説明

発電装置

【課題】 運転停止時に発電モジュールから逆流するおそれのある蒸気に含まれる水分に起因する不都合発生を防止し得る発電装置を提供する。
【解決手段】 発電モジュール2に対し、空気供給装置4から空気配管41を通してカソード空気を供給し、改質用ガス供給装置3から改質用ガスを供給し、水供給処理装置5から改質用水蒸気となる水を供給する。空気配管41に対し気水分離装置8aを介装し、発電運転停止時には発電モジュール2からの逆流蒸気を凝縮させて本体容器81に溜める。流出孔84の水分検知センサ9による水分検知に基づき開閉切換弁10を開切換し、凝縮水を、水分供給管46を通して水供給処理装置5に対し、水蒸気改質用の水処理対象として供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池の発電モジュールのカソードに酸化剤である空気を供給するための空気供給路を備えた発電装置に関し、特に発電運転停止時(空気供給停止時)に発電モジュールからの逆流蒸気に起因する結露発生に基づく不都合を解消し得る上に有効利用をも図る技術に係る。
【背景技術】
【0002】
車両搭載用の燃料電池システムに関し、例えば、後掲の特許文献1では、カソードに供給する空気に対し加湿するための加湿器を空気供給用配管に介装する一方、運転停止時に配管内の加湿空気の温度が下がると結露を生じるため、加湿器と燃料電池との間において、配管自身を部分的に下方に湾曲させた後に再び上方に湾曲させることで、結露水を溜めるための水溜まりトラップを設けることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−317493号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、発電及び排熱回収を行う家庭用等の燃料電池システムでは、発電するために必要な空気・燃料ガス・水をそれぞれ対応する補機から発電モジュール内に供給し、発電モジュール内の蒸発器や改質器での改質反応により得られた水素と酸素とをアノード(燃料極)及びカソード(空気極)からなるセルスタックに供給して発電が行われることになる。
このような燃料電池システムにおいては、発電のための運転を停止したり運転が非常停止されたりした場合に、例えば図8に示すように、発電モジュール100から蒸気や凝縮水が空気供給に係る補機101,102等に延びる配管103,104内に対し、符号105,106の矢印で示すように逆流して、結露するおそれがある。この逆流蒸気や結露水が補機側に設置されている流量センサ107等の電子機器まで逆流した場合には、誤作動・誤検出を招くことにもなる。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、運転停止時に発電モジュールから逆流するおそれのある気体に含まれる水分に起因する不都合発生を防止する上に、その再利用をも図り得る発電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明では、燃料電池の発電モジュールを備え、この発電モジュールのカソードに対し酸化剤である空気を供給する空気供給経路と、水蒸気改質用に水処理して供給する水供給処理装置とを備えた発電装置を対象にして、前記空気供給経路に設けられ、この空気供給経路内において前記発電モジュールからの逆流気体に含まれる水分を、前記水供給処理装置に対し水蒸気改質用の水処理対象として供給する水分供給手段を備えることとした(請求項1)。
【0007】
本発明の場合、発電モジュールからの逆流気体に起因して空気供給経路内に結露がたとえ発生したとしても、その逆流気体中の水分や結露水は水分供給手段によって水供給処理装置に対し供給されることになる。このため、例えば発電装置の運転停止時に発電モジュールから蒸気が逆流してきたり、その逆流蒸気の結露によって結露水が発生したりしたとしても、その逆流蒸気中の水分や結露水は水分供給手段によって空気供給経路外に排出され、結露水等の水分に起因する不都合発生を回避し得ることになる。しかも、排出された水分は水供給処理装置で水蒸気改質用の水処理対象として再利用されるため、外部に廃棄する場合に比べ、発電装置内で有効利用を図ることができるようになる。
【0008】
