説明

盗撮防止シート

【課題】簡易な構成で、盗撮防止対象物上の画像の盗撮を防止することができる盗撮防止シートを提供する。
【解決手段】赤外蛍光体粒子14Bを含む赤外発光層14を備えた盗撮防止シート10を、表示装置等の表示画面等の盗撮防止対象物上に設置すると、表示画面から放射された可視光や自然光に含まれる可視光によって赤外発光層14中の赤外蛍光体粒子14Bが赤外光を発光する。このため、表示画面上に表示された画像を、この盗撮防止シート10を介して撮像装置によって撮像すると、CCDは赤外波長領域にも感度を有するため、赤外蛍光体粒子14Bによる赤外光が撮像されることとなる。このため、赤外蛍光体粒子14Bの発光による赤外光によって、表示画面に表示された画像が撮像装置によって撮像されることが阻害され、盗撮を防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、盗撮防止シートに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、小型の撮像装置が普及しており、その簡易性から、撮影の禁止されている場所でも容易に盗撮が行われるといった問題が生じている。このため、液晶ディスプレイやCRT(ブラウン管)ディスプレイ等の表示装置の表示画面に表示された機密情報等の画像が容易に盗撮される問題が生じている。
【0003】
表示装置の表示画面に表示された画像の盗撮を防止する技術としては、表示装置側から盗撮を行おうとしている撮像装置に向かって赤外光を投射する技術(例えば、特許文献1参照)が知られている。
【0004】
特許文献1では、スクリーン側から盗撮を行おうとしている撮像装置に向かって赤外光を照射する装置を設けて、該撮像装置の焦点調整機能や露出調整機能を低下させている。
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術では、盗撮を行おうとしている撮像装置に向かって赤外光を照射するための専用装置を、別途スクリーン側に設置する必要があり、装置の大型化や複雑化を招き、簡易な構成で容易に盗撮を防止することは困難であった。
【0006】
一方、盗撮防止基材を表示画面上に配置する技術も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
特許文献2には、自動現金預け払い機の表示画面を覆うように盗撮防止基材を配置することが記載されている。この盗撮防止基材は、予め設定された視野角範囲内の角度で進行する光については透過率が高く、視野角範囲を外れる角度で進行する光については透過率が低くなるように調整されている。具体的には、盗撮防止基材内に視野角制御用のルーバーを備えた機能性フィルムを用いることで、表示画面の正面に利用者が位置した場合にのみ表示画面上の情報が視認され、該正面から外れた位置に利用者が位置した場合には表示画面上の情報が視認されないように構成している。このように構成することで、表示画面の正面から外れた角度からの盗撮を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−20263号公報
【特許文献2】特開2007−156683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献2の技術では、表示画面の正面から外れた角度から撮像が行われた場合には盗撮を防止することができるものの、正面から撮像が行われた場合には、盗撮を防止することはできなかった。
【0010】
このため、従来技術では、簡易な構成で、画像の盗撮を防止することは困難であった。
【0011】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、簡易な構成で、画像の盗撮を防止することができる盗撮防止シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、可視光によって励起して赤外光を発光する赤外蛍光体粒子を含む、透明な盗撮防止シートである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、簡易な構成で、画像の盗撮を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本実施の形態に係る盗撮防止シートの一例を模式的に示した断面図であり、(A)は、本実施の形態に係る盗撮防止シートの一例を模式的に示した断面図であり、(B)は、本実施の形態に係る盗撮防止シートの一例を拡大して模式的に示した断面図である。
