説明

発電装置、発電方法及び発電システム

【課題】光源から照射される可視光を利用して、可視光応答性光触媒材料により、水素源と酸素とから効率良く電気を発生させる又はプロトン及び電子を蓄積することができる発電装置の提供。
【解決手段】光源から照射される可視光を利用して、水素源と酸素から発電する発電装置である。発電装置は、第1電極10、プロトン伝導部20、第2電極30、電子蓄積部40、プロトン蓄積部50及びスイッチ60を備え、プロトン伝導部は、第1電極及び第2電極で狭持されており且つプロトン蓄積部と接合されており、第1電極と第2電極とは、第1電極側から、電子蓄積部と、第1電極及び第2電極を電気的に接続し得るスイッチと、をこの順に介して電気的に接続されており、第1電極は、第1電気伝導材料と可視光応答性光触媒材料と電荷分離材料とを含有し、第2電極は、第2電気伝導材料と金属材料とを含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電装置、発電方法及び発電システムに係り、更に詳細には、光源から照射される可視光を利用して、水素を構成元素として有する化合物を含む水素源と酸素とから電気を発生させる、又はプロトン及び電子として蓄積することができる発電装置、発電装置を用いた発電方法、及び発電装置を備えた発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、移動体から排出されるガス問題や燃料資源の枯渇が心配されている。
そこで、近年では、水素(H)と酸素(O)を燃料とする燃料電池の開発研究がなされている。
但し、燃料とする水素(H)をどのように製造し、移動体にどのように搭載するかについては、多くの課題があった。
【0003】
その解決策として、メタノールを搭載して、直接的に電極で、メタノールを分解してプロトンの形で利用するダイレクトメタノール方式の燃料電池が提案されている(特許文献1参照。)。
この燃料電池の単セル(以下、「燃料電池セル」という。)は、特殊なプラスチックからなる電解質層を、左右から二つの電極で挟んだ構造となっている。
【特許文献1】特開2004−71311号公報
【0004】
また、この燃料電池では、一方の電極、即ち燃料極側に燃料である水素(H)が供給されると、電極が有する触媒作用によって水素(H)はプロトン化され、このプロトンが電解質層を経て他方の電極、即ち空気極側に至る。
【0005】
この空気極側には、酸化剤である酸素が供給されているので、プロトンは、そこで酸素と出会って反応して、水が生じる。
この反応の際、電子が燃料極側から空気極側に絶えず移動するため、回路には電流が流れることになる。
こうして燃料電池セルは電力を発生させる。
【0006】
一方、燃料電池の研究とともに、太陽光の有効活用として色素増感太陽電池の研究がされてきた。
この色素増感太陽電池は、主に、一対の透明基板、一対の電極を構成する透明導電膜、電極間に挟持された、光電変換材料である半導体層及びキャリア輸送層とから構成されている。また、半導体層は、その表面に、可視光領域に吸収スペクトルを有する増感色素を吸着させている。
【0007】
かかる太陽電池において、半導体層に可視光が照射されると、半導体層表面上の増感色素が光を吸収することにより、色素分子内の電子が励起され、励起電子が半導体層へ注入される。
半導体層に注入された電子は、一方の電極から電気回路を通って他方の電極に移動する。
他方の電極に移動した電子は、キャリア輸送層中のホール又はイオンによって運ばれ、半導体層に戻る。
このような過程が繰り返されて電気エネルギーが取出される。
【0008】
具体的には、ルテニウム錯体などの増感色素が吸着された太陽電池が提案されている(特許文献2及び3参照。)。
【特許文献2】特開平1−220380号公報
【特許文献3】国際公開公報WO91/16719号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1に記載の技術では、燃料極及び空気極の電極においても貴金属(Pt)を使い、燃料極では、COの被毒の問題も発生するという問題がある。
また、メタノールがプロトン伝導膜を通らないようにするための付加的膜が追加される必要がある。
【0010】
一方、特許文献2及び3に記載の技術では、太陽電池は、十分に色素で発生した電子とホールの電荷分離を効率良く行えず、電子とホールの再結合が起こるため、太陽電池の変換効率は10%程度にしかならない。
また、ルテニウム錯体を使用するため高額になり、製造方法も複雑で、工業的に普及しにくい。
更に、太陽光からの光照射量に対応して、発電量が大きく変動し、特に光が当たらなくなると、発電できなくなるという問題点があった。
【0011】
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、光源から照射される可視光を利用して、可視光応答性光触媒材料により、水素を構成元素として有する化合物を含む水素源と酸素とから効率良く電気を発生させる、又はプロトン(H)及び電子(e)として蓄積することができる発電装置、発電装置を用いた発電方法、及び発電装置を用いた発電システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、水素(H)を構成元素として有する化合物を含む水素源と可視光応答性光触媒材料とを接触させ、光源からの可視光を該可視光応答性光触媒材料に照射し、該水素源からプロトン(H)と電子(e)を生成し、得られたプロトン(H)の流れ及び電子(e)の流れを制御して、これらを酸素(O)と反応させ、発電量を制御することなどにより、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
即ち、本発明の発電装置は、光源から照射される可視光を利用して、水素(H)を構成元素として有する化合物を含む水素源と酸素から発電する発電装置である。
かかる発電装置は、第1電極と、プロトン伝導部と、第2電極と、電子蓄積部と、プロトン蓄積部と、スイッチとを備え、該プロトン伝導部は、該第1電極及び該第2電極で狭持されており、且つ該プロトン蓄積部と接合されており、該第1電極と該第2電極とは、該第1電極側から、該電子蓄積部と、該第1電極及び該第2電極を電気的に接続し得る該スイッチと、をこの順に介して電気的に接続されており、該第1電極は、第1電気伝導材料と可視光応答性光触媒材料と電荷分離材料とを含有し、該第2電極は、第2電気伝導材料と金属材料とを含有することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の発電方法は、上記本発明の発電装置を用いた発電方法であって、水素(H)を構成元素として有する化合物を含む水素源と可視光応答性光触媒材料とを接触させ、光源からの可視光を該可視光応答性光触媒材料に照射し、該水素源からプロトン(H)と電子(e)を生成し、得られたプロトン(H)の流れ及び電子(e)の流れを制御して、酸素(O)と反応させ、発電量を制御することを特徴とする。
【0015】
更に、本発明の発電システムは、上記本発明の発電装置を用いた発電システムであって、該発電装置と、該発電装置へ水素を構成元素として有する化合物を含む水素源を供給する供給手段と、該発電装置へ酸素を供給する供給手段と、該発電装置から酸素を排出する排出手段と、該発電装置から水を排出する排出手段と、該発電装置への水素を構成元素として有する化合物を含む水素源の供給量を制御する制御手段と、該発電装置への酸素の供給量を制御する制御手段と、該発電装置からの水の排出量を制御する制御手段と、該発電装置からの酸素の排出量を制御する制御手段と、該発電装置への光源からの可視光の照射量を制御する制御手段と、該発電装置のスイッチのオン・オフ状態を制御する制御手段と、を備え、該スイッチのオン・オフ状態制御手段が、断続的に該スイッチのオン・オフの制御を行なうことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、水素(H)を構成元素として有する化合物を含む水素源と可視光応答性光触媒材料とを接触させ、光源からの可視光を該可視光応答性光触媒材料に照射し、該水素源からプロトン(H)と電子(e)を生成し、得られたプロトン(H)の流れ及び電子(e)の流れを制御して、これらを酸素(O)と反応させ、発電量を制御することなどとしたため、光源から照射される可視光を利用して、可視光応答性光触媒材料により、水素(H)を構成元素として有する化合物を含む水素源及び酸素から効率良く電気を発生させる、又はプロトン(H)及び電子(e)として蓄積することができる発電装置、発電装置を用いた発電方法、及び発電装置を用いた発電システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の発電装置について詳細に説明する。
上述の如く、本発明の発電装置は、光源から照射される可視光を利用して、水素(H)を構成元素として有する化合物を含む水素源と酸素とから電気を発生する発電装置であって、第1電極と、プロトン伝導部と、第2電極と、電子蓄積部と、プロトン蓄積部と、スイッチとを備え、該プロトン伝導部は、該第1電極及び該第2電極で狭持され、且つ該プロトン蓄積部と接合され、該第1電極と該第2電極とが、該第1電極側から、該電子蓄積部と、該第1電極及び該第2電極を電気的に接続し得る該スイッチと、をこの順に介して電気的に接続されるものである。
【0018】
