盛土の変形抑制工法
【課題】液状化時にも補強効果を維持し、盛土の過大な変形を抑制することができ、しかもコストの低廉化が可能である。
【解決手段】基礎地盤1が地震時に液状化を起こす場合に盛土の変形を抑制する工法であり、基礎地盤上部の掘削面上に、平面状補強材2を非液状化材料3により挟み込み敷設し、非液状化材料3の上に、盛土4を施工する。また、基礎地盤1の上に、平面状補強材2を非液状化材料3により挟み込み敷設し盛土4の一部を構築し、
非液状化材料3の上に、盛土4を施工する。
【解決手段】基礎地盤1が地震時に液状化を起こす場合に盛土の変形を抑制する工法であり、基礎地盤上部の掘削面上に、平面状補強材2を非液状化材料3により挟み込み敷設し、非液状化材料3の上に、盛土4を施工する。また、基礎地盤1の上に、平面状補強材2を非液状化材料3により挟み込み敷設し盛土4の一部を構築し、
非液状化材料3の上に、盛土4を施工する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、液状化時の盛土の変形抑制工法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
地震時に液状化を起こす可能性のある地盤に対する対策工法としては、従来密度増加工法、固結工法、薬液注入工法、矢板工法などの工法が考えられている。
【0003】
密度増加工法は、サンドコンパクションパイル、バイブロフローテーション、動圧密、コンパクショングラウティングなど、地盤に振動や水平力などのエネルギーを与え、地盤の密度を増加させ、液状化を防止する工法である。
【0004】
固結工法は、深層混合処理、ジェットグラウトなどのように、セメントなどの固結材を地中に混合・置換して、杭状の固結体を地中に造り、地震時のせん断変形を抑制させて液状化を防止する工法である。
【0005】
薬液注入工法は、薬液を地盤中に浸透・固結させ、地盤の強度増加を図るとともに透水性を低下させ、液状化を防止する工法である。
【0006】
矢板工法は、鋼矢板などを地中に打設し、地盤のせん断変形を抑制することによって液状化を防止する工法である。この矢板工法の一例として、最も液状化しやすい部位へ、液状化抑止杭または液状化抑止矢板を液状化地盤下の非液状化地盤内まで設けることにより、地震時にこれら液状化抑止杭または液状化抑止矢板周辺の過剰間隙水圧の上昇を抑制し、地盤強度低下を防ぐとともに、杭または矢板としての地盤拘束効果により盛土の変状を抑えるものが提案されている(特許文献1)。
【0007】
以上のように、ほとんどすべての対策が、液状化の可能性のある地層を対象に、液状化を防止し、もしくは液状化による強度低減を減少しようというものである。
【特許文献1】特開平5−106216
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、従来の液状化防止工法は、それぞれ以下のような問題点がある。
【0009】
密度増加工法では、一般に施工するための機械が大きく、また、振動を用いる場合、既存の建設物などに近接した場所では施工が不可能である。また、密度の増加だけでは十分な効果が得られない場合も多く、施工コストも高い。
【0010】
固結工法では、ジェットグラウトは非常に施工コストが高く、また混合処理は一般に大型機械を必要とし、近接施工が困難である。
【0011】
薬液注入工法では、施工するための機械も小さく、既設構造物の下部地盤なども施工できるが、浸透が十分に行われない場合が多く、信頼性が低い。また、施工コストも高い。
【0012】
矢板工法は、鋼矢板を地盤中に残置しておく必要があるため、コストが高くなる。
【0013】
このように、いずれの工法も液状化する地層を対象とするものであり、おおがかり、広範囲な対策となり、高コストとなることが多い。
【0014】
一方、ジオシンセティクスは、図11に示すように、盛土を構築する際に、敷設材として用い、土とジオシンセティクス100の間の摩擦力によって生じる引張り力を利用した引張り補強材として使用され、盛土を補強する補強土工法として、軟弱地盤上の盛土の安定対策や盛土の急勾配化等に広範囲に利用されている。また、施工時のトラフィカビリティの確保にも良く用いられる。
【0015】
ところで、ジオシンセティクスを用いた補強土工法で、図12に示すように、液状化時の盛土の変形抑制を図ろうとすると、以下のような問題点がある。
【0016】
ジオシンセティクス100は液状化そのものを防ぐことはできず、液状化して軟弱になる地盤110上の盛土120の変形を抑制するためには、盛土底部ほぼ前面に敷設しないと効果が無いが、この際、液状化時の過剰間隙水圧の上昇や、それに伴う有効応力の低下により、土とジオシンセティクス100の間の摩擦力が低下し、引張り力が減少することから補強効果が大幅に低下することが懸念され、十分な変形抑制効果が得られないと考えられ、液状化時の盛土の安定対策としては、今までほとんど用いられてこなかった。
【0017】
この発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、液状化時にも補強効果を維持し、盛土の過大な変形を抑制することができ、しかもコストの低廉な盛土の変形抑制工法の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前記課題を解決し、かつ目的を達成するために、この発明は、以下のように構成した。
【0019】
請求項1に記載の発明は、基礎地盤が地震時に液状化を起こす場合に盛土の変形を抑制する工法であり、
前記基礎地盤上部の掘削面上に、平面状補強材を非液状化材料により挟み込み敷設し、
前記非液状化材料の上に、前記盛土を施工することを特徴とする盛土の変形抑制工法である。
【0020】
請求項2に記載の発明は、基礎地盤が地震時に液状化を起こす場合に盛土の変形を抑制する工法であり、
前記基礎地盤の上に、平面状補強材を非液状化材料により挟み込み敷設し前記盛土の一部を構築し、
