説明

発電システム

【課題】地熱を用いる発電システムは、地熱が得られる地域でないと使用できない。
【解決手段】圧縮機を備えるヒートポンプと、ヒートポンプにより加熱され気化された作動媒体の持つエネルギによって動力が与えられるタービンの動力により発電電力を供給する発電機と、タービンからの作動媒体を送出する循環手段と、制御部とを備え、90℃における飽和蒸気圧の絶対圧が0.3MPa以上である有機化合物を前記作動媒体とし、前記冷媒をCO2とし、タービンをスクロールタービンまたはスクリュータービンとし、前記導入口における前記作動媒体の圧力である導入口圧力を前記導入口温度における前記作動媒体の飽和蒸気圧以下にし、圧縮機駆動用電力と循環手段駆動用電力と制御部用の制御部用電力との総和である総和電力としての電力が供給され、総和電力より発電電力が大きくなるように設定される条件で運転される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷媒を加熱気化する外気熱交換器と前記冷媒を圧縮する圧縮機と圧縮された前記冷媒により作動媒体を加熱する作動媒体熱交換器と前記作動媒体熱交換器からの前記冷媒を減圧回収し前記外気熱交換器の冷媒加熱流路の入口に導く回収経路と前記冷媒とからなるヒートポンプと、前記ヒートポンプにより加熱された前記作動媒体の持つ熱エネルギによって動力が与えられるタービンと前記タービンの排出口から排出される前記作動媒体を前記作動媒体熱交換器に送出する循環手段と前記タービンの動力により発電電力を供給する発電機を備える作動媒体発電サイクル部と、前記ヒートポンプと前記作動媒体発電サイクル部とを制御する制御部とを備え、前記圧縮機の駆動用電力と前記循環手段の駆動用電力と前記制御部へ供給される制御部用電力との総和である総和電力としての電力が供給され、前記総和電力より前記発電電力が大きくなるように設定される真発生電力獲得条件で運転される発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から効率よく発電を行う発電システムが提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。
【0003】
特許文献1、特許文献2においては、熱源エネルギの利用効率の向上が図れるように改良した発電システムの構成が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−221961号公報
【特許文献2】特開2009−22123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では熱源エネルギの利用効率,発電出力の向上が図れるものであるが、以下の課題がある。
たとえば、熱源エネルギとして地熱を用いる場合は、地熱が得られる地域でないと使用できない。
因みに、発電機を駆動するタービンの膨張効率(動力変換効率)を向上しても、0.6〜0.7程度の効率しか得られないから、熱源エネルギを得るために当該システム外からの電力や燃料供給によるエネルギによって賄われる場合には、1を超えるシステム効率が得られない。
【0006】
これに対し、特許文献2ではヒートポンプにより液体を蒸発させて気体にし、この気体の持つエネルギを動力とするタービンで発電機を駆動し発電を行っている。
【0007】
特許文献2にはヒートポンプのCOPと、タービンで発電機を駆動し発電を行うときの効率ηの積、COP×ηの値が1を超える場合には、発電に要した電力より大きい電力が得られることを示唆されているものの、実施可能な程度の実施例は記載されていない。
【0008】
すなわち、ヒートポンプによる加熱温度が例えば100℃以下である場合、真空中で水を沸騰させた場合沸点は100℃より低くすることはできるものの、タービンの出口圧力ゼロより低くできないからタービンにおける入り口と出口との差圧はせいぜい0.1MPaとすることができる程度であり、入り口と出口との差圧が0.1MPaである場合には特許文献2の実施例で示されている0.3の発電効率は得られない。
【0009】
また、タービンにおける入り口と出口との差圧を大きくするためにヒートポンプにおける高温側の熱交換器の温度を高くするとヒートポンプのCOPは低下してしまうから、結局、ヒートポンプのCOPと、タービンで発電機を駆動し発電を行うときの効率ηの積、COP×ηの値が1を超える構成とはならないことになる。
【0010】
本発明は、上記実情に鑑みて為されたものであって、その目的は、地域によらず効率よく発電が行える発電システムを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1特徴構成は、冷媒加熱流路を備えシステムの外部からの熱を吸収し冷媒加熱流路を流れる冷媒に伝え冷媒を気化する外気熱交換器と、前記冷媒加熱流路の出口からの前記冷媒を圧縮する圧縮機と、圧縮された前記冷媒により作動媒体を加熱する作動媒体熱交換器と、作動媒体を加熱した後に前記作動媒体熱交換器から排出される前記冷媒を回収し前記外気熱交換器の冷媒加熱流路の入口に導く回収経路と、を備え、前記外気熱交換器と前記圧縮機と前記作動媒体熱交換器の冷媒流路と前記回収経路と前記冷媒とからなるヒートポンプを構成し、
