説明

発酵乾燥用コンテナ装置及び含水有機物の乾燥方法

【課題】含水有機物の発酵による乾燥時間をさらに短縮でき、簡単な装置構成によっても効果的に乾燥処理ができる発酵乾燥用コンテナ装置等を提供すること。
【解決手段】水分を含有する粉粒状の有機物原料を菌類によって発酵乾燥させるため、上下又は上側に開放された方形状の外枠ボディ11によって外形が構成され、外枠ボディ11内に有機物原料が投入される空間を分割するように所要の間隔を置いて起立されて平行に配された複数の仕切壁20を備え、その仕切壁20は両面の仕切面材21、21を有して内部が上下方向に通気できる中空25に設けられると共に、その仕切面材21が線状部21aと交差する線状部21aとによって形成される通気性の良好な格子状や網目状に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農業副産物、生ゴミ、畜産廃棄物等の含水有機物を適切且つ効率的に乾燥処理し、発酵種菌材や化石燃料に代わる低コストのバイオマス燃料等を生産するための発酵乾燥用コンテナ装置及び含水有機物の乾燥方法に関する。
【背景技術】
【0002】
食品工場やキノコ生産工場から大量に排出される有機廃棄物や、家庭から排出される生ゴミについては、高いコストをかけて石油によって火力乾燥されるか、焼却処理がなされてきた。また、畜産業界で発生する大量の畜糞は、農地に適切に還元されていないばかりか、農地又は地下水や河川を汚染する亜硝酸窒素による環境問題の一因となっている。
一方、原油価格が高騰し、燃料の価格が大幅に上昇してきている。
【0003】
これに対しては、COを削減して地球温暖化の防止を図るためにも、キノコの廃菌床、生ゴミや畜糞等をバイオマス資源として有効に活用することが望まれる。
しかしながら、それらのバイオマス資源は大量の水分を含んでおり、効果的に利用するためには適切且つ低コストで乾燥する必要がある。その乾燥方法が課題となっている。
【0004】
以上に説明した課題を解決するため、本発明者は、既に、微生物を有効利用した高速発酵乾燥法について提案してある(特許文献1参照)。これによれば、石油エネルギーを使用せずに短時間で大量に乾燥できるため、コストの削減になる。しかも比較的簡単な施設で製造できるが、比較的広い場所を必要とする。
【特許文献1】特開2006−116529号公報(第1頁)
【0005】
また、先に、底が開閉して廃棄物処理の容器として使用できる収納ボックスが開示されている(特許文献2)。
さらに、発酵槽として使用できるコンテナ装置についても開示されている(特許文献3)。これによれば、狭い場所でも効率的に発酵乾燥処理ができるというメリットがある。しかしながら、仕切壁がパンチングメタル等の孔明き板で構成されているため、開口率を高めて通気性を高めるには限界があり、乾燥時間のさらなる短縮を実現するには難しい形態となっている。また、その孔から材料が洩れるため、粉粒状の物や孔より小さい材料は使用できない。
【特許文献2】特開平06−127605号公報(第1頁)
【特許文献3】特開2003−341790号公報(第1頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
発酵乾燥用コンテナ装置及び含水有機物の乾燥方法に関して解決しようとする問題点は、従来の装置や方法では乾燥時間の短縮に限界があることと、従来の発酵槽として使用できるコンテナ装置にあっては構成が複雑になっている点にある。また、従来の発酵槽は、発酵そのものは早い時間で終わるが、仕切壁の開口率が低いことにより水分が排出しにくく乾燥が進みにくい。そして、その排出されない水分により菌糸同士が強固につながって固まりとなるため、その固まりを発酵槽から取り出すことが大変になる。
そこで、本発明の目的は、含水有機物の発酵による乾燥時間を大きく短縮し、強い菌糸を作る前に取り出すことができ、簡単な装置構成によっても効果的に乾燥処理ができる発酵乾燥用コンテナ装置及び含水有機物の乾燥方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために次の構成を備える。
本発明にかかる発酵乾燥用コンテナ装置の一形態によれば、水分を含有する粉粒状の有機物原料を菌類によって発酵乾燥させるため、上下又は上側に開放された方形状の外枠ボディによって外形が構成された発酵乾燥用コンテナ装置であって、前記外枠ボディ内に前記有機物原料が投入される空間を分割するように所要の間隔を置いて起立されて平行に配された複数の仕切壁を備え、該仕切壁は両面の仕切面材を有して内部が上下方向に通気できる中空に設けられると共に、前記仕切面材が線状部と交差する線状部とによって形成される通気性の良好な格子状や網目状に設けられている。なお、仕切面材には格子状に成形されたプラスチックの加工品も利用できる。
【0008】
また、本発明にかかる発酵乾燥用コンテナ装置の一形態によれば、前記外枠ボディの各壁面の少なくとも一部が、前記仕切面材と同等の通気性に優れた格子状や網目状に設けられていることを特徴とすることができる。
【0009】
また、本発明にかかる発酵乾燥用コンテナ装置の一形態によれば、段積み可能に前記外枠ボディの上端部に対して下端部が外嵌できるように該下端部にスカート部が設けられていることを特徴とすることができる。
