説明

発泡成形体のクラッシング方法及びクラッシング装置

【課題】発泡成形体のクラッシングをより良好に行なうことができる発泡成形体のクラッシング方法及びクラッシング装置を提供する。
【解決手段】搬送路150に沿って搬送されるシートクッションパッド10に対して、第1クラッシング機構110でクラッシングを行ない、その後に第2クラッシング機構120でクラッシングを行なう。搬送路150に対する第2押圧ローラ125の間隔は、シートクッションパッド10の厚みよりも小さい一定の間隔とする。搬送路150に対する第1押圧ローラ115の間隔は、シートクッションパッド10の厚みよりも小さい間隔と、前記一定の間隔よりも大きい間隔との間で、シートクッションパッド10の通過時に可変とする。これにより、シートクッションパッド10内の気泡のセル膜が急激に破泡するのを抑制して、シートクッションパッド10が割れるのを防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡成形体のクラッシング方法及びクラッシング装置に関し、より具体的には、発泡樹脂原液を発泡硬化させることにより成形された発泡成形体を押圧して、発泡成形体内に生じた独立気泡のセル膜を破泡し、セル膜間を連通させることを目的とした、発泡成形体のクラッシングを行なうための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発泡樹脂原液を発泡硬化させることにより成形された発泡成形体は、成形金型から取り出された後、通常、クラッシング工程と呼ばれる処理が行なわれる。このクラッシング工程は、発泡成形時に生じた気泡のセル膜を破り、発泡成形体の形状を安定させるとともに、フォームの収縮を防ぐなどの目的で行なわれる。
【0003】
クラッシングの方法としては、発泡成形体をローラで押圧することにより気泡のセル膜を破泡させる方法と、減圧することにより気泡のセル膜を破泡させる方法とを例示することができる。ローラを用いた方法では、例えば発泡成形体が、当該発泡成形体の厚みよりも小さい一定の間隔をあけて対向するローラ対の間を搬送されることにより、当該ローラ対によって発泡成形体が押圧されるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−158548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のように一定の間隔をあけて対向するローラ対を用いたときには、発泡成形体の厚みと比べてローラ対の間隔が小さすぎる場合に、発泡成形体内の気泡のセル膜が急激に破泡することにより、発泡成形体が割れてしまうおそれがある。また、発泡成形体の厚みと比べてローラ対の間隔が大きすぎる場合にも、クラッシング不足などの問題が生じるおそれがある。
【0006】
特に、製造コストを低減するためには、厚みが異なる複数種類の発泡成形体を同一の製造ラインで製造可能であることが好ましいが、その場合、上記のような問題がさらに生じやすい。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、発泡成形体のクラッシングをより良好に行なうことができる発泡成形体のクラッシング方法及びクラッシング装置を提供することを目的とする。また、本発明は、厚みが異なる複数種類の発泡成形体を同一の製造ラインで良好に製造することができる発泡成形体のクラッシング方法及びクラッシング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る発泡成形体のクラッシング方法は、発泡樹脂原液を発泡硬化させることにより成形された発泡成形体を押圧して、発泡成形体内に生じた気泡のセル膜を破泡させることにより、発泡成形体のクラッシングを行なうための方法であって、搬送路に沿って発泡成形体を搬送する搬送工程と、前記搬送路に対して間隔をあけて配置された第1押圧ローラを用いて、前記搬送路に沿って搬送される発泡成形体を押圧する第1クラッシング工程と、前記搬送路に対して間隔をあけて配置された第2押圧ローラを用いて、前記第1押圧ローラによるクラッシング後に前記搬送路に沿って搬送される発泡成形体を押圧する第2クラッシング工程とを含み、前記搬送路に対する前記第2押圧ローラの間隔は、発泡成形体の厚みよりも小さい一定の間隔であり、前記搬送路に対する前記第1押圧ローラの間隔は、発泡成形体の厚みよりも小さい間隔と、前記一定の間隔よりも大きい間隔との間で、発泡成形体の通過時に可変であることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、第1押圧ローラを用いたクラッシングにより発泡成形体内の気泡のセル膜をある程度破泡させ、通気性を良くした後に、第2押圧ローラを用いたクラッシングを行なうため、発泡成形体内の気泡のセル膜が急激に破泡するのを抑制して、発泡成形体が割れるのを防止することができる。また、搬送路に対する第1押圧ローラの間隔の可変幅を適切に設定すれば、クラッシング不足も防止することができる。したがって、発泡成形体のクラッシングをより良好に行なうことができる。
