説明

発芽製品の培養基なし栽培の方法及び容器

発芽製品の培養基なし栽培の方法であって、−例えば、容器内で、室内に豆又は種を収容するステップと、−前記豆を発芽させるように、湿度及び温度など、前記室内の各種条件を設定するステップと、−前記室に抑制手段を設けるステップと、−前記殻が、前記新芽が前記室から出てくる間に前記室内に保たれるように、前記抑制手段を前記豆又は前記種の殻と相互に作用させるステップの、各ステップを備える方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発芽製品の生産に関するものである。このような発芽製品の例は、例えば、もやし、アルファルファ、ビートの根の新芽、ニラネギの新芽などであるが、本発明は、これらの製品に限定されない。もやしは、例えば、通常、多孔ステンレス鋼製トレイで発芽させるリョクトウに由来するものである。発芽中に、酸素が消費されて、二酸化炭素が生成される。発芽は、したがって、熱が放出される燃焼プロセスである。それで、リョクトウは、とりわけ、生成された熱を制御して除去することができるようにステンレス鋼製トレイ内に蒔かれる。
【背景技術】
【0002】
豆又は種は、通常、ステンレス鋼トレイ内にあけられてかなり厚い層になる。発芽中、幼苗の量は増加して、かなり厚みを増した層になる。この厚みは、製品が完全に成長するまで増加する。この後、収穫が行われ、この層は、種殻及び根の除去など、更なる処理のためにトレイから掬い出される。この更なる処理は、振動トラフ内で行なうことができ、このトラフを介して、収穫された製品が導かれる。
【0003】
最後に、製品は、例えば、買い手に納入される仕切り箱に小分けしなければならない。製品を柔軟性バッグに詰め込むことも知られている。製品のこのような収穫、洗浄、及び詰め込み中に発生する損傷を避けることは不可能である。これは、製品の新鮮さ及び保存期間に悪影響を及ぼすことから不利である。
【0004】
このような発芽製品を栽培する別の方法は、米国特許第5,636,474号明細書に開示されている。上記の特許では、当該の豆は、網が間に固定された幾つかのグリッドで構成された容器内に収容される。豆は、発芽中に根が網に絡むように網の上に単層で置かれる。その後、これらの根は、下方に延びて底部グリッドに入り、一方、新芽は、上方に延びて頂部グリッド通り抜ける。したがって、発芽製品は、根を出した後に網に対して固定される。その後、新芽は、きれいな、完全に成長した製品を収穫するために頂部グリッド内で完全に発達しなければならない。上記の収穫に関連して、平坦な刃を容器に挿通して新芽を根から切り離すことができる。
【0005】
しかしながら、根は網から抜け出せないという事実にもかかわらず、芽が成長するときに、豆の殻及び/又は根の各部も押し上げられるという問題が発生することになる。これは、新芽だけが消費に適することから、あまり望ましいものではない。
【0006】
公知の容器は、更に、いわゆる成長グリッドを有し、グリッドは、グリッド内のグリッド開口部に対して位置合わせされた溝を有し、グリッド間には網が固定されている。新芽は、完全に成長した新芽を最終的に収穫することができるように成長グリッド内のこれらの溝内に案内しなければならない。しかしながら、これらのいわゆる成長グリッドでさえも、殻及び根の各部などの不要な植物の部分が新芽成長中に押し上げられるのを防止することはできない。
【特許文献1】米国特許第5,636,474号明細書
【発明の開示】
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、したがって、第1に、種殻及び根の各部を含まないこれいな発芽製品を収穫することができる方法を提供することである。更なる目的は、新芽の操作を回避すると共に、収穫の瞬間を使用の瞬間と一致させて、その結果、成長した新芽の保存期間を大幅に向上させることである。これらの目的は、発芽製品の培養基なし栽培の方法であって、
−例えば、容器内で、室内に豆又は種を収容するステップと、
−前記豆を発芽させるように、湿度及び温度など、前記室内の各種条件を設定するステップと、
−前記室に抑制手段を設けるステップと、
−前記殻が、前記新芽が前記室から出てくる間に前記室内に保たれるように、前記抑制手段を前記豆又は前記種の殻と相互に作用させるステップと、
の各ステップを備える方法により、達成することができる。
【0008】
