白斑部位をカバーするためのメーキャップ方法
【課題】特定範囲の色調を用いて、色素性皮膚疾患の白斑部位を確実にカバーするための補正方法。
【解決手段】色差がある肌、すなわち白斑部位に対して、L*a*b*表色系で、L*値が45以下、a*値が10以下、b*値が25以下、好ましくは、L*値が35乃至42、a*値が4乃至8、b*値が18乃至24である色調を有する組成物を用いる。
【解決手段】色差がある肌、すなわち白斑部位に対して、L*a*b*表色系で、L*値が45以下、a*値が10以下、b*値が25以下、好ましくは、L*値が35乃至42、a*値が4乃至8、b*値が18乃至24である色調を有する組成物を用いる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、メーキャップ方法に関し、より詳細には、白斑などの色素性皮膚疾患の患部と健常部の外観的な差をなくす(以下、カバーとする)ために特定範囲の色調(色相、明度)を有する組成物を用いて、肌の健常部位と疾患部位との色差を補正する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、白斑を含めた皮膚疾患を患う多くの患者がおり、その症状に悩まされ続けている(図1参照)。特に、多くの色素性皮膚疾患に対する医学的治療法は確立されておらず、化粧によるカバーは重要な方法である。
【0003】
これまでの色素性皮膚疾患の患部を隠蔽する化粧品としては、例えば、酸化チタンやアルミフレークなど高隠蔽性の素材を用い、患部を完全に覆い隠す方法が採られていた。
【0004】
しかしながら、この隠蔽によるカバーは、患部は隠れるものの、肌の質感(透明感)のないマットな仕上がりで、不自然に見えがちであった。これを直すために、複雑なステップでのメークが必要であった。
【0005】
また、近年、雲母チタンの透過光による補色の加法混色を活用することにより、簡便で且つ自然に太田母斑(青あざ)、血管種(赤あざ)をカバーする専用ファンデーションが開発されている。
【0006】
白斑は、皮膚中の色素が脱色する色素性皮膚疾患である。
【0007】
多くの白斑患者は汎用のファンデーションやコンシーラーの活用やセルフタンニング剤などで対応しているが満足されるものではない。
【0008】
セルフタンニング剤では、白斑部の着色には有効で男性や子供にも使用しやすい利点はあるが、着色までに時間が掛かり、健常部位との色合わせが難しいという問題点があった。
【0009】
また、白斑専用化粧品としてはクリームタイプのファンデーション(製品名:カバーマーク、グラファラボラトリー社)が存在するが、白斑部位への塗布が煩雑であり、且つ汗や皮脂、衣服等での擦れにより容易にファンデーションが落ちてしまい、患部が露出されることがある。(図2参照)
このため、いずれの手法においても塗り直しが必須であり、首周りや手足などへの使用が困難であった。
【0010】
このように、多くの白斑患者はファンデーションの色調や隠蔽効果に対して不満を抱えており、化粧持ち及び衣服への二次付着などの機能性、塗りやすさ及びべたつきなどの操作性に対しても満足のいくものではなかった。(図3参照)
また、白斑部位の態様によっては、社会生活において精神的なストレスとなったり、社会的な不利益を日常的に被ることもある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来の白斑専用化粧品では、白斑部位を確実にカバーすることが困難であり、機能的にも不十分であった。また、白斑患者が日常生活においても社会的な不利益を受けることなく、安心して社会生活ができるように白斑部位を完全で確実に隠蔽し、カバーするためのメーキャップ方法が望まれていた。
【0012】
したがって、本発明は、上述に鑑みてなされたものであり、特定範囲の色調を用いて、色素性皮膚疾患の白斑部位を確実にカバーするための補正方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、白斑患者の患部と健常部位の皮膚色に着目し、分光測色機(浅枝設計事務所製非接触画像色彩計)によって測色し、皮膚中の色素量を算出した結果、白斑部位では有意にメラニン量が減少し、酸化及び還元型ヘモグロビン量には差異が見られないことを見出した。
【0014】
この結果より、白斑部位のカバーには、メラニンに起因する黒色及び黄色を補う必要があることが判明し、健常部位との色の差がある白斑部位の肌に対して、特定範囲の色相、明度を有する色調の組成物を用いて、メーキャップ後の自然な仕上がりとなるように色差を効果的に補正することができ、さらに、特定の被膜剤を加えることによって、耐汗性が強く、二次付着しないものとして本発明を開発するに到った。
【0015】
すなわち、請求項1記載の発明は、L*a*b*表色系で、L*値が45以下、a*値が10以下、b*値が25以下である色調を有する組成物をメラニンに起因する色差がある肌に適用することを特徴とする色差の補正方法によって達成される。
【0016】
上記発明によれば、メラニンに起因する色差がある肌に対して、L*a*b*表色系で、L*値が45以下、a*値が10以下、b*値が25以下である特定範囲の色調を有する組成物を適用することによって、患部と健常部の色差をより効果的に補正することができ、メーキャップ後の自然な仕上がりとなることができる。
【0017】
また、請求項2記載の発明は、L*a*b*表色系で、L*値が35乃至42、a*値が4乃至8、b*値が18乃至24である色調を有する組成物をメラニンに起因する色差がある肌に適用することを特徴とする色差の補正方法によって達成される。
【0018】
上記発明によれば、メラニンに起因する色差がある肌に対して、L*a*b*表色系で、L*値が35乃至42、a*値が4乃至8、b*値が18乃至24である特定範囲の色調を有する組成物を適用することによって、色差をさらにより効果的に補正することができ、メーキャップ後の自然な仕上がりとなることができる。
【0019】
また、請求項3記載の発明は、請求項1又は2に記載の補正方法において、前記色差がある肌は、色素系皮膚疾患の健常肌に対する白斑部位であることを特徴とする。
【0020】
上記発明によれば、色素系皮膚疾患の健常肌に対する白斑部位に対して、L*a*b*表色系で、L*値が45以下、a*値が10以下、b*値が25以下、好ましくは、L*値が35乃至42、a*値が4乃至8、b*値が18乃至24である特定範囲の色調を有する組成物を適用することによって、色差を効果的に補正することができ、自然な仕上がりのメーキャップとすることができる。
【0021】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の補正方法において、前記組成物と共に、被膜剤としてシリコーン化プルランを用いることを特徴とする。
【0022】
上記発明によれば、上記組成物に被膜剤としてシリコーン化プルランを加えて、化粧品となすことで、耐汗性が強く、衣服に対して二次付着しない、自然な仕上がりのメーキャップとすることができる。
【0023】
また、請求項5記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の補正方法において、前記組成物及び被膜剤は、液状化粧品の一部として用いることを特徴とする。
【0024】
上記発明によれば、上記特定範囲の色調を有する組成物及び被膜剤を含む液状化粧品を色差がある肌に適用することで、効果的に色差が補正され、メーキャップ後の自然な仕上がりとなることができる。
【0025】
また、請求項6記載の発明は、請求項5に記載の補正方法において、前記液状化粧品は、筆を用いて前記メラニンに起因する色差がある肌に適用することを特徴とする。