また、本発明にかかる発酵乾燥用コンテナ装置の一形態によれば、前記スカート部には前記外枠ボディの内部へ通気できるように切り欠き又は開孔等によって形成された通気部が設けられていることを特徴とすることができる。
【0010】
また、本発明にかかる発酵乾燥用コンテナ装置の一形態によれば、前記外枠ボディの底部に両側に開く観音扉タイプの開閉扉を備え、該開閉扉には、前記外枠ボディの底面を閉塞する際に外部から前記仕切壁の中空へ連通するように連通孔が設けられていることを特徴とすることができる。
また、本発明にかかる発酵乾燥用コンテナ装置の一形態によれば、前記仕切壁が、前記外枠ボディ内の上部で回動可能に軸着されて垂下されていることを特徴とすることができる。
【0011】
本発明にかかる含水有機物の乾燥方法の一形態によれば、食品工場から排出される加工の工程中で加熱殺菌がなされた食品残渣に、該食品残渣の排出直後の雑菌の侵入が少ない保温段階での排出ライン上において、好気性の種菌を投入して植え付ける工程と、前記の発酵乾燥用コンテナ装置を用いて、前記キノコ廃菌床を好気性菌の作用によって乾燥させる工程とを有する。
【0012】
本発明にかかる含水有機物の乾燥方法の一形態によれば、菌床栽培キノコの収穫が終わった後にキノコの栽培瓶から掻き出されることなどによって菌糸が切断されて生長力が失われた直後の雑菌の侵入が少ない段階でのキノコ廃菌床に、好気性の種菌を投入して植え付ける工程と、前記の発酵乾燥用コンテナ装置を用いて、前記キノコ廃菌床を好気性菌の作用によって乾燥させる工程とを有する。
また、本発明にかかる含水有機物の乾燥方法の一形態によれば、前記キノコの廃菌床の掻き出し装置から順次排出されてコンベアに乗って順次貯留場所へ移送される間に前記好気性の種菌を投入することを特徴とすることができる。
また、本発明にかかる含水有機物の乾燥方法の一形態によれば、前記貯留場所において前記好気性の種菌を投入したキノコの廃菌床を所要の時間放置して好気性菌を繁殖させた後、前記発酵乾燥用コンテナ装置を用いて乾燥することを特徴とすることができる。
【0013】
また、本発明にかかる含水有機物の乾燥方法の他の形態によれば、生ゴミ等の雑菌が繁殖した含水有機物原料について、蒸気殺菌等の加熱殺菌を行った後、好気性の種菌を投入して植え付ける工程と、前記の発酵乾燥用コンテナ装置を用いて、前記含水有機物原料を好気性菌の作用によって乾燥させる工程とを有する。
【0014】
また、本発明にかかる含水有機物の乾燥方法の一形態によれば、前記好気性の種菌を投入するためにロータリー式やスクリュウコンベア式等の菌投入装置が用いられることを特徴とすることができる。
また、本発明にかかる含水有機物の乾燥方法の一形態によれば、前記の含水有機物の乾燥方法によって得られた有機乾燥物を、前記好気性の種菌の少なくとも一部として用いることを特徴とすることができる。
また、本発明にかかる含水有機物の乾燥方法の一形態によれば、前記の含水有機物の乾燥方法によって得られた有機乾燥物を、温風ボイラー等の加温装置の燃料とし、該加温装置から発生する温風を前記仕切壁の中空へ導入して乾燥を促進することを特徴とすることができる。
【0015】
また、本発明にかかる発酵乾燥有機物燃料によれば、前記の発酵乾燥用コンテナ装置又は含水有機物の乾燥方法によって生産されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明にかかる発酵乾燥用コンテナ装置及び含水有機物の乾燥方法によれば、含水有機物の発酵による乾燥時間を著しく短縮し、強力な菌糸ができる前に乾燥が進んで強固な菌塊にならないため、排出・取り出しが容易にでき、簡単な装置構成によっても効果的に乾燥処理ができるという特別有利な効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の発酵乾燥用コンテナ装置及び含水有機物の乾燥方法に係る最良の形態例を図面に基づいて以下に詳細に説明する。
図1は本発明に係る発酵乾燥コンテナ装置の形態例を示す斜視図である。図2は図1の発酵乾燥装置の要部断面図であり、図3は図1の発酵乾燥装置の使用状態を示す正面図である。また、図4は振れストッパの形態例を示す断面図であり、図5は仕切壁の形態例を示す断面図である。さらに、図6は本発明に係る含水有機物の乾燥装置システムの形態例を示す説明図である。
ここでは、主に、含水有機物の原材料一例であるキノコの廃菌床を発酵乾燥させる場合について説明する。
【0018】
図1に示すように本発明にかかる発酵乾燥用コンテナ装置10の形態例では、水分を含有する粉粒状の有機物原料を菌類によって発酵乾燥させるため、上下に開放された方形状の外枠ボディによって外形が構成されている。
そして、外枠ボディ11内に有機物原料が投入される空間を分割するように所要の間隔を置いて起立されて平行に配された複数の仕切壁20を備える。その仕切壁20は、両面の仕切面材21、21を有して内部が上下方向に通気できる中空25に設けられている。また、その仕切面材21が線状部21aと交差する線状部21aとによって形成される通気性の良好であると共に均一な格子状や網目状に設けられている(図2参照)。
【0019】
なお、線状部21aと交差する線状部21aとによって形成される格子状や網目状とは、金網のように線材を編んで形成されるもの、又は、ラス網のように一体的に繋がった状態で形成されるものの両方の形態を含むことを意味する。また、コスト低減のため、通気性に富んだプラスチック製の格子状成形物も利用できる。
