説明

監視カメラ装置

【課題】カメラ本体の向きを水平または水平に近い位置まで調整することができる監視カメラ装置を提供する。
【解決手段】外側を球体型ケースで覆い、内部に撮像光学部を配設してなるカメラ本体を備える監視カメラ装置であって、一端開口側よりカメラ本体11が収容され、かつ、収容されたカメラ本体11のレンズ面側の一部を露出させて回動可能に位置決めする複数個の爪部46を他端側に有するカメラホルダ13と、カメラホルダ13内で回動されたカメラ本体11のレンズ面がカメラホルダ13と重ならないようにカメラホルダ13の爪部46と爪部46の間の一部を一端開口側に向かって切り欠いて形成された切欠部46と、を備えた監視カメラ装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視カメラ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、銀行やデパート、スパーマーケット内だけでなく、エレベータ内やマンション等の集合住宅内の各所に監視カメラが設置されている。また、劇場、パチンコ店やゲームセンターのような多数の人が入れ替わり着席して、鑑賞あるいは遊技する場内にも多数の監視カメラが設置されている。
【0003】
一般に、監視カメラは、そのカメラ撮影位置が定められており、常に一定範囲を撮影していることが多い。そのため、異なる位置や広範囲の撮影を行う際には、それに応じた数量のカメラを設置する必要がある。また、それぞれの監視カメラの撮影位置の変更やカメラの固定位置を変更する作業が必要となる。
【0004】
そこで、監視カメラは、壁や天井等に固定するハウジング内に球体をしたカメラ本体を配設して、任意の位置に変更容易とした監視カメラも既に知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。このように、カメラ本体を球体とし、任意の姿勢に固定可能な構成とすれば、カメラの撮影範囲を自由に変更することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−238101号公報
【特許文献2】特開2008−16996号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、カメラ本体を球体とし、任意の姿勢に固定可能な構成としてカメラの撮影範囲を自由に変更するようにした従来の監視カメラにあっても、カメラ本体を保持しているカバー等がカメラ本体の視界を妨害して、カメラ本体の向きを水平または水平に近い位置まで調整することができないという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は上記の問題点に鑑みなされたものであって、カメラ本体の向きを水平または水平に近い位置まで調整することができる監視カメラ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る監視カメラ装置は、外側を球体型ケースで覆い、内部に撮像光学部を配設してなる球体型カメラ本体を備える監視カメラ装置であって、一端開口側より前記球体型カメラ本体が収容され、かつ、収容された該カメラ本体のレンズ面側の一部を露出させて回動可能に位置決めする複数個の爪部を他端側に有するカメラホルダと、該カメラホルダ内で回動された前記球体型カメラ本体のレンズ面が該カメラホルダと重ならないように前記カメラホルダの前記爪部と爪部の間の一部を前記一端開口側に向かって切り欠いて形成された切欠部と、を備える構成としてなる。
【0009】
この構成によれば、球体型カメラ本体を、カメラホルダ内で該カメラホルダに形成されている切欠部に対応し垂直方向から水平方向に回動するため、カメラホルダと球体型カメラ本体のレンズ面が重ならず、球体型カメラ本体の向きを水平または水平に近い位置まで調整することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、球体型カメラ本体の向きを水平または水平に近い位置まで調整することができる監視カメラ装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係る監視カメラ装置の全体斜視図である。
【図2】同上実施形態に係る監視カメラ装置の正面図である。
