説明

発泡性フッ化物口腔ケア組成物

水溶性フッ化物イオン放出可能塩;非イオン性サーファクタント、双性イオン性サーファクタント、ベタイン・サーファクタント、およびそれらの混合物からなる群より選択されるサーファクタント;ならびに組成物のpHを約3〜約5に調整するのに十分な量の口腔適合酸性化剤の水溶液を含む、歯科用フッ化物泡組成物。該組成物は低温で安定であり、そして4.4℃で12時間保持された際に実質的に沈殿物不含である、透明な溶液である。容器から歯科用トレイのトラフ内に分配された際、組成物は、泡生成容器からの分配後、約1分間で実質的に液化する、低密度の迅速につぶれうる泡を形成し、そしてこれを患者の歯と接触させて配置する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[0001]虫歯のリスク因子増大を示す患者集団には、虫歯の有効な医学的管理が必要である。特定の患者下位集団における虫歯の存在は、全体としての集団で見られる虫歯のかなりの比率を占めることが知られる。米国において、小児の25%が虫歯の75%を占めることを示す報告が存在する。
【0002】
[0002]小児における虫歯を減少させる1つの現在の実施は、エアロゾル噴霧剤と組み合わせてエアロゾル容器中にパッケージングされている、比較的高濃度のフッ化物放出塩、例えば重量1〜3%のフッ化ナトリウムを有する発泡性フッ化物組成物の定期的な適用、例えば年1〜2回の適用である。濃密で安定な非流動性の泡として、組成物を容器から歯科用トレイのトラフ内に分配し、これを治療しようとする歯の周囲に重ねて、そして歯と関与させて、歯のエナメル質によるフッ化物取り込みに影響を及ぼす。
【0003】
[0003]慣用的な歯科用泡が有効である可能性もあり、そして現在商業的に使用されているが、実際のところ、産生される、粘度が高く濃密な泡は、治療中に患者に不快感をもたらしうる。さらに、治療完了に際して、残った濃密な泡は、患者の口から取り除くのが困難でありうるし、そして/または取り除くのに時間が掛かりうる。少なくともこれらの理由のため、慣用的な泡は、専門家の使用およびフッ化物治療に伴う患者コンプライアンスを妨げうる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
[0004]したがって、当該技術分野には、治療が長期にわたって反復されて、虫歯に有効なフッ化物治療を提供しうるように、専門家の使用および患者コンプライアンスを促進する、歯の表面を治療するための改善された歯科用フッ化物泡組成物が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[0005]本発明には:フッ化物イオン放出可能塩;非イオン性サーファクタント、双性イオン性サーファクタント、ベタイン・サーファクタント、およびそれらの混合物からなる群より選択される界面活性剤;ならびに組成物のpHを約3〜約5に調整するのに十分な量の酸性化剤の水溶液を含む、低密度発泡性口腔ケア組成物であって、4.4℃(40°F)の温度で12時間維持された際に実質的に沈殿物不含である、前記組成物が含まれる。
【0006】
[0006]本発明には、関連法もまた含まれる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[0007]本発明は、発泡性口腔ケア組成物、およびヒトまたは他の動物被験体への投与法または適用または該被験体での使用を提供する。本明細書において、「口腔ケア組成物」は、被験体の健康状態、衛生状態または外見を増進するため、好ましくは、生理学的状態または障害の防止または治療、感覚的、装飾的または美容的利点の提供、およびそれらの組み合わせなどの利点を提供するため、ヒトまたは動物被験体の口腔に投与または適用するのに適した任意の組成物である。多様な態様において、口腔ケア組成物は、意図的には飲み込まれず、意図される有用性を達成するのに十分な時間、口腔に保持される。好ましくは、本発明で使用される特定の物質および組成物は、したがって、薬学的または美容的に許容されうる。本明細書において、こうした「薬学的に許容されうる」または「美容的に許容されうる」構成要素、あるいは「安全でそして有効な量」で用いられる構成要素は、ヒトおよび/または動物で使用するのに適しており、過度の不都合な影響(毒性、刺激、およびアレルギー反応など)を伴わずに、適度な利点/リスク比と釣り合った、望ましい療法的、予防的、感覚的、装飾的、または美容的利点を提供するものである。