本発明の発電装置における水分供給手段として、前記逆流気体に含まれる水分を溜めるトラップ部と、このトラップ部から前記水供給処理装置に対し水分供給するための水分供給経路と、この水分供給経路を開閉切換する開閉切換手段とを備え、前記開閉切換手段を発電運転の停止により閉状態から開切換されるように構成することができる(請求項2)。このようにすることにより、発電運転停止時には開閉切換手段が開切換されるため、発電運転停止により発電モジュールから逆流気体が生じても、その逆流気体からトラップ部に水分として溜め、この水分を水分供給経路を通して水供給処理装置に対し供給させることが可能となる。これにより、逆流気体からこれに含まれる水分を一旦分離してトラップ部に溜め、その上で、開状態の開閉切換手段及び水分供給経路を通して水分を水供給処理装置に供給することが可能となる。このため、逆流気体に含まれる水分を確実に取り出した上で、水処理対象として水供給処理装置に供給することができ、逆流気体に含まれる水分を効果的に再利用又は有効利用し得ることになる。かかる構成を実現するには、例えば発電運転等を制御する制御装置により、発電運転中は開閉切換手段を閉状態に維持する一方、発電運転の停止に伴いその開閉切換手段を開切換させるようにすればよい。
【0009】
あるいは、本発明の発電装置における水分供給手段として、前記逆流気体に含まれる水分を溜めるトラップ部と、このトラップ部から前記水供給処理装置に水分供給するための水分供給経路と、前記トラップ部内の所定の水分量に基づく浮力を受けて上昇することにより前記水分供給経路を閉状態から開切換するフロート弁とを備えて構成することができる(請求項3)。このようにすることにより、開閉切換手段を切換制御するというような構成を必要とすることなく水分供給経路を自動開閉することができ、トラップ部に水分が溜まれば水分供給経路を自動的に開切換して、水供給処理装置に対し供給し得ることになる。
【0010】
又、本発明の発電装置における水分供給手段としては、前記空気供給経路に対し前記発電モジュール側への流通のみ許容するよう介装された逆止弁と、前記発電モジュールとの間に設けることができる(請求項4)。このようにすることにより、発電運転時には空気供給経路を通して発電モジュールのカソードに対し空気を確実に供給し得る一方、発電運転停止時には逆止弁により空気供給経路の上流側を遮断した上で、発電モジュール側の空気供給経路内における逆流気体に含まれる水分を水供給処理装置に対し供給させることが可能になる。逆止弁により空気供給経路の上流側が遮断されるため、空気供給経路に介装される流量センサ等の電子機器やその他の機器に対し発電モジュールからの逆流蒸気やその結露水による悪影響を排除することが可能になる。
【発明の効果】
【0011】
以上、説明したように、本発明の発電装置によれば、発電モジュールからの逆流気体に起因して空気供給経路内に結露がたとえ発生したとしても、その逆流気体中の水分や結露水を水分供給手段によって空気供給経路外に排出させた上で、水供給処理装置に供給させることができるようになる。このため、例えば発電装置の運転停止時に発電モジュールから蒸気が逆流してきたり、その逆流蒸気の結露によって結露水がたとえ発生したりしたとしても、その逆流気体中の水分や結露水を水分供給手段によって空気供給経路外に排出することができ、結露水に起因する不都合発生を回避することができるようになる。しかも、排出された水分は水供給処理装置で水蒸気改質用の水処理対象として再利用されるため、外部に廃棄する場合に比べ、発電装置内で有効利用を図ることができるようになる。
【0012】
特に、請求項2によれば、水分供給手段を、発電モジュールからの逆流気体に含まれる水分を溜めるトラップ部と、このトラップ部から前記水供給処理装置に対し水分供給するための水分供給経路と、この水分供給経路を開閉切換する開閉切換手段とを備え、前記開閉切換手段を発電運転の停止により閉状態から開切換されるように構成することで、発電運転停止時に発電モジュールから逆流する気体に含まれる水分を一旦分離してトラップ部に溜め、その上で、開状態の開閉切換手段及び水分供給経路を通して水供給処理装置に供給することができるようになる。このため、逆流気体に含まれる水分を確実に取り出した上で、水処理対象として水供給処理装置に供給することができ、逆流気体に含まれる水分を効果的に再利用又は有効利用することができるようになる。
