説明

盗難検知装置および車載機器

【課題】本発明は、盗んだ者に気づかれることを抑制しながら、盗難情報を適切に取得できる、盗難検知装置および車載機器の提供を目的とする。
【解決手段】本発明にかかる盗難検知装置は、車両10に搭載される車載機器20の盗難を検知する盗難検知部21と、盗難を検知した場合、車載機器の通常動作を可能とすることにより、当該通常動作可能中に当該盗難に関する情報である盗難情報を取得する制御部23とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は盗難検知装置および車載機器に関し、特に、車両に搭載された車載機器の盗難が検知された場合に、盗難事件解決の為に必要となる盗難に関する情報(盗難情報)を適切に取得する盗難検知装置および車載機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の盗難検知装置、特に車両に搭載される車載機器に備えられるものは、盗難検知時に、警報を発したり、車載機器を操作不可にしたり、車両位置等をユーザや、盗難防止センターに通報したりする手段を講じたものであった。
【0003】
例えば特許文献1においては、盗難を検知した際に、車載機器の動作を停止させ、盗難をしようとする者に、その車載機器が盗むに値しないものであると思わせ、盗難をしようとする者の盗難意欲を激減させることができる装置が開示されている。当該装置は、盗まれた車載機器の動作停止に加え、当該車載機器が搭載された車両の現在位置を盗難防止センターに通報する機能も有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−1534号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら特許文献1のように、盗難を検知した時に車載機器の動作を停止させる機能を備えていたとしても、当該停止機能が、盗難をしようとする者に既知のものとなれば、盗難抑止効果は低下し、盗難を効果的に防止できないという問題が生じる。
【0006】
また、盗まれた車両の現在位置を盗難防止センターに通報する機能についても、当該通報機能が既知のものとなれば、盗んだ者によってその機能が無効化され、盗難情報を適切に取得できないという問題が生じる。
【0007】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、盗んだ者に気づかれることを抑制しながら、盗難情報を適切に取得できる、盗難検知装置および車載機器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明にかかる盗難検知装置は、車両に搭載される車載機器の盗難を検知する盗難検知部と、前記盗難を検知した場合、車載機器の通常動作を可能とすることにより、当該通常動作可能中に当該盗難に関する情報である盗難情報を取得する制御部とを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明にかかる車載機器は、上記の盗難検知装置を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明にかかる盗難検知装置によれば、車両に搭載される車載機器の盗難を検知する盗難検知部と、前記盗難を検知した場合、車載機器の通常動作を可能とすることにより、当該通常動作可能中に当該盗難に関する情報である盗難情報を取得する制御部とを備えることにより、盗んだ者に気づかれずに、盗難にあった車載機器等を取り戻すための盗難情報を取得することができる。
【0011】
本発明にかかる車載機器によれば、上記の盗難検知装置を備えることにより、盗んだ者に気づかれずに、盗難にあった車載機器等を取り戻すための盗難情報を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施の形態1にかかる盗難検知装置の概略構成図である。
【図2】実施の形態1にかかる盗難検知装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】実施の形態1にかかる盗難検知装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<A.実施の形態1>
<A−1.構成>
図1は、本発明の実施の形態1にかかる盗難検知装置および盗難検知装置を備えた車載機器、車両の構成を概念的に示した図である。
【0014】