本発明による、発芽製品を栽培する方法は、豆が発芽し始めた後に種殻が離れる、発芽製品から種殻を引き止める各種の対策が講じられているという点においては、従来技術による方法と異なる。これらの対策の成果は、収穫された新芽は、きれいなものであり、かつ、殻などの付着部片により汚れたりしていないということである。これにより、直ちに消費に適し、かつ、また、一般大衆による直接の使用に適したきれいな製品が生産される。種殻を引き止める各種の対策は、汚れなど、新芽に恐らくは付着する他の汚染物質を引き止めるのに適しており、これは、更に、収穫製品の品質に有益な影響を与える。また、製品は、容器内では無傷なままである。
【0009】
種殻などを引き止める対策は、様々な方法で行なうことができる。このために、第1の選択によれば、本発明による方法は、豆又は種を室の壁部又は各種壁部と相互作用させるステップを備える。この点において、室の壁部又は各種壁部は、殻が、摩擦による相互作用により発達中の新芽と共に移動するのを防止するように、例えば、適当な粗度を有することができる。しかし、同じ効果を有する、壁部又は各種壁部の鋭利で、若干、突出した部分など、他の対策も可能である。
【0010】
本発明の更なる別の選択によれば、本発明による方法は、豆の殻を室の頂部に設置された柔軟性覆と相互作用させるステップを備える。この柔軟性覆いは、同様に作製して、多くの異なる方法で装着することができる。第1の選択によれば、本発明は、通路又は潜在的な通路を有する柔軟性覆いを使用するステップを備える。この通路又は潜在的な通路を介した方が、新芽は、殻が、いわば、覆いにより成長中の新芽から剥がれながら、容易に外方及び上方に、室の外で成長することができる。
【0011】
本発明は、また、一方では、新芽の成長を保証することができ、他方では、収穫製品の品質に有益な影響を与える、上述した方法を実行する容器に関するものである。特に、この容器により、完全に成長した新芽は、無傷であり、かつ、殻及び/又は根の各部により汚れたりしていないことを保証することが可能である。この目的は、室及び/又は殻及び/又は上記の豆又は種の根の中に収容される豆又は種の量を抑え、かつ、豆又は種から出て室の外側に延びる新芽の通路を実現する抑制手段を室に設置することにより達成される。
【0012】
したがって、本発明による容器で、当該の室内に多量の豆を確実に保つことができる。更に、この利点は、豆は、中に入れられるともはや落ちることがないということである。豆が成長するにつれて、新芽の第1の部分は、抑制手段に接触する。新芽が成長するにつれて、更に、抑制手段は、新芽が通過することができるようになるが、殻及び/又は根の一切の付着部分は、引き止められる。
【0013】
この状況においては、新芽の成長が妨害されず、かつ、また、抑制手段が脇に置かれたときに新芽が、傷つかないことが重要である。したがって、これらの抑制手段は、正しい抑制効果を与えるばかりでなく、円滑に新芽の通過を可能にすることができなければならない。これは、例えば、被膜層を備える抑制手段により達成することができる。しかしながら、例えば、スポンジ状材料で作製された抑制手段など、抑制手段の他の実施形態も可能である。
【0014】
可能なかぎり新芽の成長プロセスを妨害しないという目的で、抑制手段は、前もって作製される、スリットなどの開口部を有することができる。しかしながら、前もって開口部を作製することが必ずしも必要というわけではない。抑制手段は、例えば、前もって作製される、スコアラインなど、弱体化領域を有することもできる。新芽は、成長しながら、このように弱体化された被膜層などの接触し、その結果、被膜層が、弱体化領域の場所で開いて、新芽用通路を実現することができる。
【0015】
本発明の実施形態による容器は、特に、いわゆる干満システムにより発芽製品を栽培するのに適している。このタイプのシステムでは、容器類は、平坦なシート上に置かれ、平坦なシートを覆うように、相対的に高い水位を一時的に実現することができるように、水が定期的供給される。この期間中、豆は、水を吸収することができ、その後、水位が低くなる。このような用途に関連して、容器の床部は、透水性であることが好ましい。これは、例えば、床部に開口部を設けることにより達成することができる。これらの開口部は、スロット形状であることが好ましい。スロット形状の開口部の幅は、この場合、豆の寸法より小さいものでなければならない。
【0016】
更に、室は、豆の寸法とほぼ一致する幅と、豆の寸法の倍数である長さとを有することができる。多数の発芽製品の効率的な栽培に関しては、容器は、幾つかの室の列に互いに隣り合わせであるように作製することが好ましい。特に、幾つかの室の少なくとも2つの列を設置することができ、1つの列の室は、他方の列の室の延長部内にある。
【0017】
これらの室は、基部要素内に収容されることが好ましく、基部要素は、例えば、プラスチック製とすることができる。特に、このような基部要素は、廉価に射出成形することができる。