【0010】
また、搬送路に対する第1押圧ローラの間隔が可変であることにより、クラッシングを良好に行なうことができる発泡成形体の厚みの範囲が大きくなるため、厚みが異なる複数種類の発泡成形体を同一の製造ラインで良好に製造することができる。
【0011】
前記第1クラッシング工程では、前記第1押圧ローラに対して発泡成形体の搬送方向の上流側に設けられた複数の補助ローラを用いて、第1押圧ローラを通過する前の発泡成形体を押圧するようになっており、前記複数の補助ローラは、前記第1押圧ローラ側に向かって徐々に前記搬送路に対する間隔が小さくなるように配置されていることが好ましい。
【0012】
本発明によれば、複数の補助ローラを用いて発泡成形体内の気泡のセル膜を徐々に破泡させた後、第1押圧ローラによるクラッシングを行なうことができる。したがって、発泡成形体内の気泡のセル膜が急激に破泡するのをより効果的に抑制することができるので、発泡成形体のクラッシングをさらに良好に行なうことができる。
【0013】
前記第1押圧ローラ及び前記複数の補助ローラは、共通の支持体を介して支持されており、前記支持体は、前記第1押圧ローラとは反対側に設けられた回転軸を中心に回転可能であることが好ましい。
【0014】
本発明によれば、第1押圧ローラ及び複数の補助ローラが、回転軸を中心に回転可能な共通の支持体を介して支持されているため、通過する発泡成形体の厚みに応じて支持体が回転し、第1押圧ローラ及び複数の補助ローラの位置が変化する。これにより、発泡成形体の厚みに応じて最適な押圧力でクラッシングを行なうことができる。
【0015】
本発明に係る発泡成形体のクラッシング装置は、発泡樹脂原液を発泡硬化させることにより成形された発泡成形体を押圧して、発泡成形体内に生じた気泡のセル膜を破泡させることにより、発泡成形体のクラッシングを行なうための装置であって、発泡成形体を搬送する搬送路と、前記搬送路に対して間隔をあけて配置され、前記搬送路に沿って搬送される発泡成形体を押圧するための第1押圧ローラと、前記搬送路に対して間隔をあけて配置され、前記第1押圧ローラによるクラッシング後に前記搬送路に沿って搬送される発泡成形体を押圧するための第2押圧ローラとを備え、前記搬送路に対する前記第2押圧ローラの間隔は、発泡成形体の厚みよりも小さい一定の間隔であり、前記搬送路に対する前記第1押圧ローラの間隔は、発泡成形体の厚みよりも小さい間隔と、前記一定の間隔よりも大きい間隔との間で、発泡成形体の通過時に可変であることを特徴とする。
【0016】
前記第1押圧ローラに対して発泡成形体の搬送方向の上流側に設けられ、第1押圧ローラを通過する前の発泡成形体を押圧するための複数の補助ローラを備え、前記複数の補助ローラは、前記第1押圧ローラ側に向かって徐々に前記搬送路に対する間隔が小さくなるように配置されていることが好ましい。
【0017】
前記第1押圧ローラ及び前記複数の補助ローラは、共通の支持体を介して支持されており、前記支持体は、前記第1押圧ローラとは反対側に設けられた回転軸を中心に回転可能であることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係る発泡成形体のクラッシング方法を用いて製造されたシートクッションパッドの一例を示す斜視図である。
【図2】シートクッションパッドを製造するための成形金型の一例を示す断面図である。
【図3】シートクッションパッドに対してクラッシングを行なうためのクラッシング装置の一例を示した側面図である。
【図4】第1クラッシング機構の動作態様について説明するための側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明の一実施形態に係る発泡成形体のクラッシング方法を用いて製造されたシートクッションパッド10の一例を示す斜視図である。図2は、シートクッションパッド10を製造するための成形金型1の一例を示す断面図である。
【0020】