【0013】
又、請求項3によれば、水分供給手段を、前記逆流気体に含まれる水分を溜めるトラップ部と、このトラップ部から前記水供給処理装置に水分供給するための水分供給経路と、前記トラップ部内の所定の水分量に基づく浮力を受けて上昇することにより前記水分供給経路を閉状態から開切換するフロート弁とを備えて構成することで、開閉切換手段を切換制御するというような構成を必要とすることなく水分供給経路を自動開閉することができ、トラップ部に水分が溜まれば水分供給経路を自動的に開切換して、水供給処理装置に対し供給することができるようになる。
【0014】
さらに、請求項4によれば、水分供給手段を、空気供給経路に対し発電モジュール側への流通のみ許容するよう介装された逆止弁と、発電モジュールとの間に設けることで、発電運転時には空気供給経路を通して発電モジュールのカソードに対し空気を確実に供給することができる一方、発電運転停止時には逆止弁により空気供給経路の上流側を遮断した上で、発電モジュール側の空気供給経路内における逆流気体に含まれる水分を水供給処理装置に対し供給させることができるようになる。その際、逆止弁により空気供給経路の上流側を遮断することができ、これにより、空気供給経路に介装される流量センサ等の電子機器やその他の機器に対し発電モジュールからの逆流気体やその結露水による悪影響を排除することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施形態に係る発電装置の模式図である。
【図2】発電運転停止状態における図1の水分供給手段等を拡大して示す図1の部分拡大説明図である。
【図3】図1の発電装置の基本的運転制御に係るフローチャートである。
【図4】図1の発電装置が運転停止したときの状態を示す図1対応図である。
【図5】第2実施形態に係る発電装置の図4対応図である。
【図6】図5の水分供給手段等を拡大して示す図5の部分拡大説明図である。
【図7】第2実施形態に係る水分供給手段の他の形態を示す図6対応図である。
【図8】本発明の課題を説明するために発電装置の例を示す図1対応図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施形態に係る発電装置の模式図である。この発電装置は、ハウジング1内に、燃料電池により構成された発電モジュール2と、この発電モジュール2に対し改質用の燃料ガス及び空気を供給する改質用ガス供給装置3と、後述のカソード空気を供給する空気供給装置4と、水供給処理装置5と、パワーコンディショナー6と、各補機の制御装置7とを備えて構成されている。前記の改質用ガス供給装置3、空気供給装置4及び水供給処理装置5が補機を構成し、発電装置は発電モジュール2と、各補機3,4,5と、パワーコンディショナー6及び制御装置7からなる制御系とに大別される。以下、固体酸化物型燃料電池(SOFC;Solid Oxide Fuel Cells)により構成された発電装置を例にして説明するが、燃料電池のタイプの如何に拘わらず、発電モジュールに対し空気供給装置や水供給処理装置が接続されて、運転停止時に発電モジュールから空気供給装置等に対し逆流が発生するおそれのあるものであれば、本発明を適用することができる。
【0018】
発電モジュール2は、図示省略の予熱・蒸発器、セルスタック、改質器、空気用熱交換器等を備えたものである。発電モジュール2に対する燃料ガス・空気・水蒸気等の供給、及び、発電モジュール2からの排ガスの排出は、前記の予熱・蒸発器を通して行われるようになっている。従って、発電モジュール2の予熱・蒸発器に対し、改質用ガス供給装置3からの改質用ガス配管31、空気供給装置4からの空気供給経路である空気配管41及び水供給処理装置5から水蒸気改質用に水(純水)を供給する水配管51の各下流端が通される一方、発電モジュール2の予熱・蒸発器から導出された排ガスが排ガス配管52を通して水供給処理装置5の排熱回収用熱交換器53に対し供給され、排ガス中の水分回収や後述の水分供給手段からの水分供給に基づき水供給処理装置5において純水に精製されるようになっている。
【0019】