【図2】図2は、赤外蛍光体粒子の発光スペクトルの一例を示す線図である。
【図3】図3は、赤外蛍光体粒子の作製結果の一例を示す図である。
【図4】図4は、赤外蛍光体粒子の発光スペクトルを示す図である。
【図5】図5は、本実施の形態に係る盗撮防止シートを設置する表示装置を示す模式図であり、(A)は、盗撮防止シートを液晶モニターに設置した場合を示す模式図であり、(B)は、盗撮防止シートをCRTモニターに設置した場合を示す模式図である。
【図6】図6は、本実施の形態に係る盗撮防止シートの図5とは異なる形態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる盗撮防止シートの一の実施の形態を詳細に説明する。
【0016】
本実施の形態の盗撮防止シート10は、透明(可視光の透過率が60%以上、以下同様とする)なシート状の部材である。本実施の形態の盗撮防止シート10は、盗撮防止対象物上に載置することで、盗撮防止用のシートとして機能する。このため、簡易な構成で、画像の盗撮を防止することができる。
【0017】
本実施の形態では、盗撮防止シート10は、図1(A)及び図1(B)に示すように、透明な支持体12上に透明な赤外発光層14を積層した積層体である。赤外発光層14は、透明基材14A中に、赤外蛍光体粒子14Bを分散させた層である。
【0018】
赤外蛍光体粒子14Bは、可視光によって励起して赤外光を発光する透明な粒子である。詳細には、赤外蛍光体粒子14Bは、照射された可視光を励起光として発光中心元素中の電子が励起し、該励起光より波長の長い光である赤外光を発光(所謂、ダウンコンバージョン発光)する粒子である。また、赤外蛍光体粒子14Bは、励起による赤外光の発光時、及び非発光時の何れの状態においても、透明な粒子である。
【0019】
赤外蛍光体粒子14Bは、上述した発光特性(透明であり、且つ可視光によって励起して赤外光を発光する特性)を有する粒子であればよい。赤外蛍光体粒子14Bとしては、例えば、上記発光特性を有する元素と該元素を担持する母材とを含む粒子が挙げられる。
【0020】
上記発光特性を有する元素としては、例えば、希土類元素を挙げることができる。
【0021】
この希土類元素としては、エルビウム(Er)、ホロミウム(Ho)、プラセオジウム(Pr)、ツリウム(Tm)、ネオジム(Nd)、ユウロピウム(Eu)、イッテルビウム(Yb)、サマリウム(Sm)、及びセリウム(Ce)からなる群から選択される少なくとも1つ以上の元素を挙げることができる。
【0022】
これらの中でも、希土類元素としては、可視光によって励起して、ヒト(人)の肉眼に対する感度が低く、かつ一般的な撮像素子に対する感度の高い、850nm〜950nm程度の赤外光を発光するとともに、高い発光効率を得る理由から、ネオジム(Nd)、イッテルビウム(Yb)、サマリウム(Sm)、プラセオジウム(Pr)、からなる群から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましく、ネオジム(Nd)を用いることが更に好ましい。
【0023】
希土類元素として、850nm〜950nm程度の赤外光を発光するとともに、高い発光効率の得られる希土類元素を含む蛍光体とすることで、盗撮防止シート10の盗撮抑制機能を更に向上させつつ、且つ、盗撮防止シート10の外観が損なわれることを抑制することができる。
【0024】
また、赤外蛍光体粒子14Bを、2種類以上の希土類元素を共添加した構成とする場合には、希土類元素としてイッテルビウム(Yb)とネオジム(Nd)を共添加することが特に好ましい。イッテルビウム(Yb)とネオジム(Nd)を共添加することによって、励起されたネオジムイオンからエネルギー伝達をうけてイッテルビウムイオンが発光し、ネオジムイオンを共添加しない場合に比べて、光変換効率の高い赤外光の発光を実現することができる。
【0025】
上記母材としては、上記希土類元素を担持することができる母材であれば、どのような母材であってもよいが、例えば、酸化物ガラスが挙げられる。酸化物ガラスとしては、酸化ホウ素(B)系、リン酸(P)系、無水ホウ酸(B)系等が挙げられる。これらの中でも、無水ホウ酸(B)系を用いることが好ましい。
【0026】
なお、上記母材としては、上記酸化物の他にも、ハロゲン化物、硫化物を用いてもよい。ハロゲン化物としては、例えば、塩化ランタン(LaCl3)、塩化イットリウム(YCl3)、塩化バリウム(BaCl2)、塩化鉛(PbCl2)等の塩化物、フッ化鉛(PbF)、フッ化カドミニウム(CdF)、フッ化ランタン(LaF)、フッ化イットリウム(YF)等のフッ化物などを挙げることができる。また、母材としては、イットリウム・ランタンフッ化物等の異種元素を含有するハロゲン化物を用いることもできる。
