説明

白色発光ダイオード光源用カラーフィルタ及び表示装置

【課題】白色LED光源と組み合わせた場合でも、表示画像の色ずれを低減することができるカラーフィルタ及び当該カラーフィルタと白色LED光源とを備える表示装置を提供すること。
【解決手段】少なくとも赤色画素、緑色画素及び青色画素を有する白色発光ダイオード光源用カラーフィルタであって、青色画素の波長420〜460nmにおける平均透過率が80%以上であり、且つ、発光スペクトルが波長430〜450nmに極大値を有し、極大値波長のばらつき(σ)が3以上である白色発光ダイオード光源に用いられることを特徴とする、白色発光ダイオード光源用カラーフィルタ。波長430〜450nmに発光スペクトルの極大値を有し、極大値波長のばらつき(σ)が3以上である白色発光ダイオード光源と、上記白色発光ダイオード光源用カラーフィルタと、を備えることを特徴とする、表示装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置や有機EL表示装置に用いられるカラーフィルタ及び当該カラーフィルタを備える表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示装置では、バックライトの光源としてCCFL(冷陰極蛍光ランプ)光源を用いていた。
近年、液晶表示装置では、低消費電力や色の再現領域の拡大等の観点から、CCFL光源に代えて、白色発光ダイオード光源(以下、単に「LED光源」ということがある。)の採用が行われている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−128310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らが鋭意検討した結果、LED光源に用いられている青色LED素子(青色発光ダイオード素子)は製造上、発光スペクトルが波長10nm程度ばらついてしまうことがわかった。また、従来のLED用カラーフィルタでは、透過スペクトルの波長領域が狭いことが分かった。
そのため、LED光源と従来のLED用カラーフィルタの組み合わせでは、LED光源の発光スペクトルのばらつきによって、当該発光スペクトルの波長領域とカラーフィルタの透過スペクトルの波長領域にずれが生じ、その2つのスペクトル間のずれが色ずれとして現れることが分かった。
特に、モバイル用端末など、LED光源を構成する青色LED素子の数が少ない表示装置の場合に再現される色の個体差が著しいことが分かった。
【0005】
本発明は上記問題点を解消するためになされたものであり、LED光源と組み合わせた場合でも、色ずれを低減することができるカラーフィルタ及び当該カラーフィルタとLED光源とを備える表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らが鋭意検討した結果、透過スペクトルの波長領域が広い青色画素を有するカラーフィルタを用いることによって、LED光源の発光スペクトルがばらついても、色ずれが低減できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
すなわち、本発明に係るカラーフィルタは、少なくとも赤色画素、緑色画素及び青色画素を有する白色発光ダイオード光源用カラーフィルタであって、青色画素の波長420〜460nmにおける平均透過率が80%以上であり、且つ、発光スペクトルが波長430〜450nmに極大値を有し、極大値波長のばらつき(σ)が3以上である白色発光ダイオード光源に用いられることを特徴とする。
【0008】
白色LED光源にベースLED素子として含まれる青色LED素子(青色発光ダイオード素子)の発光スペクトルは、430〜450nmに極大値を有するものが好適であるが、白色LED光源を構成する青色LED素子には個体差があり、規格値からの波長のずれが10nm程度の個体が混在することが多く、白色LED光源全体としては波長430〜450nmに極大値を有し、光源を構成している白色LED素子の極大値波長の規格値からの白色LED光源全体としての極大値波長のばらつき(σ)が3以上となることが多い。
本発明は、カラーフィルタの青色画素の透過率80%以上となる波長範囲を、白色LED光源の極大値波長が存在する波長範囲よりも広くすることによって、カラーフィルタを通してみる表示画像の色ずれを低減する。すなわち本発明によれば、白色LED光源に含まれるベースLED素子である青色LED素子の発光スペクトルのばらつきを想定して、当該白色LED素子の発光スペクトルと青色画素の透過スペクトルとを重ねることにより、表示画像の色ずれを低減する。
【0009】
本発明に係るLED光源用カラーフィルタは、前記青色画素の波長420〜460nmにおける透過率の最大値と最小値の差が10%以下であることが好ましい。
【0010】
本発明に係る表示装置は、波長430〜450nmに発光スペクトルの極大値を有し、極大値波長のばらつき(σ)が3以上である白色発光ダイオード光源と、上記本発明の白色発光ダイオード光源用カラーフィルタと、を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る表示装置は、前記白色発光ダイオード光源に含まれる発光ダイオード素子の数が、4〜100個である場合でも色ずれが生じ難く、表示品質に優れる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るLED光源用カラーフィルタは、光源を構成している白色LED素子の極大値波長の規格値からの白色LED光源全体としての極大値波長のばらつき(σ)が3以上であるLED光源と組み合わせても、色ずれを低減することができるため、LED光源の選別の必要がなくなり、安価な液晶表示装置を提供することができる。
本発明に係る表示装置は、上記カラーフィルタを備えるため、LED光源と組み合わせても、安価に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明に係るLED光源用カラーフィルタの一例を模式的に示した断面図である。
【図2】図2は、本発明に係るLED光源用カラーフィルタの他の一例を模式的に示した断面図である。
【図3】図3は、本発明の液晶表示装置の一例を模式的に示した断面図である。
【図4】図4は、本発明の有機EL表示装置の一例を模式的に示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明において、色度とは、CIE色度座標における値である。
本発明において、(メタ)アクリレートは、アクリレート及び/又はメタクリレートを表す。
本発明において樹脂とは、モノマーやオリゴマーの他、ポリマーを含む概念である。
