説明

白樺樹液含有入浴剤

【課題】スキンケア効果が高く、製造が簡便な入浴剤、足浴剤の提供。
【解決手段】欧州,中国,韓国,日本などに民間療法的に伝承され主に飲料として愛飲されている白樺樹液を含有することを特徴とする入浴剤、または足浴剤の提供。
【効果】この入浴剤又は足浴剤により、保湿効果,肌清効果、肌安全性の高い入浴剤,足浴剤が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スキンケア効果に優れた入浴剤、足浴剤に関する。
【背景技術】
【0002】
入浴剤は、無機塩類を主成分としたものや炭酸アルカリ塩と有機酸からなり浴湯中で炭酸ガスを発生するものに香料や着色料、植物エキスなどを配合したものが主体であり、入浴による温泉効果、即ち、入浴時に身体を温め入浴後まで保温することにより、血行を促進し疲労を回復し、冷え性、肩凝り等を緩解する等の効果を助長したり、また、サラ湯の皮膚刺激をやわらげ、香りや色などにより気分を楽しくしたり、リラックスさせるなどの目的で使用されてきた。
近年、こうした温浴効果の助長や楽しさ以外に、入浴によるスキンケア効果に関心が高まり、スキンケア効果を付与した入浴剤の提案が多くなされるようになってきた。
入浴剤によってスキンケア効果を付与する方法としては多価アルコール、多糖類やミルク成分などの保湿成分を配合したもの、スキンケア効果のあるとされる植物エキスを配合したもの、油分を配合したものなどがある。
スキンケア効果(保湿効果、肌清浄効果など)を十分に発揮させるためには様々な成分を多種に入れる必要があり、非常にコストがかかる。また、それらの効果においても改良の余地がある。
【特許文献1】特開平2−115117号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、スキンケア効果が高く、さらには簡便で安価な入浴剤、足浴剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、かかる現状に鑑み、スキンケア効果が高く、肌安全性も高く、安価で簡便にできる入浴剤、足浴剤を得るべく研究を重ねた。その結果、欧州、中国、韓国、日本などに民間療法的に伝承され主に飲料として愛飲されている白樺樹液を配合することにより、保湿効果、肌清浄効果、肌安全性の高い入浴剤、足浴剤が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は下記の通りである。
1.白樺樹液を含有することを特徴とする入浴剤。
2.白樺樹液を含有することを特徴とする足浴剤。
【発明の効果】
【0005】
本発明により、スキンケア効果が高く、さらには簡便で安価な入浴剤、足浴剤を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明について、特にその好ましい形態を中心に、具体的に説明する。
本発明で用いる白樺樹液は本州中部以北と北海道、千島列島南部、サハリン、中国、シベリア、フィンランドなどに分布するカバノキ科(Betulaceae)の「白樺」(Betulaplatyphylla var.japonica)から得られる樹液であり、その幹に小さな穴を穿ける又は、切り込みを入れることによって採取することができ、その時期は早春の約1ヶ月間が好適とされる。この溢出される樹液は約99.3%が水分であり、残りは固形分量である。糖成分としてグルコース、フラクトース、ミネラル成分としてカリウム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、マンガン、鉄、亜鉛、リン、バリウム、ケイ素、ホウ素、ランタン、ストロンチウム、トリウム、アルミニウム、クロム、鉛、ニッケル、コバルト、銅、チタン、モリブデン、カドミウム、イットリウム、ヒ素、インジウム、ベリリウム、バナジウム、ジルコニウム、アンチモン、ビスマス、水銀、などを含む。その他グルタミン酸、アスパラギン酸、バリン、イソロイシン、メチオニン、ロイシン、リジン、フェニルアラニン、グリシン、アラニン、スレオニン、アルギニン、シスチン・システイン、プロリン、セリン、チロシン、ヒスチジンなどのアミノ酸や、リンゴ酸、コハク酸などの有機酸、蛋白質などを含有しており、その薬理作用が期待されている。糖は保湿効果が高く、その持続性があることなどが知られている。ミネラル成分の一つのカリウムは皮膚の軟化効果などに優れており、毛穴を開きやすく毛穴の汚れまで落ちやすい。他にも例えば亜鉛は肌修復能力がある。また、有機酸の主成分はリンゴ酸、コハク酸が挙げられるが、リンゴ酸はケミカルピーリング効果など、コハク酸は肌を引き締める効果などがあることが知られている。アミノ酸は肌改善効果などがあることが知られている。これらは例示であり、限定されるものではなく白樺樹液には上記に挙げた成分の他にも様々なスキンケアに有効な成分が含有されている。
【0007】
このように本発明で用いられる白樺樹液はスキンケア入浴剤、足浴剤として必要な種々の成分を総合的に含有するものであり、本発明の入浴剤、足浴剤はこれらの成分中の特定成分のみを使用するものでなく、樹液をそのまま、もしくは濃縮して使用するところに特徴がある。