さらに、導入口と排出口を具備するタービンを備え、前記作動媒体熱交換器の作動媒体流路を流れる前記作動媒体が前記ヒートポンプによる加熱により気化され、気化された後に前記作動媒体流路の出口から排出される前記作動媒体が前記導入口に導入され前記排出口から排出されることで、気化された前記作動媒体の持つ熱エネルギによって前記タービンに動力が与えられ、前記動力により発電を行う発電機を備え、前記排出口から排出される前記作動媒体を前記作動媒体流路の入口に送出する循環手段を備え、前記作動媒体流路と前記タービンと前記循環手段と前記発電機とからなる作動媒体発電サイクル部を構成し、
前記ヒートポンプと前記作動媒体発電サイクル部とを制御する制御部を備え、
前記圧縮機を駆動するための圧縮機駆動電力、および、前記循環手段を駆動するための循環手段駆動電力、および、前記制御部に供給される制御部用電力としての電力が供給され、
前記圧縮機駆動電力と前記循環手段駆動電力と前記制御部用電力との総和である総和電力より、前記発電機により発電される発電電力が大きくなるように設定される運転条件である真発生電力獲得条件で運転されるように構成されている発電システムであって、
90℃における飽和蒸気圧の絶対圧が0.3MPa以上である有機化合物を前記作動媒体とし、前記冷媒をCO2とし、前記タービンをスクロールタービンまたはスクリュータービンとし、
前記真発生電力獲得条件が、前記導入口における前記作動媒体の温度である導入口温度を略90℃として、かつ、前記導入口における前記作動媒体の圧力である導入口圧力を前記導入口温度における前記作動媒体の飽和蒸気圧以下にした運転条件に設定されるように構成されている点を特徴とする。
【0012】
すなわち、この発電システムを稼動するためにこの発電システムにおいて消費される電力より大きな発電電力が得られるように前記運転条件が設定されることになるものである。
【0013】
本発明の第1特徴構成によれば、実質的に外部からの電力や燃料の供給なしで、特に高温でない外気などであっても、システムの外部からの熱を電力に変換できるから、特別な地域的な制約なしに、また、地球温暖化ガスを排出することなく電気エネルギを得ることができるようになる。また、冷媒としてはヒートポンプに適した冷媒を用い、そして、作動媒体としては作動媒体発電サイクル部に適した作動媒体を用い、冷媒と作動媒体としてそれぞれ異なる物質を用いることができるから最適な発電システムが構成しやすい。
【0014】
因みに、この発明による発電システムは、決して自然法則に反するような永久機関ではなく、ソーラーパネルが太陽光のエネルギを電気のエネルギに変換するものであるのに対し、この発明による発電システムは、大気熱のエネルギを電気のエネルギに変換する技術を提供するものである。
【0015】
本発明の第2特徴構成は、上記した第1特徴構成に加えて、前記導入口に導入される前の前記作動媒体を加熱する補助熱源を具備する点を特徴とする。
【0016】
本発明の第2特徴構成によれば、上記の第1特徴構成による効果に加えて、補助熱源の加熱により、作動媒体を十分な過熱蒸気とすることができるから、タービン内において作動媒体が湿り蒸気になることによる作動媒体の液相比率の増加に起因する悪影響が低減できる。また、沸点が多少高い作動媒体であっても使用できるから、作動媒体を選定する際の条件が緩和される。
【0017】
本発明の第3特徴構成は、上記した第2特徴構成に加えて、前記補助熱源が前記導入口に導入される前の前記作動媒体を加熱した後において残存する排熱によって、前記回収経路を流れる冷媒を加熱する点を特徴とする。
【0018】
本発明の第3特徴構成によれば、上記の第2特徴構成による効果に加えて、補助熱源が作動媒体を加熱した後に残存する排熱が前記回収経路を流れる冷媒の加熱に用いられ、作動媒体を加熱した後において残存していた排熱は冷媒を加熱することによって減少するから、補助熱源の加熱による熱効率が高くなるように構成可能となる。
【0019】
本発明の第4特徴構成は、上記した第1特徴構成から第3特徴構成のいずれか加えて、前記回収経路を流れる冷媒が前記外気熱交換器によってシステムの外部からの熱を吸収した後に、前記排出口から排出される前記作動媒体を前記冷媒によって冷却する冷却部を備える点を特徴とする。
【0020】
本発明の第4特徴構成によれば、上記の第1特徴構成から第3特徴構成のいずれかによる効果に加えて、前記排出口から排出される前記作動媒体の持つ残存エネルギを有効に再利用できるものとなる。さらに、冷媒が、前記排出口から排出される作動媒体を前記冷却部において冷却する前に前記外気熱交換器によってシステムの外部からの熱を吸収ことができるから、前記外気熱交換器における上記システムの外部からの熱と冷媒との温度差が大きいものとなり、上記ヒートポンプにおける成績係数(COP)が高くなることで、さらに効率の良い発電システムとすることができる。