発電モジュール2内のセルスタックは、アノード(燃料極)、カソード(空気極)、及び、固体酸化物により形成された電解質が一体化されたセルを備えたものである。アノードに対し改質器から水蒸気改質により水素リッチとされた燃料ガスが流され、又、カソードに酸素含有ガスとしてのカソード空気が供給されるようになっている。そして、カソードではカソード空気の酸素が酸素イオンとなって電解質を通り、アノードでは燃料ガスの水素と反応して水(水蒸気)を生成する一方、その際に生じた電子が回路を通してカソード側に移動して酸素を再びイオン化するということを繰り返して発電される。カソードから排気されたカソード空気は改質器バーナからの燃焼排ガスと共に、排ガスとして予熱・蒸発器に送られて、排ガス配管52に導出されることになる。
【0020】
改質用ガス供給装置3は、詳細構成の図示を省略するが、例えば、ガス電磁弁、昇圧ブロワ、バッファータンク、ガス流量センサ及び脱硫器等を経て導入された燃料ガスに対し改質用空気が合流され、この改質用ガスが前記の改質用ガス配管31を通して発電モジュール2に供給されるようになっている。改質用ガス配管31には、気水分離装置8b、水分検知センサ9及び電磁式開閉切換弁10からなる水分供給手段が介装されている。そして、気水分離装置8bの底部には水分供給経路である水分供給管33の上流端331が接続され、その下流端332が水供給処理装置5における水処理のための導入部に接続されている。かかる構成の水分供給手段は、発電運転時には開閉切換弁10が閉状態に維持される一方、発電運転停止時には開閉切換弁10が開切換され、発電モジュール2からの逆流蒸気を凝縮させた上で、その凝縮水を水供給処理装置5に対し水処理対象として供給するようになっている。なお、この水分供給手段の詳細構成については後述する。
【0021】
空気供給装置4は、例えばダイアフラム式のカソード空気ブロワ42の作動によりフィルタ43を通して吸い込んだ大気を、カソード用の酸素含有ガスとして発電モジュール2に対し空気配管41を通して送給するようになっており、空気配管41には、カソード空気用流量センサ44と、気水分離装置8a、水分検知センサ9及び電磁式開閉切換弁10からなる水分供給手段とが介装されている。気水分離装置の底部には水分供給経路である水分供給管46の上流端461が接続され、その下流端462が水供給処理装置5における水処理のための導入部に接続されている。かかる構成の水分供給手段は、前記の改質用ガス配管31に介装されたものと同様に、発電運転時には開閉切換弁10が閉状態に維持される一方、発電運転停止時には開閉切換弁10が開切換され、発電モジュール2からの逆流蒸気を凝縮させた上で、その凝縮水を水供給処理装置5に対し水処理対象として供給するようになっている。なお、かかる水分供給手段の詳細構成については後述する。
【0022】
水供給処理装置5は、排熱回収用熱交換器53においてポンプ54の作動により図外の例えば貯湯ユニットから導入した低温水との熱交換により排ガスに含まれる水分が凝縮し、発生した凝縮水(ドレン水)を集水し、水処理のために導入部から導入した上で、凝縮水を純水に精製して貯留し、貯留した純水を水蒸気として再利用すべく水配管51を通して発電モジュール2へ供給するようになっている。前記の導入部には、発電運転停止時に水分供給管33,46を通して供給される水分も導入されて、水処理対象となる。排熱回収用熱交換器53に導入された低温水は排熱回収により加熱されて高温水となり、前記の貯湯ユニットに貯留されることになる。
【0023】
水分供給手段について図2を参照しつつ詳細に説明する。図2は図1の空気配管41の側に介装された気水分離装置8a等の拡大図を示すものである。図1においては、図示の関係上、2つの気水分離装置8a,8bに対し配管41,31の接続を左右で反対にしたものを図示したに過ぎず、改質用ガス配管31の側に介装された気水分離装置8bも、空気配管41側の気水分装置8aと構成自体は同じものである。以下、空気配管41の側の気水分離装置8aを対象にして説明する。便宜上、気水分離装置8aを挟んでカソード空気流量センサ44やカソード空気ブロワ42の側を空気配管部41aとし、発電モジュール2の側を空気配管部41bと呼ぶ。この水分供給手段は、発電モジュール2からの高温の逆流蒸気を凝縮させて一旦水分に戻した上で、その凝縮水を、水供給処理装置5での水処理用に有効利用又は再利用させるように水供給処理装置5に供給するようにしたものである。