図1に示すように、盗難検知装置100は、車載機器20の盗難を検知する盗難検知部21と、盗難検知部21において車載機器20の盗難を検知した場合に、盗まれた車載機器20および盗まれた車載機器20が搭載されている車両(盗難機器搭載車両)の通常動作を可能とさせつつ、盗難に関する情報である盗難情報を取得する制御部23とを備える。
【0015】
ここで、車載機器20の盗難とは、車載機器20の単体の盗難に限らず、当該車載機器20が搭載された車両10が同時に盗まれる場合の盗難も含む。
【0016】
また、図1における車両10は、車載機器20が盗まれていない状態において車載機器20を搭載する車両を示しているが、車載機器20が盗まれたと判断された場合には、盗まれた車載機器20が搭載されている車両(車ごと盗まれた場合の当該車両と、車載機器単体で盗まれた場合の当該機器を不正に搭載した車両との両方を含む)は盗難機器搭載車両となる。
【0017】
図1においては、盗難検知装置100は車載機器20内に備えられ、車載機器20の起動に従って起動するものが想定されるが、盗難検知装置100が車載機器20とは別の電力源を有し、車載機器20の動作とは無関係に、独立して動作することも可能である。よって、車載機器20および車両10が起動していない状態(通常動作状態に含む)であっても、盗難検知装置100において、車載機器20の盗難を検知することができる。
【0018】
盗難検知装置100における制御部23は、車載機器20に備えられた各装備機器、すなわち図1においては、車載機器20の操作パネル等である操作部24、車載機器20のオーディオ機器等であるオーディオ機能部25、GPS等を用いて車両10の現在位置を検出する位置検出部26、車両10や外部機器との通信機能、さらには電話機能を有する通信部22、制御部23において取得した盗難情報を記録することができる記録部27とそれぞれ接続され、それらの機器の動作を制御することができる。
【0019】
さらに制御部23は、車両10に備えられた各装備機器、すなわち、車両10のエンジン等を制御する車両ECU11(Engine Control Unit)、車両10の録音装置としてのマイク12、車両10において交通等に関する様々な情報を表示する表示装置13、オーディオ機能部25からの音声信号に従って音声出力動作をするスピーカ14、車両10周辺の外部映像や車両10の内部映像等を撮像可能な撮像装置としてのカメラ15(例えば、フロントカメラ、リアカメラ、内部カメラ等)とそれぞれ接続され、それらの機器の動作を制御することができる。
【0020】
ここで盗難情報とは、盗難事件解決のために必要となる情報であって、具体的には、車両10および車載機器20それぞれに固有の情報である認証情報およびそれらの比較結果、車両10の各装備機器から得られる映像情報および音声情報、車載機器20において検出される車両10の現在位置情報を含む情報である。
【0021】
また盗難情報の取得とは、記録部27において情報が記録されること、および、通信部22を介して外部機器に送信されることで、所有者等がアクセス可能になることの双方を含む。
【0022】
また、車載機器20の製造元またはディーラ等において備えられ、盗難情報により車載機器20が盗難にあっているかを診断したり、記録部27に記録された盗難情報に対する外部からのアクセスを制限したり、当該盗難情報を削除したり、盗難を検知した場合の車両10および車載機器20への動作制限等を設定したりする診断/設定装置30が、必要に応じて制御部23および車両ECU11と接続される。
【0023】
盗難情報に関する読み出し、設定、削除等の操作は、上記の診断/設定装置30を介して行う場合、または、診断/設定装置30を介さずに特定のコマンドを操作部24等を介して(または通信部22を介して)入力する場合にのみ可能なものとし、盗んだ者が容易に盗難状況を確認したり、記録部27に記録された盗難情報の内容や動作制限の内容を確認したりできないように設定することができる。特定のコマンドによって行う場合には、さらに認証キー等を用いてセキュリティーレベルを高めることも可能である。
【0024】
<A−2.動作>
次に、本実施の形態にかかる盗難検知装置100の動作について説明する。
【0025】
本実施の形態にかかる盗難検知装置100の動作は、車両10および車載機器20の認証情報を比較して、車両10および車載機器20の接続関係を把握し、当該接続関係から車載機器20の盗難を検知できた場合には、盗んだ者に気づかれない方法で盗難情報を取得するものである。
【0026】