【0021】
本発明の第5特徴構成は、上記した第1特徴構成から第4特徴構成のいずれか加えて、前記作動媒体流路から前記循環手段への前記作動媒体の逆流を阻止する逆止弁を具備する点を特徴とする。
【0022】
本発明の第5特徴構成によれば、上記の第1特徴構成から第4特徴構成のいずれかによる効果に加えて、前記作動媒体熱交換器において前記ヒートポンプによる加熱により上昇した前記作動媒体の圧力が前記循環手段の吐出圧力よりも高くなった場合に、前記作動媒体が逆流することにより発生する不都合が回避できるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施形態における構成を示す図
【図2】実施例における発電機の効率を示す図
【図3】ヒートポンプのCOPを示す図
【発明を実施するための形態】
【0024】
〔第1実施形態〕
以下、図面に基づいて、本発明において、n−ブタン(ノルマルブタン)を媒体とし、スクロール式のタービンを用いた場合である第1実施形態を説明する。なお、i−ブタン(イソブタン)を作動媒体とした場合、i−ブタンはn−ブタンと多少物性値が異なるものの、ほぼ同様の結果となるから、作動媒体としては、n−ブタンとi−ブタンの何れを用いてもよく、n−ブタンとi−ブタンとを混合して用いても良い。
【0025】
なお、以下の説明において圧力を表す場合、絶対圧とは真空を基準にした絶対圧力を表しゲージ圧とは大気圧を基準にした相対圧力を表し、このとき基準とする大気圧としては標準気圧(1atm)を用いず、以下の説明において極力端数のない数値により説明できるように便宜的に、基準とする大気圧を絶対圧0.1MPaとしたときの相対圧力で表している。
【0026】
図1に示すシステムにおいて、
H1)低温・低圧(例えば−10℃、絶対圧3MPa)の冷媒(本実施例ではCO2)が、外気熱交換器1で外気Aから熱を吸収して低温・低圧(例えば7℃、絶対圧3MPa)の気体になる。(本実施例ではヒートポンプのCOPが低下する冬場を想定しており、−10℃の冷媒が7℃の気体になる。)
【0027】
その後、凝縮器7で作動媒体を冷却する際に熱エネルギを得て温度が上昇する。(例えば30℃、絶対圧3MPaの気体になる。)
【0028】
なお、本実施形態における上記CO2は、後述する作動媒体を加熱する用途に使用することから熱媒と称することも考えられるところ、ヒートポンプにおいて一般的に用いられている用語を用いることとし、本願では、上記CO2を冷媒と称している。
【0029】
その後、凝縮器7で作動媒体を冷却する際に熱エネルギを得て温度が上昇した冷媒は、後述するバーナ(補助熱源H)の排気ガスにより作動媒体を加熱した後の排ガス(残存する排熱)によってさらに温度が上昇する。(例えば32℃になる。)

【0030】
H2)低温・低圧の気体の冷媒が圧縮機2で断熱圧縮され高温・高圧(例えば97℃、絶対圧10MPa)の超臨界状態(超臨界状態とは、気体と液体の中間のような状態)になる。
【0031】
なお、この実施例では、バッテリーBから、制御部CONTにより出力制御される圧縮機用インバータINV1を経由して圧縮機2用の電力が供給される。
【0032】
H3)超臨界状態の冷媒の熱エネルギが作動媒体熱交換器3で作動媒体(本実施例ではn−ブタン(ノルマルブタン))に熱エネルギとして伝えられ、冷媒の温度が低下し常温・高圧(例えば35℃、絶対圧10MPa)になる。
【0033】
H4)膨張弁4で冷媒が減圧し、低温・低圧(例えば−10℃、絶対圧3MPa)になる。
【0034】
上記H1)〜H4)によりヒートポンプサイクルを構成する。なお、以下の説明において上記H1)〜H4)のヒートポンプサイクルを以降においてCO2ヒートポンプサイクルと呼ぶことがある。
【0035】
S1)ポンプ5により圧送された液体(本実施例では30℃)の作動媒体(本実施例ではn−ブタン)を作動媒体熱交換器3で高温(本実施例では90℃)に加熱する。
【0036】
さらに、作動媒体(本実施例ではn−ブタン)は、バーナ(補助熱源H)によって加熱され、過熱蒸気となる。
【0037】
このとき、作動媒体熱交換器3で加熱された後の作動媒体温度検出用の温度センサTH(図示せず)の温度が100℃を超えない場合には制御部CONTに備える電力検出部(図示せず)によるINV1の出力が定格電力である2kWとなるように制御部CONTは圧縮機用インバータINV1を制御し、バーナ(補助熱源H)のインプットが定格インプットである2kWとなるようにバーナ(補助熱源H)のインプット制御器(図示せず)を制御する。
【0038】