そして、かかる第1電極は、第1電気伝導材料と可視光応答性光触媒材料と電荷分離材料とを含有し、かかる第2電極は、第2電気伝導材料と金属材料とを含有する。
【0019】
このような構成とすることにより、可視光応答性光触媒材料を光源から照射される可視光により活性化させながら、水素(H)を構成元素として有する化合物を含む水素源を当該可視光応答性光触媒材料に接触させ得るので、スイッチがオンの状態である場合には、電気を効率良く発生させることができ、スイッチがオフの状態である場合には、電子(e)を電子蓄積部に、またプロトン(H)をプロトン蓄積部に、それぞれ蓄積することができる。
【0020】
また、蓄積した状態からスイッチをオンの状態とすると、光源から光が照射されていない場合であっても電気を発生させることができる。
【0021】
更に、上記したように、蓄電する際に、電子(e)とプロトン(H)の状態で蓄積することができるため、システムを構築した際に、必ずしもニッケル水素電池やリチウムイオン電池のような蓄電装置を必要とせず、また、蓄電装置を配設する場合にもその蓄電装置を小型化することができる。
【0022】
また、水素源から電気を得る際に利用するエネルギー源が従来より縮小化される。
具体的には、電気を発生させるために外部電源によって印加を行うことを必ずしも必要とせず、発電装置を更に小型化することができる。
更にまた、高価な半導体薄膜を必ずしも利用する必要がないことやルテニウム錯体を必ずしも利用する必要がないことも相俟って、安価且つ耐久性を有するように設計することができるため、自動車などの移動体へ搭載することが容易になる。
【0023】
また、本発明においては、第1電極と電子蓄積部との間に、電流検出器を備えていてもよい。
このような電流検出器は、スイッチがオンの状態の場合には、電気の発生量を測定することができ、また、スイッチがオフの状態の場合には、電子蓄積部における大体の電子蓄積量を推測することができる。
そして、このような測定値や推測値に基づいて、発電装置の制御を実行することにより、より効率良く電気を発生させることができる。
【0024】
更に、本発明においては、光検出器を備えていてもよい。
ここで、光検出器とは、いわゆる光センサーであって、光源から発電装置、より望ましくは第1電極、更に望ましくは可視光応答性光触媒材料に照射される可視光を検出し、その照射量を測定することができるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、フォトダイオードなどを用いることができる。
そして、このような光検出器の測定値に基づいて、発電装置の制御を実行することにより、より効率良く電気を発生させることができる。
【0025】
ここで、本発明の発電装置を図面を用いてより詳細に説明する。
図1は、本発明の発電装置の一例を示す概略図である。同図に示すように、発電装置1は、第1電極10と、プロトン伝導部20と、第2電極30と、電子蓄積部40と、プロトン蓄積部50と、スイッチ60と、電流検出器70と、光検出器80とを備える。
また、プロトン伝導部20は、第1電極10及び第2電極30に狭持され、更にプロトン蓄積部50と接合されている。
更に、第1電極10と第2電極30とが、第1電極10側から電流検出器70と、電子蓄積部40と、第1電極10及び第2電極30を電気的に接続し得るスイッチ60と、を介して配線wにより接続されている。
なお、図1は、スイッチ60がオフの状態である場合を示している。
【0026】
そして、光源から矢印aで示すように可視光を照射させることにより、第1電極10に含有される可視光応答性光触媒材料(図示せず。)を光源から照射される可視光により活性化させながら、水素源の一例である水(HO)を矢印bで示すように該可視光応答性光触媒材料に供給し接触させることによって、第1電極10において電子(e)(図示せず。)とプロトン(H)(図示せず。)と矢印cで示すように酸素(O)を生成し、得られた電子(e)は電流検出器70を通り、電子蓄積部40に蓄積される一方、得られたプロトン(H)はプロトン伝導部20を通り、プロトン蓄積部50に蓄積される。
また、図1には、スイッチ60がオンの状態である場合を示さないが、その場合には、破線の矢印dで示すように、例えば空気中の酸素(O)が供給され、第2電極30から破線の矢印eで示すように、水(HO)が生成する。なお、詳細については後述する。
【0027】
また、本発明においては、備える電子蓄積部は、電子(e)を蓄積することができればその材料や形状について特に限定されるものではないが、ポリマー、金属又は金属酸化物、及びこれらの任意の組合わせに係る電子蓄積材料と、絶縁性材料とから成り、該電子蓄積材料が、該絶縁性材料に覆われた構造を有することが望ましい。
そして、電子蓄積材料の電子構造としては、電子が蓄積でき且つ流れ易いように、導電性を有することが望ましい。
【0028】
上記電子蓄積材料であるポリマーとしては、特に限定されるものではないが、例えばドーピングしたポリアニリンやポリピロール、ポリチオフェンなどの導電性ポリマーを挙げることができる。
また、電子蓄積材料である金属としては、特に限定されるものではないが、例えば銅(Cu)や鉄(Fe)、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)などを挙げることができる。
更に、電子蓄積材料である金属酸化物としては、特に限定されるものではないが、例えば三酸化タングステン(WO)や酸化ニッケル(NiO)、酸化銅(CuO)などを挙げることができ、耐久性や電子蓄積能力などの観点からWOを用いることが望ましい。
【0029】
上記絶縁性材料としては、特に限定されるものではないが、軽量であり、形状を自由に設計することができる、更に透明であるという観点から、例えばポリカーボネートやポリエチレンテレフタレートなどの絶縁性ポリマーを好適に用いることができる。
【0030】
図2に、本発明の発電装置が備える電子蓄積部の一例の概略的な断面形状を示す。同図に示すように、電子蓄積部40は、電子蓄積材料42の一例であるWOを例えばポリカーボネートのような絶縁性材料44の一例である絶縁ポリマーで覆われた構造を有している。
なお、電子蓄積材料42は配線wにより、図示しない第1電極やスイッチと電気的に接続されている。
【0031】
更に、本発明においては、備えるプロトン蓄積部は、プロトン(H)を蓄積することができればその材料や形状について特に限定されるものではないが、固体高分子、ガラス又は金属酸化物、及びこれらの任意の組合せに係るプロトン蓄積材料と、プロトン流出防止材料とから成り、該プロトン蓄積材料が、該プロトン流失防止材料に覆われた構造を有することが望ましい。
【0032】
上記プロトン蓄積材料である固体高分子としては、特に限定されるものではないが、例えばナフィオン(登録商標、デュポン社製)などのプロトン伝導膜を挙げることができる。
また、プロトン蓄積材料であるガラスとしては、特に限定されるものではないが、例えばリン酸塩ガラスなどのプロトン伝導膜を挙げることができる。
更に、プロトン蓄積材料である金属酸化物としては、特に限定されるものではないが、例えば三酸化タングステン(WO)や酸化ニッケル(NiO)、酸化銅(CuO)などを挙げることができ、耐久性やプロトン蓄積能力などの観点からWOを用いることが望ましい。
【0033】
上記プロトン流出防止材料としては、特に限定されるものではないが、軽量であり、形状を自由に設計すること、更に透明であることという観点から、例えばポリカーボネートやポリエチレンテレフタレートなどのプロトン流出防止ポリマーを好適に用いることができる。
【0034】
ここで、備える電子蓄積部やプロトン蓄積部は、キャパシタ構造を有していることが電子(e)及びプロトン(H)の蓄積量を増加させることができるという観点から望ましい。
例えば、発電装置自体の構造によって、キャパシタ構造を構築してもよく、発電システムを構築する際に、複数の発電装置の配置によって、キャパシタ構造を構築してもよい。
【0035】
更にまた、本発明の発電装置が備えるスイッチの一例の構成を説明する。図3は、FETを用いて構成したスイッチの一例の概略的な断面形状を示す説明図である。同図に示すように、基板61上にチャネル62、ソース63、ドレイン64、絶縁体層65及びゲート66が形成されており、絶縁体層65以外は、導電体で形成されている。
無機半導体及び有機半導体FETのいずれを用いてもよく、無機半導体であるMOSFETの場合は、以下のように機能する。
ゲート66にプラス電圧を加えてから絶縁体層65を隔てて絶縁体層65の底の部分に、P形シリコン中の電子が引き寄せられ、ドレイン64−ソース63間に電子で出来た細い道が形成される。するとこれが電流の通り道となり、ドレイン64−ソース63間が導通する。電圧を加えるのを止めると、ドレイン64−ソース63間が導通しなくなる。また、構成材料に違いがあるもののペンタセンに代表される有機半導体FETも同様に動作する。
【0036】
そして、上記FETのスイッチのソース63とドレイン64にそれぞれ図示しない電子蓄積部の出力配線、第2電機伝導材料への配線を接合させ、また、図示しない外部の制御装置からの信号配線をゲートに接合させて、スイッチとして用いることができる。
【0037】
次に、本発明の発電装置における電子状態及び電子(e)の流れを説明する。
第1電極10において生成した電子(e)は、電子蓄積部40に移動し、更に第2電極30に移動する一方、第1電極10において生成したプロトン(H)は、プロトン伝導部20に移動し、更に第2電極30に移動する。