採取した白樺樹液はそのまま放置すると、腐敗、菌の繁殖などが生ずる。このため殺菌する方法として、採取した白樺樹液に熱を加えることにより、またエタノール、パラオキシ安息香酸エステルまたはその塩、安息香酸またはその塩、サリチル酸またはその塩、ソルビン酸またはその塩、デヒドロ酢酸またはその塩、イソプロピルメチルフェノール、オルトフェニルフェノール、クレゾール、フェノキシエタノールなどの防腐剤を適宜添加することが望ましい。本発明では組成全量に対して白樺樹液を1〜99重量%配合でき、好ましくは10〜90重量%である。配合量が1重量%に満たなければスキンケア効果、具体的には保湿効果、肌清浄効果が弱くなり、99重量%を超えると入浴後にべたつきを有するだけでなく白樺樹液の保存安定性が低下する場合がある。なお、白樺樹液は濃縮して用いてもよい。入浴剤、足浴剤が固形の場合、白樺樹液は濃縮乾固させ固形部のみ用いてもよい。その場合、組成全量に対して白樺樹液の固形分を0.01〜10重量%配合することが好ましく、より好ましくは0.05〜5重量%である。配合量が0.01重量%に満たなければスキンケア効果、具体的には保湿効果、肌清浄効果が弱くなる傾向があり、10重量%を超えると入浴後にべたつきを示す場合がある。
【0008】
尚、本発明の入浴剤、足浴剤においては、入浴剤、足浴剤に常用されている添加剤を本発明の性能を損なわない範囲で配合することも可能である。例えば、エタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール;プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、マルチトール等の多価アルコール類;流動パラフィン、流動イソパラフィン、スクワラン、ワセリン、固形パラフィン等の炭化水素系油;牛脂、豚脂、魚油等の天然油脂類;トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル等の合成トリグリセライド;ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸セチル、オレイン酸エチル、オレイン酸オレイル、ミリスチン酸オクチルドデシル等のエステル油;ミツロウ、カルナウバロウ等のロウ類;直鎖および環状のジメチルポリシロキサン、ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン、アミノ変性ジメチルポリシロキサン等のシリコーン誘導体;セラミド、コレステロール、蛋白誘導体、ラノリン、ラノリン誘導体、レシチン等の油性基剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリプロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、グリセリンモノ脂肪酸エステル、アルキルポリグルコシド、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、アルカノールアミド等の非イオン性界面活性剤;石鹸、アルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アシルメチルタウリン塩、アシルグルタミン酸塩、アシルグリシン塩、アシルザルコシン塩、アシルイセチオン酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アミドエーテル硫酸エステル塩、アルキル燐酸エステル塩等の陰イオン性界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸べタイン、アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アミドアミノ酸塩、アルキルイミノジ酢酸塩等の両性界面活性剤;アルキルアミンオキシド、ポリオキシエチレンアルキルアミンオキシド等の半極性界面活性剤;塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム等の陽イオン性界面活性剤;アルキルアミンやアミドアミンの塩酸塩あるいは酢酸塩;タルク、カオリン、セリサイト、雲母、バーミキュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、珪ソウ土、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸バリウム、珪酸ストロンチウム、硫酸バリウム、タングステン酸金属塩、シリカ、ゼオライト、ヒドロキシアパタイト、窒化ホウ素、セラミックスパウダー等の無機粉末;結晶セルロース、ポリエチレン粉末、ポリ四フッ化エチレン粉末等の有機粉末;酸化チタン、酸化亜鉛等の無機白色顔料;赤色酸化鉄(ベンガラ)、チタン酸鉄等の無機赤色系顔料;γ−酸化鉄等の無機褐色系顔料;黄色酸化鉄、黄土等の無機黄色系顔料;黒色酸化鉄、カーボンブラック等の無機黒色系顔料;マンゴバイオレット、コバルトバイオレット等の無機紫色系顔料;酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト等の無機緑色系顔料;群青、紺青等の無機青色系顔料;酸化チタン被覆雲母、オキシ塩化ビヒマス、酸化チタン被覆オキシ塩化ビヒマス、酸化チタン被覆タルク、魚鱗箔、着色酸化チタン被覆雲母等のパール顔料、アルミニウムパウダー、カッパーパウダー等の金属粉末顔料;赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色228号、赤色405号、橙色203号、橙色204号、黄色205号、黄色401号、青色