【0026】
上記発明によれば、上記特定範囲の色調を有する組成物を含む化粧品を筆によってメラニンに起因する色差がある肌に適用することで、入り組んだ細部まで塗布したり、色調の微調整が可能となり、自然な仕上がりのメーキャップとすることができる。
【0027】
さらにまた、請求項7記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の色調を有する白斑用ファンデーションによって達成される。
【0028】
上記発明によれば、L*a*b*表色系で、L*値が45以下、a*値が10以下、b*値が25以下である特定範囲の色調、またはL*a*b*表色系で、L*値が35乃至42、a*値が4乃至8、b*値が18乃至24である特定範囲の色調を有する白斑用ファンデーションを提供することができ、白斑患者が患部と健常部の色差をより効果的に補正することができ、今までになく自然な仕上がりのメーキャップを実現することができ、これによって、白斑患者の社会生活における精神的な負担も軽減することができ、生活の質も改善できる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、白斑などの色素性皮膚疾患の疾患部位の肌と、健常肌の肌色との色差を、L*a*b*表色系で、L*値が45以下、a*値が10以下、b*値が25以下、好ましくは、L*値が35乃至42、a*値が4乃至8、b*値が18乃至24の特定範囲の色調を有する組成物を用いることによって、メーキャップ後の自然な仕上がりとなるように色差を効果的に補正することができる。また、例えば、上記組成物にシリコーン化プルランの被膜剤を加えて、化粧品となすことで、耐汗性が強く、衣服に対して二次付着しない、自然な仕上がりのメーキャップとすることが可能である。また、本発明によれば、上記特定範囲の色調を有する組成物を含む化粧品を用いることで、色白や色黒などの肌特性に関係なく、すべての白斑患者に使用することができ、さらに液状化粧品とすることにより、筆を使って入り組んだ細部まで塗布したり、色調の微調整が可能となり、メーキャップ後の自然な仕上がりとなることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下に添付図を参照しながら本発明を詳細に説明する。
【0031】
本発明の白斑部位の補正方法は、白斑などの色素性皮膚疾患の疾患部位(以下、白斑部位という)の肌と、健常肌(以下、健常部位という)の肌色との色差を、特定範囲の色調を用いることで補正することを特徴とする。
【0032】
白斑は、原因不明の皮膚疾患であり、前述したように、後天性の色素脱失症である。
【0033】
図5を参照するに、白斑患者の患部と健常部位の皮膚色を分光測色機(浅枝設計事務所製非接触画像色彩計)によって測色し、皮膚中の色素量を算出した結果、白斑部位では有意にメラニン量が減少し、酸化及び還元型ヘモグロビン量には差異が見られないことが示されている。これは、23名の被験者(白斑患者)の素肌の分光反射率を舛田らの手法(舛田 他:新しいシミ計測法の開発、Jornal of Cosmet. Chem. Japan, 35-4 (2001) 325-332)により解析した臨床試験結果である。
【0034】
この結果より、白斑部位はメラニンに起因する黒色及び黄色が不足していることが分かる。つまり、換言すると、黒色と黄色を補正するための色調を用いることによって、白斑部位を効果的に補正できることが分かる。(図6参照)
図6は、白斑部位に欠乏している黒色と黄色を補正するために、それら色調を有する組成物よりなる評価化粧試料を作製し、白斑部位に塗布して色差が縮まったことが示されている。
【0035】
したがって、本発明は、メラニン色調を補うために適した色調を算出することによって、白斑部位を効果的に覆い隠すことができる。つまり、図6で作製した評価化粧試料のうち、白斑部位に塗布して効果的な結果を示す化粧試料の色の色調を測定することで、白斑部位の肌と健常部位の肌色との色差を補正する色調が認識できる。
【0036】
ここでいう「色」とは、色彩学で一般的に用いられている、XYZやRGB、HVC、L*a*b*表色系やマンセル表色系、分光反射率R(λ)やこれらから算出される種々の値、官能評価により評定尺度法を使って求めた評価値などメラニンに起因する黒色及び黄色を補う色調、つまり白斑部位を補正するための色調を一意的に表すことができる値ならば任意のものでよく、特に限定されない。
【0037】
なお、白斑部位のメラニン量には個人差があるため、本発明では、白斑部位を補正するための色調は、上記舛田らの手法(舛田 他:新しいシミ計測法の開発、Jornal of Cosmet. Chem. Japan, 35-4 (2001) 325-332)にて測定した皮膚中のメラニン量において、患部(白斑部位)と患部周辺の健常肌とのメラニン量の差が0.2以上の患部を補正するために必要な色調と定義し、L*a*b*表色系によって色調を表す。
【0038】
測色方法は、0.101μmのアプリケーターを用いて、例えば、図6で作製した様々な評価化粧試料を白色紙に塗布し、直後に分光ユニット付非接触画像色彩計(浅枝設計事務所製)を用いて試料の外観色を測色する。なお、L*a*b*表色系では、L*値は明度(白黒)を示し、値が小さいほど暗い(黒い)、a*値とb*値で色相・彩度を表し、a*は赤み、b*は黄みを示す。
【0039】
上記の測色方法により、白斑部位を覆い隠すための色調範囲が導き出される。これによって、白斑部位を補正するための色調範囲は、L*a*b*表色系で、L*値が45以下、a*値が10以下、b*値が25以下、好ましくは、L*値が35乃至42、a*値が4乃至8、b*値が18乃至24であることを特徴とする。
【0040】
本発明は、上記の特定範囲の色調を用いることによって、白斑部位の肌と、健常部位の肌色との色差を補正することができれば、特に限定されるものではなく、任意の手法を採用してよい。
【0041】
本発明の好ましい実施態様では、上記の特定範囲の色調を有する組成物を用い、化粧品に通常使用される色材や被膜剤などを含む化粧品とすることで、白斑部位の肌と、健常部位の肌色との色差を補正するために白斑部位に塗布することができる。
【0042】
本実施例で使用する色材としては、一般的に化粧品に用いられる色材であれば、特に限定されない。例えば、通常の酸化鉄や酸化チタン等の無機顔料、雲母チタン、酸化鉄被覆雲母チタン、酸化鉄被覆雲母などのパール顔料、各種染料をレーキ化した有機顔料、染料、染料により着色された樹脂粉体、無機顔料や有機顔料を内包や被覆した複合粉末などが挙げられる。
【0043】
本実施例で使用する被膜剤としても、一般的に化粧品に用いられる被膜剤であれば、特に限定されない。一般的には、被膜剤または粉体の分散剤として市販されているものが多く、水または揮発性油分に溶解し溶媒乾固により被膜を形成するものが望ましい。この様な被膜剤としては、親水性、疎水性を有する各種の高分子化合物が望ましい。特に、油性被膜剤が好ましい。
【0044】
代表的な被膜剤として、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、プルラン、トリメチルシロキシケイ酸、アクリルシリコーン、M単位Q単位シリコーンレジン組成物、シリコーン化プルラン等の高分子が挙げられる。この中で、特に、シリコーン油主体の処方との相溶性及び化粧持ちの観点より、シリコーン系高分子が望ましい。さらには、シリコーン化プルランが最も好ましい。
【0045】
