担う有機基を表す。Dとして具体的には、−CnH2n−、−CnH(2n−2)−、−CnH(2n−4)−で表わされる2価の炭化水素基(ここで、nは1〜15の整数を表す)、−COO−、−S−、−O−、−CH2−C6H4−、−N=CH−、−(C6H4)−(C6H4)−、及び、これらを任意に組み合わせた特性基、更にはこれらの特性基の構造原子を他の置換基と置換したもの等が挙げられる。
【0116】
上記一般式(I)中、bは2以上であることが好ましい。bが2以上であると、上記一般式(I)で表される光機能性有機ケイ素化合物中にSi原子を2つ以上含むことになり、無機ガラス質ネットワークを形成し易くなり、機械的強度が向上する。
【0117】
また、上記一般式(I)で表わされる化合物における上記Fは、下記一般式(II)で表される基であることが好ましい。下記一般式(II)で表わされる基は、正孔輸送能を有する基であり、これを保護層35に含有させることは、特に保護層35における光電特性と機械特性を向上の観点から好ましい。
【0118】
【化1】
[式(II)中、Ar1、Ar2、Ar3及びAr4はそれぞれ独立に置換又は未置換のアリール基を示し、Ar5は置換若しくは未置換のアリール基又はアリーレン基を示し、且つAr1〜Ar5のうち1〜4個は、上記一般式(I)で表わされる化合物における−D−Si(R1)(3−a)Qaで示される部位と結合するための結合手を有し、kは0又は1を示す。]
【0119】
なお、上記一般式(II)におけるAr5の具体的構造としては、kが0の時は上記Ar1〜Ar4の具体的構造として例示したアリール基が挙げられ、kが1の時はかかるアリール基から所定の水素原子を除いたアリーレン基が挙げられる。
【0120】
上記一般式(I)で表される電荷輸送性化合物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0121】
また、保護層35には、上記一般式(I)で表される電荷輸送性化合物とともに、硬化膜の機械的強度を更に向上させる目的で、下記一般式(III)で表されるような2つ以上のケイ素原子を有する化合物を用いることも好ましい。
【0122】
B(−Si(R40)(3−a)Qa)d (III)
[式(III)中、Bは2価以上の有機基を示し、R40は水素原子、アルキル基又は置換若しくは未置換のアリール基を示し、Qは加水分解性基を示し、aは1〜3の整数を示し、dは2以上の整数を示す。]
【0123】
上記一般式(III)で表わされる化合物は、−Si(R40)(3−a)Qaで表される加水分解性基を有する置換ケイ素基を有している化合物である。この上記一般式(III)で表わされる化合物は、上記一般式(I)で表される化合物との反応又は上記一般式(III)で表わされる化合物同士の反応により、Si−O−Si結合を形成して3次元的な架橋硬化膜を与える。上記一般式(III)で表わされる化合物と上記一般式(I)で表わされる化合物を併用すると、硬化膜の架橋構造が3次元的になりやすく、また、硬化膜に適度な可とう性が付与されるため、より強い機械強度が得られる。
【0124】
また、上記一般式(I)で表される化合物と共に、更に架橋反応可能な他の化合物を併用してもよい。このような化合物として、各種シランカップリング剤、および市販のシリコーン系ハードコート剤等を用いることができる。
【0125】
シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
【0126】
市販のハードコート剤としては、KP−85、CR−39、X−12−2208、X−40−9740、X−41−1007、KNS−5300、X−40−2239(以上、信越シリコーン社製)、および、AY42−440、AY42−441、AY49−208(以上、東レダウコーニング社製)、などが挙げられる。
【0127】
また、保護層35には、表面潤滑性を付与する目的でフッ素原子含有化合物を添加できる。表面潤滑性を向上させることによりクリーニング部材との摩擦係数が低下し、耐摩耗性を向上させることができる。また、電子写真感光体表面に対する放電生成物、現像剤および紙粉などの付着を防止する効果も有し、電子写真感光体の寿命向上に役立つ。
【0128】
フッ素含有化合物は、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素原子含有ポリマーをそのまま添加するか、あるいはそれらポリマーの微粒子を添加することができる。また、保護層35が上記一般式(I)で表される化合物により形成される硬化膜の場合、フッ素含有化合物としては、アルコキシシランと反応できるものを添加し、架橋膜の一部として構成するのが望ましい。そのようなフッ素原子含有化合物の具体例としては、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、3−(ヘプタフルオロイソプロポキシ)プロピルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロアルキルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルトリエトキシシラン、などが挙げられる。
【0129】
上記フッ素含有化合物の含有量は、保護層35全量を基準として20質量%以下とすることが好ましい。含有量が20質量%を越えると、架橋硬化膜の成膜性に問題が生じる場合がある。
【0130】
保護層35は十分な耐酸化性を有しているが、さらに強い耐酸化性を付与する目的で、酸化防止剤を添加してもよい。酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系あるいはヒンダードアミン系が望ましく、有機イオウ系酸化防止剤、フォスファイト系酸化防止剤、ジチオカルバミン酸塩系酸化防止剤、チオウレア系酸化防止剤、ベンズイミダゾール系酸化防止剤等の公知の酸化防止剤を用いてもよい。酸化防止剤の添加量としては、保護層35全量を基準として15質量%以下が好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。
【0131】