本発明において、分子量とは、分子量分布を有する場合には、THF溶剤におけるゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算値である重量平均分子量を意味し、分子量分布を有しない場合には、化合物そのものの分子量を意味する。
【0015】
以下、まず本発明に係る白色発光ダイオード光源用カラーフィルタについて説明し、次いで表示装置について説明する。
【0016】
(白色発光ダイオード光源用カラーフィルタ)
本発明に係るカラーフィルタは、少なくとも赤色画素、緑色画素及び青色画素を有する白色発光ダイオード光源用カラーフィルタであって、青色画素の波長420〜460nmにおける平均透過率が80%以上であり、且つ、発光スペクトルが波長430〜450nmに極大値を有し、極大値波長のばらつき(σ)が3以上である白色発光ダイオード光源に用いられることを特徴とする。
【0017】
白色LED光源にベースLED素子として含まれる青色LED素子(青色発光ダイオード素子)の発光スペクトルは、430〜450nmに極大値を有するものが好適であるが、白色LED光源を構成する青色LED素子には個体差があり、規格値からの波長のずれが10nm程度の個体が混在することが多く、白色LED光源全体としては波長430〜450nmに極大値を有し、光源を構成している白色LED素子の極大値波長の規格値からの白色LED光源全体としての極大値波長のばらつき(σ)が3以上となることが多い。
本発明は、カラーフィルタの青色画素の透過率80%以上となる波長範囲を、白色LED光源の極大値波長が存在する波長範囲よりも広くすることによって、カラーフィルタを通してみる表示画像の色ずれを低減する。すなわち本発明によれば、白色LED光源に含まれるベースLED素子である青色LED素子の発光スペクトルのばらつきを想定して、当該白色LED素子の発光スペクトルと青色画素の透過スペクトルとを重ねることにより、表示画像の色ずれを低減する。
【0018】
図1は、本発明に係るLED光源用カラーフィルタの一例を模式的に示した断面図である。
カラーフィルタは通常、図1に示すように、透明基板10、透明基板10上に形成された着色画素である赤色画素21、緑色画素22及び青色画素23並びに遮光部30を有している。
本発明のLED光源用カラーフィルタは、上記透明基板10、着色画素21〜23及び遮光部30以外にも、例えば、保護膜や透明電極膜、配向膜及び柱状スペーサ等が形成されたものであってもよい。
なお、図1以下の図面では、説明の便宜上、縦横の寸法比及び各層間、各部材間の寸法比は適宜、実寸とは変えて誇張して図示してある。
【0019】
(透明基板)
本発明のLED光源用カラーフィルタにおける透明基板10としては、可視光線に対して透明な基材であればよく、特に限定されず、一般的なカラーフィルタに用いられる透明基板を使用することができる。例えば、石英ガラス、無アルカリガラス、合成石英板等の可撓性のない透明な基板や、透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可撓性を有する透明な基板が挙げられる。
透明基板10の厚みは、特に限定されるものではないが、本発明のカラーフィルタの用途に応じて、例えば、100μm〜1mm程度のものを使用することができる。
【0020】
(着色画素)
本発明のLED光源用カラーフィルタにおける着色画素は、青色画素21、緑色画素22及び赤色画素23を有し、青色画素21が上述したように所定波長において一定の透過率を有するものであれば良い。そのため、緑色画素22及び赤色画素23は、従来公知の画素とすることができる。また、当該3色の着色画素以外の画素が含まれていても良い。
通常、着色画素は、図1に示したように透明基板10上に形成された遮光部30間の開口部に、各色のカラーフィルタ用樹脂組成物を硬化させて形成されてなる。
また、着色画素の配列は特に限定されず、例えば、ストライプ型、モザイク型、トライアングル型、4画素配置型等の一般的な配列とすることができる。また、着色画素の幅、面積等は任意に設定することができる。
着色画素の厚みは、塗布方法、カラーフィルタ用樹脂組成物の固形分濃度や粘度等を調整することにより、適宜制御されるが、通常、1〜5μmの範囲であることが好ましい。
【0021】
(青色画素)
本発明に係るLED光源用カラーフィルタでは、C光源を使用して測定した青色画素の色度座標が、x=0.135〜0.148、y=0.070〜0.150であることが好ましい。
本発明のLED光源用カラーフィルタでは、青色画素の波長430〜460nmにおける平均透過率が80%以上である。
白色LED光源にベースLED素子として含まれる青色LED素子の発光スペクトルが規格値から10nm程度ずれて、白色LED光源全体としては波長430〜450nmに極大値を有し、光源を構成している白色LED素子の極大値波長(極大値が存在する波長)の規格値からの白色LED光源全体としての極大値波長のばらつき(σ)が3以上となる場合であっても、その極大値波長に対応するカラーフィルタの青色画素の波長範囲を広げて420〜460nmとし、当該波長範囲における透過率を80%以上とすることにより、表示画像の色ずれが低減される。
なお、本発明において透過率とは、色材を30質量%濃度で均一に分散させて作製した厚さ2〜3μmの塗膜について、OLYMPUS(株)製の顕微分光装置OSP−SP2000を用いて測定したときの透過スペクトルにおける透過率を意味する。
【0022】
本発明に係るLED光源用カラーフィルタは、青色画素の波長430〜460nmにおける透過率の最大値と最小値の差が10%以下であることが好ましい。これにより、LED光源の発光スペクトルが規格値よりも波長430nm側に大きくずれた場合や波長460nm側に大きくずれた場合であっても、LED光源の発光スペクトルと青色画素の透過スペクトルのずれが小さくなり、さらに表示画像の色ずれが生じ難くなる。
【0023】
本発明のLED光源用カラーフィルタの青色画素は、上述した特定の透過率を有するものであれば良く、従来公知の青色画素等に用いられている顔料及び染料等の色材を用いることができる。
青色画素の波長430〜460nmにおける透過率を80%以上とし、より好ましくは、青色画素の波長430〜460nmにおける透過率の最大値と最小値の差を10%以下とするためには、例えばトリアリールメタン系色材を、色材全体に対して30〜100質量%の含有割合で用いれば良く、より好ましくは、40〜100質量%とする。
トリアリールメタン系染料の具体的な構造としては、例えば、以下のものを挙げることができる。
【0024】
【化1】

【0025】
(式中、Rは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、若しくはハロゲン原子を表し、R、R、R、およびRは、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有してもよい炭素数1〜5のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、もしくは置換基を有していてもよいベンジル基を表す)
