説明

発泡樹脂成形体

【課題】被取付体の棒状の取付部分を容易に保持することができると共に、被取付体に対するがたつきを防止することができる発泡樹脂成形体を提供する。
【解決手段】棒状の取付部分を有する被取付体に取り付けられる発泡樹脂成形体であって、被取付体に取り付けられた状態で、前記取付部分を径方向で保持する保持部2を備え、該保持部2は、対向する一対の対向面21a,21bと、該一対の対向面21a,21bの少なくとも一方に設けられる突起22とを備え、突起22は、一対の対向面21a,21bの間に取付部分を保持した状態において、少なくとも一部が取付部分によって弾性変形されるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棒状の取付部分を有する被取付体に取り付けられる発泡樹脂成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の発泡樹脂成形体として、例えば、自動車用ヘッドレストに用いられる芯材であって、ヘッドレストステーに取り付け可能に構成され、自動車の振動時等に緩衝材として後頭部を保護する発明が公知である(特許文献1)。
【0003】
このような発泡樹脂成形体は、対向する一対の対向面を有する挟持部を備える。また、ヘッドレストステーは、略コ字形状をなし、平行に配置される一対の棒状の挿入部と、該一対の挿入部の一端同士を連結する棒状の取付部分とを備え、挿入部がその他端側から座席本体上部に対して挿入されるように構成されている。
【0004】
発泡樹脂成形体は、前記一対の対向面の間に取付部分を押し込んで径方向で挟持することで、ヘッドレストステーに取り付けられている。
【0005】
ここで、発泡樹脂成形体は、挟持部の対向面間の距離が取付部分の径方向の大きさよりも大きいと、上記のようにヘッドレストステーに取り付けられる際に、取付部分を挟持できずにがたつきを生じてしまう。
【0006】
上記点を考慮して、上記従来の発泡樹脂成形体は、挟持部の対向面間の距離が取付部分の径方向の大きさよりも小さくなるように構成されている。つまり、かかる発泡樹脂成形体が前記取付部分を挟持した状態では、取付部分が各対向面に対して所定の深さ減り込んだ状態となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−255100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来の発泡樹脂成形体にあっては、取付部分を挟持部の一対の対向面の間で挟持するにあたり、取付部分を挟持部の各対向面に対して所定の深さ減り込ませるべく、強い力で押し込むことを要し、従って、かかる挟持作業(特に押し込み作業)は作業者にとって負担がかかる作業であった。尚、かかる問題は、発泡樹脂成形体を自動車用など車両用のヘッドレストステーに取り付ける場合に限らず、例えば車両用のアームレストステーなどに固定する場合など、棒状の取付部分を有する被取付体に対して発泡樹脂成形体を取り付ける場合全般に共通する問題である。
【0009】
そこで、本発明は、上記点に鑑みてなされたもので、被取付体の棒状の取付部分を容易に保持することができると共に、被取付体に対するがたつきを防止することができる発泡樹脂成形体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る発泡樹脂成形体は、上記課題を解決するためになされたもので、棒状の取付部分を有する被取付体に取り付けられる発泡樹脂成形体であって、被取付体に取り付けられた状態で、前記取付部分を径方向で保持する保持部を備え、該保持部は、対向する一対の対向面と、該一対の対向面の少なくとも一方に設けられる突起とを備え、突起は、一対の対向面の間に取付部分を保持した状態において、少なくとも一部が取付部分によって弾性変形されるように構成されていることを特徴とする。
【0011】
かかる構成からなる発泡樹脂成形体にあっては、保持部の一対の対向面の間に取付部分を保持することで、被取付体に取り付けることができる。
【0012】