前記非液状化材料の上に、前記盛土を施工することを特徴とする盛土の変形抑制工法である。
【0021】
請求項3に記載の発明は、基礎地盤が地震時に液状化を起こす場合に盛土の変形を抑制する工法であり、
前記基礎地盤上部の掘削面上に、平面状補強材を敷設し、
前記平面状補強材の上に、非液状化材料を敷設し、
前記非液状化材料の上に、前記盛土を施工することを特徴とする盛土の変形抑制工法である。
【0022】
請求項4に記載の発明は、基礎地盤が地震時に液状化を起こす場合に盛土の変形を抑制する工法であり、
前記基礎地盤の上に、平面状補強材を敷設し、
前記平面状補強材の上に、非液状化材料を敷設し前記盛土の一部を構築し、
前記非液状化材料の上に、前記盛土を施工することを特徴とする盛土の変形抑制工法である。
【0023】
請求項5に記載の発明は、前記平面状補強材を複数枚敷設し、
前記複数枚の平面状補強材の両端部を必要に応じて連結したことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の盛土の変形抑制工法である。
【0024】
請求項6に記載の発明は、基礎地盤が地震時に液状化を起こす場合に盛土の変形を抑制する工法であり、
前記基礎地盤の上に擁壁構造を設置し、
前記基礎地盤の上部掘削面上に、平面状補強材を非液状化材料により挟み込み敷設し、
前記擁壁構造と前記平面状補強材とを必要に応じて連結し、
前記非液状化材料の上に、前記盛土を施工することを特徴とする盛土の変形抑制工法である。
【0025】
請求項7に記載の発明は、基礎地盤が地震時に液状化を起こす場合に盛土の変形を抑制する工法であり、
前記基礎地盤の上に擁壁構造を設置し、
前記基礎地盤の上に、平面状補強材を敷設し、
前記擁壁構造と前記平面状補強材とを必要に応じて連結し、
前記平面状補強材の上に、前記盛土を施工することを特徴とする盛土の変形抑制工法である。
【0026】
請求項8に記載の発明は、基礎地盤が地震時に液状化を起こす場合に盛土の変形を抑制する工法であり、
前記基礎地盤上部の掘削面上に、平面状補強材を非液状化材料により挟み込み敷設し、
前記非液状化材料の上に前記盛土を施工し、
前記盛土の所定高までを前記平面状補強材により包み、
前記盛土の水平部又は法面部で接合し、閉合構造としたことを特徴とする盛土の変形抑制工法である。
【0027】
請求項9に記載の発明は、基礎地盤が地震時に液状化を起こす場合に盛土の変形を抑制する工法であり、
前記基礎地盤の上に、平面状補強材を敷設し、
前記平面状補強材の上に非液状化材料を敷設し、
前記非液状化材料の上に前記盛土を施工し、
前記盛土の所定高までを前記平面状補強材により包み、
前記盛土の水平部又は法面部で接合し、閉合構造としたことを特徴とする盛土の変形抑制工法である。
【0028】
請求項10に記載の発明は、前記平面状補強材は、ジオシンセティクスであることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の盛土の変形抑制工法である。
【0029】
請求項11に記載の発明は、前記非液状化材料は、砕石や改良土であることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の盛土の変形抑制工法である。
【発明の効果】
【0030】
前記構成により、この発明は、以下のような効果を有する。
【0031】
地震時に盛土の基礎地盤や周辺地盤に液状化が生じても平面状補強材と非液状化材料を組み合わせた構造により、液状化せず安定した形状を保つことができる。
【0032】
液状化時の過剰間隙水圧の発生による摩擦力の減少を抑制し、平面状補強材の引張り補強材としての効果を保持することができる。
【0033】
非液状化材料を用いることで、液状化層に発生した過剰間隙水圧を効果的に消散させ、盛土の基礎地盤および周辺地盤の安定化にも寄与することができる。
【0034】
また、擁壁構造を設けたことで、平面状補強材を接続した場合は、その構造的効果により、より有効に平面状補強材の引張り力を保持することができる。
【0035】
このように、基礎地盤の上部に構築された盛土の変形を効果的に抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、この発明の盛土の変形抑制工法の実施の形態について説明する。この発明の実施の形態は、発明の最も好ましい形態を示すものであり、この発明はこれに限定されない。この発明の盛土の変形抑制工法は、基礎地盤が地震時に液状化を起こす場合に盛土の変形を抑制する工法であり、図1乃至図10に基づいて実施の形態を説明する。
【0037】
[実施の形態1]
この実施の形態1は、図1に示すように、基礎地盤1の上部を掘削し、基礎地盤上部の掘削面上に、平面状補強材2を非液状化材料3により挟み込み敷設し、この非液状化材料3の上に、盛土4を施工する。平面状補強材2としては、公知のジオシンセティクスを用いているが、金属製の金網などでもよく、公知の材料を用いることができる。非液状化材料3としては、砕石や改良土を用いているが、これに限定されず公知の材料を用いることができる。
【0038】
このように、基礎地盤1の液状化する地層に対して、状況に応じ、必要な範囲で掘削置換し、その上部掘削面上に非液状化材料3として、砕石などの透水性の高い材料もしくは改良土などの、強度が得られ液状化しない材料を敷設する。そして、平面状補強材2として、ジオシンセティクスを敷設した後、更に同種の非液状化材料3を敷設し、挟み込むような構造とする。これにより、液状化発生時にも平面状補強材2に発生する摩擦力とそれによって生じる引張り力を確保できる。
【0039】
この実施の形態1では、基礎地盤上部の掘削面上に、平面状補強材2を非液状化材料3により挟み込み敷設し、平面状補強材2を盛土4の下部に敷設し、できるだけ大きな上載圧を確保すると同時に、非液状化材料3として、砕石等の透水性が高く、液状化時に有効応力が低下しにくい材料や、改良土などの液状化を生じない材料で挟み込んだ構造とする。