【0018】
本発明は、更に、上述したような容器を含むパック、ならびに、室から上方に延在する
筐体に関するものである。この筐体の高さは、新芽を成長中に安定して支えると共に保護するように、完全に成長した新芽の寸法とほぼ同じとすることができる。
【0019】
本発明は、各種の図に示す例示的な実施形態を参照して以下で更に詳細に説明する。
【詳細な説明】
【0020】
図1は、容器11と、筐体17と、多量の完全に成長した新芽14とから成る完全なパック16を示す。筐体17は、基底部3上に置かれる。また、図1に示す、本発明による基部要素1は、射出成形プラスチック製である。この基部要素1は、基部本体2から成り、拡幅された基底部3を底部に有する。細長室6の2つの列5は、基部本体2の上面4から延在する。図4及び図6でわかるように、これらの室6は、基部本体1の下側7まで完全に延在しておらず、床部18により区切られている。ただし、室6は、同様に細長であるが狭窄化した開口部8を介して下側7が開いている。室6及び開口部8の相互かつ横の寸法も、図2において平面図で示す。
【0021】
豆9は、図6に示すように、これらの室6内に収容することができる。室6の横の寸法は、豆が次々に収まるようなものとなっている。しかしながら、開口部8の横の寸法は、豆が開口部の中に捕捉されるように、豆9の寸法より小さい。しかしながら、水は、豆9の栽培に関連して、開口部8を介して室6に入ることができる。水は、例えば、いわゆる干満システムにより供給することができ、基部本体は、随時、冠水状態になる平坦な基部上に配置されている。
【0022】
被膜10は、豆9が室6に入れられた後に、例えば、接着剤により、基部本体1頂部4に装着される。この被膜10により、確実に、豆9が室6内に残ると共に、更なる処理中に室から落ちることはできないようにすることが可能である。このようにして被膜10を施すことにより得られた容器11は、これで、干満システムと組み合わせて、特に、上述したように、栽培区域での使用に準備が整った状態にある。
【0023】
この容器11を図4に平面図で示す。被膜10は、基部要素1の上面4に既に施されている。各々の場合、室6に一致して、スリット12が設けられ、この目的は、図5から図7に示す。豆8が発芽すると、発達したばかりである新芽13は、被膜10の下側に接触する。図6を参照されたい。成長が続くにつれて、この新芽13は、ここでは更に完全に成長した新芽14の場合、図7にも示すように、開口部12を押し開けることができる。この状況においては、被膜10は、新芽14がこのプロセスにおいて傷つかないほど柔軟性である必要がある。被膜10の別の成果は、豆9のものである殻15が引き止められることである。これは、殻15、恐らくは、根16の各部も、又は、汚れは、新芽と共に上方に移動しないことを意味しており、これは、製品の品質に有益である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明による、基部要素を含む、完全なパックの斜視図である。
【図2】図1による基部要素の部分平面図である。
【図3】図2のIII−IIIによる横断面を示す図である。
【図4】被膜が施された、図1による基部要素を成す、本発明による容器の部分平面図である。
【図5】幾つかの豆を伴う、図4のV−Vによる横断面を示す図である。
【図6】発達段階における豆を伴う、図5に対応する横断面を示す図である。
【図7】発達段階における豆を伴う、図5に対応する横断面を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発芽製品の培養基なし栽培の方法であって、
−例えば、容器内で、室内に豆又は種を収容するステップと、
−前記豆を発芽させるように、湿度及び温度など、前記室内の各種条件を設定するステップと、
−前記室に抑制手段を設けるステップと、
−前記殻が、前記新芽が前記室から出てくる間に前記室内に保たれるように、前記抑制手段を前記豆又は前記種の殻と相互に作用させるステップと、
の各ステップを備える方法。
【請求項2】
前記豆又は前記種の前記殻を前記室の壁部又は各種壁部と相互作用させるステップを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記豆又は前記種の前記殻を摩擦により前記室の壁部又は各種壁部と相互作用させるステップを備える、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記豆又は前記種の前記殻を前記室の頂部に設置された柔軟性覆いと相互作用させるステップを備える、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
