説明

発泡性ポリスチレンで構成された殺虫剤改質(insecticide−modified)ビーズ材料、及びそのビーズ材料から得られる殺虫剤改質成形品

【課題】本発明は、製造、加工及び使用の間、活性成分への比較的低い曝露と、その低い曝露による活性成分の比較的低い損失とをもたらす、発泡性ポリスチレンから構成された殺虫剤改質ビーズ材料(EPSビーズ材料)を提供することを目的とする。
【解決手段】上記目的は、そのビーズ材料のための塗膜であって、1種以上の殺虫剤だけでなく、少なくとも1種のグリセロールエステルと任意で1種以上のバインダーとを含む塗膜を通して達成される。本発明は、それゆえ、(A)1以上の殺虫剤(B)1以上のグリセロールエステル(C)所望により、1種以上のバインダー、及び(D)所望により、更なる添加物で塗布された、発泡性ポリスチレン(EPS)から構成されたビーズ材料を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡性ポリスチレンから構成された殺虫剤改質ビーズ材料、そのビーズ材料から得られる殺虫性成形品、そのビーズ材料の製造方法、及びまた、建築産業分野でのそのビーズ材料の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリマーフォームは、例えば、建築産業分野で地上と地下の両方で遮断材として使用される。昆虫による消耗、特に白アリによる消耗は、これらのフォームに実質的に損害を与え、そうして、遮断作用、及びまたその成形品の機械的安定性に欠陥を生じさせ、さらなる害虫侵食を引き起こさせる。多くの場合、国の規制によるポリマーフォームの殺虫性保護が要求される。なぜなら、そのような遮断材は白アリに好ましい住居を提供するからである。
【0003】
特許文献1には、ポリマーフォームの保護のための(±)−5−アミノ−1−(2,6−ジクロロ−α,α,α,−トリフルオロ−p−トリル)−4−トリフルオロメチルスルフィニルピラゾール(慣用名:フィプロニル)の使用が開示されている。この目的のために使用されるフィプロニルの濃度は0.001〜1質量%である。ポリスチレン、ポリエチレン、及びポリプロピレンがポリマー母材として記載されている。フィプロニルは、最終成形品の表面に施されるか、予備発泡したフォームビーズの表面に施されるか、又は発泡剤を含むペレットに施されることにより組み込まれる。
【0004】
特許文献2には、発泡剤を含むEPSペレット、又は予備発泡EPSペレットを、フィプロニル及びバインダー(binder)で被覆する方法が記載されている。記載された方法は、望まざる材料の摩耗をもたらし、且つ製造する間の粉立ちを引き起こしうる。この材料の摩耗又は粉立ちは、多量の活性成分を含むので、また、製造、加工、及び/又は使用の間に活性成分の損失につれて、望まざる曝露(exposure)が起こりがちである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】JP2000−001564
【特許文献2】JP2001−259271
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
それゆえ、本発明の目的は、望まざる曝露及び製造の間の活性成分の損失に関して特許文献1及び特許文献2に記載された方法を改良することであった。とりわけ、本発明の目的は、製造、加工及び使用の間、活性成分への比較的低い曝露と、これにより活性成分の比較的低い損失とをもたらす、発泡性ポリスチレンから構成された殺虫剤改変ビーズ材料(EPSビーズ材料)を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
その目的は、そのビーズ材料のための塗膜であって、1種以上の殺虫剤だけでなく、少なくとも1種のグリセロールエステルと、任意で1種以上のバインダーとを含む塗膜を通して達成される。
【0008】
本発明は、それゆえ、
(A)1種以上の殺虫剤
(B)1種以上のグリセロールエステル
(C)所望により、1種以上のバインダー、及び
(D)所望により、更なる添加物
で塗布された、発泡性ポリスチレン(EPS)から構成されたビーズ材料を提供する。
【0009】
更に、本発明は、殺虫剤、本発明のビーズ材料から得られる発泡成形品、そのビーズ材料及び成形品の製造方法、及びまた建築材料として、特に、遮断材としての建築産業分野におけるそれらの使用方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明のEPSビーズ材料の塗膜は、EPSビーズ材料及びそこから得られる成形品の耐摩耗性の改良をもたらす。そのうえ、本発明のEPSビーズ材料及びそこから得られる成形品は、先行技術によって処理されたEPSビーズ材料及びそこから得られる成形品と比較して、殺虫剤活性が改善したことがわかった。このことが、殺虫剤の量の減少を可能にし、そうして、より経済的且つより環境的に両立しうるコーティング方法をもたらしている。
【0011】
そのうえ、本発明の成形品は、(殺虫剤のない)標準製品と比較しても機械的及び遮断特性に不具合を有さない。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の目的のために、EPSは、スチレン、他のビニル芳香族モノマー、及び、所望により、更なるコモノマーから構成されたホモ−及びコポリマーのための全体語である。EPSは、例として、標準ポリスチレン(汎用ポリスチレン、GPPS、通常透明)、耐衝撃性ポリスチレン(耐衝撃性ポリスチレン、HIPS、例えば、ポリブタジエンゴム又はポリイソプレンゴムを含む)、スチレンマレイン酸/アンヒドリドポリマー、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンポリマー(ABS)、スチレン−アクリロニトリルポリマー(SAN)、又はこれらの混合物(成分K1)を含む。好ましいEPSは、実質的にスチレンに基づく(好ましくは、モノマー含有量に対して、少なくとも95モル%の程度のスチレン)標準ポリスチレンである。
【0013】
また、EPSは、1種以上の上述のポリマー(成分K1)と1種以上の熱可塑性ポリマー(成分K2)、例えば、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリアミド(PA)、ポリプロピレン(PP)又はポリエチレン(PE)のようなポリオレフィン、ポリメチルメタクリレート(PMMA)のようなポリアクリレート、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)又はポリブチレンテレフタレート(PBT)のようなポリエステル、ポリエーテルスルホネート(PES)、ポリエーテルケトン(PEK)、又はポリエーテルスルフィド(PES)とからなるブレンドを含む。ポリアミド(PA)が、好ましい熱可塑性ポリマーである。
【0014】
成分K1と呼ばれるポリマーは、スチレン及びα−メチルスチレンのような1以上のビニル芳香族モノマー、及び所望により、ジエン、α,β−不飽和カルボン酸、エステル(好ましくはアルキルエステル)、又はこれらのカルボン酸及びアルケンのアミドのようなコモノマーの重合により得られる。
【0015】
使用されるビニル芳香族モノマーは、好ましくは一般式(I)
【0016】
【化1】

【0017】
[式中、RとRはそれぞれ、お互いに独立して、水素、メチル、又はエチルであり、Rは水素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ネオペンチル、1,2−ジメチルプロピル、イソアミル、n−ヘキシル、イソヘキシル、sec−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2エチルヘキシル、n−ノニル、n−デシルのようなC−C10−アルキル、好ましくは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、及びtert−ブチル等のC−C−アルキルであり、及びkは0から2までの整数である。]で表わされる少なくとも1つの化合物を含む。
【0018】
及びRは、それぞれ水素であることが好ましく、さらに、k=0であることが好ましい。スチレンが用いられることが特に好ましく、他の特に好適な化合物は、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、エチルスチレン、tert−ブチルスチレン、ビニルスチレン、ビニルトルエン、1,2−ジフェニルエチレン、1,1−ジフェニルエチレン、又はこれらの混合物である。
【0019】
使用することができるジエンコモノマーは、重合可能などのようなジエンでもよいが、特に、1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、2,3−ジメチルブタジエン、イソプレン、ピペリレン、またはこれらの混合物である。1,3−ブタジエン(ブタジエンと略称される)、イソプレン、又はこれらの混合物が好ましく用いられる。
【0020】
好ましく好適なα,β−不飽和カルボン酸またはそれらの誘導体は一般式(II)
【0021】
【化2】