このように格子状や網目状に形成されることで、パンチングメタルのような円形の貫通孔を多数設けた板材よりも開口率を高めることができる。また、線状部によって形成されているため、円形の貫通孔がくり抜かれた多数孔形態に比べて均一性に富んだ形態となっている。このため、含水有機物の乾燥時間を極めて効果的に短縮できる。強力な菌糸ができる前に乾燥が進んで強固な菌塊にならないため、排出・取り出しが容易にできる。
【0020】
また、仕切壁20が、外枠ボディ11内の上部で回動可能に軸着されて垂下する形態としてもよい。これによれば、仕切壁20が揺動して隙間を生じさせ易いため、発酵して固まりになった有機物を排出しやすい構造になっている。
さらに、仕切壁20を、上部の厚みの方が下部の厚みより広いテーパ状に形成してもよい(図5参照)。これによれば、発酵して固まりになった有機物を排出しやすい形態になっている。仕切壁20が外枠ボディ11内に固定されたシンプルな形態でも、効果的に前記有機物を排出できる。
【0021】
また、本形態例では、外枠ボディ11の底部に両側に開く観音扉タイプの開閉扉30、30を備えている。本形態例では、一対の開閉扉30、30が前後方向に開閉する構造になっている。40は保持レバーであり、外枠ボディ11の両側面のスカート部15の上部に複数が配され、L字の一端部41が側面板のスリット部16から外枠ボディ11の内部へ進入可能に軸着され、他端部42が手動操作のできるハンドルになっている。この保持レバー40は、開閉扉30が外枠ボディ11の底面を塞いだ際に、その開閉扉30の各側部下面に一端部41が入り込んで支持する。これにより、開閉扉30を閉じた状態に保持する。そして、開閉扉30を開くときは、他端部42で手動操作して保持レバー40を回動させ、一端部41による支持を解除させればよい。
なお、一対の開閉扉30の開閉機構はこれに限定されず、背景技術の欄で挙げた特許文献2に記載の収納ボックスの構成や、ピンによる支持など他の機構を用いてもよいのは勿論である。
【0022】
そして、その開閉扉30、30の内面側に外枠ボディ11の底面を閉塞した際に仕切壁20の下端部23に係合してその仕切壁20の横振れを阻止する振れストッパ31が設けられている。これにより、回動可能に設けられた仕切壁20を側面板14と平行に垂下させた適正な状態で、有機物原料を投入できる。
振れストッパ31は、図4に示すように、仕切壁20の下端部23であって両面の仕切面材21、21の外側に当接することで、その仕切壁20の振れを阻止するように係合する形態とすることができる。簡単な構成で仕切壁20を確実に所定の位置に留めることができる。
【0023】
また、振れストッパの形態は、図4の形態に限定されるものではなく、凹凸の嵌め合い関係を別の形態にしたもの(図7及び図8参照)であってもよい。図7及び図8に示す形態例によれば、一対の開閉扉30、30に設けられた連通孔33に、仕切壁20のテーパ状の下端突起部23Aが嵌ることによって、仕切壁20が所定の位置にセットされるようになっている。これによれば、被乾燥物の付着による影響が生じにくい形態であり、繰返し使用しても好適にセットでき、仕切壁20の振れを好適に防止できる。
また、仕切壁20には、図7に示すように、被乾燥物が投入される側(上面)の開口を閉じることができる蓋20Bを設けてもよい。これによれば、被乾燥物が仕切壁20の中空内に入ることを防止できる。なお、その蓋20Bは、通気性があれば、閉じた状態に固定しておいてもよい。
さらに、仕切壁20は、図8に示すように、骨組み20Aを棒材で形成して補強し、通気性に富むプラスチック製の網状材20Cを被せた形態にしてもよい。これによれば、発酵を促進するように良好な通気性を確保しつつ、製造コストを低減でき、軽量化もできる。
【0024】
また、側面板14の内面に、所要の間隔をおいて仕切壁20に用いた仕切面材21を張ることで、側面板14との間に上下に空気が抜ける中空部を設けてもよい。これによれば、側面板14の内面に前記原料が直に接することがなくなり、その側面板14の内面に近接する部分の前記原料の乾燥を促進できる。
【0025】
一対の開閉扉30、30には、外枠ボディ11の底面を閉塞する際に外部から仕切壁20の中空25へ連通するように連通孔33が設けられている。つまり、仕切壁20の位置に対応して、連通孔33が開口している。
これによれば、このコンテナ装置を上下方向に積み重ねて段積みにした場合でも空気の上下方向にかかる流通を好適に確保できる。
【0026】
段積み可能に外枠ボディ11の上端部11aに対して上に重ねられる他の外枠ボディ11の下端部11bが外嵌できるように、その下端部11bにスカート部15が設けられている。18は接地部であり、スカート部15の角の内側に設けられており、外枠ボディ11の上端角部17の上に接地する部分となっている。
このスカート部15によれば、安全性を高めてコンテナ装置の段積みが正確にでき、積み重ねる接続部の雨よけにもなる。
また、スカート部15には外枠ボディ11の内部へ通気できるように切り欠き又は開孔等によって形成された通気部15aを設けることができる。その通気部15aを利用して強制的に換気したり、温風を送風することで乾燥効率を向上できる。