【0040】
このため、この構造体の周辺や下部の基礎地盤1が液状化しても、非液状化材料3が液状化しないため平面状補強材2の摩擦が低下しにくく、平面状補強材2の引っ張り力により堅固な盤状の構造体が盛土4の下部に維持でき、盛土4の変形を効果的に抑制できる。
【0041】
[実施の形態2]
この実施の形態2は、図2に示すように、基礎地盤1の上に、平面状補強材2を非液状化材料3により挟み込み敷設し盛土4の一部を構築し、非液状化材料3の上に、盛土4を施工する。この実施の形態2は、実施の形態1と同様に構成されるが、基礎地盤1の液状化する地層に対して、掘削せずその上に、非液状化材料3として、砕石などの透水性の高い材料もしくは改良土などの、強度が得られ液状化しない材料を敷設する。平面状補強材2として、ジオシンセティクスを敷設した後、更に同種の非液状化材料3を敷設し、挟み込み盛土4の一部を構築するような構造としている。
【0042】
[実施の形態3]
この実施の形態3は、図3に示すように、基礎地盤上部の掘削面上に、平面状補強材2を敷設し、この平面状補強材2の上に、非液状化材料3を敷設し、非液状化材料3の上に、盛土4を施工する。この実施の形態3は、実施の形態1と同様に構成されるが、基礎地盤上部の掘削面上に平面状補強材2を敷設し、平面状補強材2を非液状化材料3により挟み込む構造ではない。非液状化材料3として、砕石などの透水性の高い材料を平面状補強材2の上部に敷設し、平面状補強材2の下部には非液状化材料3を敷設しないで、過剰間隙水圧を速やかに消散させることにより、摩擦力を確保する。
【0043】
[実施の形態4]
この実施の形態4は、図4に示すように、基礎地盤1の上に、平面状補強材2を敷設し、平面状補強材2の上に、非液状化材料3を敷設し盛土4の一部を構築し、非液状化材料3の上に、盛土4を施工する。この実施の形態4は、実施の形態2と同様に構成されるが、基礎地盤1の液状化する地層に対して、掘削せずその上に、平面状補強材2を敷設し、平面状補強材2を非液状化材料3により挟み込む構造ではない。非液状化材料3として、砕石などの透水性の高い材料を平面状補強材2の上部に敷設し、平面状補強材2の下部には非液状化材料3を敷設しないで、過剰間隙水圧を速やかに消散させることにより、摩擦力を確保する。
【0044】
[実施の形態5]
この実施の形態5は、図5に示すように、実施の形態1と同様に構成されるが、平面状補強材2を2枚上下方向に所定間隔隔てて敷設し、このように複数枚配置した平面状補強材2の両端部を必要に応じて連結している。複数枚配置した平面状補強材2の両端部を連結して包み込むような構造とすることで、より摩擦力を確保することができる。
【0045】
[実施の形態6]
この実施の形態6は、図6に示すように、実施の形態2と同様に構成されるが、面状補強材2を2枚上下方向に所定間隔隔てて敷設し、このように複数枚敷設した平面状補強材2の両端部を必要に応じて連結する。複数枚敷設した平面状補強材2の両端部を連結して包み込むような構造とすることで、より摩擦力を確保することができる。
【0046】
[実施の形態7]
この実施の形態7は、図7に示すように、実施の形態1と同様に構成されるが、基礎地盤1の上に擁壁構造10を設置し、基礎地盤上部の掘削面上に、平面状補強材2を非液状化材料3により挟み込み敷設し、擁壁構造10と平面状補強材2とを連結し、非液状化材料3の上に、盛土4を施工する。盛土の法尻部に擁壁構造10を設けたものであり、擁壁構造10は、蛇籠、補強土壁などで構成され、平面状補強材2と必要に応じて連結することで、液状化時の平面状補強材2の引張り力の減少をより効果的に防止することができる。
[実施の形態8]
この実施の形態8は、図8に示すように、実施の形態2と同様に構成されるが、基礎地盤1の上に擁壁構造10を設置し、基礎地盤1の上に、平面状補強材2を敷設し、擁壁構造10と平面状補強材2とを必要に応じて連結し、平面状補強材2の上に、砕石などの透水性の良い非液状化材料を敷設し、さらに盛土4を施工する。実施の形態7と同様に、盛土の法尻部に擁壁構造10を設けたものであり、液状化時の平面状補強材2の引張り力の減少をより効果的に防止することができる。
【0047】
[実施の形態9]
この実施の形態9は、図9に示すように、基礎地盤上部の掘削面上に、平面状補強材2を非液状化材料3により挟み込み敷設し、非液状化材料3の上に盛土4を施工し、盛土の所定高までを平面状補強材2により包み、盛土4の水平部11又は法面部12で接合し、
閉合構造とする。平面状補強材2により盛土4を含めて包み込み、接合することにより、より効果的に平面状補強材2の張力を確保でき、且つ、法尻、法面の変位を直接抑制することができる。
【0048】
また、この実施の形態9では、基礎地盤1の液状化層と非液状化層の境界に平面状補強材2aを敷設し、この平面状補強材2aの上に非液状化材料3を敷設しており、非液状化材料3を構成する砕石などが液状化層内に貫入もしくは沈降するのを防止できる。
【0049】
また、所定高さの盛土4に平面状補強材2bを挟み込み敷設し、端部を平面状補強材2と連結しており、盛土4の下部に敷設した平面状補強材2、平面状補強材2bで、比液状化材料3を設置した層と盛土4の所定高で設定される盛土4の一部の必要高さまでを包み込み、より効果的に平面状補強材の張力を確保できる。
【0050】
なお、盛土4の水平部11又は法面部12での接合は、接続具を用いるなど公知の方法を用いる。
【0051】
[実施の形態10]
この実施の形態10は、図10に示すように、基礎地盤1の上に、平面状補強材2を敷設し、平面状補強材2の上に非液状化材料3を敷設し、非液状化材料3の上に盛土4を施工し、盛土4の所定高までを平面状補強材2により包み、盛土4の水平部11又は法面部12で接合し、閉合構造とする。平面状補強材2により盛土4を含めて包み込み、接合することにより、より効果的に平面状補強材2の張力を確保でき、且つ、法尻、法面の変位を直接抑制することができる。
