説明

発泡弾性体及びそれを用いた導電性ローラ

【課題】ポリウレタン発泡体からなる弾性層上に直接表面樹脂層を塗工形成し得、下塗り層の形成を省略して現像ローラなどの導電性ローラを得ることができる発泡弾性体を提供することを目的とする。
【解決手段】ポリウレタン原料から機械撹拌発泡により得られるポリウレタン発泡体において、プロピレンオキサイドとエチレンオキサイドとからなるポリエーテルポリオール又はポリスチレン或いはポリアクリレートを含有するポリマーポリオールで、かつ水酸基価20〜60mgKOH、エチレンオキサイド含有量1〜20質量%、平均官能基数2.5〜3のポリオールを含み、更に、NCO含有率1〜25%の変性TDI、変性MDI及び変性HDIの少なくとも1種を含み、かつ、発泡体表面の穴数4個/mm2以下、平均穴径0.1mm以下とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真装置に用いられる導電性ローラの構成材料として好適に用いられる発泡弾性体に及びそれを弾性層とした用いた導電性ローラに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電子写真装置に用いられる現像ローラ、トナー搬送ローラ、帯電ローラなどの導電性ローラに、ポリウレタン発泡体を弾性層として用いることが行われている。この場合、これらの導電性ローラでは、通常、弾性層上にローラ表面を構成する表面樹脂層を塗工成形してローラの表面性状を調整することが行われている。
【0003】
しかしながら、ポリウレタン発泡体の表面には、機械撹拌発泡(メカニカルフロス法)により得られる比較的微細な気泡を有するものでも、発泡セルの開口による穴が存在するため、その上に樹脂層を形成してもこの穴による凹部が樹脂層上に現れ、ローラの表面粗さが十分に制御できず、良好な画像を得ることが困難である。
【0004】
そこで、従来は、ポリウレタン発泡体からなる弾性層表面に存在する穴を埋めるための目止め層を塗工形成して、その上に表面樹脂層を形成し、多層構造の導電性ローラとすることが行われている(特許文献1等)。
【0005】
しかしながら、多層塗膜を形成する方法は、製造工程が煩雑となり、コスト上昇の原因ともなるため、ポリウレタン発泡体からなる弾性層表面に直接表面樹脂層を塗工形成して良好な性能を有する導電性ローラを得ることが望まれる。
【0006】
【特許文献1】特開平9−262912号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、ポリウレタン発泡体からなる弾性層上に直接表面樹脂層を塗工形成しても良好に表面性状をコントロールし得、目止め層の形成を省略して低コストで現像ローラ、トナー搬送ローラ、帯電ローラなどの導電性ローラを得ることができ、これら導電性ローラの弾性層として好適に用いられるポリウレタンからなる発泡弾性体、及び該発泡弾性体を弾性層として用いた導電性ローラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、ポリオール成分とイソシアネート成分とを含むポリウレタン原料から機械撹拌発泡によりポリウレタン発泡体を得る場合に、上記ポリオール成分として、プロピレンオキサイドとエチレンオキサイドとからなるポリエーテルポリオール又はポリスチレン或いはポリアクリレートを含有するポリマーポリオールのいずれかを用いること、この場合そのポリエーテルポリオール又はポリマーポリオールは、水酸基価20〜60mgKOH、エチレンオキサイド含有量1〜20質量%、平均官能基数2.5〜3であること、更にイソシアネート成分として、NCO含有率1〜25%の変性TDI、変性MDI及び変性HDIの少なくとも1種を用いることにより、表面の穴数が4個/mm2以下で平均穴径が0.1mm以下のポリウレタン発泡体を得られることを見出した。
【0009】
そして、このように表面に現れる穴が小さく穴の数も少ないポリウレタン発泡体であれば、これを導電性ローラの弾性層とし、該弾性層上に目止め層を設けることなく直接に表面樹脂層を塗工形成しても、良好に表面粗さをコントロールすることができ、低コストで現像ローラ、トナー搬送ローラ、帯電ローラなどの導電性ローラを製造し得ることを見出し、本発明を完成したものである。
【0010】