車両10および車載機器20の接続関係が正常な場合、すなわち、車両10および車載機器20の認証情報が一致している場合等であれば、原則として盗難は検知されない。しかし、車両10および車載機器20のうちいずれか一方の認証情報が盗難登録されている場合には、当該接続関係から盗難を検知することができる。
【0027】
ここで盗難登録とは、車載機器20の所有者等が、車載機器20の盗難を認識した時点で盗難防止センターに通報し、盗まれた当該車載機器20の認証情報が、既に盗難にあった車載機器の認証情報であることを登録したものである。盗難検知装置100は、通信部22を介して盗難防止センターにアクセスすることで、当該登録がなされている認証情報であるかを確認することができる。
【0028】
一方、盗難情報の取得動作は、制御部23によって各機能部(盗難検知部21、カメラ15、マイク12、位置検出部26、通信部22、記録部27等)を制御することによって行われる。また制御部23において、盗難情報の取得回数がカウントされる。
【0029】
盗難検知装置100は、盗難を検知した場合には、盗難検知フラグをON状態に設定する。この盗難検知フラグとは、盗難を検知したか否かを示す情報であって、ONであれば盗難を検知している状態、OFFであれば盗難を検知していない状態をそれぞれ表す。
【0030】
盗難検知フラグは車両10と車載機器20の各機器との接続関係ごとにそれぞれ設定され、車両10および車載機器20の各機器の認証情報の比較結果を示す盗難情報として、記録部27に記録される。
【0031】
盗難検知フラグは、他の盗難情報と同様にアクセス制限され、診断/設定装置30を介して行う場合、または、診断/設定装置30を介さずに特定のコマンドによって行う場合にのみ解除等の所定の操作が可能となる。
【0032】
次に、盗難検知装置100の具体的な動作について、図2および図3を参照しながら説明する。
【0033】
まず盗難検知部21において、既に行われた車載機器20および車両10の認証情報の比較から車載機器20の盗難が検知され、盗難検知フラグがONとなっているか否かを確認する(ステップS1)。盗難検知フラグが既にON(すなわち盗難中を示す)となっている場合にはステップS6へ、盗難検知フラグがOFF(すなわち正常状態を示す)となっている場合にはステップS2へそれぞれ進む。
【0034】
次にステップS2では、盗難検知部21において、車両10からの認証情報(車両認証情報)を受信できたかを判断する。車両認証情報を受信できた場合にはステップS4へ、車両認証情報を受信できなかった場合にはステップS3へそれぞれ進む。
【0035】
ここで、車両認証情報は、後述する車載認証情報と対応する情報であり、例えば、車両ECU11が持つ車両固有の情報(シリアル番号等)、イグニッションキーが持つ電子ID、ユーザが登録している通信部22の電話番号、近距離無線通信機器などの認証情報等を示す。車両認証情報は、車両等においてあらかじめ記録しておく情報であり、盗難情報に含まれる。
【0036】
ステップS3では、盗難検知部21において、現在の接続状態が不正な状態、すなわち、例えば車載機器20が車両10に搭載されていない未接続状態であると判断する。
【0037】
そして盗難検知部21において、表示装置13で操作不可を示すメッセージを表示するか、もしくは、表示装置13では表示等せず車載機器20の盗難を検知したものとみなすかを選択する。当該選択は、車載機器20のユーザ等が、あらかじめどちらを選択するか設定しておくことも可能であるが、例えば、操作不可を示すメッセージが表示装置13において表示可能か否か、あるいは盗難検知とみなすことにより認証情報以外の盗難情報が取得可能か否かを装置側で自動的に判断して選択してもよい。操作不可を示すメッセージを表示する場合はステップS30へ、車載機器20の盗難を検知したものとみなす場合はステップS31へそれぞれ進む。
【0038】
ステップS30では、表示装置13において、操作不可を示すメッセージを表示させる。そして、動作を終了する。この場合には、盗難情報を取得しない動作となる。
【0039】
ステップS31では、盗難検知部21おいて、車載機器20の盗難を検知したものとみなし、盗難検知フラグをONに設定した上で、ステップS6へ進む。
【0040】
ステップS4では、盗難検知部21において、車載機器20であらかじめ記録しておいた認証情報(車載認証情報)と、車両10から受信した認証情報(車両認証情報)とを比較し、その比較結果から車両10と車載機器20との接続関係を把握する。そして、車載機器20の盗難を検知したか否かを判断する。
【0041】
