説明

白色マーキング用熱可塑性樹脂組成物

【課題】 汚損抵抗性に優れた白色マーキング用熱可塑性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 アクリル系単量体を構成単量体として含む重合体を少なくとも含有する樹脂(A)100重量部に、回転型レオメーター(230℃、せん断速度1sec-1)での粘度(η)が0.01〜100Pa・sである低粘度オレフィン系ポリマー(B1)0.1〜5重量部及び/又は前記粘度(η)が100Pa・sを超えるオレフィン系ポリマー(B2)0.1〜1重量部、及び色材(C)0.0001〜5重量部が配合された、レーザー光線の照射により白色マーキングが可能な白色マーキング用熱可塑性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザー光線の照射により白色マーキングを形成できる白色マーキング用熱可塑性樹脂組成物、特に、マーキング部の発色性及び汚損抵抗性に優れた白色マーキング用熱可塑性樹脂組成物に関する。本発明は、また、前記白色マーキング用熱可塑性樹脂組成物で構成された白色レーザーマーキング可能な成形体、該成形体にレーザー光線を照射して白色マーキングを施す白色マーキング方法、及び前記成形体にレーザー光線を照射して得られる白色マーク形成成形体に関する。本発明は、さらに、白色マーキングが施された白色マーク形成成形体のマーキング部の汚損及び/又は摩耗を防止する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インキによる印刷・塗装に替わる技術としてレーザー光照射による印刷(レーザーマーキング)が普及している。レーザーマーキングのうち白色レーザーマーキングの場合には、暗色系の背景に対してコントラストの高いほど被視認性・品質感が向上するため、白色度のより高いマーキングが求められる。とりわけ用途が拡大するにつれて、従来の暗色系にとどまらず様々な背景色に対してコントラストの高いマーキングが要求されるようになった。
【0003】
白色度を向上させる方法として、低エネルギーで樹脂の分解発泡を十分に行うためにレーザー吸収効率を高める方法が提案されている。例えば、マイカをコーティングした真珠光沢顔料や、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット化合物等を樹脂に添加する方法が知られている(例えば、特許文献1、2等)。しかし、前者の方法は真珠光沢が不要な場合には使用できないし、後者の方法は安全性や環境への影響が懸念されるため、実用上問題となる。
【0004】
一方、樹脂成形体に白色マーキングする場合には、初期の白色度が満足できるものであったとしても、白色マークが付された製品を使用していくうちに手垢などによりマーキング部分が汚損して白色度が低下し、品質感が損なわれるという問題が生じる。このような問題に対して、マーキング部をコーティングしたり保護層をラミネートすることでマーキング部の汚損を防止することが提案されているが、コスト高となり現実的でない。
【0005】
【特許文献1】特開平9−12776号公報
【特許文献2】特開平2−204888号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、汚損抵抗性、耐摩耗性に優れた白色マーキング用熱可塑性樹脂組成物、該樹脂組成物で構成された成形体、該成形体に白色マーキングを施す方法、及び該成形体に白色マークが施された白色マーク形成成形体を提供することにある。
本発明の他の目的は、さらに、初期白色度にも優れる白色マーキング用熱可塑性樹脂組成物、該樹脂組成物で構成された成形体、該成形体に白色マーキングを施す方法、及び該成形体に白色マークが施された白色マーク形成成形体を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、白色マーキングが施された白色マーク形成成形体のマーキング部の汚損及び/又は摩耗を効果的に防止する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、アクリル系単量体の構成単量体として含む重合体を少なくとも含有する樹脂に所定量のオレフィン系ポリマー及び色材を配合すると、白色マーキングが施された成形体を長期間使用してもマーキング部分が汚損しにくく、また摩耗しにくいことを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、アクリル系単量体を構成単量体として含む重合体を少なくとも含有する樹脂(A)100重量部に、回転型レオメーター(230℃、せん断速度1sec-1)での粘度(η)が0.01〜100Pa・sである低粘度オレフィン系ポリマー(B1)0.1〜5重量部及び/又は前記粘度(η)が100Pa・sを超えるオレフィン系ポリマー(B2)0.1〜1重量部、及び色材(C)0.0001〜5重量部が配合された、レーザー光線の照射により白色マーキングが可能な白色マーキング用熱可塑性樹脂組成物を提供する。