【0027】
ここで、盗撮防止シート10の外観が損なわれることを更に抑制する観点から、赤外蛍光体粒子14Bは、その母体材料が紫外線領域に基礎吸収端を有することが好ましい。すなわち、無色透明とは、黄色や赤色等の可視光領域の色味が視認されず且つ透明であることを示す。なお、赤外蛍光体粒子14B及び赤外発光層14においては、赤外蛍光体粒子14Bに含まれる酸化物ガラスの色味が、赤外蛍光体粒子14B及び赤外発光層14の色味に寄与する。このため、希土類元素を担持する母材としての酸化物ガラスは、下記構成とすることが好ましい。
【0028】
具体的には、該酸化物ガラスは、無色透明なガラス形成酸化物と、無色透明であり且つ該酸化物ガラスの特性を規定するための修飾酸化物と、から構成することが好ましい。
【0029】
ガラス形成酸化物は、それ自身で非晶質化でき、網目状のネットワーク構造を形成する。無色透明なガラス形成酸化物としては、具体的には、リン酸(P)、二酸化ゲルマニウム(GeO)、酸化ホウ素(B)、二酸化ケイ素(SiO)等が挙げられる。
【0030】
修飾酸化物は、それ自身では非晶質化出来ないが、ガラス形成酸化物が形成するネットワーク構造内では非晶質化が可能な酸化物である。このため、修飾酸化物は、ガラス形成酸化物に添加することで、屈折率や、機械的特性(硬さや粘度等)や、密度等の、上記酸化物ガラスの特性を規定する。
【0031】
無色透明な修飾酸化物としては、例えば酸化亜鉛(ZnO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化アルミニウム(Al)、酸化鉛(PbO)、酸化ナトリウム(NaO)、酸化カリウム(KO)などが挙げられる。
【0032】
希土類元素を担持する母材としての酸化物ガラスにおける、上記ガラス形成酸化物と修飾酸化物との組み合わせは、上記に挙げた無色透明のガラス形成酸化物の内の少なくとも1種と、上記に挙げた無色透明の修飾酸化物の内の少なくとも1種と、を、目的とする該酸化物ガラス(すなわち、赤外蛍光体粒子14B及び赤外発光層14)の特性に応じて、適宜組み合わせて用いればよい。
【0033】
なお、希土類元素を担持する母材としての酸化物ガラスにおける、上記ガラス形成酸化物と修飾酸化物との組み合わせとしては、ガラス形成酸化物としてBを用い、修飾酸化物としてZnOを用いた組合せが、赤外蛍光体粒子14Bの機械的強度が良好であることから、好ましい。
【0034】
赤外蛍光体粒子14Bの具体的な組成は、目的に応じて、上記に挙げた構成材料から最適な組み合わせを選択すればよい。
【0035】
例えば、赤外蛍光体粒子14Bにおける母材と希土類元素の好ましい組み合わせとしては、Ndとホウ酸−酸化Bi系ガラス、Nd−Ybとホウ酸−酸化Bi系ガラス、Ybと酸化Bi系ガラス、Ndとホウ酸−酸化亜鉛系ガラス、Ndとホウ酸−酸化カルシウム系ガラス、Ybとリン酸ガラス等の組み合わせを挙げることができる。
【0036】
赤外蛍光体粒子14Bにおける母材と希土類元素の好ましい組み合わせを上記組み合わせとすることによって、可視光によって励起して、赤外波長の中でも特に波長900nm〜1100nmの波長領域の光を発光し、且つ光の変換効率(発光効率)の高い赤外蛍光体粒子14Bとすることができる。
【0037】
赤外蛍光体粒子14Bは、赤外蛍光体粒子14Bを構成する構成成分を混合溶融した後に得られた結晶体(またはアモルファス)を、粉砕法等を用いて粉砕することで作製することができる。この粉砕には、例えばジルコニア強化ボールを用いるボールミル粉砕やジェットミル粉砕により粉砕する方法が挙げられる。
【0038】
以下、上記発光特性を有する赤外蛍光体粒子14Bの具体例を列挙する。
【0039】
赤外蛍光体粒子14Bとしての、Nd−Ybとホウ酸−酸化Bi系ガラスの具体例としては、酸化ネオジムと、酸化イッテルビウムと、ホウ酸と、酸化ビスマスと、を、各々3mol%、1mol%、91mol%、5mol%となるように秤量して混合溶融した後に粉砕することによって得られる粒子を挙げることができる。
【0040】
なお、該組成及び組成比で混合溶融し、成型・粉砕条件を調整することによって、粒径5mm、形状係数SF1が0.125である赤外蛍光体粒子14B(赤外蛍光体粒子14Bとする)を作製した。この赤外蛍光体粒子14Bに、波長590nmの可視光を照射することによって得られる発光スペクトルを測定したところ、中心発光波長が1000nm、半値幅86nm、帯域900nm〜1100nmの範囲内のガウシアン類似形状の発光スペクトルが得られた(図2参照)。なお、可視領域には明瞭な発光が得られなかった。このため、赤外蛍光体粒子14Bは、可視光の照射によって励起して赤外光を発光し、且つ透明な粒子であることを確認することができた(図示省略)。