シートクッションパッド10は、発泡樹脂の成形体からなり、本実施形態では軟質ポリウレタンフォーム(以下、単に「ウレタンフォーム」と呼ぶ。)により形成されている例を示す。このシートクッションパッド10は、ウレタンフォーム16が不図示の表皮により被覆された状態で車両(例えば、自動車)に取り付けられることにより、車両の座席シートの着座部として用いられる。シートクッションパッド10は、不図示のシートフレームに裏面部14を対向させた状態で取り付けられることにより、その表面部11上に着座することが可能になる。
【0021】
成形金型1は、シートクッションパッド10の表面部11側を成形するための下型31と、シートクッションパッド10の裏面部14側を成形するための上型32とを備えている。下型31及び上型32は、いずれも鋼材により形成されている。また、下型31の周囲には、例えば不図示の温調配管が設けられている。
【0022】
下型31の上面(上型32に対向する側の面)には、シートクッションパッド10の表面部11に対応する形状の凹部36が形成されている。上型32が下型31に対向した状態では、凹部36が上型32で閉塞されることにより、成形金型1内にキャビティ33が形成される。このようにして下型31と上型32との間に形成されたキャビティ33内で、発泡樹脂原液34を発泡硬化させることにより、発泡成形体の一例であるシートクッションパッド10を製造することができる。
【0023】
本実施形態では、上型32の下面(下型31に対向する側の面)に補強布35が取り付けられた後、上型32が下型31に対向する状態とされ、成形金型1内にキャビティ33が形成される。この状態で、キャビティ33内の発泡樹脂原液34を発泡硬化させることにより、成形されるウレタンフォーム16の裏面に補強布35が付着し、当該補強布35と一体化されたシートクッションパッド10を製造することができる。補強布35は、例えば不織布により形成することができるが、他の材料により形成されていてもよいし、当該補強布35が省略された構成であってもよい。
【0024】
成形されたシートクッションパッド10は、成形金型1から取り出される。当該シートクッションパッド10は、キャビティ33に対応する形状を有している。この成形金型1から取り出されたシートクッションパッド10を押圧して、発泡成形時にシートクッションパッド10内に生じた気泡のセル膜を破泡させることにより、シートクッションパッド10に対するクラッシングを行なうことができる。
【0025】
図3は、シートクッションパッド10に対してクラッシングを行なうためのクラッシング装置100の一例を示した側面図である。本実施形態におけるクラッシング装置100には、第1クラッシング機構110と第2クラッシング機構120とが含まれ、シートクッションパッド10に対するクラッシングが2段階で行なわれるようになっている。ただし、2段階に限らず、3段階以上でクラッシングが行なわれるような構成であってもよい。
【0026】
第1クラッシング機構110は、シートクッションパッド10を搬送するための第1搬送機構111と、搬送されるシートクッションパッド10を押圧するための第1押圧機構112とを備えている。第1搬送機構111は、例えば、互いに平行に延びるように並べて配置された複数のローラ113と、これらの複数のローラ113に掛け回されたベルト114とを含む。複数のローラ113が回転駆動されることにより、ベルト114が回転し、当該ベルト114上でシートクッションパッド10を搬送することができる。ただし、第1搬送機構111は、シートクッションパッド10を搬送可能な機構であれば、上記構成に限らず、他の各種構成を採用することができる。
【0027】
第1押圧機構112は、シートクッションパッド10の搬送方向Aの最も下流側に設けられた第1押圧ローラ115と、第1押圧ローラ115に対して搬送方向Aの上流側に設けられた複数の補助ローラ116とを備えている。第1押圧ローラ115及び補助ローラ116は、例えば金属製であり、直径が50〜100mm程度であることが好ましい。補助ローラ116は、複数に限らず、1つだけ設けられていてもよいし、補助ローラ116が省略された構成であってもよい。
【0028】
第2クラッシング機構120は、シートクッションパッド10を搬送するための第2搬送機構121と、搬送されるシートクッションパッド10を押圧するための第2押圧機構122とを備えている。第2搬送機構121は、例えば、互いに平行に延びるように並べて配置された複数のローラ123と、これらの複数のローラ123に掛け回されたベルト124とを含む。複数のローラ123が回転駆動されることにより、ベルト124が回転し、当該ベルト124上でシートクッションパッド10を搬送することができる。第2搬送機構121のローラ123は、第1搬送機構111のローラ113と同期して回転することが好ましい。ただし、第2搬送機構121は、シートクッションパッド10を搬送可能な機構であれば、上記構成に限らず、他の各種構成を採用することができる。
