説明

白色積層ポリエステルフィルム

【課題】基材シートのクッション性を改善し印刷感度を上げ、熱収縮率を下げて印刷後の基材シートのカール性を抑制された印字性に優れた白色積層ポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】少なくともポリエステル層(A)とポリエステル層(B)とを用いて成り、該ポリエステル層(A)が平均粒径0.01〜3μmの無機粒子を含有し、かつ該ポリエステル層(A)表面の200μm以上の突起が20個/m以下であり、ポリエステル層(B)が前記ポリエステル(B)層総重量に対してポリエステルと非相溶の樹脂を11〜40重量%含有し、融点160℃〜230℃の範囲にある熱可塑性ポリエステルエラストマーを2〜25重量%含有する白色積層ポリエステルフィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、白色積層ポリエステルフィルムに関するものである。更に詳しくは、印字性に優れ、感熱転写記録用の受容シート基材として用いるのに好適な白色積層ポリエステルフィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ハードコピー技術における記録方法の一つとして、ノンインパクト、操作・保守が容易、低コスト、小型化が可能等の特徴を持つ感熱転写記録が注目されている。感熱転写記録方式とは、色材含有層であるインキ層を有する転写シート(インキリボン)と受容シートを重ね合わせ、インクリボン側からのサーマルヘッドの加熱に応じて、溶融または昇華して移行する色材含有成分または色材を、受容シート上に微細な網点(ドット)状に転写して印字するものである。
【0003】
このような感熱転写記録用の受容シート基材としては、従来からポリエステル中に酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の無機系微粒子やポリエステルと非相溶の樹脂を含有せしめた白色ポリエステルフィルムが適用されている。一般的には、これらのフィルム上に印字機能を高めるための受容層を設けることで、感熱転写記録用の受容シートとしている。
【0004】
さらに、印字記録精度を向上させ、印字画像の鮮明性を高め、より高級感を与える高白色性の白色ポリエステルフィルムが求められている。このような要求に対しては、上述の無機系微粒子の複数種を併用添加したもの、無機系微粒子と非相溶樹脂を併用添加したもの等が公知となっている。この様な白色ポリエステルフィルムとしては、例えば特許文献1、特許文献2等が開示されている。
【0005】
近年では、感熱転写記録の高精細化、高速化がさらに進んでおり、上述の白色ポリエステルフィルムを使用した感熱転写記録用受容シートでは、印字画像を構成する印字ドットが十分に転写されずに印字濃度が低く、結果として印字画像が不鮮明となって印字性が劣る問題点が指摘されている。
【0006】
上記問題点を改善する方法としては、気泡を含有する白色ポリエステル層にポリエステル主体の層あるいは無機系微粒子含有ポリエステル層を積層して表面を高平滑化する方法が知られている。このような白色ポリエステルフィルムとしては、例えば、特許文献3、特許文献4、特許文献5などが開示されている。
【特許文献1】特開平4−153232号公報
【特許文献2】特開平6−322153号公報
【特許文献3】特公平7−37098号公報
【特許文献4】特開平5−329969号公報
【特許文献5】特開平6−238787号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、これらの技術によってある程度の改善が図られたものの、近年の高精細化、高速化ならびに省力化が進む中で、さらなる印字画像性の向上が求められている。そのためには、基材シートのクッション性を改善し印刷感度を上げること、並びに、熱特性を改善して熱収縮率を下げて印刷後の基材シートのカール性を抑制することが必要である。
【0008】
本発明は、上記の問題点を解決し、印字性に優れた白色積層ポリエステルフィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
少なくともポリエステル層(A)とポリエステル層(B)とを用いて成り、該ポリエステル層(A)が平均粒径0.01〜3μmの無機粒子を含有し、かつ該ポリエステル層(A)表面の200μm以上の突起が20個/m以下であり、ポリエステル層(B)が前記ポリエステル(B)層総重量に対してポリエステルと非相溶の樹脂を11〜40重量%含有し、融点160℃〜230℃の範囲にある熱可塑性ポリエステルエラストマーを2〜25重量%含有する白色積層ポリエステルフィルムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の白色積層ポリエステルフィルムは、熱可塑性ポリエステルエラストマーを含有することにより、非相溶樹脂を均一に微細分散化し微細気泡を形成し高いクッション性を有するため、高感度でかつカールしにくい優れた感熱転写記録用受容シート材として用いることができる。本発明の白色積層ポリエステルフィルムは上記のような優れた特性を有するので感熱転写以外にもインクジェット、オフセット印刷などの各種印刷記録に供給される受容シートの基材として好適に用いられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の白色積層ポリエステルフィルムは、ポリエステルを主成分として構成される。ここで主成分とは、ポリエステル全体を100モル%としてポリエステル成分が60モル%以上であることを言い、好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上、とくに好ましくは95モル%以上である。
【0012】