通路又は潜在的な通路を有する柔軟性覆いを収容するステップを備える、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
発芽製品の培養基なし栽培に関連した、前出請求項のいずれか1項に記載の方法と共に使用される容器(11)であって、
少なくとも1つの室(6)が床部(18)を有する、多量の豆又は種(9)を収容することができる少なくとも1つの室(6)を備え、
前記室(6)に、前記豆が発芽するときに離れる前記豆又は種(9)の殻(15)を保持し、かつ、前記豆が発芽するときに前記豆又は種(9)から出て前記室(6)の外側に延びる新芽(14)の通路を実現する抑制手段(10)が設けられることを特徴とする、
発芽製品の培養基なし栽培に関連した、前出請求項の1項に記載の方法と共に使用される容器(11)。
【請求項7】
前記抑制手段は、被膜層(10)を備える、請求項6に記載の容器(11)。
【請求項8】
前記抑制手段は、スポンジ状材料を備える、請求項6又は請求項7に記載の容器(11)。
【請求項9】
前記抑制手段(10)は、前もって作製されたスリットなど、開口部を有する、請求項7又は請求項8に記載の容器(11)。
【請求項10】
前記抑制手段(10)は、前もって作製されたスコアラインなど、弱体化領域を有する、請求項7又は請求項8に記載の容器(11)。
【請求項11】
前記床部(18)は、透水性である、請求項6から請求項10のいずれか1項に記載の容器(11)。
【請求項12】
前記床部(18)には、開口部(8)が設けられる、請求項11に記載の容器(11)。
【請求項13】
前記開口部(8)は、スロット形状である、請求項11又は請求項12に記載の容器(11)。
【請求項14】
前記スロット形状の開口部(8)の幅は、豆又は前記種(9)の寸法より小さい、請求項13に記載の容器(11)。
【請求項15】
前記室(6)は、豆又は前記種(9)の寸法とほぼ一致する幅を有する、請求項6から請求項14のいずれか1項に記載の容器(11)。
【請求項16】
前記室(6)は、豆又は前記種(9)の前記寸法の倍数である長さを有する、請求項6から請求項15のいずれか1項に記載の容器(11)。
【請求項17】
互いに隣り合わせの幾つかの室(6)の列(5)が設けられる、請求項6から請求項16のいずれか1項に記載の容器(11)。
【請求項18】
幾つかの室(6)の少なくとも2つの列(5)が設けられ、1つの列の前記室(6)は、他方の列の前記室(6)の延長部内にある、請求項6から請求項17のいずれか1項に記載の容器(11)。
【請求項19】
室(6)の高さは、少なくとも、豆又は前記種(9)の前記寸法と同じである、請求項6から請求項18のいずれか1項に記載の容器(11)。
【請求項20】
室(6)の前記高さは、豆(9)の寸法の倍数である、請求項19に記載の容器(11)。
【請求項21】
前記室(6)は、基部要素(1)内に収容される、請求項17から請求項20のいずれか1項に記載の容器(11)。
【請求項22】
前記基部要素(1)は、プラスチック製である、請求項21に記載の容器(11)。
【請求項23】
前記基部要素(1)は、射出成形される、請求項21又は請求項22に記載の容器(11)。
【請求項24】
前記室(6)から上方に延在する筐体(17)を更に備えた、請求項6から請求項23のいずれか1項に記載の容器(11)を備えるパック(16)。
【請求項25】
前記筐体(17)の高さは、完全に成長した新芽(14)の寸法とほぼ同じである、請求項24に記載のパック(16)。
【請求項26】
請求項6から請求項23のいずれか1項に記載の容器(11)と共に使用される基部要素(1)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−518032(P2009−518032A)
【公表日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−544272(P2008−544272)
【出願日】平成17年12月7日(2005.12.7)
【国際出願番号】PCT/NL2005/050067
【国際公開番号】WO2007/078188
【国際公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(508172144)フリトウィック・ビー.ブイ. (1)
【氏名又は名称原語表記】Flitwick B.V.
【住所又は居所原語表記】Stationsstraat 33, 6679 AB Oosterhout Nijmegen, The Netherlands
【Fターム(参考)】