一方、温度センサTH(図示せず)の温度が100℃を超えた場合にはINV1の出力を低下させるように制御部CONTは圧縮機用インバータINV1を制御するとともにバーナ(補助熱源H)のインプット制御器(図示せず)を制御する。
【0039】
なお、温度センサTHの温度が100℃以下となるように制御するとともにバーナ(補助熱源H)のインプット制御器(図示せず)を制御する理由は、作動媒体の飽和蒸気圧がゲージ圧1.39MPa(=絶対圧1.49MPa)となる温度が100℃であることから、温度センサTHの温度が100℃以下となるように制御することで、作動媒体の飽和蒸気圧の大気圧に対する相対圧力がゲージ圧1.39MPaを大きく上回らないようにし、作動媒体の過度の圧力上昇を制限するためである。
【0040】
すなわち、温度センサTHの温度が100℃より低いときは圧縮機用インバータINV1の出力を2kWの定格出力となるように、また、バーナ(補助熱源H)のインプットを2kWの定格インプットとなるようにし、温度センサTHの温度が100℃より高いときは圧縮機用インバータINV1の出力およびバーナ(補助熱源H)のインプットを減少させることで、作動媒体が気化されたときの作動媒体の温度が本実施例では100℃以下になるよう制御されている。
【0041】
さらに、制御部CONTは温度検出器TH(図示せず)の検出温度T1が一定(本実施例ではn−ブタンの飽和蒸気圧がゲージ圧1.127MPaとなる温度である90℃)に保つようにモータバルブ8の開度を調節することで、作動媒体は温度が略一定で高圧(本実施例ではゲージ圧力0.9MPa)に保たれる。(n−ブタンはゲージ圧1.127MPa(=絶対圧1.227MPa)が90℃における飽和蒸気圧であるから十分気化している。)
【0042】
詳述すると、作動媒体熱交換器3におけるCO2ヒートポンプサイクルによる加熱量は圧縮機用インバータINV1の出力2kWおよび、バーナ(補助熱源H)のインプット2kWに対応する定格加熱量であるから、モータバルブ8の開度を小さくすることで作動媒体熱交換器3における作動媒体流路を流れる作動媒体の時間当たり流量が低減し作動媒体流路の出口における温度検出器TH(図示せず)による作動媒体の検出温度T1が高くなると共に作動媒体流路の出口における圧力センサPS(図示せず)による作動媒体の検出圧力を高くなるように調節でき、モータバルブ8の開度を大きくすることで作動媒体熱交換器3における作動媒体流路を流れる作動媒体の時間当たり流量が増加し作動媒体流路の出口における温度検出器TH(図示せず)による作動媒体の検出温度T1が低くなると共に作動媒体流路の出口における圧力センサPS(図示せず)による作動媒体の検出圧力を低くなるように調節でき、温度検出器TH(図示せず)の検出温度T1は90℃に維持されることになるものである。
【0043】
また、作動媒体流路の出口における温度検出器TH(図示せず)による作動媒体の検出温度T1および作動媒体流路の出口における圧力センサPS(図示せず)による作動媒体の検出圧力p1をモータバルブ8の開度によって制御する一方、タービン6の出口(排出口)における第2圧力センサPS2(図示せず)による検出圧力p2を以下のように制御する。なお、この場合、モータバルブ8はポンプ5の下流に配置することが好ましく、モータバルブ8をポンプ5の上流側に配置した場合と比較して、ポンプ5の吸い込み部における圧力低下によるキャビテーションが発生しにくいものとなり、前記キャビテーションに起因するポンプ5性能の低下が防止できる。
【0044】
制御部CONTは、作動媒体流路の出口における圧力センサPS(図示せず)による作動媒体の検出圧力p1(=タービン6の入口(導入口)における圧力)とタービン6の出口(排出口)における第2圧力センサPS2(図示せず)による検出圧力p2との差圧Δp=p1−p2が0.67MPaより小さいときはモータバルブ8の開度を大きくなるように、また、前記差圧Δp=p1−p2が0.67MPaより大きいときはモータバルブ8の開度を小さくなるように制御することで、タービン6の入口(導入口)の圧力がタービン6の出口(排出口)の圧力より0.67MPa高くなる状態に維持して前記差圧Δpを0.6MPa以上に保ち、タービン6の効率を維持する。
【0045】
このとき、モータバルブ8の開度が変更されて作動媒体熱交換器3の作動媒体流路を流れる作動媒体の時間当たり流量が増加して作動媒体流路の出口における温度検出器TH(図示せず)による作動媒体の検出温度T1が低くなったときには圧縮機用インバータINV1の定格出力を徐々に増加させるように変更設定するように、また、モータバルブ8の開度が変更されて作動媒体熱交換器3の作動媒体流路を流れる作動媒体の時間当たり流量が減少して作動媒体流路の出口における温度検出器TH(図示せず)による作動媒体の検出温度T1が高くなったときには圧縮機用インバータINV1の定格出力を徐々に減少させるように変更設定するように、制御部CONTにより制御されるから、作動媒体流路の出口における温度検出器TH(図示せず)による作動媒体の検出温度T1(=タービン6の入口(導入口)における温度)は略90℃の一定に保たれることになる。