【0052】
この発明は、実施の形態1〜10で説明したように、地震時に盛土4の下部の基礎地盤1や周辺地盤に液状化が生じても平面状補強材2と砕石などの透水性の良い材料や改良土などの強度の高い材料の非液状化材料3を組み合わせた構造により、液状化せず安定した形状を保つことができる。また、液状化時の過剰間隙水圧の発生による摩擦力の減少を抑制し、平面状補強材2は、引張り補強材としての効果を保持することができる。また、非液状化材料3として、砕石などの透水性の良い材料を用いた場合は、液状化層に発生した過剰間隙水圧を効果的に消散させ、盛土4の下部および周辺地盤の安定化にも寄与することができる。また、擁壁構造を設けることで、平面状補強材2を接続した場合は、その構造的効果により、より有効に平面状補強材2の引張り力を保持することができる。
【0053】
このように、この発明は、盛土4の変形を効果的に抑制でき、平面状補強材2として、使用するジオシンセティクスは公知の材料であり、施工機械も特殊なものは必要としない、コストの低廉な対策工法である。
【産業上の利用可能性】
【0054】
この発明は、液状化時の盛土の変形抑制工法に適用可能であり、液状化時にも補強効果を維持し、盛土の過大な変形を抑制することができ、しかもコストの低廉化が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】実施の形態1の盛土の変形抑制工法の説明図である。
【図2】実施の形態2の盛土の変形抑制工法の説明図である。
【図3】実施の形態3の盛土の変形抑制工法の説明図である。
【図4】実施の形態4の盛土の変形抑制工法の説明図である。
【図5】実施の形態5の盛土の変形抑制工法の説明図である。
【図6】実施の形態6の盛土の変形抑制工法の説明図である。
【図7】実施の形態7の盛土の変形抑制工法の説明図である。
【図8】実施の形態8の盛土の変形抑制工法の説明図である。
【図9】実施の形態9の盛土の変形抑制工法の説明図である。
【図10】実施の形態10の盛土の変形抑制工法の説明図である。
【図11】従来の盛土の変形抑制工法の説明図である。
【図12】従来の盛土の変形抑制工法の問題点を説明図である。
【符号の説明】
【0056】
1 基礎地盤
2 平面状補強材
3 非液状化材料
4 盛土
10 擁壁構造
11 盛土4の水平部
12 盛土4の法面部
【技術分野】
【0001】
この発明は、液状化時の盛土の変形抑制工法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
地震時に液状化を起こす可能性のある地盤に対する対策工法としては、従来密度増加工法、固結工法、薬液注入工法、矢板工法などの工法が考えられている。
【0003】
密度増加工法は、サンドコンパクションパイル、バイブロフローテーション、動圧密、コンパクショングラウティングなど、地盤に振動や水平力などのエネルギーを与え、地盤の密度を増加させ、液状化を防止する工法である。
【0004】
固結工法は、深層混合処理、ジェットグラウトなどのように、セメントなどの固結材を地中に混合・置換して、杭状の固結体を地中に造り、地震時のせん断変形を抑制させて液状化を防止する工法である。
【0005】
薬液注入工法は、薬液を地盤中に浸透・固結させ、地盤の強度増加を図るとともに透水性を低下させ、液状化を防止する工法である。
【0006】
矢板工法は、鋼矢板などを地中に打設し、地盤のせん断変形を抑制することによって液状化を防止する工法である。この矢板工法の一例として、最も液状化しやすい部位へ、液状化抑止杭または液状化抑止矢板を液状化地盤下の非液状化地盤内まで設けることにより、地震時にこれら液状化抑止杭または液状化抑止矢板周辺の過剰間隙水圧の上昇を抑制し、地盤強度低下を防ぐとともに、杭または矢板としての地盤拘束効果により盛土の変状を抑えるものが提案されている(特許文献1)。
【0007】
以上のように、ほとんどすべての対策が、液状化の可能性のある地層を対象に、液状化を防止し、もしくは液状化による強度低減を減少しようというものである。
【特許文献1】特開平5−106216
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、従来の液状化防止工法は、それぞれ以下のような問題点がある。
【0009】
密度増加工法では、一般に施工するための機械が大きく、また、振動を用いる場合、既存の建設物などに近接した場所では施工が不可能である。また、密度の増加だけでは十分な効果が得られない場合も多く、施工コストも高い。
【0010】
固結工法では、ジェットグラウトは非常に施工コストが高く、また混合処理は一般に大型機械を必要とし、近接施工が困難である。
【0011】
薬液注入工法では、施工するための機械も小さく、既設構造物の下部地盤なども施工できるが、浸透が十分に行われない場合が多く、信頼性が低い。また、施工コストも高い。
【0012】
矢板工法は、鋼矢板を地盤中に残置しておく必要があるため、コストが高くなる。
【0013】
このように、いずれの工法も液状化する地層を対象とするものであり、おおがかり、広範囲な対策となり、高コストとなることが多い。
【0014】
一方、ジオシンセティクスは、図11に示すように、盛土を構築する際に、敷設材として用い、土とジオシンセティクス100の間の摩擦力によって生じる引張り力を利用した引張り補強材として使用され、盛土を補強する補強土工法として、軟弱地盤上の盛土の安定対策や盛土の急勾配化等に広範囲に利用されている。また、施工時のトラフィカビリティの確保にも良く用いられる。
【0015】
ところで、ジオシンセティクスを用いた補強土工法で、図12に示すように、液状化時の盛土の変形抑制を図ろうとすると、以下のような問題点がある。
【0016】