従って、本発明は、ポリオール成分とイソシアネート成分とを含むポリウレタン原料から機械攪拌発泡により得られるポリウレタン発泡体において、上記ポリオール成分として、プロピレンオキサイドとエチレンオキサイドとからなるポリエーテルポリオール又はポリスチレン或いはポリアクリレートを含有するポリマーポリオールで、かつ水酸基価20〜60mgKOH、エチレンオキサイド含有量1〜20質量%、平均官能基数2.5〜3のポリオールを含み、上記イソシアネート成分として、NCO含有率1〜25%の変性TDI、変性MDI及び変性HDIの少なくとも1種を含み、かつ、発泡体表面の穴数4個/mm2以下、平均穴径0.1mm以下であることを特徴とする発泡弾性体を提供するものである。
【0011】
また、本発明は、発泡弾性体からなる弾性層上に直接表面樹脂層を形成してなる導電性ローラにおいて、弾性層を上記本発明の発泡弾性体で形成したことを特徴とする導電性ローラを提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の発泡弾性体によれば、気泡により表面に現れる穴が小さく、穴の数も少ないので、この発泡弾性体を弾性層として用い、現像ローラ、トナー搬送ローラ、帯電ローラなどの導電性ローラを作製する場合に、弾性層上に目止め層を設ける必要なく、直接弾性層上に表面樹脂層を塗工成形して、低コストで良好な性能を有する導電性ローラを得ることができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明の発泡弾性体は、上述のように、ポリオール成分とイソシアネート成分とを含むポリウレタン原料から機械攪拌発泡により得られるものである。
【0014】
この場合、ポリオール成分としては、プロピレンオキサイド(PO)とエチレンオキサイド(EO)とからなるポリエーテルポリオール、又はポリスチレン或いはポリアクリレートを含有するポリマーポリオールが用いられ、場合によってはこれらの両方を混合して用いることもできる。
【0015】
ここで、本発明では、ポリオール成分として用いられる上記ポリエーテルポリオール又はポリマーポリオールは、いずれも平均官能基数が2.5〜3、好ましくは2.7〜3、水酸基価が20〜60mgKOH、好ましくは30〜50mgKOH、EO含有量が1〜20%、好ましくは3〜5%のものが用いられる。この場合、これら平均官能基数、水酸基価及びEO含有量が上記範囲を逸脱する場合には、得られる発泡体の表面に現れる気泡の穴径が大きく、また穴数も多くなり、本発明の目的を達成し得ない場合がある。
【0016】
また、本発明で用いられるポリマーポリオールは、ポリスチレン或いはポリアクリレートを含有するものであるが、勿論ポリスチレンとポリアクリレートの両方を含有していてもよい。ポリスチレンやポリアクリレート、又はこれら両方を重合させるポリオールとしては、EOとPOを付加重合したポリエーテルポリオールが好適である。更に、このポリマーポリオールのポリオール成分とポリスチレンやポリアクリレートのポリマー成分との比率は、特に制限されるものではないが、ポリオール:ポリマー=100:1〜100:100(質量比)、特に100:50〜100:100であることが好ましい。
【0017】
なお、ポリオール成分としては、上記ポリエーテルポリオール及び/又はポリマーポリオールを含んでいればよく、これらと他のポリオール成分とを併用することもできる。この場合、他のポリオール成分としては、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートジオール、ポリブタジエンポリオール、更には平均官能基数、水酸基価、EO含有量が上記範囲を逸脱したポリエーテルポリオールやポリマーポリオールを例示することができる。
【0018】
次に、上記イソシアネート成分としては、変性トリレンジイソシアネート(TDI)、変性ジフェニルメタンジイソアネート(MDI)、変性ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)から選ばれる1種又は2種以上が用いられる。この場合、変性体の種類としては、特に制限されるものではなく、ポリオール変性体、ヌレート変性体、カルボジイミド変性体などが例示されるが、特にポリオール変性体が好ましく、ポリオール変性TDI、ポリオール変性MDI及びポリオール変性HDIから選ばれた1種又は2種以上のイソシアネートが好ましく用いられる。
【0019】
