説明

発泡部材用キャリアテープおよび発泡部材搬送体

【課題】発泡部材に対し搬送・加工時には保持するに十分な接着力を発揮し、一方剥離時には発泡部材の表面を破壊することなく容易に剥離できる程度の接着力を発現する発泡部材の搬送・加工用のキャリアテープの提供。
【解決手段】支持体11の少なくとも片面にアクリル酸アルキルエステルを主成分とする(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対し、数平均分子量260以上のパラフィン系オイル20〜40重量部を含む粘着剤組成物からなる粘着剤層12を設けたことを特徴とする発泡部材用キャリアテープを提供する。また上記発泡部材用キャリアテープの粘着剤層12を介して発泡部材2が貼着されていることを特徴とする発泡部材搬送体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緩衝や防音、防塵等のために用いられる発泡部材を搬送・加工するために用いられるキャリアテープ、および発泡部材を設けた発泡部材搬送体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、発泡構造体からなる発泡部材は、防塵、断熱、防音、防振、緩衝、水密および気密などを目的として、例えば建築土木、電気機器、住宅設備機器、および船舶、車両、自動車等の部材など、各種の産業製品において、隙間を充填するためのシール材として広く利用されている。また近年では、パーソナルコンピューター、携帯電話あるいはPDAなどの情報機器分野においても広く用いられてきている。
【0003】
このような発泡部材は、その使用される部材の形状に合わせて必要な形状で打ち抜かれ、また部材への固定を容易にするために発泡部材の表面に粘着加工が施される。このような加工された発泡部材は取り扱いが容易ではなく、効率的に所定の箇所に搬送するためにキャリアテープが用いられる。
【0004】
図1に発泡部材用キャリアテープの使用例を示す。図1において、発泡部材(2)は、発泡構造体(21)の片面に粘着剤層(22)として両面粘着テープを設け、さらに剥離ライナー(23)を設けた構成である。まず最初に、発泡部材(2)の粘着剤層(22)および剥離ライナー(23)を設けていない面に、発泡部材用キャリアテープ(1)を粘着剤層(12)を介して貼着する(図1(a))。この状態から、粘着剤層(22)および剥離ライナー(23)が設けられた面から打ち抜き刃(3)を発泡部材(2)にのみ入れ、不要部分を除去することで所定形状に発泡部材(2)を打ち抜き加工する(図1(b))。このようにキャリアテープ(1)に貼着され、打ち抜き加工された発泡部材(2)は、キャリアテープ(1)上に所定間隔で配置されており(図1(b´))、長尺物の場合は適宜巻回体をして巻き取ることもできる。その後、組付け工程へ搬送され、発泡部材(2)から表面の剥離ライナー(23)を剥離し、製品部材(4)へ貼着し、その後キャリアテープ(1)を剥離する。このようにキャリアテープは発泡部材(2)の打ち抜き加工時の台紙として用いられ、また組付け工程への搬送部材として用いることができる。さらにこのような工程を機械化することで、打ち抜きから貼り合わせまでの工程を自動化することができる。
【0005】
このように使用される発泡部材は、ポリウレタン系、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリイミド系、ポリスチレン系などからなる発泡構造体が使用されるが、近年リサイクル性に優れ、入手の容易性などの理由から熱可塑性樹脂、特にポリオレフィン系樹脂が好適に使用される。しかしながらポリオレフィン系樹脂からなる発泡構造体はその素材自体が非極性であり、また表面が粗面であるという理由から粘着力を高めることが困難であった。
【0006】
このような発泡部材のキャリアテープにおいては、その搬送時や打ち抜き加工時においては十分な接着力により発泡部材を保持することが必要であり、接着力が不足すると打ち抜き加工時に発泡部材のずれる場合があった。従ってその搬送・加工時には発泡部材を保持するために十分な接着力が必要である。一方、発泡部材に対する粘着力をあまりに高くすると、発泡部材をキャリアテープから剥離する際に発泡構造体表面が破壊してしまう場合があった。したがって、キャリアテープにおいては発泡部材に対し搬送・加工時には保持するに十分な接着力が要求され、一方剥離時には発泡構造体表面を破壊することなく容易に剥離できる程度の接着力という相反する性能が要求される。
【0007】
このように発泡部材に対する接着力、特に高温での接着力を向上させる方法として、アクリル系樹脂100重量部に対して、流動パラフィンを0.05〜5.0重量部の割合で添加してなる発泡体用粘着剤組成物が開示されている(特許文献1)。しかし、かかる方法においては、接着力の向上のみを目的としており、発泡体を破壊することなく容易に剥離することはできない。
【特許文献1】特開平4−164984号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明では、上記の課題を解決しようとするものであり、発泡部材に対し搬送・加工時には保持するに十分な接着力を発揮し、一方剥離時には発泡部材の表面を破壊することなく容易に剥離できる程度の接着力を発現する発泡部材の搬送・加工用のキャリアテープ、および当該キャリアテープに発泡部材を設けた発泡部材搬送体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記の目的を達成するために鋭意検討した結果、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とする(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対し、数平均分子量260以上のパラフィン系オイル20〜40重量部を含む粘着剤組成物からなる粘着剤層を支持体の少なくとも片面に設けることにより、適度な接着特性を有する発泡部材用キャリアテープが得られることを知り、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち本発明は、発泡部材を搬送・加工する際に用いられる発泡部材用キャリアテープであって、支持体(11)の少なくとも片面に、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とする(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対し、数平均分子量260以上のパラフィン系オイル20〜40重量部を含む粘着剤組成物からなる粘着剤層(12)を設けたことを特徴とする発泡部材用キャリアテープに関する。
【0011】
特に、前記数平均分子量260以上のパラフィン系オイルが流動パラフィンであることを特徴とする。
【0012】
さらに本発明は、前記発泡部材用キャリアテープの粘着剤層(12)を介して発泡部材(2)が貼着されていることを特徴とする発泡部材搬送体に関する。発泡部材は、さらに粘着剤層(12)と接しない他面に粘着剤層(22)、および剥離ライナー層(23)が積層されていることを特徴とする。
【0013】
特に本発明においては、剥離ライナー層(23)を粘着剤層(22)から剥離する際の剥離力より、発泡部材(2)を粘着剤層(12)から剥離する際の剥離力のほうが大きいことを特徴とする発泡部材搬送体に関する。
【0014】
また本発明は、前記発部材(2)が熱可塑性樹脂からなる発泡構造体(21)であることを特徴とする発泡部材搬送体に関する。
【0015】
このような発泡構造体(21)は、熱可塑性樹脂に高圧の不活性ガスを含浸させた後、減圧する工程を経て形成されること、熱可塑性樹脂からなる未発泡成形物に高圧の不活性ガスを含浸させた後、減圧する工程を経て形成されていること、および溶融した熱可塑性樹脂に不活性ガスを加圧状態下で含浸させた後、減圧とともに成形に付して形成されていることを特徴とし、さらに各製法において減圧後、さらに加熱することにより形成されていることを特徴とする。
【0016】
また前記発泡構造体(21)において、含浸時の不活性ガスが二酸化炭素であり、また超臨界状態であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
前記構成の粘着剤層を支持体の少なくとも片面に設けた発泡部材用キャリアテープとすることにより、発泡部材に対し搬送・加工時には保持するに十分な接着力を発揮し、一方剥離時には発泡構造体の表面を破壊することなく容易に剥離できる程度の接着力を発現することができる。
【0018】
また発泡部材を当該キャリアテープへ貼着した発泡部材搬送体とすることで、取り扱いが困難な発泡部材の搬送・加工が容易となり、自動化も可能となる。
【0019】
さらに発泡部材を構成する発泡構造体を、熱可塑性樹脂に高圧の不活性ガスを含浸させ減圧する工程から製造することにより、不純物の少ないクリーンな発泡構造体を製造することができ、特に汚染を嫌う電子・電気機器用途において好適に用いられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0021】
本発明の発泡部材用キャリアテープに用いられる粘着剤組成物は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とする(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対し数平均分子量260以上のパラフィン系オイル20〜40重量部を含むことを特徴とする。
【0022】