【図3】図2のA−A線断面図である。
【図4】同上実施形態に係る監視カメラ装置の分解斜視図である。
【図5】同上監視カメラ装置におけるカメラユニットの斜視図である。
【図6】同上カメラユニットの正面図である。
【図7】同上カメラユニットの後面図である。
【図8】図6のB−B線断面図である。
【図9】同上カメラユニットのばね固定用プレートを示し、(a)は固定ばねを取り付けていない状態で示す斜視図、(b)は固定ばねを取り付けた状態で示す斜視図である。
【図10】同上カメラユニットの撮影光学部及び調整操作機構の分解斜視図である。
【図11】カメラユニットを取付ブラケットに取り付けて正面方向より見た説明図である。
【図12】カメラユニットを取付ブラケットに取り付けて側面方向より見た説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係る好適な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
図1乃至図4は本発明の実施形態に係る監視カメラ装置の全体構成を示し、図1はその監視カメラ装置の全体構成斜視図、図2は正面図、図3は図2のA―A線断面図、図4は分解斜視図である。なお、本実施の形態では、監視カメラ装置を天井に吊り下げて取り付けた場合を一例とする。したがって、以下の説明においては、図3の上下方向下側を監視カメラ装置の下方(または正面)、上側を上方(または後面)とし、また正面と後面との間の面を側面(または周面)として説明する。
【0014】
まず、本発明に係る監視カメラ装置の全体構成について説明すると、図1乃至図4において、監視カメラ装置10は、球体型カメラ本体11(以下、「カメラ本体11」という)を備え、さらに図3及び図4で詳しく示すように、取付ブラケット12と、カメラホルダ13と、筒型カバー14等を備えている。また、カメラ本体11とカメラホルダ13とは、監視カメラ装置10として組立設置される前、図5乃至図8に示すように、予めカメラユニット15として組み立てられ、そのユニットの状態で図11及び図12に示すように取付ブラケット12に固定して取り付けられるようになっている。
【0015】
図3,図4,図11,図12に示すように、取付ブラケット12は、監視カメラ装置10を設置する面、例えば天井100(図3参照)に固定して取り付けられる部材であり、中央部にケーブル挿通用の開口16を有する概略六角形基部17を有する。その六角形基部17の外周部分には、約120度間隔で3個の脚部18,18,18が設けられている。各脚部18,18,18には、その先端部分を内側に向けて略直角に折曲形成してなる載置面18aが形成されている。また、六角形基部17には、取付ブラケット12を取付ビス等の固定部材により天井100に固定するための複数個の取付孔19,19…が設けられている。
【0016】
さらに詳述すると、各脚部18,18,18には、載置面18aの一部を下側に向けて折り返してなるばね掛け部20が設けられている。該ばね掛け部20は、下側先端部に向かって左右両側から互いに近寄るようにして傾斜する左右の傾斜面20a,20aと、該傾斜面20a,20aの上部左右両側にそれぞれ該ばね掛け部20内へ向かって切欠形成されてなるばね掛け用のスリット21,21を設けて(図12参照)、概略逆三角形の形状をした状態にして形成されている。
【0017】
また、3つの脚部18,18,18の中、1つの脚部18の外面上部には、カメラユニット固定用ばね22を該取付ブラケット12に取り付けるための係合保持部23(図11及び図12参照)が設けられており、該係合保持部23に該カメラユニット固定用ばね22の一部(以下、「中間部分」と言う)が上下方向回動可能に取り付けられている。
【0018】
カメラユニット固定用ばね22は、ばね性を有する一本のワイヤーを概略リング状に形成するとともに、その両端側の一部22a,22bを上下に重ね巻きして完全なリング状に連結形成されており、後述するようにして3つの脚部18,18,18の外側を囲い、かつ、各ばね掛け用のスリット21,21に内周面側をそれぞれ係合させることにより、3つの脚部18,18,18に対して共通に取り付けられようになっている。すなわち、該カメラユニット固定用ばね22は、両端側の一部22a,22bを上下に重ね巻きして概略リング状に連結形成していることにより、その重ね巻きした部分が互いに周に沿って動き、この動きによって径の大きさを自由に拡開・縮小させることができる構造となっている。なお、そのカメラユニット固定用ばね22の使用前における内径の大きさは、3つの脚部18,18,18の外側を囲う外周円よりも若干小さく形成されている。