【0008】
[0008]多様な態様において、本発明は、低密度発泡性歯科用フッ化物泡を提供する。特定の態様において、組成物は、泡生成容器中にパッケージングされている。組成物は、水溶性フッ化物イオン放出可能塩;非イオン性サーファクタント、双性イオン性サーファクタント、ベタイン・サーファクタント、およびそれらの混合物からなる群より選択されるサーファクタント;ならびに組成物のpHを約3〜約5に調整するのに十分な量の口腔適合酸性化剤の水溶液を含む。1つの態様において、組成物は、4.4℃(40°F)の温度で12時間保持された際に実質的に沈殿物不含である、透明な溶液である。用語「実質的に沈殿物不含」は、本明細書において、組成物が、人の目で、すなわち人工的なデバイスの補助なしに見られうる、いかなる沈殿物も含有しないことを意味する。
【0009】
[0009]多様な態様において、組成物は、約29.4℃(85°F)より高い、好ましくは約37.7℃(100°F)より高い上限溶解温度、および約4.4℃(40°F)未満の下限溶解温度を有し、したがって安定でそして実質的に透明な溶液を提供する。組成物は、容器から歯科用トレイのトラフ内に分配された際、泡生成容器からの分配後、約1分間以下で実質的に液化する、低密度の迅速につぶれうる泡を形成し、そしてこれを患者の歯と接触させて配置し、ここから、この泡を容易にリンスし、そして患者の口から取り除くことも可能である。
【0010】
[0010]用語「つぶれうる泡」は、本出願で用いた際、歯科用トレイ・トラフ中で形成され、そして患者の歯の上に配置された後、約2分間以下の期間でつぶれる、すなわち実質的に液体となる泡を意味する。この短期間の後、エアロゾルの泡は、実質的につぶれて液体となり、そして患者の歯を単にリンスして、残った泡をなくする。
【0011】
[0011]多様な態様において、発泡性口腔組成物を調製するのに用いられる、口腔で許容されうる歯磨剤キャリアーは、水相を含む。商業的に適切な歯科用泡、練り歯磨き、ジェル、およびうがい薬の調製に使用される水は、好ましくは、脱イオン化されていなければならず、そして有機不純物を含んではならない。水は、本明細書において、一般的に、発泡性歯科用フッ化物組成物の約85%〜98%、好ましくは約90%〜95%を構成する。1つの態様において、約91%のレベルで脱イオン水を提供する。水は、添加されたものに加えて、他の物質および成分とともに導入された、自由水である。
【0012】
[0012]本発明の水溶性フッ化物イオン放出可能塩は、例えば、虫歯予防剤として有用なフッ化物イオン供給源である。フッ化物イオン供給源、またはフッ化物提供剤は、水中でわずかに可溶性であってもよいし、または完全に水溶性であってもよい。これらは、水中でフッ化物イオンを放出する能力によって、口腔調製物の他の化合物との望ましくない反応がないことによって、そして虫歯予防活性によって、特徴付けられる。口腔で許容されうる任意のフッ化物イオン供給源を用いてもよい。限定されない例には、可溶性アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、例えばフッ化ナトリウム、フッ化カリウム、およびフッ化カルシウム;フッ化アンモニウム;フッ化第一銅などのフッ化銅;フッ化亜鉛;フッ化バリウム;フルオロケイ酸ナトリウム;フルオロケイ酸アンモニウム;フルオロジルコン酸ナトリウム;モノフルオロリン酸ナトリウム;モノおよびジフルオロリン酸アルミニウム;ならびにフッ化ピロリン酸ナトリウムカルシウムが含まれる。フッ化アルカリ金属およびフッ化スズ、例えばフッ化ナトリウムおよびフッ化第一スズ、フッ化インジウム、モノフルオロリン酸ナトリウム(MFP)、ならびにそれらの混合物が好ましい。特定の態様において、オラフルル(N’−オクタデシルトリメチレンジアミン−N,N,N’−tris(2−エタノール)−ジヒドロフルオリド)を含む、フッ化アミンを用いる。
【0013】
[0013]フッ化物提供剤の量は、化合物のタイプ、その溶解度、および口腔調製物のタイプにある程度依存するが、非毒性の量でなければならない。多様な態様において、安全でそして有効な量で水溶性フッ化物イオン放出可能塩を用い、そして提供する。1以上のフッ化物イオン供給源は、典型的には、約5,000p.p.m.〜約50,000p.p.m.、あるいは約10,000p.p.m.〜約30,000p.p.m.、または約11,000p.p.m、約12,000p.p.m.、約13,000p.p.m.、約14,000p.p.m.、もしくは約17,000p.p.m.のフッ化物イオンを提供する量で存在する。