図4に示されるように、本発明の補正方法で特定範囲の色調を有する組成物を含む化粧品を活用する際に、化粧品に用いられる色材や被膜剤は特に限定されないが、被膜剤をシリコーン化プルランとすることで、化粧持ちが良好で、二次付着しない、機能性に優れた化粧品とすることができる。
【0046】
また、本発明において、白斑部位に対して塗布する化粧品は、皮膚に対して塗布できるものであれば、特に限定されないが、例えば、ファンデーションなどの一般的な化粧品の形態であってよい。
【0047】
また、本発明の好ましい実施態様において、上記の特定範囲の色調を有する組成物よりなる化粧品は液状であり、特に、筆を用いて塗布することを特徴とする。これによって、従来のクリームタイプの白斑用ファンデーションとは違って、図14に示されるように、手の指先など入り組んだり、塗布が煩雑な部位においても容易に筆を用いて塗布することができる。また、油性の液状化粧品のため、色調の微調整が可能であり、個々の白斑患者の白斑部位の色差を補正する微妙な色調の違いに対応できる。
【0048】
また、本発明の特定範囲の色調を有する補正方法は、いわゆる色白や色黒など個人の特異的な肌色に関する肌特性に関係なく用いることができる。これにより、従来、白斑部位を隠蔽する場合は、個々の白斑患者の地肌の濃淡(色白や色黒など)に合わせて市販の化粧品等を選択して独自に適用していたが、本発明の特定範囲の色調を用いる補正方法は、白斑患者の地肌の特性に関わらず、本発明の特定範囲の色調を有する組成物を用いる化粧品を白斑部位に塗布することで、不足したメラニン色調を補うことができ、白斑部位の肌が個々人の地肌に近い自然の状態に仕上がり、全体として自然な仕上がりのメーキャップ、つまりナチュラルメークとすることができる。
【0049】
また、本発明の特定範囲の色調を有する補正方法は、図15、16から認識されるように、図3で示されるような既存の白斑用ファンデーションに対する白斑患者の不満が解消され、日常生活における白斑患者の生活の質に高い改善効果を得ることができる。
【実施例】
【0050】
以下に、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらによって制限されるものではない。
【0051】
本実施例では、黒色と黄色のメラニン色調を補う組成物を含む化粧品を数種類作製し、その色調を測色した後、健常肌と色差のある白斑部位に塗布した。塗布後、隠蔽効果が高い化粧品の色調を確定し、最適な特定範囲の色調を導き出した。
【0052】
本実施例では、実施例1乃至6として、従来の化粧品に含まれる色材や被膜剤などの組成物よりなるリキッドファンデーションを調製し、そのファンデーションの外観色のL*a*b*表色系を測色し、白斑部位に塗布した後の白斑の補正効果をそれぞれ評価した。下記の表3に各実施例の測色値と補正効果の評価結果を示す。
【0053】
なお、比較例1は、従来から使用されている市販の白斑専用化粧品(製品名:カバーマーク;グラファラボラトリー社製)とし、市販の4種類のリキッドファンデーション(製品名:アネッサプロサポートフィックス(AN)−オークル10、アネッサプロサポートフィックス(AN)−オークル20、アネッサプロサポートフィックス(AN)−オークル30、アネッサプロサポートフィックス(AN)−オークル40;(株)資生堂製)を比較例2乃至5とした。また、比較例6乃至9として、従来の化粧品に含まれる色材や被膜剤などの組成物よりなるリキッドファンデーションを調製した。各比較例においても、実施例と同様に、ファンデーションの外観色のL*a*b*表色系を測色し、それら測色値と白斑部位に塗布した後の白斑の補正効果を表3に示す。
【0054】
なお、実施例1乃至6及び比較例6乃至9のファンデーションの調製は、一般的な化粧品としてのファンデーションと同じであるため、詳細な調製方法の記載は省略する。
【0055】
表1に実施例1の代表的な処方例を示す。
【0056】
【表1】
また、表2に、実施例1と比較例2乃至5との色材の大まかな組成の違いを示す。
【0057】
【表2】
表2から認識できるように、本実施例では、実施例1乃至6のファンデーションにおいて、黒色及び黄色を補うための色材の含有量を市販のファンデーションと多大に変更していることが分かる。
【0058】
なお、本実施例は、化粧持ち及び二次付着の機能的な観点から、シリコーン化プルランを被膜剤として用いたが、一般的に化粧品に用いられる被膜剤であれば、特に限定されない。
【0059】
実施例1乃至6のファンデーションの作製後、実施例1乃至6及び比較例1乃至9のファンデーションを測色した。測色方法は、0.101μmのアプリケーターを用いて、実施例1乃至6及び比較例1乃至9のファンデーション試料を白色紙に塗布し、直後に分光ユニット付非接触画像色彩計(浅枝設計事務所製)を用いて、各ファンデーションの外観色を測色した。なお、L*a*b*表色系では、L*値は明度(白黒)を示し、値が小さいほど暗い(黒い)、a*値とb*値で色相・彩度を表し、a*は赤み、b*は黄みを示す。
【0060】
その後、上記実施例1乃至6及び比較例1乃至9のファンデーションを白斑患者の患部である白斑部位に塗布して、各補正効果を評価した。
【0061】
塗布する際、本実施例1乃至6のリキッドファンデーションは、筆を用いて塗布することで、入り組んだ細かな部位にも容易に塗布することができた。また、油性の液状化粧品のため、白斑患者の肌特性に合わせた色調の微調整が可能であった。
【0062】
表3に実施例1乃至6及び比較例1乃至9の測色値と補正効果の評価結果を示す。
【0063】
【表3】
表3において、白斑部位の補正結果を視覚的な官能評価にて行なった。白斑部位の補正効果が優れて良好な結果(健常肌と全く同じで遜色ない)を◎、良好な結果(健常肌とほとんど変わらない、それほど違和感ない)を○、良好とは言えないが多少改善された結果(健常肌とやや異なり、若干違和感を感じる)を△、効果が見出せない結果(健常肌と明らかに異なり、完全に違和感ある)を×とした。
【0064】
表3から分かるように、評価結果が△の比較例1、6乃至9は、効果に多少の違和感を示す結果であり、従来の市販製品に対する評価と同様の補正結果を示した。評価結果を○で示す実施例2、4、5、6が好ましい評価として挙げられ、L*a*b*表色系において、L*値が45以下、a*値が10以下、b*値が25以下の色調範囲で良好な補正効果を示した。また、評価結果を◎で示す実施例1及び3がさらに好ましい評価として挙げられ、L*a*b*表色系において、L*値が35乃至42、a*値が4乃至8、b*値が18乃至24の色調範囲でさらに良好な補正効果を示した。
【0065】
また、市販の4種類のリキッドファンデーションを使用した比較例2乃至5では、測色したL*a*b*表色系は、良好な結果を示す実施例1のファンデーションとは相当に異なる値を示した。また、図7からも、実施例1のファンデーションの色調と比較例2乃至5との色調の差が多大に乖離していることが認識できる。また、図8に示すように、比較例2乃至5の市販のリキッドファンデーションの色調に比べ、実施例1のファンデーションの色調は黒さが相当に増した色調であり、比較例2乃至5のファンデーションの肌色とはかけ離れた色であることが分かる。
【0066】
また、別の比較評価例として、実施例1のファンデーション、比較例1の従来の白斑専用ファンデーション(カバーマーク)、本人によるメーキャップ、比較例5の既存リキッドファンデーション(アネッサプロサポートフィックス(AN)−オークル40)を白斑患者(44歳、女性)に専門の美容施術者が使用して、白斑部位と健常部位との色差を評価した結果を示す。実施例1、比較例1及び比較例5のファンデーションは、メーキャップ条件を統一するために、被験者である白斑患者の白斑部位にコントロールベース(製品名:dプログラム(デーケアプロテクター);(株)資生堂製)を塗布した上に塗布した。なお、本人メークは、被験者の通常のメーキャップ方法にしたがったものである。