なお、19は吊り上げ用掛け部であり、フォークリフトのフォークが入るコの字形状になっている。この吊り上げ用掛け部19は、スカート部15の中に収納可能にサイズが設定されている。
【0027】
次に、以上に説明した発酵乾燥用コンテナ装置等を用いて、キノコ廃菌床等の殺菌を要しない含水有機物(原材料)を、好気性菌(善玉菌)の作用によって乾燥させる含水有機物の乾燥方法について説明する。
発酵乾燥用コンテナ装置10等に原材料に投入する前工程として、善玉菌による菌付けをする。例えば、菌床栽培キノコの収穫が終わった後にキノコの栽培瓶から掻き出されることなどによって菌糸が切断されて生長力が失われた直後の雑菌の侵入が少ない段階でのキノコ廃菌床に、好気性の種菌を投入して植え付ける(図6参照)。
【0028】
この好気性の種菌を投入する工程は、キノコの廃菌床の掻き出し装置51から順次排出されてコンベア52に乗って順次貯留場所53へ移送される間に行うとよい。キノコ廃菌床にはキノコの菌しか存在せず、雑菌が入る前に善玉菌を植え付けることができ、その後の善玉菌の繁殖を促進して乾燥効率を向上できる。また、コンベア52に乗って少量ずつ連続的に移送されるキノコの廃菌床に、種菌を満遍なく均一に接種できる。そして、貯留場所53に投下されることで、キノコの廃菌床が種菌と均一に混合された状態になる。
また、好気性の種菌を投入するためにロータリー式やスクリュウコンベア式等の菌投入装置55が用いられることで、より均一に善玉菌を植え付けることができ、乾燥効率を向上できる。
なお、善玉菌を植え付ける方法としてはこれに限らず、貯留した原材料に種菌を投入してミキサー装置等で混合する方法を採用することもできる。
【0029】
また、貯留場所53において好気性の種菌を投入したキノコの廃菌床を所要の時間放置して好気性菌を繁殖させた後、前述の発酵乾燥用コンテナ装置を用いて乾燥するようにしてもよい。
これによれば、発酵乾燥用コンテナ装置10を用いた発酵乾燥工程を短縮することが可能である。従って、このコンテナ装置10を最も有効に活用でき、その利用効率を高めることができる。
【0030】
なお、発酵工程は、本形態例の発酵乾燥用コンテナ装置10を用いることに限定されず、他の発酵槽或は発酵施設を用いても目的とする発酵有機乾燥物を得られる。
その発酵槽の形態例としては、例えば、後述する乾燥用箱体(実施例2)がある(図9及び図10を参照)。この乾燥用箱体は上面が開放され、下面が通気性の良好な面材によって閉じている。
【0031】
以上の殺菌を要しない工程に対して、生ゴミ等の雑菌が繁殖した含水有機物原料については、蒸気殺菌等の加熱殺菌を行った後、好気性の種菌を投入して植え付ける工程を行うとよい。その後に、前述したような発酵乾燥用コンテナ装置10等を用いて含水有機物原料を好気性菌の作用によって乾燥させると、適切且つ効率的に乾燥することができる。
【0032】
以上の含水有機物の乾燥方法によって得られた有機乾燥物を、前述の好気性の種菌の少なくとも一部として用いるとよい。種菌は再生を繰り返すと劣化するが、劣化しない程度に順繰りに利用すれば、種菌のコストを低減できる。また、有機乾燥物を、種菌として大量に使用することが可能であり、発酵を促進できる。
また、以上の含水有機物の乾燥方法によって得られた有機乾燥物を、温風ボイラー等の加温装置56の燃料として用いるとよい。その加温装置56から発生する温風を仕切壁20の中空25へ導入して乾燥を促進することができる。有機乾燥物を自家消費することで乾燥コストを大幅に低減できる。
【実施例1】
【0033】
次に、本発明の発酵乾燥用コンテナ装置及び含水有機物の乾燥方法に係る実施例について詳細に説明する。
本発明における発酵装置で乾燥させた有機廃棄物の乾燥物は、高級なバイオマス粉末燃料として使用できる。今まで焼却処分していた有機廃棄物等の有機物を狭い敷地内で極めて短時間且つ低コストで乾燥できる。また、燃料化のみでなく、微生物資材として環境を浄化し、人畜の健康を守り、飼料、敷料、発酵剤、土壌改良剤、農作物の病害虫の対策資材と多方面に活用でき、様々な面で地球温暖化防止にも大きく役立つ。また、加熱や加温乾燥の熱源に燃料として自家消費することで、石油エネルギーを一切使用せず、短時間で大量に製造できるため、コストを大幅に削減できる。
【0034】
有機廃棄物等の水分が含有された有機物を、菌類によって発酵させることで、基材が発熱し、空気の流れが生じて水分が外部へ排出される。その微生物である菌は、素材の中の水分を吸収して水蒸気(気化した水分)として体外へ放出する。
その水蒸気を外部へ誘導するため、上下方向に開通する中空25の偏平な方形状であって、通気性の高いラス網等の網状又は格子状の一対の仕切面材21、21によって構成された仕切壁20が設けられている(図1等参照)。
【0035】
この仕切壁20は、その上端部22の両側端部で外枠ボディ11の正面板12と背面板13の上部に回動可能に軸着されている。これにより、その外枠ボディ11の上部から垂下されて軸24を中心に揺動できる。その複数の仕切壁20が、外枠ボディ11の左右の側面板14、14の間に所定の間隔をおいて平行に垂下された状態に配されている。また、底面は、正面板12と背面板13の各下部にそれぞれ設けられた蝶番部35を軸とし、下側へ観音開きに開くことができる一対の開閉扉30、30によって、開閉できるように構成されている。