【0029】
第2押圧機構122は、シートクッションパッド10の搬送方向Aの最も下流側に設けられた第2押圧ローラ125と、第2押圧ローラ125に対して搬送方向Aの上流側に設けられた複数の補助ローラ126とを備えている。第2押圧ローラ125及び補助ローラ126は、例えば金属製であり、直径が50〜100mm程度であることが好ましい。補助ローラ126は、複数に限らず、1つだけ設けられていてもよいし、補助ローラ126が省略された構成であってもよい。
【0030】
第1クラッシング機構110に対して搬送方向Aの上流側には、第1搬送機構111と同期して回転可能な第1ベルトコンベア130が設けられており、当該第1ベルトコンベア130上から第1搬送機構111のベルト114上にシートクッションパッド10が搬送されるようになっている。また、第1クラッシング機構110と第2クラッシング機構120との間には、第1搬送機構111及び第2搬送機構121と同期して回転可能な第2ベルトコンベア140が設けられており、第1クラッシング機構110でクラッシングされた後のシートクッションパッド10は、当該第2ベルトコンベア140を介して第2搬送機構121のベルト124上に搬送されるようになっている。ただし、第1ベルトコンベア130及び第2ベルトコンベア140は、シートクッションパッド10を搬送可能な搬送機構であれば、コンベアからなる構成に限らず、他の各種構成を採用することができる。
【0031】
第1ベルトコンベア130、第1搬送機構111、第2ベルトコンベア140及び第2搬送機構121は、この順序で直線状に並べて配置されており、これらの各機構の搬送面により、シートクッションパッド10を搬送するための直線状の搬送路150が形成されている。本実施形態では、搬送路150に沿ってシートクッションパッド10を搬送する工程(搬送工程)の間に、第1クラッシング機構110によりクラッシングが行なわれ(第1クラッシング工程)、その後に第2クラッシング機構120によりクラッシングが行なれる(第2クラッシング工程)。シートクッションパッド10は、例えば、その表面部11が搬送路150に対向するようにして搬送され、搬送中に裏面部14が押圧されることによりクラッシングが行なわれるようになっている。
【0032】
第1クラッシング機構110の第1押圧機構112は、第1押圧ローラ115と複数の補助ローラ116とが、直線状に並べて配置された構成となっている。より具体的には、第1押圧ローラ115及び複数の補助ローラ116の各回転軸が、直線状に延びる共通の支持体117により、互いに一定間隔をあけた状態で回転可能に支持されている。これにより、第1押圧ローラ115及び複数の補助ローラ116が、いずれも搬送路150に対して間隔をあけて配置され、搬送路150に沿って搬送されるシートクッションパッド10を押圧することができるようになっている。
【0033】
第1押圧ローラ115及び複数の補助ローラ116が直線状に並んでいる方向は、搬送路150に対して傾斜していることが好ましい。この例では、第1押圧ローラ115が最も搬送路150に近く、第1押圧ローラ115から遠い補助ローラ116ほど搬送路150から離れるように配置されている。これにより、複数の補助ローラ116は、第1押圧ローラ115側に向かって徐々に搬送路150に対する間隔が小さくなるように配置されている。
【0034】
第2クラッシング機構120の第2押圧機構122は、第2押圧ローラ125と複数の補助ローラ126とが、直線状に並べて配置された構成となっている。より具体的には、第2押圧ローラ125及び複数の補助ローラ126の各回転軸が、直線状に延びる共通の支持体127により、互いに一定間隔をあけた状態で回転可能に支持されている。これにより、第2押圧ローラ125及び複数の補助ローラ126が、いずれも搬送路150に対して間隔をあけて配置され、搬送路150に沿って搬送されるシートクッションパッド10を押圧することができるようになっている。
【0035】
第2押圧ローラ125及び複数の補助ローラ126が直線状に並んでいる方向は、搬送路150に対して傾斜していることが好ましい。この例では、第2押圧ローラ125が最も搬送路150に近く、第2押圧ローラ125から遠い補助ローラ126ほど搬送路150から離れるように配置されている。これにより、複数の補助ローラ126は、第2押圧ローラ125側に向かって徐々に搬送路150に対する間隔が小さくなるように配置されている。
