皮膚の顔料を入れた部分から顔料を除去するための装置および方法
皮膚の顔料を入れた部分を除去するための装置は、a)皮膚穿刺装置と、b)上記顔料を入れた部分の皮膚を穿刺するために上記装置に接続された1本以上の針のアレイと、c)上記装置および吸引手段に装着された仲介部材であって、上記吸引手段が、皮膚の上記穿刺された部分で顔料と細胞液との混合物を収集するのを可能にするための部材と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔料除去の分野に関する。より詳細には、本発明は、皮膚の顔料を入れた部分、特に、入れ墨を除去するための装置および方法に関する。
【発明の背景】
【0002】
入れ墨は、皮膚内に墨を注入することによって形成される。今日、大半の場合には、墨の注入は、装置(今後は「皮膚穿刺装置」と称される)に装着された1本以上の硬い針によって行われる。皮膚穿刺装置は、手持ち式の装置であることが好ましいが、それに限定されない。皮膚穿刺装置は、ミシンの針の動きに類似して、針を装置の長手方向軸に沿って動かす。普通、皮膚穿刺装置は、1分間に数振動という速度で針を動かす(例えば、針は、1分当たり50〜3,000回の速度で皮膚を穿刺してもよい)。針が皮膚内に穿通する前に、針は、顔料(例えば墨)を含む適切な溶液に浸され、次いでこの溶液は、皮膚穿刺装置の適切なチューブシステムを通して吸引される。溶液を受け取った後に、皮膚穿刺装置を使用して皮膚の表層を穿刺し、墨の不溶性のマイクロメートルサイズの粒子を、皮膚の皮相(すなわち真皮)内に、好ましくは、約1ミリメートルの深さに注入する。結果として、墨は表皮には位置せず、真皮の細胞に浸透する。真皮の細胞は比較的固定されるため、入れ墨の墨は真皮にとどまり、それによって、永久に皮膚に入れ墨を施したままにする。
【0003】
様々な理由のため、皮膚から入れ墨(または他の顔料)を除去したいと望む人がいる。しかし、入れ墨は、真皮の細胞の一体部分になるため、これを除去することは容易な作業ではない。先行技術において、入れ墨を除去するいくつかの方法が提案されているが、それは、普通、侵襲性である。手術を必要とする方法さえあり、また、痛みを伴うこともある。そのような公知の方法は:
・皮膚剥離、すなわち、皮膚に「やすりをかけ」(すなわち、薄く削り)、入れ墨を含む表面を除去する;
・凍結手術、すなわち、除去する前に、入れ墨が位置する区域を凍結する;
・切除術、すなわち、皮膚外科医が外科用メスで入れ墨を除去し、縫合で傷を閉じる(大きな入れ墨に関与する場合には、身体の別の部分から皮膚移植が必要なこともある);である。
【0004】
しかし、このような入れ墨除去方法は、痛みを伴い、また、傷跡を残すこともある。
【0005】
入れ墨を除去する他の方法は、レーザを使用する。レーザは、上述の方法に対して無血の代替案を提供し、また、副作用が少ないものもある。各除去手順は、単一の処置で行われるか、または、一連の処置で行われる。患者は、表面麻酔または局所麻酔を必要とすることもあり、しないこともある。レーザは、短いパルスの強い光を生成することによって入れ墨を除去し、これは、皮膚の表層を通り、次いで、入れ墨の顔料によって選択的に吸収される。このレーザエネルギは、入れ墨の顔料をより小さな粒子に寸断し、これは次いで身体の免疫システムによって除去される。しかし、依然として、レーザを使用することは傷跡を残すことがあるという可能性が存在する。さらに、レーザでは、黄色および緑の顔料を除去することは困難である。そのような色はレーザ光を選択的に吸収し、顔料の色に基づいて選択されたレーザによって処理されることができるだけである。さらに、レーザ法には副作用があり、過剰色素沈着を発生させ、すなわち、処置部位で皮膚の色が濃くなることがあり、且つ、処置した区域が通常の皮膚の色を欠く色素沈着不足を発生させることがある。
【0006】
加えて、上記方法の各々を使用する入れ墨除去は、時間がかかり高価である。
【0007】
上述のすべての方法は依然として、簡単な手段で皮膚の顔料を入れた部分を除去するという問題に、満足のいく解決を与えていない。
【0008】
本発明の目的は、先行技術の欠点を克服しながら、皮膚の顔料を入れた部分を除去するための方法を提供することである。
【0009】
本発明の別の目的は、比較的低コストで、皮膚の顔料を入れた部分を除去するための方法を提供することである。
【0010】
本発明の別の目的および利点は、記述が進むにつれて明らかになる。
【発明の概要】
【0011】
本発明は、皮膚の顔料を入れた部分を除去するための装置に関し、これは、(a)皮膚穿刺装置と、(b)上記顔料を入れた部分の皮膚を穿刺するために上記装置に接続された1本以上の針のアレイと、(c)上記装置および吸引手段に装着された仲介システムであって、上記吸引手段が、皮膚の上記穿刺された部分で顔料と細胞液との混合物を収集するのを可能にするためのものであり、部材は、皮膚の上記穿刺された部分より上に本質的に分離された区域を形成することができ、これは、穿刺するために且つその区域を吸引するために適切である仲介システムと、を備える。
【0012】
本発明の好ましい実施形態にしたがって、仲介システムは、1つ以上の開口を有する仲介部材を備え、その開口を通って吸引手段が、顔料と細胞液との混合物を、および場合によって、外部から注入された材料を収集する。
【0013】
本発明の好ましい実施形態にしたがって、仲介部材は、穿刺された皮膚へ清浄材料を加えるために、それを清浄材料源へ装着するための手段をさらに備え、それによって、皮膚の顔料を入れた部分から顔料を除去する間に、穿刺された区域を清浄にする。好ましくは、仲介部材を清浄材料源へ装着するための手段は、1つ以上の開口であり、それを通って、清浄材料源が、穿刺された皮膚へ清浄材料を送出する。
【0014】
好ましくは、仲介システムは、仲介部材の開口が針のアレイの鋭い縁に隣接して位置するようなやり方で、皮膚穿刺装置に装着される。
【0015】
本発明の別の好ましい実施形態にしたがって、1本以上の針は中空である。中空針には、穿刺された皮膚へ清浄材料を加えるために清浄材料源へ接続されるのに適切な開口が設けられ、それによって、皮膚の顔料を入れた部分の除去中に、穿刺された区域を清浄にする。清浄材料はまた、添加剤、1つ以上の防腐剤、および/または、消毒剤から構成されてもよく、または、それらを含んでもよい。
【0016】
好ましくは、清浄材料は、流体か、圧力下の空気か、または、流体および空気圧力の組み合わせ、である。
【0017】
好ましくは、仲介部材は、1つ以上のねじで穿刺装置に装着される。
【0018】
本発明の好ましい実施形態にしたがって、皮膚穿刺装置は、入れ墨を形成するための電気装置(すなわち、入れ墨入れマシン)である。