【0009】
前記樹脂(A)には、(メタ)アクリル酸C1-18アルキルエステル、アクリロニトリル、スチレン及びゴム成分からなる共重合体(a-1)60〜100重量部と、アクリロニトリル及びスチレンからなる共重合体(a-2)0〜40重量部[但し、(a-1)+(a-2)=100重量部]からなるゴム強化スチレン系樹脂が含まれる。
【0010】
このゴム強化スチレン系樹脂において、共重合体(a-1)の単量体組成は、好ましくは、(メタ)アクリル酸C1-18アルキルエステル40〜60重量%、アクリロニトリル3〜14重量%、スチレン12〜25重量%、ゴム成分6〜24重量%である。また、共重合体(a-2)の単量体組成は、好ましくは、アクリロニトリル10〜26重量%、スチレン74〜90重量%である。また、共重合体(a-1)のゴム成分の平均粒子径としては、150〜800nmが好ましい。また、共重合体(a-1)のメルトインデックス(MI;230℃、5kg)と共重合体(a-2)のメルトインデックス(MI;230℃、5kg)の比(前者/後者)は、例えば1/200〜1/2の範囲である。
【0011】
樹脂(A)にはポリメタクリル酸メチルも含まれる。
【0012】
低粘度オレフィン系ポリマー(B1)としては、例えば、ポリエチレンワックス及びポリプロピレンワックスから選択された少なくとも1種を使用できる。また、オレフィン系ポリマー(B2)としては、例えば、ポリエチレン及びポリプロピレンから選択された少なくとも1種を使用できる。
【0013】
色材(C)は暗色系染顔料を含むのが好ましい。色材(C)は平均粒子径10〜90nmのカーボンブラックであってもよい。
【0014】
前記白色マーキング用熱可塑性樹脂組成物は、さらに、熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して、高級脂肪酸又はその誘導体0.01〜5重量部が配合されていてもよい。高級脂肪酸又はその誘導体として高級脂肪酸の金属塩が好ましい。
【0015】
本発明は、また、前記の白色マーキング用熱可塑性樹脂組成物で構成された白色マーキング可能な成形体を提供する。
【0016】
本発明は、さらに、前記成形体にレーザー光線を照射して白色マーキングを施す白色マーキング方法を提供する。本発明は、さらにまた、前記成形体にレーザー光線の照射により白色マーキングが施された白色マーク形成成形体を提供する。
【0017】
本発明は、さらにまた、白色マーキングを施す成形体を、アクリル系単量体を構成単量体として含む重合体を少なくとも含有する樹脂(A)100重量部に、回転型レオメーター(230℃、せん断速度1sec-1)での粘度(η)が0.01〜100Pa・sである低粘度オレフィン系ポリマー(B1)0.1〜5重量部及び/又は前記粘度(η)が100Pa・sを超えるオレフィン系ポリマー(B2)0.1〜1重量部、及び色材(C)0.0001〜5重量部が配合された熱可塑性樹脂組成物で構成することにより、該白色マーキングを施す成形体に白色マーキングを施して得られる白色マーク形成成形体のマーキング部の汚損及び/又は摩耗を防止する方法を提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の白色マーキング用熱可塑性樹脂組成物で構成された成形体に白色マーキングを施した製品は、汚損抵抗性に優れ、長期間使用しても汚れにくく、初期の白色度が維持される。また、耐摩耗性に優れる。さらに、初期の白色度も高く、高品質感をもたらす。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
[樹脂A]
樹脂(A)としては、アクリル系単量体を構成単量体として含む重合体(以下、単に「重合体A1」と称することがある)を少なくとも含有する樹脂であれば特に限定されない。このような樹脂はレーザー光線を照射した際に発泡して、成形品表面に白色のマーキングを発現させる。
【0020】
アクリル系単量体には、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステルなどが含まれる。(メタ)アクリル酸エステルとして、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシルなどの(メタ)アクリル酸C1-18アルキルエステル;(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなどの(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル;(メタ)アクリル酸フェニルなどの(メタ)アクリル酸アリールエステル;(メタ)アクリル酸ベンジルなどの(メタ)アクリル酸アラルキルエステルなどが挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチルなどの(メタ)アクリル酸C1-10アルキルエステル[特に、(メタ)アクリル酸C1-4アルキルエステル]が好ましい。アクリル系単量体は、単独で又は2種以上組み合わせて用いられる。
