説明

皮膚外用剤

【課題】銀イオン担持抗菌性ゼオライトと水とポリアクリル酸アミド骨格を有する重合体を配合する皮膚外用剤において、その変色を引き起こさずに、銀イオン担持抗菌性ゼオライト粉末の分散安定性を著しく向上せしめた皮膚外用剤であり、特に水を多量に配合した液状の皮膚外用剤において、変色及び/又は分散安定性を確保する安定な皮膚外用剤の提供。
【解決手段】ポリアクリル酸アミド骨格を有する重合体が、有機溶媒若しくは油分を分散媒とし水を分散相とする組成物において、前記組成物が界面活性剤を含有し一相マイクロエマルションあるいは微細W/Oエマルションを形成する条件下において、ジメチルアクリルアミドと2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸又はその塩とを分散相に溶解し分散相中にてラジカル重合して得られるミクロゲルからなる増粘剤皮膚外用剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は化粧料等の皮膚外用剤に関する。さらに詳しくは、銀イオン担持抗菌性ゼオライトと水と特定の高分子増粘剤とを配合する皮膚外用剤において、銀イオン担持抗菌性ゼオライトの分散安定性と変色安定性を著しく向上させた皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ゼオライトやシリカの粉末を水に分散させ、多糖類等の高分子増粘剤で増粘させたスラリーが、一般工業用や化粧品用原料として市販されている。このような市販のスラリーは粉末の濃度が高く、非常に粘度が高いために、粉末が沈降せずに分散安定性が保たれている。しかしながら、このようなスラリーは、水などの分散媒で希釈し使用することを目的としており(樹脂に練りこんだり、塗料に練り込んだりする)、希釈せずに皮膚外用剤として使用するものではない。また、このようなスラリーを水などで希釈することによって、皮膚外用剤として用いることが考えられるが、希釈により粘度が低減するため、経時や高温保存では粉末が沈降してしまい、分散安定性が保たれない。
【0003】
特許文献1には、ゼオライトの分散安定性に優れた発熱性組成物が記載されている。この技術は、多価アルコールとアルカリ土類金属の水酸化物と界面活性剤とを配合する組成物により、ゼオライトの分散安定性を高め、保存時にゼオライトが沈降せず使用時の振とう撹拌を必要としない技術であり、化粧料への応用が記載されている。
しかしながら、この技術は非水条件でのみ有効な技術であり、水を多量に配合する系ではその増粘効果が十分に得られないという課題がある。言うまでもなく、化粧料には水を多量に配合する系が多い。
【0004】
特許文献2には、使用時に振とうすることによりゼオライトを容易に均一分散させることができる技術が開示されている。この技術は、活性化ゼオライトと分子量1000以下の多価アルコールと高分子化合物とを含有する二層分離型非水系化粧料に関するものである。しかし、使用時にいちいち振とうするのはとても面倒である。また使用時の振とうによる再分散ではその均一性が十分ではない。そしてこの特許文献が教示することは、化粧料中に配合されるゼオライトが沈降し易く、その分散性を維持することは容易ではない事実である。
【0005】
特許文献3には、粒体の沈降防止には、カルボキシメチルセルロース等の多糖類を高分子増粘剤として添加する技術が開示されている。この技術は多価アルコールを必須成分として配合するマッサージ化粧料に利用されている。しかし、水の配合量が少ない条件下ででのみ有効な技術であり(「水分の含有量は3.0重量%以下であることが好ましく最大でも10重量%以下が好ましい。」との記載がある)水を多量に配合する系では増粘効果が十分に得られないため、粒体の沈降防止には不十分である。
【0006】
ゼオライトの粉末を安定に分散させて配合する皮膚外用剤の従来技術を纏めると、以下の二点に集約される。
(1)水をほとんど含まない系で高粘度の非水ゲルに分散する
(2)ゼオライトを高配合し多糖類の高分子増粘剤で増粘した水溶液に分散させスラリー状にする
しかしながら、(1)は水をほとんど含まない系でのみ可能となる技術であり、水を多量に配合する化粧料への応用は困難である。(2)は皮膚外用剤としては希釈する必要があり、希釈すると経時もしくは高温保存でゼオライトが沈降しやすいという欠点があった。
【0007】
一方、抗菌性ゼオライトを配合した皮膚外用剤は周知である。抗菌性スプレー用組成物(特許文献4)や防臭化粧料(特許文献5)が開発されている。耐変色性を改良した防臭化粧料として、抗菌性ゼオライトにシリコーンを配合した技術が開示されている(特許文献6)。抗菌性成分として銀イオン担持抗菌性ゼオライトを配合した防臭用化粧料は本願出願人による市販品が市場にて大ヒットしている(特許文献7)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−2223
【特許文献2】特開平11−292728
【特許文献3】特開平3−123732
【特許文献4】特開昭63−250325
【特許文献5】特開平8−26956
【特許文献6】特開平8−92051
【特許文献7】特開2004−307375
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところでゼオライトと水とを配合する液状の皮膚外用剤の設計においては、ゼオライトと増粘剤の凝集によりその系を増粘することが困難である。また、皮膚外用剤に電解質を配合する場合が生じるが、パラフェノールスルホン酸亜鉛、アルミニウムヒドロキシクロリド、NaCl、硫酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム等の化粧料に汎用される塩(電解質)が共存する場合には、その系を増粘することがより難しくため、ゼオライトを均一に分散し、その沈降を防止することが不可能である。
【0010】
また、ゼオライトに銀イオン担持抗菌性ゼオライトを使用する皮膚外用剤においては、配合成分の影響により系が変色しやすい。そのため、皮膚外用剤の製剤構築する上でその困難さを著しく増大させることになる。
【0011】
そして銀イオン担持抗菌性ゼオライト粉末の分散安定性を高めるために、単に増粘剤を配合して系の粘度を高めると、液状の性質を失ってしまいクリーム又はジェル状の化粧料しか得られないという課題も生じる。
【0012】
本発明者等は上述の観点に鑑み、銀イオン担持抗菌性ゼオライトを配合する皮膚外用剤に関し長年に亘り地道な研究を積み重ねた結果、銀イオン担持抗菌性ゼオライトと水とを配合する皮膚外用剤において、多糖類等とは異なる特定の高分子増粘剤を配合すると、変色しにくく、分散安定性が良好であることを見出した。
また、銀イオン担持抗菌性ゼオライトの配合量が、皮膚外用剤全量に対して極端に少ない場合(例えば皮膚外用剤全量に対して0.001質量%の微少配合量)であっても、分散安定性や変色に関する問題点が生じることを見出した。
そしてさらに、ある種の特定物質を配合すると、それらの特定の高分子増粘剤による予想外の特異的な粘度挙動と当該ゼオライトの沈降防止特性を発見し、本発明を完成するに至った。
【0013】
本発明の目的は、銀イオン担持抗菌性ゼオライトと水と特定の高分子増粘剤とを配合する皮膚外用剤において、銀イオン担持抗菌性ゼオライトの配合量を特定し、変色を効率良く抑制してさらには銀イオン担持抗菌性ゼオライト粉末の分散安定性を著しく向上せしめた皮膚外用剤を提供することにある。
【0014】
本発明では、特にロールオン容器への充填に適する液状の皮膚外用剤において、ロールオン容器に適するように皮膚外用剤の粘度の増大を抑えつつ、一方で分散安定性をも向上させた皮膚外用剤を提供することも主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
すなわち、本発明は、銀イオン担持抗菌性ゼオライトと水とポリアクリル酸アミド骨格を有する重合体を配合する皮膚外用剤において、皮膚外用剤全量に対して、銀イオン担持抗菌性ゼオライトの配合量が0.001〜5質量%であることを特徴とする皮膚外用剤を提供するものである。
【0016】
また、本発明は、前記ポリアクリル酸アミド骨格を有する重合体が、下記のミクロゲルからなる増粘剤であることを特徴とする上記の皮膚外用剤を提供するものである。
有機溶媒若しくは油分を分散媒とし水を分散相とする組成物において、前記組成物が界面活性剤を含有し一相マイクロエマルションあるいは微細W/Oエマルションを形成する条件下において、ジメチルアクリルアミドと2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸又はその塩とを分散相に溶解し分散相中にてラジカル重合して得られるミクロゲルからなる増粘剤。
【0017】
さらに、本発明は、皮膚外用剤全量に対して、前記重合体の配合量が0.5〜1質量%であり、さらにパラフェノールスルホン酸亜鉛を0.1〜1質量%配合することを特徴とする上記の皮膚外用剤を提供するものである。
【0018】
