説明

皮膜層付き角線の皮膜剥離装置及び方法

【課題】皮膜バリの出ない皮膜剥離加工を提供する。
【解決手段】回転電機の巻き線コイルに用いられる皮膜層付き角線(1)の、長手方向に平行な2側面を、所定の削り代で剥離する剥離装置(100)であって、該剥離装置(100)は、前記皮膜付角線(1)上面の皮膜層に、前記長手方向に垂直な筋付け線(21’)を切り込む、上突起刃(21)を有する上側分離パンチ(20)と、前記皮膜付角線(1)下面の皮膜層に、前記長手方向に垂直な筋付け線(21’)を切り込む、下突起刃(31)を有する下側分離パンチ(30)と、前記2側面を、所定の削り代で同時に剥離する縦剥離カッタ(10)と、を具備する剥離装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膜層付き角線、特に回転電機の巻き線コイルに用いられる皮膜層付き角線の皮膜剥離装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
モータや発電機などの回転電機において、導体線に樹脂皮膜をコーティングしたいわゆるエナメル線を用いるのが通常であるため、このエナメル線の端末は電気接続のために樹脂皮膜を剥離する必要がある。
従来、このような導体線の樹脂皮膜の剥離方法として、特許文献1が知られている。これは、隣接するカッタ刃同士を組み合わせて、矩形状断面の刃先空間を作り、矩形状の線材に被覆された絶縁材を剥離するものである。この装置では、導体線自体に傷や曲げなどの変形を発生させたり、樹脂皮膜の剥離部にバリなどを発生させる問題が生じていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−189857号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記問題に鑑み、皮膜層付き角線、特に回転電機の巻き線コイルに用いられる皮膜層付き角線の皮膜剥離装置及び方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、回転電機の巻き線コイルに用いられる皮膜層付き角線(1)の、長手方向に平行な2側面を、所定の削り代で剥離する剥離装置(100)であって、該剥離装置(100)は、前記皮膜付角線(1)上面の皮膜層に、前記長手方向に垂直な筋付け線(21’)を切り込む、上突起刃(21)を有する上側分離パンチ(20)と、前記皮膜付角線(1)下面の皮膜層に、前記長手方向に垂直な筋付け線(21’)を切り込む、下突起刃(31)を有する下側分離パンチ(30)と、前記2側面を、所定の削り代で同時に剥離する縦剥離カッタ(10)と、を具備する剥離装置である。
【0006】
これにより、角部で皮膜バリが発生することが無く、皮膜線の変形を押えて、超高速で剥離処理を行うことができる。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記皮膜層付き角線(1)が、最外層皮膜(3)と内層皮膜(4)の二層以上の皮膜層で覆われていることを特徴とする。これにより、最外層皮膜材が軟質で延性があり、密着性が悪い場合には、特に剥離時に角部で皮膜バリの発生を抑えることができる。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、さらに、前記皮膜付角線(1)上下面を、所定の削り代で同時に剥離する横剥離カッタ(60)による横剥離装置(101)が付属していることを特徴とする。これにより、角部で皮膜バリが発生することが無く、皮膜線の変形を押えて、超高速で剥離処理を行うことができる。
【0009】
請求項4の発明は、回転電機の巻き線コイルに用いられる皮膜層付き角線(1)の、長手方向に平行な2側面を、所定の削り代で剥離する剥離方法であって、上突起刃(21)を有する上側分離パンチ(20)と、下突起刃(31)を有する下側分離パンチ(30)との間に、前記皮膜層付きの角線(1)を挟み付けて、前記皮膜付角線(1)の上下面の皮膜層に、前記長手方向に垂直な筋付け線(21’)を切り込む筋目付け加工工程と、前記筋付け線(21’)が切り込まれた前記皮膜層付きの角線(1)に対して、前記長手方向に平行な2側面を、縦剥離カッタ(10)により、所定の削り代で同時に剥離する縦剥離加工工程と、を具備する剥離方法である。これにより請求項1の発明と同様な効果が生じる。