【0019】
そして、このように構成されたカメラユニット固定用ばね22は、係合保持部23に上下方向回動可能に取り付けられている中間部分を支点に内側に回動させ、このカメラユニット固定用ばね22を該3つの脚部18,18,18の上側から被せると、まずリングの内面がこれら3つの脚部18,18,18の各傾斜面20a,20aと当接する。カメラユニット固定用ばね22を脚部18,18,18側にさらに押し付けて回動させると、該傾斜面20a,20aのガイドによってカメラユニット固定用ばね22のリング形状が拡開されて3つの脚部18,18,18の外側を囲むようにして配置され、さらに回動させると各脚部18,18,18の各ばね掛け用のスリット21,21内にそれぞれ係合されてリング形状の全体が縮小され、この係合により3つの脚部18,18,18に対して共通に位置決め保持できるようになっている。
【0020】
次に、カメラ本体11とカメラホルダ13を備えるカメラユニット15の構成について、図1乃至図4に図5乃至図10を加えて説明する。カメラ本体11は、球体形状のカメラケース24を備え、図3及び図8に示すように該カメラケース24内に撮影光学部25等が配設されている。
【0021】
さらに詳述すると、図3,図8,図10示すにように、撮影光学部25は、ズーム系光学レンズとフォーカス系光学レンズ(共に図示せず)を配設してなるレンズ鏡筒26を有する光学レンズ系27と、該光学レンズ系27のズーム調整操作及びフォーカス調整操作を行うための調整操作機構28と、光学レンズ系27を介して得られる被写体像を撮像する図示しない固定撮像素子(CCD)が配設された撮像回路基板29等より成る。
【0022】
レンズ鏡筒26は、鏡筒周面より突出されたフォーカス調整用レバー30とズーム調整用レバー31が設けられており、各レバー30,31をレンズ鏡筒26の光軸廻りに回動させることにより、レンズ鏡筒26内のズーム系光学レンズ及びフォーカス系光学レンズの光軸上の位置を調整してズーム調整操作及びフォーカス調整操作をそれぞれ行うことができるようになっている。
【0023】
調整操作機構28は、レンズ鏡筒26を保持している第1レンズホルダ32a及び第2レンズホルダ32bと、上面にラック33aを有するズーム調整用の回転可能なリング状をしたラックプレート33と、下面にラック34aを有するフォーカス調整用の回転可能なリング状をしたラックプレート34と、ラック33aと噛合されたピニオン35aを前端部側に有する回転可能な第1ズーム調整用部材35と、ラック34aと噛合されたピニオン36aを前端部側に有する回転可能な駒状の第1フォーカス調整用部材36と、第1ズーム調整用部材35及び第1フォーカス調整用部材36の回転をカメラケース24の外側から回転操作するための調整レバーとしての第2ズーム調整用部材37及び第2フォーカス調整用部材38等より成る。
【0024】
前記ラックプレート33及び前記ラックプレート34は、前記第1レンズホルダ32a及び前記第2レンズホルダ32bにより保持され、光学レンズ系の光軸と同軸的に配設されている前記レンズ鏡筒26を軸中心として、すなわち光学レンズ系の光軸を中心に回転可能に配設されている。ラックプレート33は、ズーム調整用レバー31と係合している係合溝33bを有し、ラックプレート34は、フォーカス調整用レバー30と係合している係合溝34bを有する。また、第1ズーム調整用部材35は第2ズーム調整用部材37の前端部側に形成されている係合凸部37aと回転可能に嵌合している係合凹部35bを後端部側に有し、第1フォーカス調整用部材36は第2フォーカス調整用部材38の前端部側に形成されている係合凸部38aと回転可能に嵌合している係合凹部36bを後端部側に有している。さらに、第2ズーム調整用部材37の後端部側には専用工具(図示せず)が係合されて該第2ズーム調整用部材37を外部から回転させるための係合凹部37bが設けられ、第2フォーカス調整用部材38の後端部側には同じく専用工具が係合されて該第2フォーカス調整用部材38を外部から回転させるための係合凹部38bが設けられている。また、第2ズーム調整用部材37の中間部分の外周面と第2フォーカス調整用部材38の中間部分の外周面にはOリング状の防水パッキン39がそれぞれ取り付けられている。