また、本発明は、前記皮膚外用剤が液状であって、その30℃での粘度が200〜4000mPa・sであることを特徴とする上記の皮膚外用剤を提供するものである。
【0019】
さらに、本発明は、前記液状皮膚外用剤がロールオン容器に充填された防臭化粧料であることを特徴とする上記の液状皮膚外用剤を提供するものである。
【0020】
また、本発明は、前記皮膚外用剤がクリーム状又はジェル状の皮膚外用剤であることを特徴とする上記の皮膚外用剤を提供するものである。
【発明の効果】
【0021】
(1)本発明は、銀イオン担持抗菌性ゼオライトと水と特定の高分子増粘剤とを配合する皮膚外用剤において、銀イオン担持抗菌性ゼオライト粉末が変色することなく、安定に分散できる。
(2)本発明は、特定の高分子増粘剤とある種の特定物質(パラフェノールスルホン酸亜鉛)を使用することによって、変色防止と分散安定性を確保しつつ、系の増粘を抑えることによってロールオン容器への充填に適する液状の皮膚外用剤を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】ミクロゲル増粘剤水溶液中にて、銀イオン担持抗菌性ゼオライトにより系の粘度が増大することを示すグラフである。
【図2】ミクロゲル増粘剤水溶液中にて、パラフェノールスルホン酸亜鉛により系の粘度が減少することを示すグラフである。
【図3】ミクロゲル増粘剤と銀イオン担持抗菌性ゼオライトを含有する水溶液中にて、パラフェノールスルホン酸亜鉛により系の粘度が減少することを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明について詳述する。
【0024】
<銀イオン担持抗菌性ゼオライト>
本発明に用いる銀イオン担持抗菌性ゼオライトは、ゼオライトのイオン交換可能な部分に抗菌性銀イオンを保持しているゼオライトの粉末が使用される。すなわち、ゼオライトのイオン交換可能なイオンの一部又は全部が抗菌性の銀イオンで置換されたゼオライトの粉末である。銀イオン担持抗菌性ゼオライトは常法によりゼオライトから容易に製造できる。
本発明においては、抗菌性銀イオンと共に、亜鉛イオンとアンモニウムイオンを置換したゼオライトが好ましい。本発明には市販品(ゼオミックAJ10N:株式会社シナネンゼオミック)を使用できる。
【0025】
銀イオン抗菌性ゼオライトの粉末の平均粒径は10μm以下であることが好ましい。さらに好ましくは0.1〜5μmである。また、平均粒径がこの範囲である場合に、その粒度分布において粒径が1μmを超えるものが20%以下であることが好ましい。
【0026】
ゼオライトは天然ゼオライト及び合成ゼオライトのいずれでもよい。ゼオライトは、一般に三次元骨格構造を有するアルミノシリケートであり、一般式としては、XM2/nO・Al23・YSiO2・ZH2Oで表示される。この一般式において、Mはイオン交換可能なイオンを表し、通常は1または2価の金属イオンである。nは(金属)イオンの原子価である。X及びYはそれぞれ金属酸化物、シリカ係数、Zは結晶水の数を表示している。
【0027】
ゼオライトの具体例としては、例えば、A−型ゼオライト、X−型ゼオライト、Y−型ゼオライト、T−型ゼオライト、高シリカゼオライト、ソーダライト、モルデナイト、アナルサイム、クリノプチロライト、チャバサイト、エリオナイト等を挙げることができる。これらのゼオライトのイオン交換容量は、A−型ゼオライト7meq/g、X−型ゼオライト6.4meq/g、Y−型ゼオライト5meq/g、T−型ゼオライト3.4meq/g、ソーダライト11.5meq/g、モルデナイト2.6meq/g、アナルサイム5meq/g、クリノプチロライト2.6meq/g、チャバサイト5meq/g、エリオナイト3.8meq/gである。いずれも抗菌性金属イオンやアンモニウムイオンでイオン交換するに十分な容量を有している。
【0028】
ゼオライト中のイオン交換可能なイオンは、例えば、ナトリウムイオン、カルシウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、鉄イオン等である。また、これらのイオンに置換される抗菌性金属イオンは、例えば、銀、銅、亜鉛、水銀、錫、鉛、ビスマス、カドミウム、クロム、又はタリウムのイオンがあるが、本発明は銀イオンで交換されたものを使用する。
【0029】
抗菌性銀イオンは、抗菌性の観点からは、ゼオライト中に0.1〜15質量%含有されていることが好ましい。
例えば、銀イオン0.1〜15質量%と亜鉛イオンを0.1〜8質量%含有する抗菌性ゼオライトが好ましい。一方、アンモニウムイオンは、ゼオライト中に20質量%まで含有させることが好ましいが、ゼオライトの変色を有効に防止するという観点から、ゼオライト中0.5〜5質量%がより好ましく、0.5〜2質量%がさらに好ましい。なお、質量%とは110℃乾燥基準のゼオライト中の質量百分率である。
【0030】
本発明において、銀イオン担持抗菌性ゼオライトは市販品を使用できる。抗菌性ゼオライトの製造方法としては、例えば、下記の如く調製される。すなわち、予め調製した銀イオン、亜鉛イオン等を含有する混合水溶液にゼオライトを接触させて、ゼオライト中のイオン交換可能なイオンと上記イオンとを置換させる。接触は、10〜70℃、好ましくは40〜60℃で3〜24時間、好ましくは10〜24時間バッチ式又は連続式(例えば、カラム法)によって行うことができる。なお、上記混合水溶液のpHは3〜10好ましくは5〜7に調整することが適当である。該調整により、銀の酸化物等のゼオライト表面又は細孔内への析出を防止できるので好ましい。また、混合水溶液中の各イオンは、通常いずれも塩として供給される。例えば、銀イオンは、硝酸銀、硫酸銀、過塩素酸銀、酢酸銀、ジアンミン銀硝酸塩、ジアンミン銀硫酸塩等である。亜鉛イオンは硝酸亜鉛(II)、硫酸亜鉛、過塩素酸亜鉛、チオシアン酸亜鉛、酢酸亜鉛等である。
【0031】
ゼオライト中の抗菌性銀イオンの含有量は、前記混合水溶液中の各イオン(塩)濃度を調整することによって、適宜制御することができる。前記混合水溶液中の銀イオン濃度を0.002M/l〜0.15M/lとすることによって、適宜、銀イオン含有量0.1〜5%の抗菌性ゼオライトを得ることができる。また、抗菌性ゼオライトがさらに亜鉛イオンを含有する場合、前記混合水溶液中の亜鉛イオン濃度は0.15M/l〜1.2M/lとすることによって、適宜、亜鉛イオン含有量0.1〜8%の抗菌性ゼオライトを得ることができる。抗菌性ゼオライトは、上記の混合水溶液以外に、各イオンを単独で含有する水溶液を用い、各水溶液とゼオライトとを逐次接触させることによって、イオン交換することもできる。各水溶液中の各イオンの濃度は、前記混合水溶液中の各イオン濃度に準じて定めることができる。
【0032】
イオン交換が終了したゼオライトは、十分に洗浄した後乾燥する。乾燥は105℃〜115℃又は減圧(1〜30Torr)下において70〜90℃で行うことが好ましい。
【0033】
銀イオン担持抗菌性ゼオライトの配合量は、皮膚外用剤全量に対して0.001〜5質量%、好ましくは0.001〜1質量%、さらに好ましくは0.001〜0.1質量%である。製品形態に応じて適宜決定され、適する量が配合される。
本発明は、銀イオン担持抗菌性ゼオライトの配合量が0.001〜5質量%という少ない配合範囲であっても、皮膚外用剤中の分散安定性が良好とは言えず、さらには変色をも発生するという問題点を解決した発明である。これらの効果の点からは、銀イオン担持抗菌性ゼオライトの配合量は少ない方が好ましい。
【0034】
<ポリアクリル酸アミド骨格を有する重合体>
ポリアクリル酸アミド骨格を有する重合体としては市販品を使用できる。重合体は本発明の皮膚外用剤においては増粘剤として機能するが、しかしながら他の増粘剤、例えば一般的に水溶液の増粘に使用されるカルボキシビニルポリマーや多糖類の高分子増粘剤を使用しても、本発明の効果は得られない。増粘剤に多糖類等の高分子増粘剤を使用すると変色が発生し、また、粘度により分散安定性も向上させるという効果も十分とはならない。
【0035】
本発明に好ましく使用されるポリアクリル酸アミド骨格を有する重合体とは、具体的にはポリアクリルアミド、アクリル酸ナトリウム/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体、N,N−ジメチルアクリルアミド−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム共重合体等の高分子増粘剤である。
これらは市販品を使用できる。市販品はポリアクリルアミドはSEPIC社のSEPIGEL−502が好ましい。アクリル酸ナトリウム/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体は、SEPIC社のSIMULGELが好ましい。
【0036】
特にN,N−ジメチルアクリルアミド−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム共重合体が好ましい。この共重合体は、下記のミクロゲルからなる増粘剤が好ましい。このミクロゲルは本願出願人が開発した増粘剤であり、皮膚外用剤の増粘効果が高い。使用感も良く、化粧料原料として使い易い。