具体的には、車載認証情報と車両認証情報とが一致し、正規の車両に対して正規の車載機器が接続された正しい接続関係を満たしている場合には盗難されていないと判断し、接続されている車載認証情報と車両認証情報とが一致していない場合には、車載機器20の盗難を検知したと判断することができる。
【0042】
ただし、車載機器20の所有者等が、盗まれた車載機器20の車載認証情報を盗難防止センターに通報し、当該車載認証情報について盗難登録を行っている場合、または、車両10の所有者等が、盗まれた車両10の車両認証情報を盗難防止センターに通報し、当該車両認証情報について盗難登録を行っている場合は、以下のような動作を行うことができる。
【0043】
すなわち、まず盗難検知部21において、車載認証情報と車両認証情報とを比較する際に、通信部22を介して上記の盗難防止センターと通信することによって、比較に用いている認証情報のいずれかが盗難登録されているかについて確認する。そして、車載認証情報および車両認証情報のいずれか一方が盗難登録されているような場合には、車載認証情報と車両認証情報とが一致する等によって本来盗難を検知できない場合であっても、車載機器20の盗難を検知したと判断することができる。
【0044】
盗難には、少なくとも、車両10ごと車載機器20が盗まれる場合と、車載機器20のみが盗まれ、他の正規でない車両に搭載される場合とがある。上述のような、盗難登録の有無も含めて車載認証情報と車両認証情報とを比較する方法であれば、車載機器20が他の正規でない車両に搭載される場合を検知でき、また、車載認証情報および車両認証情報のいずれか一方があらかじめ所有者等によって盗難登録されていれば、車載認証情報と車両認証情報とが一致する場合であっても盗難を検知することができる。
【0045】
車載機器20の盗難を検知した場合にはステップS5へ、車載機器20の盗難を検知しない場合には、動作を終了する。
【0046】
次に、ステップS5では、盗難検知部21おいて盗難検知フラグをONに設定して、ステップS6へ進む。
【0047】
次に、ステップS6では(以降図3参照)、制御部23において、あらかじめ診断/設定装置30等を介して設定した、盗難情報の取得内容、取得回数等に関する設定内容を確認し、車載機器20および盗難機器搭載車両の少なくとも一方から盗難情報を取得するのか否か、また取得する場合には、各認証情報、その比較結果(盗難検知フラグ)、カメラ15による映像情報、マイク12による音声情報、位置検出部26による位置情報等のうち、どの情報を取得する設定であるのかを確認する。
【0048】
ここで、盗難情報を全く取得しないモードも選択肢として設けておく。これは、このような機能を必要としない場合、例えば開発過程における使用の場合等に適応するためである。盗難情報を取得する場合にはステップS7へ、取得しない場合には動作を終了する。
【0049】
一方で、盗難情報の取得動作とは無関係に、盗難機器搭載車両(盗まれたと判断された車載機器20が搭載されている車両)および車載機器20における各装備機器は、通常動作を可能な状態としておく。すなわち、盗難情報の取得動作が行われていない場合と同様に、起動し所定の駆動を行い、または起動せず待機する。盗難検知装置100が車両10および車載機器20とは別途の電力源を有することで、車両10および車載機器20が起動していない場合でも盗難検知装置100の通常動作を可能とすることができる。
【0050】
次に、ステップS7では、制御部23において、本動作が盗難検知装置100の起動時の情報記録動作であるか否かを判断する。起動時の情報記録動作である場合にはステップS8へ進み、起動時の情報記録動作でない場合には、装備機器の記録開始フローには進まずステップS11へ進む。
【0051】
ステップS8では、制御部23においてカメラ15が有効に動作するか否かを判断し、有効に動作する場合には、映像情報を取得させ、記録部27に記録させ始める。そして、ステップS9へ進む。
【0052】
なお、盗難情報取得のための当該動作に対応した映像は、例えば表示装置13には表示しない。ただし、カメラ15が通常動作を行うタイミングで、盗難情報としての映像情報を取得するような場合に、表示装置13に映像を表示しながら、映像情報を取得することも可能である。
【0053】
例えば、リアカメラであれば、シフトギアをバックにしたタイミングでリアカメラで撮像した映像が表示装置13に表示されるので、当該タイミングで、盗難情報としての映像情報も取得することができる。また、フロントカメラであれば、ユーザの操作でフロントカメラで撮像した映像が表示装置13に表示されるので、当該タイミングで、盗難情報としての映像情報も取得することができる。また、内部カメラであれば、ユーザが画像対応電話を利用する際に内部カメラで撮像した映像が表示装置13に表示されるので、当該タイミングで、盗難情報としての映像情報も取得することができる。この場合には、取得した映像情報と合わせて、電話番号の情報も取得できる。