【0014】
[0014]界面活性剤には、サーファクタント、乳化剤、および/または泡調節剤として機能しうる構成要素が含まれる。界面活性剤は、一般的に、口腔全体にフッ化物イオンを完全に分配することによって、予防作用を増加させる。適切な乳化剤には、広いpH範囲にわたって、適度に安定であり、そして泡立つものが含まれる。さらに、好ましい界面活性剤は、4.4℃(40°F)などの低温で、安定な組成物を形成する。これによって、本組成物は、美容的により許容可能となり、そして溶液中に維持される活性物の利用可能性が増加する。
【0015】
[0015]有機界面活性物質は、好ましくは、非イオン性および双性イオン性サーファクタントから選択される。サーファクタントの混合物もまた使用可能である。特定の態様において、口腔組成物は、約0.1%〜約3%、そして好ましくは約0.6%〜約1.5%の範囲の1以上のサーファクタントを含有し、ここですべてのパーセントは口腔組成物の総重量に基づいた重量による。
【0016】
[0016]安定な非イオン性サーファクタントには、酸化エチレン/酸化プロピレンブロックコポリマー(例えばポロキサマーまたはPluronic(登録商標)サーファクタント);アルキルフェノールの酸化ポリエチレン縮合物;酸化エチレンと、酸化プロピレンおよびエチレンジアミンの反応産物との縮合から得られる産物;脂肪族アルコールの酸化エチレン縮合物;長鎖三級酸化アミン;長鎖三級酸化ホスフィン;長鎖ジアルキルスルホキシド;ならびに脂肪酸のソルビタンエステルと酸化エチレンの縮合物(ポリソルベート)が含まれる。
【0017】
[0017]ソルビタンエステルエトキシレートの限定されない例には、約20〜約60モルの酸化エチレンを含むソルビタン脂肪酸エステル(例えば、Tween(登録商標)サーファクタント、ICI Americas, Inc.、米国デラウェア州ウィルミントンの商標)が含まれる。特に好ましいポリソルベートは、ポリソルベート20(ポリオキシエチレン20ソルビタンモノラウレート、Tween(登録商標)20)およびポリソルベート80(ポリオキシエチレン20ソルビタンモノオレエート、Tween(登録商標)80)である。
【0018】
[0018]適切なポロキサマー・サーファクタントには、約3,000〜約15,000の平均分子量を有するポリ(オキシエチレン)−ポリ(オキシプロピレン)ブロックコポリマーが含まれる。中間の平均分子量は、約6,000〜約15,000であってもよく、好ましい平均分子量は約10,000〜約15,000である。こうしたコポリマーはポロキサマーの非専売名によって商業的に知られ、この名称は各コポリマーの個々の同定を示す数字の接尾語と組み合わせて用いられる。ポロキサマーは、多様な含量の酸化エチレンおよび酸化プロピレンを有し、これによって、広い範囲の化学構造および分子量が生じる。1つの好ましいポロキサマーは、ポロキサマー407であり、これは、例えば、米国ニュージャージー州マウントオリーブのBASFによって、商標名Pluronic F127のもとに入手可能である。
【0019】
[0019]双性イオン性界面活性剤は、負荷電および正荷電基両方を含有するものとして広く記載されうる。多様な態様において、これらは、脂肪族四級アンモニウム、ホスホニウム、およびスルホニウム化合物の誘導体であり、ここで、脂肪族ラジカルは、約8炭素以上、および好ましくは8〜約18または20炭素の直鎖または分枝鎖であってもよい。正荷電基は、典型的には、四級アンモニウム基であり、一方、負荷電基は、一般的に、陰イオン性水可溶化基、例えばカルボキシ、スルホネート、サルフェート、ホスフェートまたはホスホネートである。適切な双性イオン性サーファクタントの一例は、4−(N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)−N−オクタデシルアンモニオ)−ブタン−1−カルボキシレートである。
【0020】