【0025】
カメラケース24は、ドーム型をした半球状の第1ケース24aの開口部と同じくドーム型をした半球状の第2ケース24bの開口部を、間に防水パッキン56を挟んで互いに突き合わせることにより、概略球体型に形成されている。
【0026】
また、第1ケース24aの底面中央部には、該1ケース24aとの間に防水パッキン57を介して透明または半透明の透光性を有するカバーを取り付けてなる撮像用窓40が設けられている。そして、この撮像用窓40にレンズ鏡筒26のレンズ面27aを対向させて撮影光学部25がユニット化された状態で配設され、第1ケース24aに第1レンズホルダ32aを取付ビス41で固定して取り付けられるようになっている。
【0027】
さらに、第1ケース24aの側面には、撮影光学部25の第2ズーム調整用部材37及び第2フォーカス調整用部材38と対応する位置に、それぞれ貫通している操作用貫通孔としての調整孔42a,42bが設けられている。
【0028】
一方、第2ケース24bには、取付ブラケット12の開口16と対応する天面中央部に、ケーブル挿通用の開口43aを有する環状の突出部43が外側に突出して一体に設けられている。
【0029】
図9,図12に詳細に示すように、カメラユニット15のカメラホルダ13は、後端開口部13aが球体形状のカメラケース24の径よりも大きな内径をし、そして縮径しながら下側に向かい、下端開口部13b側が球体形状のカメラケース24の径よりも小さな内径をした筒状部材とされている。また、後端開口部13aの外周には、取付ブラケット12における脚部18,18,18の載置面18a,18a,18aと各々当接されるフランジ部44が設けられている。下端開口部13bの外周には、下端開口部13bから後端開口部13aに向かって概略U字状に切欠している切欠部45,45,45を設けてなる3個の爪部46,46,46が約120度間隔で形成されている。なお、切欠部45,45,45は、光学レンズ系27のレンズ面27aが概略水平方向を向くようにしてカメラ本体11が該カメラホルダ13に取り付けられた際、光学レンズ系27の視野の妨げ、すなわちケラレを生じることがないようにするためのものである。
【0030】
また、カメラホルダ13の周面で、かつ、後端開口部13a側には、ねじ取付孔47と、このねじ取付孔47と約180度変位した位置に対応して、1対のばね掛け孔48,48が互いに周方向に離間して形成されている。なお、ねじ取付孔47及び1対のばね掛け孔48,48は、カメラ本体11をカメラホルダ13内に固定保持する固定ばね49を取り付けるための孔である。
【0031】
図7,図9に詳細に示すように、固定ばね49は、カメラホルダ13内に収容されたカメラ本体11を爪部46側に押圧するための固定具であり、1本のバネ性を有するワイヤーを屈曲させて、1対の平行ばね部49a,49aと、該1対の平行ばね部49a,49aを連結している連結部49bを設け形成されている。また、平行ばね部49a,49aは、連結部49bに対して反対側となる他端部49c,49cの一部が直線状に形成されているのを除いて、該他端部49c,49cと連結部49bとの間の部分は側面視において、カメラ本体11の球曲面より小さい曲率を持つ様に形成されている。
【0032】
そして、このように構成されたカメラユニット15では、第1ケース24a内に撮影光学部25を取り付けた後、第1ケース24aの開口部と第2ケース24bの開口部との間に防水パッキン56を介在させた状態で、第1ケース24aと第2ケース24bを互いに突き合わせて球体状にし、これを第1ケース24a側を下方にしてカメラホルダ13内に収容し、その後からカメラホルダ13に固定ばね49を装着して、第1ケース24aと第2ケース24bを開閉不能に固定するとともに、第1ケース24aと第2ケース24bがカメラホルダ13に対して回動しないように固定する。
【0033】