ジオシンセティクス100は液状化そのものを防ぐことはできず、液状化して軟弱になる地盤110上の盛土120の変形を抑制するためには、盛土底部ほぼ前面に敷設しないと効果が無いが、この際、液状化時の過剰間隙水圧の上昇や、それに伴う有効応力の低下により、土とジオシンセティクス100の間の摩擦力が低下し、引張り力が減少することから補強効果が大幅に低下することが懸念され、十分な変形抑制効果が得られないと考えられ、液状化時の盛土の安定対策としては、今までほとんど用いられてこなかった。
【0017】
この発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、液状化時にも補強効果を維持し、盛土の過大な変形を抑制することができ、しかもコストの低廉な盛土の変形抑制工法の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前記課題を解決し、かつ目的を達成するために、この発明は、以下のように構成した。
【0019】
請求項1に記載の発明は、基礎地盤が地震時に液状化を起こす場合に盛土の変形を抑制する工法であり、
前記基礎地盤上部の掘削面上に、平面状補強材を非液状化材料により挟み込み敷設し、
前記非液状化材料の上に、前記盛土を施工することを特徴とする盛土の変形抑制工法である。
【0020】
請求項2に記載の発明は、基礎地盤が地震時に液状化を起こす場合に盛土の変形を抑制する工法であり、
前記基礎地盤の上に、平面状補強材を非液状化材料により挟み込み敷設し前記盛土の一部を構築し、
前記非液状化材料の上に、前記盛土を施工することを特徴とする盛土の変形抑制工法である。
【0021】
請求項3に記載の発明は、基礎地盤が地震時に液状化を起こす場合に盛土の変形を抑制する工法であり、
前記基礎地盤上部の掘削面上に、平面状補強材を敷設し、
前記平面状補強材の上に、非液状化材料を敷設し、
前記非液状化材料の上に、前記盛土を施工することを特徴とする盛土の変形抑制工法である。
【0022】
請求項4に記載の発明は、基礎地盤が地震時に液状化を起こす場合に盛土の変形を抑制する工法であり、
前記基礎地盤の上に、平面状補強材を敷設し、
前記平面状補強材の上に、非液状化材料を敷設し前記盛土の一部を構築し、
前記非液状化材料の上に、前記盛土を施工することを特徴とする盛土の変形抑制工法である。
【0023】
請求項5に記載の発明は、前記平面状補強材を複数枚敷設し、
前記複数枚の平面状補強材の両端部を必要に応じて連結したことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の盛土の変形抑制工法である。
【0024】
請求項6に記載の発明は、基礎地盤が地震時に液状化を起こす場合に盛土の変形を抑制する工法であり、
前記基礎地盤の上に擁壁構造を設置し、
前記基礎地盤の上部掘削面上に、平面状補強材を非液状化材料により挟み込み敷設し、
前記擁壁構造と前記平面状補強材とを必要に応じて連結し、
前記非液状化材料の上に、前記盛土を施工することを特徴とする盛土の変形抑制工法である。
【0025】
請求項7に記載の発明は、基礎地盤が地震時に液状化を起こす場合に盛土の変形を抑制する工法であり、
前記基礎地盤の上に擁壁構造を設置し、
前記基礎地盤の上に、平面状補強材を敷設し、
前記擁壁構造と前記平面状補強材とを必要に応じて連結し、
前記平面状補強材の上に、前記盛土を施工することを特徴とする盛土の変形抑制工法である。
【0026】
請求項8に記載の発明は、基礎地盤が地震時に液状化を起こす場合に盛土の変形を抑制する工法であり、
前記基礎地盤上部の掘削面上に、平面状補強材を非液状化材料により挟み込み敷設し、
前記非液状化材料の上に前記盛土を施工し、
前記盛土の所定高までを前記平面状補強材により包み、
前記盛土の水平部又は法面部で接合し、閉合構造としたことを特徴とする盛土の変形抑制工法である。
【0027】
請求項9に記載の発明は、基礎地盤が地震時に液状化を起こす場合に盛土の変形を抑制する工法であり、
前記基礎地盤の上に、平面状補強材を敷設し、
前記平面状補強材の上に非液状化材料を敷設し、
前記非液状化材料の上に前記盛土を施工し、
前記盛土の所定高までを前記平面状補強材により包み、
前記盛土の水平部又は法面部で接合し、閉合構造としたことを特徴とする盛土の変形抑制工法である。
【0028】
請求項10に記載の発明は、前記平面状補強材は、ジオシンセティクスであることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の盛土の変形抑制工法である。
【0029】
請求項11に記載の発明は、前記非液状化材料は、砕石や改良土であることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の盛土の変形抑制工法である。
【発明の効果】
【0030】
前記構成により、この発明は、以下のような効果を有する。
【0031】
地震時に盛土の基礎地盤や周辺地盤に液状化が生じても平面状補強材と非液状化材料を組み合わせた構造により、液状化せず安定した形状を保つことができる。
【0032】
液状化時の過剰間隙水圧の発生による摩擦力の減少を抑制し、平面状補強材の引張り補強材としての効果を保持することができる。
【0033】
非液状化材料を用いることで、液状化層に発生した過剰間隙水圧を効果的に消散させ、盛土の基礎地盤および周辺地盤の安定化にも寄与することができる。
【0034】
また、擁壁構造を設けたことで、平面状補強材を接続した場合は、その構造的効果により、より有効に平面状補強材の引張り力を保持することができる。
【0035】
このように、基礎地盤の上部に構築された盛土の変形を効果的に抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、この発明の盛土の変形抑制工法の実施の形態について説明する。この発明の実施の形態は、発明の最も好ましい形態を示すものであり、この発明はこれに限定されない。この発明の盛土の変形抑制工法は、基礎地盤が地震時に液状化を起こす場合に盛土の変形を抑制する工法であり、図1乃至図10に基づいて実施の形態を説明する。