[0020]別の限定されない例は、ベタイン・サーファクタント、例えば、その開示が本明細書に援用される、米国特許第5,180,577号に開示されるものである。好ましいベタインには、N,N−ジメチルグリシンに構造的に由来するものが含まれる。これらは、四級窒素および単一のメチレン基によって分離されたカルボキシレート基を含有する。典型的なアルキルジメチルベタインには、デシルベタイン、ココベタイン、ミリスチルベタイン、パルミチルベタイン、ラウリルベタイン、セチルベタイン、ステアリルベタイン等が含まれる。アミドベタインの限定されない例には、ココアミドエチルベタイン、ココアミドプロピルベタイン、ラウラミドプロピルベタイン等が含まれる。例示のため、アミドプロピルベタインは、式:
【0021】
【化1】

【0022】
式中、RCOは脂肪酸残基を示し、そしてRは約6〜24以上の炭素原子、好ましくは約8〜20の炭素原子、より好ましくは約12〜18の炭素原子を含有する
によって示される。コカミドプロピルベタインは、RCOがココナツ油に由来する、好ましい商業的態様である。1つの態様において、ココアミドプロピルベタインは、約1%のレベルで存在する。
【0023】
[0021]多様な態様において、サーファクタントは、適切な発泡特性を提供し、そして少なくとも12の親水性親油性バランス(HLB)値を有する。当該技術分野に知られるように、HLBはサーファクタントの親水性および疎水性基の関係に関する実験に基づいた表現である。好ましくは、本発明で用いるサーファクタントのHLB値は約14〜30、より好ましくは約18〜23である。しかし、多様な組成物と適合するために、より高いまたはより低いHLB値を有することが望ましい可能性もあることを理解すべきである。
【0024】
[0022]本発明は、外見が透明で、そして実質的に沈殿物不含である、安定口腔組成物を提供する。多様な態様において、組成物は、約4.4℃(40°F)から少なくとも約29.4℃(85°F)の温度範囲にわたって安定であり、そしてより好ましくは少なくとも100°Fまで安定である。さらに、組成物は、好ましくは、長期間、例えば12時間以上、40°Fなどの低温で、溶液中、安定なままである。多様な態様において、組成物は、以下に開示するものなどの噴霧剤ガスをさらに含有し、そして低温安定性を維持する。
【0025】
[0023]低温で安定(すなわち可溶性)である特定の非イオン性サーファクタントを含む多様なサーファクタント溶液は、温度が上昇していくにつれて、ある時点で曇る傾向があることが知られる。同様に、室温で可溶性である、例えば特定のタウレートおよびサルフェートを含む他のサーファクタントは、温度が低下するにつれて、ある時点で曇るかまたは沈殿する可能性もある。これらの沈殿温度、または曇り点は、サーファクタントの特徴的な特性であり、そして典型的には、1%サーファクタント水溶液を用いて、ASTM D 2004−65(2003)で測定される。沈殿点または曇り点はまた、フッ化物イオン供給源および他の添加剤を含み、本発明にしたがって配合されたものを含む、他のサーファクタント溶液に対しても測定可能であることが認識されうる。曇り点は、特定の溶液の溶解限界と称され;これより上(上限)またはこれより下(下限)であると、水溶性サーファクタントの水溶液が濁る温度である。多様な態様において、組成物は、約9.4℃(85°F)より高い、好ましくは37.7℃(100°F)より高い上限溶解温度、または上限曇り点、および約4.4℃(40°F)未満、好ましくは約1.6℃(35°F)未満の下限溶解温度、または下限曇り点を示す。
【0026】
[0024]本明細書において有用なものの中で、pH修飾剤には、pHを低下させる酸性化剤、pHを上昇させる塩基性化剤、および所望の範囲内にpHを調節する緩衝剤が含まれる。例えば、酸性化剤、塩基性化剤および緩衝剤から選択される1以上の化合物が含まれて、約2〜約6、または多様な態様において、約3〜約5、約3〜約4、および約3.5〜約4のpHを提供してもよい。限定なしに、カルボン酸、リン酸およびスルホン酸、酸塩(例えばクエン酸一ナトリウム、クエン酸二ナトリウム、リンゴ酸一ナトリウムなど)、水酸化ナトリウムなどの水酸化アルカリ金属、炭酸ナトリウムなどの炭酸塩、重炭酸塩、セスキ炭酸塩、ホウ酸塩、ケイ酸塩、リン酸塩(例えばリン酸一ナトリウム、リン酸三ナトリウム、ピロリン酸塩など)、イミダゾール、ならびにそれらの混合物を含む、口腔で許容されうる任意のpH修飾剤を用いてもよい。本発明の実施において有用な酸性化剤には、リン酸、塩酸およびフッ化水素酸などの無機酸、ならびにリンゴ酸、ヒドロキシコハク酸、クエン酸および酒石酸などの有機酸、ならびにそれらの混合物が含まれる。酸性化剤は、重量約0.5〜約3.5%の範囲の量で発泡性組成物中に存在して、pHを約3〜約5に調整する。口腔で許容されうるpH範囲に組成物を維持するのに有効な総量で、1以上のpH修飾剤が場合によって存在する。1つの態様において、リンゴ酸は、重量約3%のレベルで存在する。特定の態様において、緩衝塩、例えばリン酸水素ナトリウムが組成物中に含まれて、酸性化された泡に曝露されて歯が脱ミネラル化されるのを阻害する。好ましくは、リン酸水素ナトリウムは、組成物が約0.1Mのリン酸イオンを含有するように提供される。1つの態様において、リン酸水素ナトリウムは、約1.4%(例えば約1.38%)のレベルで存在する。