さらに、詳述すると、第1ケース24a内に撮影光学部25を取り付ける際、調整用孔42a内には、係合凸部37aを設けている前端部を第1ケース24aの室内側に残すとともに、係合凹部37bを設けている後端部側を調整用孔42a内に配置させるようにして、第2ズーム調整用部材37が挿入されて設けられる。一方、調整孔42b内には、係合凸部38aを設けている前端部を第1ケース24aの室内側に残すとともに、係合凹部38bを設けている後端部側を調整孔42b内に配置させるようにして、第2フォーカス調整用部材38が挿入されて設けられる。これにより、第2ズーム調整用部材37の係合凹部37b及び第2フォーカス調整用部材38の係合凹部38bには、調整孔42a及び調整孔42bを通して外部から専用工具が挿入係合可能となり、第2ズーム調整用部材37及び第2フォーカス調整用部材38をそれぞれ外部より回転操作可能となる。
【0034】
なお、第2ズーム調整用部材37及び第2フォーカス調整用部材38が第1ケース24aの調整孔42a,42bに取り付けられた際、その第2ズーム調整用部材37及び第2フォーカス調整用部材38に装着されている各防水パッキン39が、第2ズーム調整用部材37と調整孔42aとの間、及び、第2フォーカス調整用部材38と調整孔42bとの間をそれぞれ密にシールし、外部からの水滴等の侵入を防ぐ。
【0035】
また、第1ケース24aに取り付けられた撮影光学部25は、図3及び図10に示すにように、レンズ鏡筒26のフォーカス調整用レバー30がラックプレート34の係合部としての係合溝34bに係合されるとともに、ズーム調整用レバー31がラックプレート33の係合部としての係合溝33bに係合される。
【0036】
さらに、ラックプレート33のラック33aには第1ズーム調整用部材35のピニオン35aが噛合され、第1ズーム調整用部材35の係合凹部35bには第2ズーム調整用部材37の係合凸部37aが係合される。一方、ラックプレート34のラック34aには第1フォーカス調整用部材36のピニオン36aが噛合され、第1フォーカス調整用部材36の係合凹部36bには第2フォーカス調整用部材38の係合凸部38aが係合される。なお、これらラック33a,34aとピニオン35a,36aは、第2ズーム調整用部材37及び第2フォーカス調整用部材38の回転操作を光学レンズ系27に伝える光学機構部を構成している。
【0037】
また、これらレンズ鏡筒26を有する光学レンズ系27及びラックプレート33,34、第1ズーム調整用部材35、第1フォーカス調整用部材36は、第2レンズホルダ32bに取り付けられた撮像回路基板29等と共に第1レンズホルダ32aに保持され、第1ケース24a内に収容される。そして、この第1レンズホルダ32aを第1ケース24aに取付ビス41で固定することにより、第1ケース24aと一体化される。このようにして第1ケース24a内に配設された光学レンズ系27のレンズ前面27aは、撮影用窓40と近接対向する。
【0038】
続いて、第1ケース24aの開口部に防水パッキン56を載せ、その後、第1ケース24aの開口部に第2ケース24bの開口を突き合わせるようにして第1ケース24aに第2ケース24bを取り付けて、該第1ケース24aの開口を塞ぐ。この際、第1ケース24a内の撮像回路基板29等に接続されているケーブル(図示せず)は、第2ケース24bの開口43を通って外部に引き出す。これにより、撮影光学部25が収容されたカメラ本体11が形成される。
【0039】
次いで、カメラホルダ13内に後端開口部13a側より、第1ケース24a側を下方にしてカメラ本体11を収容する。カメラホルダ13内に収容されたカメラ本体11は、カメラホルダ13の3個の爪部46,46,46を設けている下端開口部13b側が球体形状のカメラケース24の径よりも小さな内径をした筒状部材とされているので、その3個の爪部46,46,46で係止されてカメラホルダ13内に保持される。なお、本例では、撮影光学部25が収容されたカメラ本体11として組み立ててからカメラホルダ13内に組み込む場合について説明したが、球体形状のカメラケース24とする前に、第1ケース24aをカメラホルダ13内に組み込み、その後、撮影光学部25及び第2ケース24bを順に組み込むようにしてもよい。
【0040】