404号等の有機顔料;赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色227号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、緑色3号、青色1号等のジルコニウム;バリウムまたはアルミのニウムレーキ等の有機顔料;クロロフィル、β−カロチン等の天然色素;アルギン酸、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、キサンタンガム、ヒアルロン酸等の水溶性高分子;ホウ砂、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、硝酸ナトリウム、硫化ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ピロリドンカルボン酸ナトリウム等の無機または有機塩類;pH調製剤である酸およびアルカリ;殺菌剤、キレート剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤、動植物由来の天然エキス、香料等を配合できる。
【0009】
特に足浴剤に関しては、殺菌効果のある添加剤、具体的には塩化ベンザルコニウム等の第4級アンモニウム塩、次亜塩素酸ナトリウム、高度サラシ粉等の塩素剤、塩素化イソシアヌル酸や銀、銅、亜鉛などの抗菌性の金属を入れてもよい。
本発明の入浴剤、足浴剤は、常法に基づき製造することができ、粉末、顆粒、錠剤、液体、など、通常の剤形とすることができる。
次に、実施例によって本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0010】
[実施例1]
ポリオキシエチレンラウリルエーテル1重量%、ラウリン酸ジエタノールアミド0.5重量%を加熱溶融し、これと炭酸ナトリウム10重量%、炭酸水素ナトリウム23重量%とをヘンシェルミキサーにて攪拌混合し、賦形物を得た。この賦形物をナウターミキサーにてブドウ糖18重量%、フマル酸37重量%、ポリエチレングリコール5重量%、香料0.5%、白樺樹液の濃縮乾固物5重量%とともに混合し、この混合物50gを油圧式打錠機(錠径30mmΦ)を用い打錠し錠剤型入浴剤を得た。
【0011】
[実施例2]
流動パラフィン15重量%と、グリセリン8重量%と、ステアリン酸ポリエチレングリコール1重量%と、香料0.5重量%とを混合し、これに白樺樹液75.5重量%を徐々に加えた後、ホモミキサーで乳化させ、乳化物を得た。この乳化物を、さらにマイクロフルイダイザーを用い、1000kg/cm2 の圧力を加えて細粒化、エマルジョン型液体入浴剤を得た。
【0012】
[実施例3]
攪拌転動混合機に、炭酸ナトリウム40重量%、重炭酸ナトリウム20重量%、焼ミョウバン3重量%、コハク酸15重量%、香料1重量%、白樺樹液(50%濃縮物)1重量%を入れて混合した。混合粉体を温めながらポリエチレングリコールを20重量%添加して再度混合した。次いで、得られた混合物を押し出し造粒機により圧密化し、得られた押し出し物を振動冷却機で冷却したのち、整粒機にて破砕し、顆粒状入浴剤を得た。得られた顆粒状入浴剤の平均粒子径は1mmであった。
【0013】
[実施例4]
炭酸ナトリウム18重量%、炭酸水素ナトリウム32重量%、フマル酸36重量%、硫酸ナトリウム10重量%及びジクロロイソシアヌル酸ナトリウム2重量%、白樺樹液濃縮乾固物2重量%を混合してこの混合物15gを油圧式打錠機を用い打錠し錠剤型足浴剤を得た。
上記のようにして得られた入浴剤、足浴剤について下記の使用感評価を行い、その結果を以下に示した。
【0014】
[使用感評価]
入浴剤については家庭の浴槽にお湯を180〜230Lはり、液体であれば100ml添加、固体であれば50g投入し、よく攪拌した後入浴した。
湯上がりはシャワー等で入浴剤を洗い流さないようにした。10人のモニターに、1週間使用してもらい、その後の評価は以下の通りになった。
<実施例1の入浴剤を使用したモニターの評価>
保湿感が改善された人 10人中10人
皮膚の洗浄性が改善した人 10人中9人
<実施例2の入浴剤を使用したモニターの評価>
保湿感が改善された人 10人中10人
皮膚の洗浄性が改善した人 10人中8人
<実施例3の入浴剤を使用したモニターの評価>
保湿感が改善された人 10人中9人
皮膚の洗浄性が改善した人 10人中8人
足浴剤についてはたらいに3Lのお湯を入れ、足浴剤を投入し足浴した。その後の評価は以下の通りになった。
<実施例4の入浴剤を使用したモニターの評価>
保湿感が改善された人 10人中10人
皮膚の洗浄性が改善した人 10人中9人
【産業上の利用可能性】
【0015】
本発明は、スキンケア入浴剤、足浴剤として好適に利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
白樺樹液を含有することを特徴とする入浴剤。
【請求項2】
白樺樹液を含有することを特徴とする足浴剤。

【公開番号】特開2006−131546(P2006−131546A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−322291(P2004−322291)
【出願日】平成16年11月5日(2004.11.5)
【出願人】(303046266)旭化成ライフ&リビング株式会社 (64)
【Fターム(参考)】