【0054】
次に、ステップS9では、制御部23においてマイク12が有効に動作するか否かを判断し、有効に動作する場合には、音声情報を取得させ、記録部27に記録させ始める。そして、ステップS10へ進む。
【0055】
また、盗難情報取得のための当該動作に対応した音声は、例えばスピーカ14からは出力しない。ただし、マイク12(および通信部22)が通常動作(通話等)を行うタイミングで、盗難情報としての音声情報を取得するような場合には、スピーカ14から音声を出力しながら、音声情報を取得することも可能である。
【0056】
次に、ステップS10では、制御部23において位置検出部26が有効に動作するか否かを判断し、有効に動作する場合には、位置検出情報を取得させ、記録部27に記録させ始める。そして、ステップS11へ進む。
【0057】
なお、盗難情報取得のための当該動作に対応した位置検出結果は、例えば表示装置13には出力しない。ただし、位置検出部26が通常動作(位置検出)を行うタイミングで、盗難情報としての位置検出情報を取得するような場合には、表示装置13に位置検出結果を表示しながら、位置検出情報を取得することも可能である。
【0058】
次に、ステップS11では、制御部23において、あらかじめ診断/設定装置30等を介して設定した所定回数分、盗難情報が取得されたか否かを判断する。所定回数分取得された場合にはステップS14へ、所定回数分取得されていない場合にはステップS12へ、それぞれ進む。
【0059】
次に、ステップS12では、制御部23において、盗難情報を取得するためのイベントが発生したか否か、すなわち盗難情報の取得条件(所定時間間隔の経過等)が満たされたか否かを判断する。取得条件が満たされた場合にはステップS13へ、取得条件が満たされていない場合にはステップS11へそれぞれ進む。
【0060】
ここで、盗難情報の取得条件は、盗難情報の内容によってそれぞれ設定することができ、設定内容としては、例えば、対応する機器の起動時に取得する場合、対応する機器の動作とは無関係に一定時間間隔で取得する場合等が想定される。
【0061】
次に、ステップS13では、制御部23において、盗難情報を取得するためのイベントに応じて対応する盗難情報を取得する。盗難情報は、ステップS8、ステップS9、ステップS10において記録を開始しているカメラ15、マイク12、位置検出部26等から入手する。盗難情報を取得したら、取得回数を加算し、制御部23においてカウントする。盗難情報の取得は、通信部22を介して所有者等がアクセス可能な外部機器等に送信することによって行ってもよいし、記録部27に記録することによって行ってもよい。当該動作が終了したらステップS11へ進む。
【0062】
ステップS14では、制御部23が、あらかじめ診断/設定装置30等を介して設定した設定内容に従って、車載機器20に動作制限をかける。例えば、車載機器20を操作不可とする。また、車載機器20の操作部24の特定操作のみ制限をかけたり、位置検出部26の検出精度を意図的に劣化させたり、オーディオ機能部25において音声にノイズを付加したり、表示装置13において不良を示すメッセージを表示したりすることにより故障を装い、盗んだ者が車載機器20をディーラ等へ持ち込むことを誘導する動作制限も有効である。
【0063】
<A−3.変形例>
本実施の形態においては、盗難検知装置100が車載機器20内に備えられる場合を示しているが(図1参照)、盗難検知装置100は車載機器20に備えられる場合に限られるものではなく、例えば車両10に備えられるものであってもよい。
【0064】
また図1に示される記録部27は、制御部23が通信部22を介して外部機器と通信し、盗難情報を送信するような場合、すなわち、盗難情報を一時的に、または長期的に記録しておく必要がないような場合には、備えられていなくともよい。
【0065】
本実施の形態においては、車載認証情報と車両認証情報とが一致する場合に、盗難を検知しない正常状態としているが、車載機器20の所有者が、複数の車両を有し、そのいずれの車両に車載機器が搭載された場合にも正常状態とすべきであるような場合には、必ずしも車載認証情報と車両認証情報とが一致する必要はなく、両者が所定の対応関係にあればよい。