本発明における(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とする(メタ)アクリル系ポリマーとは、ポリマーを構成するモノマー単位として(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とするものであるが、アクリル系粘着剤としての粘着特性を発揮させるためには(メタ)アクリル酸アルキルエステルは(メタ)アクリル系ポリマーの単量体成分中70重量%以上含有することが好ましく、更に80重量%以上含有することが好ましい。また(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては特に限定するものではないが、粘着特性や重合性などの点でアルキル基の炭素数が4〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを用いることが好ましい。アルキル基の炭素数が4〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸へキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ドデシルなどが挙げられ、その1種または2種以上が用いられる。
【0023】
本発明においては、(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移点や接着性を調整するために、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル以外の重合性モノマーを、本発明の効果を損なわない範囲で使用することができる。また、これらのモノマーは単独で用いても良いし組み合わせて用いても良いが、全体としての含有量は(メタ)アクリル系ポリマーの単量体成分中0〜30重量%であることが好ましく、更に0〜20重量%であることが好ましい。
【0024】
(メタ)アクリル系ポリマーにおいて用いられるその他の重合性モノマーとしては、例えば、カルボキシル基、ヒドロキシル基、スルホネート基を有するアクリレートおよび/またはメタクリレートを用いることができる。中でも特に架橋の制御が容易に行えることからカルボキシル基および/またはヒドロキシル基を有すアクリレートおよび/またはメタクリレートがより好ましく用いられる。
【0025】
本発明においてカルボキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸などが挙げられる。中でもアクリル酸、メタクリル酸が好ましく用いられる。
【0026】
本発明においてヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12−ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート、(4−ヒドロキシメチルシクロへキシル)メチルアクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ビニルアルコール、アリルアルコール、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテルなどがあげられる。
【0027】
上述のカルボキシル基及びヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマーの含有量は、(メタ)アクリル系ポリマーの単量体成分中0.1〜10重量%であることが好ましく、更に0.5〜8重量%であることが好ましい。
【0028】
さらに本発明において、上記ヒドロキシル基含有モノマー以外の任意成分としてアクリロニトリルなどのシアノ基含有モノマー、酢酸ビニルなどのビニルエステル類、スチレンなどの芳香族ビニル化合物などの凝集力・耐熱性向上能を有するモノマーや、アクリルアミド、ジエチルアクリルアミドなどのアミド基含有モノマー、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレートなどのアミノ基含有モノマー、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテルなどのエポキシ基含有モノマー、N−アクリロイルモルホリン、ビニルエチルエーテルなどのビニルエーテル類等の接着力向上や架橋化基点として働く官能基を有するモノマーを適宜用いることができる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0029】
本発明に用いられる(メタ)アクリル系ポリマーは、重量平均分子量が10万以上500万以下、好ましくは20万以上400万以下、さらに好ましくは30万以上300万以下であることが望ましい。重量平均分子量が10万未満の場合は、発泡部材への濡れ性の上昇により剥離時の接着力が大きくなるため剥離工程での発泡体破壊の原因になることがある。一方、重量平均分子量が500万を超える場合は、ポリマーの流動性が低下し発泡部材への濡れが不十分となり、十分な接着力が得にくいことがある。なお本発明において重量平均分子量は、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)により測定し標準ポリスチレン換算して算出された値をいう。
【0030】
また、前記(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度(Tg)が0℃以下、好ましくは−10℃以下(通常−80℃以上)であることが望ましい。ガラス転移温度が0℃より高い場合、ポリマーが流動しにくく発泡部材への濡れが不十分となり、十分な接着力が得にくいことがある。なお、(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、用いるモノマー成分や組成比を適宜変えることにより前記範囲内に調整することができる。
【0031】
本発明に用いられる(メタ)アクリル系ポリマーの重合方法は特に制限されるものでは
なく、溶液重合、乳化重合、塊状重合、懸濁重合、交互共重合などの公知の方法により重
合できる。また、得られる共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体など何れで
もよい。
【0032】
重合時の開始剤としては、特に限定されるものではないが、例えば2,2´‐アゾビスイソブチロニトリル、2,2´‐アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2´‐アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2´‐アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2´‐アゾビス(N,N´−ジメチレンイソブチルアミジン)、2,2´‐アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]ハイドレートなどのアゾ系開始剤、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩系開始剤、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、t−ブチルネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジラウロイルパーオキシド、ジ−n−オクタノイルパーオキシド、1,1,3,3−テトラメチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキシド、ジベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、1,1−ジ(t−へキシルパーオキシ)シクロヘキサン、t−ブチルハイドロパーオキシド、過酸化水素などの過酸化物系開始剤、過硫酸塩と亜硫酸水素ナトリウムの組み合わせ、過酸化物とアスコルビン酸ナトリウムの組み合わせなど過酸化物と還元剤とを組み合わせたレドックス系開始剤などが挙げられ、それぞれこれらの中から、1種または2種以上が用いられる。
【0033】
本発明の発泡部材用キャリアテープに用いられる粘着剤組成物は、上記(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対し、数平均分子量260以上のパラフィン系オイル20〜40重量部を含むことを特徴とする。
【0034】
本発明においては、パラフィン系オイルはアクリル系ポリマー100重量部に対し、20〜40重量部、好ましくは25〜35重量部配合される。パラフィン系オイルが20重量部未満では発泡体の高速での剥離時の接着力低下の効果が得にくく、剥離時に発泡体の表面が破壊されてしまう。一方パラフィン系オイルが40重量部を超える場合、テープを剥がした際に被着体(発泡体)表面へのオイル成分が転写し汚染するという不具合が起こる。
【0035】
本発明においてパラフィン系オイルは、その数平均分子量が260以上であり、特に350以上であることが好ましい(通常1200以下)。数平均分子量が260未満であると、粘着剤組成物から粘着剤層を設ける工程で加熱した際揮発し、粘着剤層中に残存しない場合があり、その効果を発揮しない恐れがある。なお本発明においてパラフィン系オイルの数平均分子量は、ガスクロマトグラフにより炭素数分布を測定し、炭素数分布とその割合(%)から算出するものである。
【0036】
このように本発明において用いられるパラフィン系オイルとは、炭化水素系、脂肪酸系、エステル系などを挙げることができ、例えば流動パラフィン、プロセスオイル、石油系オイル類、各種低分子量ポリマー類、フタル酸エステル類、リン酸エステル類、ステアリン酸やそのエステル類、アルキルスルホン酸エステル類などを用いることができる。特に本発明においては、極性が低く、貼り合わせ時間による粘着力の上昇性が少ない点から流動パラフィンを好適に用いることができる。
【0037】
本発明に用いられる流動パラフィンとしては、例えばカネダ株式会社製「ハイコールKシリーズ」「ハイコールMシリーズ」、出光興産株式会社製「ダフニーオイルCP」「ダフニーオイルKP」、コスモ石油ルブリカンツ社製「コスモホワイトPシリーズ」など市販品として入手できるものをそのまま使用できる。
【0038】