本発明に使用されるポリエステルとは、ジオールとジカルボン酸とから縮合重合によって得られるポリマーである。ジカルボン酸としては、たとえばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸等で代表されるものであり、またジオールとしては、たとえばエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール等で代表されるものである。
【0013】
本発明に使用するポリエステルとしては、具体的には例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−p−オキシベンゾエート、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(ポリエチレンナフタレート)等を使用することができる。
【0014】
これらのポリエステルは、ホモポリエステルであっても、コポリエステルであってもよく、共重合成分として、例えば、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコール等のジオール成分、フタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等のジカルボン酸成分を用いることもできる。
【0015】
本発明に用いられるポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが強度、耐熱性、耐水性、耐薬品性等に優れているため、特に好ましいものである。
【0016】
また、本発明に用いるポリエステルの中には、必要に応じて、本発明の効果が損なわれない範囲で、ポリエステル以外の樹脂、添加剤、例えば紫外線吸収剤、紫外線安定剤、耐熱安定剤、耐酸化安定剤、有機の易滑剤、有機系微粒子、充填剤、核剤、染料、分散剤、カップリング剤等が配合されていてもよい。
【0017】
本発明は少なくともポリエステル層(A)とポリエステル層(B)とを用いてなることが必要である。ポリエステル層(A)とポリエステル層(B)とは、同種のポリエステル成分を用いてなるものであっても異種のポリエステル成分を用いてなるものであっても良いが、ポリエステル層(A)は以下に説明する無機微粒子を含有することが必要であり、ポリエステル層(B)はポリエステルと非相溶の樹脂を含有することが必要である。
【0018】
本発明では、ポリエステル層(A)が平均粒径0.01〜3μmの無機粒子を含有することが必要である。好ましくは、0.05〜2μm、さらに好ましくは0.1〜1.5μmである。本発明において無機粒子の平均粒径とは、透過型電子顕微鏡HU−12型((株)日立製作所製)を用い、ポリエステル層(A)またはポリエステル層(B)の断面を3,000倍に拡大観察した断面写真から求めた粒径の数平均値のことである。すなわち、断面写真の粒子部分をマーキングして、その粒子部分をハイビジョン画像解析処理装置PIAS−IV((株)ピアス製)を用いて画像処理を行い、測定視野内の計100個の粒子を真円に換算した時の平均径である。ポリエステル層(A)中の無機粒子の平均粒径が0.01〜3μmであることにより、凝集などによる無機系微粒子の均一分散性不良、あるいは粒子自身によってフィルム表面の光沢または平滑性が低下する不具合を防ぐことができる。
【0019】
本発明においてポリエステル層(A)は、かつ該ポリエステル層(A)表面の200μm以上の突起が20個/m2以下であることが必要で、好ましくは10個/m以下、より好ましくは5個/m以下である。20個/mより多い場合は受容シートの基材として用いた時、印刷ムラ、欠けが発生し印字性に優れない。また、無機微粒子が含有されていないと白色度、搬送性が低下するため好ましくない。該ポリエステル層(A)表面の200μm以上の突起とは突起高さのことではなく、突起の大きさを表している。レーザー顕微鏡を用いて倍率250倍にて白色ポリエステル層(A)の表層の突起を観察し、突起の外周の2点で直線を引いたときに最も長くなる距離を突起の大きさとして測定したものである。
【0020】
無機微粒子は、気泡形成性を有していても、有していなくてもよく、その一例としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫化亜鉛、リン酸カルシウム、シリカ、アルミナ、マイカ、雲母チタン、タルク、クレー、カオリン、フッ化リチウム、フッ化カルシウム等を用いることができる。
【0021】
無機微粒子の気泡形成性は、ポリエステルとの表面張力差以外にも、平均粒子径や凝集性などにも依存するが、気泡形成性を有する無機微粒子の代表的なものとしては、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸マグネシウムなどである。
【0022】
一方、気泡形成性を有しない無機微粒子とは、主にポリエステルとの屈折率差によってフィルムを白色化せしめるものであって、その代表例は、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、雲母チタンなどである。
【0023】
これらの無機微粒子は単独でも2種以上を併用してもよい。また、該無機系微粒子は多孔質や中空多孔質等の形態であってもよく、さらには本発明の効果を阻害しない範囲内において、樹脂に対する分散性を向上させるために、表面処理が施されていてもよい。
【0024】