【0019】
本発明はさらに、皮膚の顔料を入れた部分を除去するための方法に関し、これは、a)1本以上の針および吸引手段を含む皮膚穿刺装置を提供するステップと、b)上記皮膚穿刺装置が墨を含まない間に上記針で上記顔料を入れた部分の皮膚を穿刺し、皮膚の上記穿刺された部分で顔料と細胞液との混合物を(上記吸引手段で)吸引するステップと、c)場合によって、上記混合物から水分を吸収することができる1つ以上の材料を含むパッドを提供するステップと、d)上記パッドで上記穿刺された皮膚を包帯し、それによって、上記部分の顔料の残留物をその場所から皮膚の外側層へ向けて移動させるステップと、を備える。
【0020】
本発明の好ましい実施形態にしたがって、方法は、皮膚の穿刺された部分に、その部分を清浄にするために、流体を加える(例えば、スプレーする)ステップをさらに備える。
【0021】
本発明の好ましい実施形態にしたがって、方法は、感染防止のために、1つ以上の防腐剤を含むパッドで、穿刺された皮膚を包帯するステップをさらに備える。
【0022】
本発明の好ましい実施形態にしたがって、顔料に加えられる材料は、生理食塩水である。
【0023】
本発明の上記および他の特徴および利点は、添付の図面を参照して、好ましい実施形態の下記の例示的な且つ非限定的な詳細な説明を通して良好に理解される。
【好ましい実施形態の詳細な説明】
【0024】
上述のように、本発明は、皮膚の顔料を入れた部分の皮膚を穿刺することによって、且つ、同時に、皮膚の穿刺された部分で顔料と細胞液との混合物(外部から加えられた流体とともに、または、それなしで)を吸引することによって、皮膚の顔料を入れた部分を除去するための装置に関する。
【0025】
図1および2は、本発明の好ましい実施形態にしたがって、皮膚の顔料を入れた部分を除去するための装置10を概略的に例示する。装置10は、顔料を入れた部分の皮膚を穿刺するために1本以上の針11(図面ではその先端が見られる)のアレイと、仲介システム14と、を備える。
【0026】
装置10は、典型的な入れ墨入れマシン(すなわち、皮膚穿刺装置)等の、針11を振動させる装置に装着されたときに作用する。針11は、入れ墨入れの分野の当業者にはよく知られたいずれの適切な装置によって、皮膚穿刺装置に装着されることができ、本願では簡略化のために詳述されないが、例えばロッド15(図2)によってであり、これは、皮膚穿刺装置に接続されるのに適切である典型的な接続手段16を有し、他方の端に針11のアレイが設けられる。
【0027】
仲介システム14は、皮膚穿刺装置および吸引手段に装着される。仲介システム14は、チューブ21および仲介部材17を備える。仲介部材17は、吸引手段が、皮膚の穿刺された部分で顔料と細胞液との混合物を収集するのを可能にするために使用され、部材17は、皮膚の穿刺された部分より上に、本質的に封止されたキャビティを形成することができる。
【0028】
仲介部材17は、開口22等の1つ以上の開口を有し、それを通って、吸引手段は、顔料と細胞液との混合物を収集する。仲介システム14のチューブ21は、システム14を皮膚穿刺装置30(図3)へ接続するために使用され、これを使用して針を作動する。チューブ21には、図2(a)に示されるように、1つ以上の開口18が設けられる。部材17は、開口18に隣接して(例えば、1つ以上のねじによって)チューブ21に装着される。
【0029】
本発明の好ましい実施形態にしたがって、針11のアレイは、システム14のチューブ21内に挿入され、したがって、チューブ21の開口18および部材14の開口22は、針11の縁に隣接して位置する。
【0030】
好ましくは、部材17の開口22は、吸引操作を実行するために、吸引手段(図示せず)の細管12aおよび12bに接続されるのに適している。チューブ21はまた、システム14を皮膚穿刺装置30(図3)へ装着するための締結手段も備える。締結手段は、ねじ20およびリング19であることが好ましいが、それに限定されない。当然ながら、締結手段は、いずれの適切な手段であってもよく、それは、当業者の範囲内で十分ある。
【0031】
本発明の好ましい実施形態にしたがって、部材17には、細管13aおよび13bに接続されるのに適している追加開口23がさらに設けられ、次に1つ以上の清浄材料源(図示せず)に接続される。清浄材料を使用して、穿刺された皮膚に清浄材料を加える(スプレーする)ことによって、除去処理中に、血液、細胞液および顔料の残留物から皮膚の穿刺された区域を清浄にし、それによって、皮膚の顔料を入れた部分の除去中に穿刺された区域を清浄にする。例えば、清浄材料は、圧力下の空気か、水か、または、穿刺された人体にスプレーするのに適切である他の流体であってもよい。当然ながら、清浄材料は、2つ以上の材料の組み合わせであってもよく、例えば、空気圧力および水である。
【0032】
本発明の別の好ましい実施形態にしたがって、1本以上の針は中空である。各中空針は、穿刺された皮膚へ清浄材料をスプレーするために清浄材料源へ接続されるのに適切な1つ以上の開口を有し、それによって、皮膚の顔料を入れた部分の除去中に、穿刺された区域を清浄にするか、または、それをその中に注入するためのものである。例えば、清浄材料は、各中空針に沿ってキャビティを通って皮膚にスプレーされることができる。
【0033】
本発明の装置10を使用することによって、皮膚の顔料を入れた部分を除去することは、下記のように達成することができる。
・装置10を皮膚穿刺装置へ装着し、
・皮膚穿刺装置が墨を含まない間に、上記顔料を入れた部分で針11で皮膚を穿刺し、
・上述のように、上記皮膚の穿刺された部分で、顔料と細胞液との混合物(および、場合によって、いずれの外部から加えられた流体)を、吸引手段で吸引する。
【0034】
場合によって、顔料を入れた部分で皮膚の穿刺を完了し且つ吸引操作を完了した後に、皮膚の処置された部分は、次いで、適切な吸着パッドで包帯することができる。パッドは、例えば生理食塩水等の、1つ以上の材料を含まなければならず、これは、穿刺された部分で、顔料の残留物を移動させ、皮膚の外側層内に吸収させる。パッドは、入れ墨墨および細胞液の混合物から水分を吸収することができる吸着性パッドであることが好ましいが、それに限定されない。当然ながら、穿刺された部分の顔料を移動させ皮膚の外側層内に吸収させる材料は、溶液、固体材料、または、溶液と固体材料との両方の組み合わせの形態であってもよい。
【0035】