ここで、前記保持している部分では、前記一対の対向面の少なくとも一方に設けられている突起が取付部分と接触して弾性変形している。よって、前記保持している部分における被取付体と発泡樹脂成形体との接触面積を抑制して突起の弾性変形に要する力を抑制しつつ、突起の弾性変形に伴う復元力を、取付部分への押圧力として作用させることができる。従って、被取付体の棒状の取付部分を容易に保持することができると共に、被取付体に対するがたつきを防止することができる。
【0013】
また、本発明に係る発泡樹脂成形体では、前記突起は、正面視した投影平面において、前記一対の対向面間の面積の2〜15パーセントを占めるように設けられていることが好ましい。
【0014】
かかる構成によれば、正面視における突起の占有面積を2〜15パーセントにすることで被取付体と発泡樹脂成形体との接触面積を抑制して突起の弾性変形に要する力を抑制しつつ、取付部分への押圧力を適度に確保できる結果、容易に且つ効果的に発泡樹脂成形体の取り付けをすることができる。
【0015】
また、本発明に係る発泡樹脂成形体では、前記突起は、正面視した投影形状が半円形状であることが好ましい。
【0016】
かかる構成によれば、突起の正面視における投影形状を半円形状にすることで被取付体と発泡樹脂成形体との接触面積を抑制して突起の弾性変形に要する力を抑制しつつ、取付部分への押圧力を適度に確保できる結果、容易に且つ効果的に発泡樹脂成形体の取り付けをすることができる。
【0017】
また、本発明に係る発泡樹脂成形体では、前記一対の対向面の間の領域は、前記保持状態における取付部分の径方向かつ前記対向面の面方向における一方側が開放されており、他方側が対向面同士を連結する連結面で閉塞されており、前記突起は、対向面の一方側の端部から他方側の端部にまで延設されており、前記一方側の端部に対応する突起の先端部は、前記他方側から一方側に向けて突出量が少なくなるように傾斜していることが好ましい。
【0018】
かかる構成によれば、一対の対向面の間の領域の開放されている一方側から一対の対向面の間に取付部分を保持する際に、取付部分が突起の先端部の傾斜に沿って案内されながら前記一対の対向面の間に嵌まり込むため、円滑に発泡樹脂成形体の取り付けをすることができる。
【0019】
また、本発明に係る発泡樹脂成形体では、前記突起は、前記保持状態における取付部分の長手方向に沿って略等間隔で複数設けられていることが好ましい。
【0020】
かかる構成によれば、略等間隔で複数設けられた突起が被取付体によって均等に変形されて復元力を発揮するため、効果的に発泡樹脂成形体の取り付けをすることができる。
【0021】
また、本発明に係る発泡樹脂成形体では、前記突起は、一対の対向面の両面に設けられていることが好ましい。
【0022】
かかる構成によれば、一対の対向面の両面に設けられた突起が被取付体によって変形されて復元力を発揮するため、効果的に発泡樹脂成形体の取り付けをすることができる。
【発明の効果】
【0023】
以上のように、本発明に係る発泡樹脂成形体によれば、一対の対向面の間に被取付体の棒状の取付部分を径方向で保持した状態において、少なくとも一部が取付部分によって弾性変形される突起が一対の対向面の少なくとも一方に設けられているので、突起の弾性変形に要する力を抑制しつつ、突起の弾性変形に伴う復元力を取付部分への押圧力として作用させることができる結果、被取付体の棒状の取付部分を容易に保持することができると共に、被取付体に対するがたつきを防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態に係る発泡樹脂成形体を示す図であって、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図2】同発泡樹脂成形体をヘッドレストステーに取り付けた状態を示す図であって、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図3】他の実施形態に係る発泡樹脂成形体の一部を示す図であって、(a)、(b)に示す実施形態は互いに異なる形態であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図4】他の実施形態に係る発泡樹脂成形体の一部を示す図であって、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図5】他の実施形態に係る発泡樹脂成形体の一部を示す図であって、(a)、(b)に示す実施形態は互いに異なる形態であり、共に側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る発泡樹脂成形体の一実施形態について、図面を参酌しつつ説明する。尚、以下の発明において、正面視とは、発泡樹脂成形体を図1(a)に示すような投影図が得られる方向から見た場合を意味している。そして、図1(a)の正面図を基準に、上下方向、左右方向を規定し、紙面表裏方向を厚み方向と規定する。