本発明におけるポリエステル層(A)は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)に平均粒子径0.01〜3μmの無機粒子を添加した原料を180℃で3時間真空乾燥した後に押出機に供給し285℃で溶融してTダイ複合口金に導入して、PETに無機粒子を均一に混合させ、あらかじめPETと無機粒子をコンパウンドさせたマスターチップを用いて製造されることが望ましい。これらの無機粒子のマスター濃度(無機粒子のマスターチップに対する重量比)は30重量%以上60重量%以下であることが好ましく、より好ましくは50重量%以上60重量%以下である。マスター濃度が30重量%以下の場合、無機粒子同士の接触が少なく各粒子径が粗大化したままの状態で存在するため粗大突起が発生しやすくなってしまう。一方、マスター濃度が60重量%以上の場合、無機粒子の分散性が低下しコンパウンドした際に濃度ムラができてしまう。またPETはチップ形状であるのに対し、無機粒子は粉末状態で加工されていることが多くコンパウンドの際にPETを粉末状に粉砕する工程が必要となるため、生産性が劣る。
【0025】
ポリエステル層(A)への無機微粒子の添加量は、特に限定されないが、ポリエステル層(A)の総重量に対して0.05〜30重量%が好ましく、より好ましくは3〜20重量%の範囲にあるものが特に好ましい。添加量が上記範囲より少ない場合にはフィルムの白色性、隠蔽性(光学濃度)などの特性を向上させることが難しく、逆に上記範囲より多い場合にはフィルム表面の光沢または平滑性が低下しやすくなるだけでなく、延伸時にフィルム破れや後加工の際に粉発生等の不都合を生じる場合がある。
【0026】
本発明の白色積層ポリエステルフィルムのいずれかの面から測定した光沢度が50〜130%であること好ましく、より好ましくは70%〜120%である。光沢度が50%以下になると印刷時の全体の解像度が悪く見栄えがよくない。また光沢度が130%以上になると印刷機内でのフィルムの搬送性が悪化し画像に抜けが生じる可能性があるためあまり好ましくない。本発明ではポリエステル層(A)が表層にあることが好ましく、ポリエステル層(A)側から測定した光沢度が50〜130%、より好ましくは70%〜120%である。ここで、光沢度は、デジタル変角光沢度計UGV−5B(スガ試験機(株)製)を用いてJISZ−8741に準じて測定条件を入射角60゜、受光角60゜として測定した値である。無機粒子を二酸化チタン、SiOとすると光沢度は75〜100%程度、一方炭酸カルシウムにすると1〜50%程度とすることができる。
【0027】
本発明におけるポリエステル層(B)は、ポリエステルと非相溶な樹脂をポリエステル層(B)の総重量に対して11〜40重量%含有し、さらに融点160℃〜230℃の範囲にある熱可塑性ポリエステルエラストマーをポリエステル層(B)の総重量に対して2〜25重量%含有する。すなわち、熱可塑性ポリエステルエラストマーを加えることによってポリエステルとポリエステルに対して非相溶な樹脂との相溶性が向上し、均一で微細な気泡が多数形成される。このように内部に微細で均一な気泡を多く含有せしめて、クッション性を付与することによって印刷感度が改善することができる。
【0028】
本発明における微細な気泡とは、印字性向上のためフィルム自身に断熱性やクッション性を付与せしめることに寄与するものを言うのであって、具体的には、上記したポリエステル層(B)中に含有せしめた非相溶樹脂を核として生成された気泡である。
【0029】
気泡のサイズとしては、ポリエステル層(B)の断面(厚み方向)を走査型電子顕微鏡(SEM)または透過型電子顕微鏡(TEM)などによって観察したとき、気泡部分の断面積(ただし、気泡生成の核となる非相溶樹脂部分は除く)の平均値が1〜25μm2にあるものが好ましく、より好ましくは1.5〜20μm2、さらには2〜15μm2の範囲内にあるものがとくに好ましい。
【0030】
本発明でいう非相溶樹脂とは、ポリエステル以外の熱可塑性樹脂であって、かつ該ポリエステルに対して非相溶性を示す熱可塑性樹脂であり、ポリエステル中では粒子状に分散し、延伸によりフィルム中に気泡を形成せしめる効果が大きいものである。より具体的に述べれば、示差走査熱量計(DSC)等を用いた測定において、ポリエステルと非相溶樹脂とを溶融した系において、ポリエステルに相当する融点(以降、Tmと省略する)以外に該非相溶樹脂に相当するTmが観察される熱可塑性樹脂である。ここで、非相溶樹脂の融点は、好ましくはポリエステルの融点よりも低温であって、かつ製膜時にフィルムを熱固定して配向させる際の温度(熱処理温度)よりも高温であることが好ましい。例えば、PET90%とPMP10%、PEG10%を混合融解し、DSCで25〜300℃まで測定すると200℃を越えてから230℃付近で見られる1つめのピークがPMPのTm、260℃付近で見られる2つめのピークがPETの融点である。この温度は通常のフィルムの熱処理温度である200〜230℃に比べ低いためPMPが非相溶樹脂のボイド核剤として熱処理後も残すことができる。
【0031】
かかる点から非相溶樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテンのようなオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、フッ素系樹脂などが好ましく用いられる。これらは単独重合体であっても共重合体であってもよく、さらには2種以上の非相溶樹脂を併用してもよい。これらの中でも、臨界表面張力の小さなポリプロピレン、ポリメチルペンテンのようなポリオレフィンが好ましく、さらにはポリメチルペンテンがとくに好ましく用いられる。
【0032】
ポリメチルペンテンは相対的にポリエステルとの表面張力差が大きく、かつ融点が高いため、添加量当たりの気泡形成の効果が大きいという特徴があり、非相溶樹脂として特に好ましいものである。
【0033】
非相溶樹脂の含有量は、ポリエステル層(B)中に11〜40重量%の範囲内である。より好ましくは13〜30重量%の範囲内であることがより好ましい。添加量が上記範囲より少ない場合にはフィルムの白色性や隠蔽性などを向上させることが難しくなる場合があり、逆に上記範囲より多い場合には延伸時にフィルム破れ等が生じやすくなり生産性が低下する問題が生ずる。