好ましくは、区域の穿刺後に、感染症を防止する処置を、その区域の皮膚に施さなければならない。当然ながら、吸着性パッドは、1つ以上の防腐剤、例えば、塩化ベンザルコニウム系クリーム(例えば、Bepanthen)、スルファジアジン銀系クリーム(例えば、Silverol)等を含んでもよい。そのような防腐剤はまた、別個に加えられてもよい。例えば、吸着性パッドまたは他の個別パッドは、当該技術分野で公知のペーストおよび/またはクリーム、例えば、Vitamerfen、Bepanthen、Silverol等を含んでもよい。あるいは、防腐剤系クリームは、処置された区域に直接加えられて、パッドで覆われてもよい。
【0036】
皮膚穿刺装置は、本発明の装置10が設けられた、入れ墨を形成するための典型的な電気装置であることが好ましいが、それに限定されない。
【0037】
本発明の好ましい実施形態にしたがって、装置10は、入れ墨を形成するために使用されるもの等の1本以上の針11を含む。好ましくは、装置10を皮膚穿刺装置に装着した後に、ユーザはこの装置を、入れ墨を形成するために操作するのと同じようなやり方で操作してもよいが、墨は使用しない。任意で、墨の代わりに顔料を含まない水性溶液または他の材料を使用してもよく(すなわち、穿刺された区域に注入される)、それによって、顔料はさらに稀釈されてもよく、より容易に吸引されてもよい。
【0038】
典型的な穿刺装置において、針11の皮膚内への穿通深さは調整可能である。針11は、皮膚の皮下層を越えて穿通せず、したがって、本発明の装置10を使用しながら皮膚へのさらなる損傷が形成されないことが好ましいが、限定はされない。
【0039】
本発明は、典型的に、いずれの既存の入れ墨入れ装置、例えば、イタリアのLauro Paolini社によって製造されるもの等とともに使用されることができる。例えば、図3は、皮膚の顔料を入れた部分を除去するために、図1の装置10が設けられた典型的な入れ墨入れ装置30を概略的に例示する。参照符号118は、吸引手段(図示せず)への接続を示す。
【0040】
図4は、本発明の特定の実施形態にしたがった、ロッド15の実際の寸法の例を示す。すべての寸法は、ミリメートルで与えられる。
【0041】
図5は、手段17の流体の処理のために特定の配列を概略的に示す。SLは、ポートを示し、それを通って細胞液が吸引によって除去されることができる。追加流体(例えば、温かい生理食塩水または滅菌水)が使用される場合には、この特定の実施形態では、ポートFIを経由して供給され、次いで、ポートFOを経由して処置区域から残滓と一緒に除去される。
【0042】
図6は、仲介要素17用のヘッドを概略的に示し、それを通って針11は、直径約5mmの開口を経由して作用する(図示せず)。ヘッドの全体長さは、この実施形態では、わずか25mmである。したがって、本発明による典型的な装置の寸法が小さいことは、図面に提供された示された寸法を通して認識することができる。
【0043】
図7は、本発明の別の好ましい実施形態にしたがって作られた、皮膚の顔料を入れた部分から顔料を除去するための装置100を概略的に示す。装置100は、皮膚を穿刺するための1本以上の針101のアレイと、針101のアレイが接続されるロッド106と、顔料と細胞液との混合物を排出するための第1のドレナージ102と、余分な流体を排出するための第2のドレナージ103と、水または穿刺された人体にスプレーするのに適切である別の流体等の清浄材料を供給するために外部装置に接続するのを可能にするための仲介部111と、を備える。
【0044】
図8は、本発明の1つの好ましい実施形態にしたがった、装置100の様々な構成要素を概略的に例示する。この図面は、装置100の4つの異なる構成要素を示す。構成要素(a)は、ロッド106であり、これには、一方の端に針101のアレイが設けられ、他方の端には、振動ユニット(例えば、図10の入れ墨入れガン113)へ装置100を接続するためのフック105が設けられる。構成要素(b)は、第2のドレナージ103を備え、中空円筒形本体113へ接続されており、それを通ってロッド106が挿入され、これを使用して、除去操作中に動かすか振動させる。構成要素(c)は、仲介部111である。仲介部11は、流体または清浄材料を装置100内に導くためのチューブ104と、清浄材料の外部源を装置100へ接続するための締結手段100と、を備える。図9(c)が、仲介部111の斜視図である。構成要素(d)は、円錐要素107であり、これは、針101を収容する。円錐要素107はまた、第1のドレナージ102を備える。構成要素(b)、(c)および(d)は互いに接続され、一方、構成要素(a)は、構成要素(b)〜(d)内に挿入される。図9(a)は、円錐要素107内の挿入位置にあるロッド106を示す。
【0045】
図9(b)は、円錐要素107の概略上面図である。この図面は、清浄材料を針101のアレイへ向けて導くために使用されるチャネル114を示す。
【0046】
図10は、典型的な入れ墨入れガン113に装着された装置110を概略的に示す。
【0047】
図11は、細胞液と顔料との混合物が広がるのを抑制するために使用される境界要素114を概略的に示す。要素114は、広がる区域を抑制するための境界リング116と、混合物を排出するためのチューブ115と、を備える。リング116には穴117が設けられ、それを通って混合物がチューブ115内に吸引される。チューブ115は、穿刺された区域から混合物を排出するための外部吸引手段に接続されることができる。開口118は、吸引装置への接続である。
【0048】
図12〜14は、本発明のさらに別の好ましい実施形態にしたがった装置を概略的に例示する。図12は、図4に示された種類の針のアレイを示し、その中で、針は、ピストン状部材120に接続され、これは、図13を参照してさらに説明されるように、シリンダ(図示せず)内で作用する。
【0049】
図13において、要素15は破線で示され、ピストン状部材120および針11を備え、シリンダ121内の挿入位置にある。シリンダ121には、操作が行われる区域に加えられるべき清浄な流体用の入口122と、それから除去すべき残滓および溶解した顔料用の出口123と、が設けられる。シリンダ121内で変位したピストン状部材120によって生成された真空が、吸引作用を生成し、当業者には明らかであるように、これは、流体をシリンダから排水させる。図14に示された位置で、ピストン状部材120は開口123を閉じる。その段階で、針の回りの空の空間が、清浄な液体で満たされ、ピストン様要素が上方へ変位されるときに、流体は吸引される。ピストン様要素の下に位置する針の群は、異なる数の針を含むことができる。ピストン様要素は、真空の形成のためと、処置される区域内への液体の流入と、の両方に責任がある。
【0050】