【0026】
【化2】

【0027】
(式中、Rは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、若しくはハロゲン原子を表し、R、R、R、およびRは、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有してもよい炭素数1〜5のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、もしくは置換基を有していてもよいベンジル基を表す)
【0028】
トリアリールメタン系染料としては、より具体的にはベーシック ブルー7が挙げられる。
また、前述の式(1)は式(2)に示す化学構造式のイオンを有するレーキ顔料を用いることもできる。本発明において使用されるトリアリールメタン系顔料は、具体的には、C.I.ピグメントブルー1、C.I.ピグメントブルー1:2、C.I.ピグメントブルー9、C.I.ピグメントブルー14、C.I.ピグメントブルー24、C.I.ピグメントバイオレット3、C.I.ピグメントバイオレット3:1、C.I.ピグメントバイオレット3:3、C.I.ピグメントバイオレット27、C.I.ピグメントバイオレット39、C.I.ピグメントブルー78、C.I.ピグメントグリーン1、C.I.ピグメントグリーン2、C.I.ピグメントグリーン4、C.I.ピグメントブルー56、C.I.ピグメントブルー56:1、C.I.ピグメントブルー61、C.I.ピグメントブルー61:1、C.I.ピグメントブルー62等のレーキ顔料が挙げられる。
【0029】
(緑色画素及び赤色画素)
本発明に係るLED光源用カラーフィルタは、上記青色画素の他、緑色画素及び赤色画素を有する。
緑色画素及び赤色画素は、それぞれ、従来公知のカラーフィルタに設けられている緑色画素及び赤色画素とすることができる。
本発明に係るLED光源用カラーフィルタでは、C光源を使用して測定した緑色画素の色度座標が、x=0.25〜0.30、y=0.50〜0.60であり、赤色画素の色度座標が、x=0.60〜0.70、y=0.30〜0.35であることが好ましい。
【0030】
以下、硬化して上記青色画素を形成するカラーフィルタ用樹脂組成物について説明する。
【0031】
(カラーフィルタ用樹脂組成物)
本発明で用いるカラーフィルタ用樹脂組成物は、従来公知のカラーフィルタ用樹脂組成物において、色材を青色画素、緑色画素及び赤色画素の各着色画素の種類や、透過率、色味等に応じて適宜調節して用いれば良い。すなわち、色材、顔料分散剤、バインダ、光開始剤、触媒、溶剤及びその他の成分は従来公知のカラーフィルタ用樹脂組成物のものを用いることができる。
カラーフィルタ用樹脂組成物は、一般に、色材、分散剤、バインダ、溶剤を含有する分散液と、光開始剤、硬化剤、触媒、バインダ、溶剤等を含有するクリア材からなる。以下、分散液とクリア材を区別せずに、このような各成分について説明する。
【0032】
(色材)
本発明において、色材は顔料と染料を含む概念である。
青色画素を形成するためのカラーフィルタ用樹脂組成物においては、青色画素が波長430〜460nmにおいて平均透過率が80%以上となるように適宜、色材を選択して用いれば良い。好適な条件は上述したのでここでの説明は省略する。
【0033】
赤色画素については、例えば、従来公知のPR177、PR242、PR254又はPR208等の赤色系顔料を含むものとすることができる。また、赤色画素には、上記赤色系顔料の他に、コントラストや色味の調節のために従来公知のPY139やPY150等の黄色系顔料が含まれていても良い。
緑色画素については、例えば、従来公知のPG1、PG4、PG7、PG36又はPG58等の緑色系顔料を含むものとすることができる。また、緑色画素には、上記緑色系顔料の他に、コントラストや色味の調節のために従来公知のPY138やPY150等の黄色系顔料が含まれていても良い。
【0034】
(顔料の粒径)
本発明に用いられる顔料の平均一次粒径としては、カラーフィルタの着色画素とした場合に所望の発色が可能なものであればよく、特に限定されない。顔料の平均1次粒径は、用いる顔料の種類によっても異なるが、コントラストを向上させる点から、10〜50nmの範囲内であることが好ましく、10〜40nmの範囲内であることがより好ましい。顔料の平均一次粒径が上記範囲であることにより、本発明のカラーフィルタ用樹脂組成物を用いて製造された液晶表示装置、有機EL表示装置を高コントラストで、かつ高品質なものとしやすい。
なお、カラーフィルタにおける上記顔料の平均粒径は、電子顕微鏡写真から一次粒子の大きさを直接計測する方法で求めることができる。具体的には、個々の一次粒子の短軸径と長軸径を計測し、その平均をその粒子の粒径とする。次に、100個の粒子について、それぞれの粒子の体積(重量)を、求めた粒径の直方体と近似して求め、体積平均粒径を求めそれを平均粒径とする。なお、電子顕微鏡は透過型(TEM)または走査型(SEM)のいずれを用いても同じ結果を得ることができる。
また、分散液での顔料の粒径は日機装(株)のナノトラック粒度分析計 UPA−EXを用いて測定することができる。
【0035】
カラーフィルタ用樹脂組成物において、上記色材(P)と、色材以外の固形分(V)との質量比(P/V)は、コントラストや輝度、色味等の要求される光学特性、製版性の観点から0.1〜0.3であることが好ましい。
【0036】
(分散剤)
カラーフィルタ用樹脂組成物において、必要に応じて上記顔料を分散させるために従来公知の分散剤を用いることができる。
このような分散剤としては、例えば、特許文献1に記載のカチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、シリコーン系又はフッ素系等の界面活性剤を使用することができる。
また、例えば、特開2007−070342号公報に記載の高分子分散剤も好ましく用いられる。
【0037】
分散剤の市販品としては、例えば、共栄社化学(株)製の商品名ポリフローNo.75、同90、同95、DIC(株)製の商品名メガファックF171、同F172、同F173、ビックケミー・ジャパン(株)製のDISPERBYK(登録商標)111、同130、同161、同162、同163、同164、同170、同182、同2000、同2001、エフカ社製の商品名エフカ46、エフカ47、ゼネカ社製の商品名ソルスパース3000、同5000、同9000、同12000、同13240、同13940、同17000、同20000、同24000、同26000、同28000等が挙げられる。なかでも、ビックケミー・ジャパン(株)製のDISPERBYK2000が好ましい。