【0036】
仕切壁20は、通気性を高めるため、その両仕切面材21、21を開口率の高い金網やプラスチック製網又はラス網等の網状や格子状の形態とすることが好ましい。しかし、強度等の面で不都合がある場合は、片面のみでも効果がある。菌糸の回りは非常に速く、空気の接触面から10〜15cm程度を2〜3日で張り巡らし、原料中の水分を奪う。そのため、仕切壁20の中空25部分は、大量の水分を誘導する必要から、強制的に排気をしない場合は3〜10cm好ましくは5〜7cmにするとよい。巾が広すぎると、発酵槽である発酵乾燥用コンテナ装置10内が小さくなり、含水有機物原料の処理量が減少する。
【0037】
含水有機物原料が投入される口の広さである仕切壁20同士の間隔は、菌糸の回る厚さから計算して15〜40cm程度であり、好ましくは20〜25cmがよい。薄過ぎると処理量が減少し、厚過ぎると乾燥が進まない。格子状や網状の目の大きさは、原料が外に洩れない最大限のものがよい。材質はステンレス鋼又はプラスチック網や成形物(プラスチックネット)が、酸化しないことと強度が高いため好ましい。なお、プラスチックネット等を使用する場合は、内側に骨組みとしての補強材が必要である。
【0038】
原料の有機廃棄物が、発酵時や燃焼時に悪臭公害とならないように善玉菌による発酵処理を行う。有機廃棄物が腐敗した生ゴミや畜糞の場合は、雑菌によって腐敗発酵や高温発酵が起こらないように、先ず蒸気殺菌等により殺菌や除菌を行って無菌状態にする。そして、冷却途中で雑菌が入り込む前に適温の時点で、善玉菌である食用菌の種菌を添加して混合する、その場合に、同時に水分調整も行う。好気性菌の適用する水分率は概ね40〜70%であり、好ましくは50〜60%前後である。水分の調整には米ぬか、ふすま、コーンコブミール等を使用することができる。なお、有機物原料の水分が適度であって、水分調整が必要でない場合は、そのまま発酵工程へ進めばよい。
【0039】
また、加熱殺菌の方法としては過熱蒸気によれば、効率的に行うことができる。
さらに、蒸気殺菌を、水分調整等のための混合工程中に同時に行うことで、より効率的に行うことができる。有機物原料が混合される際に攪拌されるため、その原料全体に蒸気の熱エネルギーを当て易いためである。また、蒸気をその原料に直接当てることで水分調整を行うこともできる。
【0040】
この有機物原料の混合攪拌は、例えばリボン型ミキサー等のミキサーで行われ、有機物原料を発酵槽へ供給して発酵させる前にほぐして均質化できる。また、そのミキサー内を加熱する加熱装置によれば、ミキサー内で混合攪拌される有機物原料を効率よく殺菌できる。
【0041】
また、最初の有機乾燥物が出来上がった後は、その有機乾燥物による戻し原料で水分調整をするとよい。燃料化を考える場合、水分の少ない木質類、紙類、布類、プラスチック類を細断し、水分調整材として原材料の一部としてもよい。また、微生物の栄養源としての水分の多い生ゴミ、畜糞、食品工場残渣を、殺菌後、水分調整を兼ねて原材料の一部として利用してもよい。
【0042】
発酵乾燥後の発酵乾燥物は、そのまま燃焼炉等にて燃料として利用できるが、粉末燃料にする場合は、機械的に粉砕するか篩機によって選粒してもよい。選粒後の粒の大きいものは、再度の発酵基材となる戻し材料とすることで、原材料中で適度な間隙を保つ資材となり、格好の発酵促進材として利用できる。
なお、発酵有機乾燥物を機械的に粉砕する場合は、微生物の働きによって分子が細分化されているため、容易に粉砕できる。
【0043】
腐敗物を加熱して殺菌を行い、善玉菌の純粋培養を行うことにより、悪臭等の公害問題は解決する。また、善玉菌が速く繁殖でき、乾燥時間を短縮できる。
なお、ここで善玉菌とは、食用菌であり、酵母菌、麹菌、納豆菌等の食用菌を人工的に添加することで粉粒体状の含水有機物原料を発酵乾燥させる。前述した水分調整と加熱殺菌によって、食用菌が繁殖する条件を好適に整えることができ、効率よく乾燥できる。
【0044】
発酵槽に種菌入りの原材料を投入し、3〜4日で菌が全体に回り、原材料は仕切壁によって区切られて菌糸の固まりとなる。この時点で菌の活動が安定するため、これ以降は乾燥が進みにくくなる。その時点の発酵有機物を、燃焼炉に直接投入し、燃料として利用できる。しかし、まだ水分が多いため、物流に載せるには、運賃が嵩んでコスト高となり、品質が安定しない。その課題を解決するためには、2回目の発酵工程が必要となる。その場合は菌塊状となった菌糸を崩して混ぜ合わせ、再発酵させる。発酵有機物を発酵槽の底面の開閉扉を開けて排出させ、空の発酵槽へ攪拌しながら順次入れ替えていく。これにより再発酵が始まり、原材料の温度が再度上がって水分が発散する。その作業を2〜3回繰り返すことによって水分量が落ち、より乾燥度の高い発酵乾燥物ができる。
【0045】
図1に示した発酵コンテナ装置10を用いて、キノコ廃菌床を発酵乾燥させた試験結果を以下に示す。
発酵コンテナ装置10にブナシメジ茸の水分62%の廃培地750kgを投入し、5日目に箱から取り出して入れ替え、さらに3日後に水分と重量の測定を行い、乾燥能力の試験を行った。対照区1として、同じ外枠で作られた仕切壁20のないコンテナに上記の廃培地750kgを投入し、5日目に箱から取り出して入れ替え、試験区と同じ管理を行い、合計日数8日間の乾燥試験を行った。また、対照区2として、パンチングプレートで仕切壁を作った乾燥コンテナを用いて、前記の試験区及び対照区1と同じ管理下で、比較乾燥試験を行った。