【0024】
気水分離装置8a(8b)は、凝縮水(結露水)を溜めるトラップ部としての本体容器81と、本体容器81の上側空間に設けられた凝縮用の制御板82とを備え、本体容器81に対し上部一側位置から空気配管部41bが連通接続され、上部他側位置に逆止弁83を介して空気配管部41aが接続されている。本体容器81の底部には、水分供給管46の上流端461が連通接続される流出孔84が開口形成され、この流出孔84には水分を検知する検知部としての水分検知センサ9を設置するとともに、水分検知センサ9の下流側位置に開閉切換弁10を介装させている。水分検知センサ9としては、例えば電極により水分の存在を検知するものや、あるいは、流出孔84における凝縮水の水圧を検知することで水分量(水位)を検知するもので構成すればよい。そして、常時は閉状態に維持される開閉切換弁10を、水分検知センサ9からの水分検知の出力を受けた制御装置7(図1参照)により開切換制御するようにしている。
【0025】
そして、発電のための運転状態(図1に示す状態)においては、本体容器81が空であるため開閉切換弁10により水分供給管46は閉状態に維持され、このため、カソード空気ブロワ42の作動によりカソード空気ブロワ42からの吐出圧を受けて逆止弁83が開き、フィルタ43から取り込まれた空気が本体容器81内及び空気配管部41bを通して発電モジュール2にカソード空気として供給されることになる。なお、改質用ガス配管31の側では、前記と同様に開閉切換弁10により水分供給管33は閉状態に維持され、改質用ガス供給装置3の側からの吐出圧を受けて逆止弁83が開き、改質用ガスが発電モジュール2に供給されることになる。
【0026】
一方、運転停止時には、図2に示すように、気水分離装置8aにおいては、カソード空気ブロワ42の作動が停止されて逆止弁83が閉じられる一方、発電モジュール2から逆流した高温蒸気は本体容器81内に入って凝縮用の制御板82と接触することで凝縮され、凝縮水として本体容器81内に溜まることになる。本体容器81内の凝縮水が溜まるようになると、その凝縮水が水分検知センサ9により検知され、水分検知の出力を受けた制御装置7により開閉切換弁10が開切換制御されることになる。このため、本体容器81内の凝縮水は水分供給管46に導出され、次いで水供給処理装置5(図1参照)に供給されることになる。一方、運転停止によりカソード空気ブロワ42の作動が停止された状態では、逆止弁83が閉状態に復帰するため、本体容器81内に逆流した蒸気や凝縮水が、カソード空気流量センサ44の側に侵入したり、空気配管41内に残留したりする事態の発生を回避することができるようになる。改質用ガス配管31の側の気水分離装置8bでも、運転停止により改質用ガス供給装置3の供給用ブロワの作動が停止されると、逆止弁83が閉状態に復帰するため、本体容器81内に逆流した蒸気や凝縮水が、改質用ガス供給装置3の側に侵入したり、改質用ガス配管31内に残留したりする事態の発生を回避することができるようになる。
【0027】
以上の発電装置による発電のための運転は制御装置7により制御されることになる。その基本的な制御について図3を参照しつつ説明すると、まず、電源がONされるとスタートし、プリパージ(ステップS1)の後に水分供給手段としての開閉切換弁10,10が閉状態にあることを確認し、もしも開切換状態にあれば閉状態に復帰させた上で(ステップS2)、各補機である改質用ガス供給装置3,空気供給装置4や水供給処理装置5のブロワ42を作動させて燃料ガス,カソード空気及び水蒸気改質用の水を供給する(ステップS3)。これにより、発電が開始され、熱的条件が満足しており(ステップS4でYES)、停止要求の出力が無い限り(ステップS5でNO)、その発電運転を継続する。発電の過程で、何らかの原因で熱的条件が満足しない事態が生じれば(ステップS4でNO)、前記の各ブロワ42の作動を停止して燃料ガス,カソード空気及び水蒸気改質用の水の供給を停止して運転を非常停止させる(ステップS6)。又、停止要求が出力された場合も(ステップS5でYES)、前記と同様に燃料ガス,カソード空気及び水蒸気改質用の水の供給を停止する(ステップS6)。燃料ガス,カソード空気及び水蒸気改質用の水の供給を停止して運転停止させたら、前記の水分供給手段の開閉切換弁10,10を開切換状態に切換制御して(ステップS7)、温度低下を待つ。