このようにアクリル粘着剤にパラフィン系オイルを配合することにより、発泡体に対する接着力を調整することができ、発泡体を搬送・加工する際に必要な保持力と、剥離時には発泡体の表面を破壊することなく界面で剥離することが可能となる。この理由については明確ではないが、粘着剤に含まれるパラフィン系オイルが粘着剤を可塑化して粗面に対する濡れ性を向上させつつ、特に発泡体がポリオレフィン系の場合は親和性を向上させるために接着力を向上させると考えられる。その一方で、粘着剤層中に含まれるパラフィン系オイルは発泡体との界面に移行(ブリードアウト)し、粘着剤層と発泡構造体との界面に薄層を形成すると考えられ、剥離時にはこの薄層から剥離するため発泡体の表面が保護されるものと推測される。
【0039】
本発明の粘着剤組成物においては、さらに凝集力向上のため通常架橋剤を含ませることができる。用いられる架橋剤としては、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、メラミン系樹脂、アジリジン誘導体、および金属キレート化合物等が用いられる。中でも、主に適度な凝集力を得る観点から、イソシアネート化合物やエポキシ化合物が特に好ましく用いられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0040】
上記イソシアネート化合物としては、たとえば、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの低級脂肪族ポリイソシアネート類、シクロペンチレンジイソシアネート、シクロへキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂環族イソシアネート類、2,4−トリレンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族イソシアネート類、トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート3量体付加物(商品名コロネートL、日本ポリウレタン工業社製)、トリメチロールプロパン/へキサメチレンジイソシアネート3量体付加物(商品名コロネートHL、日本ポリウレタン工業社製)、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(商品名コロネートHX、日本ポリウレタン工業社製)などのイソシアネート付加物などがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0041】
上記エポキシ化合物としては、たとえば、N,N,N',N'−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン(商品名TETRAD−X、三菱瓦斯化学社製)や1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロへキサン(商品名テトラッドC、三菱瓦斯化学社製)などがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0042】
上記メラミン系樹脂としてはヘキサメチロールメラミン等があげられる。アジリジン誘導体としては、たとえば、市販品としての商品名HDU(相互薬工社製)、商品名TAZM(相互薬工社製)、商品名TAZO(相互薬工社製)等があげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0043】
上記金属キレート化合物としては、金属成分としてアルミニウム、鉄、スズ、チタン、ニッケルなど、キレート成分としてアセチレン、アセト酢酸メチル、乳酸エチルなどがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0044】
本発明に用いられる架橋剤の含有量は、一般的には(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対し、0.01〜15重量部含有されていることが好ましく、0.1〜10重量部含有されていることがより好ましい。含有量が0.01重量部未満である場合、架橋剤による架橋形成が不十分となり、粘着剤組成物の凝集力が小さくなって、十分な保持性が得られない場合があり、また糊残りの原因となる傾向がある。一方、含有量が15重量部を超える場合、ポリマーの凝集力が大きく、流動性が低下し、発泡部材への濡れが不十分となって十分な接着力が得にくいことがある。
【0045】
また、本発明において、架橋剤として、放射線反応性不飽和結合を2個以上有す多官能モノマーを添加することができる。かかる場合には、放射線などを照射することにより粘着剤組成物を架橋させる。一分子中に放射線反応性不飽和結合を2個以上有する多官能モノマーとしては、たとえば、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニルベンジル基などの放射線の照射で架橋処理(硬化)することができる1種または2種以上の放射線反応性を2個以上有す多官能モノマーがあげられる。また、前記多官能モノマーとしては、一般的には放射線反応性不飽和結合が10個以下のものが好適に用いられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0046】
前記多官能モノマーの具体例としては、たとえば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6へキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、N,N'−メチレンビスアクリルアミドなどあげられる。
【0047】
前記多官能モノマーの使用量は、架橋すべき(メタ)アクリル系ポリマーとのバランスにより適宣選択される。アクリル粘着剤の凝集力により充分な耐熱性を得るには一般的には、(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して、0.1〜30重量部で配合するのが好ましい。また柔軟性、接着性の点から(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して、10重量部以下で配合するのがより好ましい。
【0048】
放射線としては、例えば、紫外線、レーザー線、α線、β線、γ線、X線、電子線などがあげられるが、制御性および取り扱い性の良さ、コストの点から紫外線が好適に用いられる。より好ましくは、波長200〜400nmの紫外線が用いられる。紫外線は、高圧水銀灯、マイクロ波励起型ランプ、ケミカルランプなどの適宜光源を用いて照射することができる。なお、放射線として紫外線を用いる場合にはアクリル粘着剤に光重合開始剤を添加する。
【0049】
光重合開始剤としては、放射線反応性成分の種類に応じ、その重合反応の引金となり得る適当な波長の紫外線を照射することによりラジカルもしくはカチオンを生成する物質であればよい。
【0050】
光ラジカル重合開始剤として、たとえば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、o−ベンゾイル安息香酸メチル−p−ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、α−メチルベンゾイン等のベンゾイン類、ベンジルジメチルケタール、トリクロルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン等のアセトフェノン類、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−ヒドロキシ−4'−イソプロピルー2−メチルプロピオフェノン等のプロピオフェノン類、ベンゾフェノン、メチルベンゾフェノン、p−クロルベンゾフェノン、p−ジメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類、2−クロルチオキサントン、2―エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−(エトキシ)−フェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド類、ベンジル、ジベンゾスベロン、α−アシルオキシムエステルなどがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0051】
光カチオン重合開始剤として、たとえば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩等のオニウム塩や、鉄−アレン錯体、チタノセン錯体、アリールシラノール−アルミニウム錯体などの有機金属錯体類、ニトロベンジルエステル、スルホン酸誘導体、リン酸エステル、フェノールスルホン酸エステル、ジアゾナフトキノン、N−ヒドロキシイミドスルホナートなどがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。光重合開始剤は、アクリル系ポリマー100重量部に対し、通常0.1〜1 0重量部配合し、0.2〜7重量部の範囲で配合するのが好ましい。
【0052】
さらにアミン類などの光開始重合助剤を併用することも可能である。前記光開始助剤としては、たとえば、2−ジメチルアミノエチルベンゾエート、ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステルなどがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。重合開始助剤は、(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対し、0.05〜10重量部配合するのが好ましく、0.1〜7重量部の範囲で配合するのがより好ましい。
【0053】