【0034】
さらに本発明のポリエステル層(B)には、融点160℃〜230℃の範囲にある熱可塑性ポリエステルエラストマーが含有される。該エラストマーを含有させることによって非相溶樹脂の分散化を助長し微細で均一な気泡を作りだすことができる。この効果によって、結果的にフィルムのクッション性が向上し印刷感度を上げることができ、さらに微細な気泡数を増えることによって熱収縮率を下げ印刷中の基材シートのカール性を抑制することができる。さらに、熱に対する影響が緩和されることが製膜性を向上させることができるのでより好ましいものである。
【0035】
上記の熱可塑性ポリエステルエラストマーの添加量は、ポリエステル層(B)に対して2〜25重量%であることが必要である。より好ましくは11〜25重量%である。添加量が2重量%より少ない場合、気泡を微細化する効果が小さい。また、25重量%より多い場合には、基材シートが柔軟になり過ぎるため耐熱性が逆に低下する問題が発生しやすい。
【0036】
本発明で使用される熱可塑性ポリエステルエラストマーは、熱可塑性ポリエステルをハードセグメントとし、ポリ(アルキレンオキシド)グリコールをソフトセグメントとして共重合してなるポリエーテルエステルブロック共重合体である。
【0037】
例えばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、3−スルホイソフタル酸ナトリウム等の如き芳香族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸の如き脂環族ジカルボン酸、コハク酸、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジ酸、ダイマー酸の如き脂肪族ジカルボン酸またはこれらのエステル形成性誘導体などから選ばれたジカルボン酸成分の少なくとも一種、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、デカメチレングリコールなどの脂肪族ジオール、1,1−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノールなどの脂環族ジオールまたはこれらのエステル形成性誘導体などから選ばれた低分子ジオール成分の少なくとも一種および平均分子量が約400〜5000のポリ(エチレンオキシド)グリコール、ポリ(1,2−および1,3−プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体、エチレンオキシドとテトラヒドロフランとの共重合体などのポリ(アルキレンオキシド)グリコールのうち少なくとも一種、の3者からなるブロック共重合体を挙げることができる。
【0038】
本発明においては、ポリテトラメチレンテレフタレート系ポリエステルをハードセグメントとし、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールをソフトセグメントとするブロック共重合ポリエーテルエステルが特に好ましい。このハードセグメントを構成するポリエステル部分は、テレフタル酸またはこれとイソフタル酸を組合せた酸成分とテトラメチレングリコール成分とからなるポリテトラメチレンテレフタレートを主たる成分とするが、この酸成分の一部(通常30モル%以下)を他のジカルボン酸成分やオキシカルボン酸成分で置き換えることや、グリコール成分の一部(通常30モル%以下)をテトラメチレングリコール成分以外の低分子グリコール成分で置き換えたポリエステルであってもよい。また、ソフトセグメントを構成するポリエーテル部分の一部は、テトラメチレングリコール成分以外のジオキシ成分で置き換えたポリエーテルであってもよい。
【0039】
本発明で使用される熱可塑性ポリエステルエラストマーは、融点160℃〜230℃の範囲にある。さらに好ましくは180〜220℃の範囲である。熱可塑性ポリエステルエラストマーの融点が160℃未満の場合、均一な分散が得られにくくなる問題があり、フィルムの感度が悪くなってしまう。また230℃より高い場合には分散効果が殆んど認められないため、好ましくない。
【0040】
上記の熱可塑性ポリエステルエラストマーには、安定剤、紫外線吸収剤、増粘分岐剤、艶消剤、着色剤、その他各種の改良剤等も必要に応じ含有させることができる。
【0041】
本発明のフイルムは、ポリエステル層(B)のポリエステル中に粒状ないし球状に分散した非相溶樹脂の周囲に空隙を形成し、その見掛け密度を低いものとするため、非相溶樹脂と熱可塑性ポリエステルエラストマーを含有したポリエステルの溶融押出シートを少なくとも一軸方向に、好ましくは二軸方向に延伸する。
【0042】
本発明の白色積層ポリエステルフィルムが、ポリエステル層(B)の片面にポリエステル層(A)を有する2層積層構成である場合、感熱転写記録用の受容シート基材として用いる際にはポリエステル層(A)に受容層を設けることが好ましい。
【0043】
また、本発明の白色積層ポリエステルフィルムを、ポリエステル(B)の両面にポリエステル層(A)を積層し、3層積層構成としたものは、製膜性がより向上し、取扱性などの実用性も向上させることができる点から、より好ましいものである。
【0044】
また、本発明においては、ポリエステル層(A)に用いられるポリエステルがポリエチレンナフタレートで、ポリエステル層(B)に用いられるポリエステルがポリエチレンテレフタレートである場合は、耐光性、剛性などの向上効果が得られるので好ましい。また、ポリエステル(A)に用いられるポリエステルがコポリエステルで、ポリエステル層(B)に用いられるポリエステルがホモポリエステルである場合、密着性などの向上効果が得られるので好ましい。
【0045】