【0028】
ステップS7で開閉切換弁10,10を開切換状態にすると、図4に示すように、発電モジュール2から高温の蒸気や凝縮水が空気配管41内や、改質用ガス配管31内にたとえ逆流したとしても、それぞれ気水分装置8a,8bにおいて凝縮されて凝縮水となり、この凝縮水が開切換状態の開閉切換弁10,10及び水分供給管46,33を通して水供給処理装置5の導入部に供給されることになる。そして、水供給処理装置5においては、水分供給管46,33から供給された水分をも加味して純水への精製に再利用又は有効利用されることになる。一方、両気水分装置8a,8bにおいては、凝縮水が本体容器81,81内にある限り、水分検知センサ9,9による検知に基づき開閉切換弁10,10は開切換状態に維持される。つまり、本体容器81,81内に凝縮水が無くなるまで開閉切換弁10,10が開状態に維持されて、本体容器81,81内が空になってから開閉切換弁10,10は閉状態に復帰することになる。これにより、次回の再起動時においては、確実に空の状態の本体容器81,81を通過したカソード空気又は改質用ガスを発電モジュール2に対し供給し得ることになる。以上により、空気配管41や改質用ガス配管31内に結露水等の水分が残留する事態の発生を回避することができ、これにより、次回の運転起動を不都合なくスムースに行うことができるようになる。なお、開閉切換弁10,10を次回の発電のための再起動まで開切換状態に維持し、つまり運転停止中は開切換状態に保持し、再起動(例えばステップS1,S2)により閉状態に復帰させるようにしてもよい。これにより、水分検知センサ9,9の設置や、水分検知センサ9,9による水分検知を省略することができる。
【0029】
<第2実施形態>
図5は第2実施形態に係る発電装置を示す。第2実施形態は、水分供給手段として、気水分離装置8c及びフロート弁11により構成したものである。つまり、水分検知センサ9からの出力により開閉切換弁10の切換制御を必要とする第1実施形態の構成に代えて、気水分離装置8c内に溜まる凝縮水の浮力に基づいて、フロート弁11により水分供給管46を自動開閉させるように構成した例を示すものである。
【0030】
第2実施形態の気水分離装置8cは、流出孔84にフロート弁11及びその案内支持機構を設けた点でのみ第1実施形態の気水分離装置8a,8bと異なり、その他の構成は第1実施形態の気水分離装置8a,8bと同じであるため、同じ構成要素については第1実施形態と同じ符号を付して重複した説明を省略する。又、図5には、空気配管41のみに、気水分離装置8c及びフロート弁11からなる水分供給手段を介装した例を図示しているが、これに限らず、第1実施形態と同様に、図5のものと同様構成の水分供給手段を改質用ガス配管31に介装させるようにしてもよい。
【0031】
第2実施形態の気水分離装置8cは、図6に詳細を示すように、本体容器81の底部において、水分供給管46の上流端461が連通接続された流出孔84の入口に対し、フロート弁ガイド111,111により昇降案内されるフロート弁11を設けたものである。このフロート弁11は本体容器81内が空の状態で流出孔84を閉止状態(図6に一点鎖線で示す状態)にする一方、本体容器81内に凝縮水が溜まりその水位上昇に伴い流出孔84を開変換(同図に実線で示すフロート弁を参照)するようになっている。なお、符号112はフロート弁11の上昇上限位置を規制するストッパである。
【0032】
そして、発電のための運転状態においては、カソード空気ブロワ42が作動され、このカソード空気ブロワ42からの吐出圧を受けて逆止弁83が開くため、フィルタ43から取り込まれた空気が本体容器81内及び空気配管部41bを通して発電モジュール2にカソード空気として供給されることになる。この際、本体容器81内は空であるため、水分供給管46はフロート弁11により閉止された状態になっている。一方、運転停止時には、カソード空気ブロワ42の作動が停止されて逆止弁83が閉じられる一方、発電モジュール2から逆流した高温蒸気は本体容器81内に入って凝縮制御板82と接触することで凝縮され、凝縮水として本体容器81内に溜まることになる。本体容器81内の凝縮水が溜まるようになると、その浮力によりフロート弁11が上昇して流出孔84が開変換されることになる。このため、本体容器81内の凝縮水は水分供給管46を通して水供給処理装置5の導入部に対し供給されて第1実施形態と同様に再利用されることになる。又、運転停止によりカソード空気ブロワ42の作動が停止された状態では逆止弁83が閉状態になるため、本体容器81内に逆流した蒸気や凝縮水が、カソード空気流量センサ44の側に侵入したり、空気配管41内に残留したりする事態の発生を回避することができるようになる。