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナマイド、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−o−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,5−ジ−t−アミルヒドロキノン、2−t−ブチル−6−(3−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)等が挙げられる。
【0132】
また、保護層35には公知の塗膜形成に用いられるその他の添加剤を添加することも可能であり、レベリング剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、界面活性剤、等公知のものを用いることができる。
【0133】
保護層35は、上述した各種材料及び各種添加剤を含有する保護層形成用塗布液を感光層36上に塗布し、加熱処理することで形成することができる。これにより、上記一般式(I)で表される化合物等が3次元的に架橋硬化反応を起こし、強固な硬化膜が形成される。加熱処理の温度は、下層である感光層36に影響しなければ特に制限はないが、好ましくは室温〜200℃、より好ましくは100〜160℃である。
【0134】
保護層35の形成において、架橋硬化反応は、無触媒で行なってもよく、適切な触媒を用いてもよい。触媒としては、塩酸、硫酸、燐酸、蟻酸、酢酸、トリフルオロ酢酸等の酸触媒、アンモニア、トリエチルアミン等の塩基、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジオクトエート、オクエ酸第一スズ等の有機スズ化合物、テトラ−n−ブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート等の有機チタン化合物、有機カルボン酸の鉄塩、マンガン塩、コバルト塩、亜鉛塩、ジルコニウム塩、アルミニウムキレート化合物等が挙げられる。
【0135】
保護層形成用塗布液には、塗布を容易にするために、必要に応じて溶剤を添加することができる。溶剤として具体的には、水、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、ジメチルエーテル、ジブチルエーテル等の通常の有機溶剤が挙げられる。これらは、1種を単独で、又は2種以上混合して用いることができる。
【0136】
保護層35の形成において、保護層形成用塗布液の塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。
【0137】
こうして形成される保護層35の厚さは、0.5〜20μmであることが好ましく、2〜10μmであることがより好ましい。
【0138】
また、図7に示したように、感光層が単層型感光層38である場合、単層型感光層38は、電荷発生材料、電荷輸送材料及び結着樹脂を含有して形成される。電荷発生材料としては機能分離型感光層における電荷発生層31に使用されるものと同様のものを、電荷輸送材料としては機能分離型感光層における電荷輸送層32に使用されるものと同様のものを、結着樹脂としては機能分離型感光層における電荷発生層31及び電荷輸送層32に用いられる結着樹脂と同様のものを用いることができる。また、塗布に用いる溶剤や塗布方法は、上記各層と同様のものを用いることができる。単層型感光層38の厚さは、5〜50μm程度が好ましく、10〜40μmとすることがさらに好ましい。
【0139】
次に、本発明の画像形成装置を図面に基づき説明する。図8は、本発明の画像形成装置の好適な一実施形態の基本構成を概略的に示す断面図である。図8に示す画像形成装置200は、先に説明した電子写真感光体207と、電子写真感光体207を帯電させる帯電装置208と、帯電装置208に接続された電源209と、帯電装置208(帯電ロール)により帯電される電子写真感光体207を露光して静電潜像を形成する露光装置210と、露光装置210により形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像装置211と、現像装置211(現像ロール)により形成されたトナー像を被転写媒体(画像出力媒体)500に転写する転写装置212(転写ロール)と、クリーニング装置213と、除電器214と、定着装置215と、を備える。なお、この場合には、除電器214が設けられていないものもある。
【0140】
次に、画像形成装置200における基本的な作像動作について説明する。まず、電子写真感光体207(感光体ドラム)の表面を、感光体ドラムに接触し、かつ所定の電圧を電源209から給電されている帯電装置208によって一様に高電位に帯電させる。感光体ドラムを帯電させた直後、感光体ドラムの表面に画像光(露光装置210から照射される光)が照射されると、照射された部分は電位が低下する。画像光は画像の黒/白に応じた光量の分布であるため、画像光の照射によって感光体ドラムの表面に記録画像に対応する電位分布、すなわち静電潜像が形成される。そして、静電潜像が形成された部分が、現像装置211との接触部分を通過すると、その電位の高低に応じてトナーが付着し、静電潜像を可視像化したトナー像が形成される。
【0141】
感光体ドラム表面においてトナー像が形成された部分に、所定のタイミングでレジストローラにより被転写媒体500が搬送され、トナー像に重なる。このトナー像が、転写装置212によって被転写媒体500に転写された後、被転写媒体500は、感光体ドラムから分離される。分離された被転写媒体500は搬送経路を通って搬送され、定着ユニットによって、熱加圧定着されたあと、機外へ排出される。また、転写終了後、感光体ドラムの表面は、クリーニング装置213によりクリーニング処理され、除電器214によって除電された後に、次回の作像処理に移行する。
【0142】
転写装置212(転写ロール)としては、上述した本実施形態の発泡ロール10が用いられる。かかる転写ロールでは、発泡体2の歪みが残存しておらず、転写ロールの使用中に、転写ロールに作用する荷重によって発泡体2の歪みが開放されることがなく、転写ロールが変形することを防止できる。また、かかる転写ロールでは、芯体1と発泡体2との位置ずれが防止される。このように、発泡ロール10を転写ロールとして用いた場合、発泡体2の歪み及び位置ずれが防止されるため、転写ロールの電気特性及び形状精度が安定に維持される。その結果、本実施形態の画像形成装置200では、発泡ロール10を転写ロールとして備えない従来の画像形成装置に比べて、感光体ドラムから被転写媒体500へ転写される転写画像(トナー像)の画質不良(例えば、画像ずれや濃度ムラ)を防止できる。