本発明においては、上記架橋剤による架橋反応または放射線照射による架橋処理等により、粘着剤層の溶剤不溶分を40〜90%、好ましくは50〜85%となるように調整することが好ましい。溶剤不溶分をこの範囲とすることで、粘着剤層に適度な凝集力を与えることができ、発泡部材の打ち抜き加工時に発泡部材がずれることがなく、また剥離時に糊残りすることもない。溶剤不溶分が40%未満では粘着剤組成物の凝集力が小さくなって、十分な保持性が得られず、また糊残りの原因となる傾向がある。一方、溶剤不溶分が90%を越えると、ポリマーの凝集力が大きく、流動性が低下し、発泡部材への濡れが不十分となって十分な接着力が得られない。
【0054】
なお粘着剤層の溶剤不溶分は、以下の方法で求めることができる。すなわち、粘着剤層の重量W1(g)(約0.1g)を採取・秤量し、次いで前記粘着剤層を微孔性テトラフルオロエチレン膜『NTF1121』(日東電工社製、厚さ70μm、公称孔径0.1μm、気孔率68%)に包み(膜重量をW2(g))、約50mlの酢酸エチル中に約23℃下で7日間浸漬し、その後、前記粘着剤層を取り出し、130℃で2時間乾燥し、得られた粘着剤層と膜の重量W3(g)を測定した。このW1、W2、およびW3を上記の式に当てはめることにより、溶剤不溶分(重量%)を求める。
【0055】
なお、本発明における粘着剤層の溶剤不溶分とは、下記の式で導出される値を言う。
【0056】
溶剤不溶分(重量%)=[(W3−W2)/W1]×100(重量%)
1:処理前の粘着剤層の乾燥重量(g)
2:膜重量(g)
3:処理後の粘着剤層と膜の乾燥重量(g)
さらに本発明の発泡部材用キャリアテープに用いられる粘着剤組成物には、従来公知の各種の粘着付与剤や表面潤滑剤、レベリング剤、酸化防止剤、腐食防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、シランカップリング剤、無機または有機の充填剤、金属粉、顔料などの粉体、粒子状、箔状物などの従来公知の各種の添加剤を使用する用途に応じて適宜添加することが出来る。
【0057】
本発明の発泡部材用キャリアテープは、前記粘着剤組成物からなる粘着剤層を支持体の少なくとも片面に設けてなるものである。その際、粘着剤組成物の塗布後に加熱等により架橋させるのが一般的であるが、架橋後の粘着剤組成物からなる粘着剤層を支持フィルム等に転写することも可能である。
【0058】
支持体上に粘着剤層を形成する方法は特に問わないが、たとえば、前記粘着剤組成物を支持体に塗布し、重合溶剤等を乾燥除去して粘着剤層を支持体に形成することにより作製される。その後、粘着剤層の成分移行の調整や架橋反応の調整などを目的として養生をおこなってもよい。また、粘着剤組成物を支持体上に塗布して粘着シート類を作製する際には、支持体上に均一に塗布できるよう、該組成物中に重合溶剤以外の一種以上の溶剤を新たに加えてもよい。
【0059】
上述のように任意成分とする光重合開始剤を添加した場合において、前記粘着剤組成物
を、支持体の片面または両面に塗工した後、光照射することにより粘着剤層を得ることができる。通常は、波長300〜400nmにおける照度が1〜200mW/cm2である紫外線を、光量400〜4000mJ/cm2程度照射して光重合させることにより粘着シート類が得られる。
【0060】
本発明においては、前記粘着剤層の厚みが通常5〜100μm、好ましくは10〜50μm程度となるように支持体の片面または両面に塗布形成し、シート状やテープ状などの形態としたものである。粘着剤層の厚みが5μm未満では、発泡部材に対して発泡部材への濡れが不十分となって十分な接着力が得にくいことがある。一方、厚みが100μmを越えると、粘着層が厚すぎて切れ性が悪く、加工性が低下する場合がる。
【0061】
本発明においては、粘着剤組成物を支持体上に塗布形成する方法としては一般的な粘着テープの製造に用いられる公知の方法が用いられる。具体的には、たとえば、ロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、エアーナイフコート法などがあげられる。
【0062】
本発明の発泡部材用キャリアテープを構成する支持体は、耐熱性及び耐溶剤性を有すると共に可とう性を有する樹脂フィルムであることが好ましい。支持フィルムが可とう性を有することにより、ロールコーターなどによって粘着剤組成物を塗布することができ、ロール状に巻き取ることができる。
【0063】
本発明においては用いることができる支持体としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・エチルアクリレート共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体などのポリオレフィンフィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステルフィルム、ポリアクリレートフィルム、ポリスチレンフィルム、ナイロン6、ナイロン6,6、部分芳香族ポリアミドなどのポリアミドフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリカーボネートフィルムなどがあげられる。
【0064】
前記支持体の厚みは、通常5〜200μm、好ましくは10〜100μm程度である。支持体には、必要に応じて、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系若しくは脂肪酸アミド系の離型剤、シリカ粉等による離型および防汚処理や酸処理、アルカリ処理、プライマー処理、コロナ処理、プラズマ処理、紫外線処理などの易接着処理をすることもできる。
【0065】
本発明の発泡部材用キャリアテープは、必要に応じて粘着面を保護する目的で粘着剤層表面に剥離ライナーを貼り合わせることが可能である。剥離ライナーを構成する基材としては紙やプラスチックフィルムがあるが、表面平滑性に優れる点からプラスチックフィルムが好適に用いられる。そのフィルムとしては、上記粘着剤層を保護し得るフィルムであれば特に限定されず、たとえば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフイルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルムなどがあげられる。
【0066】
次に本発明にかかる発泡部材搬送体について、図面をもって説明する。
【0067】
本発明の発泡部材搬送体は、図2(a)に示すとおり支持体(11)上に粘着剤層(12)が設けられたキャリアテープ(1)の粘着剤層(12)を介して発泡部材(2)(この場合発泡構造体(21)と同一)が貼着されている構成である。
【0068】
また別の形態として、図2(b)に示すとおり、発泡部材(2)が発泡構造体(21)に粘着剤層(22)を積層している構成であって、当該発泡部材(2)がキャリアテープ(1)の粘着剤層(12)を介して貼着されている。このように発泡部材(2)に他の粘着剤層を設けることにより、目的とする製品部材に対して粘着剤層により固定できるため好ましい。
【0069】
また別の形態として、図2(c)に示すとおり、発泡部材(2)が発泡構造体(21)に粘着剤層(22)および剥離ライナー(23)を積層している構成であって、当該発泡部材(2)がキャリアテープ(1)の粘着剤層(12)を介して貼着されている。このように粘着剤層(22)を剥離ライナー(23)で保護することにより、搬送中に粘着剤層(22)が保護されるので好ましい。
【0070】
特に図2(c)に図示した構成の場合、剥離ライナー(23)を粘着剤層(22)から剥離する際の剥離力より、発泡部材(2)をキャリアテープ(1)の粘着剤層(12)から剥離する際の剥離力のほうが大きい事が好ましい。キャリアテープ(1)からの剥離力のほうが小さい場合、剥離ライナー(23)を剥離する際に、発泡部材(2)が粘着剤層(12)から剥離する場合がある。
【0071】
このような発泡部材搬送体は、テープ状の如く長尺物とすることができ、発泡部材用キャリアテープ(1)上に所定間隔で発泡部材(2)を設けることができる(図2(d))。
【0072】
本発明において、発泡部材(2)の粘着剤層(12)と接しない他面に設けられる粘着剤層(22)は、従来周知のアクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、フッ素系粘着剤、シリコーン系粘着剤等をその目的、対象物に応じて使用することができる。また粘着剤層(22)は、支持体を含まない、いわゆる基材レスの粘着剤層であっても良いが、加工のし易さから不織布やプラスチックフィルムを基材として含む両面粘着テープであることが好ましい。
【0073】
本発明の発泡部材用キャリアテープは、前述のとおり発泡部材に対し搬送・加工時には保持するに十分な接着力を発揮し、一方剥離時には発泡部材の表面を破壊することなく容易に剥離できる程度の接着力を有することを特徴とする。このような搬送・加工時に発泡部材を保持する挙動は低速での剥離現象であり、一方キャリアテープから発泡部材を剥離する挙動は高速での剥離現象である。従って、本発明において接着特性を評価する場合には、低速および高速での剥離挙動を評価することが必要となる。
【0074】
本発明において低速剥離時(引張り速度0.3m/min)の接着力は、0.5N/20mm以上、好ましくは0.6N/20mm以上(通常5N/20mm以下)である。低速での接着力が0.5N/20mm未満では、打ち抜き加工時にずれが発生したり、搬送時に発泡部材が脱落する場合がある。
【0075】
一方高速剥離時(引張り速度10m/min)においては、発泡部材の表面を破壊することなく容易に剥離できること(界面剥離)が必要であり、発泡部材を破壊しなければ接着力は特に限定されないが、一般的には5.0N/20mm以下、好ましくは3.0N/20mm以下(通常0.5N/20mm以上)である。
【0076】