【0041】
赤外蛍光体粒子14Bとしての、Ybと酸化Bi系ガラスの具体例としては、Ybと、Biと、Bと、を、各々5.1mol%、47.5mol%、及び47.4mol%となるように秤量して混合溶融及び粉砕することによって得られる粒子も挙げることができる。
【0042】
なお、該組成及び組成比で混合溶融し、成型・粉砕条件を調整することによって、平均粒径0.1mm、形状係数SF1が1.05である赤外蛍光体粒子14B(赤外蛍光体粒子14Bとする)を作製した。この赤外蛍光体粒子14Bに、波長590nmの可視光を照射することによって得られる発光スペクトルを測定したところ、中心発光波長が910nm、半値幅50nm、帯域800−1000nmの範囲内の明瞭な発光が得られなかった。このため、赤外蛍光体粒子14Bは、可視光の照射によって励起して赤外光を発光し、且つ透明な粒子であることを確認することができた。(図示省略)。
【0043】
また、赤外蛍光体粒子14Bとしての、Nd−Ybとホウ酸−酸化Bi系ガラスの具体例としては、下記組成及び比率も挙げることができる。具体的には、Ybと、Ndと、Biと、Bと、を、各々5.0mol%、2.0mol%、44.4mol%、48.6mol%となるように秤量して混合溶融及び粉砕することによって得られる粒子が挙げられる。
【0044】
なお、該組成及び組成比で混合溶融し、成型・粉砕条件を調整することによって、粒径5mm、形状係数SF1が1.05である赤外蛍光体粒子14B(赤外蛍光体粒子14Bとする)を作製した。この赤外蛍光体粒子14Bに、波長590nmの可視光を照射することによって得られる発光スペクトルを測定したところ、中心発光波長が1000nm、半値幅86nm、帯域900−1100nmの範囲内のガウシアン類似形状の発光スペクトルが得られた(図2参照)。なお、可視領域には、明瞭な発光が得られなかった。このため、赤外蛍光体粒子14Bは、可視光の照射によって励起して赤外光を発光し、且つ透明な粒子であることを確認することができた。(図示省略)。
【0045】
さらに、赤外蛍光体粒子14Bとしての、Nd−Ybとホウ酸−酸化Bi系ガラスの具体例としては、Ybと、Ndと、Biと、Bと、を、各々5.0mol%、2.9mol%、43.9mol%、48.1mol%となるように秤量して混合溶融及び粉砕することによって得られる粒子(赤外蛍光体粒子14Bとする)や、YbとNdとを、各々5.0mol%、2.9mol%に固定したまま、BiとBとの比率を、“91.9mol%と0mol%”、“82.4mol%と9.5mol%”、“73.2mol%と18.8mol%”、“64.5mol%と27.3mol%”、“55.2mol%と33.7mol%”、“36.6mol%と55.4mol%”と変化させて秤量して混合溶融及び粉砕することによって得られる粒子(赤外蛍光体粒子14B〜赤外蛍光体粒子14B)についても、上記と同様の結果が得られた。すなわち、これらの赤外蛍光体粒子14B〜赤外蛍光体粒子14Bについても、可視光の照射によって励起して赤外光を選択的に発光する粒子(赤外蛍光体粒子14B)であることを確認することができた(図示省略)。
【0046】
また、赤外蛍光体粒子14Bとしての、Ndとホウ酸(ガラス形成酸化物)−酸化亜鉛(修飾酸化物)系ガラス、としては、酸化ネオジム(Nd)と、酸化亜鉛(ZnO)と、無水ホウ酸(B)と、の組合せが挙げられる。この赤外蛍光体粒子14Bは、xNd−yZnO−zBと表すことができる。
【0047】
なお、「x」は、赤外蛍光体粒子14Bに含まれる酸化ネオジム(Nd)の割合(mol%)を示す係数であり、「y」は、赤外蛍光体粒子14Bに含まれる酸化亜鉛(ZnO)の割合(mol%)を示す係数であり、「z」は、赤外蛍光体粒子14Bに含まれる無水ホウ酸(B)の割合(mol%)を示す係数である。
【0048】
図3は、上記x、y、zを変化させて、赤外蛍光体粒子14Bを作製した結果の一例を示す図である。この例では、x、y、zの各々の単位はmol%である。図3の縦軸はxの値を示し、図3の横軸はyとzの割合を示す。図3の「○」の位置に対応するx、y、zの組み合わせは、ガラス化が実現できた組み合わせを示し、図3の「×」の位置に対応するx、y、zの組み合わせは、ガラス化が実現できなかった組み合わせを示す。
【0049】