【0038】
また、上述のように電子(e)とプロトン(H)の流れ、特に電子(e)の流れをスムーズなものとし、発電を効率良くするためには、第1電極10、電子蓄積部40及び第2電極30における電子状態は、各部における構成要素間のエネルギー準位の高さを比較した場合に、下記の[1]及び[2]の関係が成立していることが望ましい(詳しくは後述する図4〜8を参照。)。
【0039】
[1](可視光応答性光触媒材料の価電子帯の上端)<(電荷分離材料におけるプラズモン吸収を示す微粒子のプラズマ吸収可能な基底状態や色素の光吸収時の基底状態のエネルギー準位)
[2](可視光応答性光触媒材料の伝導帯の下端)>(電荷分離材料におけるプラズモン吸収を示す微粒子のプラズマ吸収による励起状態や色素の光吸収時の励起状態のエネルギー準位)>(第1電気伝導材料(金属材料の場合:フェルミ準位、半導体の場合:伝導帯の下端))≧(電子蓄積部(金属材料の場合:フェルミ準位、半導体の場合:伝導帯の下端))≧(第2電気伝導材料(金属材料の場合:フェルミ準位、半導体の場合:伝導帯の下端))>(第2電極の金属材料のフェルミ準位)
【0040】
上述のような関係が成立する場合には、大きく分けて電子(e)は次のような2つの流れ方をする。
即ち、可視光応答性光触媒材料で生成した電子(e)が電荷分離材料を介してから第1電気伝導材料に流れる場合と可視光応答性光触媒材料で生成した電子(e)が第1電気伝導材料に直接流れる場合がある。
【0041】
まず、前述の場合に、可視光応答性光触媒材料への可視光の照射により、当該可視光応答性光触媒材料において生じたホール(正孔)、更に電子(e)とプロトン(H)の流れにより、発電するメカニズムを説明する。
【0042】
なお、上記可視光応答性光触媒材料と上記電荷分離材料のそれぞれは、1種又は複数種を適宜混合して使用することができる。
このとき、可視光応答性光触媒材料における光吸収で生成された電子(e)とホール(正孔)が再結合しないようにするため、可視光応答性光触媒材料のバンドギャップと電荷分離材料のバンドギャップ(遷移エネルギー)を調整することが望ましい。
言い換えれば、可視光応答性光触媒材料における電子(e)を放出する電位(伝導帯のエネルギー準位)が、電荷分離材料にできたホールに当該電子(e)が入る電位(プラズマ吸収可能な基底状態や色素の光吸収時の基底状態のエネルギー準位)より高く、電荷分離材料のプラズマ吸収による励起状態や色素の光吸収時の励起状態のエネルギー準位は、可視光応答性光触媒材料の伝導帯のエネルギー準位より低く、更に、電荷分離材料のバンドギャップ(遷移エネルギー)は、可視光応答性光触媒材料のバンドギャップより小さいことが望ましい。
【0043】
図9は、上述の如き、好適な関係を有する可視光応答性光触媒材料と電荷分離材料の吸収スペクトルの一例を示すグラフである。
なお、図9に示すにように、電荷分離材料はそれ自体でプラズモン吸収を示している。
【0044】
また、図4は、上述の如き、好適な関係を有する第1電極(可視光応答性光触媒材料と電荷分離材料と第1電気伝導材料)と電子蓄積部と第2電極(第2電気伝導材料と金属材料)における電子状態及び電子とホールの流れの一例を示す説明図である。
図4に示すように、第1電極において、可視光応答性光触媒材料に可視光が照射され、電子(e)が励起され、励起電子(e)とホール(正孔)が生成する。
【0045】
このとき、例えば水素源の一例である水(HO)(図示せず。)が可視光応答性光触媒に接触すると、水(HO)はホールを受け取って、酸素(O)が発生する。
また、可視光応答性光触媒材料に生成した電子(e)は、電荷分離材料のプラズマ吸収可能な基底状態や色素の光吸収時の基底状態に入ることによって、ホール(正孔)が消失し、電荷分離材料に生成した電子(e)は、第1電気伝導材料に移動する。若しくは、可視光応答性光触媒材料に生成した電子(e)は、プラズマ吸収の励起状態や色素の励起状態を直接経由して、第1電気伝導材料に移動する。
更に、この第1電気伝導材料に移動した電子(e)は、電子蓄積部に移動する。
そして、スイッチがオンの状態である場合には、この電子(e)は第2電極へ移動する。一方、スイッチがオフの状態である場合には、電子蓄積部に電子(e)が蓄積される。
【0046】
更に、水(HO)から生成したプロトン(H)はプロトン伝導部に移動する。
そして、スイッチがオンの状態である場合には、このプロトン(H)は第2電極へ移動する。一方、スイッチがオフの状態である場合には、プロトン蓄積部にプロトン(H)が蓄積される。
【0047】
この結果、第1電極では、次式(1)に示す反応が起こる。
【0048】
2HO→O+4H+4e…(1)
【0049】
また、第2電極では、プロトンと電子と酸素によって、次式(2)に示す反応が起こり、水(HO)が生成する。
【0050】
+4H+4e→2HO…(2)
【0051】
以上の結果、発電装置によって電気を発生させることができる。
【0052】
なお、後述の場合には、含有させた電荷分離材料が利用されていないが、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。具体的には、上述したように、第1電極において、可視光応答性光触媒材料に可視光が照射され、電子(e)が励起され、励起電子(e)とホール(正孔)が生成する。
このとき、例えば水素源の一例である水(HO)が可視光応答性光触媒に接触すると、水(HO)はホール(正孔)を受け取って、酸素(O)が発生する。
また、可視光応答性光触媒材料に生成した電子(e)は、第1電気伝導材料に移動する。以降は上述した場合と同様の電子(e)及びプロトン(H)の流れ方よって、電子(e)及びプロトン(H)が蓄積され、プロトンと電子と酸素によって、発電装置によって、電気が発生し、水(HO)が生成する。
【0053】
図5〜8の場合も、図4の場合と同じように第1電極から第2電極に向かって電子は流れことができる。
但し、電荷分離材料、第1電気伝導材料、電子蓄積部、第2電気伝導材料にどのような材料(電子構造の違う材料)を選択するかによって、電子の流れ方は異なる。
【0054】
電荷分離材料、第1電気伝導材料(導電性ガラス)、電子蓄積部(導電性ポリマーや三酸化タングステン(WO)のような半導体の場合)のエネルギー準位に関して更に電子の流れを詳しく説明する。
電荷分離材料から放出された電子は、第1電気伝導材料の伝導帯に移動する。次にスイッチがオンの状態のときには、電子は一旦電子蓄積部の伝導帯に移動し、第2電極に移動する。
【0055】
スイッチがオフの状態のときには、電子蓄積部において、第1電気伝導材料の伝導帯の下端のエネルギー準位に相当するエネルギー準位まで電子を蓄積できる。
更に、スイッチがオフの状態からオンの状態にすると、この電子が第2電極に向かって流れる。
【0056】
次に、第1電極の構造について説明する。
第1電極においては、上記式(1)の反応が進行する限り、第1電気伝導材料、可視光応答性光触媒材料、電荷分離材料の3成分を種々の態様で含有できる。
【0057】
例えば、図10に示すように、第1電気伝導材料、可視光応答性光触媒材料及び電荷分離材料を混合分散させた単層11から構成できる。
このときは、上記3成分を均一分散させることができる。また、プロトン伝導部側に第1電気伝導材料を多く含め、表層側(水素源に接する層)に可視光応答性光触媒材料を多く含めることもできる。
【0058】
また、図11に示すように、第1層12と第2層13を順にプロトン伝導部に積層して構成することができる。
このときは、第1層12が第1電気伝導材料から成り、第2層13が可視光応答性光触媒材料と電荷分離材料とを混合分散して成ることが好適である。
なお、配線(図示せず。)の一端は、プロトン伝導部に接する層(第1層)に接続するのが望ましい。
【0059】
更に、図12に示すように、第1〜第3層(12〜14)を順にプロトン伝導部に積層して構成することもできる。
【0060】
例えば、第1〜第3層(12〜14)の全てが、第1電気伝導材料、可視光応答性光触媒材料及び電荷分離材料から成り、第1層12の主成分を第1電気伝導材料とし、第2層13の主成分を電荷分離材料とし、第3層14の主成分を可視光応答性光触媒材料とすることができる。
なお、「主成分」とは、第1電気伝導材料、可視光応答性光触媒材料及び電荷分離材料の3成分を含む層であればそれらの総含有量の1/3以上、2成分を含む層であればそれらの総含有量の1/2以上を占めることをいう。
【0061】
また、第1層12が第1電気伝導材料、可視光応答性光触媒材料及び電荷分離材料から成り、主成分が第1電気伝導材料であり、第2層13が可視光応答性光触媒材料と電解分離材料から成り、主成分が電荷分離材料であり、第3層14が可視光応答性光触媒材料と電荷分離材料から成り、主成分が可視光応答性光触媒材料である、ようにすることもできる。
【0062】
更に、第1層12が第1電気伝導材料から成り、第2層13が電荷分離材料から成り、第3層14が可視光応答性光触媒材料から成る、ようにすることもできる。
可視光応答性光触媒材料を水素源に接触させるように、第1電気伝導材料をプロトン伝導部に接触させるように、電荷分離材料を可視光応答性光触媒材料と第1電気伝導材料の中間部にあるように配置することが、発電効率の観点から望ましく、このような観点から、特に第1層12が第1電気伝導材料から成り、第2層13が電荷分離材料から成り、第3層14が可視光応答性光触媒材料から成る、ようにすることが望ましい。