【0143】
画像形成装置200では、被転写媒体500を介して、電子写真感光体207(対向ロール)が転写ロール(発泡ロール10)に当接しているが、電子写真感光体207が当接された転写ロールの表面の転写ロールの軸側への食い込み量は、0.6mm以上1mm以下であることが好ましい。これにより、転写画像(トナー像)の画質不良をより確実に防止できる。
【0144】
ここで、帯電装置208は、電子写感光体207を接触方式により帯電させるものであり、例えば、導電性又は半導電性のロール、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等の帯電部材を用いた接触型帯電器が用いられる。なお、帯電装置208としては非接触方式のものを用いてもよく、例えば、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器などを用いてもよい。これらの中でも、帯電補償能力に優れる点で接触型帯電器が好ましい。帯電装置208は、電子写真感光体207に対し、通常、直流電流を印加するが、交流電流をさらに重畳させて印加してもよい。また、帯電装置208として、上述した本実施形態の発泡ロール10を用いることもできる。
【0145】
露光装置210としては、電子写真感光体表面に、半導体レーザー、LED(light emitting diode)、液晶シャッター等の光源を所望の像様に露光できる光学系装置等を用いることができる。
【0146】
現像装置211としては、一成分系、二成分系などの正規又は反転現像剤を用いた従来公知の現像装置を用いることができる。
【0147】
現像装置211に使用されるトナーは、例えば結着樹脂と着色剤とを含んで構成される。結着樹脂としては、スチレン類、モノオレフィン類、ビニルエステル類、α−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類、ビニルエーテル類、ビニルケトン類等の単独重合体および共重合体を例示することができ、特に代表的な結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。さらに、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジン、パラフィンワックス等も挙げられる。
【0148】
着色剤としては、マグネタイト、フェライト等の磁性粉、カーボンブラック、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等が代表的なものとして挙げられる。
【0149】
トナーには、帯電制御剤、離型剤、他の無機微粒子等の公知の添加剤を内添加処理や外添加処理してもよい。
【0150】
離型剤としては低分子ポリエチレン、低分子ポリプロピレン、フィッシャートロプシュワックス、モンタンワックス、カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等を代表的なものとして挙げられる。
【0151】
帯電制御剤としては、公知のものを使用することができるが、アゾ系金属錯化合物、サリチル酸の金属錯化合物、極性基を含有するレジンタイプ等の帯電制御剤を用いることができる。
【0152】
他の無機微粒子としては、粉体流動性、帯電制御等の目的で、平均1次粒径が40nm以下の小径無機微粒子を用い、更に必要に応じて、付着力低減の為、それより大径の無機あるいは有機微粒子を併用してもよい。これらの他の無機微粒子は公知のものを使用できる。
【0153】
また、小径無機微粒子については、表面処理を施すことにより分散性が高くなり、粉体流動性を上げる効果が大きくなるため有効である。
【0154】
本発明で用いられるトナーの製造方法としては、高い形状制御性を得られることから、乳化重合凝集法や溶解懸濁法等などの重合法が好ましく用いられる。また上記方法で得られたトナーをコアにして、さらに凝集粒子を付着、加熱融合してコアシェル構造をもたせる製造方法を行ってもよい。外添剤を添加する場合、トナー及び外添剤をヘンシェルミキサーあるいはVブレンダー等で混合することによって製造することができる。また、トナーを湿式にて製造する場合は、湿式にて外添することも可能である。
【0155】
クリーニング装置213は、転写工程後の電子写真感光体の表面に付着する残存トナーを除去するためのもので、これにより清浄面化された電子写真感光体は上記の画像形成プロセスに繰り返し供される。クリーニング装置としては、クリーニングブレードの他、ブラシクリーニング、ロールクリーニング等を用いることができるが、これらの中でもクリーニングブレードを用いることが好ましい。また、クリーニングブレードの材質としてはウレタンゴム、ネオプレンゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。
【0156】
また、本発明の画像形成装置は、図8に示したように、イレース光照射装置214をさらに備えていてもよい。これにより、電子写真感光体が繰り返し使用される場合に、電子写真感光体の残留電位が次のサイクルに持ち込まれる現象が防止されるので、画像品質をより高めることができる。
【0157】
図9は本発明の画像形成装置の他の好適な一実施形態の基本構成を概略的に示す断面図である。図9に示した画像形成装置210は、電子写真感光体207に形成されたトナー像を、1次転写部材212aに転写した後、1次転写部材212aと2次転写部材212bとの間に供給される被転写媒体(画像出力媒体)500に転写する中間転写方式の転写装置を備えるもので、かかる転写の際には1次転写部材212aから電子写真感光体に向けて所定の電流密度の電流が供給可能となっている。1次転写部材212aはドラム形状であってもベルト形状であってもよい。なお、図9中には示していないが、画像形成装置210は、図8に示した画像形成装置200と同様に除電器を更に備えていてもよい。また、画像形成装置210の他の構成は画像形成装置200の構成と同様である。