このような発泡部材搬送体において使用される発泡部材は、従来公知の発泡構造体を用いることができるが、特に画像表示装置やHDDの緩衝や防音、防塵のために用いられる発泡部材として使用する場合は、平均気泡径が0.1〜500μmである発泡構造体が好適に用いられる。平均気泡径は、500μm以下、好ましくは300μm以下、更に好ましくは200μm以下とすることで、発泡構造体の形状維持性が確保され、細幅、薄層の発泡構造体であっても加工が容易となる。また平均気泡径を0.1μm以上、好ましくは10μm以上とすることで、クッション性を付与することができる。また気泡構造は、従来公知の独立気泡、連続気泡、半独半連気泡構造の発泡体を使用できる。
【0077】
上記のような内部に気泡を有する発泡構造体を形成する方法として、一般的には物理発泡法及び化学発泡法が行われている。物理発泡とは、炭化水素系あるいはクロロフルオロカーボン系の低沸点液体をポリマーに含浸させた後、ポリマーを加熱することで、内部に含浸させた低沸点液体をガス化させ、これを駆動力としてポリマーを発泡させる手法である。また化学発泡とは、ポリマーに熱分解型発泡剤を添加した樹脂組成物を加熱し、該分解型発泡剤の分解により発生したガスにより気泡形成を行う手法である。
【0078】
このような発泡構造体の製造には、ゴム系ポリマー、加硫剤、発泡剤、加硫促進剤、発泡助剤等を含む混和物を、加熱により加硫発泡することで作成することができる。
【0079】
ゴム系ポリマーとしては、特に限定はなく、従来に準じた適宜なものを用いることができ、例えばエチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)やエチレン・プロピレンゴム、エチレン・プロピレンターポリマーやシリコーン系ゴム、フッ素系ゴムやアクリル系ゴム、ポリウレタン系ゴムやポリアミド系ゴム、天然ゴムやポリイソブチレン、ポリイソプレンやクロロプレンゴム、ブチルゴムやニトリルブチルゴム、スチレン・ブタジエンゴムやスチレン・ブタジエン・スチレンゴム、スチレン・イソプレン・スチレンゴムやスチレン・エチレン・ブタジエンゴム、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレンゴムやスチレン・イソプレン・プロピレン・スチレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンやブテン−1の如きα−オレフィン・ジシクロペンタジエンやエチリデンノルボルネンの如き非共役二重結合を有する環状又は非環状のポリエンを成分とするゴム系共重合体などがあげられる。実用性等の点よりは、EPDMが好ましく用いうる。
【0080】
加硫剤としても特に限定はなく、従来に準じた適宜なものを用いることができ、例えば硫黄、硫黄化合物類、セレン、酸化マグネシウム、一酸化鉛、酸化亜鉛、有機過酸化物類、ポリアミン類、オキシム類(例えばp−キノンジオキシム、p,p´−ジベンゾイルキノンジオキシムなど)、ニトロソ化合物類(例えばp−ジニトロソベンジン)、樹脂類(例えばアルキルフェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド縮合物など)、アンモニウム塩類(例えば安息香酸アンモニウム)などがあげられる。
【0081】
これらの加硫剤は、1種または2種以上を適宜選択して用いる事ができ、得られたゴム発泡体の加硫性や発泡性に起因する耐久性等の物性などの点よりは、硫黄や硫黄化合物類、特に硫黄が好ましく用いうる。また加硫剤の使用量は、その種類に基づく加硫効率などに応じて適宜に決定することができるが、例えば硫黄や硫黄化合物類の場合、ゴム系ポリマー100重量部あたり通例、0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部が用いられる。
【0082】
また発泡剤としては、特に制限はないが、例えば無機系発泡剤や有機系発泡剤が用いられる。
【0083】
無機系発泡剤としては、例えば炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、亜硝酸アンモニウム、水素化ホウ素ナトリウム、アジド類などが用いられる。また有機系発泡剤としては、例えばアゾ系化合物(例えばアゾビスイソブチロニトリル、アゾジカルボン酸アミド(ADCA)、バリウムアゾジカルボキシレートなど)、フッ化アルカン(例えばトリクロロモノフルオロメタン、ジクロロモノフルオロメタンなど)、ヒドラジン系化合物(例えばパラトルエンスルホニルヒドラジド、ジフェニルスルホン−3,3´−ジスルホニルヒドラジド、4,4´−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、など)、セミカルバジド系化合物(例えば、p−トルイレンスルホニルセミカルバジド、4,4´−オキシビス(ベンゼンスルホニルセミカルバジド)など)、トリアゾール系化合物(例えば5−モルホリル−1,2,3,4−チアトリアゾール)、N−ニトロソ系化合物(N,N´−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N´−ジメチル−N,N´−ジニトロソテレフタルアミド)などが用いられる。
【0084】
これらの発泡剤は、1種または2種以上を適宜選択して用いる事ができ、得られるゴム発泡体の発泡性に起因する物性などの観点から、好ましくはアゾ系化合物やN−ニトロソ系化合物などの有機系発泡剤が用いられる。また発泡剤の配合割合は、目的とする発泡体の物性などに応じて適宜に決定することができ、一般にはゴム系ポリマー100重量部あたり0.1〜100重量部、好ましくは0.5〜50重量部、更に好ましくは1〜30重量部である。
【0085】
またこのゴム発泡体においては、加硫を促進すべく加硫促進剤や良好な発泡を確保すべく発泡助剤を配合することが好ましい。
【0086】
加硫促進剤としては、例えばジチオカルバミン酸類(例えばジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛など)、チアアゾール類(例えば2−メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィドなど)、グアニジン類(例えばジフェニルグアニジン、ジーo−トリルグアニジンなど)、スルフェンアミド類(例えばベンゾチアジル−2−ジエチルスルフェンアミド、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミドなど)、チウラム類(例えばテトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィドなど)、キサントゲン酸類(例えばイソプロピルキサントゲン酸ナトリウム、イソプロピルキサントゲン酸亜鉛など)、アルデヒドアンモニア類(例えばアセトアルデヒドアンモニア、ヘキサメチレンテトラミンなど)、アルデヒドアミン類(例えばn−ブチルアルデヒドアニリン、ブチルアルデヒドモノブチルアミンなど)、チオウレア類(例えばジエチルチオウレア、トリメチルチオウレアなど)が用いられる。このような加硫促進剤は、1種または2種以上を適宜選択して用いる事ができ、例えば加硫速度などの観点から、ジチオカルバミン酸類とチアゾ−ル類とを併用することが好ましい。
【0087】
また加硫促進剤の配合割合は、耐ブルーム性、加硫速度などの観点から、例えばゴム系ポリマー100重量部に対して0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部である。
【0088】
なお加硫促進剤とは反対に、成形加工性の調節などを目的として、例えば有機酸(例えば無水フタル酸、安息香酸、サリチル酸など)やアミン類(例えばN−ニトロソ−ジフェニルアミン、N−ニトロソ−フェニル−β−ナフチルアミンなど)などの加硫遅延剤を、適宜配合してもよい。
【0089】
発泡助剤としては、例えば尿素系化合物、サリチル酸系化合物、安息香酸系化合物などが用いられる。これらの発泡助剤は、1種または2種以上を適宜選択して用いる事ができ、好ましくは加硫に対する影響が少なく、かつ低コストであるなどの観点から、尿素系化合物が用いられる。また発泡助剤の配合割合は、例えばゴム系ポリマー100重量部に対して1〜15重量部、好ましくは2〜10重量部、さらに好ましくは3〜8重量部である。
【0090】
さらに、このゴム発泡体においては、その用途に応じて充填剤、加工油、滑剤などを配合することが好ましく、また、例えば可塑剤、難燃剤、老化防止剤、酸化防止剤、顔料、着色剤、防かび剤などの公知の添加剤を適宜配合してもよい。
【0091】
充填剤としては、例えば亜鉛華、カーボンブラック、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸ないしその塩類、タルク、雲母、ベントナイト、シリカ、アルミナ、アルミニウムシリケート、アセチレンブラック、アルミニウム粉などが用いられる。これら充填剤は、1種または2種以上を適宜選択して用いる事ができ、亜鉛華は安定剤としても作用し、またカーボンブラックは補強材としても作用することから、好ましく用いられる。また一般的には、炭酸カルシウムが賞用される。充填材の配合割合は、例えばゴム系ポリマー100重量部に対して80〜200重量部、好ましくは10〜180重量部である。
【0092】
加工油としては、パラフィン系オイルや石油系オイルなどが用いられ、好ましくはプロセスオイルが用いられる。加工油の配合割合は、例えばゴム系ポリマー100重量部に対して10〜60重量部、好ましくは30〜50重量部である。加工油を添加することで、混和物の混練がしやすくなり、また発泡しやすくなる。
【0093】
滑剤としては、例えばステアリン酸やそのエステル類などが用いられ、その配合割合は、例えばゴム系ポリマー100重量部に対して1〜5重量部、好ましくは2〜4重量部である。滑剤を添加することで、例えば混練時にロールに付着しにくくなり、加工性を向上させることができる。
【0094】
さらに可塑剤としては、例えばパラフィン類(例えば塩素化パラフィン)、ワックス類、ナフテン類、アロマ類、アスファルト類、乾燥油類(例えばアマニ油)、動植物油類、低分子量ポリマー類、フタル酸エステル類、リン酸エステル類、アルキルスルホン酸エステル類、粘着付与剤などが用いられる。可塑剤を添加することで、混和物が柔らかくなり発泡しやすくなる。