【0063】
以下、カーボン系と導電性ガラス系とに分けて説明する。
ここで、上記単層の第1電極を製造する際には、例えば、第1電気伝導材料と可視光応答性光触媒材料と電荷分離材料とを混合したスラリーを乾燥して、単層の第1電極を得ることができるが、これに限定されるものではない。
【0064】
また、上記2層構造の第1電極を製造する際には、特に限定されるものではないが、例えば、導電性カーボンクロスに導電性カーボン粒子又は導電性カーボン多孔体のスラリーを塗布し、乾燥し、プレスして第1層を形成し、この上に、可視光応答性光触媒材料と電荷分離材料を含んだスラリーを塗布し、乾燥し、第2層を形成して、2層構造の第1電極を得ることができる。
このとき、可視光応答性光触媒材料と電荷分離材料は均一に又は不均一に塗布することができる。
【0065】
更に、上記3層構造の第1電極を製造する際には、特に限定されるものではないが、以下のように各材料の塗布後に、乾燥処理、プレス処理、熱処理を適宜行なえばよい。
例えば、導電性カーボンクロスに導電性カーボン粒子又は導電性カーボン多孔体のスラリーを塗布し、乾燥して第1層を形成し、この上に、電荷分離材料を含むスラリーを塗布して、第2層を形成し、更にこの上に、可視光応答性光触媒材料を含むスラリーを塗布して、第3層を形成し、全体を加熱して、3層構造の第1電極を得ることができる。
【0066】
また、導電性カーボンクロスに導電性カーボン粒子又は導電性カーボン多孔体のスラリーを塗布し、乾燥し、プレスして第1層を形成し、この上に、電荷分離材料を含むスラリーを塗布し、乾燥して、第2層を形成し、更にこの上に、可視光応答性光触媒材料を含むスラリーを塗布し、乾燥し、熱処理して第3層を形成し、3層構造の第1電極を得ることができる。
【0067】
更に、導電性カーボンクロスに導電性カーボン粒子又は導電性カーボン多孔体のスラリーを塗布し、乾燥し、プレスして第1層を形成し、この上に電荷分離材料を含むスラリーを塗布し、乾燥して、第2層を形成し、更にこの上に、可視光応答性光触媒材料を含むスラリーを塗布し、乾燥して第3層を形成し、3層構造の第1電極を得ることができる。
【0068】
なお、上記乾燥処理は、特に限定されるものではないが、例えば120〜200℃、1〜2時間程度で行なうことができる。また、上記プレス処理は、特に限定されるものではないが、例えば、0.1〜40MPa程度で行なうことができる。更に、上記熱処理は、特に限定されるものではないが、例えば、400〜1200℃、2〜20時間程度で行なうことができる。
【0069】
以下、第1電極の第一電気伝導材料がITO 、FTO、CuI又はZnOを被覆した繊維状又は多孔状の導電性ガラスから選ばれた1種又は複数種を含む場合を説明する。
この場合も、ほぼ、導電性カーボンクロス、導電性カーボン粒子又は導電性カーボン多孔体と同様に製造できる。但し、導電性ガラスは比較的もろいので、プレス工程を含まないようにしたほうが良い。
【0070】
例えば、以下のように作製することができる。
上記単層の第1電極を製造する際には、例えば、第1電気伝導材料と可視光応答性光触媒材料と電荷分離材料とを混合したスラリーを乾燥して、単層の第1電極を得ることができるが、これに限定されるものではない。
【0071】
2層構造の第1電極を製造する際には、特に限定されるものではないが、例えば、繊維状又は多孔状の導電性ガラスのスラリーを塗布し、乾燥し、第1層を形成し、この上に、可視光応答性光触媒材料と電荷分離材料を含んだスラリーを塗布し、乾燥し、第2層を形成して、2層構造の第1電極を得ることができる。
【0072】
繊維状又は多孔状の導電性ガラスのスラリーを塗布し、この上に電荷分離材料を含むスラリーを塗布し、乾燥して、第2層を形成し、更にこの上に、可視光応答性光触媒材料を含むスラリーを塗布し、乾燥して第3層を形成し、3層構造の第1電極を得ることができる。
【0073】
次に、第2電極の構造について説明する。
第2電極においては、上記式(2)の反応が進行する限り、第2電気伝導材料と金属材料の2成分を種々の態様で含有できる。
【0074】
例えば、図13に示すように、第2電気伝導材料と金属材料を混合分散させた単層31から構成できる。
このときは、上記2成分を均一分散することができる。また、プロトン伝導部側に第2電気伝導材料を多く含め、裏層側(空気(酸素)と接する層)に金属材料を多く含めることもできる。
【0075】
また、図14に示すように、第1層32と第2層33を順にプロトン伝導部に積層して構成することもできる。
例えば、第1層32の主成分を第2電気伝導材料とし、第2層33の主成分を金属材料とすることができる。
なお、配線(図示せず。)の一端は、プロトン伝導部に接する層(第1層)に接続するのが望ましい。
【0076】
更に、第1層32が第2電気伝導材料から成り、第2層33が金属材料から成る、ようにすることもできる。
第2電気伝導材料をプロトン伝導部に接触させるように、金属材料をプロトン伝導部から離すように、配置することが発電効率の観点から望ましく、このような観点から、特に第1層32が第2電気伝導材料から成り、第2層33が金属材料から成る、ようにすることが望ましい。
【0077】
ここで、上記単層の第2電極を製造する際には、特に限定されるものではないが、例えば、金属材料と第2電気伝導材料を含むスラリーを乾燥させて、単層の第2電極を得ることができる。
【0078】
また、上記2層構造の第2電極を製造する際には、特に限定されるものではないが、例えば、導電性カーボンクロスに導電性カーボン粒子又は導電性カーボン多孔体のスラリーを塗布し、乾燥し、プレスして第1層を形成し、この上に金属微粒子を含むスラリーを塗布し、乾燥して、第2層を形成し、全体を熱処理して、2層構造の第2電極を得ることができる。
【0079】
更に、導電性カーボンクロスに導電性カーボン粒子又は導電性カーボン多孔体のスラリーを塗布し、乾燥し、プレスして、第1層を形成し、この上に金属微粒子を塗布し、乾燥して、第2層を形成し、2層構造の第2電極を得ることもできる。
【0080】
他方、第1電極、プロトン伝導部及び第2電極の接合は、例えば、上記第1電極と上記第2電極との間に、プロトン伝導部を配設し、プレスで圧着することにより行なうことができる。このときは、例えば0.1〜40MPa程度で行なうことができる。
【0081】
次に、第1電極の成分について説明する。
上述の如く、本発明においては、備える第1電極は、第1電気伝導材料と可視光応答性光触媒材料と電荷分離材料とを含有する。
【0082】
上記可視光応答性光触媒材料としては、可視光の照射によって、水素(H)を構成元素として有する化合物を含む水素源からプロトン(H)を生成する機能を備え、好ましくは、水素源としての水(HO)からプロトン(H)を生成し、結果として酸素(O)を生成する機能を備えれば特に限定されるものではないが、例えば、五窒化三タンタル(Ta)光触媒や窒酸化タンタル(TaON)光触媒、酸化チタン(TiO)にクロム(Cr)とアンチモン(Sb)をドープした光触媒などが挙げられる。
更に、具体的には、以下の〔1〕〜〔7〕に記載の化合物を単独で又は混合して含有するものを挙げることができる。
【0083】
〔1〕La、Ta、Nb、Ti又はZr及びこれらの任意の組み合わせに係る遷移金属を含むオキシナイトライド
〔2〕五窒化三タンタル(Ta
〔3〕ストロンチウム−チタン酸化物(SrTiO)、銀−タンタル酸化物(AgTaO)、銀−ニオブ酸化物(AgNbO)、インジウム−タンタル酸化物(InTaO)、インジウム−ニオブ酸化物(InNbO)、ビスマス−バナジウム酸化物(BiVO)、又はこれらに窒素(N)、硫黄(S)、クロム(Cr)若しくはアンチモン(Sb)、及びこれらを任意に組合わせたものをドープした金属酸化物
〔4〕硫化亜鉛(ZnS)、銅(Cu)及び/又はニッケル(Ni)をドープしたZnS
〔5〕ガリウム(Ga)酸化物、インジウム(In)酸化物、亜鉛(Zn)酸化物、銀(Ag)酸化物、ナトリウム(Na)酸化物
〔6〕Ga硫化物、In硫化物、Zn硫化物、Ag硫化物、Na硫化物
〔7〕酸化ガリウム−酸化インジウム固溶体(Ga−In
【0084】
また、上記可視光応答性光触媒材料は、平均径0.01〜50μmの微粒子から構成されることが好ましい。
このときは、光触媒で発生した正孔が水素源(例えば水等)とより反応し易くなるので有効である。
【0085】
なお、上記可視光応答性光触媒材料と共に、紫外光応答性光触媒材料を使用することもできる。例えば、酸化チタン(TiO)やタンタル酸アルカリ、タンタル酸アルカリ土類、ニオブ酸アルカリ、ニオブ酸アルカリ土類、ニオブ酸亜鉛などを挙げることができる。
【0086】
上記電荷分離材料としては、上述した可視光応答性光触媒材料で発生する電子(e)とホール(正孔)の分離・移動を行なう機能を備えれば、好ましくは可視光応答性光触媒及び当該電荷分離材料自体で発生する電子(e)とホール(正孔)の分離・移動を行なう機能を備えれば、特に限定されるものではないが、例えばプラズモン吸収を示す微粒子及び可視光領域の吸収を示す色素の一方又は双方を含有するもの挙げることができる。
現時点における可視光応答性光触媒材料は、吸収できる可視光の波長域380〜550nmと限られており、特にプラズモン吸収を示す電荷分離材料は、吸収できる可視光の波長域を拡大できるという観点から好ましく、プラズモン吸収は構成元素や微粒子のサイズによって吸収波長が異なるので、必要に応じて適宜選択することができる。