【0027】
[0025]特定の態様において、迅速につぶれうるフッ化物歯科用泡は甘味剤を含有する。本明細書において有用なものの中で、甘味料には、口腔で許容されうる天然または人口の栄養または非栄養甘味料が含まれる。こうした甘味料には、デキストロース、ポリデキストロース、スクロース、マルトース、デキストリン、乾燥転化糖、マンノース、キシロース、リボース、フルクトース、レブロース、ガラクトース、コーンシロップ(高フルクトースコーンシロップおよびコーンシロップ固体が含まれる)、部分的加水分解デンプン、水素化デンプン加水分解物、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、マルチトール、イソマルト、アスパルテーム、ネオテーム、サッカリンおよびその塩、スクラロース、二ペプチドに基づく高甘味度甘味料(intense sweeteners)、シクラメート、ジヒドロカルコンおよびそれらの混合物が含まれる。これらの剤の中で、ナトリウム・サッカリネート(sodium saccharinate)は、1つの現在好ましい例として言及されうる。選択する特定の甘味料(単数または複数)に強く依存した総量で、1以上の甘味料が場合によって存在するが、典型的には、組成物の総重量に比較して、約0.005%〜約5%、場合によって約0.1〜約1%、好ましくは0.25および約0.35%のレベルで存在する。泡はまた、組成物総重量に比較して重量0.01〜0.5%の間の量で、安息香酸ナトリウム、パラヒドロキシ安息香酸メチル、パラヒドロキシ安息香酸プロピル等の保存剤も含有してもよい。1つの態様において、安息香酸ナトリウムは約0.1%のレベルで存在する。
【0028】
[0026]一般的に、組成物中には、エアロゾルデバイスから排出される泡の総重量に比較して、好ましくは約0.5〜約5%の間の比率のフレーバー物質が存在する。本明細書において有用なものの中で、フレーバーラント(flavorants)には、組成物の食味を増進するように機能可能な任意の物質または物質の混合物が含まれる。口腔で許容されうる任意の天然または合成フレーバーラント、例えば香味油、香味アルデヒド、エステル、アルコール、類似の物質、およびそれらの組み合わせを用いてもよい。フレーバーラントには、バニリン、セージ、マージョラム、パセリ油、スペアミント油、シナモン油、ウィンターグリーン油(メチルサリチレート)、ペパーミント油、丁子油、ベイ油、アニス油、ユーカリ油、柑橘油、果実油、およびレモン、オレンジ、ライム、グレープフルーツ、アプリコット、バナナ、ブドウ、リンゴ、マンダリン、イチゴ、サクランボ、パイナップル等に由来するものを含むエッセンス、コーヒー、ココア、コーラ、ピーナッツ、アーモンド等の豆およびナッツ由来フレーバー、吸着され、そして被包されたフレーバーラント、ならびにそれらの混合物が含まれる。本明細書において、フレーバーラント内にやはり含まれるのは、口中で芳香および/または冷却もしくは加温効果を含む他の感覚効果を提供する成分である。こうした成分には、メントール、酢酸メンチル、乳酸メンチル、樟脳、ユーカリ油、ユーカリプトール、アネトール、オイゲノール、カッシア、オキサノン、α−イリソン、プロペニル・グアイエトール(propenyl guaiethol)、チモール、リナロール、ベンズアルデヒド、桂皮アルデヒド、N−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミド、N,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタンアミド、3−1−メントキシプロパン−1,2−ジオール、桂皮アルデヒドグリセロールアセタール(CGA)、メトングリセロールアセタール(MGA)およびそれらの混合物が含まれる。約0.01%〜約5%、場合によって多様な態様において約0.05〜約2%、そしてより好ましくは約0.1〜約1.5%、そして約0.5〜約1.5%の総量で、1以上のフレーバーラントが場合によって存在する。