図3に示すように、赤外蛍光体粒子14Bは、酸化ネオジムと、酸化亜鉛と、無水ホウ酸とから構成され、赤外蛍光体粒子14Bに含まれる酸化ネオジムの割合は0.5mol%以上5mol%以下、赤外蛍光体粒子14Bに含まれる酸化亜鉛の割合は45mol%以上65mol%以下、赤外蛍光体粒子14Bに含まれる無水ホウ酸の割合は35mol%以上55mol%以下の範囲であることが好ましい。
【0050】
また、特に好ましくは、赤外蛍光体粒子14Bに含まれる酸化ネオジムの割合は0.5mol%以上1.5mol%以下、赤外蛍光体粒子14Bに含まれる酸化亜鉛の割合は45mol%以上65mol%以下、赤外蛍光体粒子14Bに含まれる無水ホウ酸の割合は35mol%以上55mol%以下の範囲である。
【0051】
また、更に好ましくは、赤外蛍光体粒子14Bに含まれる酸化ネオジムの割合は1.5mol%、赤外蛍光体粒子14Bに含まれる酸化亜鉛の割合は55mol%、赤外蛍光体粒子14Bに含まれる無水ホウ酸の割合は43.5mol%である。
【0052】
具体的には、Ndが1.5mol%、ZnOが55mol%、Bが43.5mol%となるように秤量して混合溶融し、成型条件を調整することによって、平均粒径6mm、形状が円柱である赤外蛍光体粒子14Bを作製した。この赤外蛍光体粒子14Bに、波長590nmの可視光を照射することによって得られる発光スペクトルを測定したところ、図4に示すように、中心発光波長が870nm、半値幅40nm、帯域850nm〜950nmの範囲内の発光スペクトルが得られた。また、Nd3+とZnO−B系ガラスとの組み合わせからなる赤外蛍光体粒子14Bの厚さを2mmに設定して発光強度を測定した場合、上述の1.5Nd―55ZnO−43.5Bで表される赤外蛍光体粒子14Bの発光強度が最大となった。
【0053】
また、室温のステンレス金型で作成した場合、Bi−B系ガラスは内部にクラックが入ることが多かったが、ZnO−B系ガラスではクラックはほとんど入らなかった。このため、希土類元素と組み合わせる母材としての酸化物ガラスとしては、ZnO−B系ガラスが適していると考えられる。
【0054】
また、赤外蛍光体粒子14Bとしての、Ndとホウ酸(ガラス形成酸化物)−酸化カルシウム(修飾酸化物)系ガラス、としては、酸化ネオジム(Nd)と、酸化カルシウム(CaO)と、無水ホウ酸(B)と、の組合せが挙げられる。
【0055】
なお、赤外蛍光体粒子14Bにおける、希土類元素と、母材である酸化物ガラスと、の好ましい組み合わせとしては、上記に列挙した具体例の中でも特に、Ndとホウ酸(ガラス形成酸化物)−酸化亜鉛(修飾酸化物)系ガラス、またはNdとホウ酸(ガラス形成酸化物)−酸化カルシウム(修飾酸化物)系ガラスが好ましい。また、赤外蛍光体粒子14Bにおける、希土類元素と、母材である酸化物ガラスと、の組み合わせは、Ndとホウ酸(ガラス形成酸化物)−酸化亜鉛(修飾酸化物)系ガラスが更に好ましい。
【0056】
赤外蛍光体粒子14Bとして、Ndとホウ酸(ガラス形成酸化物)−酸化亜鉛(修飾酸化物)系ガラスを用いることで、可視光によって励起して、ヒト(人)の肉眼に対する感度が低く、かつ一般的な撮像素子に対する感度の高い850nm〜950nm程度の赤外光を発光するとともに、高い発光効率を示し、且つ無色透明な赤外蛍光体粒子14Bを実現することができる。
【0057】
なお、赤外蛍光体粒子14Bには、赤外蛍光体粒子14Bの上記発光特性を損なわない範囲で、その他の成分を添加してもよい。該その他の成分としては、例えば、酸化サマリウム等を挙げることができる。
【0058】
赤外蛍光体粒子14Bは、粒子状であればよく、球状、多角形の何れであってもよいが、形状係数SF1が100以上106以下であることが好ましい。この形状係数SF1は、下記式(1)によって示すことができる。
【0059】
式(1) SF1=((赤外蛍光体粒子14Bの径の絶対最大長)/赤外蛍光体粒子14Bの投影面積)×(π/4)×100
【0060】
また、赤外蛍光体粒子14Bの粒径は、赤外発光層14における赤外蛍光体粒子14Bの含有量や赤外蛍光体粒子14Bの組成等に応じて適宜調整すればよい。この赤外蛍光体粒子14Bの粒径(体積平均粒径)としては、例えば、1μm以上6mm以下の範囲を挙げることができる。
【0061】
赤外蛍光体粒子14Bの粒径及び形状係数SF1は、赤外蛍光体粒子14Bの作製時において、赤外蛍光体粒子14Bを構成する構成成分を混合溶融した後に得られた結晶体(またはアモルファス)の粉砕条件を調整することによって、調整することができる。
【0062】