「有機溶媒若しくは油分を分散媒とし水を分散相とする組成物において、前記組成物が界面活性剤を含有し一相マイクロエマルションあるいは微細W/Oエマルションを形成する条件下において、ジメチルアクリルアミドと2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸又はその塩とを分散相に溶解し分散相中にてラジカル重合して得られるミクロゲルからなる増粘剤(本明細書において当該増粘剤をミクロゲル増粘剤と称する)」
【0037】
ミクロゲル増粘剤の製造方法は特許第3708531号に詳しく記載されている。
ジメチルアクリルアミドと2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸又はその塩とを共重合したミクロゲルは、自発的な架橋反応が進行し、特に第三成分として多官能性架橋モノマーを共重合しなくても、化学的に自己架橋されたミクロゲルが得られ、本発明に特に好ましい架橋型のミクロゲル増粘剤となる。本発明においては、この架橋型N,N−ジメチルアクリルアミド−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム共重合体を使用することが好ましい。また、第三成分の多官能性架橋モノマーとして、ジメチルアクリルアミドを添加し共重合して架橋型のミクロゲル増粘剤を合成し、これを使用することも好ましい。
【0038】
ミクロゲルを構成する共重合体中の2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸単位とジメチルアクリルアミド単位の含有量のモル比は、通常、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸単位:ジメチルアクリルアミド単位=0.5:9.5〜9.5:0.5、好ましくは1:9〜9:1であり、さらに好ましくは=3:7〜1:9である。最適比は2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸単位:ジメチルアクリルアミド単位=2:8である。ミクロゲル増粘剤の粘性は強解離基であるスルホニル基に基づく静電反発による分子鎖の伸展およびジメチルアクリルアミドの自発架橋反応あるいは架橋性単量体による架橋構造に起因しているが、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸単位またはその塩の含有量が、ジアルキルアクリルアミド単位に対して5モル%未満では十分に分子鎖の伸展が起こらないため十分な粘度が得られないことがある。
【0039】
架橋性モノマーの使用量は、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸またはその塩とジメチルアクリルアミドの全モル数に対し0.0001〜2.0モル%の範囲で添加されることが好ましい。
【0040】
ミクロゲルの分子量は重量平均分子量10万〜500万(PEG換算:GPCによる測定)程度である。
【0041】
ミクロゲルは重合後簡単な沈殿精製工程を経て粉末状態で分離することが可能である。粉末状に分離されたミクロゲルは、水あるいはエタノールまたは水/エタノールの混合溶剤に容易に分散して速やかに膨潤し増粘剤として機能する。
また、従来の多糖類の高分子増粘剤では増粘が不可能であった酸性製剤の増粘も可能である。さらに、増粘が困難とされたアルコールの増粘若しくはゲル化も可能である。
そして、従来の増粘剤の問題とされていた、使用時のぬるつき及び乾き際のべたつきが大幅に改善され、極めて優れた使用感を持つ皮膚外用剤の製造が可能になる。
【0042】
ポリアクリル酸アミド骨格を有する重合体の配合量は、皮膚外用剤全量に対して0.2〜3質量%、好ましくは、0.2〜2質量%、さらに好ましくは0.5〜1質量%である。製品形態に応じて適宜決定され、適する量が配合される。
【0043】
さらに、液状にするには、ポリアクリル酸アミド骨格を有する重合体の配合量は、0.5〜0.7質量%が好ましく、パラフェノールスルホン酸亜鉛を0.1〜1質量%配合することが好ましい。なぜなら、ロールオン容器に充填する液状皮膚外用剤を製造するため容易に希望する粘度に調整できるからである。すなわち、パラフェノールスルホン酸亜鉛による減粘効果と分散安定性向上効果により、液状皮膚外用剤の30℃における粘度を200〜4000mPa・sと容易に調整可能となり、好ましい液状皮膚外用剤が提供される。特に、ポリアクリル酸アミド骨格を有する重合体にミクロゲル増粘剤を使用した場合は、このパラフェノールスルホン酸亜鉛による減粘効果と分散安定性向上効果が著しい。
【0044】
ところで上述したパラフェノールスルホン酸亜鉛による減粘効果とは、銀イオン担持抗菌性ゼオライトを含有する水溶液にミクロゲル増粘剤を配合すると、特異的な粘度挙動を発揮するという新規な知見である。この特異的な粘度挙動を図1〜3に示す。
図1はミクロゲル増粘剤と銀イオン担持抗菌性ゼオライトとを配合した水溶液の粘度変化を示すグラフである。図2はミクロゲル増粘剤とパラフェノールスルホン酸亜鉛とを配合した水溶液の粘度変化を示すグラフである。そして図3は、銀イオン担持抗菌性ゼオライト、ミクロゲル増粘剤とパラフェノールスルホン酸亜鉛とを配合した水溶液の粘度変化を示すグラフである。
すなわち、ミクロゲル増粘剤により増粘する水溶液は、銀イオン担持抗菌性ゼオライトの配合量が増大するにつれて、その粘度は増大するが(図1)、パラフェノールスルホン酸亜鉛を配合するとその粘度は減少する(図2、図3)。
すなわち、銀イオン担持抗菌性ゼオライトはミクロゲル増粘剤の粘度向上剤として機能し、パラフェノールスルホン酸亜鉛はミクロゲル増粘剤の粘度抑制剤として作用する。
本発明においては、この知見を用いることによりミクロゲル増粘剤のみでは実現が困難な液状の皮膚外用剤として適格な粘度を調整することが可能となる。すなわち、ロールオン容器に充填する液状皮膚外用剤を製造するために最も好ましく、30℃での粘度が200〜4000mPa・sとなる好ましい液状皮膚外用剤が提供されるのである。また、粘度を上記知見により適宜適度に調整して、クリーム又はジェル状の皮膚外用剤を提供できるという利点がある。
【0045】
銀イオン担持抗菌性ゼオライトと水とを配合した水溶液においては、ポリアクリル酸アミド骨格を有する重合体は、他の多糖類高分子やカルボキシビニルポリマーを増粘剤として使用した場合と比較して、銀イオン担持抗菌性ゼオライト変色が少なく、かつ銀イオン担持抗菌性ゼオライトの分散安定性の効果に優れた皮膚外用剤を提供することが可能となる。
【0046】
本発明において、水の配合量は特に限定されないが、皮膚外用剤全量に対して50〜98質量%が好ましく、さらに好ましくは60〜98質量%、最も好ましくは70〜98質量%である。製品の種類により適宜決定される。水を多量に配合した液状の低粘度であっても銀イオン担持抗菌性ゼオライトの分散安定性が本発明により確保できる。この点で、本発明により提供される液状皮膚外用剤は極めて有用な発明である。液状皮膚外用剤には通常水が50〜98質量%配合される。
【0047】
液状皮膚外用剤の粘度は30℃での粘度が200〜4000mPa・s(B型粘度計にて測定)であることが好ましい。
特に好ましくは500〜3000mPa・sであり、この粘度範囲に調整すると、液状皮膚外用剤をロールオン容器に充填した場合、容器から出やすく、ロールオン部分からたれ落ちることなく、皮膚にスムーズに塗布することが可能となる。
【0048】
一方、本発明の皮膚外用剤をクリーム状又はジェル状の皮膚外用剤としても好ましい。なぜなら、クリーム又はジェル状に調製するためには、高分子増粘剤を高濃度で配合しなくてはならない。そうすると、高分子増粘剤と銀イオン担持抗菌性ゼオライトの組み合わせによる変色が発生しやすい。本発明によればその変色を抑制できるからである。
【0049】
本発明の皮膚外用剤には上記した必須成分の他に通常化粧品や医薬部外品等の皮膚外用剤に用いられる他の成分、例えば、粉末成分、液体油脂、固体油脂、ロウ、炭化水素油、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル油、シリコーン油、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、保湿剤、皮膜剤、紫外線吸収剤、金属イオン封鎖剤、低級アルコール、多価アルコール、糖、アミノ酸、有機アミン、高分子エマルジョン、pH調整剤、皮膚栄養剤、ビタミン、酸化防止剤、酸化防止助剤、香料等を必要に応じて適宜配合し、目的とする剤形に応じて常法により製造することが出来る。以下に具体的な配合可能成分を列挙するが、上記必須配合成分と、下記成分の一種または二種以上とを配合して本発明の皮膚外用剤を調製できる。
【0050】