また、色素も分子構造やサイズにより、同様に吸収波長が異なるので、必要に応じて適宜選択することができる。
【0087】
また、電荷分離材料にフラーレンを添加して、電子(e)とホール(正孔)の分離・移動機能をより一層向上させることができる。
上記フラーレンとしては、例えばC60やC70、C76、C78、C82、C84、C90、C96などを挙げることができ、また、フラーレンの内部に適宜金属原子を内包して使用することもできる。
例えば、C60の場合の伝導帯と価電子帯のエネルギーギャップは、1.2eVと小さい。そのため、大きなエネルギーギャップを有する光触媒から、電子を受け取り易い。
【0088】
上記プラズモン吸収を示す微粒子としては、例えば金(Au)、銀(Ag)又は白金(Pt)及びこれらの任意の組合わせに係る合金を使用することができる。
これらは、ナノサイズのロッド状、球状のいずれか一方又は双方の形状のものを使用できる。特にAuのナノロッドが有効である。
【0089】
上記可視光応答性光触媒材料側から、プラズモン微粒子、そして第1電気伝導材料へと、発生した電子が流れやすくするように、上記可視光応答性光触媒材料側から、第1電気伝導材料へと価電子帯及び伝導帯のエネルギー準位に勾配をつけることが最善である。即ち、上記第1電極は、上記第1電気伝導材料を含有する層と上記電荷分離材料を含有する層と上記可視光応答性光触媒材料を含有する層とを順にプロトン伝導部に積層して成る構造を有し、上記可視光応答性光触媒材料を含有する層から上記第1電気伝導材料を含有する層に移行するにしたがって、当該層における各材料のバンド構造の伝導帯下端のエネルギー準位が低くなり、且つ各材料のバンド構造の価電子帯上端のエネルギー準位が高くなるものであることが望ましい。例えば、図15にプラズモン微粒子を含む層の構造とその電子構造変化の好適形態を示す。
【0090】
これは、以下の理由によるものである。
プラズモン微粒子では、このサイズや形状によって、吸収スペクトルが変化する。例えば、金の球状のナノ微粒子の場合、2〜50nmの範囲で、530nm程度のプラズモン吸収ピークを有する。
また、金のナノロッドの場合は、ロッドの長軸が10〜100nmかつ短軸が5〜50nmの範囲で、短軸に関して、プラズモン吸収ピーク位置530nmで、長軸に関して、プラズモン吸収ピーク位置820nmである。
このことから、上記サイズのプラズモン微粒子を接合させていくことで、第1電気伝導材料の電子状態にスムーズにつなげていくことが可能となる(図15のプラズモン微粒子を含む層の構造の電子構造が変化)。スムーズにつながっていることによって、各部分を構成する電子軌道が強く混成できるため、電子が移動し易くなる。
また、プラズモン共鳴によって発生した強力な電場により、電子が加速を受け、流れ易くなることも期待できる。
これによって、可視光応答性光触媒材料で生じた電子は、可視光応答性光触媒材料に逆流しないで、スムーズに第1電気伝導材料に移動でき、第2電極へ移動して行けるので、発電効率が向上できる。
また、必要に応じて、銀(プラズモン吸収ピーク位置420nm)と金(プラズモン吸収ピーク位置530nm)の割合を変えた合金から成るプラズモン微粒子を作製すれば、プラズモン吸収ピーク位置が420〜530nmまでの変化をするので、よりきめ細かなエネルギー準位の勾配の制御が可能となる。
【0091】
また、可視光領域の吸収を示す色素としては、例えばポルフィリン化合物、その金属錯体、フタロシアニン化合物又はその金属錯体、及びこれらの任意の組合わせに係るものを使用することができる。とりわけ、数個〜10個程度連結したポルフィリンを用いると、共鳴効果により、選択的に長軸方向への電子移動を促進させることができる。
【0092】
図16は、色素を含む層の構造の一例を示す概略図とその電子構造変化図である。同図に示すように、色素分子が有機系である場合、可視光応答性光触媒材料が、この有機系色素を分解するおそれがあるため、可視光応答性光触媒材料に対して、色素分子に接合する側に、該可視光応答性光触媒材料よりも触媒活性が低い色素保護材料をコートしておくことが望ましい。例えば、可視光応答性光触媒材料を含有する層と可視光域の吸収を示す色素を含有する層との間に色素保護材料を含有する層を備える構造としてもよい。
このような色素保護材料としては、酸化物半導体(Ta,Ti、WO等)のコーテングが最善である。これによって、直接、光触媒が有機系色素に接触することがなくなる。また、電子を流れやすくするために、上記可視光応答性光触媒材料側から、第1電気伝導材料へと価電子帯及び伝導帯のエネルギー準位に勾配をつけている。
【0093】
更に、上述したように電荷分離材料としてはプラズモン吸収を示す微粒子又は可視光領域の吸収を示す色素が好ましいが、上述したフラーレンは電子(e)のアクセプターとして有効に機能するため、プラズモン吸収を示す微粒子や可視光領域の吸収を示す色素に更にフラーレンを付加することが望ましい。このように、フラーレン類を含有する電荷分離材料が、プラズモン吸収を示す微粒子や可視光域の吸収を示す色素と接合するように配設されていると電子が逆流しないでスムーズに流れる。以下、詳細に説明する。
図17は、プラズモン微粒子を含む層にC60を含んだの構造の一例を示す概略図とその電子構造変化図である。フラーレンは、プラズモン吸収を示す微粒子を含む層の滑らかなエネルギー準位曲線にスムーズにつながるエネルギー準位を有し、更にバンドエネルギーギャップが小さくなる。更にまた、第1電気伝導材料のエネルギー準位へとスムーズにつながる。従って、電子が逆流しないでスムーズに流れる。
【0094】
上記第1電気伝導材料としては、この第1電気伝導材料に上記電荷分離材料の伝導帯にある電子を取り込むために、電荷分離材料の接合が良好にされている必要がある。そのため、良好な導電性を示せば、特に限定されるものではないが、例えば導電性カーボン粒子、導電性カーボン多孔体又は導電性カーボンクロス、及びこれらを任意に組合わせたものを使用することができる。
また、導電性カーボン粒子や導電性カーボン多孔体は、電気伝導性に優れ、更に微粒子状であるため各種材料を担持し易いという利点がある。具体例としては、例えばカーボンブラックやカーボンナノチューブを挙げることができる。
一方、導電性カーボンクロスは、導電性に優れた繊維状のカーボンファイバーから成るものを好適に使用できる。
【0095】
しかしながら、電子蓄積性能を向上させるために、第1電極の第1電気伝導材料は導電性ガラスがITO 、FTO、CuI又はZnOを被覆した繊維状又は多孔状の導電性ガラスから選ばれた少なくとも1種を含有するものを用いることが、電子を蓄電するには、望ましい。
何故ならば、上述したように、第1電気伝導材料としては、電子蓄積部への電子の蓄積量及ぶ蓄積電圧を確保することが必要だからである。
更に、後述する第2電極における第2電気伝導材料としても、第1電気伝導材料と同様のものを使用することができる。但し、第2電気伝導材料としては、必ずしも導電性ガラスである必要はない。
なお、第1電気伝導材料と第2電気伝導材料は同一でも異なってもよいことは言うまでもない。
【0096】
次に、プロトン伝導部の成分について説明する。
上述の如く、本発明においては、備えるプロトン伝導部は、電子伝導性を殆ど示さず、良好なプロトン伝導性を示せば特に限定されるものではないが、例えば高分子及び酸化物のいずれか一方又は双方を含むプロトン伝導膜であることが望ましい。
例えば、高いプロトン伝導性を有するナフィオン(登録商標、デュポン社製)を使用することが望ましい。また、これ以外の高分子のプロトン伝導膜やプロトン伝導ガラスも使用可能である。例えば、プロトン伝導ガラスであるリン酸塩ガラスなどがある。
【0097】
次に、第2電極の成分について説明する。
上述の如く、本発明においては、備える第2電極は、第2電気伝導材料と金属材料とを含有する。
【0098】
上記金属材料としては、例えば、Pt、NiO、RuO又はIrO、及びこれらを任意に組合わせたものを使用することができ、特にPtが望ましい。また、これらの形状は微粒子状やチューブ状であることが望ましい。
なお、上記第2電気伝導材料としては、上述したように第1電気伝導材料と同様のものを使用できる。
【0099】
また、本発明においては、上記光源としては、太陽光源、発光ダイオード、半導体レーザー又はこれらと同等の可視光を照射できるランプ、及びこれらを適宜組合わせて利用することができる。
特に、エネルギー変換効率が優れているという観点からは、非常に狭い領域の可視光領域の発光を可能にする発光ダイオードを使用するのが望ましい。
また、太陽が照っている限り、枯渇せず、利用できる太陽光は、直接使用してもよいし、集光して集めたものを使用してもよい。
更に、プリズムにより、可視光を分光して利用してもよい。
【0100】
更に、本発明においては、上記水素を構成元素として有する化合物を含む水素源としては、特に限定されるものではなく、例えばメタノールやエタノールなどのアルコールなどを適宜用いることができるが、水又は犠牲試薬含有水溶液を用いることが特に望ましい。
水を水素源とすることにより、排出するガスの問題を完全に解決できるという利点がある。
【0101】
また、上記犠牲試薬含有水溶液に含まれる犠牲試薬としては、水中で、水酸化物イオン(OH)、亜硫酸イオン(SO2−)及びこれらの任意の組合わせに係るイオンを発生させ得る化合物を含むことが好適である。
