説明

皮膚保湿用シート化粧料

【課題】べたつきがなく、皮膚上に均一に塗布することができるとともに、手軽にしっとりとした潤いを付与することができる皮膚保湿用シート化粧料の提供
【解決手段】(A)白金コロイド液、(B)カモミラ、グレープフルーツ、ユーカリおよびサクラから選ばれる植物抽出物のうち少なくとも1種、(C)無機粉体および/又は有機粉体、並びに、(D)水からなる組成物をシート状基材に含浸させてなることを特徴とする皮膚保湿用シート化粧料とする。所望により、組成物中に(D)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルを含有させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚保湿用シート化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、皮膚に潤いを与える手段として、化粧水などの保湿液を手で直接塗布する試み、又はコットン、パフなどに染み込ませて塗布する試み、保湿クリームを手で直接塗布する試み、保湿液を含浸させたシートを肌に密着させ一定時間パックする試みなど、様々な試みがなされている。
【0003】
しかしながら、これら試みにおいて、皮膚に十分な潤いを付与することができるものの、皮膚に均一に塗布することができないといった問題や、べたつきや刺激があるといった問題がある。また、使用する度に容器から取り出して塗布しなければならないため手間がかかるといった問題や、一定時間放置する必要があるため時間がかかるといった問題もある。更に、これら試みは、通常、就寝前や外出前に施されるものが多く、外出時に手軽に使用することができず、簡便性や携帯性に劣るといった問題もある。
【0004】
一方、従来より、携帯性に優れ、外出時に手軽に使用することができる化粧料として、シート化粧料たるものがある。しかしながら、これら従来のシート化粧料は、皮膚上を拭くことで、汗などの汚れやべたつきをシートに吸着除去させ、皮膚をさっぱり(すっきり)させることを主目的としており、保湿効果を付与するものではない。
【0005】
これまで、シート化粧料において、保湿効果を付与する試みがなされている。例えば、吸液性の繊維を含むシートに液が含浸されているウエットワイパーにおいて、前記液は、少なくとも1種以上の植物エキスを含み、前記エキスを抽出するアルコール成分が多価アルコールのみであることを特徴とするウエットワイパー(例えば、特許文献1を参照)などが提案されている。
【0006】
しかしながら、これら試みに拠って、簡便に保湿効果を付与することはできるものの、化粧水や保湿クリームの直接塗布や、保湿液のパックと比較すると、保湿効果に劣るといった問題がある。
【0007】
【特許文献1】特開2002−209788号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、べたつきがなく、皮膚上に均一に塗布することができるとともに、手軽にしっとりとした潤いを付与することができる皮膚保湿用シート化粧料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
即ち、本発明は、
〔1〕(A)白金コロイド液、(B)カモミラ、グレープフルーツ、ユーカリおよびサクラから選ばれる植物抽出物のうち少なくとも1種、(C)無機粉体および/又は有機粉体、並びに、(D)水からなる組成物をシート状基材に含浸させてなることを特徴とする皮膚保湿用シート化粧料、
〔2〕更に、(D)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルを組成物に含有してなる前記〔1〕に記載の皮膚保湿用シート化粧料、並びに
〔3〕皮膚上を拭いて使用するシート化粧料であることを特徴とする前記〔1〕又は〔2〕の何れかに記載の皮膚保湿用シート化粧料
に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の皮膚保湿用シート化粧料は、べたつきがなく、皮膚上に均一に塗布することができるとともに、手軽にしっとりとした潤いを付与することができるという効果を奏する。また、付与した潤いの持続性にも格段に優れた効果を奏する。更に、本発明の皮膚保湿用シート化粧料を包装具に収納した形態は、外出時の持ち運びの携帯性に優れるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の皮膚保湿用シート化粧料に含浸させる組成物は、(A)白金コロイド液、(B)特定の植物抽出物、(C)無機粉体および/又は有機粉体、並びに(D)水を含有する。
【0012】
(A)成分の白金コロイド液とは、白金粒子が液媒体中に分散している状態をいう。白金粒子の平均粒径は、特に限定さえないが、均一に分散する観点から、1〜5nmが好ましく、より好ましくは1.5〜4nm、更に好ましくは2〜3nmである。
【0013】