本発明においては、ポリエステル層(A)とポリエステル層(B)を積層する方法としては、溶融製膜中の共押出により複合化する方法、あるいはそれぞれ別々に製膜した後、ラミネートする方法のいずれでもよいが、コストなどの点で前者の方法がより好ましい。
【0046】
本発明の白色積層ポリエステルフィルムを感熱転写記録用の受容シート基材として用いる際には、単独で用いても、他の素材と貼合わせて用いてもよい。他の素材の例としては、例えば普通紙、上質紙、中質紙、コート紙、アート紙、キャストコート紙、樹脂含浸紙、グラシン紙、ラミネート紙などの紙、合成紙、不織布、あるいは他種のフィルム等を用いることができる。本発明のフィルムを他の素材と貼合わせる場合、受容層を設ける面と反対側の面に他の素材を貼合わせることが好ましい。
【0047】
本発明の白色積層ポリエステルフィルムの厚みは、薄すぎるとコシがなくなり印画性に劣るため、また厚すぎるとm単価が高値になり生産性に劣るため通常フィルム総厚みで150μm〜500μm、より好ましくは170〜300μmの範囲にあるものが、白色性や実用面での取扱性にも優れており、好ましい。また、他の素材と貼合わせる場合にも、取扱性の点から、本発明の白色積層ポリエステルフィルムの厚みの上限は500μm以下が好ましい。
【0048】
また、ポリエステル層(A)の厚みとしては、1〜50μmが好ましく、より好ましくは2〜30μmである。厚みが1μmより薄い場合には充分な耐光性、光沢が得にくく、一方、50μmより厚い場合には、白色性やクッション性、断熱性が不十分となることがある。
【0049】
次に、本発明の白色積層ポリエステルフィルムの製造方法について説明するが、本発明はかかる例のみに限定されるものではない。
【0050】
押出機(ア)と押出機(イ)を有する複合製膜装置において、白色ポリエステル層(B)を形成するため、乾燥したポリエステルのチップと、乾燥した非相溶樹脂および熱可塑性ポリエステルエラストマーのチップとを混合したものを260〜300℃に加熱された押出機(イ)に供給し、溶融してTダイ複合口金内に導入する。この原料には、必要に応じて分散剤を白色ポリエステル層(B)の総重量に対して0.05〜10重量%添加せしめてもよい。また、非相溶樹脂の添加は、予めマスターチップとしたものを乾燥して使用してもよい。
【0051】
一方、ポリエステル層(A)に使用する樹脂としては、ポリエステルのチップ、無機微粒子のマスターチップおよび耐光剤のマスターチップを、ポリエステル層(A)の総重量に対して無機微粒子が1〜30重量%となるよう混合し、充分に真空乾燥する。この原料には必要に応じてポリエステル層(A)の総重量に対して蛍光増白剤を0.01〜1.5重量%添加せしめてもよい。次にこの乾燥原料を、260〜300℃に加熱された押出機(ア)に供給し、溶融してTダイ複合口金内に導入し、押出機(ア)のポリマーが前記した押出機(イ)のポリマーの表層(片面)あるいは両表層(両面)に来る様に積層してシート状に共押出成形し、溶融積層シートを得る。
【0052】
この溶融積層シートを、表面温度10〜60℃に冷却されたドラム上で静電気により密着冷却固化し、未延伸積層フィルムを作製する。該未延伸積層フィルムを70〜120℃に加熱したロール群に導き、長手方向(縦方向、すなわちフィルムの進行方向)に2〜5倍延伸し、20〜30℃のロール群で冷却する。
【0053】
続いて長手方向に延伸したフィルムの白色ポリエステル層(A)側にコロナ放電処理を施した後、該処理面に帯電防止層形成塗液を塗布する。このフィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き90〜150℃に加熱した雰囲気中で長手方向に垂直な方向(横方向)に2〜5倍延伸する。
【0054】
延伸の面積倍率(縦延伸倍率×横延伸倍率)は6〜20倍であることが好ましい。面積倍率が6倍未満であると、得られるフィルムの白色性やフィルム強度が不十分となりやすく、逆に20倍を越えると延伸時に破れを生じやすくなる傾向がある。
【0055】
こうして得られた二軸延伸積層フィルムは、結晶配向を完了させて平面性、寸法安定性を付与するためにテンター内にて150〜230℃で1〜30秒間の熱処理を行い、均一に徐冷後、室温まで冷やして巻き取ることにより、本発明の白色積層ポリエステルフィルムを得ることができる。
【0056】
なお、上記熱処理工程中では必要に応じて横方向あるいは縦方向に3〜12%の弛緩処理を施してもよい。また、二軸延伸は逐次延伸あるいは同時二軸延伸のいずれでもよく、また二軸延伸後に、縦、横いずれか、あるいは両方向に再延伸してもよい。
【0057】
延伸温度と倍率は、ポリエステル層(A)とポリエステル層(B)の積層比、あるいはポリエステル層(A)に添加する無機系微粒子の添加量に対応して、適宜選択することが好ましい。
【0058】
このようにして得られた本発明の白色積層ポリエステルフィルムを基材に用いた感熱転写記録用の受容シートは、印字性に優れている。従って、本発明の白色ポリエステルフィルムは感熱転写記録用の受容シート基材として好適な特性を有するフィルムである。
【実施例】
【0059】
[特性の測定方法および評価方法]
本発明の特性値は、次の評価方法、評価基準による。
【0060】
(1)無機系微粒子の平均粒子径
透過型電子顕微鏡HU−12型((株)日立製作所製)を用い、ポリエステル層(A)またはポリエステル層(B)の断面を10,0000倍に拡大観察した断面写真から求めた。すなわち、断面写真の粒子部分を粒子形状に沿ってマーキングして、その粒子部分をハイビジョン画像解析処理装置PIAS−IV((株)ピアス製)を用いて画像処理を行い、測定視野内の計100個の粒子を真円に換算した時の平均径を算出し、無機系微粒子の平均粒子径とした。
【0061】
(2)比重