【0029】
[0027]本発明の発泡性組成物がパッケージングされうる加圧エアロゾル容器中で用いられる噴霧剤は、圧縮空気、亜酸化窒素、および二酸化炭素の中から選択され、そしてより典型的には、約20℃で、約15〜約80psig、好ましくは約30〜約70psigの蒸気圧を有する、揮発性炭化水素または揮発性炭化水素の混合物(典型的には3〜6炭素原子のもの)から選択される。用語、揮発性炭化水素はまた、ハロ炭化水素も含むよう意図される。特定の態様において、特に好ましい噴霧剤は、Diversified CPC International、米国イリノイ州チャナホンによって名称Aeron A−46(「A−46」)のもとに販売される製品である。A−46は、約20℃で46psigの蒸気圧を持つ、イソブタンおよびプロパンの混合物である。特定の態様において、噴霧剤は、約75〜約85wt%のプロパンおよび約15〜約25wt%のイソブタンを含む。多様な態様において、歯科用泡組成物は、約5〜約20wt%の加圧液体噴霧剤、より好ましくは約7〜約10wt%の噴霧剤を含む。
【0030】
[0028]多様な態様において、本発明は、場合によって2つの噴霧剤を用いてもよく、これは当該技術分野において二重噴霧剤系と称される。揮発性噴霧剤構成要素の2つの主な機能は:(1)分配容器から歯磨剤を押し出し、そして(2)分配された組成物を発泡させることである。特定の態様において、同じ噴霧剤組成物が両方の目的のために用いられ、他の態様において、異なる噴霧剤が用いられる。後者の噴霧剤の機能は、あるいは、吹き出し剤(blowing agent)、または発泡剤と称されうる。吹き出し剤は配合物に添加されて、配合物を発泡させ、そして容器から歯磨剤を押し出すのに用いられる大きな機械的エネルギーは供給しない。
【0031】
[0029]本明細書において場合によって有用な泡調節剤には、攪拌に際して、組成物(例えば歯磨剤組成物)によって生成される泡の量、粘度(thickness)または安定性を増加させるように機能可能な物質が含まれる。ポリオキシエチレンとしてもまた知られるポリエチレングリコール(PEG)を含む、口腔で許容されうる任意の泡調節剤を用いてもよい。約200,000〜約7,000,000、例えば約500,000〜約5,000,000または約1,000,000〜約2,500,000の平均分子量を有するものを含む、高分子量PEGが適切である。約0.1%〜約10%、より好ましくは約0.2%〜約5%、そしてさらにより好ましくは約0.25%〜約2%の総量で、1以上のPEGが場合によって存在する。
【0032】
[0030]本明細書において場合によって有用なものの中で、粘性(viscosity)修飾剤には、ミネラルオイル、ワセリン、粘土および有機修飾粘土、シリカおよびそれらの混合物が含まれる。多様な態様において、こうした粘性修飾剤は、液体組成物の攪拌に際して、成分の定着または分離を阻害するか、あるいは再分散可能性を促進するように機能可能である。組成物重量の約0.01%〜約10%、より好ましくは約0.1%〜約5%の間の総量で、1以上の粘性修飾剤が場合によって存在する。
【0033】
[0031]本明細書において場合によって有用なものの中で、着色剤には、ピグメント、色素、レーキ、およびパール化剤(pearling agent)などの特定の艶または反射性を与える剤が含まれる。多様な態様において、着色剤は、歯の表面上に白色または淡色のコーティングを提供し、組成物によって有効に接触された歯の表面上の位置の指標として作用し、そして/または組成物の外見、特に色および/または不透過度を修飾して、消費者への魅力を増進させるように機能可能である。タルク、雲母、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、シリカ、二酸化チタン、酸化亜鉛、赤色、黄色、茶色および黒色酸化鉄、フェロシアン化第二鉄アンモニウム、マンガンバイオレット、ウルトラマリン、チタン化雲母、オキシ塩化ビスマス、FD&C色素、ならびにそれらの混合物を含む、口腔で許容されうる任意の着色剤を用いてもよい。約0.001%〜約20%、例えば約0.01%〜約10%または約0.1%〜約5%の総量で、1以上の着色剤が場合によって存在する。
【0034】