【0010】
請求項5の発明は、請求項4の発明において、前記皮膜層付き角線(1)が、最外層皮膜(3)と内層皮膜(4)の二層以上の皮膜層で覆われていることを特徴とする。
【0011】
請求項6の発明は、請求項4又は5の発明において、さらに、前記皮膜付角線(1)の上下面を、所定の削り代で同時に剥離する横剥離加工工程を具備することを特徴とする。
【0012】
なお、上記に付した符号は、後述する実施形態に記載の具体的実施態様との対応関係を示す一例である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】皮膜を剥離した角線の斜視図である。
【図2】比較技術の場合の皮膜剥離の説明図である。(a)は、皮膜剥離前の皮膜線、(b)は、剥離中、(c)は剥離後の説明図である。
【図3】本発明の一実施形態の場合の皮膜剥離の説明図である。(a)は、皮膜剥離前の皮膜線、(b)は、筋目付け後の皮膜線、(c)は、縦剥離カッタ10により剥離中の皮膜線、(d)は、縦剥離カッタ10による剥離後、横剥離カッタ60により剥離中の皮膜線の説明図である。(a)〜(d)において、それぞれ、(1)は平面図、(2)は正面図、(3)は側面断面図である。
【図4】本発明の一実施形態を示す全体図である。
【図5】(b)は、縦剥離カッタ10の構造を示す正面図であり、(a)は、(b)のA−A線に関する断面図である。
【図6】(b)は、上側分離パンチ20の平面図であり、(a)は、(b)のB−B線に関する断面図である。(c)は、(b)のC−C線に関する断面図である。
【図7】突起刃21の拡大図である。
【図8】(a)は、下側分離パンチ30の平面図であり、(b)は、(a)のD−D線に関する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態を説明する。各実施態様について、同一構成の部分には、同一の符号を付してその説明を省略する。本発明の各実施形態が、本発明の基礎となった比較技術に対しても同一構成の部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0015】
モータや発電機などの回転電機のステータコイルやロータコイルには、スロット占有率の高い角線が用いられるようになってきている。回転電機において、導体線に樹脂皮膜等をコーティングしたいわゆる絶縁皮膜付き導体線(以下、皮膜線という)を用いるのが通常であり、この端末は電気接続のために皮膜を剥離する必要がある。
図1は、皮膜を剥離した角線の斜視図である。皮膜線1の端子部で、溶接、ろう付けなどをするために、皮膜線1の断面の横両側2面、縦両側2面、合わせて縦横4面を所定の削り代で剥離する。縦横4面の皮膜を剥離した後は、図1に示したハッチング部をカットして、それぞれを端子部にする。
【0016】
本発明の基礎となった比較技術の場合には、次のようにして皮膜を剥離していた。図2は、比較技術の場合の皮膜剥離の説明図である。(a)は、皮膜剥離前の皮膜線、(b)は、剥離中、(c)は剥離後の説明図である。ダイに角線1を載せて、剥離カッタ10を下降させ、打ち抜き剥離を行っていた。皮膜線として、2種の皮膜材で覆われているコイル銅線を、上述の比較技術で剥離すると、最外層皮膜材3が軟質で延性であり密着性が悪いことから、剥離時に角部で皮膜バリ9が発生する。つまり、剥離時に皮膜が剥がれてしまうことが多く問題となっていた。このような皮膜バリ9は、回転電機などに組み込まれた後脱落して、内部損傷の原因となるため、皮膜バリ9が発生しないような皮膜剥離手段・方法が課題となっていた。図2(a)の皮膜線1の高さH、幅Tは、一例として、2〜3mm程度のものである。
【0017】
2種の皮膜材で覆われているコイル銅線の場合、内側にエナメル系、外側にPPS(ポリフェニレンサルファイド)系の材質で構成されるものであるが、PPS系はエナメルとの密着性が非常に悪く、皮膜バリ9が発生しやすいものである。
【0018】
これに対して、本発明の一実施形態は次のようなものである。図3は、本発明の一実施形態の場合の皮膜剥離の説明図である。(a)は、皮膜剥離前の皮膜線、(b)は、筋目付け後の皮膜線、(c)は、縦剥離カッタ10により剥離中の皮膜線、(d)は、縦剥離カッタ10による剥離後、横剥離カッタ60により剥離中の皮膜線の説明図である。(a)〜(d)において、それぞれ、(1)は平面図、(2)は正面図、(3)は側面断面図である。61は、縦剥離カッタ10による剥離される被剥離部、62は、横剥離カッタ60による剥離される被剥離部である。被剥離部61、62(内外層4、3等)が剥がされると、図1に示すような状態となる。