【0038】
分散剤を用いる場合、その量は適宜調節すれば良いが、例えば、顔料の合計100質量部に対して、20〜100質量部とすることが好ましい。
【0039】
(バインダ)
バインダは、カラーフィルタ用樹脂組成物に成膜性や被塗工面に対する密着性を付与する成分である。
バインダとしては、従来公知のカラーフィルタの着色画素に用いられているアルカリ可溶性、熱硬化性又は熱可塑性のバインダを用いることができる。このようなバインダとしては、例えば、特開2010−2746号公報に記載のバインダが好ましい。
【0040】
アルカリ可溶性のバインダとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸の2量体、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸及びこれらの酸無水物等のモノマーを重合した、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレンビニル共重合体、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ABS樹脂、ポリメタクリル酸樹脂、エチレンメタクリル酸樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩素化塩化ビニル、ポリビニルアルコール、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリビニルブチラール、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミック酸樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂等が挙げられる。
この他、重合可能なモノマーであるメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、N−ビニル−2−ピロリドン、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
本発明においては、市販のバインダを用いることもでき、例えば、アロニックスM−5600(東亞合成(株)製の商品名アロニックスM−5600、アロニックスM−6200、アロニックスM−7100及びアロニックスM−9050が好ましい。
アルカリ可溶性のバインダの分子量は、5000〜50000が好ましい。
【0041】
熱硬化性のバインダとしては、例えば、特開2010−2746号公報に記載の式(1)で表わされる構成単位及び式(2)で表わされる構成単位から構成される重合体(バインダー性エポキシ樹脂)が好ましい。
熱硬化性バインダの分子量は、5000〜100000が好ましい。
【0042】
本発明においては、上記アルカリ可溶性のバインダや熱硬化性のバインダを1種単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0043】
(重合開始剤)
カラーフィルタ用樹脂組成物のバインダとして、アルカリ可溶性又は熱硬化性のバインダを用いる場合、硬化反応を促進等させる観点から、重合開始剤を用いることが好ましい。
重合開始剤は、バインダが有する硬化性基の種類等に応じて適宜選択して用いれば良い。例えば、特許文献1や特開2007−70342号公報に記載の光重合開始剤、熱重合開始剤を用いることができる。
光重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン等が好ましい。
【0044】
光重合開始剤の市販品としては、例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製の商品名イルガキュア184、同369、同651、同819、同907、メルク社製の商品名ダロキュアシリーズ等を挙げることができる。
【0045】
重合開始剤を用いる場合、その量は適宜調節すれば良いが、例えば、カラーフィルタ用樹脂組成物の全固形分の合計質量に対して、1〜20質量%とすることが好ましい。
【0046】
(硬化剤)
熱硬化性バインダには、通常、硬化剤が組み合わせて配合される。硬化剤としては、従来公知の熱硬化性バインダと組み合わせて用いられるものを用いることができる。
硬化剤としては、例えば、特開2010−2746号公報に記載の硬化剤が好ましい。
硬化剤は、1種単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
硬化剤を用いる場合の配合量は、エポキシ基を有する成分100質量部当たり、通常は1〜100質量部程度の範囲であり、好ましくは5〜50質量部である。
【0047】
(触媒)
熱硬化性バインダを用いる場合、着色画素の硬度及び耐熱性を向上させるために、酸−エポキシ間の熱硬化反応を促進できる触媒を用いてもよい。そのような触媒としては、加熱硬化時に活性を示す熱潜在性触媒を用いることができる。
熱潜在性触媒は、加熱されたとき、触媒活性を発揮し、硬化反応を促進し、硬化物に良好な物性を与えるものであり、必要により加えられるものである。この熱潜在性触媒は、60℃以上の温度で酸触媒活性を示すものが好ましく、このようなものとしてプロトン酸をルイス塩基で中和した化合物、ルイス酸をルイス塩基で中和した化合物、ルイス酸とトリアルキルホスフェートの混合物、スルホン酸エステル類、オニウム化合物類等が挙げられ、特開平4−218561号公報に記載されているような各種の化合物を使用することができる。
熱潜在性触媒を用いる場合の配合量は、熱硬化性バインダ及び硬化剤の合計100質量部に対して、通常は0.01〜10.0質量部程度である。
【0048】
(溶剤)
カラーフィルタ用樹脂組成物の粘度、顔料分散性、分散の経時安定性を調整するために、必要に応じて溶剤を用いることができる。
溶剤としては、例えば、特許文献1に記載のイソプロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジエチレングリコールジメチルエーテル(別名ビス(2−メトキシエチル)エーテル)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(別名1−メトキシプロパン−2−オール)等のグリコールエーテル類並びに酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(別名酢酸2−メトキシ−1−メチルエチル)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート(別名酢酸2−エトキシ−1−メチルエチル)、3−メトキシブチルアセテート(別名酢酸3−メトキシブチル)及びブチルカルビトールアセテート(別名酢酸2−(2−ブトキシエトキシ)エチル)等の酢酸エステル類等があげられる。