上記銀イオン担持抗菌性ゼオライト以外の粉末成分としては、例えば、無機粉末(例えば、タルク、カオリン、雲母、絹雲母(セリサイト)、白雲母、金雲母、合成雲母、紅雲母、黒雲母、パーミキュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、マグネシウム、シリカ、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム(焼セッコウ)、リン酸カルシウム、弗素アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー、金属石鹸(例えば、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム)、窒化ホウ素等);有機粉末(例えば、ポリアミド樹脂粉末(ナイロン粉末)、ポリエチレン粉末、ポリメタクリル酸メチル粉末、ポリスチレン粉末、スチレンとアクリル酸の共重合体樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、ポリ四弗化エチレン粉末、セルロース粉末等);無機白色顔料(例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛等);無機赤色系顔料(例えば、酸化鉄(ベンガラ)、チタン酸鉄等);無機褐色系顔料(例えば、γ−酸化鉄等);無機黄色系顔料(例えば、黄酸化鉄、黄土等);無機黒色系顔料(例えば、黒酸化鉄、低次酸化チタン等);無機紫色系顔料(例えば、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット等);無機緑色系顔料(例えば、酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト等);無機青色系顔料(例えば、群青、紺青等);パール顔料(例えば、酸化チタンコーテッドマイカ、酸化チタンコーテッドオキシ塩化ビスマス、酸化チタンコーテッドタルク、着色酸化チタンコーテッドマイカ、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等);金属粉末顔料(例えば、アルミニウムパウダー、カッパーパウダー等);ジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料(例えば、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色228号、赤色405号、橙色203号、橙色204号、黄色205号、黄色401号、及び青色404号などの有機顔料、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色227号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、緑色3号及び青色1号等);天然色素(例えば、クロロフィル、β−カロチン等)等が挙げられる。
【0051】
液体油脂としては、例えば、アボカド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン等が挙げられる。
【0052】
固体油脂としては、例えば、カカオ脂、ヤシ油、硬化ヤシ油、パーム油、パーム核油、モクロウ核油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油等が挙げられる。
【0053】
ロウとしては、例えば、ミツロウ、カンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、ラノリン、カポックロウ、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ホホバロウ、硬質ラノリン、セラックロウ、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル、セレシン、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。
【0054】
炭化水素油としては、例えば、流動パラフィン、オゾケライト、スクワラン、プリスタン、パラフィン、スクワレン、ワセリン等が挙げられる。
【0055】
高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)等が挙げられる。
【0056】
高級アルコールとしては、例えば、直鎖アルコール(例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等);分枝鎖アルコール(例えば、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、2−デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等)等が挙げられる。
【0057】
エステル油としては、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2−エチルヘキサノエート、2−エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オレイル、アセトグリセライド、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸2−エチルヘキシル、クエン酸トリエチル等が挙げられる。
【0058】
シリコーン油としては、例えば、鎖状ポリシロキサン(例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等);環状ポリシロキサン(例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等)、3次元網目構造を形成しているシリコーン樹脂、シリコーンゴム、各種変性ポリシロキサン(アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等)等が挙げられる。
【0059】
アニオン界面活性剤としては、例えば、脂肪酸セッケン(例えば、ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等);高級アルキル硫酸エステル塩(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム等);アルキルエーテル硫酸エステル塩(例えば、POE-ラウリル硫酸トリエタノールアミン、POE-ラウリル硫酸ナトリウム等);N−アシルサルコシン酸(例えば、ラウロイルサルコシンナトリウム等);高級脂肪酸アミドスルホン酸塩(例えば、N−ミリストイル−N−メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ラウリルメチルタウリンナトリウム等);リン酸エステル塩(POE-オレイルエーテルリン酸ナトリウム、POE-ステアリルエーテルリン酸等);スルホコハク酸塩(例えば、ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、モノラウロイルモノエタノールアミドポリオキシエチレンスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルポリプロピレングリコールスルホコハク酸ナトリウム等);アルキルベンゼンスルホン酸塩(例えば、リニアドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、リニアドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、リニアドデシルベンゼンスルホン酸等);高級脂肪酸エステル硫酸エステル塩(例えば、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム等);N−アシルグルタミン酸塩(例えば、N−ラウロイルグルタミン酸モノナトリウム、N−ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム、N−ミリストイル−L−グルタミン酸モノナトリウム等);POE-アルキルエーテルカルボン酸;POE-アルキルアリルエーテルカルボン酸塩;α−オレフィンスルホン酸塩;高級脂肪酸エステルスルホン酸塩;二級アルコール硫酸エステル塩;高級脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩;ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム;N−パルミトイルアスパラギン酸ジトリエタノールアミン;カゼインナトリウム等が挙げられる。
【0060】
