説明

監視装置、監視システム、及び監視方法

【課題】盗難や不法投棄などの異常状態に置かれた家電等に予め内蔵されていた監視装置が、その家電等の異常状態を正しく検出することで通信コストと消費電力を効率化し、その位置情報を監視センター等の上位監視装置に通知する監視装置を提供する。
【解決手段】監視装置1が、外部からの電力供給の有無を監視される被監視装置10に内蔵され、外部からの電力供給が無い場合に、電力供給する内蔵電源部4と、所定の測位手段により測位結果を出力する測位部5と、前記電力供給の有無を検出し、検出結果を出力する電源中継部3と制御部2と、前記検出結果により外部からの電力供給が無いと示された場合に、前記測位結果を送信する送信部6と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家電等の不法投棄や盗難等の異常状態を監視する、監視装置、監視システム、及び監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば貴金属、車両、ATM(Automated Teller Machine)等の貴重品にGPS(Global Positioning System)やPHS(Personal Handyphone System)等を利用する測位手段と通信手段を備えた監視装置を予め取り付けておき、その貴重品が盗難にあった場合には、監視装置がその貴重品の位置情報を監視センターに通知することで、監視センターがその貴重品の位置を追跡する、という貴重品追跡サービスに代表される測位サービスが提供されている。
【0003】
また、数キロメートルの無線アクセスが可能で、低消費電力の端末を収容する広域ユビキタスネットワーク技術が提案されたことで、安価な測位サービスの提供が期待されている(例えば、非特許文献1参照)。
【非特許文献1】斎藤洋 外2名、「広域ユビキタスネットワークインフラストラクチャに向けた考察」、電子情報通信学会論文誌 B Vol.J88−B No.11 pp.2128−2136
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば不法投棄されるなどの異常状態に置かれた家電等に予め内蔵されていた監視装置が、その家電等の位置情報を監視センターに通知する測位サービスを実現させる場合、従来の監視装置は異常状態を検出する手段を持たないため、位置情報を通知すべきタイミングが判らず、家電等が不法投棄されていない通常状態にある場合でも、監視センターの上位監視装置に対して位置情報を通知してしまうという問題があった。このため、通常状態にある監視装置からも位置情報を通知される上位監視装置は、通信コストを増大させてしまうという問題があった。
【0005】
また、監視装置が本来は不要なタイミングで位置情報の通知を行うことで電力が浪費されてしまい、さらに不法投棄された家電等は外部からの電源供給が断たれているために、不法投棄などの異常状態に置かれた家電等の監視装置が実際に測位や位置通知することが必要になった場合に、位置情報の通知に必要な電力が得られないという問題もあった。
【0006】
本発明は、前記の諸点に鑑みてなされたものであり、盗難や不法投棄などの異常状態に置かれた家電等に予め内蔵されていた監視装置が、その家電等の異常状態を正しく検出することで通信コストと消費電力を効率化し、その位置情報を監視センター等の上位監視装置に通知する監視装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、外部からの電力供給の有無を監視される被監視装置に内蔵され、外部からの電力供給が無い場合に、電力供給する内蔵電源部と、所定の測位手段により測位結果を出力する測位部と、前記電力供給の有無を検出し、検出結果を出力する検出部と、前記検出結果により外部からの電力供給が無いと示された場合に、前記測位結果を送信する送信部と、を備えることを特徴とする監視装置である。
【0008】
また本発明は、前記被監視装置を示す識別子を送信する前記送信部を備えることを特徴とする監視装置である。
【0009】
また本発明は、外部からの電力供給の有無を監視される被監視装置と、前記被監視装置に内蔵され、外部からの電力供給が無い場合に、電力供給する内蔵電源部と、所定の測位手段により測位結果を出力する測位部と、前記電力供給の有無を検出し、検出結果を出力する検出部と、前記検出結果により外部からの電力供給が無いと示された場合に、前記測位結果を送信する送信部と、を備える監視装置と、前記測位結果を受信する第2の監視装置と、を備えることを特徴とする監視システムである。