【0046】
S2)圧力が略一定で高圧(ゲージ圧0.9MPa)になった作動媒体は、スクロールタービン6の吸込口(導入口)側に導かれ、互いに噛み合った固定スクロール及び旋回スクロール(図示せず)によって形成される渦巻状空間内で膨張することで旋回スクロール(図示せず)を旋回させる。
【0047】
ここで、さらに詳しく説明すると、スクロールタービンは、密閉容器の内部に、鏡板から渦巻き状に立ち上がる固定スクロール及び旋回スクロールを噛み合わせて双方間に膨張室を形成し、上記旋回スクロールを自転規制機構による自転の規制のもとに円軌道に沿って旋回させたとき上記膨張室が容積を変えながら移動することで、吸入、膨張、吐出を行う膨張機構部を備えたスクロール膨張機によって、作動媒体が持つ熱エネルギを機械エネルギに変換するものである。
【0048】
旋回スクロール(図示せず)と主軸受部材(図示せず)との間に旋回スクロールの自転を防止して円軌道運動するように案内する自転規制機構(図示せず)を設けて、クランク軸(図示せず)の上端にある偏心軸部(図示せず)にて旋回スクロールを偏心駆動することにより旋回スクロールを円軌道運動させている。これにより固定スクロールと旋回スクロールとの間に形成している膨張室が中央部から外周側に移動しながら容積が大きくなるのを利用して作動媒体の膨張を行い、上記クランク軸を回転させる。
【0049】
なお、この種のスクロールタービンは、エアコンディショナにおいて冷凍サイクル装置を構成する膨張機、圧縮機に用いられているものと同等の原理により作動するように構成されているものである。
【0050】
上述のように、スクロールタービン6の吸込口(導入口)に流入した作動媒体は、上記クランク軸を回転させて膨張した後に吐出口(排出口)から排出されることになり、この間で回転力としての動力回収が行われるものである。
【0051】
S3)上記のように熱エネルギによってスクロールタービンを旋回させ仕事を終えて低温低圧の気体の状態となってスクロールタービンの吐出口(排出口)から排出された作動媒体(本実施例では、40℃の気体となる。因みに本実施例では、上述のようにタービン6の入口(導入口)の圧力がタービン6の出口(排出口)の圧力より0.67MPa高くなる状態に維持されることによりタービン6の出口(排出口)の圧力はゲージ圧0.23MPaに維持され、(作動媒体n−ブタンの飽和蒸気圧がゲージ圧0.23MPa(=絶対圧0.33MPa)となる温度は35℃であるから、ゲージ圧0.23MPa、40℃では気体の状態を維持する。)作動媒体n−ブタンは凝縮器7で冷却され液体(本実施例では30℃)になる。本実施例では、凝縮器7を冷却するために上述のCO2ヒートポンプサイクルにおける膨張弁4で減圧し低温・低圧の液体となった冷媒が用いられている。
【0052】
因みに、上述のCO2ヒートポンプサイクルにおける膨張弁4で減圧し低温・低圧の液体となった冷媒は、凝縮器7を冷却した後は気相を含む液体の状態であるが7℃より十分低い0℃近い温度を維持している。
なお、本実施例では、凝縮器7を冷却するために上述のCO2ヒートポンプサイクルにおける膨張弁4で減圧し低温・低圧の液体となった冷媒が用いられているが、凝縮器7を冷却するために別の方法を用いても良い。
【0053】
S4)液体になった作動媒体は繰り返しポンプ5により高圧(本実施例ではゲージ圧0.9MPa+作動媒体熱交換器3における圧力損失)に加圧されて作動媒体熱交換器3に圧送される。
因みに、上述のように作動媒体熱交換器3の出口側で圧力センサPS(図示せず)の検出圧力p1が一定(本実施例ではゲージ圧0.9MPa)に保たれるようにモータバルブ8の開度が調節されるから、本実施例ではポンプ5の吐出側圧力は、ゲージ圧0.9MPa+作動媒体熱交換器3における圧力損失に制御されることとなる。
【0054】
なお、作動媒体流路からポンプ5への作動媒体の逆流を阻止する逆止弁CHを具備しており、何らかの要因により作動媒体熱交換器3においてヒートポンプおよび補助熱源Hによる加熱により上昇した作動媒体の圧力がポンプ5の吐出圧力よりも高くなった場合にも、作動媒体が逆流することにより発生する不都合が回避できるようにしてある。
【0055】
上記S1)〜S4)により作動媒体の循環サイクルを構成する。なお、以下の説明において、上記S1)〜S4)の作動媒体のサイクルを以降において作動媒体サイクルと呼び、発電機Gを含めて作動媒体発電サイクルと呼ぶことがある。
【0056】
G1)スクロールタービンの回転力により発電機Gが回転し、作動流体から回収されたエネルギにより発電が行われる。
【0057】
G2)発電機Gにより発生した電気エネルギはレギュレータRを経由して、バッテリーBに蓄電される。
【0058】