カチオン界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩(例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム等);アルキルピリジニウム塩(例えば、塩化セチルピリジニウム等);塩化ジステアリルジメチルアンモニウムジアルキルジメチルアンモニウム塩;塩化ポリ(N,N’−ジメチル−3,5−メチレンピペリジニウム);アルキル四級アンモニウム塩;アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩;アルキルイソキノリニウム塩;ジアルキルモリホニウム塩;POE-アルキルアミン;アルキルアミン塩;ポリアミン脂肪酸誘導体;アミルアルコール脂肪酸誘導体;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。
【0061】
両性界面活性剤としては、例えば、イミダゾリン系両性界面活性剤(例えば、2−ウンデシル−N,N,N−(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)−2−イミダゾリンナトリウム、2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等);ベタイン系界面活性剤(例えば、2−ヘプタデシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)等が挙げられる。
【0062】
親油性非イオン界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等);グリセリンポリグリセリン脂肪酸類(例えば、モノ綿実油脂肪酸グリセリン、モノエルカ酸グリセリン、セスキオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、α,α’−オレイン酸ピログルタミン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸等);プロピレングリコール脂肪酸エステル類(例えば、モノステアリン酸プロピレングリコール等);硬化ヒマシ油誘導体;グリセリンアルキルエーテル等が挙げられる。
【0063】
親水性非イオン界面活性剤としては、例えば、POE-ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、POE-ソルビタンモノオレエート、POE-ソルビタンモノステアレート、POE-ソルビタンテトラオレエート等);POEソルビット脂肪酸エステル類(例えば、POE-ソルビットモノラウレート、POE-ソルビットモノオレエート、POE-ソルビットペンタオレエート、POE-ソルビットモノステアレート等);POE-グリセリン脂肪酸エステル類(例えば、POE-グリセリンモノステアレート、POE-グリセリンモノイソステアレート、POE-グリセリントリイソステアレート等のPOE-モノオレエート等);POE-脂肪酸エステル類(例えば、POE-ジステアレート、POE-モノジオレエート、ジステアリン酸エチレングリコール等);POE-アルキルエーテル類(例えば、POE-ラウリルエーテル、POE-オレイルエーテル、POE-ステアリルエーテル、POE-ベヘニルエーテル、POE−2−オクチルドデシルエーテル、POE-コレスタノールエーテル等);プルロニック型類(例えば、プルロニック等);POE・POP-アルキルエーテル類(例えば、POE・POP-セチルエーテル、POE・POP−2−デシルテトラデシルエーテル、POE・POP-モノブチルエーテル、POE・POP-水添ラノリン、POE・POP-グリセリンエーテル等);テトラPOE・テトラPOP-エチレンジアミン縮合物類(例えば、テトロニック等);POE-ヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体(例えば、POE-ヒマシ油、POE-硬化ヒマシ油、POE-硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE-硬化ヒマシ油トリイソステアレート、POE-硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、POE-硬化ヒマシ油マレイン酸等);POE-ミツロウ・ラノリン誘導体(例えば、POE-ソルビットミツロウ等);アルカノールアミド(例えば、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等);POE-プロピレングリコール脂肪酸エステル;POE-アルキルアミン;POE-脂肪酸アミド;ショ糖脂肪酸エステル;アルキルエトキシジメチルアミンオキシド;トリオレイルリン酸等が挙げられる。
【0064】
保湿剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ムコイチン硫酸、カロニン酸、アテロコラーゲン、コレステリル−12−ヒドロキシステアレート、乳酸ナトリウム、胆汁酸塩、dl−ピロリドンカルボン酸塩、短鎖可溶性コラーゲン、ジグリセリン(EO)PO付加物、イザヨイバラ抽出物、セイヨウノコギリソウ抽出物、メリロート抽出物等が挙げられる。
【0065】
紫外線吸収剤としては下記化合物が挙げられる。
(1)安息香酸系紫外線吸収剤
例えば、パラアミノ安息香酸(以下、PABAと略す)、PABAモノグリセリンエステル、N,N−ジプロポキシPABAエチルエステル、N,N−ジエトキシPABAエチルエステル、N,N−ジメチルPABAエチルエステル、N,N−ジメチルPABAブチルエステル、N,N−ジメチルPABAエチルエステルなど。
(2)アントラニル酸系紫外線吸収剤
例えば、ホモメンチル−N−アセチルアントラニレートなど。
(3)サリチル酸系紫外線吸収剤
例えば、アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p−イソプロパノールフェニルサリシレートなど。
(4)ケイ皮酸系紫外線吸収剤
例えば、オクチルシンナメート、エチル−4−イソプロピルシンナメート、メチル−2,5−ジイソプロピルシンナメート、エチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、メチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、プロピル−p−メトキシシンナメート、イソプロピル−p−メトキシシンナメート、イソアミル−p−メトキシシンナメート、オクチル−p−メトキシシンナメート(2−エチルヘキシル−p−メトキシシンナメート)、2−エトキシエチル−p−メトキシシンナメート、シクロヘキシル−p−メトキシシンナメート、エチル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、2−エチルヘキシル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、グリセリルモノ−2−エチルヘキサノイル−ジパラメトキシシンナメートなど。
(5)トリアジン系紫外線吸収剤
例えば、ビスレゾルシニルトリアジン。
さらに具体的には、ビス{〔4−(2−エチルヘキシロキシ)−2−ヒドロキシ〕フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス{4−(2−エチルヘキシロキシカルボニル)アニリノ}1,3,5−トリアジンなど。
(6)その他の紫外線吸収剤
例えば、3−(4’−メチルベンジリデン)−d,l−カンファー、3−ベンジリデン−d,l−カンファー、2−フェニル−5−メチルベンゾキサゾール、2,2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニルベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニルベンゾトリアゾール、ジアニソイルメタン、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン、5−(3,3−ジメチル−2−ノルボルニリデン)−3−ペンタン−2−オン。ジモルホリノピリダジノンなどのピリダジン誘導体。
【0066】
金属イオン封鎖剤としては、例えば、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジフォスホン酸、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジフォスホン酸四ナトリウム塩、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、コハク酸、エデト酸、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸3ナトリウム等が挙げられる。
【0067】
低級アルコールとしては、例えば、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール等が挙げられる。
【0068】