フィルムの幅方向に端部から等間隔に10カ所、かつ、面積一定(10cm×10cm)になるようにサンプリングし、それぞれ重量を測定する。以下の式を用いて比重を決定する。比重=(10枚の総重量)/(10枚の総体積)総体積=厚み×面積×サンプリング数。
【0062】
(3)白色度
JIS L−1015(制S28/6/6)に準じて、(株)島津製作所製UV−260を用いて測定した。波長450nmおよび550nmにおける反射率を、各々B%、G%とすると、白色度は下式白色度(%)=4B−3Gで表される。
【0063】
(4)光学濃度
マスベスク光学濃度計TD−904を用い、白色積層ポリエステルフィルム試料に垂直透過光束を照射し試料が無い状態との比をlog(対数)で表したものを光学濃度とした。光束幅は直径1mmの円形もしくはそれ以上の広さのものとした。
【0064】
(5)光沢度
デジタル変角光沢度計UGV−5B(スガ試験機(株)製)を用いてJISZ−8741に準じて測定した。なお、測定条件は入射角60゜、受光角60゜とした。
【0065】
(6)突起の大きさ
レーザー顕微鏡(キーエンス(株)VF−7500)を用いて、白色ポリエステル層(A)の表層の突起を250倍に拡大して観察し、突起の外周の2点で直線を引いたときに最も長くなる距離を突起の大きさとして測定した。
【0066】
(7)フィルム総厚み
マイクロメーターM-30(ソニー(株)製)を用いて白色積層ポリエステルフィルムの厚みを測定した。
【0067】
(8)積層厚み
フィルムを5mm×1cmにサンプリングし、ミクロトームを用いて氷中で断面方向にカットした。透過型電子顕微鏡HU−12型((株)日立製作所製)を用い、カットしたサンプルのポリエステル層(A)またはポリエステル層(B)の断面を観察し300倍に拡大した断面写真から積層厚みを換算し求めた。
【0068】
(9)クッション性
フィルムを5cm×5cmにサンプリングし、デジタルゲージ(三豊製作所社製)で厚みを測り継続して50gの荷重を上部からかけ5秒後の厚みを計測した。その後荷重を500gとし同じく5秒後の厚みを計測した。クッション率(%)=
(50g5秒後の厚み−500g5秒後の厚み)/50g5秒後の厚み×100
とし、クッション性を求めた。
【0069】
(10)感度
フィルムをLサイズ(89×119mm)にサンプリングし、得られたフィルムを昇華型プリンターDPP−FP30(ソニー製)で全面印刷を行い、その後10分乾燥させ、印刷状態を以下の基準で評価を行った。
◎=大変良好、最高画質である
○=良好、実用可能である
△=印刷抜けが見られるが実用可能
×=印刷抜けが多く見られ実用不可能。
【0070】
(11)カール性
フィルムをLサイズ(89×119mm)にサンプリングし、得られたフィルムを昇華型プリンターDPP−FP30(ソニー(株)製)で全面印刷を行い、その後10分乾燥させ、平面に静置させた際にカールにより浮いた最大箇所の高さを求め、下記の通り判定した。
◎=1mm未満
○=1mm以上3mm未満
△=3mm以上5mm未満
×=5mm以上。
【0071】
[実施例]
本発明を以下の実施例、比較例を用いて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0072】
実施例1
ポリエチレンテレフタレート(以降PETと省略する)チップに、平均粒子径0.2μmのアナターゼ型酸化チタンがマスターチップの50重量%となるようにコンパウンドされた微粒子マスターチップを、アナターゼ型酸化チタンがポリエステル層(A)の全重量の5重量%になるように添加した原料と180℃で3時間真空乾燥した後に押出機(A)に供給し、285℃で溶融してTダイ複合口金に導入した。
【0073】
一方、組成物全体を100重量%として、上記PETチップ70重量%、ポリメチルペンテン(以降PMPと省略する)を15重量%、さらに熱可塑性ポリエステルエラストマーとしてPETにイソフタル酸を10mol%とポリエチレングリコール(以降PEGと省略する)を5mol%共重合させた共重合物(融点225℃)を10重量%、同じく熱可塑性ポリエステルエラストマーであるポリブチレンテレフタレート(以降PBTと省略する)とポリテトラメチレングリコール(以降PTMGと省略する)の共重合物(融点220℃)を5重量%となるように添加した組成物を180℃で3時間真空乾燥した後に押出機(B)に供給し、285℃で溶融してTダイ複合口金内で白色ポリエステル層(A)がポリエステル層(B)の両表層に積層してなる積層溶融シートを得た。該積層溶融体シートを表面温度25℃に保たれた冷却ドラム上に静電荷法にて密着冷却固化させて未延伸フィルムとした。その後未延伸フィルムを85〜98℃に加熱したロール群に導き長手方向に3.1倍縦延伸した。
【0074】
続いて縦延伸されたフィルムの両端をクリップで把持しながらテンター内に導き130℃に加熱された雰囲気中で長手に垂直な方向に3.6倍横延伸した。その後テンター内で230℃の熱固定を行い、均一に徐冷後、室温まで冷やして巻き取り厚み188μmのフィルムを得た。
【0075】
かくして得られた白色積層ポリエステルフィルムの特性は表2のとおりであった。得られたフィルムについては昇華型プリンターで印刷を行い、評価を行った。
この白色積層ポリエステルフィルムはクッション性、感度に優れカールもしにくかった。
【0076】
実施例2
実施例1において押出機(B)に送る原料組成物を組成物全体を100重量%としてPETチップ65重量%、PMP30重量%、熱可塑性ポリエステルエラストマーとしてPETにイソフタル酸を10mol%とPEGを5mol%共重合した共重合体を10重量%、同じく熱可塑性ポリエステルエラストマーであるPBTとPTMGの共重合物を5重量%とした組成物とした他は、実施例1と同様の手法で厚み188μmのフィルムを得た。この白色積層ポリエステルフィルムの特性は表2のとおりであり、クッション性、感度が高く、カール性には非常に優れており最高画質が得られた。