【0036】
本実施形態では、第1クラッシング機構110の第1押圧機構112における支持体117が、第1押圧ローラ115とは反対側に設けられた回転軸118を中心に回転可能となっている。この例では、支持体117の回転軸118が、第1押圧ローラ115から最も遠い補助ローラ116の回転軸により構成されているが、これに限らず、支持体117の回転軸が別個に設けられた構成であってもよい。
【0037】
第1押圧ローラ115には、例えばエアシリンダなどを含む負荷機構119が連結されている。第1押圧ローラ115に作用する負荷は、通過するシートクッションパッド10の厚み、パック状態(原料の詰め込み状態)、シートクッションパッド10の硬度などによって変化するが、負荷機構119により、前記負荷が一定の値以上になると第1押圧ローラ115が上方に持ち上げられるようになっている。
【0038】
図4は、第1クラッシング機構110の動作態様について説明するための側面図である。搬送路150に対する第1押圧ローラ115の間隔は、シートクッションパッド10の通過時に、シートクッションパッド10の厚み(「クラッシング前の厚み」を意味する。以下同様。)よりも小さい間隔B1と、当該間隔B1よりも大きく、シートクッションパッド10の厚みよりも小さい間隔B2との間で可変となっている。シートクッションパッド10の厚みは、例えば15〜140mm程度である。
【0039】
搬送路150に対する第2押圧ローラ125の間隔は、図3に示すように、シートクッションパッドの通過の有無にかかわらず、シートクッションパッド10の厚みよりも小さい一定の間隔B3となっている。前記一定の間隔B3は、例えば5〜20mm程度とすることができる。前記間隔B2は、前記一定の間隔B3よりも大きい。一方、前記間隔B1は、前記一定の間隔B3と同一であってもよいし、前記一定の間隔B3よりも大きい間隔又は小さい間隔であってもよい。
【0040】
本実施形態では、第1押圧ローラ115を用いたクラッシングによりシートクッションパッド10内の気泡のセル膜をある程度破泡させ、通気性を良くした後に、第2押圧ローラ125を用いたクラッシングを行なうため、シートクッションパッド10内の気泡のセル膜が急激に破泡するのを抑制して、シートクッションパッド10が割れるのを防止することができる。また、搬送路150に対する第1押圧ローラ115の間隔の可変幅(B2−B1)を適切に設定すれば、クラッシング不足も防止することができる。したがって、シートクッションパッド10のクラッシングをより良好に行なうことができる。
【0041】
また、搬送路150に対する第1押圧ローラ115の間隔が可変であることにより、クラッシングを良好に行なうことができるシートクッションパッド10の厚みの範囲が大きくなるため、厚みが異なる複数種類のシートクッションパッド10を同一の製造ラインで良好に製造することができる。
【0042】
また、本実施形態では、複数の補助ローラ116を用いてシートクッションパッド10内の気泡のセル膜を徐々に破泡させた後、第1押圧ローラ115によるクラッシングを行なうことができる。したがって、シートクッションパッド10内の気泡のセル膜が急激に破泡するのをより効果的に抑制することができるので、シートクッションパッド10のクラッシングをさらに良好に行なうことができる。
【0043】
さらに、本実施形態では、第1押圧ローラ115及び複数の補助ローラ116が、回転軸118を中心に回転可能な共通の支持体117を介して支持されているため、通過するシートクッションパッド10の厚みに応じて支持体117が回転し、第1押圧ローラ115及び複数の補助ローラ116の位置が変化する。これにより、シートクッションパッド10の厚みに応じて最適な押圧力でクラッシングを行なうことができる。
【0044】
シートクッションパッド10は、自動車用に限らず、他の車両用のものであってもよいし、車両用以外の用途に用いられるものであってもよい。また、シートクッションパッド10は、着座部として用いられるものに限らず、例えば背もたれ部などの他の部分に用いられるものであってもよい。シートクッションパッド10は、軟質ポリウレタンフォームにより形成される構成に限らず、他の各種材料により形成することも可能である。また、本発明によりクラッシングされる発泡成形体は、シートクッションパッド10に限らず、他の発泡成形体であってもよい。
【符号の説明】
【0045】