上記の例および説明は、当然ながら、例示目的のみのために提供されているものであり、本発明をいずれにも限定する意図はない。当業者によって認識されるように、本発明は、上記に記載されたものから2つ以上の技術を使用して、非常に変化に富んだやり方で実行することができ、すべてが、本発明の範囲を超えない。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の好ましい実施形態にしたがって、皮膚の顔料を入れた部分を除去するための装置を例示する概略図である。
【図2】図1の装置の構成要素を例示する概略図である。
【図3】図1の装置が設けられた皮膚穿刺装置を例示する概略図である。
【図4】針のアレイの実際の寸法を示す図である。
【図5】本発明の代替の好ましい実施形態にしたがった仲介部材を例示する概略図である。
【図6】本発明の好ましい実施形態にしたがった装置の先端の実際の寸法を示す図である。
【図7】本発明の別の好ましい実施形態にしたがって作られた、皮膚の顔料を入れた部分から顔料を除去するための装置を示す概略図である。
【図8】図7の装置の様々な構成要素を例示する概略図である。
【図9】図7の装置のいくつかの要素を示す斜視図である。
【図10】典型的な入れ墨入れガンに装着されたときに作業位置にある図7の装置を示す概略図である。
【図11】細胞液と顔料との混合物が広がるのを限定するために使用される境界要素を示す概略図である。
【図12】本発明のさらに別の好ましい実施形態にしたがった装置を例示する概略図である。
【図13】本発明のさらに別の好ましい実施形態にしたがった装置を例示する概略図である。
【図14】本発明のさらに別の好ましい実施形態にしたがった装置を例示する概略図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔料除去の分野に関する。より詳細には、本発明は、皮膚の顔料を入れた部分、特に、入れ墨を除去するための装置および方法に関する。
【発明の背景】
【0002】
入れ墨は、皮膚内に墨を注入することによって形成される。今日、大半の場合には、墨の注入は、装置(今後は「皮膚穿刺装置」と称される)に装着された1本以上の硬い針によって行われる。皮膚穿刺装置は、手持ち式の装置であることが好ましいが、それに限定されない。皮膚穿刺装置は、ミシンの針の動きに類似して、針を装置の長手方向軸に沿って動かす。普通、皮膚穿刺装置は、1分間に数振動という速度で針を動かす(例えば、針は、1分当たり50〜3,000回の速度で皮膚を穿刺してもよい)。針が皮膚内に穿通する前に、針は、顔料(例えば墨)を含む適切な溶液に浸され、次いでこの溶液は、皮膚穿刺装置の適切なチューブシステムを通して吸引される。溶液を受け取った後に、皮膚穿刺装置を使用して皮膚の表層を穿刺し、墨の不溶性のマイクロメートルサイズの粒子を、皮膚の皮相(すなわち真皮)内に、好ましくは、約1ミリメートルの深さに注入する。結果として、墨は表皮には位置せず、真皮の細胞に浸透する。真皮の細胞は比較的固定されるため、入れ墨の墨は真皮にとどまり、それによって、永久に皮膚に入れ墨を施したままにする。
【0003】
様々な理由のため、皮膚から入れ墨(または他の顔料)を除去したいと望む人がいる。しかし、入れ墨は、真皮の細胞の一体部分になるため、これを除去することは容易な作業ではない。先行技術において、入れ墨を除去するいくつかの方法が提案されているが、それは、普通、侵襲性である。手術を必要とする方法さえあり、また、痛みを伴うこともある。そのような公知の方法は:
・皮膚剥離、すなわち、皮膚に「やすりをかけ」(すなわち、薄く削り)、入れ墨を含む表面を除去する;
・凍結手術、すなわち、除去する前に、入れ墨が位置する区域を凍結する;
・切除術、すなわち、皮膚外科医が外科用メスで入れ墨を除去し、縫合で傷を閉じる(大きな入れ墨に関与する場合には、身体の別の部分から皮膚移植が必要なこともある);である。
【0004】
しかし、このような入れ墨除去方法は、痛みを伴い、また、傷跡を残すこともある。
【0005】
入れ墨を除去する他の方法は、レーザを使用する。レーザは、上述の方法に対して無血の代替案を提供し、また、副作用が少ないものもある。各除去手順は、単一の処置で行われるか、または、一連の処置で行われる。患者は、表面麻酔または局所麻酔を必要とすることもあり、しないこともある。レーザは、短いパルスの強い光を生成することによって入れ墨を除去し、これは、皮膚の表層を通り、次いで、入れ墨の顔料によって選択的に吸収される。このレーザエネルギは、入れ墨の顔料をより小さな粒子に寸断し、これは次いで身体の免疫システムによって除去される。しかし、依然として、レーザを使用することは傷跡を残すことがあるという可能性が存在する。さらに、レーザでは、黄色および緑の顔料を除去することは困難である。そのような色はレーザ光を選択的に吸収し、顔料の色に基づいて選択されたレーザによって処理されることができるだけである。さらに、レーザ法には副作用があり、過剰色素沈着を発生させ、すなわち、処置部位で皮膚の色が濃くなることがあり、且つ、処置した区域が通常の皮膚の色を欠く色素沈着不足を発生させることがある。
【0006】
加えて、上記方法の各々を使用する入れ墨除去は、時間がかかり高価である。
【0007】
上述のすべての方法は依然として、簡単な手段で皮膚の顔料を入れた部分を除去するという問題に、満足のいく解決を与えていない。
【0008】
本発明の目的は、先行技術の欠点を克服しながら、皮膚の顔料を入れた部分を除去するための方法を提供することである。
【0009】
本発明の別の目的は、比較的低コストで、皮膚の顔料を入れた部分を除去するための方法を提供することである。
【0010】
本発明の別の目的および利点は、記述が進むにつれて明らかになる。
【発明の概要】
【0011】
本発明は、皮膚の顔料を入れた部分を除去するための装置に関し、これは、(a)皮膚穿刺装置と、(b)上記顔料を入れた部分の皮膚を穿刺するために上記装置に接続された1本以上の針のアレイと、(c)上記装置および吸引手段に装着された仲介システムであって、上記吸引手段が、皮膚の上記穿刺された部分で顔料と細胞液との混合物を収集するのを可能にするためのものであり、部材は、皮膚の上記穿刺された部分より上に本質的に分離された区域を形成することができ、これは、穿刺するために且つその区域を吸引するために適切である仲介システムと、を備える。
【0012】
本発明の好ましい実施形態にしたがって、仲介システムは、1つ以上の開口を有する仲介部材を備え、その開口を通って吸引手段が、顔料と細胞液との混合物を、および場合によって、外部から注入された材料を収集する。
【0013】
本発明の好ましい実施形態にしたがって、仲介部材は、穿刺された皮膚へ清浄材料を加えるために、それを清浄材料源へ装着するための手段をさらに備え、それによって、皮膚の顔料を入れた部分から顔料を除去する間に、穿刺された区域を清浄にする。好ましくは、仲介部材を清浄材料源へ装着するための手段は、1つ以上の開口であり、それを通って、清浄材料源が、穿刺された皮膚へ清浄材料を送出する。