【0026】
本実施形態に係る発泡樹脂成形体は、例えば自動車など車両用のヘッドレストの芯材として利用されるもので、ヘッドレストステーに取り付けられるように構成される。
【0027】
発泡樹脂成形体は、図1に示すように、平面視における厚み方向の平面状をなす一方側から他方側に向かって凸形状をなしている本体部1と、該本体部1の厚み方向一方側の上部側11aに設けられる保持部2と、本体部1の厚み方向一方側の下部側11bに設けられる溝部3と、該溝部3より下方の下部側11bに設けられる補助部4とを備えて一体成形されてなる。
【0028】
本体部1は、正面視略矩形状のブロック体であり、正面視における厚み方向の一方側(手前側)が平面状の面状部11をなし、他方側(奥側)が前記一方側から他方側へ向けて凸設される凸形状部12をなしている。該凸形状部12は、前記面状部11から離間した頂部12aから前記面状部11の上部側11a及び下部側11bに向かって傾斜する形状をなしている。かかる本体部1の面状部11の上部側11aには保持部2が形成され、下部側11bには溝部3と補助部4とが形成されている。
【0029】
保持部2は、上下方向に離間して平行に対向する一対の対向面21a,21bを有する対向部21と、該一対の対向面21a,21bの少なくとも一方の面に設けられ、弾性変形する突起22とを備えている。
【0030】
対向部21は、一対の対向面21a,21bと、該一対の対向面21a,21bを連結する連結面23とを備える。
【0031】
一対の対向面21a,21bは、上側に位置する上面21aと下側に位置する下面21bとからなる。両面21a,21bは、矩形の平面をなしており、正面視における左右方向及び厚み方向に平行な平面である。また、両面21a,21bの面の大きさは略同一であり、即ち上面21aと下面21bとの左右方向並びに厚み方向の長さは略同一であり、左右方向の長さが厚み方向の長さより長い。また、両面21a,21bの左右方向の長さは、面状部11の左右方向の長さよりも短い。かかる一対の対向面21a,21bは、本体部1の面状部11の上部側11aで正面視における厚み方向の奥側から手前側に向かって突設している。
【0032】
より詳細には、一対の対向面21a,21bは、上面21aが上片21Aの下部に形成され、下面21bが下片21Bの上部に形成されている。上片21Aは、正面視における厚み方向の奥側から手前側に突出しており、上部が奥側から手前側に亘って傾斜することなく略水平をなし、下部に上面21aを有している。下片21Bは、正面視における厚み方向の奥側から手前側に突出しており、下部が奥側から手前側に向かって上方に傾斜し、上部に下面21bを有している。かかる上片21Aと下片21Bとは、上片21Aが上側に、下片21Bが下側に位置し、正面視における上下方向に離間して本体部1の面状部11の上部側11aに突設されている。
【0033】
連結面23は、矩形の平面である。具体的には、連結面23は、正面視における上下方向及び左右方向に平行な平面をなしており、上下方向の長さが左右方向の長さより短い。更に、上下方向の長さは、一対の対向面21a,21b間の上下方向の距離と略同一であり、左右方向の長さは、一対の対向面21a,21bの左右方向の長さと略同一である。かかる連結面23は、一対の対向面21a,21bの間に該対向面21a,21bの奥側の端部同士を連結しており、即ち本体部1の面状部11と面一に設けられている。従って、対向部21は、一対の対向面21a,21bと連結面23とによって、側面視略コ字形状をなしている(図1(b)参照)。換言すれば、対向部21は、一対の対向面21a,21bと連結面23とで囲まれた領域の正面視における厚み方向の一方側(手前側)が開放されており、他方側(奥側)が閉塞されている。また、対向部21は、一対の対向面21a,21bと連結面23とで囲まれた領域の正面視における左右方向が開放されている。かかる対向部21の一対の対向面21a,21bの上面21aには、一部に突起22が設けられている。