【0033】
図7は、図6に示したフロート弁11のフロート弁ガイド111とは異なる支持機構を示すものである。なお、これら以外にも、フロート弁11の案内支持機構として種々のものを採用し得る。図7のものは、互いにピン結合させた2以上のリンク杆113,113によってフロート弁11を昇降可能に支持したものである。その他の構成要素は図6のものと同一であるため、同じ構成要素には図6のものと同一の符号を付して重複説明を省略する。
【0034】
なお、以上の第1実施形態では、水分供給手段を空気配管41及び改質用ガス配管31の双方に介装し、第2実施形態では、水分供給手段を空気配管41にのみ介装した例を示したが、水分供給手段を少なくとも空気配管41に対し介装することが好ましい。
【0035】
又、第1実施形態では、検知部として水分検知センサ9を用いた例を示したが、これに限らず、検知部として、例えば発電モジュール2内に種々設置されている熱電対(温度センサ)を検知部として用い、この熱電対からの温度検出値を用いて水分検知を行うようにしてもよい。例えば、温度検出値が発電運転の停止に伴い雰囲気温度(例えば30℃〜40℃)まで低下すれば、確実に結露条件を満たすことになるため、これをもって水分検知として開閉切換手段である開閉切換弁10を制御装置7により開切換制御すればよい。
【符号の説明】
【0036】
4 空気供給装置
5 水供給処理装置
7 制御装置
8a,8b,8c 気水分離装置(水分供給手段)
10 開閉切換弁(開閉切換手段,水分供給手段)
11 フロート弁(水分供給手段)
33,46 水分供給管(水分供給経路)
41 空気配管(空気供給経路)
81 本体容器(トラップ部)
83 逆止弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池の発電モジュールに対し、酸化剤であるカソード空気を供給する空気供給経路と、水蒸気改質用に水処理して供給する水供給処理装置とを備えた発電装置であって、
前記空気供給経路に設けられ、この空気供給経路内において前記発電モジュールからの逆流気体に含まれる水分を、前記水供給処理装置に対し水蒸気改質用の水処理対象として供給する水分供給手段を備えている、
ことを特徴とする発電装置。
【請求項2】
請求項1に記載の発電装置であって、
前記水分供給手段は、前記逆流気体に含まれる水分を溜めるトラップ部と、このトラップ部から前記水供給処理装置に対し水分供給するための水分供給経路と、この水分供給経路を開閉切換する開閉切換手段とを備え、前記開閉切換手段が発電運転の停止により閉状態から開切換されるように構成されている、発電装置。
【請求項3】
請求項1に記載の発電装置であって、
前記水分供給手段は、前記逆流気体に含まれる水分を溜めるトラップ部と、このトラップ部から前記水供給処理装置に水分供給するための水分供給経路と、前記トラップ部内の所定の水分量に基づく浮力を受けて上昇することにより前記水分供給経路を閉状態から開切換するフロート弁とを備えて構成されている、発電装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載の発電装置であって、
前記水分供給手段は、前記空気供給経路に対し前記発電モジュール側への流通のみ許容するよう介装された逆止弁と、前記発電モジュールとの間に設けられている、発電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−73923(P2013−73923A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−214676(P2011−214676)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【Fターム(参考)】