G3)この実施例では、ポンプ5駆動用モータとして、制御部CONTにより出力制御される直流駆動式のブラシレスモータが用いられており、上述のように圧縮機2用の電力がバッテリーBから供給されていることに加えて、ポンプ5用の電力もバッテリーBから供給される。さらに、制御部CONT用の電力もバッテリーBから供給され、制御部CONTに接続されるセンサ類や、ポンプ5および圧縮機2以外のアクチュエータ類で消費される電力もバッテリーBから供給される。
【0059】
G4)また、外部電源供給用インバータINV2によりバッテリーBからの直流電力を商用周波数(たとえば60Hz)の交流に変換し、システム外部に商用周波数の交流電力が供給される。
【0060】
なお、図1において矢印を含んだ細い実線は冷媒または作動媒体の流れを、破線の矢印は主に信号の流れを、太い実線の矢印は電力の流を示している。なお、本実施形態において、温度、圧力等は一例を示すものであって、本発明は上記数値に限定されるものではない。
【0061】
なお、この実施形態では、冷媒が前記外気熱交換器1で外気Aから熱を吸収した後に、排出口(タービン6の出口)から排出される作動媒体を冷却するように構成してある。(図1参照。)
【0062】
このように構成することで、冬場のように外気Aの温度が低く(例えば気温7℃)、外気Aの温度が、排出口(タービン6の出口)から排出される作動媒体の温度(第2実施例の場合で、例えば40℃)より低い場合などは、外気Aと冷媒(例えば−10℃)との温度差が大きい状態で、冷媒が外気熱交換器1において外気Aの熱を吸収して、冷媒の温度が多少上昇(例えば7℃程度に上昇)した後であっても、冷媒はさらに、冷却部7において作動媒体(例えば40℃)からの熱を吸収することができるから、ヒートポンプにおける成績係数(COP)が高くなり、効率の良い(高い)発電システムが構成できる。
【0063】
ここで、図2、図3を用いて、タービン6に入力された熱力学的エネルギから発電機Gによる発電エネルギへの変換効率(発電効率η)、および、CO2ヒートポンプサイクルのCOP(成績係数)に基づく発電システム全体のエネルギ収支について説明を加える。
【0064】
図2は、実施例における発電機Gの効率を示す図であり、タービン6の導入口と排出口との圧力差(導入口の圧力−排出口の圧力)とタービン6に入力された熱力学的エネルギから発電機Gによる発電エネルギへの変換効率(発電効率η)の実測によって得られた一例を表している。
図2は、タービン6の導入口と排出口との圧力差が0.3MPa以上であれば0.4以上の発電効率ηが得られることを示している。
【0065】
図3は、ヒートポンプのCOP(成績係数)を示す図であり、CO2ヒートポンプサイクルにおける外気Aの温度t1と作動媒体熱交換器3によって加熱されて作動媒体熱交換器3から流れ出る作動媒体の温度t2との関係関し、実測によって得られた一例を表している。
なお、図3では、凝縮器7で作動媒体を冷却する際に熱エネルギを得て冷媒CO2の温度が上昇することによる影響は加味されておらず、凝縮器7で作動媒体を冷却する際に冷媒が得る熱エネルギがゼロとしたCOPを表している。
図3は、t2−t1=83℃以下のときにはCOPが3以上になることを示しており、これは、外気温7℃の場合、作動媒体熱交換器3から流れ出る作動媒体の温度t2を90℃以下にすれば、凝縮器7で作動媒体を冷却する際に冷媒が得る熱エネルギがゼロであってもCOPが3以上になることを示している。
【0066】
もちろん、凝縮器7で作動媒体を冷却する際に冷媒CO2が熱エネルギを得て冷媒CO2の温度が上昇する場合には、タービン6からの排熱をヒートポンプが回収することによりCOPはさらに大きな値となる。
【0067】
上述のように、CO2ヒートポンプサイクル、および、作動媒体をn−ブタンとした作動媒体発電サイクルを構成した場合、上述のようにCO2ヒートポンプのCOP(成績係数)が3の場合、圧縮機2の入力が例えば2kWのとき、作動媒体が得るエネルギ率(仕事率)は6kWであるから、タービン6〜発電機Gの発電効率が0.65のとき発電機Gにより発電される電力は、3.9kWである。
したがって、圧縮機2の消費電力の2kWに加え、ポンプ5(循環手段)とその他のアクチュエータおよび制御部CONTにおける消費電力と配管損失等のロスを考慮して0.2kWの消費電力を余分に見込んでも、3.9−2−0.2=1.7[kW]の電力を当該発電システム外に供給することが可能である。
【0068】
〔バーナ(補助熱源H)の加熱による効果と効率への影響〕
バーナの加熱により、作動媒体を十分な過熱蒸気とすることができるから、タービン6内において作動媒体が湿り蒸気になることによる悪影響が低減できる。
【0069】
また、沸点が多少高い作動媒体であってもバーナ(補助熱源H)の加熱により気化できるから、CO2ヒートポンプの特性に起因する条件に応じて作動媒体を選定する際の条件が緩和され、様々な作動媒体が使用可能となる。
【0070】