赤外発光層14に含まれる赤外蛍光体粒子14Bの含有量は、赤外発光層14の厚みや、赤外蛍光体粒子14Bの分布(偏在させるか否か、赤外発光層14のどの領域に偏在させるか)や、透明基材14Aの構成材料との組み合わせや、盗撮防止シート10を載置する対象の表示装置の表示画面から照射される可視光の強度等によって異なり、これらに応じて調整する。例えば、赤外発光層14における赤外蛍光体粒子14Bの含有量としては、透明基材14A 100質量部に対して、10質量部以上95質量部以下が挙げられる。
【0063】
上述のように、赤外蛍光体粒子14Bは、透明基材14A中に分散されている。なお、この赤外蛍光体粒子14Bが透明基材14A中に「分散されている」とは、透明基材14Aの単位体積あたりの赤外蛍光体粒子14Bの一次粒子(未凝集粒子)に対する二次粒子(凝集粒子)の割合(個数%)が5%以下であることを示している。なお、この赤外蛍光体粒子14Bが透明基材14Aすなわち赤外発光層14中に「分散されている」状態は、例えば、ミクロトーム等により赤外発光層14の断面の切片を作製し、透過型電子顕微鏡で直接赤外蛍光体粒子14Bを観察することによって確認することができる。
【0064】
この赤外蛍光体粒子14Bは、赤外発光層14(透明基材14A)中の全体に渡って分散された形態であってもよいし、赤外発光層14中において偏在した状態であってもよい。なお、これらの「赤外発光層14(透明基材14A)の全体に渡って分散」した状態及び「偏在した状態」の何れの状態であっても、上記「分散」の定義で規定した要件を満たす範囲内で各赤外蛍光体粒子14Bが存在していることが好ましい。
【0065】
また、赤外蛍光体粒子14Bが赤外発光層14中において偏在した状態、とは、赤外発光層14を該層の面に沿って複数の領域に分割したときに、一部の領域で他の領域よりも赤外蛍光体粒子14Bの密度が高くなっている状態を示している。なお、赤外蛍光体粒子14Bを赤外発光層14中において偏在させる場合には、盗撮防止シート10を載置する盗撮防止対象物上の可視画像を撮像装置によって撮像したときに、赤外蛍光体粒子14Bから照射される赤外光によって該可視画像の判別が困難となる程度に偏在させることが好ましい。
【0066】
赤外蛍光体粒子14Bを、赤外発光層14における面方向の一部の領域に偏在させることによって、赤外蛍光体粒子14Bの添加量の低減を図りつつ、且つ盗撮を効果的に抑制することができる。例えば、赤外発光層14の面方向の中央部のみに、赤外蛍光体粒子14Bを偏在させてもよいし、「撮影禁止」等の文字や図形を示す模様状に赤外蛍光体粒子14Bを偏在させてもよい。
【0067】
次に、透明基材14Aについて説明する。透明基材14Aは、赤外蛍光体粒子14Bを基材内に分散可能であり、且つ透明な材料から構成されていればよい。
【0068】
この透明基材14Aとしては、例えば、透明樹脂や透明液体を硬化させたものを用いることができる。
【0069】
透明樹脂及び透明液体としては、赤外発光層14の作製時に上記赤外蛍光体粒子14Bを分散可能なものであれば特に限定されるものではないが、赤外蛍光体粒子14Bの分散性が良好であり、且つ赤外蛍光体粒子14Bの励起による発光強度を著しく低下させないものであることが好ましい。
【0070】
透明樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、ポリメタクリル酸エステル、ポリスルホン(PSU)、及びポリジメチルシロキ酸(PDMS)が挙げられる。なお、透明樹脂としては、これらの樹脂の1種から構成してもよいし、2種以上の樹脂から構成してもよい。
【0071】
透明液体としては、例えば、非水系溶媒が挙げられる。非水系溶媒としては、例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール等のアルコール系溶媒;ジクロルエチルエーテル、イソプロピルエーテル、n−ブチルエーテル等のエーテル系溶媒;トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒;酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−ブチル等のエステル系溶媒;エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコール系溶媒;HFE−7100(商品名、住友スリーエム(株)製)、HFE−7200(商品名、住友スリーエム(株)製)等のフッ素系溶媒;などが挙げられる。これらの非水系溶媒は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0072】