【0095】
また難燃剤としては、例えば水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウムなどが用いられる。
【0096】
さらに発泡構造体においては、その目的および用途に応じて非ゴム系ポリマーを適宜配合してもよく、例えばアクリル系ポリマー(例えばポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル)、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリアミド、ポリエステル、塩素化ポリエチレン、ウレタン系ポリマー、スチレン系ポリマー、シリコーン系ポリマー、エポキシ系樹脂などが用いられる。
【0097】
これらの非ゴム系ポリマーは、その目的および用途に応じて1種または2種以上を適宜選択して用いる事ができ、その配合割合は、例えばゴム系ポリマーの50重量%以下、好ましくは30重量%以下、更に好ましくは15重量%以下である。
【0098】
本発明の発泡部材を構成する発泡構造体の混和物の調製は、まずゴム系ポリマー、加硫助剤、充填剤、加工油等の配合成分を、例えばニーダやミキシングロール等の混練機を介し混練することによって混和物を調整する。なおこの混練においては、適宜加熱してもよい。次いでこの混和物に、さらに加硫剤、発泡剤および発泡助剤を適宜選択して配合し、これをミキシングロールなどを用いてさらに混練した後に、加熱すればよい。
【0099】
発泡構造体の形成は、上記した混和物を加熱して加硫発泡処理することにより行いうるが、その形成に際しては必要に応じ混和物を例えばシート等の所定の形態に成形して、その成形体を加熱処理して加硫発泡体とすることもできる。その場合、成形体は、適宜な方式にて任意な形態に成形したものであってよく、その形態について特に限定はない。
【0100】
従って加硫発泡処理前の成形体は、混和物を例えばミキシングロールやカレンダーロールや押出成形等による適宜な方式でシート状やその他の形態に成形したものであってもよいし、所定の型を介して射出成形やプレス成形等による適宜な方式で凹凸等を有する所定の形態に成形したものなどであってもよい。
【0101】
上記した加硫発泡処理は、用いた加硫剤や発泡剤などによる加硫開始温度や発泡温度などにより従来に準じた適宜な条件で行うことができる。一般的な加硫発泡温度は、約200℃以下、好ましくは120〜180℃である。かかる加硫発泡処理で通例、混和物が軟化して発泡剤が分解し発泡構造を形成しつつ加硫が進行して目的の加硫発泡体が形成される。加硫発泡処理は、発泡倍率の調節などを目的に加圧下に行うこともできる。その加圧条件は従来に準じることができる。
【0102】
また本発明においては、上記発泡構造体を得る方法として、熱可塑性樹脂に不活性ガスを高圧下で含浸させた後、減圧することにより得ることが好ましい。不活性ガスによる発泡方法は、可燃性や毒性、及びオゾン層破壊などの環境への影響が懸念される発泡剤を使用しない点で環境に配慮した方法である。また、化学発泡法では、発泡ガスの残渣が発泡体中に残存するため、特に低汚染性の要求が高い電子機器用途においては、腐食性ガスやガス中の不純物による汚染が問題となる場合があるが、不活性ガスを用いる方法ではこのような不純物のない、クリーンな発泡体を得ることができる。
【0103】
本発明においては、特に熱可塑性樹脂に高圧の不活性ガスを含浸させた後、減圧する工程を経て形成される方法、または熱可塑性ポリマーからなる未発泡成形物に高圧の不活性ガスを含浸させた後、減圧する工程を経て形成される方法、または溶融した熱可塑性樹脂に不活性ガスを加圧状態下で含浸させた後、減圧とともに成形に付して形成される方法が好ましく用いられる。
【0104】
このような不活性ガスを用いて製造される発構造泡体は、ポリオレフィン系樹脂とゴムおよび/または熱可塑性エラストマーからなるポリマー成分とパウダー粒子から構成される発泡構造体組成物からなることが好ましい。
【0105】
発泡構造体の主体となるポリマー成分には、ポリオレフィン系樹脂とゴムおよび/または熱可塑性エラストマーを含む。ゴムおよび/または熱可塑性エラストマー成分の量は、前記ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、10〜150重量部、好ましくは30〜100重量部とするのが望ましい。ゴムおよび/または熱可塑性エラストマー成分の量が10重量部未満では発泡体としてのクッション性が低下しやすく、150重量部を超えると発泡時にガスが抜けやすくなるため高発泡体を得難い。
【0106】
前記ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、分子量分布が広く且つ高分子量側にショルダーを持つタイプの樹脂、微架橋タイプの樹脂、長鎖分岐タイプの樹脂などが挙げられる。このようなタイプのポリオレフィン系樹脂は、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンとプロピレンとの共重合体、エチレン又はプロピレンと他のα−オレフィンとの共重合体、エチレンと酢酸ビニル、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、ビニルアルコール等との共重合体、これらの混合物などの何れでもよい。前記「他のα−オレフィン」としては、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチルペンテン−1等が例示できる。また、共重合体はランダム共重合体及びブロック共重合体の何れであってもよい。
【0107】
前記ゴムあるいは熱可塑性エラストマー成分としては、発泡可能なものであれば特に制限はなく、例えば、天然ゴム、ポリイソブチレン、ポリイソプレン、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ニトリルブチルゴムなどの天然又は合成ゴム;エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリブテン、塩素化ポリエチレンなどのオレフィン系エラストマー;スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体、及びそれらの水素添加物などのスチレン系エラストマー;ポリエステル系エラストマー;ポリアミド系エラストマー;ポリウレタン系エラストマーなどの各種熱可塑性エラストマーが挙げられる。これらのゴムあるいは熱可塑性エラストマー成分は単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
【0108】
本発明においては、前記ゴムあるいは熱可塑性エラストマー成分として、熱可塑性のオレフィン系エラストマーが好適に用いられる。オレフィン系エラストマーは、オレフィン成分とエチレン−プロピレンゴムがミクロ相分離した構造を有したエラストマーであり、前記ポリオレフィン系樹脂との相溶性が良好である。
【0109】
前記ポリオレフィン系樹脂とゴムおよび/または可塑性エラストマーとの混合物の混合比率は、例えば、前者/後者=1/99〜99/1程度(好ましくは10/90〜90/10程度、さらに好ましくは20/80〜80/20程度)である。
【0110】
本発明においては、さらにパウダー粒子を含む。パウダー粒子は、その主な目的として発泡成形時の核剤として機能するものであり、例えばタルク、シリカ、アルミナ、ゼオライト、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化チタン、水酸化アルミニウム等を用いる事ができる。これらパウダー粒子の粒径は、0.1〜10μm程度のものが好ましく、パウダー粒子の粒径が0.1μm未満では核剤として十分機能しない場合があり、粒径が10μmを超えると発泡成形時にガス抜けの原因となる場合があり好ましくない。
【0111】
前記パウダー粒子は、ポリマー成分100重量部に対し5〜150重量部、好ましくは10〜130重量部含有することが望ましい。パウダー粒子が5重量部未満では均一な発泡体を得がたく、150重量部を超えると発泡構造体用組成物としての粘度が著しく上昇するとともに、発泡成形時にガス抜けが生じ発泡特性を損なう恐れがある。
【0112】
また発泡構造体は熱可塑性樹脂で構成されているため燃えやすいという欠点を有している。そのため、特に電子機器用途など難燃性の付与が不可欠な用途には、パウダー粒子として各種の難燃剤を配合することが好ましい。難燃剤としては従来周知の臭素系樹脂や塩素系樹脂、リン系、アンチモン系などの難燃剤を用いる事ができるが、塩素系や臭素系などの難燃剤は、燃焼時に人体に対して有害で機器類に対して腐食性を有するガスが発生する、またリン系やアンチモン系の難燃剤においても有害性や爆発性などの問題があるため、本発明においては難燃剤としてノンハロゲン−ノンアンチモン系である金属水酸化物を無機難燃剤として添加することが好ましい。このような無機難燃剤としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム・酸化ニッケルの水和物、酸化マグネシウム・酸化亜鉛の水和物等が特に好ましく用いられる。このような水和金属化合物は、表面処理されていてもよい。難燃剤は単独で又は2種以上混合して使用することができる。
【0113】
このような難燃剤の含有量は、発泡構造体用組成物全体の10〜70重量%程度、好ましくは25〜65重量%程度である。この含有量が少なすぎると難燃化効果が小さくなり、逆に多すぎると、高発泡の樹脂発泡体が得られ難くなる。
【0114】
前記発泡構造体用組成物は、必要に応じて添加剤を添加してもよい。添加剤の種類は特に限定されず、発泡成形に通常使用される各種添加剤を用いることができる。該添加剤として、例えば、結晶核剤、可塑剤、滑剤、着色剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤等が挙げられる。添加剤の添加量は、気泡の形成等を損なわない範囲で適宜選択でき、通常の熱可塑性樹脂の成形に用いられる添加量を採用できる。