多価アルコールとしては、例えば、2価のアルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、テトラメチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、ペンタメチレングリコール、2−ブテン−1,4−ジオール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコール等);3価のアルコール(例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン等);4価アルコール(例えば、1,2,6−ヘキサントリオール等のペンタエリスリトール等);5価アルコール(例えば、キシリトール等);6価アルコール(例えば、ソルビトール、マンニトール等);多価アルコール重合体(例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、トリグリセリン、テトラグリセリン、ポリグリセリン等);2価のアルコールアルキルエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ2−メチルヘキシルエーテル、エチレングリコールイソアミルエーテル、エチレングリコールベンジルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル等);2価アルコールアルキルエーテル類(例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエーテル等);2価アルコールエーテルエステル(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、エチレングリコールジアジベート、エチレングリコールジサクシネート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノフェニルエーテルアセテート等);グリセリンモノアルキルエーテル(例えば、キミルアルコール、セラキルアルコール、バチルアルコール等);糖アルコール(例えば、ソルビトール、マルチトール、マルトトリオース、マンニトール、ショ糖、エリトリトール、グルコース、フルクトース、デンプン分解糖、マルトース、キシリトース、デンプン分解糖還元アルコール等);グリソリッド;テトラハイドロフルフリルアルコール;POE-テトラハイドロフルフリルアルコール;POP-ブチルエーテル;POP・POE-ブチルエーテル;トリポリオキシプロピレングリセリンエーテル;POP-グリセリンエーテル;POP-グリセリンエーテルリン酸;POP・POE-ペンタンエリスリトールエーテル、ポリグリセリン等が挙げられる。
【0069】
単糖としては、例えば、三炭糖(例えば、D−グリセリルアルデヒド、ジヒドロキシアセトン等);四炭糖(例えば、D−エリトロース、D−エリトルロース、D−トレオース、エリスリトール等);五炭糖(例えば、L−アラビノース、D−キシロース、L−リキソース、D−アラビノース、D−リボース、D−リブロース、D−キシルロース、L−キシルロース等);六炭糖(例えば、D−グルコース、D−タロース、D−ブシコース、D−ガラクトース、D−フルクトース、L−ガラクトース、L−マンノース、D−タガトース等);七炭糖(例えば、アルドヘプトース、ヘプロース等);八炭糖(例えば、オクツロース等);デオキシ糖(例えば、2−デオキシ-D−リボース、6−デオキシ−L−ガラクトース、6−デオキシ−L−マンノース等);アミノ糖(例えば、D−グルコサミン、D−ガラクトサミン、シアル酸、アミノウロン酸、ムラミン酸等);ウロン酸(例えば、D−グルクロン酸、D−マンヌロン酸、L−グルロン酸、D−ガラクツロン酸、L−イズロン酸等)等が挙げられる。
【0070】
オリゴ糖としては、例えば、ショ糖、ウンベリフェロース、ラクトース、プランテオース、イソリクノース類、α,α−トレハロース、ラフィノース、リクノース類、スタキオースベルバスコース類等が挙げられる。
【0071】
多糖としては、例えば、セルロース、クインスシード、コンドロイチン硫酸、デンプン、ガラクタン、デルマタン硫酸、グリコーゲン、アラビアガム、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、トラガントガム、ケラタン硫酸、コンドロイチン、キサンタンガム、ムコイチン硫酸、グアガム、デキストラン、ケラト硫酸、ローカストビンガム、サクシノグルカン、カロニン酸等が挙げられる。
【0072】
アミノ酸としては、例えば、中性アミノ酸(例えば、スレオニン、システイン等);塩基性アミノ酸(例えば、ヒドロキシリジン等)等が挙げられる。また、アミノ酸誘導体として、例えば、アシルサルコシンナトリウム(ラウロイルサルコシンナトリウム)、アシルグルタミン酸塩、アシルβ−アラニンナトリウム、グルタチオン、ピロリドンカルボン酸等が挙げられる。
【0073】
有機アミンとしては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、トリイソプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール等が挙げられる。
【0074】
pH調製剤としては、例えば、乳酸−乳酸ナトリウム、クエン酸−クエン酸ナトリウム、コハク酸−コハク酸ナトリウム等の緩衝剤等が挙げられる。
【0075】
ビタミンとしては、例えば、ビタミンA、B1、B2、B6、C、Eおよびその誘導体、パントテン酸およびその誘導体、ビオチン等が挙げられる。
【0076】
酸化防止剤としては、例えば、トコフェロール類、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸エステル類等が挙げられる。
【0077】
酸化防止助剤としては、例えば、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、ケファリン、ヘキサメタフォスフェイト、フィチン酸、エチレンジアミン四酢酸等が挙げられる。
【0078】
その他の配合可能成分としては、例えば、防腐剤(メチルパラベン、エチルパラベン、ブチルパラベン、フェノキシエタノール等);消炎剤(例えば、グリチルリチン酸誘導体、グリチルレチン酸誘導体、サリチル酸誘導体、ヒノキチオール、酸化亜鉛、アラントイン等);美白剤(例えば、ユキノシタ抽出物、アルブチン、トラネキサム酸、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩、L−アスコルビン酸グルコシド、4−メトキシサリチル酸カリウム等);各種抽出物(例えば、オウバク、オウレン、シコン、シャクヤク、センブリ、バーチ、セージ、ビワ、ニンジン、アロエ、ゼニアオイ、アイリス、ブドウ、ヨクイニン、ヘチマ、ユリ、サフラン、センキュウ、ショウキュウ、オトギリソウ、オノニス、ニンニク、トウガラシ、チンピ、トウキ、海藻等)、賦活剤(例えば、ローヤルゼリー、感光素、コレステロール誘導体等);血行促進剤(例えば、ニコチン酸ベンジルエステル、ニコチン酸β−ブトキシエチルエステル、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、タンニン酸、α−ボルネオール、ニコチン酸トコフェロール、イノシトールヘキサニコチネート、シクランデレート、シンナリジン、トラゾリン、アセチルコリン、ベラパミル、セファランチン、γ−オリザノール等);抗脂漏剤(例えば、硫黄、チアントール等);抗炎症剤(例えば、チオタウリン、ヒポタウリン等);殺菌剤(例えば、安息香酸及びその塩類、イソプロピルメチルフェノール、ウンデシレン酸及びその塩類、ウンデシレン酸モノエタノールアミド、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンザトニウム、塩化アルキルジアミノエチルグリシン、塩化クロルヘキシジン、オルトフェニルフェノール、グルコン酸クロルヘキシジン、クレゾール、クロラミンT、クロルキシレノール、クロルクレゾール、クロルフェネシン、クロロブタノール、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、サリチル酸及びその塩類、1,3−ジメチロール−5,5−ジメチルヒダントイン、臭化アルキルイソキノリニウム、臭化ドミフェン、ソルビン酸及びその塩類、チモール、チラム、デヒドロ酢酸及びその塩類、トリクロサン、トリクロロカルバニリド、パラオキシ安息香酸エステル、パラクロルフェノール、ハロカルバン、ピロガロール、フェノール、ヘキサクロロフェン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、NN"−メチレンビス(N'−(3−ヒドロキシメチル−2.5−ジオキソ−4−イミダ、ラウロイルサルコシンナトリウム、レゾルシン等)等が挙げられる。
【実施例】
【0079】
次に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。本発明はこれによって限定されるものではない。配合量は特に断りのない限り全量に対する質量%である。
【0080】
実施例及び比較例の皮膚外用剤を常法により製造し本発明の顕著な効果を検討した。効果の評価方法と使用した配合成分を先ず表1〜3に示す。