その結果は、下記の表1の通りである。
【0046】
【表1】

【0047】
表1に示した結果から明らかなように、試験区においては8日間で、465kgあった含有水分が、発酵乾燥によって半分以下になり、290kgも蒸発した。
これに対して、外枠の形状のみが同じで仕切壁がないコンテナを使用した対照区1においては、わずかに87kgしか乾燥していない。
また、対照区2においては、発酵温度は上昇するが、プレートに接した部分は腐敗発酵を起こして黒色に変色し、水分が発散しない。よって、対照区2においては、悪臭が発生し、乾燥効率も低下することが理解できる。
【0048】
燃料、飼料、肥料等として発酵有機乾燥物を大量に生産する場合は、図3に示すような多段式に発酵槽を積み上げ、狭い場所で大量の処理を行うことができる。また、必要に応じて屋外でも発酵乾燥を行うことができる。屋外は通風が良いため、より以上に好条件で発酵乾燥ができる。なお、屋外での乾燥には、図3に示すように、最上部に雨よけの簡単な屋根をかけるとよい。これより、屋外においても変質することなく発酵有機乾燥物を製造できる。
【0049】
さらに、乾燥度を高める必要性がある場合は、この発酵槽で生産された有機乾燥物からなるバイオ燃料を使用することができる。そのバイオ燃料を、温風ボイラー、蒸気ボイラー、又は温水ボイラー等で燃焼させて、発酵有機物を加温して乾燥させることで、目的の水分率まで急速に乾燥を進めることができる。その加熱乾燥は、最後の1日だけの加温で十分である。なお、加温方法としては、床暖房と同様にボイラーによる他、電熱を利用することもできる。
【0050】
そして、より速く発酵を促進させるためには、種菌を添加した後の原材料を、別の場所で山型に高く盛り上げて概ね2〜3日放置し、その後で発酵槽に投入するとよい。これによれば、原材料の全体に菌の培養が行き渡って発熱が始まったものを発酵槽に投入することができ、より発酵が促進されるため、発酵槽の利用効率を高めることができる。
【0051】
冬季は気温が下がるため、発酵槽を形成する外枠ボディ11の正面板12、背面板13や両側面板14、14が鉄板製の場合、内側の表面を炭化させた木板を張るとよい。これによれば、保温性を高めることができ、発酵を促進できる。
【0052】
食品工場から排出される大量の有機廃棄物は、一般的に高温の蒸気や熱水によって殺菌処理されたものであって、ほぼ無菌の状態で排出される。また、キノコ工場から排出されるキノコが収穫された直後の廃菌床には、キノコの菌以外は存在しない。
それらの有機廃棄物は、添加する種菌の好む特定条件を与えることにより、純粋培養が可能となる。そのため、廃棄物の排出直後、雑菌の混入する前の排出ライン上に目的にあった種菌を添加することによって腐敗菌の侵入を防ぐことができる(図6参照)。これによって、腐敗による悪臭公害の問題を解決できる。また、乾燥された発酵乾燥物は燃焼させても悪臭を発生しない。
なお、排出ライン上を流れる廃棄物の排出量に応じて種菌の添加量を調整することによって、常に安定した品質を維持できる。
【0053】
また、仕切壁20の中空25を利用して、送風ファンで強制的に送風したり、温風を送って強制的に加温することで、含水有機物原料の乾燥を促進できる。この際には、中空25を下方から上方へ抜けるように送風するとよい。
そして、本発明にかかる発酵乾燥用コンテナ装置10によれば、多段に積み重ねた場合には、中空25が多段に上下に連続された配置となり、その複数の中空25を通って空気が抜ける構造になっており、乾燥を促進できる。
【0054】
本発明は、有機物原料の容量をなるべく減らさないで、より多くの例えば有機物乾燥燃料を得ることを目的とする技術である。従って、一般的な生ゴミの減量化とは反対の考え方であり、生ゴミを固体燃料等の有用資源として最大限に活用できる技術になっている。
なお、有機物原材料の一部としては汚泥のような流動性がある物も含まれる。本発明では、そのような流動性のある有機物原材料を適宜混合することで、水分調整をして、燃料化できる技術にもなっている。
【実施例2】
【0055】
以下に、発酵槽の他の実施例について図9及び図10に基づいて説明する。この発酵槽は、上側が解放されている乾燥用箱体100である。
この乾燥用箱体100は、網状或いは格子状等の通気性に富む材料によって形成されており、乾燥時間をより短縮できる。これは、通気性が良く、材料(含水有機物)が接触する部分を極力小さくできるため、発酵を促進できると共に、空気の流動による自然乾燥を促進できるためである。
乾燥用箱体100の各構成面を形成する網状或いは格子状等の通気性に富む材料としては、ラス網、金網、有孔板、プラスチック網(格子状に成形されたものを含む)或いは紐を編んだ状態の網目材などを用いることができる。
【0056】
そして、その乾燥用箱体100に、前記と同様の通気性に富む材料によって中空の壁状に形成されて通気がなされる仕切壁120が設けられていることで、乾燥速度をより速めることができる。なお、図9の乾燥用箱体100は、複数の仕切壁120が左右方向に間隔を置いて平行に固定されたもので、図10の乾燥用箱体100は、複数の仕切壁120が前後方向に間隔を置いて平行に固定されたものである。また、乾燥用箱体の骨組みは棒材(金属棒)で形成され、その骨組みに網が張られた構造であり、軽量化が図られている。