【0077】
実施例3
実施例1において押出機(B)に送る原料組成物を組成物全体を100重量%としてPETチップ45重量%、PMPを40重量%、熱可塑性ポリエステルエラストマーとしてPETにイソフタル酸を10mol%とPEGを5mol%共重合した共重合体を10重量%、同じく熱可塑性ポリエステルエラストマーであるPBTとPTMGの共重合物を5重量%とした組成物とした他は、実施例1と同様の手法で厚み188μmのフィルムを得た。この白色積層ポリエステルフィルムの特性は表2のとおりであり、クッション性、感度に優れていた。
【0078】
実施例4
実施例1において押出機(B)に送る原料組成物を組成物全体を100重量%としてPETチップ83重量%、PMPを15重量%、熱可塑性ポリエステルエラストマーとしてPETにイソフタル酸を10mol%とPEGを5mol%共重合した共重合体を1重量%、同じく熱可塑性ポリエステルエラストマーであるPBTとPTMGの共重合物を1重量%となるように添加した組成物とした他は、実施例1と同様の手法で厚み188μmのフィルムを得た。この白色積層ポリエステルフィルムの特性は表2のとおりであり、クッション性、感度は良好で、カールしにくかった。
【0079】
実施例5
実施例4において押出機(B)に送る原料組成物全体を100重量%としてPETチップ60重量%、PMPを15重量%、熱可塑性ポリエステルエラストマーとしてPETにイソフタル酸を10mol%とPEGを5mol%共重合した共重合体を15重量%、同じく熱可塑性ポリエステルエラストマーであるPBTとPTMGの共重合物を10重量%となるように添加した組成物とした他は、実施例1と同様の手法で厚み188μmのフィルムを得た。この白色積層ポリエステルフィルムの特性は表2のとおりである。
【0080】
実施例6
実施例1において押出機(A)に送る原料をPETチップに、平均粒子径0.2μmのアナターゼ型酸化チタンがマスターチップの30重量%コンパウンドされた微粒子マスターチップを、アナターゼ型酸化チタンがポリエステル層(A)の全重量の5重量%になるように添加した組成物とした他は実施例1と同様の手法で厚み188μmのフィルムを得た。この白色積層ポリエステルフィルムの特性は表2のとおりであり、クッション性、感度は高く、かつカールもしにくかった。
【0081】
実施例7
実施例1において押出機(A)に送る原料をPETチップに、平均粒子径0.95μmの炭酸カルシウム微粒子がマスターチップの50重量%コンパウンドされた微粒子マスターチップを、炭酸カルシウム微粒子がポリエステル層(A)の全重量の5重量%になるように添加した組成物とした他は実施例1と同様の手法で厚み188μmのフィルムを得た。この白色積層ポリエステルフィルムの特性は表2のとおりであり、クッション性、感度に優れ、かつカールもしにくかった。
【0082】
実施例8
実施例1において押出機(A)に送る原料のPETチップをポリエステル層(A)の全重量の99.9重量%、平均粒子径1.5μmの二酸化珪素微粒子がマスターチップの2重量%コンパウンドされた微粒子マスターチップを、二酸化珪素微粒子が0.1重量%になるように添加した組成物とした他は実施例1と同様の手法で厚み188μmのフィルムを得た。この白色積層ポリエステルフィルムの特性は表2のとおりであり、クッション性、感度に非常に優れており、カールもしにくかった。
【0083】
実施例9
実施例1において押出機(B)に送る原料のPETチップをポリエステル層(B)の全重量の重量70重量%、PMPを15重量%、熱可塑性ポリエステルエラストマーとしてポリブチレンテレフタレート(以降PBTと省略する)とポリテトラメチレングリコール(以降PTMGと省略する)の共重合物(融点170℃)を15重量%となるように添加した組成物とした他は、実施例1と同様の手法で厚み188μmのフィルムを得た。この白色積層ポリエステルフィルムの特性は表2のとおりであり、クッション性、感度に優れており、かつカールしにくかった。
【0084】
実施例10
押出機(B)に送る原料組成物を組成物全体を100重量%としてPETチップ50重量%、PMPを40重量%、PETにイソフタル酸を10mol%とPEGを5mol%共重合した共重合体を7重量%、同じく熱可塑性ポリエステルエラストマーであるPBTとPTMGの共重合物を3重量%添加した組成物とした他は、実施例1と同様の手法で厚み188μmのフィルムを得た。この白色積層ポリエステルフィルムの特性は表2のとおりであり、クッション性、感度は高くカール性にも優れていた。
【0085】
比較例1
実施例1において押出機(B)に送る原料組成物を組成物全体を100重量%としてPETチップ89重量%、PMPを5重量%添加、さらに熱可塑性ポリエステルエラストマーとしてPETにイソフタル酸を10mol%とPEGを5mol%共重合した共重合体を0.5重量%、同じく熱可塑性ポリエステルエラストマーであるPBTとPTMGの共重合物を0.5重量%となるように添加した他は、実施例1と同様の手法で厚み188μmのフィルムを得た。この白色積層ポリエステルフィルムの特性は表2のとおりであり、PMP、熱可塑性ポリエステルエラストマー添加量が少ないためクッション性、感度が良好ではなかった。またカール性は実用不可能レベルであった。
【0086】
比較例2
実施例1において押出機(B)に送る原料組成物を組成物全体を100重量%としてPETチップ94重量%にPMPを5重量%添加、さらに熱可塑性ポリエステルエラストマーとしてPETにイソフタル酸を10mol%とPEGを5mol%共重合した共重合体を0.5重量%、同じく熱可塑性ポリエステルエラストマーであるPBTとPTMGの共重合物を0.5重量%となるように添加した組成物とした他は、実施例1と同様の手法で厚み188μmのフィルムを得た。この白色積層ポリエステルフィルムの特性は表2のとおりでPMP添加量が少量のためクッション性に欠けたため印刷抜けが見られ感度は実用不可能であった。またカール性も低かった。