【0037】
[実施の形態1]
この実施の形態1は、図1に示すように、基礎地盤1の上部を掘削し、基礎地盤上部の掘削面上に、平面状補強材2を非液状化材料3により挟み込み敷設し、この非液状化材料3の上に、盛土4を施工する。平面状補強材2としては、公知のジオシンセティクスを用いているが、金属製の金網などでもよく、公知の材料を用いることができる。非液状化材料3としては、砕石や改良土を用いているが、これに限定されず公知の材料を用いることができる。
【0038】
このように、基礎地盤1の液状化する地層に対して、状況に応じ、必要な範囲で掘削置換し、その上部掘削面上に非液状化材料3として、砕石などの透水性の高い材料もしくは改良土などの、強度が得られ液状化しない材料を敷設する。そして、平面状補強材2として、ジオシンセティクスを敷設した後、更に同種の非液状化材料3を敷設し、挟み込むような構造とする。これにより、液状化発生時にも平面状補強材2に発生する摩擦力とそれによって生じる引張り力を確保できる。
【0039】
この実施の形態1では、基礎地盤上部の掘削面上に、平面状補強材2を非液状化材料3により挟み込み敷設し、平面状補強材2を盛土4の下部に敷設し、できるだけ大きな上載圧を確保すると同時に、非液状化材料3として、砕石等の透水性が高く、液状化時に有効応力が低下しにくい材料や、改良土などの液状化を生じない材料で挟み込んだ構造とする。
【0040】
このため、この構造体の周辺や下部の基礎地盤1が液状化しても、非液状化材料3が液状化しないため平面状補強材2の摩擦が低下しにくく、平面状補強材2の引っ張り力により堅固な盤状の構造体が盛土4の下部に維持でき、盛土4の変形を効果的に抑制できる。
【0041】
[実施の形態2]
この実施の形態2は、図2に示すように、基礎地盤1の上に、平面状補強材2を非液状化材料3により挟み込み敷設し盛土4の一部を構築し、非液状化材料3の上に、盛土4を施工する。この実施の形態2は、実施の形態1と同様に構成されるが、基礎地盤1の液状化する地層に対して、掘削せずその上に、非液状化材料3として、砕石などの透水性の高い材料もしくは改良土などの、強度が得られ液状化しない材料を敷設する。平面状補強材2として、ジオシンセティクスを敷設した後、更に同種の非液状化材料3を敷設し、挟み込み盛土4の一部を構築するような構造としている。
【0042】
[実施の形態3]
この実施の形態3は、図3に示すように、基礎地盤上部の掘削面上に、平面状補強材2を敷設し、この平面状補強材2の上に、非液状化材料3を敷設し、非液状化材料3の上に、盛土4を施工する。この実施の形態3は、実施の形態1と同様に構成されるが、基礎地盤上部の掘削面上に平面状補強材2を敷設し、平面状補強材2を非液状化材料3により挟み込む構造ではない。非液状化材料3として、砕石などの透水性の高い材料を平面状補強材2の上部に敷設し、平面状補強材2の下部には非液状化材料3を敷設しないで、過剰間隙水圧を速やかに消散させることにより、摩擦力を確保する。
【0043】
[実施の形態4]
この実施の形態4は、図4に示すように、基礎地盤1の上に、平面状補強材2を敷設し、平面状補強材2の上に、非液状化材料3を敷設し盛土4の一部を構築し、非液状化材料3の上に、盛土4を施工する。この実施の形態4は、実施の形態2と同様に構成されるが、基礎地盤1の液状化する地層に対して、掘削せずその上に、平面状補強材2を敷設し、平面状補強材2を非液状化材料3により挟み込む構造ではない。非液状化材料3として、砕石などの透水性の高い材料を平面状補強材2の上部に敷設し、平面状補強材2の下部には非液状化材料3を敷設しないで、過剰間隙水圧を速やかに消散させることにより、摩擦力を確保する。
【0044】
[実施の形態5]
この実施の形態5は、図5に示すように、実施の形態1と同様に構成されるが、平面状補強材2を2枚上下方向に所定間隔隔てて敷設し、このように複数枚配置した平面状補強材2の両端部を必要に応じて連結している。複数枚配置した平面状補強材2の両端部を連結して包み込むような構造とすることで、より摩擦力を確保することができる。
【0045】
[実施の形態6]
この実施の形態6は、図6に示すように、実施の形態2と同様に構成されるが、面状補強材2を2枚上下方向に所定間隔隔てて敷設し、このように複数枚敷設した平面状補強材2の両端部を必要に応じて連結する。複数枚敷設した平面状補強材2の両端部を連結して包み込むような構造とすることで、より摩擦力を確保することができる。
【0046】
[実施の形態7]
この実施の形態7は、図7に示すように、実施の形態1と同様に構成されるが、基礎地盤1の上に擁壁構造10を設置し、基礎地盤上部の掘削面上に、平面状補強材2を非液状化材料3により挟み込み敷設し、擁壁構造10と平面状補強材2とを連結し、非液状化材料3の上に、盛土4を施工する。盛土の法尻部に擁壁構造10を設けたものであり、擁壁構造10は、蛇籠、補強土壁などで構成され、平面状補強材2と必要に応じて連結することで、液状化時の平面状補強材2の引張り力の減少をより効果的に防止することができる。
[実施の形態8]
この実施の形態8は、図8に示すように、実施の形態2と同様に構成されるが、基礎地盤1の上に擁壁構造10を設置し、基礎地盤1の上に、平面状補強材2を敷設し、擁壁構造10と平面状補強材2とを必要に応じて連結し、平面状補強材2の上に、砕石などの透水性の良い非液状化材料を敷設し、さらに盛土4を施工する。実施の形態7と同様に、盛土の法尻部に擁壁構造10を設けたものであり、液状化時の平面状補強材2の引張り力の減少をより効果的に防止することができる。
【0047】
[実施の形態9]
この実施の形態9は、図9に示すように、基礎地盤上部の掘削面上に、平面状補強材2を非液状化材料3により挟み込み敷設し、非液状化材料3の上に盛土4を施工し、盛土の所定高までを平面状補強材2により包み、盛土4の水平部11又は法面部12で接合し、
閉合構造とする。平面状補強材2により盛土4を含めて包み込み、接合することにより、より効果的に平面状補強材2の張力を確保でき、且つ、法尻、法面の変位を直接抑制することができる。