ここで、本発明では、上記イソシアネート成分として用いられる変性TDI、変性MDI、変性HDIは、いずれもNCO含有率が1〜25%、この好ましくは4〜10%のものが用いられる。この場合、NCO含有率が1%未満であると反応点が少なく圧縮永久歪みの低下や硬化不良を招く場合があり、一方25%を超えると反応が非常に速くなってメカニカルフロス法で成型することが困難になる場合がある。
【0020】
この発泡弾性体を形成するポリウレタン中には、上記ポリオール成分及びイソシアネート成分の他に、必要に応じて、整泡剤、導電剤、架橋剤、界面活性剤、触媒等の公知の添加剤を適量添加することができる。
【0021】
上記整泡剤としては、ポリジメチルシロキサン−ポリエチレンオキサイド共重合体、ポリジメチルシロキサン−ポリプロピレンオキサイド共重合体、ポリジメチルシロキサン−ポリエチレンアジペート共重合体などが例示される。
【0022】
上記導電剤としては、公知のイオン導電剤又は電子導電剤を用いることができる。イオン導電剤としては、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、ドデシルトリメチルアンモニウム(例えば、ラウリルトリメチルアンモニウム)、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、オクタデシルトリメチルアンモニウム(例えば、ステアリルトリメチルアンモニウム)、ベンジルトリメチルアンモニウム、変性脂肪酸ジメチルエチルアンモニウムなどの過塩素酸塩、塩素酸塩、塩酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、硫酸塩、エチル硫酸塩、カルボン酸塩、スルホン酸塩などのアンモニウム塩、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ金属やアルカリ土類金属の過塩素酸塩、塩素酸塩、塩酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、トリフルオロメチル硫酸塩、スルホン酸塩などが例示される。
【0023】
また、電子導電剤としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等の導電性カーボン;SAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、SRF、FT、MT等のゴム用カーボン;酸化処理を施したインク用カーボン、熱分解カーボン、天然グラファイト、人造グラファイト;酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛等の導電性金属酸化物;ニッケル、銅、銀、ゲルマニウム等の金属などが例示される。
【0024】
上記触媒としては、例えば、有機金属触媒のジブチルチンジラウレート、ジブチルチンジアセテート、スタナスオクトエート、ジブチルチンマーカプチド、ジブチルチンチオカルボキシレート、ジブチルチンジマレニート、ジオクチルチンマーカプチド、ジオクチルチンチオカルボキシレート、フェニル水銀、プロピオン酸銀、オクテン酸錫、アミン触媒のトリエチルアミン、N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミン、トリエチレンジアミン、N−メチルモルホリン、ジメチルアミノエタノール、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−7等が好ましく用いられる。これらの触媒は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0025】
本発明の発泡弾性体は、上記イソシアネート成分、ポリオール成分、及び必要に応じて添加される上記添加剤を混合し、機械撹拌発泡させて金型内に注型し、所望の形態に発泡成形することにより得られるものである。この場合、発泡成形の諸条件は、用いられる各成分の種類や得ようとする発泡体の密度や用途、形態などに応じて適宜通常の条件を採用すればよい。
【0026】
この場合、金型温度については、通常は金型を予熱し、硬化温度又はその近傍まで加熱した金型に上記各成分を混合発泡させたポリウレタン原料を注型するが、本発明にあっては、特に限定されるものではないが、金型を予熱することなく−10〜25℃のほぼ常温又は冷却下で金型内に上記ポリウレタン原料を注型し、注型後に90〜120℃の硬化温度まで金型を加熱することが好ましく、これにより得られる発泡体の表面付近のセル径を小さく、またその数を少なくすることができ、より確実に本発明の目的を達成することができる。