【0010】
また本発明は、外部からの電力供給の有無を監視される被監視装置に内蔵された監視装置が行う処理方法であって、内蔵電源部が、外部からの電力供給が無い場合に、電力供給するステップと、測位部が、所定の測位手段により測位結果を出力するステップと、検出部が、前記電力供給の有無を検出し、検出結果を出力するステップと、送信部が、前記検出結果により外部からの電力供給が無いと示された場合に、前記測位結果を送信するステップと、を含むことを特徴とする監視方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、盗難や不法投棄などの異常状態に置かれた家電等に予め取り付けられた監視装置は、外部からの電力供給が停止されたこと検出し、これをトリガーとしてその家電等の位置情報を監視センター等の上位監視装置に通知する。このため、異常状態に置かれている家電等の監視装置のみが上位監視装置に位置情報を通知するので、通信コストと消費電力が効率化された監視装置となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明を実施するための一実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施の形態における監視システムを示した図である。当該監視システムは、監視装置1と、被監視装置10と、外部電源装置20と、上位監視装置30と、を備える。被監視装置10は、監視装置1から監視される対象の例えば家電等の装置であって、監視装置1を備える。監視装置1は、制御部2と、電源中継部3と、内蔵電源部4と、測位部5と、送信部6と、を備える。また上位監視装置30は、監視センター等(不図示)に備えられる。
【0013】
外部電源装置20は、被監視装置10と監視装置1の外部に備えられ、被監視装置10と監視装置1に、電源中継部3を介して電力を供給する。電源中継部3は、外部電源装置20あるいは内蔵電源部4から供給される電力を中継し、監視装置1と被監視装置10に電力供給線7を介して電力供給する。電源中継部3から被監視装置10への電力供給線は不図示である。電源中継部3は、制御部2からの通知要求に応じて、電源中継部3に外部電源装置20から電力が供給されているか否かを、制御部電源中継部間通信線8を介して制御部2に通知する。なお、外部電源装置20からの電力供給とは、例えば宅内等に設置された電源ソケット(電源コンセント)からの電力供給である、としてもよい。
【0014】
内蔵電源部4は監視装置1に備えられ、電源中継部3を介して監視装置1に電力を供給する。内蔵電源部4は、外部電源装置20から電源中継部3へ電力供給されているか否かを検出し、電力供給されていない場合は、外部電源装置20の代わりに電源中継部3を介して監視装置1に電力を供給する。なお内蔵電源部4は、監視装置1でなく被監視装置10に備えられることで、電源中継部3を介して被監視装置10と監視装置1の両方に電力を供給する、としてもよい。この場合、内蔵電源部4を複数個備えることで、位置情報の通知等に必要な電力を確実に得られるよう少なくとも1つの内蔵電源部4を監視装置1の専用内蔵電源として確保してもよい。さらに内蔵電源部4は、外部電源装置20から電源中継部3を介して充電される、としてもよい。
【0015】
盗難や不法投棄などの異常状態に置かれた場合、被監視装置10は、所定の設置場所から移動されたことにより外部電源装置20と接続されなくなるため、外部電源装置20から電力が供給されなくなる。制御部2は、盗難や不法投棄などによる被監視装置10の異常状態を判断するため、前述の通知をするよう、例えば所定の周期で電源中継部3に要求する。制御部2は、この要求の応答として外部電源装置20からの電力供給が無いことを電源中継部3から通知された場合、被監視装置10が異常状態にあると判断する。なお、制御部2が電源中継部3に通知要求してから所定時間内に通知(応答)が無かった場合も、制御部2は被監視装置10が異常状態にあると判断する、としてもよい。
【0016】
制御部2は、被監視装置10が異常状態にあると判断した場合、測位処理の実行要求と、測位結果である位置情報の通知要求と、を測位部5に出力する。制御部2は、測位部5から応答として通知された位置情報と、被監視装置10を識別するため予め記憶した識別子と、を含むデータを送信部6に通知する。
【0017】