【0066】
またステップS8においては、映像情報を記録部27に記録しているが、取得した映像情報を記録部27に記録後、通信部22を介して外部機器等に送信してもよいし、記録部27に記録せずに通信部22を介して外部機器等に送信してもよい。また、取得した映像情報に映像を撮像した日付、時刻等を付加して記録したり送信してもよい。
【0067】
またステップS9においては、音声情報を記録部27に記録しているが、取得した音声情報を記録部27に記録後、通信部22を介して外部機器等に送信してもよいし、記録部27に記録せずに通信部22を介して外部機器等に送信してもよい。また、取得した音声情報に音声を録音した日付、時刻等を付加して記録したり送信してもよい。
【0068】
なおこの場合、音声レベルを検知し無音であれば取得せず、一定レベル以上の音声を取得するようにするのが望ましい。
【0069】
またステップS10においては、位置検出情報を記録部27に記録しているが、取得した位置検出情報を記録部27に記録後、通信部22を介して外部機器等に送信してもよいし、記録部27に記録せずに通信部22を介して外部機器等に送信してもよい。また、取得した位置検出情報に位置検出を行った日付、時刻、その現在位置、目的地設定された目的地等を付加して記録したり送信してもよい。
【0070】
また、ステップS8、ステップS9、ステップS10は、それぞれの順序が異なっていてもよいし、これら以外の、盗難情報として利用し得る情報が取得されるステップが挿入されてもよい。
【0071】
なお、本実施の形態に示した盗難情報は、その内容によっては取得時刻が新しいほどその精度が向上するものもあるため、所定回数が設定されない場合があってもよい。その場合には、上記ステップS12へ進み、盗難情報を取得し続けることができる。また、所定回数が設定される場合であっても、盗難情報の内容ごとにその回数設定が異なっていてもよい。
【0072】
また、上記ステップS14へ進む閾値として取得回数を挙げたが、取得時間、取得情報容量等を閾値とすることも可能である。
【0073】
<A−4.効果>
本発明にかかる実施の形態によれば、盗難検知装置において、車両10に搭載される車載機器20の盗難を検知する盗難検知部21と、盗難を検知した場合、盗まれた車載機器20および盗まれた当該車載機器20が搭載されている車両である盗難機器搭載車両において通常動作を可能とすることにより、当該通常動作可能中に当該盗難に関する情報である盗難情報を取得する制御部23とを備えることで、盗んだ者に気づかれずに、盗難にあった車載機器20等を取り戻すための盗難情報を取得することができる。
【0074】
また、記録部27に記録された盗難情報を取得する、または、通信部22を介して盗難情報を取得することで、盗難にあった車載機器20を追跡することができる。
【0075】
また、本発明にかかる実施の形態によれば、盗難検知装置において、盗難検知部21が、車両10と車載機器20との接続関係に基づいて、車載機器20の盗難を検知することで、正規でない車両に車載機器20が接続されているような場合に、車載機器20の盗難を検知することができる。
【0076】
また、本発明にかかる実施の形態によれば、盗難検知装置において、盗難検知部21が、車両10および車載機器20それぞれにあらかじめ設定された認証情報を比較し、その比較結果に基づいて、車載機器20の盗難を検知することで、車載認証情報と車両認証情報とが一致する等、正しく対応するか否かによって、車載機器20の盗難の発生を判断することができる。
【0077】
また、本発明にかかる実施の形態によれば、盗難検知装置において、盗難検知部21が、車両10の認証情報が取得できず、その比較ができない場合、車載機器20の盗難を検知したものとみなすことで、車載機器20が車両に接続されていない場合であっても、車載機器20の盗難を検知することができる。
【0078】
また、本発明にかかる実施の形態によれば、盗難検知装置において、盗難検知部21が、車両10および車載機器20の少なくとも一方の認証情報があらかじめ盗難登録された認証情報である場合、車載機器20の盗難を検知したものとみなすことで、車両ごと車載機器20が盗まれ、正規の接続関係のまま盗難にあった場合であっても、盗難登録された車両認証情報、車載認証情報の少なくとも一方に基づいて、車載機器20の盗難を検知することができる。
【0079】