【0027】
本発明の発泡成形体は、上述のように、特定のポリオール成分とイソシアネート成分とを含むポリウレタン原料を機械撹拌発泡(メカニカルフロス法)させたものであり、それにより発泡体表面の穴数が4個/mm2以下で、平均穴径が0.1mm以下としたものである。この場合、発泡体表面の穴数が4個/mm2を超えたり、平均穴径が0.1mmを超えると、導電性ローラの弾性層として用いた場合に、その上に塗工形成した表面樹脂層(ローラ表面)に上記穴がトレースされて、ローラの表面粗さを各自差に制御することが困難になり、本発明の目的を達成することができない。なお、より好ましい穴数は3個/mm2以下、より好ましい平均穴径は0.1mm以下である。
【0028】
本発明の発泡弾性体は、上記のように、電子写真装置に用いられる現像ローラ、トナー搬送ローラ、帯電ローラなどの導電性ローラに弾性層として好適に用いられるものである。この場合、本発明発泡弾性体は、芯金の周囲に弾性層として形成され、その上に表面樹脂層が形成されて導電性ローラが構成されるが、この場合、上述のように、本発明の発泡弾性体を弾性層として用いることにより、弾性層表面に目止め層を形成することなく、直接弾性層上に表面樹脂層を形成することができるものである。
【0029】
ここで、上記表面樹脂層としては、ローラの用途等に応じて選択される公知の樹脂を用いて形成することができ、例えばウレタン樹脂、アクリル樹脂、アクリルウレタン樹脂
フッ素樹脂、シリコーン樹脂などが例示される。
【0030】
この表面樹脂層には、ローラの用途等に応じて適宜な添加剤を配合することができ、例えば上記弾性層で例示したものと同様の導電剤や樹脂の硬化剤などを必要に応じて適量添加することができる。
【0031】
また、この表面樹脂層には、ローラの表面粗さを調製するため樹脂粒子などを配合分散させることもできる。この場合、樹脂粒子は、表面樹脂層を形成する樹脂の種類や表面樹脂層の厚さなどに応じて適宜選定することができる。具体的には、例えばウレタン樹脂粒子、アクリル樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子、シリカ粒子、ポリアミド樹脂粒子、ナイロン樹脂粒子などが例示され、これらの1種又は2種以上を用いることができる。また、粒子の形状や大きさ、粒度分布なども適宜選定され、特に制限されるものではないが、通常は球形、角型、針型の粒子が好ましく用いられ、また粒径はD50=1〜50μm、特にD50=5〜20であることが好ましい。
【0032】
この表面樹脂層の厚さは、該樹脂層を構成する樹脂の種類やローラの用途、弾性層の特性などに応じて適宜設定され、特にい制限されるものではないが、通常は1〜20μm、特に5〜10μmとすることが好ましい。この場合、表面樹脂層の厚さが1μm未満であると、小さくまた数も少ないが、弾性層表面の穴が表面樹脂層にトレースされてローラの表面粗さが良好に制御できなくなる場合があり、一方20μmを超えるとローラ表面が硬くなって、ローラ全体の弾性特性が低下する場合がある。
【実施例】
【0033】
以下、実施例,比較例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
【0034】
[実施例1〜3及び比較例1〜6]
下記表1〜3に示した配合組成のポリウレタンフォームを発泡成形し、芯金(6mmφ)の外周にポリウレタンフォームからなる弾性層(厚さ3mm)を形成した。この際、ポリオール、整泡剤、イオン導電剤、触媒を混合したA液と、イソシアネート及びカーボンブラックを混合したB液とを予め調製し、これらA液とB液とを機械撹拌して混合すると共に発泡させ、芯金をセットした金型内に注型して芯金の外周に密度0.64g/cm3のポリウレタンフォーム弾性層を形成した。この場合、実施例1〜3及び比較例1〜5では、金型を予熱せずに25℃の常温で注型し、注型後に700℃/minの速度で70℃まで昇温して、成形を行った。一方、比較例6では、予め70℃まで予熱した金型に上記A,B混合液を注型し、そのままの温度で成形を行った。なお、表1〜3中の配合部数は、全て質量部である。また、表1〜3中のイソシアネート成分及びポリオール成分の詳細は下記の通りである。
【0035】
ポリオール変性トリレンジイソシアネート(*1)
旭硝子ウレタン株式会社製 試作品「BS 008」