【0014】
好ましくは、仲介システムは、仲介部材の開口が針のアレイの鋭い縁に隣接して位置するようなやり方で、皮膚穿刺装置に装着される。
【0015】
本発明の別の好ましい実施形態にしたがって、1本以上の針は中空である。中空針には、穿刺された皮膚へ清浄材料を加えるために清浄材料源へ接続されるのに適切な開口が設けられ、それによって、皮膚の顔料を入れた部分の除去中に、穿刺された区域を清浄にする。清浄材料はまた、添加剤、1つ以上の防腐剤、および/または、消毒剤から構成されてもよく、または、それらを含んでもよい。
【0016】
好ましくは、清浄材料は、流体か、圧力下の空気か、または、流体および空気圧力の組み合わせ、である。
【0017】
好ましくは、仲介部材は、1つ以上のねじで穿刺装置に装着される。
【0018】
本発明の好ましい実施形態にしたがって、皮膚穿刺装置は、入れ墨を形成するための電気装置(すなわち、入れ墨入れマシン)である。
【0019】
本発明はさらに、皮膚の顔料を入れた部分を除去するための方法に関し、これは、a)1本以上の針および吸引手段を含む皮膚穿刺装置を提供するステップと、b)上記皮膚穿刺装置が墨を含まない間に上記針で上記顔料を入れた部分の皮膚を穿刺し、皮膚の上記穿刺された部分で顔料と細胞液との混合物を(上記吸引手段で)吸引するステップと、c)場合によって、上記混合物から水分を吸収することができる1つ以上の材料を含むパッドを提供するステップと、d)上記パッドで上記穿刺された皮膚を包帯し、それによって、上記部分の顔料の残留物をその場所から皮膚の外側層へ向けて移動させるステップと、を備える。
【0020】
本発明の好ましい実施形態にしたがって、方法は、皮膚の穿刺された部分に、その部分を清浄にするために、流体を加える(例えば、スプレーする)ステップをさらに備える。
【0021】
本発明の好ましい実施形態にしたがって、方法は、感染防止のために、1つ以上の防腐剤を含むパッドで、穿刺された皮膚を包帯するステップをさらに備える。
【0022】
本発明の好ましい実施形態にしたがって、顔料に加えられる材料は、生理食塩水である。
【0023】
本発明の上記および他の特徴および利点は、添付の図面を参照して、好ましい実施形態の下記の例示的な且つ非限定的な詳細な説明を通して良好に理解される。
【好ましい実施形態の詳細な説明】
【0024】
上述のように、本発明は、皮膚の顔料を入れた部分の皮膚を穿刺することによって、且つ、同時に、皮膚の穿刺された部分で顔料と細胞液との混合物(外部から加えられた流体とともに、または、それなしで)を吸引することによって、皮膚の顔料を入れた部分を除去するための装置に関する。
【0025】
図1および2は、本発明の好ましい実施形態にしたがって、皮膚の顔料を入れた部分を除去するための装置10を概略的に例示する。装置10は、顔料を入れた部分の皮膚を穿刺するために1本以上の針11(図面ではその先端が見られる)のアレイと、仲介システム14と、を備える。
【0026】
装置10は、典型的な入れ墨入れマシン(すなわち、皮膚穿刺装置)等の、針11を振動させる装置に装着されたときに作用する。針11は、入れ墨入れの分野の当業者にはよく知られたいずれの適切な装置によって、皮膚穿刺装置に装着されることができ、本願では簡略化のために詳述されないが、例えばロッド15(図2)によってであり、これは、皮膚穿刺装置に接続されるのに適切である典型的な接続手段16を有し、他方の端に針11のアレイが設けられる。
【0027】
仲介システム14は、皮膚穿刺装置および吸引手段に装着される。仲介システム14は、チューブ21および仲介部材17を備える。仲介部材17は、吸引手段が、皮膚の穿刺された部分で顔料と細胞液との混合物を収集するのを可能にするために使用され、部材17は、皮膚の穿刺された部分より上に、本質的に封止されたキャビティを形成することができる。
【0028】
仲介部材17は、開口22等の1つ以上の開口を有し、それを通って、吸引手段は、顔料と細胞液との混合物を収集する。仲介システム14のチューブ21は、システム14を皮膚穿刺装置30(図3)へ接続するために使用され、これを使用して針を作動する。チューブ21には、図2(a)に示されるように、1つ以上の開口18が設けられる。部材17は、開口18に隣接して(例えば、1つ以上のねじによって)チューブ21に装着される。
【0029】
本発明の好ましい実施形態にしたがって、針11のアレイは、システム14のチューブ21内に挿入され、したがって、チューブ21の開口18および部材14の開口22は、針11の縁に隣接して位置する。
【0030】
好ましくは、部材17の開口22は、吸引操作を実行するために、吸引手段(図示せず)の細管12aおよび12bに接続されるのに適している。チューブ21はまた、システム14を皮膚穿刺装置30(図3)へ装着するための締結手段も備える。締結手段は、ねじ20およびリング19であることが好ましいが、それに限定されない。当然ながら、締結手段は、いずれの適切な手段であってもよく、それは、当業者の範囲内で十分ある。
【0031】
本発明の好ましい実施形態にしたがって、部材17には、細管13aおよび13bに接続されるのに適している追加開口23がさらに設けられ、次に1つ以上の清浄材料源(図示せず)に接続される。清浄材料を使用して、穿刺された皮膚に清浄材料を加える(スプレーする)ことによって、除去処理中に、血液、細胞液および顔料の残留物から皮膚の穿刺された区域を清浄にし、それによって、皮膚の顔料を入れた部分の除去中に穿刺された区域を清浄にする。例えば、清浄材料は、圧力下の空気か、水か、または、穿刺された人体にスプレーするのに適切である他の流体であってもよい。当然ながら、清浄材料は、2つ以上の材料の組み合わせであってもよく、例えば、空気圧力および水である。
【0032】
本発明の別の好ましい実施形態にしたがって、1本以上の針は中空である。各中空針は、穿刺された皮膚へ清浄材料をスプレーするために清浄材料源へ接続されるのに適切な1つ以上の開口を有し、それによって、皮膚の顔料を入れた部分の除去中に、穿刺された区域を清浄にするか、または、それをその中に注入するためのものである。例えば、清浄材料は、各中空針に沿ってキャビティを通って皮膚にスプレーされることができる。
【0033】
本発明の装置10を使用することによって、皮膚の顔料を入れた部分を除去することは、下記のように達成することができる。
・装置10を皮膚穿刺装置へ装着し、
・皮膚穿刺装置が墨を含まない間に、上記顔料を入れた部分で針11で皮膚を穿刺し、
・上述のように、上記皮膚の穿刺された部分で、顔料と細胞液との混合物(および、場合によって、いずれの外部から加えられた流体)を、吸引手段で吸引する。