中でも、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート及び3−メトキシブチルアセテートが好ましい。
【0049】
溶剤を用いる場合、その量は適宜調節すれば良いが、例えば、カラーフィルタ用樹脂組成物の合計質量に対して、10〜90質量%とすることが好ましい。
【0050】
(その他の成分)
カラーフィルタ用樹脂組成物には、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、必要に応じ各種その他の成分が含まれていても良い。
例えば、本発明の効果が損なわれない限り、顔料誘導体を含んでいても良い。このような顔料誘導体は、顔料骨格に官能基を付与し、様々な機能を顔料に付加する役割を持つ化合物である。顔料分散時に顔料誘導体を顔料に添加すると、顔料誘導体の顔料類似骨格が顔料表面に吸着もしくは結合し、それにより顔料の表面が極性を有するようになることによって、分散剤と顔料間の親和性が向上し、分散性、分散安定性を確保できると考えられる。顔料誘導体としては、例えば、上記青色顔料や黄色顔料に、スルホン酸基、カルボキシル基、スルホンアミド基、フタルイミドメチル基等を有する誘導体等が挙げられる。
【0051】
顔料誘導体の他に、例えば重合停止剤、連鎖移動剤、レベリング剤、可塑剤、界面活性剤、消泡剤、シランカップリング剤、紫外線吸収剤、密着促進剤等を用いることができる。
これらの中で、用いることができる界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル類、脂肪酸変性ポリエステル類、3級アミン変性ポリウレタン類等を挙げることができる。また、その他にもフッ素系界面活性剤も用いることができる。
さらに、可塑剤としては、例えばジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、トリクレジル等が挙げられる。消泡剤、レベリング剤としては、例えばシリコン系、フッ素系、アクリル系の化合物等が挙げられる。
【0052】
(カラーフィルタ用樹脂組成物の調製)
カラーフィルタ用樹脂組成物の調製方法としては、色材及びバインダと、所望により用いられる顔料分散剤、重合開始剤等のその他の成分とを、溶剤中に均一に溶解又は分散させ得る方法であればよく、特に制限はされず、公知の混合手段を用いて混合することにより、調製することができる。
カラーフィルタ用樹脂組成物の調製方法としては、例えば、特開2010−243604号公報に記載のように、溶剤中に上記所望の成分を、ボールミル等の分散機を用いて混合させる方法等を用いることができる。
【0053】
(着色画素の形成方法)
着色画素の形成方法は特に限定されず、上記カラーフィルタ用樹脂組成物を用いて、例えば、特許文献1に記載の従来公知のフォトリソグラフィー法等の画素の形成方法で形成すれば良い。
例えば、カラーフィルタ用樹脂組成物が光硬化性のバインダを含む場合、塗布対象面(領域)にカラーフィルタ用樹脂組成物をインクジェット法やスピンコーティング法により塗布した後、フォトマスクを介して紫外線による露光(パターン露光)を行った後、未露光部分を溶剤や、水酸化カリウム水溶液等のアルカリ水溶液等で洗浄(現像)することにより形成することができる。樹脂組成物を塗布後、露光前に加熱処理(プリベーク)を行っても良い。また、現像後に加熱処理を行っても良い。
【0054】
(遮光部)
遮光部30は、表示画像のコントラストを向上させるために、着色画素21〜23の間及び画素形成領域の外側を取り囲むように設けられる。遮光部は従来公知のカラーフィルタに用いられているものを採用することができる。
遮光部30は、スパッタリング法、真空蒸着法等によるクロム等の金属薄膜であっても良い。この他、遮光部30は、バインダ中にカーボン微粒子、金属酸化物、無機顔料、有機顔料等の遮光性粒子を含有させた樹脂層であっても良い。
遮光部の厚さは、金属薄膜の場合は100〜400nm程度とし、遮光性粒子を含有させた樹脂層の場合は、0.5〜2.5μm程度とする。
【0055】
図2は、本発明に係るLED光源用カラーフィルタの他の一例を模式的に示した断面図である。
図2のLED光源用カラーフィルタでは、図1のLED光源用カラーフィルタ1に加えて、着色画素21〜23を覆うように形成された保護膜40を備えている。また、保護膜40上に液晶駆動用の透明電極膜50が形成されている。透明電極膜50上には配向膜60が形成されている。
柱状スペーサ70は凸状スペーサの一形状であり、遮光部30が形成された領域(非表示領域)に合わせて、透明電極膜50上の所定の複数箇所に形成されている。
以下、保護膜、透明電極膜、配向膜及びスペーサについて説明する。
【0056】
(保護膜)
保護膜40は、カラーフィルタの表面を平坦化するとともに、着色画素21〜23に含有される成分が他の層に溶出するのを防止するために設けられる。保護膜40は、公知の透明性を有するネガ型の光硬化性樹脂組成物、又は熱硬化性樹脂組成物を、スピンコーター、ロールコーター、スプレイ、印刷等の方法により、着色画素21〜23及び遮光部30を覆うように塗布し、光及び/又は熱によって硬化させることによって形成できる。
保護膜40の厚みは、使用される材料の光透過率、カラーフィルタの表面状態等を考慮して設定することができ、例えば、0.1〜2.0μmの範囲で設定することができる。
【0057】
(透明電極膜)
透明電極膜50は、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)等、およびそれらの合金等を用いて形成することができる。この透明電極膜の厚みは20〜500nm程度、好ましくは80〜300nm程度とすることできる。
【0058】
(配向膜)
配向膜60は、ポリイミド樹脂等の樹脂を含有する塗工液をスピンコート等の公知の方法で塗布し、乾燥し、必要に応じて熱や光により硬化させた後、ラビングすることによって形成できる。
【0059】
(スぺーサ)
スペーサは、カラーフィルタをTFTアレイ基板等の液晶駆動側基板と貼り合わせた時にセルギャップを維持するために、基板上の非表示領域に複数設けられる。スペーサの形状及び寸法は、基板上の非表示領域に選択的に設けることができ、所定のセルギャップを基板全体に渡って維持することが可能であれば特に限定されない。
スペーサとして図示したような柱状スペーサ70を形成する場合には、2μm〜10μm程度の範囲で一定の高さを持つものであり、突出高さ(パターンの厚み)は液晶層に要求される厚み等から適宜設定することができる。柱状スペーサ70の太さは5〜20μm程度の範囲で適宜設定することができる。また、柱状スペーサ70の形成密度(密集度)は、液晶層の厚みムラ、開口率、柱状スペーサの形状、材質等を考慮して適宜設定することができるが、例えば、赤色、緑色及び青色の各着色画素の1組に1個の割合で必要十分なスペーサー機能を発現する。このような柱状スペーサの形状は特に限定されず、例えば、円柱状、角柱状、円錐台状、角錐台状の形状であっても良い。