【0067】
図9に示されるように、白斑部位に何も塗布しない場合は、色差(ΔE)が13であった。比較例1の従来の白斑専用ファンデーションの塗布、比較例5の既存ファンデーションの塗布、及び本人のメーキャップの場合には色差が5〜6に縮まったが、実施例1の本発明の特定範囲の色調を有するファンデーションを塗布した場合には色差がわずか1となり、従来の白斑専用のファンデーション、つまり比較例1と比べて相当に著しい改善がなされたことが分かる。
【0068】
図10は、実施例1の本発明の特定範囲の色調を有するファンデーションと、比較例1の従来の白斑専用ファンデーションを首に半分ずつ塗布し、新品のシャツを着用後3時間における襟への付着状態を視感評価した結果を示す。図10から分かるように、比較例1のファンデーションに比べて、実施例1のファンデーションの二次付着が少ないことが分かる。これは、図4に示すような、汗に強く、二次付着しない、シリコーン化プルランを被膜剤として使用することに起因している。したがって、本発明の特定範囲の色調を有する組成物に、シリコーン化プルランを加えることによって、機能性が付加された白斑部位の補正方法とすることができる。
【0069】
また、図11は実施例1のファンデーションを23人の被験者において、塗布前と塗布後における白斑部位と健常部位の分光測色の平均値から示された結果を表すグラフである。グラフから明らかなように、塗布前には白斑部位と健常部位の分光測色グラフが離れていたが、塗布後には両グラフがほぼ一致している。これは、塗布後の白斑部位が健常部位の肌色と遜色ない肌色状態になったことを示す。この結果は、図12、13及び14からも確認できる。それぞれの図面において、左の写真がメーキャップ前で、右の写真がメーキャップ後を示す。特に、図14は手の指先などの入り組んで複雑な白斑部位に対して、筆を用いて塗布した結果を示す。
【0070】
図15は、色白の白斑患者と色黒の白斑患者に対して、実施例1のファンデーションの塗布前と塗布後の分光測色の結果を示す。グラフから明らかなように、塗布前には白斑部位と健常部位の分光測色グラフが離れていたが、塗布後には両グラフがほぼ一致している。これは、塗布後の白斑部位が健常部位の肌色と遜色ない肌色状態になったことを示す。
【0071】
図16及び17は、実施例1のファンデーションを用いた満足度を示している。図16を参照するに、従来の状態では非常に不満だった白斑患者が、実施例1のファンデーションを用いることにより、満足度が高まったことが分かる。また、図17を参照するに、実施例1のファンデーションを使用することによって、白斑患者が望んでいた健常肌と遜色のない色調に近づき、白斑部位の隠蔽力も高まり、さらに、衣服への二次付着がなく、良好な化粧持ちなどの機能性や、塗布時のべたつきのなさなどの操作性についても、満足度が高まったことが分かる。
【0072】
したがって、図11乃至17から、本発明の実施例1のファンデーションを用いることで、白斑部位の色調を健常部位に近い肌色に一致させ、自然な仕上がりのメーキャップを実現することができ、これによって、白斑患者の社会生活における精神的な負担も軽減することができ、生活の質も改善できる。
【0073】
また、本発明の実施例1のファンデーションは、液状化粧品とすることで患部に塗布しやすく、さらに筆を用いることで入り組んだ細かな部位にも塗布しやすいなど、操作性に優れ、さらに、シリコーンプルラン被膜剤を用いることで、化粧持ちや二次付着がしにくいなど機能性にも優れた補正方法とすることができる。
【0074】
また、従来から白斑部位をカバーする場合は、白斑患者の色白や色黒など地肌の濃淡に合わせた市販の化粧品等を適用していたが、本発明の実施例1のファンデーションは、白斑患者の肌特性に関わらず、本発明の特定範囲の色調を有する組成物よりなる化粧品を白斑部位に塗布することで、白斑部位の肌色が地肌に近い自然の状態に仕上がり、全体として自然な仕上がりのメーキャップ、つまりナチュラルメークとすることができる。
【0075】
したがって、本発明の特定範囲の色調を用いる補正方法は、L*a*b*表色系でL*値が45以下、a*値が10以下、b*値が25以下、好ましくは、L*値が35乃至42、a*値が4乃至8、b*値が18乃至24である色調を有する組成物よりなる化粧品を白斑部位に塗布することで、白斑部位のみに不足したメラニン色調を補うことができ、効果的なナチュラルメークとすることができる。これにより、白斑患者の日常生活における生活の質が多大に改善することができる。
【0076】
以上本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】主な皮膚疾患を説明する図である。
【図2】白斑部位をカバーする既存の手法を説明する図である。
【図3】既存の白斑専用ファンデーションに対する不満度を示す図である。
【図4】本発明で使用する被膜剤を説明する図である。
【図5】白斑部位と健常部位の皮膚色素量の解析を示す図である。
【図6】白斑部位と健常部位の色差を示す図である。
【図7】本発明の白斑部位の色差を補正する色調を示す図である。
【図8】本発明の白斑部位の色差を補正する色調を示す図である。
【図9】実施例1、比較例1及び比較例5、並びに本人メークを比較した色差の補正効果を示す図である。
【図10】衣服に対する二次付着を実施例1と比較例1とを比較した図である。
【図11】実施例1の色差補正効果を示す分光測色の結果を示す図である。
【図12】実施例1のカバー効果を示す、使用前と使用後の写真である。
【図13】実施例1のカバー効果を示す、使用前と使用後の写真である。
【図14】実施例1のカバー効果を示す、使用前と使用後の写真である。
【図15】色白の白斑患者と色黒の白斑患者に対して、実施例1の色差補正効果を示す塗布前と塗布後の分光測色の結果を示す。
【図16】実施例1の満足度を示す図である。
【図17】実施例1の満足度を示すアンケート結果を示す図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、メーキャップ方法に関し、より詳細には、白斑などの色素性皮膚疾患の患部と健常部の外観的な差をなくす(以下、カバーとする)ために特定範囲の色調(色相、明度)を有する組成物を用いて、肌の健常部位と疾患部位との色差を補正する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、白斑を含めた皮膚疾患を患う多くの患者がおり、その症状に悩まされ続けている(図1参照)。特に、多くの色素性皮膚疾患に対する医学的治療法は確立されておらず、化粧によるカバーは重要な方法である。
【0003】
これまでの色素性皮膚疾患の患部を隠蔽する化粧品としては、例えば、酸化チタンやアルミフレークなど高隠蔽性の素材を用い、患部を完全に覆い隠す方法が採られていた。
【0004】
しかしながら、この隠蔽によるカバーは、患部は隠れるものの、肌の質感(透明感)のないマットな仕上がりで、不自然に見えがちであった。これを直すために、複雑なステップでのメークが必要であった。
【0005】
また、近年、雲母チタンの透過光による補色の加法混色を活用することにより、簡便で且つ自然に太田母斑(青あざ)、血管種(赤あざ)をカバーする専用ファンデーションが開発されている。
【0006】
白斑は、皮膚中の色素が脱色する色素性皮膚疾患である。
【0007】
多くの白斑患者は汎用のファンデーションやコンシーラーの活用やセルフタンニング剤などで対応しているが満足されるものではない。