【0021】
重合体A1は、アクリル系単量体以外の単量体を構成単量体として含んでいてもよい。このような単量体としては、アクリル系単量体と共重合可能な単量体であればよく、例えば、シアン化ビニル系単量体、スチレン系単量体、無水マレイン酸、イミド系単量体などが挙げられる。これらの単量体(特に、スチレン系単量体)を構成単量体として用いることにより、より低エネルギーのレーザー光線で白色マーキングを可能にするという顕著なマーキング促進効果や、耐衝撃性、成形性の向上効果が得られる。
【0022】
シアン化ビニル系単量体には、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが含まれる。スチレン系単量体には、スチレン、アルキル置換スチレン(例えば、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレンなどのビニルトルエン等)、ハロゲン置換スチレン(例えば、o−クロロスチレン、p−クロロスチレン、o−ブロモスチレン等)、α位にアルキル基が置換したα−アルキル置換スチレン(例えば、α−メチルスチレン、α−エチルスチレン等)などが含まれる。これらの中でも、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンなどが特に好ましい。イミド系単量体には、N−アルキルマレイミド(例えば、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド等)、N−シクロアルキルマレイミド(例えば、N−シクロヘキシルマレイミド等)、N−アリールマレイミド[例えば、N−フェニルマレイミド、N−(2−メチルフェニル)マレイミド等]などが含まれる。
【0023】
重合体A1は構成成分としてゴム成分を含んでいてもよい。ゴム成分を重合体中に含有させることにより、成形品の耐衝撃性を向上できる。ゴム成分としては、例えば、ポリブタジエン、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリイソプレン、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、イソブチレン−イソプレン共重合体、エチレン−プロピレンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、ブチルゴムなどが挙げられる。これらの中でも、特にブタジエンが望ましい。ゴム成分は、ブレンド法、共重合(グラフト共重合、ブロック共重合)などにより重合体A1中に含有させることができる。なお、ゴム成分をブレンド法により重合体中に含有させたものも便宜上「共重合体」と称する。
【0024】
重合体A1としては、透明性、発色性、色の鮮明性、成形性等の点から、少なくともメタクリル酸メチルを構成単量体として含む重合体が好ましい。このような重合体において、メタクリル酸メチルの使用量は、重合体A1を構成する単量体総量に対して、好ましくは20重量%以上、さらに好ましくは30重量%以上であり、特に好ましくは30〜60重量%程度である。
【0025】
好ましい重合体A1には、(i)(メタ)アクリル酸C1-18アルキルエステル(特にメタクリル酸メチル)、アクリロニトリル、スチレン及びゴム成分(例えば、ブタジエン)からなる共重合体、(ii)エチレン、(メタ)アクリル酸C1-18アルキルエステル(特にメタクリル酸メチル)、及び一酸化炭素からなる共重合体、(iii)ポリメタクリル酸メチルなどが含まれる。
【0026】
樹脂(A)は、前記アクリル系単量体を構成単量体として含む重合体A1以外の重合体A2を含んでいてもよい。このような重合体A2として、例えば、スチレン系単量体を構成単量体として含むスチレン系重合体などが挙げられる。スチレン系単量体としては前記例示のものが挙げられる。スチレン系重合体はスチレン系単量体以外の単量体を構成単量体として含んでいてもよい。このような単量体としては、スチレン系単量体と共重合可能な単量体であればよく、例えば、前記シアン化ビニル系単量体、無水マレイン酸、前記イミド系単量体などが挙げられる。スチレン系重合体は構成成分としてゴム成分を含んでいてもよい。ゴム成分としては前記例示のものが挙げられる。
【0027】
好ましい重合体A2として、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体(AS樹脂)、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(ABS樹脂)、α−メチルスチレン変性ABS樹脂、イミド変性ABS樹脂、スチレン−無水マレイン酸共重合体(SMA)、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体(AES)などが例示される。これらの中でもスチレン−アクリロニトリル共重合体が特に好ましい。樹脂(A)中にスチレン−アクリロニトリル共重合体(AS樹脂)を含有させることにより、耐熱性、耐光性、耐油性、機械的強度、成形加工性などが向上する。