用いられる液媒体としては、白金粒子を分散し得るものであれば特に限定されないが、主な媒体として水を用いることが好ましい。また、分散状態を不安定化させない範囲内であれば、エタノールなどのアルコール類;エチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、イソプレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、1,3−ブチレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオールなどの多価アルコール類を適宜含有することができる。
【0014】
更に、白金の親溶媒性を高め、コロイド液の安定性を向上させる観点から、水溶性高分子および/又は界面活性剤を含有させることが好ましい。具体的な水溶性高分子としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセロース、ニトロセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、結晶セルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、ポリビニルメチルセルロース、ポリアミド樹脂などを例示することができる。これら成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組合せて用いることもできる。また、界面活性剤としては、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、両性の何れの界面活性剤を用いても良い。
【0015】
(A)成分の製造方法については、特に限定されないが、例えば、金属イオン溶液を水素ガス中で還元反応させ、その後燃焼により加熱して反応を促進し、生成した白金微粒子を液体分散媒中に入れ、水溶性高分子および/又は界面活性剤を添加して金属コロイドを得る、所謂、燃焼法と言われる物理的方法による製造方法;金属イオン溶液から、化学反応により金属酸化物や金属の沈殿を生成させた後、水溶性高分子および/又は界面活性剤を添加して金属コロイドを得る、所謂、金属塩還元反応法と言われる化学的方法による製造方法などを例示することができる。より具体的な製造方法としては、例えば、特開昭53−109878号公報、特開平10−176207号公報、特開2001−79382号公報、特開2001−122723号公報、特開2005−139102号公報などに記載された方法を例示することができる。
【0016】
コロイド液中の白金の含有量は、コロイド液の安定性を損なわないのであれば特に限定されないが、潤いの観点から、0.0001重量%以上が好ましく、より好ましくは0.001重量%以上である。また、コロイド液の安定性の観点から、5重量%以下が好ましく、より好ましくは1重量%以下である。
【0017】
尚、本発明に用い得る(A)成分は、市販品を用いることもできる。具体的には、例えば、シーテック社製の白金コロイド液などを例示することができる。
【0018】
(A)成分の含有量は、所望の効果が付与されるのであれば特に限定されないが、通常、潤いの観点から、組成物中、0.0001重量%以上が好ましく、より好ましくは0.001重量%以上である。また、安定性の観点から、組成物中、5重量%以下が好ましく、より好ましくは1重量%以下である。これらの観点から、(A)成分の含有量は、好ましくは0.0001〜5重量%、より好ましくは0.001〜1重量%である。
【0019】
(B)成分の植物としては、カモミラ、グレープフルーツ、ユーカリ又はサクラであり、これらの植物抽出物のうち少なくともの1種が用いられる。
【0020】
カモミラ(学名:Matricaria chamomilla)とは、キク科シカギク属の双子葉植物のことを言う。原料とするカモミラの部位としては、特に限定されないが、例えば、葉、茎、枝、幹、花、芽、実、種子、根などの部位を用いても、全草を用いてもよい。中でも、花を好適に用いることができる。
【0021】
グレープフルーツ(学名:Citrus paradisi)とは、ミカン科ミカン属の常緑高木のことを言う。原料とするグレープフルーツの部位としては、特に限定されないが、例えば、葉、花、芽、実、種子などの部位を用いてもよい。中でも、実、種子を好適に用いることができる。
【0022】
ユーカリ(学名:Eucalyptus globulus)とは、フトモモ科ユーカリ属の常緑高木のことを言う。原料とするユーカリの部位としては、特に限定されないが、例えば、葉、茎、枝、幹、花、芽、実、種子、根などの部位を用いてもよい。中でも、葉を好適に用いることができる。
【0023】
サクラ(学名:Prunus spp.)とは、バラ科サクラ属の落葉樹のことを言う。用いられるサクラの種は、特に限定されないが、例えば、ヤマザクラ(学名:Prunus jamasakura)、オオヤマザクラ(学名:Prunus sargentii)、カスミザクラ(学名:Prunus verecunda)、オオシマザクラ(学名:Prunus speciosa)などの自生する野生のサクラ;ソメイヨシノ(学名:Prunus yedoensis)、イトザクラ(学名:Prunus pendula)、サトザクラ(学名:Prunus lannesiana)などの園芸品種であるサクラ;その他サクラ亜属などを例示することができる。本発明においては、1種のサクラを用いても、2種以上のサクラを用いてもよい。また、原料とするサクラの部位としては、特に限定されないが、例えば、葉、茎、枝、幹、花、芽、実、種子、根などの部位を用いても、全草を用いてもよい。中でも、花、葉を好適に用いることができる。