【0158】
かかる画像形成装置210においては、電子写真感光体207に形成されたトナー像が1次転写部材212aに転写される際に、1次転写部材212aから電子写真感光体207に向けて所定の電流密度の電流を供給することで、被転写媒体500の種類・材質等による転写電流の変動を抑制することができるため、電子写真感光体207に流入する電荷量を精度よく制御することができるようになる。その結果、高画質化及び環境に対する負荷の低減を一層高水準で達成することが可能となる。
【0159】
また、画像形成装置210においては、2次転写部材212b(二次転写ロール)として上述した本実施形態の発泡ロール10が用いられる。発泡ロール10を二次転写ロールとして用いた場合、発泡体2の歪み及び位置ずれが防止されるため、二次転写ロールの電気特性及び形状精度が安定に維持される。その結果、画像形成装置210では、発泡ロール10を二次転写ロールとして備えない従来の画像形成装置に比べて、転写画像(トナー像)の画質不良(例えば、画像ずれや濃度ムラ)を防止できる。
【0160】
画像形成装置210では、被転写媒体500を介して、1次転写部材212a(対向ロール)が二次転写ロール(発泡ロール10)に当接しているが、1次転写部材212aが当接された二次転写ロールの表面の転写ロールの軸側への食い込み量は、0.6mm以上1mm以下であることが好ましい。これにより、転写画像(トナー像)の画質不良をより確実に防止できる。
【0161】
図10は本発明の画像形成装置の他の好適な一実施形態の基本構成を概略的に示す断面図である。図10に示す画像形成装置220は中間転写方式の画像形成装置であり、ハウジング400内において4つの電子写真感光体401a〜401d(例えば、電子写真感光体401aがイエロー、電子写真感光体401bがマゼンタ、電子写真感光体401cがシアン、電子写真感光体401dがブラックの色からなる画像をそれぞれ形成可能である)が中間転写ベルト409に沿って相互に並列に配置されている。ここで、画像形成装置220に搭載されている電子写真感光体401a〜401dは、それぞれ先に説明した電子写真感光体である。
【0162】
電子写真感光体401a〜401dのそれぞれは所定の方向(紙面上は反時計回り)に回転可能であり、その回転方向に沿って帯電ロール402a〜402d、現像装置404a〜404d、一次転写ロール410a〜410d、クリーニングブレード415a〜415dが配置されている。現像装置404a〜404dのそれぞれにはトナーカートリッジ405a〜405dに収容されたブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの4色のトナーが供給可能である。これらのトナーは平均形状係数が100〜140という条件を満たすものである。また、一次転写ロール410a〜410dはそれぞれ中間転写ベルト409を介して電子写真感光体401a〜401dに当接している。なお、画像形成装置220に搭載されている帯電ロール402a〜402d又は一次転写ロール410a〜410dとして、上述した本実施形態の発泡ロール10を用いることができる。
【0163】
ハウジング400内の所定の位置にはレーザー光源(露光装置)403が配置されており、レーザー光源403から出射されたレーザー光を帯電後の電子写真感光体401a〜401dの表面に照射することが可能となっている。これにより、電子写真感光体401a〜401dの回転工程において帯電、露光、現像、1次転写、クリーニングの各工程が順次行われ、各色のトナー像が中間転写ベルト409上に重ねて転写される。
【0164】
中間転写ベルト409は駆動ロール406、バックアップロール408及びテンションロール407により所定の張力をもって支持されており、これらのロールの回転によりたわみを生じることなく回転可能となっている。また、二次転写ロール413は、中間転写ベルト409及び被転写媒体500を介してバックアップロール408と当接するように配置されている。バックアップロール408と二次転写ロール413との間を通った中間転写ベルト409は、例えば駆動ロール406の近傍に配置されたクリーニングブレード416により清浄面化された後、次の画像形成プロセスに繰り返し供される。
【0165】
また、ハウジング400内の所定の位置にはトレイ(被転写媒体トレイ)411が設けられており、トレイ411内の紙などの被転写媒体500が移送ロール412により中間転写ベルト409と二次転写ロール413との間、さらには相互に当接する2個の定着ロール414の間に順次移送された後、ハウジング400の外部に排紙される。
【0166】
かかる画像形成装置220においては、二次転写ロール413として上述した本実施形態の発泡ロール10が用いられる。かかる二次転写ロール413では、発泡体2の歪みが残存しておらず、二次転写ロール413の使用中に、二次転写ロール413に作用する荷重によって発泡体2の歪みが開放されることがなく、二次転写ロール413の変形(例えば、真円度の変化又はたわみ)を防止できる。また、二次転写ロール413では、芯体1と発泡体2との位置ずれが防止されている。このように、二次転写ロール413では、発泡体2の歪み及び位置ずれが防止されるため、二次転写ロール413の電気特性及び形状精度が安定に維持される。その結果、本実施形態の画像形成装置200では、発泡ロール10を二次転写ロール413として備えない従来の画像形成装置に比べて、転写画像(トナー像)の画質不良を防止できる。具体的には、発泡体2の位置ずれを防止することによって、画像ずれが防止でき、二次転写ロール413のたわみを防止することによって、転写画像の濃度ムラを防止できる。
【0167】
画像形成装置220では、図10、図11に示すように、中間転写ベルト409及び被転写媒体500を介して、バックアップロール408(対向ロール)が二次転写ロール413(発泡ロール10)に当接している。バックアップロール408が当接された二次転写ロール413表面の転写ロールの軸側への食い込み量は、0.6mm以上1mm以下であることが好ましい。これにより、転写画像の画質不良をより確実に防止できると共に、被転写媒体500の二次転写ロール413への巻き付きを防止できる。
【0168】