の化合物であり、符号の定義は以下の通りである。
式中、Rは、
メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ネオペンチル、1,2−ジメチルプロピル、イソアミル、n−ヘキシル、イソヘキシル、sec−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、n−デシル等の枝分かれしていない又は枝分かれしたC−C10−アルキルからなる群から選択され、特に好ましくは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、及びtert−ブチル等のC−C−アルキルであり、
又は水素であり、
特に好ましくは水素及びメチルである。
【0022】
式中、Rは、
メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ネオペンチル、1,2−ジメチルプロピル、イソアミル、n−ヘキシル、イソヘキシル、sec−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、n−ドデシル等の枝分かれしていない又は枝分かれしたC−C10−アルキルからなる群から選択され、特に好ましくはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、及びtert−ブチルのようなC−C−アルキルが使用され、
特に好ましくは水素が使用される。
【0023】
式中、Rは、
(化合物(II)がそれ自体カルボン酸である)水素、
メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ネオペンチル、1,2−ジメチルプロピル、イソアミル、n−ヘキシル、イソヘキシル、sec−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、n−デシル等の(化合物(II)がそれ自体カルボン酸である)枝分かれしていない又は枝分かれしたC−C10−アルキルからなる群から選択され、特に好ましくはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、及びtert−ブチル等のC−C−アルキルであり、及びまたは2−エチルヘキシルである。
一般式(II)の好ましい化合物は、アクリル酸及びメタクリル酸である。アクリル酸のC−C10−アルキルエステルが更に好ましく使用され、特に、ブチルエステル、好ましくはn−ブチルアクリレート、及びメタクリル酸のC−C10−アルキルエステル、特に、メチルメタクリレート(MMA)が用いられる。
【0024】
好適なカルボキサミドは、特に、上述の化合物(II)のアミドであり、例えば、アクリルアミド及びメタクリルアミドである。
【0025】
使用することができる他のモノマーは、一般式(IIIa)
【0026】
【化3】

及び(IIIb)
【0027】
【化4】

の化合物である。
【0028】
化合物(IIIa)は、形式的にOH置換カルボキサミドであり、符号の定義は以下のとおりである。
【0029】
式中、Rは、
メチル、エチル、n−ペンチル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ネオペンチル、1,2−ジメチルプロピル、イソアミル、n−ヘキシル、イソヘキシル、sec−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、n−デシル等の枝分かれしていない又は枝分かれした
−C10−アルキルからなる群から選択され、特に好ましくはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、及びtert−ブチル等のC−C−アルキルであり、
又は水素であり、
特に好ましくは水素及びメチルである。
【0030】
式中、Rは、
メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ネオペンチル、1,2−ジメチルプロピル、イソアミル、n−ヘキシル、イソヘキシル、sec−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、n−デシルからなる群から選択され、特に好ましくはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、及びtert−ブチル等のC−C−アルキルである。特に好ましくは、水素である。
【0031】
式中、Rは、
メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ネオペンチル、1,2−ジメチルプロピル、イソアミル、n−ヘキシル、イソヘキシル、sec−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、n−デシル等の枝分かれしていない又は枝分かれしたC−C10−アルキルからなる群から選択され、特に好ましくは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、及びtert−ブチル等のC−C−アルキルであり、
特に好ましくは水素である。
【0032】
式中、Xは、
水素、
グリシジル、
第三級アミノ基、好ましくはNH(CH−N(CHを有する基であって、bが2から6の整数である基、
1から20個の炭素原子を有するエノール化することができる基であって、好ましくは、式
【0033】
【化5】