ここで、図3(b)、(c)、(d)の加工を、以下、それぞれ、筋目付け加工、縦剥離加工、横剥離加工と呼ぶ。
【0019】
以下の説明では、内層にエナメル系皮膜4(内層皮膜)、外層にPPS系の材質の皮膜3(外層皮膜)で構成された2種の皮膜材で覆われている矩形断面のコイル銅線1(皮膜線)を、一例として挙げて説明するが、本発明が適用されるのは、これに限定されるものではない。導体線2としては、銅のみならずアルミであっても良い。その他、外層がナイロン等の絶縁材、内層がポリアミドイミド等の絶縁材の場合であっても適用可能である。外層が軟質で延性があったり、内層との密着性が悪い場合であれば全て適用可能である。3層の皮膜材で覆われた場合であっても本発明は適用可能である。
【0020】
図4は、本発明の一実施形態を示す全体図である。図4の剥離装置100では、図3の(b)、(c)の筋目付け加工、縦剥離加工がなされる。図3(d)の横剥離カッタ60による横剥離加工は、図4の装置では行われない(横剥離加工については後述する)。
皮膜線1は、図4の中心部に断面として想像線で描かれている。図4の紙面に垂直方向(長手方向という)に、皮膜線1は、一例として連続した長尺線の状態で、ガイドされて送られてくる(皮膜線1の側面は、ガイドやガイドローラで正確に位置決めされている)。皮膜線1の剥離位置が、剥離装置100の所定位置に達すると、皮膜線1の送りが停止する。
【0021】
図5(b)は、縦剥離カッタ10の構造を示す正面図であり、(a)は、(b)のA−A線に関する断面図である。
図6(b)は、上側分離パンチ20の平面図であり、(a)は、(b)のB−B線に関する断面図である。(c)は、(b)のC−C線に関する断面図である。図6(c)には、上突起刃21が実際より拡大されて表示されている。実際の上突起刃21は、1mm以下の高さである。縦剥離カッタ10、上側分離パンチ20の詳細については、後で説明する。
図7は、突起刃21の拡大図である。
図8(a)は、下側分離パンチ30の平面図であり、(b)は、(a)のD−D線に関する断面図である。
【0022】
図4を参照して、装置概略をまず説明する。剥離装置100は、上部ホルダ41と下部ホルダ40からなり、上部ホルダ41は、図示しない駆動部により、上下動する。下部ホルダ40は、本実施形態ではベースに固定されている(上下動させても良い)。上部ホルダ41には、コラム25と連結した上側分離パンチ20が、上下動できる構造で懸架されている。コラム25の上端には、つば部23が設けられており、上部ホルダ41に対してバネ24で下方に押圧している。つば部23は、上部ホルダ41に設けられた座部26で停止し、常にバネ24で下側に荷重が掛かった状態となっている。上部分離パンチ20が、皮膜線1に当接すると、コラム25の上端のつば部23が、バネ24を押圧して、上部ホルダ41がさらに下降しても、上側分離パンチ20は皮膜線1の上面で停止する。
【0023】
上部ホルダ41の中央部にはカッタ保持穴28が施されており、その穴の中に縦剥離カッタ10が適当な手段で、上部ホルダ41に固定されている。
上側分離パンチ20の上パンチ中央部22の両側には上パンチ矩形穴27が施されていて、縦剥離カッタ10が通過できるようになっている。図4において、下側分離パンチ30は、下部ホルダ40にねじで固定されている。下側分離パンチ30には、上側分離パンチ20と同様に、下パンチ中央部32の両側に、下パンチ矩形穴33が施されていて、縦剥離カッタ10が通過できるようになっている。
【0024】
図5に示されるように、縦剥離カッタ10には、中溝12が設けられている。中溝12の下端部両側には、超硬台座11’’に接着されたダイヤモンド刃11’が接着により取り付けられている。超硬台座11’’とダイヤモンド刃11’を合わせて、剥離刃11を構成している。刃先は、図5(a)に示めすように、傾斜刃となっている。両側の刃先先端は、中溝12を囲んで垂直方向同位置になるように設定されている。これは、皮膜線1の上面に刃先が食い込むときに、皮膜線1にモーメントを発生させないようにする必要があるためである。
【0025】