透明樹脂または透明液体としては、上記に挙げた樹脂の中でも、透明基材14Aとして構成したときの赤外蛍光体粒子14Bとの屈折率の差が0.4以下のものを用いることが好ましい。透明基材14Aと赤外蛍光体粒子14Bとの屈折率差が0.4以下であると、赤外発光層14の可視光の透過性の低下、すなわち透明度の低下を抑制することができる。
【0073】
なお、透明基材14Aと赤外蛍光体粒子14Bとの屈折率差は、例えば、自然光の下で、カルニュー光学社製屈折率計KRP−30Vを用いて測定することができる。
【0074】
赤外発光層14の厚みは、赤外発光層14に含まれる赤外蛍光体粒子14Bの種類、形状係数SF1、及び粒径や、盗撮防止シート10を載置するモニターの構成等によって適宜調整すればよい。この赤外発光層14の厚みとしては、例えば、0.2mm以上10mm以下を挙げることができる。
【0075】
支持体12は、赤外発光層14を支持する層である。支持体12としては、例えば、透明な樹脂から構成された基板や、ガラス基板等が用いられる。
【0076】
この透明な樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、ポリメタクリル酸エステル、ポリスルホン(PSU)、及びポリジメチルシロキ酸(PDMS)等が挙げられる。
【0077】
支持体12の構成材料としては、赤外発光層14との密着性を良好にすると共に、赤外発光層14との屈折率差によって可視光の視認性が低下することを抑制する理由から、赤外発光層14に用いられる透明基材14Aと同じ屈折率となる材料を用いることが好ましく、透明基材14Aと同じ材料を用いることが更に好ましい。
【0078】
なお、赤外発光層14及び支持体12の厚みは、本実施の形態の盗撮防止シート10を載置する対象の表示装置の形態に応じた厚みであればよく、適用対象によって適宜選択すればよい。
【0079】
盗撮防止シート10は、例えば、まず、透明基材14Aの構成材料を溶媒等に溶解した溶液中に、赤外蛍光体粒子14Bを分散して塗布溶液を調整する。そして、この塗布溶液を、公知の成膜方法によって支持体12上に成膜することによって作製することができる。
【0080】
上記のように構成された本実施の形態の盗撮防止シート10は、盗撮防止対象物上に載置することで、盗撮防止用のシートとして機能する。
【0081】
例えば、図5(A)に示すような、液晶モニター16や、図5(B)に示すようなCRT(Cathode Ray Tube)や液晶等のモニター18等の表示装置の表示画面(盗撮防止対象物)上に盗撮防止シート10を載置する。なお、盗撮防止シート10の設置方法は、公知の方法を用いればよく、例えば、これらの各種表示画面上に、盗撮防止シート10を固定するための固定部材(図示省略)を設けて盗撮防止シート10を表示画面上(画像表示側)に設置すればよい。また、各種表示画面の表面に、透明な粘着シート(図示省略)を添付し、該粘着シートを介して盗撮防止シート10を載置してもよい。
【0082】
そして、本実施の形態の盗撮防止シート10は、上述のように、上記発光特性を有する赤外蛍光体粒子14Bを含んだ赤外発光層14を備えている。このため、赤外蛍光体粒子14Bを含む赤外発光層14を備えた盗撮防止シート10を、表示装置等の表示画面等の盗撮防止対象物上に設置すると、表示画面から放射された可視光や自然光に含まれる可視光によって赤外発光層14中の赤外蛍光体粒子14Bが赤外光を発光する。このため、表示画面上に表示された画像を、この盗撮防止シート10を介してCCD(Charge Coupled Device Image Sensor:固体撮像素子)を備えた撮像装置によって撮像すると、CCDは赤外波長領域にも感度を有するため、赤外蛍光体粒子14Bによる赤外光が撮像されることとなる。このため、赤外蛍光体粒子14Bの発光による赤外光によって、表示画面に表示された画像が撮像装置によって撮像されることが阻害され、盗撮を防止することができる。
【0083】
また、盗撮防止シート10は、シート状であることから、このシート状の盗撮防止シート10を盗撮防止対象である表示画面上に設置することで、容易に盗撮を防止することができる。
【0084】
従って、簡易な構成で、画像の盗撮を防止することができる。
【0085】
また、盗撮防止シート10は透明であり、赤外蛍光体粒子14Bの励起によって発光する光は不可視な赤外光である。このため、表示画面に表示された文字や絵等の可視画像の視認性が阻害されることなく、表示画面に表示された該画像の盗撮を防止することができる。
