説明

盗難防止用ワイヤ

【課題】正当な権限を持つ者だけが電子機器に繋がれた盗難防止用ワイヤの接続のロックを解除できるようにする。
【解決手段】盗難防止用ワイヤ10の鍵部12のUSBプラグ13をラップトップコンピュータ30のUSBポート31に挿入すると、鍵部12にて生成された解除番号がラップトップコンピュータ30に通知され、そこで正当な権限を持つ者のアドレス宛にメール送信される。鍵部12は、USBプラグ13とUSBポート31とを機械的にロックする。盗難防止用ワイヤ10を外すときには、メール送信された解除番号がラップトップコンピュータ30を介して鍵部12に通知する。鍵部12は、記憶しておいた解除番号と通知された解除番号とが一致した場合のみ、USBプラグ13とUSBポート31との機械的ロックを解除する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は盗難防止用ワイヤに関し、特に可搬型の電子機器を安全に接続しておくための盗難防止用ワイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
業務で使用されている情報処理端末として、卓上の占有面積が小さく机を広く使用できることから、ラップトップコンピュータのような電子機器が広く使用されている。このような電子機器は、小型軽量で携帯可能なことから、職場を離れて、たとえば自宅または出張先で業務を行う際にも職場から持ち出して使用することが行われている。
【0003】
可搬型の電子機器は、移動が容易であることから盗難に遭う機会が高く、盗難の場合には、内部データの流出が重大な社会問題となる虞がある。このため、可搬型の電子機器を机の脚などに括り付けておく盗難防止用ワイヤを用いて、電子機器を容易に移動できないようにすることが行われている。
【0004】
このような盗難防止用ワイヤは、電子機器と机の脚などとに括り付けるワイヤと鍵部とから構成され、たとえば、特許文献1に記載のようなものが知られている。この盗難防止用ワイヤによれば、電子機器に係着具を係着しておき、鍵部を貫通しておいたワイヤの一端を机の脚に巻き付け、他端を係着具に挿通した後、鍵部に挿入して施錠することでワイヤの他端と鍵部とをロックするようにしている。これにより、電子機器は、ワイヤを介して机の脚に繋がれるので、盗難を防止することができる。
【特許文献1】特開2004−318426号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、合鍵を使用すれば盗難防止用ワイヤと電子機器との接続のロックを解除することができるので、その合鍵を持ってさえいれば正当な権限を持たない者であっても盗難防止用ワイヤと電子機器との接続のロックを解除することができてしまう。これにより、電子機器が盗難されてしまうことがあるという問題点があった。
【0006】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、正当な権限を持つ者だけが電子機器との接続のロックを解除できる盗難防止用ワイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、図1に示したように、盗難防止用ワイヤ10は、机20などの固定物に括り付けることができるワイヤ11と鍵部12とからなり、鍵部12は、携帯可能な電子機器であるラップトップコンピュータ30に電気的に接続して通信することができるUSBプラグ13と、このUSBプラグ13をラップトップコンピュータ30のUSBポート31に挿入後にUSBポート31と機械的にロック可能にするロック機構と、そのロック機構を、内部に記憶されている第1の解除番号とラップトップコンピュータ30からUSBポート31およびUSBプラグ13を介して送信されてきた第2の解除番号とに基づいてロックまたはロック解除するように制御する制御部とを有している。
【0008】
本発明による盗難防止用ワイヤ10は、第2の解除番号をラップトップコンピュータ30に入力することでロックを解除できる構成にしたので、物理的な鍵が存在せず、第2の解除番号を管理している正当な権限を持つ者だけがロックを解除することができるようになる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の盗難防止用ワイヤは、物理的な鍵を使うものではなく、鍵部が記憶する第1の解除番号および電子機器から送られてくる第2の解除番号とする電子データを使用するものであるので、電子機器との接続のたびに変更することが可能であり、セキュリティを向上させることができるという利点がある。
【0010】