次に、固定ばね49の1対の平行ばね部49a,49aの湾曲面を第2ケース24bの湾曲方向と一致させるとともに、該平行ばね部49a,49aが該第2ケース24bの環状の突出部43を挟むようにして固定ばね49を配置し、該固定ばね49の開放側他端部49c,49cをカメラホルダ13のばね掛け孔48,48に係合させて取り付けるとともに、連結部49bを図4で詳細に示すばね固定用プレート50と押圧調整用ねじ51とでなる押圧調整用部材58の該ばね固定用プレート50に掛け止めし、さらに固定用プレート50をカメラホルダ13の外側からねじ取付孔47に通って、該ばね固定用プレート50のねじ孔50aにねじ部51を螺合している該押圧調整用ねじ51によりカメラホルダ13に取り付けて固定する。
【0041】
該押圧調整用ねじ51は、締め込むとばね固定用プレート50が該押圧調整用ねじ51側に移動するとともに、これと一体に連結部49bを外側に移動させ、固定ばね49の1対の平行ばね部49a,49aを第2ケース24bの外面に圧接される。これによってカメラ本体11をカメラホルダ13に対して押圧させ、回動不能に保持する。
【0042】
反対に、押圧調整用ねじ51の締め込みを緩めると、ばね固定用プレート50が該押圧調整用ねじ51と離れる方向(中心)側に移動するとともに、連結部49bが内側に移動し、固定ばね49の1対の平行ばね部49a,49aが第2ケース24bの外面に圧接している力を減少させる。これによってカメラ本体11のカメラホルダ13に対する押圧が減少し、回動可能になる。このとき、カメラ本体11は、1対の平行ばね部49a,49aと環状の突出部43との係合に規制された状態で、この1対の平行ばね部49a,49aに沿う方向に往復回動可能となり、カメラ本体11の向きを調整することができる。この向きの調整は、本例ではカメラケース24内の光学レンズ系27のレンズ面27aが略水平方向に向く位置まで回動させて調整することができるようになっており、光学レンズ系27を略水平方向に向けたとき、光学レンズ系27のレンズ面27aの前面にカメラホルダ13の切欠部45が対応し、カメラホルダ13による光学レンズ系27のケラレが作られることがないように設定してある。また、調整後は、押圧調整用ねじ51を締め込むことによって、カメラ本体11のカメラホルダ13に対する押圧が発生し、カメラ本体11の向きを、その調整された位置に固定することができる。
【0043】
図1乃至図4に示すように、筒型カバー14は、後述するようにして取付ブラケット12を介して天井100に固定されたカメラユニット15と該取付ブラケット12を、カメラホルダ13の3つの爪部46,46,46で覆われていないカメラケース24の一部を除いて、取付ブラケット12と共にカバーするもので、樹脂性部材を成形して形成されている。すなわち、筒型カバー14は、取付ブラケット12を覆う環状基部14aと、該環状基部14aから連続して先細状にして延び、カメラユニット15におけるカメラホルダ13の外側を覆う円錐環状部14bを一体に有している。
【0044】
また、円錐環状部14bには、カメラホルダ13の切欠部45,45,45に対応させて、同じく切欠部52,52,52を設けて3個の爪部53,53,53を約120度間隔で形成している。したがって、筒型カバー14でカメラユニット15を覆った状態では、カメラホルダ13の切欠部45,45,45と筒型カバー14の切欠部52,52,52及び3個の爪部53,53,53がほぼ対応し、カメラ本体11の光学レンズ系27における視野を妨害しない、すなわちケラレが作られないようにして、カメラホルダ13のほぼ全体を外側から覆うことができるようになっている。また、円錐環状部14bの周面には、該筒型カバー14をカメラホルダ13に固定する取付ねじ54を取り付けるための3個の貫通ねじ孔55,55,55が、周方向に離間して等間隔で設けられている。なお、この貫通ねじ孔55の個数は、筒型カバー14の大きさ及び重量等によって任意に変更される。
【0045】
次に、このように構成された監視カメラ装置10を天井100に設置する一例を説明する。まず、監視カメラ装置10を設置する天井100の箇所に、取付ブラケット12を取付ねじ等により固定する。
【0046】
次いで、図4に示すように、カメラユニット固定用ばね22を下側に開いて垂れ下げた状態において、図5乃至図8に示したようにユニットとして既に組み立てられたカメラユニット15を、取付ブラケット12に取り付ける。この取付では、カメラホルダ13のフランジ部44を取付ブラケット12における脚部18,18,18の各載置面18a,18a,18aに当接させて位置決めする。このとき、カメラユニット15から引き出されているケーブルは、取付ブラケット12のケーブル挿通用の開口16を通して取付ブラケット12の外側に引き出す。