また、本発明にかかる実施の形態によれば、盗難検知装置において、通常動作可能中とは、車載機器20が、起動し動作している状態、および、起動せず動作を停止している状態の双方を含むものであることで、車載機器20および盗難機器搭載車両が起動し動作している場合に盗難情報を取得でき、また起動せず動作を停止している場合であっても、盗難検知装置100が別途有する電力源を起動させることで、独自に盗難情報を取得することができる。
【0080】
また、本発明にかかる実施の形態によれば、盗難検知装置において、制御部23は、車載機器20および盗難機器搭載車両の少なくとも一方から、盗難情報を取得することで、車載機器20または盗難機器搭載車両に記録している情報を適切に取得し、車載機器20を取り戻すための盗難情報を取得することができる。
【0081】
また、本発明にかかる実施の形態によれば、盗難検知装置において、盗難機器搭載車両は、装備機器として表示装置13を備え、車載機器20の盗難を検知された場合、制御部23が、表示装置13に通常の表示を可能とさせながら、盗難機器搭載車両から、盗難情報を取得することで、盗んだ者には通常の表示を見せながら、盗難情報を取得することができる。
【0082】
また、本発明にかかる実施の形態によれば、盗難検知装置において、車載機器20は、位置検出部26を備え、車載機器20の盗難が検知された場合、制御部23が、位置検出部26に通常の位置検出動作をさせつつ、車載機器20から、位置検出情報を取得することで、盗んだ者には通常の位置検出、さらには経路誘導等の機能を使用させながら、盗難情報を取得することができる。
【0083】
また、本発明にかかる実施の形態によれば、盗難検知装置において、盗難機器搭載車両は、装備機器として撮像装置としてのカメラ15を備え、車載機器20の盗難が検知された場合、制御部23が、カメラ15に通常の撮像動作をさせつつ、盗難機器搭載車両から、映像情報を取得することで、盗んだ者には通常のカメラ15の機能を使用させながら、盗難情報を取得することができる。
【0084】
また、本発明にかかる実施の形態によれば、盗難検知装置において、盗難機器搭載車両は、装備機器として録音装置としてのマイク12を備え、車載機器20の盗難が検知された場合、制御部23が、マイク12に通常の録音動作をさせつつ、盗難機器搭載車両から、音声情報を取得することで、盗んだ者には通常のマイク12の機能を使用させながら、盗難情報を取得することができる。
【0085】
また、本発明にかかる実施の形態によれば、盗難検知装置において、制御部23が、あらかじめ設定した閾値(取得回数等)を満たす盗難情報が取得できた場合に、車載機器20の動作を制限することで、盗んだ者をディーラ等へ誘導し、車載機器20を取り戻すことができる可能性を高めることができる。
【0086】
動作の制限としては、例えば、車載機器20の操作部24の特定操作のみ制限をかけたり、位置検出部26の検出精度を意図的に劣化させたり、オーディオ機能部25において音声にノイズを付加したり、表示装置13において不良を示すメッセージを表示したりすることが考えられる。
【0087】
また、本発明にかかる実施の形態によれば、盗難検知装置において、制御部23が、閾値(取得回数等)を満たす盗難情報が取得できた場合に、車載機器20の動作を停止することで、盗んだ者をディーラ等へ誘導し、車載機器20を取り戻すことができる可能性を高めることができる。
【0088】
また、本発明にかかる実施の形態によれば、盗難検知装置において、制御部23が、閾値(所定回数等)を満たす盗難情報が取得できた場合に、表示装置13等を介して車載機器20の故障を示す通知を行うことで、盗んだ者に修理を促し、車載機器20を取り戻すことができる可能性を高めることができる。
【0089】
また、本発明にかかる実施の形態によれば、盗難検知装置において、制御部23が、取得した盗難情報を通信部22を介して外部機器に送信することで、車載機器20に記録部27を備えていない場合であっても、所有者等がアクセス可能な外部機器から、迅速に盗難情報を取得できる。
【0090】
また、本発明にかかる実施の形態によれば、盗難検知装置において、盗難情報を記録する記録部27をさらに備え、制御部23が、取得した盗難情報を記録部27に記録させることで、盗難機器搭載車両、または、車載機器20が発見されたとき、盗んだ者を特定するための情報を車載機器20より得ることができる。また、記録部27に記録された盗難情報へのアクセス制限をかけることで、セキュリティーレベルが高く維持できる。
【0091】
また、本発明にかかる実施の形態によれば、盗難検知装置において、盗難情報が、所定の機器、所定のコマンドの少なくとも一方を用いた場合にのみ、アクセス可能であることで、盗難情報に対するアクセスを制限し、セキュリティーレベルが高く維持できる。