なお、バックアップロール408が当接された二次転写ロール413の表面の転写ロールの軸側への食い込み量とは、図11に示すように、二次転写ロール413の軸側へ食い込んだ二次転写ロール413の表面と二次転写ロール413の軸との最短距離rと、二次転写ロール413の軸方向に垂直な断面の直径Rとの差(R−r)を意味する。
【0169】
二次転写ロール413表面の転写ロールの軸側への食込み量を0.6mm以上とすることによって、多重転写における濃度ムラを効果的に防止できると共に、被転写媒体500の二次転写ロール413への巻き付きを防止できる。また、食込み量を1mm以下とすることによって、二次転写ロール413(発泡ロール10)の芯体1と発泡体2との間に接着剤を介在させることが不要となる。すなわち、食込み量を上記の好適範囲内とすることによって、多重転写性と被転写媒体500の巻き付きの防止とを両立できる。なお、食い込み量を0.6mm以上1mm以下とする場合は、例えば、φ12の芯体1を用い、発泡体2の厚さを3mmとして、二次転写ロール413の外径をφ18とすればよい。これにより、二次転写ロール413の径が小さくなるため、被転写媒体500の剛性の影響によって、被転写媒体500の二次転写ロール413への巻き付きが効果的に防止される。また、このように発泡ロール10の径が小さい場合、被転写媒体や二次転写ベルト等とのニップを安定して形成できる。
【0170】
なお、食込み量が0.6mm未満である場合、多重転写における濃度ムラが発生し易くなることが問題となる。一方、食込みが1mmより大きい場合、長期間プリントを行うことによって芯体1と発泡体2との間にズレが生じ易くなる。これは、画像形成装置220に通常存在する程度のアライメントズレに起因する力が発泡体2の軸方向に作用して、軸方向において装置に固定されている芯体1に対して発泡体2が相対的に移動するためと考えられる。
【0171】
従来、二次転写を行う画像形成装置は、多色重ねトナー像の転写性を得るために、加圧しながら転写電界を作用させることが可能な二次転写ロールと、中間転写体ベルトの内側で二次転写ロールに対向したバックアップロールとを備える。また、カラーレジストレーションの観点から、バックアップロールとしては、二次転写ロールよりも変形しにくい薄肉のソリッドゴム製ロールや金属製ロールが用いられる。ここで、二次転写ロールのシャフト(芯体)の半径が二次転写ロールのゴム肉厚(発泡体の厚さ)以下であると、二次転写ロールへの被転写媒体の巻き付が発生したり、二次転写ロールがたわんで二次転写ロール中央部のニップが弱くなり、転写画像の濃度ムラが発生したりする傾向がある。
【0172】
また二次転写ロールでは、多色重ねトナー像の転写性を得るために、中間転写ベルト及び被転写媒体を二次転写ロールによって加圧する必要がある。そのため、二次転写ロールのシャフト径(芯体断面の直径)は一定以上の大きさ(例えばφ12以上)であることが好ましい。しかし、シャフト径の大きい二次転写ロールを用いた場合、シャフト径を二次転写ロールのゴム肉厚(発泡体の厚さ)以下にしようとすると、二次転写ロール全体の径は必然的に大きくなる(例えばφ24以上)。このように、二次転写ロール全体の径が大きい場合、二次転写ロールへの被転写媒体の巻き付きが発生し易くなる。一方、二次転写ロール全体の径を小さくして(例えばφ21以下)、被転写媒体の巻き付きを防止するためには、二次転写ロールのシャフト径を小さくする必要がある(例えばφ10.5以下)。しかし、シャフト径を小さくと、二次転写ロールがたわみ易くなり、ロール中央部において転写不良が発生し易くなる。
【0173】
なお、上述の説明においては中間転写体として中間転写ベルト409を使用する場合について説明したが、中間転写体は、上記中間転写ベルト409のようにベルト状であってもよく、又は、ドラム状であってもよい。ベルト状とする場合の中間転写体の基材として用いる樹脂材料としては、従来公知の樹脂を用いることができるが、カラーレジストレーションの観点から高ヤング率な基材を用いることが一般的である。かかる樹脂材料としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリアルキレンテレフタレート(PAT)、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)/PC、ETFE/PAT、PC/PATのブレンド材料、ポリエステル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミド等の樹脂材料及びこれらを主原料としてなる樹脂材料が挙げられる。さらに、樹脂材料と弾性材料をブレンドして用いることができる。
【0174】
弾性材料としては、ポリウレタン、塩素化ポリイソプレン、NBR、クロロピレンゴム、EPDM、水素添加ポリブタジエン、ブチルゴム、シリコーンゴム等を1種類、又は2種類以上をブレンドしてなる材料を用いることができる。これらの基材に用いる樹脂材料及び弾性材料に、必要に応じて、電子伝導性を付与する導電剤やイオン伝導性を有する導電剤を1種類又は2種類以上を組み合わせて添加する。この中でも、機械強度に優れる点で、導電剤を分散させたポリイミド樹脂を用いることが好ましい。上記の導電剤としては、カーボンブラック、金属酸化物、ポリアニリン等の導電性ポリマーを用いることができる。
【0175】
中間転写体として中間転写ベルト409のようなベルトの形状の構成を採用する場合、一般にベルトの厚さは50〜500μmが好ましく、60〜150μmがより好ましいが、材料の硬度に応じて適宜選択することができる。
【0176】
例えば、導電剤を分散させたポリイミド樹脂からなるベルトは、特開昭63−311263号公報に記載されているように、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸の溶液中に導電剤として5〜20質量%のカーボンブラックを分散させ、分散液を金属ドラム上に流延して乾燥した後、ドラムから剥離したフィルムを高温下に延伸してポリイミドフィルムを形成し、さらに適当な大きさに切り出してエンドレスベルトとすることにより製造することができる。
【0177】