【0034】
[式中、R10は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ネオペンチル、1,2−ジメチルプロピル、イソアミル、n−ヘキシル、イソヘキシル、sec−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、n−デシル等の枝分かれしていない又は枝分かれしたC−C10−アルキルから選択され、特に好ましくは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、及びtert−ブチル等のC−C−アルキルである。]のアセトアセチルである基
からなる群から選択される。
【0035】
式(IIIa)又は(IIIb)中のRは、水素及びメチルから選択され、そして、R及びRはそれぞれ、水素であることが特に好適である。
【0036】
メチロールアクリルアミドが、式(IIIa)の化合物として特に好ましい。
【0037】
また、EPSはコモノマーとしてアルケンを使用して製造することができる。特に好適なアルケンは、エチレン(エテン)及びプロピレン(プロペン)である。
【0038】
成分K1を製造するための更なる好適なコモノマーの例は、以下のいずれか:
(メト)アクリロニトリル、(メト)アクリルアミド、ウレイド(メト)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メト)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メト)アクリレート、アクリルアミドプロパンスルホン酸(枝分かれした又は枝分かれしていない)、又はビニルスルホン酸のナトリウム塩
1〜5質量%である。
【0039】
EPSビーズ材料は、当業者によく知られた公知の方法、例えば
V1 発泡剤の存在下において、スチレン、又は他のビニル芳香族のモノマー又はコモノマーの懸濁重合、そうして、直ちに発泡剤を含むEPSビーズ材料を製造する
V2 加熱された懸濁液中での、加圧条件下における加熱された懸濁液中での発泡剤を含まないポリスチレンビーズ材料への発泡剤の含浸、ここで、含浸された発泡剤は軟化したビーズ材料中に拡散する(そして懸濁液が圧力下で冷却される時、発泡剤を含むEPSビーズ材料が得られる)、又は
V3 エクストルーダー又は他の混合装置を用いた、発泡剤をポリスチレンメルト中へ組み込むための混合(発泡剤を含む溶融物は、圧力下で排出される、そして、例えば、EPSビーズ材料を提供するために水中ペレット化によりペレット化される)
その方法V1、V2、及びV3の何れかにより得られるEPSビーズ材料は、慣用的な方法に従い単離し、洗浄し、そして乾燥することができる。
【0040】
密なEPSビーズ材料及び予備発泡したEPSビーズ材料は、本発明のEPSビーズ材料として好適である(好ましくは、予備発泡したビーズ材料である)。
【0041】
好適な発泡剤は、EPSビーズ材料に通常使用される物理的な発泡剤であり、例えば、2〜8個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素、アルコール、ケトン、エーテル、ハロゲン化炭化水素、水、又はこれらの混合物である。イソブタン、n−ブタン、イソペンタン、n−ペンタン、又はこれらの混合物を使用することが好ましい。
【0042】
発泡剤の使用される量は、使用されるビニル芳香族のモノマーに対して、0.5〜15質量%、好ましくは1〜10質量%、とりわけ2〜8質量%である。
【0043】
EPSは、更なる添加物を含むことができる。本発明によると、添加物という言葉は、重合反応の間に、好ましくは懸濁重合反応の間に使用される、例えば、核剤、可塑剤、難燃剤、赤外吸収材(カーボンブラック、グラファイトのような)、アルミニウムパウダー、二酸化チタン、溶解性及び不溶性染料、及び顔料の助剤の集合語として使用される。好ましい添加物は、グラファイト及びカーボンブラックである。グラファイトの好ましい含有量は、それぞれEPSの総質量に対して0.05〜25質量%であり、特に好ましくは2〜8質量%である。グラファイト粒子の平均サイズは、好ましくは1〜50μmであり、特に好ましくは2〜10μmである。
【0044】
一実施の形態では、本発明に従ったEPSは、非殺虫剤改質EPSから簡単に区別を可能とするために、それによって製造及び加工の間の製品の安全性を改良するために、着色される。
【0045】
建築産業及び他の産業での防火規制の理由で、本発明のEPSは好ましくは1以上の難燃剤を含む。
【0046】
好適な難燃剤の例は、ヘキサブロモシクロドデカン(HBCD)であり、特に、主にα−,β−,及びγ−異性体からなる工業銘柄製品(technical-grade products)及び、好ましくは相乗剤として添加されるジクミルパーオキシドである。
【0047】
更なる好適な難燃剤は、例えば、テトラブロモビスフェノール−A−ジアリルエーテル、発泡性グラファイト、赤燐、トリフェニルホスフェート、及び9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシドである。
【0048】
本発明によると、EPSビーズ材料は、
(A)1種以上の殺虫剤
(B)1種以上のグリセロールエステル
(C)所望により、1種以上のバインダー、及び
(D)所望により、更なる添加物
を含む塗膜を含む。
【0049】
本発明の目的にとって“殺虫剤”という用語は、殺節足動物剤(arthropodicide)(殺虫剤及び殺ダニ剤)及び殺線虫剤を包含する。
【0050】
好適な殺虫剤は、当業者にとって原則として公知であり、例えば、“C.D.S.Tomlin(ed.),The Pesticide Manual,14版,The British Crop Protection Council,2006年”に記載されている。
【0051】
以下の群からの殺虫剤:
I.1.GABA拮抗剤化合物:アセトプロール、エンドスルファン、エチプロール(III)、フィプロニル(II)、バニリプロール、ピラフルプロール、ピリプロール;式(VI)のフェニルピラゾール化合物(以下参照);
I.2.カルバメート:アラニカルブ、アルジカルブ、ベンジオカルブ、ベンフラカルブ、カルバリル、カルボフラン、カルボスルファン、フェノキシカルブ、フラチオカルブ、メチオカルブ、メソミル、オキサミル、ピリミカルブ、プロポクスル、チオジカルブ、トリアザメート;
I.3.ピレスロイド:アレスリン、ビフェントリン、シフルトリン、シハロトリン、シフェノトリン、シペルメトリン、α−シペルメトリン、β−シペルメトリン、ζ−シペルメトリン、デルタメトリン、エスフェンバレレート、エトフェンプロックス、フェンプロパトリン、フェンバレレート、イミプロトリン、λ−サイハロスリン、ペルメトリン、プラレトリン、ピレトリンI及びII、レスメトリン、シラフルオフェン、τ-フルバリネート、テフルトリン、テトラメトリン、トラロメトリン、トランスフルトリン、プロフルトリン、ジメフルスリン;
I.4.成長調節剤:a)キチン合成阻害剤:ベンゾイルウレア:クロルフルアズロン、ジフルベンズロン、フルシクロクスロン、フルフェノクスロン、ヘキサフルムロン、ルフェヌロン、ノバルロン、ノビフルムロン、スルフルラミド、テフルベンズロン、テフルモロン(teflumoron)、ブプロフェジン、ジオフェノラン、ヘキシチアゾクス、エトキサゾール、クロフェンタジン;b)エクジソン拮抗剤:ハリオフェノジド(haliofenozide)、メトキシフェノジド、テブフェノジド、アザジラクチン;c)ジュベノイド:ピリプロキシフェン、メトプレン、フェノキシカルブ;d)脂質生合成阻害剤:スピロジクロフェン、スピロメシフェン、スピロテトラマト;
I.5.ニコチン受容体作用物質/拮抗剤化合物:アセタミプリド、クロチアニジン、ジノテフラン、イミダクロプリド、ニテンピラム、チアクロプリド、チアメトキサム;
I.6.オルガノ(チオ)ホスフェート:アザメチホス、アジンホス−メチル、クロルピリホス、クロルピリホス−メチル、クロルフェンビンホス、ダイアジノン、ジクロルボス、ジクロトホス、ジメトエート、ジスルホトン、エチオン、フェニトロチオン、フェンチオン、イソフェンホス、マラチオン、メタミドホス、メチダチオン、メチル−パラチオン、メビンホス、モノクロトホス、オキシデメトン−メチル、パラオクソン、パラチオン、フェントエート、ホサロン、ホスメット、ホスファミドン、ホレート、ホキシム、ピリミホス−メチル、プロフェノホス、プロチオホス、スルプロホス、テトラクロルビンホス、テルブホス、トルアゾホス(tolazophos)、トリクロルホン;
I.7.大環状ラクトン殺虫剤:アベルメクチン、エマメクチン、ミルベメクチン、レピメクチン、スピノサド;
I.8.サイト−I電子伝達阻害剤:例えば、フェナザキン、ピリダベン、テブフェンピラド、トルフェンピラド;
I.9.サイト−II及びサイトIII電子伝達阻害剤:アセキノシル、フルアシプリム、ヒドラメチルノン(V);
I.10.アンカップラー化合物:クロルフェナピル(VI);
I.11.酸化的リン酸化阻害化合物:シヘキサチン、ジアフェンチウロン、酸化フェンブタスズ、プロパルギット;
I.12.キチン生合成阻害剤:シロマジン;
I.13.混合機能酸素添加酵素阻害化合物:ピペロニルブトキシド;
I.14.ナトリウムチャネル調節因子:インドキサカルブ、メタフルミゾン;
I.15.作用の機構が未知又は未特定な活性物質:ベンクロチアズ、ビフェナゼート、ホウ酸塩、カルタップ、クロラントラニリプロール、フロニカミド、ピダリル(pyddalyl)、ピメトロジン、硫黄、チオシクラム、フルベンジアミド、シエノピラフェン、シフルメトフェン、フルピラゾホス、アミドフルメト
が提供されることが好ましい。
【0052】
I.1からI.15の群の市販されている化合物は、“The Pesticide Manual”(14版、British Crop Protection Council、2006年)から知ることができる。
【0053】
レピメクチンは、“Agro Project”(PJB Publications Ltd,2004年11月)から知られる。ベンクロチアズ及びその製品は、EP−A1 454621に記載されている。メチダチオン、パラオクソン、及びそれらの製品は、“Farm Chmicals Handbook”(88巻、Meister Publishing Company、2001年)に記載されている。アセトプロール及びその製品は、WO98/28277に記載されている。フルピラゾホスは、“Pesticide Science”(54、1988年、237−243ページ)及びUS4822779に記載されている。ピラフルプロール及びその製品は、WO98/45274及びUS6335357に記載されている。アミドフルメト及びその製品は、US6221890及びJP21010907に記載されている。フルフェネリム及びその製品はWO3/007717及びWO03/007718に記載されている。シフルメトフェン及びその製品は、WO04/080180に記載されている。
【0054】
更なる好ましい殺虫剤は式(IV)
【0055】
【化6】

