説明

発熱体

【課題】アルミ箔を包むという簡易な手法により形成できる発熱体を提供する。
【解決手段】発熱体1は、一端が第1のリード線11に、他端が第2のリード線12に接続された合成樹脂製の長手形状の筒体10と、この筒体10内に接触するように配置された複数の被覆体13と、被覆体13は、アルミ箔と多孔質部材とを有し、多孔質部材はアルミ箔で包まれ、第1のリード線11、複数の被覆体13、第2のリード線12は電気的に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発熱体に係り、特に、アルミ箔を包むという簡易な手法により形成できる発熱体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発熱体、例えば、温室用暖房装置がある(例えば、特許文献1参照)。
これは、表面に金属被膜を溶射した多孔質溶岩粒を容器内に収容して電熱体を形成し、該電熱体の両端に給電線を接続したものである。
【特許文献1】実公昭51−20999号公報(第1図、第2図参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記の発熱体(温室用暖房装置)にあっては、
溶射により多孔質溶岩粒の外表面を全体に亘って金属被膜を形成するため、大がかりとなると共に、溶射した多孔質溶岩粒を収容する容器も扁平な直方体形状であるため、溶射した多孔質溶岩粒を接触するように容器内に詰めにくく、しかも、容器が扁平な直方体形状であるため、場所を取る割には、熱効率が良くないという問題点が生じた。
【0004】
本発明は、上記の問題点を除去するようにした発熱体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発熱体は、一端が第1のリード線に、他端が第2のリード線に接続された合成樹脂製の長手形状の筒体と、この筒体内に接触するように配置された複数の被覆体と、前記被覆体は、アルミ箔と多孔質部材とを有し、前記多孔質部材は前記アルミ箔で包まれ、前記第1のリード線、前記複数の被覆体、前記第2のリード線は電気的に接続されているものである。
【0006】
また、請求項2記載の発熱体は、請求項1記載の発熱体において、第1のリード線の一端は筒体内のアルミ箔に接触し、前記第1のリード線の他端は電源端子用に供されるものであり、第2のリード線の一端は筒体内のアルミ箔に接触し、前記第2のリード線の他端は電源端子用に供されるものである。
【0007】
また、請求項3記載の発熱体は、請求項1記載の発熱体において、多孔質部材は、軽石である。
【0008】
また、請求項4記載の発熱体は、請求項1記載の発熱体において、長手形状の筒体の一端は、少なくとも、開閉自在な蓋が取り付けられ、該蓋の裏面に第1のリード線のコイル状部が取り付けられ、該コイル状部により該コイル状部に当接する被覆体が押圧されているものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発熱体によれば、被覆体を、従来の溶射ではなく、多孔質部材をアルミ箔で包むという簡易な手法により形成することができ、しかも、長手形状の筒体内に複数の被覆体を接触するように設けているため配置し易く、更に、長手形状の筒体の外表面が熱の伝達面を形成するため、効率良く熱を伝達することができる。
【0010】
また、請求項3記載の発熱体によれば、請求項1記載の発明の効果に加え、多孔質部材が軽石であるため、発熱体を軽量なものにすることができる。
【0011】
また、請求項4記載の発熱体によれば、請求項1記載の発明の効果に加え、開閉自在な蓋により筒体内の被覆体の出し入れが容易であると共に、コイル状部により該コイル状部に当接する被覆体が押圧されているため、被覆体への通電をより確実に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の発熱体の一実施例を図面を参照して説明する。
図1乃至図6において、1は発熱体で、発熱体1を農業用のヒーターとして適用した例を示している。2はビニール、3は土壌4に植えられている植物を示している。
【0013】
10は合成樹脂製の長手形状の筒体で、筒体10は一端が第1のリード線11に、他端が第2のリード線12にそれぞれ接続されている。第1のリード線11、第2のリード線12間には、商用電源からの電圧をトランス5により、例えば、12ボルト程度に変圧するようにし、第1のリード線11、後述する複数の被覆体13、第2のリード線12を電気的に接続するようにしている。
即ち、第1のリード線11の一端は筒体10内の後述するアルミ箔13aに接触し、第1のリード線11の他端は電源端子用に供されるものであり、第2のリード線12の一端は筒体10内のアルミ箔13aに接触し、第2のリード線12の他端は電源端子用に供されるようになっている。