【0115】
本発明において、高圧ガスとしては高圧下で上記ポリオレフィン系樹脂やゴム又は熱可塑性エラストマーに含浸するものであれば特に制限されず、例えば、二酸化炭素、窒素、空気等が挙げられる。これらの高圧ガスは、混合して使用してもよい。これらのなかでも、発泡体の素材として用いるポリオレフィン系樹脂やゴム又は熱可塑性エラストマーへの含浸量が多く、含浸速度が速い点から二酸化炭素の使用が好ましい。さらに、樹脂中への含浸速度を速めるという観点から、前記高圧ガス(例えば、二酸化炭素)は超臨界状態であることが好ましい。なお、二酸化炭素の臨界温度は31℃、臨界圧力は7.4MPaである。超臨界状態にあるガス(超臨界流体)を用いると、樹脂への溶解度が増し高濃度の混入が可能であるとともに、急激な圧力降下時に高濃度なため気泡核の発生が多くなり、その気泡核が成長してできる気泡の密度が気孔率が同じであっても他の状態の場合より大きくなるため、微細な気泡を得ることができる。
【0116】
前記発泡構造体の製造方法としては、特に限定されず、バッチ方式、連続方式等の何れの方式で行ってもよい。
【0117】
発泡剤として高圧ガスを用い、バッチ方式で発泡構造体を製造する例を以下に示す。まず、前記ポリオレフィン系樹脂とゴムおよび/または熱可塑性オレフィン系エラストマーからなるポリマー成分と、パウダー粒子を含む発泡構造体用組成物を単軸押出機、二軸押出機等の押出機を使用して押し出すことにより、発泡構造体成形用樹脂シートを作製する。あるいは、前記ポリオレフィン系樹脂とゴムおよび/または熱可塑性エラストマー成分とパウダー粒子を、ローラー、カム、ニーダ、バンバリ型等の羽根を設けた混錬機を使用して均一に混錬しておき、熱板のプレスなどを用いて所定の厚みにプレス成形することにより、発泡構造体成形用樹脂シートを形成する。こうして得られた未発泡シートを高圧容器中に入れて、二酸化炭素、窒素、空気などからなる高圧ガスを注入し、前記未発泡シート中に高圧ガスを含浸させる。十分に高圧ガスを含浸させた時点で圧力を解放し(通常、大気圧まで)、基材樹脂中に気泡核を発生させる。気泡核はそのまま室温で成長させてもよいが、場合によっては加熱することによって成長させてもよい。加熱の方法としては、ウォーターバス、オイルバス、熱ロール、熱風オーブン、遠赤外線、近赤外線、マイクロ波などの公知乃至慣用の方法を採用できる。このようにして気泡を成長させた後、冷水などにより急激に冷却し、形状を固定化することによりポリオレフィン系樹脂発泡体を得ることができる。なお、発泡に供する成形体はシート状物に限らず、用途に応じて種々の形状のものを使用できる。また、発泡に供する成形体は押出成形、プレス成形のほか、射出成形等の他の成形法により作製することもできる。
【0118】
発泡剤として高圧ガスを用い、連続方式で発泡構造体を製造する例を以下に示す。前記ポリオレフィン系樹脂とゴムおよび/または熱可塑性オレフィン系エラストマーからなるポリマー成分と、パウダー粒子を含む発泡構造体用組成物を単軸押出機、二軸押出機等の押出機を使用して混練しながら、高圧ガスを注入し、十分に高圧ガスを樹脂中に含浸させた後、押し出すことにより圧力を解放し(通常、大気圧まで)、場合によっては加熱することによって気泡を成長させる。気泡を成長させた後、冷水などにより急激に冷却し、形状を固定化することにより発泡構造体を得ることができる。なお、発泡成形は、押出機のほか射出成形機などを用いて行うこともできる。発泡体の形状は特に限定されず、シート状、角柱状等の何れであってもよい。
【0119】
ガスを発泡に供する成形体又は樹脂混練物に含浸させるときの圧力は、ガスの種類や操作性等を考慮して適宜選択できるが、例えば二酸化炭素などを用いる場合には、例えば6MPa以上(例えば6〜100MPa程度)、好ましくは8MPa以上(例えば8〜100MPa程度)である。圧力が6MPaより低い場合には、発泡時の気泡成長が著しく、気泡径が大きくなりすぎて防音効果が低下しやすい。これは、圧力が低いとガスの含浸量が高圧時に比べて相対的に少なく、気泡核形成速度が低下して形成される気泡核数が少なくなるため、1気泡あたりのガス量が逆に増えて気泡径が極端に大きくなるからである。また、6MPaより低い圧力領域では、含浸圧力を少し変化させるだけで気泡径、気泡密度が大きく変わるため、気泡径及び気泡密度の制御が困難になりやすい。
【0120】
ガス含浸工程における温度は、用いる不活性ガスや熱可塑性ポリマーの種類等によって異なり、広い範囲で選択できるが、操作性等を考慮した場合、例えば10〜350℃程度である。例えば、シート状などの未発泡成形物に不活性ガスを含浸させる場合の含浸温度は、バッチ式では10〜200℃程度、好ましくは40〜200℃程度である。また、ガスを含浸させた溶融ポリマーを押し出して発泡と成形とを同時に行う場合の含浸温度は、連続式では60〜350℃程度が一般的である。なお、不活性ガスとして二酸化炭素を用いる場合には、超臨界状態を保持するため、含浸時の温度は32℃以上、特に40℃以上であるのが好ましい。
【0121】
前記減圧工程において、減圧速度は、特に限定されないが、均一な微細気泡を得るため、好ましくは5〜300MPa/秒程度である。また、前記加熱工程における加熱温度は、例えば、40〜250℃程度、好ましくは60〜250℃程度である。
【0122】
また発泡構造体の製造方法においては、高発泡倍率の発泡体を製造することが出来るので、厚い発泡体を製造することが出来るという利点を有する。すなわち、連続方式で発泡構造体を製造する場合、前記発泡構造体用組成物を混練しながら、高圧ガスを注入し、十分に高圧ガスを樹脂中に含浸させた後、押出すことにより圧力を解放するが、この際押出し機内部での圧力を保持するためには、押出し機先端のダイスのギャップを出来るだけ狭く(通常0.1〜1.0mm)する必要がある。従って厚い発泡体を得るためには、狭いギャップを通して押出された発泡体組成物を高い倍率で発泡させなければならないが、従来は高い発泡倍率が得られないことから、形成される発泡体の厚みも薄いもの(例えば0.5〜2.0mm程度)に限定されてしまっていた。
【0123】
これに対して本発明の発泡体は、最終的な厚みで0.50〜5.00mmの発泡体を連続して得ることが可能である。このような厚い発泡体を得るためには、発泡体の相対密度(発泡後の密度/未発泡状態での密度)が0.02〜0.3、好ましくは0.05〜0.25であることが望ましい。相対密度が0.3を超えると発泡が不十分であり、また0.02未満では発泡体の強度が著しく低下する場合があり好ましくない。
【0124】
前記方法により製造される発泡構造体の寸法は任意であり、目的とする用途に応じて適宜に決定することができる。シート等の場合、その厚さは100mm以下、好ましくは1μm〜80mm、特に10μm〜50mmが一般的である。
【0125】
また発泡構造体の発泡倍率(発泡前後の密度比)は、使用目的などに応じて適宜に決定される。一般には密度に基づいて0.5g/cm3以下、好ましくは0.20g/cm3以下、更に好ましくは0.15g/cm3以下とされる。かかる密度は、上記した発泡剤の配合量や加硫発泡の処理時間や温度等、また含浸させる不活性ガスの量や圧力により発泡倍率などを調節することにより制御することができる。また発泡倍率の調節等を介して加硫発泡体の独立や連続、それらの混在等の発泡構造を制御することができる。
【実施例】
【0126】
次に本発明をさらに具体的に説明するため、実施例および比較例を示す。本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。なお、以下において部とあるのは、重量部を意味するものとする。なお、実施例等における評価項目は下記のようにして測定
を行った。
【0127】
(アクリル系ポリマーの重量平均分子量の測定)
作製したポリマーの重量平均分子量は、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)により測定した。
装置:東ソー社製、HLC−8220GPC
カラム:
サンプルカラム;東ソー社製、TSKguardcolumn Super HZ−H(1本)+TSKgel Super HZM−H(2本)
リファレンスカラム;東ソー社製、TSKgel Super H−RC(1本)
流量:0.6ml /min
サンプル注入量:10μl
カラム温度:40℃
溶離液:THF
注入試料濃度:0.2重量%
検出器:示差屈折計
なお、重量平均分子量はポリスチレン換算により算出した。
【0128】
(パラフィン系オイルの数平均分子量)
ガスクロマトグラフにより、炭素数分布で測定し、炭素数分布とその割合(%)を用いて数平均分子量を算出した。
【0129】
(溶剤不溶分)
粘着剤層の重量W1(g)(約0.1g)を採取・秤量し、次いで前記粘着剤層を微孔性テトラフルオロエチレン膜『NTF1121』(日東電工社製、厚さ70μm、公称孔径0.1μm、気孔率68%)に包み(膜重量をW2(g))、約50mlの酢酸エチル中に約23℃下で7日間浸漬し、その後、前記粘着剤層を取り出し、130℃で2時間乾燥し、得られた粘着剤層と膜の重量W3(g)を測定した。このW1、W2、およびW3を上記の式に当てはめることにより、溶剤不溶分(重量%)を求めた。
【0130】
なお、本発明における粘着剤層の溶剤不溶分とは、下記の式で導出される値を言う。
溶剤不溶分(重量%)=[(W3−W2)/W1]×100(重量%)
1:処理前の粘着剤層の乾燥重量(g)
2:膜重量(g)
3:処理後の粘着剤層と膜の乾燥重量(g)
【0131】
(接着力)