【0034】
突起22は、正面視における上下方向に凸形状をなす。本実施形態では、突起22は、上面21aに形成されて正面視における下方向に突出しており、即ち一対の対向面21a,21bの上面21aから対向する下面21bに向かって突出している。また、突起22は、左右方向に所定幅を有して厚み方向に細長い形状をなしており、厚み方向の他方側に基端部22bを有し、一方側に先端部22aを有している。この突起22は、正面視した投影形状が半円形状、即ち上下方向の断面形状が半円形状をなしている。
【0035】
より詳細には、突起22の左右方向の幅は、一対の対向面21a,21bの左右方向の長さよりも小さい。また、突起22の厚み方向の長さは、一対の対向面21a,21bの厚み方向の長さと略同一である。更に、突起22の突出は、一対の対向面21a,21b間の距離よりも小さい。具体的には、突起22の突出量は、厚み方向の他方側の基端部22bから一方側の先端部22aまで略同一であり、一方側の先端部22aで一方側に向けて少なくなっている。即ち、突起22の高さは、厚み方向の他方側の基端部22bから一方側の先端部22aまで略同一であり、一方側の先端部22aで厚み方向外方(手前側)にR状に上方傾斜をなして徐々に逓減している。
【0036】
また、突起22は、正面視した投影平面において、前記一対の対向面21a,21b間の面積の2〜15パーセントを占めるように構成されている。ここで、突起22の正面視した投影平面における面積、即ち突起22の正面視における投影面積とは、突起22の左右方向又は上下方向の垂直断面積であり、具体的には半円形状の面積である。一対の対向面21a,21b間の正面視した投影平面における面積、即ち一対の対向面21a,21b間の正面視における投影面積とは、連結面23の面積である。従って、突起22及び一対の対向面21a,21b間の投影面積の関係を数式表記すると、以下のようになる。
(突起22の正面視した投影面積/一対の対向面21a,21b間の正面視による投影面積)×100=2〜15
尚、突起22の正面視した投影面積は、突起22が複数設けられている場合、複数の突起22の正面視における投影面積の総和(即ち複数の半円形状の面積の総和)をいう。また、突起22は、好ましくは、正面視した投影平面において、前記一対の対向面21a,21b間の面積の3〜10パーセントを占め、より好ましくは、4〜8パーセントを占める。
【0037】
かかる突起22は、一対の対向面21a,21bの上面21aの厚み方向の他方側(奥側)の端部から一方側(手前側)の端部に亘って(即ち左右方向と交差するように、好ましくは左右方向と直交するように)設けられ、他方側の端部に対応する基端部22bが連結面23に連続している。この突起22は、上面21aの左右方向に沿って略等間隔で3つ設けられている。具体的には、突起22は、上面21aの左右方向の両端と中央部とに一つずつ設けられている。
【0038】
溝部3は、細長い溝であり、断面形状が半円状の凹形状をなす。かかる溝部3は、本体部1の面状部11の下部側11bに左右方向の全長に亘って一条凹設されている。
【0039】
補助部4は、正面視略矩形状のブロック体であり、正面視における上下方向の下方向かつ厚み方向の他方側(奥側)から一方側(手前側)に向かって傾斜している。補助部4の左右方向の長さは、本体部1の面状部11の左右方向の長さより小さく、対向部21の左右方向の長さより大きい。かかる補助部4は、本体部1の面状部11に形成される溝部3よりも更に下方の下部側11bから厚み方向の他方側(奥側)から一方側(手前側)に延設されている。
【0040】