【0081】
「評価方法」
【表1】

【0082】
「ポリアクリル酸アミド骨格を有する重合体」
実施例にて使用したポリアクリル酸アミド骨格を有する重合体は下記の3種である。
【表2】

なお、ポリアクリル酸アミド骨格を有する重合体(1)は、架橋型N,N−ジメチルアクリルアミド−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム共重合体であり、本発明の請求項2に規定するミクロゲル増粘剤である。これは重合品を使用した。具体的な重合は下記によるものである。
<ミクロゲル増粘剤の重合品>
ジメチルアクリルアミド(興人製)を35gと2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸(Sigma製)17.5gおよびメチレンビスアクリルアミド70mgを260gのイオン交換水に溶解し水酸化ナトリウムでpH=7.0に調節する。還流装置を備えた1000ml三つ口フラスコに、n-ヘキサン260gとポリオキシエチレン(3)オレイルエーテル(エマレックス503、日本エマルション製)8.7gおよびエポリオキシエチレン(6)オレイルエーテル(エマレックス506、日本エマルション製)17.6gを入れ混合溶解しN2置換する。この三つ口フラスコにモノマー水溶液を添加してN2雰囲気下で攪拌しながらオイルバスで65℃〜70℃に加熱する。系の温度が65℃〜70℃に達したところで系が半透明なマイクロエマルション状態になっていることを確認した後、過硫酸アンモニウム2gを重合系に添加し重合を開始する。重合系を65〜70℃に3時間攪拌しながら維持することでミクロゲルが生成する。重合終了後ミクロゲル懸濁液にアセトンを加えてミクロゲルを沈殿させ、引き続きアセトンで3回洗浄し、残存モノマーおよび界面活性剤を除去する。沈殿物は濾過後減圧乾燥し、白色粉末状のミクロゲル乾燥物を得る。