【0028】
樹脂(A)における前記アクリル系単量体を構成単量体として含む重合体A1の割合は、例えば50重量%以上、好ましくは60重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上である。
【0029】
樹脂(A)の代表的な例として、(1)(メタ)アクリル酸C1-18アルキルエステル(特にメタクリル酸メチル)、アクリロニトリル、スチレン及びゴム成分(例えば、ブタジエン)からなる共重合体(a-1)、(2)(メタ)アクリル酸C1-18アルキルエステル(特にメタクリル酸メチル)、アクリロニトリル、スチレン及びゴム成分(例えば、ブタジエン)からなる共重合体(a-1)と、スチレン−アクリロニトリル共重合体(AS樹脂)(a-2)とのブレンド、(3)ポリメタクリル酸メチル(a-3)などが挙げられる。
【0030】
特に好ましい樹脂(A)として、(メタ)アクリル酸C1-18アルキルエステル、アクリロニトリル、スチレン及びゴム成分(例えば、ブタジエン)からなる共重合体(a-1)60〜100重量部(好ましくは70〜100重量部)と、アクリロニトリル及びスチレンからなる共重合体(a-2)0〜40重量部(好ましくは0〜30重量部)[但し、(a-1)+(a-2)=100重量部]からなるゴム強化スチレン系樹脂が挙げられる。樹脂(A)としてこのようなゴム強化スチレン系樹脂を用いた場合には、発色性、鮮明性、成形性、機械的強度、耐衝撃性等の特性をバランスよく具備した成形品が得られる。
【0031】
このゴム強化スチレン系樹脂において、共重合体(a-1)の単量体組成は、(メタ)アクリル酸C1-18アルキルエステル40〜60重量%(より好ましくは45〜60重量%)、アクリロニトリル3〜14重量%(より好ましくは4〜12重量%)、スチレン12〜25重量%(より好ましくは14〜23重量%)、ゴム成分(例えば、ブタジエン)6〜24重量%(より好ましくは8〜22重量%)である。(メタ)アクリル酸C1-18アルキルエステルの量が少なすぎると発色性や白色の鮮明性が低下しやすくなり、スチレンの量が少なすぎると加工性が低下しやすくなり、ゴム成分(例えば、ブタジエン)の量が少なすぎると耐衝撃性が低下しやすくなる。
【0032】
共重合体(a-2)の単量体組成は、アクリロニトリル10〜26重量%(より好ましくは12〜25重量%)、スチレン74〜90重量%(より好ましくは7.5〜88重量%)である。なお、スチレン−アクリロニトリル共重合体は、(メタ)アクリル酸等の重合性不飽和カルボン酸に対応する構成単位を少量(例えば、0〜10重量%、好ましくは1〜6重量%程度)含んでいてもよい。
【0033】
前記共重合体(a-1)のゴム成分の平均粒子径は透明性、発色性、マーキングの白色度、耐衝撃性等を損なわない範囲で適宜選択できるが、一般には150〜800nm、好ましくは200〜600nmである。平均粒子径が小さすぎると耐衝撃性が低下しやすくなり、大きすぎると透明性や発色性が低下しやすくなる。
【0034】
共重合体(a-1)のメルトインデックス(MI;230℃、5kg)と共重合体(a-2)のメルトインデックス(MI;230℃、5kg)の比(前者/後者)は、例えば1/200〜1/2、好ましくは1/50〜1/5の範囲である。この比が小さすぎると衝撃強度が低下しやすくなり、逆に大きすぎると発色性が低下しやすくなる。
【0035】
[低粘度オレフィン系ポリマー(B1)、オレフィン系ポリマー(B2)]
白色マーキング用熱可塑性樹脂組成物中に低粘度オレフィン系ポリマー(B1)やオレフィン系ポリマー(B2)を含有させると、成形品表面にレーザー光線を照射したときに発泡が円滑に進行して発泡層が十分に成長するため、良好に発色するとともに、白色マーキングを施した製品を長期間使用しても手垢やほこりなどによる汚れが付きにくく、また摩耗しにくい。一方、低粘度オレフィン系ポリマー(B1)及びオレフィン系ポリマー(B2)を含まない樹脂組成物では、成形品表面にレーザー光線を照射したときに発泡が十分に進行しなかったり、生成した発泡層がつぶれたりして、隆起した発泡層の表面は凹凸が多く、黒ずんだり、使用していくうちにその凹凸部に汚れが蓄積しやすい。
【0036】