【0024】
本発明に用いられる植物抽出物とは、上述した植物を原料として得られる抽出物のことを言う。抽出に用いる植物原料の形状は、特に限定されないが、抽出効率の観点から、原料を乾燥後、裁断若しくは粉砕したものを用いるのが好ましい。また、裁断、粉砕方法については、特に限定されない。
【0025】
抽出方法としては、特に限定されないが、例えば、植物原料に溶媒を加え浸漬して抽出する方法、又は、植物原料に溶媒を加えた後、加熱化および/又は加圧下で攪拌および/又は還流して抽出する方法などが挙げられる。
【0026】
用いられる溶媒は、水、親水性溶媒、親油性溶媒などが挙げられる。具体的な親水性溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,2−オクタンジオールなどのアルコール系溶媒;アセトンなどを例示することができる。具体的な親油性溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、n−ブチルエーテルなどの炭素数4〜8のエーテル系溶媒;石油エーテル、n−ブタン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−オクタンなどの炭素数4〜8の脂肪族炭化水素系溶媒;四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロエタン、トリクロロエチレンなどの炭素数1〜2のハロゲン化物系溶媒;ベンゼン、トルエンなどの炭素数6〜7の芳香族炭化水素系溶媒;スクワランなどを例示することができる。好適な溶剤としては、水、親水性溶媒を用いるのが好ましく、水と親水性溶媒の併用、中でも、水とアルコール系溶媒の併用がより好ましい。特に、後処理工程の観点から、水と1,3−ブチレングリコールの併用、又は、水とエタノールの併用を好適に用いることができる。
【0027】
また、水と親水性溶媒を併用して用いる場合、両者の混合割合は特に限定されないが、抽出効率の観点から、体積比として10:90〜90:10の範囲とするが好ましく、30:70〜70:30の範囲とするがより好ましい。
【0028】
用いられる植物抽出物は、抽出によって得られた液状物の形態でも、濃縮した形態でもどちらでもよい。更には、液状物を減圧乾燥、凍結乾燥、スプレードライなどによって粉末にしたものも用いることができる。
【0029】
尚、上述した抽出物は、市販品を用いることもできる。カモミラ抽出物としては、例えば、ベゲトールWSカモミル(商品名,永廣堂本店社製);カミツレ抽出液(商品名,丸善製薬社製);カミツレリキッド(商品名,一丸ファルコス社製)などが挙げられる。グレープフルーツ抽出物としては、例えば、ベゲトールWSグレープフルーツエキス(商品名,永廣堂本店社製);グレープフルーツ抽出液LA−J(商品名,丸善製薬社製);ファルコレックス グレープフルーツB、E(商品名,何れも一丸ファルコス社製)などが挙げられる。ユーカリ抽出物としては、例えば、ユーカリ抽出液(商品名,丸善製薬社製);ファルコレックス ユーカリB、E(商品名,何れも一丸ファルコス社製)などが挙げられる。サクラ抽出物としては、例えば、サクラエキスB(商品名,一丸ファルコス社製)などが挙げられる。
【0030】
(B)成分の含有量は、所望の効果が付与されるのであれば特に限定されないが、通常、潤いの観点から、組成物中、0.001重量%以上が好ましく、より好ましくは0.005重量%以上である。また、べたつきや安定性の観点から、組成物中、5重量%以下が好ましく、より好ましくは3重量%以下である。これらの観点から、(B)成分の含有量は、好ましくは0.001〜5重量%、より好ましくは0.005〜3重量%である。
【0031】
(C)成分の無機粉体としては、例えば、無水ケイ酸、珪酸マグネシウム、タルク、雲母チタン、炭酸カルシウム、ベントナイト、オキシ塩化ビスマス、マイカ、酸化チタン、第二酸化鉄、第三酸化鉄、アルミナ、酸化亜鉛、酸化クロム、酸化すず、紺青、カーミン、ホウケイ酸などを例示することができる。また、有機粉体としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロンパウダー、多孔質ナイロンパウダー、セルロースパウダー、多孔質セルロースパウダー、架橋型シリコーン末、架橋型メチルポリシロキサン、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体などを例示することができる。これら成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組合せて用いることもできる。また、無機粉体および有機粉体の粒径としては、粉体の物理的な刺激が生じないのであれば特に限定されないが、平均粒径が1〜100μmであることが好ましく、より好ましくは3〜60μmである。