【0008】
セルフタンニング剤では、白斑部の着色には有効で男性や子供にも使用しやすい利点はあるが、着色までに時間が掛かり、健常部位との色合わせが難しいという問題点があった。
【0009】
また、白斑専用化粧品としてはクリームタイプのファンデーション(製品名:カバーマーク、グラファラボラトリー社)が存在するが、白斑部位への塗布が煩雑であり、且つ汗や皮脂、衣服等での擦れにより容易にファンデーションが落ちてしまい、患部が露出されることがある。(図2参照)
このため、いずれの手法においても塗り直しが必須であり、首周りや手足などへの使用が困難であった。
【0010】
このように、多くの白斑患者はファンデーションの色調や隠蔽効果に対して不満を抱えており、化粧持ち及び衣服への二次付着などの機能性、塗りやすさ及びべたつきなどの操作性に対しても満足のいくものではなかった。(図3参照)
また、白斑部位の態様によっては、社会生活において精神的なストレスとなったり、社会的な不利益を日常的に被ることもある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来の白斑専用化粧品では、白斑部位を確実にカバーすることが困難であり、機能的にも不十分であった。また、白斑患者が日常生活においても社会的な不利益を受けることなく、安心して社会生活ができるように白斑部位を完全で確実に隠蔽し、カバーするためのメーキャップ方法が望まれていた。
【0012】
したがって、本発明は、上述に鑑みてなされたものであり、特定範囲の色調を用いて、色素性皮膚疾患の白斑部位を確実にカバーするための補正方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、白斑患者の患部と健常部位の皮膚色に着目し、分光測色機(浅枝設計事務所製非接触画像色彩計)によって測色し、皮膚中の色素量を算出した結果、白斑部位では有意にメラニン量が減少し、酸化及び還元型ヘモグロビン量には差異が見られないことを見出した。
【0014】
この結果より、白斑部位のカバーには、メラニンに起因する黒色及び黄色を補う必要があることが判明し、健常部位との色の差がある白斑部位の肌に対して、特定範囲の色相、明度を有する色調の組成物を用いて、メーキャップ後の自然な仕上がりとなるように色差を効果的に補正することができ、さらに、特定の被膜剤を加えることによって、耐汗性が強く、二次付着しないものとして本発明を開発するに到った。
【0015】
すなわち、請求項1記載の発明は、L*a*b*表色系で、L*値が45以下、a*値が10以下、b*値が25以下である色調を有する組成物をメラニンに起因する色差がある肌に適用することを特徴とする色差の補正方法によって達成される。
【0016】
上記発明によれば、メラニンに起因する色差がある肌に対して、L*a*b*表色系で、L*値が45以下、a*値が10以下、b*値が25以下である特定範囲の色調を有する組成物を適用することによって、患部と健常部の色差をより効果的に補正することができ、メーキャップ後の自然な仕上がりとなることができる。
【0017】
また、請求項2記載の発明は、L*a*b*表色系で、L*値が35乃至42、a*値が4乃至8、b*値が18乃至24である色調を有する組成物をメラニンに起因する色差がある肌に適用することを特徴とする色差の補正方法によって達成される。
【0018】
上記発明によれば、メラニンに起因する色差がある肌に対して、L*a*b*表色系で、L*値が35乃至42、a*値が4乃至8、b*値が18乃至24である特定範囲の色調を有する組成物を適用することによって、色差をさらにより効果的に補正することができ、メーキャップ後の自然な仕上がりとなることができる。
【0019】
また、請求項3記載の発明は、請求項1又は2に記載の補正方法において、前記色差がある肌は、色素系皮膚疾患の健常肌に対する白斑部位であることを特徴とする。
【0020】
上記発明によれば、色素系皮膚疾患の健常肌に対する白斑部位に対して、L*a*b*表色系で、L*値が45以下、a*値が10以下、b*値が25以下、好ましくは、L*値が35乃至42、a*値が4乃至8、b*値が18乃至24である特定範囲の色調を有する組成物を適用することによって、色差を効果的に補正することができ、自然な仕上がりのメーキャップとすることができる。
【0021】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の補正方法において、前記組成物と共に、被膜剤としてシリコーン化プルランを用いることを特徴とする。
【0022】
上記発明によれば、上記組成物に被膜剤としてシリコーン化プルランを加えて、化粧品となすことで、耐汗性が強く、衣服に対して二次付着しない、自然な仕上がりのメーキャップとすることができる。
【0023】
また、請求項5記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の補正方法において、前記組成物及び被膜剤は、液状化粧品の一部として用いることを特徴とする。
【0024】
上記発明によれば、上記特定範囲の色調を有する組成物及び被膜剤を含む液状化粧品を色差がある肌に適用することで、効果的に色差が補正され、メーキャップ後の自然な仕上がりとなることができる。
【0025】
また、請求項6記載の発明は、請求項5に記載の補正方法において、前記液状化粧品は、筆を用いて前記メラニンに起因する色差がある肌に適用することを特徴とする。
【0026】
上記発明によれば、上記特定範囲の色調を有する組成物を含む化粧品を筆によってメラニンに起因する色差がある肌に適用することで、入り組んだ細部まで塗布したり、色調の微調整が可能となり、自然な仕上がりのメーキャップとすることができる。
【0027】
さらにまた、請求項7記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の色調を有する白斑用ファンデーションによって達成される。
【0028】
上記発明によれば、L*a*b*表色系で、L*値が45以下、a*値が10以下、b*値が25以下である特定範囲の色調、またはL*a*b*表色系で、L*値が35乃至42、a*値が4乃至8、b*値が18乃至24である特定範囲の色調を有する白斑用ファンデーションを提供することができ、白斑患者が患部と健常部の色差をより効果的に補正することができ、今までになく自然な仕上がりのメーキャップを実現することができ、これによって、白斑患者の社会生活における精神的な負担も軽減することができ、生活の質も改善できる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、白斑などの色素性皮膚疾患の疾患部位の肌と、健常肌の肌色との色差を、L*a*b*表色系で、L*値が45以下、a*値が10以下、b*値が25以下、好ましくは、L*値が35乃至42、a*値が4乃至8、b*値が18乃至24の特定範囲の色調を有する組成物を用いることによって、メーキャップ後の自然な仕上がりとなるように色差を効果的に補正することができる。また、例えば、上記組成物にシリコーン化プルランの被膜剤を加えて、化粧品となすことで、耐汗性が強く、衣服に対して二次付着しない、自然な仕上がりのメーキャップとすることが可能である。また、本発明によれば、上記特定範囲の色調を有する組成物を含む化粧品を用いることで、色白や色黒などの肌特性に関係なく、すべての白斑患者に使用することができ、さらに液状化粧品とすることにより、筆を使って入り組んだ細部まで塗布したり、色調の微調整が可能となり、メーキャップ後の自然な仕上がりとなることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下に添付図を参照しながら本発明を詳細に説明する。