測位部5は、測位処理の実行要求と位置情報の通知要求とが制御部2から入力された場合、例えば、GPSや準天頂衛星システム(Quasi−Zenith Satellites System)等の衛星測位、あるいは無線LAN(Local Area Network)やPHS等の電界強度を利用する測位手段により測位処理を実行し、監視装置1すなわち被監視装置10の位置情報を含む測位結果を制御部2に通知する。なお測位部5は、携帯情報端末の基地局、滞留型飛翔体(高高度無人機、飛行船、ヘリコプタ等)を用いた測位手順を実行するとしてもよい。
【0018】
送信部6は、位置情報と被監視装置10の識別子を含む異常状態データを制御部2から通知されると、通知された異常状態データを監視センター等(不図示)に設置された上位監視装置30に、例えば無線ネットワーク経由で送信する。上位監視装置30は、異常状態データを受信すると、被監視装置10の位置と被監視装置10が異常状態にあることを認識し、通報するなどの所定の動作を実行する。
【0019】
図2は、本発明の一実施の形態における監視システムの動作シーケンス図である。電源中継部3には外部電源装置20から電力供給されている。制御部2は、電源中継部3に電源確認要求を行う(ステップS1)。電源中継部3は、外部電源装置20から電力供給されていることを、制御部2に通知する(ステップS2)。なお、ステップS1からステップS2の動作は、複数回繰り返されてもよい。
【0020】
例えば、被監視装置10が不法投棄などの異常状態に置かれたため、宅内等に設置された電源ソケット(電源コンセント)からプラグが抜かれ、外部電源装置20から電源中継部3への電力供給が停止する(ステップS3)。内蔵電源部4は、外部電源装置20から電源中継部3への電力供給が断たれたことを検出すると、内蔵電源部4から電力供給する(ステップS4)。
【0021】
制御部2は、電源中継部3に電源確認要求を行う(ステップS5)。電源中継部3は、内蔵電源部4から電力供給されていることを、制御部2に通知する。電源中継部3には、内蔵電源部4から電力供給されているため、制御部2は被監視装置10が異常状態にあると判断する(ステップS6)。なお、ステップS5からステップS6の動作は、複数回繰り返されてもよい。
【0022】
制御部2は、測位処理の実行と、測位結果である位置情報の通知と、を測位部5に要求する(ステップS7)。測位部5は、測位処理を実行する(ステップS8)。測位部5は、監視装置1すなわち被監視装置10の位置情報を含む測位結果を制御部2に通知する(ステップS9)。制御部2は、通知された位置情報と、被監視装置10の識別子と、を含む異常状態データを送信部6に通知する(ステップS10)。送信部6は、通知された異常状態データを上位監視装置30に送信する(ステップS11)。上位監視装置30は、異常状態データを受信すると、被監視装置10の位置と被監視装置10が異常状態にあることを認識し、所定の動作を実行する。
【0023】
以上の動作シーケンスは、次のように実施しても良い。図3は、本発明の一実施の形態における監視装置を備える監視システムの動作シーケンス図である。図2に示す動作シーケンスと異なり、電源中継部3は、制御部2からの通知要求がない場合でも、電源中継部3に電力供給されたことをトリガーにして、電源中継部3に供給されている電力が、外部電源装置20からの供給であるか否かを制御部2に通知する。
【0024】
図3では、電源中継部3には、まず外部電源装置20から電力供給されている。例えば、被監視装置10が不法投棄などの異常状態に置かれたため、宅内等に設置された電源ソケット(電源コンセント)からプラグが抜かれ、外部電源装置20から電源中継部3への電力供給が停止する。内蔵電源部4は、外部電源装置20から電源中継部3への電力供給が断たれたことを検出する(ステップS20)。次に内蔵電源部4は、監視装置1に電力供給を開始する(ステップS21)。
【0025】
電源中継部3は、電源中継部3に供給されている電力が、内蔵電源部4からの供給であることを制御部2に通知する(ステップS22)。なお、ステップS22の動作は、複数回繰り返されてもよい。ステップS23以降の動作は、図2のステップS7以降の動作と同様である。
【0026】
以上、本発明の実施の形態により、盗難や不法投棄などの異常状態に置かれた家電等に予め取り付けられた監視装置は、外部からの電力供給が停止されたこと検出し、これをトリガーとしてその家電等の位置情報を監視センター等の上位監視装置に通知する。このため、異常状態に置かれている家電等の監視装置のみが上位監視装置に位置情報を通知するので、通信コストと消費電力が効率化された監視装置となる。