23±2℃、50±5RH%の雰囲気にて各測定材料を24時間以上保管し(前処理条件;参考JIS Z 0237)、30mm×120mmの発泡部材用キャリアテープに20mm×120mmの発泡部材を2kgのローラーで一往復させる方法で圧着し、約30分放置して評価用サンプルとした。発泡部材用キャリアテープを測定時に支持板(例えば厚さ2mmのベークライト板)から浮き、剥がれがないように強粘着力用両面粘着テープ(例えば日東電工社製No.500)を介して支持板に貼り付け、発泡部材を剥離に要する力を剥離角度180度にて測定し粘着力評価とした(図3参照)。高速での接着力の評価は、高速剥離試験機(テスター産業社製)を用いて引張り速度10m/minて測定し、また低速での接着力の評価は、万能引張圧縮試験機『TCM−1kN B』(ミネベア社製)を用いて引張り速度0.3m/minをにて測定した。また剥離後の発泡部材の破壊形態を目視で確認した。
【0132】
[発泡構造体Aの作成]
ポリプロピレン(MFR0.35g/10min)45重量部、ポリオレフィン系エラストマー(MFR6g/10min、JISA硬度が79°)55重量部、難燃剤として水酸化マグネシウム(平均粒径0.7μm)120重量部を、JSW製二軸混練機にて200℃の温度で混錬した後、ストランド状に押出し、水冷後ペレット状に切断して成形した。このペレットをJSW製単軸押出機に投入し、220℃の雰囲気中、22(注入後19)MPa/cm2 の圧力でガスを注入した。ガスを十分飽和させた後、発泡に適した温度まで冷却後、ダイから押出し、発泡構造体を得た。発泡構造体の相対密度は0.12であり、そのときの発泡体の厚みは1.5mmであった。
【0133】
[アクリル系ポリマーA]
温度計、撹拌機、窒素導入管および還流冷却管を備えた反応器に、モノマーとしてアクリル酸2−エチルへキシル100 部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル5部を、溶剤として酢酸エチル100部、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.2部を配合し、60℃に調整しながら8時間重合を行った。 得られたアクリル系ポリマーAの重量平均分子量は105万であった。
【0134】
[アクリル系ポリマーB]
モノマーをアクリル酸2−エチルへキシル100 部、アクリル酸5部とした以外は、粘着剤Aと同様の処方にてアクリル系ポリマーBを作製した。得られたアクリル系ポリマーBの重量平均分子量は120万であった。
【0135】
<実施例1>
上記アクリルポリマーAを100部(固形分)にイソシアネート系架橋剤『コロネートL』(日本ポリウレタン工業社製)を0.5部(固形分)、およびジオクチル錫ジラウレート『OL−1』(東京ファインケミカル社製)を0.032部、流動パラフィン『ハイコールK−280』(カネダ社製、数平均分子量380)を30部添加し、75μmのポリエステル基材『ルミラーS10#75』(東レ社製)に乾燥後の厚さが20μmとなるように塗布乾燥し、発泡部材用キャリアテープを作成した。この時の粘着剤層の溶剤不溶分は63%であった。
【0136】
<実施例2>
上記アクリルポリマーBを100部(固形分)にエポキシ系架橋剤『テトラッドC』(三菱瓦斯化学社製)を0.8部、および流動パラフィン『ハイコールK−280』(カネダ社製、数平均分子量380)を20部添加し、75μmのポリエステル基材『ルミラーS10#75』(東レ社製)に乾燥後の厚さが40μmとなるように塗布乾燥し発泡部材用キャリアテープを作成した。この時の粘着剤層の溶剤不溶分は78%であった。
【0137】
<比較例1>
実施例1において流動パラフィンを添加しなかった以外は実施例1と同様にして発泡部材用キャリアテープを作成した。この時の粘着剤層の溶剤不溶分は88%であった。
【0138】
<比較例2>
実施例1において流動パラフィンを10部添加した以外は実施例1と同様にして発泡部材用キャリアテープを作成した。この時の粘着剤層の溶剤不溶分は80%であった。
【0139】
<比較例3>
実施例1においてパラフィンオイルを50部添加した以外は実施例1と同様にして発泡部材用キャリアテープを作成した。この時の粘着剤層の溶剤不溶分は57%であった。
【0140】
<比較例4>
実施例1において流動パラフィンを『ハイコールK−140』(カネダ社製、数平均分子量250)に変えた以外は実施例1と同様にして発泡部材用キャリアテープを作成した。この時の粘着剤層の溶剤不溶分は78%であった。
【0141】
各実施例、比較例で作成した発泡部材に対し、前記発泡構造体を被着体として剥離力の測定を行った。結果を表1に示した。
【0142】
【表1】

【0143】
<実施例3>
発泡構造体の片面に日東電工社製両面粘着テープ『No.5000NS』(20mm×100mm)を2kgローラーを1往復させる方法で貼り合わせ評価用サンプルを作成した。このサンプルの両面粘着テープを貼着していない面に、実施例1で作成した発泡部材用キャリアテープに2kgローラーを1往復させる方法で貼り合わせた。室温で30分放置後、両面粘着テープの剥離ライナーを手で剥がしたところ、発泡構造体はキャリアテープから剥離することなく、剥離ライナーを除去することができた。
【0144】
<比較例6>
発泡部材用キャリアテープとして比較例3で作成したキャリアテープを用いた以外は実施例3と同様にして両面粘着テープの剥離ライナーの剥離試験を行った。その結果、剥離ライナーを剥離させる際に発泡構造体がキャリアテープ側から剥離する現象が確認された。
【0145】
この結果から明らかなように、アクリル系ポリマー100重量部に対し、数平均分子量が260以上のパラフィン系オイルを配合した発泡部材用キャリアテープでは、発泡部材を保持するのに十分な低速剥離力と、高速で剥離しても界面剥離により発泡部材を破壊しない適度な高速剥離力を有することが分かる。これに対し、パラフィン系オイルを配合していな比較例1や、所定量未満しか配合していない比較例2では、特に高速での剥離力が著しく上昇し、剥離時には発泡体表面を破壊してしまう。また数平均分子量が260未満の低分子量のパラフィン系オイルを用いた比較例4においても、比較例1、2と同様に高速での剥離時において発泡体表面の破壊が起こる。これらの場合、剥離力は発泡体表面の破壊にかかる力であって、発泡部材とキャリアテープの剥離力はそれ以上と判断される。またパラフィン系オイルを所定量以上配合した比較例3においては、高速での剥離力が著しく低下し、両面粘着テープの剥離ライナーの剥離試験では、剥離ライナーが上手く剥離できないという不具合が確認された。
【図面の簡単な説明】
【0146】
【図1】本発明の発泡部材用キャリアテープの使用例の一例を示す概略図であり、(a)(b)(c)は断面図、(b´)は上面図である。
【図2】本発明の発泡部材搬送体の一例を示す断面図および上面図である。
【図3】本発明の実施例に記載した剥離力の評価方法を示す説明図である。
【符号の説明】
【0147】
1 発泡部材用キャリアテープ
11 支持体
12 粘着剤層
2 発泡部材
21 発泡構造体
22 粘着剤層
23 剥離ライナー
3 打ち抜き刃
4 製品部材





【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡部材を搬送・加工する際に用いられる発泡部材用キャリアテープであって、支持体(11)の少なくとも片面に、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とする(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対し、数平均分子量260以上のパラフィン系オイル20〜40重量部を含む粘着剤組成物からなる粘着剤層(12)を設けたことを特徴とする発泡部材用キャリアテープ。
【請求項2】
数平均分子量260以上のパラフィン系オイルが流動パラフィンであることを特徴とする請求項1記載の発泡部材用キャリアテープ。
【請求項3】
請求項1または2のいずれかの項に記載の発泡部材用キャリアテープの粘着剤層(12)を介して発泡部材(2)が貼着されていることを特徴とする発泡部材搬送体。
【請求項4】
請求項3に記載の発泡部材搬送体であって、発泡部材(2)は粘着剤層(12)と接しない他面に粘着剤層(22)を設けていることを特徴とする発泡部材搬送体。
【請求項5】
粘着剤層(22)に剥離ライナー層(23)が積層されていることを特徴とする請求項4に記載の発泡部材搬送体。
【請求項6】
剥離ライナー層(23)を粘着剤層(22)から剥離する際の剥離力より、発泡部材(2)を粘着剤層(12)から剥離する際の剥離力のほうが大きいことを特徴とする請求項5に記載の発泡部材搬送体。
【請求項7】
発泡部材(2)が熱可塑性樹脂からなる発泡構造体(21)からなることを特徴とする請求項3〜6のいずれかの項に記載の発泡部材搬送体。
【請求項8】
発泡構造体(21)が熱可塑性樹脂に高圧の不活性ガスを含浸させた後、減圧する工程を経て形成されていることを特徴とする請求項7記載の発泡部材搬送体。
【請求項9】
発泡構造体(21)が熱可塑性樹脂からなる未発泡成形物に高圧の不活性ガスを含浸させた後、減圧する工程を経て形成されていることを特徴とする請求項7記載の発泡部材搬送体。
【請求項10】
発泡構造体(21)が溶融した熱可塑性樹脂に不活性ガスを加圧状態下で含浸させた後、減圧とともに成形に付して形成されていることを特徴とする請求項7記載の発泡部材搬送体。
【請求項11】
減圧後、さらに加熱することにより形成された発泡構造体(21)で構成されている請求項8〜10のいずれかの項に記載の発泡部材搬送体。
【請求項12】
不活性ガスが二酸化炭素である請求項8〜11のいずれかの項に記載の発泡部材搬送体。
【請求項13】
含浸時の不活性ガスが超臨界状態である請求項8〜12のいずれかの項に記載の発泡部材搬送体。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−143299(P2006−143299A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−338576(P2004−338576)
【出願日】平成16年11月24日(2004.11.24)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】