【0048】
また、この実施の形態9では、基礎地盤1の液状化層と非液状化層の境界に平面状補強材2aを敷設し、この平面状補強材2aの上に非液状化材料3を敷設しており、非液状化材料3を構成する砕石などが液状化層内に貫入もしくは沈降するのを防止できる。
【0049】
また、所定高さの盛土4に平面状補強材2bを挟み込み敷設し、端部を平面状補強材2と連結しており、盛土4の下部に敷設した平面状補強材2、平面状補強材2bで、比液状化材料3を設置した層と盛土4の所定高で設定される盛土4の一部の必要高さまでを包み込み、より効果的に平面状補強材の張力を確保できる。
【0050】
なお、盛土4の水平部11又は法面部12での接合は、接続具を用いるなど公知の方法を用いる。
【0051】
[実施の形態10]
この実施の形態10は、図10に示すように、基礎地盤1の上に、平面状補強材2を敷設し、平面状補強材2の上に非液状化材料3を敷設し、非液状化材料3の上に盛土4を施工し、盛土4の所定高までを平面状補強材2により包み、盛土4の水平部11又は法面部12で接合し、閉合構造とする。平面状補強材2により盛土4を含めて包み込み、接合することにより、より効果的に平面状補強材2の張力を確保でき、且つ、法尻、法面の変位を直接抑制することができる。
【0052】
この発明は、実施の形態1〜10で説明したように、地震時に盛土4の下部の基礎地盤1や周辺地盤に液状化が生じても平面状補強材2と砕石などの透水性の良い材料や改良土などの強度の高い材料の非液状化材料3を組み合わせた構造により、液状化せず安定した形状を保つことができる。また、液状化時の過剰間隙水圧の発生による摩擦力の減少を抑制し、平面状補強材2は、引張り補強材としての効果を保持することができる。また、非液状化材料3として、砕石などの透水性の良い材料を用いた場合は、液状化層に発生した過剰間隙水圧を効果的に消散させ、盛土4の下部および周辺地盤の安定化にも寄与することができる。また、擁壁構造を設けることで、平面状補強材2を接続した場合は、その構造的効果により、より有効に平面状補強材2の引張り力を保持することができる。
【0053】
このように、この発明は、盛土4の変形を効果的に抑制でき、平面状補強材2として、使用するジオシンセティクスは公知の材料であり、施工機械も特殊なものは必要としない、コストの低廉な対策工法である。
【産業上の利用可能性】
【0054】
この発明は、液状化時の盛土の変形抑制工法に適用可能であり、液状化時にも補強効果を維持し、盛土の過大な変形を抑制することができ、しかもコストの低廉化が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】実施の形態1の盛土の変形抑制工法の説明図である。
【図2】実施の形態2の盛土の変形抑制工法の説明図である。
【図3】実施の形態3の盛土の変形抑制工法の説明図である。
【図4】実施の形態4の盛土の変形抑制工法の説明図である。
【図5】実施の形態5の盛土の変形抑制工法の説明図である。
【図6】実施の形態6の盛土の変形抑制工法の説明図である。
【図7】実施の形態7の盛土の変形抑制工法の説明図である。
【図8】実施の形態8の盛土の変形抑制工法の説明図である。
【図9】実施の形態9の盛土の変形抑制工法の説明図である。
【図10】実施の形態10の盛土の変形抑制工法の説明図である。
【図11】従来の盛土の変形抑制工法の説明図である。
【図12】従来の盛土の変形抑制工法の問題点を説明図である。
【符号の説明】
【0056】
1 基礎地盤
2 平面状補強材
3 非液状化材料
4 盛土
10 擁壁構造
11 盛土4の水平部
12 盛土4の法面部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎地盤が地震時に液状化を起こす場合に盛土の変形を抑制する工法であり、
前記基礎地盤上部の掘削面上に、平面状補強材を非液状化材料により挟み込み敷設し、
前記非液状化材料の上に、前記盛土を施工することを特徴とする盛土の変形抑制工法。
【請求項2】
基礎地盤が地震時に液状化を起こす場合に盛土の変形を抑制する工法であり、
前記基礎地盤の上に、平面状補強材を非液状化材料により挟み込み敷設し前記盛土の一部を構築し、
前記非液状化材料の上に、前記盛土を施工することを特徴とする盛土の変形抑制工法。
【請求項3】
基礎地盤が地震時に液状化を起こす場合に盛土の変形を抑制する工法であり、
前記基礎地盤上部の掘削面上に、平面状補強材を敷設し、
前記平面状補強材の上に、非液状化材料を敷設し、
前記非液状化材料の上に、前記盛土を施工することを特徴とする盛土の変形抑制工法。
【請求項4】
基礎地盤が地震時に液状化を起こす場合に盛土の変形を抑制する工法であり、
前記基礎地盤の上に、平面状補強材を敷設し、
前記平面状補強材の上に、非液状化材料を敷設し前記盛土の一部を構築し、
前記非液状化材料の上に、前記盛土を施工することを特徴とする盛土の変形抑制工法。
【請求項5】
前記平面状補強材を複数枚敷設し、
前記複数枚の平面状補強材の両端部を必要に応じて連結したことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の盛土の変形抑制工法。
【請求項6】
基礎地盤が地震時に液状化を起こす場合に盛土の変形を抑制する工法であり、
前記基礎地盤の上に擁壁構造を設置し、
前記基礎地盤上部の掘削面上に、平面状補強材を非液状化材料により挟み込み敷設し、
前記擁壁構造と前記平面状補強材とを必要に応じて連結し、
前記非液状化材料の上に、前記盛土を施工することを特徴とする盛土の変形抑制工法。
【請求項7】
基礎地盤が地震時に液状化を起こす場合に盛土の変形を抑制する工法であり、
前記基礎地盤の上に擁壁構造を設置し、
前記基礎地盤の上に、平面状補強材を敷設し、
前記擁壁構造と前記平面状補強材とを必要に応じて連結し、