【0034】
場合によって、顔料を入れた部分で皮膚の穿刺を完了し且つ吸引操作を完了した後に、皮膚の処置された部分は、次いで、適切な吸着パッドで包帯することができる。パッドは、例えば生理食塩水等の、1つ以上の材料を含まなければならず、これは、穿刺された部分で、顔料の残留物を移動させ、皮膚の外側層内に吸収させる。パッドは、入れ墨墨および細胞液の混合物から水分を吸収することができる吸着性パッドであることが好ましいが、それに限定されない。当然ながら、穿刺された部分の顔料を移動させ皮膚の外側層内に吸収させる材料は、溶液、固体材料、または、溶液と固体材料との両方の組み合わせの形態であってもよい。
【0035】
好ましくは、区域の穿刺後に、感染症を防止する処置を、その区域の皮膚に施さなければならない。当然ながら、吸着性パッドは、1つ以上の防腐剤、例えば、塩化ベンザルコニウム系クリーム(例えば、Bepanthen)、スルファジアジン銀系クリーム(例えば、Silverol)等を含んでもよい。そのような防腐剤はまた、別個に加えられてもよい。例えば、吸着性パッドまたは他の個別パッドは、当該技術分野で公知のペーストおよび/またはクリーム、例えば、Vitamerfen、Bepanthen、Silverol等を含んでもよい。あるいは、防腐剤系クリームは、処置された区域に直接加えられて、パッドで覆われてもよい。
【0036】
皮膚穿刺装置は、本発明の装置10が設けられた、入れ墨を形成するための典型的な電気装置であることが好ましいが、それに限定されない。
【0037】
本発明の好ましい実施形態にしたがって、装置10は、入れ墨を形成するために使用されるもの等の1本以上の針11を含む。好ましくは、装置10を皮膚穿刺装置に装着した後に、ユーザはこの装置を、入れ墨を形成するために操作するのと同じようなやり方で操作してもよいが、墨は使用しない。任意で、墨の代わりに顔料を含まない水性溶液または他の材料を使用してもよく(すなわち、穿刺された区域に注入される)、それによって、顔料はさらに稀釈されてもよく、より容易に吸引されてもよい。
【0038】
典型的な穿刺装置において、針11の皮膚内への穿通深さは調整可能である。針11は、皮膚の皮下層を越えて穿通せず、したがって、本発明の装置10を使用しながら皮膚へのさらなる損傷が形成されないことが好ましいが、限定はされない。
【0039】
本発明は、典型的に、いずれの既存の入れ墨入れ装置、例えば、イタリアのLauro Paolini社によって製造されるもの等とともに使用されることができる。例えば、図3は、皮膚の顔料を入れた部分を除去するために、図1の装置10が設けられた典型的な入れ墨入れ装置30を概略的に例示する。参照符号118は、吸引手段(図示せず)への接続を示す。
【0040】
図4は、本発明の特定の実施形態にしたがった、ロッド15の実際の寸法の例を示す。すべての寸法は、ミリメートルで与えられる。
【0041】
図5は、手段17の流体の処理のために特定の配列を概略的に示す。SLは、ポートを示し、それを通って細胞液が吸引によって除去されることができる。追加流体(例えば、温かい生理食塩水または滅菌水)が使用される場合には、この特定の実施形態では、ポートFIを経由して供給され、次いで、ポートFOを経由して処置区域から残滓と一緒に除去される。
【0042】
図6は、仲介要素17用のヘッドを概略的に示し、それを通って針11は、直径約5mmの開口を経由して作用する(図示せず)。ヘッドの全体長さは、この実施形態では、わずか25mmである。したがって、本発明による典型的な装置の寸法が小さいことは、図面に提供された示された寸法を通して認識することができる。
【0043】
図7は、本発明の別の好ましい実施形態にしたがって作られた、皮膚の顔料を入れた部分から顔料を除去するための装置100を概略的に示す。装置100は、皮膚を穿刺するための1本以上の針101のアレイと、針101のアレイが接続されるロッド106と、顔料と細胞液との混合物を排出するための第1のドレナージ102と、余分な流体を排出するための第2のドレナージ103と、水または穿刺された人体にスプレーするのに適切である別の流体等の清浄材料を供給するために外部装置に接続するのを可能にするための仲介部111と、を備える。
【0044】
図8は、本発明の1つの好ましい実施形態にしたがった、装置100の様々な構成要素を概略的に例示する。この図面は、装置100の4つの異なる構成要素を示す。構成要素(a)は、ロッド106であり、これには、一方の端に針101のアレイが設けられ、他方の端には、振動ユニット(例えば、図10の入れ墨入れガン113)へ装置100を接続するためのフック105が設けられる。構成要素(b)は、第2のドレナージ103を備え、中空円筒形本体113へ接続されており、それを通ってロッド106が挿入され、これを使用して、除去操作中に動かすか振動させる。構成要素(c)は、仲介部111である。仲介部11は、流体または清浄材料を装置100内に導くためのチューブ104と、清浄材料の外部源を装置100へ接続するための締結手段100と、を備える。図9(c)が、仲介部111の斜視図である。構成要素(d)は、円錐要素107であり、これは、針101を収容する。円錐要素107はまた、第1のドレナージ102を備える。構成要素(b)、(c)および(d)は互いに接続され、一方、構成要素(a)は、構成要素(b)〜(d)内に挿入される。図9(a)は、円錐要素107内の挿入位置にあるロッド106を示す。
【0045】
図9(b)は、円錐要素107の概略上面図である。この図面は、清浄材料を針101のアレイへ向けて導くために使用されるチャネル114を示す。
【0046】
図10は、典型的な入れ墨入れガン113に装着された装置110を概略的に示す。
【0047】
図11は、細胞液と顔料との混合物が広がるのを抑制するために使用される境界要素114を概略的に示す。要素114は、広がる区域を抑制するための境界リング116と、混合物を排出するためのチューブ115と、を備える。リング116には穴117が設けられ、それを通って混合物がチューブ115内に吸引される。チューブ115は、穿刺された区域から混合物を排出するための外部吸引手段に接続されることができる。開口118は、吸引装置への接続である。
【0048】
図12〜14は、本発明のさらに別の好ましい実施形態にしたがった装置を概略的に例示する。図12は、図4に示された種類の針のアレイを示し、その中で、針は、ピストン状部材120に接続され、これは、図13を参照してさらに説明されるように、シリンダ(図示せず)内で作用する。
【0049】