【0047】
次いで、垂れ下げられた状態にあるカメラユニット固定用ばね22を、係合保持部23を支点に、内側上方に回動させる。そして、該カメラユニット固定用ばね22内にカメラユニット15を挿入するようにして、該カメラユニット固定用ばね22を3個の脚部18,18,18の上側から被せ、そして押し込む。これにより、まずリングの内面が3つの脚部18,18,18の各傾斜面20a,20aと当接する。さらに、カメラユニット固定用ばね22を脚部18,18,18側に押し付けて回動させると、該傾斜面20a,20aのガイドによってリング形状が拡開されて3個の脚部18,18,18の外側を囲むようにして配置される。また、さらに回動させると、該カメラユニット固定用ばね22が各脚部18,18,18の各ばね掛け用のスリット21,21内にそれぞれ係合されてリング形状の全体が縮小され、この係合により3個の脚部18,18,18に対して共通に位置決め保持される。そして、このカメラユニット固定用ばね22がフランジ部44の下側に当接配置され、フランジ部44がカメラユニット固定用ばね22と脚部18,18,18の各載置面18a,18a,18aとの間に挟持され、これによってカメラユニット15が取付ブラケット12に固定される。すなわち、カメラユニット15は、既に天井100に固定されている取付ブラケット12を介して天井100に、すなわち固定位置に取り付けられる。
【0048】
この固定位置に取り付けられた状態において、カメラユニット15のカメラ本体11の向きを変え、撮影光学部25の撮影範囲を調整する必要がある場合は、押圧調整用ねじ51を緩める。これにより、上述したように固定ばね49における1対の平行ばね部49a,49aのカメラ本体11に対する押圧が減少し、このカメラ本体11を回動させて光学レンズ系27の向きを容易に調整することができる。また、調整後は、押圧調整用ねじ51を締め付ける。これにより、上述したように固定ばね49における1対の平行ばね部49a,49aのカメラ本体11に対する押圧が増大し、光学レンズ系27を調整した位置に保持することができる。
【0049】
一方、光学レンズ系27のズーム調整を行う場合は、調整孔42a内に専用工具を挿入し、該専用工具を第2ズーム調整用部材37の係合凹部37bに係合させ、かつ、該第2ズーム調整用部材37を回転させる。この第2ズーム調整用部材37の回転は第1ズーム調整用部材35のピニオン35aを介してラックプレート33に伝達され、該ラックプレート33が光学レンズ系27の光軸廻りに回転する。また、ラックプレート33と一体にズーム調整用レバー31が光軸廻りに回転して、レンズ鏡筒26内のズームレンズ系(図示せず)を光軸方向に調整してズーム調整を図る。また、調整後は、専用工具を抜いて第2ズーム調整用部材37の係合凹部37bとの係合を解除すると、そのズーム調整後の位置が保持される。
【0050】
これに対して、光学レンズ系27のフォーカス調整を行う場合は、調整孔42b内に同じく専用工具を挿入し、該専用工具を第2フォーカス調整用部材38の係合凹部38bに係合させ、かつ、該第2フォーカス調整用部材38を回転させる。この第2フォーカス調整用部材38の回転は第1フォーカス調整用部材36のピニオン36aを介してラックプレート34に伝達され、該ラックプレート34が光学レンズ系27の光軸廻りに回転する。また、ラックプレート34と一体にフォーカス調整用レバー30が光軸廻りに回転して、レンズ鏡筒26内のフォーカスレンズ系(図示せず)を光軸方向に調整してフォーカス調整を図る。また、調整後は、専用工具を抜いて第2フォーカス調整用部材38の係合凹部38bとの係合を解除すると、そのフォーカス調整後の位置が保持される。なお、本実施の形態の構造では、カメラホルダ13に切欠部45を設けているので、視界のケラレを無くして、ほぼ水平方向まで視界を広めることができる。
【0051】