のアミドラゾンであり、符号は以下の定義を有する:
Wは、Cl又はCFであり;
X,Yは、同一であるか又は異なっており、Cl又はBrであり;
11は、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルケニル、又は(C−C)−シクロアルキルであり、それらは1〜3個のハロゲン原子で置換されても良く、又は(C−C)−アルコキシにより置換された(C−C)−アルキルであり;
12、R13は、(C−C)−アルキル、又はそれらに炭素原子がくっついた、(C−C)−シクロアルキルの形状であり、それらは1〜3個のハロゲン原子によって置換されても良い;
14は、H又は(C−C)−アルキルであり、及びまた
それらの鏡像体及び塩である。
【0056】
式(IV)中で、符号は好ましくは以下の定義を有する:
11は、好ましくは(C−C)−アルキル、より詳細にはメチル又はエチルであり;
12及びR13は、好ましくはメチル又は、それらに炭素原子がくっついた、シクロプロピル環の形状であって、1個以上の塩素原子を有してもよく;
14は、好ましくは(C−C)−アルキルであり、より詳細にはメチルであり;
Wは好ましくはCFであり;
X,Yは、好ましくはClである。
【0057】
式(IV)の更に好ましい化合物は、その式中、XとYはClであり、WはCFであり、R12、R13、及びR14はメチルであり、R11はメチル又はエチルであり、及びまたは、式中X及びYがClであり、WがCFであるその化合物中で、R12及びR13は、炭素原子にお互いが結合され、2,2−ジクロロシクロプロピル基を形成し、R14はメチルであり、R11はメチル又はエチルである。これらの化合物は及びそれらの製品は、例えば、US2007/0184983に記載されている。
【0058】
以下の群から殺虫剤が提供されることが特に好ましい:
I.1 アセトプロール、エチプロール(III)、フィプロニル(II)、バニリプロール;
I.2 カルバリル;
I.3 ビフェントリン、シフルトリン、シハロトリン、シペルメトリン、α−シペルメトリン、デルタメトリン、フェンバレレート、λ−サイハロスリン、ペルメトリン;
I.4 ジフルベンズロン、フルフェノクスロン、ヘキサフルムロン、ノビフルムロン、スルフルラミド;
I.5 アセタミプリド、イミダクロプリド、チアクロプリド、チアメトキサム;
I.6 クロルピリホス、フェニトロチオン、イソフェンホス;
I.7 スピノサド;
I.8 サイト−I電子伝達阻害剤:例えば、フェナザキン、ピリダベン、テブフェンピラド、トルフェンピラド;
I.9 ヒドラメチルノン(V);
I.10 クロルフェナピル(VI);
I.11 酸化的リン酸化阻害化合物:シヘキサチン、ジアフェンチウロン、酸化フェンブタスズ、プロパルギット;
I.12 キチン生合成阻害剤:シロマジン;
I.13 混合機能酸素添加酵素阻害化合物:ピペロニルブトキシド;
I.14 インドキサカルブ、メタフルミゾン;
I.15 ホウ酸塩、クロラントラニリプロール、フロニカミド;
フェニルピラゾールの群、好ましくは、フィプロニル(V)
【0059】
【化7】

、アセトプロール、エチプロール(VI)
【0060】
【化8】

から、及び式(VII)
【0061】
【化9】

(より詳細には、好ましくはフィプロニル)、クロルフェナピル(VIII)
【0062】
【化10】

、及びヒドラメチルノン(IX)
【0063】
【化11】

から殺虫剤が提供されることが特に好ましい。
【0064】
より詳細には、フィプロニルが提供されることが好ましい。
【0065】
フィプロニルのための好ましい共成分は、ピレスロイド(I.3)、ニコチン受容体作用物質/拮抗剤(I.5)、ホウ酸塩、カルバリル、クロラントラニリプロール、クロルピリホス、ジフルベンズロン、フェニトロチオン、フロニカミド、フルフェノクスロン、ヘキサフルムロン、インドキサカルブ、イソフェンホス、ノビフルムロン、メタフルミゾン、スピノサド、スルフルラミドである。アセタミプリド、ビフェントリン、シフルトリン、シペルメトリン、α−シペルメトリン、デルタメトリン、フェンバレレート、イミダクロプリド、λ−シハロトリン、ペルメトリン、チアクロプリド、及びチアメトキサムが提供されることが特に好ましい。
【0066】
混合物中で、本発明に従って使用される殺虫剤と更なる何れかの添加物(participants)との間の混合割合は、幅広く変えることができ、一般的には0.1:100〜100:0.1である。
【0067】
その殺虫剤は、薄めずに使用することができる(例えば、工業銘柄の形状で、又は純粋な有効成分の形状で)。また、市販されている製剤のタイプを使用することも可能である。
【0068】
EPSに対して、殺虫剤又は殺虫剤混合物の好適な濃度は、そこから得られる成形品が10〜1000ppm、特に好ましくは20〜1000ppm、とりわけ50〜500ppmの濃度を有するように、選択される。
【0069】
本発明の塗膜は、殺虫剤と共にバインダーを含むことができる。好適なポリマーバインダーの例は、アクリレート樹脂、水性ポリマー分散物、又はワックスである。ポリマー分散物が特に好ましい。ポリマー分散物は、成分K1の製造のために示されたモノマーから得ることができる。その上、ポリマー分散物の製造のために、コモノマーを例えば、以下のいずれか:
(メト)アクリロニトリル、(メト)アクリルアミド、ウレイド(メト)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メト)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メト)アクリレート、アクリルアミドプロパンスルホン酸(枝分かれした又は枝分かれしていない)、又はビニルスルホン酸のナトリウム塩
を1〜5質量%で付随的に使用することができる。
【0070】
また、ポリマー分散物を、アルケンの使用と共に製造することができる。好適なアルケンは、特にエチレン(エテン)及びプロピレン(プロペン)である。
【0071】
ホモポリマーを、例えば、ポリエチレン又はポリプロピレンの分散物に使用することができ、又は−好ましくは−アルケン含有コポリマーを使用することができる。良好な適合性を有するそれらの例は、プロピレン及びカルボン酸から構成されたコポリマーであり、又は上の式I、例えば、上述のアクリル酸、メタクリル酸、アルキルアクリレート、又はアルキルメタクリレート等の、カルボキシル基を有する化合物である。この種類の生成物は、例えば、BASFのPoligen(登録商標)として入手可能である。好適なポリマー分散物の例は、プロピレン−アルキルアクリレートコポリマーから構成された分散物である。
【0072】
好ましい水性ポリマー分散物は、
i)スチレン、
ii)n−ブチルアクリレート、MMA、メタクリル酸、アクリルアミド、及びメチロールアクリルアミド、
iii)スチレン及びii)中の上述のモノマー
に基づくポリマーを含む。
【0073】
ポリマー分散物は、当業者に良く知られた公知の方法、例えば、液相中での乳化重合、懸濁重合、又は分散物重合により製造される。
【0074】
そのポリマー分散物は、架橋しないか又は架橋することができ、そしてそのポリマー分散物の(示差走査熱量測定(DSC)により決定された)ガラス転移温度は、好ましくは−60〜+140℃、とりわけ−20〜+80℃である。
【0075】
バインダーを選択する際、塗布されるべきEPSビーズ材料、例えば、EPSペレット又は未発泡EPSビーズに粘着性を持たせないバインダーを使用することが好都合であることが立証されている。これらの要求を満たすために、フィルム形成温度(MFT)が−20〜+45℃、とりわけ−5〜35℃のそれらのバインダーを使用することが好ましい。
【0076】
更なる好適なバインダーは、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、エチレンコポリマーワックス、モンタンワックス、及びポリエーテルワックスのようなワックスである。
【0077】
バインダーの使用される量に関する限り、好適な方法は、EPSビーズ材料に塗布するためのバインダーの0.005〜4.0質量%の使用であるとわかった。EPSビーズ材料に塗布するために好ましく使用されるバインダーの量は、塗布されるEPSビーズ材料の質量に対して0.01〜2.0質量%である(ここで、質量%のデータは、塗布方法のために使用したバインダーの固体含有量に基づいている)。
【0078】
選択されたグリセロールエステルは、一般式(X)
【0079】
【化12】