図13において、要素15は破線で示され、ピストン状部材120および針11を備え、シリンダ121内の挿入位置にある。シリンダ121には、操作が行われる区域に加えられるべき清浄な流体用の入口122と、それから除去すべき残滓および溶解した顔料用の出口123と、が設けられる。シリンダ121内で変位したピストン状部材120によって生成された真空が、吸引作用を生成し、当業者には明らかであるように、これは、流体をシリンダから排水させる。図14に示された位置で、ピストン状部材120は開口123を閉じる。その段階で、針の回りの空の空間が、清浄な液体で満たされ、ピストン様要素が上方へ変位されるときに、流体は吸引される。ピストン様要素の下に位置する針の群は、異なる数の針を含むことができる。ピストン様要素は、真空の形成のためと、処置される区域内への液体の流入と、の両方に責任がある。
【0050】
上記の例および説明は、当然ながら、例示目的のみのために提供されているものであり、本発明をいずれにも限定する意図はない。当業者によって認識されるように、本発明は、上記に記載されたものから2つ以上の技術を使用して、非常に変化に富んだやり方で実行することができ、すべてが、本発明の範囲を超えない。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の好ましい実施形態にしたがって、皮膚の顔料を入れた部分を除去するための装置を例示する概略図である。
【図2】図1の装置の構成要素を例示する概略図である。
【図3】図1の装置が設けられた皮膚穿刺装置を例示する概略図である。
【図4】針のアレイの実際の寸法を示す図である。
【図5】本発明の代替の好ましい実施形態にしたがった仲介部材を例示する概略図である。
【図6】本発明の好ましい実施形態にしたがった装置の先端の実際の寸法を示す図である。
【図7】本発明の別の好ましい実施形態にしたがって作られた、皮膚の顔料を入れた部分から顔料を除去するための装置を示す概略図である。
【図8】図7の装置の様々な構成要素を例示する概略図である。
【図9】図7の装置のいくつかの要素を示す斜視図である。
【図10】典型的な入れ墨入れガンに装着されたときに作業位置にある図7の装置を示す概略図である。
【図11】細胞液と顔料との混合物が広がるのを限定するために使用される境界要素を示す概略図である。
【図12】本発明のさらに別の好ましい実施形態にしたがった装置を例示する概略図である。
【図13】本発明のさらに別の好ましい実施形態にしたがった装置を例示する概略図である。
【図14】本発明のさらに別の好ましい実施形態にしたがった装置を例示する概略図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚の顔料を入れた部分を除去するための装置であって、
a)皮膚穿刺装置と、
b)前記顔料を入れた部分の皮膚を穿刺するために前記装置に接続された1本以上の針のアレイと、
c)前記装置および吸引手段に装着された仲介部材であって、前記吸引手段が、皮膚の前記穿刺された部分で顔料と細胞液との混合物を収集するのを可能にするための部材と、
を備える装置。
【請求項2】
前記仲介部材が、皮膚の前記穿刺された部分より上に本質的に分離された区域を形成することができ、これは、穿刺するために且つ前記区域を吸引するために適切である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記仲介部材が、1つ以上の開口を備え、それを通って前記吸引手段が、顔料と細胞液との混合物を収集する、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記仲介部材が、前記穿刺された皮膚へ前記清浄材料を加えるために、前記部材を清浄材料源へ接続するための手段をさらに備え、それによって、皮膚の前記顔料を入れた部分の除去中に、前記穿刺された区域を清浄にする、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記仲介部材を前記清浄材料源へ接続するための手段が、1つ以上の開口であり、それを通って清浄材料を送出することができる、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記仲介部材が、前記開口が前記針のアレイの鋭い縁に隣接して位置するようなやり方で、前記皮膚穿刺装置に装着される、請求項3または5に記載の装置。
【請求項7】
1本以上の針が中空であり、前記中空針が、前記穿刺された皮膚へ前記清浄材料を加えるために清浄材料源へ接続されるのに適切な開口を有し、それによって、皮膚の前記顔料を入れた部分から顔料を除去する間に、前記穿刺された区域を清浄にする、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記清浄材料が、流体か、圧力下の空気か、または、流体および空気圧力の組み合わせ、である、請求項4に記載の装置。
【請求項9】
前記仲介部材が、1つ以上のねじで前記穿刺装置に装着される、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記皮膚穿刺装置が、入れ墨入れマシンである、請求項1記載の装置。
【請求項11】
皮膚の顔料を入れた部分から顔料を除去する方法であって、
a)1本以上の針のアレイおよび吸引手段に装着された仲介部材を含む皮膚穿刺装置を提供するステップと、
b)前記皮膚穿刺装置が墨を含まない間に前記針で前記顔料を入れた部分の皮膚を穿刺するステップと、
c)皮膚の前記穿刺された部分で顔料と細胞液との混合物を前記吸引手段で吸引するステップと、
を備える方法。
【請求項12】
処置された区域へ流体を送出するステップをさらに備える、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記流体が、前記顔料が位置する区域に注入される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
a)前記混合物から水分を吸収することができる1つ以上の材料を含むパッドを提供するステップと、
b)前記パッドで前記穿刺された皮膚を包帯し、それによって、前記部分の前記顔料の残留物をその場所から皮膚の外側層へ向けて移動させるステップと、
をさらに備える、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記部分を清浄にするために皮膚の前記穿刺された部分に流体を加えるステップをさらに備える、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