また、ロックを解除するために電子機器に入力される第2の解除番号は、電子機器のユーザが管理するのではなく、管理者が管理するようにできるので、ユーザが勝手に電子機器を持ち出すということも防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を、ラップトップコンピュータに接続される盗難防止用ワイヤに適用した場合を例に、図面を参照して詳細に説明する。
まず、盗難防止用ワイヤの使用例について説明する。
【0012】
図1は盗難防止用ワイヤの使用例を示す図である。
盗難防止用ワイヤ10は、ワイヤ11と鍵部12とからなり、その鍵部12には、USB(Universal Serial Bus)規格のUSBプラグ13が一体に設けられている。盗難防止用ワイヤ10のワイヤ11は、その自由端が輪になっていてその輪を通して机20の脚に巻き付けられ、USBプラグ13は、ラップトップコンピュータ30に設けられている汎用の通信ポートであるUSBポート31に挿入され、電気的に接続される。
【0013】
USBプラグ13がUSBポート31に挿入されると、鍵部12とラップトップコンピュータ30との間で所定の処理が行われ、鍵部12がUSB接続部分を機械的にロックするように制御する。これによって、盗難防止用ワイヤ10は、ラップトップコンピュータ30に機械的に繋がれる。
【0014】
ラップトップコンピュータ30を移動するために、盗難防止用ワイヤ10を外す場合には、同様に、鍵部12とラップトップコンピュータ30との間で所定の処理が行われ、鍵部12がUSB接続部分をアンロックするように制御する。これによって、盗難防止用ワイヤ10は、USBプラグ13をUSBポート31から引き抜くことが可能になる。
【0015】
次に、この盗難防止用ワイヤ10がラップトップコンピュータ30に機械的にロックまたはアンロックされ得るロック機構の一例について説明する。
図2はUSB接続部分のロックおよびアンロックの状態を示す説明図であって、(A)は接続前の状態を示し、(B)は接続時のアンロック状態を示し、(C)は接続時のロック状態を示している。図3はアクチュエータの一構成例を示す説明図であって、(A)はアクチュエータのアンロック時の状態を示し、(B)はアンロック時のカム位置を示し、(C)はアクチュエータのロック時の状態を示し、(D)はロック時のカム位置を示し、(E)は往復運動を回転運動に変換する部分を示している。
【0016】
ラップトップコンピュータ30に搭載されるUSBポート31は、図2の(A)に示したように、そのハウジング32にUSBプラグ13が挿抜される方向に延びるガイド33が内設され、その図の下方の面には複数のコンタクト34が担持されている。また、ハウジング32は、その図の下方の開口端に、USBプラグ13が挿入されるときの高さ方向の位置決めを行う突起部35が突設されている。
【0017】
一方、USBプラグ13も、同様に、ハウジング14にガイド15が内設され、その図の上方の面に複数のコンタクト16が担持されている。ガイド15の中には、回転軸17とその一端に固定されたカム18とが設けられている。回転軸17の他端は、図3の(E)に示したように、スリーブ19が接続され、そのスリーブ19には、その長手方向の軸線に対して斜めに穿設されたガイド溝19aを有している。
【0018】
このスリーブ19は、図3の(A)に示したように、回転軸17を90度回動させるアクチュエータ21が設けられている。アクチュエータ21は、スリーブ22の両端に永久磁石23,24が配設され、その間に、プランジャ25が軸線方向に進退自在に配置されている。プランジャ25は、永久磁石23を遊貫して延びるシャフト26が固定されている。シャフト26は、その先端がスリーブ19に嵌入されており、スリーブ19のガイド溝19aを貫通するようにガイドピン27が植設されている。そして、スリーブ22の外周には、コイル28が巻回されている。
【0019】
ここで、USB接続部分をロックするには、まず、図2の(B)に示したように、USBプラグ13をUSBポート31に挿入し、カム18を回転させるようにする。すなわち、USBプラグ13をUSBポート31に挿入するとき、アクチュエータ21は、図3の(A)に示したように、プランジャ25が永久磁石24に吸着されており、そのとき、カム18は、図3の(B)に示したように、長径が水平方向になっていて、ハウジング14の中に収められている。ここで、コイル28に電流を流すことにより、プランジャ25が永久磁石24とは反発し、永久磁石23とは吸引することで、図3の(C)に示したように、図の右方向へ移動する。このとき、シャフト26に固定されたガイドピン27が図の右方向へ直進するにつれてスリーブ19が回転していき、プランジャ25が永久磁石23に吸着すると、スリーブ19が90度回転してカム18は、図3の(D)に示したように、長径が垂直方向になる。これにより、カム18は、図2の(C)に示したように、突起部35に係合された状態になり、USBプラグ13をUSBポート31から抜くことができなくなる。