【0031】
本発明の白斑部位の補正方法は、白斑などの色素性皮膚疾患の疾患部位(以下、白斑部位という)の肌と、健常肌(以下、健常部位という)の肌色との色差を、特定範囲の色調を用いることで補正することを特徴とする。
【0032】
白斑は、原因不明の皮膚疾患であり、前述したように、後天性の色素脱失症である。
【0033】
図5を参照するに、白斑患者の患部と健常部位の皮膚色を分光測色機(浅枝設計事務所製非接触画像色彩計)によって測色し、皮膚中の色素量を算出した結果、白斑部位では有意にメラニン量が減少し、酸化及び還元型ヘモグロビン量には差異が見られないことが示されている。これは、23名の被験者(白斑患者)の素肌の分光反射率を舛田らの手法(舛田 他:新しいシミ計測法の開発、Jornal of Cosmet. Chem. Japan, 35-4 (2001) 325-332)により解析した臨床試験結果である。
【0034】
この結果より、白斑部位はメラニンに起因する黒色及び黄色が不足していることが分かる。つまり、換言すると、黒色と黄色を補正するための色調を用いることによって、白斑部位を効果的に補正できることが分かる。(図6参照)
図6は、白斑部位に欠乏している黒色と黄色を補正するために、それら色調を有する組成物よりなる評価化粧試料を作製し、白斑部位に塗布して色差が縮まったことが示されている。
【0035】
したがって、本発明は、メラニン色調を補うために適した色調を算出することによって、白斑部位を効果的に覆い隠すことができる。つまり、図6で作製した評価化粧試料のうち、白斑部位に塗布して効果的な結果を示す化粧試料の色の色調を測定することで、白斑部位の肌と健常部位の肌色との色差を補正する色調が認識できる。
【0036】
ここでいう「色」とは、色彩学で一般的に用いられている、XYZやRGB、HVC、L*a*b*表色系やマンセル表色系、分光反射率R(λ)やこれらから算出される種々の値、官能評価により評定尺度法を使って求めた評価値などメラニンに起因する黒色及び黄色を補う色調、つまり白斑部位を補正するための色調を一意的に表すことができる値ならば任意のものでよく、特に限定されない。
【0037】
なお、白斑部位のメラニン量には個人差があるため、本発明では、白斑部位を補正するための色調は、上記舛田らの手法(舛田 他:新しいシミ計測法の開発、Jornal of Cosmet. Chem. Japan, 35-4 (2001) 325-332)にて測定した皮膚中のメラニン量において、患部(白斑部位)と患部周辺の健常肌とのメラニン量の差が0.2以上の患部を補正するために必要な色調と定義し、L*a*b*表色系によって色調を表す。
【0038】
測色方法は、0.101μmのアプリケーターを用いて、例えば、図6で作製した様々な評価化粧試料を白色紙に塗布し、直後に分光ユニット付非接触画像色彩計(浅枝設計事務所製)を用いて試料の外観色を測色する。なお、L*a*b*表色系では、L*値は明度(白黒)を示し、値が小さいほど暗い(黒い)、a*値とb*値で色相・彩度を表し、a*は赤み、b*は黄みを示す。
【0039】
上記の測色方法により、白斑部位を覆い隠すための色調範囲が導き出される。これによって、白斑部位を補正するための色調範囲は、L*a*b*表色系で、L*値が45以下、a*値が10以下、b*値が25以下、好ましくは、L*値が35乃至42、a*値が4乃至8、b*値が18乃至24であることを特徴とする。
【0040】
本発明は、上記の特定範囲の色調を用いることによって、白斑部位の肌と、健常部位の肌色との色差を補正することができれば、特に限定されるものではなく、任意の手法を採用してよい。
【0041】
本発明の好ましい実施態様では、上記の特定範囲の色調を有する組成物を用い、化粧品に通常使用される色材や被膜剤などを含む化粧品とすることで、白斑部位の肌と、健常部位の肌色との色差を補正するために白斑部位に塗布することができる。
【0042】
本実施例で使用する色材としては、一般的に化粧品に用いられる色材であれば、特に限定されない。例えば、通常の酸化鉄や酸化チタン等の無機顔料、雲母チタン、酸化鉄被覆雲母チタン、酸化鉄被覆雲母などのパール顔料、各種染料をレーキ化した有機顔料、染料、染料により着色された樹脂粉体、無機顔料や有機顔料を内包や被覆した複合粉末などが挙げられる。
【0043】
本実施例で使用する被膜剤としても、一般的に化粧品に用いられる被膜剤であれば、特に限定されない。一般的には、被膜剤または粉体の分散剤として市販されているものが多く、水または揮発性油分に溶解し溶媒乾固により被膜を形成するものが望ましい。この様な被膜剤としては、親水性、疎水性を有する各種の高分子化合物が望ましい。特に、油性被膜剤が好ましい。
【0044】
代表的な被膜剤として、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、プルラン、トリメチルシロキシケイ酸、アクリルシリコーン、M単位Q単位シリコーンレジン組成物、シリコーン化プルラン等の高分子が挙げられる。この中で、特に、シリコーン油主体の処方との相溶性及び化粧持ちの観点より、シリコーン系高分子が望ましい。さらには、シリコーン化プルランが最も好ましい。
【0045】
図4に示されるように、本発明の補正方法で特定範囲の色調を有する組成物を含む化粧品を活用する際に、化粧品に用いられる色材や被膜剤は特に限定されないが、被膜剤をシリコーン化プルランとすることで、化粧持ちが良好で、二次付着しない、機能性に優れた化粧品とすることができる。
【0046】
また、本発明において、白斑部位に対して塗布する化粧品は、皮膚に対して塗布できるものであれば、特に限定されないが、例えば、ファンデーションなどの一般的な化粧品の形態であってよい。
【0047】
また、本発明の好ましい実施態様において、上記の特定範囲の色調を有する組成物よりなる化粧品は液状であり、特に、筆を用いて塗布することを特徴とする。これによって、従来のクリームタイプの白斑用ファンデーションとは違って、図14に示されるように、手の指先など入り組んだり、塗布が煩雑な部位においても容易に筆を用いて塗布することができる。また、油性の液状化粧品のため、色調の微調整が可能であり、個々の白斑患者の白斑部位の色差を補正する微妙な色調の違いに対応できる。
【0048】
また、本発明の特定範囲の色調を有する補正方法は、いわゆる色白や色黒など個人の特異的な肌色に関する肌特性に関係なく用いることができる。これにより、従来、白斑部位を隠蔽する場合は、個々の白斑患者の地肌の濃淡(色白や色黒など)に合わせて市販の化粧品等を選択して独自に適用していたが、本発明の特定範囲の色調を用いる補正方法は、白斑患者の地肌の特性に関わらず、本発明の特定範囲の色調を有する組成物を用いる化粧品を白斑部位に塗布することで、不足したメラニン色調を補うことができ、白斑部位の肌が個々人の地肌に近い自然の状態に仕上がり、全体として自然な仕上がりのメーキャップ、つまりナチュラルメークとすることができる。
【0049】
また、本発明の特定範囲の色調を有する補正方法は、図15、16から認識されるように、図3で示されるような既存の白斑用ファンデーションに対する白斑患者の不満が解消され、日常生活における白斑患者の生活の質に高い改善効果を得ることができる。
【実施例】
【0050】
以下に、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらによって制限されるものではない。
【0051】