このような酸化され易い物質が溶液中に存在すると、これらは可視光応答性光触媒材料が励起状態のときに生成する正孔と反応するため、生成した電子(e)が正孔と再結合する確率が小さくなり、発電し易くなる。
代表的には、アルコール、亜硫酸カリウムなどを犠牲試薬として使用できる。
【0102】
また、本発明においては、当該発電装置が光透過性の筐体内に配設されていることが望ましい。
本発明の発電装置においては、第1電極は、含有する可視光応答性光触媒材料に光が照射され得ることを要する。
このような要件を満たすようにするため、例えば発電装置自体が光透過性の筐体内に配設されている構造とすることが望ましい。
【0103】
次に、本発明の発電方法について詳細に説明する。
上述の如く、本発明の発電方法は、上記本発明の発電装置を用いた発電方法であって、水素(H)を構成元素として有する化合物を含む水素源と可視光応答性光触媒材料とを接触させ、光源からの可視光を該可視光応答性光触媒材料に照射し、該水素源からプロトン(H)と電子(e)を生成し、得られたプロトン(H)の流れ及び電子(e)の流れを制御して、これらを例えば空気中の酸素(O)と反応させ、発電量を制御する方法である。
このような方法によって、可視光応答性光触媒材料を光源から照射される可視光により活性化させながら、水素(H)を構成元素として有する化合物を含む水素源を当該可視光応答性光触媒材料に接触させ得るので、電気を効率良く発生させることができ、又は電子(e)及びプロトン(H)をそれぞれ蓄積することができる。
また、蓄積した状態からは、光源から光が照射されていない場合であっても、より具体的には、可視光光源からの照射量に応じて、電気を発生させることができる。
【0104】
次に、本発明の発電システムについて詳細に説明する。
上述の如く、本発明の発電システムは、上記本発明の発電装置を用いた発電システムであって、該発電装置と、該発電装置へ水素を構成元素として有する化合物を含む水素源を供給する供給手段と、該発電装置へ酸素を供給する供給手段と、該発電装置から酸素を排出する排出手段と、該発電装置から水を排出する排出手段と、該発電装置への水素を構成元素として有する化合物を含む水素源の供給量を制御する制御手段と、該発電装置への酸素の供給量を制御する制御手段と、該発電装置からの水の排出量を制御する制御手段と、該発電装置からの酸素の排出量を制御する制御手段と、該発電装置への光源からの可視光の照射量を制御する制御手段と、該発電装置のスイッチのオン・オフ状態を制御する制御手段と、を備え、該スイッチのオン・オフ状態制御手段が、断続的に該スイッチのオン・オフの制御を行なうものである。
このような構成とすることにより、非常にコンパクト且つエネルギー消費の少ない発電システムが構築可能となる。
また、このようなコンパクトな発電システムとすることにより、自動車などの移動体に搭載することが容易となる。
【0105】
上記水素源や酸素を供給する供給手段としては、例えば、水素源タンク、圧力調整弁、圧力計、配管、コック、空気取出し弁などを適宜組合わせて構成できる。
また、上記オン・オフ状態制御手段としては、発電装置のスイッチを制御することができれば特に限定されるものではなく、具体的には、16ビットマイクロコンピュータや従来公知の演算部を備えた電子制御装置を適宜使用することができる。
【0106】
更に、上記オン・オフ状態制御手段は、発電装置が備える光検出器からの検出データと電流検出器からの検出データとが入力されるように、更には、これらの検出データの積算データを算出できるようになっていてもよい。
更にまた、オン・オフ状態制御手段は、その内部に光検出器からの検出データに対する基準データを予め格納していてもよく、また、電流検出器からの検出データに対する電子蓄積量基準データや電子蓄積部の限界蓄積量を予め格納していてもよい。そのときは、かかる基準データの限界蓄積量を基準にして発電装置の制御を適切に実行することができる。
【0107】
また、上記オン・オフ状態制御手段は、水素源や酸素の供給手段を制御できるようになっていてもよい。
具体的には、水素源や酸素の供給手段が供給する水素源や空気(酸素)の供給量を、例えば備えるコックの開閉をオン・オフ状態制御手段により制御することができるようになっていてもよい。
【0108】
図18は、本発明の発電システムの一例を示す概略図である。
同図に示すように、この発電システム100は、発電装置1と、水素源や酸素の供給手段110と、オン・オフ状態制御手段120と、水素源や酸素の排出手段130と、を備える。
供給手段110は、水素源の一例である水を貯留し、その水を発電装置1に送り込むコック(図示せず。)を有し、発電装置1に水を供給する。また、供給手段110は、空気を取り込み、発電装置に空気(酸素)も供給する。
制御手段120は、光源からの可視光照射量を図示しない光検出器によって、更には発生する電気の要否によって、発電装置1のスイッチを制御し、電気を必要とする場合には、スイッチをオンの状態にして、電気を発生し、電気を必要としない場合には、スイッチをオフの状態にして、電子(e)及びプロトン(H)をそれぞれ、発電装置1の電子蓄積部及びプロトン蓄積部に蓄積する。また、制御手段120は、該発電装置1への水供給量と空気供給量、該発電装置からの酸素排出量、水排出量及び該発電装置への太陽光の照射量を制御する。
【0109】
また、本発明においては、備える制御装置が断続的にスイッチを制御するに際し、該発電装置の光検出器からのデータと該発電装置の電流検出器からの積算算出データとに基づいて該スイッチの制御を行なうことが望ましい。
このような構成とすることによって、非常にコンパクト且つエネルギー消費の少ない発電システムが構築可能となるだけでなく、発電効率をより向上させることができる。
【0110】
更に、本発明においては、蓄電装置を備えていてもよい。この場合には、備える蓄電装置を小型化することができ、非常にコンパクト且つエネルギー消費の少ない発電システムが構築可能となる。
更にまた、例えば、電子蓄積部及びプロトン蓄積部における電子及びプロトン蓄積量が限界となった際には、電子及びプロトンから電気を発生させて蓄電装置に蓄電することで、より発電効率を向上させることができる。
なお、用いる蓄電装置は、得られる電気を必要に応じて蓄電装置内に蓄電することができれば、特に限定されるものではなく、従来公知の蓄電装置を用いることができる。
【0111】
更にまた、本発明においては、可視光光源を備えていてもよい。可視光光源としては、例えば発光ダイオード、半導体レーザー又はこれらと同等の可視光を照射できるランプ、及びこれらを適宜組合わせて使用することができる。
例えば、自動車に発電システムを搭載した場合には、通常は他のエネルギーデバイスとして燃料電池を用いるが、例えば太陽光源が利用できない場合に、発光ダイオードなどにより燃料電池が発電する電気を有効に利用して、発電させることもできる。
なお、水回収手段である水循環手段を備えていてもよく、再度水を利用することにより、システムをコンパクト化することができる。また、燃料電池と組合わせることにより、具体的には燃料電池から排出される水を回収し、水素源として再利用することにより、備える水素源タンクを小型化又は無くすことができ、更にコンパクトな発電システムを構築することが可能となる。
【0112】
図19は、本発明の発電装置の制御フローの一例を示すフロー図である。
同図に示すように、STEP1(以下、「S1」のように略記する。)において、制御手段によって、発電する必要があるか否か判断する。必要である(YES)場合には、S2に進む。
S2において、光検出器と制御手段によって、太陽光が十分か否か判断する。十分である(YES)場合には、S3に進む。
S3において、供給手段と制御手段によって、水素源の一種である水と空気(酸素)を供給する。
S4において、制御手段によって、スイッチをオンの状態にする。
S5において、発電装置の運転を実施し、電気を発生させる。
【0113】
なお、S2において、十分でない(NO)場合には、S4に進む。そして、S4において、スイッチをオンの状態にすると、プロトン蓄積部と電子蓄積部に、それぞれプロトンと電子が蓄積されている場合には、発電装置の運転が実施でき、電気を発生させる。
【0114】
また、S1において、必要でない(NO)場合には、S6に進む。
S6において、光検出器と制御手段によって、太陽光が十分か否か判断する。十分である(YES)場合には、S7に進む。
S7において、制御手段によって、スイッチをオフの状態にする。
S8において、供給手段と制御手段によって、水素源の一種である水と空気(酸素)を供給する。
S9において、電子蓄積部とプロトン蓄積部に、それぞれ電子とプロトンを蓄積する。
なお、S6において、十分でない(NO)場合には、何もしない。
【実施例】
【0115】
以下、本発明を若干の実施例により更に詳細に説明する。
【0116】
(実施例1)
<第1電極の作製>
可視光応答性光触媒材料としてTaON、電荷分離材料としてプラズモン吸収を示す微粒子である金の微粒子(径:20nm)、第1電気伝導材料として繊維状又は多孔状の導電性ガラスを用意した。
耐熱性のセラミック基板に、第1電気伝導材料である繊維状又は多孔状の導電性ガラスのスラリーを塗布し、この上に電荷分離材料を含むスラリーを塗布し、乾燥して、第2層を形成し、更にこの上に、可視光応答性光触媒材料を含むスラリーを塗布し、乾燥して第3層を形成し、3層構造の第1電極を得た。
【0117】
<第2電極の作製>
金属材料としてPt微粒子、第2電気伝導材料としてカーボンファイバーとカーボンブラックを用意した。