【0020】
逆に、USB接続部分をアンロックするには、コイル28にロック時と逆方向の電流を流すことにより、アクチュエータ21が図3の(C)に示した状態から(A)に示した状態に遷移するので、カム18が図3の(D)に示した状態から(B)に示した状態に遷移し、USB接続部分は図2の(C)に示したロック状態から(B)に示したアンロック状態に移行することができる。
【0021】
次に、盗難防止用ワイヤ10の鍵部12が備える制御部のハードウェア構成について説明する。
図4は鍵部のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0022】
鍵部12は、USB接続部分のロックまたはアンロックを制御する制御部40を備えている。この制御部40は、CPU(Central Processing Unit)41、ROM(Read Only Memory)42、RAM(Random Access Memory)43、入出力インタフェース44および駆動回路45を有し、これらはバス46によって相互に接続されている。
【0023】
CPU41は、この制御部40の全体の制御を司っている。ROM42には、CPU41が実行するOS(Operating System)のプログラムやロック制御に必要なアプリケーションプログラムなどが格納されている。RAM43には、OSのプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に格納され、CPU41の処理に必要な各種データが格納される。この制御部40は、好ましくは、これらの機能を集積化した1チップICによって構成される。
【0024】
入出力インタフェース44は、USBプラグ13を介してラップトップコンピュータ30と通信を行う。そして、駆動回路45は、鍵部12のアクチュエータ21を駆動制御する。
【0025】
次に、盗難防止用ワイヤ10と接続されるラップトップコンピュータ30のハードウェア構成について説明する。
図5はラップトップコンピュータのハードウェア構成を示すブロック図である。
【0026】
ラップトップコンピュータ30は、CPU51を有し、このCPU51は、ROM52、RAM53、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)54、グラフィック処理装置55、入出力インタフェース56および通信インタフェース57がバス58を介して相互に接続されている。
【0027】
CPU51は、ラップトップコンピュータ30の全体の制御を司っている。ROM52には、周辺機器を制御するプログラム群であるBIOS(Basic Input Output System)が格納される。RAM53には、CPU51が実行するOSのプログラムや各種アプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に格納され、CPU51の処理に必要な各種データが格納される。HDD54には、OSのプログラムやアプリケーションプログラムなどが格納される。
【0028】
このアプリケーションプログラムには、盗難防止用ワイヤ10を制御するロック・アンロック処理プログラム、メールアドレスに従ってメールを送信するメール送信プログラム、ユーザがメールを閲覧するためのメール受信プログラムなどを含んでいる。
【0029】
グラフィック処理装置55は、アンロック処理プログラムなどの実行時にCPU51からの命令に従い、画像をモニタに表示させる。入出力インタフェース56は、外部接続されるスマートカードリーダ、盗難防止用ワイヤ10などとのデータの送受信を行い、通信インタフェース57は、インターネットなどのネットワークを介してメールサーバなどに接続される。
【0030】
次に、以上のハードウェア構成により実現される第1の実施の形態に係る盗難防止用ワイヤ10およびこれが接続されるラップトップコンピュータ30の機能構成について説明する。
【0031】
図6は第1の実施の形態に係る盗難防止用ワイヤおよびラップトップコンピュータの機能構成を示すブロック図である。
盗難防止用ワイヤ10の鍵部12に設けられた制御部40は、解除番号生成部61、データ格納部62、解除番号送信部63、アドレス送信部64、ロック制御部65、解除番号受信部66、判定部67および解除制御部68を備えている。
【0032】