上記フィルム成形は、一般には、導電剤を分散したポリアミド酸溶液の成膜用原液を円筒金型に注入して、例えば、100〜200℃に加熱しつつ500〜2000rpmの回転数で円筒金型を回転させながら、遠心成形法によりフィルム状に成膜し、次いで、得られたフィルムを半硬化した状態で脱型して鉄芯に被せ、300℃以上の高温でポリイミド化反応(ポリアミド酸の閉環反応)を進行させて本硬化させることにより行うことができる。また、成膜原液を金属シート上に均一な厚みに流延して、上記と同様に100〜200℃に加熱して溶媒の大半を除去し、その後300℃以上の高温に段階的に昇温してポリイミドフィルムを形成する方法もある。また、中間転写体は表面層を有していても良い。
【0178】
また、中間転写体としてドラム形状を有する構成を採用する場合、基材としては、アルミニウム、ステンレス鋼(SUS)、銅等で形成された円筒状基材を用いることが好ましい。この円筒状基材上に、必要に応じて弾性層を被覆し、該弾性層上に表面層を形成することができる。
【0179】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、上述した本実施形態の発泡ロール10は、画像形成装置用のプロセスカートリッジが備える転写ロールまたは帯電ロールとしても用いることができる。この場合においても、発泡体2の歪み及び位置ずれ、及び転写画像の画質不良を防止することができる。
【実施例】
【0180】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0181】
(実施例1)
<発泡体の作製>
エチレンオキサイド基を有し、高いイオン伝導性を具備するエピクロルヒドリンゴム(ECO:エピクロマーCG−102、ダイソ−社製)70質量部と、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR:ニポールDN−219、日本ゼオン社製)30質量部とを混合した。この混合物に対して、発泡加硫剤として、硫黄(200メッシュ、鶴見化学工業社製)1質量部と、加硫促進剤(ノクセラ−M、大内新興化学工業社製)1.5質量部と、を混合し、更に発泡剤としてベンゼンスルホニルヒドラジド6質量部を添加したしたものを、オープンロールで混練した。
【0182】
混練により得た混合物を、直径が4.5mmであるSUS製のロール軸上に押出成型し、180℃で30分間プレス加硫発泡することによって、複数のセルを有し、5mm厚の円筒状の導電性発泡体(図1(a)に示す発泡体2)を得た。
【0183】
次に、発泡体をその軸方向に沿って切断した断面を、写真撮影部分(富士フィルム社製、商品名:Fujix DIGITAL CAMERA HC-300i)を備える光学顕微鏡(Nikon社製、商品名:MEASURING MICROSCOPE MM60)で観察した。光学顕微鏡の倍率は、接眼10倍×対物20倍とし、測定環境は、22℃55%RHとした。また、測定では、発泡体の軸方向の全長に対して発泡体の端部からの距離5%以内である端部領域の中空部側表面に位置するセルの断面をランダムに30個観察し、個々のセルの断面の最大内径を測定した。その平均値(セルの平均径D)は、280μmであった。
【0184】
<芯体の作製>
6.0mmφ、長さ240mmであり、表面粗さRaが0.3μmであるSUM材の両端10mmから20mmの部分(発泡体の端部領域と接触する部分)を、表面粗さRaが1.25μmとなるようにサンドブラスト処理を施し、芯体(図1(a)に示す芯体1)を得た。
【0185】
<発泡ロールの作製>
発泡体の端部領域の中空部側表面に位置するセルの平均径Dと、芯体の表面粗さRaとの比D/Raを280/1.25=224とした状態で、発泡体の中空部に、芯体を発泡体の一端から他端にわたって圧入した。次に、発泡体を芯金の端部から10mmの位置で切断した後、発泡体の表面をさらに研磨して、外径が10mmである発砲ロール(図1(a)に示す発泡ロール10)を得た。なお、得られた発砲ロールのロール抵抗値は1×107.7Ωcm、ロール硬度はアスカーC硬度で35°であった。
【0186】
(実施例2〜8、比較例1〜4)
発泡体の端部領域の中空部側表面に位置するセルの平均径D、芯体の表面粗さRa、及び比D/Raを表1に示す値としたこと以外は実施例1と同様にして、実施例2〜8、比較例1〜4の各発泡ロールをそれぞれ作製した。
【0187】
<歪み量の測定>
実施例1〜8、比較例1〜4において、中空部に芯体を圧入した状態(発泡ロールの状態)での発泡体の軸方向の長さ(圧入時時長さ)と、中空部から芯体を脱離させた後の発砲体の軸方向の長さ(脱離時長さ)とを測定した。さらに、圧入時時長さと脱離時長さとの差の絶対値(歪み量)を算出した。結果を表1に示す。なお、歪み量が大きいほど、芯体の圧入による発泡体の歪みが大きいことを意味する。
【0188】
<転写画像の画質の評価>
図10に示す構造を有する画像形成装置(商品名:1320cカラーレーザープリンタ、Dell製)の一次転写ローラ410a〜410dとして、実施例1の各発泡ロールを用いて印刷を行い、得られた印刷画像の画質を評価した。また実施例2〜8、比較例1〜4の各発泡ロールを用いて、実施例1の場合と同様に画質の評価を行った。結果を表1に示す。
【0189】
なお、画質の評価に先立って、発泡ロールを温度22℃、湿度55%RHの環境下に24時間放置した。また、プロセス速度は150mm/sとし、転写電流は10μAとした。また、一次転写ローラを搬送ベルト(中間転写ベルト)を介して電子写真感光体に押し当てる荷重を150g、300g、500gとした場合について、それぞれ画質の評価を行った。また、表1では、画質不良(濃度ムラ及び/又は色ズレ)が起きるまでの印刷枚数が3×105枚以上であった場合、画質を「◎」と評価し、2×105以上3×105枚未満であった場合、「○」と評価し、1×105以上2×105枚未満であった場合、「△」と評価し、5×104以上1×105枚未満であった場合、「×」と評価し、5×104未満であった場合、「××」と評価した。また、表1において、「摩擦大」とは、発泡体と芯体との間の摩擦力が大きく、発泡体に歪みが生じたことに起因して画質不良が発生したことを意味し、「保持力小」とは、発泡体と芯体との間の摩擦力が小さく、発泡体の位置ずれが生じたことに起因して画質不良が発生したことを意味する。
【0190】
【表1】
【0191】