バーナが作動媒体を加熱した後の排ガス(残存する排熱)は、凝縮器7(冷却部)において熱を得た後の冷媒の加熱に用いられ、冷媒を加熱した後の排ガス(残存する排熱)の温度は35℃程度まで低下するから、高効率となる発電システムが構成可能であり、例えば、補助熱源Hとして天然ガスを燃料とするガスバーナを用いた場合には、該ガスバーナの加熱による熱効率は、高位発熱基準で95%となる高効率に構成可能である。
【0071】
したがって、補助熱源H(バーナ)へのインプットを2kW(1720kcal/h)とした場合、作動媒体に与えられる仕事率は、2×0.95=1.9kWとなり、さらにこれが、0.65の発電効率によって1.235kWの電力に変換されるから、上述のCO2ヒートポンプによって当該発電システム外に供給することが可能な1.7kWにさらにこの1.235kWを加えた2.935kWの電力がシステムによって得られる供給可能電力となる。
したがって、総合的な効率は、
2.935kW(供給可能電力)/2kW(補助熱源Hへのインプット)=約1.5
となり、多少のCO2の排出を伴うものの高効率な発電が可能であり、CO2の排出量を大幅に減少できるものである。
【0072】
もちろん、補助熱源Hを用いない場合には、CO2の排出量がゼロであることはいうまでもない。
【0073】
〔別実施形態〕
以下、別実施形態を列記する。
[別実施例1]
第1実施形態や第2実施形態のように、モータバルブ8の開度の調節により圧力センサPS(図示せず)の検出圧力が一定(本実施例では0.6MPa)に保つようにするのではなく、モータバルブ8は備えず、制御部CONTからの指令によりポンプ5の速度制御を行うことで圧力センサPS(図示せず)の検出圧力p1と第2圧力センサPS2(図示せず)の検出圧力p2との差圧(=p1−p2)が一定(本実施例では0.6MPa)に保たれるようにすることも可能である。このようにした場合、作動媒体用の配管回路圧力損失が低減できる。この場合のポンプ5の駆動用モータMTとしては、DCブラシレスモータを用いることで速度制御を容易に行うことが可能である。
【0074】
また、ポンプ5の駆動用モータとして一般に普及しているACモータを用いる場合であっても制御部CONTにおけるモータM用の駆動回路をVVVF(可変電圧、可変周波数)インバータで構成しておくことにより優れた速度制御性が得られ、圧力センサPS(図示せず)の検出圧力p1と第2圧力センサPS2(図示せず)の検出圧力p2との差圧を一定(0.6MPa程度以上の値が好ましい)に保つ制御を制度よく行うことができる。
【0075】
[別実施例2]
実施形態として、バッテリーBを搭載しないシステムも可能である。
この場合、第1実施形態や第2実施形態におけるバッテリーBの箇所は単なるDCリンクLNとしておき外部電源供給用インバータINV2に代え、外部商用電力系統EXPWからリンクに電力供給可能で、かつ、DCリンクLNから外部商用電力系統EXPWに対し逆潮流可能なパワーコンディショナーPWCNを備えることで、本システムで得られる電力と本システム外部での消費電力に差が生じた場合にも問題なく用いることができるシステムとなる。
【0076】
また、DCリンクLNと並列にバッテリーBを搭載しておき、バッテリーBから外部電源供給用インバータINV2に給電するように構成することも可能で、この場合、外部商用電力系統EXPWで停電があった場合でも、外部電源供給用インバータINV2から安定して電力供給が継続できるものとなる。
【0077】
[別実施例3]
CO2以外の冷媒を用いても良い。
【0078】
[別実施例4]
また、作動媒体はブタンに限定されず、作動媒体を単体の有機化合物、または、複数の異なる種類の有機化合物の混合物で構成することにより、作動媒体熱交換器3からスクリュータービン6に導かれる作動媒体に含まれる蒸気と気体の比率を変更することができるものであり、作動媒体は適宜変更可能である。
【0079】
[別実施例5]
図1において、ポンプ5を出力が可変制御可能な作動媒体用圧縮機に置き換え、スクリュータービンの吐出口(排出口)からは作動媒体が液相を含む気体が排出されるようにスクリュータービンの吐出口(排出口)の圧力(前述の第2圧力センサPS2(図示せず)における検出圧力p2)が低くなるように運転条件を設定しておくことも可能である。
【0080】
この場合、作動媒体サイクルにおける効率は低下するものの、凝縮器7が不要となり、また、凝縮器7が不要となることに伴い配管も簡素化され、作動媒体として複数の炭化水素などによる混合物が使用されて作動媒体を液体とすることが困難な場合にも、作動媒体用圧縮機により作動媒体の送出を確実に行えるものとなる。
【0081】
[別実施例6]
第1実施形態では、作動媒体をブタンとしてタービン6をスクロールタービンとする実施例を示したが、タービン6をスクリュータービンとするなど適宜変更可能である。
【0082】
さらに、タービン6として他の形式の容量型タービンを用いる等、作動媒体とタービン6は適宜選択可能である。
【0083】