尚、発泡樹脂成形体は、例えば、熱可塑性樹脂であって、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂(例えば、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂)、ポリエステル系樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、ポリカーボネート系樹脂、ポリ乳酸系樹脂等の一つあるいは二つ以上が複合されてなる。好ましくは、発泡樹脂成形体は、ポリスチレン系樹脂とポリエチレン系樹脂とを含む複合樹脂からなる。
【0041】
また、ヘッドレストステーHは、図2に示すように、全体的に略コ字形状をなす。具体的には、ヘッドレストステーHは、左右に離れて平行に配置される一対の棒状の挿入部5と、該一対の挿入部5の一端(上端)を連結すべく左右に沿って形成される棒状の取付部分6と、該取付部分6よりも下方側で一対の挿入部5を連結する棒状の補助部分7とを備える。このヘッドレストステーHは、挿入部5の他端側(下端側)から座席本体上部に対して挿入されることで、座席本体に設置される。
【0042】
挿入部5は、外径が一定の円筒状をなし、上下方向に沿って延びる第一直線部51,51と、該第一直線部51,51の下端から斜め下方(具体的には、下方側ほど厚み方向他方側となる傾斜方向)に沿って延びる第二直線部52,52とを備える。並置される一対の挿入部5(具体的には、一対の第一直線部51,51及び一対の第二直線部52,52)間の距離は、発泡樹脂成形体の補助部4の左右方向の長さと略同一又は若干小さい。また一対の挿入部5間の距離は、発泡樹脂成形体の本体部1における面状部11の左右方向の長さより若干小さく、一対の対向面21a,21bの左右方向の長さより長い。
【0043】
取付部分6は、外径が一定の円筒状であり、挿入部5の径と略同一である。また、取付部分6の径方向の大きさは、発泡樹脂成形体の一対の対向面21a,21b間の距離と略同一又は小さく、且つ、突起22の高さを考慮した一対の対向面21a,21b間の距離(即ち、一対の対向面21a,21b間の距離から突起高を除いた距離)よりは大きい。更に、取付部分6の長手方向(左右方向)の長さは、一対の挿入部5間の距離の長さと略同一であり、発泡樹脂成形体の補助部4の左右方向の長さと略同一又は若干小さい。かかる取付部分6は、挿入部5の第一直線部51,51の先端部51aから延設されて第一直線部51,51同士を連結している。
【0044】
補助部分7は、径が一定の円柱状であり、挿入部5や取付部分6の外径よりも小径で、溝部3(半円状の凹形状)の径寸法と略同一又は若干小さい。また、補助部分7の長手方向(左右方向)の長さは、一対の挿入部5間の距離や取付部分6の長手方向(左右方向)の長さよりも若干大きく、発泡樹脂成形体の本体部1の面状部11や溝部3の左右方向の長さと略同一である。かかる補助部分7は、挿入部5の第一直線部51,51の下端部同士を連結している。
【0045】
上記構成からなる発泡樹脂成形体は、図2に示すように、上記ヘッドレストステーHに取り付けられる。具体的には、発泡樹脂成形体は、本体部1の対向部21の一対の対向面21a,21b間にヘッドレストステーHの取付部分6を径方向で保持することで、取り付けられる。
【0046】
詳細に説明すると、一対の対向面21a,21bの間の領域は、正面視における左右方向の一方側及び他方側、即ち一対の対向面21a,21bの間に取付部分6を保持した状態における取付部分6の長手方向における一方側及び他方側が共に開放されている。また、一対の対向面21a,21bの間の領域は、正面視における厚み方向の他方側(奥側)、即ち一対の対向面21a,21bの間に取付部分6を保持した状態における取付部分6の径方向かつ前記対向面21a,21bの面方向における他方側(奥側)が対向面同士を連結する連結面23で閉塞されており、一方側(手前側)が開放されている。
【0047】
よって、取付部分6を保持する際には、一対の対向面21a,21bによって挟まれる領域の開放された一方側(手前側)から他方側(奥側)の連結面23に向けて、該対向面21a,21b間に取付部分6を押し込む。押し込まれた取付部分6は、上面21aに設けられた突起22と接触して突起22を圧迫し弾性変形させる。従って、一対の対向面21a,21bの間に取付部分6を保持した状態、即ち一対の対向面21a,21bの間に取付部分6の長手方向に亘って取付部分6を径方向で挟み込んだ状態では、取付部分6が上面21aの突起22の一部を弾性変形させており、突起22の弾性変形に伴う復元力としての押圧力が取付部分6を下面21bに押付けるように生じている。