(実施例9〜14、比較例5〜10)
芯体の外径をφ12mmとし、発泡体の厚さを3mmとしたこと以外は実施例1と同様にして、実施例9〜14、比較例5〜10の各発泡ロールを作製した。
【0192】
また、図10に示す構造を有する画像形成装置(商品名:Docu Print C2250カラーレーザープリンタ、Fuji Xerox社製)の二次転写ローラ413として、実施例9〜14、比較例5〜10の各発泡ロールを用いて10万枚の印刷を行った。また、実施例9〜14、比較例5〜10では、バックアップロール408が当接された二次転写ローラ413表面の二次転写ローラ413の軸側への食い込み量(R−r)を表2に示す値として印刷を行った(図11参照)。また、画像形成装置が備える中間転写体ベルト409としては、0.08mm厚のPI(ポリイミド)材からなる中間転写体ベルトを用いた。また、中間転写体ベルトにCB(カーボンブラック)等の抵抗調整剤を含有させることにより、中間転写体ベルトの抵抗値を1×107〜1×1013Ωcmに制御した。
【0193】
実施例9〜14、比較例5〜10の各発泡ロールを用いた印刷では、印刷中における発泡体の位置ずれ(ゴムズレ)の発生の有無、及び紙(被転写媒体)におけるしわ(紙しわ)の発生の有無を評価した。結果を表2に示す。なお、表2では、ゴムズレが無かった場合、ゴムズレを「○」と評価し、ゴムズレが発生した場合、ゴムズレを「×」と評価した。また、紙しわが無かった場合、紙しわを「○」と評価し、紙しわが軽微であった場合、紙しわを「△」と評価し、紙しわが顕著であった場合、紙しわを「×」と評価した。
【0194】
【表2】
【0195】
(実施例15)
実施例15では、実施例12と同様の発泡ロールを二次転写ロールとして用いて、実施例12と同様の条件下で印刷を行い、2次転写後の紙(被転写媒体)の走行方向(剥離角度差)と樹枝状の画像欠陥及び飛散による画像欠陥の発生との関係を評価した。結果を表3に示す。なお、樹枝状の画像欠陥とは、画像からトナーが枝状に伸びる画像欠陥を意味し、飛散による画像欠陥とは、画像の周りにトナーが飛び散る画像欠陥を意味する。また、剥離角度とは、二次転写ロールの軸の中心とバックアップロールの軸の中心を結ぶ直線と、被転写媒体が中間転写ベルトから剥離する時の方向の延長線とがなす角度であり、剥離角度差とは、二次転写ロールの転写電圧を0Vとした場合の剥離角度と、二次転写ロールの転写電圧を0V以外の値とした場合の剥離角度との差を意味する。
【0196】
また、実施例15の印刷では、トナー像の紙への転写時において、バップアップロールにトナー極性とは逆の負の電圧を印加した。また、印刷中、二次転写ロールはアースさせた。又、印刷は、湿度15%、温度10℃の低温低湿環境下で行った。剥離角度差は、レーザー変位計を用いて紙の先端位置を測定することにより求めた。
【0197】
また、表3において、樹枝状の画像欠陥の発生が無い場合、樹枝状の画像欠陥を「G−0」と評価し、樹枝状の画像欠陥が軽微な場合、樹枝状の画像欠陥を「G−1」と評価し、樹枝状の画像欠陥が顕著な場合、樹枝状の画像欠陥を「G−2」と評価した。また、飛散による画像欠陥が無い場合、飛散による画像欠陥を「G−0」と評価し、飛散による画像欠陥が軽微な場合、飛散による画像欠陥を「G−1」と評価し、飛散による画像欠陥が顕著な場合、飛散による画像欠陥を「G−2」と評価した。
【0198】
【表3】
【0199】
印刷の結果、紙に両面プリントした場合に最も顕著に樹枝状の画像欠陥と飛散による画像欠陥が発生した。
【0200】
また、被転写媒体の走行方向が、負極性にバイアスされたバックアップロール寄り(表3において剥離角度差が負である方向)である場合、飛散による画像欠陥が発生した。一方、被転写媒体の走行方向が、バックアップロールに比べて相対的に正極性にバイアスされた二次転写ロール寄り(表3において剥離角度差が正である方向)である場合には、樹枝状の画像欠陥が発生した。
【0201】
また剥離角度差が−10°未満又は+10°を超える場合、樹枝状の画像欠陥又は飛散による画像欠陥が発生し易いことが確認された。また、用紙走行方向が、転写電圧を0Vとした場合の位置から離れるにしたがって、樹枝状の画像欠陥又は飛散による画像欠陥の発生が顕著となること確認された。
【0202】
実施例15で確認された上記現象は、転写電圧が0Vである場合(樹枝状の画像欠陥又は飛散による画像欠陥が発生し難い場合)は、紙に電気的吸着力が生じないこと、また転写電圧が0Vではない場合(樹枝状の画像欠陥又は飛散による画像欠陥が発生し易い場合)は、紙の帯電極性及び帯電量によって、紙に生じる電気的吸着力の向き、大きさが変化すること、に起因して起こる現象であると推測される。
【図面の簡単な説明】
【0203】
【図1】図1(a)及び図1(b)は、それぞれ本発明の発泡ロールの好適な一実施形態を示す模式断面図である。
【図2】図2(a)は、図1(b)に示す発泡ロールの軸方向に垂直な断面の模式図であり、図2(b)は、芯体が中空部に挿入される前の発泡体の端部領域を発泡体の軸方向に対して垂直に切断して得た断面の顕微鏡像である。
【図3】本発明の画像形成装置に用いられる電子写真感光体の一例を示す模式断面図である。
【図4】本発明の画像形成装置に用いられる電子写真感光体の他の一例を示す模式断面図である。
【図5】本発明の画像形成装置に用いられる電子写真感光体の他の一例を示す模式断面図である。
【図6】本発明の画像形成装置に用いられる電子写真感光体の他の一例を示す模式断面図である。
【図7】本発明の画像形成装置に用いられる電子写真感光体の他の一例を示す模式断面図である。
【図8】本発明の画像形成装置の好適な一実施形態の基本構成を概略的に示す断面図である。
【図9】本発明の画像形成装置の他の好適な一実施形態の基本構成を概略的に示す断面図である。
【図10】本発明の画像形成装置の他の好適な一実施形態の基本構成を概略的に示す断面図である。
【図11】図10に示すバックアップロール、二次転写ロール、中間転写ベルト、及び被転写媒体の位置関係を示す要部拡大図である。
【符号の説明】
【0204】