ジフェニルメタンジイソシアネート(*2)
BASF・INOACポリウレタン製 「MP 102」

ポリエーテルポリオール(*3)
旭硝子ウレタン株式会社製 「エクセノール 430」

ポリエーテルポリオール(*4)
三洋化成工業株式会社 「サンニックス FA−951」

ポリエーテルポリオール(*5)
旭硝子ウレタン株式会社 「プレミノール 7001」

ポリマーポリオール(*6)
三井化学ポリウレタン製 「アクトコール POP−34/28」

ポリエーテルポリオール(*7)
旭硝子ウレタン株式会社製 「エクセノール 2020」

ポリエーテルポリオール(*8)
旭硝子ウレタン株式会社製 「エクセノール 420」

ポリエーテルポリオール(*9)
旭硝子ウレタン株式会社製 「エクセノール 828」

ポリエーテルポリオール(*10)
旭硝子ウレタン株式会社製 「エクセノール 450ED」

ポリエステルポリオール(*11)
株式会社クラレ製 「クラレポリオール 「P−510」

ポリエーテルポリオール(*12)
旭硝子ウレタン株式会社製 「エクセノール 430」

ポリエーテルポリオール(*13)
旭硝子ウレタン株式会社製 「エクセノール 420」
【0036】
得られた、弾性層表面の表面穴数及び表面穴の平均径を測定した。結果を表1〜3に示す。
【0037】
次いで、この弾性層上に下記組成の塗料を塗布して、厚さ10μmの表面樹脂層を形成し、導電性ローラを得た。
塗料組成
ウレタン樹脂(日本ポリウレタン社製「N5196」) 100質量部
カーボンブラック 35質量部
ウレタン粒子(大日本インキ社製「バーノック」、球状、D50=10μm) 10質量部
メチルエチルケトン 350質量部
イソシアネート硬化剤(日本ポリウレタン社製「コロネートHX」) 20質量部
【0038】
得られた各ローラにつき、JIS B 0601(2001)に従って、輪郭曲線の算術平均高さ(Ra)を測定して表面粗さを調べた。また、各ローラを現像ローラとしてプリンタカートリッジに装着し、このカートリッジをヒューレット・パッカード社製のレーザービームプリンタ「Laser Jet4050」にセットして黒ベタ画像を印刷し、画像濃度の均一性を、○、○△、△、×の4段階で評価した。結果を表1〜3に示す。
【0039】
【表1】

【0040】
【表2】

【0041】
【表3】

【0042】
上記表1の通り、本発明に規定のイソシアネート及びポリオールを用いて、表面穴数4個/mm2以下(0.9〜1.9個/mm2)、表面平均穴径0.1mm以下(0.019〜0.023mm)に調整した実施例1〜3のポリウレタン発泡体は、これを弾性層として用い、その上に直接表面樹脂層を形成して導電性ローラを構成した場合でも、ローラの表面粗さをRa=1.3〜1.5μmの良好な状態に制御することができ、良好な画像が得られる高性能な現像ローラとして使用されることが確認された。
【0043】
これに対し、表2,3に示されているように、本発明の規定を逸脱するイソシアネート及びポリオールを用いた比較例1〜6のポリウレタン発泡体は、表面穴数が5.5〜16.7個/mm2と多く、また表面平均穴径も0.022〜0.073mmと上記実施例1〜3よりも大きくなる傾向がある。このため、これらポリウレタン発泡体を弾性層として用い、その上に直接表面樹脂層を形成して導電性ローラを構成した場合には、ローラの表面粗さがRa=2.3〜3.1μmと粗くなってしまい、良好な画像を得ることが困難である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオール成分とイソシアネート成分とを含むポリウレタン原料から機械撹拌発泡により得られるポリウレタン発泡体において、
上記ポリオール成分として、プロピレンオキサイドとエチレンオキサイドとからなるポリエーテルポリオール又はポリスチレン或いはポリアクリレートを含有するポリマーポリオールで、かつ水酸基価20〜60mgKOH、エチレンオキサイド含有量1〜20質量%、平均官能基数2.5〜3のポリオールを含み、
上記イソシアネート成分として、NCO含有率1〜25%の変性TDI、変性MDI及び変性HDIの少なくとも1種を含み、
かつ、発泡体表面の穴数4個/mm2以下、平均穴径0.1mm以下であることを特徴とする発泡弾性体。
【請求項2】
上記イソシアネート成分が、ポリオール変性TDI、ポリオール変性MDI及びポリオール変性HDIの少なくとも1種を含むものである請求項1記載の発泡弾性体。
【請求項3】
上記ポリオール成分に触媒、整泡剤、イオン導電剤を混合してイソシアネート成分と反応させて得られた請求項1又は2記載の発泡弾性体。
【請求項4】
上記イソシアネート成分に導電材としてカーボンブラックを混合してポリオール成分と反応させて得られた請求項1〜3のいずれか1項に記載の発泡弾性体。
【請求項5】
金型を予熱することなく、−10〜25℃の常温又は冷却下で発泡原料を注型し、発泡成形させて得られた請求項1〜4のいずれか1項に記載の発泡弾性体。
【請求項6】
フォーム密度が0.5〜0.8g/cm3である請求項1〜5のいずれか1項に記載の発泡弾性体。
【請求項7】
独立気泡からなる発泡体である請求項1〜6のいずれか1項に記載の発泡弾性体。
【請求項8】
発泡弾性体からなる弾性層上に直接表面樹脂層を形成してなる導電性ローラにおいて、上記弾性層を請求項1〜7のいずれか1項に記載の発泡弾性体で形成したことを特徴とする導電性ローラ。

【公開番号】特開2008−280446(P2008−280446A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−126609(P2007−126609)
【出願日】平成19年5月11日(2007.5.11)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】