【0048】
また、発泡樹脂成形体の補助部4をヘッドレストステーHの一対の棒状の第一直線部51,51の間に嵌め込むと共に、発泡樹脂成形体の溝部3にヘッドレストステーHの補助部分7が嵌め合わされる。
【0049】
以上のように、本実施形態に係る発泡樹脂成形体によれば、保持部2の一対の対向面21a,21bの間に取付部分6を保持することで、ヘッドレストステーHに取り付けることができる。
【0050】
ここで、前記保持している部分では、前記一対の対向面21a,21bの上面21aに設けられている突起22が取付部分6と接触して弾性変形している。よって、前記保持している部分におけるヘッドレストステーHと発泡樹脂成形体との接触面積を抑制して突起22の弾性変形に要する力を抑制しつつ、突起22の弾性変形に伴う復元力を、取付部分6への押圧力として作用させることができる。従って、取付部分6を容易に保持することができると共に、ヘッドレストステーHに対するがたつきを防止することができる。
【0051】
また、突起22は、正面視した投影平面において、前記一対の対向面21a,21b間の面積の2〜15パーセントを占めるように正面視における突起22の占有面積が設定されるので、ヘッドレストステーHと発泡樹脂成形体との接触面積を抑制して突起22の弾性変形に要する力を抑制しつつ、取付部分6への押圧力を適度に確保できる結果、容易に且つ効果的に発泡樹脂成形体の取り付けをすることができる。
【0052】
尚、突起22の上記占有面積が3〜10パーセントで構成される場合には、占有面積の範囲を一層絞っているため、ヘッドレストステーHと発泡樹脂成形体との接触面積を過不足なく適度に調整して突起22の弾性変形に要する力を抑制しつつ、取付部分6への押圧力を効果的に確保できる結果、容易に且つ効果的に発泡樹脂成形体の取り付けをすることができる。また、4〜8パーセントで構成される場合には、占有面積の範囲を極めて局所的に絞っているため、ヘッドレストステーHと発泡樹脂成形体との接触面積を有効に調整して突起22の弾性変形に要する力を抑制しつつ、取付部分6への押圧力を効果的に確保できる結果、容易に且つ効果的に発泡樹脂成形体の取り付けをすることができる。
【0053】
また、突起22の正面視における投影形状を半円形状にすることでヘッドレストステーHと発泡樹脂成形体との接触面積を抑制して突起22の弾性変形に要する力を抑制しつつ、取付部分6への押圧力を適度に確保できる結果、容易に且つ効果的に発泡樹脂成形体の取り付けをすることができる。
【0054】
また、突起22の先端部22aは、厚み方向の他方側(奥側)から一方側(手前側)に向けて突出量が少なくなるようにR状に傾斜しているので、一対の対向面21a,21bの間の領域における開放されている一方側から一対の対向面21a,21bの間に取付部分6を保持する際に、取付部分6が突起22の先端部22aのR状の傾斜と接触する面を抑制して、取付部分6との摩擦力を抑制すると共に、取付部分6が突起22の先端部22aに引っ掛かることなく円滑に案内されながら前記一対の対向面21a,21bの間に嵌まり込むため、円滑に発泡樹脂成形体の取り付けをすることができる。
【0055】
また、突起22は、正面視における左右方向に略等間隔で上面21aに3つ設けられているので、略等間隔で3つ設けられた突起22がヘッドレストステーHによって均等に変形されて復元力を発揮するため、効果的に発泡樹脂成形体の取り付けをすることができる。
【0056】
また、突起22は、上面21aの左右方向の両端と中央部とに一つずつ設けられているので、各々の突起22がヘッドレストステーHによって均等に変形されて復元力を発揮するため、一対の対向面21a,21bの間の領域に対して、取付部分6の長手方向の軸が厚み方向に傾斜してぶれることを抑制して、円滑に発泡樹脂成形体の取り付けをすることができる。
【0057】
また、発泡樹脂成形体の補助部4をヘッドレストステーHの一対の第一直線部51,51の間に嵌め込むと共に、発泡樹脂成形体の溝部3にヘッドレストステーHの補助部分7が嵌め合わされるので、発泡樹脂成形体をがたつきなくしっかりと取り付けることができる。