本実施例では、黒色と黄色のメラニン色調を補う組成物を含む化粧品を数種類作製し、その色調を測色した後、健常肌と色差のある白斑部位に塗布した。塗布後、隠蔽効果が高い化粧品の色調を確定し、最適な特定範囲の色調を導き出した。
【0052】
本実施例では、実施例1乃至6として、従来の化粧品に含まれる色材や被膜剤などの組成物よりなるリキッドファンデーションを調製し、そのファンデーションの外観色のL*a*b*表色系を測色し、白斑部位に塗布した後の白斑の補正効果をそれぞれ評価した。下記の表3に各実施例の測色値と補正効果の評価結果を示す。
【0053】
なお、比較例1は、従来から使用されている市販の白斑専用化粧品(製品名:カバーマーク;グラファラボラトリー社製)とし、市販の4種類のリキッドファンデーション(製品名:アネッサプロサポートフィックス(AN)−オークル10、アネッサプロサポートフィックス(AN)−オークル20、アネッサプロサポートフィックス(AN)−オークル30、アネッサプロサポートフィックス(AN)−オークル40;(株)資生堂製)を比較例2乃至5とした。また、比較例6乃至9として、従来の化粧品に含まれる色材や被膜剤などの組成物よりなるリキッドファンデーションを調製した。各比較例においても、実施例と同様に、ファンデーションの外観色のL*a*b*表色系を測色し、それら測色値と白斑部位に塗布した後の白斑の補正効果を表3に示す。
【0054】
なお、実施例1乃至6及び比較例6乃至9のファンデーションの調製は、一般的な化粧品としてのファンデーションと同じであるため、詳細な調製方法の記載は省略する。
【0055】
表1に実施例1の代表的な処方例を示す。
【0056】
【表1】
また、表2に、実施例1と比較例2乃至5との色材の大まかな組成の違いを示す。
【0057】
【表2】
表2から認識できるように、本実施例では、実施例1乃至6のファンデーションにおいて、黒色及び黄色を補うための色材の含有量を市販のファンデーションと多大に変更していることが分かる。
【0058】
なお、本実施例は、化粧持ち及び二次付着の機能的な観点から、シリコーン化プルランを被膜剤として用いたが、一般的に化粧品に用いられる被膜剤であれば、特に限定されない。
【0059】
実施例1乃至6のファンデーションの作製後、実施例1乃至6及び比較例1乃至9のファンデーションを測色した。測色方法は、0.101μmのアプリケーターを用いて、実施例1乃至6及び比較例1乃至9のファンデーション試料を白色紙に塗布し、直後に分光ユニット付非接触画像色彩計(浅枝設計事務所製)を用いて、各ファンデーションの外観色を測色した。なお、L*a*b*表色系では、L*値は明度(白黒)を示し、値が小さいほど暗い(黒い)、a*値とb*値で色相・彩度を表し、a*は赤み、b*は黄みを示す。
【0060】
その後、上記実施例1乃至6及び比較例1乃至9のファンデーションを白斑患者の患部である白斑部位に塗布して、各補正効果を評価した。
【0061】
塗布する際、本実施例1乃至6のリキッドファンデーションは、筆を用いて塗布することで、入り組んだ細かな部位にも容易に塗布することができた。また、油性の液状化粧品のため、白斑患者の肌特性に合わせた色調の微調整が可能であった。
【0062】
表3に実施例1乃至6及び比較例1乃至9の測色値と補正効果の評価結果を示す。
【0063】
【表3】
表3において、白斑部位の補正結果を視覚的な官能評価にて行なった。白斑部位の補正効果が優れて良好な結果(健常肌と全く同じで遜色ない)を◎、良好な結果(健常肌とほとんど変わらない、それほど違和感ない)を○、良好とは言えないが多少改善された結果(健常肌とやや異なり、若干違和感を感じる)を△、効果が見出せない結果(健常肌と明らかに異なり、完全に違和感ある)を×とした。
【0064】
表3から分かるように、評価結果が△の比較例1、6乃至9は、効果に多少の違和感を示す結果であり、従来の市販製品に対する評価と同様の補正結果を示した。評価結果を○で示す実施例2、4、5、6が好ましい評価として挙げられ、L*a*b*表色系において、L*値が45以下、a*値が10以下、b*値が25以下の色調範囲で良好な補正効果を示した。また、評価結果を◎で示す実施例1及び3がさらに好ましい評価として挙げられ、L*a*b*表色系において、L*値が35乃至42、a*値が4乃至8、b*値が18乃至24の色調範囲でさらに良好な補正効果を示した。
【0065】
また、市販の4種類のリキッドファンデーションを使用した比較例2乃至5では、測色したL*a*b*表色系は、良好な結果を示す実施例1のファンデーションとは相当に異なる値を示した。また、図7からも、実施例1のファンデーションの色調と比較例2乃至5との色調の差が多大に乖離していることが認識できる。また、図8に示すように、比較例2乃至5の市販のリキッドファンデーションの色調に比べ、実施例1のファンデーションの色調は黒さが相当に増した色調であり、比較例2乃至5のファンデーションの肌色とはかけ離れた色であることが分かる。
【0066】
また、別の比較評価例として、実施例1のファンデーション、比較例1の従来の白斑専用ファンデーション(カバーマーク)、本人によるメーキャップ、比較例5の既存リキッドファンデーション(アネッサプロサポートフィックス(AN)−オークル40)を白斑患者(44歳、女性)に専門の美容施術者が使用して、白斑部位と健常部位との色差を評価した結果を示す。実施例1、比較例1及び比較例5のファンデーションは、メーキャップ条件を統一するために、被験者である白斑患者の白斑部位にコントロールベース(製品名:dプログラム(デーケアプロテクター);(株)資生堂製)を塗布した上に塗布した。なお、本人メークは、被験者の通常のメーキャップ方法にしたがったものである。
【0067】
図9に示されるように、白斑部位に何も塗布しない場合は、色差(ΔE)が13であった。比較例1の従来の白斑専用ファンデーションの塗布、比較例5の既存ファンデーションの塗布、及び本人のメーキャップの場合には色差が5〜6に縮まったが、実施例1の本発明の特定範囲の色調を有するファンデーションを塗布した場合には色差がわずか1となり、従来の白斑専用のファンデーション、つまり比較例1と比べて相当に著しい改善がなされたことが分かる。
【0068】
図10は、実施例1の本発明の特定範囲の色調を有するファンデーションと、比較例1の従来の白斑専用ファンデーションを首に半分ずつ塗布し、新品のシャツを着用後3時間における襟への付着状態を視感評価した結果を示す。図10から分かるように、比較例1のファンデーションに比べて、実施例1のファンデーションの二次付着が少ないことが分かる。これは、図4に示すような、汗に強く、二次付着しない、シリコーン化プルランを被膜剤として使用することに起因している。したがって、本発明の特定範囲の色調を有する組成物に、シリコーン化プルランを加えることによって、機能性が付加された白斑部位の補正方法とすることができる。
【0069】
また、図11は実施例1のファンデーションを23人の被験者において、塗布前と塗布後における白斑部位と健常部位の分光測色の平均値から示された結果を表すグラフである。グラフから明らかなように、塗布前には白斑部位と健常部位の分光測色グラフが離れていたが、塗布後には両グラフがほぼ一致している。これは、塗布後の白斑部位が健常部位の肌色と遜色ない肌色状態になったことを示す。この結果は、図12、13及び14からも確認できる。それぞれの図面において、左の写真がメーキャップ前で、右の写真がメーキャップ後を示す。特に、図14は手の指先などの入り組んで複雑な白斑部位に対して、筆を用いて塗布した結果を示す。
【0070】