この仕切壁120の中空内は、含水有機物が入らないようにされ、空気が流通できる空間となっている。そこで、仕切壁120の上面部は、通気性が充分にあると共に内部に含水有機物が入らないように、前述の通気性に富む材料で覆った形態にすればよい。
【0057】
また、本実施例の乾燥用箱体100は、水平軸を中心に反転できる爪部を備えるフォークリフトによって反転可能に、フォークリフトの爪が入る角筒150が底部に固定されている。そして、その乾燥用箱体の仕切壁120の断面形状は、上側が先細りのテーパ状になっている(図9又は図10参照)。
これによれば、含水有機物を収容する際には間口が広くて入れ易い。そして、乾燥用箱体を反転した際には、含水有機物を落下させて容易に排出できる。従って、作業性を高め、生産効率を向上できる。
【0058】
また、この乾燥用箱体120によれば、積み重ねて保管することが可能であり、狭い面積の場所でも高さ空間を有効に利用して発酵乾燥を行うことができ、生産性を向上できる。
ところで、この乾燥用箱体は、全面網張りの合理的な形態の網かごであり、本発明では発酵乾燥槽として用いているが、発酵作用を利用しない他の乾燥槽として用いてもよい。例えば、木材チップなど他の含水有機物の乾燥に用いることもできる。
【実施例3】
【0059】
次に、以上の発明を利用できるキノコ廃菌床の乾燥方法について説明する。
キノコの菌床栽培において発生するキノコ廃菌床に、低温発酵の有用菌群(善玉菌)を接種して発酵させる菌の培養工程と、前記キノコ廃菌床を前記善玉菌の発熱と生長の作用によって乾燥させる一次乾燥工程と、キノコ廃菌床を攪拌しながら熱風を当てることで、乾燥及び殺菌を行う二次乾燥工程とを有する方法によれば、キノコ廃菌床を効率よく乾燥できる。例えば、一次乾燥工程では水分率が40%前後まで、二次乾燥工程では水分率が20%前後まで乾燥される。これによれば、一次乾燥工程の発酵による作用によって多くの水分を蒸発させることができるため、乾燥のためのエネルギー消費を大幅に低減できる。
【0060】
二次乾燥工程が、ロータリーキルン型の乾燥装置によって、熱風が吹き付けられることでなされることで、低コストで大量に効率よく乾燥できる。また、その二次乾燥工程が、100℃〜400℃の範囲で加熱することを特徴とすることができる。この温度範囲であることで、殺菌が適切になされると共に、キノコ廃菌床が炭化することを防止できる。これによれば、前記キノコ廃菌床を、キノコの菌床栽培用の培地資材(再生培地資材)として好適に再資源化することができる。
また、前記熱風が過熱蒸気であることで、キノコ廃菌床の発酵物の乾燥物を、家畜の飼料用の資材として好適に用いることができる。
【0061】
また、以上の方法で得られたキノコの培地用資材を、より生分解が進んだ有機資材で構成された培地を好むキノコの培地用資材として用いることができる。これによれば、再生されたキノコの培地用資材を、先に栽培したキノコと種類の異なるキノコに利用して、キノコを増産できる。例えば、エノキの廃培地を、発酵、乾燥及び殺菌し、ブナシメジの培地の資材の一部として利用できる。
なお、発酵方法は、前述した発酵槽を用いることが好ましいが、他の方法を用いてもよい。例えば、背景技術の欄で示した特許文献1に記載された技術を用いることができる。
【0062】
加えて、このように発酵物を作る発酵工程と殺菌処理にもなる加熱工程とを伴う乾燥方法によれば、以下の効果がある。
先ず、発酵工程は、前述の善玉菌による発酵であり、発酵温度は40℃〜50℃で、アンモニア等による悪臭の発生がない。
また、二次乾燥工程では、加熱殺菌されて乾燥度を高めることができるため保存が容易で管理し易い資材になる。なお、この乾燥物は、燃料としても好適に利用できる。
さらに、二次乾燥工程の加熱によって、キノコ残渣等を分解でき、乾燥することによって多孔質化を促進できるため、吸水性を向上できる。従って、キノコの培地資材として、キノコの生長を助ける因子を増強できる。
【0063】
以上、本発明につき好適な実施例を挙げて種々説明してきたが、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変を施し得るのは勿論のことである。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明に係る発酵乾燥用コンテナ装置の形態例を示す斜視図である。
【図2】図1の発酵乾燥装置の断面図である。
【図3】図1の発酵乾燥装置の使用状態を示す正面図である。
【図4】振れストッパの形態例を示す断面図である。
【図5】仕切壁の形態例を示す断面図である。
【図6】本発明に係る含水有機物の乾燥装置システムの形態例を示す説明図である。
【図7】振れストッパ等の他の形態例を示す断面図である。
【図8】仕切壁の他の形態例を示す断面図である。
【図9】本発明に係る乾燥用箱体の形態例を示す斜視図である。
【図10】本発明に係る乾燥用箱体の他の形態例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0065】
10 発酵乾燥用コンテナ装置
11 外枠ボディ
12 正面板
13 背面板
14 側面板