【0027】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【0028】
例えば制御部2は、被監視装置10が異常状態にあると判断して、さらに所定時間の経過を待ってから、上位監視装置30に被監視装置10の異常状態を通知する、としてもよい。また、被監視装置10の異常状態をより確実に判断するために、制御部2は被監視装置10が異常状態にあるか否かを複数回確認して、それでも被監視装置10が異常状態にあると判断した場合には、上位監視装置30に被監視装置10の異常状態を通知する、としてもよい。
【0029】
また、本発明に記載の被監視装置は、被監視装置10に対応し、外部電源装置は、外部電源装置20に対応し、内蔵電源部は、内蔵電源部4に対応し、測位部は、測位部5に対応し、検出部は、電源中継部3と、制御部2と、に対応し、送信部は、送信部6に対応し、監視装置は、監視装置1に対応し、第2の監視装置は、上位監視装置30に対応する。
【0030】
また、図2、図3に示す各ステップを実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、通信端末の実行処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OS(Operating System)や周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
【0031】
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0032】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。
さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施形態における監視システムを示した図である。
【図2】本発明の一実施の形態における監視装置を備える監視システムの動作シーケンス図である。
【図3】本発明の一実施の形態における監視装置を備える監視システムの動作シーケンス図である。
【符号の説明】
【0034】
1…監視装置 2…制御部 3…電源中継部 4…内蔵電源部 5…測位部 6…送信部 7…電力供給線 8…制御部電源中継部間通信線 10…被監視装置 20…外部電源装置 30…上位監視装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部からの電力供給の有無を監視される被監視装置に内蔵され、
外部からの電力供給が無い場合に、電力供給する内蔵電源部と、
所定の測位手段により測位結果を出力する測位部と、
前記電力供給の有無を検出し、検出結果を出力する検出部と、
前記検出結果により外部からの電力供給が無いと示された場合に、前記測位結果を送信する送信部と、
を備えることを特徴とする監視装置。
【請求項2】
前記被監視装置を示す識別子を送信する前記送信部を備えることを特徴とする請求項1に記載の監視装置。
【請求項3】
外部からの電力供給の有無を監視される被監視装置と、
前記被監視装置に内蔵され、
外部からの電力供給が無い場合に、電力供給する内蔵電源部と、
所定の測位手段により測位結果を出力する測位部と、
前記電力供給の有無を検出し、検出結果を出力する検出部と、
前記検出結果により外部からの電力供給が無いと示された場合に、前記測位結果を送信する送信部と、
を備える監視装置と、
前記測位結果を受信する第2の監視装置と、
を備えることを特徴とする監視システム。
【請求項4】
外部からの電力供給の有無を監視される被監視装置に内蔵された監視装置が行う処理方法であって、
内蔵電源部が、外部からの電力供給が無い場合に、電力供給するステップと、
測位部が、所定の測位手段により測位結果を出力するステップと、
検出部が、前記電力供給の有無を検出し、検出結果を出力するステップと、
送信部が、前記検出結果により外部からの電力供給が無いと示された場合に、前記測位結果を送信するステップと、
を含むことを特徴とする監視方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−122862(P2010−122862A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−295380(P2008−295380)
【出願日】平成20年11月19日(2008.11.19)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】