図15は、色白の白斑患者と色黒の白斑患者に対して、実施例1のファンデーションの塗布前と塗布後の分光測色の結果を示す。グラフから明らかなように、塗布前には白斑部位と健常部位の分光測色グラフが離れていたが、塗布後には両グラフがほぼ一致している。これは、塗布後の白斑部位が健常部位の肌色と遜色ない肌色状態になったことを示す。
【0071】
図16及び17は、実施例1のファンデーションを用いた満足度を示している。図16を参照するに、従来の状態では非常に不満だった白斑患者が、実施例1のファンデーションを用いることにより、満足度が高まったことが分かる。また、図17を参照するに、実施例1のファンデーションを使用することによって、白斑患者が望んでいた健常肌と遜色のない色調に近づき、白斑部位の隠蔽力も高まり、さらに、衣服への二次付着がなく、良好な化粧持ちなどの機能性や、塗布時のべたつきのなさなどの操作性についても、満足度が高まったことが分かる。
【0072】
したがって、図11乃至17から、本発明の実施例1のファンデーションを用いることで、白斑部位の色調を健常部位に近い肌色に一致させ、自然な仕上がりのメーキャップを実現することができ、これによって、白斑患者の社会生活における精神的な負担も軽減することができ、生活の質も改善できる。
【0073】
また、本発明の実施例1のファンデーションは、液状化粧品とすることで患部に塗布しやすく、さらに筆を用いることで入り組んだ細かな部位にも塗布しやすいなど、操作性に優れ、さらに、シリコーンプルラン被膜剤を用いることで、化粧持ちや二次付着がしにくいなど機能性にも優れた補正方法とすることができる。
【0074】
また、従来から白斑部位をカバーする場合は、白斑患者の色白や色黒など地肌の濃淡に合わせた市販の化粧品等を適用していたが、本発明の実施例1のファンデーションは、白斑患者の肌特性に関わらず、本発明の特定範囲の色調を有する組成物よりなる化粧品を白斑部位に塗布することで、白斑部位の肌色が地肌に近い自然の状態に仕上がり、全体として自然な仕上がりのメーキャップ、つまりナチュラルメークとすることができる。
【0075】
したがって、本発明の特定範囲の色調を用いる補正方法は、L*a*b*表色系でL*値が45以下、a*値が10以下、b*値が25以下、好ましくは、L*値が35乃至42、a*値が4乃至8、b*値が18乃至24である色調を有する組成物よりなる化粧品を白斑部位に塗布することで、白斑部位のみに不足したメラニン色調を補うことができ、効果的なナチュラルメークとすることができる。これにより、白斑患者の日常生活における生活の質が多大に改善することができる。
【0076】
以上本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】主な皮膚疾患を説明する図である。
【図2】白斑部位をカバーする既存の手法を説明する図である。
【図3】既存の白斑専用ファンデーションに対する不満度を示す図である。
【図4】本発明で使用する被膜剤を説明する図である。
【図5】白斑部位と健常部位の皮膚色素量の解析を示す図である。
【図6】白斑部位と健常部位の色差を示す図である。
【図7】本発明の白斑部位の色差を補正する色調を示す図である。
【図8】本発明の白斑部位の色差を補正する色調を示す図である。
【図9】実施例1、比較例1及び比較例5、並びに本人メークを比較した色差の補正効果を示す図である。
【図10】衣服に対する二次付着を実施例1と比較例1とを比較した図である。
【図11】実施例1の色差補正効果を示す分光測色の結果を示す図である。
【図12】実施例1のカバー効果を示す、使用前と使用後の写真である。
【図13】実施例1のカバー効果を示す、使用前と使用後の写真である。
【図14】実施例1のカバー効果を示す、使用前と使用後の写真である。
【図15】色白の白斑患者と色黒の白斑患者に対して、実施例1の色差補正効果を示す塗布前と塗布後の分光測色の結果を示す。
【図16】実施例1の満足度を示す図である。
【図17】実施例1の満足度を示すアンケート結果を示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
L*a*b*表色系で、L*値が45以下、a*値が10以下、b*値が25以下である色調を有する組成物をメラニンに起因する色差がある肌に適用することを特徴とする色差の補正方法。
【請求項2】
L*a*b*表色系で、L*値が35乃至42、a*値が4乃至8、b*値が18乃至24である色調を有する組成物をメラニンに起因する色差がある肌に適用することを特徴とする色差の補正方法。
【請求項3】
前記色差がある肌は、色素性皮膚疾患の健常肌に対する白斑部位であることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記組成物と共に、被膜剤としてシリコーン化プルランを用いることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記組成物及び被膜剤は、液状化粧品の一部として用いることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記液状化粧品は、筆を用いて前記メラニンに起因する色差がある肌に適用することを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
請求項1又は請求項2に記載の色調を有する白斑用ファンデーション。
【請求項1】
L*a*b*表色系で、L*値が45以下、a*値が10以下、b*値が25以下である色調を有する組成物をメラニンに起因する色差がある肌に適用することを特徴とする色差の補正方法。
【請求項2】
L*a*b*表色系で、L*値が35乃至42、a*値が4乃至8、b*値が18乃至24である色調を有する組成物をメラニンに起因する色差がある肌に適用することを特徴とする色差の補正方法。
【請求項3】
前記色差がある肌は、色素性皮膚疾患の健常肌に対する白斑部位であることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記組成物と共に、被膜剤としてシリコーン化プルランを用いることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記組成物及び被膜剤は、液状化粧品の一部として用いることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記液状化粧品は、筆を用いて前記メラニンに起因する色差がある肌に適用することを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
請求項1又は請求項2に記載の色調を有する白斑用ファンデーション。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【図15】
【図16】
【図17】
【図8】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【図15】
【図16】
【図17】
【図8】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−223976(P2007−223976A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−49054(P2006−49054)
【出願日】平成18年2月24日(2006.2.24)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月24日(2006.2.24)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]