1・・・芯体、2・・・発泡体、3・・・セル、31・・・電荷発生層、32・・・電荷輸送層、33・・・導電性基体、34・・・下引層、35・・・保護層、36・・・感光層、37・・・中間層、38・・・単層型感光層、100、110、120、130、140v電子写真感光体、200、210、220・・・画像形成装置、207・・・電子写真感光体、208・・・帯電装置、209・・・電源、210・・・露光装置、211・・・現像装置、212・・・転写装置、213・・・クリーニング装置、214・・・除電器、215・・・定着装置、400・・・ハウジング、401a〜401d・・・電子写真感光体、402a〜402d・・・帯電ロール、403・・・レーザー光源(露光装置)、404a〜404d・・・現像装置、405a〜405d・・・トナーカートリッジ、406・・・駆動ロール、407・・・テンションロール、408・・・バックアップロール、409・・・中間転写ベルト、410a〜410d・・・一次転写ロール、411・・・トレイ(被転写体トレイ)、412・・・移送ロール、413・・・二次転写ロール、414・・・定着ロール、415a〜415d・・・クリーニングブレード、416・・・クリーニングブレード、500・・・被転写媒体。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のセルを有する円柱状の発泡体と、
前記発泡体の軸方向において前記発泡体を貫通する中空部に前記発泡体の一端から他端にわたって挿入され、前記発泡体と接触する導電性の芯体と、を備え、
前記芯体が前記中空部に挿入される前の前記発泡体の前記中空部側表面において、前記発泡体の軸方向の全長に対して前記発泡体の端部からの距離が5%以内である領域では、前記中空部側表面に位置する前記セルの平均径Dと前記芯体の表面粗さRaとの比D/Raが100以上400以下であることを特徴とする発泡ロール。
【請求項2】
前記芯体の表面粗さRaが0.5以上2.5以下であることを特徴とする請求項1に記載の発泡ロール。
【請求項3】
請求項1または2に記載の発泡ロールを転写ロールとして備えることを特徴とする画像形成装置用のプロセスカートリッジ。
【請求項4】
請求項1または2に記載の発泡ロールを転写ロールとして備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
転写ベルト又は被転写媒体の少なくともいずれかを介して前記転写ロールに当接する対向ロール、を備え、
前記対向ロールが当接された前記転写ロールの表面の前記転写ロールの軸側への食い込み量が0.6mm以上1mm以下であることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記転写ロールが二次転写ロールであることを特徴とする請求項4または5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
複数のセルを有する円柱状の発泡体の軸方向において前記発泡体を貫通する中空部に、導電性の芯体を前記発泡体の一端から他端にわたって圧入し、前記芯体を前記発泡体に接触させる工程を備え、
前記芯体が前記中空部に圧入される前の前記発泡体の前記中空部側表面において、前記発泡体の軸方向の全長に対して前記発泡体の端部からの距離が5%以内である領域では、前記中空部側表面に位置する前記セルの平均径Dと前記芯体の表面粗さRaとの比D/Raを100以上400以下とすることを特徴とする発泡ロールの製造方法。
【請求項1】
複数のセルを有する円柱状の発泡体と、
前記発泡体の軸方向において前記発泡体を貫通する中空部に前記発泡体の一端から他端にわたって挿入され、前記発泡体と接触する導電性の芯体と、を備え、
前記芯体が前記中空部に挿入される前の前記発泡体の前記中空部側表面において、前記発泡体の軸方向の全長に対して前記発泡体の端部からの距離が5%以内である領域では、前記中空部側表面に位置する前記セルの平均径Dと前記芯体の表面粗さRaとの比D/Raが100以上400以下であることを特徴とする発泡ロール。
【請求項2】
前記芯体の表面粗さRaが0.5以上2.5以下であることを特徴とする請求項1に記載の発泡ロール。
【請求項3】
請求項1または2に記載の発泡ロールを転写ロールとして備えることを特徴とする画像形成装置用のプロセスカートリッジ。
【請求項4】
請求項1または2に記載の発泡ロールを転写ロールとして備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
転写ベルト又は被転写媒体の少なくともいずれかを介して前記転写ロールに当接する対向ロール、を備え、
前記対向ロールが当接された前記転写ロールの表面の前記転写ロールの軸側への食い込み量が0.6mm以上1mm以下であることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記転写ロールが二次転写ロールであることを特徴とする請求項4または5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
複数のセルを有する円柱状の発泡体の軸方向において前記発泡体を貫通する中空部に、導電性の芯体を前記発泡体の一端から他端にわたって圧入し、前記芯体を前記発泡体に接触させる工程を備え、
前記芯体が前記中空部に圧入される前の前記発泡体の前記中空部側表面において、前記発泡体の軸方向の全長に対して前記発泡体の端部からの距離が5%以内である領域では、前記中空部側表面に位置する前記セルの平均径Dと前記芯体の表面粗さRaとの比D/Raを100以上400以下とすることを特徴とする発泡ロールの製造方法。
【図1】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【公開番号】特開2009−251374(P2009−251374A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−100490(P2008−100490)
【出願日】平成20年4月8日(2008.4.8)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月8日(2008.4.8)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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