15 スカート部
15a 通気部
20 仕切壁
21 仕切面材
21a 線状部
25 中空
30 開閉扉
31 振れストッパ
33 連通孔
51 掻き出し装置
52 コンベア
53 貯留場所
55 菌投入装置
56 加温装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水分を含有する粉粒状の有機物原料を菌類によって発酵乾燥させるため、上下又は上側に開放された方形状の外枠ボディによって外形が構成された発酵乾燥用コンテナ装置であって、
前記外枠ボディ内に前記有機物原料が投入される空間を分割するように所要の間隔を置いて起立されて平行に配された複数の仕切壁を備え、該仕切壁は両面の仕切面材を有して内部が上下方向に通気できる中空に設けられると共に、前記仕切面材が線状部と交差する線状部とによって形成される通気性の良好な格子状や網目状に設けられていることを特徴とする発酵乾燥用コンテナ装置。
【請求項2】
前記外枠ボディの各壁面の少なくとも一部が、前記仕切面材と同等の通気性に優れた格子状や網目状に設けられていることを特徴とする請求項1記載の発酵乾燥用コンテナ装置。
【請求項3】
段積み可能に前記外枠ボディの上端部に対して上に重ねられる他の前記外枠ボディの下端部が外嵌できるように該下端部にスカート部が設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の発酵乾燥用コンテナ装置。
【請求項4】
前記スカート部には前記外枠ボディの内部へ通気できるように切り欠き又は開孔等によって形成された通気部が設けられていることを特徴とする請求項3記載の発酵乾燥用コンテナ装置。
【請求項5】
前記外枠ボディの底部に両側に開く観音扉タイプの開閉扉を備え、該開閉扉には、前記外枠ボディの底面を閉塞する際に外部から前記仕切壁の中空へ連通するように連通孔が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の発酵乾燥用コンテナ装置。
【請求項6】
前記仕切壁が、前記外枠ボディ内の上部で回動可能に軸着されて垂下されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の発酵乾燥用コンテナ装置。
【請求項7】
食品工場から排出される加工の工程中で加熱殺菌がなされた食品残渣に、該食品残渣の排出直後の雑菌の侵入が少ない保温段階での排出ライン上において、好気性の種菌を投入して植え付ける工程と、
前記請求項1〜6のいずれかに記載の発酵乾燥用コンテナ装置を用いて、前記キノコ廃菌床を好気性菌の作用によって乾燥させる工程とを有することを特徴とする含水有機物の乾燥方法。
【請求項8】
菌床栽培キノコの収穫が終わった後にキノコの栽培瓶から掻き出されることなどによって菌糸が切断されて生長力が失われた直後の雑菌の侵入が少ない段階でのキノコ廃菌床に、好気性の種菌を投入して植え付ける工程と、
前記請求項1〜6のいずれかに記載の発酵乾燥用コンテナ装置を用いて、前記キノコ廃菌床を好気性菌の作用によって乾燥させる工程とを有することを特徴とする含水有機物の乾燥方法。
【請求項9】
前記キノコの廃菌床の掻き出し装置から順次排出されてコンベアに乗って順次貯留場所へ移送される間に前記好気性の種菌を投入することを特徴とする請求項8記載の含水有機物の乾燥方法。
【請求項10】
前記貯留場所において前記好気性の種菌を投入したキノコの廃菌床を所要の時間放置して好気性菌を繁殖させた後、前記発酵乾燥用コンテナ装置を用いて乾燥することを特徴とする請求項9記載の含水有機物の乾燥方法。
【請求項11】
生ゴミ等の雑菌が繁殖した含水有機物原料について、蒸気殺菌等の加熱殺菌を行った後、好気性の種菌を投入して植え付ける工程と、
前記請求項1〜6のいずれかに記載の発酵乾燥用コンテナ装置を用いて、前記含水有機物原料を好気性菌の作用によって乾燥させる工程とを有することを特徴とする含水有機物の乾燥方法。
【請求項12】
前記好気性の種菌を投入するためにロータリー式やスクリュウコンベア式等の菌投入装置が用いられることを特徴とする請求項7〜11のいずれかに記載の含水有機物の乾燥方法。
【請求項13】
前記請求項7〜12のいずれかに記載の含水有機物の乾燥方法によって得られた有機乾燥物を、前記好気性の種菌の少なくとも一部として用いることを特徴とする含水有機物の乾燥方法。
【請求項14】
前記請求項7〜13のいずれかに記載の含水有機物の乾燥方法によって得られた有機乾燥物を、温風ボイラー等の加温装置の燃料とし、該加温装置から発生する温風を前記仕切壁の中空へ導入して乾燥を促進することを特徴とする含水有機物の乾燥方法。
【請求項15】
前記請求項1〜14のいずれかに記載の発酵乾燥用コンテナ装置又は含水有機物の乾燥方法によって生産されたことを特徴とする発酵乾燥有機物燃料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−178712(P2009−178712A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−335698(P2008−335698)
【出願日】平成20年12月29日(2008.12.29)
【出願人】(508005738)株式会社森羊土 (4)
【Fターム(参考)】