【0083】
「使用した配合成分」
<高分子増粘剤>
【表3】

<銀イオン担持抗菌性ゼオライト>
【表4】

【0084】
<比較例と実施例から実証されること>
最初に増粘剤としてポリアクリル酸アミド骨格を有する重合体ではなく、その他の高分子を使用した場合の比較例とその効果を挙げる。高分子増粘剤を配合しない比較例1〜2では分散安定性が確保されない。また、その他の高分子を使用した比較例3〜6では、分散安定性が確保されず、かつ変色が発生する。
しかしながら、本発明の実施例では、変色を発生させずに、分散安定性が確保される。
【0085】
<請求項1の発明に対する実施例及び比較例>
【表5】

比較例1及び2、実施例1及び3は液状皮膚外用剤である。実施例2及び4はクリーム状化粧料である。

【表6】

比較例3はジェル状皮膚外用剤であり、その他は全て液状皮膚外用剤である。
【0086】
【表7】

実施例6及び12はジェル状皮膚外用剤であり、実施例7は液状皮膚外用剤であり、
実施例8〜11はクリーム状皮膚外用剤である。












【0087】
<請求項3の発明に対する実施例及び比較例>
【表8】

実施例13〜15は液状皮膚外用剤であり、実施例16〜18はジェル状皮膚外用剤である。
【表9】

比較例8はジェル状皮膚外用剤であり、実施例19及び比較例7は、液状皮膚外用剤である。
【0088】
【表10】

実施例20〜22は液状皮膚外用剤であり、実施例23〜25はジェル状皮膚外用剤である。
【0089】
次に本発明の代表的な処方例を挙げる。
「ロールオン容器に適するローション(液状化粧料)の処方例1」
【表11】

【0090】
「ロールオン容器に適するローション(液状化粧料)の処方例2」
【表12】

【0091】
「ロールオン容器に適するローション(液状化粧料)の処方例3」
【表13】

【0092】
「ジェル状化粧料」
【表14】

【0093】
「クリーム状化粧料」
セチルアルコール 5.0質量%
ステアリン酸 3.0
メチルフェニルポリシロキサン(13mPa・s 25℃) 1.0
ワセリン 4.0
スクワラン 9.0
グリセロールトリ2−エチルへキサン酸エステル 7.0
(保湿剤)
ジプロピレングリコール 5.0
グリセリン 5.0
(界面活性剤)
プロピレングリコールモノステアリン酸エステル 3.0
POE(20)セチルアルコールエーテル 3.0
(アルカリ)
トリエタノールアミン 1.0
(粉末)
銀イオン担持抗菌性ゼオライト
(平均粒子系0.9μm) 0.5
防腐剤 0.1
酸化防止剤 0.05
香料 0.01
精製水 残 余
パラフェノールスルホン酸亜鉛 0.1
ポリアクリル酸アミド骨格を有する重合体(2) 0.5
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明の皮膚外用剤は、抗菌効果が高い銀イオン担持抗菌性ゼオライトを配合しているので、防臭用皮膚外用剤、防臭化粧料、制汗化粧料、消臭化粧料等として好ましく利用される。本発明の皮膚外用剤は、沈降し易い銀イオン担持抗菌性ゼオライトの粉末を配合しているにもかかわらず、その分散安定性に優れ、かつ銀イオン担持抗菌性ゼオライトに起因する変色を抑制できる。
【0095】
本発明は、特にロールオン容器に充填する液状化粧料として好ましく利用される。なぜなら、水を多量に配合した液状の低粘度であっても銀イオン担持抗菌性ゼオライトの分散安定性が本発明により容易に確保できるし、かつ増粘効果が高いミクロゲル増粘剤を使用したとしてもロールオンタイプに最も適する粘度に容易に調整できるからである。
【0096】
また、本発明は、クリーム又はジェル状化粧料に対しても好ましい利用される。なぜなら、クリーム又はジェル状に調製するためには、高分子増粘剤を高濃度で配合しなくてはならず、そうすると銀イオン担持抗菌性ゼオライトによる変色が発生しやすい。しかしながら、本発明によればその変色を抑制できるからである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
銀イオン担持抗菌性ゼオライトと水とポリアクリル酸アミド骨格を有する重合体を配合する皮膚外用剤において、皮膚外用剤全量に対して、銀イオン担持抗菌性ゼオライトの配合量が0.001〜5質量%であることを特徴とする皮膚外用剤。
【請求項2】
前記ポリアクリル酸アミド骨格を有する重合体が、下記のミクロゲルからなる増粘剤であることを特徴とする請求項1記載の皮膚外用剤。
有機溶媒若しくは油分を分散媒とし水を分散相とする組成物において、前記組成物が界面活性剤を含有し一相マイクロエマルションあるいは微細W/Oエマルションを形成する条件下において、ジメチルアクリルアミドと2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸又はその塩とを分散相に溶解し分散相中にてラジカル重合して得られるミクロゲルからなる増粘剤。
【請求項3】
皮膚外用剤全量に対して、前記重合体の配合量が0.5〜1質量%であり、さらにパラフェノールスルホン酸亜鉛を0.1〜1質量%配合することを特徴とする請求項1又は2記載の皮膚外用剤。
【請求項4】
前記皮膚外用剤が液状であって、その30℃での粘度が200〜4000mPa・sであることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項記載の皮膚外用剤。
【請求項5】
前記液状皮膚外用剤がロールオン容器に充填された防臭化粧料であることを特徴とする請求項4記載の液状皮膚外用剤。
【請求項6】
前記皮膚外用剤がクリーム状又はジェル状の皮膚外用剤であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項記載の皮膚外用剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−6875(P2012−6875A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−144778(P2010−144778)
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【出願人】(000001959)株式会社 資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】