【0058】
尚、本発明の発泡樹脂成形体は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0059】
本実施形態においては、発泡樹脂成形体は、自動車など車両用のヘッドレストステーHに取り付けられる場合について説明したが、これに限らず、発泡樹脂成形体は、棒状の取付部分6を有する被取付体であれば、例えば車両用のアームレストステー、建築資材などに取り付けられるように構成されても好い。尚、本実施形態では、取付部分6は、円筒状として構成される場合について説明したが、これに限らず、取付部分6は、断面形状が円形や楕円形の円柱状、角柱状であり、長手方向に沿う中空部を有さないで或いは有して構成されても好い。
【0060】
また、本実施形態においては、発泡樹脂成形体は、本体部1と保持部2と溝部3と補助部4とを備えて構成される場合について説明したが、これに限らず、発泡樹脂成形体は、溝部3と補助部4とを備えず、本体部1と保持部2とで構成されることも可能である。
【0061】
また、本実施形態においては、発泡樹脂成形体は、保持部2の一対の対向面21a,21bが本体部1の一方側の面状部11から突設する場合について説明したが、これに限らず、発泡樹脂成形体は、本体部1の面状部11が上部側11aから下部側11bまでの間を厚み方向の手前側に厚く形成されて、保持部2の対向部21が本体部1の面状部11に溝状に凹設されるように構成されても好い。
【0062】
また、本実施形態においては、突起22は、正面視の左右方向に沿って略等間隔で三つ設けられる場合について説明したが、これに限らず、突起22は、左右方向に沿って一つ又は二つの突起22或いは四つ以上の複数の突起22を設けるようにすることが可能であり、更に、複数の突起22を設ける場合、突起22の間隔が略等間隔でなくとも任意の間隔とすることが可能である。
【0063】
また、本実施形態においては、突起22は、一対の対向面21a,21bの上面21aに設けられる場合について説明したが、これに限らず、突起22は、一対の対向面21a,21bの下面21bのみ、或いは、一対の対向面21a,21bの上面21aと下面21bとの両面に設けることが可能である。尚、一対の対向面21a,21bの両面に突起22を設ける場合、図3(a)に示すように、上面21aの突起22と下面21bの突起22とが、正面視における左右方向(即ち一対の対向面21a,21bの間に取付部分6を保持した状態における取付部分6の長手方向)に沿って互い違いになるように設けることが可能である。或いは、図3(b)に示すように、上面21aの突起22と下面21bの突起22とが、正面視における厚み方向(即ち一対の対向面21a,21bの間に取付部分6を保持した状態における取付部分6の径方向かつ前記対向面21a,21bの面方向)に沿って互い違いになるように設けることが可能である。
【0064】
また、本実施形態においては、突起22は、一対の対向面21a,21bの上面21aの他方側(奥側)の端部から一方側(手前側)の端部まで延設され、基端部22bが連結面23に連続している場合について説明したが、これに限らず、突起22は、先端部22aが一方側の端部にまで延設されず、また、基端部22bが他方側の端部における連結面23に連続しないように、厚み方向に一又は複数設けられることが可能である(図3(b)参照)。尚、一つの突起22を厚み方向に設ける場合、発泡樹脂成形体は、図4(a),(b)に示すように、厚み方向の一方側に左右方向に細長い一の突起22を上面21aに設け、一対の対向面21a,21bの間に取付部分6を保持した状態において、前記突起22の厚み方向の他方側(奥側)の一部が取付部分6によって弾性変形されるように構成しても好い。
【0065】