耐熱性のセラミック基板に、第2電気伝導材料を含むスラリーを塗布し、乾燥して第2電気伝導材料から成る第1層を得、この上に金属材料を含むスラリーを塗布し、乾燥して金属材料から成る第2層を得、基板からこれらを剥離して2層構造の第2電極を得た。
【0118】
<電子蓄積部の作製>
電子蓄積材料として銅、絶縁性ポリマーとしてポリカーボネートを用意した。電子蓄積材料を絶縁性ポリマーを用いて覆い、電子蓄積部を得た。
【0119】
<プロトン蓄積部の作製>
プロトン蓄積材料としてナフィオン(登録商標、デュポン社製)、プロトン流出防止材料としてポリカーボネートからなるプラスチック膜を用意した。プロトン蓄積材料をプラスチック膜を用いて覆い、プロトン蓄積部を得た。
【0120】
<発電装置の構築>
上記第1電極、上記第2電極、上記電子蓄積部、上記プロトン蓄積部、プロトン伝導部としてナフィオン膜、配線として銅線、光検出器としてフォトダイオード、スイッチ、電流検出器、光透過性筐体として無色透明のガラス容器を用意した。
プロトン伝導部20を第1電極10及び第2電極30とで狭持し、これらを型に入れ、プレスし、弱い力で圧着接合した。更にプロトン伝導部20とプロトン蓄積部50とを接合し、第1電極10の第1層12と電流検出器(図示せず。)とを配線(図示せず。)で接続し、該電流検出器と電子蓄積部(図示せず。)とを配線(図示せず。)で接続し、該電子蓄積部とスイッチ(図示せず。)を配線で接続し、更に該スイッチと第2電極30の第1層32を配線で接続し、図20に示すように光透過性筐体90内に収納して、本例の発電装置を構築した。
図20は、実施例1の発電装置の概略的な構成図である。なお、電流検出器と電子蓄積部とスイッチは図示しないが、光透過性筐体90に収納されている。また、光検出器も図示しないが第1電極10における可視光照射量を測定できるように配置されている。
【0121】
(実施例2)
<第2電極の作製>
耐熱性のセラミック基板に、第2電気伝導材料及び金属材料を含むスラリーを塗布し、乾燥して第2電気伝導材料及び金属材料から成る均一分布の単層を得、基板からこれを剥離して単層構造の第2電極を得た。
【0122】
<発電装置の構築>
2層構造の第2電極に替えて単層構造の第2電極を用いた以外は、実施例1と同様の構成を採用し、本例の発電装置を構築した。
【0123】
(実施例3)
<第1電極の作製>
電荷分離材料として用意したプラズモン吸収を示す微粒子である金の微粒子(径:20nm)にフラーレン(C60)を付加し、フラーレン含有電荷分離材料を作成した。
フラーレン含有電荷分離材料を用いた以外は、実施例1の第1電極の作製と同様の操作を繰り返して、第1電極を得た。
【0124】
<発電装置の構築>
上記フラーレン含有電荷分離材料を用いて作製した3層構造の第1電極を用いた以外は、実施例1と同様の構成を採用し、本例の発電装置を構築した。
【0125】
(実施例4)
<プロトン蓄積部の作製>
プロトン蓄積材料としてプロトン伝導性ガラスを用いた以外は、実施例1におけるプロトン蓄積部の作製と同様の操作を繰り返して、プロトン蓄積部を得た。
【0126】
<発電装置の構築>
上記プロトン伝導性ガラスを用いて作製したプロトン蓄積部を用いた以外は、実施例1と同様の構成を採用し、本例の発電装置を構築した。
【0127】
(実施例5)
<第1電極の作製>
電荷分離材料として亜鉛ポルフィリンを用い、可視光応答性光触媒材料にTaをコーティングした以外は、実施例1の第1電極の作製と同様の操作を繰り返して、第1電極を得た。
【0128】
<発電装置の構築>
上記電荷分離材料として亜鉛ポルフィリンを用い、可視光応答性光触媒材料にTaをコーティングして作製した第1電極を用いた以外は、実施例1と同様の構成を採用し、本例の発電装置を構築した。
【0129】
(実施例6)
<電子蓄積部の作製>
電子蓄積材料として導電性ポリマーを用いた以外は、実施例1における電子蓄積部の作製と同様の操作を繰り返して、電子蓄積部を得た。
【0130】
<発電装置の構築>
上記導電性ポリマーを用いて作製した電子蓄積部を用いた以外は、実施例1と同様の構成を採用し、本例の発電装置を構築した。
【0131】
(実施例7)
<電子蓄積部の作製>
電子蓄積材料としてZnOを用いた以外は、実施例1における電子蓄積部の作製と同様の操作を繰り返して、電子蓄積部を得た。
【0132】
<発電装置の構築>
上記ZnOを用いて作製した電子蓄積部を用いた以外は、実施例1と同様の構成を採用し、本例の発電装置を構築した。
【0133】
(実施例8)
<第1電極の作製>
第1電気伝導材料としてカーボンファイバーとカーボンブラックを用意した。耐熱性のセラミック基板に、第1電気伝導材料を含むスラリーを塗布し、乾燥して第1電気伝導材料から成る第1層を得、この上に電荷分離材料を含むスラリーを塗布し、乾燥して電荷分離材料から成る第2層を得、この上に可視光応答性光触媒材料を含むスラリーを塗布し、乾燥して可視光応答性光触媒から成る第3層を得、基板からこれらを剥離して3層構造の第1電極を得た。
【0134】
<発電装置の構築>
第1電気伝導材料としてカーボンファイバーとカーボンブラックを用いて作製した第1電極を用いた以外は、実施例1と同様の構成を採用し、本例の発電装置を構築した。
【0135】
[性能評価]
上記各例の発電装置(図1参照。)を用いて、筐体内に形成された流路に水を流通し、光源として太陽光を利用して、性能評価を実施した。
(評価条件)
・光源 :太陽光源
・水素源 :水
・蓄積時間 :1時間
【0136】
上記性能評価の結果、実施例1の発電装置においては、太陽光を照射しないときでも電気を発生することができた。
また、実施例2においては、実施例1と比較して、単位時間当たりの発電量が少なかった。
更に、実施例3においては、実施例1と比較して、単位時間当たりの発電量が多かった。
また、実施例4においては、実施例1と比較して、単位時間当たりの発電量が同等であった。
更に、実施例5においては、実施例1と比較して、単位時間当たりの発電量が同等であった。
また、実施例6においては、実施例1と比較して、単位時間当たりの発電量がやや少なかった。更に、実施例1と比較して、発生電圧は、非常に高かった。
更に、実施例7においては、実施例1と比較して、単位時間当たりの発電量がやや少なかった。更に、実施例1と比較して、発生電圧は、非常に高かった。
更にまた、実施例8においては、実施例1と比較して、単位時間あたりの発電量が非常に少なかった。
【0137】
(実施例9)
図21は、自動車用発電システムの一例を示す概略図である。
同図に示すように、実施例1において構築した発電装置を用いて、自動車用の発電システムを構築した。
【0138】
具体的には、自動車用発電システム200は、自動車のルーフ210に発電装置1を装着した。
水素を構成元素として有する化合物を含む水素源と空気を供給する供給手段としては、ルーフ210に取り付けた水素源タンク220に入った水を発電装置1へ流入させるためのコック(図示せず。)と、水素源タンク220と発電装置1との間をつなぐ管(図示せず。)を設けた。また、管の途中にポンプ(図示せず。)を設けた。更に、空気を発電装置1に流入させるコック(図示せず。)を設けた。
発電装置1の発電装置への水供給量と空気供給量、該発電装置からの酸素排出量、水排出量及び該発電装置への太陽光の照射量及びスイッチ等を制御する制御手段として、16ビットマイクロコンピュータ等を使用して、自動車の車体内部に内蔵した。
また、自動車用発電システム200では、発電によって発生した水を水素源タンク(220)に戻すようにした。
【0139】
以上、本発明を若干の好適実施例により詳細に説明したが、本発明はこれら実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形が可能である。
例えば、車両の外板に塗装した塗膜や、ウィンドガラスなどに内蔵することができる。
【図面の簡単な説明】
【0140】
【図1】本発明の発電装置の一例を示す概略図である。
【図2】電子蓄積部の一例の概略的な断面形状を示す説明図である。
【図3】FETを用いて構成したスイッチの一例の概略的な断面形状を示す説明図である。
【図4】発電装置の構成要素の電子状態及び電子とホールの流れの一例を示す説明図である(電荷分離材料:プラズモン微粒子、第1電気伝導材料:導電性カーボンの場合、電子蓄積材料:金属材料、第2電気伝導材料:導電性カーボンの場合)。
【図5】発電装置の構成要素の電子状態及び電子とホールの流れの一例を示す説明図である(電荷分離材料:色素、第1電気伝導材料:導電性カーボンの場合、電子蓄積材料:金属材料、第2電気伝導材料:導電性カーボンの場合)。
【図6】発電装置の構成要素の電子状態及び電子とホールの流れの一例を示す説明図である(電荷分離材料:プラズモン微粒子、第1電気伝導材料:FTO、電子蓄積材料:導電性ポリマー又は金属酸化物(半導体)、第2電気伝導材料:導電性カーボンの場合)。
【図7】発電装置の構成要素の電子状態及び電子とホールの流れの一例を示す説明図である(電荷分離材料:色素、第1電気伝導材料:FTO、電子蓄積材料:導電性ポリマー又は金属酸化物(半導体)、第2電気伝導材料:導電性カーボンの場合)。
【図8】発電装置の構成要素の電子状態及び電子とホールの流れの一例を示す説明図である(電荷分離材料:プラズモン微粒子、第1電気伝導材料:FTO、電子蓄積材料:金属材料、第2電気伝導材料:導電性カーボンの場合)。