【0087】
比較例3
実施例1において押出機(B)に送る原料組成物に対してPMPおよび熱可塑性ポリエステルエラストマーを添加しなかった他は実施例1と同様の手法で厚み188μmのフィルムを得た。この白色積層ポリエステルフィルムの特性は表2のとおりであり、PMPを添加していないためクッション性、感度が非常に低く実用不可能であった。カール性も優れていなかった。
【0088】
比較例4
比較例1において押出機(A)に送る原料組成物全体を100重量%として、PETチップに、平均粒子径0.3μmのアナターゼ型酸化チタン微粒子がマスターチップの15重量%コンパウンドされた微粒子マスターチップを、アナターゼ型酸化チタン微粒子がポリエステル層(A)の全重量の5重量%となるように添加した組成物とした他は、比較例1と同様の手法で厚み188μmのフィルムを得た。この白色積層ポリエステルフィルムの特性は表2のとおりであり、クッション性に優れていたもののマスター濃度を下げたことにより粗大粒子が表層に発生したため、印刷抜けが多く見られ感度が悪く実用不可能であった。
【0089】
比較例5
比較例1において押出機(A)に送る原料組成物全体を100重量%としてPETチップ95重量%、平均粒子径0.2μmのアナターゼ型酸化チタン微粒子マスターチップ5重量%を、希釈せずに添加した組成物とした他は、比較例1と同様の手法で厚み188μmのフィルムを得た。この白色積層ポリエステルフィルムの特性は表2のとおりであり、マスター濃度を下げたことにより粗大粒子が表層に発生したため、印刷抜けが多く見られ実用不可能であった。
【0090】
比較例6
実施例1において押出機(B)に送る原料組成物を組成物全体を100重量%としてPETチップ55重量%、PMPを15重量%添加、さらに熱可塑性ポリエステルエラストマーとしてPETにイソフタル酸を10mol%とPEGを5mol%共重合した共重合物を20重量%、同じく熱可塑性ポリエステルエラストマーであるPBTとPTMGの共重合物を10重量%添加した組成物とした他は、実施例1と同様の手法で厚み188μmのフィルムを得た。この白色積層ポリエステルフィルムの特性は表2のとおりであり、熱可塑性ポリエステルエラストマーの添加量が多いためにフィルム母体本体の特性を損なってしまったため感度は実用不可能であった。
【0091】
比較例7
比較例2において押出機(A)に送る原料組成物全体を100重量%としてPETチップ85重量%に、平均粒子径0.95μmの炭酸カルシウム微粒子がマスターチップの50重量%コンパウンドされた微粒子マスターチップを、炭酸カルシウム微粒子がポリエステル層(A)の全重量の15重量%になるように希釈されるように添加した組成物とした他は比較例2と同様の手法で厚み188μmのフィルムを得た。この白色積層ポリエステルフィルムの特性は表2のとおりでPMP添加量が少量のためクッション性に欠けたため印刷抜けが見られ感度は実用不可能であった。またカール性にも優れていなかった。
【0092】
比較例8
比較例1において押出機(A)に送る原料組成物全体を100重量%としてPETチップ85重量%に、平均粒子径0.95μmの炭酸カルシウム微粒子がマスターチップの50重量%コンパウンドされた微粒子マスターチップを、炭酸カルシウム微粒子がポリエステル層(A)の全重量の15重量%になるように添加した組成物とした他は比較例1と同様の手法で厚み188μmのフィルムを得た。この白色積層ポリエステルフィルムの特性は表2のとおりであり、PMP、熱可塑性ポリエステルエラストマー添加量が少ないためクッション性、感度は良好ではなかった。またカール性にも優れていなかった。
【0093】
【表1】

【0094】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともポリエステル層(A)とポリエステル層(B)とを用いて成り、
該ポリエステル層(A)が平均粒径0.01〜3μmの無機粒子を含有し、
かつ該ポリエステル層(A)表面の200μm以上の突起が20個/m以下であり、
ポリエステル層(B)が前記ポリエステル(B)層総重量に対してポリエステルと非相溶の樹脂を11〜40重量%含有し、
融点160℃〜230℃の範囲にある熱可塑性ポリエステルエラストマーを2〜25重量%含有する
白色積層ポリエステルフィルム。
【請求項2】
前記ポリエステルと非相溶な樹脂がポリメチルペンテンである請求項1記載の白色積層ポリエステルフィルム。
【請求項3】
前記熱可塑性ポリエステルエラストマーがポリ(アルキレンオキシド)グリコールをソフトセグメントとするポリエステルブロック共重合体である請求項1または2記載の白色積層ポリエステルフィルム。
【請求項4】
フィルム総厚みが150μm以上500μm以下の請求項1〜3のいずれか記載の白色積層ポリエステルフィルム。
【請求項5】
前記ポリエステル(B)層総重量に対して熱可塑性ポリエステルエラストマーを11〜25重量%含有する請求項1〜4のいずれか記載の白色積層ポリエステルフィルム。
【請求項6】
白色積層ポリエステルフィルムのいずれかの面から測定した光沢度が50〜130%である請求項1記載の白色積層ポリエステルフィルム。
【請求項7】
受容シート材として用いられる請求項1〜6のいずれかに記載の白色積層ポリエステルフィルム。

【公開番号】特開2007−203567(P2007−203567A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−24190(P2006−24190)
【出願日】平成18年2月1日(2006.2.1)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】