低粘度オレフィン系ポリマー(B1)としては、回転型レオメーター(230℃、せん断速度1sec-1)での粘度(η)が0.01〜100Pa・sの範囲にあるオレフィン系ポリマーであればオレフィンの種類は特に限定されず、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等のオレフィン系ワックスなどの何れであってもよい。ポリエチレンワックスには、低密度ホモポリエチレン、低密度酸化ポリエチレン、高密度ホモポリエチレン、高密度酸化ポリエチレン、エチレン−アクリル酸共重合体(アクリル酸変性ポリエチレン)や無水マレイン酸−エチレン共重合体(無水マレイン酸変性ポリエチレン)等の酸変性ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル変性ポリエチレン)などが含まれる。また、ポリプロピレンワックスには、ポリプロピレン、ブロックポリマー、無水マレイン酸−プロピレン共重合体(無水マレイン酸変性ポリプロピレン)等の酸変性ポリプロピレンなどが挙げられる。
【0037】
低粘度オレフィン系ポリマー(B1)の回転型レオメーター(230℃、せん断速度1sec-1)での粘度(η)が0.01Pa・sより低い場合は、耐摩耗効果が低くなり、一方、100Pa・sを超えると、樹脂との相溶性が低下するため添加量が制限される。前記粘度(η)は、より好ましくは0.05〜20Pa・s、さらに好ましくは0.10〜5.0Pa・sである。
【0038】
オレフィン系ポリマー(B2)としては、回転型レオメーター(230℃、せん断速度1sec-1)での粘度(η)が100Pa・sを超えるオレフィン系ポリマーであればよく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどが挙げられる。ポリエチレンは、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等の何れであってもよい。ポリエチレンの融点は、例えば100〜140℃、好ましくは105〜135℃、ガラス転移温度は、例えば−55℃〜−15℃、好ましくは−50℃〜−20℃である。ポリプロピレンは、ランダム型、ブロック型、ホモ型等の何れであってもよい。ポリプロピレンのメルトフローレート(MFR)(230℃、2.16kg荷重)は、例えば0.1〜80g/10min、好ましくは1〜70g/10minである。
【0039】
低粘度オレフィン系ポリマー(B1)の配合量は、アクリル系単量体を構成単量体として含む重合体を少なくとも含有する樹脂(A)100重量部に対して0.1〜5重量部であり、好ましくは0.3〜3重量部程度である。オレフィン系ポリマー(B2)の配合量は、アクリル系単量体を構成単量体として含む重合体を少なくとも含有する樹脂(A)100重量部に対して0.1〜1重量部であり、好ましくは0.3〜0.9重量部程度である。低粘度オレフィン系ポリマー(B1)やオレフィン系ポリマー(B2)の配合量が少なすぎる場合には、成形品の白色マーキング部の汚損抵抗性、耐摩耗性が低く、一方多すぎる場合には、物性が低下したり、外観異常が生じやすくなる。
【0040】
[色材(C)]
色材(C)としては、有機又は無機の暗色系の染料又は顔料を少なくとも含むのが好ましい。暗色系の染顔料は、レーザー光線(例えば、波長354nm〜1064nm)を吸収し、熱エネルギーに変換して、樹脂を発泡又はクレージングさせ、白色マーキングを発現させる作用をする。
【0041】
暗色系染顔料としては、例えば、カーボンブラック(アセチレンブラック、ランプブラック、サーマルブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、ケッチェンブラックなど)、グラファイト、チタンブラック、黒色酸化鉄などが挙げられる。これらの中でも、分散性、発色性、コスト等の面からカーボンブラックが好ましい。暗色系染顔料は単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
【0042】
暗色系染顔料の平均粒子径は、例えば10nm〜3μm、好ましくは10nm〜1μmの広い範囲から適宜選択できる。暗色系染顔料がカーボンブラックの場合には、平均粒子径は、例えば10〜90nm、好ましくは12〜70nm、さらに好ましくは17〜50nm(特に17〜40nm)程度である。暗色系染顔料の粒子径が小さすぎると、分散が困難になり、逆に大きすぎると、マーキングが不鮮明になりやすい。
【0043】
暗色系染顔料の使用量は、樹脂(A)100重量部に対して、例えば0.005〜5重量部、好ましくは0.01〜1重量部、さらに好ましくは0.05〜0.5重量部程度である。暗色系染顔料の量が少なすぎると、レーザー光線の熱への変換効率が低下して発色が不十分になりやすく、逆に多すぎると、マーキングが過度になり黄変色を起こしやすくなる。
【0044】
色材(C)として、暗色系染顔料以外の染顔料を用いることもできる。このような非暗色系染顔料は無機又は有機の何れであってもよい。非暗色系染顔料として、例えば、白色顔料(例えば、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、リトポンなど)、黄色顔料(例えば、カドミイエロー、黄鉛、チタンイエロー、ジンククロメート、黄土、黄色酸化鉄など)、赤色顔料(例えば、赤口顔料、アンバー、赤色酸化鉄、カドミウムレッド、鉛丹など)、青色顔料(例えば、紺青、群青、コバルトブルーなど)、緑色顔料(例えば、クロムグリーンなど)などが挙げられる。非暗色系染顔料は単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