[別実施例7]
上記第1実施形態や第2実施形態では、圧縮機2、ポンプ5、制御部CONTなど用の、本発電システムで消費される電力(総和電力)として、発電機Gによって発電した電力が供給されているが、圧縮機2、ポンプ5、制御部CONTなど用の、本発電システムで消費される電力を本発電システム外部から供給してもよい。
【0084】
なお、上記の各実施例において、外気熱交換器1における外気Aと作動媒体との熱交換を促進する送風機を設ける場合、該送風機の運転に伴う消費電力(総和電力)の増加分よりも、熱交換の促進によるヒートポンプのCOP上昇に伴う発電電力の増加分が大きくなる場合は、真発生電力Wzが大きくなることになるから、効率の良い発電システムを構成するために、上記送風機を備えて該送風機を適宜運転することは言うまでもない。
【符号の説明】
【0085】
1 外気熱交換器
2 圧縮機
3 作動媒体熱交換器
4 膨張弁
5 ポンプ(循環手段)
6 タービン(スクロールタービン)
7 凝縮器(冷却部)
8 モータバルブ
A 外気
B バッテリー
CH 逆止弁
CONT 制御部
LN DCリンク
EXPW 外部商用電力系統
G 発電機
H 補助熱源
INV1 圧縮機用インバータ
INV2 外部電源供給用インバータ
PS 圧力センサ
PS2 第2圧力センサ
R レギュレータ
TH 温度検出器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒加熱流路を備えシステムの外部からの熱を吸収し冷媒加熱流路を流れる冷媒に伝え冷媒を気化する外気熱交換器と、前記冷媒加熱流路の出口からの前記冷媒を圧縮する圧縮機と、圧縮された前記冷媒により作動媒体を加熱する作動媒体熱交換器と、作動媒体を加熱した後に前記作動媒体熱交換器から排出される前記冷媒を回収し前記外気熱交換器の冷媒加熱流路の入口に導く回収経路と、を備え、前記外気熱交換器と前記圧縮機と前記作動媒体熱交換器の冷媒流路と前記回収経路と前記冷媒とからなるヒートポンプを構成し、
さらに、導入口と排出口を具備するタービンを備え、前記作動媒体熱交換器の作動媒体流路を流れる前記作動媒体が前記ヒートポンプによる加熱により気化され、気化された後に前記作動媒体流路の出口から排出される前記作動媒体が前記導入口に導入され前記排出口から排出されることで、気化された前記作動媒体の持つ熱エネルギによって前記タービンに動力が与えられ、前記動力により発電を行う発電機を備え、前記排出口から排出される前記作動媒体を前記作動媒体流路の入口に送出する循環手段を備え、前記作動媒体流路と前記タービンと前記循環手段と前記発電機とからなる作動媒体発電サイクル部を構成し、
前記ヒートポンプと前記作動媒体発電サイクル部とを制御する制御部を備え、
前記圧縮機を駆動するための圧縮機駆動電力、および、前記循環手段を駆動するための循環手段駆動電力、および、前記制御部に供給される制御部用電力としての電力が供給され、
前記圧縮機駆動電力と前記循環手段駆動電力と前記制御部用電力との総和である総和電力より、前記発電機により発電される発電電力が大きくなるように設定される運転条件である真発生電力獲得条件で運転されるように構成されている発電システムであって、
90℃における飽和蒸気圧の絶対圧が0.3MPa以上である有機化合物を前記作動媒体とし、前記冷媒をCO2とし、前記タービンをスクロールタービンまたはスクリュータービンとし、
前記真発生電力獲得条件が、前記導入口における前記作動媒体の温度である導入口温度を略90℃として、かつ、前記導入口における前記作動媒体の圧力である導入口圧力を前記導入口温度における前記作動媒体の飽和蒸気圧以下にした運転条件に設定されることを特徴とする発電システム。
【請求項2】
前記導入口に導入される前の前記作動媒体を加熱する補助熱源を具備することを特徴とする請求項1記載の発電システム。
【請求項3】
前記補助熱源が前記導入口に導入される前の前記作動媒体を加熱した後において残存する排熱によって、前記回収経路を流れる冷媒を加熱することを特徴とする請求項2記載の発電システム。
【請求項4】
前記回収経路を流れる冷媒が前記外気熱交換器によってシステムの外部からの熱を吸収した後に、前記排出口から排出される前記作動媒体を前記冷媒によって冷却する冷却部を備えることを特徴とする請求項1〜3記載の発電システム。
【請求項5】
前記作動媒体流路から前記循環手段への前記作動媒体の逆流を阻止する逆止弁を具備することを特徴とする請求項1〜4記載の発電システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−251456(P2012−251456A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−123235(P2011−123235)
【出願日】平成23年6月1日(2011.6.1)
【出願人】(710005061)
【Fターム(参考)】