【図9】可視光応答性光触媒材料と電荷分離材料の吸収スペクトルの一例を示すグラフである(電荷分離材料が金のナノ微粒子の場合)。
【図10】第1電極の構造の一例を示す概略図である。
【図11】第1電極の構造の他の例を示す概略図である。
【図12】第1電極の構造の更に他の例を示す概略図である。
【図13】第2電極の構造の一例を示す概略図である。
【図14】第2電極の構造の他の例を示す概略図である。
【図15】プラズモン微粒子を含む層の構造の一例を示す概略図とその電子構造変化図である。
【図16】色素を含む層の構造一例を示す概略図とその電子構造変化図である。
【図17】プラズモン微粒子を含む層にC60を含む層の積層構造の一例を示す概略図とその電子構造変化図である。
【図18】本発明の発電システムの一例を示す概略図である。
【図19】本発明の発電装置の制御フローの一例を示すフロー図である。
【図20】実施例1の発電装置の概略的な構成図である。
【図21】自動車用発電システムの一例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0141】
1 発電装置
10 第1電極
11 単層
12 第1層
13 第2層
13a 金の微粒子
14 第3層
14a TaON
20 プロトン伝導部
30 第2電極
31 単層
32 第1層
33 第2層
40 電子蓄積部
42 電子蓄積材料
44 絶縁性材料
50 プロトン蓄積部
52 プロトン蓄積材料
54 プロトン流出防止材料
60 スイッチ
61 基板
62 チャネル
63 ソース
64 ドレイン
65 絶縁体層
66 ゲート
70 電流検出器
80 光検出器
90 光透過性筐体
100 発電システム
110 供給手段
120 制御手段
130 排出手段
200 自動車用発電システム
210 ルーフ
220 水素源タンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から照射される可視光を利用して、水素を構成元素として有する化合物を含む水素源と酸素とから発電する発電装置であって、
第1電極と、プロトン伝導部と、第2電極と、電子蓄積部と、プロトン蓄積部と、スイッチとを備え、
上記プロトン伝導部は、上記第1電極及び上記第2電極で狭持されており、且つ上記プロトン蓄積部と接合されており、
上記第1電極と上記第2電極とは、該第1電極側から、上記電子蓄積部と、該第1電極及び第2電極を電気的に接続し得る上記スイッチと、をこの順に介して電気的に接続されており、
上記第1電極は、第1電気伝導材料と可視光応答性光触媒材料と電荷分離材料とを含有し、
上記第2電極は、第2電気伝導材料と金属材料とを含有する、ことを特徴とする発電装置。
【請求項2】
上記第1電極と上記電子蓄積部との間に、電流検出器を備えることを特徴とする請求項1に記載の発電装置。
【請求項3】
光検出器を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の発電装置。
【請求項4】
上記第1電極は、上記第1電気伝導材料を含有する層と上記電荷分離材料を含有する層と上記可視光応答性光触媒材料を含有する層とを順にプロトン伝導部に積層して成る構造を有し、
上記可視光応答性光触媒材料を含有する層から上記第1電気伝導材料を含有する層に移行するにしたがって、当該層における各材料のバンド構造の伝導帯下端のエネルギー準位が低くなり、且つ各材料のバンド構造の価電子帯上端のエネルギー準位が高くなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の発電装置。
【請求項5】
上記電荷分離材料が、プラズモン吸収を示す微粒子を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つの項に記載の発電装置。
【請求項6】
上記プラスモン吸収を示す微粒子が、金、銀及び白金から成る群より選ばれた少なくとも1種を含む金属単体ないし合金であり、その形状がナノサイズのロッド状及び/又は球状であることを特徴とする請求項5に記載の発電装置。
【請求項7】
上記プラズモン吸収を示す微粒子の形状がロッド状であり、当該ロッドの長軸が10〜100nmであり、且つ短軸が5〜50nmであることを特徴とする請求項6に記載の発電装置。
【請求項8】
上記プラズモン吸収を示す微粒子の形状が球状であり、当該球の直径が2〜50nmであることを特徴とする請求項6に記載の発電装置。
【請求項9】
上記電荷分離材料が、可視光域の吸収を示す色素を含有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つの項に記載の発電装置。
【請求項10】
上記可視光域の吸収を示す色素が、ポルフィリン化合物、その金属錯体、フタロシアニン化合物及びその金属錯体から成る群より選ばれた少なくとも1種のものであることを特徴とする請求項9に記載の発電装置。
【請求項11】
上記可視光応答性光触媒材料を含有する層と上記可視光域の吸収を示す色素を含有する層との間に色素保護材料を含有する層を備えることを特徴とする請求項9又は10に記載の発電装置。
【請求項12】
上記電荷分離材料が、フラーレン類を含有することを特徴とする請求項1〜11のいずれか1つの項に記載の発電装置。
【請求項13】
上記フラーレン類を含有する電荷分離材料が、上記プラズモン吸収を示す微粒子及び/又は可視光域の吸収を示す色素と接合するように配設されていることを特徴とする請求項12に記載の発電装置。
【請求項14】
上記第1電気伝導材料及び/又は上記第2電気伝導材料が、導電性カーボン粒子、導電性カーボン多孔体、導電性カーボンクロス、導電性ガラス繊維及び導電性ガラス多孔体から成る群より選ばれた少なくとも1種のものであることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1つの項に記載の発電装置。
【請求項15】
上記金属材料が、白金であることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1つの項に記載の発電装置。
【請求項16】
上記電子蓄積部が、ポリマー、金属及び金属酸化物から成る群より選ばれた少なくとも1種の電子蓄積材料と、絶縁性材料とから成り、
上記電子蓄積材料が、上記絶縁性材料に覆われた構造を有することを特徴とする請求項1〜15のいずれか1つの項に記載の発電装置。
【請求項17】
上記プロトン蓄積部が、固体高分子、ガラス及び金属酸化物から成る群より選ばれた少なくとも1種のプロトン蓄積材料と、プロトン流出防止材料とから成り、
上記プロトン蓄積材料が、上記プロトン流出防止材料に覆われた構造を有することを特徴とする請求項1〜16のいずれか1つの項に記載の発電装置。
【請求項18】
上記水素を構成元素として有する化合物を含む水素源が、水又は犠牲試薬含有水溶液であることを特徴とする請求項1〜17のいずれか1つの項に記載の発電装置。
【請求項19】
当該発電装置が光透過性の筐体内に配設されていることを特徴とする請求項1〜18のいずれか1つの項に記載の発電装置。
【請求項20】
請求項1〜19のいずれか1つの項に記載の発電装置を用いた発電方法であって、
水素を構成元素として有する化合物を含む水素源と可視光応答性光触媒材料とを接触させ、光源からの可視光を該可視光応答性光触媒材料に照射し、該水素を構成元素として有する化合物を含む水素源からプロトン及び電子を生成し、得られたプロトン及び電子の流れを制御して、これらを酸素と反応させ、発電量を制御する、ことを特徴とする発電方法。
【請求項21】
請求項1〜19のいずれか1つの項に記載の発電装置を用いた発電システムであって、
上記発電装置と、
上記発電装置へ水素を構成元素として有する化合物を含む水素源を供給する供給手段と、
上記発電装置へ酸素を供給する供給手段と、
上記発電装置から酸素を排出する排出手段と、
上記発電装置から水を排出する排出手段と、
上記発電装置への水素を構成元素として有する化合物を含む水素源の供給量を制御する制御手段と、
上記発電装置への酸素の供給量を制御する制御手段と、
上記発電装置からの水の排出量を制御する制御手段と、
上記発電装置からの酸素の排出量を制御する制御手段と、
上記発電装置への光源からの可視光の照射量を制御する制御手段と、
上記発電装置のスイッチのオン・オフ状態を制御する制御手段と、を備え、
上記スイッチのオン・オフ状態制御手段が、断続的に上記スイッチのオン・オフの制御を行なうことを特徴とする発電システム。
【請求項22】
上記スイッチのオン・オフ状態制御手段が、断続的に上記スイッチのオン・オフの制御をするに際し、該発電装置の光検出器からのデータと該発電装置の電流検出器からの積算算出データとに基づいて該スイッチのオン・オフの制御を行なうことを特徴とする請求項21に記載の発電システム。
【請求項23】
上記発電装置から排出される水を燃料としての水素を構成元素として有する化合物を含む水素源として再度利用する循環手段を備えたことを特徴とする請求項21又は22に記載の発電システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2007−179907(P2007−179907A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−378038(P2005−378038)
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】