【0045】
これらの中でも、安価であり、隠蔽力、分散性に優れ、極めて鮮明な白色マーキングを可能とする白色染顔料(例えば、酸化チタン)が好ましい。白色染顔料は、レーザー光線を散乱させることで、前記暗色系染顔料によるレーザー光線の吸収効率を向上させて熱への変換効率を高めるため、暗色系染顔料と白色染顔料とを組み合わせて使用すると、白色度の非常に高い白色マーキングが得られる。また、白色染顔料を含有させることにより、レーザー光線の照射エネルギーを低くしてもマーキングが可能となる。
【0046】
非暗色系染顔料の使用量は、樹脂(A)100重量部に対して、例えば2重量部以下(例えば、0.0001〜2重量部)、好ましくは1.5重量部以下(例えば、0.01〜1.5重量部)である。非暗色系染顔料の量が少なすぎると、レーザー光線の散乱効果が乏しくなり、逆に多すぎると、マーキング色が染顔料の色相を帯びるようになり好ましくない。
【0047】
色材(C)の総量は、樹脂(A)100重量部に対して、一般に0.0001〜5重量部、好ましくは0.01〜4重量部、さらに好ましくは0.1〜3重量部程度である。
【0048】
本発明の白色マーキング用熱可塑性樹脂組成物は高級脂肪酸又はその誘導体を含んでいてもよい。高級脂肪酸又はその誘導体を配合すると、前記カーボンブラック等の色材の分散性が良くなり、発色性が向上する。また、高級脂肪酸の誘導体として高級脂肪酸の金属塩を配合すると、レーザー光線の吸収効率が向上し、白色度の高い白色マーキングが得られる。
【0049】
高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などの炭素数12〜30程度の飽和又は不飽和高級脂肪酸が例示される。高級脂肪酸の誘導体には、塩、エステル、アミドなどが含まれる。高級脂肪酸の塩としては、例えば、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸銅、ステアリン酸鉛、ステアリン酸アルミニウム、オレイン酸ナトリウムなどの高級脂肪酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、遷移金属塩などが挙げられる。高級脂肪酸のアミドとしては、例えば、エチレンビスステアリルアミド、ラウリン酸アミドなどが例示される。高級脂肪酸又はその誘導体としては、特に、ステアリン酸又はステアリン酸誘導体(塩、エステル、アミド等)が特に好ましく用いられる。
【0050】
高級脂肪酸又はその誘導体の使用量は、熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して、例えば0.01〜5重量部、好ましくは0.02〜3重量部程度である。この使用量が0.01重量部未満では色材の分散性の向上効果が少なく、5重量部を超えると成形時に蒸発、揮散して金型に付着する等の問題が生じることがある。
【0051】
本発明の白色マーキング用熱可塑性樹脂組成物は、必要に応じて、相溶化剤、難燃剤、充填剤、安定剤、滑剤、分散剤、添着剤、発泡剤、抗菌剤などの添加剤を含んでいてもよい。
【0052】
本発明の白色マーキング用熱可塑性樹脂組成物は、前記各成分を、例えば、押出機、ニーダー、ミキサー、ロールなどを用いた慣用の混合方法で混合する(例えば、溶融混合する)ことにより調製できる。
【0053】
本発明の白色マーキング用熱可塑性樹脂組成物を、例えば、押出成形、射出成形、圧縮成形などの慣用の成形法に供することにより各種成形体を製造することができる。そして、これらの成形体にレーザー光線を照射することにより、表面に白色のマーキングが施された白色マーキング形成成形体が得られる。マーキングに用いるレーザーの種類は特に限定されず、ガスレーザー、半導体レーザー、エキシマレーザー、YAGレーザーなどの何れであってもよいが、YAGレーザーが最も好適に使用される。マーキングの種類は特に限定されず、文字、記号、図柄、絵、写真等の何れであってもよい。
【0054】
こうして得られる白色マーキング形成成形体は、例えば、コンピュータのキーボード等のOA機器、自動車部品(ボタン部品等)、家庭用品、建築材料などに利用できる。
【実施例】
【0055】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0056】
実施例1〜20、比較例1〜5
表1〜3に記載されている各成分をブレンドし、押出加工によりペレットを作製した後、このペレットから射出成形により厚さ3mmのプレートを作製し、この表面にレーザー光線を照射して白色マーキング[10mm角のBOX(線間距離75μm)を描写]を施した。レーザーとしてNd:YAGレーザー(波長1064nm)を使用した。照射条件としては、アパチャーを径2mmに固定し、光源電流値(LC)、振動数(QS)及び印字スピード(SP)を下記の範囲で変化させ、最も明瞭な白色印字が得られる条件でマーキングを実施した。