解除番号生成部61は、盗難防止用ワイヤ10のUSBプラグ13がラップトップコンピュータ30のUSBポート31に接続された場合、USB接続部分のロックを解除するときに使用される解除番号をランダムに生成し、データ格納部62は、その生成された解除番号とあらかじめ設定された正当なユーザのメールアドレスとを格納する。解除番号送信部63およびアドレス送信部64は、生成された解除番号およびデータ格納部62にあらかじめ設定されたメールアドレスをラップトップコンピュータ30に送信する。ロック制御部65は、USB接続部分を機械的にロックするよう制御する。
【0033】
解除番号受信部66は、ラップトップコンピュータ30を移動する際に、ラップトップコンピュータ30から解除番号を受信する。判定部67は、受信された解除番号とデータ格納部62に格納しておいた解除番号とが一致するか否かを判定し、解除制御部68は、USB接続部分の機械的なロックを解除するよう制御する。
【0034】
ラップトップコンピュータ30は、接続認識部71、解除番号受信部72、アドレス受信部73、メール通知部74、ロック要求部75、解除受付部76および解除要求部77を備えている。
【0035】
接続認識部71は、USBプラグ13のUSBポート31への接続を認識し、解除番号受信部72およびアドレス受信部73は、それぞれ鍵部12から送信された解除番号およびメールアドレスを受信する。メール通知部74は、受信した解除番号を含むメールを受信したメールアドレス宛てに送信するよう所定のメール送信プログラムに通知する。ロック要求部75は、USB接続部分のロックを鍵部12の制御部40に要求する。
【0036】
解除受付部76は、ラップトップコンピュータ30を移動する際に、解除要求を受け付ける。解除要求部77は、解除要求の受け付け時にユーザ入力された解除番号とともに鍵部12の制御部40にUSB接続部分のロック解除を要求する。
【0037】
次に、盗難防止用ワイヤ10のUSBプラグ13とラップトップコンピュータ30のUSBポート31とのUSB接続部分を機械的にロックする過程の状態遷移について説明する。
【0038】
図7はUSB接続部分をロックする過程の状態遷移を示す図である。
USB接続部分をロックするとき、盗難防止用ワイヤ10の動作は、鍵部12の上記機能を実行するプログラムによって実現され、ラップトップコンピュータ30の動作は、上記機能を実行するプログラム、すなわちロック処理プログラムおよびメール送信プログラムによって実現される。
【0039】
まず、USBプラグ13がUSBポート31に接続されると、ラップトップコンピュータ30では、接続認識部71によりUSB接続が認識され(ステップS11)、ロック処理プログラムが起動して、鍵部12に解除番号を要求する(ステップS12)。
【0040】
鍵部12の制御部40では、ラップトップコンピュータ30からの解除番号の要求に応えて、解除番号生成部61が解除番号を生成し(ステップS13)、生成された解除番号は、データ格納部62へ格納されるとともに解除番号送信部63によりラップトップコンピュータ30へ送信される(ステップS14)。
【0041】
ラップトップコンピュータ30では、解除番号受信部72が鍵部12から送信された解除番号を受信し(ステップS15)、続いて、ロック処理プログラムが鍵部12にアドレスを要求する(ステップS16)。
【0042】
鍵部12の制御部40では、ラップトップコンピュータ30からのアドレス要求に応えて、アドレス送信部64がデータ格納部62にあらかじめ格納されているメールアドレスをラップトップコンピュータ30に送信する(ステップS17)。
【0043】
ラップトップコンピュータ30では、アドレス受信部73が鍵部12から送信されたメールアドレスを受信すると(ステップS18)、ロック処理プログラムは、先に受信した解除番号とメールアドレスとをメール送信プログラムに通知する(ステップS19)。
【0044】
メール送信プログラムは、ロック処理プログラムからの通知を受信すると(ステップS20)、通知された解除番号を内容とするメールをメールアドレスのアドレス宛に送信する(ステップS21)。
【0045】
ロック処理プログラムは、メール送信プログラムから送信完了の通知を受けると、鍵部12に対してロックの要求をする(ステップS22)。
鍵部12の制御部40では、ラップトップコンピュータ30からロックの要求を受けると、ロック制御部65がUSB接続部のロックを行う(ステップS23)。
【0046】
なお、メール送信プログラムによって送信されたメールは、ユーザがメール受信プログラムを利用して受信され、正当なユーザは、USB接続部分のロックを解除するために必要な解除番号を含むメールを取得することができる。
【0047】
次に、盗難防止用ワイヤ10のUSBプラグ13とラップトップコンピュータ30のUSBポート31とのUSB接続部分のロックを解除する過程の状態遷移について説明する。
【0048】
図8はUSB接続部分のロックを解除する過程の状態遷移を示す図である。