感染防止のために、1つ以上の防腐剤を含むパッドで、前記穿刺された皮膚を包帯するステップをさらに備える、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記皮膚穿刺装置が、入れ墨入れマシンである、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記顔料に送出される材料が、生理食塩水である、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
実質的に説明され且つ例示されたような皮膚の顔料を入れた部分を除去するための、装置。
【請求項20】
実質的に説明され且つ例示されたような皮膚の顔料を入れた部分を除去するための、方法。
【請求項1】
皮膚の顔料を入れた部分を除去するための装置であって、
a)皮膚穿刺装置と、
b)前記顔料を入れた部分の皮膚を穿刺するために前記装置に接続された1本以上の針のアレイと、
c)前記装置および吸引手段に装着された仲介部材であって、前記吸引手段が、皮膚の前記穿刺された部分で顔料と細胞液との混合物を収集するのを可能にするための部材と、
を備える装置。
【請求項2】
前記仲介部材が、皮膚の前記穿刺された部分より上に本質的に分離された区域を形成することができ、これは、穿刺するために且つ前記区域を吸引するために適切である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記仲介部材が、1つ以上の開口を備え、それを通って前記吸引手段が、顔料と細胞液との混合物を収集する、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記仲介部材が、前記穿刺された皮膚へ前記清浄材料を加えるために、前記部材を清浄材料源へ接続するための手段をさらに備え、それによって、皮膚の前記顔料を入れた部分の除去中に、前記穿刺された区域を清浄にする、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記仲介部材を前記清浄材料源へ接続するための手段が、1つ以上の開口であり、それを通って清浄材料を送出することができる、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記仲介部材が、前記開口が前記針のアレイの鋭い縁に隣接して位置するようなやり方で、前記皮膚穿刺装置に装着される、請求項3または5に記載の装置。
【請求項7】
1本以上の針が中空であり、前記中空針が、前記穿刺された皮膚へ前記清浄材料を加えるために清浄材料源へ接続されるのに適切な開口を有し、それによって、皮膚の前記顔料を入れた部分から顔料を除去する間に、前記穿刺された区域を清浄にする、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記清浄材料が、流体か、圧力下の空気か、または、流体および空気圧力の組み合わせ、である、請求項4に記載の装置。
【請求項9】
前記仲介部材が、1つ以上のねじで前記穿刺装置に装着される、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記皮膚穿刺装置が、入れ墨入れマシンである、請求項1記載の装置。
【請求項11】
皮膚の顔料を入れた部分から顔料を除去する方法であって、
a)1本以上の針のアレイおよび吸引手段に装着された仲介部材を含む皮膚穿刺装置を提供するステップと、
b)前記皮膚穿刺装置が墨を含まない間に前記針で前記顔料を入れた部分の皮膚を穿刺するステップと、
c)皮膚の前記穿刺された部分で顔料と細胞液との混合物を前記吸引手段で吸引するステップと、
を備える方法。
【請求項12】
処置された区域へ流体を送出するステップをさらに備える、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記流体が、前記顔料が位置する区域に注入される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
a)前記混合物から水分を吸収することができる1つ以上の材料を含むパッドを提供するステップと、
b)前記パッドで前記穿刺された皮膚を包帯し、それによって、前記部分の前記顔料の残留物をその場所から皮膚の外側層へ向けて移動させるステップと、
をさらに備える、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記部分を清浄にするために皮膚の前記穿刺された部分に流体を加えるステップをさらに備える、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
感染防止のために、1つ以上の防腐剤を含むパッドで、前記穿刺された皮膚を包帯するステップをさらに備える、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記皮膚穿刺装置が、入れ墨入れマシンである、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記顔料に送出される材料が、生理食塩水である、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
実質的に説明され且つ例示されたような皮膚の顔料を入れた部分を除去するための、装置。
【請求項20】
実質的に説明され且つ例示されたような皮膚の顔料を入れた部分を除去するための、方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2007−533349(P2007−533349A)
【公表日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−524527(P2006−524527)
【出願日】平成16年8月30日(2004.8.30)
【国際出願番号】PCT/IL2004/000784
【国際公開番号】WO2005/020828
【国際公開日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(505456551)ホーク メディカル テクノロジー リミテッド (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年8月30日(2004.8.30)
【国際出願番号】PCT/IL2004/000784
【国際公開番号】WO2005/020828
【国際公開日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(505456551)ホーク メディカル テクノロジー リミテッド (2)
【Fターム(参考)】
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