光源電流値(LC):8〜20A
振動数(QS):1〜10kHz
印字スピード(SP):100〜1500nm/秒
【0057】
評価試験
実施例及び比較例で得られた白色マーキングを施した各プレートについて下記の評価試験を行った。結果を表1〜3に示す。
【0058】
(1)レーザーマーキング性
各プレートについて、白色マーキングの色相(白度;L値)を色差計[日本電飾工業(株)製、商品名「Σ80」]にて測定し、発色性(白色度)を評価した。
【0059】
(2)マーキング部の耐汚損性(汚損抵抗性)
各プレートにつき、最も白度の高いマーキング部をホワイトボード用マジック黒[コクヨ(株)製]で塗り潰し、1分後にキムワイプ紙[十条キンバリー(株)製]でインクを拭き取った。マジック塗布前とマジック拭き取り後の白度(L値)を色差計[日本電飾工業(株)製、商品名「Σ80」]にて測定し、マジック塗布前の白度L1aとマジック拭き取り後の白度L2aとの差(ΔLa=L1a−L2a)を求め、マーキング部の耐汚損性の指標として評価した。
【0060】
(3)マーキング部の耐摩耗性
各プレートの、最も白度の高いマーキング部分の摩耗試験を往復動摩擦摩耗試験機[商品名「AFT−15MS」、(株)オリエンテック製]で行い、マーキング部の摩耗試験前後の白度(L値)を色差計[日本電飾工業(株)製、商品名「Σ80」]にて測定し、摩耗試験前の白度L1bと摩耗試験後の白度L2bとの差(ΔLb=L1b−L2b)を求め、耐摩耗性の指標として評価した。なお、摩耗試験の条件は下記の通りである。
荷重:400g
摺動回数:10000回
移動速度:50mm/sec
移動距離:50mm
摺動物:消しゴム[商品名「MachineEraserStripes75216 (Softgreen, No75)」、Faber-Castell Corp.製]
【0061】
(4)千枚めくれ試験
各プレートの表面にカッターで十文字に切り込みを入れて、透明梱包用テープ[商品名「375DS」、住友スリーエム(株)製]を貼り付け後、プラスチック消しゴム[商品名「ケシ51」、コクヨ(株)製]でこすり付けて十分に密着させる。密着させて3分後にテープを一気に引き剥がし、テープへの樹脂片付着の有無を目視で確認し、千枚めくれの評価とした。
【0062】
[実施例及び比較例で使用した成分]
・樹脂成分
a-1-1:スチレン18重量%、アクリロニトリル4重量%、メタクリル酸メチル58重量%及びブタジエン20重量%からなる共重合体(MI:12g/10分)、ゴム平均粒子径300nm
a-1-2:スチレン22重量%、アクリロニトリル11重量%、メタクリル酸メチル58重量%及びブタジエン9重量%からなる共重合体(MI:18g/10分)、ゴム平均粒子径250nm
a-2-1:スチレン80重量%、アクリロニトリル20重量%からなる共重合体(MI:223g/10分)
a-2-2:スチレン76重量%、アクリロニトリル24重量%からなる共重合体(MI:100g/10分)
a-2-3:スチレン76重量%、アクリロニトリル24重量%、メタクリル酸3重量%からなる共重合体(MI:201g/10分)
a-3-1:ポリメタクリル酸メチル
なお、上記樹脂は市販品又は公知の重合法により調製したものである。MIは230℃、5kgでの測定値である。
・低粘度オレフィン系ポリマー(表では、「低粘度オレフィン」と略記)
低粘度オレフィン系ポリマー1:ポリエチレンワックス、ハネウエル社製、商品名「A−Cポリエチレン9A」、η 0.11Pa・s
低粘度オレフィン系ポリマー2:ポリエチレンワックス、ハネウエル社製、商品名「A−Cポリエチレン715」、η 0.66Pa・s
低粘度オレフィン系ポリマー3:ポリエチレンワックス、三井化学(株)製、商品名「三井ハイワックス800P」、η 2.04Pa・s
低粘度オレフィン系ポリマー4:ポリプロピレンワックス、三井化学(株)製、商品名「三井ハイワックスNP805」、η 0.90Pa・s
低粘度オレフィン系ポリマー5:ポリエチレンワックス、三井化学(株)製、商品名「三井ハイワックス100P」、η 測定限界(0.01Pa・s)未満
・オレフィン系ポリマー(表では、「オレフィンポリマー」と略記)
オレフィン系ポリマー1:ホモポリプロピレン、サンアロマー(株)製、商品名「サンアロマーPM900A」、η 784Pa・s
オレフィン系ポリマー2:高密度ポリエチレン、三井化学(株)製、商品名「ハイゼックス1300J」、η 883Pa・s
なお、上記低粘度オレフィン系ポリマー及びオレフィン系ポリマーの粘度(η)は、厚さ1mmの試験片を熱プレスで作製し、回転型レオメーター[商品名「PHYSICA UDS200」、日本シーベルヘグナー(株)製]で、測定温度230℃、せん断速度1sec-1)の条件で測定した値である。