[0032]本発明の発泡性フッ化物組成物は、フッ化物塩および酸性化剤を、サーファクタント、甘味剤、フレーバーおよび保存剤とともに、水溶液中でブレンドすることによって調製される。重量約85〜約98%の水、そして好ましくは重量約90〜約95%の水を含有する、生じた水溶液を、あらかじめ決定した量で、泡生成容器に添加する。エアロゾル容器に関しては、適切なエアロゾルバルブを容器の口にしっかり取り付ける。次いで、エアロゾルバルブを通じて、エアロゾル容器の相対的充填重量の約4%〜10%、好ましくは7%のエアロゾル噴霧剤を容器に装填する。次いで、分配作動装置および注入口組み立て部をバルブ上に取り付ける。
【0035】
[0033]二重噴霧剤系で使用するのに適した圧差動分配装置には、一般的に、バッグインカン(bag−in−can)組み立てと称される、噴霧剤液を含有する強固な容器内に配置されている、産物を含有するつぶれうるバッグを含むものが含まれる。こうした分配容器の使用に伴って当該技術分野で知られるように、手動で作動する分配バルブの操作は、組成物の放出を可能にし、噴霧剤液は、液体不透性バッグによって産物から分離されている。液体不透性バッグ系には、一般的に、化学的に不活性なポリマーで作製されたバッグ、ならびに2003年9月23日に発行された、Poissonらに対する米国特許第6,622,943号、および2004年9月14日に発行された、O’Connerらに対する米国特許第6,789,702号に記載されるものが含まれる。
【0036】
[0034]使用中、泡生成容器をよく振盪し、そして回転させて歯科用トレイのトラフと分配口を一直線にする。作動装置を押して、トラフによって定義される体積を実質的に満たす量のフッ化物泡を分配する。次いで、トレイを患者の口中に配置し、トラフおよびそのフッ化物泡の内容物を、治療しようとする歯の周囲に重ねて、そして歯と関与させる。フッ化物泡を、約1〜4分間、歯と関与させたまま維持して、歯のフッ化物治療を達成する。
【0037】
[0035]トラフ中で形成された泡は、「ふわふわ」であり、一般的な濃密な泡とは区別されるように、比較的もろい塊であり、そして容易につぶれて、口を単に吸引するかまたは水でリンスすることによって、残った治療泡の迅速でそして容易な除去が可能になる。泡は、分配に際して、つぶれるかまたは液化する前に、約2分間、約100秒間、約90秒間、泡の形で存在しうる。
【0038】
[0036]以下の実施例は、本発明の例示であり、そして本発明の精神および範囲から逸脱することなく、多くの変動が可能であるため、本発明の限定として見なされてはならない。
【実施例】
【0039】
実施例1
[0037]列挙した順に成分を水中に室温で溶解することによって、表1に列挙する成分を有する発泡性フッ化物治療組成物を調製する。
【0040】
表1
【0041】
【表1】

【0042】
[0038]139.5グラムの治療組成物および10.5グラムのAeron A−46、イソブタンおよびプロパンの80/20混合物を、バルブおよびノズルを備えたエアロゾル容器内に導入する。組成物を、4.4℃(40°F)の冷蔵庫に少なくとも12時間入れ、そして生じた組成物は、透明で、曇りがなく、そしていかなる可視の沈殿粒子もない。容器から分配された歯科用泡は、歯科用トレイのトラフ内に分配された後、患者の歯と接触させて配置すると、1分以内につぶれる。泡がつぶれたら、トレイを患者の口から取り除き、そして患者の口を単に水でリンスすることによって、残ったいかなる泡も取り除く。
【0043】
実施例2
[0039]実施例1に先に記載する方法によって、列挙した順に成分を水中に室温で溶解することにより、表2に列挙する成分を有する発泡性フッ化物治療組成物を調製する。しかし、この実施例では、サーファクタントはPluronic F−127を含み、そしてコカミドプロピルベタインは組成物に添加されない。この組成物を、同様に、4.4℃(40°F)の冷蔵庫に少なくとも12時間入れ、そして生じた組成物は、透明で、曇りがなく、そしていかなる可視の沈殿粒子もない。
【0044】
表2
【0045】
【表2】

【0046】
実施例3
[0040]実施例1に先に記載する方法によって、列挙した順に成分を水中に室温で溶解することにより、表3に列挙する成分を有する発泡性フッ化物治療組成物を調製する。しかし、この実施例では、サーファクタントはラウリル硫酸ナトリウムを含み、そしてPluronic F−127またはコカミドプロピルベタインは組成物に添加されない。この組成物を、同様に、4.4℃(40°F)の冷蔵庫に少なくとも12時間入れ、そして生じた組成物は、曇っており、そして可視の沈殿粒子はない。