【0060】
スペーサは、例えば、硬化性樹脂組成物の塗工液をスピンコーター、ロールコーター、スプレイ、印刷等の方法により透明基板上に直接、又は、透明電極膜等の他の層を介して塗布し、乾燥して、樹脂層を形成する。
【0061】
本発明に係るカラーフィルタと組み合わせて用いる白色発光ダイオード光源(白色LED光源)としては、青色LED素子と赤色・緑色蛍光体(以下、「RG蛍光体」ということがある。)とを組み合わせて白色光を生成するLED光源(以下、「LED(B−RG)」ということがある。)及び青色LED素子とイットリウム・アルミニウム・ガーネット蛍光体(以下、「YAG蛍光体」ということがある。)とを組み合わせて白色光を生成するLED光源(以下、「LED(B−YAG)」ということがある。)が好ましく挙げられる。
青色LED素子、赤色LED素子及び緑色LED素子を組み合わせて白色光を生成する場合に比べて、上記青色LED素子と、RG蛍光体又はYAG蛍光体とを組み合わせて白色光を生成する場合の方が、白色LED光源を安価及び小型化することができる。
本発明に用いられる白色LED光源は、表示装置の画像表示面積その他の仕様により、任意個数の白色発光ダイオード素子から構成される。一般的に、画像表示面積が大きくなるほど、一つの白色LED光源に組み込まれる白色LED素子の数が多くなるが、白色LED素子1個のみからなる場合もある。
通常、白色LED素子のベースとなる青色LED素子等のLED素子は、発光スペクトルが規格値から波長10nm程度ずれることが多いため、白色LED光源全体としては波長430〜450nmに極大値を有し、光源を構成している白色LED素子の極大値波長の規格値からの白色LED光源全体としての極大値波長のばらつき(σ)が3以上となることが多い。
本発明に係るカラーフィルタは上述したように、青色LED素子の発光スペクトルが波長10nm程度ずれて、白色LED光源全体としては波長430〜450nmに極大値を有し、白色LED素子の極大値波長の規格値からの白色LED光源全体の極大値波長のばらつき(σ)が3以上となる場合であっても、その極大値に対応するカラーフィルタの青色画素の波長430〜460nmにおける平均透過率を80%以上とすることにより、表示画像の色ずれが低減される。
【0062】
RG蛍光体としては、青色光を吸収して赤色蛍光と緑色蛍光を発光する蛍光体であれば良く、例えば、特許文献1又は特開2003−141905号公報に記載の従来公知のRG蛍光体を用いることができる。
YAG蛍光体としては、青色光を吸収して黄色蛍光と緑色蛍光を発光する蛍光体であれば良く、例えば、特許文献1又は特開2008−218486号公報に記載の従来公知のYAG蛍光体を用いることができる。
【0063】
本発明に係る表示装置は、白色発光ダイオード光源と、上記白色発光ダイオード光源用カラーフィルタと、を備えることを特徴とする。
本発明に係る表示装置は、上記カラーフィルタを備えるため、白色LED光源と組み合わせても、CCFL光源と組み合わせた場合と同等以上のコントラストを有し、表示品位に優れる。
【0064】
このような表示装置としては、例えば、液晶表示装置及び有機エレクトロルミネッセント(有機EL)表示装置等が挙げられる。
以下、液晶表示装置及び有機EL表示装置について説明する。
【0065】
図3は、本発明の表示装置としての液晶表示装置の一例を模式的に示した断面図である。
液晶表示装置は、例えば、上記本発明のカラーフィルタと、TFT基板等の電極基板80とを対向させて1〜10μm程度の間隙部90を設け、当該間隙部90内に液晶化合物Lを充填し、その周囲をシール材100で密封した構造を有する。
カラーフィルタ1と対向する電極基板80の内面側には配向膜60が設けられる。通常、カラーフィルタ1の着色画素21〜23に対して、液晶化合物の液晶層を介して反対側の位置に白色LED光源が配置される。
【0066】
液晶表示装置の駆動方式としては、特に限定されず、一般的な液晶表示装置に用いられている駆動方式を採用することができる。このような駆動方式としては、例えば、TN方式、IPS方式、OCB方式、及びMVA方式等を挙げることができる。本発明においてはこれらのいずれの方式であっても好適に用いることができる。
また、カラーフィルタ1と対向する電極基板80としては、液晶表示装置の駆動方式等に応じて適宜選択して用いることができる。
さらに、間隙部90内に充填する液晶化合物Lとしては、本発明の液晶表示装置の駆動方式等に応じて、誘電異方性の異なる各種液晶、及びこれらの混合物を用いることができる。
【0067】
液晶表示装置は、上述した部材の他、導光板、拡散板、プリズムシート等のその他の光学部材を含んでいても良い。
【0068】
(有機EL表示装置)
有機EL表示装置は、上記本発明のカラーフィルタと、白色LED光源となる有機発光体とを備える。
図4は、本発明の表示装置としての有機EL表示装置の一例を模式的に示した断面図である。有機EL表示装置3は、カラーフィルタ1と、有機発光体120(LED光源110)とを有している。
カラーフィルタ1と、有機発光体120との間に、有機保護層41や無機酸化膜130を有していても良い。
【0069】
有機発光体120の積層方法としては、例えば、カラーフィルタ上面へ透明陽極140、正孔注入層150、正孔輸送層160、発光層170、電子注入層180、および陰極190を逐次形成していく方法や、別基板上へ形成した有機発光体120を無機酸化膜130上に貼り合わせる方法などが挙げられる。有機発光体120における、透明陽極140、正孔注入層150、正孔輸送層160、発光層170、電子注入層180、および陰極190、その他の構成は、公知のものを適宜用いることができる。このようにして作製された有機発光表示装置3は、例えば、パッシブ駆動方式の有機EL表示装置にもアクティブ駆動方式の有機EL表示装置にも適用可能である。
なお、本発明の有機EL表示装置は、この図4に示される構成に限定されるものではなく、一般的にカラーフィルタが用いられた有機EL表示装置として公知の構成とすることができる。
【0070】
本発明に係る表示装置の製造方法としては、上記各構成が精度良く積層されたものとする方法であれば良く、表示装置の種類に応じて、一般的な液晶表示装置や有機EL表示装置の製造方法を用いることができる。
【0071】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様の作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【実施例】
【0072】