【0086】
なお、盗撮防止シート10を載置する対象の盗撮防止対象物としては、上述した液晶モニター16やCRTモニター18等の表面装置の表示画面に限られない。例えば、可視画像の形成された記録用紙上に盗撮防止シート10を載置することで、該記録用紙上に形成されている可視画像の盗撮を抑制することができる。
【0087】
なお、本実施の形態では、盗撮防止シート10は、支持体12上に赤外発光層14を積層した積層体である場合を説明した。しかし、盗撮防止シート10は、少なくとも赤外発光層14を有する構成であればよく、赤外発光層14のみから構成された単層構成としてもよいし、赤外発光層14を含む3層以上の積層体としてもよい。
【0088】
また、盗撮防止シート10における赤外蛍光体粒子14Bの発光効率のさらなる向上のために、図6に示すように、盗撮防止シート10の端部に補助光源30を設けた構成としてもよい(図6中、盗撮防止シート10A参照)。この補助光源30としては、盗撮防止シート10の赤外発光層14に向かって可視光(例えば、810nmの波長の光)を照射するLED光源等が挙げられる。
【符号の説明】
【0089】
10、10A 盗撮防止シート
14 赤外発光層
14B 赤外蛍光体粒子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可視光によって励起して赤外光を発光する赤外蛍光体粒子を含む、透明な盗撮防止シート。
【請求項2】
前記赤外蛍光体粒子は、希土類元素と、酸化物ガラスと、を含む請求項1に記載の盗撮防止シート。
【請求項3】
前記酸化物ガラスは、無色透明であり且つ前記酸化物ガラスの特性を規定するための修飾酸化物と、無色透明なガラス形成酸化物と、から構成される、請求項1または請求項2に記載の盗撮防止シート。
【請求項4】
前記修飾酸化物は、酸化亜鉛である請求項3に記載の盗撮防止シート。
【請求項5】
前記赤外蛍光体粒子は、形状係数SF1が100以上106以下である請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の盗撮防止シート。
【請求項6】
前記希土類元素は、エルビウム(Er)、ホロミウム(Ho)、プラセオジウム(Pr)、ツリウム(Tm)、ネオジム(Nd)、ユウロピウム(Eu)、イッテルビウム(Yb)、サマリウム(Sm)、及びセリウム(Ce)からなる群から選択される少なくとも1つ以上の元素である請求項2〜請求項5の何れか1項に記載の盗撮防止シート。
【請求項7】
前記希土類元素は、ネオジム(Nd)である、請求項6に記載の盗撮防止シート。
【請求項8】
前記赤外蛍光体粒子は、酸化ネオジムと、酸化亜鉛と、無水ホウ酸とから構成され、前記赤外蛍光体粒子に含まれる酸化ネオジムの割合は0.5mol%以上5mol%以下、前記赤外蛍光体粒子に含まれる酸化亜鉛の割合は45mol%以上65mol%以下、前記赤外蛍光体粒子に含まれる無水ホウ酸の割合は35mol%以上55mol%以下の範囲である、請求項1〜請求項7の何れか1項に記載の盗撮防止シート。
【請求項9】
前記赤外蛍光体粒子は、酸化ネオジムと、酸化亜鉛と、無水ホウ酸とから構成され、前記赤外蛍光体粒子に含まれる酸化ネオジムの割合は1.5mol%、前記赤外蛍光体粒子に含まれる酸化亜鉛の割合は55mol%、及び前記赤外蛍光体粒子に含まれる無水ホウ酸の割合は43.5mol%である、請求項8に記載の盗撮防止シート。
【請求項10】
透明基材を更に備え、
前記赤外蛍光体粒子は前記透明基材中に分散され、
前記赤外蛍光体粒子と前記透明基材との屈折率の差が0.4以下である請求項1〜請求項9の何れか1項に記載の盗撮防止シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−185497(P2012−185497A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−32149(P2012−32149)
【出願日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成23年度経済産業省「新世代情報セキュリティ研究開発事業(撮影による情報漏洩を防止するソリューションの研究開発)」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)
【出願人】(000102212)ウシオ電機株式会社 (1,414)
【出願人】(000202361)綜合警備保障株式会社 (266)
【出願人】(504139662)国立大学法人名古屋大学 (996)
【Fターム(参考)】