10 シートクッションパッド
11 表面部
14 裏面部
16 ウレタンフォーム
100 クラッシング装置
110 第1クラッシング機構
111 第1搬送機構
112 第1押圧機構
113 ローラ
114 ベルト
115 第1押圧ローラ
116 補助ローラ
117 支持体
118 回転軸
119 負荷機構
120 第2クラッシング機構
121 第2搬送機構
122 第2押圧機構
123 ローラ
124 ベルト
125 第2押圧ローラ
126 補助ローラ
127 支持体
130 ベルトコンベア
140 ベルトコンベア
150 搬送路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡樹脂原液を発泡硬化させることにより成形された発泡成形体を押圧して、発泡成形体内に生じた気泡のセル膜を破泡させることにより、発泡成形体のクラッシングを行なうための方法であって、
搬送路に沿って発泡成形体を搬送する搬送工程と、
前記搬送路に対して間隔をあけて配置された第1押圧ローラを用いて、前記搬送路に沿って搬送される発泡成形体を押圧する第1クラッシング工程と、
前記搬送路に対して間隔をあけて配置された第2押圧ローラを用いて、前記第1押圧ローラによるクラッシング後に前記搬送路に沿って搬送される発泡成形体を押圧する第2クラッシング工程とを含み、
前記搬送路に対する前記第2押圧ローラの間隔は、発泡成形体の厚みよりも小さい一定の間隔であり、
前記搬送路に対する前記第1押圧ローラの間隔は、発泡成形体の厚みよりも小さい間隔と、前記一定の間隔よりも大きい間隔との間で、発泡成形体の通過時に可変であることを特徴とする発泡成形体のクラッシング方法。
【請求項2】
前記第1クラッシング工程では、前記第1押圧ローラに対して発泡成形体の搬送方向の上流側に設けられた複数の補助ローラを用いて、第1押圧ローラを通過する前の発泡成形体を押圧するようになっており、
前記複数の補助ローラは、前記第1押圧ローラ側に向かって徐々に前記搬送路に対する間隔が小さくなるように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の発泡成形体のクラッシング方法。
【請求項3】
前記第1押圧ローラ及び前記複数の補助ローラは、共通の支持体を介して支持されており、
前記支持体は、前記第1押圧ローラとは反対側に設けられた回転軸を中心に回転可能であることを特徴とする請求項2に記載の発泡成形体のクラッシング方法。
【請求項4】
発泡樹脂原液を発泡硬化させることにより成形された発泡成形体を押圧して、発泡成形体内に生じた気泡のセル膜を破泡させることにより、発泡成形体のクラッシングを行なうための装置であって、
発泡成形体を搬送する搬送路と、
前記搬送路に対して間隔をあけて配置され、前記搬送路に沿って搬送される発泡成形体を押圧するための第1押圧ローラと、
前記搬送路に対して間隔をあけて配置され、前記第1押圧ローラによるクラッシング後に前記搬送路に沿って搬送される発泡成形体を押圧するための第2押圧ローラとを備え、
前記搬送路に対する前記第2押圧ローラの間隔は、発泡成形体の厚みよりも小さい一定の間隔であり、
前記搬送路に対する前記第1押圧ローラの間隔は、発泡成形体の厚みよりも小さい間隔と、前記一定の間隔よりも大きい間隔との間で、発泡成形体の通過時に可変であることを特徴とする発泡成形体のクラッシング装置。
【請求項5】
前記第1押圧ローラに対して発泡成形体の搬送方向の上流側に設けられ、第1押圧ローラを通過する前の発泡成形体を押圧するための複数の補助ローラを備え、
前記複数の補助ローラは、前記第1押圧ローラ側に向かって徐々に前記搬送路に対する間隔が小さくなるように配置されていることを特徴とする請求項4に記載の発泡成形体のクラッシング装置。
【請求項6】
前記第1押圧ローラ及び前記複数の補助ローラは、共通の支持体を介して支持されており、
前記支持体は、前記第1押圧ローラとは反対側に設けられた回転軸を中心に回転可能であることを特徴とする請求項5に記載の発泡成形体のクラッシング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−171102(P2012−171102A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−32033(P2011−32033)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(000003148)東洋ゴム工業株式会社 (2,711)
【Fターム(参考)】