鍵部12の制御部40およびラップトップコンピュータ30は、USB接続のロックを解除する場合、以下のステップに従って処理を実行する。
【0049】
USB接続部分のロックを解除してユーザがラップトップコンピュータ30を移動する場合、まず、ユーザはラップトップコンピュータ30のアンロック処理プログラムを起動する。アンロック処理プログラムの解除受付部76は、ユーザに解除番号の入力を促し、ユーザがメールによって通知された解除番号を入力することでロック解除要求を受け付ける(ステップS31)。そして、解除要求部77が鍵部12の制御部40に入力された解除番号とともにロック解除の要求を送信する(ステップS32)。
【0050】
鍵部12の制御部40では、解除番号受信部66がラップトップコンピュータ30からのロック解除要求を解除番号とともに受信すると(ステップS33)、判定部67がデータ格納部62に格納されている解除番号とラップトップコンピュータ30から通知された解除番号とを比較し、一致しているかどうかを判定する(ステップS34)。解除番号が一致している場合は、判定部67は解除可と判定し(ステップS35)、解除制御部68によってUSB接続部分のロックを解除する。解除番号が一致していない場合、判定部67は解除不可と判定し(ステップS36)、ロックの解除は行われない。なお、判定部67は、アンロック処理プログラムに対して、判定結果を通知するようにしてもよい。このとき、アンロック処理プログラムは、解除番号が一致している場合には解除が成功している旨の表示をし、解除番号が一致していない場合には、再度、ユーザに正しい解除番号の入力を促すようにしてもよい。
【0051】
なお、上記の実施の形態では、メールのアドレスは、ラップトップコンピュータ30の正当なユーザのアドレスとして説明したが、ラップトップコンピュータ30の管理者のアドレスとしてもよい。この場合、管理者の承認を得てからでないとロックを解除することができないことになる。これにより、ラップトップコンピュータ30の移動や持ち出しに関する管理が容易になる。
【0052】
次に、図4のハードウェア構成により実現される第2の実施の形態に係る盗難防止用ワイヤ10およびこれが接続される図5のハードウェア構成により実現されるラップトップコンピュータ30aの機能構成について説明する。
【0053】
図9は第2の実施の形態に係る盗難防止用ワイヤおよびラップトップコンピュータの機能構成を示すブロック図である。
盗難防止用ワイヤ10の鍵部12に設けられた制御部40aは、識別番号格納部81、識別番号送信部82、ロック制御部83、カード番号受信部84、判定部85および解除制御部86を備えている。
【0054】
識別番号格納部81は、この盗難防止用ワイヤ10に割り当てられたユニークな識別番号があらかじめ格納されている。識別番号送信部82は、ラップトップコンピュータ30aからの要求により、識別番号格納部81に格納されている識別番号をラップトップコンピュータ30aに送信する。ロック制御部83は、ラップトップコンピュータ30aからロックの要求があった場合に、USB接続部分を機械的にロックするよう制御する。
【0055】
カード番号受信部84は、ラップトップコンピュータ30aを移動する際に、ラップトップコンピュータ30aからロックの解除に必要なカード番号を受信する。判定部85は、受信されたカード番号と識別番号格納部81に格納しておいた識別番号とが一致するか否かを判定し、解除制御部68は、USB接続部分の機械的なロックを解除するよう制御する。
【0056】
ラップトップコンピュータ30aは、接続認識部91、識別番号受信部92、カード番号取得部93、判定部94、ロック要求部95、解除受付部96および解除要求部97を備えている。
【0057】
接続認識部91は、USBプラグ13のUSBポート31への接続を認識し、鍵部12の制御部40aに識別番号の送信を要求する。識別番号受信部92は、制御部40aから送信された識別番号を受信する。カード番号取得部93は、スマートカードに記憶されているカード番号をラップトップコンピュータ30aに接続したカードリーダを介して取得する。判定部94は、取得されたカード番号と受信した識別番号とが一致するか否かを判定し、ロック要求部95は、USB接続部分のロックを鍵部12の制御部40aに要求する。
【0058】
解除受付部96は、ラップトップコンピュータ30aを移動する際に、解除要求を受け付ける。解除要求部97は、解除要求の受け付け時にカード番号取得部93によって取得したカード番号とともに鍵部12の制御部40aにUSB接続部分のロック解除を要求する。
【0059】
次に、盗難防止用ワイヤ10のUSBプラグ13とラップトップコンピュータ30aのUSBポート31とのUSB接続部分を機械的にロックする過程の状態遷移について説明する。