以下、実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。これらの記載により本発明を制限するものではない。
【0073】
合成例で用いている化合物の略称はそれぞれ、括弧内に示す通りである。
メタクリル酸メチル(MMA)
アクリル酸(AA)
メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA)
ジエチレングリコールジメチルエーテル(DMDG)
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)
メタクリル酸グリシジル(GMA)
【0074】
(合成例1)
重合槽中にMMAを63質量部、AAを12質量部、HEMAを6質量部及びDMDGを88質量部仕込み、攪拌し溶解させた後、AIBNを7質量部加え、均一に溶解させた。その後、窒素気流下、85℃で2時間攪拌し、さらに100℃で1時間反応させた。得られた溶液に、さらにGMAを7質量部、トリエチルアミンを0.4質量部及びハイドロキノンを0.2質量部加え、100℃で5時間攪拌し、共重合樹脂溶液(固形分50%)を得た。
【0075】
下記の材料を室温で混合、攪拌してバインダとしての硬化性樹脂組成物とした。
上記共重合樹脂溶液(固形分50%):16質量部
ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(サートマー社製の商品名SR399):24質量部
オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ(株)製の商品名エピコート180S70):4質量部
2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製の商品名イルガキュア907):4質量部
DMDG:52質量部
【0076】
(実施例1)
(1)青色カラーフィルタ用樹脂組成物1の調製
下記の材料を室温で混合、攪拌して青色画素用カラーフィルタ用樹脂組成物1を調製した。
(青色カラーフィルタ用樹脂組成物1の組成)
PB1:2.9質量部
上記硬化性樹脂組成物(バインダ):8.8質量部
高分子分散剤(ビックケミー・ジャパン(株)製の商品名DISPERBYK2000):14.7質量部
酢酸3−メトキシブチル(溶剤):73.5質量部
【0077】
(2)青色カラーフィルタ1の作成
上記調製した青色カラーフィルタ用樹脂組成物1を、厚さ0.7mmのガラス基板(NHテクノグラス(株)製、「NA35」)上に、スピンコーターを用いて塗布した。その後、80℃のホットプレート上で3分間加熱乾燥を行った。超高圧水銀灯を用いて60mJ/cmの紫外線を照射し、230℃のクリーンオーブンで30分間ポストベークすることによって青色カラーフィルタ1を得た。
なお、硬化後の青色カラーフィルタ1の膜厚は、目標色度x=0.144、y=0.100(C光源)となるように調整した。
【0078】
(3)使用光源
規格値としての極大波長が440nmの白色発光ダイオード素子の製品ストックの中から10個を無作為に選んで構成した「未選別光源」群を、実施例1の光源として使用した。この未選別光源の極大波長のばらつきの標準偏差(σ)は4だった。
(4)照射実験
同じ青色カラーフィルタ1に対して、10個からなる未選別光源群に属する個々の未選別光源(すなわち個々の白色発光ダイオード素子)を一つづつバックライト光源として組み合わせて、10通りのサンプルを作成し、各サンプルについて照射実験を行った。
また、同じ青色カラーフィルタ1に対して、規格値(極大波長が規格値の440nm)を満たす1個の白色発光ダイオード素子を基準光源として組み合わせて、実施例1の基準サンプルを作成し、この基準サンプルについても照射実験を行った。
【0079】
(実施例2)
(1)青色カラーフィルタ用樹脂組成物2の調製
下記の材料を室温で混合、攪拌して青色画素用カラーフィルタ用樹脂組成物2を調製した。
(青色カラーフィルタ用樹脂組成物2の組成)
PB62:2.9質量部
上記硬化性樹脂組成物(バインダ):8.8質量部
高分子分散剤(ビックケミー・ジャパン(株)製の商品名DISPERBYK2000):14.7質量部
酢酸3−メトキシブチル(溶剤):73.5質量部
【0080】
(2)青色カラーフィルタ2の作成
実施例1において、青色カラーフィルタ用樹脂組成物1の代わりに青色カラーフィルタ用樹脂組成物2を用いたこと以外は実施例1と同様にして、青色カラーフィルタ2を得た。
(3)使用光源及び照射実験
実施例1と同じ10個の未選別光源(極大波長のばらつきの標準偏差(σ)=4)を用いて10通りのサンプルを作成し、実施例1と同様に各サンプルについて照射実験を行った。
また青色カラーフィルタ2に対して、実施例1と同じ基準光源を組み合わせて実施例2の基準サンプルを作成し、この基準サンプルについても照射実験を行った。
【0081】
(実施例3)
(1)青色カラーフィルタ用樹脂組成物3の調製
下記の材料を室温で混合、攪拌して青色画素用カラーフィルタ用樹脂組成物3を調製した。
(青色カラーフィルタ用樹脂組成物3の組成)
BasicBlue7:2.4質量部
上記硬化性樹脂組成物(バインダ):9.4質量部
高分子分散剤(ビックケミー・ジャパン(株)製の商品名DISPERBYK2000):14.7質量部
酢酸3−メトキシブチル(溶剤):73.5質量部
【0082】
(2)青色カラーフィルタ3の作成
実施例1において、青色カラーフィルタ用樹脂組成物1の代わりに青色カラーフィルタ用樹脂組成物3を用いたこと以外は実施例1と同様にして、青色カラーフィルタ3を得た。
(3)使用光源及び照射実験
実施例1と同じ10個の未選別光源(極大波長のばらつきの標準偏差(σ)=4)を用いて10通りのサンプルを作成し、実施例1と同様に各サンプルについて照射実験を行った。
また青色カラーフィルタ3に対して、実施例1と同じ基準光源を組み合わせて実施例3の基準サンプルを作成し、この基準サンプルについても照射実験を行った。
【0083】
(比較例1)
(1)青色カラーフィルタ用樹脂組成物4の調製
下記の材料を室温で混合、攪拌して青色画素用カラーフィルタ用樹脂組成物4を調製した。
(青色カラーフィルタ用樹脂組成物4の組成)
PB15:6:2.4質量部
PV23:0.6質量部
上記硬化性樹脂組成物(バインダ):8.8質量部
高分子分散剤(ビックケミー・ジャパン(株)製の商品名DISPERBYK2000):14.7質量部
酢酸3−メトキシブチル(溶剤):73.5質量部
【0084】
(2)青色カラーフィルタ4の作成
実施例1において、青色カラーフィルタ用樹脂組成物1の代わりに青色カラーフィルタ用樹脂組成物4を用いたこと以外は実施例1と同様にして、比較例の青色カラーフィルタ4を得た。
(3)使用光源及び照射実験
実施例1と同じ10個の未選別光源(極大波長のばらつきの標準偏差(σ)=4)を用いて10通りのサンプルを作成し、実施例1と同様に各サンプルについて照射実験を行った。
