説明

発熱塗料及び発熱素子

【課題】 高温で熱効率の向上した発熱塗料及び発熱素子を得る。
【解決手段】 粉砕した竹炭と菜種油、重油等のすすからなるファインカーボンとの混合物に、灯油等の油成分と植物性のニスを加えて発熱塗料とし、これをセラミックス板上に塗布して発熱素子とする。また、セラミックの筒体10内に竹炭のカーボンとファインカーボンとを充填してその両端部を電極端子11で閉塞して発熱素子とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーボン性の発熱塗料及び発熱素子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、面状発熱体用の発熱材としてはカーボンを主材料とするものが一般的であり、本件発明者は、特願2004−137236において、シリコン系樹脂主剤と炭素粒子と硬化剤とからなる発熱素子を提案している。そして、面状発熱体を前記発熱材を耐熱絶縁性の樹脂板上に塗布することによって構成していた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述の成分からなる発熱材はシリコン系樹脂を含むため、300℃以上の高温になると燃えてしまい高温発熱材として使用できなかった。また、従来の面状発熱体は、耐熱絶縁性の樹脂上に発熱材を塗布しており、現在存在する樹脂のうち、耐熱性の最も高いものはポリイミドであり、このポリイミドも300℃以上の温度には耐えることができず、工業上の使用に限界があった。加えて、前記発熱素子は250℃以上の高温になると、樹脂板上からの剥離が生じ、通電不可能になってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の発熱塗料は、粉砕した竹炭と、ファインカーボンと,油成分からなる薄め液と、植物性のニスからなる。前記竹炭とファインカーボンの重量比は9:1が好ましい。
【0005】
また、前記竹炭とファインカーボンの粒径は0.15〜15μmであることが好ましく、更に 竹炭とファインカーボンとを加えた重量100に対して前記薄め液の重量を40〜50とし、前記ニスを150〜200とすることが好ましい。
【0006】
本発明の発熱素子は前記発熱塗料をセラミック材上に塗布することによって構成される。
【0007】
更に、本発明の発熱素子は、粉砕した竹炭とファインカーボンとを混合した混合粉末を耐熱及び絶縁性の筒体内に収納し、その筒体の両端部を電極端子で閉塞することによって構成される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の発熱塗料は、約300℃以上高温になると、薄め液としての油成分及びバインダーとしての植物性のニスは気化してカーボン成分が残る。このカーボン成分は温度に強いので、500℃以上の高温にも耐えられる。この発熱塗料をセラミック材上に塗布すれば、セラミック材は高温に耐えられるので、500℃以上が必要な工業用の用途が可能となる。前記薄め液やバインダーとしてのニスは塗料として基材に塗るためのものであり、セラミックの筒体内に2種のカーボンを詰めて筒体の両端部を電極で封鎖して通電させれば、高温用の発熱素子となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0010】
本発明に係る発熱塗料は、竹を燃焼して得た竹炭を粉砕機で0.15〜1.5μmに粉砕した竹炭のカーボンと菜種油、重油等を燃焼したときのすすからなる0.15〜1.5μmのファインカーボンと、灯油等の第4石油類第3種の油成分からなり塗り易くするための薄め液とバインダーとしての植物性のニスとからなる。前記竹炭のカーボンとファインカーボンの重量比は9:1が好ましく、これら2種類のカーボンの混合によって、発熱塗料は微弱な電流によっても発熱可能となり短時間(2〜3秒)で300℃以上に発熱可能である。
【0011】
また、両カーボンの粒径を0.15〜1.5μmのように細粒化すれば、それらの表面積が大きくなり、発熱効率が増大する。なお、前記ファインカーボンは重油のすすからなるバルカン(登録商標)と呼ばれるものが好ましい。
【0012】
なお、2種類のカーボンの混合体の重量100に対して薄め液は重量40〜50の割合で、植物性のニスは重量150〜200の割合で混ぜ合わせるのがよい。
【0013】
前記発熱塗料は、図1に示すように容器1に先ず竹炭カーボン2とファインカーボン3を9:1の割合で入れて混合体4を作り、次いで薄め液5を混合体4に対して重量0.4倍〜0.5倍入れ、最後に植物性のニス6を混合体4に対して重量1.5〜2倍入れる。この状態でもモータ7によって回転される羽根8を有する撹拌機9で高速回転され充分に混合される。このようにして生成された発熱塗料は、絶縁体、例えば低温用面状発熱体として使用される場合には、ポリエチレン(PE)樹脂板上に50μm〜1mm程度の任意の厚さに塗布され、両端に電極が付着される。また、高温用面状発熱体として使用される場合には、セラミック板上に塗布される。一般にセラミック板は500℃以上の高温に耐えるが、高温になると熱応力のために破断することがある。したがって、熱応力を逃すための空孔の多いコウジェライト等を使用すれば耐熱性が向上した面状発熱体が得られる。
【0014】
なお、前記薄め液と植物性のニスは、塗料として塗りやすくするために必要なものであるが、図2に示すような発熱素子の場合には必要としない。すなわち、セラミックの筒体10(円筒又角筒)内に前記竹炭のカーボンとファインカーボンを9:1の重量の割合で充填し、筒体10の両端部を電極端子11、11で閉塞せしめて通電すれば、高温用の発熱素子ができる。また、筒体10の変わりに図3に示すように、面状の収納体20を形成し、この収納体20内に前記2種のカーボンを充填してその上下端を電極21、21で閉塞するようにしてもよい。この収納体20は湾曲してもよく非加熱体の形状に合わせて任意の形状とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0015】
工業上高温が必要な加熱装置全般に利用可能であり、電気で加熱するため正確な高温の温度制御が必要な装置に最適である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の発熱塗料の製造方法を示す図である。
【図2】本発明の発熱素子の縦断面図である。
【図3】本発明の他の発熱素子の斜視図である。
【符号の説明】
【0017】
1…容器
4…混合体
5…薄め液
10…筒体
11…電極端子
20…収納体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉砕した竹炭と、ファインカーボンと、油成分からなる薄め液と、植物性のニスからなることを特徴とする発熱塗料。
【請求項2】
前記竹炭と、ファインカーボンの重量比は9:1であることを特徴とする請求項1記載の発熱塗料。
【請求項3】
前記竹炭とファインカーボンの粒径は0.15〜1.5μmであることを特徴とする請求項1又は2記載の発熱塗料。
【請求項4】
竹炭とファインカーボンとを加えた重量100に対して前記薄め液の重量を40〜50とし、前記ニスの重量を150〜200としたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の発熱塗料。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の発熱塗料をセラミック材に塗布したことを特徴とする発熱素子。
【請求項6】
粉砕した竹炭とファインカーボンとを混合した混合粉末を耐熱及び絶縁性の筒体内に収納し、その筒体の両端部を電極端子で閉塞したことを特徴とする発熱素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−84716(P2007−84716A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−276242(P2005−276242)
【出願日】平成17年9月22日(2005.9.22)
【出願人】(594109934)
【出願人】(598162067)
【Fターム(参考)】