【0060】
図10はUSB接続部分をロックする過程の状態遷移を示す図である。
ここで、盗難防止用ワイヤ10には、スマートカードが付属されており、そのスマートカードには、制御部40aの識別番号格納部81に格納されている識別番号と同じまたは対応するカード番号が記憶されているとする。スマートカードは、盗難防止用ワイヤ10をロックするときおよびロックを解除するときに使用される。
【0061】
まず、USBプラグ13がUSBポート31に接続されると、ラップトップコンピュータ30aでは、接続認識部91によりUSB接続が認識され(ステップS41)、ロック処理プログラムが起動して、鍵部12に識別番号を要求する(ステップS42)。
【0062】
鍵部12の制御部40aでは、ラップトップコンピュータ30aからの識別番号の要求に応えて、識別番号送信部82が識別番号格納部81に格納されている識別番号をラップトップコンピュータ30aへ送信する(ステップS43)。
【0063】
ラップトップコンピュータ30aでは、識別番号受信部92が制御部40aから送信された識別番号を受信し(ステップS44)、判定部94が受信した識別番号とカード番号取得部93にて取得したカード番号とを比較し、一致しているかどうかを判定する(ステップS45)。両者が一致していれば、判定部94はロック可と判定し(ステップS46)、制御部40aに対してロック要求を送信する(ステップS47)。
【0064】
鍵部12の制御部40aでは、ラップトップコンピュータ30aからのロック要求を受け、ロック制御部83がUSB接続部のロックを行う(ステップS48)。
ラップトップコンピュータ30aの判定部94による判定結果において、識別番号とカード番号とが一致しない場合には、判定部94はロック不可と判断し(ステップS49)、制御部40aに対するロック要求は送信しない。
【0065】
次に、盗難防止用ワイヤ10のUSBプラグ13とラップトップコンピュータ30aのUSBポート31とのUSB接続部分のロックを解除する過程の状態遷移について説明する。
【0066】
図11はUSB接続部分のロックを解除する過程の状態遷移を示す図である。
盗難防止用ワイヤ10の鍵部12の制御部40aおよびラップトップコンピュータ30aは、USB接続のロックを解除する場合、以下のステップに従って処理を実行する。
【0067】
USB接続部分のロックを解除してユーザがラップトップコンピュータ30aを移動する場合、まず、ユーザはラップトップコンピュータ30aのアンロック処理プログラムを起動する。アンロック処理プログラムの解除受付部96は、ユーザから解除指示を受けると(ステップS51)、解除要求部97は制御部40aに対してカード番号取得部93が取得したカード番号とともにロック解除の要求を送信する(ステップS52)。
【0068】
鍵部12の制御部40aでは、カード番号受信部84がラップトップコンピュータ30aからのロック解除要求をカード番号とともに受信すると(ステップS53)、判定部85が識別番号格納部81に格納されている識別番号とラップトップコンピュータ30aから通知されたカード番号とを比較し、一致しているかどうかを判定する(ステップS54)。両者の番号が一致している場合、判定部85は解除可と判定し(ステップS55)、解除制御部86によってUSB接続部分のロックを解除する。番号が一致していない場合、判定部85は解除不可と判定し(ステップS56)、ロックの解除は行われない。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】盗難防止用ワイヤの使用例を示す図である。
【図2】USB接続部分のロックおよびアンロックの状態を示す説明図であって、(A)は接続前の状態を示し、(B)は接続時のアンロック状態を示し、(C)は接続時のロック状態を示している。
【図3】アクチュエータの一構成例を示す説明図であって、(A)はアクチュエータのアンロック時の状態を示し、(B)はアンロック時のカム位置を示し、(C)はアクチュエータのロック時の状態を示し、(D)はロック時のカム位置を示し、(E)は往復運動を回転運動に変換する部分を示している。
【図4】鍵部のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図5】ラップトップコンピュータのハードウェア構成を示すブロック図である。
【図6】第1の実施の形態に係る盗難防止用ワイヤおよびラップトップコンピュータの機能構成を示すブロック図である。
【図7】USB接続部分をロックする過程の状態遷移を示す図である。
【図8】USB接続部分のロックを解除する過程の状態遷移を示す図である。
【図9】第2の実施の形態に係る盗難防止用ワイヤおよびラップトップコンピュータの機能構成を示すブロック図である。