の少なくとも1つを含む。式中、符号及び添え字(indices)の定義は以下に示す:
m、n、及びoは、お互いに独立した0〜10の整数であり;
、Y、及びYは、お互いに独立して、−O−、−S−、又は−NR18−であり;
18は、水素又はC−C10−アルキルであり;
15、R16、及びR17は、お互いに独立して、水素、−SOR19、−SO19、−SO19、又は−COR19であり;
19は、水素、C−C30−アルキル(アルキル基は直鎖であるか又は枝分かれし、飽和であるか又は1個以上のC−C二重又はC−C三重結合を含み且つ、置換されていないか又はヒドロキシ、オキソ、及びCOOR20(R20はC−C−アルキルである)の群からの1種以上の基で置換されている。)である。
【0080】
m、n、及びoはゼロであり、Y、Y、及びYは−O−であり、R15、R16、及びR17はお互いに独立して、水素、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル、カプロイル、カプリロイル、デカノイル、ラウロイル、ミリシトイル(myrisitoyl)、パルミトイル、ステアロイル、12−ヒドロキシステアロイル、アラキドイル、ビヘノイル、リグノセロイル、セロチノイル、メリソイル(mellisoyl)、オレイル、リシノレオイル、エルコイル、ソルボイル、リノレオイル、リノレノイル、又はエレオステアロイルであることが好ましい。
【0081】
従って、m、n、及びoはゼロであり、Y、Y、及びYは−O−であり、R15、R16、及びR17はお互いに独立して、水素、ラウロイル、ミリシトイル(myrisitoyl)、パルミトイル、ステアロイル、12−ヒドロキシステアロイル、オレイル、リシノレオイル、エルコイル、ソルボイル、リノレオイル、又はリノレノイルであることが特に好ましい。
【0082】
更に、特に好ましくは、グリセロールとステアリン酸とから、グリセロールと12−ヒドロキシステアリン酸とから、及びグリセロールとリシノール酸とから得られるモノ−、ジ−、及びトリグリセリドが提供され、及びまた、一緒に提供されるステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、リシノール酸、及び、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、及びパルミチン酸の群からの1種以上の脂肪酸、から得られる混合されたジ−及びトリグリセリドが提供される。
【0083】
また、特に好ましくは、対応する市販製品、通常、対応するモノ−、ジ−、及びトリエステルの混合物である製品が提供されることであり、また、その製品は、遊離のグリセロール及び遊離の脂肪酸をほんの一部しか含んでおらず、例えば、ヒマシ油、ヒマシ油の部分的又は完全な水素添加により得られる完成品(downstream products)、例えば、カスターワックスである。
【0084】
グリセロールエステルの使用される量に関する限り、好適な方法は、EPSに塗布するためのグリセロールエステルを0.01〜1.0質量%で使用することだとわかった。EPSは、塗布されるEPSビーズ材料の質量に対して、0.1〜0.6質量%、特に、0.2〜0.5質量%のグリセロールエステルで塗布されることが好ましい。
【0085】
塗膜は、帯電防止剤、疎水化剤(hydrophobizers)、難燃剤、微粉砕シリカ、及び無機の充填剤のような更なる添加物を含むことができる。これらの作用剤の割合は、それらの種類及び作用に依存し、無機の充填剤の場合は、塗布されるEPSビーズ材料に対して、通常、0〜10質量%である。
【0086】
好適な塗膜化合物は、両親媒性の又は疎水性の有機化合物である。C10−C30パラフィンワックスの疎水性有機化合物の中で、C−C11オクソアルコールと、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、ポリフルオロアルキル(メト)アクリレート、又はそれらの混合物との反応生成物が特に言及され、それは、好ましくは水性エマルションの形状で使用することができる。
【0087】
好ましい疎水化剤は、炭素鎖中に10〜30個の炭素原子を有するパラフィンワックスであり、それは好ましくは10〜70℃の間の、特に、25〜60℃の間の融点を有する。そのようなパラフィンワックスは、例えば、BASFの市販製品であるRasmasit(登録商標)KGT、Persistol(登録商標)E、及びPersistol(登録商標)HP、HenkelのAversin(登録商標)HY−N、及びClariantのCerol(登録商標)ZNに包含される。
【0088】
好適な疎水化剤の他の群は、例えば、US−A2,927,040又はGB−A475170に記載されているように、N−メチロールアミンと、例えば、脂肪酸アミド、脂肪族アミン、又は脂肪アルコールの脂肪酸誘導体の樹脂様の反応生成物である。それらの融点は、通常、50〜90℃である。そのような樹脂は、例えば、BASFの市販製品であるPersistol(登録商標)HPに包含される。
また、最後に、ポリフルオロアルキル(メチル)アクリレートが、例えば、ポリパーフルオロオクチルアクリレートが好適である。この物質は、BASFの市販製品Persistol(登録商標)O及びPferseeのOleaphobol(登録商標)中に包含される。
【0089】
好適な両親媒性の塗膜化合物は、Emulgator K30(第2のアルカンスルホン酸ナトリウムの混合物)又はグリセリルステアレート(グリセリルモノステアレート又はグリセリルトリステアレートのような)のような帯電防止剤である。
【0090】
その塗膜は、例として、記載の方法V1、V2、及びV3により得られるEPSビーズ材料に施される。塗布手順は、密なEPSビーズ材料又は予備発泡したEPSビーズ材料の事前の乾燥、又は事後の後工程(work-up)及び乾燥を行うことなく、EPSビーズ材料の製造後、直接実施することができる。塗布手順は、密なEPSビーズ材料又は予備発泡したEPSビーズ材料の後工程及び乾燥後、実施することが好ましい。
【0091】
(A)殺虫剤、(B)グリセロールエステル、及び所望により、(C)バインダー、及び(D)更なる添加剤の施しを、要求される如何なる順序で連続して、又は同時に実施することができる。
【0092】
ここで、塗膜成分は、溶液中及び/又は分散物中(例えば、懸濁液又はエマルション)に存在することができる。その成分の性質及び量に応じて、この目的のために単純な攪拌をすることができる。もし成分が、上昇された温度及び/又は圧力下でほとんど混和性を示さなければ、適宜にまた、規定の混合を達成するために特定の混合装置を要求することができる。必要であれば、混合工程を容易にする助剤、例えば、慣用の湿潤剤を付随して使用することができる。その上、得られる塗膜の組成は、分離を防ぐための好適な添加物、例えば、良く知られた保護コロイド又は沈降防止剤の添加により安定化することができる。
【0093】
好ましい一実施の形態では、バインダー、グリセロールエステル、及び1種以上の殺虫剤が塗布手順の前にお互いに混合され、それから塗布されるべきEPS材料に施される。
【0094】