【0047】
表3
【0048】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
非イオン性サーファクタント、双性イオン性サーファクタント、ベタイン・サーファクタント、およびそれらの混合物からなる群より選択される界面活性剤;ならびに
組成物のpHを約3〜約5に調整するのに十分な量の酸性化剤
の水溶液を含む、低密度発泡性口腔ケア組成物であって、
分配された際、約120秒間未満でつぶれる泡を形成する、前記組成物。
【請求項2】
フッ化物イオン放出可能塩をさらに含む、請求項1の組成物。
【請求項3】
4.4℃(40°F)の温度で12時間維持された際に実質的に沈殿物不含である、請求項1の組成物。
【請求項4】
泡生成容器中にパッケージングされている、請求項1の組成物。
【請求項5】
容器から分配された際、約1分間以下で実質的に液化する低密度の泡を形成する、請求項1の組成物。
【請求項6】
フッ化物イオン放出可能塩が、約12,000p.p.m.を提供する量で存在する、請求項1の組成物。
【請求項7】
界面活性剤がベタイン・サーファクタントである、請求項1の組成物。
【請求項8】
界面活性剤が、コカミドプロピルベタイン、ポロキサマー、およびポロキサマー407から選択される、請求項1の組成物。
【請求項9】
フッ化物イオン放出可能塩がフッ化ナトリウムである、請求項1の組成物。
【請求項10】
泡生成容器がエアロゾル容器である、請求項12の組成物。
【請求項11】
泡生成容器がバッグインカン(bag−in−can)組み立てである、請求項21の組成物。
【請求項12】
エアロゾル容器が炭化水素ガスを装填されている、請求項10の組成物。
【請求項13】
炭化水素ガスがイソブタンおよびプロパンの混合物を含む、請求項12の組成物。
【請求項14】
ポリエチレングリコールをさらに含む、請求項1の組成物。
【請求項15】
口腔適合酸性化剤がリンゴ酸を含む、請求項1の組成物。
【請求項16】
界面活性剤が、12より大きいHLB値を有する、請求項1の組成物。
【請求項17】
界面活性剤が約18〜約23のHLB値を有する、請求項1の組成物。
【請求項18】
リン酸水素ナトリウムをさらに含む、請求項1の組成物。
【請求項19】
水溶性フッ化物イオン放出可能塩;
非イオン性サーファクタント、双性イオン性サーファクタント、ベタイン・サーファクタント、およびそれらの混合物からなる群より選択される界面活性剤;ならびに
組成物のpHを約3〜約5に調整するのに十分な量の口腔適合酸性化剤
の水溶液を含む、泡生成容器中にパッケージングされた低密度歯科用フッ化物組成物であって、
組成物が、容器から歯科用トレイのトラフ内に分配された際、泡生成容器からの分配後、約1分間で実質的に液化する、低密度の迅速につぶれうる泡を形成し、そしてこれを患者の歯と接触させて配置し、
さらに、4.4℃(40°F)で少なくとも12時間沈殿を伴わずに安定である
前記組成物。
【請求項20】
界面活性剤がベタイン・サーファクタントを含む、請求項19の組成物。
【請求項21】
ベタイン・サーファクタントがコカミドプロピルベタインを含む、請求項20の組成物。
【請求項22】
界面活性剤がポロキサマー・サーファクタントを含む、請求項19の組成物。
【請求項23】
フッ化物塩がフッ化ナトリウムを含む、請求項19の組成物。
【請求項24】
泡生成容器が炭化水素ガスを装填されているエアロゾル容器である、請求項19の組成物。
【請求項25】
炭化水素ガスがイソブタンおよびプロパンの混合物を含む、請求項24の組成物。

【公表番号】特表2010−540645(P2010−540645A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−528050(P2010−528050)
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【国際出願番号】PCT/US2008/078091
【国際公開番号】WO2009/045949
【国際公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(590002611)コルゲート・パーモリブ・カンパニー (147)
【氏名又は名称原語表記】COLGATE−PALMOLIVE COMPANY
【Fターム(参考)】