また青色カラーフィルタ4に対して、実施例1と同じ基準光源を組み合わせて比較例1の基準サンプルを作成し、この基準サンプルについても照射実験を行った。
【0085】
(参考例1)
(1)使用カラーフィルタ
実施例1と同じように、青色カラーフィルタ用樹脂組成物1を用いて青色カラーフィルタ1を作成し、参考例1の評価に用いた。
(2)使用光源
実施例と同じ規格品である白色発光ダイオード素子(規格値としての極大波長が440nm)の製品ストックの中から、極大波長の個体差の少ない白色発光ダイオード素子10個を選んで構成した「選別光源」群を、参考例1の光源として使用した。この選別光源の極大波長のばらつきの標準偏差(σ)は2だった。
(4)照射実験
同じ青色カラーフィルタ1に対して、10個からなる選別光源群に属する個々の選別光源(すなわち個々の白色発光ダイオード素子)を一つづつバックライト光源として組み合わせて、10通りのサンプルを作成し、各サンプルについて照射実験を行った。
また参考例1の基準サンプルとしては、実施例1の基準サンプルを用いることとし、実施例1により得られた照射実験の結果を共用した。
【0086】
(参考例2)
(1)使用カラーフィルタ
実施例2と同じように、青色カラーフィルタ用樹脂組成物2を用いて青色カラーフィルタ2を作成し、参考例2の評価に用いた。
(2)使用光源及び照射実験
実施例1と同じ10個の選別光源(極大波長のばらつきの標準偏差(σ)=2)を用いて10通りのサンプルを作成し、参考例1と同様に各サンプルについて照射実験を行った。
また参考例2の基準サンプルとしては、実施例2の基準サンプルを用いることとし、実施例2により得られた照射実験の結果を共用した。
【0087】
(参考例3)
(1)使用カラーフィルタ
実施例3と同じように、青色カラーフィルタ用樹脂組成物3を用いて青色カラーフィルタ3を作成し、参考例3の評価に用いた。
(2)使用光源及び照射実験
実施例1と同じ10個の選別光源(極大波長のばらつきの標準偏差(σ)=2)を用いて10通りのサンプルを作成し、参考例1と同様に各サンプルについて照射実験を行った。
また参考例3の基準サンプルとしては、実施例3の基準サンプルを用いることとし、実施例3により得られた照射実験の結果を共用した。
【0088】
(参考例4)
(1)使用カラーフィルタ
比較例1と同じように、青色カラーフィルタ用樹脂組成物4を用いて青色カラーフィルタ4を作成し、参考例2の評価に用いた。
(2)使用光源及び照射実験
実施例1と同じ10個の選別光源(極大波長のばらつきの標準偏差(σ)=2)を用いて10通りのサンプルを作成し、参考例1と同様に各サンプルについて照射実験を行った。
また参考例4の基準サンプルとしては、比較例1の基準サンプルを用いることとし、比較例1により得られた照射実験の結果を共用した。
【0089】
上記青色カラーフィルタ用樹脂組成物1〜4の組成をまとめたものを表1に示す。
【0090】
【表1】

【0091】
上記使用光源に関する情報を表2に示す。
【0092】
【表2】

【0093】
(評価方法)
各実験例(実施例1〜3、比較例1、参考例1〜4)において10通りのサンプル及び基準サンプルについて照射実験を行い、各サンプルから生じる透過光のx値、y値、Y値及び分光スペクトルを、トプコン社製 分光放射計(製品形式番号:SR−3)を用いて測定した。
得られた各サンプルの測定値と基準サンプルの測定値から下記数式(1)を用いて、各サンプルごとに色差ΔE*ab(基準サンプルからの色ずれ)を算出した。
各実験例(それぞれ10通りのサンプルを含む)について、ΔE*ab値及び下記数式(2)を用いて、基準サンプルからの色差(色ずれ)の標準偏差を算出し、算出した標準偏差値を以下の評価基準を基づき評価した。
【0094】
【数1】

【0095】
【数2】

【0096】
(評価基準)
良(○):標準偏差が3未満である。
不良(×):標準偏差が3以上である。
【0097】
評価結果をまとめたものを表3に示す。実施例1〜3は、色差の標準偏差が3未満となったが、比較例1は色差の標準偏差が3以上となった。
参考例1〜4は、それぞれ実施例1〜3及び比較例1に対応するが、光源のばらつきが小さい選別光源を用いたものである。比較例1と参考例4は同じカラーフィルタ4(青色カラーフィルタ用樹脂組成物4)を用いたが、ばらつきが小さい光源を用いた参考例4では色差の標準偏差が2.17と小さい値となり評価結果が良(○)だったのに対し、ばらつきの大きい光源を用いた比較例1では色差の標準偏差が5.21と大きい値となり評価結果が不良(×)だった
【0098】
【表3】

【符号の説明】
【0099】
1 LED光源用カラーフィルタ
2 液晶表示装置
3 有機EL表示装置
10 透明基板
21 赤色画素
22 緑色画素
23 青色画素
30 遮光部
40 保護膜
41 有機保護膜
50 透明電極膜
60 配向膜
70 スペーサ
80 電極基板
90 間隙部(液晶化合物L)
100 シール材
110 LED光源
120 有機発光体
130 無機酸化膜
140 透明陽極
150 正孔注入層
160 正孔輸送層
170 発光層
180 電子注入層
190 陰極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも赤色画素、緑色画素及び青色画素を有する白色発光ダイオード光源用カラーフィルタであって、
青色画素の波長420〜460nmにおける平均透過率が80%以上であり、且つ、発光スペクトルが波長430〜450nmに極大値を有し、極大値波長のばらつき(σ)が3以上である白色発光ダイオード光源に用いられることを特徴とする、白色発光ダイオード光源用カラーフィルタ。
【請求項2】
前記青色画素の波長420〜460nmにおける透過率の最大値と最小値の差が10%以下であることを特徴とする、請求項1に記載の白色発光ダイオード光源用カラーフィルタ。
【請求項3】
波長430〜450nmに発光スペクトルの極大値を有し、極大値波長のばらつき(σ)が3以上である白色発光ダイオード光源と、
前記請求項1又は2に記載の白色発光ダイオード光源用カラーフィルタと、を備えることを特徴とする、表示装置。
【請求項4】
前記白色発光ダイオード光源に含まれる発光ダイオード素子の数が、4〜100個であることを特徴とする、請求項3に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−80044(P2013−80044A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−219022(P2011−219022)
【出願日】平成23年10月3日(2011.10.3)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】