図6に示されるように、上側分離パンチ20には、上パンチ中央部22の両側(図6の紙面上左右)には、2個の上パンチ矩形穴27が施されている。上パンチ中央部22の紙面上上下端部には、上突起刃21、21が設けられている。上突起刃21の幅は、ほぼ皮膜線1の幅T程度であり、高さhは、外層皮膜3の厚さと同じぐらいに設定されている。上側分離パンチ20と下側分離パンチ30で皮膜線1を挟み込んだときでも、上突起刃21の刃先が、導体線2に達しないように設定されなければならない(刃先で導体線2の表面を傷つけないようにする)。上突起刃21は、筋付け線21’(図3の(b)参照)を切り込み形成する。図7には、上突起刃21の拡大図が示されており、上側分離パンチ20を水平に置いたとき、刃先を通る垂直線と、刃傾斜面とのなす角度は、上パンチ中央部22に面する方の角度α1が、反対側のα2より大きくなっている。これは、上パンチ中央部22に面する方(被剥離部61側)に皮膜を肉盛させ、端子部側(被剥離部61と反対側)の皮膜をできるだけ変形させないとともに、皮膜バリ9を除去できるようにするためである。
【0026】
これと同様に、図8に示すように、下パンチ中央部32の紙面上上下端部には、下突起刃31、31が設けられている。上側分離パンチ20と下側分離パンチ30で皮膜線1を挟み込んだとき、上下突起刃21、21、31、31により、上下に筋付け線21’を切り込むことができる。
図8に示されるように、下側分離パンチ30には、下パンチ中央部32の両側(図8の紙面上左右)には、2個の下パンチ矩形穴33が施されている。下突起刃31の幅も、ほぼ皮膜線1の幅T程度であり、高さhは、外層皮膜3の厚さと同じぐらいに設定されている。上側分離パンチ20と下側分離パンチ30で皮膜線1を挟み込んだときに、下突起刃31の刃先が、導体線2に達しないように設定されなければならない(刃先で導体線2の表面を傷つけないようにする)。下突起刃31の刃先形状は、図7と同様である。下側分離パンチ30を下ホルダ40に固定するためのボルト固定用の座面31が、下側分離パンチ30には2箇所設けられている。
【0027】
本発明の一実施形態の作動を、図3、4を参照して説明する。
上部ホルダ41を下降させると、まず上側分離パンチ20が皮膜線1の上面に接触して皮膜線1を下げる。更に、上側分離パンチ20を下げると、皮膜線1は、下側分離パンチ30に接触するまで下がる。上側分離パンチ20と下側分離パンチ30に、皮膜線1は、挟まれた状態、つまり、上下突起刃21、21、31、31が、皮膜線1に突き刺さった状態となり、筋目付け加工が行われる(図3(b))。
【0028】
更に、上部ホルダ41を下降させると、縦剥離カッタ10の剥離刃11が下降してくる。剥離刃11が下降すると、皮膜線1の導体線(銅材)を薄くスライスして、内外層4、3を含む被剥離部61(皮膜線1の2側面)は剥がされる(図3(c))。皮膜線1の導体線(銅材)を薄くスライスすることが重要であり、これにより良導性が確保される。このとき上側分離パンチ20は、その位置でそれ以上には下がらず、上ホルダ41中のバネ24だけが押圧されていくことになる。下側分離パンチ30(ダイ)は、下ホルダ40(固定台)に固定である。
上部ホルダ41が下降すると、打ち抜き加工のように、剥離刃11が、下パンチ中央部32で支持された皮膜線1の導体線の両側を、スライスして剥離する(打ち抜き剥離)。
【0029】
下側分離パンチ30の皮膜線1の搬送ライン上で、搬入搬出側の双方において、下ホルダ40からバネを介して皮膜線1を上側へ押圧して、少し浮かした状態で皮膜線1がセットされている。下突起刃31、31が、皮膜線1が送り込まれるときに、皮膜線1に傷をつけないようにしておく必要があるためである。
以上の構成にすることで、上ホルダ41の上下動作の1動作において、皮膜バリ9の発生を抑えて、被剥離部61を除去することができ、かつ超高速で剥離処理を行うことができる。皮膜線1の両側2面を剥離して、上ホルダ41が下降エンドまで到達したら、縦剥離カッタ10を上昇させ原位置へ戻す。以上述べたように、角部で皮膜バリが発生することが無く、皮膜線の変形を押えて、超高速で剥離処理を行うことができる。
【0030】
本発明の別の実施形態として、次のような変形形態が考えられる。