また、本実施形態においては、突起22は、一対の対向面21a,21bの上面21aの他方側(奥側)の端部から一方側(手前側)の端部まで略同じ高さで延設される場合について説明したが、これに限らず、突起22は、図5(a)に示すように、他方側(奥側)の端部から一方側(手前側)の端部まで、他方側から一方側に向けて突出量が少なくなるように全体的に上方傾斜して高さが徐々に逓減するようにして設けても好い。かかる突起22では、取付部分6が全体的な傾斜に沿って案内されながら前記一対の対向面21a,21bの間に嵌まり込むため、円滑に発泡樹脂成形体の取り付けをすることができる。更に、一対の対向面21a,21b間に取付部分6を保持した際に、他方側(奥側)の突起22の弾性変形(即ち復元力)が大きく一方側(手前側)の突起22の弾性変形(即ち復元力)が小さいため、一対の対向面21a,21b間の領域の一方側(手前側)から取付部分6を取り外す場合に、ヘッドレストステーHから発泡樹脂成形体を取り外し易い。
【0066】
また、本実施形態においては、突起22は、先端部22aがR状に傾斜している場合について説明したが、これに限らず、突起22は、図5(b)に示すように、先端部22aが先細りするような面取り形状であることが可能であり、更に、先端部22aが傾斜することなく垂直断面であることが可能である。
【0067】
また、本実施形態においては、突起22は、正面視した投影形状が半円形状である場合について説明したが、これに限らず、突起22は、正面視した投影形状が多角形状や楕円形状でも好い。
【0068】
また、本実施形態においては、突起22の左右方向の幅は、上面21aの他方側(奥側)の端部から一方側(手前側)の端部まで略同一で延設される場合について説明したが、これに限らず、突起22は、他方側から一方側に向けて幅が広くなる、又は、狭くなるように、即ち基端部22bから先端部22aに向けて幅が広くなる、又は、狭くなるように延設されても好い。
【0069】
また、本実施形態においては、突起22は、一対の対向面21a,21bの間に取付部分6を保持した状態において、一部が取付部分6によって弾性変形される場合について説明したが、これに限らず、突起22は、一対の対向面21a,21bの間に取付部分6を保持した状態において、全部が取付部分6によって弾性変形されても好い。
【符号の説明】
【0070】
1…発泡樹脂成形体の本体部、2…保持部、3…溝部、4…補助部、5…ヘッドスレトステーの挿入部、6…取付部分、7…補助部分、11…面状部、11a…上部側、11b…下部側、12…凸形状部、12a…頂部、21…対向部、21a…一対の対向面の上面、21A…上片、21b…一対の対向面の下面、21B…下片、22…突起、22a…先端部、22b…基端部、51…第一直線部、51a…先端部、52…第二直線部、H…ヘッドレストステー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状の取付部分を有する被取付体に取り付けられる発泡樹脂成形体であって、被取付体に取り付けられた状態で、前記取付部分を径方向で保持する保持部を備え、該保持部は、対向する一対の対向面と、該一対の対向面の少なくとも一方に設けられる突起とを備え、突起は、一対の対向面の間に取付部分を保持した状態において、少なくとも一部が取付部分によって弾性変形されるように構成されていることを特徴とする発泡樹脂成形体。
【請求項2】
前記突起は、正面視した投影平面において、前記一対の対向面間の面積の2〜15パーセントを占めるように設けられていることを特徴とする請求項1記載の発泡樹脂成形体。
【請求項3】
前記突起は、正面視した投影形状が半円形状であることを特徴とする請求項1又は2記載の発泡樹脂成形体。
【請求項4】
前記一対の対向面の間の領域は、前記保持状態における取付部分の径方向かつ前記対向面の面方向における一方側が開放されており、他方側が対向面同士を連結する連結面で閉塞されており、前記突起は、対向面の一方側の端部から他方側の端部にまで延設されており、前記一方側の端部に対応する突起の先端部は、前記他方側から一方側に向けて突出量が少なくなるように傾斜していることを特徴とする請求項1乃至3記載の発泡樹脂成形体。
【請求項5】
前記突起は、前記保持状態における取付部分の長手方向に沿って略等間隔で複数設けられていることを特徴とする請求項1乃至4記載の発泡樹脂成形体。
【請求項6】
前記突起は、一対の対向面の両面に設けられていることを特徴とする請求項1乃至5記載の発泡樹脂成形体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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