【0032】
(C)成分の含有量は、所望の効果が付与されるのであれば特に限定されないが、通常、ベたつきを抑制する観点から、組成物中、1重量%以上が好ましく、より好ましくは3重量%以上である。また、使用感の観点および付着による肌や衣服の白化を抑制する観点から、組成物中、30重量%以下が好ましく、より好ましくは20重量%以下である。これらの観点から、(C)成分の含有量は、好ましくは1〜30重量%、より好ましくは3〜20重量%である。
【0033】
用いられる(D)水としては、特に限定されないが、蒸留水、イオン交換水などの精製水を使用することが好ましく、その含有量は、潤いの観点から、組成物中、20重量%以上が好ましく、より好ましくは30重量%以上である。また、べたつきの観点から、組成物中、95重量%以下が好ましく、より好ましくは90重量%以下である。これらの観点から、(D)成分の含有量は、好ましくは20〜95重量%、より好ましくは30〜90重量%である。
【0034】
また、本発明の組成物には、(E)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルを含有させることができる。用いられる(E)成分としては、例えば、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(3)ポリオキシプロピレン(34)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(4)ポリオキシプロピレン(30)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(34)ポリオキシプロピレン(23)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテル、ポリオキシエチレン(12)ポリオキシプロピレン(6)デシルテトラデシルエーテル、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(6)デシルテトラデシルエーテル、ポリオキシエチレン(30)ポリオキシプロピレン(6)デシルテトラデシルエーテルなどを例示することができる。これら成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組合せて用いることもできる。好適な(E)成分としては、溶解性の観点から、ポリオキシエチレン(12)ポリオキシプロピレン(6)デシルテトラデシルエーテル、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(6)デシルテトラデシルエーテル、ポリオキシエチレン(30)ポリオキシプロピレン(6)デシルテトラデシルエーテルを用いることが好ましい。
【0035】
(E)成分の含有量は、所望の効果が付与されるのであれば特に限定されないが、通常、溶解性の観点から、組成物中、0.01重量%以上が好ましく、より好ましくは0.1重量%以上である。また、べたつきの観点から、組成物中、3重量%以下が好ましく、より好ましくは2重量%以下である。これらの観点から、(E)成分の含有量は、好ましくは0.01〜3重量%、より好ましくは0.01〜2重量%である。
【0036】
更に、本発明の組成物には、潤いを向上させる観点から、多価アルコールを含有させることができる。用いられる多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、イソプレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、1,3−ブチレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオールなどを例示することができる。これら成分は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を適宜組合せて用いることもできる。
【0037】
多価アルコールの含有量は、特に限定されないが、潤い向上の観点から、0.01重量%以上が好ましく、より好ましくは0.1重量%以上である。また、べたつきの観点から、7重量%以下が好ましく、より好ましくは5重量%以下である。これらの観点から、多価アルコールの含有量は、組成物中、0.01〜7重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5重量%である。
【0038】
本発明の組成物には、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、上記した成分の他に通常化粧品に用いられる成分、例えば、メントール、カンファ、l−メンチルグリセリルエーテルなどの清涼剤、高級アルコール、低級アルコール、紫外線吸収剤、金属イオン封鎖剤、香料、酸化防止剤、防腐剤、ビタミン類、pH調整剤などを目的に応じて適宜配合することができる。