・ステアリン酸塩:市販品又は公知の合成方法により調製したものを使用
・酸化防止剤:フェノール系酸化防止剤、商品名「イルガノックス1010」、チバ・スペシャリティケミカルズ(株)製
・色材
カーボンブラック:平均粒径17nmの市販品を使用
酸化チタン:市販品を使用
【0063】
【表1】

【0064】
【表2】

【0065】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクリル系単量体を構成単量体として含む重合体を少なくとも含有する樹脂(A)100重量部に、回転型レオメーター(230℃、せん断速度1sec-1)での粘度(η)が0.01〜100Pa・sである低粘度オレフィン系ポリマー(B1)0.1〜5重量部及び/又は前記粘度(η)が100Pa・sを超えるオレフィン系ポリマー(B2)0.1〜1重量部、及び色材(C)0.0001〜5重量部が配合された、レーザー光線の照射により白色マーキングが可能な白色マーキング用熱可塑性樹脂組成物。
【請求項2】
樹脂(A)が、(メタ)アクリル酸C1-18アルキルエステル、アクリロニトリル、スチレン及びゴム成分からなる共重合体(a-1)60〜100重量部と、アクリロニトリル及びスチレンからなる共重合体(a-2)0〜40重量部[但し、(a-1)+(a-2)=100重量部]からなるゴム強化スチレン系樹脂である請求項1記載の白色マーキング用熱可塑性樹脂組成物。
【請求項3】
共重合体(a-1)の単量体組成が、(メタ)アクリル酸C1-18アルキルエステル40〜60重量%、アクリロニトリル3〜14重量%、スチレン12〜25重量%、ゴム成分6〜24重量%である請求項2記載の白色マーキング用熱可塑性性樹脂組成物。
【請求項4】
共重合体(a-2)の単量体組成が、アクリロニトリル10〜26重量%、スチレン74〜90重量%である請求項2記載の白色マーキング用熱可塑性性樹脂組成物。
【請求項5】
共重合体(a-1)のゴム成分の平均粒子径が150〜800nmである請求項2記載の白色マーキング用熱可塑性樹脂組成物。
【請求項6】
共重合体(a-1)のメルトインデックス(MI;230℃、5kg)と共重合体(a-2)のメルトインデックス(MI;230℃、5kg)の比(前者/後者)が1/200〜1/2の範囲である請求項2記載の白色マーキング用熱可塑性樹脂組成物。
【請求項7】
樹脂(A)がポリメタクリル酸メチルである請求項1記載の白色マーキング用熱可塑性樹脂組成物。
【請求項8】
低粘度オレフィン系ポリマー(B1)が、ポリエチレンワックス及びポリプロピレンワックスから選択された少なくとも1種である請求項1記載の白色マーキング用熱可塑性樹脂組成物。
【請求項9】
オレフィン系ポリマー(B2)が、ポリエチレン及びポリプロピレンから選択された少なくとも1種である請求項1記載の白色マーキング用熱可塑性樹脂組成物。
【請求項10】
色材(C)が暗色系染顔料を含む請求項1記載の白色マーキング用熱可塑性樹脂組成物。
【請求項11】
色材(C)が平均粒子径10〜90nmのカーボンブラックである請求項1記載の白色マーキング用熱可塑性樹脂組成物。
【請求項12】
さらに、熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して、高級脂肪酸又はその誘導体0.01〜5重量部が配合された請求項1記載の白色マーキング用熱可塑性樹脂組成物。
【請求項13】
高級脂肪酸又はその誘導体が高級脂肪酸の金属塩である請求項12記載の白色マーキング用熱可塑性樹脂組成物。
【請求項14】
請求項1〜13の何れかの項に記載の白色マーキング用熱可塑性樹脂組成物で構成された白色マーキング可能な成形体。
【請求項15】
請求項14記載の成形体にレーザー光線を照射して白色マーキングを施す白色マーキング方法。
【請求項16】
請求項14記載の成形体にレーザー光線の照射により白色マーキングが施された白色マーク形成成形体。
【請求項17】
白色マーキングを施す成形体を、アクリル系単量体を構成単量体として含む重合体を少なくとも含有する樹脂(A)100重量部に、回転型レオメーター(230℃、せん断速度1sec-1)での粘度(η)が0.01〜100Pa・sである低粘度オレフィン系ポリマー(B1)0.1〜5重量部及び/又は前記粘度(η)が100Pa・sを超えるオレフィン系ポリマー(B2)0.1〜1重量部、及び色材(C)0.0001〜5重量部が配合された熱可塑性樹脂組成物で構成することにより、該白色マーキングを施す成形体に白色マーキングを施して得られる白色マーク形成成形体のマーキング部の汚損及び/又は摩耗を防止する方法。

【公開番号】特開2006−335849(P2006−335849A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−161396(P2005−161396)
【出願日】平成17年6月1日(2005.6.1)
【出願人】(501041528)ダイセルポリマー株式会社 (144)
【Fターム(参考)】