図3(c)に示すように、縦剥離カッタ10により被剥離部61が除去されると、次工程へ送られる。図3(d)に示すように、横剥離装置において、駆動部が横剥離カッタ60を前進させ、残り2面(上下面の皮膜層、被剥離部62)を剥離する。この場合も皮膜線1の導体線(銅材)を薄くスライスする。その後、横剥離カッタ60を原点に後退させ、横剥離加工工程が終了する。
【0031】
横剥離装置101は、図示されていないが、図4の剥離装置100と同様なものである。ただし、上下突起刃21、31を有していない上側、下側分離パンチが用いられる。横剥離カッタ60は、縦剥離カッタ10と同様なものとなっている。
【0032】
以上は、装置として説明したが、もちろん、本発明の実施形態として、以下のような剥離方法も含まれる。
回転電機の巻き線コイルに用いられる皮膜層付き角線1の、長手方向に平行な2側面を、所定の削り代で剥離する剥離方法であって、上突起刃21を有する上側分離パンチ20と、下突起刃31を有する下側分離パンチ30との間に、前記皮膜層付きの角線1を挟み付けて、前記皮膜付角線1の上下面の皮膜層に、前記長手方向に垂直な筋付け線21’を切り込む筋目付け加工工程と、前記筋付け線21’が切り込まれた前記皮膜層付きの角線1に対して、前記長手方向に平行な2側面を、縦剥離カッタ10により、所定の削り代で同時に剥離する縦剥離加工工程とを具備する剥離方法。上記剥離方法に、さらに前記皮膜付角線1の上下面の皮膜層を、所定の削り代で同時に剥離する横剥離加工工程を具備する剥離方法。
以上述べたように、角部で皮膜バリが発生することが無く、皮膜線の変形を押えて、超高速で剥離処理を行うことができる。
【符号の説明】
【0033】
1 角線
2 導体線
3 外層皮膜
4 内層皮膜
10 縦剥離カッタ
20 上側分離パンチ
21 上突起刃
30 下側分離パンチ
31 下突起刃

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転電機の巻き線コイルに用いられる皮膜層付き角線(1)の、長手方向に平行な2側面を、所定の削り代で剥離する剥離装置(100)であって、
該剥離装置(100)は、
前記皮膜付角線(1)上面の皮膜層に、前記長手方向に垂直な筋付け線(21’)を切り込む、上突起刃(21)を有する上側分離パンチ(20)と、
前記皮膜付角線(1)下面の皮膜層に、前記長手方向に垂直な筋付け線(21’)を切り込む、下突起刃(31)を有する下側分離パンチ(30)と、
前記2側面を、所定の削り代で同時に剥離する縦剥離カッタ(10)と、を具備する剥離装置。
【請求項2】
前記皮膜層付き角線(1)が、最外層皮膜(3)と内層皮膜(4)の二層以上の皮膜層で覆われていることを特徴とする請求項1に記載の剥離装置。
【請求項3】
さらに、前記皮膜付角線(1)上下面を、所定の削り代で同時に剥離する横剥離カッタ(60)による横剥離装置(101)が付属していることを特徴とする請求項1又は2に記載の剥離装置。
【請求項4】
回転電機の巻き線コイルに用いられる皮膜層付き角線(1)の、長手方向に平行な2側面を、所定の削り代で剥離する剥離方法であって、
上突起刃(21)を有する上側分離パンチ(20)と、下突起刃(31)を有する下側分離パンチ(30)との間に、前記皮膜層付きの角線(1)を挟み付けて、前記皮膜付角線(1)の上下面の皮膜層に、前記長手方向に垂直な筋付け線(21’)を切り込む筋目付け加工工程と、
前記筋付け線(21’)が切り込まれた前記皮膜層付きの角線(1)に対して、前記長手方向に平行な2側面を、縦剥離カッタ(10)により、所定の削り代で同時に剥離する縦剥離加工工程と、を具備する剥離方法。
【請求項5】
前記皮膜層付き角線(1)が、最外層皮膜(3)と内層皮膜(4)の二層以上の皮膜層で覆われていることを特徴とする請求項4に記載の剥離方法。
【請求項6】
さらに、前記皮膜付角線(1)の上下面を、所定の削り代で同時に剥離する横剥離加工工程を具備することを特徴とする請求項4又は5に記載の剥離装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−182597(P2011−182597A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−46467(P2010−46467)
【出願日】平成22年3月3日(2010.3.3)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】