【0014】
筒体10内には、複数の被覆体13が互いに接触するように配置されている。その結果、配置し易く、しかも、長手形状の筒体10の外表面が熱の伝達面を形成するため、効率良く熱を伝達することができる。
また、上記被覆体13は、図6(a)(b)に示すように、アルミ箔13aと多孔質部材13bとを有し、多孔質部材13bはアルミ箔13aで包まれている。このように、被覆体13を、従来の溶射ではなく、多孔質部材13bをアルミ箔13aで包むという簡易な手法により形成することができる。
多孔質部材13bは、例えば、溶岩、軽石等であり、特に、
多孔質部材13bを軽石とすれば、発熱体1を軽量なものにすることができる。
【0015】
なお、長手形状の筒体10の一端は、少なくとも、開閉自在な蓋14が取り付けられ、該蓋14の裏面に第1のリード線11のコイル状部11aが取り付けられ、コイル状部11aの弾性力により該コイル状部11aに当接する被覆体13が押圧されるようになっている。
10aは筒体10の一端に設けた雄ねじで、14aは雄ねじ
10aに螺合する蓋14の内壁に設けられた雌ねじで、雌ねじ14aを雄ねじ10aに螺合したり、螺合を解除することにより筒体10の一端を開閉するようにしている。
その結果、この発熱体1にあっては、開閉自在な蓋14により筒体10内の被覆体13の出し入れが容易であると共に、コイル状部11aにより該コイル状部11aに当接する被覆体13が押圧されているため、被覆体13への通電をより確実に行うことができる。
そして、被覆体13への通電(例えば、2A程度)により、アルミ箔13aに生じた熱の一部は多孔質部材13aに蓄熱され、アルミ箔13aに生じた熱の一部は筒体10の外表面(外表面の温度は、例えば、約37℃〜約57℃程度)より土壌4へと熱伝達されることとなる。
【0016】
なお、上述した実施例においては、発熱体1を農業用のヒーターとして適用した例を示しているが、本願発明にあっては、これに限らず、例えば、図7に示すように、床暖房としても利用することができる。
即ち、発熱体1を床パネル20の下に配置することにより行うことができる。図7に、上述した実施例(図1乃至図6)と同一部分に同一符号を付してその説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の一実施例の発熱体をビニールハウスに適用した状態の概略的断面図である。
【図2】図2は、図1の発熱体の概略的全体構成図である。
【図3】図3は、図1の単体の発熱体の概略的断面図である。
【図4】図4は、図3の筒体内に被覆体が収納される状態の概略的斜視図である。
【図5】図5は、図4の筒体と、該筒体の一端を開閉する蓋と、第1のリード線との関係を示す概略的斜視図である。
【図6】図6(a)は、図5の被覆体を分解して示す概略的分解斜視図であり、図6(b)は、図6(a)の多孔質部材をアルミ箔で包んだ状態の概略的断面図である。
【図7】図7は、図1と異なる他の実施例を示すもので、発熱体を床暖房に適用した状態の概略的断面図である。
【符号の説明】
【0018】
1 発熱体
10 筒体
11 第1のリード線
12 第2のリード線
13 被覆体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端が第1のリード線に、他端が第2のリード線に接続された合成樹脂製の長手形状の筒体と、
この筒体内に接触するように配置された複数の被覆体と、
前記被覆体は、アルミ箔と多孔質部材とを有し、前記多孔質部材は前記アルミ箔で包まれ、
前記第1のリード線、前記複数の被覆体、前記第2のリード線は電気的に接続されていることを特徴とする発熱体。
【請求項2】
第1のリード線の一端は筒体内のアルミ箔に接触し、前記第1のリード線の他端は電源端子用に供されるものであり、
第2のリード線の一端は筒体内のアルミ箔に接触し、前記第2のリード線の他端は電源端子用に供されるものであることを特徴とする発熱体。
【請求項3】
多孔質部材は、軽石であることを特徴とする請求項1記載の発熱体。
【請求項4】
長手形状の筒体の一端は、少なくとも、開閉自在な蓋が取り付けられ、該蓋の裏面に第1のリード線のコイル状部が取り付けられ、該コイル状部により該コイル状部に当接する被覆体が押圧されていることを特徴とする請求項1記載の発熱体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−26735(P2007−26735A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−203760(P2005−203760)
【出願日】平成17年7月13日(2005.7.13)
【出願人】(591116368)東海石材工業株式会社 (1)
【Fターム(参考)】