更なる特定の実施形態では、1種以上の殺虫剤及びバインダーが、最初に連続で又は同時にEPSビーズ材料に施される。それから、グリセロールエステルを有する塗膜が施される。
【0095】
更なる特定の実施形態では、殺虫剤(製剤化された形状又は純粋な形状)及びグリセロールエステルでの塗布が実施されるまで、バインダーは塗布されるべきEPSビーズ材料に施されない。
【0096】
また、塗布されるべきEPSに塗膜成分を、スプレー又は慣用のドラムミキサーでの塗布により施すことができる。また、塗布されるべきEPSビーズ材料を工程な溶液、分散物、エマルション、又は懸濁液中に浸漬又は湿潤することもできる。
【0097】
この目的のために、慣用のミキサー、スプレー装置、又はドラム装置が使用される。
【0098】
特定の実施形態では、EPSビーズ材料は、発泡剤を含むポリスチレンメルトの、水中顆粒化と、後に続くダイプレートを通した押出しにより製造され、EPS−顆粒の塗布が、水中粒化機の水循環中で、水溶性の、乳化された又は懸濁された塗膜化合物により実施されることを特徴とする。
【0099】
また、液状の(又は溶媒を含む)塗膜組成物を使用する塗布手順の間又は後に、EPSビーズ材料を室温又はわずかに上昇した温度下で空気を用いて乾燥することができる。その温度は、好ましくは、EPSビーズ材料の如何なる意図しない軟化および発泡剤の如何なる漏出をも防ぐように選択される。
【0100】
予備発泡されていないEPSビーズ材料が塗布される時、塗布されたEPSビーズ材料の平均ビーズサイズは、通常0.1〜3.0mm、特に0.3〜2.0mmである。
【0101】
その上、マスターバッチは塗布方法のために使用することができる。このために、予備発泡されていない又は予備発泡されたEPSビーズ材料は際立って高濃度の殺虫剤で塗布される。
【0102】
それから、このマスターバッチを好適な混合割合、好ましくは1:1000〜1000:1で、更なるEPSビーズ材料と混合することができ、それから記載した方法で発泡させることができる。
【0103】
その上、それぞれのマスターバッチが1種以上の異なる殺虫剤で塗布されたEPSビーズ材料(予備発泡されていないEPSビーズ材料又は予備発泡されたEPSビーズ材料)のマスターバッチを製造することができる。異なる殺虫剤で塗布されたこれらのEPSビーズ材料をお互いに混合することができ、そして少なくとも2種の異なる殺虫剤を含むフォーム製品の製造のために使用することができる。
【0104】
また、本発明は、本発明に係る塗布されたEPSビーズ材料から得られる成形品の製造方法を提供する。
【0105】
本発明のEPSビーズ材料からの成形品の製造のために、これは純粋な形状で又はさらなるEPSビーズ材料、特に、殺虫剤不使用EPSビーズ材料との混合物で使用することができる。
【0106】
ここで、本発明のものと更なるEPSビーズ材料との混合割合は自由に変更することができるが、好ましくは製造された成形品が10〜1000ppm、特に好ましくは20〜1000ppm、そしてとりわけ50〜500ppmの濃度を有するように選択される。
【0107】
本発明のEPSビーズ材料の、更なるEPSビーズ材料への混合割合は、好ましくは1000:1〜1:1000であり、特に好ましくは100:1〜1:100であり、更に好ましくは50:1〜1:50であり、とりわけ10:1〜1:20である。
【0108】
成形品としてブロックを製造することにより開始することが好ましく、それからそのブロックを、例えば、切断又はのこぎり引きにより分割してフォームシートを提供することが好ましい。
【0109】
フォームシートの厚さは広く変更することができ、通常は1〜500mm、好ましくは10〜300mmである。同様に、そのシートの長さと幅は、広く変更することができる。とりわけ、成形品(圧縮又は発泡成形品)のサイズにより制限され、プレス成形(以下参照)の場合は、使用されるプレスの型締力により制限される。
【0110】
その成形品は、半製品(シート、管、棒、断面等)、又は、単純又は複雑な形状の他の成形品であることがさらに好ましい。
【0111】
本発明は更に、殺虫剤が均質分布された本発明に係る成形品の製造方法を提供する。このために、最初の工程a)における、EPSビーズ材料の、好ましくは、加熱空気又は蒸気による部分的な予備発泡、及び、第二の工程b)における、本発明の成形品を提供する工程a)後の材料の融合という、当業者に良く知られた公知の方法が使用される。その融合は、完成のための発泡(foaming-to-completion)(完成のための発泡工程)又は圧縮成形(圧縮成形工程)により達成することができる。
【0112】
完成のための発泡工程では、工程i)では、本発明のEPSビーズは気密性の型に充填される。気密性の用語は、型中に少量の、例えば、最大10容積%までのガス容量が存在する可能性、又は完成するための発泡の工程の間に製造されたガス容量が型から漏出する可能性を排除することを意図するわけではない。
【0113】
気密性の型の外形(立体形状)は、通常得られる成形品の要求される外形と対応する。フォームシートのために、例えば、単純な箱型の型が好適である。得られるブロックは、その後、シートを得るためののこぎり引きにより分割することができる。複雑な形状の場合には、プレス成形方法(以下参照)に記載されるように、型に緩く充填したビーズ材料を圧縮することが必要である。
【0114】
ビーズは、続いて起こる完成のための発泡工程の間にお互いに融合する傾向があるので、型中の未充填容積を最小化するように、型をそのへりまでビーズで充填すると都合が良い。
【0115】
工程ii)では、密閉型中でのビーズ材料の充填は、60〜120℃、好ましくは70〜110℃にその材料の温度を(例えば、蒸気又は他の何れかの熱交換媒体の使用により)調節することにより、完成させるために発泡される。ここで、成形品を得るためにビーズは融合する。
【0116】
離れているビーズ材料中の隙間は膨張するビーズにより充満され、そして軟化したビーズはお互いに“融合”する。
【0117】
完成のための発泡工程の間の圧力は、たいてい不可欠ではなく、一般的に0.05〜2バールである。完成のための発泡工程の継続時間は、とりわけ、成形品の大きさ及び形状に依存し、及びまた、その要求される密度に依存し、そして広く変更することができる。
【0118】
完成のための発泡工程の工程iii)では、得られた成形品が型から取り出され、そしてこれは人力で、又は自動で、慣用の排出装置又は離型装置を用いて実施することができる。
【0119】
融合b)が、完成のための発泡により行われ、それゆえ、本発明に係るその成形品の製造方法は、
i)本発明の予備発泡EPSビーズ材料を気密性の型に充填する工程、
ii)ビーズ材料の充填物の温度を60〜120℃で調節することにより融合させる工程、ここにおいて、発泡によりビーズ材料を融合させて成形品を得る工程、及び
iii)得られた成形品を取り出す工程
を包含する。
【0120】
この完成のための発泡工程により得られる成形品の密度は、DIN53420に決定されたところ、通常10〜100g/l、好ましくは15〜80g/l、そして特に好ましくは15〜60g/lである。その成形品は、好ましくは如何なる明白な密度勾配を有さない、すなわち、周縁層の密度は成形品の内部領域の密度より明らかに高いわけではない。