また、カメラユニット15の向き及び光学レンズ系27のズーム調整並びにフォーカス調整が終了したら、次に、カメラユニット15の下側から該カメラユニット15と取付ブラケット12を覆って筒型カバー14を配置するとともに、3箇所に設けている貫通ねじ孔55にそれぞれ取付ねじ53を螺着し、該取付ねじ53の先端をカメラユニット15のカメラホルダ13の外周面にそれぞれ当接させて締め付け、この取付ねじ53の締め付けで固定する。これにより、天井100に対する監視カメラ装置10の取り付けが完了する。
【0052】
なお、以上の説明では、監視カメラ装置10を天井100に取り付ける場合を例として説明したが、天井100以外にも同様にして取り付けることができるものである。
【0053】
以上説明したように、本発明の実施形態における監視カメラ装置10によれば、カメラ本体11が収容されるカメラホルダ13に、該カメラホルダ13内で回動されるカメラ本体11のレンズ面27aがカメラホルダ13と重ならないように、カメラホルダ13の爪部46と爪部46の間の一部を一端開口側に向かって切り欠いて切欠部45を設けているので、カメラ本体11を、カメラホルダ13内で該カメラホルダ13に形成されている切欠部45に対応させて垂直方向から水平方向に回動するため、カメラホルダ13とカメラ本体11のレンズ面27が重ならず、カメラ本体11の向きを水平または水平に近い位置まで調整することができることになる。
【0054】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0055】
10 監視カメラ装置
11 カメラ本体
12 取付ブラケット
13 カメラホルダ
14 筒型カバー
15 カメラユニット
20 ばね掛け部
22 カメラユニット固定用ばね
24 カメラケース
24a 第1ケース
24b 第2ケース
25 撮影光学部
26 レンズ鏡筒
27 光学レンズ系
28 調整操作機構
30 フォーカス調整用レバー
31 ズーム調整用レバー
33 ラックプレート
33a ラック
33b 係合溝(係合部)
34 ラックプレート
34a ラック
34b 係合溝(係合部)
35 第1ズーム調整用部材
35a ピニオン
36 第1フォーカス調整用部材
36a ピニオン
37 第2ズーム調整用部材(調整レバー)
38 第2フォーカス調整用部材(調整レバー)
42a,42b 調整孔(操作用貫通孔)
43 突出部
45,52 切欠部
46,53 爪部
50 ばね固定用プレート
51 押圧調整用ねじ
52 切欠部
58 押圧調整用部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側を球体型ケースで覆い、内部に撮像光学部を配設してなるカメラ本体と前記カメラ本体を収容するカメラホルダを備える監視カメラ装置であって、
前記カメラホルダは一端開口側より前記カメラ本体が収容され、かつ、収容された前記カメラ本体のレンズ面側の一部を露出させて回動可能に位置決めする複数個の爪部を他端側に有し、
前記カメラホルダ内で回動する前記カメラ本体のレンズ面が前記カメラホルダと重ならないように前記カメラホルダの前記爪部と、爪部の間の一部を前記一端開口側に向かって切り欠いて形成された切欠部と、
を設けてなることを特徴とする監視カメラ装置。
【請求項2】
前記カメラホルダの前記カメラ本体を収容する一端開口側の内径は前記カメラ本体の直径より大きく、かつ他端側の内径は前記カメラ本体の直径より小さく形成されていることを特徴とする請求項1に記載の監視カメラ装置。
【請求項3】
前記カメラ本体は、前記レンズ面が垂直方向から水平方向を向く位置まで回動可能で、かつ、前記切欠部は前記カメラ本体が回動する全区間において、前記レンズ面が前記カメラホルダと重ならないようにして設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の監視カメラ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−193265(P2011−193265A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−58033(P2010−58033)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【出願人】(000006611)株式会社富士通ゼネラル (1,266)
【Fターム(参考)】