【0039】
次に、本発明の皮膚保湿用シート化粧料に用いられるシート状基材について説明する。本発明に用いられるシート状基材としては、上記した組成物が含浸されるものであれば特に限定されないが、紙、織布又は不織布などを用いることができる。具体的には、針葉樹、広葉樹などの木材繊維、ケナフ(アオイ科の一年草)、サトウキビ、竹などの植物繊維、古紙繊維などを原料とする紙;アクリル、レーヨン、ポリエステル、セルロース、アセテートなどの合成繊維;コットンなどの天然繊維およびこれらの混綿による織布又は不織布などを例示することができる。好適なシート状基材としては、加工がし易く、皮膚に対する使用感が優れている観点から、不織布を用いることが好ましい。また、これらシートの表面には、エンボス加工が施されていてもよい。
【0040】
尚、本発明に好適に用い得るシート状基材の市販品の具体例としては、例えば、コットエース(商品名,ユニチカ社製)、サンモアK(商品名,三省紙業社製)、ベンリーゼ(商品名,旭化成社製)、RH3シリーズ(商品名,ダイワボウ社製)などを例示することができる。
【0041】
シート状基材の形状については、特に限定されないが、例えば、正方形、長方形、台形、菱形、円形、楕円形、半円形、三日月形、樽形、鼓形などの形状を例示することができる。更には、前記形状を有するシートに切れ込み部、くり抜き部、凹凸部などの成型を施してもよい。
【0042】
本発明の皮膚保湿用シート化粧料の使用形態としては、予めシート状基材に上記組成物を含浸させ包装具に収納された形態のものを用いてもよく、使用直前にシート状基材に上記組成物を含浸させて用いてもよい。好適な使用形態としては、外出時の携帯性に優れ、塗布時の簡便性および操作性を良好にする観点から、予めシート状基材に上記組成物を含浸させ包装具に収納された形態が好ましい。
【0043】
また、シート状基材に含浸させる上記組成物の量は、特に限定されないが、シート状基材1重量部に対して、上記組成物を1〜10重量部が好ましく、より好ましくは1.5〜7重量部である。
【0044】
予めシート状基材に上記組成物を含浸させ包装具に収納された形態において、用いられる包装具は特に限定されないが、含浸される組成物中の成分の揮発を防止することができる包装具を用いることが好ましい。このような包装具としては、例えば、内面に金属層が積層又は蒸着された樹脂製の包装具を例示することができる。また、包装具内の皮膚保湿用シート化粧料の内容枚数は、特に限定されないが、持ち運び時に場所を取らず携帯性に優れ、何度も取り出して使用できる観点から、5〜50枚/1包装具の形態で包装されることが好ましい。
【0045】
本発明の皮膚保湿用シート化粧料の使用方法としては、特に限定されないが、皮膚上に上記組成物を均一に塗布することができ、望む部位に優れた保湿効果を付与することができることから、皮膚上を拭いて使用することが好ましい。また、洗い流しを行っても行わなくても特に限定されないが、持続性に優れる保湿効果を付与する観点から、洗い流しを行わない方が好ましい。
【0046】
尚、本発明の皮膚保湿用シート化粧料は、額、目元、目じり、頬、口元などの顔面、腕、肘、手の甲、指先、足、膝、かかと、首、脇、背中などの部位に好適に用いることができる。
【実施例】
【0047】
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。尚、配合量は、特記しない限り「重量%」を表す。
【0048】
(試料の調製1)
表1に記した組成に従い、常法により、組成物1〜7を調製した。
【0049】
【表1】

【0050】
(試料の調製2)
組成物1〜7を、1辺が20cmの正方形の不織布(RH3−40SA,ダイワボウ社製)に、不織布1gに対して組成物3gを含浸させて実施例1〜4および比較例1〜3の各皮膚保湿用シート化粧料を調製し、包装具に10枚収納させた形態で下記評価に供した。また、比較例4として、組成物1を透明瓶に充填し、化粧水の形態として下記評価に供した。結果を表2に記する。
尚、評価はすべて、23℃、湿度60%の恒温恒湿の一定条件下で実施した。
【0051】
(試験例1:塗布性の評価)
女性評価パネル20名により、実施例1〜4および比較例1〜3で得られた各皮膚保湿用シート化粧料を包装具より取り出し、実際に腕(上腕部から手の甲)を拭いてもらい、塗布性について下記評価基準に従って官能評価した。また、比較例4の化粧水は、直接手の平で塗布してもらい、同基準に従って評価した。
【0052】
<塗布性の評価基準>
◎:20名中16名以上が皮膚上に均一に塗布することができると回答
○:20名中11〜15名が皮膚上に均一に塗布することができると回答
△:20名中6〜10名が皮膚上に均一に塗布することができると回答
×:20名中5名以下が皮膚上に均一に塗布することができると回答
【0053】
(試験例2:使用直後のべたつきおよび潤い感の評価)
上記同評価パネル20名により、試験例1の塗布直後のべたつきおよび潤い感を下記評価基準に従って官能評価した。