【0121】
プレス成形方法では、工程I)において、本発明の予備発泡されたEPSビーズ材料がガス浸透性の型に充填される。そのガス浸透性は、例えば、型に提供されており、好ましくは、例えば、孔の直径が小さいことにより続いて起こるプレス成形工程(工程II)の間にポリマー(以下参照)により遮られないような孔を通して達成することができる。
【0122】
ガス浸透性の型の形状(立体形状)は、一般的に、続いて起こる成形品の要求される形状に対応する。もし、フォームシートを製造することを意図しているのであれば、単純な箱型の型を使用することができる。とりわけ、複雑な形状のためには、型に充填されたビーズ材料を圧縮することを必要とすることができ、そうして、望まざる空洞を排除する。ここで、圧縮のための方法の例は、型の振動、転動、又は他の好適な処置である。
【0123】
ビーズ材料はその後圧縮されるので、それは−完成のための発泡工程の下流の後の工程で記載された方法とは異なり−好ましくないが、しかし、型をその型のへりまでビーズ材料で充填するという不具合もない。充填高さは、なかんずく、続いて起こる成形品の要求される厚さに依存する。
【0124】
工程ii)では、ビーズ材料の充填物は、容積減少しながら圧縮され、成形品を提供する。容積減少は、一般的に、加圧工程前のビーズ材料の充填物の容積に対して、1〜80容積%、好ましくは5〜60容積%、そしてとりわけ10〜50容積%である。
【0125】
加圧工程の間の温度は、通常、20〜100℃、好ましくは30〜90℃、とりわけ40〜80℃である。温度調節の方法の例は、電気加熱又は熱交換媒体である。圧縮手順の間の圧力最大又は圧縮の型締力、及びまた、圧縮成形工程の継続時間(圧縮時間)は、なかんずく、成形品のサイズと形状に依存し、及びまた成形品の要求される密度に依存し、広く変更することができる。
【0126】
型のガス浸透性は、粒子中及び粒子間に存在する発泡剤、空気又は他の気体が圧縮成形工程の間に均等に漏出することができることを保証する。塗布されたビーズ材料が乾燥状態ではなく、湿った塗膜を有する形状で使用される限り、揮発性の助剤、例えば、塗膜組成中に含まれる水分もまた漏出する。
【0127】
圧縮型及びピストン(ram)を用いる慣用的な押型機、例えば、多段プレス(multi-daylight presses)が圧縮成形工程のために好適である。ここで、その型又はピストン、又は両方の成分の温度は調節可能である。
【0128】
圧縮成形工程の工程III)では、得られた成形品は型から取り出される。これは、人力で、又は好適な排出装置又は離型装置を用いて自動で実施することができる。
【0129】
融合b)が圧縮成形により行われる成形品の本発明に係る製造方法は、それゆえ、
I)本発明に従って定義された予備発泡ビーズ材料をガス浸透性の型に充填する工程、
II)密閉型中でビーズ材料の充填物を圧縮成形し、容積を減少させながら成形品を得る工程
III)得られた成形品を取り出す工程
を包含する。
【0130】
この圧縮成形方法により得られた成形品の密度は、DIN53420のために、一般的には8〜120g/l、好ましくは20〜100g/l、そして特に好ましくは20〜70g/lである。その成形品は、好ましくは如何なる明確な密度勾配も有さない、すなわち、周縁層の密度は成形品の内部領域の密度よりも明らかに高いわけではない。
【0131】
圧縮成形方法又は完成させるために発泡させる方法により得られるフォームシートの典型的な寸法は上述した。
【0132】
慣用される重合、含浸、及び発泡方法に関する更なる情報は、Kunststoffhandbuch[Plastics Handbook]、5巻、Polystyrol[Polystyrene]、R.Vieweg and G.Daumiller編集、Carl Hanser Verlag Munich 1969年に例として記載がある。
【0133】
更に、本発明は、害虫、例えば、昆虫によりこれらの成形品に生じる損害の回避又は軽減のため、建築分野における本発明に係る成形品の使用方法、例えば、地上又は地下の遮断材としての成形品の使用方法を提供する。その昆虫は、消費により成形品への実質的な損害を引き起こし、そうして、成形品の遮断作用、及びまたそれらの機械的安定性を損なわせ、これにより、害虫によるさらなる侵食を引き起こさせることとなる。
【0134】
本発明の成形品は、絶えず水にさらされる成形品、例えば、屋根の隔離又はペリメーターの遮断のためのプレートのための、浮体又は魚のための箱のような水に弱い包装材のための成形品に都合良く使用することができる。
【0135】
本発明の成形品は、シロアリにより生じた損傷の回避又は軽減のために特に好適である。
【0136】
それゆえまた、本発明は、シロアリからの建築物保護のための本発明に係る成形品の使用方法、及び本発明に係る成形品が保護すべき建築物の基部、外壁、又は屋根に組み込まれることを特徴とするシロアリからの建築物の保護方法を提供する。
【0137】
本発明は、実施例によりさらに説明されるが、それに限定されることはない。
【実施例】
【0138】
1.出発材料
a)EPS
使用されるEPSは、F295原料を含んだ。
b)殺虫剤成分
使用される殺虫剤成分(A)は、フィプロニル500gを粉砕し、混合することにより製造した水性フィプロニル製剤、エトキシ化ホスフェートエステル塩25g、トリデシルアルコールエトキシレート(そのHLBは12である)10g、染料(Rubin Toner 2BO)10g、シックナー(キサンタンガム)2.5gを含んでおり、そして水を用いて1l容積にした。
c)バインダー
B1 Acronal(登録商標)S728=水性スチレン/アクリレート分散物(BASF SE)
B2 Acronal(登録商標)LR8977=水性自己架橋コポリマー分散物(ブタクリレート/スチレン)(BASF SE)
B3 Acronal(登録商標)S760=水性自己架橋コポリマー分散物(ブタクリレート/スチレン)(BASF SE)
B4 Styronal(登録商標)D628=水性コポリマー分散物(スチレン/アクリロニトリル/ブタジエン)(BASF SE)
B5 Acronal(登録商標)S504=アクリロニトリルの同時使用を伴うアクリレートコポリマーの水性分散物(BASF SE)
B6 Styronal(登録商標)D537=水性コポリマー分散物(スチレン/ブタジエン)(BASF SE)
d)グリセロールエステル
使用されるグリセロールエステル(C)はグリセロールステアレートを含んだ。
【0139】
2.本発明のEPSビーズ材料の製造
200gのEPSペレットを、室温下において、Sumakonミキサーで200rpm(スクレーパー40rpm)で、フィブロニル製剤(A)、バインダー(B)、グリセロールエステル(C)、加えて0.04質量%のケイ酸塩(DegussaのFK320)の混合物と30秒間混合する。
【0140】
3.表1及び表1aは、製造した本発明のEPSビーズ材料の組成を示す:
【0141】
【表1】