前記平面状補強材の上に、前記盛土を施工することを特徴とする盛土の変形抑制工法。
【請求項8】
基礎地盤が地震時に液状化を起こす場合に盛土の変形を抑制する工法であり、
前記基礎地盤上部の掘削面上に、平面状補強材を非液状化材料により挟み込み敷設し、
前記非液状化材料の上に前記盛土を施工し、
前記盛土の所定高までを前記平面状補強材により包み、
前記盛土の水平部又は法面部で接合し、閉合構造としたことを特徴とする盛土の変形抑制工法。
【請求項9】
基礎地盤が地震時に液状化を起こす場合に盛土の変形を抑制する工法であり、
前記基礎地盤の上に、平面状補強材を敷設し、前記平面状補強材の上に非液状化材料を敷設し、
前記非液状化材料の上に前記盛土を施工し、
前記盛土の所定高までを前記平面状補強材により包み、
前記盛土の水平部又は法面部で接合し、閉合構造としたことを特徴とする盛土の変形抑制工法。
【請求項10】
前記平面状補強材は、ジオシンセティクスであることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の盛土の変形抑制工法。
【請求項11】
前記非液状化材料は、砕石や改良土であることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の盛土の変形抑制工法。
【請求項1】
基礎地盤が地震時に液状化を起こす場合に盛土の変形を抑制する工法であり、
前記基礎地盤上部の掘削面上に、平面状補強材を非液状化材料により挟み込み敷設し、
前記非液状化材料の上に、前記盛土を施工することを特徴とする盛土の変形抑制工法。
【請求項2】
基礎地盤が地震時に液状化を起こす場合に盛土の変形を抑制する工法であり、
前記基礎地盤の上に、平面状補強材を非液状化材料により挟み込み敷設し前記盛土の一部を構築し、
前記非液状化材料の上に、前記盛土を施工することを特徴とする盛土の変形抑制工法。
【請求項3】
基礎地盤が地震時に液状化を起こす場合に盛土の変形を抑制する工法であり、
前記基礎地盤上部の掘削面上に、平面状補強材を敷設し、
前記平面状補強材の上に、非液状化材料を敷設し、
前記非液状化材料の上に、前記盛土を施工することを特徴とする盛土の変形抑制工法。
【請求項4】
基礎地盤が地震時に液状化を起こす場合に盛土の変形を抑制する工法であり、
前記基礎地盤の上に、平面状補強材を敷設し、
前記平面状補強材の上に、非液状化材料を敷設し前記盛土の一部を構築し、
前記非液状化材料の上に、前記盛土を施工することを特徴とする盛土の変形抑制工法。
【請求項5】
前記平面状補強材を複数枚敷設し、
前記複数枚の平面状補強材の両端部を必要に応じて連結したことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の盛土の変形抑制工法。
【請求項6】
基礎地盤が地震時に液状化を起こす場合に盛土の変形を抑制する工法であり、
前記基礎地盤の上に擁壁構造を設置し、
前記基礎地盤上部の掘削面上に、平面状補強材を非液状化材料により挟み込み敷設し、
前記擁壁構造と前記平面状補強材とを必要に応じて連結し、
前記非液状化材料の上に、前記盛土を施工することを特徴とする盛土の変形抑制工法。
【請求項7】
基礎地盤が地震時に液状化を起こす場合に盛土の変形を抑制する工法であり、
前記基礎地盤の上に擁壁構造を設置し、
前記基礎地盤の上に、平面状補強材を敷設し、
前記擁壁構造と前記平面状補強材とを必要に応じて連結し、
前記平面状補強材の上に、前記盛土を施工することを特徴とする盛土の変形抑制工法。
【請求項8】
基礎地盤が地震時に液状化を起こす場合に盛土の変形を抑制する工法であり、
前記基礎地盤上部の掘削面上に、平面状補強材を非液状化材料により挟み込み敷設し、
前記非液状化材料の上に前記盛土を施工し、
前記盛土の所定高までを前記平面状補強材により包み、
前記盛土の水平部又は法面部で接合し、閉合構造としたことを特徴とする盛土の変形抑制工法。
【請求項9】
基礎地盤が地震時に液状化を起こす場合に盛土の変形を抑制する工法であり、
前記基礎地盤の上に、平面状補強材を敷設し、前記平面状補強材の上に非液状化材料を敷設し、
前記非液状化材料の上に前記盛土を施工し、
前記盛土の所定高までを前記平面状補強材により包み、
前記盛土の水平部又は法面部で接合し、閉合構造としたことを特徴とする盛土の変形抑制工法。
【請求項10】
前記平面状補強材は、ジオシンセティクスであることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の盛土の変形抑制工法。
【請求項11】
前記非液状化材料は、砕石や改良土であることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の盛土の変形抑制工法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−249999(P2009−249999A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−103008(P2008−103008)
【出願日】平成20年4月11日(2008.4.11)
【特許番号】特許第4262292号(P4262292)
【特許公報発行日】平成21年5月13日(2009.5.13)
【出願人】(508112564)エターナルプレザーブ株式会社 (2)
【出願人】(505212360)株式会社ノム (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月11日(2008.4.11)
【特許番号】特許第4262292号(P4262292)
【特許公報発行日】平成21年5月13日(2009.5.13)
【出願人】(508112564)エターナルプレザーブ株式会社 (2)
【出願人】(505212360)株式会社ノム (3)
【Fターム(参考)】
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