【0092】
なお本発明は、その発明の範囲内において、本実施の形態における任意の構成要素の変形もしくは省略が可能である。
【符号の説明】
【0093】
10 車両、11 車両ECU、12 マイク、13 表示装置、14 スピーカ、15 カメラ、20 車載機器、21 盗難検知部、22 通信部、23 制御部、24 操作部、25 オーディオ機能部、26 位置検出部、27 記録部、30 診断/設定装置、100 盗難検知装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の装備機器に接続され前記車両に搭載される車載機器の盗難を検知する盗難検知部と、
前記盗難検知部が前記盗難を検知した場合、盗まれた前記車載機器および盗まれた当該車載機器が搭載されている車両である盗難機器搭載車両において通常動作を可能とすることにより、当該通常動作可能中に当該盗難に関する情報である盗難情報を取得する制御部とを備えることを特徴とする、
盗難検知装置。
【請求項2】
前記盗難検知部が、前記車両と前記車載機器との接続関係に基づいて、前記車載機器の盗難を検知することを特徴とする、
請求項1に記載の盗難検知装置。
【請求項3】
前記盗難検知部が、前記車両および前記車載機器それぞれにあらかじめ設定された認証情報を比較し、その比較結果に基づいて、前記車載機器の盗難を検知することを特徴とする、
請求項2に記載の盗難検知装置。
【請求項4】
前記盗難検知部が、前記車両の前記認証情報が取得できず、その比較ができない場合、前記車載機器の盗難を検知したものとみなすことを特徴とする、
請求項3に記載の盗難検知装置。
【請求項5】
前記盗難検知部が、前記車両および前記車載機器の少なくとも一方の前記認証情報があらかじめ盗難登録された認証情報である場合、前記車載機器の盗難を検知したものとみなすことを特徴とする、
請求項3または4に記載の盗難検知装置。
【請求項6】
前記通常動作可能中とは、前記車載機器が、起動し動作している状態、および、起動せず動作を停止している状態の双方を含むものであることを特徴とする、
請求項1〜5のいずれかに記載の盗難検知装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記車載機器および前記盗難機器搭載車両の少なくとも一方から、前記盗難情報を取得することを特徴とする、
請求項1〜6のいずれかに記載の盗難検知装置。
【請求項8】
前記盗難機器搭載車両は、前記装備機器として表示装置を備え、
前記車載機器の盗難が検知された場合、前記制御部が、前記表示装置に通常の表示を可能とさせながら、前記盗難機器搭載車両から、前記盗難情報を取得することを特徴とする、
請求項7に記載の盗難検知装置。
【請求項9】
前記制御部が、あらかじめ設定した閾値を満たす前記盗難情報が取得できた場合に、前記車載機器の動作を制限することを特徴とする、
請求項1〜8のいずれかに記載の盗難検知装置。
【請求項10】
前記制御部が、前記閾値を満たす前記盗難情報が取得できた場合に、前記車載機器の動作を停止することを特徴とする、
請求項9に記載の盗難検知装置。
【請求項11】
前記制御部が、前記閾値を満たす前記盗難情報が取得できた場合に、前記車載機器の故障を示す通知を行うことを特徴とする、
請求項9または10に記載の盗難検知装置。
【請求項12】
前記制御部が、取得した前記盗難情報を外部機器に送信することを特徴とする、
請求項1〜11のいずれかに記載の盗難検知装置。
【請求項13】
前記盗難情報を記録する記録部をさらに備え、
前記制御部が、取得した前記盗難情報を前記記録部に記録させることを特徴とする、
請求項1〜12のいずれかに記載の盗難検知装置。
【請求項14】
前記盗難情報が、所定の機器、所定のコマンドの少なくとも一方を用いた場合にのみ、アクセス可能であることを特徴とする、
請求項1〜13のいずれかに記載の盗難検知装置。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれかに記載の盗難検知装置を備えることを特徴とする、
車載機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−60032(P2013−60032A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−197892(P2011−197892)
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】