【0142】
【表2】

【0143】
【表3】

【0144】
【表4】

【0145】
【表5】

【0146】
均質性、流動性、及び摩耗
製造したEPSペレットを、均質性、ペレット流動性、及び摩耗で評価した。摩耗は、10mlガラスシリンダー中で、塗布されたEPSペレット2gの10分の強い振盪の後で決定した。ペレットの除去後、ガラス容器に残留する摩耗した材料の量を重量測定することにより決定した:
【0147】
その結果を、表2に示す。
【0148】
【表6】

【0149】
製造したフォームの活性成分含有量
活性成分含有量はGC/MSを用いることにより決定した。このために、EPS0.5gをアセトニトリルに溶解し、希釈された形状でのこの溶液の一定分量をLS/MS/MS(Agilent GC:6890N with MSD5973 detector)を用いて定量化した。
【0150】
表3はその結果を示す。
【0151】
【表7】

【0152】
生物検定法は、Suら(1993年)により記載された土壌処理剤(soil termiticide)生物検定法と類似したものであった。本発明に従ったフォームブロックの中から、直径2.5cmのプラグカッター及びドリルプレスを使用して円柱体(直径約2.5cm×長さ約5.0cm)を切り出した。それぞれのポリスチレンの円柱体を直径2.5cmのTenite(登録商標)ブチレートチューブに詰め込んだ。それから、このチューブをタイゴン管継ぎ輪により80匹の働きアリと1匹の兵アリを含有する他のチューブに接続した。5.0cmのポリスチレンの円柱体を、2つの3cmの寒天切片の間に挟んだ。シロアリのいるチューブとポリスチレン円柱体のあるチューブの両方に、黄色の南部の松の一部と短冊状の紙をシロアリのためのエサと避難所として与えた。そして、それによりシロアリは、ポリスチレン円柱体の上部及び下部の両方に食物源を得た。そのチューブを、7日間の生物検定の間25℃に維持した。
【0153】
そのチューブの内壁に沿って円柱体の外側表面をトンネルを掘って通り抜ける距離を毎日24時間記録した。円柱体の外部の短い(<10mm)直線のトンネルは定規で測定した。長い、湾曲したトンネルは、トンネルの長さに沿って細いゴムバンドの部分を置き、その後、ゴムバンドの長さを測定することにより測定した。生物検定は7日後に終了した。終わりに、円柱体の内部をトンネルを掘って通り抜ける距離と同様に死亡率を決定した。円柱体の内部のトンネルは、そのトンネルに24ゲージの絶縁された電話線の小さい一部を通し、その線を引き抜き、そして定規でその長さを測定することにより測定した。日々生じる、円柱体の内部のトンネル掘り量を見積もるために、7日間の生物検定の間に円柱体の外部をトンネルを掘って通り抜ける総合距離を1日あたりの割合とし、それから、内部のトンネル掘り量を、日々生じた合計のトンネル掘りの割合に従って調整した。
【0154】
その結果を表4及び5に明示している。
【0155】
【表8】

【0156】
【表9】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)1種以上の殺虫剤、
(B)1種以上のグリセロールエステル
(C)所望により、1種以上のバインダー、及び
(D)所望により、更なる添加物
により塗布された発泡性ポリスチレン(EPS)から構成されたビーズ材料。
【請求項2】
前記殺虫剤が、
I.1 クロルピリホス、フェニトロチオン、イソフェンホス;
I.2 カルバリル;
I.3 ビフェントリン、シフルトリン、シハロトリン、シペルメトリン、α−シペルメトリン、デルタメトリン、フェンバレレート、λ−サイハロスリン、ペルメトリン;
I.4 ジフルベンズロン、フルフェノクスロン、ヘキサフルムロン、ノビフルムロン、スルフルラミド;
I.5 アセタミプリド、イミダクロプリド、チアクロプリド、チアメトキサム;
I.6 アセトプロール、エチプロール(III)、フィプロニル(II)、バニリプロール;
I.7 スピノサド;
I.8 フェナザキン、ピリダベン、テブフェンピラド、トルフェンピラド;
I.9 ヒドラメチルノン(V);
I.10 クロルフェナピル(VI);
I.11 シヘキサチン、ジアフェンチウロン、酸化フェンブタスズ、プロパルギット;
I.12 シロマジン;
I.13 ピペロニルブトキシド;
I.14 インドキサカルブ、メタフルミゾン;
I.15 ホウ酸塩、クロラントラニリプロール、フロニカミド
からなる群から選択されたことを特徴とする請求項1に記載のEPSビーズ材料。
【請求項3】
前記殺虫剤が、フィプロニル、ヒドラメチルノン、及びクロルフェナピルからなる群から選択されたことを特徴とする請求項2に記載のEPSビーズ材料。
【請求項4】
前記バインダーが、MFTが−5〜+35℃のポリマー分散物であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のEPSビーズ材料。
【請求項5】
前記バインダーが、アクリレート分散物であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のEPSビーズ材料。
【請求項6】
式(X)
【化1】

[式中、
m、n、及びoは、お互いに独立して、0〜10の整数であり;
、Y、及びYは、お互いに独立して、−O−、−S−、又は−NR18−であり;
18は、水素又はC−C10−アルキルであり;
15、R16、及びR17は、お互いに独立して、水素、−SOR19、−SO19、−SO19、又は−COR19であり;
19は、水素、C−C30−アルキル(アルキル基が、直鎖又は枝分かれし、飽和であるか又は1個以上のC−C二重又はC−C三重結合を含み且つ、置換されていないか、又はヒドロキシ、オキソ、及びCOOR20(R20はC−C−アルキルである)の群からの1個以上の基で置換されている)である。]である1種以上の化合物が、グリセロールエステルとして使用されることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のEPSビーズ材料。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか1項に記載のEPSビーズ材料から得られる成形品。
【請求項8】
1種以上のバインダーが、前記成形品の質量に対して0.005〜4.0質量%の合計濃度で存在し、且つ、
殺虫剤が、前記成形品の質量に対して10〜1000ppmの合計濃度で存在することを特徴とする請求項7に記載の成形品。
【請求項9】
圧縮成形による請求項7又は8に記載の成形品の製造方法であって、
I)請求項1〜6の何れか1項に記載のEPSビーズ材料を、ガス浸透性の型に充填する工程、
II)密閉された前記型の中で、ビーズ材料の前記充填物を、容積減少させながら圧縮成形して成形品を得る工程、
III)前記成形品を、該成形品の温度を20〜100℃に調節することにより硬化させる工程、及び
IV)得られた成形品を前記型から取り出す工程
を含む成形品の製造方法。
【請求項10】
完成のための発泡による請求項7又は8に記載の成形品の製造方法であって、
i)請求項1〜6の何れか1項に記載のEPSビーズ材料を、気密性の型に充填する工程、
ii)密閉された前記型の中で、ビーズ材料の前記充填物を、60〜120℃のその充填物の温度調節により完成させるために発泡し、既に前記ビーズ材料を融合して前記成形品を得る工程、及び
iii)得られた前記成形品を前記型から取り出す工程
を含む成形品の製造方法。
【請求項11】
建築産業での遮断材としての請求項7又は8に記載の成形品の使用方法。
【請求項12】
シロアリに対する建築物を保護するために請求項7又は8に記載の成形品を使用する方法。
【請求項13】
請求項7又は8に記載の成形品を、保護すべき基部、外壁、又は建築物の屋根に組み込むことを特徴とするシロアリから建築物を保護するための方法。

【公表番号】特表2011−506567(P2011−506567A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−538739(P2010−538739)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【国際出願番号】PCT/EP2008/067962
【国際公開番号】WO2009/080723
【国際公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】