【図10】USB接続部分をロックする過程の状態遷移を示す図である。
【図11】USB接続部分のロックを解除する過程の状態遷移を示す図である。
【符号の説明】
【0070】
10 盗難防止用ワイヤ
11 ワイヤ
12 鍵部
13 USBプラグ
20 机
30 ラップトップコンピュータ
31 USBポート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可搬型の電子機器にロック可能に接続される盗難防止用ワイヤにおいて、
前記電子機器に搭載された通信ポートに電気的に接続されるプラグ、前記プラグを前記通信ポートへ挿入後に前記通信ポートと機械的にロック可能にするロック機構、および内部に記憶されている第1の解除番号と前記電子機器から前記通信ポートおよび前記プラグを介して受信される第2の解除番号とに基づいて前記ロック機構を制御する制御手段を有する鍵部と、
一端が前記鍵部に固定されていて他端には固定物に括り付けるための輪を有するワイヤと、
を備えていることを特徴とする盗難防止用ワイヤ。
【請求項2】
前記制御手段は、前記プラグを前記通信ポートへ挿入するたびに異なる前記第1の解除番号を生成し、生成された前記第1の解除番号を前記第2の解除番号として前記電子機器に送信し、前記電子機器のメール機能を利用して前記電子機器の管理者にメールで通知させるようにしたことを特徴とする請求項1記載の盗難防止用ワイヤ。
【請求項3】
前記制御手段は、前記電子機器側で前記プラグの前記通信ポートへの接続が認識されたことに応答して前記第1の解除番号をランダムに生成する解除番号生成部、生成された前記第1の解除番号と前記第1の解除番号を前記電子機器を通じてユーザにメールで通知するためのメールアドレスとを記憶しておくデータ格納部、前記第1の解除番号および前記メールアドレスを前記電子機器に送信する送信部、前記電子機器から送信された前記第1の解除番号を前記第2の解除番号として受信する受信部、前記第1の解除番号と前記第2の解除番号とを比較判定する判定部、および前記送信部による前記第1の解除番号および前記メールアドレスの送信後に前記ロック機構をロックするよう制御するとともに前記判定部の判定結果に従って前記ロック機構のロックを解除するよう制御する制御部を有することを特徴とする請求項1記載の盗難防止用ワイヤ。
【請求項4】
前記制御手段は、ユニークな識別番号が前記第1の解除番号として記憶される識別番号格納部、前記電子機器側で前記プラグの前記通信ポートへの接続が認識されたことに応答して前記識別番号を前記電子機器に送信する送信部、スマートカードに記憶されていて前記電子機器から前記第2の解除番号として受信したカード番号と前記識別番号とを比較判定する判定部、および前記電子機器側で前記送信部により送信した前記識別番号と前記カード番号とが一致していることに応答して前記ロック機構をロックするよう制御するとともに前記判定部の判定結果に従って前記ロック機構のロックを解除するよう制御する制御部を有することを特徴とする請求項1記載の盗難防止用ワイヤ。
【請求項5】
可搬型の電子機器にロック可能に接続される盗難防止用ワイヤを用いた盗難防止方法において、
コンピュータにより、
解除番号生成手段が、前記電子機器側で前記盗難防止用ワイヤが有するプラグの前記電子機器に搭載された通信ポートへの電気的な接続が認識されたことに応答して、第1の解除番号をランダムに生成するステップと、
データ格納手段が、生成された前記第1の解除番号を記憶するステップと、
送信手段が、前記第1の解除番号および前記第1の解除番号を前記電子機器を通じてユーザにメールで通知するための前記データ格納手段によりあらかじめ記憶されたメールアドレスを前記電子機器に送信するステップと、
ロック制御手段が、前記送信手段による前記第1の解除番号および前記メールアドレスの送信後に、前記プラグを前記通信ポートへ挿入後に前記通信ポートと機械的にロック可能にするロック機構をロックするよう制御するステップと、
受信手段が、前記電子機器から第2の解除番号を受信するステップと、
判定手段が、前記第1の解除番号と前記第2の解除番号とを比較判定するステップと、
解除制御手段が、前記判定手段の判定結果に従って前記ロック機構のロックを解除するよう制御するステップと、
の処理が実行されることを特徴とする盗難防止方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−255037(P2007−255037A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−80011(P2006−80011)
【出願日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】