【0054】
<べたつきの評価基準>
◎:20名中16名以上がべたつかないと回答
○:20名中11〜15名がべたつかないと回答
△:20名中6〜10名がべたつかないと回答
×:20名中5名以下がべたつかないと回答
【0055】
<潤い感の評価基準>
◎:20名中16名以上が均一にしっとりとした潤いがあると回答
○:20名中11〜15名が均一にしっとりとした潤いがあると回答
△:20名中6〜10名が均一にしっとりとした潤いがあると回答
×:20名中5名以下が均一にしっとりとした潤いがあると回答
【0056】
(試験例3:潤いの持続の評価)
上記評価パネル20名により、試験例2の3時間後の潤い感について、下記評価基準に従って官能評価した。
【0057】
<潤いの持続の評価基準>
◎:20名中16名以上がしっとりとした潤いがあり、持続に優れると回答
○:20名中11〜15名がしっとりとした潤いがあり、持続に優れると回答
△:20名中6〜10名がしっとりとした潤いがあり、持続に優れると回答
×:20名中5名以下がしっとりとした潤いがあり、持続に優れると回答
【0058】
(試験例4:携帯性の評価)
上記評価パネル20名により、実施例1〜4の包装具に収納された形態および比較例4の透明瓶に充填された形態における持ち運び時の携帯性について、下記評価基準に従って評価した。
【0059】
<携帯性の評価基準>
◎:20名中16名以上が持ち運び時に場所をとらず携帯性に優れると回答
○:20名中11〜15名が持ち運び時に場所をとらず携帯性に優れると回答
△:20名中6〜10名が持ち運び時に場所をとらず携帯性に優れると回答
×:20名中5名以下が持ち運び時に場所をとらず携帯性に優れると回答
【0060】
【表2】

【0061】
表2に示された結果から、各実施例の皮膚保湿用シート化粧料は、比較例4と対比して、皮膚上に均一に塗布することができることが分かる。また、各比較例と対比して、べたつきがなく、しっとりとした潤いに優れ、付与した潤いの持続性にも優れていることが分かる。更に、本発明の皮膚保湿用シート化粧料を包装具に収納した形態は、携帯性に優れていることが分かる。
【0062】
以下、本発明の皮膚保湿用シート化粧料に係るシート状基材に含浸させる組成物の処方例を示す。尚、含有量は重量%である。
【0063】
(処方例1)
エタノール 15.0
ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(6)
デシルテトラデシルエーテル 0.2
白金コロイド液 0.05
カモミラエキス 0.1
タルク 5.0
シリカ 5.0
1,3−ブチレングリコール 1.0
メントール 0.05
香料 適 量
精製水 残 部
合 計 100.0
【0064】
(処方例2)
エタノール 15.0
ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(6)
デシルテトラデシルエーテル 0.2
白金コロイド液 0.05
グレープフルーツエキス 0.1
無水ケイ酸 5.0
グリセリン 1.0
メントール 0.05
l−メンチルグリセリルエーテル 0.5
香料 適 量
精製水 残 部
合 計 100.0
【0065】
(処方例3)
エタノール 15.0
ポリオキシエチレン(12)ポリオキシプロピレン(6)
デシルテトラデシルエーテル 0.2
白金コロイド液 0.05
ユーカリエキス 0.1
タルク 5.0
ポリエチレングリコール 1.0
メントール 0.05
香料 適 量
精製水 残 部
合 計 100.0
【0066】
(処方例4)
エタノール 5.0
ポリオキシエチレン(30)ポリオキシプロピレン(6)
デシルテトラデシルエーテル 0.2
白金コロイド液 0.05
サクラエキス 0.1
タルク 5.0
1,2−オクタンジオール 1.0
メントール 0.05
カンファ 0.05
香料 適 量
精製水 残 部
合 計 100.0

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)白金コロイド液、(B)カモミラ、グレープフルーツ、ユーカリおよびサクラから選ばれる植物抽出物のうち少なくとも1種、(C)無機粉体および/又は有機粉体、並びに、(D)水からなる組成物をシート状基材に含浸させてなることを特徴とする皮膚保湿用シート化粧料。
【請求項2】
更に、(E)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルを組成物に含有してなる請求項1記載の皮膚保湿用シート化粧料。
【請求項3】
皮膚上を拭いて使用するシート化粧料であることを特徴とする請求項1又は2に記載の皮膚保湿用シート化粧料。

【公開番号】特開2009−107980(P2009−107980A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−282790(P2007−282790)
【出願日】平成19年10月31日(2007.10.31)
【出願人】(390011442)株式会社マンダム (305)
【Fターム(参考)】